▼  |  全表示79   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【SS】ポケットモンスターデリートphase3 -2

 ▼ 1 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/12/06 02:56:45 ID:2MRITnyk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
phase1:
【SS】ポケットモンスターデリート【本編】

【SS】ポケットモンスターデリート【本編】

https://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=797825

phase2:
【SS】ポケットモンスターデリートphase2

【SS】ポケットモンスターデリートphase2

https://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=1066821

phase3(途中で落ちてます):
【SS】ポケットモンスターデリートphase3

【SS】ポケットモンスターデリートphase3

https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1674136

多種多様なポケモンが暮らし、豊かな自然と技術とが共存する場所……タイキョク地方

この地方は今、大きな変化を迎えつつある


我が国ジポングで最も悪名高き暴力団『ギャラドス組』はタイキョク地方から手を引き

国の経済をも掌握する一大企業『ミロティックグループ』のCEOモウセンの汚職が明るみとなった

そして全世界のネットワークで暗躍する謎の組織『サイバー団』は突如としてその姿を消した

……これら全てに大学中退のニート生活を送っていた男、セガヤ・セトが関与していたと知る者は少ない


彼は旅の中で出会ったトレーナーやポケモン達と共に、多くの試練を乗り越えてきた

そしてもうすぐ、永い眠りから目を覚ますバトルの祭典が、最大級の試練となってセトに立ちはだかる

怒りと復讐、そして仲間の為に奔走したセトが彼の地で手にするは栄光か、それとも……

ド底辺男のシンデレラストーリーの始まりだ
 ▼ 40 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/04/01 03:10:09 ID:VI62GwTc [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「そう言えばさ、さっきのバスラオ何か変じゃなかったか? 赤筋でも青筋でもねぇ……」

ラークス「ああ、ありゃタイキョク地方でのみ見かける『むらさきすじ』の姿だな」

紫筋? タイキョク限定? このトシになって初めて聞いたぜ?

ラークス「元々バスラオってポケモンは昔外国から持ち込まれた……いわゆる外来種ってやつでさ」

ラークス「『あかすじのすがた』ってのと『あおすじのすがた』っていう2種の姿があるのは知ってるだろ?」

セト「あぁ知ってる。 ソイツらしょっちゅうケンカすんだろ?」

ラークス「そう、でもタイキョクの野生ポケモンって気の荒い奴が多いだろ? バスラオ以上に」

セト「まぁ言われてみれば否定はできねぇけどよ……」

ラークス「そこで! その気性の荒い天敵たちから自分たちの身を守るために赤筋と青筋は手を取り合ったのよ!」

セト「ンでその交配の末に生まれたのが『むらさきすじ』だと」

さっきのラークスの取った周りのものを躊躇なく巻き込む戦法。 まるでエイタの戦い方みたいだ

アイツも天敵だらけだけど……タイキョクのバスラオみてぇに分かり合えるヤツと未来を作れたらいいけどな……

ラークス「おぉー? どうしたジメっとした顔して、早く次のポケモン出さないと失格になっちまうぞ?」

セト「あ? あぁー!! そうだった! 作戦練ってんだ、カウントダウンぐらいしろっての!」アワワ

ポケモンを引っ込めたなら一分以内に次のヤツを出さないと失格なんだっけ、忘れてたぜ……

ラークス「カウントダウン……それいいな! カネカズとギンジ! メモっといてくれよ!」

カネカズ『はいはい……「失格者減少のためにカウントダウン機能を追加する」でいいですか? リーダー』

ギンジ『兄貴もマルテロちゃんもいつも大変ですねぇ……』

ひんやりとした磯の香に混じり、アンマッチな化学薬品の匂いが鼻孔を突く

そうだよな、いくら氷で覆われたってここが海だというコトには変わりはない

ラークスがショッピングモールの洗剤コーナーでの戦闘を避けた理由、『かがくじっけん』、ドクドクターの技が出んのは頭から……

カチ、カチリ。 俺の脳内に眠るギアルたちが次々に噛み合ってゆく
 ▼ 41 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/04/01 03:10:38 ID:VI62GwTc [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「もう一回頼むぜクチート!」シュッ!

クチート「くっちゃあ!」ポォン!

セト「クチート、今度は俺たちが海を味方に付ける番だ」ペロ……

親指で拭った汗が舌に乗り、そこから伝わる塩辛さが全身を奮い立たせる

クチート「……ちぃ」ニッ

俺の作戦を察したクチートは口角を上げる。 後は実行に移すだけだ

ラークス「さっきのオヴィナイトと同じタイプのポケモンか! どんな動きを見せてくれるのやら……」ニッ

ラークス「だがまずは安定の『かがくじっけん!』 さァ…クチートは何が当たるかなァ!?」バッ!

来た! ならまずは……

セト「『ミストフィールド』展開!! 残念だがクチートはクジに興味ねぇってよ!」バッ!

クチート「ちくぅ……」コォォォ……

ドクドクター「どぉっく!」バシャァッ!

ドクドクターがクチートに狙いを定め頭をもたげた時には、既に対象と自身は霧に包まれていた

ラークス「『ミストフィールド』ねぇ、状態異常を無効化されちゃあ低威力の『かがくじっけん』を使う理由はないな」

状態異常を使ってきがちなサイバー団のヤツらの対策で覚えさせた技が役に立ったぜ!

そしてお次は…

セト「クチート! 霧に隠れて相手の懐に潜りこめ!!」

今、海面は『れいとうビーム』で凍らされて冷え切っている。 そこに『ミストフィールド』、つまり霧を撒けば……

クチート「ちゃちっ!」シュタッ!

ラークス「おいおい……霧が濃すぎてクチートが見えねぇじゃんか……」クッ

冷えた霧は濃さを増し、互いの姿を隠す……
 ▼ 42 ノセクト@ヤチェのみ 23/04/16 00:53:58 ID:RsmEY.8Q NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 43 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/04/20 01:29:53 ID:OZJExIX2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ラークス「……なら『ヘドロばくだん』を撒き散らせ! クチートの足場を全て溶かし尽くすんだ!」バッ

そう、これならばドクドクターはおろかクチートさえ相手の居場所が分からない

しかし相手が攻撃を仕掛けてきたとなれば……!

セト「チッ、まーた海に沈める気かよ」

クチート「!!」バッ!

『ふいうち』によって相手の背後へと即座に移動できる!

クチート「ぢぁっ!」ゴスッ!

ドクドクター「どどぉっ!?」ズズズズズ…!

霧の中から鈍器の重い不意打ちを喰らったドクドクターはひっくり返り、氷上を滑る

ラークス「そう来るか…『かえんほうしゃ!』そのままぶつかりに行け!」カッ!

直後、ドクドクターの噴出口がスラスターと化し、クチートへと一直線に急発進した

クチート「くぶっ……!!」バリリリィン!!!

セト「ンなっ…!?」グッ…

ドクドクター渾身の突撃に身体を弾き飛ばされたクチートは、その勢いのまま氷を砕き、海へと押し込まれた

ラークス「ったく心臓に悪いよなぁ、『ふいうち』覚えてるポケモンが2匹いるなんてさ」フフ

ラークス「だがこれでクチートも終わり、少しは落ち着けるな」

鉄のように冷たい笑みを浮かべるラークス。 そして冷え切った海にはブクブクと泡が浮かんでいた

セト「クチート! ……クソッ!」

初っ端自分から海に跳び込んじまうのは明らかに不自然、相手にも「こりゃ何かあるな」と悟られちまう

だからこそこうやって相手の攻撃を受けた形で海に潜るコトが大切なワケだ

そう、コレは俺らの作戦……しかも第二段階のな
 ▼ 44 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/04/20 01:30:25 ID:OZJExIX2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ラークス「お前のクチートタフだなぁ、水中だっていうのにまだ闘志を見せてる」

霧越しに見える海面の泡にラークスの目が向いた

ラークス「気に入った! じゃあ敬意を表して浮いてきた瞬間に最大火力の『かえんほうしゃ』でトドメ刺してやるよ!」

ドクドクター「どっくどっく……」グルグル…

技の威力を高めるため攪拌とセトの心臓の鼓動、二つが次第に早くなっていく

セト「あーぁ、残念だ! せっかく『ふいうち』仕掛けたのにンな"しょっぱい結果"で終わるなんてよ」

クチート「……!」ブクブク…

ラークス「なぁセトよぉ、お前は負けるのが怖ぇか?」

セト「当たり前だろ! ここで負けちまったら"穴"があったら入りたいってモンかもな」ヘッ

クチート「っぢぃや!!」バシャァッ!!

口角が上がると共に、海面を鉄のハサミが突き破った

ラークス「…そうか、なら海ってドデカい穴に押し込んでやるよ! 『かえんほうしゃ!!』」バッ!

ドクドクター「どどどぉっ!」スチャッ!

溜めに溜めた『かえんほうしゃ』を放つため、頭部の噴出口という砲口がクチートへと向けられる

セト「今だ! 海水をブチ撒けろ!!」バッ!

クチート「ちゃっばぁ!!」ゴパッ!

ドクドクター「どどっ!?」バシャッ!

クチートのハサミが開き噴き出されたのは海水。 蓄えられていたそれはドクドクターの噴出口へと流れ込む
 ▼ 45 ノアラシ@ころころマメ 23/04/20 23:40:01 ID:1CvECH8E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 46 サキント@ピーマンスライス 23/05/03 04:13:50 ID:v9OkpDS2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 47 スゴドラ@テラピースあく 23/05/15 00:46:24 ID:nXlEu8YE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 48 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/05/16 02:55:45 ID:aS4gAlNY [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドクドクター「どっ……どどっ……どくぅ!?」モゴモゴゴ……バフゥン!

そして噴出口から放たれるは火焔ではなく、大量の泡であった

ラークス「泡!? ……まさか化学薬品と海水が混ざってヘンな反応を…!」クッ

自らの身体から際限なく溢れ出る不確定要素に埋もれたじっけんポケモンは、身動きを止めた

セト「俺は負けんのがバカ怖ぇ、だから勝つしかねぇんだよ!!!」カッ!

俺がバトルで渡り合って来たのは3つの組織、命を懸けたバトルに負けんのが怖くないワケがねぇ

セト「『だいもんじ!!』」バッ!!

クチート「ぐっちゃぁぁぁぁ!!!!」ゴォォォ!!!

ドクドクター「!!!!」ドゴォォォン!!!

じっけんポケモンは奇術師セトの発明した爆薬によってクチートのフェスを飾った
 ▼ 49 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/05/16 02:56:23 ID:aS4gAlNY [2/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「っしゃあ!  よくやったぜクチート!!」グッ

クチート「くちちん」フフン

ドクドクター「ど…くん……」グルグル…

ラークス「なるほど、実験じゃ測り知れない程の力ってやつか……サンキュ、ドクドクター」シュゥゥン…

ラークスはそう言って倒れた自身のポケモンを戻すと、次なるボールを手にセトに向き合った

ラークス「これで俺の手持ちは残り半分…折り返し地点ってやつだな」チャッ…

ドクドクターが2匹目で残り半分…じゃあアイツの手持ちは4匹ってワケか

ラークス「だが勝負はこっからってモンよォ! 試運航はもう終わりだァ!!」シュッ!!

ギギギアル「ギアギア…!」カタカタカタ…

ラークスの三番手はギギギアル…! でもアイツらって歯車が回らなくなると途端に調子が悪くなる筈だ

なのに何で潮が多くて金属が錆びやすいここで出すんだ?
 ▼ 50 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/05/16 02:56:55 ID:aS4gAlNY [3/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
そうして考えを巡らせている最中、ラークスは波止場に駐められていた2つのバイクに目を付けた

ラークス「おっと俺今日ラッキーだなぁ、キーが刺さったままのバイクを2つも見つけるなんてさ」

ギンジ『いやラッキーも何もフィールド設計段階の時からリーダーが置こうって言ってたじゃないすか…』

ラークス「おいギンジ! せっかくカッコつけてんのに……まぁいいや、セトは乗れるか?」

苦い顔をしたラークスが一つのバイクに跨りながら言う。 まさか俺にバイクに乗れって言うのかよ!?

セト「まぁな、けどバイクに乗って何すんだよ? まさか乗りながらバトルじゃねぇよな?」

ラークス「さあどうかな! 向上街集合な!」ブォォォン!

セト「あっちょっ…待て!」ヨット

乗っちまったけど……俺二輪免許なんか持ってねぇよ!! 
 ▼ 51 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/05/16 02:57:28 ID:aS4gAlNY [4/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「ああ何だこりゃ……おいお前ら、バイクってどう動くんだよ!?」ガチャガチャ

カネカズ『セト、お前まさか無免か?』

セト「何か悪ぃかよ!? 俺の行動範囲はチャリありゃ十分だったんだよ!」ギャー!

カネカズ『あー……そうか、ならクチートをまず肩かどこかに乗せな』

クチート「ちゃっ」ヒュッ

セト「言われずともコイツ乗ってきたぞ」

カネカズ『よし、じゃあカギを回してからだな……』

セト「それでここのハンドル捻りゃいいんだろ……おああぁぁぁぁぁぁッ!????」ゴォォォォン!!

クチート「ち”ゃ”ッ”!!!???」ゴォッ!

ギンジ『あー……兄貴、セトの奴とんでもねぇ急発進しちまったみたいですぜ……』

カネカズ『アホか……まぁアイツの生命力と悪運ならなんとかなるだろ』

ダンバロイドから聞こえてるぞお前らぁぁぁ!!! 仮想空間だからって言ってるけどケガしたらマジで許さねぇからなぁぁぁぁ!!!!
 ▼ 52 チゲータ@どくバリ 23/05/30 00:28:25 ID:ljhU.LVo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ネ
 ▼ 53 ローラベトベター@われたポット 23/06/09 21:51:38 ID:bS3gJTXc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 54 クタス@バトルポケット 23/06/22 00:34:45 ID:niaEdr0A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 55 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/06/22 01:51:38 ID:t2K22rOA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴォォォォン!!!

ギギギアル「ギアア?」

ラークス「何だ今の音? まさかと思うが……」チラッ

普段中々耳にしない轟音。 その発生源をなんとなく推測しながらラークスが振り返った先には

セト「よっしゃぁぁぁ!!! 何か知らねぇけどもうちょいでラークスに追い付けるぜぇ!!!」ゴォォォォン

クチート「ちゃー!!」イケイケ

無免許者ゆえに手にした速度で猛追するチャレンジャーの姿があった

ラークス「おぉセト! そのブッ飛ばし具合サイコーだな!」ブロロロ!

後ろを振り返り、俺の姿を視認したラークス。 その隣にはギギギアルがバイクの速度に合わせ浮遊する

ギギギアルは浮いているけど、対してクチートは俺の肩に乗っかってる。 このまま戦うのはキツいな……

なら相手を無理矢理停止させて戦えばいい!

セト「クチート! あの電柱に向かって『ラスターカノン!』」

クチート「ちゃっ!!」キィィィン!!

ラークス「!」

ハサミから放たれた眩い光が数十メートル先の電柱をへし折り、道路に横臥させる

こうして道を塞げばラークスはバイクを降りて戦わざるを得ない筈だ

しかし……
 ▼ 56 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/06/22 01:52:05 ID:t2K22rOA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ラークス「ほうほうそう来たか! なら…」パチン!

指を鳴らす音を合図に、バイクと並走するギギギアルが分離を始め

ギギギアル「ギギッ!」ガチャ!

ギギギアル「ギアア!」スチャン!

ギギギアル「ガチャチャン!」カチィン!

セト「ギギギアルがバイクと合体したァァ!!??」ギョッ!?

クチート「ちゃぃっ…!?」エッ…

ラークス「驚くのはまだ早い! じゃあギギギアル、いつもの頼むぞ!」グッ

ラークスがハンドルを握る力を強める、その途端

ギギギアル「ギアギアギア……」ウィィィィン…

セト「ハァッ!? 合体した上にバイクが浮くなんてアリかよ!?」ギョォッ!

今まで追いかけていたナンバープレートはセトが見上げた視界へと入り込む

ラークス「ハハッ! カッケェだろコレ! コレぞ人とポケモンが共存する街のバイクよォ!」ブルルルル…!!

セト「ンなのアリかよ!! …やってくれんじゃねぇか!」ブロロロ…!

「地面を無視する」というとんでもないショートカットで向上街へと飛んでいったラークス、俺も急いで向かわねぇとな……

こんなに早く向上街に向かうってコトは、俺が来るより前に何か準備をするためとかか?

……ならより一層気を引き締めていかねぇとな!
 ▼ 57 モルー@みどりのバンダナ 23/07/11 23:09:25 ID:ToP.6EKY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 58 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/07/16 02:53:01 ID:NFr66CpE [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
向上街へと向かう途中、セトはある作戦に用いるアイテムを求めに勝点街の家電屋を訪れていた

セト「電気屋って人多いイメージだからかもしんねぇけど……こうも人がいねぇと何か不気味だな」

クチート「ちぃ…」

そこのテレビコーナーだって人が誰一人いないってのに大量の液晶に映像が流れ、スピーカーからは音が流れ続けている

カネカズ『ところでお前、リーダーを野放しにしてまでここに何探しに来たんだ?』

セト「ん? あぁ……ちょうどあった。 コイツを探しに来たのさ」カチャ

カネカズ『んあ? んだそのキカイ? 少なくとも俺の生活にはなじみが無いな』

ギンジ『兄貴、アレはホログラム投影機でっせ。 あらかじめ撮影した映像や中継映像をホログラムにして流すんですよ』

カネカズ『おお! テレビとかで見るホログラムってそんなのから出てたのか!』

セト「正解、コイツはきっと使えるぜ〜」スッ…

投影機を失敬し、そのまま家電屋を出ようとした時だった

セト「…!」ピタツ

クチート「ち?」

テレビコーナーの全ての液晶が映し出す同じ画面。 その画面に目は囚われ、歩みは止まった
 ▼ 59 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/07/16 02:53:30 ID:NFr66CpE [2/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜ニュース番組『JARACO!』の一幕〜

"カケコッコジャーナル提供"

【注目トレーナー リアのポケモンをチェック!B】

今話題のトップモデルにしてポケモントレーナー・リアが手持ちのポケモンを紹介。
リアさんとポケモンたちの日常が見えてくるかも……?

リア「やあ! 今回紹介するのはレントラーだよ!」

レントラー「ラギャウ!」

リア「相手の攻撃を下げる特性:いかくは敵の技を見極めるのに向いてるよ。 作戦を立てるのにも役立つんだ」

リア「レントラーと言えば透視能力だけど、こいつはヤンチャな性格でね……うわっ」ドサッ

リア「こらレントラー! いきなりじゃれつくのはやめろって……」

レントラー「るぐぅ〜」

リア「やれやれ……こんな感じで急に抱き着いてくるから困ってるんだよね……特に壁越しに僕を透視で見つけては先回りされてコレだからね」ハァ

リア「お前結構おおきいんだぞ? いきなり飛び掛かられると心臓に悪いよ……」

レントラー「……しゅん(反省したフリして……また抱き着いちゃおう)」

アブソル「ゾルル!(いい加減にしろ!!)」ポォン

リア「レントラー……アブソルにはバレてるぞ(アブソルも苦労人だなぁ)」

レントラー「るらぁ……(今回は我慢するよ……でもバトルの後は甘えても怒られないんだよね)」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ▼ 60 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/07/16 02:53:52 ID:NFr66CpE [3/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
甘えん坊ね……アイツも沢山のクセの強い連中と一緒にいるんだろうし大変だな

カネカズ『いつもカッコつけてるリアも、ポケモンのお世話にゃ手を焼くんだな……」ウンウン

ギンジ『俺のクロバットも急に飛びついてくるんだけど、たまには叱った方がいいのかね?』

俺のポケモンも我の強いヤツらしかいねぇ。 けど姿も考え方も違うヤツらが勝利のために行動を共にする……

カネカズ『おいセト、バイクの自動運転こっちで設定しておいたから、バイクに乗ったらそのままリーダーんとこまで真っすぐだぜ』

セト「ありがと……ってンな機能があんなら最初っから設定してくれよ!」

カネカズ『ありゃお前が俺の話最後まで聞かずに勝手に急発進したからだろ……』ハァ

セト「んまっ…! ま、まあそうだけどよ……」ブロロロ…

ギンジ『兄貴も世話好きですねぇ』ヘヘヘ

リアもカネカズもギンジも、そして俺もポケモントレーナー。 苦楽を共にした仲間たちと共に、勝利を目指す
 ▼ 61 フレシア@エレキシード 23/08/02 00:40:32 ID:05M.fXJU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 62 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/08/15 02:00:57 ID:Hyq69nYU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜向上街〜

ダンバロイドの赤マーカーが示すのは向上街の中心地、ベルトコンベアだらけの工業地帯にあるひと際大きい工場だった

セト「このデッケェ工場ン中にラークスがいんのか……」ブロロロ…

案外目の前の扉を開けるとラークスとギギギアルが待ち構えてたりして……いや待ち伏せもありえるな

もし待ち伏せだった場合、素直にガチャリと開けたら大変なコトになっちまう

ならコッチはそれを上回る勢いの奇襲を仕掛けてやりゃいいんじゃねぇか?

セト「……思い付いた! クチート、『どろかけ』の準備をしながらしっかり掴まってろよ!」ブゥンブゥン

クチート「ちっ!」ガシッ

カネカズ『なぁセト、バイクのエンジンの音がデカくなってるって事はまさかそういう事か?』

セト「さすがヤンチャ野郎は察しがいいな! そう…」ギッ!

セト「カチコミに決まってんだろうがオラァァァァ!!!!」ギュロロロロロ!!!!

解き放たれたスピードとパワーは厚い鉄の扉を容易く、力のままに押し開き……伏兵の存在を露わにした
 ▼ 63 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/08/15 02:01:31 ID:Hyq69nYU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ギギギアル「ギアギアッ!?」ガタタッ!?

ラークス「バイクでブッ込む!? セトお前マジでブッ飛んでて最高だぜ!」オオッ!

頭上からの声。 声の主はベルトコンベアのある高所から身を乗り出し興奮していた

セト「まだいくぞゴラァッ!!」ギュギュギュ

度肝を抜かれ身動きを取れなかったギギギアルについにタイヤが衝突する……鋼の身体には大したダメージにはならない、それは分かっている

そう、これは陽動。 本当に俺が狙っているのは……

セト「今だ『どろかけ!!』」バッ!!

歯車の隙間に泥を詰まらせることでのギギギアルの動きの阻害! ギアル系の対処はサイバー団の下っ端どもとのバトルで培ってんだよ!

クチート「ちゃっ…!」ブクブク…

泥の充填されたハサミを構えたその時

ラークス「けどあと一歩だったな、『じばそうさ!』」バッ

ギギギアル「ギアアギア!」ブォォォン…

セト「うぇっ…」グイッ!

突然俺とクチートの身体が……正確には俺の乗っていたバイクが何かに引き寄せられ、泥があらぬ方向に飛び散る中、ギギギアルが遠のいてゆく

クチート「ぢぇっ…」ビターン!

そして最終的にはさっきブチ破った扉に俺もクチートもバイクも張り付けられていた

セト「うわっ…」ドサッ

俺とクチートは情けなく剥がれ落ちたが、バイクは未だに張り付いたままだ……でもそれに構っているヒマはねぇかもな
 ▼ 64 ノアラシ@2ごうしつのカギ 23/09/18 00:28:42 ID:ci0cCHCA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 65 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/09/24 03:05:18 ID:lguwNWNQ [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ラークス「おっとガラ空きはよくないな、その隙に『チャージビーム』だ!」

まずい! 『チャージビーム』は当たると特攻が上がっちまう……

ギギギアル「ギアッ!」バチッ!

セト「どこでもいいからベルトコンベアに飛び乗れ!」

クチート「……ちゃあっ」バッ!

鉄の扉に叩きつけられた直後というのに難なくハサミを用いて跳躍し、高部のベルトコンベアへと降り立つ

これでクチートがギギギアルを上から攻撃できる…!

セト「『どろかけ』連射! いつも通り頼むぜ!」

ラークス「泥を回避しながら『チャージビーム!』」

攻撃と回避の応酬が続く。 ラークスも泥詰まりのヤバさが分かっているから当たるとまずい『チャージビーム』で接近を牽制すんのか


どうにかして至近距離で確実に『どろかけ』をブチ当てる方法は……相手の攻撃の直後の隙を突くか?

それなら攻撃を躱してすぐいかねぇと……でもやらかすと的になるだけ。 どうにかしてデカい隙を作れねぇか…?

ふと、セトはリアと共にジムリーダー・ライキを攻略した時のことを思い出す

〜〜〜

想起されたのは交代したポケモンを肩に乗せ『じならし』を回避したリアの姿

セト「リア、でも流石にあの避け方はよ……」

ライキ「アッハハハハハハッ!!! いやぁオモロイなぁ、そんな避け方するなんて!」

〜〜〜

そうか、アレを試せばワンチャンある……! ラークスもライキみてぇにノリ良さげだから許してくれる……よな?

けど俺はリアとは違う。 俺がすんのはアイツとは違う避け方、否、攻め方だ

ベルトコンベアが泥で軋み異音が響く。 考えが潤滑に脳の隅々にまで行き渡る

 ▼ 66 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/09/24 03:06:43 ID:lguwNWNQ [2/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ラークス「さァもう一度『チャージビーム!』 たまにはジッとしててもいいんじゃねぇの?」バッ

セト「そうはいかねぇ、クチート、ラークスを足場にジャンプしな!!」

ラークス「ああっ!? お前何言って……おあぁっ!?」グラッ

泥詰まりによりベルトコンベアが異常停止したことを知らせるサイレンの中、ジムリーダーは体勢を崩す

クチート「ちゃっ!」ダッ!

そしてはぐるまポケモンの視界に映るはあざむきポケモンに足蹴にされた工場長

初めてかつ予想だにしなかった光景により生まれた驚愕が思考を追いやり、自分にふりかかる脅威への対応を忘れさせた

セト「思いっきりブチ込んでやれ!『どろかけ!!』」ガッ

クチート「ぐっちゃぁ!!」バシュゥン!

ギギギアル「ギギギァァッ!??」ベチョッ!

セト「しゃぁっ! やったなクチート直撃だぜ!」カンカンカン!

鉄の階段を駆け上がり、地上での作戦の成否を確認するセト

視線を上げると同じ高さに立ち上がろうとしているラークスがいた。 ヘッ、コレでもう俺を見下ろせねぇな

ラークス「またまた面白いことしてくれんじゃんか……まさかトレーナーの俺までお前の作戦の一部だなんてな」ヨイショ

ギギギアル「ぐっギギギ」ガリガリ……

不協和音を鳴らすギギギアル。 ガタガタと震えるその姿こそが泥が詰まった証拠だ

セト「許してくれた……っぽいな、ならいい! 『ほのおのキバ』で焼き切りな!」バッ!

ギアの動きを止め、全身の動きが鈍くなったところにトドメを刺す! これがギアルの必勝法だぜ!

ラークス「……いいぜ超気に入った! 噛みつかれる直前に『ボディパージ!!』」
 ▼ 67 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/09/24 03:08:04 ID:lguwNWNQ [3/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「!」

ギギギアル「ギギギギャギャギャーン!!!」グルルルルッ!

クチート「ちぇっ!?」ドサッ

『ボディパージ』により、ギアを加速させるギギギアルに噛みついていたクチートは勢いよく振り落とされてしまった

ラークス「俺がギア詰まりを対策してないワケないだろ?」フフッ

やられた! 泥を削ぎ落されたのに加えて、タイミングを見測ることでこっちの技も封じるなんてよ……

ジムリーダーだし何かしらギア詰まりの対策はあるだろうと思ってたら予想を軽く上回って来やがる……

セト「接近戦はヤベェな……チッ! アイツを叩き落としでもできりゃあ……」チッ!

クチート「…!」バッ!

クチートが俺の視界から消える。 そう、舌打ちは俺の『ふいうち』の合図!

死角から地面に叩き落としてやれ!!

クチート「るっちゃぁぁぁ!!」バキッ!!

ギギギアル「ギギギァ!?」ガシャン!

突如頭上から受けた打撃により、地面へと伏すギギギアル
 ▼ 68 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/09/24 03:09:31 ID:lguwNWNQ [4/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「今だ! 今度こそ『ほのおのキバ』で嚙みちぎってやりな!!」バッ

ラークス「気にせずに『ギアソーサー!』」

ギギギアル「ギュギュギューン!!!」グイィィン!!

地に伏したギギギアルのギアが高速回転したかと思うと、二つのギアがクチートを迎撃すべく射出された

クチート「くぅっ!?」バァン!!

まずは一つ目のギアが炎を湛えたハサミを弾き、襲撃者を無力化すると

クチート「くぶっ…!」ギギギギギギ!!!

次に二つ目のギアが標的の鳩尾に直撃し、そのまま高速回転を始める

セト「なっ!? 速っ…!」

ラークス「『ボディパージ』の効果は知ってるよな? それにまだ…終わりじゃない!」バッ!

ラークスがそう叫ぶと、ハサミを弾いた一つ目のギアがブーメランかのように弧を描き

クチート「くぐぐぅぅっ…!!??」ガガガガガガガ!!!!

クチートの背中にて二つ目のギアと共に獲物を挟み込むかのように回転する

セト「クチート!!!」

クチート「くぶっ…」ドシャッ

今度はクチートが地に伏す。 この感じだとどうやら急所を的確に狙ってきたみてぇだな……流石鋼タイプのジムリーダーだ、鋼タイプのポケモンのことをよく知ってやがる
 ▼ 69 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/09/24 03:10:36 ID:lguwNWNQ [5/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ラークス「セト! お前もクチートも、よく俺らを驚かせ奮闘したな」

ラークス「でもこのラウンドは俺とギギギアルの勝ちだ……『はかいこうせん!!』」ビッ!

『はかいこうせん』…! マズい……とてもじゃないが手負いのクチートには躱せない、トドメを刺しにきたな

セト「でもタダでやられるワケにはいかねぇ! 『メタルバースト!!』」バッ!

クチート「ぢやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」パキパキパキ……

眩い光と爆音が周囲を包み込んだ後、煙の奥には倒れたクチートと鉄の破片が散らばっていた

セト「お疲れ様、クチート……ギギギアルはどうなってんだ?」シュゥゥゥン…

ギギギアル「ギアギアギアン」グルグルグル

平常運転か……『メタルバースト』はあんまし当たらなかったみてぇだな……クソッ!

ラークス「さぁセト、早くお前の次の手を見せてくれ」

セト「ああちょっとタンマ! ンな急かさないでくれよ……」

そう、ちょっとここで作戦会議が挟まるからな

セドゥーム『どうした、何か思い付いたみたいだが』

ああそうだ、パラリラーを転ばせた時みたく、お前の杖をギギギアルに噛ませて回転を止めるなんてのはどうだ?

セドゥーム『悪いが無理だな、あの回転速度だと杖が弾かれてしまう。 それにここはプレス機が多いであろう』

セドゥーム『そのような場所で杖を不用意に飛ばすとどうなるか考えてみろ、テルのオウギガイを思い出しながらな』

主武装のプロペラを巨大熱プレス機に押し潰された挙句、身をまるごとプレスされてしまったうずまきポケモンの姿が頭によぎった

あぁ……じゃあそれはナシにして、他には……『1分』

へ?

セドゥーム『1分以内に次のポケモンを繰り出さねば失格……それだけは避けたいものだな』

あああ!!そうだった! ンなしょうもない負け方だけは絶対に嫌だ!

セト「いきなっセドゥーム!」シュン!

セドゥーム「ドゥオォォ……」モワモワ…

今はとにかく戦いの中でヒントを見つけ出す他ねぇな……行くぜ!
 ▼ 70 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/09/24 03:11:11 ID:lguwNWNQ [6/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セドゥームの特性により、工場の内部もが暗夜の帳に包まれる

ラークス「!!! 珍しいポケモン持ってんだなぁセト! それにナイトフィールドと来たか!」

やっぱりセドゥームってジムリーダーレベルのトレーナーでも珍しいヤツなんだな……

ラークス「そうか……ならギギギアルも本領発揮と行こうか!!」バッ!

ギギギアル「ギギギギィン!!」カタタッ

突然ギギギアルが浮かび上がり後方へと引く。 いきなり撤退……ではないな

ラークス「よーいしょっと!」ダッ

するとラークスが立っていたベルトコンベアから飛び降り、いくつかの鉄骨を軽々と伝っていく

パルクールかのように高所を伝った彼が最後に行き着いたのは大きな窓のある制御室だった

飛び移った勢いそのままにガラスを蹴破り中に入り込むと、スピーカーから聞き慣れた声が響き始める

ラークス『よしセト! これからお前にどうして俺がここを戦場に選んだのか、そのワケをたっぷりと教えてやるぜ!』

セト「あぁ?」

セドゥーム『あれは!』ハッ!

セトはセドゥームのテレパシーを聞き、事の重大さに気付いた。 工場全体が震動と金属が擦れ合う音とに包まれる中……

壁に格納されていたアームの数々が展開されてゆき、浮遊するギギギアルのギアとアーム先端部のギアが噛み合ってゆく
 ▼ 71 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/09/24 03:11:58 ID:lguwNWNQ [7/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「何だ? まるでギギギアルがあのアームと接続されてるみてぇだけど……」

このまま放置するとなんだかヤバそうな気しかしねぇな……なら今の内に攻撃して妨害なりしてやるぜ!

セト「いけセドゥーム!あのアームに『かえんほうしゃ!!』」バッ

全てのアームが接続される前にアームそのものを焼き払う。 それがセトの作戦であったが

セドゥーム「ドゥゴッ!?」ベキッ!!

その直後彼の目が捉えたのは炎を杖から放つセドゥームの姿ではなく、死角から振り下ろされたクレーンに吹き飛ばされる姿だった

セト「あぁっ!!? セドゥーム!?」

セドゥーム『ぬぅ……セトよ、これは思ったよりも難敵であるやも知れぬ』グルルル…!

うっすらと思い至った予想を信ぜずにいられぬまま、ギギギアルを見やるセト

「難敵」は今や見える全てのアームをその身に接続し、ギア全てがせわしなく動いていた

ラークス『おおっ? その顔からして俺が何故ここを選んだワケは察していそうだが……』

ギギギギギギギ……

セト「…! 上だセドゥーム! 落ちてくるぞ!」

セドゥーム「ムゥ…!」ダッ!

少し前までラークスが足場にしていたベルトコンベアがストゥムポケモン目がけて落下する。 さらに回避したその隙を突くかのように……

セト「またクレーンが来る! 『シャドーボール』で打ち返せ!」

暗球の接射でなんとかクレーンを弾き返したが、反撃の遅さ故に傷を負うことは免れなかった

なんてこった! まさかとは思ってたけどよ……

セト「……あーあ、最悪の予想が当たっちまったよ」ゲッ…

ラークス『やっぱ察してたか! そう。この工場にある装置、その全てがギギギアルの武器になる! だからこそ俺はここを選んだのさ!』

ラークス『さあ、ギギギアルのホームグラウンドでお前たちはどんなバトルを見せてくれるんだ!?』

向上街そのものが、再び挑戦者に鉄の牙を剥く
 ▼ 72 レフワン@ダイゴへのてがみ 23/10/17 00:22:38 ID:fodAAKV2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 73 マゲタケ@トマトスライス 23/11/08 23:39:54 ID:FOP64.EA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
SIEN
 ▼ 74 コガシラ@たからぶくろ 23/11/15 23:30:17 ID:w01ApkOc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
そういえばこの企画結構前からリージョンとは別の亜種ポケモンみたいなの考えてたけど
公式でもSVから登場したから一層違和感なくなったね
 ▼ 75 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/11/21 13:26:37 ID:3nM675to NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ラークス『狙い撃て"チャージビーム!"』

ギギギアル「ギギギ…」ビリリリリ…

ギギギアルの目には工場のどこから拾ってきたのかスコープが磁力で引っ付いている、これじゃ避けるのは相当ムズイぞ……

アイツの特攻こそ上がってしまうけどしゃあねぇ!

セト「『ひかりのかべ』だ!」バッ!

間に合ってくれ!

セドゥーム「ルオッ!」ピキーン!

間一髪、壁によって直撃を免れたセドゥーム。 しかしギギギアルは帯電しその力を増強させる

セト「スコープ!? マジで何でもあんじゃねぇかこの工場!」

セトの目に映るクレーン、ベルトコンベア、ドラム缶、そして廃材までもがギギギアルの意のままに己を襲う。 彼は自らの置かれた状況を再び理解しようとした

セドゥーム『何たる武装の種々と数々よ……だが主武装はクレーンといったところか』

セト「みてぇだな……だったらさっさとクレーンをぶっ壊して…『待て』

セドゥーム『それではギギギアル本体からの攻撃に対処できぬ。 それにアレは無策では到底破壊できぬであろうな』

じゃあどうすりゃ……

セドゥーム『ひとまずはあのクレーンから離れるが得策だろう。 機械故可動範囲は限られているのが幸いだな』

セト「わかった! なら『ほのおのうず』をバラ撒きながら一旦後退だ!」バッ!

セドゥーム「ルゥム!」ゴゴゥ

炎渦がギギギアルの視界を包む壁となる中、セドゥームは臨戦態勢を崩さず距離を取る

ラークス『なるほど、ギギギアルは壁に固定され視野が限られている……その上で『ほのおのうず』で包めば視覚情報をかなり遮断できるということか』オオ!

そうだ! 自分が炎に包まれてりゃスコープも意味がねぇ! そしてそんな狭い視野だと必ず死角が生まれる! そこに……!

ラークス『相手の状況を利用した戦術か! なら俺はこの逆境を利用した戦術で返してやろう! 『ほうでん』しろ!』

ギギギアル「ギッ…ルルルルルル!!!!」バリリリリ!!

厚い炎の渦の中からちらりと見えた閃光。 その眩さにまばたきした時には傍らのストゥムポケモンはその体毛を焦がしていた
 ▼ 76 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/12/18 02:38:03 ID:zsPAleMI [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セト「セドゥーム!! 何で距離も離れてんのにここまで届くんだよ!?」

セドゥーム『グゥ……“プラズマ放電”だ』ヨロッ…

セト「プラズマ!? 何だよソレ?」アァ?

なんかの記事で読んだ記憶があるけど……海外の変な組織だったっけ?

ラークス『よく気付いたなぁ! 炎は電離発光しているプラズマ……簡単に言えば空気よりも電気を通しやすいってコトさ!』

セト「簡単に言っても分かんねぇよ!」キーッ!

ド文系の俺にソレで分かると思ってんのかよ! ……まぁ要はだいぶ離れねぇとヤバいんだろ

セト「まだ距離を取りな! プラズマってヤツで……ん?」

セドゥーム『どうした?』

セトの目に留まったもの、それはクチートが散り際に放った『メタルバースト』の破片だった

ギギギアルの足元に散らばる鉛色のそれらは、カタカタと音を立て独りでに蠢いていた

セト「なぁ、何でンな鉄のカケラが生き物みてぇにカサコソ動いてんだ?」

セドゥーム『磁力に引き寄せられているからであろうな。 そして今ここで磁力を帯びておるものとなれば……』

セト「ギギギアルだな」

セドゥーム『左様。 『ボディパージ』により研磨された奴は、幾多の電気技連射も相まって静電気を帯電しておる』

ピカチュウとかの特性じゃない方のヤツだな、だから鉄が引き寄せられるってワケなのか

セト「ならよ、その磁力を利用してさっきのクレーンをギギギアルにブチ当てることもできるってコトだよな?」
 ▼ 77 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/12/18 02:38:37 ID:zsPAleMI [2/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セドゥーム『ほう。 不可能ではないが……まずはあのクレーンを吊るしている鉄線を切断せねばな』

セト「確かにな……でも勘付かれちまったら対処されちまうんじゃねぇか? もっとこう……不意打ち的な一撃にしねぇと」

セドゥーム『“おにび”ならば炎が一定時間吸着する。 一気に焼き切るのではなく、じわじわと溶かすのだ』

セト「なるほどな、じゃあバレねぇようにギギギアルを狙うフリをして、おにびをクレーンに当てんだな。 頼んだぜ」

セドゥーム『御意』

丁度作戦会議が終わった頃、熱く厚い炎の渦が立ち消え、睨み合う両者を遮るものが無くなった

ラークス『お久しぶりだなぁ! 寂しかったぜぇ! セトォ!!』

セト「ヘッ、会えて嬉しかっただろ? なら土産の『おにび』を受け取ってくれよ!!」バッ!

セドゥーム「ドゥム…」ブォォォ…

セドゥームの周りに青白い人魂の群れが現れ、その各々が標的へと浮遊する

ラークス『残念だがうちの会社はボヤの贈り物は受け取らない主義なんでなぁ!“マジックコート!”返品だ!』

ああっ!?

壁と一体化したギギギアル全体を包むかのように鏡張りの防御壁が展開され、人魂の群れはセドゥームに向かって跳ね返された

セドゥーム「グゴゥ!」ジュゥゥゥン…

セト「マジかよ!」チラッ

横目で例のクレーンのクレーンを見、『おにび』の吸着を確認する。 コレでひとまず目的達成だな

セドゥーム『じんつうりき”での遠隔操作だ、お陰で我に命中した“おにび”は最小限で済んだ』

セト「ンな器用なコトもできんのかよ……お前相変わらずスゲェな」
 ▼ 78 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/12/18 02:39:51 ID:zsPAleMI [3/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ラークス『(“マジックコート”は変化技を反射できる技……しかし、さっきは全ての“おにび”がセドゥームに跳ね返りはしなかった……何故だ?)』

セト「やってくれたな……ならもう一度『おにび!』工場全体にバラ撒きな!!」

今度は本命のクレーンの炎をカムフラージュするためにフィールド全体を燃やすぞ、さらに……

セドゥーム「ムォォォン!!(火を隠すなら炎の中、か……)」ボワワン……!

再び現れた人魂の群れは先程とは打って変わってそれぞれがバラバラに動き始めた

ラークス『おいセト! いくら仮想空間だってお前放火魔かよ!? ……でもそういうトコがそそるんだよなぁ!』

ラークス『(いくら工場内が燃える事で電気の通りが良くなると言っても、セトもそれを知っての上でこの火の海……)』

ラークス『(あいつの事だ、何か作戦があるに違いない! なら……)』

ラークス『スプリンクラー起動! スズイロ造船の鉄則!! 安全第一にな!!』バッ

ギギギアル「ギギギ……」キィィ……

ギギギアルのアームの内の一つが展開される。 その先は消火用のスプリンクラーだろう

……この時を待ってたぜ!

セト「『じんつうりき!!』あのスプリンクラーをブッ壊しな!」

セドゥーム「ドゥアッ!」キィィィィン!!

金切声のような音がしたと思えば、その直後には破裂音の後アームの落ちる落下音が響いた
 ▼ 79 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 23/12/18 02:40:49 ID:zsPAleMI [4/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ギギギアル「ギギギィ?」ガチャチャ…

ラークス『(消火の妨害! やはりこの状況はセトに何らかの利があるということか!)』

ラークス『(ならその利を貪られる前にケリをつける!)消火のジャマするなんてワルな奴だなぁ! “ほうでん”でお仕置きだぁ!!』

ギギギアル「ギギギギギギィィ…!!!!」バチチチチチチ!!!!

自身の発する最大電力を本体に帯電させ、そして放つ。 しかし、ギギギアルはそれを帯電した時点で最強の磁石と化してしまった

『おにび』によって弱り切った鉄線には、最早強力な磁力とクレーンの土台との綱引きに耐えられる力など残ってはいなかった

弾けるような音

ギギギアル「ギギ……ッーーーーーー!!!!……ギアア…」ビキキキキ……

セト「ナイスタイミングだぜ」

自身の引き寄せた自身の武器によって打ち砕かれた巨体は、自然と壁から剝がれ落ちた

カネカズ『ギギギアル、戦闘不能……!』

ギンジ『まさかこんな偶然? いや奇跡? ミラクルが起きるなんて……「いや」

ラークス「偶然でも、ましてや奇跡でも何とでもないさ」スタッ

ラークスが制御室から飛び降り、はぐるまポケモンをボールに収めながら言葉を遮る

ラークス「必然だろ? セト、お前の掌の上ではな」フフ…

セト「大正解、鉄は磁石に引っ張られるモンだろ?」ヘヘ

ありがとな、セドゥーム。 お前のお陰でタイキョク1のジムリーダーをダマせたぜ!

セドゥーム「ドゥム」フフン

ラークス「いやぁー……一本取られたな! でもお陰で俺ァ今最高の気分だよ……」スッ…

ジムリーダーは全身を楽しみに支配されながら、隠し玉を取り出した
このページは検索エンジン向けページです。
閲覧&書き込みは下URLよりお願いします。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1827302
(ブックマークはこちらのページをお願いします)
  ▲  |  全表示79   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!

(消えた画像の復旧依頼は、お問い合わせからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼