【ss】世界からポケモンが消えたなら

―その日、僕は死んだ―

―そして、生き返った―

―大切な物を、犠牲にして―

「この世から１つの物を消すことで寿命を延ばせます」

「寿命を延ばせる時間はそのモノの世界に与えている」

「影響力に比例します」

―そして、僕は消した―

―自分のために、ただ消した―

―友達、両親、仕事仲間―

「馬鹿だなぁ、あなたの周りの人間なんか」

「この世界から見ればゴミカスですよ」

「居るとすら認識されてない」

「延ばせるのはせいぜい10時間くらいです」

支援

―僕の周りの人達は、全部消えた―

―代わりに手にしたのは合計で三日間の命―

「消したい時には来て下さい」

「寿命が尽きない限りはお相手しますよ」

―そして、僕は目覚めた―

―命を落とした交差点ではなく、自分の家で―

―………………―

―毎朝、僕を起こしに来る母親が今日は来ない―

―そうだ、消したんだった―

ヒトツキ「ﾄﾂﾄｰﾂｯ!」

「ヒトツキっ！…おはよう！」

ヒトツキ「ﾄﾂﾄｰﾂｯ!」

―不思議と寂しくは無かった―

―ヒトツキが居たから―

―起きて、身支度を整えると外に出た―

―何か消せるモノを…―

―外は強い陽射しが照り付けていた―

―自転車で体を揺らしながら街を走る―

「ん？なんだあれ…」

―寂れた小さい公園の１つの木の下に老婆が居た―

―なにやら様子がおかしい―

「どうしたの？おばあちゃん」

―自転車にロックを掛けて老婆の元に駆け寄る―

「実はねぇ…私のニャルマーちゃんが…」

―そう言いながら老婆が指差す先―

―比較的太い木の枝にニャルマーが居た―

「ニャルマーちゃんが私の宝物を持ち去って行っちゃったの…」

「宝…物…？」

支援

「孫がね…誕生日にくれたモノなんだけど…」

―送り主は孫…期待は出来なそうだな…―

―木の上のニャルマーに夢中な老婆―

「ニャルマーちゃーん！降りてらっしゃーい！」

―その隙に立ち去ろうとした…その時―

「お婆ちゃん！」

―後ろから不意に声がした―

「あぁ、ノブコかい…ちょいと助けてくれんかね」

「私で良かったら、で？なにをすればいいの？」

―ノブコ…この娘の名前…―

「ニャルマーちゃんが…」

―先程僕にしたように状況を説明する―

「おばあちゃんったら…」

「だって…」

「持ち歩くものでも無いでしょう…」

「あんたから貰ったものだから…手放したくないんだよ…」

「取ってくるから、下で待ってて」

―そう言うと「ノブコ」は木の幹に手をかけた―

「大丈夫かい…気を付けるんだよ？」

「いっつもベビーポケモン達を相手にしてるんだから大丈夫よ！」

「あんたの言う憧れのブリーダーさんが見たら何て言うのかねぇ…」

「知らない！」

―ベビーポケモン、という言葉から察するに彼女はポケモン専門の保育士なのだろうか…―

「ニャルマー、こっちおいで」

―見てて唖然とするほど彼女の一連の行動は早かった―

―気が付けば腕の中にはリラックスしたニャルマーの姿があった―

「気をつけて降りるんだよ！」

「分かってる！」

―危なげなく木の中腹まで降りてきた彼女に見とれていた―

―すると…！―

バキッ！

「キャアッ！」

―掴んだ木の枝が呆気なく折れた―

―瞬間、僕は走り出していた―

―あの高さから落ちたら死にはしないが骨を折る…―

―数秒の間にそんな事を考え、ひたすら走った―

―間に合わない！一か八か…―

―骨を折る覚悟で彼女の落下するであろう地点に滑り込んだ―

ドシンッ！

―痛く……ない…―

ああ、あれか。

「ウンミャァァァオオオオォォ‼」

「あれまぁ…」

「ニャルマー…じゃない…」

―目を明けると、そこにはスリムなニャルマーではなく太ましい体のポケモンが映っていた―

「ニャルマーちゃん…あんた…進化したのかい…？」

「進化したお蔭で助かったわ…」

―柔らかい脂肪で彼女と俺にかかる衝撃が軽減されたのか…

「あんた、大丈夫かい？」

「えっ？あっ、平気ですよ」

「ほら、あんたもお礼を言いな」

「うんっ、ありがとうございました…」

「いやいや、そんな、大層な事はしてないよ」

せか猫かぁ
いつか読んでみたい

支援

しえンネェェェェ！！！！！！！

やる気だせー！
かけかけかけ

>>11
面白いぞ
立ち読みでいいから目に通しとけよ
そんで支援

書け

支援しとくぞ