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【アニポケXY&Z】ともに強くなろうと約束して… 【タグ忘れ再建設】

 ▼ 1 15/12/27 22:44:45 ID:THV7eBTA [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 
 
――俺たちは初めて後悔した。
 
 
 ▼ 2 15/12/27 22:44:53 ID:THV7eBTA [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシは我知らず歯を食い縛った。

骨の軋む痛みに耐えるために歯を食い縛った。

あまりの痛みに我を失いそうだった。

それでもサトシは目は閉じまいと、前方に鋭い視線を投げた。

サトシの視界には、未知の姿を得たゲッコウガと、

アランというトレーナーの相棒・メガリザードンが、

虚々実々と火花を散らしていた。

お互いの技の応酬がフィールド上に炸裂した。
 ▼ 3 15/12/27 22:45:20 ID:THV7eBTA [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゲッコウガの≪水手裏剣≫と、メガリザードンの≪火炎放射≫が、

爆発音をあげては黒煙を起こし、凄まじい砂塵を巻き上げた。

百戦錬磨のサトシは静かに思案する。

相手のメガリザードンは強い。

主人のアランとともに勇猛精進し、自身を訓戒してきたのだろう。

メガリザードンは雄叫びをあげ、縦横無尽にフィールド上を旋回しては、

高威力の青い炎を吐いてくる。
 ▼ 4 15/12/27 22:45:47 ID:THV7eBTA [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシはメガリザードンの身動きを捉え、

相手の出方を推測しては、ゲッコウガに指示を出す。

破竹の勢いで指示を飛ばしては、

頭のなかで次なる戦略を練り上げていく。

そのたびに激痛がサトシの全身を打ちのめした。

火傷のような痛み。強い麻痺を帯びたような鋭い痛み。

肉を抉られたような激しい痛み。

それらすべての痛みが、サトシの全身に駆け巡っては、

尋常ではない苦痛をもたらしていった。
 ▼ 5 15/12/27 22:46:13 ID:THV7eBTA [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシは何度もその場で倒れそうになった。

すこしでも気を緩めてしまえば、本当に倒れてしまうだろう。

しかしそれは決して許されない。

サトシは傷だらけの身体と精神にムチ打って、

フィールド全方位に目を配る。

ゲッコウガが闘争心を燃やして、メガリザードンと戦ってくれているんだ。

トレーナーの俺が戦闘から意識をはずしてどうする? 

サトシは左肩の痛みを右手で抑えながら、

鋭い視線で、メガリザードンの戦闘能力を見極める。
 ▼ 6 15/12/27 22:46:41 ID:THV7eBTA [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おそらく相手の次の攻撃は≪雷殴≫だ。

ほんの一瞬だったが、メガリザードンの凶爪から鋭い閃光が見えた。

見逃してしまいそうなほど一筋の細い閃光が、この目で捉えることができた。

炎・飛行または炎・竜に属するメガリザードンが、

不一致の電気技を繰り出すためには、一定のチャージ時間が必要なはずだ。

アランとリザードンがどれほどの修練を積んできたかはしらないが、

これだけは絶対条件だ。
 ▼ 7 15/12/27 22:47:26 ID:THV7eBTA [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシは瞬時にゲッコウガに≪影分身≫を指示しようと、大きく息を吸い込んだ。

そうしようとした。

そこでサトシはハッと違和感を抱いた。

身体に激痛に激痛を叩き込んだ結果なのか、

あるいは激痛を受け取り続けた全神経が壊れてしまったのか、

サトシは今まで感じていた痛みを感知できなくなった。

それと同時に、サトシは肺にうまく酸素を取り込めなくなった。

心なしか視界がだんだん狭まっていくように感じた。

視界から光が失っていくことに、サトシは焦りを覚えた。
 ▼ 8 15/12/27 22:48:49 ID:THV7eBTA [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このままではマズイ。

サトシは爪が食い込むまで両拳を握りしめて、精神力を絞ろうとした。

呼吸の出来ない喉から、声を絞り出そうと口を大きく開けた。

なのにサトシの意識は次第に暗闇に飲み込まれようとしていた。

サトシは目を凝らす。

まだだ。

まだ倒れるわけにはいかない。

俺はゲッコウガと約束したんだ。

誰も見たことのない高みへともに行こうと約束したんだ。

だからこんなところで、俺が倒れてどうするんだ。
 ▼ 9 グカルゴ@こだいのぎんか 15/12/27 22:48:49 ID:pukJjcvc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 10 15/12/27 22:49:56 ID:THV7eBTA [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシはそう自分自身を叱咤した。

それでもサトシの身体は重力に従って倒れていく。

サトシは両足に力を籠めようとしても、

意識がどんどん遠退いていくのを感じてしまった。

だがサトシは諦めようとはしなかった。

サトシはゲッコウガとの約束を交わした記憶を強く思い起こしながら、

視界から消えていくゲッコウガの姿を掴もうと足掻いた。

次は≪影分身≫だ……それから……≪水手裏剣≫を連続で……繰り出して、

相手を錯乱させて……そして、おまえの……おまえの……得意の≪いあいぎり≫で……

 

 
 
 ▼ 11 15/12/27 22:51:14 ID:THV7eBTA [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 
◆◇◆
 
 
なにか物音がした。なにかの倒れる音がした。

その音がゲッコウガの心を騒がせた。

ゲッコウガの集中力を切断した。

ゲッコウガは嫌な予感に呼吸を止めて、音のした方向に振り返った。



サトシが倒れていた。

大切な主人が意識を失って倒れていた。

次いでサトシの仲間の叫びが飛び交った。

主人の唯一無二の相棒が、泣き叫んで「ぴかぴ」「ぴかぴ」と呼んでいた。
 ▼ 12 15/12/27 22:52:11 ID:THV7eBTA [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゲッコウガは戦闘を忘れた。

メガリザードンの存在を意識から追い出した。

いまはそんなことはどうでもいい。

主人が倒れたんだ。

サトシは無事だろうか。

それだけでゲッコウガの頭がいっぱいになった。

ゲッコウガは我先にと主人のもとへ駆け寄った。

まるで全身が悲鳴をあげてるように感じだ。
 ▼ 13 15/12/27 22:53:13 ID:THV7eBTA [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
我を忘れたゲッコウガは膝を突いて、サトシの状態を調べようと、

サトシの頭を左膝にのせるようにして抱きかかえた。

そうしてゲッコウガは心臓が止まるのを感じた。

サトシの息が弱かった。

顔が青かった。

その眉が苦しそうに寄っていた。

アラン「トレーナーが倒れたのなら仕方がないな。行くぞ、リザードン」

リザードン「…………」 

相手のトレーナーが興醒めた声でそう言っているのが聞こえた。

ゲッコウガはそれに憤りを感じた。

けれど相手のそんな言葉はすぐに頭からこぼれた。

今優先すべきことはサトシの体調だったからだ。

 ▼ 14 15/12/27 22:54:10 ID:THV7eBTA [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゲッコウガは主人を抱きかかえたまま立ち上がって、

ピカチュウとともに、ポケモンセンターへ駆け出した。

ゲッコウガはその時間さえ惜しいと思った。

サトシを、大切な主人をはやく医者のもとへ連れて行かなければ、

ゲッコウガの心はサトシにたいする危惧でいっぱいだった。

そしてゲッコウガはサトシを医者のもとへ引き渡すや否や、

ピカチュウのすぐそばで、膝から崩れ落ちた。

そのあとジョーイが慌ててゲッコウガを台の上に乗せて、治療室へと運んでいった。


 
 

 ▼ 15 15/12/27 22:55:16 ID:THV7eBTA [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


その日の晩ゲッコウガは治療室で目を覚ました。

そしてすぐに体を起こして、主人を探しに治療室を飛び出していった。

忠誠を尽くすゲッコウガは、ジョーイの注意を振り切ってまで、

サトシの傍に駆け寄りたかった。

サトシはどの病室にいるのだろうか。

怪我はたいしたことはないだろうか。

サトシの意識は回復しただろうか。

それともサトシは目を閉ざしたまま、細く弱い呼吸を繰り返しているのだろうか。
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