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【SS】バクフーン「炎が出なくなっちゃったんだ」

 ▼ 1 WaitStCgv. 16/05/14 17:11:36 ID:GEfB206s [1/25] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


僕はバクフーン。

小さな村の住民なんだ。



今日は困ったことが起きた。

困ったことが起きたんだ。




バクフーン「炎が出なくなっちゃったんだ……」
 ▼ 2 WaitStCgv. 16/05/14 17:14:32 ID:GEfB206s [2/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



困ったんだ。

炎が出ないと戦えないんだ。

僕は村の警備を任されているから戦えないといけないんだ。


僕は聞いてみた。

聞いてみたんだ。



オーダイル「へ? 炎が出なくなったァ?」

バクフーン「そうなんだ。朝からなんだ。なんでかわかる?」

オーダイル「さあ……」



友達のオーダイルもわからないんだって。

オーダイルは頭が良いからわかると思ったんだけどなー。
 ▼ 3 WaitStCgv. 16/05/14 17:15:14 ID:GEfB206s [3/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



オーダイル「お前、炎が出ないってことは村の警備もできないってことじゃないか?」

バクフーン「うん。そうなんだ!」

オーダイル「 「そうなんだ!」じゃねぇよ! 早く治さねぇと、もし悪党にでもやって来られたら村が荒らされちまうだろ!」

バクフーン「ごめんなさいなんだ……」



オーダイルは怒ったんだ。

オーダイルは僕と同じで村の警備を任されているから、きっと自分のお仕事が増えるのが嫌なんだ。

そんなに怒らなくたっていいのに!



バクフーン「誰かわかる人はいないかな?」

オーダイル「ううん……デンリュウさんは出かけていていないしな……」
 ▼ 4 WaitStCgv. 16/05/14 17:15:52 ID:GEfB206s [4/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



僕達はしばらく悩んでいたんだ。

そしたらメガニウムが来たんだ。

メガニウムは僕とオーダイルと友達で、とっても仲良しなんだ!


メガニウム「どうかしたの? 二人揃って……」

バクフーン「そうだ。メガニウムに聞くんだ!」

オーダイル「いやいや。わかるわけないだろ……」

メガニウム「なに? いいから話してみなさい。」


僕は簡潔に事情を話したんだ。


バクフーン「……というわけで、何故か炎が出なくなったんだ!」

メガニウム「ふーん。」

オーダイル「お前からも何とか言ってやってくれよ。」

メガニウム「言うこと…ねぇ……」
 ▼ 5 WaitStCgv. 16/05/14 17:16:44 ID:GEfB206s [5/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


メガニウム「昨日の晩御飯は何を食べたの?」

バクフーン「えっ? 」

オーダイル「( メシのせいなのか…? ) 」


バクフーン「えっと……木の実をたくさん食べたんだ。オレン、モモン、クラボ、チーゴ……」


メガニウム「……普通ね」

オーダイル「……普通だな」

バクフーン「あ、あと何かそこら辺に落ちてた丸い木の実も食べたんだ!」


オーダイル「………」

メガニウム「………」

バクフーン「えっ? どうしたの二人とも……」


視線が痛いんだ。やめてほしいんだ。
 ▼ 6 WaitStCgv. 16/05/14 17:17:24 ID:GEfB206s [6/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


オーダイル「あのなあ、バクフーン……」

メガニウム「いい歳して拾い食いなんてするもんじゃないよ…」


バクフーン「ご、ごめんなさいなんだ……」



もしかして木の実が原因なのかな?



メガニウム「で、どんな木の実だったの? 色は? 味は?」

バクフーン「え〜っと……」

バクフーン「丸くて、ちょっと苦いけど甘かったんだ!」

オーダイル「苦くて甘い……?」

メガニウム「そんな木の実あったかしら……」
 ▼ 7 WaitStCgv. 16/05/14 17:18:02 ID:GEfB206s [7/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



オーダイル「……んで、色は?」

バクフーン「黒なんだ!」


メガニウム「……」

オーダイル「……」

バクフーン「……えっ?」


また二人の視線が冷たくなったんだ。


バクフーン「そんな残念なものを見る目をしないでほしいんだ!」

オーダイル「……やれやれ 。」

メガニウム「相変わらずというか、なんというか……」

 ▼ 8 WaitStCgv. 16/05/14 17:18:48 ID:GEfB206s [8/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


メガニウム「とりあえず、注射しに行きましょ。」

バクフーン「えっ…?」

オーダイル「そうだな。それが無難だ……」



お注射……?


メガニウム「どうしたの?」

オーダイル「ほら、早く病院に行こうぜ?」

バクフーン「い……い………」

メガニウム「?」
オーダイル「?」



バクフーン「嫌なんだあぁぁぁぁ!!」ダッ


オーダイル「バクフーン!」
 ▼ 9 WaitStCgv. 16/05/14 17:19:29 ID:GEfB206s [9/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


僕は逃げたんだ。

逃げ出したんだ。


だって、お注射痛いんだもん。


二人はわからないんだ。

二人は僕よりも防御力が高いから……


僕だけ防御力が弱いんだ。

むにむにの皮膚にグサッと刺さる針が痛いんだ。
 ▼ 10 WaitStCgv. 16/05/14 17:20:15 ID:GEfB206s [10/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



僕は逃げて海辺まで来たんだ。



バクフーン「……海は綺麗なんだ!」



温かい砂浜、青い海。

嫌なことを忘れるのにはちょうどいいんだ!


ザザーン、ザザーン。

波の音が心地いいんだ……



僕は海さんに聞いたんだ。

聞いてみたんだ。



バクフーン「……海さん。叫んでもいい?」
 ▼ 11 WaitStCgv. 16/05/14 17:21:10 ID:GEfB206s [11/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





ザザーン、ザザーン……



バクフーン「……うん。うん。」



波の音が「いいよ〜」って言ってくれたから、思いっきり叫ぶんだ。




バクフーン「……僕も……」



「僕も防御力が欲しいんだあぁぁぁぁぁ!」



 ▼ 12 ノマダム@あくのジュエル 16/05/14 17:21:21 ID:OTGPXnoI NGネーム登録 NGID登録 報告
「求めるからいけないんだ」の人かな?
支援
 ▼ 13 WaitStCgv. 16/05/14 17:21:41 ID:GEfB206s [12/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



僕にも二人と同じくらい防御力があったらいいのに。


僕も二人と同じならいいのに。


そう思ったんだ。





バクフーン「同じだったら気持ちも分かり合えるのに…」







メガニウム「……それは違うわ。」
 ▼ 14 WaitStCgv. 16/05/14 17:22:23 ID:GEfB206s [13/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


バクフーン「…っ! メガニウム!」



僕の後ろからメガニウムが声を掛けたんだ。

オーダイルも少し後からやって来たんだ。



バクフーン「なんで……?」

メガニウム「もう……手間かけさせないでよね!」

オーダイル「ハァ、ハァ、ハァ……」



オーダイルは息を切らしているんだ。

きっと二人は僕の後をつけて来ていたんだ。
 ▼ 15 WaitStCgv. 16/05/14 17:23:22 ID:GEfB206s [14/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


メガニウム「今、あなたは『同じなら気持ちがわかりあえる』って言ったわよね?」

バクフーン「う、うん……」

メガニウム「それは違うの。」

バクフーン「違う?」

メガニウム「違う。」



メガニウムは僕の目を見てハッキリとそう言ったんだ。

それから数秒間見つめあっていると、今度はオーダイルが言ったんだ。



オーダイル「ハァ、ハァ……お前速いなぁ……!」

バクフーン「えっ? そうかな…?」
 ▼ 16 WaitStCgv. 16/05/14 17:24:05 ID:GEfB206s [15/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



オーダイル「羨ましいぜ、その速さ」

バクフーン「えへへ……照れるんだ……」

オーダイル「バトルでも先手を取りやすいだろうな…」

バクフーン「うん。取りやすいんだ!」


バクフーン「でも、オーダイルも攻撃力は高いし、防御力もあるんだ!」

オーダイル「へへ。いいだろ? 」

バクフーン「オーダイルの長所なんだ!」




ボクはオーダイルと笑いながら褒めあったんだ。
 ▼ 17 WaitStCgv. 16/05/14 17:25:29 ID:GEfB206s [16/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



そしたら、少しわかった気がしたんだ。



僕達は違う。

違うんだ。

同じじゃなくてもわかり合えるんだ。



いや、少し違うかもしれない。



大切なのは『わかり合おうとすること』なんだ。

わかり合おうとする気持ちは同じなんだ!
 ▼ 18 WaitStCgv. 16/05/14 17:26:15 ID:GEfB206s [17/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



バクフーン「オーダイル……」

オーダイル「……わかったみたいだな?」



バクフーン「メガニウム……」

メガニウム「……気づくのも早いのね。」



バクフーン「……うん。ありがとうなんだ!」




 ▼ 19 WaitStCgv. 16/05/14 17:26:50 ID:GEfB206s [18/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



それから、僕は病院に行ったんだ。

痛いのは嫌だけど、注射を打ったんだ。



ラッキー「痛いのは少しだけですから我慢してくださいねー。はい、痛くない痛くない……」

バクフーン「うう……やっぱり痛いんだ……」



やっぱり注射は痛かったんだ。

こんな注射を平気な顔して受けられるオーダイルとメガニウムが羨ましいんだ……。




オーダイル「……痛そうだな。」

メガニウム「……痛そうね…。」


終わったあとに二人は「お疲れ様」と言ってくれたんだ。
 ▼ 20 WaitStCgv. 16/05/14 17:27:28 ID:GEfB206s [19/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


バクフーン「二人が羨ましいんだ。防御力が高いからあの針も痛くないんでしょ?」


オーダイル「……は?」

メガニウム「何を言っているの? 痛いに決まってるでしょ」

バクフーン「えっ?」


二人はキョトンとした様子で言ったんだ。


オーダイル「防御力が高かったら針が刺さらないだろ?」

メガニウム「刺さるまでやり直しよ?」

オーダイル「しかも針の強度を上げてな」


バクフーン「え……ええええ!?」


 ▼ 21 WaitStCgv. 16/05/14 17:28:05 ID:GEfB206s [20/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


僕は驚いた。

驚いたんだ。



二人とも僕より辛い思いをしていたんだ…!



バクフーン「……ゴメンなんだ!」

オーダイル「ん?」

メガニウム「?」

バクフーン「僕は勘違いしていたんだ!」



僕は謝った。

謝ったんだ。
 ▼ 22 WaitStCgv. 16/05/14 17:28:45 ID:GEfB206s [21/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



メガニウム「……いいのよ。そんなこと……」

オーダイル「そうそう。大切なことが二つも見つかっただろ?」

バクフーン「うん……」



僕は笑った。

笑ったんだ。



バクフーン「わかり合おうとする気持ちは同じなんだ。」

メガニウム「……ええ。」


バクフーン「みんな違ってみんな良いんだ。」

オーダイル「……ああ。」
 ▼ 23 WaitStCgv. 16/05/14 17:29:12 ID:GEfB206s [22/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


オーダイル「……他人の気持ちがわかるようになれよ。バクフーン。」


オーダイルは微笑みながらそう言ったんだ。


バクフーン「…うん。頑張るんだ!」


僕は背中から炎を噴き出して言った。

二人は僕の炎を見つめて、安心してくれたんだ。



バクフーン「じゃあ、村まで競争なんだ!」

オーダイル「なっ!?」

メガニウム「望むところよ!」

オーダイル「…はああ!?」



何だか今日はいつもより炎の調子が良いんだ!
 ▼ 24 WaitStCgv. 16/05/14 17:29:55 ID:GEfB206s [23/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


バクフーン「一番乗りは僕なんだ♪」


僕は駆け出した。

駆け出したんだ。


メガニウム「待ちなさいっ!!」

オーダイル「クソッ! 負けてたまるか……!」


二人もノッてくれて、僕達は競争したんだ。


バクフーン「アハハ! 楽しいんだ〜♪」


僕は笑った。

笑ったんだ。


僕の後を追いかける二人も笑っていたんだ。
 ▼ 25 WaitStCgv. 16/05/14 17:31:05 ID:GEfB206s [24/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告






100%気持ちがわかりあえる事なんてない。


でも、わかり合おうとする気持ちは100%なんだ。



オーダイル「へへっ……楽しいな!」

メガニウム「……うん。楽しいね!」



僕はもう一度笑った。

ニッコリと笑ったんだ。




バクフーン「……楽しいんだ!」

 ▼ 26 WaitStCgv. 16/05/14 17:31:35 ID:GEfB206s [25/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
【SS】バクフーン「炎が出なくなっちゃったんだ」


〜おしまい〜
 ▼ 27 いキルリア◆hUf9yw3Yys 16/05/14 17:37:07 ID:pshKx5lk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんかいい話だった
お疲れ様
 ▼ 28 プラス@ヒールボール 16/05/16 22:45:52 ID:RYKYDhD6 NGネーム登録 NGID登録 報告
乙これもいい話だった
 ▼ 29 CSn9vcIqE6 16/05/17 19:34:28 ID:OMllwQhg NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
乙でした…!
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