【SS】ポケモン牧場のある丘で:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】ポケモン牧場のある丘で:ポケモンBBS

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【SS】ポケモン牧場のある丘で

 ▼ 1 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/07/13 19:07:01 ID:BndFqoY6 NGネーム登録 NGID登録 報告
※オリジナル要素多め


これはポケモンの世界の、一夏の物語。

もしも、人とポケモンが言葉を話すことができたなら-------------

この世界の誰もが思う、そんな奇跡がこの夏起きた。
 ▼ 617 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/06 16:56:31 ID:yyC2CYqs [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エビワラー「……!」ギリギリ

バニラ(パンチが重い……だけど勝てない相手じゃないな)ギリギリ

両者の拳がぶつかる。互角のように見えるが、技の相性の関係でバニラの方が実力は上のようだ。


サワムラー「ウゥ……!?」

ボスゴドラ「へっ、いい反応だ。もう少し遅けりゃ刺さってたぜ」

ボスゴドラの角による攻撃を、サワムラーが得意の足技で受け止める。角とサワムラーの胴との距離は、まさしく紙一重。


キルリア「エビワラー!アンタはその白い子の隙をついて急所を狙うのよ!サワムラーは連続攻撃でボスゴドラを弱らせて!」

クロ「……来るぞ!バニラはガードで凌いで敵の体力を削げ!ボスゴドラは余裕があれば体で攻撃を受け止めろ!」

バニラ(アイツの攻撃は防ぎきれないこともないけど……結局は時間との勝負だ。だけど今はお兄ちゃんの次の指示を待とう)

ボスゴドラ(チッ、耐えるだけで攻撃はお預けか……消極的な作戦だな。さすがは童○。甲斐性のねぇ性格してやがる)

ボスゴドラ(……待てよ。耐える……攻撃はお預け?……まさかクロのヤツ、オレの「あの技」で決めるつもりか……?)


タイミングを計算したエビワラーのパンチは、次々とバニラに襲い掛かる。

バニラはそれをパワーのある腕でガードし、懐に入らせない。

一方のボスゴドラは持ち前の硬い皮膚を用いた防御でサワムラーのキックをひたすら耐える。
 ▼ 618 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/06 16:57:41 ID:yyC2CYqs [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロ「まだだ……まだ耐えてくれ……『反撃』は劣勢状態からの一発勝負。生半可なものじゃ倒しきれない……」

バニラ(ダメだ。キリがない!このままじゃその内パンチが当たっちゃうよ!)

バニラ(ボスゴドラのおじさんは動かずにずっと攻撃を耐えてるね……さすがだけどあのままじゃいずれは……)

サワムラー「せいっ!せいっ!」ドスッ! ドスッ!

ボスゴドラ「……っ」

バニラ(いや、ボクがお兄ちゃんの作戦を信じないでどうするんだ!きっとまた何か考えがあるハズ)


キルリア(あのボスゴドラ……ノーガードで一体何をしようとしてるのかしら。まぁ、何だっていいわ)

キルリア(いつまでも舐めたマネをされてちゃ嫌なのよ。アタシ達にもプライドってもんがあるわ。一気にケリをつける!)

クロ「もう少しだ……耐えろ、耐えてくれ!」

キルリア「何を狙ってるのか知らないけど、もう我慢の限界よ!アンタの作戦はどうもアタシ達を侮辱している気がしてね」

クロ「何も手加減してるワケじゃないさ。今は……」

キルリア「言い訳なんて見苦しいわ!もう終わりにしてあげる……サワムラー、『とびひざげり』よ!」

サワムラー「……!」バッ

足底や足背、踵を器用に使い分けながら連続攻撃を繰り返していたサワムラーは、

軽くステップを加えた後、即座に体重を膝に移動させ、そのまま重い一撃をボスゴドラの腹に命中させた。
 ▼ 619 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/06 16:58:24 ID:yyC2CYqs [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ド ム ッ … … !


ボスゴドラ「うぐッ……!」

キルリア「決まったわね。『とびひざげり』はサワムラーの必殺技。食らえばひとたまりもないわ」

バニラ「おじさん!!」

必殺技を真正面から、それもガード無しで食らったボスゴドラは二、三歩後ずさりすると、クロの方を見る。

ボスゴドラ「ハァ……ハァ……」チラッ

キルリア「ねぇトレーナーさん、もう戻してやりなさいな。その子は頑張ったんですもの」

キルリア「ただアタシの優秀なナイトには敵わなかった、それだけよ」

バニラ「お、お兄ちゃんには作戦があるんだ!まだ敗けてない!」

キルリア「きゃっ//そんなに怒らないでよ。可愛いお顔が台無しじゃない……それとも台無しにされたいのかしら?」

キルリア「エビワラー!アンタの相手はその子でしょ!そろそろトドメ、刺しちゃいなさい!」

エビワラー「うおおおおお!」

バニラ「……!」


ボスゴドラ「なぁ、クロ……もういいだろう?」

クロ「……あぁ、反撃だ!絶対に倒し損ねるなよ!」
 ▼ 620 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/06 20:15:23 ID:yyC2CYqs [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サワムラー「!?」

キルリア「そんな……ど、どうして倒れないの!?」

ボスゴドラ「っへへ……残念だったな」ムシャムシャ

キルリア「! あれは……!」

ボスゴドラ「いやー危ねぇ危ねぇ。お嬢様のお恵みを無駄にするところだった」ゴクン

クロ「よく耐えたね、ボスゴドラ」

ボスゴドラ「耐えたんじゃねぇ。お嬢様に守られたんだよ。お嬢様のくださった『ヨプのみ』のお陰で持ち堪えることができた」

キルリア「ちっ……攻撃の直前に口に入れたってわけ……?」


クロ「じゃあ反撃と行こうじゃないか!ボスゴドラ、準備はできてるか?」

ボスゴドラ「あぁ……キッチリ返させてもらうぜ……今までのダメージ!」

サワムラー「!!」


クロ「     ボスゴドラ、『メタルバースト』!!     」

ボスゴドラ「う゛ぉぉぉぉぉぉあ゛!!!」


ダ ガ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ン ! !
 ▼ 621 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/06 20:16:15 ID:yyC2CYqs [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サワムラー「ごふっ……」ドサッ

鋼の拳のカウンターがサワムラーに見事炸裂。技の桁外れの威力の前に、サワムラーは倒れた。

ボスゴドラ「や……やった……」


そして-------------------------------


エビワラー「ハァ……ハァ……」フラフラ

バニラ「お兄ちゃん!もういいよね?」

クロ「あぁ、得意の『れいとうパンチ』でKO勝利だ!」

バニラ「よしきた!!」シュッ

エビワラー(速い!何てフットワーク……今のオレの体力じゃガードが間に合わな)


ド ン … … ! !


エビワラー「」ガクッ

バニラ「よし……!」


キルリア「や、やだ……そんな……」ガタガタ
 ▼ 622 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/06 20:17:23 ID:yyC2CYqs [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロ「さてと……残るはキルリア一匹だけか」

キルリア「ヒッ」

ボスゴドラ「さてと……どう料理してくれようか」パキポキ

キルリア「まま、待って待って!アタシが悪かった!悪かったから、ねぇ……今日のところは見逃してくれない?」

クロ「……どうする?」

バニラ「うーん……」

ボスゴドラ「まぁ、オレ達が『神』のところに行くのを許可してくれればいいんじゃないか?」

キルリア「ダメに決まってんじゃない!人間の道具に成り下がった下等なポケモンなんか通すわけないでしょ!」

キルリア「それに人間なんかを通したらあの方の眼に毒よ!アタシだって今こうしてアンタらを相手にしてるだけでも苦痛なんだから!」

キルリア「とにかく人間がここに来るだけでもダメなの!今日のことは忘れてさっさと帰るか今スグ死になさい!バーカ!!」

クロ「」プチッ

ボスゴドラ「本音……出ちまったな」プチッ


キルリア「ひっ……助けて……」プルプル

キルリア「助けて!!アタシのナイト達---------------------!!」


エビワラー/サワムラー「うおおおおおおお!!」
 ▼ 623 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/07 21:35:45 ID:YExhVLRM [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
残るキルリアに的を絞り、バニラとボスゴドラが同時攻撃を図り構えたその時、

クロ達の眼の前でキルリアのナイト達が再び立ち上がる。


キルリア「やった!さすがはアタシのナイト達!アタシの為にまた立ってくれたのね!キルキル嬉しい☆」

クロ「な、何だと!?」

バニラ「そんな!やっつけたと思ったのに!」

ボスゴドラ「ちっ、倒し切れてなかったってことかよ……クロ、どうやらまだコイツらを相手にしなきゃなんねぇみたいだぞ」

クロ「……ボスゴドラ、まだ戦えるか?」

ボスゴドラ「あぁ、余裕だよ……来るぞ。アイツらの攻撃」


キルリア「エビワラー、『メガトンパンチ』!サワムラー、『メガトンキック』!」

クロ「バニラ、飛べ!!」

キルリア「!?」


エビワラーとサワムラーが攻撃を仕掛けたと同時に、バニラが地面を強く蹴り空中に飛び上がる。

鍛えられた脚はバニラの軽い体を高く持ち上げ、グングン高度を上げる。


キルリア「ちっ……あんなに高く飛ばれちゃ、あの白い子に攻撃が当たらない!」
 ▼ 624 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/07 21:36:34 ID:YExhVLRM [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロ(残念だけど奴らの避ける為に飛んだんじゃないんだな、これが。バニラが避けたのは-------------)

クロ「さぁ行け!ボスゴドラ、『じしん』だ!!」

ボスゴドラ「っし、お嬢様から授かった力、とくと見よ!!」ダンッ!


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … … … … ! !


エビワラー/サワムラー「「!!?」」

キルリア「な、何!?」


ボスゴドラが重い右足を上げ、地面を力任せに踏付ける。その衝撃は地を這い、二匹を襲う。

ざわつくような地面の揺れに二匹はバランスを崩し、技を止めざるを得なくなった。


ボスゴドラ「っしゃー!どうだい、立っていられまい!」

クロ「でかした!……さぁバニラ、上から決めてやれ!急降下『れいとうパンチ』!!」

バニラ「てやあああああああ!!」

エビワラー「!!」


ド ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ン … … ! !
 ▼ 625 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/07 21:39:03 ID:YExhVLRM [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サワムラー「う……う……」アタフタ

ボスゴドラ「そーら、お前も今度こそ終わりだ」

サワムラー「!?」

ボスゴドラ「   『アイアンヘッド』   」

ザ ク ッ ! !


意表を突いた二度目の攻撃にて今度こそキルリアのナイト達を破ったクロ達は、再びキルリアに的を絞り、構える。


クロ「さて、もう大概にしろよ?」

キルリア「い……いやよいやよ!待って!ね?いい男の子は女の子に優しくするものよ?ね?」

ボスゴドラ「オレがいい男の子でいるのはお嬢様の前だけだ」

バニラ「ボクもお兄ちゃんときのみのお姉ちゃんとマキナお姉ちゃんとヒビキの前だけだよ」エッヘン

キルリア(結構いるのね……)

キルリア「じゃあやっぱり……許してくれないの……?」

クロ/バニラ/ボスゴドラ「「「うむ」」」
 ▼ 626 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/07 21:39:58 ID:YExhVLRM [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バニラとボスゴドラはじりじりとキルリアに歩みよる。もう彼女に逃げ場はない。


キルリア「えっ、ちょっ、ほんと、許してくださいお願いですから」

ボスゴドラ「問答無用だこの野郎大人しく串刺しにならんかい」

キルリア「ほーら、女の子だとアタシ。可愛い可愛い女の子ですよー?」キャピ

ボスゴドラ「悪いな。猫被る女は嫌いなんだ」

キルリア「ね、ボクもホラ、アタシについて来たらアタシの元主人の家から掻っ攫ってきたお菓子とかあげるから」

バニラ「」ピクッ

クロ「揺らぐな」

バニラ「だっておかし(;ω;)」

クロ「今は我慢しなさい」


ボスゴドラ「さぁ、観念しやがれ……」

キルリア「いっ、嫌------------------------------------っ!」


その時……乙女の叫びは、また彼らに届く。

エビワラー/サワムラー「「うおおおおおおお!!」」
 ▼ 627 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/07 21:41:25 ID:YExhVLRM [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロ「バニラ、ボスゴドラ!後ろ!!」

ガシッ

バニラ「えっ!?」

ボスゴドラ「しまった!……ってまたこいつらか!」

キルリア「あっはっはっは!そう、アタシのナイトは優秀だって言ったでしょ?アタシが一声かければいつだって守ってくれる!」

キルリア「アンタ達と違って、女の子の扱い方をしっかり分かってる、いい男の子達でしょ?」


キルリアに近づき、ついナイト2匹に背後を許してしまったバニラ達はそのまま羽交い絞めにされ、体の自由を奪われた。

--------------------------奪われたかに思われた。しかし……


クロ「バニラ、ヒビキとの特訓で編み出した最後の技、見せてやろうぜ!」

-------------------------------------------------------------------------

ヒビキ「何重にも体に縛りつけた縄を、バニラには自力で解かせた。多い時は五重の縄を解かせた」

クロ「そ、そんなことを……」

-------------------------------------------------------------------------

クロ「バニラ!五重の縄を、いや、ナイトの腕を振り払え!必殺の『あばれる』だ!!」

バニラ「!……OK、わかったよお兄ちゃん!」
 ▼ 628 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/08 00:16:29 ID:h4Oj2UQU [1/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>627

ヒビキ「クロ君、呼び捨てはよろしくないな」

クロ「あっ……すいません……」
 ▼ 629 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/08 21:40:38 ID:h4Oj2UQU [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドクン……  ドクン……

バニラ「う゛う゛う゛……」

キルリア「な、何?」

バニラ「ヴ ァ ア ア ア ア ア ア ! !」

エビワラー「!?」


思考も、理性も、全てを消し去り解放されたバニラの力はエビワラーの拘束をいとも簡単に振り解き、そのまま投げ飛ばす。


サワムラー「……!」

バニラ「ガ ア ア ア ア ア ! !」ボゴッ

サワムラー「」

クロ「おぉ……思った通りすごい……あの二匹をあんなに簡単に……」

ボスゴドラ「よし、もう起き上がってこれねぇだろ。さぁバニラ、今度こそあの猫被り女を……」

バニラ「ガ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ! !」

ボスゴドラ「あ、危ねぇ!」サッ


キルリア「あらあら、仲間割れかしら?」
 ▼ 630 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/08 21:41:24 ID:h4Oj2UQU [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バニラ「あ゛あ゛あ゛あ゛!!う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛!!」

ボスゴドラ「お、おい、どうなってんだ!」


キルリアのナイトを倒したバニラはその手を止めることなくボスゴドラに襲い掛かる。

憑りつかれたようなその狂い様にはボスゴドラもたじろぐ。


クロ「ご、ごめん!一旦ボールに戻れ、バニラ!」

バニラ「あ゛あ゛あ゛……」シューン


キルリア「あら、いなくなっちゃったわ」

クロ「悪い、言うの忘れてた。『あばれる』は強力だけど一通り攻撃し終わると混乱しちゃうデメリットがあるんだ」

ボスゴドラ「なるほどな。それで……まぁ大丈夫。後はアイツだけだ。オレだけでなんとか……」

キルリア「えっ……」

ボスゴドラ「もうホントのホントに観念しろよ?オレも何だかあの2匹に申し訳なく思ってきたところだ」

キルリア「ホ……ホントのホントに?」

ボスゴドラ「Yeah」

キルリア「た、助け……」
 ▼ 631 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/08 21:42:43 ID:h4Oj2UQU [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボスゴドラ「おっと、もうさせねぇぞ。いい加減てめぇの力でぶつかってきやがれ」

ボスゴドラ「元々オレらはエスパーをぶっ倒しに来たんだからよ」

キルリア「う……うぅ……」

ガ シ ッ !

ボスゴドラ「な……!?」

エビワラー「ゼェ……ゼェ……」ガタガタ

サワムラー「ぬ……ぬぅ……」ブルブル


ボスゴドラは脚を掴まれ、またしてもナイトの妨害に阻まれた。

その手は残る力を振り絞るかのように震えている。残っている筈のない力を振り絞るように……


キルリア「あぁアタシのナイト達!また助けてくれたのね!またアタシを守ってくれたのね!それでこそ立派な子よ!」

クロ「ど、どういうことだ……?こんなのおかしい!倒しても倒しても……これじゃまるでゾンビじゃないか!」

クロ「もう大技を何度も受けたハズなのに……もう動けるハズないのに……何がヤツらをそうさせるんだ?」

ボスゴドラ(まさか、こいつら……)

キルリア「へへっ、決まってるでしょ?彼らのアタシへの絶対的な忠誠心。そして彼らの底力で……」

ボスゴドラ「いいや、そんなんじゃねぇよ。騙されるなよ、クロ」
 ▼ 632 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/08 21:43:59 ID:h4Oj2UQU [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロ「騙されるなって……どういうことだ?」

ボスゴドラ「このナイト共がこうして何度もあがく理由は、何もあの女に対する忠誠心なんかじゃねぇってんだ」

キルリア「な、何ですって!?……証拠はどこにあるのかしら?」

キルリア「言ってみなさい。内容によってはアタシだけじゃなく、そこにいる彼らへの侮辱にもなるけどね」

ボスゴドラ「……この脚の握られている感覚だよ」

クロ「えっ、感覚だって?」

キルリア「プハーッ!意味わかんない!そりゃそうよ、この子達がいくらタフとはいえダメージは受ける。握る力だって……」

ボスゴドラ「握る力だって変わらねぇからおかしいって言ってんだよ。普通ならもう……」

ボスゴドラ「脚だけじゃない。こいつらの眼も見ろ……もう死んでるみてぇだ」

クロ「これは……」


クロはナイト達の方へと目をやる。

戦っていて気付かなかったのだろうか、彼らの顔は前よりもやつれ、その眼も虚空を見ていた。


ボスゴドラ「こいつらはもう戦意どころか意識すら完全に飛んでやがったんだ!今のうちに気付けてよかった……」

クロ「確かに。これ以上続けば、下手すりゃ命だって……」
 ▼ 633 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/08 21:44:50 ID:h4Oj2UQU [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キルリア「……」

ボスゴドラ「おい女、お前は確かエスパーだったよな?不思議な事に詳しいんだよな?」

ボスゴドラ「エスパーなら説明してくれよ。如何にもミステリーなこのザマを!!」


キルリア「ふっ……ふふっ……」


クロ「?」

キルリア「アンタにはさ、守りたい人や守りたいポケモンって、いる?」

ボスゴドラ「いたら何だ?」

キルリア「その人は女の人?」

ボスゴドラ「女だったら何だ?」

キルリア「その人の為なら命を懸けてもいいって思ってる?」

ボスゴドラ「思っていたら何だ!!」

キルリア「そうよね……特にアンタみたいに屈強で頼りになりそうな男はね。守りたい女の一人や二人はいる、か」

キルリア「もうわかったでしょ?彼らを動かしているのは忠誠心。だけどそれ以前にこれは……『愛』なのよ」



ボスゴドラ「ふ ざ け る の も 大 概 に し ろ ! ! !」
 ▼ 634 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/09 23:28:20 ID:qWK4HA4U [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キルリア「ふ……ふざけてなんかないわよ!後、大声で怒鳴りつけるのやめてくれる?耳障りだから」

ボスゴドラ「何が『忠誠心』だ、何が『愛』だ……今のこいつらにそんなもんはこれっぽっちもねぇよ!!」

クロ「そうか……わかったぞ!」

クロ「この2匹の異常な体力……その割には死んだような眼……それにキルリアはエスパーポケモン……」

クロ「これで繋がった!まさかあいつ、念力だか催眠術だかで2匹を……!」

キルリア「じゃあ聞くけど、そんな証拠はどこにあるのかしら?」

ボスゴドラ「だから言ってんだろ!コイツらはもう抜け殻みてぇなモンなんだよ!」

ボスゴドラ「……まさか、今までそれがわからなくてこき使ってやがったのか?エスパーが、聞いて笑わせやがる」

キルリア「……」

ボスゴドラ「何も言う気は無し、か」

ボスゴドラ「まぁ、仮に念力とかの類を使ってなかったとしても、お前は自分のナイトの身を一切案じず」

ボスゴドラ「何度も何度も助けを求めては終いにゃ壊してしまう……情けねぇカス野郎だ」


キルリア「情けないのはアンタの方よ。それが守らなければいけない人がいるヤツの言う言葉なの?」

キルリア「それじゃまるで、アンタが守るべき人をアンタ自身が『カス野郎』呼ばわりしてることになるけど?」

ボスゴドラ「何だと……?お嬢様をお前なんかと一緒にするってのか!」
 ▼ 635 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/09 23:29:26 ID:qWK4HA4U [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キルリア「アンタはそのお嬢様とやらの為なら命を懸けてもいいと思ってるって言ってたじゃない?なら……」

キルリア「アタシのナイト達がしている事に何ら疑問を感じないハズだけど?」

キルリア「この子達だってアタシの為に戦ってるのよ?命を懸けて……」

ボスゴドラ「それはコイツらの意志じゃねぇ!!」

キルリア「……はぁ、呆れた。なるほど……アンタなら知ってて当然と思ってたけど、何もわかっちゃいなかったのね」

クロ「?」

キルリア「意志なんか問題じゃないのよ。アタシは彼らにこの世の常識を教えただけよ」

ボスゴドラ「ルールだと?」


キルリア「     強い男が、か弱い女の子を守るなんて当然でしょ?     」


キルリア「それすらできない男なんて、腕力と性欲がムダに強いだけのただのゴミ。生きてる価値なんてないわ」

キルリア「ねぇ、何で男って力が強くて闘争心が激しいのか知ってる?それは戦う為、命を懸けるためよ」

キルリア「そんなハチャメチャな男の一番大事な役目は弱い人を守ることなのよ」

キルリア「だからアタシは男としての役目を彼らに教え込んだ。ちょっと小細工してね」

ボスゴドラ「やっぱり何かしらイジってやがったか……!」

キルリア「強い男はキッチリ有効に使ってあげなきゃ!彼らも生きる意味を見出すことができるんだから」
 ▼ 636 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/09 23:30:14 ID:qWK4HA4U [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キルリア「アンタはそのお嬢様とやらの為なら命を懸けてもいいと思ってるって言ってたじゃない?なら……」

キルリア「アタシのナイト達がしている事に何ら疑問を感じないハズだけど?」

キルリア「この子達だってアタシの為に戦ってるのよ?命を懸けて……」

ボスゴドラ「それはコイツらの意志じゃねぇ!!」

キルリア「……はぁ、呆れた。なるほど……アンタなら知ってて当然と思ってたけど、何もわかっちゃいなかったのね」

クロ「?」

キルリア「意志なんか問題じゃないのよ。アタシは彼らにこの世の常識を教えただけよ」

ボスゴドラ「この世の常識だと?」


キルリア「     強い男が、か弱い女の子を守るなんて当然でしょ?     」


キルリア「それすらできない男なんて、腕力と性欲がムダに強いだけのただのゴミ。生きてる価値なんてないわ」

キルリア「ねぇ、何で男って力が強くて闘争心が激しいのか知ってる?それは戦う為、命を懸けるためよ」

キルリア「そんなハチャメチャな男の一番大事な役目は弱い人を守ることなのよ」

キルリア「だからアタシは男としての役目を彼らに教え込んだ。ちょっと小細工してね」

ボスゴドラ「やっぱり何かしらイジってやがったか……!」

キルリア「強い男はキッチリ有効に使ってあげなきゃ!彼らも生きる意味を見出すことができるんだから」
 ▼ 637 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/09 23:31:28 ID:qWK4HA4U [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボスゴドラ「生きるだと!?こんなの死んでるも同然じゃねぇか!!」

キルリア「そうよ。死ぬの。いずれはね。戦いの中で死ぬ事こそが男の美学、なんて言うじゃない」

キルリア「でもね、覚えておきなさい。本当に良い男っていうのは、自分のために死んじゃいけないの」

キルリア「死ぬときは守りたい誰かを守り損ねたときだけ、ゆえに笑って死ぬことなんか許されない」

キルリア「アタシが『ねんりき』によって動かしているこの子達は今、ホントによく出来た男よ!」

キルリア「倒れても倒れても文句の一つも言わずに立ち上がりアタシを守ってくれる。男としての役目を果たしてくれる!」

ボスゴドラ「コイツらはお前の武器じゃねぇ!」

キルリア「いいや、彼らは今幸せよ。何故なら死ぬこともなくずっとずーーーっとアタシを守っていられるのだから!」

キルリア「どんな時もアタシを助け、守ってくれる。だから彼らはアタシにとってのナイト、いや……『ヒーロー』よ!」

クロ「こいつ……なんてヤツだ……!」


その時……ボスゴドラの中で、何かが吹っ切れた。


ボスゴドラ「……強い男がか弱い女の子を守るのは当然……なるほど、お前の言う通りだ」

クロ「!?」

キルリア「ふっ、やっとわかったかしら?」

ボスゴドラ「あぁ。……だがオレは一つだけ気に食わねぇことがある。それがあるから今からオレは、お前をブン殴る」
 ▼ 638 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/09 23:32:44 ID:qWK4HA4U [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キルリア「ブン殴る……どうして?」

ボスゴドラ「お嬢様を……オレが守るべきお嬢様を……お前が汚したからだ」

キルリア「はぁ?」

ボスゴドラ「お嬢様は守られてばかりなんかじゃなかった!……昔から……オレが小さい時からずっと戦ってきたんだよ!」

ボスゴドラ「お嬢様のご家族は昔、社会から忌み嫌われていたとある組織の一員だった」

ボスゴドラ「そのせいで周りの人間からは敬遠されてきた。この島に越してくるまでは……」

ボスゴドラ「メチャクチャ辛かったんだよ……お嬢様は」

キルリア「へぇ、大変だったのね。……それで?」

ボスゴドラ「今だってこの森でも……オレとは違う場所で攫われた連中を助ける為に、一生懸命お前の仲間と戦ってる」

ボスゴドラ「ただ戦うだけじゃねぇ。お嬢様は……オレらにとっっっても優しいんだ……!」

ボスゴドラ「誰よりもオレらのことを気に掛けてくれてんだ。オレらにとってお嬢様は最高のトレーナーだ……」

ボスゴドラ「いつも強くていつも優しくて……そんな彼女を守らねぇ理由なんてねぇだろう」

ボスゴドラ「そんなお嬢様を、お前みたいに守られるのが当然と考えてやがるクズと一緒にされて気に食わねぇんだ」

ボスゴドラ「悔しかったら、ここにいる2匹が本当にお前を守ってくれるようなことをお前がやってみろ」

ボスゴドラ「例えば……お前の手で直接オレを倒してみるとかか?そうすりゃこいつらもお前を信頼できると認めてくれるだろうぜ」

クロ「ボスゴドラ、危ない!」
 ▼ 639 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/09 23:34:20 ID:qWK4HA4U [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボスゴドラ「!?」

突然、ボスゴドラの脚を掴んでいた2匹が立ち上がり、今度はボスゴドラの胴を締め付ける。

ボスゴドラ「……何のつもりだ?」

キルリア「信頼なんかいらないわよ!男は女を守る、それだけ!コイツらもアタシを守ることが一番の幸せなのよ!!」

ボスゴドラ「……お前は幸せがなんなのかわかっちゃいねぇ。そうだな、オレにとっての一番の幸せは……」

ボスゴドラ「オレがお嬢様を守る必要がないくらい、のどかで平和な暮らしができることかな」ホンワカ

ボスゴドラ「つまりあれだ。守るだの戦うだのピリピリしてるうちはまだまだホントの幸せには程遠いってこった」

ボスゴドラ「オレはそういう幸せが欲しいと思ってんだが、日常でもおせっかいな仲間の奴らを見る限りはまだまだ……」

キルリア「もういい……もう屁理屈は聞き飽きたわ!死になさい!!」


ギリギリギリギリ……!

ナイト達が、いや、キルリアの『ねんりき』がナイト達の腕を操り、ボスゴドラを締め上げる。

注いでも注いでも満たされぬ幸せを満たすため、歪んだ愛を2匹に押しつける。

ボスゴドラ「ぐああ……っ!こ、こんなことしたって誰も救われねぇ……ぞ……!」

キルリア「それはアンタの考えでしょ!?アタシにとってはこれがこの子達の幸せ、アタシの幸せなのよ!」


ボスゴドラ「く……クソがっ……!あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」ギリギリ」
 ▼ 640 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/11 00:13:06 ID:F8yNP44E [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キルリア「何が平和な暮らしよ!男は戦ってナンボよ!自由になっちゃいけないの!」

キルリア「……少しでも目を離せば理性や品を欠く愚かな生き物よ。……それでも自由になりたいってんのなら……」

キルリア「あの世で好きなだけ楽して暮らしなさい!!」

バキバキバキ……!

ボスゴドラ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

ボスゴドラ(くっ、抵抗するな。絶対に抗うなよ、オレ……これ以上2匹を傷つけてしまったら……)


キルリア「可哀想に……下品で野蛮な雄の分際でアタシを侮辱したからこうなるのよ……」

キルリア「そういやアンタの言ってたお嬢様とやらも人間でしょ?へっ、所詮は軟弱無能な生き物」

キルリア「そんなヤツと何年も付き合ってりゃアンタみたいなゴミになるのも無理ないわね」

クロ「…………」

キルリア「さぁ終わりよバカ男共!汚れた行いから足を洗って今度は守る為だけに生きるいい『ヒーロー』に生まれ変わりなさ」


ド ン ッ … … ! !


突然、キルリアの言葉を遮り、重い一撃が彼女の頬を凹ませる。不意に来た一撃に驚く間もないまま、キルリアは吹き飛ばされた。


クロ「よかった……ボールに戻したお陰で混乱は治ったみたいだ。ありがとうバニラ、いい『れいとうパンチ』だった」
 ▼ 641 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/11 00:14:02 ID:F8yNP44E [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロ「よし、初めてアイツに攻撃が当たった!」グッ

その時-------------------


エビワラー「う……」ドサッ

サワムラー「……」バタッ


クロがガッツポーズをしたのと同時に、ボスゴドラの体を締め付けていたエビワラーとサワムラーがその場に崩れ落ちる。

「ねんりき」によって彼らを操っていた張本人であるキルリアがダメージを受けたことでナイトの呪縛から解放されたのだろう。


クロ「よし、これで多分、2匹は救われた……後はあの性悪エスパーだけだな」

ボスゴドラ「ば……にら……」

バニラ「ごめんねおじさん。外に出られるようになるまでちょっと時間がかかっちゃった」

ボスゴドラ「お、おじさん……それよりお前はこれ以上手を出さなくていい。後はオレが何とか……」

クロ「その体じゃもうダメだ!君まであの2匹みたいになるつもりか?」

ボスゴドラ「オレが……アイツをやらなきゃダメなんだ……お嬢様を……バカにしやがって……」

クロ「ムチャをするな。……リクさんを貶されて許せないのは僕も同じだよ。バニラも、ね」

バニラ「うん!」
 ▼ 642 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/11 00:15:14 ID:F8yNP44E [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボスゴドラ「す、すまねぇ……情けない男だよ、オレは……」

クロ「情けなくなんかないよ。君は精一杯戦った。君は『お嬢様』にとってのナイトとして、十分に役目を果たしたよ」

ボスゴドラ「へへ……何言ってやがる。これからだよ。お嬢様を守るオレの務めは……だが今は、お前らに任せて大丈夫か?」

クロ「あぁ!」

バニラ「まかせて!」


キルリア「チッ……一発当てただけでいい気になってんじゃないわよ……」

クロ「……来るか!」

キルリア「まったく……どいつもこいつも生意気だわ使えないわで……もうイヤになるわ」

キルリア「結局……アタシが自分でやらなきゃいけないってわけね……アンタ、ここに来たってことは知ってんでしょ?」

クロ「何をだよ?」

キルリア「エスパー軍団の存在をよ。アタシは7体いるエスパーの中で『4番目』に強いキルリアよ。どうぞよろしく」

クロ(4番目……パインより弱いのか。決して勝てない相手じゃないな)


キルリア「さぁ、食らいなさい!『でんげきは』!」


いよいよバニラVSキルリア、一対一の勝負が始まる。キルリアの手に迸る電光が放たれた時、決戦のゴングが鳴る。
 ▼ 643 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/11 00:15:57 ID:F8yNP44E [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バニラ「!」

クロ「バニラ!『でんげきは』はどんな状況でも必ず当たる技だ!ガードで耐えろ!」

バニラ「OK!」


バリリリリリ……!


キルリア「へっ、舐めたマネを……アタシの技を生身で受け止めるなんてバカな事…………え!?」

バニラ「こんなの効かないよ!」シュウウ……

キルリア「うそ!?完璧に決まったと思ったのに!!」

クロ「決まっても倒れない。それを力の差って言うのさ。さて、覚悟しろよ!」


クロ「バニラ、『れいとうパンチ』!」

バニラ「うおおおおお!!」

キルリア「フッ……真正面から突っ込んでくるなんていかにも単純な男の思考回路って感じね。……『かなしばり』!」


ピタッ……!

『かなしばり』は最後に使った技を一定時間封じる技。

先に『れいとうパンチ』を撃っていたバニラの動きが止まり、その拳を前にキルリアはにっと不敵な笑みを浮かべた。
 ▼ 644 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/11 00:26:40 ID:F8yNP44E [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キルリア「ざーんねん☆」

バニラ「!?」

クロ「バニラ!離れろ!!何か仕掛けてくるぞ!」


キルリア「『マジカルリーフ』!!」


『マジカルリーフ』……『でんげきは』と同じ、如何なる状況でも相手に命中する技。

バニラはすぐさまキルリアの前から離れるが、襲い来る草の刃からは逃れることはできない。


バニラ「くっ……うぅ……」ズバババババ

キルリア「ハハハ、それそれ!まだまだ出せるわよ!精一杯耐えなさい!」

クロ「……まずい。攻撃は耐えられるだろうが、これ以上体力を消耗したらこの先マズい!」

クロ「避けられないのなら……そうだ。バニラ!避けられないならかき消してしまえ!『ふぶき』だ!!」

バニラ「よーし……!」

ビ ュ オ オ オ オ オ オ オ オ … … ! !


バニラの大技が再び炸裂する。冷気を纏った白い竜巻は荒れ狂い、草の刃を瞬く間に飲み込む。

キルリア「『ふぶき』ですって!?そんな技も持ってるの!?あの子……」
 ▼ 645 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/11 23:17:58 ID:F8yNP44E [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロ「辺り一面、覆い尽くせ!!」

バニラ「りょーーかいーーーー!!」


ビ ュ オ オ オ オ オ オ … … ! !


キルリア「あがが……さぶい……めたんこさぶい……」ガチガチ

勢いを増すブリザードはバニラとクロを中心に渦巻き、草木を冷気で蝕んでいく。

急低下する気温。荒れる猛吹雪。キルリアの体力を限界に追い込むまで時間はかからなかった。


キルリア「あ……あひ……こ、こんなもののので、やらられむもますかったたたた……」

クロ「勝負あったな」

キルリア「えぇ……よくアタシを倒せたわね……けどアンタ達の愚行、『神』が許さないんだからね」

クロ「……神様まで敵に回すのは正直怖い。パイン……いや、ケーシィもそう言ってたよ」

キルリア「そう言えばアンタ、さっき『クロ』って呼ばれてたわよね?……そっか。アンタがケーシィの……」

クロ「僕を知ってるのか?なら僕からお願いだ。どうかアイツを恨まないでくれるか?パインは自分の役目を果たそうとしてる」

キルリア「役目?ハッ、どーせくだらないことを……」

クロ「わかってくれとは言わないよ。どーせわかってくれないだろうから僕らはお前達を倒すんだ」
 ▼ 646 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/11 23:19:02 ID:F8yNP44E [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キルリア「そういう考え方、ケーシィらしいわね。やっぱアイツは生意気で嫌い。男って部分を除いてもね」

クロ「トドメ、刺していいか?」

キルリア「あら、まだ負けを認めるとは言ってないわよ?」


キルリア「『ねんりき』!!」グアッ

バニラ「!?……急に体が……!!」

キルリア「ウフフ、自由に動けないでしょ?いやぁ、新しいナイトは随分と可愛い子ね。使い心地よさそう♪」

クロ「バニラ!何とかして振りきれ!」

バニラ「んっ……くぅぅ……ん……あっ……!」ジタバタ

キルリア「ムダよ!さぁバニラちゃん、あのエロトレーナーをブン殴っておしまい!」

バニラ「……!」

クロ「   バニラ!!   」


ド ム ッ … … !


キルリア「う゛……ぞおぉ……!?」


クロ「体は操れても意思は操れないみたいだな。体も心も強いバニラを支配するには、ただの『ねんりき』じゃ足りないよ」
 ▼ 647 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/11 23:19:52 ID:F8yNP44E [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして-------------------------------


クロ「よし、モンスターボール回収!キルリアがいた家のポケモンのことはこれで一件落着だね」

クロ「それにしても、どうしてキルリアはこれだけのポケモンを持っていながら一体も出してこなかったんだろう?」

クロ「神様に献上するから傷付けちゃダメだ……とか?いや、でも彼女の性格からしてそんなこと……」


バニラ「お兄ちゃん、あの2匹は……?」

クロ「あぁ、あいつらか。助けてあげたいけど、『神の森』のポケモンである以上僕らとは敵だ」

クロ「目を覚ませば面倒なことになる……可哀想だけどこのままにしておいてあげよう」

クロ(今度はいい主人に会えるといいね……いや、彼らにはこの森で自由に暮らすのも手だ。とにかく……)

クロ(今は前に進もう。この先にいるであろうもっと強いエスパーを倒して、「神」に会って……最後に、スー達を助けるんだ)

クロ「バニラ、行くよ」

バニラ「うん」


暗く、険しくも、その奥深くには幻の棲む「神の森」。

森の神・ミルノヌスがその姿を現した時、闇は照らされ、森は神の光に包まれるという。


「神の場所」に光が差す時が、刻々と迫る。
 ▼ 648 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/11 23:21:22 ID:F8yNP44E [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バニラ「ところで見てよ!周り!さっきの吹雪で『じゅぎょう』がいっぱいできたよ!」

クロ「『じゅひょう』ね、『樹氷』。僕ら学生にとって『じゅぎょう』がいっぱいできるのは辛いよ」



◎キルリア 撃破     エスパー軍団 残り2体◎

●ボスゴドラ 瀕死     救出チーム  残り2人と5体●

--------------------------------------------------------------------------------------

-------------その頃、別のエリアでは……


ゲンガー(近い……この先に、アタシを呼んでる誰かが……)

野生ポケモン19「隙あり!」

ゲンガー「邪魔」ドスッ


野生ポケモン20「おい、エスパーの方々はまだ誰もいらっしゃらないのか!」

野生ポケモン21「今仲間が呼びに向かったが……どうだろう、来てくれるかな……?」

野生ポケモン22「侵入者は現在進行形で暴れてんだ、間に合わねぇよ!とにかくみんな死ぬ気でかかれ!!」

野生ポケモン22「『神の場所』まで行かせるな!!神聖なる場所を穢させるな!!」

野生ポケモン21「くそっ、やるしかねぇ……!」
 ▼ 649 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/11 23:23:51 ID:F8yNP44E [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
---------------クロ達がキルリアを倒し、ゲンガーは相も変わらず「神の場所」へと進撃する頃……

リク達のチームも順調に歩を進めていた。


リク「二人共大丈夫?この辺特に地面に凹凸があるから転ばないように足元に気をつけてね」

ドサイドン(クロ達の心配をやめた途端に今度はオレらの心配か……まぁ、そんなお嬢様が愛らしいんだが)

チリーン(私は浮いてるから特に足元は気にする必要は無いんだけど……だけどリクさん、やっぱり優しくて好きです)


リク「ふぅ……ふぅ……」

ドサイドン「お嬢様、お疲れですか?よろしければオレが背負って差し上げますが……」

リク「ふふっ、ドサイドンったら今ので3回目だよ?大丈夫、自分で歩けるかr」クキッ

リク「ひゃんっ!?」ドテッ

ドサイドン「お、お嬢様!?どうされました!?……あぁ、お膝から出血を!こういう時は……!」アタフタ

リク「オ、オーバーリアクションすぎるよドサイドン……躓いただけだから平気平気」

ドサイドン「だ、だけど……!と、とにかくもう歩くのはいいですから、さぁ、オレの背中に!」ビシッ

リク「ハハ……そうやってスタンバられちゃ乗らざるを得ないよね……よいしょっ」ピョン

リク「えへへ♪ちょっと大きいけどドサイドンの背中って乗り心地いいよね♪」

ドサイドン(褒められた!幸せ……いかんいかん、これじゃクロと同レベルだ。お嬢様を落とさないようしっかり支えないと)
 ▼ 650 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/12 23:58:31 ID:uNv5yUNk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドサイドン「よいせ、よいせ……チリーン、『神の場所』までは後どれくらいで着くんだ?」

チリーン「距離で言えばもうすぐです。だけど野生ポケモン達はまだまだ攻めてくるはずです。どうかお気をつけて……」

ゴンッ!


チリーン「痛っ!……何?」

リク「チリーン、どうしたの?」

チリーン「何かが頭にぶつかりました……」

ドサイドン「ったく、お前が気をつけなくてどうすんだよ……で、何にぶつかったんだ?」

チリーン「はい。眼の前の……あれ?」

ドサイドン「眼の前?……何にもねぇじゃねぇか。何言ってんだお前」トコトコ

ゴンッ!

ドサイドン「あでっ!……何だよ畜生……」

リク「これって……」コンコン

リク「やっぱり!見えないくらいにすっごい透明な壁があるよ!二人ともそれにぶつかったんだ!」


順調に歩を進めていたリク達の足を止めたのは、大きく聳え立つ壁だった。

その壁は不可視なほど透明で、向こう側にはこれから進むべき道が一切の曇りもなくくっきりと見える。
 ▼ 651 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/12 23:59:33 ID:uNv5yUNk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チリーン「壁?……そうか。ということは……」

ドサイドン「何だお前、これについて何か知ってんのか?」

チリーン「お二人とも、気を付けてください。……エスパーが近くにいます」

リク/ドサイドン「「!?」」


その時だ。壁の向こうの景色に、怪しげな形の影が浮き出てきたと思えば、影はこちらにむかってゆっくりと歩いてくる。

暗闇と緑で塗りつぶされた「神の森」というキャンバスに不釣り合いな派手な体色と、妙に細長い手足。

その姿は、自然の生き物とは思えぬほどで-------------------------


リク「宇宙人!?」

ドサイドン「いや、多分ロボットですよ!バッテリー6時間の!」

バリヤード「失敬なヤツらだ。私はこれでもここの生き物だよ」

リク「人が描いた絵から出てきたとかじゃなくて!?」

ドサイドン「人が作った人形に魂が宿ったとかじゃねぇのか!?」

バリヤード「ハァー……不思議なものを見れば人間人間と……私は天然のポケモンだ。それに……」

バリヤード「『神』の使いである私に向かって、そういう発言は控えていただきたい」

バリヤード「君達の想像以上に自然には多くの可能性と多様性があるのだ。今の発言は『神』と自然に対する冒涜だ」
 ▼ 652 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/13 00:01:01 ID:tjU34htk [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バリヤード「まぁ、こんなことを言ってもムダか。……人間は、学ばない生き物だからね」

ドサイドン「何だと……?」

リク「やめて。ドサイドン……ねぇ君。悪いけど、ここを通してくれないかな?」

バリヤード「何故?」

リク「チリーンのため……いや、人とポケモンの未来がかかってるの!だからこの先にいる神様に会わないと……」

バリヤード「……」

バリヤード「……チリーン、君はどうやら喋りすぎたようだな。永らく守られてきた『神』の掟を破るとは……」

チリーン「で、ですが……」

バリヤード「言い訳は聞かん。お前のせいで……お前のせいで今この森がどうなっているのか、わからんとは言わせん」

バリヤード「ここはお前の故郷でもある。それを……何故選りにも選って人間と共に……」

バリヤード「チリーン、まさか満月の夜の集いも端から来るつもりがなかったわけではなかろうな?」

バリヤード「森の高台で私達は待っていた。だがお前とケーシィは来なかった……それでも私は信じていた!」

バリヤード「今日になれば、献上するポケモンを連れて必ず『神の使い』として私達の前に現れると!!」

チリーン「わ……私とケーシィさんは裏切ったわけじゃ……」

バリヤード「未来の為だか何だか知らんが、人間に支配された未来などに、『神』の光は差すことはない!!」

バリヤード「『神』の導きの下に殺してやるぞ!  こ の 裏 切 り 者 め が ! ! !」
 ▼ 653 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/13 00:02:18 ID:tjU34htk [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チリーン「あの……ですから……!」

ドサイドン「チリーン!……だから、こいつらにいくら説得しても何の意味もねぇんだよ」

チリーン「だけどバリヤードさんは他のエスパーとは違って物分かりの良い人で……」

ドサイドン「じゃあ何であんなに怒鳴ってやがる。……お前はしばらく下がってろ。オレが相手になる」

バリヤード「それではまず、私の用意した精鋭達と戦ってもらおうか……」

ドサイドン「精鋭だろうが水泳だろうが相手になるぜ。どんなヤツだろうがブッ倒すだけだ」

バリヤード「凶暴だな……」

ドサイドン「お嬢様、すみませんが降りてください。どうやら、一筋縄ではいかなそうです」

リク「うん。……気を付けて」

ドサイドン「さてと、まずは眼の前にあるヘンテコな壁をどうにかしないとな」

ドサイドン「うおおおおおおおおおおお!!」


バ リ ィ ィ ィ ィ ン ! !


ドサイドンの拳の一振りが、見えない壁を粉々に砕く。辺りに散らばった破片は地面に次々に突き刺さると跡形もなく消えた。


エスパーポケモンとのバトルは、まだまだ終わらない……
 ▼ 654 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/13 00:03:32 ID:tjU34htk [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バサバサバサバサ……!


リク「何この音?……ひょっとして羽音?」

ドサイドン「まず最初は飛ぶポケモンってところか。さーて、何が出てくるかな?」


キィィィィィーッ!!

暗闇の向こうから浮き出てきたのは、一対の真っ赤に光る瞳をもつ大きな顔……というよりも大きな体。

バリヤードに従う精鋭は翼をXの字に広げ、威嚇しながらこちらへ向かってくる。

リク「あれは……!」

バリヤード「そう。普段は神聖なる『神の森』と人間社会を行き来する隠密……」

バリヤード「だがお前達のような侵入者を前にすれば持ち前のスピードと殺戮能力で圧倒し、『神』の名の下に処刑を施す」

バリヤード「クロバット、奴らを倒せ!」

クロバットA「キィィィィーーーッ!!」

ドサイドン「へっ、中々骨のありそうなヤツが出てきたな……充実した準備運動になりそうだ」

バサバサバサバサ……!

リク「何?また奥の方から羽音が……」

バリヤード「たった1匹では物足りなかろう。客人は丁重にもてなさんとなぁ……」
 ▼ 655 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/13 00:05:46 ID:tjU34htk [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロバットB「キッキッキッ……」

クロバットC「ギェェェェ!!」


リク「そんな……3匹!?」

ドサイドン(準備運動……とは行かなそうになっちまったな)

バリヤード「ふふ……彼らは優秀だぞ。驚くべきことに以前、あるトレーナーからのポケモンの奪取に成功しているのだからな」

リク「トレーナーから無理やりポケモンを奪ったっていうの!?」

バリヤード「聞けばエスパー一体と、同じクロバットである仲間の一匹を犠牲にした壮大な作戦だったようだ」

バリヤード「仲間のうちの一匹がトレーナーと交戦中、隙を見て家に侵入」

バリヤード「ボールが見当たらなかったためにポケモンをそのまま連れ出してこの森まで運んできた、と」


バリヤード「     確かそのポケモンは……ホーホーと、それから3匹のハネッコだったかな?     」


チリーン「えっ……!?それってまさか……!」

ドサイドン「おい、ってことは……」


リク「あのクロバット達が……スーちゃん達を攫った犯人……!?」
 ▼ 656 ロトック@アイテムコール 16/11/13 07:49:10 ID:pxnRJS8. NGネーム登録 NGID登録 報告
ドサイドンが水泳したら死んでしまいそう
 ▼ 657 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/13 18:08:36 ID:tjU34htk [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バリヤード「……何だ?知り合いか?」

クロバットA「……」クビフリ

バリヤード「……だそうだが?とにかくバトルを始めようじゃないか!」


バリヤード「まずはA!『クロスポイズン』で真正面から斬り込め!」

クロバットA「キィィィーーーッ!」

リク「来るよ!受け止められる?」

ドサイドン「何、心配いりませんよ。蝙蝠駆除ができないんじゃ……お嬢様のポケモンは務まりません!!」

ガキィィィィン!!


ドサイドンの頑丈な体と巨大な掌は、クロバットの突撃をガッシリと受け止める。

猛スピードから急停止した衝撃で、クロバットの脆い体は激しく揺さぶられる。


クロバットA「(゚Д。)〜☆」

リク「ドサイドン、『アームハンマー』!」

ドサイドン「よっしゃ!!」


ズ ド ォ ォ ォ ォ ン ! !
 ▼ 658 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/13 18:09:36 ID:tjU34htk [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロバットA「」

リク「ふぅ……まずは1匹だね」

ドサイドン「さぁ、この調子で残り2匹も……」

バリヤード「自惚れるんじゃない。……A、斬り込みご苦労だった」

クロバットA「キッキッキッ……」

ドサイドン「なっ……!?」

バリヤード「客人に先にもてなしを受けるとは、私達もまだまだだな。……A、『エアカッター』!!」


ズバババババ……!!

仰向けに倒れたまま、クロバットが空気の刃でドサイドンの急所を狙う。

刃は、油断でガードを緩めていたドサイドンの体にダメージを蓄積させていく。


ドサイドン「オレの体は頑丈な岩でできてる。急所なんかありゃしないぜ」

バリヤード「だが急所でなくとも一定以上のダメージを体に受けたらどうなる?……上を見ろ」


ドサイドンが見上げた先には、残る2匹のクロバットが真っ赤な瞳を光らせていた。


バリヤード「もてなしは倍に……いや、3倍にして返してやろうじゃないか」
 ▼ 659 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/13 18:10:52 ID:tjU34htk [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バリヤード「やれ!!」


ダダダダダダ……!!


リク「うわっ!すごい風……!」

チリーン「飛ばされそうです……!」

3匹のクロバットの放つ刃は空気を掻き乱し、森をざわつかせる。

頑丈な岩の体もいよいよ悲鳴を上げる。耐えられるのも時間の問題。避ける術もなし。

クロバットが森を乱す不届き者に施す処刑は、隠密と呼ぶには派手なものだった。


ドサイドン「ぐっ……まだまだぁ……!」ズババババ

チリーン「私も行かなきゃ……このままじゃドサイドンさんが……!」

リク「待って!君が行っても巻き込まれるだけだよ!」

チリーン「ではどうすれば……」


リク「考えてる……今それを考えてるの……!何か……何かあるハズ……」

リク「クロバットを倒すには……こんな時にヒビキさんなら……クロ君ならどうする……?」

リク「私なりに答えを出さなきゃ……ドサイドン達に応えてあげなきゃ……!」
 ▼ 660 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/13 18:12:20 ID:tjU34htk [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
---------------------------------------------------------
------出発前------


リク「ボスゴドラには『じしん』、エレキブルには『グロウパンチ』……よしよし、わざマシン選びが大分固まってきたね」

リク「後はドサイドンとチリーン……どうしようかな?」

ドサイドン「お嬢様、オレにはやはり『コレ』がよろしいかと」スッ

リク「えぇ、『コレ』!?」

ドサイドン「オレがお嬢様のポケモンとして今まで生きてきた以上……ぴったりだとは思いますよ」


チリーン「あの、私は……」

リク「そうだね……チリーンは敵に真正面からぶつかり合うのは苦手だと思うから、『コレ』なんてどうかな?」

チリーン「これは……?」

リク「ピンチをチャンスに、チャンスをピンチに。文字通り、勝負をひっくり返してしまう、奇跡の技だよ」

チリーン「奇跡の技……?何だかちょっと……カッコイイです……//」

リク(可愛い)

チリーン「それで、この技は何て言う名前なんですか?」

リク「ふふ、それはね……」
---------------------------------------------------------
 ▼ 661 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/13 18:36:17 ID:tjU34htk [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リク(……見えた!)

リク「ドサイドン、『エアカッター』を避けて!!」

ドサイドン「ぐっ……よ、よし、わかりました!」

バリヤード「バカめ!三重の空気の刃からは逃れることなどできん!」

リク「チリーン!……いくよ!」

チリーン「!?……は、はい!」


チリーン「むむむむ……やぁーーーーーっ!!」


バリヤード「……?何だ?何が起こった?チリーンは一体何を……?」

リク「すぐにわかる。ここからの勝負、私達のものだ!」

バリヤード「!?……これはどういうことだ!?」

その時、バリヤードは周りで何かが起こっていることに気付いた。

木々の揺れがまちまちになっている。風の刃に煽られ激しく揺れる木をよそに、これだけの強風で全く動かない木もあったのだ。

まるで、その木々がここではない、別の世界の影響を受けているかのように。

バリヤード「これは一体……!?」

リク「チリーンが空間を歪めてくれた。これから不思議なことを起こしてみせるよ……チリーンの『トリックルーム』で!」
 ▼ 662 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/14 22:47:48 ID:DAwHvcek [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バリヤード「『トリックルーム』?」

リク「空間を歪ませ、一定のエリア内に不思議な部屋を作る技。その部屋の中ではバトルにおけるある常識が一切通用しない!」

バリヤード「ある常識だと?」


ズババハババババ……!

ドサイドン「お、お嬢様、もういいですか……?さすがにどうかなっちゃいそうです……」

リク「うん。お待たせ! ドサイドン、『エアカッター』を避けて!」

ドサイドン「了解ィ!!」


ガードを止め、ドサイドンは三方からの刃の雨を抜ける。刃に耐えきった体にはまだ余裕があるようだ。


バリヤード「バカめ、三方からの『エアカッター』に死角などない!ヤツを追え、クロバット達よ!」

バリヤード「ドサイドンは図体がデカい上に動きは鈍いときた。そんな恰好の的がこの包囲から逃れられると思……」


ドサイドン「じゃ、しばらく」シュッ


バリヤード「……!?」

突如、ドサイドンが眼の前から消えた。バリヤードはここで周りに起きた何かの『トリック』に気付くことができたが……
 ▼ 663 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/14 22:49:54 ID:DAwHvcek [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気付いた時には、もう遅かった。

バリヤード「まさか……その常識とは、『スピード』!?」

リク(気付かれた!早く勝負を決めないと!)

リク「ドサイドン!どれでもいい、クロバットの背後を取って攻撃して!」

バリヤード「ぬぅ……!クロバット共、隠密の貴様らが背後を取られるとなれば貴様らへの『神』の信用は……わかっているな?」

クロバットA「」ビクッ

クロバットB「……!……!」キョロキョロ

クロバットC「キィ……キィ……」ウロウロ

バリヤード(何故だ……心なしかコイツらの速さが落ちている気がする。これもこの部屋の能力だとすればこの勝負……)


ドサイドン「『アームハンマー』!!」

ド ガ ッ ! !

クロバットA「ガフッ!?」


パニックのあまり慌て狼狽するクロバット達の内の一匹を、彼らの死角から堅い拳の一撃が突き上げる。

スピードの上下関係が逆転したことで、隠密の称号はもはやドサイドンにふさわしいものになっていた。
 ▼ 664 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/14 22:50:53 ID:DAwHvcek [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

リク「やった!うまくいった!」

クロバットA「」

チリーン「今度こそ敵が一匹倒れました!あと二匹!」

バリヤード「おのれ……!速さが変わっても的の大きさは変わらん!『エアカッター』乱れ撃ちで仕留めてしまえ!」

クロバットB「ヒィ、ヒィ……」ババババ

ドサイドン「残念だがもう……お前らがオレを捕らえることなんてことは万に一つも無くなった」

ドサイドン「瞬きをしなくたってオレを見ることはできねぇ……むしろじっと眼を閉じてろ」

ドサイドン「あまりの勢いでうっかり眼を潰したりしちまったら大変なことになるからな」

バリヤード「……ひ、怯むな!この森ごとヤツを切り裂いてしまえええええええ!!!」


ドサイドン「おいおい、森を切るとか言ってんぞ。そんなことしちゃテメェが神様の信用失うんじゃねぇのか?」

チリーン「バリヤードさんは一度怒ると手がつけられないんです……」

チリーン「誰よりも物分かりがいい方なのですが、怒った時は誰よりも乱暴で、周りを顧みない方なのです……」

ドサイドン「はぁ……冗談の塊みてぇな野郎だな。見た目も性格も」

リク「ドサイドン、相手側はもう作戦なんてない。一気に決めて!」

ドサイドン「了解!……お嬢様といる毎日と、お嬢様の為に今戦えることに感謝を込めて……あの技でケリをつけようじゃねぇか」
 ▼ 665 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/14 22:52:15 ID:DAwHvcek [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バリヤード「感謝だと?一体何を……」

ドサイドン「   『おんがえし』   」

シュッ!

バリヤード「な、また消え……」


ド ス ッ !

クロバットB「ギヤアアアアアア!!」

ズ ゴ ッ !

クロバットC「ギイイイイイイイ!?」


ドサイドンがバリヤードの眼の前から消えた直後、空中のクロバット達が勢いよく地面へと落下する。

まるで、何かに叩きつけられたかのように。


バリヤード「ど……どうしたというのだお前達!?」


        「さっきは散々痛めつけてくれたな……そら、地面に落ちたら殴り放題だ!」 

 「覚悟しろよ、隠密さん達よォ!!」               「あぁ、眼はしっかり瞑っとけよ、治らねぇからな」

                    「オラオラァ、まだお嬢様への『おんがえし』は済んでねぇぞ!」
 ▼ 666 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/14 22:53:52 ID:DAwHvcek [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バリヤード「くそっ、声は聞こえるのに姿が見えん!あれだけの体の大きさを持ちながらなぜ影すら見えない!?」

リク「常識に囚われれば囚われるほど、この技の攻略は難しくなる。ドサイドンの速さだって常識を超えてるんだよ!」

リク「クロバットを上回るスピードに加えて、普通なら素早さが落ちる『アームハンマー』をこの部屋の中で使う事で」

リク「加速している。それも2回もね!気付いてる?こうしてる間にもクロバットがどんどんダメージを受けているのを」


ドサイドン「どりゃああああああ!!」

クロバットBC「「」」ボコボコ


バリヤード(ドサイドンめ……闇に身を隠しつつ素早さを生かした連続攻撃で二匹を圧倒している……)

バリヤード(しかしこれは本来クロバットが得意な戦法だ。自分達の戦術に敗れるとは情けないヤツらよ)

>>480


ドサイドン「突っ立ってる場合かよ、冗談くん?もうクロバットは全員片づけたぜ」

バリヤード「な!?いつの間に後ろに……」

リク「ドサイドン、『ドリルライナー』!!」

バリヤード「し、しまっ……」


ド ル ル ル ル ル ル ル ル ル ル ル ル ル … … … … ! !
 ▼ 667 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/15 21:08:25 ID:IjZoUVME [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バリヤード「ぐへぇぇぇぇぇぇあ!!?」

ドサイドン「お前が親玉なんだろうが、面倒臭ぇんでついでにやらせてもらうぜ!」ドルルルル……

バリヤード「ぬぬ……これしきの技で私がやられるなどと……」

ドサイドン「思ってませんとも」

バリヤード「は?」

リク「ドサイドン、トドメの『がんせきほう』!!」


ドサイドン「で り ゃ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! !」

バリヤード「待、待っ……」


バキバキ           バキバキ         バキバキ       バキバキ   バキバキ……     
ド ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ン ! ! !
               バキバキ            バキバキ……       ……ポキッ


バリヤード「」

ドサイドン「はぁ……はぁ……すごく疲れたでございまスリーパー」ドテッ

リク「おぉ。今流行りのポケギャグ」

チリーン「割と余裕あるんじゃないですか……?」
 ▼ 668 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/15 21:09:56 ID:IjZoUVME [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リク「とにかくこれで2体目のエスパーも撃破、だね!」

ドサイドン「へへ……」

チリーン「本当に強いんですね。皆さん」


空間の歪みが解け、辺りの草木がいつもの自然に戻っていく。

「不思議」と「力」の合わせ技で、リク達はバリヤードを倒したのだった……


ガサッ


リク「な、何の音今の!?」

チリーン「……!」


バリヤード「あ゛〜……痛い痛い……やめだやめだ。もう貴様らをただ殺すのでは気がすまん」


リク「バリヤード!?」

ドサイドン「おい……勘弁してくれよ……」

バリヤード「勘弁してほしいのはこちらの方だ……貴様らのお陰で私の面目は丸潰れだ……」フラフラ


バリヤード「」プツン
 ▼ 669 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/15 21:10:52 ID:IjZoUVME [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チリーン「あれだけの攻撃を食らってまだ立てるなんて……」

バリヤード「……まったく、大人しかったお前もすっかり人間の僕になってしまったな……とはいえ今のは驚いた」

バリヤード「『6番目』の分際で『2番目』の私にこうも立てつくとは……全く烏滸がましい」


バリヤードはボロボロの顔でチリーンに睨みを利かせながら、ゆっくりと彼女に近づく。

距離を詰められたチリーンは何もできないまま固まってしまう。


ドサイドン「待て!……オレはまだやれる!手出しすんのはオレとの勝負がついてからにし……」

バリヤード「『マジカルリーフ』」

ズ バ ッ … … !

ドサイドン「……!?」

バリヤード「ほら、勝負はついた。まったく、技の反動で動けんというのに挑発するとは勇気があるな」

バリヤード「いや……無謀、という言葉が正しいかな?」

ドサイドン「待……て……」


ドサイドン(……ダメだ。チリーンだけじゃアイツに勝てるワケがねぇ!お嬢様を守るどころか、このままじゃ……)

ドサイドン(お嬢……さ……)
 ▼ 670 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/15 21:12:23 ID:IjZoUVME [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リク「ドサイドン!!……ウソだ……『がんせきほう』が効かないなんて……」

バリヤード「いや、効いたよ。ブーピッグやキルリアならばあの一撃だけで倒れていただろう……だだ相手が悪かったのだ」

リク「くっ……」

自分達の命運が尽きたのを悟り、リクはがっくりと膝を折る。次は我が身……リクはそう確信していた。


バリヤード「さて、もう貴様らの勝機は完全に無くなった。……覚悟はいいな?」

チリーン「……!」ガタガタ

リク「     待って!!     」

バリヤード「……ん?」

リク「あなたはエスパー。エスパーなら私の気持ち、少しはわかってくれるかな?」

バリヤード「どういう意味だ?」


リク「     チリーンを……逃がしてほしい     」


バリヤード「な、何だと!?」

チリーン「!!?……リクさん!?まさか……」

リク「彼女には果たさなければならないことがある。あなたには理解できないことを……彼女はまだ頑張らなきゃいけないの」
 ▼ 671 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/15 21:13:30 ID:IjZoUVME [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リク「誰かを傷つけてあなたの気持ちが楽になるというのなら、チリーンでもドサイドンでもなく……」

リク「全部、私に向けるといい」

チリーン「そんな……!リクさん!!」

バリヤード「……我々も『神』と同様に人間を憎んでいる。殺すには適した素材だが……」

リク「だったら!」

バリヤード「だが……私は裏切り者を許すことはできん」

リク「そう。残念……なら無理やりにでも私は私の思うようにする…………チリーン、逃げて!!」

リク「あなたはまだ前を向く元気がある。クロ君達と合流するか、まっすぐに『神の場所』へ!」

チリーン「できません!貴方を置いて行くなんて……私はまだ貴方に何も……」

リク「いいから早く!」


チリーン「わ、私はっ……私はドサイドンさん達と比べて日は浅くても、貴方のポケモンとしてこの半月生きてきました!」

チリーン「ドサイドンさんもエレキブルさんも、貴方を守る為に限界まで戦いました。私も弱くたって戦う義務があります!」

リク「義務なんかじゃない!!……そんなの望んでない、私は私の為にみんなが倒れていくのを見るのがとっても辛いの!」


チリーン「……貴方は、お嬢様……なんですよ?どうして命を懸けて守られるのを嫌うのですか……?」

チリーン「どうして私の為に……貴方が傷付かなくてはならないのですか……?」
 ▼ 672 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:24:26 ID:9mTPRxWw [1/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リク「さぁ、何でかな……今に限った話なら、それは人とポケモンの未来のため、かな?」

リク「チリーン、あなたは神様に必ず会って!……大丈夫。あなたは十分私の為に尽くしてくれたよ」


バリヤード「もういいか?そろそろ待ちくたびれた」

リク「えぇ。……チリーン、頼んだよ」

チリーン「そんな!」


リク「   行け!   」


チリーン「う、うわああああああ!!」ダッ

リクと同じく、覚悟を決めたチリーン。一度前へと進みだした彼女が去り際にリクの方を向くことは、なかった。


リク「……それでいい。それでいいの」

バリヤード「では、『神』の名の下……いや、この私をコケにした罰を受けてもらおう」

リク「ありがとう。チリーンは追わないでくれるんだね」

バリヤード「奴は裏切り者。いずれ『神』による制裁を受けることだろう……しかし貴様、人間にしては器が大きいのだな」

リク「私はポケモンが大好きだから……みんながしてくれたように、私だって、みんなの為なら何だってできる」

バリヤード「フフ、成程な。……では、始めようか」
 ▼ 673 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:25:10 ID:9mTPRxWw [2/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
鼓動が高鳴り脚が震えながらも、覚悟を決めたトレーナーの胸にそっと、バリヤードの手が置かれる。

その手からのバチバチと鳴る不穏な音がリクの恐怖を煽る。

リク「…………」

バリヤード「ふむ。覚悟を決めた良い顔、良い瞳……まるで戦士のようだ」

リク「…………」

バリヤード「……『でんげきは』」


バチバチバチバチバチ……!!

リク「!!……っう……ぁ……ぎ……」

バリヤード「痛いか?……まぁ、どの道止めてはやらんがな」バチバチバチ

リク「……い、痛くない。痛くない……みんなが受けてきた技に比べれば、こ……こんなもの……ぁ!」

バリヤード「この期に及んで私の技に『こんなもの』と言い掛かりをつけるのか……肝の据わった人間だ」

リク「……へ……へへ、まぁね……」

バリヤード「その度胸がいつまで持つか、見物だな」


尚もバリヤードの手からリクの胸へと、迸る電流が無慈悲にリクを襲う。

抵抗する術が無い以上、今の彼女には耐えるしかない。その心が、体と共に燃え尽きるまで……
 ▼ 674 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:25:54 ID:9mTPRxWw [3/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バチバチバチバチ……


リク「う……あっ……うぇ……」ヒクヒク

バリヤード「あれだけ強気でいたのがもうこの有様か。勇気ある戦士があっと言う間に喘ぐだけの赤ん坊だ。それにしても……」

バリヤード「私としたことが、こんな時に『かめら』が欲しくなってしまった」

バリヤード「人間の住む社会へこの半月滞在し、人間の文化をいろいろと見てきたが……」

バリヤード「あの機械的な『眼』で見たものを『でーた』として残すことのできる『かめら』には驚かされた」

バリヤード「『かがくのちから』とやらの賜物か……今それがあれば……」

バリヤード「この人間の堕ちてゆく様を、しっかりと残しておけたものを……ンフフ……」

リク「あ……ぅ……」

バリヤード「何だその顔は?……私にまだ歯向かうと言うのなら……ふんっ!!」バリッ!

リク「んぐっ!?……お゛っ……う゛え゛ぇぇぇっ!!」ビチャビチャ

バリヤード「ふふふ、もはや処刑ではなく私の憂さ晴らしだな……だがもっと見せてくれ、その堕ちた貌(かお)を……!」

リク「んっ……あぁ……う……」

バリヤード「しかし、まだ治まらんぞこの焦燥……殺したくらいではやはり物足りん。どうすれば……そうだ。決めたぞ」


バリヤード「人間といえども此奴も女……なんだよな?ならやることは一つ……だ」ジュルッ
 ▼ 675 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:27:44 ID:9mTPRxWw [4/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
助けなきゃ                       大好きな人を
 

でも体が動かねぇ                    無茶しすぎちまった


今眼の前で大変なことが起きてるってのに         助けに行くこともできねぇなんて


叫ぶ元気も残ってねぇ                  早く動いてくれよ


心の元気は有り余ってるのに               体がもうまるでダメだ


誓った通りにはならなかった               彼女が傷付くのは見ないつもりでいたのに


どうしようもない                  味方はここに誰もいない


このまま見てるだけで終わっちまうのかな         大好きな人を守れずに終わっちまうのかな   やだな


考えてたら腹が減ってきた                こんな時にオレは何やってんだ


こんな時にオレは何思ってんだ              けど   もう   いろいろどうにもならなくて


あーーーーーーーーー腹減った
 ▼ 676 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:28:51 ID:9mTPRxWw [5/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気が付いたらオレは手を伸ばしてた           伸ばした手の先にあったのはオレの記憶の片隅にあるものだ

オレはそれを掴む                   それを口へ持っていく


あぁ              変わらねぇなぁ              この味

お嬢様の                       やさしさの味


------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

-------9年前、カントー地方にて。   一人の女の子の、特別な日-------



リク父「HAPPY BIRTHDAY!!    FOOOOOOOOOOOO!!!」

リク母「じゃかあしい!」ゴスッ

リク父「だ、だってよ、今日はリクの7歳の誕生日じゃないかよぉ」

リク母「そうだけども!いい歳こいたおっさんがバカ騒ぎすんのは恥ずかしいと思わないの?」

リク(7歳)「」ボーゼン

リク父「愛しの我が娘の特別な日を、親としてただ大人しく過ごすなんてできんだろう」

リク母「できないから他の団員さん達を呼んでこうしてウチでパーティー開いてんでしょうが」

ロケット団員AB「「あはは、どうも……」」
 ▼ 677 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:30:51 ID:9mTPRxWw [6/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リク母「全く……先週、見知らぬ子供にバトルに敗けて任務に失敗したーって落ち込んでたのに」

リク父「ハッ!あのガキのことか!レッドだか吉田だか知らねぇがあんな子供なんざいずれボスに一捻りさ」

リク母「何でこんな人と結婚したんだろ……」

リク父「リクのような可愛い娘と3人で家族になるために決まってんだろう?☆」

リク母(今夜にでもリクと2人で夜逃げしたいわ……)


ロケット団員A「それよりも先ぱ……コホン、失礼、お父さん。早速ボスから頂いたプレゼントを娘さんに」

リク父「だーーーー!馬鹿野郎!ボスから貰ったのは秘密にしておけと言ったろうが!」

ロケット団員B「す、すいません。こいつ、隠し事ができないもんで……」

リク「……」

リク父「そうだ、そうだよ。昨日ボスからプレゼントを2つ受け取ってるんだ。リク、お前もあの人を知ってるだろう?」

リク「サカキ……おじさん?」

リク父「そう!ボスはお父さんがたった一度だけ伝えたリクの誕生日を覚えてくれていたんだ!」

リク父「こんな下っ端のオレの家族の誕生日を……何て心優しいお方なんだ……サカキ様!」

リク母「いいから早う渡したれ」

リク「……」
 ▼ 678 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:33:03 ID:9mTPRxWw [7/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リク父「ほーらリク、誕生日プレゼントだ。このモンスターボールのボタンを押して」

リク「これ?」

リク母「サカキおじさんがリクにプレゼントしてくれたのは、あなただけのお友達よ。さぁ、あなたの手で出してあげて」

リク「うん……」ポチッ



こうして外に出たオレはその日                 初めてお嬢様と眼を合わせた

今と違ってオレは                       少しも曇りのない純粋な眼で彼女を見ていたと思う

……多分



リク「……わぁ!」

ロケット団員A「こ、このポケモンは……!ボスとの同じ!」

サイホーン「……うー?」ヨチヨチ

リク母「あらあら、かわいいサイホーンちゃんね!」

リク父「そう、この子は我がボス・サカキ様もご愛用されているポケモン、サイホーンだ!」

リク父「この子はそのサイホーンの子供さ。まだ小さいけど、いずれサカキ様のと同じくらい強くなる」

リク父「リクにとって強くて頼りがいのある、立派なパートナーになるだろう……とサカキ様は仰っていたよ」
 ▼ 679 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:33:58 ID:9mTPRxWw [8/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リク「サイホーン……」

サイホーン「むぅー、むぅー」

リク「えっ?」


後で聞けばオレは初めてお嬢様の顔を見たとき           真っ直ぐに彼女のもとへとすり寄ったそうだ

お嬢様を自分の親だと思ったのだろう               ちなみに実の親は物心ついて以来顔を見ていない


ロケット団員A「すげぇ、完全に懐いてる……」

リク父「そりゃそうだ。リクは大人しくて、可愛くて、誰からも好かれる優しい子さ」

リク母「結婚前から乱暴ばかりしてたアンタと違ってね。全く、リクを授かる時だってアンタは私に激しく求めてきて……」

リク父「同意の上だろ。それにお前だってあの夜は……」

ロケット団員B「あんたら子供の前だぞ」


リク「えへへ♪」

サイホーン「ぐぐぅー♪」

リク父「いやー、しかし子供ってのはホントに癒されるなぁ、人のもポケモンのも」

リク母「……さてと、じゃあそんな二人に私からもプレゼントをあげましょうかね」
 ▼ 680 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:34:49 ID:9mTPRxWw [9/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リク「えっ?お母さんからも?」

リク父「お前!いつの間に!?」

リク母「フフン、この間買い物に行ったときにちょっとね」

リク父「かぁーっ!日頃時間に余裕さえあればオレだって……!オレだって……!」

ロケット団員A「先輩、あのサイホーンはボスと先輩からのプレゼントじゃないですか」

ロケット団員B「おぉ、ええこと言うやん」


リク母「はい、これ!この箱をあけてごらん」

リク「どれどれー……えっ!?これ、中々手に入らないんでしょ!?」

リク父「おっ、これはリクが前から食べたがってたきのみじゃないか!」

リク母「まぁね。それに結構高かったんだけど、奮発してたくさん買っちゃった!」

リク「わぁー!お母さんありがとう!ほら見てサイホーン!これすっごく珍しいんだよ!」

リク父「よし、じゃあ早速いただいたらどうだい?」

リク「うん!……でも最初の一個は……いや、この箱半分はサイホーンにあげる!」

リク父「えっ!?……おいおい、それはリクがずっと前から……」

リク「きのみも嬉しいけど……やっぱり私だけの友達ができたのが一番嬉しいもん!」
 ▼ 681 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:36:05 ID:9mTPRxWw [10/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その時オレは嬉しかったのかな                  お嬢様の顔に自分の顔を無邪気にすり合わせた

まだ生まれて間もないころだけど                 物心ついてすらないころだけど

お嬢様の手がオレの口に運んでくれた               そのきのみの味は記憶の底に刻み込まれた

あの味は忘れることはない                    ずっと   ずっと    ずっと


今でも------------------------------------------


------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


ムシャ……     ムシャ……

よし、動ける!               叫べる!             ……守れる!


バリヤード「人間もポケモンと同じ、結局は生き物。自然と本能のままに生きるべき獣なのだ」ビリビリ

リク「ひっ……いぃ゛……!///」

バリヤード「金や衣服や娯楽など、人間は実にくだらんものを……女よ、獣ならば狂え、乱れろ!」ビリビリ

バリヤード「教えてやろう。喰い、眠り、乱れる。ただそれだけが本能だ。さて……獣には、獣たる死を……」



ドサイドン「            待   て   !            」
 ▼ 682 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:37:01 ID:9mTPRxWw [11/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バリヤード「き……貴様……何故まだ立っていられる?」

ドサイドン「『がんせきほう』は一度使えば暫くの間行動できなくなる技だ。オレはお前にやられたんじゃなくて」

ドサイドン「自分の技の反動で動けなくなってたんだよ。……勿論ダメージも並じゃないが。ただそれでも生き残れたのは」

ドサイドン「弱点のタイプの技を受けた時、己の防御力でダメージを和らげるオレの特性:『ハードロック』のお陰だ」

バリヤード「だが生き残れたところでどうする?お前は虫の息、女はこの通り!もはや勝ち目など無いのでは?」

リク「ひっ……あ゛っ……」ビクビク

ドサイドン「あるよ。まずはお嬢様を返してもらうぞ」

バリヤード「ならん!コイツは『神』が憎む人間の一人!生かしておくわけには……」


シュッ


バリヤード「……は?消えt」

ドサイドン「返せ」

バリヤード「な!?貴様、いつからオレの背後に!?……そうかわかったぞ、『トリックルーム』だな!」

バリヤード「あの裏切り者め……逃げたと思えばまだどこかでオレの邪魔を……」

ドサイドン「違ぇよ。アイツはもうここにはいねぇ」

バリヤード「ならば何故貴様はオレの背後を取った!?何故オレから女を奪い返している!?」
 ▼ 683 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:39:01 ID:9mTPRxWw [12/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドサイドン「……お嬢様の、優しさの味のお陰だよ」

バリヤード「えぇい忌々しい!これ以上貴様の惚気話に付き合ってなどいれるか!!」

ドサイドン「しゃぁねぇな。バカなお前にもわかるように教えてやるよ。それはな、お嬢様が持たせてくれた……」

ドサイドン「       『イバンのみ』の力だ       」

バリヤード「……いばん?」

ドサイドン「『イバンのみ』は持っているポケモンの体力が限界に近づくとその力を発揮し」

ドサイドン「力を授かったヤツはたった一度だけ誰よりも速く行動できるっていう、スゴイヤツさ」


バリヤード「ふん……チリーンといい貴様といい、人間に与えられた力なんぞに助けられて情けないヤツよ」

ドサイドン「情けなくねぇよ。それがトレーナーとポケモンの関係ってヤツさ」

ドサイドン「変なプライドに執着して、いつまでも自分の考えを改めないようなバカにはわかんねぇだろうがな」

バリヤード「……本当に好き勝手言ってくれるな。もう怒る気力もない。だが貴様……これからまた私と戦うのか?」

ドサイドン「……そうだが?」

リヤード「……貴様がその女を庇ったままここで戦えば、女を巻き込まずに済むことなど不可能だ」

バリヤード「私を倒したければ女から離れたまえ……最も、もう二度と貴様が彼女に触れることはなくなるだろうがな……」


ドサイドン「何言ってやがる。離れんのはお前だよ」
 ▼ 684 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:39:45 ID:9mTPRxWw [13/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドサイドン「『おんがえし』」ドスッ!!

バリヤード「!!?」


バリヤードの無防備な鳩尾を、不意をついてドサイドンが怒りを込めた拳で突き上げる。

あまりのパンチの重みに耐えきれずに、バリヤードの体は空気の抜けた風船のように宙を舞う。


バリヤード「あああああああ!!    ああぁぁぁぁぁ……ぐへっ」ドサッ

ドサイドン「おー、飛んだな。100mは飛んだか……とにかくこれでお嬢様をアイツから遠ざけることができた。あとは……」


バリヤード「おのれ……おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれぇ!!」

バリヤード「やはり貴様だけは勘弁ならぁあぁあぁん!!殺す!殺してやる!!」

ドサイドン「それはこっちのセリフだ。オレの一番大事な人を……オレ達の大事な家族をこんなにしやがって……」

リク「あ゛ぅ……ぁ゛ぃ゛……」

ドサイドン「もう死ねよ。お前はやりすぎた」


バリヤード「……死ぬのは貴様だ!……『神』と『自然』よ、私に正義の勝利を……『サイケこうせん』!!」


ドサイドン「          『がんせきほう』!!!          」
 ▼ 685 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:41:08 ID:9mTPRxWw [14/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バリヤード「っ……!!?まだそんな力を……!」


ドサイドン「       ぶっ飛びやがれーーーーーーーーーっ!!       」


バリヤード「イヤだ!まだ人間一人すら殺せていないのに……!裏切り者一匹すら始末できてないのに……!」

バリヤード「こんなところでまだ敗けるわけには……」

------------------------------------------------------------------------------------
------------------------------------------------------------------------


ドサイドン「はぁ……はぁ……」ドテッ

ドサイドン「おー、飛んだ飛んだ……1kmは飛んだかな……」

リク「ぅぅ゛ぅ……」

ドサイドン「お嬢様、服が……本当にごめんなさい……お嬢様を傷つけてしまった……」

リク「い……お……」

ドサイドン「喋らないでください。苦しそうな声を聞くのはもう辛い……さぁ、オレが今からお嬢様を安全な場所に……」

リク「あ……い……あぉう……」

ドサイドン「……え?」

リク「か……こ……よか……たよ……さすあ、はたひのほけも……ん……らいすき、な……あたひの、ぽくもん……」
 ▼ 686 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:42:38 ID:9mTPRxWw [15/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドサイドン「……!///」

ドサイドン「さ、さぁ行きましょう!大丈夫、奴らの眼を盗んでオレがきっとお嬢様を安全な場所に……」

リク「本当は……ああたも、つかりぇ……てう」

ドサイドン「あ、そうだ。無理……しすぎた」バタッ


ドサイドン「はぁ……はぁ……ちょっと休憩」

リク「くろくん、らいじょふ、かぁ……?ひんはい……」

ドサイドン「いや、さすがに今は自分の心配しましょうや。……勿論お嬢様にはオレがずっとついてますけど」

リク「えへへ、うれしい……」


ドサイドン「とにかく『神』の一件はチリーンと、クロ達に託しましょう。オレ達はもう……ここまでみたいだ」

ドサイドン(クロ、チリーン……後はどうか……任せたぞ……)


◎バリヤード 撃破     エスパー軍団 残り1体◎

●リク 脱落   ドサイドン 瀕死     救出チーム  残り1人と4体●


『神の場所』まであともう一歩。エスパー軍団との戦いも、いよいよ佳境を迎えることとなる。

そして『神の森』が放つ、新たな敵がクロ達に迫る---------------------------
 ▼ 687 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:43:35 ID:9mTPRxWw [16/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
---------『神の場所』直前地点---------


野生ポケモン23「もうすぐこのすぐ先の場所で『神』がこ降臨なさる……はぁ……緊張してきた」

野生ポケモン24「おう、何やってんだこんな所で。今、森には侵入者が入ってきて大変だってのに……」

野生ポケモン23「バリヤード様達から頼まれたんだよ。『こいつら』の見張り」

野生ポケモン24「何だこの袋?」

野生ポケモン23「バリヤード様が町の人間共から集めてきたポケモン達だ。『神』に献上するものらしい」

野生ポケモン24「なるほど……二袋ともそうか?」

野生ポケモン23「いや、こっちの方は違う。これはな、エスパー軍団最強の……」


ドドドドドドドド……


野生ポケモン24「ん?何の音だ?」

野生ポケモン23「お、おい、何かがこっちに向かって来……」


ゲンガー「うおおおおおおお!!」ドドドドドド

野生ポケモン23,24「「ぎゃああああああああああああ!!」」
 ▼ 688 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:44:24 ID:9mTPRxWw [17/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ーーーーーーーーーーーーーーー」


ゲンガー「まただ……言葉までは聞き取れないけど、やっぱりこの先に声の主がいる!」ドドドドドド

ゲンガー「他のみんなは……大丈夫かな?」

ゲンガー「まっ、いいか。それよりアタシがしっかり頑張らなくちゃ!お兄ちゃんにいい報告ができるように!」

ゲンガー「その後はお兄ちゃんにあ〜んなことやこ〜んなことを……うへへ///」

ゲンガー「い、いかんいかん。欲を消し去れゲンガー。お前はできる子可愛い子。Super Ghost Girlのゲンガーちゃん」

ゲンガー「お兄ちゃんの為じゃない。あくまで仲間みんなのために……はい深ーく深呼吸ーーーーー」スーハー

ゲンガー「……よし、突っ切るわよ!」

----------------------------------------------------------------

------同じ頃、森のとある場所にてクロ達は------


クロ「パイン、もう疲れは取れたの?」

パイン「えぇ。心配お掛けしました。……しかしあのキルリアを倒すとは……いやぁ助かりました」

クロ「『助かった』?」

パイン「えぇ、彼女は絡むと色々と面倒臭いことになりますからね……私が顔を合わせなくてよかったです」

バニラ「ボクとお兄ちゃんは無敵だよ!どんなヤツが来たって倒しちゃうんだ!」
 ▼ 689 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:45:17 ID:9mTPRxWw [18/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
パイン「えぇ。どんなヤツだって倒す。あなた達のその自信は私も重々承知しています、ただ……」

パイン「クロ、あなた達はまだ『彼』と戦っていないのでは?」

クロ「あぁ、それってエスパー軍団で一番強いヤツのことか?まだ会ってないけど……戦う覚悟はできてる……ハズ」

パイン「……そうですか。そうですよね。会っていればあなた達がそんなにピンピンしているハズがありません」

パイン「どうか気をつけてください。おそらく彼はエスパーどころか……」

パイン「『神』を除いたこの森に棲むポケモン全ての中でも最強のポケモンです。勿論『3番目』の私が敵うはずもない」

パイン「勝てるとすればあなた達の力次第です。あらゆる手段を使って戦いに臨んでください」

パイン「……もちろん私も、全力で戦いますから」


バニラ「……お兄ちゃん」

クロ「そいつとの戦いは、勝つにはきっと僕らの力の集大成で迎え撃つしか手はない。……ねぇ、バニラ」

バニラ「なに?」

クロ「……ありがとう。僕をここまで強くしてくれて。君と出会ってなければまだ、僕は冴えない学生トレーナーのままだった」

クロ「学校の成績だって良いモンじゃないし、バトルだって弱かった。理由は簡単、僕がトレーナーとして未熟だから」

バニラ「でもボクにとってはお兄ちゃんは一番のトレーナーだよ!」

クロ「うん。どういう運命の廻り合わせか、君は未熟なトレーナーである僕と相性抜群のポケモンだった」
 ▼ 690 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:46:27 ID:9mTPRxWw [19/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロ「バニラのお陰で僕はトレーナーとしての自信をつけることができた。本当に感謝してるよ」

バニラ「感謝してるのはボクもいっしょだよ!」

クロ「バニラも?」

バニラ「……ありがとう。ボクと出会ってくれて。ボクにとって一番のトレーナーになってくれて」

バニラ「お兄ちゃんだけじゃない。ヒビキにも、お兄ちゃんと僕を会わせてくれた人やポケモン達みんなに感謝してる!」

クロ「……そっか。何か嬉しいな///」

バニラ「えへへ///」

パイン「おやおや、二人とも顔が赤いですよ?……まさかお二人、そういう関係で?」ニヤニヤ

クロ「そんなわけあるかいっ!」

バニラ「えっ!?違うの?」

クロ「Σ(゚Д゚)ノおおぉぉいっ!?」

パイン「いえいえ違いませんよ。何せ二人はお互いが大好きですからねぇ」ニヤニヤ

バニラ「うん!大きくなったらお兄ちゃんと(※自主規制)とか(※自主規制)とかでいっぱい遊ぶんだもん!!」

クロ「げげー!そんな言葉どこで覚えた!!」

バニラ「大人になったら大好きな人とできる遊びだよ、ってこの間スーお姉ちゃんが……」

クロ「あの赤カブ……次会ったら覚えとけよ……」
 ▼ 691 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:47:45 ID:9mTPRxWw [20/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-----数分後-----

クロ「しっかし、ポケモン達もここに来て随分減ってきたな。ゲンガーが頑張ってくれてるのは知ってるけど……」

クロ「最初に比べると遭遇するポケモンの数が少なくなった気がする」

バニラ「そりゃもちろん、ボクたちがいっぱい倒したからでしょ?」

パイン「えぇ、それもありますが……やはり『彼』が近くにいるからだと思います」

パイン「一度暴れられれば手がつけられない……いわば兵器のような存在。危険ですよ、本当に……」


-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-


パイン「!!」

クロ「よし、もうすぐだ。頑張ろうねバニラ」

バニラ「うん!」

パイン「二人とも、止まって!」

クロ「ん?」


0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0


パイン「……耳を澄ましてください。この声……『彼』が……エスパー軍団最強のポケモン、『ネンドール』が来ます!!」
 ▼ 692 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:49:40 ID:9mTPRxWw [21/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0--0-0-0-0


クロ「声?さっきからどこかで鳴ってる、このミョーチキリンなのがか!?」

パイン「クロ、バニラ……もう後には退けません。準備はできていますか?」

クロ「へっ、今更」


>>197 ???D→ネンドール


周りの野生ポケモン達が姿を消し、静まったこのエリアに鳴り響く奇妙な音。

音が大きくなってくるのに比例して、クロ達の鼓動も早まる。そして--------------------


ネンドール「          ケーシィ、ウラギリモノトソノナカマ、ミツケタ         」


暗闇の向こうから現れた「神の森」の最終兵器はクロ達眼の前にその姿を現した。

一切の心情が読めない、何者かに「造られた」ようなその風貌。これまでのエスパーとは違う雰囲気。

何もかもが新しい。以前までとの「格の違い」を象徴するには十分すぎるオーラを放っていた。


ネンドール「ニンゲン、カミノヒミツシリスギタ、ウラギリモノトイッショニ、ココデケス」

クロ「……やるしかない、か……!」
 ▼ 693 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:50:29 ID:9mTPRxWw [22/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バニラ「よーし……」

クロ「あっ、待ってバニラ。コイツも多分仲間を引き連れてる。周りに注意を払いながら戦って……」

ネンドール「オレハオレダケ、コノチカクニ、ポケモンホカニイナイ」

クロ「えっ?」

ネンドール「ココニクルマデニオマエタチ、オレノナカマゼンブタオシタ。オレノチカクニハナカマイナイ」

クロ「そ、そうなのか……?」

パイン「おそらく彼の言っていることは本当です。彼は感情を表に出すことがあまりないので、皆からは敬遠されがちなのですよ」

クロ「あぁ、つまりボッチか」

ネンドール「オレ、カンジョーアル。オコルトキハオコル。イマモオコッテイル(0-0-0)」

クロ「その顔で言われても説得力無いよ……」

パイン「クロ、ふざけている時ではありませんよ。彼にはどうか本気でお願いします」

パイン「感情を表に出さないということは、取り乱すことがないということです。常に状況を読み、冷静な判断をし」

パイン「確実に相手を倒すバトルマシーン……それがネンドールです」

クロ「あぁ……つまりロボットか」

ネンドール「オレ、ニンゲンガツクッタマガイモノノセイメイトイッショニサレタ……オマエタチ、フトドキ」

ネンドール「       オレ、ヨウシャシナイ       」
 ▼ 694 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:51:35 ID:9mTPRxWw [23/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロ(この気迫……来るぞ)


ネンドール「『サイケコウセン』!」

クロ「バニラ、避けろ!」

バニラ「えっ!?……よ、よし!」


ヂ ュ ド オ オ オ オ オ オ … … ! !


銃口のようなその手から放たれた光線が地面をえぐる。

一秒前までバニラがいた足場には隕石が落ちたかのようなクレーターが現れた。


クロ「な、何だよあの威力……あんなのをバンバンブッ放すつもりかよ……」

パイン「今度はこちらから反撃しましょう。クロ、私にも指示を!」

クロ「OK! バニラ、『れいとうパンチ』!パイン、『ガードシェア』!」

ネンドール「……! ウケトメル!『カミノモリ』イチノオレノボウギョデ!」

パイン「あなたが堅いのは知っていますよネンドール。実に羨ましい、羨ましいので……」

パイン「少し、分けていただけませんか?」

ネンドール「!?」
 ▼ 695 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/20 21:52:31 ID:9mTPRxWw [24/24] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バニラ「でやあああああ!!」

ド ゴ ォ ォ ッ ! !

ネンドール「……ゴホッ!?」

パイン「フフ、こうしてあなたとバトルをすることなんて滅多にありませんでしたからね。知らないのも無理はありません」

パイン「『テレポート』による撹乱戦法は知っての通り、私の強さの秘密です。しかしそれだけでは『3番目』にはなれません」

パイン「私の武器はもう一つ。それは己の打たれ弱さです。あなたのような相手とは相性抜群の技、それが『ガードシェア』!」

パイン「秘密にしておいてよかった。どうです?己の能力を逆手に取られた気分は?」

クロ(煽るなよ油揚げ……)


ネンドール「シラナイノハオタガイサマ。オマエ、テキニナッタ。オレ、ダシオシミスルヒツヨウナクナッタ」

クロ「おい、何かしてくるんじゃないか?」


0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0
ネンドール「       『 コ ス モ パ ワ ー 』       」
0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0


クロ/バニラ「「……!!」」


クロ「…………あれ?」
 ▼ 696 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 00:12:53 ID:XJqoGIJE [1/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
過去ログ行きそうだったので上げ

更新はもうしばらくお時間を……



\ コ ス モ パ ワ ー /
 ▼ 697 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:15:32 ID:XJqoGIJE [2/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……?

クロ「な、何も起こらないぞ……?」

パイン「ネンドールのことです。きっと何かしらいじったに違いありません。どうか慎重に。冷静さを欠けば敗けますよ!」

クロ「お、おし。バニラ、もう一発『れいとうパンチ』!」

バニラ「よっしゃ!」


ト ォ ォ ォ ォ ォ ン … …

バニラの拳が再びネンドールの胸部を直撃する。だが-------------------バニラは瞬時に、一発目との違和感に気付く。

バニラ(……何だろうこの感触。ちゃんと当たってるのに……アイツに触れた瞬間、何だかフワっとしたような……)

バニラ(まるでベッドを殴りつけたみたいに……)

ネンドール「コレガ、ウチュウノシンピノチカラ。オマエ、チカライッパイナグレナイ」

ネンドール(イマノオレノカラダマワリ、ジュウリョクホトンドナイ。ヨワイブツリコウゲキ、キカナイ)


クロ「ねぇ、アイツ全然ダメージを受けてないみたいなんだけど?」

パイン「やはり……では、私も続きます!リクさんから頂いた技で!」

クロ「……わかった!パイン、『エナジーボール』!」
 ▼ 698 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:17:45 ID:XJqoGIJE [3/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ネンドール「『コスモパワー』ハスベテウケトメル。『3バンメ』ノコウゲキ、オソレルヒツヨウナイ」


ビ カ ァ ァ ァ ァ ァ ァ … … !

『エナジーボール』の着弾と共に、ネンドールの体が激しく光り出す。

太陽が地上に落ちてきたようなその輝きはクロ達の眼に勢いよく反射する。


クロ「ぐぁぁぁっ!まぶっ……」

パイン「クロ、大丈夫ですか!?」

クロ「あ、あぁ……あぁ眩しかった……何だったんだ今の」

パイン「また遠距離からの攻撃も防がれた……おそらく『ひかりのかべ』でしょうか……」


ネンドール(「コスモパワー」、トクシュコウゲキモトオサナイ)

ネンドール(ウチュウノホシボシノヨウニオレノカラダ、ヒカリニテラサレカガヤク)

ネンドール「オレサイキョウ、モウタタカイヤメル」

クロ「バニラ、もっと攻撃をぶつけろ!アイツの能力が衝撃を和らげるのだとしたら、もっと強い技を出すんだ!」

バニラ「よーし!」

パイン(くぅ……やはり簡単には行かせてくれないか……)
 ▼ 699 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:19:20 ID:XJqoGIJE [4/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロ「バニラ、リクさんからもらった技を今こそ使う時だ!岩をも切り裂くその爪で、新しい技見せてやろうぜ!」

クロ「     『シャドークロー』!     」


ガッ……!   


バニラ「まただ……!勢いが殺される……!」グググ……

ネンドール「オレ、ビショウジュウリョクノベールオオッテル。オマエ、キリサクドコロカツメアトモノコセナイ」

バニラ「それがなんだ!絶対に決めてやるぞ……!」グググ……ピタッ

ネンドール「……ツメフレタ。デモ、イタクナイ」

クロ「!!   バニラ、避けろ!!」

ネンドール「     『サイケコウセン』     」


ド ォ ォ ォ ン ! !


ネンドール「オマエ、ワザキメルノニセイイッパイ。オレ、コンドハハズサナカッタ」

パイン「な、何ということだ……」

バニラ「ぐっ……うぅ……」ピクピク

クロ「ウソだろ……いや、まだバニラの力はこれで全部じゃない。全て出し切る前にチャンスは絶対来るハズ……」
 ▼ 700 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:20:40 ID:XJqoGIJE [5/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロ「パイン、『テレポート』で背後に回って『エナジーボール』だ!」

パイン「はい!」シュッ


パイン「いざ……」

ネンドール「ヒカリノカベモオレノメモ、シカクハナイ」

パイン「そんな……!」

-----------------------------------------------------------------------

クロ「バニラ、まだ大丈夫か?」

バニラ「……うん」ヨロヨロ

クロ「それなら今度は『ふぶき』だ!アイツを森ごと冷気の渦でかき回してしまえ!!」

バニラ「うおおおおおおおおおお!!」

ビ ュ オ オ オ オ オ オ オ … … ! !

ネンドール「ヒカリノカベニシカクハナイトイッタハズ。ソレニコノコウゲキ、マワリモマキコムヨクナイ」

-----------------------------------------------------------------------

パイン「くっ……ならば元凶であるその堅さをもう一度頂きましょうか!『ガードシェア』!」

ネンドール「ソレ、マッタクムダ。オレノチカラデアゲタボウギョ、オマエノモノニナラナイ」
 ▼ 701 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:21:54 ID:XJqoGIJE [6/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クロ「バニラ、こうなりゃ『あばれる』だ!アイツの微小重力の壁をなんとか突破しろ!」

バニラ「ガ ァ ァ ァ ァ ァ ! !」

ドドドドドドドド……ドド……ド……ド……

ネンドール「ムチャ、ヨクナイ。スグツカレルダケ」

バニラ「ハァ……ハァ……」

-----------------------------------------------------------------

ネンドール「オマエタチ、メザワリ……『サイケコウセン』」

クロ「パイン、『エナジーボール』!」

ドォォォォォン!!

パイン「がふっ……」ヨロヨロ

ネンドール「オマエノコウゲキナンジャク、オシマケルコトワカッテイタハズ」

------------------------------------------------------------------

クロ「僕らは絶対敗けない!紛い物の神秘なんてブチ抜いてしまえ!  バニラ、両手で『れいとうパンチ』だァァ!!」


バニラ「ダァァァァァァァァ!!」


ド ガ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ン … …
 ▼ 702 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:27:55 ID:XJqoGIJE [7/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「神の森」の秘密兵器・ネンドールの前に、出鱈目な力押しで攻め入るクロ。

「絶対に敗けるわけがない」……バニラとの合言葉がクロの首を絞めるのと同時に、

パインを「神の場所」へと送り届けなければならない使命感もまたクロにとっての大きな負担となっていた。

------------------------------------------------------------------------

一方、野生ポケモン達をなぎ倒し快進撃を続けていたゲンガーは------------------------


ゲンガー「 到 着 ! 」ドン!


今宵「神」が現れる、「神の場所」へと辿り着いた。

おどろおどろしい闇に染まり凶暴なポケモンが大勢いた道中と違い、その場所はやたら静かで、

すぐ近くにあるはずの騒然とした周囲の音を完全に遮断していた。

また、上を見上げると道中では見ることのできなかった月が木々の隙間から顔を出し、神聖なその場所を優しく照らしている。


ゲンガー「い、いかんいかん。喜んでる場合じゃないわ。アタシ、声に引き寄せられてたら奇跡的にここに着いちゃったのね」

ゲンガー「チリーンも言ってたっけ。少なくとも日付けが変わるまでは入っちゃいけないって……」

ゲンガー「今、どうなのかしら。森に入ったのが10時頃だったから……あれ?11時だったかしら?」

ゲンガー「と、とにかく大丈夫でしょ!ギリギリセーフだよ!うん、ギリセギリセ」
 ▼ 703 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:29:58 ID:XJqoGIJE [8/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゲンガー「…………」

ゲンガー「……やっぱし不安。誰か時計持ってないのぉ?って誰もいないや」

ゲンガー「…………」

ゲンガー(寂しい……)シクシク

天下無敵のゲンガーの弱点は「孤独」だった。ハイになっていて気付かなかったのだろうか、

いざ冷静になって辺りを見渡すと誰もいない空間に虚しさを覚えはじめた。


ゲンガー「何で一匹で行くなんて言っちゃったんだろう……何でリクやみんなを突き放すまでしたんだろう……」

ゲンガー「あーもう!アタシのバカバカバカ!誰でもいいから喋ろうよ!ねぇ!欲を言えばお兄ちゃんと今すぐ遊びたいよ!」

ゲンガー「アタシここまで頑張ったんだよ!?頑張ったからごほーびに抱っこなり何なりしてよぉぉぉぉぉぉ!!」ジタバタ

ゲンガー「うわあああああああああん!!」


ーーーーーーーー先程から神聖なる場所で、よくそんな下品な真似ができるものだ。ーーーーーーーー


ゲンガー「ああああ……え?だ、誰かいるの?」

ゲンガー「! ……って今の声……まさかこの近くに……」


「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
 ▼ 704 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:30:52 ID:XJqoGIJE [9/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−」


ゲンガー「ねぇ!どこに隠れてるの!?っていうか今喋ったよね!?アタシ泣きながら聞こえてたよ!」

ゲンガー「出てきてよ!アタシをさっきから呼んでた……あなたは誰!?」


「−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−」


ゲンガー「顔を見せたくないっていうの!?じゃあいいわよ!アタシがアンタを探すから!」


ーーーーーーーー勝手な真似をするな。ーーーーーーーー


ゲンガー「!?」

ゲンガー「ねぇ、また今しゃべっ……」


ーーーーーーーーこれから忙しくなるんだ。荒くれ者に、邪魔はさせない。ーーーーーーーー


ゲンガー「あれ……何か体が重く……っていうか……」

ゲンガー「何だか……ねむ……」バタッ


ゲンガー「…………」
 ▼ 705 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:31:49 ID:XJqoGIJE [10/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------「神の場所」 奥地 岩の横穴-----


チョコ「……ねぇ、今誰かの声が聞こえなかった?」

スー「ガッツリ聞こえてたじゃない!ワンワンアホみたいに泣く声がさ」

ロベ「クロ達が助けにきた……わけでもなさそうだよね」

リリ「やっぱり……誰も助けに来ないのかな……こんな暗い所に閉じ込められて……私、もう耐えられないよ……」

チョコ「踏ん張って!またここから出られないと決まったわけじゃない……よ?」

スー「何でこっちを見る」

チョコ「ゴメン、僕も正直自信無いんだ……」

「「「「…………」」」」

ロベ「ねぇ……でもさ、やっぱり信じてみてもいいんじゃないかな?」

スー「うーん……まぁあのエロトレーナー、何やかんやでアタシ達のこと気に掛けてくれてたし、万が一ってことも……」

リリ「奇跡を信じるしかない、ってことだね……」

ロベ「うん。でもさ、奇跡はきっと起きるかもしれないよ?」

スー「どうしてそう言い切れんのよ?」

ロベ「だって幻と呼ばれていた神様がいたくらいだから……そんな『奇跡』くらい、起きてもバチは当たらないと思うんだよね」
 ▼ 706 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:33:11 ID:XJqoGIJE [11/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------クロ VS ネンドール-------



クロ「はぁ……はぁ……」

バニラ「げほっげほっ……ま、まだまだ……」

ネンドール「イマノコウゲキスコシキイタ。デモオレタオセテナイ。オマエタチ、バンサクツキタ」

クロ「くそっ!何だよお前!もう倒れてくれよ!」

パイン「『コスモパワー』の壁、どうやら力押しでも突破できるようですね……でももう体力が……」

ネンドール「モウアキラメロ。『カミ』、イカッテル。オマエタチ、ユルスハズナイ」

パイン「そう言って頑なに他者の意見を聞き入れない……特にあなたは以前からそんなポケモンでしたね」

パイン「感情に乏しい、『神』の傀儡であるあなたは、『神』を妄信することしかできない!」

パイン「あなただけではない。この森の全てのポケモンは……」

ネンドール「ウヌボレルナ!!」

ドォォォン!


クロ「パイン!」

パイン「ぐっ……」ヨロヨロ
 ▼ 707 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:34:13 ID:XJqoGIJE [12/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ネンドール「ニンゲン。オレモハンツキトモニクラシタ。デモ、クルシカッタ。ズット」

パイン「それはあなたが端から人間と分かり合おうとしなかったからです」

ネンドール「スルハズナイ。『カミ』ハニンゲンキラッテタ」

パイン「あなた自身は、人間をどう思っていたのですか?」

ネンドール「オレタチノイシ、『カミ』ノイシ」

パイン「なるほどね……傀儡らしい考えですね」

パイン「だからあなた達は『神』が私達を人間の世界へ送り込んだ本当の目的を知らぬままここへ帰ってきたのですか」

ネンドール「アノカタノモクテキ、ニンゲンニトラワレタポケモン、カイホウスルコト」

パイン「違う!……私はあなた達と違って、自分の意思でクロと……人間と向き合った!そこで一つの答えが見えた!」

パイン「『神』の本当の目的、それは……」


ネンドール「モウキキタクナイ。オマエ、ニンゲンノミカタスル。『カミ』ノツカイノホコリステタ。ゲンメツシタ」

ネンドール「オマエ、ニンゲンカバウ。ウラギリモノ、ニンゲンモロトモ、シネ」

ネンドール「     『ダイチノチカラ』     」


ゴ    ゴ   ゴ   ゴ  ゴ   ゴ    ゴ   ゴ   ゴ     ゴ ゴ       ゴ    ゴ  ゴ    ゴ    ゴ   ゴ    ゴ    ゴ   ゴ    ゴ    ゴ      ゴ   ゴ     ゴ        ゴ     …  …   …
 ▼ 708 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:35:17 ID:XJqoGIJE [13/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ネンドール「0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-0-」


クロ「地面がもの凄い勢いで揺れてる……!な、何をする気なんだあいつ!?」

パイン「……わかりません。でも私はどうやら、彼を刺激してしまったようです。見たことがありません。彼のあんな姿は……」

クロ「とにかく一旦退こう!絶対ヤバイって!」

パイン「そうしましょう。……私も少し熱くなってしまいました。私の声が彼らに届かないとわかっていながら……」


バニラ「……」

クロ「バニラ、何してるんだ!早く!」

バニラ「……アイツ、多分守りを捨ててスゴイ攻撃をしようとしてる。だから今ボクが攻撃すればきっと……」

クロ「バカなこと言うな!無事じゃ済まないぞ!……もうパインを連れてくどころじゃなくなる!」

バニラ「ここで逃げたらどの道やられるよ!……大丈夫。ちょっとやってみるだけだから……勝つために!」

パイン「ば、バニラ!?」

クロ「待て!おい!  やめろ!!」


バニラ「う お お お お お お お お お お お お お お お お お お ! !」


バニラもまた、クロとの合言葉に縛られていたのだろうか。無謀な賭けに出たバニラは、ネンドールへ突っ込んでいった。
 ▼ 709 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:37:35 ID:XJqoGIJE [14/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして----------------------爆発する、「だいちのちから」。辺りを無慈悲に焼き尽くす、地のエネルギー……


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闇の中に煙が立ち込め、周囲は焼け野原。一撃でその場で見渡せる限りの木々は消えてしまった。

クロとパインは意識を失い、焦げた地面に伏せ倒れる。


バニラ「はぁ……はぁ……」

ネンドール「バクハツマエニオレノカラダニフレルトハオマエ、アタマイイ。オレノチカク、バクハツシナイ」

バニラ「……ボクはお前をたおすつもりでお前をなぐった」

ネンドール「『コスモパワー』ノマエニクッシナイトイウノカ、ナントイウセイシン。ダガモウアキラメロ」

ネンドール「アトハ、オマエダケ」

バニラ「……」


バニラは後ろを振り返る。そこにはやはり力尽きたクロとパインがいた。火傷の痕や傷口が点々と残り、痛々しい様子だ。

大好きなお兄ちゃんに泣いて駆け寄りたい気持ちを抑え、バニラは再びネンドールの方を向く。


バニラ「負けない……負けるはずがない……だって今のボクはお兄ちゃんと一緒だもん……」

ネンドール「ソノリクツ、オマエトニンゲンアセラセタ。ダガモウクルシムコトナイ。オレガゼンブケス……カンシャシロ」
 ▼ 710 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:38:57 ID:XJqoGIJE [15/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ネンドール「『サイケコウセン』」

ド ッ … … !


バニラ「が……ぁ……」

至近距離からの光線の前に、ついにバニラも倒れた。


「ボクとお兄ちゃんは絶対負けないもん!」


スー達を救出するどころか、「神」に会うことさえもできなかったクロ達は最後までその言葉に縛られていたのだろうか。

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意識と視界が薄れゆく中、たった一匹のポケモンは考えていた。

「絶対に負けない」……その言葉の意味を。

勝てない相手がいないはずなんてあるわけないのに。自分も彼も、ただのポケモンとトレーナーに過ぎないのに。


いつからボクは、そんな自信をつけた?        いつからボクは、無敵になった?

いや、ボクはまだまだだ。それにお兄ちゃんだって。だけどどうしてか、その言葉が最近のボクの口癖になっていた。

どうして?威勢も張らずに戦うのが不安だから?負けるのが怖いから?

……違う。ボクは挑発なんてのは嫌いだし、勝負に負ける時のことなんて、負けた時にしか考えたことはない。
 ▼ 711 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:39:34 ID:XJqoGIJE [16/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なら、どうして?……きっと答えは近くにある。どうしてボクとお兄ちゃんは「絶対に負けない」んだ?




その時、突然バニラの中の何かがざわつく。まるでバニラに何かを伝えるように。



それは、バニラとクロを繋ぐたくさんの------------------------------
 ▼ 712 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:40:29 ID:XJqoGIJE [17/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バトル          日常            友達           冒険
      家族           言葉             絆            体験
ハイタッチ        お菓子           仲間           悲劇
      テレパシー        兄弟             鼻水          月
きのみ          競走            過去           夜
      修行           恋人             寝顔          世界
生活           負けない          技                  氷
      家            牧場            丘              命


      ヒビキ          リク             マキナ   




                            感謝
 ▼ 713 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:42:43 ID:XJqoGIJE [18/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
心の奥底にしまってた                    本当の意味


ボクもお兄ちゃんも                     お互い気付いていなかった


ボクとお兄ちゃんを結びつける                いろんなもののおかげで


わからなかったこと        わかっていなかったこと          やっとわかった


誰にも負けないっていうのは                 勝負に敗けないって意味じゃなくて


ボクにとってのお兄ちゃんが                 お兄ちゃんにとってのボクが


世界にたったひとつの存在だってこと             ふたりでつくっただいじなものがおしえてくれた


ボクとお兄ちゃんの繋がりも  思い出も  暖かみも    誰にも真似できない   誰にも代わりなんて務まらない

                    ボクとお兄ちゃんは誰にも負けない


……そういうことだったんだ                 なんだ


当たり前のことだったよ                   どうして気付けなかったんだろうね   お兄ちゃん
 ▼ 714 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:45:05 ID:XJqoGIJE [19/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ありがとう                        みんなには感謝しなくちゃ


ちょっと勘違いはしちゃったけど、バトルのおかげでお兄ちゃんと、その友達やポケモンと繋がれた。

ボクにとってお兄ちゃんは友達……家族……兄弟……仲間……恋人……なんて///

お兄ちゃんと見た月は綺麗だった。お兄ちゃんに連れられて見た世界はスゴかった。

お兄ちゃんと一緒に食べたお菓子はおいしかった。お兄ちゃんに構ってもらいたくて、毎晩精一杯かわいい寝顔をつくった。

ヒビキの修行は厳しかったけど、強くなれたおかげでボクはお兄ちゃんの役に立てる。

マキナお姉ちゃんはいい加減だけど、お兄ちゃんと仲がいいおかげでボクはいつでもお兄ちゃんに会える。

お兄ちゃんがリクお姉ちゃんを好きになってくれたお陰で、ボクはまたあのお店に行くことができる。

本当にありがとう                     でもまだ頑張らなくちゃ

ちょっとだけわがままを言っていいかな?                ……ボクは今の戦いだけはどうしても……


                   絶対に負けられない


本当にごめん、ここまでしてもらって             まだ勝負にこだわるなんて……


でも勝たなきゃだめなんだ                  ここで負ければ……                                

ボクがいままで大事にしてきたものが全部     全部       全部
 ▼ 715 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:45:38 ID:XJqoGIJE [20/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
                            無くなってしまうから
 ▼ 716 ーゲン◆O4/zV1DaK6 16/11/27 21:48:36 ID:XJqoGIJE [21/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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------------------------------------------------------------

自分とクロを繋げてくれたすべてのものに感謝し、大事なものを失いたくないバニラの願いは……





-------------------------届いた





次第に大きくなる体         太くなる声            早まる鼓動


湧きだす力             熱くなる瞳            そして変わらない心


大事なものを守るために               バニラは今までの姿に別れを告げた。


勝利を悟ったのか、ネンドールが去った後の静かな森に氷の嵐が吹き荒れる。



                        とうけつポケモン        ツンベアー
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