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夢のかけら

 ▼ 1 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/13 23:55:57 ID:Wer6S3qE NGネーム登録 NGID登録 報告
遠い海の向こう、遠い遠い空の向こう、そして遠い遠い遠い地の果てに、まだ人間に見つかっていない地があった

その地は高低差が激しく、高地に飛べるポケモンが飛べないポケモンに重宝されていた

そして、より速く空を飛べる者が人気を集めていた


そして、最も速い者は、この世のほぼ全ての感情を向けられていた




そして、飛べなくなった者は…
 ▼ 19 ザード@ねらいのまと 16/03/14 01:20:25 ID:FUu2Dlm6 NGネーム登録 NGID登録 報告
フライゴンがいい味だしてますね
支援
 ▼ 20 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/14 20:07:01 ID:29DLNt9I [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
夜は生憎の天気となった、空は灰色に染まり、晴れる気配はない




「まるで俺みたいだな」
家の中で、ボーマンダはそう呟いた


雨の日に空を飛ぶのもまた乙なものだったと思うが、ボーマンダはそんな気分にはなれない


ボーマンダはもう、雲の上の空へ飛び立つことはできないのだ




文字通り
 ▼ 21 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/14 22:24:37 ID:29DLNt9I [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
かつてのボーマンダは、この地で最も速く飛べるポケモンだった
その速さは他のポケモンを凌駕し、神速と謳われ、信頼、愛情、憎しみ等、ありとあらゆる感情を向けられた


そして、友達や恋人と楽しく過ごす普通のポケモンでもあった




その日、ボーマンダは雨雲の下を飛んでいた、フライゴンとのバトルの約束があったのだ

ボーマンダとフライゴンは幼い頃からの親友であり、またライバルでもあった
幼い頃から空を飛ぶことを夢見、そしてそれを叶えた二匹は、次に速さを求めた

その結果、ボーマンダは地で最速の速さを誇るほどにまでなったのである

フライゴンはボーマンダの速さに追いつくほどにはなれなかったが、だからといって二匹のライバル関係が終わる訳ではなかった
二匹は速さだけでなく、強さも比べあっていた



親友も、ライバルも、「何があっても変わらない」、そうボーマンダは思っていた

そして自分の夢も
 ▼ 22 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/14 23:14:11 ID:29DLNt9I [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
その地で最速だと謳われて以来、ボーマンダの人気は格段に上がった
昔居た友達というものの大半は、ボーマンダが最速だと呼ばれてからできたものだった

最初こそボーマンダは、追っかけのようなポケモンたちも、仲良くなろうと媚を売るポケモンたちも嫌っていた

だがボーマンダは気づいた、人気者であることの優越感を
ピジョット等の鳥ポケモン、カイリュー等の龍ポケモン、バタフリー等の虫ポケモン
およそその地に住む全ての飛行ポケモンがボーマンダにすり寄った

それからボーマンダは傲慢になった、速さや強さを追い求めることも、自分の夢も忘れた
「俺は他人から好かれるポケモンだ、文句がある奴は負かしてやれば良い、誰も俺には適うまい」
そう思っていた

ストイックなまでに目指していた「飛ぶこと」、「速くなること」、そして今の夢である「遠い海の向こうに行くこと」も忘れ
その速さを除いて、ただ『友達や恋人と楽しく過ごす』だけの、ごく普通のポケモンになってしまった





それがある一匹には許せなかった
 ▼ 23 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/14 23:35:54 ID:29DLNt9I [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
自分はボーマンダ以上に努力している、ボーマンダ以上に頑張っている

それなのに報われるのはあいつだけ、俺はただあいつに媚を売るだけ



哀れじゃないか


あいつは友人を大勢作り、恋人にはメスポケモン最速と呼ばれるチルタリスがいる

それなのに、俺は



その時『ある一匹』は思いついた、あいつを消してしまおうと

もう二度と飛べないようにしてやろうと
 ▼ 24 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/14 23:41:31 ID:29DLNt9I [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
考えついてからは速かった、奴がよく通る道に張り込み、あの雨の日に、奴の羽に「いわなだれ」をぶつけてやった

奴は雨粒に紛れようともしない岩に気づかず、羽ごと体を叩きつけられ、岩の下敷きになった

俺は思わず笑ってしまった、まさか奴があんなにあっさりいくとは

だが油断は禁物、すぐにあの岩をはね飛ばすかもしれない




だが、そんな気配は感じられず、奴は数分たっても動く気配がなかった

奴は気絶、もしくは死んだのだ



俺はその場を飛び去った
 ▼ 25 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/15 00:00:53 ID:oOxQNvto NGネーム登録 NGID登録 報告
目が覚めたのは病室でだった



俺がバトルに来ないことを不審に思ったフライゴンが、雪崩にあった俺を救ってくれたらしかった
どうやら俺は長い間眠っていたらしく、見舞いにきていたポケモンはフライゴンだけだった


いや、見まいにくる人間が少なかったのは、日にちがたっていたからではなかった




俺は飛べなくなっていたのだ
 ▼ 26 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/16 01:24:05 ID:3tIkaXSc [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
医者のハピナスが言うには、生きているだけでも奇跡であり、目覚めるなんてそうそうありえる話ではないらしい

この話を聞いた時は己の幸運に感謝しようという気にもなったが、すぐにそんな気は失せた
飛べなくなったことが、想像の何倍もの不幸を生み出した




俺が人気だったのは、速く飛べたから


つまり、飛べなくなった俺には




なんの価値もなくなっていたのだ
 ▼ 27 昼夢◆acPFA8itPo 16/03/16 01:31:42 ID:nU0FSFH. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 28 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/16 22:58:56 ID:3tIkaXSc [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
飛べなくなった俺に対して、前と同じように接してくれたのはフライゴンだけだった

俺に媚を売っていたようなポケモンは興味も示さなくなり、俺を嫌っていたポケモンは露骨な嫌がらせをするようになっていた

「友達」のはずのポケモンも、俺を明らかに避けていた


そしてチルタリスも



ボーマンダと同じく速さを追い求めた彼女にとって、飛べなくなったボーマンダなど価値がなかったのだろう
故に言い放ったのだ、「貴方にはもう魅力を感じない、別れましょう」と





もっともその彼女も、今では飛ぶことも少なくなっているらしいが
 ▼ 29 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/16 23:10:20 ID:3tIkaXSc [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
やばい書くのすげぇめんどくせぇ
 ▼ 30 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/18 20:36:36 ID:N17RejUw NGネーム登録 NGID登録 報告
気づけば随分と時間がたっていた、過去の回想をしているうちに眠ってしまっていたらしく口のあたりによだれの跡がついていた
子供の頃から治したいと思っていたが未だに治っていないことにボーマンダは思わず苦笑する

子供の頃の夢を捨ててまでしていることが昔の回想とはなんとも皮肉な話だ

「体は成長しても飛べないのなら子供のままじゃないか」

ボーマンダはそう呟き、歯を噛み締める

その時、ボーマンダの耳に鈴の音が響いた、家の玄関に付いている呼び鈴の音だ、どうやら客が来たらしい

ボーマンダは二階の自室から出て、階段を下り、玄関に向かった
 ▼ 31 ノココ@バトルサーチャー 16/03/18 20:37:54 ID:SuPXWE1g NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ディズニーのカストーディアル思い出した
 ▼ 32 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/19 02:05:44 ID:Vqw9Iqsw NGネーム登録 NGID登録 報告
「…よぉ」
玄関扉の奥でボーマンダを待ち構えていたのは、昔の友人、プテラだった

ガサガサの肌にやせ細った羽がくっ付いており、体には様々な古傷が付いている
とても飛べる風には見えないが、これでもれっきとした鳥ポケモン、しかもこの地ではかなり速いほうであったと思う、古傷の数々も飛んでいるときに付いたものだ

第一印象としては、昔とは変わっていない、と言ったところか


「なんのようだ」
そうプテラに問いかける、昔の友達だが、あの日から今の今まで会ったことがなかった相手だ、今になって来る理由はないはずだ

「少し話したいことがあってな、その…」
小さな声でプテラはそう答える

「なんの話だ」
自然と声が鋭くなっていた、フライゴンが例のチルタリスの件で説得させるためにこいつをよこしたのではないか、と考えたからだ

「…外で話したほうがいい話だ」
プテラは動じずにそう言った
 ▼ 33 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/20 14:00:37 ID:cWb0ZmLk NGネーム登録 NGID登録 報告
「外で話したほうがいい」という話をするのに選んだ場所は、俺がいつも空を眺めている場所だった
夜のこの場所は月明りで明るく、更に俺の知る限りでは夜にポケモンが来ることはまずない

密談にも最高の場だ



「さて、話してもらおうか」
場の確認を終え、俺と対面しているプテラに話を急かす

「…最近の調子はどうだ?」
月明かりでプテラの白い顔がより妖しく映る

「お前の知っている通りだ、さっさと本題を話せ」
そう言ってプテラを睨む
今更だが客にするような態度ではないと自分でも思う

「本題か…その…チルタリスさんの件でさ」
わざわざ説得に来たって考えは変わらない、そう言いかけた時、プテラは俺の想像とは真逆のことを聞いたきた
弱弱しく、怯えたような表情で、プテラはこう問う


「お前がフライゴンから誘われた例の件ってのは、どんなものなんだ?」
 ▼ 34 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/21 22:32:17 ID:Z.pDJu9A [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
「フライゴンから聞いてないのか?」
からかわれている、と思いつい俺はそう聞き返してしまう、こういう時は自分の気が短いところが恨めしく感じる

「俺は何も知らない!フライゴンが…お前に聞けと言ったんだ」
そう言って悪戯がバレた悪童のようにプテラは目を逸らす



俺がチルタリスから ――正確に言えばフライゴン経由で 聞き
そして「そんなはずはない」と思い何度となく断ってきた話

それは、俺の羽が治るかもしれないという話だった
 ▼ 35 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/21 23:31:12 ID:Z.pDJu9A [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
失ったものが戻るというなら、大抵の者はその話に食いつくだろう

俺だって食いつきたかった、今を忘れ、無我夢中で過去に戻りたかった


だが俺の理性がそうさせなかった


なぜそんな夢のような話がチルタリスからやってくるのか

『「飛ぶこと」を優先させる彼女が、俺の才能を惜しんで話を持って来た』
というなら聞こえはいいが、彼女に俺の羽を治せるほどの治癒能力など無いはずだ

仮にハピナスから来たという話なら信憑性も高かったが、ハピナスすら俺の羽を治すことはできていないというのが現状だ

ハピナスは俺が子供の頃から医者をやっているベテラン医で、誰に対しても献身的な看護を行っていた
無論それは俺が飛べなくなってからも同じで、会うたびに羽を治せないことを申し訳なさそうにして、食べ物を分けてくれるほどだ

そんなハピナスですら言わないことを、なぜチルタリスが言うのか


とどのつまり、この誘いは「チルタリスからの罠」と、俺は判断した
 ▼ 36 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/22 00:38:49 ID:RlfFJD4Y [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
「チルタリスが俺の羽を治せるらしい」
数秒悩んでから俺はそれだけ答えた
疑わしいといえども証拠はない、それにこの程度の浅知恵なら誰だって辿り着ける、話す必要はない、更に言えばこんなことを言ったならフライゴンになんと言われるかもわからない

「……」
それを聞いたプテラは驚いた様子だったが、声は出さずに数秒うつむき、こう言った

「そうか…それなら、どうしてその誘いに乗らないんだ?前は…遠い地方に行くのが、夢だとか言ってたじゃないか?」
どうして、と問われても答える気はない
俺は、「気分じゃないからだ」とだけ返した

そう答えた後、俺もプテラも何も言わなかった
俺からしたらこいつに話すことなど何もない、プテラからしても恐らくもう話すことはないのだろう
ポケモンが寝静まった真夜中に、風の音だけが響き、月明りだけが輝いた
 ▼ 37 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/22 01:42:55 ID:RlfFJD4Y [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
数分後、プテラが沈黙を切り裂いた

いや、切り裂いたのは沈黙だけではなかった



空気を切り裂いて、硬化した頭で俺の体に突撃し、突き飛ばした

「なにをする!」
俺の声に、プテラは一瞬ひるんだが、それでも攻撃を止めようとはしない
突き飛ばされ泥や草だらけになった俺に向かって、もう一撃『アイアンヘッド』を食らわせてきた

「ボーマンダ!悪いがお前には死んでもらう!」
プテラはそう叫んだあと林の中に突っ込んだ俺に、プテラはなかなかの速さで近づき、また『アイアンヘッド』を使ってきた


使ってきた、が


遅すぎる


ボーマンダは痛みをこらえながら、『アイアンヘッド』をかわし、木に突っ込んだプテラの背に思い切り爪を突き立て、そして力強く引き裂いた

プテラは背をのけ反らせ、「あ…」と声を発したあと、あっけなくダウンした
 ▼ 38 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/26 19:27:52 ID:SAzxSH6g [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おい、起きろ」
プテラの片羽を踏みつけながら俺はそう言った

突然の訪問から、突然の攻撃、「お前には死んでもらう」という発言
何も話すことはないと思っていたというのに、まさかこれほどの話題を持ってくるとは

「う…ぁ…?」
間抜けな声を出し、地面に這いつくばった形のプテラは顔を上げる

「おいプテラ、今のはどういうことだ」

「…」
俺の問いに、プテラは答えない

「死んでもらうとはどういうことだ!言え!」
沈黙に対して俺はプテラの羽を強く踏みつけ、更に問う

「わかった!言うさ!言う!はっきりと、全部な!」
そう叫んだプテラは前方の草むらの方を睨むと、次いでこう言った


「だが聞かせてくれ!なぜ俺はお前に負けた!飛べないお前がなぜ俺に勝てた!」

「飛ぶことだけが俺の強さってことじゃない、お前がただ弱かったんだ」
そう俺は答えた、プテラは「それもフライゴンから聞いてなかったなぁ」と言ったあと、苦笑いした
 ▼ 39 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/26 23:43:59 ID:SAzxSH6g [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「さて、話してもらおうか、なぜ俺を襲ったりした」
おとなしくなったプテラに改めてそう問う

「…ことの発端は、俺が悪かったんだ」
プテラは小声でそう言ったあと、また草むらのその奥を睨み、「俺は犯罪者だ、お前に捕まった以上ムショに入るしかない、だから全部、ここで言ってやる」と前置きをしてからこう言った





「お前が飛べなくなったあの日、お前に岩雪崩を食らわせ、お前の羽を奪ったのは俺と…」


俺はその言葉の意味を図りかねた、俺が飛べなくなった原因がこいつということだろうが、それは今の俺にとって、唐突で強大なものだった
何より、その後に言ったことが真実ならば、俺の全てが意味をなさなくなる気がしたのだ
理解してはいけない、と思ってしまった




「お前の羽を奪ったのは、俺とフライゴンだ、俺とフライゴンがお前の背に岩雪崩を放ち、お前の羽を潰したんだ」
 ▼ 40 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/26 23:45:30 ID:SAzxSH6g [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜プテラ視点〜
 ▼ 41 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/27 00:14:35 ID:IJlnFoaA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
プテラはすっかり暗くなった空の下を飛んでいた、下を見ればところどころに明かりは見えるが、やはり昼に飛ぶよりも飛びづらいことに変わりはない
暗いだけならまだいいが、雨が降るとなると最悪だ、ただ、今は雨の臭いはしなかった、天気予報でも雨は降らないと言っていたはずだ
だから、あの計画を実行に移すのは今日に決めた、雨の降らないこの日に

プテラが向かっていたのはボーマンダの家だ、この地のポケモンたちで構成された里からは遠い場所にあるが、遠いだけで飛ぶ際も歩く際もこれといった障害はない、彼の性格を表したような場所に目的の家はあった

ボーマンダの家についたプテラは、その家には見合わないほど小さな呼び鈴を鳴らした、音は小さいわりにはよく響き、かといってうるさすぎるわけでもない絶妙な音を出した、
鳴らしてから、ボーマンダがすでに寝ているという可能性に気づいた、なぜ自分はこうも迂闊なんだろうか、とプテラは自身を非難する

少し経って玄関の戸が開き、ボーマンダが姿を現した、彼の口のあたりにはよだれの跡がついていた、どうやら本当に寝ていたらしい
なんと声をかけようか悩んだ末、プテラは「…よぉ」と声を発した
 ▼ 42 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/27 00:44:17 ID:IJlnFoaA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ボーマンダは「なんのようだ」とプテラに問う、俺にとっての目的はボーマンダに話せるような内容ではない、まずは外に連れ出さなくては

「少し話したいことがあってな、その…」
小さな声でプテラはそう答える

その返答には不満だったのであろうボーマンダは、「なんの話だ」と更に問う

兎に角外に連れ出すことしか頭になかった俺は、「…外で話したほうがいい話だ」と答える

ボーマンダは渋々俺の提案を承諾し、この近くにあるという丘に行こうと場所を指定してきた

俺はどこに連れ出すかまでは考えておらず、更に言えば変に断っても怪しまれるだろうなと考え、ボーマンダに付いて行った


その丘は眺めがよく、空の広さを体感できた、こんな場所なら誰かがいるに違いないと考えた俺は、「誰もいない」というボーマンダの言葉を後目に辺りの詮索を始めた
結果はボーマンダの言う通り、虫ポケモン一匹いなかった
いや、正確に言えば一匹いた、この計画の提案者、フライゴンが
 ▼ 43 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/27 01:49:52 ID:IJlnFoaA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「さて、話してもらおうか」
場の確認を終えた俺に、ボーマンダはそう問う

ここで俺はミスを犯していた、話があると言って連れ出したものの、何を話すかは決めていなかった
連れ出してすぐにあの計画を初めてもよかったが、俺の良心が未だに邪魔をしていた
こいつを殺す他に、生きる道はないというのに

少し考えてから「…最近の調子はどうだ?」と話を振った、返答にはなっていないが、世間話から始めるものがマナーだと思っていた

だがボーマンダは俺の言葉を「お前の知っている通りだ、さっさと本題を話せ」と突っぱね、俺を睨んできた

俺はここで、以前フライゴンから少しだけ聞いていた、チルタリスの件について、多少の好奇心から聞いてみた
チルタリスがなにかをボーマンダに渡そうとしている、とだけ聞いていた話だがそれがなんなのかは知らなかった

だがボーマンダはすぐには答えてくれず、「フライゴンから聞いてないのか?」と聞き返してきた

「フライゴン」という名前が出て、俺は思わず怯んだ
ボーマンダが全てを見透かしているのでは、と思ったからだ

俺は「何も知らない!フライゴンが…お前に聞けと言ったんだ」と言い、目を逸らした
 ▼ 44 ゲピー@モーモーミルク 16/03/28 15:24:18 ID:wacztryc NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
ゆめのかけらっててっきりどこかの糞漫画の作者かと
 ▼ 45 ピンロトム@メンタルハーブ 16/03/31 18:38:32 ID:JQvXewVo NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 46 ソッキー@せいしんのハネ 16/03/31 18:45:45 ID:yryPE97E [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ふりゃカス死ねガブ
 ▼ 47 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/31 22:27:27 ID:5azG3Ws. [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「チルタリスが俺の羽を治せるらしい」
数秒間を置いてからボーマンダはそれだけ答えた

その言葉は俺を驚かせるには十分すぎた、俺のボーマンダに対する複雑な思いが更に意地汚い争いを始める
チルタリスが渡すというのはボーマンダの羽を治すための物に違いない、それで本当に羽が治ってしまったなら、俺のやったことが全て無駄になるのだ




ボーマンダの羽を奪ったのは俺なのだから
 ▼ 48 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/31 22:42:51 ID:5azG3Ws. [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ボーマンダの羽がまだ健在だったころ、俺は彼の友人という立場にいた
ボーマンダの前では自慢にもならないが、この地ではかなり速いポケモンである俺は、さらなる速さを求めてボーマンダに近づいたのだ

結果を言えばボーマンダの友人になることで速さを得ることはできなかった、彼は確かに速かったが、速さを求めることはしなかった
遊び呆けるだけの哀れな生活を彼は過ごしている、そんな風に俺には見えた

そんなボーマンダと接しているうちに、俺の中で一つの感情が膨れ上がってきた
今まで口には出さず、また考えることもなかった、自分とはかけ離れていた感情、劣等感が

俺はボーマンダよりも努力しているはずなのに、なぜ報われないのか、そんな自分勝手な思いが膨れ上がり、終には見透かされてしまったのだ



彼の一番の親友であるはずの、フライゴンに
 ▼ 49 兎めう◆.iii.l.ll. 16/03/31 22:43:25 ID:vKCp8Luc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 50 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/31 22:52:16 ID:5azG3Ws. [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
どんな会話の流れからそう聞かれたかは覚えていないが、フライゴンははっきりとそう聞いてきた


「ボーマンダを殺したいのか?」
そう聞いたフライゴンは、俺が返答を返すまでまるで人形のように表情を変えず、瞬きもせず、俺の目を見つめていた

「殺したいってなんだよ…いきなり…」

「とぼけなくてもいいじゃないか、近いうちにでもやるつもりなんだろ?」
動揺を隠しきれない俺の言葉を遮りフライゴンは喋る



「僕もそうなんだ、どうだい?一緒にやらないかい?」





そう言って微笑む悪魔の誘いを、俺は承諾した
今思えば、それこそが俺やボーマンダ、そしてチルタリスの日常を一転させてしまう、全ての原因だったのかもしれない
 ▼ 51 レディア@シャラサブレ 16/03/31 22:53:08 ID:I/Blj6AM NGネーム登録 NGID登録 報告
フライゴンの羽思い出した
 ▼ 52 ミラミ@ハーバーメール 16/03/31 22:54:34 ID:yryPE97E [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
こおわ・・・・・
 ▼ 53 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/03/31 23:13:45 ID:5azG3Ws. [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
そんなことを考えたあと、俺はボーマンダに
「そうか…それなら、どうしてその誘いに乗らないんだ?前は…遠い地方に行くのが、夢だとか言ってたじゃないか?」
と、大げさに言った



俺がかけてやれる言葉はこれくらいしかない
俺はフライゴンが持ち掛けた話を、ボーマンダ殺しを、果たすしかない


問題はタイミングだ
俺の言葉に「気分じゃないから」と答えたボーマンダは、俺を見つめたまま何も話しかけてきていない
そして俺も、ボーマンダを見つめたまま何も発さない

元々ボーマンダを呼び出したのは俺であり、ボーマンダが話すことなど本来はない
そして俺も同じくない、つまりボーマンダがいつ帰ると言い出すかはわからない

やるなら早い方がいい、ボーマンダが飛べなくなってから数か月がたった今、ろくにバトルすらしていないというボーマンダを殺すのにそう時間はかからないはずだ
『アイアンヘッド』で突っ込んで気絶させ、この丘から海へ落とせば少なくとも無事ではすまないはずだ


俺はそうするしかない、俺は罪を犯して生きていかなければならないポケモンだ
覚悟はできた
 ▼ 54 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/04/05 19:20:44 ID:R1Sb/zxc NGネーム登録 NGID登録 報告
月明りだけが輝き、いつもうるさく吹いていた風の音すらしない静かな真夜中
俺は硬化した頭をボーマンダに向け、彼に向って真っすぐに突っ込んだ、彼の鋭い眼が ―恐らく『いかく』するつもりはないのだろうが 一瞬俺の決意を鈍らせたが、吹き飛んだボーマンダを見てその気持ちは消えた

「なにをする!」という叫びに怯みはしたが、もう躊躇はない、俺は犯罪者だ、ならばもう振り切るしかないだろう
俺は自分自身の心にアクセルをかけ、もう一度ボーマンダにアイアンヘッドを食らわせ、力強く叫んだ

「ボーマンダ!悪いがお前には死んでもらう!」
この言葉こそが、今の俺の全てを現した言葉だった

俺はまたボーマンダに突っ込んだ、この一撃が俺に不幸を
殺人という二度と治らない心の傷と、殺人による二度と戻らない命をもたらすと理解していても…

どちらが速いか、ボーマンダは俺の追撃をかわそうとようやく動き始める
だがどのみちそれは遅すぎるはずで、なんの意味ももたない行動、のはずだった


気づいた時にはそこにボーマンダはおらず、ボーマンダに突っ込んだはずの俺が、かわりにそこにいた
思考が追い付かない俺にもたらされたのは、強烈な痛みだった
 ▼ 55 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/04/06 00:01:46 ID:1QEAeAPk NGネーム登録 NGID登録 報告
書くのすごいめんどくさい
 ▼ 56 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/04/09 17:56:14 ID:SHCI.cpU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おい、起きろ」
うつ伏せの状態になっていた俺は、その声で目を覚ます

「う…ぁ…?」
自分が何をしてこうなっているのか、度忘れした俺は顔を上げ、全てを思い出す
俺はボーマンダに負けたのだ、一撃で、一瞬で

「おいプテラ、今のはどういうことだ」

なんと言ったらいいか、俺はつい口をつぐんでしまう
覚悟は決めたつもりでいたが、負ける覚悟などはなかった
フライゴンによれば空も飛べずバトルもできないというボーマンダに俺が負けるはずないのだ


フライゴンによれば、そうであるはずだ


俺はここでまたミスを犯していたことに気が付いた
人殺しの共犯になろうというような奴を信用したしまったというミスを
 ▼ 57 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/04/09 18:13:07 ID:SHCI.cpU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
そもそもあいつは俺と共犯になるつもりなどなかったのだ
俺をはるかに超えるスピード、強靭な足を持つボーマンダが「バトルもできない」はずがない

あいつはボーマンダ殺しに協力し、羽を奪った、だが本当の狙いはそこからだった
あいつは俺がボーマンダの羽を奪わせ、それを種に俺を良いように使っていた

そして今回のボーマンダ殺し…あいつは俺がボーマンダに負けることを想定して今回の作戦を用意したのだ

予定通りボーマンダに負けた俺は、間違いなく逮捕され、牢に入れられる、だがフライゴンはどうか
フライゴンは近くの草むらに隠れてはいるが、これを実行したのは俺一人、岩雪崩の件だってフライゴンがやったなんて証拠はない
だが俺の場合、ボーマンダを殺そうとしたのは紛れようもない事実、岩雪崩の件は俺だって証拠はないはずだが、疑われることは間違いない

フライゴンが共犯者なんてことは信用されず、俺だけが二つの罪を被って牢に入るのだ
 ▼ 58 雨可視光カチコール◆4.KxX6FtKw 16/04/17 07:44:43 ID:zhMeHd8s NGネーム登録 NGID登録 報告
確かにボーマンダを殺そうとしたのは悪いことだ、許されるはずはない、許してはいけない
だが俺は、黙ってフライゴンのぶんまで罪を被ってやるようなお人好しじゃない

その時、俺が答えないことに苛立ったのか、ボーマンダの鋭い声が俺の耳に入ってきた
「死んでもらうとはどういうことだ!言え!」


「どういうこと」か、ボーマンダに全てを言ってしまえばいい
フライゴンがどんな反応を示すかなんて予想もできない、そんなはずはないと笑い飛ばされ、俺は自身の罪をフライゴンに被せようとした哀れな屑野郎と呼ばれるかもしれない
だがこの際それは構わない、俺の告白を受けて、フライゴンが、そしてボーマンダが変わってくれることが俺の願いだ

「死んでもらうとはどういうことだ!言え!」
痺れを切らしたのかボーマンダが俺の片羽を強く踏みつけ、問う

「わかった!言うさ!言う!はっきりと、全部な!」
行動は速いほうが良い、今こそ俺を甘く見、そして利用したフライゴンに仕返しをする時…
痛みをこらえながら叫び、告白の覚悟を決めた俺だったが、一つ心残りがあった

俺はなぜボーマンダに負けたのか
それを知りたくて、必死の形相で俺はボーマンダに聞いてみた

だがボーマンダから返って来た答えは
「飛ぶことだけが俺の強さってことじゃない、お前がただ弱かったんだ」
という素っ気ないもので

そりゃ、「なぜ俺はお前に負けた!飛べないお前がなぜ俺に勝てた!」なんて聞き方じゃ、ボーマンダも答えようがないか
なんて思って、俺はつい、苦笑した
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