【SS】無機質な支配者と繋がれた愚者【R-18】:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】無機質な支配者と繋がれた愚者【R-18】:ポケモンBBS

  ▼  |  全表示180   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【SS】無機質な支配者と繋がれた愚者【R-18】

 ▼ 1 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/07/04 01:10:01 ID:7fJArisU NGネーム登録 NGID登録 報告
  1

 人里離れた孤島に、とある組織のアジトがあった。その地下には、組織によって捕獲されたポケモンの収容所があった。
 その組織はメスのポケモンのみを捕獲しており、収容所にある無数の培養槽のひとつひとつに、捕まったポケモンたちは厳重に閉じ込められていた。

ガチャリ……

 収容所の重たい扉が開かれ、あるポケモンが姿を現した。フラージェスだ。
 フラージェスは、かの組織側のポケモンである。彼女は毎日、培養槽の中のポケモンに、何か異変がないか調べて回っているのである。
 しばらくフラージェスは、特に何かに興味を示すでもなく見回り続けていた。しかし、フラージェスは何かを感じ取ったのか、ある培養槽の前ではたと足を止めたのだ。
 その中で眠っているポケモンは、ジャローダ。長い身体に等間隔に拘束具が装着させられ、身体の自由が奪われていた。
 一定の規格で統一された培養槽は、ジャローダの大きな身体に対して、随分狭いものであった。というのも、彼女はジャローダの中でも特に大柄だったのだ。
 このジャローダは、目を閉じて安らかな表情で眠っているにも関わらず、並の者なら思わず目を伏せてしまうほどの強力な威圧を放っていた。
 フラージェスは、このジャローダから他のポケモンにはない、強大なエネルギーが秘められているように感じられた。
 次の瞬間には、フラージェスは培養槽に近づき、操作パネルを叩いていた。すると、培養槽内部に明かりが灯され、中の液体が排水された。
 培養槽のガラスがどけられ、ジャローダの姿があらわになった。身体に残った液体が、どこか艶やかさを演出していた。

ジャローダ「……? ……うう」

 眠りから覚めたジャローダが目を開けると、視界に入ってきたのは、全く知らない光景だった。そして、自分は囚われの身になったのだと、もうろうとした意識のなかで思い出していた。

フラージェス「はじめまして、ジャローダさん。私たちのアジトへようこそ。あなた、ずいぶんと窮屈そうにしてたわよね? 身体は大丈夫なの?」

 声の主は、目の前にいるフラージェスだ。平然とした様子だが、只者ではないことがジャローダには感じ取れた。
 本気で心配しているのか定かではないが、確かに培養槽はジャローダにとって窮屈な場所であった。身体のいたるところが痛くなっていた。
 拘束器のせいで完全ではないものの、培養槽が無くなったおかげで身体の自由が効くようになっていた。
 無意識に、ジャローダは伸びをしていた。そのせいで、フラージェスはジャローダがより大柄に見えてしまって、軽く恐怖を覚えてしまった。
 気がすむまで伸びをすると、ジャローダは目の前にいるフラージェスから何か聞き出せないかと、彼女に話しかけ始めた。
 ▼ 141 ミッキュ@たんけんセット 16/08/09 12:29:29 ID:qHGUd4F. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 142 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/11 00:56:23 ID:31uR8MaM [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
20日目。

セリフ内で改行するのをやりたくないたちなのですが、もしかしたらそのせいで見にくいかもしれません。
 ▼ 143 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/11 01:00:30 ID:31uR8MaM [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
  89

 ところで、もちろんラティアスが起こした騒ぎは、施設にいたポケモンたちの知るところとなっていた。

ムシャーナ『…………!?』

 ムシャーナもその一匹だ。というか、ムシャーナはラティアスたちのテレパシーを感じ取って、破壊音が聞こえる前からラティアスたちが逃げ出そうとしていることを察知していたのだ。
 ただ、ラティアスに必要以上に近づくのが嫌で、半ば見逃そうかと考えていたのだが。

ムシャーナ『これはもう、行動を起こさざるをえませんね……。むぅ……』

 これではフラージェスにも知られてしまっただろう。無視するわけにはいかなかった。

ムシャーナ『あー、あー、聞こえますかー? フラ様ー?』

 嫌々ながら、ムシャーナはフラージェスにテレパシーを送りつけたのだった。

フラージェス『ふふっ……どうやら大変なことが起こっているらしいわね……!』

 フラージェスは焦っている様子は感じられず、むしろわくわくしているようだった。

ムシャーナ『えーと、あまり笑えないことなんですよ……。なんたって、あのラティアス殿が脱走しようとしているんですからね……』

フラージェス『いいことじゃない……。それだけお姉さまにまだまだ活きがあるってことでしょう? 心配しなくても、お姉さまはここから逃げられはしないわ。ただ、いちおう脱走しようとしたことについては、厳しい罰を与えなくっちゃね……!』

ムシャーナ『え……まさかラティアス殿と戦うつもりですか?』

 フラージェスには悪いが、もはやラティアスはフラージェス程度のポケモンではまともな相手にならないだろう。ラティアスは以前より力を上手く操れるようになっており、つまるところ、それを十分に活かした戦闘ができるはずだ。
 しかも、ラティアスは『こころのしずく』とメガシンカという、力を底上げする要素を備えていた。実力差もさることながら、戦いを挑むこと自体が無謀に思われるのだ。
 ▼ 144 ムナイト@アクアカセット 16/08/11 01:00:33 ID:vJ48sUKQ NGネーム登録 NGID登録 報告
見てるよ
 ▼ 145 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/11 01:05:23 ID:31uR8MaM [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
  90

フラージェス『そうね。勝てるとは思えないわ。でも、私は本気のお姉さまと戦ってみたいのよ……! ムシャーナには分からないかしらね……。お姉さまの、私に向けてくる殺意……震え上がりそうになるくらい、怖かったの。あそこまで恐ろしく思えるのって、本当に滅多にないのよ。だからこそ、ねじ伏せたときの達成感はすごかったわ。まあ、今回はそれも難しそうだけどね』

ムシャーナ『はあ……』

フラージェス『ね、仮にもお姉さまに逃げられちゃったら、困るのよね? だから、精一杯の歓迎をしたいんだけど、かまわないかしら?』

ムシャーナ『……あの秘策を使うんですか? でもあれは、ことによってはフラ様に危険がおよびますよ?』

フラージェス『それくらい知ってるわ。でも、そうしないと、お姉さまは本気で相手してくれなさそうですからね。それにそれくらいしないと、フェアじゃないわ』

 勝てる見込みは薄いが、とにかくフラージェスはラティアスと戦いたいらしい。勝ち逃げされるのが悔しいのだろう。
 ムシャーナはフラージェスを思い留めさせることができなかった。フラージェスは戦いに向けての準備にとりかかってしまったのだった。


 ラティアスとラティオスは、出口を目指して施設内をさまよっていた。
 必ずどこかで戦闘になるだろう。それを考えて、ラティアスは必要以上にエネルギーを消費するのを避けるため、無闇な破壊活動を控えていた。

ラティオス「お、おねえちゃん! まってってばっ!」

ラティアス「そうも言ってられないでしょ? ま、別に置いていってもかまわないのよ?」

ラティオス「それは……やだなあ……」

ラティアス「だったら、文句言わずしっかりついてくることね」

 ラティアスは、闇雲にさまよっていた訳ではない。しばらく施設で過ごしていた間に、出口らしきものを何度か見かけたのだ。そこから脱出できるかもしれない。ラティアスはその場所を目指していた。
 そして、彼らはまもなく、その場所へとたどり着いたのであった。
 ▼ 146 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/11 01:10:37 ID:31uR8MaM [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
  91

 広い場所に出ると、目の前には重厚な扉が構えられていた。あの扉の向こうに、なつかしい外の世界が広がっているのだ。

ラティアス「……ラティオス、下がってなさい」

 恐らく扉は固く閉ざされているだろう。ラティアスはそれを一挙に破壊すべく、技を繰り出すつもりだった。
 まず、ラティアスが放ったのは『ミストボール』だ。凶悪なエネルギーを伴って、そのすべてが扉に命中した。
 ラティアスたちは、起こるであろう爆風に備えて身構えていた。しかし、そんなことが起こることはなかった。扉に触れた『ミストボール』は、まるでエネルギーを吸収されたかのように打ち消されてしまったのだ。

ラティアス「……チッ」

 ラティオスはラティアスが軽くいらだっているのを感じて、怖くなった。ラティアスがイライラでラティオスにあたってくるのは、よくあることだったからだ。
 今度はラティアスは『ドラゴンクロー』での破壊を試みた。瞬時に爪が数倍の長さに伸び、鈍い輝きを放った。ラティアスはそれをためらうことなく、立て続けに扉にぶつけていった。
 何となく予想はついていたが、それもろくに効力を発揮することはなかった。みるみる爪は輝きを失い、しまいには『ドラゴンクロー』は消え失せてしまった。

ラティアス「……なるほどね」

 やはり奴らはラティアスが脱走することを想定していたらしい。対策は万全、ということなのだろう。

ラティオス「……ええと、だめだったの……?」

ラティアス「見れば分かるでしょう? 言わせないでよ!」

ラティオス「ご、ごめんなさい……」

 破壊ができないのなら、扉を開ける方法を考える必要があった。面倒だが、適当な人間を捕まえて脅して、開けさせるか。ラティアスがそのような物騒なことを考えていた時だ。

フラージェス『ごきげんよう! お姉さまっ!』
 ▼ 147 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/11 01:15:19 ID:31uR8MaM [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
  92

 どこかこもった感じがしたが、それは聞き慣れた声だった。ラティアスとラティオスは、声のした方を振り返った。
 するとそこには、ムシャーナ、ジャローダの姿とともに、フラージェス、らしき何かがいた。

ラティアス「……!?」

 おそらくフラージェスのものなのであろうその姿は、その全体が機械でできたアーマーのようなものに覆われていた。フラージェス本来の姿は間接部分からかろうじてのぞいているくらいで、あとは大小さまざまなパーツの機械によってびっしり覆われていたのだった。
 機械と機械の間には無数のケーブルが露出しており、おそらくアーマーの内側まですき間なく覆われているのだろう。

フラージェス『あははははっ! どうかしら、お姉さま? 実に美しい姿だとおもいませんこと?』

ラティアス「悪趣味だわ」

フラージェス『あはっ……お姉さまったら……いちいち辛口なんだから……!』

 アーマーのせいで、フラージェスがどんな表情をしているのか分からなかった。どういうわけか、フラージェスは気が高ぶっているらしく、いつもの冷製な印象が感じられなかった。

フラージェス『ところで、お姉さま! 自慢の技をもってしても、その扉は壊せなかったでしょう? ふふふっ、残念ながら、お姉さまのためだけに、扉に「悪エネルギー」と「フェアリーエネルギー」を仕込ませてもらったわ! だから、お姉さまの力では、その扉はびくともしないわ! ねえ、今どんな気持ち?』

ラティアス「アンタにお姉さま呼ばわりされるの、いちいち寒気がするわ。気色悪いのよ、やめてちょうだい」

フラージェス『きゃはっ! そんな辛辣なあ……! 私はお姉さまのことを尊敬しているのよ! だって私と本気でやりあえるの、お姉さましかいないんですもの! いいわ、その殺気……もっと、向けてくれないかしら……たまらないわ……!』

ラティアス「……うぇっ……」

 これまでも、フラージェスとはうまくはやれないだろうと思っていたが、今回のこれでますます嫌悪感を抱くこととなってしまった。
 ▼ 148 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/11 01:20:32 ID:31uR8MaM [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
  93

ジャローダ「……ねえムシャーナ、いったいこれはどういうことなの……? あんなフラージェス、今まで見たことがないんだけど」

ムシャーナ『むぅ……。つまりは、フラ様は絶好の相手が見つかって喜んでいらっしゃるのでしょうね。フラ様は、ラティアス殿が来るまでは、頭ひとつ抜けた実力の持ち主でしたからね。本気でやりあうというのが出来なくて、物足りなさを感じていた、その反動なんでしょう』

ジャローダ「相手とかやりあうとかって……あっちの意味で?」

ムシャーナ『………………むぅ』

 すっかりかやの外となっていたジャローダとムシャーナは、フラージェスのいつにない様子に動揺を隠せなかった。
 くだんのフラージェスは、ラティアスとの一方的な会話を続けていた。

フラージェス『……扉を開けるための鍵は、今私が持ってるの』

 フラージェスは、そう言いながら右腕を挙げた。右手の辺りにある機械がカシャカシャと音をたてて、一枚のカードキーが現れた。
 フラージェスはそのカードキーをラティアス見せつけるようにしながら、言葉を続けた。

フラージェス『お姉さまがこれを手にすれば、すぐにでも外の世界に逃げ出せちゃうわね……。そうなると困っちゃうから、私、死ぬまでこれを手放すつもりはないわっ!』

ラティアス「そう」

フラージェス『お姉さま……? 今一度、本気で戦ってくれないかしら……? 私、本当にお姉さまのことを愛してるの……!』

ラティアス「…………」

フラージェス『どうしてもその事が伝えたくて……。もう、決して生半可な気持ちなんかじゃないわ……! 今まで誰にも抱いたことの無いくらい、この熱い気持ち……どうかお姉さまにも感じてほしいっ!』

ラティアス「分からないわ。いいから、さっさとそれを渡しなさい」
 ▼ 149 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/11 01:25:18 ID:31uR8MaM [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
  94

フラージェス『嫌だ嫌だ嫌嫌いやいやあああっ! これがないと、もうお姉さまは私のことを振り返ってくれないじゃないっ! 弱い私なんて、お姉さまは興味をもってくれないっ……! だからっ……だからだからだからっ!』

 そこでフラージェスは、言葉を切った。まるで何かの覚悟を、今一度確認しているかのようだった。

フラージェス『……お姉さま……ここで、私を、殺してちょうだいっ!!』

 フラージェスの言葉に、一同は一斉に驚きの声を挙げた。
 フラージェスは、自分より強いラティアスに、強い尊敬の感情を抱いていた。それだけならよかったのだが、フラージェスは、次第にその感情が恋愛のそれへと変化していったのだった。
 でも、ラティアスはそうしたフラージェスの気持ちに理解を示してくれなかった。その事に絶望したフラージェスは、せめてもの救いとして、ラティアスの手によって命を奪われたいという気持ちに陥ったのだった。
 あまりにも愛のかたちが歪みすぎていたが、ラティアスが振り向いてくれないくらいなら、フラージェスはそれが最良の運命のように思えたのだった。

フラージェス『お姉さま……お姉さまはこれから、その類いまれな力を発揮して、全ての生けるものを恐怖に陥れる、最凶の兵器となるのよ……! そんなお姉さまになら私を殺すくらい、簡単なことでしょう!? もちろん、私だって、全力で抗わせてもらうわ……! その上で、私をねじ伏せて、ひと思いに! やってくれたらいいの! 私がっ! お姉さまによる犠牲の第1号となるのっ! あは……あははは……あっははははははははははははっ!!』

ラティアス「そんなこと、絶対にしないわ。こんなことのために、わざわさ殺しに手を染める必要なんてないもの」

フラージェス『駄目っ! そんなの、お姉さまの本来の姿じゃないわっ! 破壊して破壊して破壊して、殺して殺して殺しまくって! それが、理想のお姿なのよっ! だからっ……………………あ』

 突如、フラージェスはスイッチが切れたかのように、それまでの妙な動きを止めてしまった。
 ▼ 150 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/11 01:30:13 ID:31uR8MaM [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
  95

 フラージェスが動かなくなったのはアーマーによって性器が強烈に刺激されたからであった。そしてそれは、普段フラージェスが身に付けている機械のものとは、比べ物にならないほどの威力を伴う攻めであった。
 フラージェスはそれによる快感、というよりは洗脳によって、ついには本来あるべき意思を喪失することとなった。
 これにより、フラージェスは自らの意思ではなく、機械の意思によって身体を動かすこととなった。

フラージェス『…………アハ』

ラティアス「……っ!」

フラージェス『……だから……お姉さまっ! アハッ……死んじゃええぇぇっ!!』

 フラージェスは『ムーンフォース』を出現させた。今までに見たことがない、もっとも大きな白銀の球体は、発生したかと思ったときにはすでにラティアスに向かって放たれていた。

ラティアス「ラティオスっ! すぐに離れてっ!」

ラティオス「は、はい!」

 飛来した『ムーンフォース』は誰にも命中することは無かったものの、触れたものはすべてがなぎ倒され、エネルギーが消える頃には一帯に巨大な空洞ができていた。

ラティアス「ラティオス! アンタは安全な場所に隠れてなさい! 加勢なんていいから! 危険が迫ったら、迷わず逃げるのよ!」

ラティオス「わかったっ!」

 ラティアスはラティオスの後ろ姿を確認すると、フラージェスの方へと目を向けた。

フラージェス『そうよ、そうよそうよそうよっ! その目よ! それを待ってたのっ! 殺意のこもった目付き! しびれるくらい恐ろしい……けど、なんて素晴らしいのっ……! あははははははははははははっ!!』

 ラティアスは、望んでなどいない勝負に挑むこととなった。フラージェスは、本来以上の力を発揮しているようだ。アーマーのせいで暴走しているのだろう。手を抜くことは許されなかった。
 ただし、くれぐれも熱が入りすぎて正気を失わないよう、気を付けよう。私は兵器ではない。1匹のポケモンなのだから。ラティアスは、そう改めて心に刻んだ。
 ▼ 151 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/11 01:31:00 ID:31uR8MaM [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日はここまで。

次回は96番〜99番を投下予定です。
 ▼ 152 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/13 00:35:00 ID:JSrT3iP. [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
21日目。

戦闘描写は苦手です。
 ▼ 153 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/13 00:40:21 ID:JSrT3iP. [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
  96

 ラティアスは、まずはフラージェスの出方をうかがった。

フラージェス『お姉さまァ……! 私の全力を……ぐぁっ……全力を受けて死ねっ!』

 突如として、ラティアスの真下の床がゆがんだかと思えば、いくつもの巨大なツルが床をぶち破って現れ、素早い動きでラティアスに巻きつこうとした。
 おそらくそれは『くさむすび』だったのだろうが、様子を見る限りは、相手を転ばせるなどといった生やさしいものとはかけ離れていた。
 不意を突かれたせいで、ラティアスはそれらのツルをほんの数本しかかわすことができず、巨大なツルによる拘束を許してしまった。

ラティアス「ぐぁ……ひぎぃ……がぁ……ぁ……あぁ……!」

 ツルといっても、それらはラティアスの胴回りに匹敵するくらいの太さがあった。それらが幾重にも重なって、ラティアスを押し潰そうとしていた。
 しかし、ラティアスも黙ってはいなかった。一瞬にしてツルをバラバラにすると、ツルの包囲から脱出したのだ。
 ラティアスはツルに捕らわれた中で、『ドラゴンクロー』と『はがねのつばさ』を併用しての突破を図ったのだ。そして、その過程で、ラティアスは機械の力に頼ったのだった。

ラティアス「はあ……はあ……///」

 ラティアスは息を荒くしていたが、その原因は押し潰されて息が苦しかった反動の他に、機械の刺激で興奮していたのもあったのだった。

フラージェス『げほっ……げほっ……ああ……あああ、さすがですわお姉さま……! そう簡単には息の根を止められない……! ……でも、ひとつを突破したくらいで、いい気にならないでくださるうぅっ!!』

 フラージェスの意思が反映されたのか、ツルはより勢いを強めてラティアスに迫っていた。

ラティアス「ぐぇはがぁっ!?」

 とてつもない勢いを弱めることなく、ツルはラティアスの横っ腹にぶち当たった。あまりの衝撃で、ラティアスは内臓にダメージを受け、口からどす黒い血を吐き出した。
 ラティアスは身体をツルが進むままにされてしまい、その後、ラティアスを伴ったツルの先端が壁に突き刺さるのに、もろに巻き込まれてしまった。
 ▼ 154 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/13 00:45:26 ID:JSrT3iP. [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
  97

 ツルはラティアスの腹にグリグリと食い込み、下手をすればそのまま突き刺さりそうになっていた。
 ラティアスは意識が飛びそうになっていたが、気を失えば殺されるという危機感から、かろうじて意識を保っていた。しかしながら、抵抗するための、一切の自由が許されていなかった。
 甘く見ていた。フラージェスは、ラティアスと戦うために、かなり無茶をしているようだ。
 さっきから、フラージェスの様子が見るからにおかしかった。身の丈に合わないエネルギーは、身体への負担が大きくなり、やがて身を滅ぼすことになる。
 ラティアスが手を下さずとも、いずれはそうして攻撃の手はやむだろう。
 ただ、それでは後味が悪い。ラティアスは、そういった結末には納得がいかないたちだった。
 ならば、フラージェスの暴走を止め、なおかつカードキーを手にする必要があった。
 私も本気を出さないと。そのときどうなってしまうかなんて分からない。得体の知れない力への恐怖もあったが、すがるものは、この身に宿した機械くらいしかないのだ。

ラティアス「ん……ぅう!/// は……ぁあ!/// ひゅう……あ……!/// は、あ……あああ!/// ひゅああああああん!!//////」

 覚悟を感じ取ったかのように、機械は容赦なくラティアスの恥部を刺激した。ラティアスが快感に浸れるよう、機械は最善のヤりかたで、テクニシャンのごとく攻めたてた。
 そのせいで、ラティアスはあっという間に絶頂に至ったのだった。
 そして、絶頂したはずみで、ラティアスが普段、無意識に自制していたエネルギーが、にわかにあふれだした。

ラティアス「……ガッ……グルルルウアアアッ!!」

 ラティアスの表情が、秘めていた野性をあらわにすると。
 ラティアスナイトが輝きだし、ラティアスはメガシンカしだしたのだった。
 メガシンカによって発散されたエネルギーは、フラージェスが出現させたツタを瞬時に粉々にした。
 ツタから解放され、現れたラティアスは、その姿をメガラティアスに変えていた。
 ▼ 155 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/13 00:50:31 ID:JSrT3iP. [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
  98

 ラティアスはゆっくりと両目を開けると、真っ先にフラージェスの姿をとらえ、静かににらみつけた。

フラージェス『あっ……あああっ! やっと! やっとなのね! それが、お姉さまの、破壊者たる真のお姿なのねっ! ついに本気で私と戦ってくれるのね……! 嬉しい! さあ、お姉さま……私に襲いかかってきてくださ――』

 フラージェスが出任せに言葉を並べていたところで、得体の知れないエネルギーに襲われ、フラージェスは身体が硬直してしまった。
 そして、次の瞬間。フラージェスの身体を包んでいたアーマーが、至るところで鈍い音をたてて、次々と形状を歪ませていった。
 その衝撃はすさまじく、まるでいくつもの巨大な鈍器で袋叩きにあっているかのようだった。直接身体を攻撃されたわけではないのだが、機械越しにその衝撃が伝わり、フラージェスを苦しめていた。
 ラティアスの放った『サイコショック』は、わずか数発でフラージェスのアーマーの効力を失わせた。もはや、今フラージェスが身にまとっているのは、ただのガラクタのかたまりにすぎない。
 フラージェスは、アーマーの支配から解放された。それはラティアスへの対抗手段を失ったということである。
 フラージェスはそれまでの自信を失い、ラティアスに対する恐怖に襲われていた。
 ラティアスがフラージェスのもとへと飛来してきた。
 そして、ラティアスはフラージェスの両肩を押さえると、力ずくでフラージェスを床に叩きつけた。

ラティアス「グルルル……グルルルルルルッ!!」

 フラージェスとラティアスの目が合った。ラティアスの目は鋭くつり上がっており、その視線から、沸き上がる殺傷欲にかられているような様子がうかがえた。
 突然ラティアスが爪をたてたかと思うと、両手の爪でフラージェスを覆うガラクタを切り裂き出した。
 頑丈な素材でできているはずのアーマーだったが、先程の衝撃でもろくなっていたのか、あるいはラティアスの爪が異常に切れ味が良かったのか、次々と金属片が舞い、フラージェスからアーマーがはがされていった。
 数分たった頃には、フラージェスの頭から胸を覆っていたアーマーは粉々に切り裂かれ、フラージェスは生身をラティアスにさらしていた。
 ▼ 156 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/13 00:55:16 ID:JSrT3iP. [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
  99

ラティアス「クヒヒヒヒ……ヒヒヒッ!!」

 今のラティアスの様子は、先程までフラージェスが望んでいたラティアスの姿そのものだ。だが、いざとなると、いくらフラージェスであっても、死への恐怖がどうしても勝ってしまうのだった。

フラージェス「あ……お姉さま……やめて……やだ……私……本当に……殺されるの……?」

 ラティアスは獣のように息を荒くし、時おり舌で口元をなめ回していた。以前にも見た、発狂状態だ。いつ襲ってきても不思議ではない様子だ。

フラージェス「……そうよね」

 あまりにも恐怖が続いたせいで、かえってフラージェスは吹っ切れてしまった。

フラージェス「本気の本気で戦うってことは、もうそれは非情な殺し合いなのよね。で、私が負けちゃったから、死ぬのも私……よね」

ラティアス「…………」

 一度はラティアスは力の誘惑によって正気を失っていたものの、フラージェスのただならない恐怖を感知したことから、少しずつ我にかえっていった。
 危うく、この手を他人の血で染めるところだった。我にかえるのが遅れていたら。その流れでフラージェスを殺していたら。一生後悔することとなっていただろう。

フラージェス「やっぱり、かなわなかった……初めからそんな気はしてたけど、思い知らされちゃった。……さあ、お姉さま……さっさととどめを――」

ラティアス「いいえ」

 フラージェスは、ラティアスが突然まともにしゃべって、きょとんとした。

ラティアス「命はとらないわ。ただ、降参してくれない? アナタは、もうこれ以上は戦えないでしょ?」
 ▼ 157 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/13 00:56:00 ID:JSrT3iP. [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日はここまで。

次回は100番〜103番を投下予定です。
 ▼ 158 リトドン@あおいバンダナ 16/08/13 11:58:35 ID:EQ6ApW5E NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
支援
 ▼ 159 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/15 00:59:00 ID:152vynR. [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
22日目。

フラージェスはけっこう好きなポケモンなのにどうしてこんな性格に……?
 ▼ 160 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/15 01:00:36 ID:152vynR. [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
  100

フラージェス「命は……とらない……?」

 フラージェスは、初めはその言葉の指す意味が分からなかった。一言ずつ、その言葉を噛みしめ、ようやくフラージェスは理解した。

フラージェス「ふっ……。あは、はははは……」

 そうか。つまり、ラティアスはそういう奴なのだ。

フラージェス「あっはははははははははははははははははははははははは……!」

 フラージェスは、気がすむまで笑い続けた。よほどおかしかったのか、フラージェスに似合わないくらいの大声の笑い声だった。
 そして、その表情に、一転して失望の色をにじませた。

フラージェス「ラティアス。あんた、兵器失格だわ……」

ラティアス「私はもともと兵器にはなっていないわ。今さらなんなのよ」

フラージェス「全然兵器らしくない! 優しすぎるのよ! その感情が失せない限り、いくら実力があっても、役にたたないわ!」

ラティアス「破壊し、殺傷することが、力の使い方のすべてではないわ。私はそれを知ってる。……それは、誰かを守るためよ。私はここに来るまでの間にも、そんな方法で力を奮ってきたのよ」

フラージェス「ハッ……そんなキレイ事が、ここで通用すると思って?」

ラティアス「思ってないわ。だから逃げ出すのよ」
 ▼ 161 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/15 01:05:25 ID:152vynR. [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
  101

フラージェス「…………そう」

 すると、フラージェスはアーマーに隠していたカードキーを取り出すと、ラティアスに投げつけた。
 突然のことだったが、ラティアスは反射的にそれを受け止めた。

フラージェス「どこへでも行くがいいわ。好きになさい」

 フラージェスはそう言うと、深いため息をついた。もう戦いになることはないと察して、ラティアスはメガシンカを解除し、元の姿へと戻った。

ラティアス「どうもありがと」

 カードキーを手にしたなら、フラージェスを捕らえておく必要もなかった。ラティアスは軽く飛び上がると、フラージェスから距離をおいた。
 もうここには用はない。早く逃げ出そう。

ラティアス「ラティオス! どこ行ったの!? もう出てきていいわよ!」

ラティオス「はーい……」

 ラティオスは、目の前で起こった殺し合いにまだ恐れをなしていたのか、声が震えていた。
 ラティオスは、フラージェスの様子に、息を呑んだ。ラティアスの爪が何度もかすめたのか、肌が傷だらけになっていた。そして、身体を覆っていたアーマーは形状がまるで滅茶苦茶になっており、悲惨な状態だった。

ラティオス「あのっ、だ、だいじょうぶ……ですか……?」

 思わずラティオスは声をかけてしまった。言ってしまってから、フラージェスが敵だということを思い出して、ラティオスは余計なことだったかとあたふたしていた。

フラージェス「あら! 怪我人には敵でも情けをかけるなんて、やっぱり騎士様は優しいのね!」
 ▼ 162 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/15 01:10:34 ID:152vynR. [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
  102

ラティオス「えっ!? あ、あのっ……」

フラージェス「ふふ、……あの日の続き、ここでヤってく?」

ラティオス「ええっ!? あの、それ、それはっ!///」

 ラティオスはあまりにも動揺して、思考がこんがらがっていた。フラージェスは、そんなラティオスがかわいくて仕方なかった。

ラティオス「その……ご、ごめんなさいっ!!」

 恥ずかしさのあまり、フラージェスから離れたラティオスは、先を行くラティアスの陰に隠れてしまった。

ラティアス「…………チッ」

 ラティアスはラティオスに何があったか、さして興味はなかった。ただ、姉として、いくらかは注意してやる必要があるだろう。
 ラティオスは目のやりどころに困っていたが、そんな中、今度はジャローダと目が合ってしまった。
 ジャローダはラティオスを見ると、柔らかな笑顔で返してきた。
 一方ラティオスは、夜な夜なの営みがどうしても思い出されて、顔を真っ赤に染めていた。ジャローダの視線から目をそらすと、頭を抱えながら、ラティオスは激しく首を振っていた。
 もはや、ラティアスはいちいち気に止めるのもやめていた。
 ラティアスがカードキーをパネルにかざすと、重厚な扉が轟音をたてて開きだした。扉は何重もの構造になっており、全てが開かれるまでは時間を要した。
 すると、ラティアスの背後で、よろけながらフラージェスが立ち上がった。フラージェスは、ラティアスの背に向けて、最後に一言投げかけたのだ。

フラージェス「あ、お姉さま! 戻ってきたくなったら、いつでも遠慮なく戻っておいでね! いつだって歓迎だから!」

ラティアス「ありえないわ! お断りよ!」

 ラティアスは振り返ることなく扉があった場所をくぐり抜けていった。ラティオスもそれに続いた。
 こうして、ラティアスとラティオスは、久しぶりの大空へと飛び立っていった。後を追うものは、何もなかった。2匹は再び自由を手にしたのだった。
 ▼ 163 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/15 01:15:03 ID:152vynR. [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
  103

ムシャーナ『ほ、本当に逃がしてしまって大丈夫なんですかね……?』

 ラティアスたちの姿はあっという間に見えなくなってしまった。
 思えば、機械を身に付けたままのポケモンを、誰の管理下にも置かずに外界に放すのは初めてのことだ。なので、ムシャーナは、こうした際にそのポケモンがどうなるかを知らなかった。

ジャローダ「ラティアスはけっこう機械の中毒性にやられてたみたいだけど、よく断ち切ることができたわね……。私には……うん、無理かも知れない」

ムシャーナ『むぅ……。でもまあ、ラティアス殿は意志が強いお方でしたからね。それに、何より人間を見下してましたからね。彼らから与えられるような快感に浸っているのが嫌になったんでしょう。しかし、と、なると……戻ってくる可能性なんて、まるでなさそうなのですが……?』

 そういえば、フラージェスが、ラティアスはここからは逃げられないと言っていたことを思い出した。
 何か確証があるのだろうか。フラージェスは何か知っているのだろうか。

ムシャーナ『あの……、フラ様? ……ああ、というか、フラ様! 早急に傷の手当てとエネルギー補給が必要でしたね!? ささ、力を抜いて、私の念力にしばし身体を預けて――』

フラージェス「ムシャーナ……もっと……こっちに……」

ムシャーナ『はい、ただいまっ! ……フラ様? あーこうして見ると、傷が目立ちますねぇ……こんなんではせっかくの美貌が――』

フラージェス「ムシャーナぁっ!!」

 いきなりフラージェスはムシャーナに襲いかかった。ムシャーナの丸い身体を羽交い締めにすると、フラージェスはにわかに息を荒くしだした。

フラージェス「むふふふっ……つっかまっえたあぁ……!///」

ムシャーナ『はあっ!? ちょっと、フ、フラ様っ!? お気を確かにっ!! なんか見境なくなってません!? いやあ、あ、ああああ!?!?』

 いつもどおり、フラージェスは激しい戦いの後の性欲でおかしくなっていた。特に今日はエネルギー消費が激しかったものだから、相手に選ばれたが最後、それはもう大量に搾り取られてしまうことだろう。
 フラージェスに襲われたせいで、結局ムシャーナは、フラージェスがラティアスをやすやすと逃がしてしまった理由を聞き出せなかった。
 ▼ 164 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/15 01:17:59 ID:152vynR. [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日はここまで。

次回は104番〜112番を投下予定です。

このシリーズは、次の更新で終わりです。
 ▼ 165 イホーン@チルタリスナイト 16/08/15 22:16:26 ID:NZABoNt6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
見てるよ
 ▼ 166 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/17 00:04:09 ID:4S2K0u0E [1/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
23日目。

さっさと投下してひっそり終わります。
 ▼ 167 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/17 00:06:15 ID:4S2K0u0E [2/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
  104

 ラティアスとラティオスは、まっすぐに故郷を目指して、海上を飛行していた。
 思えばかなり離れたところまで連れ去られたものだ。飛行速度には自信があったが、いつまでも最高速が保てるわけでもないし、戦いのせいで疲れきってしまっていた。

ラティオス「おねえちゃーん! まってよお……!」

 おまけにとろいお荷物まであった。とても一日では故郷にたどり着けないだろう。日が沈むまでに安全に休める場所を探しておく必要があった。
 そして、いよいよ日が沈もうとしていた頃に、ようやくラティアスたちは、比較的大きな島を見つけた。そこの、崖になった海岸の中腹に、ふたりが難なく入れそうな空洞があった。ふたりは迷わずそこに舞い降り、長らく酷使していた翼を休ませることができたのだった。

ラティオス「ふう……もう、つかれちゃったー……」

 ラティオスはよっぽど疲れていたのか、地面にへたばって不満を垂れていた。
 しばらくラティオスはうるさいくらいに独り言を連呼していたが、妙に引っかかることがあって黙ってしまった。
 ラティアスが、このような態度をとるラティオスに何も言ってこないのだ。

ラティオス「ねえ、おねえちゃん……?」

ラティアス「……はぁ、……はぁ……うっ……」

ラティオス「っ!? おねえちゃん! しっかりして! なんか、すごいつらそうだよ!?」

 ラティアスは、ラティオスがいる手前、あまり態度に出そうとしていなかったが、安全な場所に来れたことで、これまでの疲れが一気に押し寄せてきていたのだった。

ラティオス「ああ……そりゃ、そうだよね……。おねえちゃんは、ぼくをさがしてまわったときから、いちどもやすんでなかったもんね……。ぼくなんかより、よっぽどつかれてるよね……。ごめんなさい、すぐにきづけなくて……」

ラティアス「ラティオス……」
 ▼ 168 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/17 00:10:41 ID:4S2K0u0E [3/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
  105

ラティオス「あ、そうだ。おねえちゃん、ぼく、ここにおりるちょくぜんに、きのみがなってるもりをみたんだ。たしかそんなにはなれてなかったよ。ぼく、いまからとってくる!」

ラティアス「ああ、そういうことなら、私も……」

ラティオス「おねえちゃんっ!」

 ラティオスは、めずらしく声を大きくして、姉であるラティアスに反発した。
 そのときラティアスは、ラティオスの目に、はっきりとした意志を感じ取ったのだ。

ラティオス「おねえちゃん……。……駄目だよ。お姉ちゃんは、ここで待ってて。大丈夫、僕なら心配ないよ。すぐに戻るから、ゆっくり休んでてちょうだい」

 そう言い残して、ラティオスは再び飛び立つと、その森を目指して飛んでいった。
 ラティアスは、ラティオスの言葉に甘えることにした。正直なところ、ラティオスがここまで頼もしく思えたのは、ラティアスにとって初めてのことだった。それは、姉として、素直に嬉しいことだ。
 ラティオスがいないうちに、ラティアスは地面に身体をだらっと垂らして横になった。本当はもっと前からこうしていれば楽だったのだが、真面目な姉としてありたいという妙なプライドから、そうできずにいたのだ。

ラティアス「ふうっ! ……あああ……あー……、あ……?」

 ラティアスが一度伸びをしたところで、恥部の機械が視界に入った。
 そういえば、もうとっくに身に付いていることに違和感が無くなってしまったこの機械だが、施設から脱出した今、これはもう必要のないもののはずだ。

ラティアス「……んっ……」

 何とか外すことができないかとしばらくいじってみたが、これがまたしっかりとくっついており、まるではがれそうになかった。
 まあ、今無理して外すこともないだろう。故郷に戻ったら、まずはこれを外す方法を探そう。最悪、仲間の協力も借りればいい。恥ずかしくはあるが、それも必要な代償だろう。
 ラティアスは機械のことはひとまず忘れて、また横になった。そしてそのまま、ラティアスは寝息をたて始めたのだった。
 ▼ 169 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/17 00:15:03 ID:4S2K0u0E [4/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
  106

ラティオス「…………ちゃん? ……お姉ちゃん……!」

ラティアス「ん……」

 ラティオスに呼ばれて、ラティアスは目を覚ました。とっくに夜になっていた。どれくらい寝ていたのだろう。

ラティオス「ごめん。起こしちゃ悪いかなって思ったんだけど、やっぱり何か食べとかないとダメかなって……」

ラティアス「……うん」

 ラティオスは、採ってきたのであろう木の実を差し出していた。ラティアスは素直にそれを受け取った。

ラティオス「足らなかったら、遠慮なく言ってね! また採ってくるよ!」

 ラティオスのそばで、ありとあらゆる木の実が山を作っていた。それだけあれば十分すぎる、むしろ多いくらいだ。

ラティアス「もう、要らないんじゃないかな」

ラティオス「そっかー……。あ、あとさ!」

 ラティオスは、そばにあった、たくさんの何かの葉っぱを差し出してきた。

ラティオス「これ、すりつぶして使うと傷薬の代わりになるやつだよね? 前にお姉ちゃんが僕にやってたのを覚えてて、さ。それでたまたま見つけたから、少し採ってきたんだ。どう使えばいいのかが分かんないんだけど、よかったら!」

ラティアス「……どうもありがとう」

 ラティアスはラティオスの親切心に、すっかり頼ってばかりだった。これだと、まるで兄と妹のようだ。まあ、今日くらいかまわないか、とラティアスは思っていた。
 それから、ふたりは早く寝ることにした。明日は明るくなる前に出発するつもりなのだ。まだまだ故郷までは距離があった。夕方までにたどり着くには、それくらい早く出ないと間に合いそうになかったからだ。
 ▼ 170 ネブー@とうめいなスズ 16/08/17 00:17:28 ID:6oCpLqDw [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
最後どうなるんだろ
支援
 ▼ 171 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/17 00:20:50 ID:4S2K0u0E [5/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
  107

 月明かりが、空洞を強く照らしていた。日の出まではまだまだ時間があり、まだあたりは暗いままだ。

ラティアス「…………くっ……!」

 突然ラティアスは胸の苦しさを感じて、目を覚ましてしまったのだ。

ラティアス「あっ……うぅ……はぁ……ああっ!」

 汗が吹き出して止まらない。一体これはどういうことなのだろう。

ラティオス「……ん? お姉ちゃん? ど、どうしたの!?」

 ラティオスが異変に気づいて、目を覚ました。

ラティアス「あ……ラティオスっ……! な、なんか、身体がっ……ヘンなの……!」

 ラティアスは声をかすらせながらも、訴えた。だが、ラティオスに何ができるということもなく、ラティオスは焦るばかりだった。
 身体中がむずむずとして、落ち着かない。そして、中でも下腹部の辺りが、妙に熱くなっていたのだ。

ラティアス「はっ……ああ!///」

 身に付けていた機械が、熱を持っていた。これのせいなのか。いや、それだけじゃない。身体が、刺激を欲しているのだ。
 最後にエネルギー補給が行われてから、すでに丸2日が経っていた。思えば、これだけ間隔を開けているのは初めてだ。身体は、機械に適応していた。過剰にエネルギーを持つことに適応していた。だから、エネルギーが無いことで、勝手に身体が異常が起こっていると認識しているのだろう。
 ラティオスが目の前にいるにも関わらず、ラティアスは手で自らの性器をしごいていた。けれども、どうしても手の届かない、もっと奥の部分がむずがゆくなっているのだ。自慰なんかじゃ気休めにすらならない。

ラティオス「ねえ、どうしたの!? 僕、どうすればいい!?」

 ラティオスはラティアスの様子をうかがった。顔が熱を帯びて赤く染まり、息を荒くして、ずいぶん苦しそうだ。見つめ返してくる瞳は、どうにも焦点が定まっていなかった。これって、何かの病気なんだろうか。でも、こんな症状、聞いたことがない。ラティオスはなすすべがなくて、もどかしくなった。
 ▼ 172 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/17 00:25:34 ID:4S2K0u0E [6/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
  108

ラティアス「ラティオスっ……! ラティ……オスっ!!」

ラティオス「うわあっ!?」

 いきなりラティアスは、ラティオスの両肩に掴みかかって、そのまま押し倒してきた。とっさには受け身がとれず、ラティオスはラティアスにのしかかられてしまった。

ラティアス「はあ……はあ……!」

 お互いの顔が近く、ラティアスの荒い息が何度もラティオスに吹きかけられた。ラティアスは一度ごくりとつばを飲みこむと、ゆっくりとラティオスに身体を密着させてきた。ラティアスは胸の動悸を激しくしていた。お互いの身体が重なったせいで、ラティオスにはそれが直に感じられた。

ラティオス「お姉ちゃん……何する気なの……!?」

ラティアス「はあっ……! ラティオス……あっ……っはぁ……!///」

 ラティアスはラティオスをしっかり押さえつけたまま、下腹部をラティオスの身体にこすりつけた。ぐっしょりとと濡れた何かが触れた感触をラティオスは確かに感じた。
 ラティアスは正気じゃない。やめさせないと。いくらラティアスが望んだとしても、それは姉弟の一線を超えた行為だ。
 しかし、ろくに身体を鍛えていないラティオスには、ラティアスの腕力をふりはらうだけの力が無かった。なので、声をかけるだけで気づかせる必要があったのだ。

ラティオス「お姉ちゃん……! 駄目だよ……。それは、いけないことなんだ! お願いっ……正気に戻って……っ!!」

ラティアス「……っ!? あ……ううっ……!?」

 ラティアスがわずかに動揺したことを、ラティオスは確認した。あとはラティアスがどいてくればいいだけだ。
 でも、ラティアスは行為を中断してくれなかった。

ラティオス「お姉ちゃん! やめてっ!! 気づいてっ!! お姉ちゃんっ!!」

ラティアス「あっ……! ラティ……オス……」
 ▼ 173 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/17 00:30:30 ID:4S2K0u0E [7/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
  109

 にわかにラティアスは、今何をしようとしていたのか、理解した。何てことだ。刺激ほしさに、ラティオスと交わろうとしていたのか。
 思考に反して、身体が行為を続けようとしていた。何か、他のことに集中して意識を向けさせることができたら、何とかなるかもしれない。

ラティアス「ラティオス……ごめんなさい……っ!!」

ラティオス「お、お姉ちゃ――…………」

 ラティアスは自らの額をラティオスの額と重ねると、精一杯の念力をラティオスに送り込んだ。
 その一撃で、ラティオスはすぐさま気絶してしまった。
 今の動きで、ラティアスの身体が一瞬自由になった。そのすきに、ラティアスは急いでラティオスから離れたのだった。

ラティアス「はぁ……ぐぅっ!? んぁ、あぁ…………」

 いまだにラティアスの身体はビクビクとけいれんし、刺激を欲していた。このままでは、身体がもたない。強く自制を働かせないと、またラティオスに襲いかかってしまいそうだ。
 ラティアスは、もはや機械なくしては生きられない。あの施設から離れること自体が、このように、身を滅ぼす行為となってしまうのだ。
 これ以上ラティオスとともにいても。このまま、故郷に帰ったとしても。彼らに迷惑をかけるだけなのではないか。施設に戻ることが、結果として隣人たちの安全を守ることにならないか。そう思えてきて、ラティアスはショックを受けてしまう。
 このまま、あの施設に戻ってしまえば、もう二度と故郷へは帰れないかもしれない。そして、ラティオスの顔を見るのも、これが最後となるかもしれない。それは、ラティアスにとって耐えがたい悲劇だ。
 でも、もうラティアスは取り返しがつかなかった。ラティアスは機械に蝕まれ、けがされ、よごされた。ラティアスは、すでに他のポケモンとは別の存在と化した。自らの意志はあっても、機械への服従を強いられた、機械の下僕だ。
 そんな存在に、1匹のポケモンとして生きる資格はない。
 そんな存在に、一族の誇りを、語る資格は、ない。
 ▼ 174 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/17 00:36:00 ID:4S2K0u0E [8/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
  110

ラティアス「…………ひっ……うぅ」

 ラティアスは自分が情けなく感じられて、ぼろぼろと涙を流していた。それは、抑えようとしても、とめどとなくあふれてきた。

 自分はなんて卑劣なんだ! 下等な人間の思いどおりにされ、機械の無機質な誘惑に支配され、機械から放たれた見えざる鎖にまんまと繋がれた、最低な愚者だ!!

 ――ラティアスに唯一できたことは、全力で自らを罵ることぐらいだった。
 ラティアスは、右耳に着けていた、『こころのしずく』を、静かに取り外した。そして、気を失っているラティオスの右手にその石を握らせた。
 つい、ラティアスはラティオスの右手を、そのまま両手でしっかりと握りしめていた。ラティオスのぬくもりが、伝わってきた。純粋な、優しい温かさだった。
 その温かさは、ラティアスの内から、あふれるような感情をどっとこみ上げさせ、そしてそれらは、ラティアスの口から発せられたのだ。

ラティアス「ごめんなさい、ラティオス……! こんな情けない姉で……本当に……ごめんなさい……っ!!」

 それらの言葉はラティオスに聞こえるはずもなかったが、ラティアスはどうしても最後にラティオスに伝えたかったのだ。

ラティアス「あなたは強い子よ……。最後に、それが確認できて、本当によかった……! これからは、あなたが一族の誇りを守るのよ……。大丈夫。あなたなら、必ずできるはずよ。だから、あとのことは、任せたわ……。自信をもって、しっかり、成し遂げるのよ…………」

 そして、ラティアスは、ラティオスの手から、自らの手を離すと、海岸線の方に目を向けて。
 振り返ることなく、空に向けて飛び立っていった。
 ラティアスの瞳からあふれた涙が、その軌道をしばし空に残したのだった。
 ▼ 175 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/17 00:40:34 ID:4S2K0u0E [9/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
  111

 すでに辺りが明るくなり、太陽が空高く上り、海と大地を照らすころ。
 ようやくラティオスは、長かった眠りから目を覚ました。
 右手には、『こころのしずく』が握られていた。
 その石は、ラティオスとラティアスの2匹が守るべき、大切な宝玉だ。
 これまで、その石は、かたくなにラティアスが管理し、一心に守ってきたものだ。
 ならば、どうして今はラティオスが持っているのだろうか。
 ラティオスは、寝ぼけながら、ラティアスの姿を探した。
 しかし、近くにはその姿はなかった。
 きっとどこかに出かけているのだろう。待っていれば戻ってくるだろう。ラティオスはそう思った。
 しかし、日が暮れようかという頃になっても、ラティアスは戻ってこなかった。
 ラティオスは空洞から飛び立ち、空からラティアスの姿を探した。
 やはり、その姿は確認できなかった。
 ならばと、ラティオスは念力を飛ばして、ラティアスの返事を受けようとした。
 しかし、それも不発だった。どれだけラティアスの存在を探しても、見つからなかった。
 それだけラティアスが遠くにいるということなのだ。
 ラティオスは悲痛な声で、ラティアスの名を叫び続けた。
 ラティアスはどこにいったのだろう。
 あてはひとつだけあった。施設だ。ラティアスは、あそこへ向かったのかもしれない。
 ラティアスを止めないといけない。ラティオスはそう思って、必死になってその施設のありかを、思い出そうとした。
 しかし、ついにラティオスは、その場所を思い出すことができなかった。
 記憶が消されている。ラティオスは察した。
 ラティアスは、放っておけばラティオスが自分を追ってくるだろうことを分かっていて、それを見越して、ラティアスは念力でラティオスの記憶を消してしまったのだろう。
 ラティオスの悲痛な叫び声は、それからしばらくの間こだまし続けた。
 もうラティアスは自分のもとに帰ってこない。
 ラティオスは悲しんだ。泣き叫び、嘆いた。
 かけがえのない存在を失ったことが、ラティオスには受け入れられなかった。
 しかし、とうとうラティオスは、どうすることもできなかった。
 できたことは、こうした悲惨な運命を招いた、人間のことを恨むことだけだった。
 ▼ 176 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/17 00:43:49 ID:4S2K0u0E [10/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
  112

 その日、身体をぼろぼろにした1匹のポケモンが、その施設を訪れた。
 まるで生気がなかった。瞳は輝きを失っていた。
 施設の重厚な扉が、その訪問者を待ち受けていたかのように、重々しく開かれていった。
 そして、まもなく中から1匹のポケモンが姿を現した。彼女は、訪問者のそばまで近寄ると、笑顔で歓迎の言葉をのべたのだった。



フラージェス「おかえりなさいませ! お姉さま!」



《おわり》
 ▼ 177 Sukaifu◆GxyQ9VfCPo 16/08/17 00:45:00 ID:4S2K0u0E [11/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
 ▼ 178 ルフォン@メタルパウダー 16/08/17 00:46:00 ID:xAHcxsaw NGネーム登録 NGID登録 報告
おつ
 ▼ 179 ョンチー@しめつけバンド 16/08/17 00:47:20 ID:6oCpLqDw [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 180 クロー@かくとうジュエル 16/08/17 02:09:37 ID:VM81Pecw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ふぅ……
鬱エロでした……
  ▲  |  全表示180   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
スレの消えている画像復旧リクエスト
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼