【SS】男「バレンタインに好きな子からマホイップをもらったぞ！」

僕の住む地方ではバレンタインデーに女性から好きな男性へマホイップを渡す伝統がある。

更に最近は好きな人ではない異性にもマホイップを送るという流行があり、世間ではこれを"義理マホ"と呼んでいる。

僕は今日まさに自分が好きな女の子から"義理マホ"を貰ったのだ。

数時間前…。

男「あ…あの…話って…？」

女「あーうん、これ、あげるよ。」

女は男に豪華なラッピングを施されたモンスターボールを渡した。

男「これは………。」

女「マホイップ。ほら、今日バレンタインデーだし………。」

男「え、じゃあ、もしかして、その………。」

女「か、勘違いしないでよね。それは余り物だから、所謂義理マホよ。」

男「そ……そっか……だよね、あはは。」

女「お返しとかそういうのはいいから、大事にしてあげてね。それじゃあ。」

男「う、うん。」

そういった経緯で今僕の手元にはモンスターボールに入ったマホイップがいる。

だがとある理由から中はまだ確認していない。

彼女は確かにこのマホイップを"義理マホ"と言っていた。

しかし、それが照れ隠しであり、もしかしたら、実は本命だという可能性があるのだ。

そして、バレンタインデーに渡すマホイップは、マホイップの姿によって含まれる意味が異なる。

例えば、ミルキィバニラの姿は"感謝"。日頃の感謝を伝える為に家族やカップル同士で送り合う。

ミルキィルビーの姿は"愛"。告白の際や愛する人へ送られる。

キャラメルミックスは"友情"。同性同士、或いは友人関係の異性間で送られる。

ルビーミックスは"誓い"。これは夫婦同士や結婚間近のカップルの間で送られる。

このようにマホイップの姿によって持つ意味は変わる。

もし、万が一、彼女が僕に照れ隠しをしており、僕が受け取ったマホイップの姿が、上の様な愛情を表す姿であった場合…………。

そういうことなのだ。

僕は貰ったモンスターボールの包装を丁寧に剥がし、そのモンスターボールを握りしめる。

男「頼む…………！！頼むぞぉぉ！！」

僕は必死の思いで願い、モンスターボールを開いた。



マホイップ「まほっ！！」ﾆｺｯ

男「あ…………。」

マホイップ「まほ！まほまほー！」


中に入っていたマホイップはベリーの飴細工の"ミルキィソルト"の姿であった。

他の姿は明るい色が多いのに対し、体が真っ白なのが特徴的だ。

当然他の姿と同様、ミルキィソルトのマホイップにも幾つか意味があるのだが…………。

平たく言ってしまえば"義理"。

ミルキィソルトは"義理マホ"の定番として知られているのだ。

つまり僕が貰ったマホイップは照れ隠しなどではなく"義理マホ"。

僕の淡い希望は一瞬にして打ち砕かれた。


マホイップ「まほまほ！」

男「あぁ………うん……よろしくね。」


と言っても捨てるわけにはいくまい。

義理だとはいえ、好きな子に貰ったマホイップであることには変わりないし、「大事にしてあげてね」と言われたのだ。

だが、僕はポケモンをあまり育てたことがなく、この子をちゃんと育てられる自信がない。


男「どうしたもんかなぁ。」

マホイップ「まほ？」


マホイップは不安そうにしている僕の顔を見ると、もちょもちょと体を動かしこちらによってきた。

マホイップ「まほ！まほっ！」

男「な、なぁに？」

マホイップ「まほ……！」

ｷｭｩｩｩｩ

ﾋﾟｭﾜｧｧｧﾝ

男「？」

マホイップ「まほっ！」

男「これは……クリーム？」

マホイップ「まほっ！」ｺｸｺｸｯ


マホイップは好きなトレーナーにクリームを振る舞うことがあると聞いたことがある。

このマホイップは恐らく彼女によってある程度躾けられ、贈り物として僕に送ることを事前に伝えられていたはずだ。

だから出会ってすぐの僕にもクリームを振る舞おうということだろう。

僕は早速貰ったクリームを舐めてみた。


男「ん？」

マホイップ「まほ？」

男「なんだこれ……しょっぱい…………。」

マホイップ「まほっ！？」ｶﾞｰﾝ


そのクリームは甘く無く、しょっぱい味だった。

とても想像していた美味しいクリームとはかけ離れていた。

僕は気になりマホイップのミルキィソルトの姿について検索してみると………。

しんかの しゅんかん からだの さいぼうが ゆれうごく ことで しょっぱい フレーバーに なった。


男「な、なるほど………。」

マホイップ「まほー？」

男「ま……これはこれでいいか………。」

マホイップ「？」

男「ありがとなマホイップ。」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

マホイップ「まほ〜♪」

僕はマホイップの頭を撫でてあげた。

こうして僕とマホイップは一緒に暮らすことになった。

男「そういやマホイップって何食べんのかな？」

男「甘いもんとか好きそうだけど、クリームがしょっぱい味だったこともあるし………どうなんだろ。」

男「おーい、マホイップー！」

マホイップ「まほ〜？」

男「なぁマホイップ、何か好きな食いもんあるか？」

マホイップ「まほー、まほまほ！」


マホイップは身振り手振りで僕に何かを伝えてくる。

しかし全く伝わってこない。


男「うーん、わかんねぇ。」

マホイップ「まほ！？」ｶﾞｰﾝ

男「どうしよかなぁ。」ｶﾞｻｺﾞｿ

マホイップ「まほ………。」ｼｸｼｸ

男「あ！」

マホイップ「？」

男「そうだ、"義理マホ"だったけど折角あの子からマホイップを貰えたんだし、あの子に聞いてみればいいんだ。」

マホイップ「まほ？」


僕はマホイップをくれたあの子にメッセージアプリでマホイップの好みを聞いてみることにした。

僕はあの子と凄く仲がいいと言うことはなかったが、学校で同じクラスということもあり、連絡先を交換していた。

今まで登録時の挨拶ぐらいしかメッセージを交わしたことはないが、これを機にメッセージのやり取りが続くかもしれない。

もしそれであの子との距離が縮まり、発展することがあれば……マホイップさまさまである。

僕はまたもやそんな妄想を膨らませながらメッセージを送信した。


男「ふふっ、これでよしと。」

マホイップ「まーほ？」

男「うん、君をくれた子にメッセージを送ったんだ。」

マホイップ「まほ〜！まほ！」

男「ふふ、マホイップもあの子のことが好きなんだね。」

マホイップ「まほまほっ！！」ﾆｺｯ

返信を待つ間、僕はマホイップと遊んでみることにした。

まずは軽く手でマホイップの事を触ってみた。

男「」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

マホイップ「まほ〜♪」

男「ふふっ。」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

マホイップ「まほまほっ！！」ｷｬｯｷｬｯ


マホイップの額の部分を撫でてあげるととても喜んでいる様子だ。

次に僕は手をマホイップのおさげから飴細工の部分に移動し撫でてみると………。


男「」ｻﾜｻﾜ

マホイップ「まほ………？」

男「ん？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

マホイップ「まほ！！」ﾍﾟｼｯ

男「ど、どしたんだ？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

マホイップ「まほっ！」ﾌﾟｲｯ


どうやらおさげや飴細工は触ってほしくないみたいだ。

飴細工はマホイップにとって大事なものと聞いたことがある。

僕はナデナデするのは止めて、次にポケじゃらしを用意した。

これは僕のもう一匹のポケモンの為に以前数個入りのセットを購入したものだ。

マホイップにポケじゃらしを向けると………。

男「」ﾌﾘﾌﾘ

マホイップ「まほー？」


マホイップを首を左右に交互に振り不思議そうに見つめている。

男「」ﾌﾘﾌﾘ

マホイップ「」ｷｯ


首を交互に振るのを少しの間続けるとやがてポケじゃらしに向かってキッと睨みつけてきた。

そんな顔も可愛く見えるから不思議である。

男「」ﾌﾘﾌﾘ

マホイップ「」ｼﾞﾛｰｯ

支援

かわいい

かわいい

虐待よりこっちのがいい

ポケじゃらしを見つめる時の顔が可愛いのは同意

マホイップらしいふんわりと優しい話でええな

支援

これ虐待の流れにする予定が愛で派に支援されて作者やる気無くしただろ

だいあーく