【SS】おたまノチかえる:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】おたまノチかえる:ポケモンBBS

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【SS】おたまノチかえる

 ▼ 1 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/22 20:01:45 ID:7nE1DQvo NGネーム登録 NGID登録 m 報告
現在は6月。




──そう、梅雨の時期だ。
 ▼ 46 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 17:13:20 ID:b7ZJ.z/w [1/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
──雨は、嫌いだった。


…『だった』んだ。


ソーア『ニョニョ♪』バシャバシャ

ミニスカート「もう濡れちゃってるし…いいや。
ほら、ソーア、たっぷりお返ししてやるっ!!」ビシャッ

むしとりしょうねん「おいっ、僕にかけるな!
もう、アハハ…ソーア、お前のせいだぞ。」

ソーア『ニョニョニョ〜。』


ソーアに出会って、少し雨を好きになった。


思えば、雨なくして人々は生活を営めない。
まさしく恵みの雨なんだ。嫌ったら、バチが当たる。


こんな感じで僕とソーアは、生活を共にした。
大体、一週間程度だった。


…そうだ。

これも…『だった』んだ…。
 ▼ 47 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 18:25:10 ID:b7ZJ.z/w [2/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
──数日後 帰路 114番道路


ミニスカート「ソーア、学校まで着いて来るね。」

ソーア『ニョト。』

むしとりしょうねん「僕から離れたがらないんだよ。
…親だと思ってるのかな。」

ミニスカート「かもしれないね。」



…シュルルッ。


ミニスカート「ん、なんの音?」


『『グルル。』』


むしとりしょうねん(…。
この唸り声、どこかで…。)


『『 キ シ ャ 〜 〜 ッ ! ! 』』


むしとりしょうねん「え…えっ、アイツは!?」
 ▼ 48 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 18:28:53 ID:b7ZJ.z/w [3/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ハブネーク『『ガアァァアァッ!!』』


ソーアを襲ったハブネーク。

なんの因果か、再び彼らと合間見た。


…最悪の形でだ。



──カプッ。



ミニスカート「あっ…。」


ハブネークは、彼女の足首に噛み付いた。


むしとりしょうねん「!」


ミニスカート「…。」ドサッ


むしとりしょうねん「…ソーア、アイツを撃退するんだっ!!」

ソーア『ニョトーッ!!』ザザザーッ
 ▼ 49 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 22:44:55 ID:b7ZJ.z/w [4/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ハブネーク『『グガゥ…。』』クラッ


ねっとうをまともに喰らい、ハブネークは悶絶する。


むしとりしょうねん「…今だっ!
ネットボールッ、これしか持ってないけど…捕まれっ!!」


ヒョイ。


ハブネーク『『グワァ…(シュウン、ヒョヒョヒョン


──カチッ。


むしとりしょうねん「だ、大丈夫かっ…お前…!?」

ミニスカート「うぅん…。
…熱くて、痛い…。」


彼女の足首は腫れ、膨れ上がっていた。


むしとりしょうねん(なんとかしないと、僕が、なんとか。
…誰かに、そうだ電話だ、電話…!!)
 ▼ 50 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 22:52:33 ID:b7ZJ.z/w [5/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
おぼっちゃま《…身体を動かさずに安静な体制にしてやれ。そして噛まれた部位から毒を吸い出すんだ。
あと、水をガンガン飲ませないと。》

むしとりしょうねん「あ、あぁ。」

彼女の足首から毒を吸い出し、水を飲ませた。

ミニスカート「…もう、うっぷ、飲めない。」

むしとりしょうねん「脱水症状が怖いから、たっぷりと飲んでくれだって。大丈夫、近くの滝の水だから安全だ。
…ネットボールでも、案外捕まるもんなんだな。」



──しかし、ハブネークを捕まえたそのボールに僅かなヒビが入っていたことには、取り乱していた彼らは気付くことができなかった。



…パパパパ。


おぼっちゃま《よし、ヘリが来たようだ。
最寄りのポケモンセンターに連れて行く。あそこは病院が附属しているからな。》

むしとりしょうねん「今日ほどお前を友にもったことに感謝をした日はないよ。
…ありがとう。」


そして彼女は、病院へと運び込まれた。
 ▼ 51 腐メンタル代表◆sLd/Y3YrMA 16/06/23 22:56:08 ID:.tvjMkJo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 52 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:01:57 ID:b7ZJ.z/w [6/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
〜ポケモンセンター附属病院〜

ドクター「君の行った応急処置、見事なものでした。
血清の投与を行っています、彼女は直に回復することでしょう。」

むしとりしょうねん「…よかった。」

ドクター「そのハブネーク、なんだね?
彼女を噛んだのは。」

むしとりしょうねん「…ちょっとコイツには、色々とありまして。」

…………………………

ドクター「…なるほど。」

むしとりしょうねん「コイツ、道路の他の野生ポケモンよりも、明らかに凶暴な感じです。
コイツは…なんなんでしょうか?」


ハブネーク『『グルルル…。』』


ボールの中で、未だに声を滾らせていた。


ドクター「…確か、そのニョロトノ。
彼は、捨てられたポケモンだったってことだよね?」

むしとりしょうねん「…そうですが。」
 ▼ 53 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:08:44 ID:b7ZJ.z/w [7/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ドクター「…同じです。
そのハブネークも、トレーナーに捨てられたポケモンなのですよ。」

むしとりしょうねん「え?」

ドクター「他の野生ポケモンよりも、戦闘能力がケタ違いに優れている。
恐らく戦闘に特化されたポケモンなのだろうが、トレーナー自身にも手が負えなくなり、逃された。」

むしとりしょうねん「…コイツも?
コイツも…そうだった、同じだったのか?」

ドクター「114番道路が元々のハブネークの生息地だったってことが盲点でしたね。
気付けてよかった、さぁ、ハブネークを渡して。」

むしとりしょうねん「ワタシテ?」

ドクター「人間に危害を加えるようなポケモンは、ポケモン保健所に引き取ってもらって、殺処分するのですよ。
あなたが捕まえてくれたことが幸運でした。」

むしとりしょうねん「え、ま、待って…!
コイツを、殺すのか…?」

ドクター「じゃあなんです?
あなたが、このハブネークの世話をしようとでも?
無理ですね、あなたも噛まれる。下手すれば死にます。」

むしとりしょうねん「いや、そういうわけじゃ…。」

ドクター「…え、あなたはどうしたいんです?
何の罪もないポケモンや女の子に危害を加えようとしたポケモンを、あなたは一体…どうしたいんです?」
 ▼ 54 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:13:16 ID:b7ZJ.z/w [8/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ソーア『ニョトー。』

ミニスカート「痛い、痛いよ…。」


むしとりしょうねん(…。)


──僕はどうしたい?


しかし未熟な僕では、問に対する理想的な回答を見出すことなど到底不可能であった。



《殺した方が》



…また、あの考えが脳裏をよぎる。


むしとりしょうねん「とりあえず、一晩コイツをここで休ませてやってくれませんか…?
コイツだって疲れてると思うし…。」

ドクター「…まぁ、仮にも親トレーナーの願い。わかりました。
ただ、一晩で結論を出すことですね。
私はあくまでも、殺すことが懸命な判断であると考えていますので。」


…後伸ばしにすることしか、今の僕にはできなかった。
 ▼ 55 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:18:12 ID:b7ZJ.z/w [9/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
──夜中

ソーア『…。』グゥグゥ

気持ち良さそうに、ソーアは眠りこくっていた。

むしとりしょうねん「なぁ、ソーア。
お前は…僕といて、幸せなのかな?」

ソーア『トー…トー…。』グゥグゥ

むしとりしょうねん(僕なんかより、もっといい人が。
いたのかも…こんな、女の子一人守れない僕なんかより。
もっといい人が、トレーナーが。)


ダメだな、僕。


…本当に毒、大丈夫かな。
アイツ(おぼっちゃま)にも迷惑掛けてしまったし。


むしとりしょうねん(こんな僕なんかに、ポケモンの命を永久に奪う権限なんか。あるわけがないような。
でも、殺さないと…また被害者がでるかも…?)


…………………………


…決めた。
 ▼ 56 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:21:58 ID:b7ZJ.z/w [10/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
〜翌日〜

むしとりしょうねん「ソーア、お前はお留守番しててくれ。
お前とハブネークが鉢合わせちゃあなんかマズイからな。
いくぞ、スコルピ。」

ソーア『ニョ?』

むしとりしょうねん「いい子にしてるんだ。
また、甘いもの買って来てやるからさ。」

ソーア『ニョー…。』

むしとりしょうねん(アイツのお見舞い品も買わなきゃ。
奮発したいが、お小遣い、もっとほしいなぁ。)

むしとりしょうねん「ちょっと待ってろよ。悪いけど。
…すぐ、帰って来るからな。」チリリンッ


自転車に乗り、昨日の附属病院へと向かった。


ソーア『…。』



…網戸が、破れていた。
 ▼ 57 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:38:01 ID:b7ZJ.z/w [11/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
〜ポケモンセンター附属病院〜

むしとりしょうねん「結論を出しました。」

ドクター「目が充血してる上に、くまが凄いね。
一睡もしてないのかい?」

むしとりしょうねん「…寝れませんでした。
思い詰め過ぎて、なんだか夢であなたとハブネークがエンドレスで回りそうな気もしたので。」

ドクター「…そこまで悩みに悩んで導き出した結論。
聞かせてもらおうか。」

むしとりしょうねん「…。
殺します。
僕が、責任をもってハブネークを殺します。」

ドクター「…わかりました。
でも、あなた…本当に殺せるのですか?」

むしとりしょうねん「殺しますよ、じゃないと…。
…なんなら、今ここで…。」


むしとりしょうねん「…え?」



──ネットボールの中は、空っぽだった。
 ▼ 58 トカゲ@リニアパス 16/06/23 23:41:16 ID:XHh2EaVI NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 59 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:46:13 ID:b7ZJ.z/w [12/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ドクター「…なにっ!?
気付かなかったっ、あなた、まさか逃しましたっ!?」

むしとりしょうねん「このヘボ医者がっ!
そんなわけないじゃないですかっ!!」


むしとりしょうねん(ん…。)


彼は、ボールの一部が割れていることに気づいた。


むしとりしょうねん「…わかった、ヒビだっ、恐らくボールにヒビが入ってたんだっ!
ハブネークはそのヒビを突き破り、脱走したんだっ!!」


ドクター「なんですってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」


…そう。

ハブネークは、外へと放たれたのだ。


むしとりしょうねん「アイツ…今、どこにっ…!?
お見舞い品にと八百屋でカイス買ってる場合じゃなかったんだっ!!」


彼は、馬鹿に大きいカイスの実を抱えていた。
 ▼ 60 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/23 23:50:49 ID:b7ZJ.z/w [13/13] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
〜むしとりしょうねんのいえ〜

ソーア『…。』

ソーアは、何か少年の気を悪くしたから連れて行ってもらえないのかな、と考えていた。

ソーア(…ニョ!)

ソーアは思い出した。
少年もまた、甘いものが好きだということを。

ソーア『ニョ…。
…ニョッ!!』

網戸が破れているのを、発見した。

ソーア『ニョ…。』ソロ~リ

外でなにか甘いものを見つけて少年にあげれば、少年の機嫌も治るはすだ、と。

彼は本能的に、そう考えた。

ソーア『ニョッ!』ピョ~ン


…そして彼は、114番道路へと向かった。


………
……
 ▼ 61 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:05:42 ID:38IQupeA [1/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
むしとりしょうねん(放出した毒液が道標に…。
この方向は、そうだ。)


114番道路だっ!!


むしとりしょうねん「…。」チャリン


病院を後にし、彼は自転車で駆け出した。


むしとりしょうねん「もしもし、お前(おぼっちゃま)?
至急114番道路へ来てくれ。
…ハブネークが逃げ出したんだっ!!」

むしとりしょうねん(くそっ、カイスが重い!
ていうか置いて来るんだった!!)

…………………………


──114番道路


ソーア『ニョ〜。』


このことは少年は予想だにしないであろう。
目的地へと一足先に訪れたのは、ソーアであったのだ。
 ▼ 62 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:08:03 ID:38IQupeA [2/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ソーア『ニョ…。』キョロキョロ

ソーア『!』


彼は、とあるものを発見した。

そしてそれ自体は、彼の望むべきものであった。


ソーア『ニョトー。』ピョ~ン


彼は、それへと飛び跳ねた。


…だが。


ソーア『ニョ?』



ハブネーク『『…。』』



──見つけてはならない。
──見つかってもならない。

…望まぬものまで、発見してしまった。
 ▼ 63 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:11:04 ID:38IQupeA [3/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
──チリンッ。。


むしとりしょうねん「…いたっ!!
ハブネーク…えっ、ソーア?」

ソーア『ニョ♪』

ソーアは、少年が迎えに来たのだと喜んでいるようだ。

むしとりしょうねん「なんで、お前までっ!?
しかも…ソイツのそばにっ!!」


ハブネーク『『グルルル…。
…グルバハーッガァーッ!!』』ババッ


むしとりしょうねん「!」


ハブネークの怒りの矛先は、己を捕らえた張本人である少年へと向けられていた。

…毒を溜らせ、ハブネークは彼へと襲い掛かった。


むしとりしょうねん(う、うわ…。
わ…ぁ…?)


咄嗟のことで、逃げようとも思えなかった。
 ▼ 64 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:15:31 ID:38IQupeA [4/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ソーア『…ニョーーッ!!』ジャババッ

むしとりしょうねん「…ソーア!!」


ソーアは以前と同じように、ねっとうをハブネークへと放出し、動きを封じようとした。


──だが。


ハブネーク『『フシュー…。』』


ハブネークは、学習していた。


ハブネーク『『…ガバラァーッ!!』』ドドッ


ソーア『!?』


ハブネークは間一髪でねっとうを避け、ソーアへと襲いかかったのだ。



…そして。
 ▼ 65 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:17:46 ID:38IQupeA [5/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告















──ムシャッ。














 ▼ 66 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:25:06 ID:38IQupeA [6/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ソーア『ニョバ…。』


ハブネーク『『…ハブゥ…。』』


ハブネークが“勝ち誇った”表情を浮かべたその“意味”に。

少年は、気づいてしまった。


むしとりしょうねん「…なにが。
…ソーア。…ソー…ア…?」



…嘘だ。



ソーア『…。』



ゴフッ…。



──ソーアの左半身が、噛み千切られていた。
 ▼ 67 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:32:32 ID:38IQupeA [7/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
むしとりしょうねん「ソーア…。」


そんな。


むしとりしょうねん「まさか。」


僕のせいだ。



むしとりしょうねん(う…。
…うわあぁアぁぁァぁアぁあァぁああアあァあっ!!!?)



ソーア『…ニ…。』


むしとりしょうねん「…え…?」

ソーア『…。』ガッツ

むしとりしょうねん「ソーア…?」


…しかし彼は、左半身を失おうとも。

ふてぶてしい笑みを浮かべ、少年に例のガッツポーズを示して見せたのだ。
 ▼ 68 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:36:18 ID:38IQupeA [8/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
…ドロッ。


ハブネーク『『ハブ?』』

ソーア『…。』

むしとりしょうねん「ソーア、お前。
…お前がガッツポーズをする時って…雨を、降らすんだったよな…。」


『あめふらし』の真骨頂。

雨水内の不純物を除去できるというなら、その不純物を一箇所に集め、塩酸の如く強力な汚染物質と化し、一点集中させハブネークに放出することも可能。


結果…ハブネークの身体はドロドロに溶けてしまった。


ハブネーク『『ハブガァーッ!?』』


…ゴロッ。


ハブネーク『『ハブ?』』

むしとりしょうねん「あ…。」
 ▼ 69 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:38:18 ID:38IQupeA [9/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
衝撃で、カイスの実が自転車のカゴから転げ落ちた。


ハブネーク『『ハ…ハブ…。』』


…プチッ。


ハブネークの脳天に落下し、そのまま…ハブネークを押しつぶした。


むしとりしょうねん「…ソーア。」

ソーア『…。』

おぼっちゃま「やぁ、お待たせ!
さぁ早く、ハブネー…。」

おぼっちゃま「…。」

ソーア『ニョ、ニョ…。』


ソーアは、なにかを握りしめていた。


むしとりしょうねん「お前、なんだ、それ…。
…!
そんなもののために…ひょっとして、僕に?」
 ▼ 70 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:43:26 ID:38IQupeA [10/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
それは、『ふしぎなアメ』であった。


むしとりしょうねん「僕が、甘いもの好きだったから。
だから、落ちてたこれを、僕に、これをあげようと…?」


ソーア『…。』


応えることは、永遠になかった。


…ポツ、ポツッ。


不純物が取り除かれた雨水が、今頃になり降り注いだ。


むしとりしょうねん「…墓を、造ってやらないと。
ソーアの墓。僕のせいで、死なせたんだ。
僕のせいで、だから、そのぐらいは。」

おぼっちゃま「…あぁ。」

むしとりしょうねん「なぁ、聞いていいか?」

おぼっちゃま「なんだ?」
 ▼ 71 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:44:30 ID:38IQupeA [11/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
むしとりしょうねん「死ぬって、痛いのかな。
蛇に呑まれるのと、ガス処分されるのって…どっちが、一番痛いのかな。」

おぼっちゃま「…どっちも痛いさ。
痛くて苦しいから、死ぬんだろう。」

むしとりしょうねん「でも。」


少年の言葉は、尚も続く。


むしとりしょうねん「僕と最初に出会った時。
アイツは、もしかしたらハブネークを自力で撃退できたのかもしれない。
…僕の行いは、余計なお世話だったのかもしれない。」

むしとりしょうねん(死ぬことも、なかったかも…。)


《それでいいんじゃね?》

《死んだほうがためにはなるんじゃ。》


むしとりしょうねん(僕は、ただ単に、ポケモンたちを、好き勝手に…弄んでいただけに過ぎないんだ。)


僕なんかに、いや、誰しにも…。

他の命を終わらそうとする権限なんて…あるはずないんだ。
 ▼ 72 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:47:09 ID:38IQupeA [12/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
おぼっちゃま「いや…。
少なくとも、ソーアは、お前に出会えて幸せだったさ。」

むしとりしょうねん「え…?」

おぼっちゃま「ほら、あの傷のガーゼが取れてる。
…ソーアを、見てみろ。」

むしとりしょうねん(…。)


傷は、ほぼ治癒していた。


おぼっちゃま「この傷が治っていたということは、つまり、少なくともソーアはお前と出会ってから…ストレスなど感じなかったってことなんじゃないか?」

むしとりしょうねん「…わからない。」

おぼっちゃま「お前はお前なりに一生懸命やれていた。
ソーアは、そんなお前の気持ちを汲み取っていたのさ。」

むしとりしょうねん「…わからないんだ。」

おぼっちゃま「それが僕の解釈だ。
恐らくソーアは、幸せだったんだよ。」

むしとりしょうねん(…ソーア。
ごめんな。)


──本当に、ごめんな。
 ▼ 73 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:48:19 ID:38IQupeA [13/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
〜数日後 ポケモン霊園〜

ミニスカート「うん、立派なお墓だねー。
ソーアも喜んでるよ。」

彼らは共同出費し、ソーアの墓を建てたのだ。

むしとりしょうねん「お前、本当に大丈夫か?」

ミニスカート「大丈夫大丈夫。
ほら、もうなんでも食べれるし、動けるし!」

むしとりしょうねん「…でも、これを食べるんじゃないぞ。ソーアのお供え物なんだからな、水ようかん。」

ミニスカート「わかってるよ。
で、そのアメも?」

むしとりしょうねん「いや、これは違うんだ。
…ちょっとね。」

ミニスカート「ん?」


彼は、墓と向かい合った。


むしとりしょうねん「ちょっとした決意表明さ。
ソーア。このアメ、今食べるよ。」ガリッ


少年は、ふしぎなアメを噛み砕いた。
 ▼ 74 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:50:44 ID:38IQupeA [14/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ミニスカート「…どんな味?」

むしとりしょうねん「…へんな味。」


このアメは、ポケモンが食べるとレベルアップするが。
人間が食べても、多分効果はないだろう。


むしとりしょうねん「…だけど、僕はなにかしら、レベルアップをしようと思う。
ソーアの代わりに、なにかをツクってみたいんだ。」

ミニスカート「…できるといいね。」

むしとりしょうねん(…。)

むしとりしょうねん「…で。
アイツ(おぼっちゃま)は?」

ミニスカート「来るのかな、そもそも。
なんかお金儲けで忙しいんじゃない?」

むしとりしょうねん「…やっぱりいけ好かない、アイツ。」

ミニスカート「じゃ、そろそろ帰ろっか。」

むしとりしょうねん「…ああ。」


…じゃあな、ソーア。
次は、ヒウンアイスでも持って来るよ。
 ▼ 75 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:51:10 ID:38IQupeA [15/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
〜数年後〜


一年後の雨季は、元のように雨が降った。


その次も、そのまた次も、次も、次も。
雨は恐らく降り続くのだろう。


僕、むしとりしょうねんも、少年と名乗るには些か苦しい年齢となり。
生き甲斐だった虫ポケモン集めも、いつのまにかばったりと止めてしまった。


「あ、いたいた!
…集合場所、ここで合ってたよね?」

「合ってるよ。
あとさ、いつまでそんな短いスカートを履き続けるんだ?
校則厳しいのに、僕らの学校。」

「わかってないなー、ミニスカートは私のアイデンティティーだから!やめたら私じゃなくなるの。
わかる?ア・イ・デ・ン・ティ・ティ・ー・!!」

「…意味を履き違えてないか?」



──虫取りだったな、アイデンティティーは。
 ▼ 76 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:51:32 ID:38IQupeA [16/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
──僕らは今、とある活動を続けている。


『ガウー…。』


彼らは、酷く衰弱している一匹のポケモンを発見した。


「この子もだね…私たちに、怯えてるみたい。」


それは、こんな風に捨てられたポケモンを迎え入れ、世話を行おうというもの。


活動を始めた当初、保健所や政府等の反応は冷ややかなものだったが、地元の住民の署名活動やポケモンセンターの後ろ盾のおかげで、この活動を続けられている。

更にカントーのフジ老人もこの活動に賛同してくれて、ポケモンたちのハウスをホウエンへと建ててくれた。
一連の活動費用は彼が出費してくれたのだ。


「ほら、来なよ。
なにも心配は要らないよ、お前に危害を加えようなんて…少なくとも僕らは思わないから。」


子どもたちと触れ合う機会を設けたり、高齢者や長期入院患者に対し動物療法を行ったりと、受け入れたポケモンたちは、多岐に渡って活躍してくれている。


…どんなポケモンだって、使えないなんてことはないんだ。
生きている限り、皆、役割を持てているのだから。
 ▼ 77 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:51:59 ID:38IQupeA [17/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
『ガウゥウ。』ペトッ

ポケモンは、彼にくっついた。

「アハハ、もう懐いちゃったみたいだね。」

「僕って…こういう体質なのかな。
ナントカホイホイみたいな。」

「でもさ、ホントにさ、こう見てると減らないんだね。
…ポケモンを捨てるトレーナーって。」

「…ああ。」


アイツ(おぼっちゃま)がホウエンの公共団体とコネがあり、『ポケモンを逃したら厳重な処罰』という条例を(大体カネの力で)造った。
議会でも議決されたものだからちゃんとしたものだ。


──でも。


『自分だけじゃないし』

『他の人も同じように逃してるし』


「こんな言い訳ばっかだよね、皆。」


“右に倣え”の考えは、容易には拭い去れない。
 ▼ 78 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:52:22 ID:38IQupeA [18/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
…ポツッ。


(あ。)


「えー、雨だよ。
せっかく髪をセットしたのに。」

「…とりあえず帰ろうか、ポケモンハウスに。
ほら、行くぞ。」

『ガウッ、ガウッ。』


…ポツ、ポツッ。


…………………………


僕らはいわば、この雨粒だ。

まだまだ小さくて、まだまだ見え難くて。
一部の人には、未だに好意的に思われない。

…それに、雨粒は酸っぱくて目に染みるものだし。



──だけど。
 ▼ 79 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:53:57 ID:38IQupeA [19/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
(いつか…。)


僕らは、目指すんだ。


ポケモンを捨てるトレーナーがいなくなる世界を。
捕まえられたポケモンが、天寿を全うできる世界を。


…段々とこの活動の協力者も増えているが、それでもその数は、実に僅かなものだ。


(それでも、続けるしかない。
それが、ソーアに対しての贖罪でもある。)


「ほら、入るよ入るよ。
うわぁー、髪の毛ベチャってなってる。」

『ガゥガゥ。』

「…わかったよ。
そうだな。とりあえず、シャワー浴びようか。」

『ガウゥ♪』

ポケモンは、嬉しそうだ。


──バタンッ。
 ▼ 80 石の森◆Y0TXrTESFs 16/06/24 00:54:20 ID:38IQupeA [20/20] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ポツッ。


ポツツッ。



ポツ、ポツ…。




…ザァー、ザァー。





雨粒が交わり合い、勢いは次第に強まり。


──時間をかけ、やがて、豪雨となった。


………
……



おたまノチかえる ~完~
 ▼ 81 リンク@ズリのみ 16/06/24 08:35:45 ID:nxq3mYtg NGネーム登録 NGID登録 報告
終わってた
乙です
 ▼ 82 ツベイ@パークボール 16/06/24 08:45:50 ID:OcNHHktw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ▼ 83 ブラン@カメックスナイト 16/06/24 13:17:06 ID:w4Don6Hk NGネーム登録 NGID登録 m 報告

面白かった
 ▼ 84 ディアン@4ごうしつのカギ 16/06/24 16:50:00 ID:QUaYhfpc NGネーム登録 NGID登録 報告
ハブネークって牙あったっけ?
 ▼ 85 イボルト@ちからのハチマキ 16/06/24 21:11:20 ID:ujK6uaPA NGネーム登録 NGID登録 報告
>>84
立派なのが日本あるやん
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