災いの宝

プロローグ　失敗
私は、失敗した。

理想の世界を、作れなかった。あと、少しだったのに。もはやあの地方に私の居場所は無いだろう。　


そう思った。しかし…　

あのお方が、私にチャンスをくれた。とある国を滅ぼしたら、私に居場所を与えてくれると言った。

国を一つ滅ぼし、大量の人間の命を奪うのは、心が痛む。しかし、私はあの地方に居場所を持たないといけない。
私の邪魔をしたあの少年が必死に作っている、「ポケモン図鑑」とやらが完成するまでは。

一章　到着　

私は船に乗っていた。かつて私の居場所があった、そして再び私の居場所になるであろう翡翠の地はどんどん小さくなり、大海原に、消えた。

（嗚呼、再びこの地に変える頃には「ポケモン図鑑」とやらは完成していますよね？）

期待する私を載せて、船はひたすら前進した。私の相棒のポケモンたちは今はいない。翡翠の地に残してきた。


そして、私の良き協力者であったギラティナも、どこかに姿を消した。

時間が過ぎた。大海原を照らす太陽は地を這い、茜色に燃えて、水平線に消えた。
青空はオレンジ色に染まり、やがて闇に包まれた。
夜の波が船底に当たる音を子守唄に、私は眠りへと引き込まれた。

確かに商人繋がりで有るかもね
支援

私が眠りに落ちている間に経由地の大陸に付いていた。私にチャンスをくれた■■■■という鎧を着た相撲好きの男によるとここでその国を滅ぼすための武器をもらうことができるらしい。
私が■■■■の使いである証を見せると、
「こんにちは！こちらの建物へどうぞ！」
と建物に招かれた。
恐ろしいくらい豪華な造りの建物に入った私の前に現れたのはとても美味しそうな料理と…

剣、勾玉、木簡、そして鼎だった。
「長旅でお疲れでしょう。私たちの地方の料理を召し上がってはどうですか？」
「ありがとうございます。」
私がテーブルに座り手を合わせると私を建物に招いた男はそれぞれの物について説明をし始めた。

「この剣にはパオジアンというポケモンが宿っています。私たちの地方では古豹剣と書きます。」
男が剣を手で擦ると折れて二本になった剣から肉体が生成され、ポケモンとなった。ポケモンの一部となった瞬間剣の先端に氷が生成された。剣から生まれたそのポケモンは白く豹のような姿をしていた。
「こいつはすごいですよ。気候を変えることができて、ただの山を雪山にすることだってできます。」
男が再び剣を擦るとポケモンの肉体は消え、剣に戻った。

その調子で、イーユイ、チオンジェン、ディンルーというポケモンについて説明を受けた。彼らもとても恐ろしく、街を溶岩の海に変えたり、地方を大飢饉で滅ぼしたり、途轍もない深さまで地面を割り湧き出した地下水によりやがてそこは湖となるそうだ。

とても恐ろしい能力だが、私がかつて目指した目標は、もっと恐ろしかった。こんなものとは、比べ物にならない。
そのとき私は、その目標に向かっていた時に目にしたとある文章について思い出した。

そのもの　あらゆるうちゅうで　ポケモンとひとをみる

これからの私の罪もすべてあの恐ろしい「目標」が見ているのだろうか。