【旅SS】女「コータス達とぶらり旅」:ポケモンBBS(掲示板) 【旅SS】女「コータス達とぶらり旅」:ポケモンBBS
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【旅SS】女「コータス達とぶらり旅」

 ▼ 1 ャラサブレイーター 15/08/17 09:42:50 ID:4EBE4AI. NGネーム登録 NGID登録 報告
コータスを中心とするポケモン達と一緒に、のんびり旅を続ける少女の物語。

名産品を味わったり、イベントに参加したり。時々バトルしたり。

展開と更新はゆるめです。



女「よし行くぞぉ」

コータス「OK,Let's go.」

女「」クルッ

コータス「こぉ?」


この町(街、村)行けば?という提案にのっかるかも。
 ▼ 761 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 22:51:42 ID:PJIFuQ4c [1/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───すっかり晴れたおかげもあってか、昼を過ぎた頃には、客たちは皆チェックアウトして、宿を去っていました。

あのバッドなカップルも、双子ちゃんたちに手を振ってバスに乗って行きました。

※※※※※ちゃんはというと。


女「双子と遊んでたので荷物まとめ終わってなかった」アセアセ

コータス「君って時々間抜けだよねぇ」

女「うっさいよ」

女「この感じだと、お昼いただいてからチェックアウト、かな……」



女「」テクテク

女「あれ、こんにちは」

旦那「あ、お客様。御昼食ですか?でしたらもう少しでごてっ」グエッ

アミ「おしごとおわったんでしょ!ごはんでしょ!!」プクゥ

旦那「」ゲンナリ

女「(苦笑)」
 ▼ 762 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 22:52:50 ID:PJIFuQ4c [2/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アミ「おねえちゃんもいっしょにたべよ!」


───食べることとなりました。


ミカ「おねーちゃん、えうまいの」

ミカ「おしえてくれたから、ムックルかけたよ」

女将「こら。箸で人を差さないの」

アミ「おとうさん!おしょうゆ!」

旦那「ありがとう」

アミ「どういたしまして」ニハー

女「」

女(しあわせそ。)

女将「ごめんなさい、落ち着かない食事になってしまって」

ミカ「おねーちゃんきにしないよ?」

女将「もう!」

女「でもその通りです」フフフ
 ▼ 763 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 22:53:48 ID:PJIFuQ4c [3/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女(全然気にならない、どころか、むしろ……)

アミ「おかあさん、おかわり!」

ミカ「おとーさん、しいたけのこしちゃダメ」

旦那「ち、ちゃんと食べてるよ」ムグ

女将「はいはい、もう落ち着いて食べなさい」

女(なんでか落ち着くなぁ……)

















女「───吹雪いて足止めを食らった私は、それを踏まえて足の数を増やしたいと思ったので、なみのりポケモンを探すことにしました」
 ▼ 764 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 22:54:43 ID:PJIFuQ4c [4/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「それで、こちらの洞窟にそんなポケモンがいる、と聞いて来てみた次第です」

爺「……なるほどね」

爺「神出鬼没の女の子は双子だった。ユキワラシは、メタモンが化けていた」

女「まぁ、はい。そういうことでした」

爺「おもしろいね」フフフ

女「面白かったなら、何よりです」

爺「ところで、ひとつ訊きたいんだけど」

女「なんでしょう」

爺「ひょっとして、バッドカップルの奥さんは、妊婦だった?」

女「」アゼン

女「は、はい。その通りです」

女「すみません、記憶違いじゃなかったら良いんですけど」

女「私、それ言いませんでしたよね」

爺(普通、こういうのは言ったと思っているものだが……)

爺(意識的に言わなかったのか、あるいは、話した内容の方が無意識なのか……)
 ▼ 765 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 22:57:07 ID:PJIFuQ4c [5/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
爺「そうだね。いや何、そうなのかな、と思っただけさ」

女「は、はぁ……」キョトン

爺「ん」

爺「そろそろかな」


───おじいさんがそう呟くのを聞いた女の子は、湖面に視線を向けます。

ランタンで照らしているとはいえ、光の届いている範囲は狭く、湖の奥はよく見えないのですが。


爺(面白い話と言ったが)

爺(何も、笑える話をしてくれと言ったわけじゃない。この子もそれを汲み取っていた)

爺(この子がした話はすべて、自分が興味を惹かれたこと、だったんだろう)

爺(双子の話もそうだが……)

爺(この子は、無意識に"家族"を熱心に見ていたように思う)

爺(それが、彼女の生い立ちをどうあらわしているのかはわからないが……)

爺(焦がれているのはよくわかった)

女「!」
 ▼ 766 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 22:58:35 ID:PJIFuQ4c [6/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───ちゃぷちゃぷ、と、小さな音が断続的にしていることに気づきました。

なにしろ、洞窟内はとても静かなので、水が音を立てるだけですぐ耳につくのです。

そして、その音がゆっくりとこちらに近づいてきていることは、耳をすます必要もなくわかるのでした。


爺「」スック

爺「やぁ」

爺「元気かい?」

ラプラス「らぁぷ」

ラプラス「きゅうん?」

爺「ああ元気だよ。今日は調子が良い」

爺「一昨日、ジュンイチ君が面白い話をしてくれてね。甥がフリーランニング中に宇宙人に会ったそうなんだが……」

女「これが、ラプラス」パシュン

図鑑『ラプラス。のりものポケモン。人の言葉を理解する、高い知能をもつ。海の上を、人を乗せて進むのが好き』

女(イメージのまんまだ)

爺「───だが、強欲な人間たちが絶滅寸前にまで追いやってしまった」
 ▼ 767 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 22:59:20 ID:PJIFuQ4c [7/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
爺「このラプラスは、どこから迷いこんでしまったのか、湖にここ半年ずっといるのさ」

爺「奇妙なことに、つながりの洞窟にはラプラスがよく迷いこむ」

爺「よく、というか、たまになんだが」

女「どこかにラプラスのコミュニティがあって、海に出る水路から、道を間違えて来てしまう───とか?」

爺「幼い頃に入り込んでしまって、成長して戻れなくなってしまう、ということが多いのかもしれない」

爺(聡い子だな)

女「……」ボー

ラプラス「?」

爺「どうかしたのかい?」

女「あ、すみません。見とれちゃって……」カァア

爺「その子は人懐っこい。撫でてやると喜ぶよ」

女「じゃあ、失礼して」チャプチャプ

ウワハァ!ヒンヤリシテル!

ラァプラ…

爺「……ところで、ひとつ相談なんだけれど」
 ▼ 768 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 23:00:51 ID:PJIFuQ4c [8/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「はい?」

爺「君はこの子をゲットしたいんだろう?」

女「あ、はい。そのつもりで……した」

爺「うん」

爺「僕はね、この子と毎週会うのが楽しみでしかたないんだ」

爺「なんてことない話をするのが好きなんだ」

爺「だが、この子はポケモンだ。本来は悠久の時間を海の上を旅して生きているはず」

爺「こんな暗い洞窟にずっと居るのはかわいそうだ」

爺「お前も、ここを出たいのだろう?」

ラプラス「きゅうん……」

女「それなら、その子を連れ出してあげればいいじゃないですか」


───おじいさんは、静かに首を横に振りました。


爺「僕はもうじじいだからね。毎週洞窟に遊びに来ることはできても、あまり遠いおでかけはできないんだ」

爺「それに、来月からはもう来れなくなる」
 ▼ 769 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 23:02:27 ID:PJIFuQ4c [9/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
爺「入院することが決まってね」

女「じ、じゃあ、頑張って治療しないと、ですね」

女「治ったら、ラプラスと海に行ける……じゃ、ないですか」

爺「終末治療だ。もう長くない」

女「ッ……!」

爺「ふふふっ」

爺「すまない。揚げ足をとるような説明をしてしまって」

爺「でも、君が僕に遠慮しようとしてくれるものだからさ」

爺「せっかくの機会なのに、それはもったいないことだ」

ラプラス「……」

爺「そんな顔をしないでおくれよ。寄る年波には勝てないのが、生き物の性だ」

爺「なんてことはない、老いぼれの最後の願いさ」

爺「君らさえよければ、だけれど」

爺「この子を君の旅に連れていってくれないだろうか?」

爺「ラプラス、この子との旅なんてどうだろう?新米トレーナーさんで、先が楽しみじゃないか?」
 ▼ 770 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 23:03:43 ID:PJIFuQ4c [10/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ラプラス「……」

女「……」

女「どう?」

ラプラス「ぷらら?」

女「」スチャ

爺「ガンテツさんのボールか」

女「〜……」

女「あの」

女「お気持ちはわかる……んですけど」

女「遺言みたいに言われてしまうと、その……困ります」

女「私、誰かの思いを、その、背負っていけるほど、強い人間じゃない……ので」

女「期待されるほどのトレーナーじゃない、ので」

女「あなたの願いを叶えるのは、できません」

爺「」

爺「……ふふふっ」
 ▼ 771 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 23:05:27 ID:PJIFuQ4c [11/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
爺「そうだな。僕がこういうことを言ってはいけなかった。……うん」

爺「ちょっと、有終の美を飾ろうとしてしまったかも」

女「いえ、そんな。別にそんなことを言おうとしたわけじゃ……」

爺「ああ、わかっているさ」

爺「死者の願いとは、残された者からすれば……呪いにも等しいものだ」

爺「ならば、僕はこう言うべきだったね」

女「?」

爺「ラプラス。旅の仲間とするなら、このお嬢さんが良い。慎重だし、冷静だ。何より優しい子だ。思ったことを、ちゃんと言おうとする気概もある」

女「」カァア

爺「お嬢さん。この子はきっと、君にとって大きな助けになる。是非とも、旅の連れにするべきだ」

爺「もちろん、君たち2人の合意があれば、だけれど」

爺「……どうかな?」

ラプラス「らぁぷらす」コクン

女「……いいの?」

ラプラス「きゅうん」
 ▼ 772 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 23:06:25 ID:PJIFuQ4c [12/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「」パァァ…

女「よろしくね、ラプラス」ヒタ

女(ひんやりきもちいい)

ラプラス「」モゾモゾ

女「ん」スチャ


───こつん、と。

ヘビーボールを小突いて、ラプラスは女の子の仲間になりました。
 ▼ 773 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 23:07:06 ID:PJIFuQ4c [13/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


───以来、水上を行く彼女は、ラプラスの背中でドライフルーツをかじっています。
 ▼ 774 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 23:07:54 ID:PJIFuQ4c [14/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
つながりの洞窟と、体験談の話。

おわり。

次回、未定。
 ▼ 775 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/16 23:08:26 ID:PJIFuQ4c [15/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ミカ「ねぇねぇ。こんどはこれになって」

ぷわぷわ「」ミュルルルル

ムウマ「むう〜ん」

ミカ「よーし」カキカキカキ

ミカ「あのおねーちゃんみたいにかけるようになるもんね」カキカキカキ

ムウマ「……」

ムウマ「みゅう?」
 ▼ 776 ンペルト@ピジョットナイト 16/04/16 23:17:54 ID:PT1QIxDY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 777 クオング@ヨプのみ 16/04/16 23:48:00 ID:TQOTnR9E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 778 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:41:45 ID:YMSMSsTQ [1/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女(私は今、ちょっと急いでいるため、予定と違う近道を進んでいます)テクテク

女(具体的には、ある街を横断しているところです)

女(早く突っ切ろう。この街、治安が良くないみたいだし)

女(治めてる人が利己的な執政をしてるせいで、生活水準が劣悪なんだとか)

女(街がこんなだから、わざわざ外から来る人も滅多にいないみたい)

女(外部の人の目がないから、なおのこと現状がほったらかしにされてるんだ)

女(怖いので、意識的に口をつぐんでいま)ドスッ

女「あ、ごめんなさ」

少女「」タタタタッ

女「」


───少女が路地裏に走り込むのを見てから、※※※※※はボールを投げた。


女「見てた?」

ムクホーク「」コクン

女「追いかけてもらえる?」
 ▼ 779 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:42:31 ID:YMSMSsTQ [2/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「バレないようにね」

ムクホーク「」バサッ

女「……」ゴソゴソ

女「うわ、やっぱりやられてる」ゲンナリ



少女「ポケナビゲーッツ」

少女(登録されてるアドレスなんかは、ギャングに売ればいいとして……)

少女「その他個人情報はないかなぁっと」ピポピポピ

少女「チッ、ロックかかっててほぼ見れねえや。解析屋行くか……」

少女「」グギュルルルル

少女「……その前に飯食わねぇとな」



少女「」ボリッ

少女「」ジャクジャクジャク
 ▼ 780 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:43:14 ID:YMSMSsTQ [3/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───少女は、叩き売りされていた耳を買ってパン屋を出てきた。

サンドイッチなんかを作る際、切り取られるアレである。

とはいえ、安いにしてもその質は悪く、噛むたびに干からびて固そうな音がしている。

まずそうなそれをしかし、彼女はむさぼりながら裏通りを歩いていた。



少女(解析屋にポケナビ割らせたらすかんぴんになっちまうな……儲けになりゃいいんだけどなぁ、中身)

ガキ「お、キリネじゃんか!何食ってんだよ」

キリネ「うるせぇ!話しかけんなこきたねえ。パンにほこりがつくんだよ」シッシッ

ガキ「何がパンだ耳じゃねえかちんちくりん!耳はパンじゃねえんだよ」

キリネ「パンはパンだ。引っ込めこの〓〓〓〓〓」

ガキ「〓〓〓〓〓!」

キリネ「ケツの穴につらら挿すぞ」

ガキ「ヒィーッ」スタコラサッサ

キリネ「バカかっつの」ボリボリ

ニューラ「」ボリボリ
 ▼ 781 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:44:21 ID:YMSMSsTQ [4/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少女「てかオメーは何しれっと耳食ってんだよ」ボカッ


───パン屋を出てきてから、彼女はニューラと行動を共にしていた。

いつの間にかいた、という次第で、いつ、どこから出てきたのか、見当がつかなかった。


ムクホーク「」ジロリ

ムクホーク(スリには協力してねぇのか?)


───そんな少女とニューラを、ムクホークはビルの上から見下ろしていた。

彼女らが移動をやめたら、主人に居場所を伝えに戻ろうとしているのだが、どうも彼女らは歩きっぱなしである。

だから、離脱するタイミングを測りかねた。


ムクホーク(解析屋とやらに入ったら、呼びに行くか)

ムクホーク「ぴ?」


───少女が、路地裏に引きずり込まれた。
 ▼ 782 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:45:04 ID:YMSMSsTQ [5/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キリネ「何すんだ!離せよ!」

男「おいキリネ!テメー俺らのシマでまたスリやってるらしいじゃねえか」グイッ

キリネ「ングッ」

男「前に散々、やさしーく言い聞かせてやったよなァ?」

男「他人様のシマで商売やるときは、ショバ代払えってよ」ギリッ

キリネ「は………なせ………」

男「もしくはそれなりの奉仕をしろってな。なんならもう一回、奉仕させてやってもいいが」スルッ

キリネ「さわんな、気持ち悪い」

男「調子に乗るな」ゴスッ

キリネ「ゔっ」

男「ちょっと溜まってんだわ。付き合えよ」

ニューラ「ニュウッ!」


───腹に膝を入れられて、くの字に折れた少女を見たニューラは、血相を変えて切りかかった……が。


男「ギギアル、そいつボコっていいぞ」
 ▼ 783 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:45:57 ID:YMSMSsTQ [6/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───立ちはだかったギギアルに挟まれ、歯車でギリギリと締め上げられる。


男「ガキなら大人の言うこと聞きましょうねぇっと」バシッ

キリネ「痛だっ……やめろ……イヤだ、はなせ」

男「2回目なんだから、いい加減慣れろよn」


───慣れろよな、と言おうとした男の横っ面に、頭突きが入った。

失神する男を蹴飛ばし、ニューラを締め上げるギギアルに飛びかかった影はそのまま───


ムクホーク「ケーーーーーーーン!!!」


───インファイトでギギアルをタコ殴りにしていく。

ニューラを捕まえていることなどお構いなしに、ギギアルを掴んで投げつけるように壁に叩きつけ、離さずに飛び上がり、つついてはたいて、今度は地面に叩きつける。


キリネ「な、なんだ………?」


───ギギアルを地面に転がしたまま、踏みつけるように蹴りを浴びせるムクホークに呆然とする。

あんなに獰猛で容赦のない戦い方をするポケモンを見るのは、意外にも初めてだった。
 ▼ 784 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:47:13 ID:YMSMSsTQ [7/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だから気圧されて動けなかった、というのもあるし。

蹴りと殴られたダメージでろくに体を動かせない、というのもあって、ただ、殴り倒されるギギアルと、そのとばっちりで蹴りを食らってしまっているニューラをただ見ていることしかできなかった。



ムクホーク「おい、お前のご主人、動けないみてぇだが」ジロッ

ニューラ「……主人じゃ、ねえよ」


───チンピラとギギアルをノックアウトしてから、ムクホークはニューラに話しかけた。

当然、人間が見てもなんのやり取りをしているのかはわからない。


ニューラ「くそっ……もののついでにさんざボコりやがって」

ムクホーク「本気で殴り倒されなかっただけマシだと思いな。てか」

ムクホーク「助けがいるなら呼んできてやるが」

ニューラ「うるせぇ……前にも、こんくらいのことはあったよ……なんとかするわい」

ムクホーク「フーン」バサッ


───トレーナーを呼びに行った。
 ▼ 785 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:48:14 ID:YMSMSsTQ [8/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「」

男「」バタンキュー

ギギアル「」死ーん

キリネ「……っ!」

ニューラ「ニュッ……ウ、ラ…」

女(倒れている男性とギギアル。半裸で痣だらけの女の子と、こちらを恨めしげに見上げるニューラ……)

女「ムクホーク、さすがにやりすぎ」ジトー

ムクホーク「ぴぴぴぴぴるぴぴぴぴぴ!!!(半分しかやってねぇよ!!!)」


───4分の3な件。


女「……」テテテ

女「」ゴソゴソ

キリネ「お、おい、なにしやがる」

女「救急車呼ばなきゃ」

女「私のポケナビ持ってるんでしょ?確か、エントリーコールで119番できる」
 ▼ 786 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:49:44 ID:YMSMSsTQ [9/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キリネ「余計なこと……すんな」

キリネ「だいたい……金がねぇ」

女「出すよそれくらい」ピポパ

女「あ、もしもし、路地裏に怪我した女の子が───」



ジョーイ「女の子の方は肋骨の骨折と、顔の打撲ね。腕はヒビが入ってる。ニューラは、全身まんべんなく打撲ってところかしら」

ジョーイ「しめて、3万7800円になります」

女「は?」

女「いや、何でそんなに高いんですか!?」

ジョーイ「はぁ」ウゼェ

女(今小声でうざいって言った!?)

ジョーイ「あの子、保険証持ってないでしょう?それで、補助がないぶん高くなるのよ」

女「なぜ、持ってないんですか?」

ジョーイ「知らないわよ。ビンボーだからじゃない?」

ジョーイ「何にせよ、この街じゃ珍しいことじゃないわ。ホラ見てみなさい」
 ▼ 787 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:51:01 ID:YMSMSsTQ [10/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジョーイ「患者なんか一人もいやしない。みんな金がかかるからって、ちょっとくらいの骨折じゃ受診なんかしないのよ」

女「」

ジョーイ「で、払うの?払わないの?」



女「」ガラガラ

キリネ「」ムスッ


───左腕をつって、不満そうにベンチに座っている。


女「自動ドアじゃないポケモンセンターなんて初めて見た」

キリネ「ある建物の方が少ねぇよ」

キリネ「金持ち御用達のクラブなんかにあるのさ」

女「親御さんに連絡するから、アドレス教えてもらえる?」

キリネ「いねぇ」

女「はい?」

キリネ「俺に親はいない」
 ▼ 788 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:51:47 ID:YMSMSsTQ [11/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「じゃあ、身元引き受け人は?」

キリネ「知るか。俺ぁ独りだ」

女「……」


───この子のニューラは、まだ治療を受けている。

ポケモンは、無料で完治まで治療してもらえるのだ。

人間は、ポケモンのようにはいかないので、少女は腕を吊っている。


女「あなたのニューラは、もう少ししたら返されると思うから、ここで待ってればいいよ」

女「……警察には言わないでおくから」

女「それじゃあ私は行くね」

キリネ「おい、待てよ」

キリネ「同情のつもりか」

女「違うよ」

女「私はポケナビを取り戻せたし急いでる。あなたはひどい怪我をしたし、賠償能力もない」

女「私は警察沙汰になって時間を取られると困るし、あなたはお金を取られると困るでしょ?」
 ▼ 789 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:53:00 ID:YMSMSsTQ [12/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「それに私は手痛い出費もあったし………はぁ」ゲンナリ

女「さっさと出ていきたいだけだよ」

キリネ「……おい」

女「何?」

キリネ「お前みたいな弱っちいやつでも、連れてるポケモンが強けりゃ、こんな目に遭わずにすむんだろ?」

キリネ「俺もトレーナーになって、旅に出たら……強いポケモン捕まえて、いっぱい勝ちまくったら、こんな生活とおさらばできんのか」

女「……」ピクッ

女「そうだろうね。でも」

女「強いポケモンを捕まえられなきゃ結局勝てないし、旅も続けられなくなる」

女「それに、捕まえるだけなら、トレーナーじゃなくてハンターを名乗るべきだよ」

女「ただ戦わせるだけなら、ハンター兼テイマーだ」

キリネ「は?何が言いてぇんだよ」

女「強いポケモンを捕まえたいだけなら、トレーナーにならなくていい」

女「好き勝手に乱獲して、レベルの高いポケモンを手持ちに入れて、それでジムリーダーと戦って」

女「うん、いいね。勝ちまくっていっぱいお金もらえたら万々歳だね」
 ▼ 790 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:53:58 ID:YMSMSsTQ [13/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キリネ「やたらつっかかってくんな……なんだよ。それがなにかおかしいのか?」

女「……はぁ」

女「この街は、人も空気も殺伐としてる。あなたも。だけど、人間ってもっと、穏和なものだよ」

キリネ「だから、何が言いたいんだよ」イライラ

女「旅していると、あなたみたいな人って滅多に会わない。ポケモンと一緒にいるなら、なおのこと」

キリネ「だから、何が言いてぇんだよって」ギリッ

女「旅に出るなら出れば?」

女「私は、帰る場所がないから旅をしてる……けど」

女「帰る場所があるからって、旅に出るのが非現実的だと思ったりもしないよ」

女「旅に出て何を感じるか、何を学ぶか、なんて本当にその人次第だし」

女「ただ、あなたみたいな人がそのままトレーナーになって、ずっとそのままだったら」

女「遅かれ早かれ、ここに戻ってくることになるんじゃないかな」



───路地裏に駆け付けたとき、こちらをにらんでいたニューラを思い出す。

少女の服をまさぐってポケナビを探していたときも、彼はこちらに殺気を向けていた。
 ▼ 791 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:55:26 ID:YMSMSsTQ [14/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女(あのニューラ、あの子を慕ってた……なのに)

女(あの子自身が、ニューラを道具みたいにしか思ってない)

女(身寄りがないせいでってのもあるんだろうけど、愛着とか、信頼とか、それこそ、感謝とか)

女(そういう気持ちを感じられなかった)

コータス「穏やかな君にしては珍しく、トゲトゲしてたねぇ」

女「」クルッ

コータス「こぉ?」

女「……あの子みたいな境遇の子供も、世の中にはたくさんいるんだろうね」

女「殺伐とした日常に身をおいていたせいで、大事なところまで削れてしまったような人」

コータス「君に似てるねぇ」

女「………………そうだね」

女「だからこそ、実は旅に出た方がいいのかも、とも思う」

女「少なくとも、あんなところにいたらきっと、ろくでもない最期が待ってるだけだ」

女「……だからって、旅に出た方が楽だってこともないんだけど」

女「あぁーあぁあ!もう!出費!!痛い痛いよ!超ガッデム!」ウギギギギ
 ▼ 792 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:55:51 ID:YMSMSsTQ [15/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コータス「くふふ」

女「……はぁ」

女(それに、旅に出たからって、削れて、失ってしまったものを元通りに取り戻せるかもわからない)

女「のっぴきならねぇー……」



キリネ「旅、出よう」

ニューラ「ニュア!?」

キリネ(少なくとも、この街にはもういらんねぇ。ギャングどもにも完全に目ぇつけられただろうし)

キリネ「トレーナー登録できる街……近いのはカノコタウンか」

キリネ(俺とそう歳の変わらないあいつがトレーナーやれてんだ。俺にできないってことはないはずさ)

キリネ「おら!行くぞニューラ」

ニューラ「ニュウラ」テクテクテク
 ▼ 793 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/19 22:56:47 ID:YMSMSsTQ [16/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
治安の悪い街

終わり
 ▼ 794 リガロン@しんぴのチケット 16/04/19 23:21:17 ID:nDNHYFtk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 795 リン@ロゼルのみ 16/04/20 01:08:00 ID:ih/AyhkE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ぷわぷわ気付かんかったわ・・・飛んでるんだもんな・・・
支援!
 ▼ 796 ース@コダックじょうろ 16/04/20 01:15:16 ID:wpR.wtBw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 797 サキント@こだいのどうか 16/04/20 03:17:39 ID:w2phrY06 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しーえんっ♪
 ▼ 798 ノセクト@たてのカセキ 16/04/21 00:43:53 ID:fynWFhTw NGネーム登録 NGID登録 報告
漫画で見てみたい…!
支援!
 ▼ 799 ラチーノ@ライボルトナイト 16/04/21 02:45:37 ID:vfp3EDR2 NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
バンバンバンバンバンバンバン
バン     バンバンバン
バン (∩`・ω・) バンバン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
   \/___/ ̄ ̄


  バン   はよ
バン (∩`・ω・) バン はよ
  / ミつ/ ̄ ̄ ̄/
  ̄ ̄\/___/

    ; '  ;
     \,( ⌒;;)
     (;;(:;⌒)/
    (;.(⌒ ,;))'
 (´・ω((:,( ,;;),
 ( ⊃ ⊃/ ̄ ̄ ̄/
  ̄ ̄\/___/ ̄ ̄

       /\
      / /|
     ∴\/ /
     ゜∵|/
  (ノ・ω・)ノ
  /  /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ▼ 800 ジョン@ちからのねっこ 16/04/21 17:31:07 ID:ZzCwL57E [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
800げと

支援
 ▼ 802 ィアルガ@かいのカセキ 16/04/21 18:35:22 ID:ZzCwL57E [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 805 ルビル@ズリのみ 16/04/21 23:10:04 ID:H..RJmfY NGネーム登録 NGID登録 報告
なんと作者は画力もあるのか
楽しみにしてます。支援です
 ▼ 806 ィオネ@カゴのみ 16/04/26 23:39:51 ID:3QcJV/c6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>53
作者の画力は証明済みや!
支援!
 ▼ 807 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 01:56:29 ID:u0ocyaJQ [1/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「なんとなく」

女「ゲームセンターに寄ってみました」

女「そういえば、人生初かも」


───UFOキャッチャーとか、リズムゲームとか、アーケードゲーム、スロットといったメジャーなものに加えて、ルーレットも置いてあるようだった。

見渡すと、客入りは10代の子どもが多い。

ラインナップを見るに、店としては特別その年齢層を狙っているわけではないのだろう。

時間帯によるもののようだ。


女「……あれ、ひょっとして競馬?」

女「ゲームがあるんだね、ああいうの」

女「ん、『ポッ拳』?」


───ポケモンの格ゲー、ということのようである。


女「プレイアブルキャラクターは……なんだ、一撃必殺技使えるようなのはいないんだね」
 ▼ 808 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 01:57:45 ID:u0ocyaJQ [2/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


───いるわけねーぢゃん。


女「だいたい格ゲーなんか無理」

女(反応速度に自信ないもん)

女「……とはいっても、自分の手でポケモンを動かすってのもそうそう無いことだし……ちょっとやってみようかな」チャリーン

女「コントローラーってどう使うんだろ」

女(……まずはチュートリアルだな)カチャカチャ

ピーカーチュウ!



───ざっと操作を把握したので、もう一回遊んでみることにした。


女(今度はシングルプレイでやってみよう)カチャカチャ

女「あっ」

女(操作ミスって店内対戦にしちゃった)

女「……しかたないか」
 ▼ 809 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 01:59:00 ID:u0ocyaJQ [3/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───ふと、視線を感じて隣を見ると、同世代くらいの少年と目があった。

同じゲームをやっているようだが、なぜかほくそえんでいる。

大柄でふとましいからだつきだが……


女(なんか、栗饅頭っぽいな)


───顔を見て、なんとなくそう思った。


女(あ、対戦相手この子なのか)


───得意気な顔を見るに、腕に自信があると見える。

取り巻きとおぼしき少年達がいるのだが、彼らは栗饅頭のヨイショに集中しているようであった。


女(にしてもミスったなぁ……)

女(まぁいっか、やれるだけやってみよう)

女(相手はカイリキーか)

女「よし」
 ▼ 810 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:00:20 ID:u0ocyaJQ [4/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
栗饅頭「へへっ」



───2-1で勝った。


女「ガチャプレイ同然でしたけど、勝てるものなんですね」

女「栗饅頭君はショック受けてるみたいだったので、さっさと退場しました」

女(ビギナーズラックとはいえ、しのびない……ん)

女「『プロフェッサーカワシマの脳トレアーケード』?」

女「1プレイで、チュッパチャ○プス1つ……ノルマクリアで1個追加……正答率9割以上でさらに1個追加」

女「よし」チャリーン



プロフェッサーカワシマ『正答率90%!脳年齢は24歳!スバラシー結果デスネ!!』

女「思ったより出来なかったな」パリパリ

女「ん」パクッ
 ▼ 811 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:01:31 ID:u0ocyaJQ [5/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───開けた空間に、大がかりなゲーム筐体が置かれている。

筐体、と呼ぶには、いささかアナログ感が強いが。

高さはだいたい2m強くらいだろうか。

チカチカと明滅するランプがうっとうしい、目盛りの刻まれたプレートがそびえ立っている。

頭頂部にゴングが据え付けられており、プレート前面の基部を叩くとおもりが打ち上げられ、ゴングを打ち鳴らす仕組みになっているものだ。

装飾は西部劇チックな意匠となっている。


女「ハンマーゴング……」ジト

マッチョ「さあさあさあ!今日だけの特別イベント!ここに設置したハンマーゴングをブッ叩いて、ストレスを発散しよう!」

マッチョ「打ち上げられたおもりがゴングを鳴らしたら、豪華景品をプレゼントだ!!」

女「……うわぁ」

女「私、ああいうの嫌い」

女「なんかイースタンかぶれで、そしてただのちからずくでしょ?」

女「そのくせ、ああいうのって絶対届かないようになってるんだから」

女「お近づきになりたくない」
 ▼ 812 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:03:24 ID:u0ocyaJQ [6/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マッチョ「今なら、ポケモンの挑戦も受け付けているぞ!!」

女「」アメナメナメ

マッチョ「景品は、UFOキャッチャーのぬいぐるみ引換券と……」

女「」チュッパチャップス

マッチョ「シャラサブレの詰め合わせだぁ!!」

女「」パキッ







オノノクス「バオォンッ!!」メキャアッ

カーン!!

モブ「147属チョップ……こいつはグレートですぜ」

マッチョ「」

マッチョ「……持ってけ、強盗」

少年「おぉー……」
 ▼ 813 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:05:02 ID:u0ocyaJQ [7/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「」サクサク

オノノクス「」バリバリ

女「シャラサブレを食う人」

オノノクス(シャラサブレを食うドラゴンタイプ)


───が、ベンチに並んで腰かけている。

目立つ。


女(ぬいぐるみ引換券、なんとなく交換しちゃったけど……)

女(正直かさばるしいらない)

ジュペッタぬいぐるみ「」

オノノクス(チョイス)

女(ハンマーゴング、オノノクスがチョップしたら壊れちゃったみたいで、業者さんがやって来て修理してる)

女「」サクサク

少年「」チラッ

女(なんかさっきからこっち見てる子がいる)
 ▼ 814 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:06:22 ID:u0ocyaJQ [8/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「!」

少年「」コホン

少年「やぁ!」

女「……こんにちは」

少年「ちょっといいかな?いや、ほんとちょびっとの時間でいいんだけど」

少年「ちょぉっとその、ね。聞いてもらいたい話があるんだ」

女「ちょっと?」

少年「ホントに大したことじゃないんだ、そう……いや、俺的には重大なことなんだけど、ホラ、旅人さんからしたらほんともう……ちょっとしたことだからさ」

女「何が言いたいの?」

少年「ちょっとその……ね?」

少年「助けを借りたい」

女「」ングッ

女(やだって即答しそうになった。いかんいかん)

女「……どういうこと?」

少年「あっ、うん。このまま話すのもやぶさかじゃないんだけど……座ってもいいかな?」
 ▼ 815 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:07:30 ID:u0ocyaJQ [9/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「うん、いいけど」

少年「ホント?助かるよ」


───彼女は少年に、オノノクスをはさんで座ってもらおうとした───が、彼はそれより早くずい、と並ぶように腰を下ろし、彼女はそれに押されるようにオノノクスに寄った。

そうして、オノノクスと少年に挟まれるような形の着席になってしまったのであった。


少年「俺の友達に、ガキ大将みたいなヤツがいるんだ」

少年「大柄で、がさつで、横柄で。もう、ホントガキ大将を絵に描いたようなヤツ」

少年「ホラ、俺、こう細身じゃん?」

少年「力じゃもう、かなわないわけ。でもさ、ポケモンバトルだったら別なわけよ」

少年「割と、いい勝負……てかぶっちゃけ俺の方が強かったわけ」

少年「だけどあいつ、強いポケモン手に入れてさ」

少年「それでどっこいどっこいになったのはいいんだけど、調子にのって賭けバトルをしかけてきたんだ」

少年「負けた方は、ポケモン1匹を相手に差し出す……つってさ」

女「えぇ?」

女「どうして断らなかったの?」
 ▼ 816 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:08:42 ID:u0ocyaJQ [10/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「いや、俺だってそうしようとは思ったんだよ?コレホント。でも、無理矢理やらされちゃってさぁ」

少年「それにそれに!俺が勝ってもあいつのポケモンをとろうとは思ってなかったんだよ!」

少年「だって当然だろ?いちポケモントレーナーとしちゃあさ、ここで一発チャキっと勝って……賭けバトルなんて間違ってるんだ!」

少年「……って、ガツンと言い放つもんだろ?」

女「いや、そこは戦う前に言わなきゃダメでしょ」

少年「そんなのただの臆病者ってとられるだけだ!負けたくないからそう主張すんだ、って」

女「でも負けたんでしょ?」

少年「いやぁ、途中まではよかったんだよ?ウルガモスのように舞い、スピアーのように刺す!って感じでさ」

少年「負けたのはほんの少し……そう、運がなかったからだ。勝利の女神が微笑んでくれなかったからさ」

少年「ほら、そういうときってあるでしょ?」

女「は、はぁ……」

女(男の子の事情ってめんどくさいな)

女(そして、この説明を聞けば、おのずと私に頼みたいことも察しがつく)

少年「頼むよ。相棒を取り戻すために、君の力を借りたいんだ」

女「なんで私?」
 ▼ 817 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:10:28 ID:u0ocyaJQ [11/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「そりゃもう、なんたってそのオノノクスのパワー!」

少年「見てよ!さっき君がシャラサブレもらってから、あのハンマーゴングずっと修理中だ!」

少年「ポケモンの力にも対応してるあのハンマーゴングを、余裕で壊すくらいの力があるなんて、ただものじゃないよ!」

少年「きっと、超強いオノノクスなんだろ?」

オノノクス「」フフン

女「この子、調子に乗りやすいから、あんまりべた褒めしないでもらえる?」

オノノクス「」

少年「君ほどのトレーナーの腕があれば、絶対勝てるから!」

少年「頼む、このとーり!」ドゲザ

女「ちょ、ちょっとやめて!土下座なんてしないでよ!」

少年「頼みます!神様!仏様、お代官様!」

少年「俺の相棒を取り戻してください!」

女「わかった!わかったから頭上げて!お願いだから!」

少年「戦ってくれるの?」

女「やるよやるから!今お客さん達こっち超見てるの!恥ずかしいから頭上げて!ホントに!」
 ▼ 818 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:11:22 ID:u0ocyaJQ [12/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「あいつゲーム好きでさ。よくこのゲーセンにいるから、すぐ会えるよ」

女「……ガッデム」ボソッ

少年「なんか言った?」

女「何も」

女(結局バトルすることになった)

少年「」ゴキゲン

女(るんるんやし……調子いいなあ)

女(てか、この店結構広い)

女「あの金網で囲まれたエリアは何?」

少年「バトルスペースさ。俺もよく使うよ」

女「あそこでポケモンバトルするの?」

少年「フットサル出来そうだよな。でもやめとけよ。店長あそこでポケモンバトル以外のことするとキレるから」

女「やった人はいるの?」

少年「モノポリーやった奴が出禁になったよ」

女(変な店)
 ▼ 819 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:13:05 ID:u0ocyaJQ [13/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───客も経営者も、だ。


少年「……いた」

女(あれ、ここって)

少年「いつもああやってポッ拳やってんだ。あいつゲームは強いからさ」

女「あっ」

栗饅頭「あ」

女(も、もしかして……)

栗饅頭「お前は、さっきのハメ女!」

女「ハメ女!?」カァッ

少年「あれ?なに?知り合い?」

栗饅頭「そいつ、俺の攻撃全回避して勝ちやがったんだよ!」

女「全部じゃないよ。後半だけ」

女「てかハメてないよ」

栗饅頭「あの避け倒しはもはやハメだろうが!」
 ▼ 820 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:14:08 ID:u0ocyaJQ [14/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
栗饅頭「2ラウンド目以降全部だぞ!全然攻撃できなかった!この俺が!!」

女(1ラウンド目でカイリキーの技と、この子の癖をざっくり覚えて、それをメタりながら戦っただけなんだけどな……)


───"だけ"のつもりでやっているのだから、彼女の感覚はだいぶおかしい。

とはいえ、対策されているのにも関わらず、自分の得意技に執着した栗饅頭君にも問題はあるのだが。


栗饅頭「勝ち逃げなんてさせねぇぞ!もう一回勝負しろよ!」

少年「まままま。待ってよ、ちょいちょい」

栗饅頭「なんだよ」

少年「ゲームはいつでもできるでしょ?だからちょっとさぁ、その前ポケモンバトルしてもらえないかな?」

少年「当然賭けバトルで!」

栗饅頭「お前またか!しつこいなぁもう」

女「じゃあ、取ったポケモン返してあげればいいじゃない。しつこい目に遭わなくてすむよ」

栗饅頭「それはいやだ」

少年「俺もやだ」

女「なんでさ」
 ▼ 821 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:15:37 ID:u0ocyaJQ [15/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
栗饅頭&少年「「男らしくねぇ」」

女「そこは見解一致するのかよ」

栗饅頭「てか、なんでお前が俺らの事情知ってんだよ」

少年「よくぞ聞いてくれた!」

少年「彼女は旅のトレーナー!シャラサブレをかじっていたところ、偶然にも俺の境遇を知り、俺のポケモンを取り戻そうと奮起してくれたのさ」

女「語り聞かせてきたの君じゃない」

少年「しっ。今交渉中なんだ、俺に任せてくれ。安心して。うまくやるから」ヒソヒソ

女「不安しかない」ボソッ

少年「彼女と勝負してもらおうか!」

栗饅頭「……お前はもう戦わねえの?」

少年「お前に巻き上げられすぎてポケモンがいない」キリッ

栗饅頭&女((なさけねぇ……))

栗饅頭「まぁいいぜ」

栗饅頭「俺、お前には借りがあるし……リベンジしたいと思ってたしな」

女「ゲームじゃなくていいの?」
 ▼ 822 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:16:30 ID:u0ocyaJQ [16/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
栗饅頭「トレーナー修行の旅してる奴とのバトルだぜ?ゲームよりそそるじゃねえか」

栗饅頭「ゲームでもリベンジするけどな」

女(ですよねー)





 ▼ 823 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:17:28 ID:u0ocyaJQ [17/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



───金網エリアに戻ってきた。

入ってみると、地面に引かれた線はきちんと直線に書かれ、角もしっかりと直角に作ってあった。

しかもポケモンの動きやすさを考慮してか、他の区画と違い、床面は砂が敷き詰められている。

フィールドを囲う金網も傷や汚れこそ多いが、破損している箇所はなく、丈夫な作りになっていることがうかがえた。

金網の周囲2m以内にギャラリーが入らないよう、柵も設置してある。

個人製作にしては、なかなかどうして本格的であった。


女「ちゃんとバトルフィールドしてる……」

栗饅頭「店長は脳みそまで筋肉で出来てそうな見た目だけど、几帳面で細かいのさ」

女(変な店)


───5分ぶり2回目。


栗饅頭「行け!ガブリアス!」

ガブリアス「バウゥン!」
 ▼ 824 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:19:54 ID:u0ocyaJQ [18/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「……」パシュン

図鑑『ガブリアス。マッハポケモン。身体を折り畳み翼を伸ばすと、まるでジェット機。音速で飛ぶことができる。』

女(素早いポケモンなのか)

少年「気を付けろ!そいつに俺は負けたんだ」

栗饅頭「こいつは俺のおじさんが捕まえたんだ!シンオウリーグのチャンピオンも使ってるポケモンなんだぜ!」フンス

女(なるほど、強いポケモンでらっしゃるのか)

ガブリアス「」ドヤァ

オノノクス「ガフゥ」

栗饅頭「お前のポケモンはそいつでいいのか?」

女(正直ラプラスでいきたいけど、あの子はオノノクスを見て私に声をかけてきたんだから、他のポケモン使ったら不安にさせちゃうかも)

オノノクス「がう?」

女「それに、チャンピオンが使ってるポケモンだからって、あなたが劣ってるってわけじゃないもんね」ボソッ

女「あなたなら勝てる……でしょ?」

オノノクス「」コクン
 ▼ 825 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:21:01 ID:u0ocyaJQ [19/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───もちろん、とばかりにオノノクスはうなずいた。


ガブリアス「」フン

女(あからさまに見下されると、ちょぉっとイラッとしちゃうよなぁ)ニヤァ

オノノクス(女の子がしてはいけない笑顔をしちゃってんじゃんよ)

栗饅頭「あいつから預かってるポケモンは3匹だ」

栗饅頭「だから、お前にもポケモンを3匹賭けてもらうぜ」

女「は?」クルッ

少年「」

女「聞いてないんだけど!」アセッ

少年「だ……」

少年「大丈夫!」

女「何が?」ピキッ

少年「君なら勝てるよ!絶対!」

女「」
 ▼ 826 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:22:45 ID:u0ocyaJQ [20/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「……悪いけど、降りる」

少年「ちょっ、待って待て待て待て待って!」ダダダダダッ

女「……」

女「私はてっきり、ただバトルして勝てばあの栗饅頭君が君のポケモンを返してくれるのかと思った」

少年「え?栗饅頭って誰」

女「私まで賭けバトルやらなきゃいけないなんて聞いてないよ?」

少年「そ、それは、悪かったと思うよ。俺が至らなかった、ゴメン」

少年「でもさぁ、フツーそこはフィールで納得じゃない?」

女「は?」

オノノクス(うわ、マジで怒ってる)

女「……バカじゃないの」

女「賭けバトルとか、男らしいとか、らしくないだとかみっともないとかそんなのばっか気にして……」

女「君達気づいてないかもしれないけどとっくにみっともないよ?」

少年「」ウエッ

栗饅頭「あ゙あ゙!?」
 ▼ 827 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:23:42 ID:u0ocyaJQ [21/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「片や、"おじさんにつかまえてもらった"強いポケモン見せびらかしていい気になってる」

女「片や、自分が勝負にも交渉にも勝てないから、"強そうなトレーナー"に頼って自分の過失をうやむやにしようとしてる」

女「甘ったれた子ども感丸出しの2人!」

女「恥ずかしくないの?」

栗饅頭「」

少年「」

女「」カァアア

女(あぁーあぁあもう、恥ずかしいのはこっちだよ!!)

女(なんでこんなお子様2人にマジギレして説教までしちゃってんの?なんで私こんなとこにいるのバカなの?)ジコンケンオジコケンオー

オノノクス「」オーヨシヨシヨシー

栗饅頭「……もういいぜ。あったま来た」

女「はい?」

栗饅頭「お前、ポケモン賭けなくていいよ。そんなに負けるのが怖いんだったらな、それでいい」

栗饅頭「俺が負けたら潔くそいつにポケモン返してやるよ。で、俺が勝ったら───」

 ▼ 828 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:25:03 ID:u0ocyaJQ [22/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






















栗饅頭「俺をガキ呼ばわりしたことを撤回しろ」

女「その主張どう転んでもガキじゃん何言ってんの」

オノノクス「」アッ

栗饅頭「」プッツーン
 ▼ 829 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:26:00 ID:u0ocyaJQ [23/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オノノクス(どっちもこどもっぽい……)

栗饅頭「ぜってー撤回させてやる、覚悟しろ」

栗饅頭「俺を怒らせたお前が悪いんだ」

栗饅頭「俺は最強なんだ!お前の不細工なオノノクスなんかドラゴンダイブでぶっとばしてやる!」

女「……オノノクス、ごめん」

女「ちょっと指示粗っぽくなるかも」

オノノクス(ガブよりも※※※※※ちゃんが怖いんだけどぉ……)

栗饅頭「いけ!ガブリアス、ドラゴンダイブだ!!」


───高く跳び上がったガブリアスは、オノノクスめがけて突っ込んでいく。

身体を折り畳み、可能な限り空気抵抗を減らし、重力加速で衝突エネルギーを高めていきながら。

それを───


女「ハサミギロチンで迎撃」

オノノクス「」ガッキッ

栗饅頭「!?」
 ▼ 830 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:27:20 ID:u0ocyaJQ [24/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

───牙を最大まで開き、真正面から迎え撃つ姿勢に入るオノノクス。


栗饅頭「やっ、ヤバい!」

栗饅頭「ガブリアス!突っ込むな!」

栗饅頭「やられる!」

ガブリアス「ッ!」グッ


がつん!という鉄塊を炸薬で打ち合わせたような音の直後、被さるように、ずどん、というにぶい衝突音が響く。

砂ぼこりと突風を金網の外にまで撒き散らした2匹のポケモンはしかし。

どちらも無傷だった。


栗饅頭(なんとかかわした)

栗饅頭(ガブリアスがすんでのところでかわしたんだ)

栗饅頭(ドラゴンダイブは当てられなかったけど───だけどあれはヤバい)

栗饅頭(あのまま突っ込んでたら食らっていた!!)
 ▼ 831 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:28:38 ID:u0ocyaJQ [25/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「」アワワワワワワ

栗饅頭「ガブリアス!牙を避けながら、ドラゴンクローで削るんだ!」

栗饅頭(オノノクスよりもガブリアスの方が素早い。スピードで撹乱しながら、少しずつダメージを与えていこう)


───先程と違い、猪突猛進にではなく、ガブリアスはオノノクスに対して正面の位置を避け、側面に飛び込んでドラゴンクローを当てていく、という戦法を取り始めた。

実際、オノノクスよりもガブリアスの方が素早いようで、オノノクスはガードをしながらではあるが、ドラゴンクローをチクチクと食らう展開になっている。

そして、攻撃を食らわせようとしたときには、ガブリアスは間合いの外に引いている。


女「だよね」

女(やっぱり素早い……体重の差によるものかな)

女(といっても精々10kg程度だろうけど)

女(やっぱりオノノクスが牙を出しづらい状況───ハサミギロチンを警戒した立ち回りになってる)

女(それでいい……それで、後は)

女(オノノクスならやってくれる)

栗饅頭「へっ。ハサミギロチンさえ警戒してれば、大したことないじゃんか」ボソッ

栗饅頭(やっぱりガブリアスは強ぇ。チャンピオンが使うポケモンなのは伊達じゃない)
 ▼ 832 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:29:48 ID:u0ocyaJQ [26/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
栗饅頭(ヘボっちいオノノクスなんて、俺の敵じゃねえんだよ!)

ガブリアス「」ザッ

オノノクス「!」

栗饅頭(勝った!)

栗饅頭「行けぇ!とどめのドラゴンクローだ!」


───振り抜かれたドラゴンクローはしかし、オノノクスの体に届くことはなかった。


オノノクス「」ガシッ

ガブリアス「バオン!?」

少年「後ろ手で、ガブリアスの腕を掴んだ……!」

オノノクス(右側にばっか来すぎ)

栗饅頭(やばい、ハサミギロチンが来る!)

栗饅頭「ガブリアス!牙に気を付けろ」

女「ダブルチョップ」

栗饅頭「えっ」
 ▼ 833 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:30:59 ID:u0ocyaJQ [27/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
どごっ、ばきっ。


───空いた左手で2度。

オノノクスはガブリアスの脳天めがけ、チョップを叩き込んだ。


ガブリアス「」クラァ

女「もう一発」

がすっ、めきっ。









ガブリアス「」死ーん

オノノクス「オオオオオン!!!」

女「……ふぅ」

女「ありがとう、オノノクス」

女「やっぱり君は、超強いよ」
 ▼ 834 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:35:05 ID:u0ocyaJQ [28/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


───オノノクス。

彼は、※※※※※の旅の行程で、露払いの役割を担うことが多い。

コータスやラプラスなど、鈍重なポケモンが多い彼女の手持ちの中で、そこそこの素早さと、高水準の物理火力を有している彼は、消耗を最小限に押さえつつ、野生のポケモンも、野良トレーナー戦もクリアすることができるからである。

それゆえに、戦闘の機会は手持ちの中でダントツであり、実戦経験は多岐にわたる。

その経験量は既に、彼女の手持ちで2番目の古株であるムクホークを優に越えていた。

ムクホークも同じ系統のバトルスタイルだったが、何せインファイトやブレイブバードなど、身を削りながら戦うのが常習化しているので、ここぞ、という場面以外では温存されることが多いのだ。

つまるところ。

ガブリアスはレベル差で倒した、ということである。








栗饅頭「ほらよ」ムスッ
 ▼ 835 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:36:34 ID:u0ocyaJQ [29/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少年「おっほっほぉ!!サンキュ!!」

栗饅頭「……くっそ」


───栗饅頭君はどうも、この結果に釈然としないものを感じているようだった。

なので、文句や罵詈のひとつやふたつ、出てくるのもおかしくはなかった。


栗饅頭「別に、俺が負けたのはお前が強かったからじゃない」

栗饅頭「お前のオノノクスが強かったからだ」ジロッ

女「?」

女「そうだね」

栗饅頭「……は?」

栗饅頭「なんで怒らないんだよ」

女「え?なんで怒るの?」

女「私じゃなくて、オノノクスが───トレーナーじゃなくて、ポケモンが強いから、バトルで勝つことができるんじゃない」

女「"私達"がするのは、ポケモンの手助けでしょ?」

栗饅頭「な、なんでだよ」
 ▼ 836 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:38:01 ID:u0ocyaJQ [30/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
栗饅頭「俺たちがしてるのは命令だろ!なんで手助けなのさ」

女「?」

女「だって私、オノノクスによく助けてもらってるもの」

女「オノノクスだけじゃないよ。手持ちのみんなにたくさん、もう、本当にたくさん助けてもらってるんだから」

女「だから私も、この子達に返さなきゃ」

女「感謝してるから、行動で報いたいんだよ」

女「君だって、そうじゃないの?」

栗饅頭「」

栗饅頭(……違う)

栗饅頭(俺は、ポケモンを"使ってた"だけだ)

栗饅頭(自分勝手に)

栗饅頭「」

女(なんか、黙りこんじゃった)

女(どうしたんだろう)

栗饅頭「……なぁ」
 ▼ 837 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:38:59 ID:u0ocyaJQ [31/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「?」

栗饅頭「お前、どうやって返してんの?」

栗饅頭「どう、行動してるんだよ」

女「」パチクリ

女「」ウーン

女「お菓子一緒に食べる、とか」

女「コンディションに注意する、とか」

女「身体を洗うの手伝う、とか」

女「バトルする時に、できるだけ怪我しないように指示する、とか」

女「できるだけ、おいしいものを食べられるようにする、とか」

女「……意外と大したことしてないかも」

栗饅頭「」ポカン

栗饅頭「ハッハッハッハ!」

栗饅頭「なんだそれ!フツーじゃん!」アハハハハ

女「やっぱり?」
 ▼ 838 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:41:23 ID:u0ocyaJQ [32/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
栗饅頭「……うん、わかったよ。サンキュ」

女「ど、どういたしまして?」

栗饅頭「次は負けねぇ」

女「」ニコッ

女「次も負けねぇ」

少年「」ニコニコ

栗饅頭「てかお前、これに懲りたら調子にのって変なバトルふっかけるの、もうやめろよな」

栗饅頭「みんなも迷惑してんだからさ……」

女「……え?」

少年「うええ!?な、なに言ってんだ兄弟アハハハ変なこと言うなよ」

少年「まぁそれはさておき旅人さん、本当にありがとな!忙しいところ本当に申し訳ない」

少年「ささ。旅を急ぐんだろ?ヘイ!ゴーゴーゴー!ハリアー」

女「待って」

少年「イヤイヤイヤ!こいつの言うことなんか真に受けんなよ!ジョーク!軽口さ!テキトーかましてるだけだってもー!」

少年「君ったら、お茶目」
 ▼ 839 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:43:39 ID:u0ocyaJQ [33/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女「黙って、黙って!」

少年「」

女「……賭けバトルをふっかけたの、彼なの?」

栗饅頭「?」

栗饅頭「そうだよ。こいつ、仲間内じゃバトルに勝てるからって、最近天狗になってんのさ」

栗饅頭「そんで、俺がガブリアス手に入れたの知ってから」

栗饅頭「俺とバトルしたかったら、手持ちのポケモン賭けろよ、とか言いだしたんだよ」

栗饅頭「そのうち、俺はいいって言ってるのに、しつこく賭けバトルをしてもいいしてもいいって食い下がってきたんだ」

女「あんまりしつこいから、受けた」

栗饅頭「そう。んで、俺が勝ったからポケモンもらった」

女「……」

栗饅頭「……」

少年「いや、こ、これはさ……そのぉ、ちょっとした誤解というか……そう、誤解!誤解なんだ!聞いてくれよ、俺ってばなかなか」

女「最低」
 ▼ 840 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/04/27 02:46:47 ID:u0ocyaJQ [34/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュペッタのぬいぐるみは栗饅頭君にあげた。

ポッ拳再戦したら、普通に負けた。



『ゲーセンとシャラサブレと賭けバトル』終わり。
 ▼ 841 ヤッキー@ながながこやし 16/04/27 03:22:13 ID:SNsEABwU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジコケンオー

支援!!
 ▼ 842 ッシード@パワーベルト 16/04/27 23:58:29 ID:VPqmdIVs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!!!
 ▼ 843 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:41:46 ID:hlqCsSbg [1/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女(人が倒れてる)

女(天井から落ちてきた瓦礫が頭に当たったようで、意識がないのか起き上がりません)

女(彼女のポケモン達がボールから出てきて、必死に呼びかけています)

女(でも、彼女はぴくりとも動きません)

女(脳挫傷で即死……そんなところでしょうか)

女(こんな人気のないところで……)

女(不憫だな)

女(カバンから旧式のポケモン図鑑が落ちてる)

女(青いパーカーと、白いキャスケット)



女[なんだ、私か]



───とある町で、ホラースポットの噂を聞いた彼女は、そこに立ち寄ることにした。

そもそもから、廃墟だとか、寺社仏閣、遺跡といった、長い時間を帯びた建造物に興味がある女の子である。

ミーハー根性もあいまって、そちらに足を伸ばしてみようと考えるのは当然のことだった。
 ▼ 844 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:42:47 ID:hlqCsSbg [2/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
件の場所は郊外の洋館。

立ち入った人間は館の主の亡霊にとらわれ、誰も帰ってこない。

噂はそんなものだった。


女[まさか、だよな……]

女[こんな風に死ぬなんて]


───倒れている"彼女"を揺り起こそうとするポケモン達は、誰一人としてこちらに気づかない。

見えていないのだ。


女[幽体離脱、か。本当にあるんだね]

女[本当にそうなのか、幻覚で見ているのかはさておき]

?「へぇ、ずいぶん落ち着いてんだね」

女[!]

女[君は誰?]

船主「僕は船主だよ」
 ▼ 845 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:44:06 ID:hlqCsSbg [3/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
船主「迷える魂の水先案内人」

船主「いわゆる死神と同じものと思ってもらっていい」

女(死神て)

女[案内って、どこに連れていくの?]

船主「そりゃ当然、あの世さ」

女[は、はぁ]

女(幻覚にしろ、ガチ死亡にしろ、ついて行った方がいい……のかな)

船主「」テクテク

船主「この扉だ」

女[廊下の突き当たりでそんなこと言われましても]

船主「」ガチャリ

船主「ね?」

女[]


───そこには、何かしらの部屋があるはず、なのだが。
 ▼ 846 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:45:35 ID:hlqCsSbg [4/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
船主が開けた扉の向こうには、砂浜が広がっていた。

そして、夕日に染まった見渡す限りの水平線───と思ったそれは、よく見ると違っていた。

ゆらゆらと揺れているのは水ではなく、全て───すべて炎だった。

おぼろげに、静かに燃えている。


女[何、これ]

船主「火に決まってるじゃない」

船主「でも大丈夫。舟は燃えないさ」ガタゴト

女[燃えない……って]

女(何この舟)

女(金属でも、木でもない。ましてや、樹脂とか不燃性の化学物質なんてものじゃあ、断じてない)

女[一体何で出来て……]

船主「さぁ、乗って乗って」



女[漕がなくていいの?]
 ▼ 847 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:46:31 ID:hlqCsSbg [5/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
船主「ああ。僕が乗るだけで進むのさ」

女(この舟といい、この火の海といい、普通なことが何一つない)


───火の海に手をかざしてみると、熱くもないが、冷たくもない。

ただ、何故かじんわりと痛みを感じるのだが。


船主「燃えると熱くないけど痛いよ。引っ込めな」

女[]ビクッ

船主「さて、目的地に着くまではひまだから」

船主「君の人生について話してもらおうかな」

女[……]

船主「今更、かくしごとしても意味なくない?」

女[……それも、そうだね]


───どうせもう、死んだのだし。

幻覚かも、という考えを捨てたわけではなかったが、隠し通す必要はないかな、とも思ったので。
 ▼ 848 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:47:28 ID:hlqCsSbg [6/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
彼女は話した。

自分がどうして旅をしているのか。

ポケモン達とどのように出会ったのか。

どんな人に出会い、どんな思いをしたのか。

何を見るのが好きで、何を見ると嫌悪感を覚えたか。

正直に、話した。


船主「ふぅん」

船主「割とおもしろい人生送ったね」

女[ここ最近は幸せだったと思う]

船主「後悔ないの?」

女[後悔って]

船主「だってそうでしょ」

船主「"長くは生きられないって自覚があった"にしても、君は子どもだもの」

船主「後悔なんて、あって当たり前なんだよ」
 ▼ 849 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:48:29 ID:hlqCsSbg [7/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
船主「なのに、こんなもんだ、と諦めているなんておかしい」

船主「まぁ」

船主「君が死を自覚してないってだけの話なのかもしれないけれど」

女[!]

船主「あ、やっぱりそうなのか」

船主「だったら、それはそれでしかたないことだ。割とよくあるし」

船主「でもね。いいかい」

船主「君は確かに死んだんだ」

船主「幻覚かも、なんて思っているなら申し訳ないけれど」

船主「君が死んだのは、残念ながら現実」

船主「ここはそういう、気持ちの整理をつける場でもあるんだ」

船主「で、君はどうなの?」

船主「悔いはない?」

女[……うーん]

女[そりゃ、きっと長くはないんだろうなぁって思ってたけど]
 ▼ 850 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:51:27 ID:hlqCsSbg [8/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女[まさかこんな形で、それもあっさり死ぬなんて思ってなかったからな……呆気に取られてるってのはあるんだと思う]

女[でも、辛いこととか苦しいこととか、ここ最近はなかったし]

女[むしろ、楽しいことの方が多かった]

女[旅をして、美味しいもの食べて、変な人や素敵な人に出会ったりして]

女[仲間と───ポケモン達と出逢えたのも、幸せなことだった]

女[ムクホークは、意地っ張りだけどいつも本気で。私なんかのことを好いてくれてた]

女[ラプラスは、静かに物事を見てて。いつでも平静で。でも、いつもこっちの気持ちを汲み取ってくれた]

女[オノノクスはお調子者だけど、すごく頼りにしてた。力強くて頼もしくて、あの子に助けられることもしょっちゅうだった]

女[ドリュウズは、私がポケモンにされたとき、出会って間もないのに、親身になって、支えてくれた]

女(そういや、よくわからん訛りで喋ってたな)

女[シザリガーはちょっとものぐさだよね。コワモテだし、すぐサボる]

女(でも、兄貴肌でもある)

女[コータス]

女[……色々ありすぎて、いちいち思い出せないや。マイペースだし、性格悪いし、すぐ余計なことする]

女[あんまり……あんま、り]
 ▼ 851 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:52:09 ID:hlqCsSbg [9/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告




























女[……違うや。大好き]
 ▼ 852 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:53:07 ID:hlqCsSbg [10/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女[あーあ、幸せだなぁ、もう]

女[やっぱり……後悔なんてないよ。私は、しわっ]ジワ

女[幸せ、やし]ポロポロ

女[あー、良い人生っ……だった、なぁ]ボロボロボロッ

船主「」

船主「その涙は、嬉し泣きじゃあないよね」

女[あはは、バレ……ちゃった]

女[……嫌だなぁ]

女[やっぱり、うん]

女[まだみんなと、旅をしたかった]

女[それに、大人になって……みたかった]

船主「でしょ?」

女[あの子が見たがってたもの、全部見たかった]

女[あの人に胸を張れるような、立派な人間になりたかった……]

女[ああ、私は……]
 ▼ 853 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:54:32 ID:hlqCsSbg [11/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女[もっと生きたかった……]

女[もっと生きて……みたかったなぁ]























船主「うけけっ」

船主「うけけけけけけっ」
 ▼ 854 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:55:37 ID:hlqCsSbg [12/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
船主「うけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ」
 ▼ 855 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:56:59 ID:hlqCsSbg [13/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
───笑っていた。

顔を歪め、口角がつり上がり、心の底から愉しくてたまらない───

嬉しくてたまらない、とばかりに。

呆然としている彼女をおいてけぼりにして笑い続けて、突然押し黙った。


船主「これが君の無念か。いい。いいねぇ」

船主「君の魂は、とぉってもおいしそうだ」

船主「大人になることなく死を迎えた子どもの命!魂!無念と絶望と、後悔がしたたるそれを無惨に食い散らかせるのだと思うと、あぁあああああ……たまんないねぇ……!!!」ブルブルブルッ

船主「君は最高のごちそうになりそうだよ」ニタァ

女[]ゾクッ

船主「あれが見えるかい?」

女[扉?]


───火の海の向こうに、巨大な門扉が立ちはだかっている。

そしてそれは少しだけ開いていて、うっすらと向こうの光景が見えた。
 ▼ 856 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:57:47 ID:hlqCsSbg [14/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女[何、あれ]

船主「あれはあの世の扉なんかじゃないよ」

船主「君の魂をむさぼりたくてしかたない、怨霊どもの吹き溜まりさ」

船主「君のような無念に満ちた魂を食って、取り込んで、その身の一部にして、また他者の魂を食らい続ける」

船主「永遠に満たされず、永遠に渇望し続けて、ただただ苦しみ、怨嗟の渦中で他者の味を求め続ける───」

船主「永遠に報われない、救いのない、終わりの場所だ」

船主「僕にとって、あれは漬物みたいなものでね。定期的に中身を足してやらないと、おいしくなくなってしまう」

船主「だから、君のような旅人がのこのこやってくるのを、こうして収穫し、継ぎ足しているというわけさ」

女[]ゴソッ

船主「逃げられないよ」

船主「見ればわかるだろ?周り一面火の海だ。これはこれで、魂を燃料として存在しているものでね」

船主「だが同時に、魂というのは燃え尽きないからさ。必要だけど、足しは要らない」

船主「痛くて苦しいのがお好みなら止めないけどねぇ」ウケケケケ

女[……死神ってのは嘘なのね]

女[あなたは、何者?]
 ▼ 857 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 14:58:48 ID:hlqCsSbg [15/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
船主「僕のことを、君たちはシャンデラと呼ぶ」

シャンデラ「でも僕、君たちの知ってるような有象無象と違って特別なんだよねぇ」

シャンデラ「誰とでも、どんなものとでも意思の疎通ができるし、燃えないものでも燃やせるし、何より何者よりも冴えてる」

シャンデラ「君たちが恐れて出来ないようなことを、僕は平然とできる。それも楽しみながらね!」

シャンデラ「というか、楽しんで、進んでそれをするのが僕の性質さ」

シャンデラ「踏みにじって食べずにはいられない、それが僕なのさ」

シャンデラ「まぁ特別な分、特殊なものを特別大量に食べなきゃいけないんだけど、こうやって、現世と冥界の隙間にキッチンを用意することができるし」

シャンデラ「食材調達も要領よくやってるしぃ」

シャンデラ「困ってないよねぇ!」ニタァ

シャンデラ「さぁごちそうちゃぁん」

シャンデラ「君はどんなお味になるのかなぁ」ジュルリ

女[何でもいい……けど]

女[あなた……すっ───ごく]

女[頭悪そう]

シャンデラ「あはぁ」
 ▼ 858 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 15:00:05 ID:hlqCsSbg [16/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シャンデラ「震えているねぇ」

シャンデラ「虫の抵抗が無惨すぎてそそる」ジュルッ

女(ヤバい)

女(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい)

女(確か、ゴーストポケモンの中にはあの世まで魂を連れ去る、なんていうお触書がついてるのがいたはずだけど)

女(あの世風キッチンに招待するようなのなんていなかった)

女(どうにかしてこの舟を降りないと、ディナーになっちゃう)

女(降りて)

女(降りて……どうするんだ)

女(私がもう死んでいるのなら、ここを脱出できたからって、コータス達に会うことは出来ない)

女(あぁ、もう!)

女(会いたい。みんなに、また)

女(もう一回だけ顔が見られたなら、どんなに心強いか!)

女(会いたい、会いたいのに!)

女(どうしたらいい!?)
 ▼ 859 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 15:00:56 ID:hlqCsSbg [17/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
女(どうしたら……ッ!)

シャンデラ「はぁ?何?それ」

女[?]


───シャンデラが自分の胸元を凝視しているのにつられて、視線を落とすと。

ちょうど心臓の辺りで、小さく火が揺れている。


女(何これ)

女[暖かい]

女「!」

女[わからないけど……聞こえる]

女[……みんなが私を呼んでる]

女[早く、帰らなくちゃ]スック

シャンデラ「こ、ここまで来て、帰れると思うのかい?」

シャンデラ「周りは火の海。戻る道は元より無い」

シャンデラ「君には燃料になるかご馳走になるかのふたつにひとつしかないんだ」
 ▼ 860 ャラサブレイーター◆y9k2BHg7Kg 16/05/04 15:02:11 ID:hlqCsSbg [18/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シャンデラ「うけっけけけけ」

シャンデラ「うけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ」

女「そんなことないよ」

女「私にはこの火がある」

女「コータスがくれた火。皆と繋がってる」

女「あとは私が、目を覚ますだけだ」



女「」ハッ

コータス「あ、起きた」

女「私……今」

コータス「瓦礫が落ちてきたから、ストーンエッジで払おうとしたんだけど、ちょっと失敗しちゃった」

コータス「大丈夫?」

女「痛つっ」

女(たんこぶになってる……けど、血も出てない)

女「気絶してただけ……?」
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