【バレンタインSS】スター団幹部一同「みんなでチョコ交換会だー！」 ボタン「名付けてバレンタインデー大作戦だし……」

#1 「ビターチョコレートな思い出と」

ピーニャ編

このパルデア地方には……いや、この学園には昔から、「バレンタインデー」という文化がある。

元は、極東の地方の文化だったらしい。


大昔──何代目かは分からないけど──とある校長が極東の地方を観光した際、感銘を受けて、アカデミーにバレンタインデーを導入したという。


どうやら最初は、恋人や好きな人にチョコを渡すことで、「その者への愛情を表現する」のが目的だったらしい。

しかし現在、この学園のバレンタインデーは恋人のみならず、友人や両親、世話になった人など、「誰かに感謝を伝えるためにチョコを渡す」というのが主な目的になっている。



ボタン「うちからの提案なんだけど……スター団みんなで集まって、チョコ交換会をしたいんだ」

ビワ「チョコ交換会？」

ボタン「バレンタインデーって感謝を伝え合うイベントでしょ。み、みんなで……日頃の感謝を伝え合いたいなと思って……」ﾃﾚﾃﾚ

ビワ「わぁー！ すごいよ、それ名案だよ！ 私、みんなにチョコ贈りたい！」

メロコ「げーっ、チョコかよ参ったな……。オレそういう甘いものとか詳しくねぇんだけど。どこで売ってんだろ」

オルティガ「買うだけじゃなくて作るって手段もあるよね。まぁメロコは、そういう手作りチョコとか無縁そうだけど」

メロコ「あぁ？ 喧嘩売ってんのかテメー！」

ビワ「もう！ 言い過ぎだよオルくん！ メロちゃんだってチョコくらい作れるよ！ ねっ！！」

メロコ「うっ……」

オルティガ「いやいや無理そうな顔してるじゃん。うっ、とか言ってるじゃん」

メロコ「ば、ば、ばばば、バカやろー！ 作ってやるよ！ とんでもねぇ絶品チョコ作ってやる！ 待ってろよ！ その代わりぜってぇー食えよ！」ｽﾀｽﾀｽﾀ

ビワ「あ、メロちゃん待ってー！」

交換タグに入ってて草
支援

オルティガ「んー、オレはどうしようかなぁ。行きつけのスイーツ店で買おうかなぁ。なぁ、ピーニャはどう思……」

ピーニャ「…………」

オルティガ「……ピーニャ？」

ピーニャ「あ、あぁ、ごめん、聞いてなかった。次にやるあいさつ習慣の話だったっけ」

オルティガ「全然違うっての。バレンタインでみんなに渡すチョコの話」

ピーニャ「……ご、ごめん、僕そういえば用事があって」

オルティガ「お、おい！？ ピーニャ！！」

ピーニャ「ごめん、後でちゃんと話そう！」ﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯ

オルティガ「行っちまった……どうしたんだよアイツ」

僕の名前はピーニャ。
スター団の幹部で、チーム・セギンのボス。

……僕は、実は、バレンタインが大嫌いなんだ。

あれは、僕がまだ生徒会長をしていて、いじめられていた時のこと。

先生「ピーニャくん、最近生徒の間で不純異性交遊が見られて困ってるんだよ。生徒たちの服装も素行も乱れてきてるし、近所の住民からクレームが来てる。アカデミーのためにも、何とかしなきゃいけない」

ピーニャ「それはまずいですね……」

先生「より良い学園を作るためにも、新しい校則を出さなきゃならない。キミ、そういうの考えるの得意だよね？」

ピーニャ「新しい校則……ですか」

先生「私は新生徒会長の君に期待してるんだ、頼むよ」

ピーニャ「わ、分かりました……！ 僕にお任せください！」


先生に頼りにされていることもあって、僕はたくさんの校則を作った。

例えば
・スカートは膝下5センチの短さまで。
・テーブルシティ内での男女の過度なスキンシップは禁止。
といったような感じでね。

でも、そのせいで僕はアカデミーの嫌われ者になった。
だけど、いいんだ。
アカデミーがもっと良くなることが、僕の望みだったから。