【SS】ヨワシ「ボクの筋肉」 :ポケモンBBS(掲示板) 【SS】ヨワシ「ボクの筋肉」 :ポケモンBBS

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【SS】ヨワシ「ボクの筋肉」

 ▼ 1 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 11:53:32 ID:gQ6c5.ws [1/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
ボクの始まりは、暗くて温かい保育器だった。
どうやらギッシリと卵が詰まっていたらしく、隣人達の存在は何時も感じられた。
当時まだ硬い殻の中に居た、頭も尻尾もごっちゃだった幼いボクは、その安全に思われた揺りかごの中で、すやすやと眠っていた。


ヨワシ「……zzz……」スヤァ

   ピキッ

ヨワシ「ん……ふぇ……?」
 ▼ 10 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 12:23:29 ID:gQ6c5.ws [2/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
研究員『教授、卵孵りました!!』

教授『ほう、どれ……十五匹か。元が二十五匹だから、まあ上々だな』


そんな会話が聞こえてきた。ボクが透明な壁の向こうに目を凝らすと、ボサボサ髪の白衣と、それを後ろから覗く茶色い何かを羽織った奴がいた。
十五匹……二十五匹……つまり、十匹は死んだのか。殺されたのか。それは何となく分かった。
 ▼ 11 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:22:30 ID:gQ6c5.ws [3/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヨワシ3「よお、……聞いたか?今の」

ヨワシ「う、うん」

ヨワシ3「はぁ……酷い話だよな、俺らは死んでも構わない存在らしいぞ」


いつの間にか隣に来ていたヨワシ3がぼやく。
彼の言う通り、どれだけ死んでも、いくら死んでも構わない。それがボク達の命の価値なのだった。
きっといくらでも替えが効くんじゃなかろうか?ボクがそういった考えを巡らせ始めた時だった。
 ▼ 12 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:22:53 ID:gQ6c5.ws [4/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
   パッ

ヨワシ「!?」


刹那、電気が消えたのだ。あっという間に辺りが真っ暗になる。闇に包まれた水槽は、次の瞬間には。


ヨワシ3「お、おい……」

ヨワシ「ヨワシ3……か、体が……」

ヨワシ3「お、お前もだよ……お前も……!!」
 ▼ 13 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:23:52 ID:gQ6c5.ws [5/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
闇に包まれた水槽は、すぐに緑に包まれた。
ボクの体は、彼の体は。黄緑の蛍光色に、光っていた。
ボクの体は、ボクの筋肉は光っていた。


ヨワシ「え……ええええええ!?」


緑緑緑緑緑緑、明るめの緑の光が水槽を泳ぎ回っている。
ボクの中の本能が、普通のヨワシはこんな緑の光は出さないと告げた。じゃあ、これ一体は何なんだ?
 ▼ 14 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:25:29 ID:gQ6c5.ws [6/34] NGネーム登録 NGID登録 報告

研究員『教授!! ヨワシ、ちゃんと光りましたよ!!』

教授『うむ、筋肉を光らせるプラスミドは、しっかりとヨワシに定着したようだな』

研究員『やった!!』


ヨワシ3「……へえ、俺らは実験動物って訳か。筋肉が光るヨワシ。はっ、面白いな……」


人間達の言葉を聴いて、皮肉混じりに呟くヨワシ3。どうやらこの光は、壁の向こうの人間がやった事らしい。この光は、あの、卵の中に入った赤いドロドロの仕業だったのだ。
戸惑い続けるボクの所に、ヨワシ2もやって来た。
 ▼ 15 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:25:54 ID:gQ6c5.ws [7/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヨワシ2「ヨワシ君!!」

ヨワシ「あ、君も……」

ヨワシ2「うん、やっぱりヨワシ君も光ってるんだね」

ヨワシ「ああ、本当何なのこれ……」


泳ぐ緑はパニックらしく、ぶつかりながらフラフラ荒れる。
このままだと誰か死んじゃうんじゃないかと思うぐらいには危なかった。
その時だ。


   パッ

ヨワシ「あ、電気ついた」
 ▼ 16 1◆GKPST/gGoM 16/08/18 17:26:13 ID:kcBIVDK6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 17 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:27:26 ID:gQ6c5.ws [8/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
電気がついた。緑は消えて再び水槽に白い光が灯る。
正気を取り戻す隣人の群れの中、ボク達は顔を見合わせて、自分達の未来を案じた。


教授『じゃ、観察してみようか』

研究員『はい!!』


次の瞬間、水槽に、安っぽい青色の網が侵入してきた。そして、一匹のヨワシを掬い上げる。
 ▼ 18 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:28:09 ID:gQ6c5.ws [9/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
   ザパッ

ヨワシ4「きゃああああ!!」バタバタ

研究員『暴れるなよ……暴れんな……』


そう言いながら、掬い上げられたヨワシ4を、機械的な白い台――顕微鏡って言うらしい――に寝かせて固定し、ジロジロと観察しだした。


ヨワシ4「やめっ、苦し……」ピチピチ
 ▼ 19 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:29:33 ID:gQ6c5.ws [10/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
もがき苦しむヨワシ4。今にも酸素不足で窒息死するんじゃないかと思ったが、ギリギリその前に水槽に返された。
投げ入れられて、動きが上手く出来ないヨワシ4。


ヨワシ4「はぁ……はぁ……」ヨロヨロ

ヨワシ「……大丈夫?」

ヨワシ4「全然……はぁ……はぁ……」


これが、ボクらの実験動物生活のスタートだった。
ボク自身も、台に上げられる苦しみを味わう事となった。
 ▼ 20 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:32:15 ID:gQ6c5.ws [11/34] NGネーム登録 NGID登録 報告



……産まれて数日たっただろうか? ボクは人生で三回目の観察を終えて、乱雑に水槽に戻された。
息が苦しい。だがこれでも慣れた方だ。初めての時には幻覚、幻聴も聞こえたし、溺れかけたりもした。
そんな事を考えていると、ボクは何者かの声を聞いた。久々の幻聴かと思ったが、違うようだ。


先輩ヨワシA「よお新入り!!」

ヨワシ「……?」
 ▼ 21 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:33:02 ID:gQ6c5.ws [12/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
ボクは辺りを見回した。目の前にあるのは透明な壁、背後には別のヨワシ――声質が違うヨワシなので違うだろう――がいる。
じゃあ、この声はどこから?そう思って再び辺りを見回した。


先輩ヨワシA「こっちだこっち」

ヨワシ「こっちって言われても……あれ、壁の向こう?」

先輩ヨワシA「そうだ、壁の向こうだ」


そのヨワシは、透明な壁を二枚隔てた向こうにいた。光の加減で歪んではいるが、目を凝らせば確かにヨワシだった。
 ▼ 22 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:34:12 ID:gQ6c5.ws [13/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
先輩ヨワシA「よお、俺は先輩ヨワシA、よろしくな!!」

ヨワシ「は、はい!! よろしくお願いします先輩!!」

先輩ヨワシA「はは……っても一日早く生まれただけだが」

ヨワシ「……え?」

先輩ヨワシA「ここは毎日ヨワシが生まれていてな……お前は俺の一日あとのヨワシなんだよ。……ま、細かいことは気にしない気にしない!! よろしくなヨワシ!!」

ヨワシ「はい!!」
 ▼ 23 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:37:24 ID:gQ6c5.ws [14/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
それからボクは、水槽の壁越しに先輩と話すようになった。
先輩は神経が緑に光るヨワシだと言うこと、ボクらは元々は"技"なるものを使えたらしいが、この水槽の水のせいで使えなくなっていること、ボクらの先祖のヨワシはアローラ地方っていう所に生息していた事、そこはこことかなり近いこと。
それはそれは色々な事を教わった。


先輩ヨワシA「これも、俺のご先祖様が話していた事らしいが……ご先祖様は、元々"ウミ"って所にいたらしい」

ヨワシ「"ウミ"?」

先輩ヨワシA「そうだ、"ウミ"だ。青くて広くて大きかったらしい。俺もそこで泳ぐのが夢なんだ」

ヨワシ「"ウミ"……」


それは不思議な響きだった。すうっと頭の中に溶け入って、ボクの頭の中を占めた。
いつかその"ウミ"って所で泳ぎたいと、そう思った。
 ▼ 24 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:38:04 ID:gQ6c5.ws [15/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
そんな中でも、実験動物としての日々は続いていた。ボクも定期的に網で掬われ、顕微鏡ってやつで体の動きを封じられて観察された。
それでも、そんな生活にも慣れてきた。仲間とも上手くやれてるし、安全だった。
そんなある日。


先輩ヨワシA「うわぁぁぁぁぁあ!!」バタバタバタバタ

ヨワシ「どうしました!? どうしました先輩!?」

先輩ヨワシA「やばいやばいやばいやばい、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!」バタバタバタバタ

ヨワシ「落ち着いて!! 何があったんですか!?」
 ▼ 25 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 17:40:22 ID:gQ6c5.ws [16/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
半狂乱になりながら話す先輩の言葉を纏めると、こうだった。

・反対側のヨワシの水槽には、先輩ヨワシの一日先輩がいる

・その先輩の先輩が、さっき網に掬われていって、ビニールに纏めて入れられて研究員に擂り潰された

・研究員は、遺伝子実験したら処理が必要だとか宣いながら潰していた

・研究員は、明日はお前の番だと言っていた
・教授は、これからスウジツ開けるから、君だけでも潰せるね? と言っていた

・つまり俺は明日死ぬ
 ▼ 26 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 18:05:42 ID:gQ6c5.ws [17/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
先輩ヨワシA「嫌だ……死にたくない!!」

ヨワシ「……そんな……」

先輩ヨワシA「まだ死にたくない!!」


彼の叫びは、痛いほど耳に染みた。だが、理解したからって、答えが出てくる訳じゃない。
ボクは何も言えなかった。何一つ言えなかった。
先輩ヨワシAは、仕方無いよな、そうだよなと言いながら、壁際を後にした。
もし、明日先輩が死ぬなら、明後日は。
……考えるのは止めた。
 ▼ 27 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 18:06:57 ID:gQ6c5.ws [18/34] NGネーム登録 NGID登録 報告



朝になってしまった。研究員が、カツカツと足音を立てながらやってくる。


研究員『ふわぁぁ……今日と明日は俺一人か……』


そう言いつつ先輩達をを一匹一匹観察する、ボサボサ髪の研究員。
死を前にしてガタガタと震える先輩達は痛ましすぎて見るに堪えない。
最後の一匹の、観察が終わる。
 ▼ 28 グカルゴ@たいようのいし 16/08/18 18:17:24 ID:H4z2Es.I NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 29 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 18:24:04 ID:gQ6c5.ws [19/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
研究員『それじゃ、ささっとやりますか……ふわぁぁ……』

   ガバッ


先輩達は、ささっと掬い上げられた。散り散りになって逃げても、何処までも網は追ってきて、最後まで逃げ続けた先輩ヨワシAも、ひょいとビニールに入れられた。
その、先輩達がビニールに入れられた、たった数分後には。
 ▼ 30 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 18:24:40 ID:gQ6c5.ws [20/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
 グチャグチャ ゴリゴリ グチャグチャ ゴリゴリ

研究員『〜♪』


ゴリゴリと、ゴリゴリと、ゴリゴリと。
擂り潰される先輩達は、肉団子と化して、もう何も語らない。
ゴリゴリと、ゴリゴリと、ゴリゴリと。
辺りにいくらか血が飛んで、ボクらの水槽に雫がついた。
ゴリゴリと、ゴリゴリと、ゴリゴリと。
ゴリゴリと、ゴリゴリと、ゴリゴリと。
凄惨な光景に、自分の意識も、段々薄れて、深くて暗い、何かの深淵へ、ふわっと、ひらっと、落ちていくように思われた。
 ▼ 31 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 18:25:53 ID:gQ6c5.ws [21/34] NGネーム登録 NGID登録 報告



ヨワシ「っ……?」


ボクは、結構長い夢を見ていたようだった。ボクのこれ迄の、短い短い人生の夢。
そして、夢から覚めて、ボクの人生には終わりが見えてしまった。


ヨワシ「寝てたのか……ボクは……」

ヨワシ4「ヨワシ!! 起きたのね?」

ヨワシ「ああ……でも、ボク達は……明日……」

ヨワシ2「……それ以上は、言わないで……もう、分かってるんだ」

ヨワシ3「糞……糞が……」

ヨワシ「……」
 ▼ 32 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 18:40:40 ID:gQ6c5.ws [22/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
やっぱり皆、察していたんだ。
ボク達は明日死ぬ、掬われてゴリゴリと潰されて死ぬ。
明日……明日死ぬんだ。
受け入れたくない。それは皆同じだろう。でも、横たわる絶望は余りにも大きくて重かった。
 ▼ 33 サイハナ@まるいおまもり 16/08/18 18:47:40 ID:rWWmcmw. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
こんな時のための「ぎょぐん」だろ!

頼む、なんとかしてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
 ▼ 34 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 18:55:37 ID:gQ6c5.ws [23/34] NGネーム登録 NGID登録 報告



朝が来てしまった。運命の朝が。
一日先輩だった、神経の光るヨワシ達。彼らは昨日殺された。人間の勝手で殺された。
"ウミ"に行きたがったあの先輩ヨワシAも死んだ。この目でしかと見届けてしまった。
ボクらの前には、ただ一つの真実が未だに横たわるのみ。


ヨワシ「……きっと、皆……死ぬんだ」

ヨワシ2「そんな……」

ヨワシ3「糞が!! 俺達は使い捨てか!?」

ヨワシ4「人間の都合で産み出され、人間の都合で殺される……皮肉な物ね。何だったのかしら、私達は」
 ▼ 35 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 18:56:13 ID:gQ6c5.ws [24/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
絶望。今ここにあるのは、逃れられない絶望。
ボク達は今から死ぬ。人間に殺される。人間の都合で殺される。
こんなの受け入れたくない。出来るものなら、"ウミ"とやらを見てみたい。この生暖かく狭苦しい水槽を抜け出して、広い場所で泳ぎたい。皆で泳ぎたい。
でも、それは不可能な話。


   カツッ カツッ カツッ

ヨワシ「!!」

ヨワシ2「うっ……」

ヨワシ3「来やがったか……!!」
 ▼ 36 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 18:57:12 ID:gQ6c5.ws [25/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
部屋に響く、死を運ぶ足音。
ドアを開けて、ボサボサ髪を掻きながら研究員がやって来る。
きっと、ボク達は網で掬い上げられて一匹ずつビニール袋に入れられ、ゴリゴリと擂り潰されるんだ。
嫌だ、本音を言えば死にたくない。でも。


研究員『ふわぁ……ダリい』ヒョイ

ヨワシ「……」
 ▼ 37 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 18:57:44 ID:gQ6c5.ws [26/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
ボサボサ髪が網を持ち上げた。このあとボクらは死ぬ。受け入れられないが、受け入れなくちゃいけない。
せめてもの抵抗なのか、最後は皆で、と言う意味なのか、気づいたらボクらは一塊になっていた。
まるであの、痛みを知るまでの揺りかごに戻れたような気がして、心がほんの少しだけ休まった。


研究員『ちくしょう、群れるなよ……重いじゃねえか……』
 ▼ 38 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 18:59:32 ID:gQ6c5.ws [27/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
少し落ち着いたら、何だか頭が冴えてきた。
どうせ死ぬなら、どうせ死ぬなら思いっきり抗ってやる。死なば諸共、このボサボサ髪も潰してやらあ!!
そう思ったのはボクだけじゃなく。
共に生まれて共に死んでいくだろう仲間の、鼓動が聞こえる。体のそこから力が沸いて来る。ボク達は奴を倒せと、奴を倒すと一つになって、今……


研究員『……何だ?』

ヨワシ の ぎょぐん!!
 ▼ 39 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 19:00:13 ID:gQ6c5.ws [28/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
これは本能なのか、咄嗟に思い付いたのかは分からない。でも確かなことは、ボク達の、暗闇で光る筋肉は、フォーメーションを組み、大きくなり重なりあって並び合って、一匹の巨大な怪物を形づくったと言うこと。
ボクが皆の筋肉になり、皆がボクの筋肉になったということ。
そして、今やるべき事は。


ヨワシs「ぐあわあああ!!」バタバタバタバタ

研究員『……え?』

ヨワシs「ぐおおおおおおっ!!」バタバタバタバタ

研究員『え? え?』ズサリッ
 ▼ 40 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 19:23:28 ID:gQ6c5.ws [29/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
仮に技が出せなくたって、このデカくなった図体で思いきりじたばたすれば、研究員の一人や二人ぐらいはビビらせられる。
だから、今はただ、命を懸けて体を捩るのみ。


ヨワシs「ぐあわあああ!!」バタバタバタバタ

研究員『うわ、ちょっ、で、出てこいエモンガ!!』

エモンガ「(*≧∀≦*)」

研究員「ほ、ほうでん!!」

エモンガ の ほうでん!!

ヨワシs「え、ちょ、電気は不味い!!」

ヨワシ の ぎょぐん

ヨワシ の むれは ちりぢりに なった
 ▼ 41 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 19:24:15 ID:gQ6c5.ws [30/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
散り散りになってほうでんを避けようとするボクら。でも、ボク含む何匹かは直撃をくらい、遠くへと吹き飛んだ。
体の節々が傷む。さっきの大暴れ含めて体を痛めたボクは、固い床の上でヒクヒクしているボクは、自分が研究室から飛び出していることに気がついた。


ヨワシ「あ……あれは……!?」
 ▼ 42 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 19:24:51 ID:gQ6c5.ws [31/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
地に落ちたボクが今見ているのは。建物に四角く穴が開いていて、そこから見えるのは。
青くて、広くて、大きな。恐らく、いや、確かに"ウミ"であった。


ヨワシ「皆、こっちだ!!」

ヨワシ2「分かったよ!!」

ヨワシ3「おう!!」


ボクは呼び掛ける。皆を、共に生きた仲間を呼ぶ。
エモンガのほうでんで感電して、倒れ伏す研究員を足場にしてやって来るヨワシ3。全力で水槽を飛び出してやって来たヨワシ2と4。
 ▼ 43 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 19:26:20 ID:gQ6c5.ws [32/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヨワシ、ヨワシ、ヨワシ、ヨワシ。
やって来るヨワシ達は、自分含めて弱いけど、それでも、仲間だから、隣人だから、互いに信じ合える。共に生きていける。


ヨワシ「出るよ、皆で出るよ!!」

ヨワシ4「ええ」

ヨワシ2「うん!!」
 ▼ 44 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 19:28:17 ID:gQ6c5.ws [33/34] NGネーム登録 NGID登録 報告
四角い穴の近くに積み上げられた箱、そこを足場にして、一段一段上って行く。ピチピチと廊下に、ボクらの跳ねる音が響く。
皆で、皆でここを抜け出そう。ボクは、皆が穴から脱出するのを見届けて、最後に板から"ウミ"へと飛び降りた。


   ザッパアアアァァ

 ▼ 45 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 16/08/18 19:29:54 ID:gQ6c5.ws [34/34] NGネーム登録 NGID登録 報告




――
――――
――――――――
  奇怪!! 海の怪物!?

今月18日、アローラ地方近海にて、謎の光る巨大魚が発見された。
それは発見した漁師の釣り船をぐるりと一周したあと、海に消えたとの事。
目撃したキャプテンのスイレンさんは、
「あれが気になる気持ち、スイレンには良く分かります!! あの魚の正体は、恐らくヨワシだと思うのですが、緑に光る個体なんて見たことが有りません!! 調査が進むのを期待します!!」
とのこと。我々は調査を続行する

(カントー新聞 2016年 8月19日)


【SS】ヨワシ「ボクの筋肉」完
 ▼ 46 ルマイン@ナゾのみ 16/08/18 19:35:52 ID:NCHH6rCU NGネーム登録 NGID登録 報告


面白かったです。ヨワシたち無事でよかった…
 ▼ 47 のニャービィ◆A/Db91MABQ 16/08/18 19:36:55 ID:.VFHJPr2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 48 1◆GKPST/gGoM 16/08/18 19:37:41 ID:8t7QUag6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
乙!
 ▼ 49 のニャービィ◆A/Db91MABQ 16/08/18 19:55:14 ID:.VFHJPr2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援したら終わってた
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