【輪廻】ジェシカ、都会暮らしのポケモントリマー【閲覧注意】:ポケモンBBS(掲示板) 【輪廻】ジェシカ、都会暮らしのポケモントリマー【閲覧注意】:ポケモンBBS

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【輪廻】ジェシカ、都会暮らしのポケモントリマー【閲覧注意】

 ▼ 1 Evans◆ta3ohwpboU 16/08/28 17:57:34 ID:SbPxbaRA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

9月1日。
時計の短針が7時を示す5分前。

石造りの建造物群の陰に切り取られた太陽の日差しが、今日もまたその街に朝を運んだ。

日差しはカーテンの隙間を潜り、一人の少女が眠るベッドの枕元へ届くとその閉じられた瞼を照らした。少女は眩しいと言わんばかりに眉をひそめ寝返りを打つ。

その時少女の意識は、夢の世界から"うつし世"へゆっくりと切り替わっていった。
頭の中から目、耳、手足と順に意識が全身へ行き渡り体が目覚める準備を始めたようだ。
窓の外の遠いところで鳥ポケモンの鳴く声がする。

「…もう少しだけ。」と呟くと少女は羽毛製の掛け布団の中へと篭ってしまった。体の機能に逆らい、今一度居心地の良い夢の中へ入り込もうと試みたようだ。

同時に机の上に置かれた時計がアラームを響かせた。

ベッドとは反対側、部屋の端にある机の側まで行かなければアラームを止めることはできない。耳を刺すような大きなアラーム音にとうとう観念した少女は掛け布団を体から退かし、ベッドを降りた。


こうして今日もまた、少女の一日が始まるのだ。




[ジェシカ 〜 都会暮らしポケモントリマー 〜]


 ▼ 2 ンカラス@なぞのすいしょう 16/08/28 17:58:32 ID:KABEEVYc NGネーム登録 NGID登録 報告
鬱じゃないよな?スタバの更新も怠るなよ
 ▼ 3 ザリガー@いんせき 16/08/28 17:58:49 ID:kMW43Zzg NGネーム登録 NGID登録 報告
あらかわいい
 ▼ 4 Evans◆ta3ohwpboU 16/08/28 18:35:45 ID:SbPxbaRA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
時計のアラームを止めた少女は食パンをキッチンの脇に設置されたトースター機に入れ、タイマーを2分セットしてキッチンを離れる。

水色のチェックのパジャマを脱いでベッドの上に乱暴に脱ぎ捨て、薄黄色のブラウスと橙色のスカートに手際よく着替えると、今度は部屋を出て廊下を通り玄関まで行ってドアポストの中身を確認した。

投函されていたのはいつも同じ日刊紙だ。
売り込みのチラシが入ることもあるが、少女が外出中に投函されている場合がほとんど。
少女の朝はそんなポスティングのアルバイトより早く、更に新聞配達員の朝はもっと早い。


新聞紙を片手に部屋の中へ戻るとトースターからこんがり茶色に焦げたトーストを拾い、皿に乗せると机の上の時計の横にそれを置いた。
次に冷蔵庫から手製のイチゴジャムとバターを取り出すと再び机の側に戻り椅子に腰かけた。
少女は新聞紙を広げ、眺めながらジャムの塗られたトーストを口へ運ぶ。


新聞の一面には『ボール工場、ボヤ騒ぎ』との大見出し記事が掲載されていた。昨夜未明、クノエシティにあるモンスターボールを製造する工場から黒煙が上がっているのを地元の住民が発見し通報したらしい。


咀嚼する度に、イチゴジャムの味が口の中いっぱいに広がった。
 ▼ 5 Evans◆ta3ohwpboU 16/08/28 19:15:29 ID:SbPxbaRA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
新聞のページをパラパラめくり、自分の関心のある記事だけ流し見していく。

ふと、卓上の時計に目を移すと時刻は7時15分を示している。
ゆっくりと新聞を眺めながら朝食をとっている時間が無いと判断すると、少女はトーストを口に咥えながら家を出る支度にかかった。


一人暮らしを始めた際に母に買ってもらった炊飯器は、寂しそうにキッチンの隅で口を開けて埃をかぶっていた。暮らし始めた当初は小まめに自炊をしていたが、仕事を始めた今はそんな余裕はない。
毎日が時間に追われる生活だ。


少女は残りのトーストを一口で平らげると、洗面所へ行き歯磨きに洗顔、身嗜みのチェック、ヘアドライヤーで髪の毛のブローを済ませた。
鏡に映る自分を見て、ため息を漏らす。"自惚れ"からくるため息ではない。少女は自身のハネた髪の毛にコンプレックスを抱いていた。寝癖でもない、ブローをしても落ち着かない癖っ毛だ。
髪の毛の色は、自分でも気に入っていた。母譲りの青い髪の毛。

少女はヘアピンで前髪を揃えると部屋へ戻り、ポリエステル製の茶色いトートバッグを掴むと玄関へと向かった。
 ▼ 6 Evans◆ta3ohwpboU 16/08/28 19:50:06 ID:HFZ.64aw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「いけないっ 忘れるところだった!」


ドアノブに手をかけたところで、少女は踵を返した。
壁に掛けてある赤いキャスケット帽を取りに戻るためだ。お気に入りの、彼女のトレードマークだ。

今度こそ少女は玄関のドアを開け、部屋を出て仕事へ向かった。



古い街並み。煉瓦の石畳み。
中世の文化を憧憬するロマン派思想が根付いている街、ミアレシティ。カロス地方の中心にあり、同地方で最も広大な街。人口約250万人。土地面積105平方キロメートル。
美術館や有名なポケモン研究所、世界の著名人も訪れるというブティックも建ち並ぶ芸術の都だ。


北側に位置するジョーヌ広場の向かいに建つ細長いアパートの三階の一室に少女は住んでいた。名前はジェシカ。

彼女は半年ほど前からこの都会で一人暮らしをしている。
その目的は小さい頃からの夢を叶えるためだ。



ジェシカは煉瓦の石畳みの上を運動靴で歩く。芸術の都と呼ばれるこのミアレシティにおいて、ジェシカの格好は田舎者らしく、周囲から浮いている。
そんなこともお構い無しに、彼女は歩き続けバスの停留所に辿り着いた。
 ▼ 7 エルコ@ハイパーボール 16/08/28 19:51:40 ID:3y93zlms NGネーム登録 NGID登録 m 報告
希崎ジェシカのAV見てた俺にタイムリーなスレ
 ▼ 8 ッカニン@ヤドランナイト 16/08/28 20:18:54 ID:0KpwB9HE NGネーム登録 NGID登録 報告
ケンゴがでてくるだろ?
 ▼ 9 Evans◆ta3ohwpboU 16/08/29 01:43:14 ID:258dsHHQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
バス停にはすでに3名ほど、大学生と思しき青年らが並んでいた。

この街にはミアレ第1大学があり、その周辺は学生街と化している。その者が学生かどうかは、身なりを見ることでおよそ判断できた。服装は流行り物だが、ファッションとは不釣り合いな大変大きなリュックを背負っているなら、その概ねは学生だろう。


当たりだ。ジェシカの予想通り、バス停に並んでいる一人が学生証を取り出したのだ。この路線バスは学生証を提示することで運賃が割引されることを、ジェシカは利用し始めた頃から知っていた。

トートバッグの取手に取り付けられた時計を見ると、時刻は7時50分になることがわかる。同時に時刻表を見て、いつも乗車するバスが訪れるのを待った。

ジェシカはバッグから音楽プレイヤーとイヤホンを取り出すと、それを耳に嵌めプレイヤーを操作してよく聴くお気に入りの音楽を再生した。"カーペンターズ"は母が大好きな曲で、ジェシカ自身の思い入れもある。


音楽を聴きながら待つ事、丁度5分が過ぎた頃。
ジェシカが乗る路線バスが右手の交差点を通過してこちらへやって来るのが見えた。ジェシカにとってはお馴染みの、大きな窓枠のついたバスだ。
ジェシカは先に並んでいた大学生3人に続いてバスへ乗車した。いつものように、1ヶ月分の無制限利用が可能になる定期券を車掌さんに見せ車内に入る。
 ▼ 10 の騎士ライト◆2JzOHMBRNg 16/08/29 01:44:15 ID:P1wbJU6g NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ループか
 ▼ 11 Evans◆ta3ohwpboU 16/08/29 02:26:26 ID:258dsHHQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
バスの中は空いていて、先に乗り込んだ3人を除いても1人か2人が座席に座っているだけだった。
ジェシカが乗ったバス停の1つ前が始発の停留所なのだから、空いているのにも頷ける。

ジェシカは運転席の横にある運賃箱を越えて後部座席の方へ進んだ。
最後部の座席から2番目の右窓側の席が、ジェシカのお気に入りの"特等席"だ。その日もそこは運良く、誰にも座られていない。

ジェシカがその席に着くとアイドリングストップからエンジンを掛けて、バスは発進した。
ジェシカは窓から外の景色を眺め、物思いに耽る。



彼女が抱く、小さい頃からの夢。
それは「カリスマポケモントリマー」になることだった。

ポケモントリマーとは、ポケモンを専門とした美容師のことである。シャンプーやカットをしてポケモンの体毛を綺麗に整え清潔さを保てるようにするのが主な役目だが、ポケモントリマーの職務はそれだけに留まらない。ポケモンの種類によって、その仕事内容も様々。
ポケモンの健康状態を調べ、問題があればトレーナーに申告し病気の早期発見をするといった医学的な役割を担うこともある。
ポケモントリマーになるためには免許が必要とされ、取得にはポケモンの種別ごとの豊富な知識とカッティングの腕前が不可欠なのだ。
ジェシカの想像以上に大変で難しい仕事なのだが、それでも彼女はポケモントリマーという職業に魅力を感じていた。

ジェシカは子供の頃からずっと、ポケモンが大好きだったからだ。
 ▼ 12 ーリキー@エレベータのキー 16/08/31 23:01:09 ID:PofBc0LA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
続き期待
 ▼ 13 Evans◆ta3ohwpboU 16/09/04 04:02:00 ID:swQ14Lu. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ポケモンに携わる仕事なら、他にいくらでもある。
ポケモン専門の病院である"ポケモンセンターの職員"や、主人の代わりにポケモンを育てる"育て屋の仕事"。
ポケモンと共に力を合わせて事件の鎮静化を図る"ポケモンレンジャー"は、厳しい採用試験と研修を経てしかなることが出来ない。

この様にポケモンに関する仕事は、挙げればキリがない程豊富に存在している。


それでもジェシカがポケモントリマーの仕事を選ぶのは、ポケモンのトリミングに訪れる人々がこぞってポケモンに深い愛情を注いでいる者ばかりだからである。
"事務的"にお店を利用する客など、ほとんどいない。利用者は皆、自身のポケモンのことを家族の一員として労う気持ちを持ってお店に訪れる。
トリミングを終え、サッパリと綺麗になったポケモンちゃんを目の当たりにしたトレーナーの顔が綻ぶ瞬間こそ、ジェシカがポケモントリマーをしていて最もやりがいを感じる瞬間であった。大事にされるポケモンとそのトレーナーの幸福なひと時を見ているだけで、ジェシカもとても満たされた気持ちになることができた。

そんな天職を見つける事ができたジェシカだが、実際には彼女は正式にポケモントリマーの肩書きを得ているわけではなかった。彼女はポケモントリマーの見習いであり、現在は修行中の身である。
半年前までバリーというカリスマポケモントリマーの下で修行をしていたジェシカは、その師匠の提案でカロス地方一の都会・ミアレシティに修行の場を移すことになった。
バリー先生のポケモントリマーとしての腕前は凄まじく、遠路はるばる彼目当てにポケモンを連れて訪れる人がいる程である。そんな先生に「一度私の元を離れて見聞を広め、実際にお店でお客さんの相手をして腕を磨くといい」と言われたジェシカは、意を決してミアレシティで一人暮らしを始めたのだった。
 ▼ 14 ガハッサム@おいしいみず 16/09/04 13:20:05 ID:I3nDHsbA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 15 Evans◆ta3ohwpboU 16/09/10 02:29:40 ID:26TJuK2A [1/3] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
カリスマポケモントリマーとして名を馳せる以前のバリー先生が、アシスタントとしてトリミング修業を積んでいたお店こそ、ジェシカが今向かっているポケモン専門トリミングサロン『グルーミング』である。

プランタン通り、カフェ"アラモード"の向かいに店を構えるミアレシティでも指折りのポケモンサロンだ。ポケモントリマーを志す者の多くがアシスタント志望でそのお店を訪れるのだが、必ずしもその門戸が開かれているわけではない。
バリーと師弟関係にあるジェシカは恵まれていたのだ。

彼の弟子ということでグルーミングのオーナーは快くジェシカを迎え入れてくれた。同時にミアレシティに転居する手続きを手伝ってもらったりと、オーナーはジェシカに対して並々ならない期待を抱いていたようである。


晴れて一人暮らし生活を始めることになったジェシカであったが、田舎出身者にとって都会での一人暮らしは失敗の連続であった。それでもめげずにやってこられたのは、彼女の目標に対する一生懸命さと、相棒のトリミアンがいつも側に居て支えになっていてくれたお陰である。

一人暮らしを始めてから半年が経ち、都会人として時間に追われる生活にも慣れたジェシカは人生の充実感を得ていた。
多種多様なポケモンのトリミングを学ぶことにより、グルーミングにアシスタントとして修業を開始してから今日に至るまでほぼ毎日が新しい発見の連続であった。



丁度オトンヌ通に差し掛かった頃、突然ジェシカを乗せたバスが急停止した。
 ▼ 16 ルレイド@エレベータのキー 16/09/10 02:30:41 ID:yQMF8xQU NGネーム登録 NGID登録 報告
どうせケンゴだろ
 ▼ 17 ルセウス@だいちのプレート 16/09/10 02:35:18 ID:Q7wC.Kjk NGネーム登録 NGID登録 報告
ジェシカ然りオルニス然りXYはモブにしてはレベル高いキャラ多かったな
 ▼ 18 ドラン@メタグロスナイト 16/09/10 02:37:48 ID:VyhNvpgU NGネーム登録 NGID登録 m 報告
まーたケンゴか?
 ▼ 19 Evans◆ta3ohwpboU 16/09/10 02:56:47 ID:26TJuK2A [2/3] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
通路に顔を寄せて、フロントガラスから前方を見てみると杖をついた背の曲がったお婆さんがゆっくりと道路を横断していた。

この道は交通整理が充実しておらず、横断歩道も無ければ信号もない。カロス地方ではいかなる場合でも歩行者優先を徹底しており、例え信号機が止まれを示していても平気で渡ろうとする歩行者がいるほどだ。
お陰で週に二、三度はこの近辺の道で足止めをくらう羽目になる。その度に数分の遅れが生じるのだが今日は運が悪い。
よりにもよって、足の不自由なお婆さんとは。

さらには交通が滞っているのに便乗して、渡り始める者が出てきた。これは2、3分では済みそうにない。
ジェシカは何度も時計を確認し、次第にその表情には焦りの色が見え始める。

結局、お婆さんが渡り終えてた後も尾を引くように歩行者が横断して行ったため12分の遅れが生じることになった。
ようやくバスが動き出し、ジェシカの視線は再び外の景色へと移った。


グルーミングへ少々遅刻すると一報を入れた方がよいだろうかと思ったが、バスを降りてから走って向かえばまだ間に合うとジェシカは踏んだ。
 ▼ 20 リンク@せいなるはい 16/09/10 03:16:16 ID:prjZPmPo NGネーム登録 NGID登録 m 報告
しえ
 ▼ 21 Evans◆ta3ohwpboU 16/09/10 03:19:52 ID:26TJuK2A [3/3] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
そんなことより、"毎朝楽しみにしているもの"がもうすぐ訪れる。
ジェシカはジッと窓の外を見つめ、バスがそこを通るのを待った。





ここだ。この景色。

ミアレシティを北と南に分かつ運河。その運河の向こう側に聳える街のシンボル、"プリズムタワー"を望む景色。
朝日を浴びるタワーはまるでプリズムのように美しく輝きを反射させ、街全体を照らしている。
ジェシカがこの街で一番大好きな、お気に入りの景色だ。
初めてジェシカがこの景色を目の当たりにした際は言葉を失い、降りる駅を一駅乗り過ごしてしまったくらいだ。

この景色を拝むだけで昨日までの疲れも吹き飛んだように消え去り、今日一日を明るく過ごすための糧となっていた。



「…はぁー…。」

ウットリと、息を飲むような景色。
プリズムタワーが建物の陰に隠れて見えなくなるとジェシカはすぐに我に返った。駅を降りてから小走りをしてでも急がなければ遅刻してしまうことはわかっていた。
 ▼ 22 Evans◆ta3ohwpboU 16/09/10 10:49:52 ID:Bs/kqckU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ようやく下車するバス停に着いたのが8時50分になった頃だ。
バス停に降りたジェシカは足早に脇目も振らずに職場を目指した。


ポケモンサロン・グルーミングは派手な赤い外観の建物でプランタン通りでも一際目を引く存在感を放っていた。
ガラス窓のついた木製の両開きドアのノブには『close』と書かれた掛札が掲げられている。
グルーミングの営業時間は朝の10時から夜の8時まで。店のメンバーズカードにはそう記されているが、開店前の準備をしなくてはならないため従業員は開店1時間前には職場に居ることが鉄則であった。


ジェシカはお店に辿り着くと正面玄関を通り越し、隣り合う建物との狭い隙間を通って裏口へと回った。関係者は正面玄関を使うことを禁止されている。あの扉はお客様専用の出入り口だ。
正面扉とは打って変わって、裏口はスチールドアとなっており、所々が錆びていて見た目はボロボロであった。

ジェシカはその場で切らした息を整えると、裏口のドアを開け中へ入って行った。





「ジェシカ」


裏口から入ってすぐに設置してあるタイムレコーダー(デジタル出勤簿の事。)にタイムカードを差し込もうとした時、ジェシカはオーナーから呼び止められた。
 ▼ 23 Evans◆ta3ohwpboU 16/09/10 11:30:51 ID:Bs/kqckU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「ジェシカ、待って。待って。」


奥の部屋から姿を現したオーナーはしかめ面で、ジェシカはタイムカードを持つ手を止めてそちらに向き直った。
グルーミングのオーナー・ミランダはポケモントリマーとしての腕前は勿論のこと、経営者としての手腕も兼ね備えている、業界では有名な人物である。過去にバリー先生を初めとした有名カリスマトリマーを多く輩出していることからその実力が窺える。
詳細な年齢まで把握しているわけではないが、結構な歳だそうだ。オーナーが自身が"お婆さん"のグループに含まれるようになったことを時折嘆いているのを、ジェシカは密かに知っていた。


「おはようございます!オーナー。」元気よくジェシカが答えるも、オーナーはひそめた眉を綻ばせはしなかった。


「おはようジェシカ。着替えるのに何分かかるかは考えた?」


グルーミング従業員にはユニフォームが定められており、その白いブラウスと黒いエプロンを着て仕事に従事することになっている。オーナーは普段好んで着るパステルカラーの服装ではなく、この白いブラウスと黒いエプロンに既に着替え終えていた。


「ジェシカ、2分と30秒の遅刻。時間厳守はこの街で生活するルール。罰則として閉店までにいつもの倍の数のマネキン。」オーナーが言った。『マネキン』とは、人工毛の生えたポケモンの"マネキン人形"を使ってのカット練習のことだ。


「20回も!?感激です!」罰則を与えられ、喜ぶジェシカにオーナーはため息を漏らした。


「……ハァ…。ジェシカ、あなたには罰が褒美になるわね。早く支度をしていらっしゃい。マネキンは手が空いたらやって。今日は予約が9件もきているの。」
 ▼ 24 ラサリス@リンドのみ 16/09/10 20:08:36 ID:Jn81zI2s NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 25 ロバット@レベルボール 16/09/11 20:20:56 ID:aoOW/9WY NGネーム登録 NGID登録 報告
はよ
 ▼ 26 ラナクシ@あいいろのたま 16/09/12 07:05:38 ID:a/BNGF9. NGネーム登録 NGID登録 報告
はよ
 ▼ 27 Evans◆ta3ohwpboU 16/09/20 23:58:41 ID:oTfvHNV2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ひそかにあげておく。落ちるところだった
 ▼ 28 ングマ@きのみジュース 16/09/20 23:59:40 ID:j08K4mjU NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>7
これ
 ▼ 29 Evans◆ta3ohwpboU 16/09/24 23:06:03 ID:IFWs2Phk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
出勤簿にチェックを入れたジェシカは急ぎ足で更衣室へ入った。壁一面に並べられたスチール製ロッカーの中から、いつも自分が使っている『ジェシカ』の名札が貼ってあるものを選ぶとそのロッカーの扉を開けた。

基本的に立ち仕事で、従業員一人一人のデスクスペースが設けられないこのお店で唯一、ジェシカ個人だけが利用する、彼女だけの領域、それがこのロッカーだ。煤けた様に黒く汚れていたり、ドアの下の方は僅かにヘコんでいたりと、年季が入っている。並ぶ他のロッカーと同じく、ジェシカがこのお店に来るずっと前から更衣室に置いてあるのだから無理もない。

そんな唯一のプライベート空間であるロッカーの扉の裏側に貼られた、両親とバリーの写真を見て、ジェシカは気持ちを仕事へと切り替えるのが常だった。ポケモントリマーになると宣言して親元を離れたジェシカは両親の誇りだった。


ポケモントリマーとして稼ぎを得るには並大抵の努力では不可能で、そのことを理解していたジェシカは自身がトリマーになりたいと両親に打ち明けた際、反対されると思っていた。
けれども両親は快く後押ししてくれた。『あなたがやりたいことをやりなさい』と背中を押してくれた母の手の温もりを、ジェシカはこの写真を見る度に思い出していた。



グルーミングのユニフォームに着替えたジェシカは着て来た服をハンガーに掛けロッカーに仕舞うと、両親の写真に「いってきます。」と告げ、更衣室を後にした。
 ▼ 30 Evans◆ta3ohwpboU 16/09/30 01:27:15 ID:KInIVgU2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
立派な正面の玄関ドアを開け中に入ると、まず最初に清潔感のある真っ白の内装が目に飛び込んでくる。従業員の中では最年少にあたり、店の清掃全般を任されているジェシカが毎朝入念にモップ掛けをしているため床には汚れひとつ見当たらない。
そんな純白の床に敷かれた赤いロングカーペットが玄関から店の受付カウンターのテーブルまで真っ直ぐに伸びていて、来店する利用者を誘導するのだ。

このお店の間取りは単純な配置をしている。更衣室や倉庫といった従業員のみが利用するバックヤードを除けば、大きなエントランスが1つあるだけで、その中に受付カウンターや応接間、作業スペースが入っている。

作業スペースは応接間と受付カウンターよりも奥側にあり、ガラスのバリケードで仕切られている。利用者は作業スペースに入ることは出来ないが、このガラスのバリケード越しに自分のポケモンのトリミングの様子を観察することができるのだ。
作業台は店内に4つ設けられており、どれも丸い形をした物を選んでいる。昔は角のある作業台を使っていたそうだが、ある日ポケモンを運ぶ際に誤ってその角にぶつけてしまい怪我を負わせてしまってから、この丸い作業台に変更したらしい。
ポケモンが飛び降りても怪我をしないように、作業台の高さは少し低く設定してある。ジェシカの丁度ヘソの上辺りの位置だ。
作業員で最も背の低い彼女にとって、その台の上に乗るポケモンをトリミングすることは少し難しく思えた。


他のトリミング店と比べ、大きいとは言えない老店舗だが、ジェシカにはそのこじんまりとした店の佇まいが愛おしく感じられた。
 ▼ 31 Evans◆ta3ohwpboU 16/10/07 21:16:14 ID:o51E3.RM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
コメ少なくて寂しいが読みづらいとは思う文章
あげ
 ▼ 32 Evans◆ta3ohwpboU 16/10/13 23:41:11 ID:JvUFvl3g NGネーム登録 NGID登録 m 報告
保守
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