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【SS】サブ任務123 怪奇!月夜に踊る影

 ▼ 1 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 21:36:43 ID:wHvsR/DI [1/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
???「起きてください!起きてください!生きていますか?」

テル「・・・誰ですか?」

ショウ「あなたの頼れる先輩のショウですよ。朝早くにすみませんが何やら門のほうが騒がしいのです。来てくれますか?」

テル「うーん、起きたばかりだし、暑いし、あんまり行きたくないです」

ショウ「え・・・、じゃ、じゃあ、先輩としての命令ですがダメですか・・・?」

テル「嘘です。今準備しますよ」

ショウ「良かった。じゃあ門で待ってますね」

・・・
テル「お待たせしました」

ショウ「それじゃあ、早速話を聞きに行きましょうか」

デンスケ「朝早くから呼びつけてすまない」

ショウ「いえいえ、それでなにがあったのですか?」

デンスケ「村人のサビが紅蓮の湿地で幽霊に驚かされたと喚いてるんだ」

サビ「喚いているとはなんだ!ボクは本当に幽霊にあったんだよ!」

ショウ「幽霊!?」ビクッ

テル「怖いんですか?」

ショウ「おほん、幽霊ですか?」

サビ「そう、幽霊がいたんだよ! ・・・あ、君はバリヤードのときの調査隊じゃないか」

テル「どうも」

サビ「君たち調査隊が頑張ってくれたおかげで、ポケモンが苦手なボクでも遠くまで足を伸ばせるようになったんだ。感謝してるよ。うん、君になら安心して依頼できそうだ!幽霊の調査、頼まれてくれるかい?」

テル「分かりました」

サブ任務123 月夜に踊る影
 ▼ 2 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 21:39:32 ID:wHvsR/DI [2/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ショウ「えー、そんな調査の依頼を受けるのですか? 幽霊など、何かの見間違いではありませんか?」

サビ「なにー!?ボクが嘘を言っているというのかい?」

ショウ「そこまでは言ってませんが・・・。なんだか、あんまり信用できませんね」

サビ「ふん!別にいいさ、ボクはこっちの彼に調査をお願いしたんだからね」

ショウ「それに・・・、その、あの、サビさん、ちょっとクサいですよ」

サビ「な!そ、それは、ここ数日、外にいたからね。仕方ないだろう」

ショウ「いや、そういうのとは、ちょっと違う臭いというか・・・。それに、あなた、顔が真っ赤ではないですか」

サビ「ぎくっ!い、いや、それは紅蓮の湿地から一晩中走ってきたからさ!」

ショウ「うーん、怪しい」

サビ「と、とにかく、ボクはいま疲れてるから家に帰って休むよ。昼過ぎに詳しい話を聞きに来てくれないか」

テル「分かりました」

サビ「じゃあ、よろしくね。そっちの君は来なくていいからね」ダッ

ショウ「怪しい・・・。テル、これは女の勘、いえ、あなたの先輩調査隊員としての勘ですが、サビさんは何か隠してますよ!なにより、幽霊など本当にいたら怖いではないですか!」

テル「でも、幽霊が本当に出るんならきちんと解決しないといけませんよ。あと、本音漏れてますよ」

ショウ「むむむ、それもそうですね。 ・・・それなら、こうしましょう!あたしも一緒に調査するのです!」

テル「え・・・」

ショウ「一緒にサビさんの隠し事を暴いて幽霊などいないことを確認しましょう!」
 ▼ 3 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 21:40:51 ID:wHvsR/DI [3/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
デンスケ「お前たち、サビの依頼を受けるのか?」

ショウ「ええ」

デンスケ「うーむ、サビの言うことは真に受けないほうがいいかもしれない」

ショウ「やっぱり、あたしの勘は正しいのですね!して、理由は?」

デンスケ「先ほどのサビの様子・・・ 酔っているように見えたんだがな」

ショウ「酔っている?」

デンスケ「ポケモンがこんらんしているような状態だな。酒を飲むとそういう状態になるのだが、ヒスイには酒はないはずなんだ。団長が常に節約を呼びかけているから、ぜいたく品である酒はヒスイに来てからおれも一度も見ていない」

ショウ「つまり、サビさんはヒスイにはないはずの酒を飲んで混乱し、何かを幽霊に見間違えたかもしれないということですか」

デンスケ「そうだ。まあ、酒なんてヒスイにあるはずないし、団長に報告するほどでもないがな」

ショウ「そうですよね、幽霊などいませんよね」

デンスケ「依頼を受けるならちょうどいいや。調査隊でサビの様子を探ってみてくれ」

ショウ「ええ、任せてください!」
 ▼ 4 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 21:43:18 ID:wHvsR/DI [4/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜昼過ぎ〜
ショウ「テル、準備はできましたか?サビさんに話を聞きに行きますよ」

テル「ショウ先輩も行くんですか?サビさん、嫌がりそうだな」

ショウ「何を言ってるのですか?一緒に調査するといったでしょう?さ、行きますよ」

・・・
サビ「げ、なんで君までいるの?」

ショウ「ふふふ、この件はあたしもテルと一緒に調査するのです。ごまかしたりはできませんよ」

テル「ショウ先輩、変なスイッチが入ってしまったようです。気にせず、幽霊が出たときのことを教えてくれませんか?」

サビ「なんだか、やりづらいなあ。まぁ、分かったよ、そのときのことを話すね」

 ボクはちょっと用があって紅蓮の湿地に行っていたんだ。

 ちょっと長居しすぎちゃって日が暮れてきたから、野宿の用意をしていたんだよ。

 場所は大口の沼の南の高台。見晴らしがよくて月がとてもよく見える場所さ。

 周りにポケモンの気配もなかったから、まさに休もうと思ったそのとき!

 ボクの影がゆらゆら揺れ始めたんだ!最初は見間違いかなと思ったんだけど…

 見ていくうちに、揺れるどころか踊り始めて・・・

 怖くなったボクは一目散に逃げてきたってわけさ。

 大口の沼を離れるころには影は動かなくなっていたよ。

 な、こんなの、幽霊の仕業としか思えないだろう?
 ▼ 5 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 21:45:04 ID:wHvsR/DI [5/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ショウ「か、影が踊り始めたッ!?」ビクッ

テル「怖いんですか?」

ショウ「おほん、なるほど、本当の話とは思えませんが影がひとりでに踊ったと」

サビ「本当の話なんだよ!そんな幽霊が出たんじゃ、怖くて紅蓮の湿地に行けないよ!早く調査して幽霊の正体を突き止めてほしいな」

ショウ「そもそも、サビさんはなんで紅蓮の湿地へ? 依頼履歴を確認しましたが、たまいし集めのためにオレンを山ほど持っていくような人が行くところとは思えませんが・・・」

サビ「そ、それは、いきいきイナホを集めてたんだよ」

ショウ「いきいきイナホ? 何のために?」

サビ「それは、まぁ、いろいろだよ!」

ショウ「やっぱり怪しい!自分の影が踊るように見えたのも酔っぱらって見間違えただけじゃないですか?」

サビ「酔っぱらう?子どもの君がどうしてそんなことを言うんだ?」

ショウ「デンスケさんに教えてもらったんです!サビさんが今朝、酔っているように見えたって」

サビ「なにー、くそう、デンスケのやつ。でも、それなら聞いただろ、ヒスイにはお酒はないって」

ショウ「でも、もし、あったら?」

サビ「え、そりゃあ、ボクたちも故郷にいたときは小さくて飲ませてもらえなかったし、せっかくヒスイで作ったんだから飲んでみようと思って一杯だけ・・・」

ショウ「ふーん」

サビ「はっ!今のはナシ!ナシ!」

ショウ「やっぱり、怪しい!テルもそう思いますよね?」

テル「今の態度は確かに怪しいかも・・・」

サビ「君までそんなことを!?ヒスイにはお酒はないんだから、ボクが酔っぱらってたなんてことあるわけないだろう?いいかい?君だけが頼りなんだ。幽霊が出たのは紅蓮の湿地の大口の沼だからね?調査頼んだよ」

テル「分かりました」
 ▼ 6 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 21:51:39 ID:wHvsR/DI [6/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
・・・
ショウ「さて、どうやって調査を進めましょうか?」

テル「定石通りなら、まずは現地調査ですけど・・・」

ショウ「現地に行って、本当に幽霊がで・・・、あ、いや、今回はサビさんも怪しいですし、現地調査は有効でしょうか?まずは、サビさんが嘘ついていないか確かめないと!」

テル「・・・怖いんですか?」

ショウ「ま、まさか!そうだ!ラベン博士に相談してみましょう!」

・・・
ラベン「ほう、新しい調査を受けたのですね!ボクも最近は新しい研究テーマを見つけましてね」

テル「新しい研究テーマ?」

ラベン「はい!ズバリ、ポケモンと人間の文化の関係性、です!」

ショウ「ポケモンと文化・・・?」

ラベン「夏ですし、少し怪談をしましょうか」

ショウ「え、も、もう夏も終わりましたよ!」

ラベン「まだまだ暑いので、まだ大丈夫です!では・・・」

 ここから遠く離れたガラル地方発祥のハロウィンというお祭りがあります。

 そのお祭りではジャック・オー・ランタンという灯りを使うのですが…

 なんと、その灯りがポケモンのバケッチャにそっくりなのです!

 これだけ言えば、バケッチャを見た人々がハロウィンを始めたといえるかもしれません

 ですが、近年、内部に蝋燭を入れた形跡のある人間の頭蓋骨がガラル地方で出土しました。それも複数ですよ!

 それらは当時の人々からジャック・オー・ランタンと呼ばれてました。どうやら、その頭蓋骨が後にカボチャにかわったようです。

 そこで、僕は思ったのです!ジャック・オー・ランタンが先ではないか?と

 先にハロウィンがあり、あとからジャック・オー・ランタンを真似てバケッチャが現れたと言えないか?と
 つまり、ポケモンという生き物には人間の文化を読み取る力があるのではないか!?
 学会では異端視されるでしょうが、ボクはいろいろな土地から人がやってきて、人の暮らし方、つまり文化が今まさに変わっていくヒスイの大地でポケモンの姿の変化を観察することにより、この仮説を・・・・・・
ショウ「あの、博士・・・! 長いです、難しいです、怖いです!頭蓋骨のなかに蝋燭!?」ぶるぶる

テル「本音漏れてますよ」

ラベン「おっと、すみません。科学者というものは自分の研究について、つい、語りたくなってしまうのです」

ショウ「もう、行きますよ!テル」ぷんすか

ラベン「Oh、行ってしまいました・・・」

テル「博士、ごめんなさい。ショウ先輩、朝から怖い話続きで参ってるみたいで」

ラベン「そうですか、悪いことをしました」

テル「気にしないでください!お話、楽しかったです」
 ▼ 7 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 21:58:14 ID:wHvsR/DI [7/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
・・・
ショウ「もう博士ったら」

テル「結局、調査どうしますか?」

ショウ「決めました。あたしはお酒を持っている人がいないか、コトブキ村で聞いて回ってみます!サビさんはやっぱり怪しいですし」

テル「じゃあ、おれは紅蓮の湿地に行ってきます」

ショウ「えっ!現地に行くのですか!?幽霊が出たら危ないです!」

テル「幽霊が怖いんですか?」

ショウ「おほん、そうですね、やはり現地に行く調査も必要です」

テル「今から行けば夜には間に合うだろうし、幽霊が出たという状況を再現してみますよ」

ショウ「本当は心配なので私もついていきたいところですが、怖いし・・・じゃなくて、あたしにはコトブキ村での調査もありますし、なによりテルにはバクフーンがついていますもんね」

テル「はい」

ショウ「それじゃあ、明後日の朝、調査の成果を報告しあいましょう!」
 ▼ 8 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 22:00:03 ID:wHvsR/DI [8/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜次の次の日〜
ショウ「テル、起きてくださーい」

テル「ショウ先輩、おはようございます」

ショウ「それじゃあ、調査の成果を報告しあいましょうか!まずはテルから聞かせてもらえませんか?」

テル「はい。結論から言うと、何も起こりませんでした」

ショウ「そうですか・・・」

テル「状況から説明すると、一昨日の夕方ごろにおれは大口の沼を北に見下ろす高台に到着しました。周りにはコロトックはいたけど、攻撃的なポケモンは生息していませんでした。夜になってからも一晩中起きてましたけど、ゴーストタイプのポケモンも近くにはいなかったし影も動かなかったなあ・・・」

ショウ「ふむふむ、やっぱりサビさんが酔っぱらって見間違えたに違いありません!」

テル「そうですかね?おれは幽霊が出るための条件をすべてそろえることができなかった可能性があると思うんです」

ショウ「幽霊が出るための条件?」

テル「確かに一昨日の昼のサビさんの態度は怪しい。彼が何か隠し事をしているのだとして、幽霊が出たときの状況を完全には教えてくれてなかったとしたら・・・? もしかしたら、夜、一人、大口の沼の南の高台、これ以外にも、例えば何かしらの行動をとることが幽霊出現のためには必要なのかも」

ショウ「なるほど・・・」

テル「ヒスイ地方にお酒が存在しないいま、サビさんが酔っぱらって見間違えたという説よりおれの考えのほうが筋が通っていると思いませんか?」

ショウ「あ、それなんですけど、実はもうヒスイにはお酒があるんです!」

テル「ええ!」

ショウ「タイサイさんの雑貨店に行きますよ!」
 ▼ 9 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 22:02:47 ID:wHvsR/DI [9/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
・・・
ショウ「タイサイさん、昨日のお話なんですけど」

タイサイ「どうも、調査隊のお二人。悪いけど、まだ君たちにはお酒は売れないよ」

ショウ「あ、いや、あたしたちが飲むというわけではないのですが・・・」

タイサイ「うーん、実は君たちの年齢だけの問題ではなくてね。確かにもうすぐ”いきいき清酒”が仕入れられそうなんだけど、いくつか問題があってね・・・」

ショウ「えー、じゃあ、まだお酒を売っているわけではないってことですか?」

タイサイ「そういうことだね」

テル「・・・確認はしっかりしようってことですね、先輩」

ショウ「うう、面目ないです」

タイサイ「それでも、以前はデンボクさんがぜいたくは絶対に禁止してたから、お酒なんて夢のまた夢だったけどね。物資も入手しやすくなってきたし、この前のお祭りでお酒がなかったのが堪えたんだろう。お酒を売ってもいいと言ってきたんだ。君たちのおかげだよ」
ショウ「えっへん、頑張った甲斐がありましたね、テル!」

テル「あはは」

タイサイ「そうだ、ちょうどいい。テル君、おつかいを頼まれてくれないかい?」

テル「はい」

タイサイ「製造隊隊長のタオファさんに、その”いきいき清酒”を仕入れさせてくれるよう話をつけてきてほしいんだ」

テル「またですか?」

タイサイ「今回ばかりはぼくが悪くて、直接頼みづらくてね・・・」

テル「タオファさんには今回は何を持っていけばいいんですか?」

タイサイ「そこは心配しなくていいよ。この”月餅”を持って行ってくれ。それと”月と影とを供にして二人で話しませんか?”と伝言をしてくれないかい?」

ショウ「月と影・・・?」

タイサイ「うん、それで通じると思うんだ」

テル「分かりました」
 ▼ 10 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 22:11:27 ID:wHvsR/DI [10/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
・・・
テル「タオファさん」

タオファ「おお、この前の騒動の立役者のテルよ」

テル「実はタイサイさんから届け物と伝言があって・・・」

タオファ「なに、あやつめ・・・。毎度、お前には苦労をかける。して、届け物と伝言とは?」

テル「届け物はこの”月餅”です」

タオファ「ふん」

テル「伝言は”月と影とを供にして二人で話しませんか?”と」

タオファ「ほう!なかなか、気の利いたことを・・・。ふむ、おい!」

製造隊隊員「はい」

タオファ「医療隊のシナトを呼んできてくれんか?」

製造隊隊員「了解です」すたすた

ショウ「え、タオファさん、待ってください!”月と影とを供に”とはどういう意味ですか?いま、やっている調査内容に関連した言葉が出てきて気になります」

タオファ「ふむ、まぁ、お前たちが分からぬのも無理はない。これは、わしらの間でしか伝わらぬだろうよ」

ショウ「タオファさんとタイサイさんの間でしか伝わらない?・・・二人の共通点は何かしら」

テル「確か、タオファさんとタイサイさんは同郷ですよね?」

タオファ「そうじゃ。そして、同郷のよしみを利用してあやつはわしのユリンを・・・!ぬおー」

テル「まぁまぁ・・・」

タオファ「ふう・・。ついこの前の話だが、わしの伝手でわが故郷より多くの者が移り住んできたのだ。その歓迎の宴のための品の手配をあやつに頼んだのだが、身内の癖にすっかり忘れよった」

テル「なるほど、それで仕事を忘れるような人の店には商品を卸さないと・・・」

タオファ「うむ。しかし、タイサイもさすがに悪いと思ったのじゃろう。酒を飲まないかと伝言を寄こしてきおったわ。そこで、謝って、そのままその酒を卸してもらおうという魂胆なのだろう。わっはっはっは」
 ▼ 11 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 22:13:59 ID:wHvsR/DI [11/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ショウ「え?つまり、”月と影とを供にしませんか”とは”お酒を飲みましょう”ということなんですか?」

タオファ「そうじゃ」

ショウ「意味が分かりません」

タオファ「だから、分からずとも無理はないと言っておるだろう。これはわが故郷に伝わる詩になぞらえたものじゃからな」

ショウ「なんと!風流な伝言ですね」

タオファ「ふん!あいつにしては上出来だ」

テル「それで、どんな詩なんですか?」

タオファ「うむ、詠んでやろう」

   月下独酌

  花間一壷酒  独酌無相親

  挙杯邀明月  対影成三人

  月既不解飲  影徒随我身  

  暫伴月将影  行楽須及春  

  我歌月徘徊  我舞影凌乱  

  醒時同交歓  酔後各分散 

  永結無情遊  相期遥雲漢

テル「意味は分からないけれど、やっぱり、詩だけあっていい響きですね・・・」

ショウ「どんな意味なのですか?」

タオファ「うむ、この詩はな・・・」

 詠んだやつは賢いばかりに人間関係に疲れた孤独な人間じゃ。

 そして、ある春の夜に独り酒を飲んでおった。

 そこで、ふと思ったのじゃ。月と影とを供にして、三人で飲もうと。

 もちろん、月は酒など飲まないし、影は自分にただついてくるだけじゃ。

 でも、しばらくの間だけはそんなことは忘れて三人で酒を酌み交わそう・・・。

製造隊隊員「タオファさん、シナトを連れてきました」

タオファ「おお、ご苦労。ま、詩の内容はこんなところじゃ」

テル「ありがとうございます」
 ▼ 12 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 22:16:51 ID:wHvsR/DI [12/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
タオファ「シナトよ、よく来てくれた」

シナト「どうも」

タオファ「それで、以前話した”いきいき清酒”の件だが・・・」

シナト「すみません、そのことなんですが、製造の目途がつかなくなってしまって」

タオファ「なんと!まぁ、よいわ。試作品はあるのだろう?二人分だけでも分けてくれんか?」

シナト「えっと・・・、実は試作品もなくなっちゃって・・・」

タオファ「なんと!これでは、タイサイと酒が飲めないではないか」

シナト「申し訳ないです。 ・・・まったく、サビのやつ」

ショウ「え!?サビ!?どうして、ここでサビさんが出てくるのですか???」

シナト「え・・・」

テル「すいません、おれたち調査隊でサビさんから依頼を受けてるんです。ちょっと、向こうでお話聞けませんか?」

シナト「わ、分かりました」
 ▼ 13 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 22:24:13 ID:wHvsR/DI [13/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
・・・
ショウ「サビさんとあなたはどういう関係なのですか?」

シナト「ボクとサビと警備隊のスグルは同郷なんだ。一緒に一旗あげようって意気込んでこの新天地にやってきたんだよ」

ショウ「一旗あげる・・・?」

シナト「うん、清酒造りでどーんと儲けて、こっちに地元にも負けないような酒蔵をつくろうって考えているのさ」

ショウ「清酒造り・・・!?それって、お酒を造るってことですよね!?」

シナト「そうだけど」

テル「詳しく聞かせてください」

シナト「分かった。まず、さっきも話したけど・・・」

 ボクとサビとスグルは同郷なんだ。ジョウト地方のアサギってところ。

 そこは清酒造りが盛んで、ボクは酒蔵の次男坊ってわけ。

 故郷でいろいろあって三人で家出同然で飛び出してきたんだ。

 ボクはクラフトの知識を活かして医療隊、スグルは腕っぷしを活かして警備隊に入った。
 サビはまぁ、たまいし集めとかしてて採集がうまくなっていったんだ。

 来たときはがっかりしたよ。酒を造りたいって言ったら、団長が「人の食べるものも用意できてないのに、穀物を潰して酒をつくるだと!」ってすごい剣幕で言ってきて・・・。

 でも、最近、物資も余るようになって酒を売ってもいいって許可が出た。

 ボクたちは張り切って、スグルが非番の日にサビを護衛して湿地まで行って、いきいきイナホをとってくる。ボクはそれをクラフトして酒にするってやって試作品をつくってた。

 そんなある日、サビが急に一人で湿地に行くって張り切り始めたんだ。止めたんだけど聞かなくて、結局行ってしまったよ。

 スグルとアゲまるがいなくて大丈夫かと心配してたんだけど・・・

 無事には帰ってきてくれたものの、帰ってくるなり「湿地にはもう行きたくない」って言い始めて困ってるんだ。

 このままじゃ、いきいきイナホがなくてお酒が造れないからね。

 しかも、なぜか保管してた試作品までなくなってるし・・・


ショウ「なるほど・・・」
 ▼ 14 ナイトやろう◆vOBgrPO9mA 22/09/11 22:25:13 ID:wHvsR/DI [14/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
テル「・・・ラベン博士の仮説、タオファさんの故郷に伝わる詩、酒づくりをする三人、何かを隠しているサビさん」

ショウ「え、テル、どうしました?」

テル「分かった!ショウ先輩、分かりましたよ!どうすれば幽霊に会えるのか!」

ショウ「えー!?ゆ、幽霊に会うつもりですか?正体は分かったのですか?」

テル「正体は・・・分からない。ポケモンかもしれないし」

ショウ「かもしれないし?」

テル「・・・本物の幽霊かもしれない」

ショウ「・・・」ぶるぶる

テル「でも、おれの予想が正しければそんなに悪い奴じゃないと思うなあ」
 ▼ 15 ブンネ@ももぼんぐり 22/09/14 17:52:17 ID:N496JkhM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
続きオナシャス
 ▼ 16 クノシタ@がんせきプレート 22/09/14 20:45:54 ID:NhX66SFA NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
>>15
今、学校の宿泊行事中なので明日まとめて貼ります


ほんとは怪談枠で夏SS企画に出そうと思ってたのに、書き留めを貼っている途中に寝落ちして期限に間に合わなかった悲しみ
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