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【SS】「何を目指していたのか」

 ▼ 1 ◆RrHxZ2ia/U 16/02/14 22:06:46 ID:FsZKISqo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 紅葉に染まる通学路。

 ミオンという少女はこの道が嫌いだった。

 理由は二つある。

 一つは、この先には自身が通う「トレーナー養成学校」が存在すること。

 行きたくもなかった場所に、家から追い出される形で入学する羽目になったため、どうしても好きになれない。

 まあ、そこは大した問題ではなくて。

 2つ目のほうがインパクトが激しい。

 あーあ、と今日も少女はため息をつく。

 校門の前で毎朝見る人の塊。

 その中心には、少女の先輩と呼べる女が血だらけで倒れているのだから。
 ▼ 205 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:21:20 ID:6wwuaxSw [1/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あ、ちょっと、カバンを勝手に漁らないでくだ……」

「お、これか?でてこい!ロズレイド!!」

「あ…………」

 ボールが開いた瞬間、私は近くの噴水にダイブする羽目になった。
 ▼ 206 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:21:53 ID:6wwuaxSw [2/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「いや、本当にすまなかった。まさかあそこまで反抗的なポケモンだとは」

「捕まえた時も私を鞭で縛って、しかも茨の!トゲでスカート破れるし散々ですよ!!」

「………おう。そりゃ、怖かったな」

「今想像しましたね、エロというよりグロですよ」

「年下でそんなこと考えないぞ俺は。うん」

 この男にもわかりやすいところはあるらしい。
 ▼ 207 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:22:30 ID:6wwuaxSw [3/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「で、でも、ロズレイドか。珍しいぞこいつは」

「そうなんですか?」

「ああ、進化に特別な手間がかかるから、野生じゃほとんどいない」

「はあ、だったら運がよかったのかなぁ……?」

「さっきお前に使ってたのはエナジーボール。なかなか威力のある技だし、即戦力になれるぞ!」

 即戦力……。

 でも、私の言うこと聞くのかなぁ、この子。
 ▼ 208 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:22:59 ID:6wwuaxSw [4/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「まあ、今日もここに来るしかないよね」

 データベースで、まずはロズレイドのことを調べてみることにした。

「ロズレイド ― シンオウ地方で発見された。進化の研究をしていたナナカマド博士がロゼリアの進化について研究したところ「スボミー」という個体と……………」

「ってちがーう!知りたいのはそういうことじゃない!」

「はぁ……」

 うまくいかない。

 この子と仲良くなるには……。
 ▼ 209 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:23:31 ID:6wwuaxSw [5/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「怖がらず、慎重に近づき、撫でる、だっけ」

 先輩とラルトスに触ろうとした時のことを思い出す。

「……でてきて、ロズレイド!」

「…………ケッ」

 早速攻撃が飛んでくる。

 なんとかそれをかわして、体勢を立て直す。

「もう一回だ、もう一回」
 ▼ 210 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:24:02 ID:6wwuaxSw [6/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 それから何時間たっただろうか。

 何回吹き飛ばされただろうか。

 もう心も体もぼろぼろで、今すぐにでもぶっ倒れそう。

「でも諦めない、きっとあなたとっ……!?」

 頭に何かがぶつかった、しかも結構な勢いで。
 ▼ 211 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:24:25 ID:6wwuaxSw [7/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 くらくらする頭を押さえて、ぶつかったものを拾い上げてみる。

「…………あれ、これって」

「先輩が持っていた本、ポケモンとのふれあい方」

 周りを見渡した。

 見えるのは、瞬く星の下自らと対峙するロズレイドだけ。
 ▼ 212 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:25:03 ID:6wwuaxSw [8/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……………」

 よく見れば、とてもボロボロの本だ。

 なんで先輩はこんなものを持っていたんだろう。

「ほんと、なんでこんなに読みつくしてるんですか、付箋まで貼って」

 「あなたが注いだタイムラブソウルをポケモンは裏切らない」

「ああもう、とても参考になりますよ。最初からこうしてくださいよ」

「感謝します、そのエール」

 星の下、また走る。
 ▼ 213 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:25:36 ID:6wwuaxSw [9/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「素直じゃないな」

「なんのことだ」

 シイナはアブソルを従えるこのトレーナーが心底嫌いだった。

 ▼ 214 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:25:59 ID:6wwuaxSw [10/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「いくら待っても、私はお前の所には戻ってこない」

「じゃあどうして、あの子の応援をするのさ」

「………私を見ているようで、いらいらする」

「不器用だねぇ」

「黙れ」

 うっとおしい、ただそれだけの理由。
 ▼ 215 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:26:51 ID:6wwuaxSw [11/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 また次の朝。

 待っても待たなくても次の日はやってくるもので。

「随分ぼろぼろだなぁ?ミオンちゃん?」

「………アイカさん」

 先輩にけがをさせた張本人。
 ▼ 216 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:27:16 ID:6wwuaxSw [12/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「どうしてこのクラスに」

「ああ?罰則だよ、けがさせた罰則。一ヶ月ここにいろってさ」

「そうですか」

「私としては雑魚を枯れるから楽しいんだけどね。アハハハハハッ!!」

「……………」
 ▼ 217 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:27:45 ID:6wwuaxSw [13/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……あなたをいつか、倒しますから」

 そうつぶやくと、彼女は一瞬にやっと笑って、こう言う。

「やってみろ雑魚」

 …………やってやるさ。
 ▼ 218 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:28:12 ID:6wwuaxSw [14/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 学校が終わるとすぐ、データベースに駆け込んで、パソコンの電源を入れた。

「検索、「ミナミ アイカ」……第1期生、これだ」

 流石に他人の情報、ある程度非公開になってはいるようだが、それで十分だ。

「登録ポケモンは、ドサイドン、フシギバナ、キリキザンの三体………」
 ▼ 219 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:28:58 ID:6wwuaxSw [15/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 次にバトルビデオの記録を漁ってみる

「……基本ドサイドンを使うことが多い。次にキリキザン」

 相性的に考えれば、キリキザンはゴマゾウ、フシギバナは、苦しいところもあるけどキルリア。

 そしてドサイドンは………。

「あなたしか、いないよね」

「………ロズレイド」

「………………」
 ▼ 220 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:29:34 ID:6wwuaxSw [16/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 今日の大会結果は、また第一回戦敗退。

 試しにロズレイドを出してみたが、やはり指示を聞いてはくれなかった。

「うーん、指示を聞いてくれれば絶対強いはずなのに……」

「だったら、慣れさせるしかないだろ」

「どわぁ!?」

 また現れた、アブソル男。
 ▼ 221 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:29:55 ID:6wwuaxSw [17/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「………結局バトルする羽目になるのね」

「当然だろ、さっさとロズレイドを出せよ!」

 ああ、バトルのことになると本当に面倒くさい人だ。

 いや、普段から面倒くさいところはあるのだが、それが2倍になってしまう。
 ▼ 222 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:30:17 ID:6wwuaxSw [18/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「……そういえば先輩、お名前は」

「あ?んなもん掲示板見ろよ!」

 審判代わりのこの掲示板には名前とレートポイントが表示される、だったっけ。

 そういえば前回は確認してなかった……。

「ん?」
 ▼ 223 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:30:43 ID:6wwuaxSw [19/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「おい、早くしろよ!」

「先輩、掲示板がおかしいです!」

「は?」

「いや、先輩の名前とレート、非公開って!」

 映ってない。

 彼の名前とポイントはどこにも記載されていない。
 ▼ 224 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:31:04 ID:6wwuaxSw [20/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「………あー」

 男はやってしまった、という表情を浮かべながら、こう言った。

「……俺に勝てたら教えてやるよ!」

「なんですかそれ!?」

「行け、アブソル!不意打ち!」

「あ、ズルっ!?エナジーボール!」
 ▼ 225 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:31:27 ID:6wwuaxSw [21/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 日も暮れてきたころ、大げさに、真後ろに倒れて見せる。

「勝てない」

「そりゃそうだろ、指示なんも聞かねーもん、そいつ」

「解決策は、私のタイムラブソウル、そのはず……」

 呟けば、男は馬鹿にするように笑ってきた。

「なんだそれ」

「合言葉です」
 ▼ 226 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:31:51 ID:6wwuaxSw [22/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 それからまた、何十戦も繰り返した。

 ロズレイド以外のポケモンでも戦ったが、彼はやはり強く、まるで歯が立たない。

 そのうえ、バトルが終われば、ロズレイドは私に対して怒りをぶつけてくる。

 正直な話、私はこの子が理解できない。

 悔しいなら、どうして指示を聞いてくれないの?

 どうして他の子のバトルのときも怒るの?

 何が…………。
 ▼ 227 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:32:15 ID:6wwuaxSw [23/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「おい、起きろ」

「うぐっ、なんですか、私は寝てません」

「寝てたぞ、っていうかぶっ倒れた」

 確かに、私はバトルフィールドに突っ伏していた。

 慌てて立ち上がり、身だしなみを整える。
 ▼ 228 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:33:18 ID:6wwuaxSw [24/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「まあ、仕方ない。これだけコテンパンにされて意気消沈しない方がおかしいんだ」

「それに……」

 男はロズレイドの方を向くが、本人はそっぽを向いて応えようとしない。

「何が原因なんでしょう……」

「う、うーん?そうだなぁ、なんて言えばいいんだか」

「なんです、はっきり言ってください」

「うーんと……」
 ▼ 229 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:33:38 ID:6wwuaxSw [25/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「観察、かぁ」

『独りよがりに信じたって駄目だ。もっとコイツのことを理解しないと』

「とはいっても、何が好きなんだろう………」

「…………」

「相変わらずそっぽ向いたままだし」

 久しぶりの休日だし、じっくり考えてみようか。
 ▼ 230 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:34:03 ID:6wwuaxSw [26/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ねえ、行きたいところとかある?」

 ロズレイドは森のほうを見た。

 ああ、野生に戻りたいと。

「うぐっ、他のところはどうかな」

 そっぽを向いたので、無理やり街へ行くことにした。
 ▼ 231 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:35:20 ID:6wwuaxSw [27/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「お、あれはフランスのお菓子ポフレだよ、食べてみる?」

「………」

 どうやら興味はなさそうだ。

「デートみたいなことしてるな、私たち」

 ポケモンとデート。

 もうなんだか悲しくなってくる。

「じゃあ日用品とかどうだい。100円ショップでテンション上がる人的な」

 次の瞬間には、私の体が宙を舞っていた。
 ▼ 232 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:35:48 ID:6wwuaxSw [28/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ぐうっ、諦めないぞ。ラブタイムソウル、私の全てをかけてここを選ぼう」

 園芸店。

 ここは少し好評だったようで、いろんな花を見てまわっている。

 あちこち回って、花束を作って………。

「って待って。その花束は私が買わなきゃいけないの!?」
 ▼ 233 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:36:31 ID:6wwuaxSw [29/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「つ、次はコンテストだよ。はっはっは」

 入場料二千円……。

 でも目を輝かしてみてるし、良かった良かった。

「知ってますか、ここのコンテストはイッシュのミュージカルを組み合わせたものということを」

「シンオウのトップコーディネーターがこれを考案してですね……ってあれ!?」

 ロズレイドがいない。
 ▼ 234 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:37:45 ID:6wwuaxSw [30/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 一度深呼吸して、周りを見渡す。

「……なんでキミまでミュージカルに参加してるの」

 ヤツはいつの間にかステージに上がって、参加者のチラーミィと踊り始めてしまった。

「やめて、せっかく買った花束を演出で飛ばすのやめて!千円もしたんですよアレ!?」

 は、派手で、目立つことが好き、と。
 ▼ 235 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:38:16 ID:6wwuaxSw [31/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「すみませんでした」

 主催者や関係者に一通り謝りに行き、私のテンションは最悪だった。

 例のチラーミィのトレーナーから同情のポフィンを貰ったけど……。

「食べるかい?」

「……🎵」

 お、食べた。
 ▼ 236 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:38:39 ID:6wwuaxSw [32/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ……よし、この子のテンションも上がってきたところで聞いてみるか。

「行きたいところはあるかい」

 するとロズレイドは、ドーム状の建物を指した。

「んーと、バトルスタジアム?」

 ロズレイドはコクコクと頷く。

 やっぱりバトル自体は好きなのだろうか。
 ▼ 237 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:39:17 ID:6wwuaxSw [33/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 とりあえず来てみたが。

「お、面白い?」

「…………」

 また不機嫌モード。

 お前の希望できたんだろう、と言いたくなるが堪えろ、自律だ私、ラブタイムソウル。
 ▼ 238 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:39:42 ID:6wwuaxSw [34/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「でも、確かにつまらないかも」

 戦っている生徒が低レートだからだろうか?

 なんというか、テレビで見るような迫力はない。

 さっき見たコンテストみたいな、華やかさが。

「もしかして…………」
 ▼ 239 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:40:04 ID:6wwuaxSw [35/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 気づけば、私はバトルフィールドに立っていた。

 相手は名前も顔も知らない誰か。

「よろしく、いいバトルにしよう」

「ええ、ド派手にいきましょう!」
 ▼ 240 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:40:26 ID:6wwuaxSw [36/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「デデンネ、あまごい!」

「ちっ、ブーバーン、気合玉だ!」

「かわせ!」

 きっと、ロズレイドは。
 ▼ 241 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:40:46 ID:6wwuaxSw [37/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「パラボラチャージ!」

「くうっ……よけろブーバーン!」

「無駄です、雨でぬれたこのフィールドに逃げ場なんてありません!」

 こういう。
 ▼ 242 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:41:08 ID:6wwuaxSw [38/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「さあ締めです、雷!」

「ブーバーン!!」

 コンテストみたいな、キラキラした。
 ▼ 243 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:41:42 ID:6wwuaxSw [39/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「さて、ブーバーンはもうダウン寸前、ここからはバトンタッチしてもらいましょう」

 舞台がほしかったんでしょう?

 あなたが目立てる、最高のステージを作ってほしかったんでしょう?
 ▼ 244 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:42:06 ID:6wwuaxSw [40/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「さあロズレイド、出番だよ!」

「炎タイプに草タイプを出すなんて、なめてるのか!?」

「そんなバカな、絶対に勝てる条件がそろってるからです」

「さあいきましょう、ウェザーボール!」
 ▼ 245 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:42:42 ID:6wwuaxSw [41/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「よお、帰ってきたか」

「アブソル先輩。どこにでもいますね」

 スタジアムの観客席に、彼は座っていた。

 私もその横に座る。
 ▼ 246 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:43:05 ID:6wwuaxSw [42/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「そのロズレイド、お前にちゃんとなついてはいたのさ」

「でも、お前の戦い方が気に入らなかった、だから指示には従わないし、負けたら怒ったんだろう」

「ポケモン一匹一匹を知る、それが大事だと」

「そゆこと。ほら、あれだ。ラブタイムなんちゃら。よかったじゃないか」

「ええ」
 ▼ 247 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:43:59 ID:6wwuaxSw [43/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「……よし」
 ▼ 248 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:44:34 ID:6wwuaxSw [44/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……これで、あなたを倒す準備はできた」

「ふーん?」

「さあ、始めましょう。クラス内大会決勝」

「アイカさん、アナタに勝負を挑みます!」

 絶対に、勝つ。

 勝って見せる!
 ▼ 249 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:45:15 ID:6wwuaxSw [45/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「俺はお前が教えなかった分、全部教えたぞ」

「馬鹿言うなよ。元々お前の仕事だ」

 シイナは気だるげに、例の男と話していた。


 ▼ 250 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:45:37 ID:6wwuaxSw [46/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「この「学園最弱」に、「学園最強」のお願いなんて、務まらんよ」

「どの口が言ってんだ、シイナ」

「何かな、アブソル男。いや、場に合わせてこう言うべきか」

「ジェームズ。学園第1位さん」
 ▼ 251 1◆4ydJ8hprs. 16/06/06 22:46:19 ID:6wwuaxSw [47/47] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここで終わり。

明日も更新する(タブンネ
 ▼ 252 リル@いでんしのくさび 16/06/06 23:22:54 ID:VvGr8mpA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 253 ロンダ@ともだちてちょう 16/06/07 01:41:47 ID:UONdCTis NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっぱすげぇわ
この物語すごく好き
 ▼ 254 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:07:15 ID:.AVUNBW2 [1/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 バトルフィールドにはキルリアとフシギバナが対峙していた。

 観客は、誰もいない。

 私の対戦相手は、誰かに応援される人ではなかったから。

 そして私自身も。

 これは、私たちの強さを証明する戦い。

 私はあと一勝で、このクラスを卒業する。
 ▼ 255 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:07:37 ID:.AVUNBW2 [2/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

4.決意の行方
 ▼ 256 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:08:06 ID:.AVUNBW2 [3/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「成程、私のことはよく調べてきたらしい」

「ええ、あなたならきっと、ここでフシギバナを出してくると思って」

 「アイカ」のことを調べていたのは、おそらく気づかれていた。

「私は考えた。こちらの2匹に有効打を打てるゴマゾウで来ると」

「それを予想したうえでの、この選出です」
 ▼ 257 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:08:26 ID:.AVUNBW2 [4/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ルール的に、交代してもいいんですよ?」

「はっ、なめるなよ」

 数秒の睨み合い。

 それも、あと少しで終わるだろう。

「ヘドロ爆弾!」

「光の壁!」
 ▼ 258 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:08:49 ID:.AVUNBW2 [5/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…………久しぶりだな、名前で呼ばれたのは」

 ジェームズ。

 それが彼の名。

 学園第一位。

 それが彼の肩書き。
 ▼ 259 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:09:16 ID:.AVUNBW2 [6/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「でもさ、シイナ。一つ間違ってるぜ」

「………」

「俺は一位じゃない。言っている意味、分かるよな」

「ああ、わかるとも」

 シイナは挑発的な笑みを浮かべてから、近くのバトルフィールドに立つ。

「降参で十分か?」

「………違うって言ってんだろ」
 ▼ 260 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:09:39 ID:.AVUNBW2 [7/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……きっとお前には、俺の言葉は届かないんだろう」

「そのようだ」

「そうだよな、ああ、そうなんだろうよ」

 ジェームズは、この高台のベンチに、ドカリと座り込んだ。

「俺は諦めた。でも、アイツの試合ぐらい見て行けよ」

「…………………」
 ▼ 261 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:10:17 ID:.AVUNBW2 [8/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「リフレクター!」

「ああっ、うっとおしい!そいつはさっさと処理しちまいたいねぇ!!」

 ポケモンを傷つけたくない、それは今でも、昔でも変わらない。

 だから、こんな防御に徹底させた技を覚えさせていた。

 でも、今は違う。
 ▼ 262 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:10:43 ID:.AVUNBW2 [9/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「攻撃のための防御、です!」

「うざいんだよ、ヘドロ爆弾!」

 毒、キルリアにとっては辛い相手。

 それでも、前で戦い続けてくれるあなたが好きだ。

 だから。

「いっつも、こんな役でごめん!」

「道連れ!」
 ▼ 263 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:11:15 ID:.AVUNBW2 [10/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「わかるか、シイナ」

「……………」

 ここから見下ろす景色は、あまりに衝撃的で。

「一週間前のアイツなら、あんな捨て身の手段は使おうとしない」

「ちゃんと進んでるぞ、アイツは」

 揺さぶられる。
 ▼ 264 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:11:46 ID:.AVUNBW2 [11/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「お前はどうだ、目指す場所に向かってるのか」

 やめろ。

「……………………」

 やめろやめろやめろやめろやめろやめろ。

 私は、もう……」
 ▼ 265 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:12:23 ID:.AVUNBW2 [12/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「………チッ、使えないやつ」

「キルリア、ごめんね」

 それぞれ、倒れたポケモンを迎える。

 かすかに目を開こうとするキルリアに、私は笑顔でボールに戻した。

 一方。
 ▼ 266 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:12:43 ID:.AVUNBW2 [13/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……フシギバナに対して、そんな態度はないと思うですけど」

「あー?説教かよ、そういうのは勝ってからにしろ!」

 アイカの足元にはフシギバナが入ったボール。

 それを彼女はありったけの力で私のほうに蹴飛ばして、次のボールを出した。
 ▼ 267 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:13:05 ID:.AVUNBW2 [14/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「っ」

「さあ、次と行こうぜ」

 静かに、フシギバナのボールを拾って、構えなおす。
 ▼ 268 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:13:27 ID:.AVUNBW2 [15/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「私のポケモンは、私を裏切らず、戦ってくれたんだ」

「あなたのポケモンだってそう」

「彼らの期待を足蹴にしたのは、いつも私たちトレーナー!」

「私は、それだけでポケモンを傷つけていたんだと、今なら分かる」

「あなたの考えだって、変えて見せる!!」

「力を貸して、ゴマゾウ!」
 ▼ 269 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:14:05 ID:.AVUNBW2 [16/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あのゴマゾウも、おそらく場を整えるためのポケモン」

「倒されることを覚悟の行動」

「ステルスロック、当たりもしない穴を掘る」

 淡々と、男はバトルの様子を呟いていた。
 ▼ 270 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:14:29 ID:.AVUNBW2 [17/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「やめろ、耳障りだ」

「そう、アイツが今言った通り」

 話を聞いてなどはくれなかった。

「ポケモンだって勝ちたい、バトルがしたい」

「できれば楽しく。それを可能にするのがトレーナーの仕事だ」

「やめろ………」
 ▼ 271 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:14:53 ID:.AVUNBW2 [18/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 視界がぼやけていく。

 あの日をまた、思い出す。

 思い出してしまう。
 ▼ 272 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:15:42 ID:.AVUNBW2 [19/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…………ありがとう、ゴマゾウ」

「今度は何だ?相性はよかったくせに、キリキザンに何もできないなんて」

 ……何もじゃない。
 ▼ 273 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:16:06 ID:.AVUNBW2 [20/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「大丈夫、あとは任せて」

 無駄なんかじゃない。

 今までしてきたこと全部。

 それを今から、証明する。

「さあ行くよ」

「ロズレイド!」
 ▼ 274 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:16:37 ID:.AVUNBW2 [21/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……………キリキザン」

「………」

 バトル開始前と同じ、あの睨み合い。

 今度は――――――――――――。
 ▼ 275 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:17:02 ID:.AVUNBW2 [22/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ロズレイド!!」

「今だ、不意打ち!!」

 奇襲の刃が、迫る。

 が。
 ▼ 276 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:18:21 ID:.AVUNBW2 [23/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……………」

「……………なっ」

「日本晴れ!」

 一瞬の隙にキリキザンの後ろに回ったロズレイドは、空中で舞い、咲き誇る。
 ▼ 277 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:18:43 ID:.AVUNBW2 [24/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「躱された…………?」

「当然です」

 何度、あのアブソルにこの技で負けたと思ってる。

 もう、構えも、タイミングも。

 私たち全員が見切っている!
 ▼ 278 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:19:04 ID:.AVUNBW2 [25/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「グラスフィールド!」

「辻斬り!」

 しかしその攻撃も届かない。

「リフ、レクターッ…………!」

 わずか数ミリの壁が、ロズレイドとキリキザンの間にはあったから。
 ▼ 279 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:19:41 ID:.AVUNBW2 [26/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「仕上げです!ウェザーボール!!」

 その攻撃は、一撃必殺。

「………計算通り」

「なっ………」

 場外まで吹き飛ばされたキリキザンが、立ち上がってくることはなかった。
 ▼ 280 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:20:14 ID:.AVUNBW2 [27/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「さあ、あと一体」

「あまり、なめるなよぉっ……!」

「なめちゃあ、いません。全力です」

「だったら、あのステルスロックは何だ!?」

 フィールドに散らばる岩を、アイカは一つ踏みつぶした。
 ▼ 281 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:20:43 ID:.AVUNBW2 [28/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「グラスフィールド。自分と相手のHPを毎ターン回復させる技」

「……………」

「このフィールドがある限り、ステルスロックの意味など0に等しい、そうだろう!?」

「…………」
 ▼ 282 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:21:05 ID:.AVUNBW2 [29/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「そうでもないですよ」
 ▼ 283 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:21:32 ID:.AVUNBW2 [30/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……………?」

「さあ、種明かしと行きましょう」

「ゴマゾウが必死に掘ってくれた土は、植物の根を張らせやすくするため」

「そして日本晴れは、ウェザーボールと次の布石」

「このフィールドの活性化にある」

「………………!?」
 ▼ 284 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:22:16 ID:.AVUNBW2 [31/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 その瞬間だけは、ただの草原が別の物に変化していく様子が確認できた。

 「今」と言える時には、まるで、それは。

「樹海…………!?」

「そう、ここはロズレイドの踊り場」

「相手の回復なんて生易しいことはしない」

「この木々たちの根は、枝は、幹は!」

「すべてロズレイドの手足となる!!」
 ▼ 285 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:23:18 ID:.AVUNBW2 [32/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 アイカが投げやりに繰り出したドサイドンを、ステルスロックが襲った。

 さらに、木々たちが一瞬でその巨体を大木に縛り上げてしまう。

「今だ、エナジーボール!」

「くそ、火炎放射!」
 ▼ 286 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:24:38 ID:.AVUNBW2 [33/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 口を開けようと、もがくドサイドン。
 
 しかしその努力むなしく、口まで塞がれてしまう。

「ドサイドンに草技は四倍!これで終わりだ!!」

 たちまち起こった閃光に、ミオンの視界は遮られた。
 ▼ 287 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:25:05 ID:.AVUNBW2 [34/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 閃光の中、考えていた。

 私が目指していたものは何だったのかと。

 あの、うるさい後輩のように、私は。

 何かに夢中だった。

 必死だった。

 なのに。

 なぜ。

 忘れて。

『残念だったね』
 ▼ 288 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:25:29 ID:.AVUNBW2 [35/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「っ……………!!」

「この勝負、アイツの……」

「……いや」

 わざと、断ち切った。

 男の声を、自分で結論を出すために。
 ▼ 289 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:25:51 ID:.AVUNBW2 [36/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「負けだ」
 ▼ 290 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:27:21 ID:.AVUNBW2 [37/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 焼け落ちる木々。

 ロズレイドのフィールドは、もう崩壊しきっていた。

「なに、が………」

「ドサイドンの攻撃方法は口が重要な訳じゃない」

「ここだ、手だよ」

 手の噴出口。

 最後の見落とし。
 ▼ 291 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:28:01 ID:.AVUNBW2 [38/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あ、ああ………」

「ドサイドン、やってしまえ」

 なぎ倒されていく。

 ロズレイドとともに、ぼろぼろになっていく。

 今までの、努力が、崩れていくようで。
 ▼ 292 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:28:22 ID:.AVUNBW2 [39/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「やめ、て」

「最後まで戦う。降参ボタンは押さないんだろ?」

「やめて、やめてよ、やめてえええええええええええええええええええ!!」

 ロズレイドの、華奢な体が宙を舞っている。

 あれだけ、傷つけたくなかったのに、そのために。

 私たちは。
 ▼ 293 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:28:44 ID:.AVUNBW2 [40/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ……………。

 ここはどこだろうか。

 また、泣きじゃくる私がいる。

 ああ、また夢を見ているのか。

 あそこで、大きく叫んでいるのは、ボスゴドラ、かな。

 どうしてあんなに傷だらけなんだろう。

 どうしてこのフーディンは、トレーナーの手を放さなかったんだろう。

 このトレーナーは…………?

 その顔を覗き込もうとした時、目が覚めた。
 ▼ 294 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:29:18 ID:.AVUNBW2 [41/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 まだバトルフィールドにいた。

 ロズレイドは、どこだ。

 私の前。

 ドサイドンの、あの構えは。

 「岩石砲」

 立ち上がらないで。

 私をかばわないで。

 逃げてよ。
 ▼ 295 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:29:49 ID:.AVUNBW2 [42/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ああああああああああああああああああああああっ!!」

 動けっ!動いてよ私の足!!

 あの子を助けないといけないんだ!!

 どうして……。

 私が、私たちがほしかったのは、本当に目指していたのは!

「誰も傷つかないための、強さなのに………ッ!!!」
 ▼ 296 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:30:25 ID:.AVUNBW2 [43/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 先輩も、ポケモンも、私自身も。

 何も、守れなかった。

 何も、できなかった。

 ああ。

 あの巨大な岩が迫っている。

 もう、駄目だ。
 ▼ 297 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:30:48 ID:.AVUNBW2 [44/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「……………………」

「………………………」

「……………………………」

「……………………あれ」
 ▼ 298 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:31:10 ID:.AVUNBW2 [45/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 痛くない。

 怪我もない。

 ロズレイドも、ちゃんといる。

 ………何が。
 ▼ 299 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:31:42 ID:.AVUNBW2 [46/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「私も、同じだったんだろう」

「お前の目指したものは」

「だから」

「お前を放ってはおけなかった」

「昔の自分を見ているようで、イライラすることもあった」

「でも」

「自分を少しでも取り戻せたのは、お前のおかげだ」

「バトンタッチといこう」
 ▼ 300 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:32:15 ID:.AVUNBW2 [47/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「コダック!サイコキネシス!!」

 ミオンの頭上で止まっていた岩石は、粉々に砕け落ちる。

「敵討ち、させてもらおう」

「………お前」

「シイナ、さん……?」

 誰もが驚愕の表情を浮かべる中、一人笑って見せる。
 ▼ 301 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:32:38 ID:.AVUNBW2 [48/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「ルールは三対三。文句ないよな」

 ▼ 302 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:33:02 ID:.AVUNBW2 [49/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 一人高台に残された男は思う。

 「戻ってきた」と。

  フィールドを下りた少女は思う。

 「再会した」と。

 フィールドに立つ、最弱と呼ばれた女は思う。

 「負けられない」と。
 ▼ 303 1◆4ydJ8hprs. 16/06/07 23:33:26 ID:.AVUNBW2 [50/50] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 今日はここで終わり

 明日も更新できると思う
 ▼ 304 ポエラー@りゅうのプレート 16/06/07 23:48:24 ID:qw58huUM NGネーム登録 NGID登録 報告
頑張って!
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