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【SS】摂理の中の神秘

 ▼ 1 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/07/08 00:01:00 ID:eFtUh1Ow NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンオウ地方の外れにあるこの町。

車を走らせること数時間.....


(・・やっと着いたか・・)


たった今、俺はこの地に降り立った。

俺はカロマ29才、単身フリーでポケモンの生態調査、研究をやっている。

ポケモンは生命の神秘に包まれた謎多き生き物。

生物学、遺伝子工学の面で見ても謎だらけで解明できてない部分が殆どと言える。

そんな謎を少しでも解明すべくこうして活動している。


(・・お前とは随分走ったよな・・・)


思わず自家用車の黒いステーションワゴン相手にそっとそう呟く。

今までこの活動の為にカントー、ジョウト、カロス、アローラなど色んな地方を転々としてきた。
 ▼ 210 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/12 00:00:58 ID:Hh3.8td2 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まさにこの廃墟の家がいい例だ。


そして俺はこの廃墟を探索していた時に気付いていた。

落書きが一つもないことに___

通常こうした廃墟はいたずらによる落書きが一つや二つはあるもの。

また物好きか肝試しのつもりなのか知らないが踏み入る者もいる。

だがこの廃墟は落書きはおろか、最近人が踏み入った形跡すら見当たらなかったのだ。

つまりこの廃墟は人が全く近づかない場所と断言できた。

森の中にあって人目につかないのが要因だろうか。


すなわちドンカラスとヤミカラスはそれを分かったうえでここをアジトにしたと言える。

それほど人目を避けるほど警戒心が強い。

だがそのくせ今回みたいに店や畑を襲って食べ物を奪ったりと悪い意味で人間に干渉してきたりもする。

それらを踏まえると人間とは一定の距離を空けつつも上手いこと間接的に人間を利用する計算高いポケモンと言えた。
 ▼ 211 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/12 12:36:29 ID:pShosViM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
最も悪い言い方すると「図々しい」の一言で片付いてしまうだろうが____


(畑の野菜や木の実を持ち帰ったのはやはりこういうわけか)

ドンカラスに差し出した野菜や木の実は間違いなくあの畑のもの。

この点からボスの為にも悪事を働いているのは明らか。


(・・そういえば今何時だ?)

時計を確認するとすでに夜の12時半を過ぎていた。

(もうこんなか・・)

すっかり真夜中。

調査に夢中になり、時間が過ぎるのを半ば忘れていた。

(ま、でもこれだけ収穫があればこっちのものだ)

悪事の証拠をつかみ、アジトを突き止めたのはかなり大きい。
 ▼ 212 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/12 23:21:17 ID:Hh3.8td2 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まさに大収穫と言える。


(よし、今日のところはここまでにするか)

丁度キリもいい。

俺はここで引き上げることにした。

気配を消してアジトの部屋からそうっと離れる。


ギ・・ギギィ・・ギ・・・


案の定というか、どんなに気を使っても床は僅かにうなり声を上げた。

(この音何とかならないか・・・)

ヤミカラスたちに聞こえるほどではないのは確か。

だがこのうなり声が上がるたびに条件反射でヒヤッとしてしまう。

いつ気付かれるか分からない、油断できないその緊張感から__
 ▼ 213 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/12 23:34:59 ID:Hh3.8td2 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それでも無事廃墟を抜け出す。


(よし、出れた!)

アジトから生還できたと思わずホッとした。

まぁ生還というほどのものではないが。

それでもこの廃墟にゴーストタイプなどがいないのは本当に救いだった。

いたらこんな潜入調査どころか潜入することすら無理だっただろう。

おそらくドンカラスのコミュニティが住み着いていて他のポケモンが近寄りにくいからと思われる。


とそうホッとしたのも束の間___


(あぁ、これがまだだったか・・)

今度はこの夜の森を抜けなければいけない。

家はこの森を抜けた先___
 ▼ 214 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/12 23:50:25 ID:Hh3.8td2 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかも真夜中という一番危険な時間帯。

なぜならこの時間帯が一番ゴーストタイプの活動が活発になるからだ。

だから今までは”この時間帯”は避けてきたのだが___


(ま、なってしまった以上仕方ない)

ここ最近夜の森で過ごして多少だが真夜中の森に対する耐性もついてきた。

俺は今までと同じ感じで森の中で歩みを進めた。

気配を消し、神経を張り巡らせて気を配り、少しでも異変を感じたらすぐ隠れる__

我ながらもはやモノになってきた。


木々という同じような光景で目印となるような目立ったものがないから道に迷いやすい__

これが森の恐ろしいところでもある。

暗い夜ともなればなおさら。

だが幸い俺は普段から携帯しているGPSのお陰で道に迷う心配だけはなかった。
 ▼ 215 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/13 00:25:57 ID:C31o47os [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このGPSは波長の長い特殊電波を用いており、山や森など携帯電話の電波が通じないような場所でも衛星からのGPS電波を受信できる。

しかも0.1秒ごとに常に新しい位置情報を受信してくれる優れモノだ。


そしてゴーストタイプなどに遭遇することもなく無事に森を抜け____

(着いた!・・・)

やっと家に着くことができた。

安堵感から一気に今までの疲れが押し寄せてくるのが分かった。


時計を見るとすでに夜中の1時半過ぎ____

俺はサッとシャワーを浴びると

(・・今日はもういいか)

夕食も取らずそのまま床に入った。

(さて明日は・・・)

寝る前にひとまず床の中で今後の展望と向き合う。
 ▼ 216 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/13 13:23:56 ID:QWMkdXCM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(まずヤミカラスのアジトの場所は町の人たちにも伝えて・・)

一瞬そう考えたが

(・・いやいやダメだ!)

その考えを改める。

なぜなら

(町からそう遠くないあの廃墟を拠点にしていることが皆に知られたらより騒ぎが大きくなってしまうだろう)


・・そう考えたからだ。

それに町の人たちの中にはこの群れを目の敵にしている人だっているだろう。

それもそのはず、自分たちの大切な畑などを今まで幾度となく荒らされてるのだから。

その人たちがこの廃墟のコミュニティの存在を知れば最悪、武器片手に乗り込んできてコミュニティを襲撃する恐れも考えられる。

今までのお返しと、元凶を潰すためにと、言わんばかりに____
 ▼ 217 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/13 15:06:11 ID:QWMkdXCM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうなっては人間とポケモンが争って血を見ることも・・・・


最も俺はその人たちをそのような目で見ているわけではない。

やられた側のやるせない気持ちはわかる。

俺だってその立場だったら反撃したくもなるだろう___


だけど共に共存してきたポケモンと人間が争うなんて・・・

そんなのは見たくない__

何としても避けたい__

平和に解決せれば・・・

(どうしたら・・・・)

いずれか一方だけの肩を持つわけにもいかない。


悩んだ末〜〜〜
 ▼ 218 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/13 22:43:09 ID:C31o47os [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(・・やはり俺が何とかせねば!)

自分以外にはこのヤミカラスのコミュニティの存在は秘密にし、俺一人で解決してみせる!

・・そんな考えに至った。


ヒーローなんかじゃないが俺にも研究家としてできることはあるはず。

そしてこの案件に手を出したのは俺自身___

自分で手を出したからには自分でやり抜く。

・・そんな責任感と正義感を背負っているからでもある。


そしてポケモンをひいきするわけではないが、人間によってポケモンが傷つけられるのはやはり見たくない。

なんだかんだ言ってもポケモンだって生きていくのに一生懸命だ。

・・・ポケモン研究家としてそんな思いもおのずと湧き出てきたからだ。


それらの思いを胸に床についた_______
 ▼ 219 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/13 22:57:00 ID:C31o47os [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
翌朝___

(さて、次の段階の前にまず腹ごしらえだ)


と、言いたいとこだが

(あぁ、またこの時が・・)

何気なく開けて空っぽだった冷蔵庫や食料棚を前にそう力なく呟く。


・・また食料が底をついたのだ。

忘れたころに訪れるこの瞬間__

食料枯渇問題___

研究以外はルーズな俺は顕著にこの問題にぶち当たった。


(こまめに買っていればこうはならないんだけどな・・)

頭では分かっている。

だがルーズさが染みついた体はそう簡単にはいうことを聞かない。
 ▼ 220 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/13 23:11:09 ID:C31o47os [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
簡単そうで一筋縄ではいかない___

そんな生活習慣を変えることの難しさを身をもって感じる瞬間でもある。

・・朝からやる気になっていた矢先にこの出来事。

おのずとモチベーションも下がりそうにもなるが____


(仕方ない・・)

先立つものがなくては始まらない。

それに

(そういえばおじいさんの店大丈夫か?・・)

あのおじいさんの食料品店も気になるところ。


(ひとまず行くか)

俺は町に買い出しに出かけた。

町〜〜
 ▼ 221 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/13 23:23:08 ID:C31o47os [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そしてあのおじいさんの店へ行くと

(おお!)

窓ガラスも割れて滅茶苦茶になっていたおじいさんの店はガラスも直されて元通りになっていた。

ギィッ・・

店のドアを抜け、店内に入ると


店主「いらっしゃい!」


カウンターの方から聞こえてくる店主のおじいさんの声___

その声は大きくて張りがあり、はきはきとしていた。

この時は商品棚などに遮られて直接顔は見えなかったが、元気な様子はその声ですぐ分かった。

(良かった。すっかり元気になって)

そうホッとする。
 ▼ 222 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/14 12:25:27 ID:zsRYelKw [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
元気なおじいさんが居てこそこの店。

店内もあれだけ缶詰や瓶が散らばっていたがすっかり以前のように元通りになっている。

そしておじいさんは俺の姿を見つけると

店主「これはカロマさん!」

歓迎するように迎えてくれた。


俺「おじいさん、また来ましたよ」

店主「いやぁいつもありがとうございます」

俺「いえいえ」

店主「また、食料難ですか」

俺「ええ、そんなところです。冷蔵庫も空っぽになってしまって」

店主「それはなかなか大変ですね」

俺「いえ、毎度のことなんで」
 ▼ 223 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/14 12:39:27 ID:zsRYelKw [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
店主「今宵も色々揃えておりますのでね。ぜひ!」

俺「助かりますよ。それにしても店もすっかり元通りですね。2週間前はあれほどだったのに」

店主「本当に大変でしたよ。連日店の後片付けや掃除や修繕に追われましてね。営業どころではありませんでした」

俺「それはそれは・・全部一人でやったんですか?」

店主「いえ、私一人ではとてもできませんよ。修繕は大工さんに頼みましてね。掃除や片づけは町の人や友人が手伝ってくれたんですよ」

俺「そうでしたか。それじゃ私も何か手を貸した方が良かったですね」

店主「そんな大丈夫ですよ。カロマさんも例のヤミカラスの件やらで忙しいでしょうからねぇ」

俺「いえ、恐れ入ります」

話す様子からもおじいさんは以前と同様明るい表情が戻っていた。

俺「でも良かったですよ本当に。店も元通りになって、おじいさんもすっかり元気になられて」

店主「ありがとうございます。すみません、余計な心配かけてしまって」
 ▼ 224 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/14 20:58:48 ID:sltE7fz. [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「いえいえ、そんなことないですよ」

店主「そうですか。それで、そのヤミカラスの方はどうですか?」

(うっ・・)

その言葉で一瞬少しドキッとくる。

あまりこの部分は触れて欲しくないのだが。

俺「それが、おおまかですが足取りを追ってみたところ遠くからやってきているらしく、進出気没なんです」

店主「そうですか。それじゃヤミカラスの住処などは」

俺「不明です。なにしろ遠くからやってくるもので、まだ明確な足取りも」

店主「そうですか・・」

俺「すみません。私の力不足で」

店主「いえとんでもない。そんな卑屈にならないでくださいカロマさん」
 ▼ 225 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/14 21:10:50 ID:sltE7fz. [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「恐れ入ります」

店主「カロマさんは研究も一生懸命でよく頑張ってますよ。カロマさんの大変さは私もよく分かりますよ」

俺「ありがとうございます。そういって頂けると」

とりあえず俺はそううまく伝えた。

本当は嘘はつきたくないが、これも騒ぎを大きくしないため。

余計な心配をかけないためにも___


俺「なんとか私も行動パターンなどをうまく分析して対策を練るように尽力しますので」

店主「ぜひお願いしますよカロマさん」

おじいさんのまっすぐな瞳は俺への期待で溢れているようだった。

それを見ると正義のつもりとはいえ嘘をついたことに対する罪悪感を感じずにはいられない。

(嘘をついてすみません・・この件は私が責任をもって・・)
 ▼ 226 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/14 21:26:02 ID:sltE7fz. [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
・・心の中でそうお詫びをした。

単なる自己満足に過ぎないかもしれないが___


俺「・・それにしても、おじいさん本当にたくましいですよ」

俺にはおじいさんがたくましく思えた。

二週間前にあれほどの目に遭ったのにこんなに立ち直っているのだから。

俺だったら引きずって2週間じゃ立ち直れないかもしれない。

俺にはタフな心を持っているようにも____


店主「そうですか?」

それに対し少し照れ臭そうな様子のおじいさん。

俺「ええ、2週間前はあんな目に遭ってあれほど落ち込んでいたのに、今では何事もなかったかのように明るく」

店主「あの時は、確かにそうでしたね・・・ただいつまでも下を向いていても何にもなりませんからね」
 ▼ 227 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/14 21:49:49 ID:sltE7fz. [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「そうですね」

店主「過ぎたことは引きずらず、前を向いて進みませんと!」

俺「はい。全くその通りで!」

何だかかえってこっちが元気づけられた感じだ。

おじいさんの元気さとタフさで。


一通り買い物を終え__

店主「今回もいろいろ買ってくださいましたね」

俺「それだけ食料が枯渇していたので」

店主「そうですか。いやぁ今回もありがとうございます」


そして帰り際___

(・・・そういえば、あの家の廃墟って何なんだ?)

ヤミカラスのアジトの廃墟が気になった俺は
 ▼ 228 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/14 22:07:10 ID:sltE7fz. [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「おじいさん度々すいません」

店主「どうしましたカロマさん」

俺「ポケモンの生態調査でこの町の周囲の森を散策していたら森の中で洋風の家の廃墟を見つけたのですが、この廃墟が何かご存じないですか?」

俺はそう上手く誤魔化しながらさり気なく聞いた。


店主「家の廃墟、ですか」

ピンと来ていない様子だったが

俺「はい。森の中にポツンと一軒だけあったんです」

店主「洋風といいますと、具体的にどんな見た目でしたか?」

俺「二階建てで白い壁の大きな家でした。だいぶ古い感じで」

家の特徴を詳しく伝えてみると


店主「・・あぁ!あの家ですか!」
 ▼ 229 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/14 22:20:54 ID:sltE7fz. [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
どうやらピンと来たようで

俺「何か知っていますか!」

店主「その廃墟というのは北北東の森の中に〇kmほど入ったところにある家のことですね。森に囲まれたなか一軒だけポツンとある」

俺「まさにそれです!」

おじいさんはその廃墟の正確な場所をピタリと言って見せた。

(何か手がかりが得られるかもしれない)

そんな淡い期待が膨らむ。


だが・・・落ち着いてもいられなかった。

(待てよ。廃墟のこと知っているんじゃヤミカラスのアジトが知られるのも時間の問題じゃ・・・)

・・同時にそんな懸念も湧き出てきたからだ。

知られたら最後、すべて水の泡となるかもしれない____
 ▼ 230 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/14 22:32:09 ID:sltE7fz. [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな一抹の不安に駆られる。

それでも

(・・いや、まだこの段階で考えてもしょうがない)

必ずしも「廃虚を知っている=アジトを知られる危機」に直結するとも限らない。

最悪おじいさんはポケモンに手を出すような人には思えない。

ひとまずここは様子を見てみることに。


店主「やはりそうですか」

俺「それで、この廃墟の家って何なんでしょうか?」

店主「その廃墟は元々借家で一人の男が借りていたそうなんですよ」

俺「そうでしたか」

店主「最ももう20年ほど前の話ですがね・・」
 ▼ 231 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/14 23:05:23 ID:sltE7fz. [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「結構前なんですね」

店主「はい。ただその男はなかなか家賃も払わなくて挙句の果てに夜逃げしてしまったそうなんです」

俺「酷い話ですね。自分勝手で」

店主「全くですよ・・」

俺「それでその男はどこに行ったんでしょうか?夜逃げで」

店主「全く行方不明だったそうです。その借家を管理する不動産屋にも音信不通らしく」

俺「そうですか・・」

店主「それから間もなくその借家の不動産屋も倒産してしまったのです。これももう20年ほど前になりますよ」

俺「それで持ち主の居なくなったその借家だけが残り、それがまさしくこの廃墟、というわけですね」

店主「はい」

俺「でも不動産屋が倒産したのはその男が原因なんですかね?」
 ▼ 232 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/15 22:00:44 ID:MBEIg2Ak [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
店主「それも一因かとは思いますが、その管理会社も元々経営難でいつ倒産してもおかしくない状態でした」

俺「そうですか・・いろいろ要因が重なった結果なんですね」

店主「そうですね」

俺「でもなぜいきなり夜逃げなんて」

店主「それが夜逃げの理由どころか、なぜ家賃を滞納してたのかも分かってないんですよ」

俺「そうだったんですか」

店主「はい。その男は素性もあまり明かさない人でして。特にお金に困っている様子もなかったみたいで」

俺「・・素性も分からない謎の男ってところですね」

店主「全くその通りです」

俺「・・なんだか、気味が悪いですね」
 ▼ 233 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/15 22:09:29 ID:MBEIg2Ak [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
店主「私もですよ」

住んでいたのは素性も分からない謎の男___

得体の知れない気味悪さと闇すら感じるほどだ。

この話を聞いたらあの廃墟が何かいわくつきにも思えた。

ただでさえ不気味なのに余計不気味になってしまう。

得体が知れないからなおさら___

今更その男が何なのか知る由もない。


俺「・・それで、試しにその廃墟の中を見てみたら家財道具がそのまま置いてあったんですよ」

店主「そうですか・・」

すると店主は何か知っているような顔をしながら
 ▼ 234 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/15 22:26:03 ID:MBEIg2Ak [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
店主「・・となるとそれらの家財道具はその男のものかもしれませんね」

俺「と、言いますと?」

店主「その男は家財道具を丸々残したまま夜逃げしたそうなんです」

俺「ということは生活感そのままで、男だけ空気のように突然消えた・・という感じでしょうか」

店主「まさにそんな感じかと思いますよ。男が夜逃げして間もなく管理会社が潰れて借家は手付かずのまま今に至るわけですので。なのでそう考えると、廃墟の家財道具はその男のもので間違いないかと」

俺「そうですか・・」


昨夜見た家財道具の数々もその男のものと思うとこれまた得体の知れない不気味さを感じる。

だが洒落た数々の家財道具の様子を見ると確かにお金に困っている様子はないのも頷けた。

お金に困っているならあれほど洒落た家財道具は揃えられないだろう。


店主「・・ですが、廃墟とはいえ勝手に入るのはあまり良くないですよ」

俺「そうですね」
 ▼ 235 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/15 22:43:25 ID:MBEIg2Ak [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
店主「今は法律とか色々うるさいですからね。たとえ廃墟でも不法侵入だの」

俺「分かっていますよ」

店主「ま、最もそんな気味悪い廃墟は誰も近寄りたがりませんけどね。もちろん私だって」

俺「そうですね。それで、この廃墟のことはおじいさん以外に誰か知っているんですか?」

店主「私以外そう知っている人はいないと思いますよ」

俺「そうですか・・」


俺はそれを聞いて安心した。

廃虚のことはおじいさん以外知っている人はそういない__

かつ知っていても廃墟には気味悪がって近づく者はいないはず___

おまけに森の中で人目にもつかない___

・・これなら当分ヤミカラスのコミュニティがバレる心配はないだろう。
 ▼ 236 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/15 23:22:17 ID:MBEIg2Ak [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まさに好都合と言えた。

だが

俺「なのに何故おじいさんはそれほど廃墟のことを詳しく知っているのですか?」


__そんな疑問が浮かぶ。

廃虚のことは他の人はそれほど知らないはずなのにおじいさんはやけに詳しいのだから。


店主「私の知り合いにその廃墟の借家の管理会社で働いていた人がいましてね、その人から聞いたんですよ」

俺「なるほど、そういうわけでしたか」

店主「その人は管理会社の倒産が原因でそのままリストラされてしまいましたけど」

俺「それはそれは・・それでその知り合いの方は今は?」

店主「その後無事に仕事を見つけて今は遠くの町で穏やかに暮らしていますよ」

俺「それはなによりで」

特になんてことない理由だった。
 ▼ 237 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/15 23:37:35 ID:MBEIg2Ak [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
何か裏でもあるのかと一瞬思ってしまったが、いい意味で拍子抜けだ。


俺「・・あっすみません、つい長く話し込んでしまいましたね」

店主「そんなことないですよ」

俺「廃墟のこととかも詳しく教えてくれてありがとうございました」

店主「いえいえ。カロマさんも色々大変でしょうけど頑張ってくださいね」

俺「はい。おじいさんもお店頑張ってくださいね」

店主「ありがとうございます。またいつでも来てくださいね」

俺「ええ!」


そうして店を後にする。

おじいさんが元気なこと、廃墟の正体、そしてヤミカラスのアジトが知られる心配が少ないのが分かったのはなかなかの収穫だ。

最も廃墟の借家に住んでいたという得体の知れない男に対する一種の謎と気味悪さが生じたが。
 ▼ 238 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/16 00:42:38 ID:IsJwZEXM [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
謎というのがまた不気味さを深める。

ま、男が何なのか今となっては知る由もなく、考えても何にもならないが___

とりあえず男のことは少し気になるが考えないことにする。


そして帰り道〜〜

(・・そういえば昨夜の畑どうなったかな?)

ふと昨夜ヤミカラスの群れに荒らされたあの畑のことも気になった。


(・・大丈夫か?)

・・やはり畑のことも気がかりだ。

(少し行ってみるか・・)

俺は一旦家に帰り、買い物の荷物を置くとそのまま例の畑に向かった。
 ▼ 239 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/16 12:24:11 ID:0Sn63V0M [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
が・・

(あれ?確か行き方は・・)

途中で道に迷う。

というのも昨夜は夜の暗闇で視界も悪く追跡に必死だったのもあり、畑への詳しい道のりはあまり覚えていない。

その時はそこまで余裕などなかったのだ。


それでも___

(確か通ったのはこの道で、方向もこれで・・・)

断片的な記憶を頼りに道のりを進む。


そして間もなく__

(・・ここだな)
 ▼ 240 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/16 12:37:34 ID:0Sn63V0M [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
町はずれの大きな畑についた。

昨夜見たのと同様作物が荒らされた痕がある点から昨夜のあの畑で間違いない。

若干迷ったものの、町からそう遠く離れていないお陰もあり、それほど時間もかからなかった。


(しかし酷いな・・)

こう昼間改めて見ると畑の惨状の酷さがより明白に明らかだった。

夜の暗闇では不鮮明だった部分も昼間はより鮮明に生々しく映し出す。

否が応でも視界に入り見せつけてくる____


「すべてを食い尽くした」


・・そんな一言で表現できる。

これを見て心が痛むのはいつ何時も同じ。

夜中だろうが昼だろうが関係ない。
 ▼ 241 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/16 22:47:04 ID:IsJwZEXM [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
改めてそんな思いで眺めていると__


(んん?)

そんな畑の中で一人の男がうなだれているのが目に入った。

暗いオーラを発しているのが後ろ姿で感じる。


(・・この畑の持ち主だな)

見てすぐにそう分かった。

(やはり相当なショックを・・)

そして自分の畑をヤミカラスに荒らされて相当落ち込んでいるというのも直感で____

無理もない。

自分の丹精込めて育てた畑がこんなにされれば・・・
 ▼ 242 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/16 22:58:03 ID:IsJwZEXM [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これには同情しないわけにいかない。

俺は何も知らないフリをしてさり気なさを装い

俺「・・すみません、どうかなさったんですか?」

男にそう声をかける。

すると

男「ええ・・私の畑なんですが、見ての通りで・・」

男は暗い表情でそう語る。

俺「これは、一体何が・・・」

男「朝来たらこんなになっていまして、おそらくヤミカラスの群れの仕業で間違いないでしょう・・・」

俺「それは、確か二週間ほど前も町の食料品店を襲撃したという」
 ▼ 243 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/16 23:10:20 ID:IsJwZEXM [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「はい。おじいさんが経営するその食料品店を襲った」

俺「そうですよね」

男「こういうことをするのはそのヤミカラスの群れ以外考えられませんからね・・」

俺「時間帯にして夜にやられたんでしょうか?」

男「おそらくそうでしょう。あの群れは夜行性ですから・・」

俺「なるほど。そうですか」

男「ここ2〜3年の話ですよ・・この町が度々そのヤミカラスの群れの被害に悩まされるようになったのは」

俺「私もそれは伺っています。なんでもお店や畑を襲っては食べ物を奪っているそうで」

男「全くその通りです・・もはや同一犯とみて間違いないかと・・」

俺「やはりそうですか・・」
 ▼ 244 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/16 23:27:32 ID:IsJwZEXM [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「でもあなたもよくご存じですね」

俺「丁度私もそのことは食料品店のおじいさんから聞きましたので」

男「そうですか」

俺「しかし、この畑の有様は酷いですね・・・」

男「本当ですよ、相手がポケモンでもこれは許せません・・イタズラで済むようなことではありませんよ・・」

俺「本当ですね・・」

憤る様子でそう語る男。

その気持ちは俺にも分かった。

俺「・・ところで、あなたは専業農家をやられているんですか?」
 ▼ 245 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/17 12:28:04 ID:BWsU.IUY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「そうです。ですから損害は計り知れませんよ・・この畑には生活が懸かっているのに・・」

俺「それは・・・・」

俺は返す言葉が見つからなかった。

生活が懸かっている畑をやられてはどれほどの打撃か・・・

考えるまでもない____


男「・・・ところで失礼ですが」

俺「はい」

男「あなたはこの町では見かけないお顔ですね。最近引っ越してきたなど?」

俺「はい。実は私は1か月ほど前にこの町に引っ越してきました、カロマといいます」
 ▼ 246 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/17 12:36:39 ID:BWsU.IUY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
すると

男「そうですか、カロマさんでしたか!」

何かピンと来たのか男の表情が変わった。

まるで俺のことを知っているかのように。

(え??)

これには俺も呆気にとられた。

何しろ見知らぬ人が自分のことを知っているようなのだから。

少しどこか気味悪ささえも___


俺「・・あの、私のことをご存じで?」

恐る恐るそう尋ねと

男「はい。話は聞いています」
 ▼ 247 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/18 00:37:20 ID:diiE57cQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男はそう言った。

(俺のことは聞いているってどういうことだ?)

この男は何者なのか_____

男に対し少し警戒心も湧いてくる。


俺「・・話を聞いている、と言いますと?」

男「実は私もその食料品店のおじいさんとは顔なじみでして、そのおじいさんからカロマさんという方が最近この町に越してきたのは聞いていたんですよ」

俺「それであなたからするとそれが私だった、というわけですか」

男「はい。そうです」

俺「そういうわけでしたか」

ふたを開けてみれば何てことない。
 ▼ 248 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/18 00:49:10 ID:diiE57cQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なぜか俺を知っている怪しい男・・というのは俺の考えすぎだったようだ。

(なんだ、そういうことか)

そんな拍子抜けと共に安堵も蘇る。

男「その店のおじいさんは社交的で明るくてこの町でも人気なんですよ」

俺「そうなんですか」

確かにそれはおじいさんと話していても頷けた。

男「何でもカロマさんはフリーでポケモンの研究をやられていて、その為に色んな地方を転々とされているそうですね」

俺「はい。今回もポケモンの生態調査、研究の一環でこの町にやってきたんですよ」

男「そうですか。それはとても研究ご熱心で」

俺「いえ」

男「そしてこれもおじいさんから聞いたんですが、今はまさにこの町を悩ますそのヤミカラスの群れについて調べてらっしゃるんですよね」
 ▼ 249 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/19 01:23:13 ID:qaIgeRwc [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺「そうです。おじいさんの店の被害を目の当たりにして、最近この町を悩ませているのも聞きまして、研究家として黙っているわけにいきませんので」

男「そうでしたか」

俺「そしてヤミカラスの群れの実態をつかみ、できれば私がそのヤミカラスの悪行を食い止めることができれば、と思っています!」

男「本当ですか!カロマさん、あなたは本当に頼もしい方です!」

俺「いえいえ」

男「それで、そのヤミカラスの群れについて何か分かりましたか?」

俺「それが、今行動パターンなどを追跡して調べているのですが、どこを住処にしているのかすらも・・」

男「そうですか・・・」

俺「どうやら遠くからやってくるようで全くの神出鬼没なので、こちらとしてもなかなか足を掴めない状態でして・・」
 ▼ 250 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/19 01:33:44 ID:qaIgeRwc [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男「それはそれは・・本当に大変ですね」

俺「すみません、手間取ってしまいまして・・」

男「いえそんなことないですよ。そんな気になさらないでください」

俺「恐れ入ります。でも絶対に実態を暴き、食い止めてみせますよ。研究家の名にかけまして!」

男「ぜひお願いします!どうか私たちを、この町を救って下さい!」


男はそう懇願した。

まるで俺に希望を託すように____

(こうなっては否が応でもやり通すほかない!)

これほどエールをもらったのだから。

そしてこの町の運命が懸かっているのだから___

困っている人がいたら手を差し伸べる。

それが人間ってもんだ。
 ▼ 251 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/19 01:41:51 ID:qaIgeRwc [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺はもちろん。

俺「もちろんですよ!任せてください!」

・・二つ返事でそう返した。


すると

男「ありがとうございますっ!」

男は感謝を示すように頭を下げてそういった。

自分がやっていることへの使命感が改めて一気に再燃する。

一層やる気が湧いてくるのがふつふつと感じた。


俺は男と別れ、帰宅し、さっと朝食を済ませると____

(よし!第二段階だ!)

俺は次なる行動に移す。
 ▼ 252 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/19 21:50:08 ID:qaIgeRwc [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それはヤミカラスどドンカラスにGPSをつけ、より詳細な行動パターン、動きを調べるというものだ。

最もヤミカラスの場合は数が数だから群れの中から無作為に選んだ一匹だけにつける。

ヤミカラスは群れで一気に行動し、単独行動はしないから一匹だけでも問題ない。

肝心のGPS発信機は1cmほどの小さなものだが高性能ICチップと特殊電池を内蔵していて最長2週間に渡って強力な信号を発し続け、遠く離れた場所からでも受信できるほどだ。

しかも波長の長い特殊信号で悪天候や障害物の影響も受け付けない優れモノだ。

この家と廃墟との距離ならまず問題ない。

家に居ながらPCで動きを確認することができるわけだ。

まず2週間もあれば十分だろう。


(事は急げだ!)

俺はGPSを仕掛けるべく例の廃墟に向かう___
 ▼ 253 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/19 21:57:46 ID:qaIgeRwc [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
昼間の今にこれを実行するのももちろん理由がある。

それはヤミカラスとドンカラスは夜行性だから昼間は寝ていることがあるのだ。

寝ている時を狙えばGPSを仕掛けるまたとないチャンス___

俺はそれを狙っていた。

あとは明るい昼間の方が当然仕事もやりやすいのもある。

最も昼間だからと100%寝ているわけではないが___

野生や自然相手に保証の二文字などない・・・・


だが以上の理由から昼間の方が間違いなのは確か。


道中〜〜

俺は森の中で歩みを進める。
 ▼ 254 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/19 22:06:22 ID:qaIgeRwc [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガサ、ガサ、ガサ・・・

草木の緑の爽やかなニオイが鼻を通り抜ける____

昨夜森の中を進んでいる時は感じることができなかったこの感覚___

むしろそんな余裕などなかったあの時とは違い穏やかな空気が流れる。

木の上ではオニスズメやムックル、ベラップなど鳥ポケモンが歌を歌っている。

森を流れる清流ではミズゴロウをはじめとする水タイプが泳ぎ、ナエトルがのんびり日光浴をしていた___

そして今宵もコロトックが美しい音色を奏でている___

まさに昼間の森は最初訪れた時まんまの平和そのものだった。


(やっぱり昼間の森はいいな・・・)

おのずとこっちも穏やかな気持ちにさせられる。
 ▼ 255 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/19 22:20:45 ID:qaIgeRwc [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
心が浄化されるように____

昼間の森は何度来ても決して飽きない。

(全く夜とは大違いだな)

夜とは対照的そのもの___

夜の不気味さなどそこには微塵も感じられない。


(・・同じ森とは思えないぜ)

本当に同じ森なのかと思えるほど。

昼の森だけ来ていたら平和ボケしていてもおかしくないかもしれない。

それはそれでリスクはないが、逆をいうと平凡でつまらないだろう。

だがそんな森の”裏の顔”を知っている今の方がスリルがあっていいかもしれない。
 ▼ 256 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/19 22:32:55 ID:qaIgeRwc [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
・・そう考えるとある程度刺激と波がある方が俺の性分にあっているのだろう。

平和もいいが波がなくて単調なのは退屈だ。

多少の波は必要で刺激を求めるときは平和より多少のリスクは取る__

・・俺の中にはどこかそんな冒険心があるのだろう。

いや、研究家をやっていて自然と”ソレ”が培われたか。

新しいもの、刺激を求める自分が心の中にいるのは確かか____


ガサ・ガサ・ガサ・ガサ・ガサ・ガサ・・・

そんなことを考えつつ、昼間の森に浸りながら歩みを進める___

しばらく進むと

(出たか)
 ▼ 257 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/19 22:58:42 ID:qaIgeRwc [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
平和な森の中突如姿を現す。

開けた土地と共に例の白い壁の洋風の家の廃墟___

緑の中で”ソレ”はひときわ異彩を放っていた。

夜ほどではないが不気味なオーラを纏いながら。


(・・やはり気味悪いな)

昼間見てもそれは感じるほど。

そもそもこんな森の中にポツンとある地点で不自然だろう。

俺は霊感とかそのような類には鈍感だ。

基本研究家の俺は非科学的なものはあまり信じない。


・・だがそんな俺でもここだけは空気というかオーラというが、それが違うのはどこか感じる。

ここだけは例外だ。
 ▼ 258 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/19 23:08:58 ID:qaIgeRwc [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それでも

(・・ま、夜よりはマシか)

夜と比べればそれほどでもないように思えた。

慣れたからか__

前もってより上の恐怖を体感していたからか___

はたまた単に感覚がマヒしているのか___

自分でもよく分からないが___


まぁどちらでもいいか。

いずれも夜のあの不気味さと比べればこのぐらい、と思えるのは確か。

今回は躊躇なく廃墟に立ち向かえる。
 ▼ 259 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/20 22:09:18 ID:0LeQobJw [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ギイイィ・・・・

手をかけると相変わらずそんな鈍い声を上げて開く玄関のドア___

それを抜けて中に入ると

(ほぅ・・)

昼間見ると中のくたびれ具合がより浮き彫りとなる。

ひび割れた壁にシミだらけの天井___

一面につもったホコリ___

蜘蛛の巣___散乱する物___

どう見ても廃虚そのもの。

これらは昨夜見たとおりだが、同じものでも昼間だとより鮮明に詳細に視界という情報で入ってくる。
 ▼ 260 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/20 22:19:10 ID:0LeQobJw [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(相変わらずだな・・)

廃虚特有の陰気臭さは相変わらずだが

(明るいだけいいか)

昼間の明るさがまだ不気味さを和らげてくれている。

この点がまだ救い。


(しかしこんなだったのか・・)

昨夜は分かりづらかったが昼だと改めてくたびれ具合も見せつけられる。

その傷み具合で嫌でも知らされる。

ここが長年放置された廃墟だと____

”ここ”も森同様、昼と夜とで表情を変える。

夜だと暗闇が廃墟の姿を覆い隠し、代わりに不気味さを加える。
 ▼ 261 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/20 22:29:48 ID:0LeQobJw [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
昼だと逆に明るさが姿を露にし、不気味さを打ち消す。


それにしても

(うわっ、ひどいな・・)

長年蓄積したホコリや粉じんの類が一面空中を舞い踊る。

隙間から差し込んだ太陽光で一筋の光の筋がはっきり見えるほどに。

そのうえホコリに混じって特有のかび臭さも___


(昨夜もこんなだったのかな・・)

昨夜は暗闇の上、そんな余裕もなく気が付かなかったが___

ここに住んでいたら間違いなく肺がやられるだろう。

たまらず左腕で口と鼻を覆う。

(マスク持ってきた方が良かったか?・・・・)
 ▼ 262 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/20 22:42:13 ID:0LeQobJw [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それよりも

(いいや、進もう)

二階にアクセスすべく昨夜のあの階段を探す。


ギィ・・ギィ・・ギィ・・・・

どんなに音を立てじと慎重に歩いても床はこのうなり声を上げる。

(こればかりは何とかなんないか・・・)

小さい音で聞かれる心配はないだろうが、万が一ってこともある。

あくまでここはあの群れのアジト。

些細なことでも油断できるわけない___


その時

ズボッ!!
 ▼ 263 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/20 22:53:17 ID:0LeQobJw [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
突如そんな何かが破れるような音と同時に

(ッ!!?)

左足が何かに吸い込まれたような感覚__

(何だ!?)

一瞬何かに襲われたのかとも思ったが・・・


(・・なぁんだ)

見ると床が抜けて左足がそれにはまっているだけだった。

ホッと胸をなでおろす。

幸い怪我はなかったものの


(全くこんな時に、勘弁してくれよ・・)

こっちはただでさえ神経を張り巡らせているのだ。
 ▼ 264 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/20 23:01:20 ID:0LeQobJw [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな時にこれはたまったものではない。

全くもって心臓にくる。

(ま、場所が場所だからな・・)

最もこんな廃墟じゃ床が抜けても何らおかしくないとこ。

下手したら崩壊する可能性だって___

(・・いいや、何考えてんだ俺は)

余計なことは考えないにこしたことはない。

気を取り直して昨夜の階段を探す。


すると間もなく__

(・・これだな)

二階へと導く階段を見つけた。

(間違いない、昨夜のやつだな)
 ▼ 265 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/20 23:11:22 ID:0LeQobJw [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
木目調の手すりのこの洒落た感じ___

まさしく昨夜上ったあの階段で間違いない。


(よし)

俺は慎重に階段を一段ずつ上る。

極力音を立てないように、と同時に崩れないように__

なにしろここは古い廃墟。

”強度”という概念など存在するはずもない___


ギィ・・ギィ・・ギィ・・・

やはり慎重に歩みを進めようが床同様お構いなしにうなり声を上げる階段。

(こればかりは仕方ないか・・)

もはやこれには目をつむった。
 ▼ 266 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/20 23:20:26 ID:0LeQobJw [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それよりも


(大丈夫だよな?これ・・・)

階段が抜けないかが気がかりだった。

昨夜は良くも悪くも暗闇による不気味さが勝り、暗闇が打ち消してくれていたことになる。

それで気にならなかったが___

それにさっき床が抜けてハマったばかりだ。

さっきはまだ場所が良かったが、ここは高い階段の上。

そんなことで抜けたらどうなるか・・・考えただけで__


それでも

ギィ・・ギィ・・ギィ・・・

歩みを進める。
 ▼ 267 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/21 12:24:50 ID:Hs0EU.G. [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
階段の先は漆黒の闇ではなく普通の廊下___

これも夜とは違う点だ。

これでまた不気味さが和らぐ。


そして階段の上段の方までつくと気づく。

(・・静かだな)

やけに静かで鳴き声一つ聞こえないのだ。

昨夜は階段の中段あたりから聞こえていたのだが__

まるで廃墟全体が静寂の世界に包まれているように。


その上___

(・・居るのかな?)

気配というものもまるで感じられない。
 ▼ 268 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/21 12:36:54 ID:Hs0EU.G. [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
となると

(どこか出かけているのか?)

せっかく来たのにもぬけの殻・・ということも。

脳裏に浮かぶのはそんな考え___

基本夜行性といえど昼間も活動するわけなのだから。

いない恐れもゼロではない。


(となるとちょっとマズいな・・)

こうなってはせっかくここまで来たのに単なる無駄足となってしまう。

仮にいなかった場合、いつ戻ってくるか見当すらも___

こっちもいつまでも廃墟に身を潜めるわけにもいかない。


だからこれはできたら避けたいところだが、

(まぁ、野生が相手だからな。やっぱり・・)
 ▼ 269 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/21 22:38:28 ID:ZYlYQfuQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こればかりは難しいところ。

野生相手に”確実”なんて通用しないのだから。

(仕方ない、その時はその時だ・・)

もうその事態も覚悟するほかない。

あらゆる事を想定せねば研究家など務まらない。


間もなく__

(よし、きたか)

何とか階段を上りきり、二階に着いた。

(・・何とか大丈夫だったな)

幸い階段が抜けることもなく。

きしむ声を上げてて心もとなかったが。
 ▼ 270 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/21 22:46:31 ID:ZYlYQfuQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(・・確かあのドアだよな・・・)

廊下の少し先にあの洋間のドアを確認する。

(あのドアの向こうに・・・)

来るのが二回目で分かっているとはいえ、やはりアジトを前にすると改めて緊張する。


ギッ・・・・ギッ・・

それでもそっとそのドアの前に移動する。

今まで以上に、音を立てずに気を使い____

そしていよいよ洋間を目の前に。

俺とアジトを遮るのはこのドア一枚のみ_____

だがやはり・・

(静かだな・・)
 ▼ 271 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/21 22:55:50 ID:ZYlYQfuQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ここまで来ても鳴き声は愚か、気配も___

耳をドアに当ててみてもそれは同じ。

昨夜だったらここだったら耳に刺さるほどの鳴き声だったが。


(ここまで来たら目で見るほか答えは___)

中を確認すべくまずは昨夜と同じくドアを数センチほど開ける。

キィィ・・・・

聞こえるか聞こえないかのかすかな音を立ててドアが開く。


その隙間から中を覗くと

(特に変わった様子は・・)

昨夜見たのと変わらぬ洋間。

・・と思ったが視線をずらして間もなく
 ▼ 272 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/21 23:04:38 ID:ZYlYQfuQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(ほぉ・・)

部屋の真ん中にまずあの立派なソファ。

そして

(これは!)

そのソファでドンカラスが眠りについていたのだ。

眠っていてもなお堂々としており、陣取るように___

ボスのオーラを纏いながら___


さらに目を凝らせば

(そこにもいたか・・)

そのドンカラスが陣取るソファの周囲に丸くなって眠る多数のヤミカラスが。

これまたボスを守るかのように___

これもおのずと忠誠心の表れなのだろうか。
 ▼ 273 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/21 23:20:11 ID:lcR.uVLw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
言うまでもなく目の前にいるのは例のヤミカラスとドンカラスで間違いない。

ドンカラスとヤミカラスはその黒い体も相まって昼間でも分かりづらい。

そのせいもあり、この圧倒的な存在にも関わらず最初は一瞬気が付かなかった。

だが蓋を開けるとこの一室にこれほどの大きなコミュニティ。

・・冷静に考えれば異様な光景だろう。

本来人が居るべき空間にこれがいるとなれば・・・

さらに夜では分かりづらかったその圧倒さが昼の明るさで露に。

嫌でも視界に入り訴えてくる。


(昼間見るとすごいな・・・)

思わず改めて圧倒されずにいられないほど__

だが

(・・思った通りだ!)
 ▼ 274 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/21 23:34:15 ID:ZYlYQfuQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
___昼なら眠っている___

・・その読みが見事に当たったわけだ。


(今しかない!)

言うまでもなくまたとないチャンス!

俺は意を決し行動に出る。

全神経を集中させ、できる限り音と気配を消して洋間の中に足を踏み入れた。

その聖域と呼ぶべき領域に__

彼らからすれば部外者の俺が踏み入るなど許されざるはず。

だがその掟、定めを破るのは承知の上で___

GPSさえ仕掛ければ!!・・・・・

俺にも意地というものがあるのだ。
 ▼ 275 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/22 12:32:01 ID:yaWoKwGs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ス・・・ス・・ス・・・

何とかきしみ音すら立てずに中を進む。

同じ空間にドンカラスと100以上のヤミカラス___

目を覚まして気づかれたら・・・・

時まさしく極限状態。


ドッ・ドッ・ドッ・・・

普段はあまり感じることのない鼓動がこの時ばかりは体の中に鳴り響く。

(目標まであと数メートル・・)

その時

ギィッ!・・
 ▼ 276 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/22 12:40:08 ID:AyFAS4B. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(ッ!!)

不覚にもきしみ音を立てしまう。

一瞬の気の緩みからか___


(・・・!!)

すぐさま周りを見渡す。

シーーーーーン・・・・

(・・良かった)

幸い気づいた様子はなく眠っている。

かすかな音一つにも神経をとがらせ過敏になる。

ましてこの状況が状況なのだ。

ス・・・ス・・ス・・・
 ▼ 277 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/22 23:39:09 ID:Yxz.yHCQ [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その後も何とか音と気配を消して接近し、

(・・よし!完璧だ!)

無事ドンカラスとヤミカラスにGPSを着けることができた。

(これでより詳細なデータも!)

これでより詳しい足取りや行動パターンも把握できるわけだ。


俺はその後気付かれることもなく忍び足で洋間を出ると

(上手くいってるか?)

俺はドアの外でタブレット端末を取り出し、GPSを確認する。

(・・よし!いい感じだ!)

無事GPSが作動していて信号も捉えられていることが確認できた。

まさにひとつの大仕事を終えた気分だ。
 ▼ 278 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/22 23:47:45 ID:Yxz.yHCQ [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうしてそう少し一安心すると__


(・・そういえばあの男って?)

ふとこの廃墟に住んでいたというあの謎の男のことが気になった。

その男は自分には何も関係ないのは確か__

だが人間気になったら確かめ調べたくなるもので。

特に俺は研究家という職業柄かその気が強いようだ。

(この廃墟に何かヒントはないだろうか・・)

ここは昨夜と今回とざっと散策はしたものの、細部までは見ていない。


(・・探れば何か出てくるか?)

何か男の正体につながる手がかり、ヒントが出てくるかもしれない。
 ▼ 279 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/22 23:56:29 ID:Yxz.yHCQ [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
断片でも___

・・そう踏んだ俺は

(考えるより先に実行だ)

廃虚の中をより詳しく散策することにした。

本当はこの洋間の中も散策したいとこだが__

(ま、無理だよな)

アジトと化していてかなうわけもなく。

(他を当たるか)

俺は他の部屋、特にヤミカラスたちに気付かれにくい点から一階を重点的に探すことに。


一階〜〜

俺は一階に降りると台所や書斎と思しき部屋を回る。
 ▼ 280 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/23 00:26:03 ID:uras8X1U [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もちろんアジトの彼らに気付かれぬよう気を使いながら___

机や棚、引き出しなど細部に当たる。


ガラッ・・ガラッ・・・・・

引き出しなどを開けるたび

(うわっ!!)

ホコリという廃墟特有のトラップに襲われる。

そうやって捜索してみるも・・

(これといってないな・・・)

出てくるのはありきたりな日用品の類___

(お、これは)

たまに書類の類が出てくるも
 ▼ 281 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/23 00:33:09 ID:uras8X1U [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(なんだ・・)

殆どは使用済カレンダーや白紙のメモ帳、手帳、買い物の請求書の類ばかりだった。

(あとは二階か・・)

残るは二階の洋間以外の部屋_____


ギィ・・ギィ・・・ギィ・・・

あの抜けそうで不安な階段を再び慎重に上り

(この部屋か)

洋間以外のいくつかの部屋を音と気配を極力消して捜索した。

洋間以外の二階の部屋も無駄なものはなく小奇麗に整理されている印象だった。

おそらく几帳面な性格だったのだろう。

だが
 ▼ 282 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/23 00:39:46 ID:uras8X1U [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(やっぱりないか・・)

結果は同じ。

特にそれらしいものは見つからない。

これほど日用品や家財道具が残されているというのに__

やはり綺麗好きだから無駄なものは取っておかないのだろうか・・・


(まぁ、謎は謎のままか・・)

そうあきらめかけた時__


(・・・・ん、待てよ)

俺は気付いた。

(そういえば、あの部屋・・)

一階のとある一部屋だけまだ捜索していなかったことに___
 ▼ 283 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/23 12:37:06 ID:JDmAxqMQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ギィ・・ギィ・・・ギィ・・・

俺は早速一階のその部屋に向かう。

その部屋は廃墟の中でも隅の方にあるからつい見落としがちだろう。


(これだな)

早速部屋についてドアに手をやると

ギイィ・・・・

そんなお馴染みの音を立てながら開くドア。

そして

(おぉ、なかなか)

部屋はさほど広くなく、机と大きな本棚が立てつけられていた。
 ▼ 284 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/23 12:45:36 ID:JDmAxqMQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして本棚はホコリにまみれた本が隙間なく並べられている。

本の内容は小説に哲学、ポケモン生物学、物理、心理学、医学、科学など様々。

いずれも難しそうな内容のものばかりだ。

このこじんまりした部屋に似つかわしくないほどの立派な本棚___

存在感は言うまでもない。


(勉学が好きだったのだろうか・・)

はたまた何かを目指していたのか。

いずれもこれほどのジャンルの本を持っているのだから頭はいいに違いないだろう。

少なくとも多岐に渡るジャンルの分野に興味を持っていなければこんな本など持たないはず。
 ▼ 285 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/24 00:06:42 ID:L762xCGk [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺のような研究家でもこれほどの本はなかなか持っていないかもしれない。

いずれも学があっただろうと伺える。


(これなんかどうだろう)

俺は数ある本のうちの「ポケモン生物学」の一冊を手に取ってみる。

これはちょうど俺の専門分野でもあるからな。


ホコリ被った年代物を感じさせられるその本___

中を見ると

(・・・やっぱり昔のものか)

データ関連はやはり古いものだった。

この廃墟は20年ほど前とすると、当然これらの本はそれより以前のもの。

そう考えるとこればかりは仕方ないだろう。
 ▼ 286 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/24 00:17:49 ID:L762xCGk [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だがデータこそ古いものの

(なるほど、そういう見方も・・)

なかなか興味をそそる内容だった。

ポケモンの起源からあらゆるタイプの生態、DNA構造に至るまで多岐に渡る___

それらがあらゆる視点から考察も交えて書かれているのだ。

どれも研究家の血を騒がせるものばかり___


そんなことで終始夢中になって見入りそうになるが

(・・おおっといけない!こんなことしてる場合じゃ!)

本来の目的を思い出す。

わざわざ本を読みにここに来たわけではないのだ。

(つい気がそれたな・・)
 ▼ 287 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/24 00:29:52 ID:L762xCGk [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カサ・・カサカサ・・・カサ・・

気を取り直して書斎と思しきこの部屋を捜索する。

いや、感じからして書斎で間違いないか。

カサ・・カサカサ・・・カサ・・

捜索するが・・

(やっぱないな・・・)

出てくるのは白紙のノートや手帳類の類。

やはりこれといったものは出てこない。


男の正体を知ったところで自分には何にもならないのは分かっている。

自分がいまこうして無駄なことをしていることも____

その男は自分には全く無関係なのだから。
 ▼ 288 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/24 00:45:17 ID:L762xCGk [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
単なる赤の他人に過ぎない・・・・

だがそれでも俺はその男が気になった。

男からは謎のほかにどこか闇も感じられるからだ。

だってそうだろう・・何かわけがなければ突然夜逃げして失踪などしないはず。

そんな闇を感じたまま、謎のままにしておくのは気が晴れないもの。

だから___

(男の身に何があったか知りたい・・)

・・そんな思いで素性を探るべくこうして捜索する。

最も他人のプライバシーを探るのは気が引けるが・・

他人のプライバシーという聖域を侵している罪悪感も___

それでも今回ばかりは探求心が勝る。
 ▼ 289 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/24 00:55:50 ID:L762xCGk [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
良くも悪くも”研究家”で培われたその探求心の強さで。


(ここもダメか・・・)

半ばそう諦めかけていた。

だが___


ガラ・・・


何気なく本棚の最下段の引き出しを開けた時、

(んんん?)

中から何やら大量の書類が___

今までのような書物の類とは明らかに違うのは一目見て明らか。

(・・なんだ、これ・・・・)
 ▼ 290 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/24 22:25:18 ID:L762xCGk [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
よく見るとどうやらそれは借金の督促状や催告書だった。

男のものと思われる名前も書いてある。

これほどの数の督促状__

しかも記載している借金の額も相当なもの。


(何でこんなに・・)

どうやら男はかなり借金を重ねていたようだった。

(他になにか・・・)

ガサ・・ガサ・・・

さらに探ると______
 ▼ 291 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/24 22:33:01 ID:L762xCGk [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(んん?)

借金関連だが督促状や催告書とはまた違う書類___

間もなく、その書類の正体に驚愕させられる。


(・・こ、これって!?)

___それは自己破産の書類だった。

記載している名前も督促状のものと同じ___

(そんなことって・・・)

男は借金を重ねた挙句自己破産していたのだった。

(どうしてそんな末路を・・・)

さらにそれを紐解くかのように引き出しから出てきたのは___
 ▼ 292 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/24 22:42:24 ID:L762xCGk [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(病院?・・・)

どうやら病院の診断書。

(・・やっぱり)

記載している名前が同じ点からやはり男のもの。

診断書によると男はアルコール依存の気があるよう。

(・・病んでいたのか?・・)

心の病なのかまでは知る由もない。

だがこれも何かしら闇を抱えていた証なのだろう。


(・・そういうことか・・)

それらのホコリまみれの古ぼけた書類____

そこから全てが俺の中でつながった。
 ▼ 293 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/24 22:52:23 ID:L762xCGk [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男は心の病か何らかの原因でアルコール依存を抱えており、職に就けず借金を重ね、挙句の果てに自己破産した。

だから家賃も払えず滞納し、追い込まれた末この借家から夜逃げし失踪した。

家財道具そのままに、その身一つで___

・・といったとこだろうか。

推測に過ぎないが最も有力と言えよう。

(この男の身にそんなことが・・)

考えただけでいかに悲惨だったろうか____


だが

(・・待てよ?)

俺にはどうも引っかかる部分が。
 ▼ 294 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/24 23:37:53 ID:L762xCGk [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それは__

「お金に困っている様子はなかった」

・・・食料品店のおじいさんのそんな言葉だ。

確かにあの洋間といい洒落た家財道具で溢れているこの廃墟を見るとお金に困っている様子など微塵も感じられない。

俺もこのインテリアだけ見ていたら気付かなかっただろう。

感じられるのは”お洒落な余裕のある暮らしぶり”だけ。

誰が借金苦に陥っているなど想像つくだろうか___


(となると考えられるのは・・)

借金をひた隠し、借金の多くをこれらの家財道具や酒につぎ込んでいた。

無論これらの家財道具は”見栄”のため___
 ▼ 295 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/24 23:48:04 ID:DC9MJ5bs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
借金している自分を隠すため___

そしてまた見栄と酒のために借金を重ねた。

そして・・・アルコール依存の悪化と自己破産に陥った。

・・もう、そうとしか考えられない。

お金がないのに人の目を気にして、都合の悪い部分を隠して見栄を張り、”偽りの姿”を築き上げた。

その代償がこれと____


そしてこれらの本もおそらく勉学ではなくアルコール依存などから気を紛らわすために買ったもの。

何かを目指していたわけでもなく、単に気晴らしで読むために過ぎなかった。

・・そう、想像がついた。

依存症の人は依存から気を紛らわすためにあえて難しい本を買って読むことがあるからだ。
 ▼ 296 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/25 00:04:09 ID:mzmEb0fM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(・・・・)

想像以上の男の闇深さ、悲惨さに俺も言葉を失うほど。

こっちまで心が沈みそうになる。

(いっそ知らない方が・・・)

男の過去の追求しない方が良かったのだろうか・・・

そう、思えるほどに。

”知らぬが仏”とはよく言ったもの。


(まさかこの平和な町にこんな人が居たとはな・・・)

世の中色んな人がいることを思い知らされた気がした。

悪い意味で・・・・

(気の毒にな・・・自業自得とは思うが・・)
 ▼ 297 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/25 00:17:41 ID:mzmEb0fM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おのずと男に対してそんな同情も。


(・・・まぁ、謎が解けて完全ではないが正体が明らかになったのはいいか)

謎という不気味さは拭えた。

・・そう何とか気持ちを切り替える。

実態は想像を超える闇深さという代償はあったが・・・

GPSをヤミカラスたちにつけるという目的は果たせたし、良くも悪くも男の素性が大体分かった。

・・これだけでも収穫ではないか。

半ば沈みかけた気持ちを胸に自分にそう言い聞かせる。

半ば闇に侵されたその気持ちに____


(・・とりあえず次に移るか)

そんな具合に目的を果たせた俺はそっと廃墟を後にした。
 ▼ 298 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/26 01:31:59 ID:N93MTc.M [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この廃墟の異様さはこの男が残した闇によるものなのだろうか・・・

思わずそんな思いさえも・・・

道中〜〜〜

俺は沈んだ気持ちを背にしつつも


(・・男は今頃どこで何をしているだろうか・・)

男のことを気にかけ考えていた。

最も男の足取りなど今更知る由もないが____


(どこかで上手く生きているといいが・・)

・・無責任ながら今の俺にできるのは男が無事生きていることを願う。

ただそれだけだ。
 ▼ 299 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/26 01:45:18 ID:oZcQJ6GM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
20年以上も前の出来事。

何とか分かったのは男の名前らしきものだけ。

直接会って確かめるのが確実だがそんなの当然無理な話___

顔すら知らないのに・・

それに会ったところでかける言葉なんて見つからないだろう。


(世の中には辛い境遇のひともいるんだ。自分も頑張らねば・・・)

・・男のお陰でおのずとそんな気持ちにもなれた気がした。

そうして今の俺にできるもう一つのことは・・・この男の”真実”は自分の中だけにとどめておくこと。

あとは、繋がりなどないがこの男の分まで頑張って生きる・・・ことぐらいだろうか。

考え方に正解なんてないから一概には言えないだろうが、俺は少なくともその考えだ。
 ▼ 300 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/26 01:57:47 ID:N93MTc.M [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして確実に言えるのは・・・この男のようにはなってはいけない。

____それに尽きるかもしれない。

そうみると俺にとって立派な反面教師のようにも思えた。


そんなことを考えながら森ののどかなポケモンたちには目を暮れず、帰路に就く。


家〜〜

帰宅すると

(さて!)

気持ちのリセットや切り替えができなければ研究家は務まらない。

俺は気を取り直してヤミカラスとドンカラスに仕掛けたGPSを確かめるべくPCを立ち上げる。

(問題は距離だよな・・)

高性能GPSといえど無線通信である以上距離、天候、障害物、その他の電波の影響を受けやすい一面はある。
 ▼ 301 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/27 12:45:21 ID:6q42eMqs [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なにしろこの家と廃墟ではそこそこの距離はある。

安心はできないが___

(どうだ?)

そしてGPSの専用ソフトを起動してみると

(・・よし。大丈夫だな)

PCのマップ上のまさにあの廃墟のある位置にGPSが示す赤い点が二つ表示された。

ヤミカラスとドンカラスので間違いない。

すなわちGPSは何ら問題なく通信できていたわけだ。

(ひとまず大丈夫そうだな)

これだけ通信が上手くいっていれば通信が途切れる心配もなさそうだ。
 ▼ 302 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/27 12:54:52 ID:6q42eMqs [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そこから1時間ばかりGPSと睨めっこしてみるが

(・・動かないな)

その二つの赤い点は同位置から全く動きを見せない。

そのことから以前廃墟の中で眠りに付いているのは容易に予想がついた。

やはりこれも夜行性というだけある。


(仕方ない、また後で・・)

このまま見ていてもラチが開きそうにない。

そう踏んだ俺は一旦GPSのソフトを閉じ、また時間を空けて確認することにした。


(・・そういえば最近やってないな)

思い返せばここ2週間余りヤミカラスの追跡ばかりでレポートの作成をやっていなかった。

研究レポートの作成、売買は俺の生業でもある。
 ▼ 303 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/27 22:50:50 ID:1s3gF5E2 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
収入がないのは心もとない。

それに時間はある。

(少しやるか)

俺はここ2週間余りで得られたヤミカラスに関するデータの一部と今までためた観察記録のデータを使ってレポートを作成することにした。


数時間後〜〜

(・・とりあえずこんなものか)

いくつかレポートが完成した。

内容はいつものと比べると今一つだが、何もしないよりはマシだろう。

(さて、次は)

俺はいつも通り馴染みの研究所などにアポを取り、レポートを送った。
 ▼ 304 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/27 22:55:30 ID:1s3gF5E2 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
送って間もなく。

ピロ〜〜ン・・・・・

PCから通知音が鳴り響く。

(お、来た来た)

取引先である研究所などから入金が入ったことを知らせる通知だ。

早速確認すると

(ほぉ、なかなか)

残り物のような材料で作成したレポートだから期待はしていなかったが、そこそこの金額で売れた。


そんなこんなしているうちに____

(もうこんな時間か・・)
 ▼ 305 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/27 23:05:53 ID:1s3gF5E2 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気が付くとすでに夕方になっていた。

(・・そろそろ頃合いか)

丁度ヤミカラスとドンカラスの活動が活発になり始める時間だ。

(どうだ?あれから)

俺は再度PCのGPSソフトを立ち上げ、確認する。

すると


(動きなしか・・・)

ドンカラスのGPSは依然廃墟の中に留まっていた。

だがこれは想定内。

というのもドンカラスは食べ物の調達なんかも全部子分にやらせており、自分はテリトリーから動くことは少ないのだ。

目覚め後もソファに陣取っているのが容易に想像できた。
 ▼ 306 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/27 23:18:51 ID:1s3gF5E2 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だが、

(ヤミカラスがいないな・・)

ヤミカラスのGPSの反応が廃墟内になかった。

(電波も異常なし、バッテリー切れも考えにくい)


となると

(活動を始めたな)

どこかに出かけたのは確か。

この時間帯なら何か動きを見せるだろうという読みは的中する。

(一体どこに行ったんだ?)

すぐさまヤミカラスのGPSを信号を頼りに逆探知する。

するとすぐに

(これか)
 ▼ 307 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/27 23:32:47 ID:1s3gF5E2 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヤミカラスのGPSの位置は特定できた。

だがその場所を確認すると

(こんなところに!?)

思わず驚いてしまった。

というのはヤミカラスのGPSはこの町から数十kmも離れたところの町に表示されたのだ。

いずれもコトブキシティから遠く離れた田舎町。

少しづつ動いている点からその町の上空の飛んでいるのは確か。

しかも集団で。

ヤミカラスはドンカラスに従えている時は群れで行動するのが決まりなのだから。

これも群れの秩序たるもの。

これはボスであるドンカラスによって一匹たりとも欠けてはいけない、勝手な行動は許されない固い掟で守られている。
 ▼ 308 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/27 23:44:49 ID:1s3gF5E2 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その掟を破ったら最後、コミュニティを追放され処分されるという容赦なき冷酷な世界___


(こんなに広範囲を・・)

てっきり行動範囲は廃墟から半径数キロ圏内くらいに思っていた。

だがそんな想像を遥かに超える行動範囲の広さに驚かされる。

いくら空は障害物がなくて移動しやすいとはいえこれほどとは。


しばらくすると。

(んん?)

ヤミカラスのGPSの動きが止まった。

「何だ?・・・・」

そして十数分ばかり経つとまた動き始めた。
 ▼ 309 ルマン1◆H1T.Z50ZTQ 21/08/29 01:06:03 ID:o0zMLe0Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(一休みか?・・)

おそらくは時間の長さなどから羽休みの類だろうと推測できる。

そしてしばらくすると

(まただ)

再びヤミカラスのGPSの動きが止まる。


しかも__

(・・やけに長いな)

今度は止まっている時間がやたら長い。

30分以上経っても動く気配を見せない。

(・・何してるんだ今度は?)
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