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SS

【小説っぽい】思い出巡り【SS】

 ▼ 1 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 20:17:07 ID:j8bPCGAQ [1/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
注意、キャラ崩壊、ポケモンの言葉は通じない


全部書いてますが、長いので何日かに分けて投稿します。

本編次レス
 ▼ 2 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 20:18:00 ID:j8bPCGAQ [2/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〈プロローグ〉

 ボクの名前はナツメ。ニャビーっていう種族のポケモンだ。

どうやら猫のお偉いさんに「吾輩は猫である」って言った奴がいるそうで、その飼い主の名前を取ったらしい。

 さて、今からボクとボクの主人であるレッドと記録してきたレポートを読み返そうと思う。

なぜって、ボクはもう長いこと生きたからね。思い出に浸るのも悪く無いだろう ?

 ボクとレッドとの出会いからだ。あれは丁度真夏の日。夏の真ん中の頃かな ?

 さぁ思い出巡りへ出発だ。
 ▼ 3 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 20:20:24 ID:j8bPCGAQ [3/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〈7番道路・出会い〉

 もう痛みは感じない。朦朧とする意識の中、他人事のように思う。


 あぁボク死ぬんだ。


 次第に薄れゆく視界の端に人影を捉えた所で、意識を手放した。
 ▼ 4 ルミーゼ@きれいなハネ 16/07/13 20:21:53 ID:VDdR0WjA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえrん
 ▼ 5 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 20:23:43 ID:j8bPCGAQ [4/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 白い天井。白い壁。そして白い布と台。

潔癖なまでの清潔感と、鼻を突く薬品の臭い……潜在的に嫌悪感を抱く。

隣では静寂を切り裂くように、何かの機械が電子音を規則的に鳴らしている。

 バンッと音がし、扉が開く。

入って来たのは、同じく清潔そうな見た目をしたヒト。

部屋の外へ運び出される。

「レッドさん。お預かりしたポケモンが意識を取り戻しましたよ」

 社交辞令的で事務的な明るい声。

「本当ですか !?はぁ……良かった」

「えぇ。ですが足に後遺症が残ってしまいました。日常生活は滞りなく送ることができるとは思いますが、戦闘はさせないようにして下さい」

 そう言い、ボクは『レッドさん』に差し出される。

「どうもありがとうございました !良かったなぁ、お前」

 さっきのヒトとは違う、心からの安堵と祝福がこもった声。
 ▼ 6 リュウズ@ズリのみ 16/07/13 20:24:08 ID:/79wAIII NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 7 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 20:25:13 ID:j8bPCGAQ [5/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ところで、ここらで見たことの無いポケモンだな。猫型のポケモンかぁ……名前何て言うんだろ」

 名前なんてないさ。ヒトが勝手につけた『ニャビー』って言うのならあるけどね。

 彼は何やら赤い物を取り出し、ボクに向けた。

データ無し

 無機質な電子音がそう伝える。

「 ?新種のポケモンかな。博士に聞いてみよう」
 ▼ 8 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 20:28:38 ID:j8bPCGAQ [6/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 8月、降り注ぐ太陽の光と熱。まとわりつく湿気が鬱陶しい。

しかし建物の中はすっきりとした冷気に満たされていた。

「うーむ。ワシも見たことの無いポケモンじゃな。何処でこのポケモンを ?」

「タマムシの近くです。7番道路で酷い怪我を負っていました。恐らく他のポケモンと喧嘩していたんでしょう。」

「ほう。とりあえずレッド、お前が預かってみたらどうじゃ ?野生に返して、また襲われてもいかんしのぅ」

「はい、そのつもりです。こいつ、足に後遺症が残るらしいですし」

 ちょ、ちょっと !何話の中心のボク抜きで勝手に進めてるんだよ。

ボクはまだそんなこと認めてないからね。
 ▼ 9 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 20:33:51 ID:j8bPCGAQ [7/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「そうなると名前が必要だな……『ナツメ』はどうかな」

 何その名前。ボクはオスなんだしもっとカッコイイ名前にしてよね。

「ナツメ、か。『我輩は猫である』の夏目漱石かの」

「ええ。……お前も気に入ったか ?」

ま、まぁ別にいいけど、名前くらい。

「レッド、もうモンスターボールに入れたのか ?」

「あ。いえ、まだです」

 そう言ってレッドはボールを取り出した。

「ナツメ。名前を付けてからなんて何だかアベコベだけど、俺のポケモンになってくれるかな ?」

 『俺のポケモン』ってのはちょっと癪だけど、これから野生で生きていくのも大変そうだし仕方ないね。

いいよ。って言ってもヒトには通じないんだっけ。とりあえず頷く。
 ▼ 10 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 20:39:13 ID:j8bPCGAQ [8/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「決まり。いけっ !モンスターボール」

 ボールが開いてボクを吸い込む。ボールに入った途端、筆舌に難い不快感がボクを襲った。

いや、不快なんて生易しいものではなく、クラッとするような激しい嫌悪感だ。

 嫌だ !!ボクはボールから飛び出した。

「あれ 、出てきちゃった。……ん ?ナツメ、もしかして震えてる ?」

「ふむ。どうやらナツメはボールに何かのトラウマがあるのかもしれんのぉ」

「トラウマ……ですか」

「うむ。過去、何かあったのかもしれんな。兎に角、ボールに入れるのはやめた方が賢明じゃろう」

「そう、ですね。とりあえず家に連れて帰って、保護しようと思います」

 そう言って、ボクを抱えたレッドはその建物を後にした。
 ▼ 11 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 20:40:50 ID:j8bPCGAQ [9/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 レッドの家はその建物のすぐ近くにあった。

いや、そもそも建物の数自体が少なく、皆ご近所に位置しているようだ。

「ただいま」

「お帰りなさい。あら、そのポケモンは ?」

 家に居た、大人の女の人が出迎えてきた。

「あぁタマムシ大学の定期健康診断の帰りに拾ったんだ。ナツメって呼んであげてよ」

 結局、その名前は決定か。ふーん、まぁ家は中々いい感じじゃん。
 ▼ 12 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 20:45:44 ID:j8bPCGAQ [10/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ボクはレッドの腕からスルリと抜け、床に着地する。

同時に後ろ足に痛みが走った。

とりあえず、家内を探索する。ほら、居心地の良い場所探さないといけないでしょ。

 台に飛び乗ろうとしても足の痛みで上手くいかない。すぐにレッドが気付いて、乗せてくれた。

へぇ、察しはそれなりに良いね。

 窓からの景色は長閑で、のんびりとしていた。野良のボクには少し刺激が足りない気もするケド。

その場で丸くなる。

「さっそく我が物顔だな。全く」

そりゃ、猫ですから。
 ▼ 13 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 20:49:12 ID:j8bPCGAQ [11/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〈マサラタウン・旅立ち〉


 そんな出会いから3年。もうとっくにこの町での生活も板についた。

 どうやらレッドが外出する様だ。珍しいことじゃ無いけどね。

「ナツメ、ちょっと出てくるよ。あータマムシなんだけど、お前はどうする」

 ボクは町の外には出るつもりも無いし、いつもの様に家に居るよ。

誘ったのは多分ボクがタマムシ近くでレッドに拾われたからだろう。でも、特に興味は無いね。

過去よりも今が大切だろう ?それに、大怪我したところになんて、それこそ御免だ。

「来ないか。んじゃ、母さんと大人しく留守番してろよ」

 そう言い残し、レッドは家を出た。

 失礼な。ボクがいつ大人しく無い留守番をしたってんだ。でもまぁ大目に見てやろう、ボクは寛大だからね。

 レッドの部屋の布団で丸くなり帰りを待つことにする。
 ▼ 14 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 20:55:09 ID:j8bPCGAQ [12/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 レッドは相当なポケ馬鹿だ。

部屋には私物よりも、手持ちのポケモンの為の物の方が多かもしれないし、ご飯の時なんか1番美味しい所をくれたりもする位だ。

まぁくれるのはボールに入ってないボクだけだけどね。

ボクはまだボールには入って無い。だってあの感覚は嫌だからね。

大体ボールなんてなくても、ボクはレッドから離れたりはしない。あんなもの必要無いよ。
 ▼ 15 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 21:00:01 ID:j8bPCGAQ [13/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 夕暮れ時、レッドは帰ってきた。

出迎えに行くと、嫌な臭いがした。

レッドと初めて出会う前から嗅いだことのある、あの清潔な臭い。あと、最近レッドから臭う、他の臭いも。

「ただいま。利口にしてたか ?」

 だから、ボクが利口で無いことがただの一度でもあったかい ?

 レッドのママがひょいと顔を覗かせる。

「あらレッド。ご飯は ?」

「あ、ゴメン食べてきた」

 そう。とレッドの母は言い残し、また家事に戻る。
 ▼ 16 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 21:04:13 ID:j8bPCGAQ [14/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ボクはレッドと一緒に部屋へ戻った。

「ほら、ナツメ」

 レッドがポケじゃらしを左右に振る。

 やめてくれ、そんなことされたら体が勝手に……ボクの野生の部分が本能に逆らわず、飛びかかることを選択する。

 一頻り遊んで、悔しくなる。あんな玩具に釣られるなんて。

 そーいえば、これじゃあ他のレッドのポケモンと明らかに待遇が違うよね。

それはレッドさん、マズイんじゃないの ?

あぁでも皆はボクと違って、外で戦ってるし、旅しているのか。じゃあ、おあいこかな。
 ▼ 17 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 21:10:44 ID:j8bPCGAQ [15/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 そんな下らない事を考えていると、レッドが神妙な面持ちをし、ボクの方を向いた。

「ナツメ、話があるんだけど」

 なんだろ。
―――――――
―――――――
「本当にすまない。ナツメ」

 いいさいいさ。気にしちゃダメだよ。人生上手くいかないものさ。ボクの場合はポケ生だけどね。

 そんな思いを込めて、レッドを舐める。

 それに最近、なんとなく、何かあるなと思ってたしね。

「お前を手放すつもりはなかったんだけど……」

 いいよ。元々ボクは何もなかったんだ。名前も、住処も、気を許せる存在さえ。

なろうと思えば、今だって野良に戻れる。他のヒトの所でも上手くやるさ。
 ▼ 18 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/13 21:11:37 ID:j8bPCGAQ [16/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 そう、今迄だって上手くやってきただろう ?

ボクはボールの外でヒトと暮らすポケモンとして、レッドはポケモンと接するヒトとして、申し分なかったさ。

本当に、上手くやってきたんだ、ボク達は。これからだってそうに決まってる。



 次の日、レッドとボクはマサラを旅立った。

 そう、これがボク達の旅の始まりだ。
 ▼ 19 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 18:06:34 ID:R/eg5kdo [1/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〈ヤマブキシティ・ナツメ〉


「まずはヤマブキに行こうと思うんだ」

 マサラを出てすぐ、レッドは言った。

『何でヤマブキ?間にはトキワ、ニビ、ハナダがあるはずなのに。』

「ん ?どうしたナツメ」

 まぁ通じるはずがないか。レッドは人間にしては察しがいいんだけどね。

 マサラから1番道路を通りトキワシティに着いた。

ここはレッドの親友でありライバルのグリーンがジムリーダーを務めている。ただ、彼は放浪癖があり、中々ジムにいないらしい。

 全く、何でそんな奴にジムを任せるかな。人間ってやつは賢そうで案外バカだね。
 ▼ 20 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 18:08:13 ID:R/eg5kdo [2/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「グリーン、今日も居ないみたいだな。あいつにナツメを任せられるならそれが1番なんだけど」

 まぁ予定通りなんだし、早くヤマブキに向かおうよ。いない奴なんてほっといてさ。
 ▼ 21 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 18:09:49 ID:R/eg5kdo [3/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トキワを出てまず初めに通るのはトキワの森だ。

 ここで、レッドが他のポケモンを連れてきてない事に気付いた。

ちょんちょんと突いて、ボールポーチを指すと気づいたみたいだ。

「あぁ、どうせならナツメと歩いて行こうと思ってね。お前、ずっと外に出てないだろ。大丈夫、野生のポケモンからは逃げればいいさ」

 そんな気楽でいいのかね。それに歩くって、結構かかるんじゃないの ?ボクはリザードンに乗って楽したかったな。でも、外の世界を楽しむのも悪くないか。

 トキワの森は虫ポケモンを中心とした多様な生態系を築いている場所だ。緑一色のようで、実に色彩豊かな鬱蒼と暗い、明るい森。

 マサラの一歩外にこんな大自然があるなんて、つくづく田舎だなぁ。

 木漏れ日で疎に明るい森を歩いていると、レッドはわからないかもしれないけど、目線が低いボクには意外と落し物が多い事に気付く。

もしかしたらここにある物だけで暮らしていけるかもね。

 複雑に入り組んだ森を、レッドは迷いなく歩いて行く。
もう覚えているのだろう。

すぐに森の出口が見えてきた。

 トキワの森を抜けると、もうニビシティはすぐそこだ。
 ▼ 22 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 18:12:19 ID:R/eg5kdo [4/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ナツメは炎タイプらしいし、タケシの所、岩タイプばっかりで嫌だろ ?カスミも水タイプだし」

 だからヤマブキなのね。確かにいつ潰されるかわかったもんじゃないしゴメンだね。でも、ヤマブキへ向かうなら、ディグダの穴を通った方が早いんじゃないかな ?

まぁいいか、早く次の街へ行こう。

 ボクはレッドの前を歩いてく。

「まぁそう急くなって。次はお月見山だ。ニビのポケモンセンターで夜まで待って、月を見ようよ」

 月なんてどこで見ても変わらないよ。全く。

――
―――
 さぁ夜になったよ。出発しよう。

 レッドの裾を引っ張る。

「わかったわかった。準備するから待てって」

ボクはレッドをポケモンセンターから引っ張り出し、ニビを出た。

お月見山までは少し歩かなければならない。
 ▼ 23 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 18:16:08 ID:R/eg5kdo [5/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 お月見山が見えてきた。それにボクは拍子抜けする。

 ここがお月見山か。なんだ、ただの洞窟じゃないか。洞窟からじゃ月は見えないよ。

ズバットも沢山いるし、早く行こうよ。

 暫く歩いていると、洞窟内に明かりが漏れていた。

この先に開けた場所があるらしい。
 ▼ 24 リデプス@ぎんのこな 16/07/14 18:16:35 ID:QmCEDrnI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
しばらくしてお月見山が見えてきた。それにボクは拍子抜けする。

 ここがお月見山か。なんだ、ただの洞窟じゃないか。洞窟からじゃ月は見えないよ。

ズバットも沢山いるし、早く行こうよ。

 暫く歩いていると、洞窟内に明かりが漏れていた。

この先に開けた場所があるらしい。
 ▼ 25 ワンテ@かいのカセキ 16/07/14 18:17:07 ID:QmCEDrnI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
あもう貼ってあったか
 ▼ 26 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 18:19:44 ID:R/eg5kdo [6/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 入ると、言葉を失った。仄青い光を放ち、悠然と輝く半月、しかしながら自身の半分を探しているような、どこか哀愁が漂う。

ここは吹き抜けになっている。

 本当に凄い物を見ると、声って出ないものだね。いやホント、ただ圧倒されて言葉に出来ないんだ。

これを言葉にする方がおこがましい、そう思わせる力を持っている。

「凄いだろ。今日は満月じゃないから少し残念だな。満月なら、ピッピが舞ってるんだけど」

 これよりも凄いものなのか。それは見てみたいね。

 放たれる光の音さえも聞こえてきそうな、神秘な静謐。

「……今度は満月が観れるといいな」

 ぼんやりと、レッドが呟く。

 観れるさ。これからも、何度だって。

「さぁ、行くか」

 うん、次の街はハナダだね。
 ▼ 27 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 18:28:33 ID:R/eg5kdo [7/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 レッドが急にボクを持ち上げた。

 な、なんだよ。急に。

「ここから先、段差が多いからな。ナツメは大変だろ」

 あ、そうなの。うん、気がきくじゃないか。

 幾つかの段差を飛び越え歩いて行くと、ハナダシティが見えてきた。

「ハナダにもゴールデンボールブリッジとか、観光名所があるんだけどなぁ」

 興味ないよ。ただ海っていうのは見てみたいかな。

マサラにも海と繋がった場所はあるけど、ボクが見たいのはもっと大きいやつ。
 ▼ 28 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 18:32:53 ID:R/eg5kdo [8/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハナダでその日をやり過ごし、次の朝、南下する。ヤマブキシティはすぐそこだ。

 5番道路を越え、ヤマブキに着いた。ヤマブキはカントーの都心でもある。

 マサラとは大違いだね。見渡す限りビルやヒトばっかりだ。

「やっと着いたか。少し寄り道しよう。面白いもの見せてやるよ」

 レッドはそう言い、少し歩いた先の民家の前で足を止めた。

 ここどこ ?こんな所に面白いものなんてあるのかなぁ。
 ▼ 29 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 18:46:07 ID:R/eg5kdo [9/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ちょっと待っててくれ。お邪魔しまーす」
―――――
―――――
 レッド、何してるんだろ、遅いな。

「よしナツメ、いいぞ」

 もう、遅いよ。

「やぁナツメ」

!? レッドが2人いる ?

 思わず目を瞬かせ、2人を見比べる。

 全く同じ顔だ。これはどういうことだろう ?

「「ほらナツメ、どっちが本物かわかるかな」」

 ふん。ボクを馬鹿にしないでよね。確かに顔は同じでも、臭いが全然違うよ。……こっちでしょ。

「お〜正解 !」

 もう片方のレッド擬が変装を解く。女の子だったのか。

「凄いじゃないかナツメ」

 レッドは少し嬉しそうだ。

 当然だろ。まぁ見た目は似てたけどね。
 ▼ 30 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 18:50:33 ID:R/eg5kdo [10/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 レッドが女の子と話し始めた。

もう、本来の目的を見失ってるよ。…… ?この四角いのはテレビかな。

 飛び乗ると、座り心地がよく暖かい。

うん、これはいいね。眠くなっちゃうよ。

「あ、こらナツメ。ダメだろ人の家のテレビに勝手に乗っちゃあ」

「いいよいいよ別に、うちの古いテレビでいいんなら」

「全く、ごめんね」

 また話し始める。まぁこれならいつまでも話してても構わないよ。
 ▼ 31 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 18:51:14 ID:R/eg5kdo [11/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 暫くしてレッドが、そろそろ行くぞと言ってきた。

 なんだよ、そっちがずっと話してたくせにさ。

「うちのは薄型だしなぁ。今更古いのには変えられないな」

 これなら変えた方がいいよ、うん。

「んじゃ、お邪魔したね」

 民家の外へ、惜しみながら出る。

「さて、ジムに向かうか」

 うん、そこのジムリーダーさんの所に行くんでしょ。
 ▼ 32 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 18:59:47 ID:R/eg5kdo [12/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「お、ここだここだ。お〜いナツメ。いるか〜」

 ボクならここに居るよ。

「あら、レッド。久しぶりね」

 ジムから髪の長い女の人が出てきた。

「おお、悪いね突然。実はポケモンを引き取ってもらいたくて」

「本当に突然ね。どうかしたの」

「いや、事情があって、手放さなければならなくなったんだ。こいつボールに入らないからさ」

「ふーん。見たことないポケモンね。博士に預けるんじゃダメなの ?」

「あー、他のポケモンは多分そうなると思うんだけどさ、博士も研究とか発表やらで研究室開けることが多いしな。

ボールに入らないナツメは安定した世話ができる人に任せたいんだよね。母さんは仕事があるし」
 ▼ 33 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 19:07:44 ID:R/eg5kdo [13/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ナツメって、この子の名前よね ?私と同じじゃ紛らわしいわね」

 あぁこの人も『ナツメ』って言うのか。じゃあこの人が『我輩は猫である』の人 ?

「ふふ、違うわよ。その人はまた別の人」

 ふーん。なんだ、違うのか……ってアレ ?ボク喋ってないよ ?というか喋っても通じないケド。

「テレパシーってやつよ」

「なんだ、ナツメと話してるのか。ナツメはエスパータイプの使い手なんだ」

 だからそれ、ややこしいって。心が読めるなんて、人間ってつくづく不思議だね。

まぁそれはボク達ポケモンも同じか。
 ▼ 34 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 19:12:14 ID:R/eg5kdo [14/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 でも、意思疎通ができるなら丁度良いや。ナツメさん、ボクまだレッドと離れたくないんだ。

この話、断ってくれない ?

「あら、そうなの」

「ん、どうかしたのか ?ああ、それとナツメには足に後遺症があるから、戦闘はやめさせてくれ」

「そう。でも悪いけどレッド、引き取るのは少し難しいわね」

「どうしてって、聞いていい ?」

「私、猫ポケアレルギーなの。それにややこしいしね」

「初耳だな」

「言ってないもの。兎に角ボールの外での管理は難しいわ」

「そうか、残念だな。すまなかった。突然訪ねて」

「いいえ、またいつでも来てちょうだい」

 ありがとう。ナツメさん。

「本当のことよ……お大事にね」

 レッドは苦笑して、ジムを後にした。
 ▼ 35 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 19:13:14 ID:R/eg5kdo [15/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「さぁナツメの所は無理だったし、次はタマムシかなぁ。そーいや、ナツメを見つけたのはこの先の7番道路だし、故郷みたいなものだから丁度良いかもな」

 トラウマの場所でもあるけどね。
 ▼ 36 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 20:32:55 ID:R/eg5kdo [16/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〈タマムシシティ・エリカ〉


「さて、着いたぞタマムシシティ。少しデパートに寄ってくか。実は、家にあるポケモングッズもデパートで買ったものが多いんだぞ」

 じゃあ、美味しいご飯や、楽しい玩具がたくさんあるのかな。

「ここだな、ここがデパートだ。折角だし、ピッピ人形でも買ってくか。野生のポケモンからも逃げられるし」

 今迄も普通に逃げてたじゃないか。
 ▼ 37 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 20:36:03 ID:R/eg5kdo [17/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それにしても大きいな。ヤマブキにも同じくらい大きな建物があったけど、あっちよりカラフルで良いね。

 買い物を終えて、デパートの屋上で休憩を取る。

レッドは自動販売機でおいしい水を買い、ボクは買ってもらったゴハンを食べる。

「ナツメ、見てみろよ。景色、綺麗だぞ」

 そう言ってレッドがボクをもちあげた。

 うん、人がすごく小さく見えるね。こうして見ると、世界ってどこまでもだだっ広いんだなぁ。

陸は繋がってなくても、全ては空で繋がっているんだ。当然のことだけどね。

でも、綺麗では無いかな。どっちかって言うと壮観ってやつ ?……レッドは、常にこの目線で物事を見ているのか。
 ▼ 38 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 20:40:46 ID:R/eg5kdo [18/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 デパートを出て、ボク達はジムへ向かった。タマムシシティは草タイプのジムのようだ。

 ジムに入りすぐに目に付くのは、数多の草花による色の洪水。そして鼻腔をくすぐる甘い香り。

ジムの奥で佇む着物を着た女性がそれとよく調和している。

「やぁ。エリカ。突然すまない」
 ▼ 39 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 20:41:58 ID:R/eg5kdo [19/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……!いいえ。構いませんよ、レッド様」

 エリカが少し逡巡した様子で言う。

「ところでそちらのポケモンは、どちらで ?」

「もしかして、何か知っているのか ?」

「えぇ、そのポケモンは遠い地方で新しく発見された『ニャビー』と呼ばれるポケモンですわ」

「ニャビー……」レッドが噛みしめるように呟いた後、何故それを知っているのか、と疑問を呈した。

「それは……タマムシ大学の研究室に、以前その子が居たからです」

 研究室。うーん覚えてないなぁ。尤もボクが覚えている最も古い記憶は、怪我をしたところだからね。

どうしてそうなったかは覚えてないし、そんな事に執着してない。

「ふーん、そうか。ナツメ、お前ニャビーっていうんだな」
 ▼ 40 ーバーン@カムラのみ 16/07/14 20:43:17 ID:K1cLRf6o NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
よい雰囲気
 ▼ 41 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 20:45:13 ID:R/eg5kdo [20/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「それはそうと、今日は頼みがあってきたんだ。というのも、ナツメを引き取ってほしい」

「何か事情がおありで ?」

「まぁ、色々な。実は……」

レッドはナツメさんにしたものと同じ説明をエリカにした。

「成る程、わかりました。私でよければお力になりますよ」
 そうはさせてたまるか。

 ボクは、さり気なく周りの草花を少し焦がす。

「おいナツメ !焦げてる焦げてる !」

 レッドがボクを持ち上げる。

「まぁ大変」

 そうそう。ボクを引き取っちゃったら色々大変だよ ?

ここの草タイプのポケモンだって嫌なはずさ。ボクが水タイプが嫌なのと同じでね。止めた方が良いよ。

その辺レッドは気づかなかったのかなぁ。
 ▼ 42 カ◆Ibi/.BQaas 16/07/14 20:45:56 ID:R/eg5kdo [21/21] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「おっかしいな〜。家の物なんて燃やしたことなかったのに」

「ふふ、もしかしたらレッド様と離れたく無いのかもしれませんね」

 そうさ。良く分かってるじゃあないか。ボクとレッドはさいきょーなんだ。離れてたまるかってなものだよ。

「困ったな……でも、家に置いとけないし、ナツメも大人しくしてくれよ」

 嫌だね。ポケモンが何でもかんでも言うこと聞くと思ってるんじゃないよ。
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