【SS】二人ぼっちの友情録:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】二人ぼっちの友情録:ポケモンBBS

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ポケモン

【SS】二人ぼっちの友情録

 ▼ 1 ゲハント@ルアーボール 16/07/23 22:38:44 ID:4xH1r5LQ [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
初SSです。
スマホでゆっくり打っていきますので更新スピードは大したことありませんが、何卒よろしくお願いいたします。



◆ ◆ ◆

俺はとうとう、あいつのことが忘れられなかった。
一緒に涙を流すほど悲しかったこと、悔しかったこと。
共に肩を抱き合うくらい嬉しかったこと、楽しかったこと。
長いようで短かった、あいつとの思い出。
それは今でも、昨日のことのように鮮明だった。

――けれどもう、あいつとは思い出でしか会えなくなってしまった。

これから綴るのは決して贖罪のつもりでも、同情を誘うつもりでもない。
たとえ何があろうと、俺がロケット団員の一人として所属していたという経歴は、拭えやしないのだから。
ただ、悪の組織とかなんだとかは関係なく、俺は誰かに俺たちの思い出を伝えたい。
そして、貧弱ながらも勇気を出して這い上がって、
 ▼ 2 ブリアス@サンのみ 16/07/23 22:39:42 ID:hDPABsRQ NGネーム登録 NGID登録 報告
良作の予感
支援
 ▼ 3 ドキング@ツメのカセキ 16/07/23 22:39:44 ID:1vJXBh5o NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ゆっくりの更新だったら酉付けたほうがいいよ
支援
 ▼ 4 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/23 22:40:07 ID:4xH1r5LQ [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
間違えて送信してしまいました。

どんな相手にも立ち向かっていった俺の相棒―ー、

『トラマル』の存在を、知って欲しいんだ。
 ▼ 5 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/23 22:53:47 ID:4xH1r5LQ [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
◆ ◆ ◆

「我々は、リーダーサカキ様の元で崇高な目的、即ち裏社会の完全掌握を目指していく。そしてその目的のために、若き君たちが声を上げてくれた」

薄暗い地下室で、黒く煌めくスーツに身を包んだ男が声を上げた。おそらく、この『ロケット団』の幹部なのだろう。
そう思いながらついでに辺りを見渡すと、おおよそ二十くらいの年頃の男たち数人が立っていた。
無論、俺もそのうちの一人だった。

「この目的達成のためには、多くの力が必要だ。だから私たちは、君たちを心から歓迎しよう」

そして黒スーツは、清々しいほどの笑顔を見せながら拍手をしてみせる。
それと共に、俺の周りの奴らも「オォー!」と声を上げた。自分達が必要とされていることがたまらなく嬉しかったのだろう。
――何故それが分かるか、答えは簡単だ。

俺達は、幼い頃から社会に虐げられてきた、いわば負け犬なのだから。

そういうやつは普段から自分の存在を否定されているのだから、こうして理解されるどころか必要とまでされたら、気分が昂ってしまうのも無理はない。実際、俺だって顔には出さないがとても嬉しい。

「さぁ、君たちは今日から『ロケット団』の一員だ!そしてそんな栄えある仲間達に、栄光あれ!」

こうして地下室は、とても大きな拍手の音で包まれた。
 ▼ 6 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/23 23:21:10 ID:4xH1r5LQ [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
男が部屋を去ってから、もう十分くらいが経つ。なんでも、次のための準備らしい。
その間部屋に残された者達はそれぞれ、楽しそうに談笑をしていた。
ただ、俺は別にそういう気分でもなかったので、適当に他の人の会話に聞き耳を立てておくことにした。

「いやぁ〜、にしても最高やなロケット団!こんな行く宛てのない俺らをわざわざスカウトしてくれるなんて。ホンマ、恵まれてるわぁ」

すると変な喋りをする、それも甲高い男の声が聞こえたので彼の方を見てみた。
見た目も声のイメージに近く、なんだかヒョロヒョロしているし、アゴもしゃくれている。
更に、横で喋るのが大男なものだから、なおさらその細さが目立つ。

「おや、アンタジョウトの人かい?口調があまり聞かないもんだが」

「せやせや。イワヤマトンネルまで工事の仕事しにきとってん」

「確かイワヤマトンネルっていうと、前事故で山崩れがあったらしいが……」

「そう、それそれ!なんと俺、その事故の犯人やねん」

「えっ?そりゃ大変……」

「んなもん、嘘に決まっとるやないか。まぁただ、世間ではそういうことになってる。ひどいもんやわなぁ、工事現場で一人だけジョウトの人間で、それにジョウトのポケモンを持ってたからって冤罪被せられるなんて。お陰で賠償責任だなんの押し付けられて、つい昨日まで借金取りから逃げとったっちゅうねん」

「そりゃあ大変だったな……」

よく喋るやつだ、と大男は呆れるような風の顔をしていた。
 ▼ 7 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/23 23:24:42 ID:4xH1r5LQ [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告

「ほんで、そちらはどないしたん?」

「あぁ、オレは元々ボクサーでな」

「あらまぁ、そりゃこんなゴツいわけやわ。ほんでそのボクサーが、どうしてこんなところへ?」

「オレはデビュー当時は負けなしで勢いもあったんだ。ずっと努力を欠かさなかったからな。だが、あるとんでもねえ才能のやつが現れた。しかも、俺以上に強かった。そいつのせいで俺の名を誰もが忘れ始めていたんだ」

「そりゃ辛いわなぁ……心中お察ししますわ」

「その上、そいつとの試合で俺は負けたんだ。それも、完膚なきまでに。それ以来、俺はボクシングの試合に出ることをやめた。真剣にやることが馬鹿らしくなってしまったんだ」

「確かになぁ〜、大変そうやわ、おまはん」

「そしてここでなら、自分の力を惜しみ無く使えると感じた。別にボクシングの力じゃなくたっていい、邪道だっていいんだ。俺は、強くありたい」

「よっ!さすがはボクサー、志がお高い!きっとおまはんの拳、そしてこのロケット団ブランドがあれば、すぐ力を物にできるはずや!」

「はは、ありがとな」

「いえいえ。そんで……おまはんはどうなんや?」

と、ヒョロい男がこちらを振り向いた。
その目は、興味という二文字に染まりきっている。

「俺は……」
 ▼ 8 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/23 23:36:51 ID:4xH1r5LQ [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「……まぁ、色々あってな」

「そんな隠さんくてもええがな、仲間なんやし。せやなぁ…じゃあ、名前!それくらいなら教えてくれるやろ?」

この男は意地でも人のなにかを知りたいらしい。
だが、名前に関しては別に否定する理由もないし、普通に答えればいいことだろう。

「……レッカ」

「おぉ、レッカ!ええ名前やな、かっこええなぁ。ちなみに俺はジョウ、ジョウトのジョウや!覚えやすいやろ?」

「俺はシゲンだ」

「シゲン!またいい名前しとるなぁ。またこの肉体に似合うったらもう…あぁ、ええわぁ」

「お前もいいじゃないか、ジョウ。嫌いじゃないぞ」

「ほんまに!?いやぁ、もう嬉しいわ〜。これからよろしくお願いしますわ、シゲン、レッカ!」

「俺もなのか?」

「もちろん!だって、同じロケット団の仲間なんやから、なっ!」

「……よろしく」

「ん、なんか言ったか?」

「なんでもねぇよ」

――こうして、俺に『仲間』ができた。
 ▼ 9 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/23 23:39:26 ID:4xH1r5LQ [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日はとりあえずここまでにします。
まだ肝心の二人ぼっちのもう一人が出ていませんが、明日にはきっと出せるかと思います。

半分くらい勢いなので読みづらいところなどあるかと思いますが、意見などあればぜひぜひください。励みになります。

では今後ともよろしくお願いいたします。
 ▼ 10 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/24 14:37:49 ID:FwWYrAyI [1/4] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
他の人のSSを見ている限り「」の前にキャラ名が付くことが多いようなので、これから付けてみることにします。
読みやすくなれば幸いです。

◆ ◆ ◆

ジョウ「あーもうなんやねん! 全然捕まえられへんやんか!」

草むらに向かって地団駄を踏むジョウ。
まぁ、10回連続でボールを弾かれれば、俺でもさすがにこうなるかもしれない。

ジョウ「それにこのラッタはろくに言うこと聞かへんし……ほんまに、こんなん手持ち増やせなんて無理な話やがな」


時は一時間ほど前に遡る。

あの談笑のあとすぐ、黒スーツの男が地下室に戻ってきた。
それも、高価そうなジュラルミンのケースを持ってだ。

男「さて、これから君達にはポケモンを捕まえてもらおうと思う。本当はこちらで配給したいのだが、如何せん数が足りていないものでね」

そして、男はスーツケースを地面におき、そして開けた。
そこには多くのモンスターボールが入っている。

男「ここにいるのはロケット団の中でも私が担当する育成班で繁殖した、ラッタだ。癖もなく、誰でも使いやすいだろう」

ジョウ「ラッタか〜、よく工事現場に出てきとったなぁ。まぁ、俺のヘラクロスで一発やったけどな!」
 ▼ 11 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/24 14:49:44 ID:FwWYrAyI [2/4] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
男「私語は慎むように」

ジョウ「あ、すんません。次から気を付けますわ」

ジョウは腰を下げてへこへこと謝っていた。
その姿を見るに、謝ることに慣れている様子だった。
なんだか情けないと思うと共に、そうしなければならない境遇であった彼に同情した。

男「というわけで、このラッタを君達に貸しだそう。そして捕獲用のモンスターボールも渡すので、これからの活動のためのポケモンを手に入れてくれ。では、以上だ」

こうして男は、再び部屋から立ち去った。

◆ ◆ ◆

そして今に至る。

レッカ「まぁ、命令なんだしちゃんと捕まえないと。今後活動できないかもしれないしな」

ジョウ「せやな、んじゃあ頑張れないと……って!レッカ、そんなこといっておまはんは何も捕まえてへんやん」

レッカ「ま、まぁ俺は良いんだよ。自分のペースでやるから」

ジョウ「ほんまに、人に言う前に自分がちゃんとやらなあかんがな。……っても、そんなこと言える立場ちゃうけどな。ははは」

レッカ「あぁ…すまない。ちゃんとやるよ」

ジョウの笑いに飲まれて、俺も適当に返事しておいた。

ジョウ「さて、次は……、ん、なんやあれ!?」
 ▼ 12 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/24 14:53:30 ID:FwWYrAyI [3/4] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

大きな声を出してどこか別の方を振り向くので、思わず俺の首もその方へ向く。
するとそこには、草原地帯には似つかない、青紫のポケモンの姿があった。

レッカ「ゴルバットか……」

ジョウ「ゴルバット!またかっこええ名前やなぁ……、よし、決めた。俺あいつを捕まえるわ!」

レッカ「おい、ジョウ待て……」

ジョウ「待ってられへん!俺はもう行くで、レッカも付いてくるならはよ来てな!」

そう言ってジョウは俺の言葉にはろくに聞く耳も立てず、颯爽と走り抜けてしまった。
こうして、俺は草原に一人になってしまった。

レッカ「……」

あんまりいい気分ではない。
さっきまではジョウがいたので忘れられていたが、こうしていると、昔のとあることを思い出してしまうからだ。
だが、どうにかこうにか封じ込めて、俺は適当なポケモンを捕まえようと草原を歩き出すことにした。
 ▼ 13 ャノビー@メタグロスナイト 16/07/24 19:21:37 ID:Orwu6qKU NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 14 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/24 20:34:05 ID:FwWYrAyI [4/4] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
◆ ◆ ◆

レッカ「くそ……まだかよジョウは……」

と、愚痴をこぼすも、別に何か起こるわけでもなく。
依然として、俺は草原の隅に座り込んでいた。
というのも、ポケモンを探そうと歩き回りはじめたものの、すぐ気が滅入ってしまったのだ。
だからこうして座って待っているのである。

レッカ「…………駄目だ、考えるな」

またしても、昔のことを思い出してしまう。
恐らく長い間、こうして自然の匂いを嗅いでいるから、体が自然とあの時のようになってしまっているのだろう。

レッカ「ちょっと、深呼吸でもするか」

と、立ち上がった瞬間だった。

???「キャウンッ!」

甲高い何かの鳴き声と共に、草木が揺れる音がした。
恐る恐る、そこへ目をやる。

レッカ「……!!」
 ▼ 15 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/24 21:00:24 ID:mWVLbfGs [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
そこにあったのは、ポケモンの姿だった。それも、傷だらけになってだ。
橙色の毛皮に、黒い縞模様。頭や胸元に蓄えた立派な毛は、血のせいで薄く汚れている。

レッカ「あいつは、確か……」

と、そいつの名前を呼ぼうとしたときだった。

レッカ「うぐっ…………!!」

そいつの姿が一瞬、かつての自分のように見えた。
それと共に、その時の苦しい、気持ちの悪い記憶が脳裏に甦った。

そう、全て。

◆ ◆ ◆

幼い頃から、俺はあまり体が良くなかった。
そのせいか学校なんかでも、途中で帰ることが多かった。

そんなある日、かかりつけの病院で俺がなぜ体が良くなかったのかの原因が発覚した。
 ▼ 16 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/24 21:18:17 ID:mWVLbfGs [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
それは、とある病気だった。
病名は「ポケモンアレルギー性皮膚炎」。
簡単な話で、ポケモンに触れると皮膚が腫れるのである。
触れなかったにせよ、近くにいるだけでも軽くむず痒くなる。
当たり前だが、そんじょそこらにポケモンがいるわけだから、常に俺は体調が優れなかったのである。

そんなある日だった。

同級生の連中が、無理矢理裏山に俺を連れ出した。
今思えば、途中で帰るなんてのを続けてたわけだから俺は彼らから疎ましく思われてたのだろう。
その憂さ晴らしのためにしょっちゅう俺は彼らからちょっかいを受けていた。言ってみればいじめである。
連れ出されたのも、いじめの一つだったのかもしれない。

裏山に向かうにつれ、俺の体には痒さが募っていく。
だが、普段から人と関わることが少なかったせいか、全く反抗できやしなかった。

それからしばらくして、俺といじめっ子は頂上にまでたどり着いた。
 ▼ 17 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/24 21:32:56 ID:mWVLbfGs [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
いじめっ子A「おらよ」

そう言って、彼らは俺を突き出した。

レッカ「……何、するんだよ」

いじめっ子B「お前、うざいんだよ。学校さぼってんじゃねえよ」

いじめっ子C「ほんとそれ。だから、ここに連れてきたんだっての」

レッカ「だから何を……」

いじめっ子A「お前、体弱いんだろ?ここまで来たらお前、戻れないんだろうなと思ってな」

そしてもう一度俺を蹴飛ばしてから、降りるために歩き始めた。
だが、俺もされっぱなしでいるわけにもいかず、彼らの後を追おうとした瞬間だった。

レッカ「う、ぐっ……」

胸が締め付けられる。体が痒みに耐えられなくなり、その場にうずくまってしまう。
ちくしょう、ちくしょう。なんで俺だけこうなんだよ。

そして、しばらくしてからだった。
 ▼ 18 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/24 21:49:37 ID:mWVLbfGs [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
山に住んでいた虫ポケモン達が、俺の元に群がってきた。

よく覚えてる。スピアーにバタフリー、コンパンにパラス……。
彼らは別に、何かしようと思ったわけではない。きっと、普段誰も来ないような自分達の縄張りに、人がやってきたから困惑していたのだろう。

だが、俺は困惑なんて言葉じゃなかった。
痒い、苦しい、痛い、気持ち悪い。
俺の頭はそれらだけで染まりきっていた。

そしてどんどん、ポケモン達は俺の元に近付いてくる。

ーーそれ以降、俺達の記憶はない。


数時間後、俺は救急で病院に搬送された。
懸命な治療が行われ、命に別状はなかった。
だがしかし、後遺症でポケモンへの耐性が以前にも増してなくなってしまったのだ。

それからおよそ十年間、俺は治療のため病院に閉じ込められた。
もちろん、ポケモンとは一切触れあわずに。

結果として、体の病は綺麗さっぱりなくなった。
だが、その反動として、俺の社会的な、一般的人間としての機能は、全く成長していなかったのである。


ーーそして俺は、負け犬になった。
 ▼ 19 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/24 21:52:38 ID:mWVLbfGs [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日は以上です。

ただの鬱展開で書いてるのも正直あまり気分がよくなかったですが、無事書ききれてよかったです。
昨日言ったように二人ぼっちのもう一人、ガーディが登場しましたが、結局ほとんど出番はありませんでした。すいません。
明日からはようやく二人の物語が始まっていきますので、何卒応援よろしくお願いいたします。
 ▼ 20 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/25 21:05:29 ID:BhJrwRLI [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
◆ ◆ ◆

レッカ「はぁ……、はぁ……、ん、ぐっ!」

なんとかして、意識を取り戻す。
というのも方法は乱暴で、ただ自分の頭を殴り付けただけだ。
病は気からという言葉があるように、実際俺の病気は完治しているにも関わらず、思い出したせいでまるでその時の症状が再発したかのような感覚になっていた。
しかし、今は自分の過去についてどうこう思い出している場合ではない。

レッカ「あいつを……助けないと……」

そう言いながら、やっとの思いで立ち上がった。
さっきのはガーディ。確か、炎タイプのポケモンだったはずだ。

ガーディ「キュウゥン……」

レッカ「待ってろ、今行くから……」

と、その時だった。

???「「「キキー!」」」

ポケモンの鳴き声がした。それも、かなり近くの場所で。
固唾を飲んでガーディを見守っていると、そこへさっきの鳴き声の主達がやってきた。

レッカ「あいつは……マンキーか」

それも一匹じゃなく、三匹だ。
詳しい状況は分からないが恐らく、あいつらがガーディをいじめていたのかもしれない。
心なしか、マンキー達もヘラヘラしているような気がする。
 ▼ 21 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/25 21:23:53 ID:BhJrwRLI [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
レッカ「どこもかしこも……」

どうやら生物というのは、他者、それも大抵自分より劣ったものを陥れないと生きていけないのだろうか。
そうやって自分の存在を認めて、何が楽しいっていうんだ。

マンキー「キッキッキッ……」

そうして、マンキー達はゆっくりとガーディに近付いていく。
足を挫いて動けないのか、ガーディは身を震わせたままじっとそこにへたれている。

レッカ「…………」

しばらくして、マンキー達とガーディの距離がほとんどなくなる。
それと共に、一匹のマンキーが手を振り上げた――。

瞬間。

レッカ「うぉぉぉっっ!」

勢いをつけて彼らの元へ突っ込み、睨み付けた。
驚き慌てるマンキー達。
その隙にガーディを抱き抱え、俺はすぐさま引き返すために走り出した。

◆ ◆ ◆

レッカ「はぁ……、はぁ……」

マンキー達から逃げ出して数分が経過した。
さっきは姿が見えていたのだが、もう今ではそれもなくなっている。
そこで俺は抱き抱えたガーディをよく見てみた。
 ▼ 22 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/25 21:29:33 ID:BhJrwRLI [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
ガーディ「ク、ゥゥ……ン」

蹴られたり、殴られたりしたような所が多々見られる。ひどいところは腫れたり、血も出たりしている。
そんな中でも特に目立つのは額のひっかき傷だ。
相当強くされたのか、今でもそこからは血が流れ、毛の橙と混じりあっていた。

レッカ「ひどいな……。よし待ってろ、すぐにポケモンセンターに連れていってやるからな」

確か、さっきまでいたアジトからここまで来る間に、何個かポケモンセンターがあったはずだ。
恐らく早ければ10分くらいで着くだろう。

ガーディ「クゥン」

ガーディは、か細い声で返事した。

レッカ「よし、行くか……」

そして、立ち上がる。

マンキー「キキー!」

その時、さっきの甲高い鳴き声、動きに会わせて草木が揺れる音が聞こえた。
ただ、今回はそれだけじゃない。なんだか、さっきよりも重く響く足音がするのだ。

レッカ「まずい、早く……」

しかし、時すでに遅し。
知らない間に、俺たちはマンキーに囲まれてしまっていた。これじゃあ、どう逃げ出しても攻撃を食らってしまう。

そしてそこへ、さっきの足音の正体が現れた。
 ▼ 23 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/25 21:48:29 ID:BhJrwRLI [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
レッカ「オコリザル……マンキーの進化系か」

オコリザル「フンキッ!」

自分のいじめの対象を奪われたストレスからなのか、オコリザルは地面を踏みつけた。
とても大きな音がして、近くにいた鳥ポケモン達は何匹か逃げ出していってしまった。

レッカ「このままじゃ……俺もやられるな」

言葉にした通りの状況なのだが、俺は落ち着いていた。
というよりも、無理にでも冷静にしていなければならなかった。
そうでもしなきゃ、パニックになってより危険を招きそうだったからだ。

レッカ「くそっ……どうすりゃいい」

よく考えてみれば、この状況もかつての俺のようだった。
裏山に連れていかれるという危険が迫っていくように、今の俺も、じりじりと危険が近くまで来ている。
要するに、あの時と同じなんだ。
だったらあの時、俺はどうすればよかったんだ。

この十年間、何度も何度も考えてたはずなのに。

オコリザル「ムキ、ムキキ……ッ!」

マンキー「キ、キキッ!」

威嚇するかのような声を出しながら、どんどん距離を詰めてくるオコリザル達。
 ▼ 24 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/25 21:56:55 ID:BhJrwRLI [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
ん……、威嚇……?
すると、その時昔のある記憶が甦った。

昔、ポケモンに触れあえない分本でポケモンの知識を得ていた俺は、あるポケモンの習性を見て感心したことがあった。

《ナワバリに侵入したポケモンを追い払うため、大きな雄叫びをあげる。そしてその後も侵入者をじっと、鋭い目で見つめ続けて圧迫するのだ。このポケモンの習性を、人々は「威嚇」と名付けた。》


そのポケモンとは、――ウインディ。
丁度、このガーディの進化系だ。

俺は人間だから、うまく行くかなんて分かりやしない。
ただ、なにもしないくらいなら、試してやろうじゃないか。

レッカ「すぅ…………」

大きく息を吸い込む。
それを見て怪しんだオコリザル達は、一歩歩みを止めた。
よし、それでいい。一瞬でも隙――それも、俺を警戒しての隙ができたなら、効果はある。
そして俺は、出せる限りの一番の声を出した。

レッカ「こっちに……」
 ▼ 25 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/25 22:18:30 ID:BhJrwRLI [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告

「来んなぁっ!!!」

草原中に、俺の声が響き渡った。
やはり効果はあったようで、オコリザル達の目からは少々焦りが見える。
だか、俺はそれを逃がさない。

レッカ「…………」

ほとんど持ちあわせちゃいない気迫を無理矢理出して、目の前の敵に押し付ける。
それ以外はなにもせず、ただ、じっとオコリザルを睨み付けていた。

オコリザル「…………」

レッカ「…………」

しばらく沈黙が続く。
だが、そんな中でも少しずつ戦況は変わってきていて、オコリザルの顔はどんどん青ざめていっているように見えた。
俺には分かりやしないが、もしかしたら彼らからしたら相当恐ろしく見えているのかもしれない。
そして。

オコリザル「ム、キキッ……キキキッ」

マンキー「キッ?」

オコリザル「…………キキッ」

何かを喋ったかと思うと、全員後ろに振り返り、ゆっくりと俺から離れるように進んでいった。
走って逃げ出そうにも、俺のせいでそうもいかなかったのかもしれない。

こうして、無事俺は彼らを追い払うことに成功した。
 ▼ 26 ほるほ◆TB4jQDNHo6 16/07/25 22:20:30 ID:BhJrwRLI [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日は以上です。
新しいSSの内容が今頭にあって、そちらも同時進行でやっていこうと思っているので更新ペースがさがるかもしれません。
ですがきちんとやっていくことはお約束致しますので、これからもよろしくお願いします。

支援や感想などぜひぜひお待ちしております。
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