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【SS】 夢に向かうセレナへ

 ▼ 1 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:52:52 ID:f7kwrx9E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

アニポケXY&Z編の最終回、感動しました。
これまで描かれてきたストーリーを考えると、サトシとセレナにとっての、最高の別れ描写だったのではないでしょうか。

このSSは、そんなアニポケ最終回で描かれていなかった部分にスポットを当てた、“半”オリジナルのストーリーです。
最終回のサイドストーリー的なものとして見て頂ければと思います。



毎日更新は出来ませんが、よろしければお付き合いください。




 ▼ 112 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/19 03:25:30 ID:rFO387P2 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「距離あるんなら、自転車で行こうぜ!」

 セレナ 「でも、もう ずっと乗ってないし、空気も抜けちゃってるし……」

 サトシ 「空気入れあるか?」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「チェーンもそこまで錆びてないし、まだ乗れるって。貸してくれよ」

 セレナ 「ちょっと待ってて」


セレナが空気入れを持って来てくれた。

チューブを調べた感じ、怪しい穴や傷は無い。これで順調に空気が入れば、パンクは していないはずだ。


しゅこんしゅこんと空気を入れながら、オレは思いだす。

今までの旅で、何台の自転車をダメにしちまったか。セレナの自転車だけは無事で返そうと誓ったところで、空気入れは完了した。


 サトシ 「……よし。パンクしてないし、これで乗れるぜ」


スタンドを畳んで自転車に跨ってみる。

変にガタは来てないし、ペダルも しっかり踏み込める。それに、荷台にグラつきも無い。

これなら大丈夫そうだな。
 ▼ 113 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/19 03:26:00 ID:rFO387P2 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ほらセレナ。乗れよ」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「後ろ」

 セレナ 「あっ……うん!」


セレナはキョトンとしてたけど、すぐに荷台に乗った。

ワンピースを気遣ってか、荷台に“跨る”のではなく、横向きで“腰掛ける”形で。


 サトシ 「よし。じゃあセレナ、道案内頼む。しっかり掴まってろよ」

 セレナ 「うん。じゃあ、右に出て、しばらく真っ直ぐね」

 サトシ 「よっしゃ行くぜ!」

 セレナ 「きゃっ」


勢いよく漕ぎだすのと同時に、セレナがオレの体に しがみつく。

フワッと感じた良い香りは、セレナのシャンプーか、はたまた服の洗剤か。どっちにしても心地良い。
 ▼ 114 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/19 03:26:30 ID:rFO387P2 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「あ、サトシそこ左よ」

 サトシ 「左だな。曲がるから掴まってろよ〜」 グイッ

 セレナ 「うん」 ギュッ


大通りから、森へと続く林道に入った。

路面が少し悪くなり、自転車は揺れるようになる。

後ろのセレナは、オレに しがみつく力を少し強めた。考えてみると、こうやって意図的にセレナと くっつき合ったのは、今日が初めてかもしれない。

セレナの鼓動を感じられるくらい、オレとセレナは密着している。

あぁ……、ピカチュウが頭の上で窮屈そうだ。



 セレナ 「ここからちょっと登るけど……、そろそろ下りよっか?」

 サトシ 「平気平気。セレナ軽いし、一気に登るぜー!」

 セレナ 「軽い……かな。ふふっ、うん!」
 ▼ 115 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/19 03:27:00 ID:rFO387P2 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

林道は傾斜が付くようになる。

登ってる……けど、そこまでキツイ訳では無い。セレナが乗っていることを考えても、普通に漕ぎ続けられるレベルの坂道だ。


 サトシ 「おっ……チェリムだ!」

 セレナ 「ホントだ。……あ、あっちにムックルがいるよ!」

 サトシ 「向こうにはトランセルだ!」

 セレナ 「ってことはバタフリーもいるのかな?」

 サトシ 「そうだなっ。ホント、ポケモンいっぱい いるな!」

 セレナ 「ふふっ」


林道から見られる野生ポケモンの数が増えてきた。

市街地から離れてきた証拠だし、森の奥に来ている証拠でもある。

こうやって活き活きと生息しているポケモンを間近で見られるのは、やっぱり楽しい。昔から、オレの中で それは変わらない。

セレナも楽しそうで何よりだ。



ポケモンたちの姿を楽しみながら林道を突き進み、やがて、視界が開ける草原に到達した。
 ▼ 116 ルホッグ@みどりのプレート 17/02/19 12:19:06 ID:s/M27AoA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 117 ラカラ@レンズケース 17/02/19 17:52:17 ID:3LODVOZ6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 118 ガルカリオ@くろおび 17/02/20 01:51:30 ID:bUHy9D7c NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
来た!支援!
 ▼ 119 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:07:20 ID:S9oWmZag [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-8 】


自転車を止めると、セレナは草原に下り立った。

緑色の絨毯に、セレナのピンクのワンピースが映える。


 サトシ 「ここが……」

 セレナ 「うん」


目の前に広がる草原と、その先には、広い空と、遠くの山々、曲がりくねる川、飛び交うポケモンたち――。

そんな絶景が、遮るもの無く広がっていた。草原の奥は崖になっているようだ。


 サトシ 「気持ち良い所だな。それに、すげぇ景色じゃん!」

 セレナ 「ふふっ。私の秘密の場所」

 サトシ 「秘密の?」
 ▼ 120 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:08:00 ID:S9oWmZag [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「そうだ。みんな出て来て!」

 テールナー 「てな」

 ヤンチャム 「ちゃむ」

 ニンフィア 「ふぃぃあ」


セレナは細く笑みを浮かべたまま、オレの問いかけには答えなかった。

代わりにテールナーたちを繰り出す。それじゃあオレも みんなを出してあげるか。


 サトシ 「お。じゃあオレも。出てこいみんな!」

 ファイアロー 「ふぁぁい」

 ルチャブル 「ちゃぶ!」

 オンバーン 「おぁぁい」

 ピカチュウ 「ぴっか」

 サトシ 「みんな自由に遊んで良いぞ。あ、くれぐれも崖から落ちんなよ」

 セレナ 「ふふっ。みんな、今日は のんびり楽しもうね」
 ▼ 121 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:08:30 ID:S9oWmZag [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ふー。あー気持ち良いー」 ドサッ


吹き抜ける風と暖かな太陽が気持ち良くて、オレは草の上に寝ころんだ。

ピカチュウたちは、ワザを出し合ったり、追いかけっこしたり、いくつかのグループに分かれて遊んでいる。ポケモンたちにとっても気持ちの良い場所のようだ。


 セレナ 「平和ね」


オレの隣に腰を下ろしたセレナが言った。

本当に平和だ。あのフレア団の事件が嘘かって思うくらい、この場所は平和だった。


 サトシ 「あぁ。風の音と、ピカチュウたちの声と、あとなんだろう……野生ポケモンの声か?」

 セレナ 「うん。草木が揺れる音に……あとほら、川の流れる音も。聞こえる?」

 サトシ 「……あぁ、聞こえる聞こえる。崖の下に川あるんだな」

 セレナ 「そうなの。こうやって耳を澄ますだけで、なんとなく落ち着けるんだ、ここって」


オレは目を瞑ってみる。

自然の音が、より鮮明に聞こえてくる。

本当だ。落ち着ける。耳を澄ますと、こんなに違ってくるんだな。
 ▼ 122 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:09:00 ID:S9oWmZag [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「……実はね、ここ、私が“家出”したときの居場所なんだ」


不意にセレナが口を開いた。

セレナの方を向くと、彼女は無表情で、遠くを見つめていた。


 サトシ 「家出……?」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「そっか。セレナも家出なんてするんだな〜」

 セレナ 「驚かない?」

 サトシ 「驚くもなにも、小さい頃って家出するもんだろ? ……まぁ、すぐママに連れ戻されちゃうけどさ。反抗する意思表示って言うのかな?」

 セレナ 「そうそう、私も そんな感じ」

 サトシ 「オレなんかは、遅くまでポケモン探しに行ってて、ママによく怒られてさ。だったらポケモンとずっと一緒に居る〜って、よく家を飛び出してたんだ」

 セレナ 「ふふっ。サトシらしいね」


ここでセレナは笑ってくれた。

やっぱりセレナには笑顔が似合う。改めて、そう感じた。
 ▼ 123 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:09:30 ID:S9oWmZag [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「セレナは、なんで家出なんてしたんだ?」

 セレナ 「私ね……、逃げ出したかったの」

 サトシ 「逃げる?」

 セレナ 「うん。私、小さい頃からサイホーンレーサーの練習しててね……、嫌だったんだ。怖いし、痛いし、汚れちゃうし」

 サトシ 「そっか」


そう言えばセレナ、サイホーンレースの練習が嫌だって言ってたっけ。

きっとセレナ、当時からサキさんに嫌だって伝えてなかったんだろうな。だからセレナ、メェークルレースの時、あんなに……。


 セレナ 「勿論、ママを恨んでなんて いないよ? でも、ママが決めた道を強制されるのが嫌で……、だってサイホーンレーサーって、飾り気とか無いし、女の子として ちょっと、って思っちゃんたんだ」

 サトシ 「そっか。セレナお洒落だもんな」

 セレナ 「あっ、そうかなっ……」

 サトシ 「だからセレナ、ツナギにハートマーク入れてたんだな」

 セレナ 「えっ……見ててくれてたの?」

 サトシ 「あぁ」
 ▼ 124 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:10:00 ID:S9oWmZag [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナは“意外”というような顔をしている。そしてすぐ、少しだけ赤くなった。

まぁあれも けっこう前のことだし、オレが覚えてたこと、意外だったのかな。


 サトシ 「でもセレナさ。逃げ出したって言っても、オレにサイホーンの乗り方、教えてくれたじゃん。それってセレナが、サイホーンレーサーと ちゃんと向き合ってるってことだろ
?」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「だって、そうじゃなかったら、1日でオレにサイホーンの乗り方をマスターさせるなんて無理だろ?」


オレは正直な感想を言った。

いくら練習から逃げ出したって言っても、セレナはサイホーンレースのことをマスターしている。ちゃんと向き合っている。

だからセレナは、オレにサイホーンの乗り方を的確に教えることが出来たんだ。


 セレナ 「それは……、そうなのかなぁ?」

 サトシ 「オレはそう思うぜ」


確かサキさんは、セレナを“飽きっぽい性格”と言っていた。

けど、旅する中でセレナに そんなイメージは無いし、サイホーンレースのことを理解している所を見ても、飽きっぽいとは思わない。

だからセレナ、セレナが特訓から逃げ出したこと、そんなに気にすること無いんじゃないのかな。
 ▼ 125 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:10:31 ID:S9oWmZag [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ありがとうサトシ。でもね、サイホーンレーサーの特訓から逃げちゃったことには変わりないの。今回の旅だって、半分くらい、“逃げ”だったんだ」

 サトシ 「そうなのか?」

 セレナ 「テレビでサトシのこと思いだして、そのっ、サトシに会いたいって気持ちが大きかったけど……、家に居なければ、特訓する必要も無いかなって」

 サトシ 「そっか」

 セレナ 「だからね、私、嬉しかった。サトシに旅に誘って貰えて。本当に、嬉しかったの」

 サトシ 「まぁ確かに、サイホーンが居ない環境になれば、特訓できないもんな」

 セレナ 「あっ……、そのっ……」


理由は“逃げ”かもしれないけど、だから今のセレナがあるんだと、オレは思う。

夢が無かったセレナが、ポケモンパフォーマーって道を知って、カロスクイーンって夢を見つけて。

この旅を通じて、オレはセレナの強さを知った。それに、何度もセレナに助けて貰った。

そういうのを全部見てきたからこそ言える。オレの方こそ、セレナを旅に誘って良かった、と。


 セレナ 「……私ね、サトシと旅 出来て、本当に良かった」
 ▼ 126 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/21 23:11:01 ID:S9oWmZag [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セレナはオレの方を向き直して、改めてと言った感じて口を開いた。。


 セレナ 「色んな出会いがあって、色んな経験が出来て、それに、私の夢を見つけられて。サトシには、諦めない大切さも教わったしね」

 サトシ 「あぁ」

 セレナ 「私、サトシと一緒に旅して、もう逃げないって決めたんだ。カロスクイーンになるって言う夢に向かって、絶対に諦めないって。ずっとずっと、それを心の中で誓ってたの」

 サトシ 「良い心がけじゃん。そうさ、諦めなければ、いつか努力は実を結ぶ。マスタークラスでエルさんと戦うまで勝ち進めたのも、セレナの努力の結晶だぜ?」 ニカッ

 セレナ 「サトシ……」


諦めない大切さ――か。

確かにそれはオレのポリシーだったけど、エイセツジムの時、オレはそれを見失ってた。それを思いださせてくれたのは、他でもない、セレナだった。

セレナは成長してるんだ。だからセレナ、マスタークラスで勝ち進んで、エルさんと戦うことが出来たんだぜ?


 セレナ 「サトシ……、今まで本当に、ありがとう」

 サトシ 「ん? あぁ。どうしたんだよ急に?」

 セレナ 「サトシ、あのね……、私、貴方のこと……」



その時だった――。
 ▼ 127 ダック@セシナのみ 17/02/21 23:20:02 ID:xOdbnz6E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 128 マサラ人3◆etyxjFp636 17/02/21 23:26:40 ID:Ydzd1cFs NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
相変わらずいいとこで切りますねぇ〜

支援
 ▼ 129 ギアル@シュカのみ 17/02/24 07:57:49 ID:mc.hmPtU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 130 ランテス@あまいミツ 17/02/24 08:02:41 ID:QM6.f5Ag NGネーム登録 NGID登録 報告
続きをください
支援
 ▼ 131 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:45:00 ID:EBXZmsiM [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 「「「 こふぃいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!! 」」」





 セレナ 「えっ!?」

 サトシ 「なんだ今の鳴き声!?」


突然、ポケモンの鳴き声が響き渡った。

鳴き声と言うより、悲鳴……。しかも、相当 危機的な感じだ。


 セレナ 「林道の方から……」

 サトシ 「行ってみよう。みんな いったん戻れ!」

 セレナ 「あ、待ってサトシ! テールナーたちも戻って!」


オレはピカチュウ以外をボールに戻して、悲鳴の上がった方に向けて走った。遅れてセレナも ついてくる。

嫌な予感がする。こんなポケモンの悲鳴、嫌な予感しかしない。
 ▼ 132 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:46:00 ID:EBXZmsiM [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「ねぇサトシ……今のって」

 サトシ 「あんな鳴き声、何かあったとしか思えない」

 セレナ 「何かって もしかして……」

 サトシ 「……ポケモンハンターが出たかもしれない」

 セレナ 「やっぱり……」


どうやらセレナもオレと同じことを考えてたらしい。

さっきジュンサーさんから、ポケモンハンターの目撃情報があったと聞いた。そんな状態でポケモンの悲鳴が上がったら、それはもう、ポケモンがハンターが出たに決まってる。

まさか こんなに早くハンターと遭遇することになるなんて。

なんとかしないと。ポケモンハンターの悪事は、絶対に許したくない!


 セレナ 「あっ……でもサトシ! 本当にポケモンハンターだったら、勝手なことしちゃダメだって」

 サトシ 「分かってる。今は様子を見るだけだ」

 セレナ 「うん」
 ▼ 133 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:47:00 ID:EBXZmsiM [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
悲鳴の上がったと思われる場所に近付いたオレたちは、物音を立てないように慎重になる。

そして、辺りを注意深く見渡す。


 サトシ (この辺だよな……)

 セレナ (うん。こんな森の奥ってことは、やっぱり……)


そこは、林道から外れた、木々が生い茂る場所。当然、林道から見ることのできない場所だ。

ポケモンを不法に捕まえるなら、人目に付かない場所の方が良いに決まってる。

これは もう、ポケモンハンターの仕業だって確定したようなものだ。



 サトシ (……あれだ)

 セレナ (あっ)


そしてそれは、すぐに証明された。

オレたちの視線の先に居る、1人の男。その側らに居るブーバーン。そして、檻に入れられたコフーライが沢山……。
 ▼ 134 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:48:00 ID:EBXZmsiM [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ (やっぱりポケモンハンターの奴が……!)

 セレナ (酷い……。コフーライばっかりあんなに)


確か前にも、コフーライばっかり捕まえているポケモンハンターだかポケモンバイヤーに、オレたちは会っている。

その時は、オレたちで なんとか撃退できたけど、今回はどうする……?

ジュンサーさんには勝手な行動するなって言われてるし、シトロンの戦力が欠けた状態ってのも無視できない。


 サトシ (なんとかしないと!)

 セレナ (でもダメよサトシ。ジュンサーさんに言われてるでしょ?)

 サトシ (けど! このまま逃げられたらマズいだろ!)

 セレナ (そうだけど……)

 サトシ (……ん? あの2人!)

 セレナ (えっ?)


ふと視線をハンターから ずらすと、脇の茂みに、見覚えのある姿が飛び込んできた。

オレたちと同じように、ハンターから隠れるようにして様子を伺っている男女の姿――。
 ▼ 135 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:49:00 ID:EBXZmsiM [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ (ハルキ……!)

 セレナ (それにルイナも?)



 ルイナ (あ、サトシとセレナ)

 ハルキ (えっ……どうして君たちがここに?)

 サトシ (オレたち、近くの草原に居たんだ。そしたらコフーライの悲鳴が聞こえて、急いで来てみたんだ)

 セレナ (そしたらポケモンハンターが居て……、なんとかしないとって)

 ルイナ (あら、デート中だったの?)

 セレナ (でっ……そういうんじゃ……///)

 ハルキ (そういう女子トークは他で やってくれ)

 セレナ (そっ、それより、何でハルキとルイナも ここに?)

 ルイナ (あぁ、えっと……)

 サトシ (2人もハンターを許せないんだよな?)

 ハルキ (……あぁそうさ。だから こうして隠れて、チャンスを伺ってたんだ。ハンターを捕まえて、コフーライを解放しようと思ってね)

 ルイナ (そうそう)

 サトシ (流石だぜ)
 ▼ 136 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:49:40 ID:EBXZmsiM [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルキとルイナも、オレたちと同じ思いで行動していたらしい。

ポケモンハンターの悪事を許せない……、コフーライたちを助けたいって気持ちで。

目的が同じなら、協力するしかない。2人だったら危なっかしいけど、4人居れば力は倍だ!


 セレナ (でも、私たちだけで勝手にハンターを捕まえるのは……)

 サトシ (確かにそうだけど、でもモタモタしてたら逃げられちまう)

 ハルキ (そうだね。ここは4人で協力して、ハンターの悪事を止めようじゃないか)

 ルイナ (そうね。2人じゃアレだけど、4人なら行けるんじゃないかしら。ハンターは1人だし)

 サトシ (決まりだな。けど、オレたちだけで勝手にってのは、流石にマズい)

 ルイナ (どっちよ)

 サトシ (だから、セレナとルイナは、ジュンサーさんに知らせて来てくれないか?)

 ハルキ (なるほど。ハンターと戦うのは僕とサトシで、女子には安全な任務を任せる。紳士じゃないかサトシ)


本当は4人でハンターを囲んだ方が有利だけど、万が一ってことがある。

ここはセレナとルイナを危険な目に逢せないことを優先するべきだし、ジュンサーさんにも知らせることが出来て一石二鳥だろう。
 ▼ 137 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/02/26 03:50:30 ID:EBXZmsiM [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ (勿論、ハルキがオッケーしてくれたら、だけど)

 ハルキ (僕は賛成だね。ルイナ、セレナと一緒に行ってくれ。分かってるね?)

 ルイナ (……オッケー。じゃあ行くわよセレナ)

 セレナ (うん。サトシ、ハルキ。すぐジュンサーさん呼んでくるから、くれぐれも気を付けてね)

 サトシ (任せとけって)

 ハルキ (じゃあ、頼んだよ)



セレナとルイナは、足音を立てないように この場から去って行った。

ジュンサーさんの話だと、ハンターは男の単独行動らしいから、これでひとまず、2人の安全は確保できた訳だ。


 ハルキ (とりあえず これで女子は安全だね)

 サトシ (あぁ。よろしく頼むぜハルキ。オレたちで あのハンターを倒して、コフーライを助け出すんだ)

 ハルキ (了解。予定外だけど、やるっきゃないね!)


そしてオレたちは、ハンターの前に立ちはだかった。


 ▼ 138 レフワン@ポケじゃらし 17/02/26 04:01:14 ID:rbY.EO5. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルキとルイナってググっても出てこないんだがどこ出?
無知ですまん
 ▼ 139 ビシラス@きりのはこ 17/02/26 08:36:22 ID:leAnnJLU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>138
このssのオリキャラだと思う

支援
 ▼ 140 ソクムシャ@ていきけん 17/02/27 08:01:20 ID:UY/WSR.I NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 141 ガユキノオー@ひかりのねんど 17/02/28 02:09:27 ID:kSxuApkA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 142 ンボラー@かなめいし 17/03/03 23:55:54 ID:bDNIr1qI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 143 ッキー@こおりのジュエル 17/03/06 23:19:05 ID:1gtSK8Hc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 144 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/10 23:59:59 ID:YUk4cA3w NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


【 2-9 】


 サトシ 「おい! そのコフーライ達を放せ!」

 ハンター 「……あ? なんだテメェら?」


ハンターはオレたちを見るなり、ドスの利いた声で言った。

明らかにオレたちを威圧、牽制しようとしてるんだろうけど、そんなことでオレは怯まない。


 サトシ 「お前ポケモンハンターだろ!?」

 ハンター 「だったらどうする?」

 サトシ 「オレたちがコフーライを助け出す!」

 ハンター 「ふんっ。ガキのくせに生意気な。怪我したくないんなら とっとと失せな!」

 サトシ 「出てこいオンバーン!」

 ハルキ 「出番だミロカロス!」

 ハンター 「やるってのか。相手してやれブーバーン」
 ▼ 145 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/11 00:00:42 ID:uRI4j0nQ [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オレのポケモンはオンバーン。ハルキはミロカロス。

ハンターのポケモンは、隣にいたブーバーンで間違いないようだ。


 ハンター 「……ふん。生意気にも よく育てられてんな。売れば高値になるぜ?」

 サトシ 「ふざけんな! ポケモンを商売の道具としか見てないお前に褒められても嬉しくない!」

 ハンター 「チッ。黙ってればいいものを。ブーバーン“かえんほうしゃ”!」


バトル開始だ。

ブーバーンは大きくジャンプして、“かえんほうしゃ”を発射する。進化系なだけあって、かなりの威力だ。


 サトシ 「かわすぞ! 飛べオンバーン!」

 ハルキ 「ミロカロス! “なみのり”で相殺だ!」


“かえんほうしゃ”と“なみのり”が衝突し合って、それぞれが立ち消えた。

そこで一瞬生まれる隙を、オレたちは逃さない。
 ▼ 146 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/11 00:01:19 ID:uRI4j0nQ [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「“アクロバット”!」


オンバーンは雄叫びを上げてブーバーンに突進する。

持ち前のスピードで、青い軌跡を描きながら。


 ハンター 「チッ! 早いな」


オンバーンの攻撃が直撃。よろけるブーバーン。


 ハルキ 「続けミロカロス! “なみのり”!」


間髪入れずにハルキが続く。

ミロカロスは大きな波を作り出すと、それをブーバーンに向けて放つ。

その波は木々よりも高く そびえ立って、ハルキのミロカロスが どれだけ良く育てられてるか、一目瞭然だった。



 ハンター 「調子乗んじゃねーぜ? ブーバーン“じしん”だ!」

 サトシ 「なっ……うわっ!?」

 ハルキ 「クッ……!」
 ▼ 147 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/11 00:01:59 ID:uRI4j0nQ [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
突如、地面が揺れ始める。

地響きのような音と共に、オレたちの足元が すくわれる。

そしてそれは、“なみのり”を発射したミロカロスに直撃してしまった。オンバーンは飛んでたから無事だったものの、この切り返しは痛い。


 ハンター 「へへっ。これで“なみのり”はパーだな」


ハンターの言う通り、今の“じしん”で、“なみのり”は掻き消されてしまった。

掻き消す……と言うより、地面の揺れによって波を振動させ、水を破裂させたような感覚だ。

辺り一面に水飛沫が飛び散っているのが その理由。オンバーンも ずぶ濡れになっている。


 ハンター 「続けるぜブーバーン! “10万ボルト”!」

 ハルキ 「なにっ!?」

 サトシ 「マズい……避けろオンバーン!」

 ハンター 「遅い!」
 ▼ 148 バイト@ウッディメール 17/03/11 00:02:06 ID:P5KcRQXM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 149 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/11 00:02:29 ID:uRI4j0nQ [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブーバーンから電気ワザが放たれるなんて予想外だった。

そんな予想外なことが起きたから、オレは反応が遅れてしまった。

“10万ボルト”はミロカロスに直撃、そして……たぶん濡れてたせいで、空中のオンバーンにも直撃してしまった。

ハンターの奴、これを狙って“なみのり”を利用したって言うのか!?


 ハンター 「まだだ! オンバーンに“めざめるパワー”!」

 サトシ 「負けるな! “ドラゴンクロー”で向かい打て!」


2匹の攻撃が衝突。

電撃を受けた直後というハンデがあっても、オンバーンの方が優勢か、最悪互角で ぶつかり合えると思っていた――が。


 サトシ 「あっ……オンバーン!?」


オンバーンが当たり負けする。

持ち前のスピードで、相当な勢いで“ドラゴンクロー”を繰り出したにも関わらずだ。
 ▼ 150 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/11 00:02:59 ID:uRI4j0nQ [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハンター 「もう1発“めざめるパワー”打ち込んでやれ!」


それで終わらない。

隙だらけのオンバーンに、さらに もう1発、“めざめるパワー”が直撃してしまった。


 ハンター 「オイどうした? 威勢良い割りに もう終わりか?」

 サトシ 「クソッ……!」


大ダメージを受けたと見られるオンバーンは、耐え切れず、地面に墜落してしまう。

あの“めざめるパワー”、岩かフェアリー、いや、オンバーンへのダメージの大きさを考えると、氷タイプと見るべきか。


 ハルキ 「“アクアテール”!」


その時、ハルキのミロカロスの“アクアテール”が、ブーバーンに直撃した。

長い尾に水を纏わせたミロカロスの攻撃で、弾き飛ばされたブーバーンは木に激突、さらに その木が折れると言う高威力だ。


 ハルキ 「サトシ、今のうちに!」

 サトシ 「あぁ」
 ▼ 151 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/11 00:03:59 ID:uRI4j0nQ [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルキの助けを受けて、オレはオンバーンをボールに戻す。

ダウン寸前は目に見えてるし、これ以上オンバーンに負担をかける訳にはいかない。


 ハンター 「やるじゃねぇかガキのくせに」


ハルキの助けを受けたのは事実だし、ありがたい。

これだけの攻撃を出せるハルキのポケモンは、かなり育てられてるってことだ。

けど、その割には、攻撃を出すタイミングが悪い気がする。

2対1なんだから、もっと、集中攻撃的にブーバーンを追い詰めた方が良いに決まってるのに、ハルキは それをしようとしない。

ハルキ、ポケモンをゲットするのは好きだって言ってたけど、バトルの経験が少ないのか?


 サトシ 「ファイアロー、君に決めた!」

 ファイアロー 「ふぁぁい!」


まぁ、今は そんなこと考えてる場合じゃない。

目の前のハンターを捕まえることに神経を使わないと。

ジュンサーさんを呼びに行ってくれてるセレナたちのためにも。
 ▼ 152 チゴラス@ガオガエンZ 17/03/11 08:19:31 ID:1.657EGw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
きてた
支援
 ▼ 153 メハダー@やけどなおし 17/03/12 07:59:08 ID:OpySOkX2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 154 メイル@ひかるおまもり 17/03/14 22:43:29 ID:7KYbEPtQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 155 ロンダ@こだいのぎんか 17/03/18 07:43:00 ID:nst7q56I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 156 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:53:50 ID:RFvZGp/6 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハンター 「ファイアローとはナメられたもんだな。“10万ボルト”!」

 サトシ 「“ニトロチャージ”で かわせ!」


ブーバーンが放つ電撃を、ファイアローは“ニトロチャージ”の勢いで素早く回避。

そうさ。確かにファイアローは電撃に弱いけど、当たりさえしなければ問題ない。

そうすればブーバーンの他の攻撃、“かえんほうしゃ”も“じしん”も、それに“めざめるパワー”も怖くない。


 サトシ 「そのまま突っ込め!」

 ハルキ 「続けミロカロス! “アクアテール”!」


ファイアローとミロカロスの攻撃が、連続してブーバーンに直撃。

特に“アクアテール”は効果抜群、そしてやっぱり威力が高い。

ハルキのミロカロス、かなり育てられている。オレは確信した。


 ハンター 「オイしっかりしろブーバーン! 立て!」
 ▼ 157 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:54:49 ID:RFvZGp/6 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハンターが叫ぶ。

けどブーバーンは、かなり体力を削られた様子だ。息も切れ切れだし、なかなか膝が上がらない。


 ハンター 「ブーバーン!」

 サトシ 「よし……今だファイアロー! “ブレイブバード”!」

 ハンター 「させるか! “10万ボルトぉ”!」


ハンターの怒鳴り声に、ブーバーンは反応する。

ヨロヨロと立ち上がると、無理矢理パワーを解放するかのように、“10万ボルト”の構えを作った。


 サトシ 「気を付けろファイアロー! ここは“ニトロチャージ”で……」

 ハルキ 「行くぞミロカロス! “なみのり”で押し流せ!」


オレの指示を差し置いて、ハルキが叫んだ。

するとミロカロスは、さっきとは比べ物にならないような大量の水を発生させて、やっぱり さっきとは比べ物にならないような大波を発生させた。

木々の高さは優に越して、濁流のごとく、ブーバーンに押しせまる。


 ハンター 「なっ……なにっ!? ぐわぁっ!?」
 ▼ 158 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:56:19 ID:RFvZGp/6 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして いとも簡単に、ブーバーンを押し流した。

それだけに留まらず、大波はハンターも呑みこんだ。


 サトシ 「すげぇ……」


容赦ない攻撃……と言うべきか。

やり過ぎな気もするけど、ハンター相手に手加減することもないし……、かと言って、これだけの大波を生身の人間に当てるのは……。

複雑だ。



 ハルキ 「大したことないね」


波が引くと、背後の木に叩きつけられたと思われるハンターとブーバーンは、気絶していた。

これ以上 痛めつける必要は無さそうだ。


 サトシ 「すげぇぜハルキ。ミロカロス、よく育てられてるんだな!」

 ハルキ 「まぁね」

 サトシ 「あとはコフーライたちだな」
 ▼ 159 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/19 00:56:58 ID:RFvZGp/6 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オレはコフーライが捕えられている檻に近付いた。

コフーライたちは怯えている様子だけど、大きな怪我は無さそうだ。


 サトシ 「もう大丈夫だぜ。えっと……檻を開けるには……」


檻を調べながら、オレは思う。

今の“なみのり”の威力、明らかに さっきより強かった。まるで、最初の攻撃は手加減していたかのように。

けど、ハンター相手に手加減する理由が無い。ミロカロスの体調だって、変化があったようには見えなかった。

じゃあ、なんで……?


 サトシ 「クソッ……、この檻どうやって開けるんだ? ピカチュウ何か気付いたことないか?」

 ピカチュウ 「ぴぃか……」


けどまぁ、今はコフーライを助けることに集中しよう。

この檻、ハンターが用意したものなだけあって、どこを見ても開く気配が無い。


 サトシ (これ力ずくで壊すしかないか……)


そう思った、その時だった。
 ▼ 160 ッポ@ダイゴへのてがみ 17/03/19 01:01:36 ID:PM0YPpFI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 161 ノクラゲ@メンタルハーブ 17/03/23 00:20:03 ID:Q8l.CFqA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 162 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:08:18 ID:f4LHMC7g [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


  ― ドスッ!



 サトシ 「なんだ!?」


鈍い音が背後から聞こえた。

振り返ると、その光景に、オレは目を疑ってしまった。


 サトシ 「ファイアロー……? どうしたファイアロー!?」


ファイアローが倒れている。

けど、ハンターとブーバーンは気絶したまま。

そうなると、ファイアローが倒れた理由は、一つしかなかった。

 ▼ 163 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:08:59 ID:f4LHMC7g [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ハルキ……なのか?」


ハルキのミロカロスに、攻撃された――。

いまこの場で、ファイアローを攻撃できるポケモンはミロカロスしかいない。

それにハルキのミロカロスは良く育てられている。水タイプのワザはファイアローに効果抜群。

ハルキに隙を付かれてファイアローを倒された――、それしか考えられないのだ。


オレはハルキの目を見つめる。

そしてハルキは一呼吸置いて、口を開いた。


 ハルキ 「そうさ」

 サトシ 「なんで……」

 ハルキ 「僕の計画に支障が出そうだったからさ」


ハルキは、すんなりと認めた。

さっきまで一緒に戦ってたハルキが、いったいなんで……?
 ▼ 164 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:09:29 ID:f4LHMC7g [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「計画?」

 ハルキ 「この際だから教えるよ。僕は昨日サトシに、“ポケモンを捕まえることに力を注いでいる”って言ったね?」

 サトシ 「あぁ。ポケモンをゲットする旅をしてるって」

 ハルキ 「そう。綿密な計画を立ててポケモンを捕まえる――、スリリングで、最高に楽しい旅の目的さ」

 サトシ 「それが何だって言うんだよ。それでなんでファイアローを攻撃したんだよ!?」

 ハルキ 「察しが悪いね。誰が“ゲット”と言った?」

 サトシ 「え?」

 ハルキ 「僕は“捕まえる”と言ったんだ」

 サトシ 「それって……、まさか、ハルキもハンターってことなのか!?」

 ハルキ 「少し違うね」

 サトシ 「じゃあ何なんだよ!?」

 ハルキ 「僕がポケモンを捕まえるのは、一緒に旅する〜とか、一緒に強くなる〜とかじゃない。美学の追及さ」

 サトシ 「美学だと?」

 ハルキ 「綿密な計画を立てて、珍しいポケモンを、価値のあるボールで捕まえる。そしてそれを、ネットオークションに出品するんだ」
 ▼ 165 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:10:02 ID:f4LHMC7g [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ポケモンをネットオークションって……、ポケモンバイヤーってことか!?」

 ハルキ 「厳密には違うね。僕は別に、高値で売り捌いてる訳じゃない。出品価格は低く抑えて、あとはオークションだから、本当に欲しいコレクターが、勝手に価格を上げてくれるんだよ」

 サトシ 「そんなの関係ない! 捕まえたポケモンをネットで売り捌くなんてダメに決まってるだろ!」

 ハルキ 「売買の良し悪しは今は置いておこう。僕が真に力を入れてるのは、ゲットに至る綿密な計画の方さ」

 サトシ 「計画?」

 ハルキ 「珍しいポケモンなんて、そう簡単には手に入らない。ならどうするか――、奪えば良いんだよ」

 サトシ 「奪う?」

 ハルキ 「そうさ。しかも、被害届が出されない方法でね」


ハルキは、恐ろしく淡々と話を続ける。

昨日ハルキが言ってたのは、そういう、悪い意味でのことだったのか。

ネットで売り捌くなんて許せないし、ポケモンを奪うことだって許せない。

けど、被害届が出されない方法って……。
 ▼ 166 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:10:58 ID:f4LHMC7g [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「……まさか、ハルキとルイナがハンターから隠れてた理由って!」

 ハルキ 「ご名答。“ハンターが捕まえたポケモン”を奪うためさ!」

 サトシ 「ハルキ……おまえ!」

 ハルキ 「ポケモンハンターは皆、相当の実力を持ってるプロ。そんなプロからポケモンを奪うなんて、これほどスリリングなことは無いと思わないか?」

 サトシ 「スリリングってそう言う意味だったのか」

 ハルキ 「そうさ。ハンターは基本的に珍しいポケモンを狙ってるからね。自分で珍しいポケモンを探すより効率が良い。しかもハンターから奪った所で、ハンターは違法は捕獲をしてる訳だから、通報されることも無い。スリルを味わえて、珍しいポケモンを手に入れられて、そして高値で売れる。最高だろ?」


そうか。

ハルキは最初から、このハンターが捕まえたポケモンを奪うために、茂みに隠れてたんだ。

捕まってるコフーライを助ける為じゃなくて、その逆の目的で。

でも、オレとセレナに見つかって、仕方なくハンターと戦うフリをしたってところか。

だからハルキ、わざと手加減してハンターとバトルしてたのか。

オレを騙すために……。
 ▼ 167 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:11:31 ID:f4LHMC7g [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ふざけるな! ポケモンを お金儲けのために捕まえることが、許されると思ってるのかよ!?」

 ハルキ 「だから僕は別に、金が欲しい訳じゃない。あくまで付加価値として金が手に入るだけで、目的はハンターのポケモンを奪うスリルを味わうためさ」

 サトシ 「だったら よっぽど質が悪いだろ! 捕まったポケモンからしてみたら、ハルキが助けてくれたって思うはずだろ!? それなのにネットで売り捌くなんんて……、ポケモンが可哀想だと思わないのかよ!?」

 ハルキ 「それは価値観の違いだろう。僕がネットオークションに出すのは、その珍しいポケモンを、本当に欲しい人物に渡すためさ。そういう人物なら、きっとそのポケモンを大切にしてくれると思うけどね」

 サトシ 「そんなの言い訳だ! ポケモンをネットで売り捌くなんて発想が間違ってる! ハンターからポケモンを奪うって行動も間違ってる! 自分で おかしいって思わないのかよ!?」

 ハルキ 「思わないね」

 サトシ 「ハルキ……!」

 ハルキ 「言いたいことは済んだかい?」

 サトシ 「なんだと?」

 ハルキ 「僕はねサトシ、君のポケモンに、とても興味があるんだ。特にそのピカチュウ。カロスリーグでバンギラスとメタグロスを倒す その実力……、高い価値がある」

 サトシ 「オレのポケモンも奪うってことか」

 ハルキ 「そうさ」

 サトシ 「そんなことさせない! 行くぞピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」
 ▼ 168 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:12:03 ID:f4LHMC7g [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「バトル、するのか。数々の実力あるハンターを倒してきた僕に、勝てると思ってるのかい?」

 サトシ 「なら言ってやる。色んなの地方を旅してポケモンリーグに出場してきたオレに、勝てると思ってるのか?」

 ハルキ 「ふん。まぁ結果は すぐに分かるさ。ルイナの方も、今ごろセレナのポケモンを奪ってるだろうしね」

 サトシ 「そうだセレナっ!?」

 ハルキ 「サトシの方から、ルイナとセレナを別行動にする提案をしてくれて助かったよ。4人のままだと色々と厄介だからね」

 サトシ 「……クソッ!」


オレとしたことが……。ハルキとルイナを少しも疑わなかったせいで、セレナが……。

ハルキの実力を見れば、ルイナのポケモンだって、相当な実力があるに決まってる。

対してセレナは、ほとんどポカロンに力を注いでいる。バトルの経験だって、ロケット団相手が ほとんどだ。

そんなバトル慣れしてないセレナが、ルイナと2人きりだなんて、とんでもなくマズい。

オレのせいで、セレナが危険な目に……。


 ハルキ 「紳士的なサトシのことだから、きっとセレナを助けに行きたいんだろうけど、そうはさせないよ。僕の計画を邪魔した お礼、受け取って貰わないとねぇ!」

 サトシ 「やるしか……ないのか」

 ピカチュウ 「ぴかちゅぅ!」
 ▼ 169 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/03/23 02:13:00 ID:f4LHMC7g [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
本当なら今すぐセレナを助けに行きたいけど、どうやら そうはさせてくれないらしい。

こうなったら、少しでも早くハルキを倒して、セレナの元に行くしかない。


 ハルキ 「スタンバイだ、ミロカロス!」

 サトシ 「行ってくれるかピカチュウ」

 ピカチュウ 「ちゅぴっか!」

 ハルキ 「……うん。やっぱりそのピカチュウは良いね。毛並みも良いし、顔つきも凛々しい。数々の死闘を乗り越えてきたかのような貫禄さえある」

 サトシ 「お前に褒められたって嬉しくない!」

 ピカチュウ 「びかちゅぅ!」

 ハルキ 「それに……、ピカチュウは1体1体、頬の面積が違う。その絶妙な頬の赤の色艶、面積の比率、実に美しい」

 サトシ (……それどっかで聞いたことあるような気がする)

 ハルキ 「そのピカチュウだけでも、通には相当な価値で売れるだろうね。覚悟して貰うよ!」


ハルキのバトルの実力は相当高いと読み取れる。

一筋縄じゃ行かないだろうけど、オレはコイツに、勝つしかない!
 ▼ 170 リリ@ちからのハチマキ 17/03/23 02:13:14 ID:Bwbw4zlM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スピード高いから飽きなくていいわ。支援
 ▼ 171 ンシカイオーガ@コインケース 17/03/28 23:11:33 ID:f8si/dnQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 172 ンタイン@ハスボーじょうろ 17/03/29 00:20:02 ID:MjVJqpzg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 173 ルフーン@ディアンシナイト 17/04/02 08:32:58 ID:odszKE86 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 174 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:41:40 ID:SeRmY1T. [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「ミロカロス、まずは“アクアテール”だ!」

 サトシ 「“でんこうせっか”で避けろ!」

 ピカチュウ 「ぴか!」


ミロカロスが、大きく振りかざした尻尾に水を纏わせて、ピカチュウに突っ込んでくる。

けど、ピカチュウの素早さに比べたら まだまだ遅い。“でんこうせっか”の勢いで、難なく回避する。


 ハルキ 「やっぱりピカチュウの素早さは相当だね。ますます魅力的だよ」

 サトシ 「黙れ!」

 ハルキ 「……雲、広がって来たね」

 サトシ 「雲?」


空を見ると、確かに、さっきまで晴れてたのに、分厚い雲が湧き出ていた。

けど、それが何だって言うんだ?
 ▼ 175 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:42:41 ID:SeRmY1T. [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「対策させて貰うよ。ミロカロス、“あまごい”!」

 サトシ 「“あまごい”?」


“あまごい”は、雨を降らすワザ。水タイプのワザの威力が上がる。

ヌメルゴンも好きだったよな。


 ハルキ 「君のピカチュウが“かみなり”を覚えてないことは確認済みさ。ノーリスクで有利に立たせて貰うよ」

 サトシ 「それがどうした!?」

 ハルキ 「しかも、元から雨が降りそうな天気だったからね。雨、このまま続くんじゃないかな」


その辺の仕組みは分からないけど、確かにあの空模様なら、遅からず雨は降りだしていたはずだ。

そんなことを考えていると、水滴が落ちてくる。そしてそれはすぐに、激しさを増す。


 サトシ 「うわ……」

 ハルキ 「これが僕のミロカロスの“あまごい”の威力さ。さぁ行くよ! “アクアテール”!」

 サトシ 「かわせ!」
 ▼ 176 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:43:39 ID:SeRmY1T. [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウはミロカロスの“アクアテール”を回避……したけど、目に見えて、“アクアテール”の威力が増していた。

叩きつけられた地面は抉られて、その周囲がヒビ割れる。


 サトシ 「……確かにお前のミロカロスは強いな」

 ハルキ 「ん?」


今まで数えきれないくらいバトルをしてきたオレだから分かる。

ハルキは、自分のポケモンを強く育てている。強く育てるには、ポケモンとの信頼関係も大事だから、きっとミロカロスもハルキに懐いてると思う。


 サトシ 「けど!」


その行く先が、ポケモンハンターからポケモンを奪って、それをネットで売り捌くなんて、絶対に間違ってる。

オレには全く理解できない。

たとえ自分のポケモンと信頼関係が築けてても、それ以外のポケモンから信頼されないようじゃ、トレーナーとしては二流、三流、いや、それ以下だ。


 サトシ 「お前なんかに、負ける訳にはいかない!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」
 ▼ 177 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:44:28 ID:SeRmY1T. [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「……何を言い出すかと思ったら。感情論で どうにかなるほど、ポケモン世界は甘くないんだよ! ミロカロス“なみのり”だ! 押し流してやれ!」

 サトシ 「オレたちは お前を許さない! ピカチュウ! “10万ボルト”!」

 ピカチュウ 「ぴかぴかぁ!」


ミロカロスは、瞬時に大波を作り出す。

“あまごい”によって強化された大波が、木々より高く そびえ立つ。

それはまるで、決壊寸前のダムのように、莫大なエネルギーを持ってピカチュウに押しせまろうとする。


けど、オレたちだって本気だ。

ハルキ、お前を本気で許さない。


大きく飛び跳ねたピカチュウが、電撃を解放する。


 ハルキ 「なっ……!?」

 サトシ 「行けぇぇぇぇぇ!」
 ▼ 178 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:45:29 ID:SeRmY1T. [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
眩しいくらいに光り輝くピカチュウが繰り出す、“10万ボルト”。

ワザとしては、オレたちが今まで何度も使ってきたものだけど、今は違う。

ハルキの信じられない行いに対するオレとピカチュウの怒りが詰まった、渾身の“10万ボルト”。


それは、ミロカロスの大波を切り裂いて、ミロカロスの脳天に、撃ち落とされた。

地鳴りのような音と共に爆風が巻き起こる。

切り裂かれた波が行き場を失って、その場で滝のように流れ落ちる。

たちまち辺り一面に水が拡散し、大きな水たまりのごとく、湿地のごとく、地面を濡らす。


 ハルキ 「ミロカロス……!?」


バチバチと、まだ電撃の余情が残っている。

そこに居たのは、逞しい表情のピカチュウと、地に伏しているミロカロス。


 ハルキ 「こいつ……一撃で!」

 サトシ 「よし! 良いぞピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」
 ▼ 179 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:46:30 ID:SeRmY1T. [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この一撃で、ミロカロスはダウンしていた。

当たり前だよな、ピカチュウ。オレたちの本気の想いを ぶつけたんだ。

ポケモンをネットで売り捌くようなハルキに、負けるはずがないんだ。


 ハルキ 「戻れミロカロス。……流石、カロスリーグ準優勝なだけあるね」


ハルキは何故か笑みを浮かべながら、ミロカロスをボールに戻す。


 ハルキ 「ミロカロスはタイプ相性が悪かったから、最悪、一撃で倒されるんじゃないかとは思ってたよ」

 サトシ 「残念だったな、“あまごい”無駄になって」

 ハルキ 「けどね、そうやって有利に立たせておいてから大逆転する方が、最高にクールじゃないかい?」

 サトシ 「なに?」

 ハルキ 「僕には僕の美学がある。ハンターからポケモンを奪うのも、綿密な計画に基づいた僕の美学。それなら! 余裕綽々の君に大逆転することで、僕の強さが証明されるとは思わないかい? カロスリーグ準優勝のサトシ君?」

 サトシ 「ふざけたこと言うな! オレは絶対に負けない!」

 ハルキ 「負ける負けないは、最終的に決まるんだよ」

 サトシ 「最終的?」
 ▼ 180 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:47:50 ID:SeRmY1T. [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「サトシ。仮に君が僕にバトルで勝ったとして、それで終わりだと思うかい?」

 サトシ 「……どういうことだ」

 ハルキ 「君の相方――、セレナは今、ルイナとバトルしてるんだ」

 サトシ 「だからお前を さっさと倒して、オレはセレナを助けに行くんだ!」

 ハルキ 「でも考えてご覧よ。バトル時間を。バトルに長けてる僕とサトシ、トライポカロンばっかりでバトルが苦手なセレナ」

 サトシ 「それが……」

 ハルキ 「要するに、僕とサトシの決着が付く頃には、セレナはルイナの手の内にあるってことさ」

 サトシ 「なっ……!?」

 ハルキ 「このバトルは時間稼ぎでしかないのさ。真の目的は、セレナをこっちの人質にすること。そうすれば、勝敗 関係無しに、君は僕たちに従うしかないからね」

 サトシ 「お前……! 卑怯だぞ! そんなことして……恥ずかしくないのかよ!?」

 ハルキ 「言っただろ? 綿密な計画に基づいて行動してるって。こっちが有利になるのに、卑怯なんて関係ないね」

 サトシ 「ハルキ……!」

 ハルキ 「さぁバトルの続きだ! 出てこいツンベアー!」
 ▼ 181 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:49:10 ID:SeRmY1T. [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルキはツンベアーを繰り出した。

真っ白な巨体から吐き出される息吹は、相当な冷気を帯びているのか、風に乗って ひんやりとした空気が漂ってくる。


 サトシ 「ピカチュウ、一旦戻れ」

 ピカチュウ 「ぴか」

 サトシ 「ルチャブル、君に決めた!」

 ルチャブル 「ちゃぶぅぅぅ!」


氷タイプのツンベアー相手なら、格闘タイプのルチャブルが適任だ。

ルチャブルに対して氷ワザは効果抜群だけど、ルチャブルの素早さならツンベアーを翻弄できるし、何よりルチャブルの熱いハートは、氷に対して有効だ。多分。


 ハルキ 「わざわざ氷に弱いルチャブルとは、ナメなれたものだね」


もうハルキの言葉に いちいち返事する必要性を感じない。

バトルでオレに挑む以上、ハルキには まだ改心の予知はあると思ったけど、それが はじめから時間稼ぎで、目的はセレナを捕えて有利に立とうだなんて、正直ガッカリだ。

ハルキは、トレーナーの風上にも置けない、最低の人間だ。

こんな奴とバトルすることさえ、躊躇われる。
 ▼ 182 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/04 23:51:00 ID:SeRmY1T. [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど、そんなこと言ってられない。

セレナが……、セレナもバトルしてる。

オレと同じように、セレナもバトルしてるんだ。

きっと今ごろセレナも、ハルキとルイナの真相を知って、オレと同じように怒ってると思う。


けど……、セレナは強いけど、バトルに関しては素人だ。

ロケット団相手を除けば、バトル経験なんて数回しか無いはず。しかも勝ちのバトルって、ダンスパーティの時くらいじゃないか?


ハルキの自信たっぷりな言い方を見るに、ルイナだって、きっとバトルの腕があるはずだ。

そんな相手にセレナは、どこまで持ち堪えられるんだろう。

とにかく、オレが早くハルキを倒して、セレナの勝負が付く前に助けに入らないと、セレナを人質に取られてしまう。

そうなったら、勝敗関係なしに、オレたちが不利になっちまう。


 サトシ (なんとか……、なんとか持ち堪えてくれよ、セレナ!)


それは、セレナにとって大きな重圧になるかもしれないけど、今はセレナを信じるしかない。

ポケモンのことに一生懸命で、自分で夢を掴んだセレナ――。オレは いつだって、セレナを信じてるからな!
 ▼ 183 ロリンガ@スターのみ 17/04/05 06:12:48 ID:JZRXJCkM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 184 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 18:00:00 ID:2q.gZqxc [1/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「行くぞルチャブル! “からてチョップ”!」

 ルチャブル 「ちゃぶぅぅぅ!」

 ハルキ 「“つららおとし”でルチャブルを止めろ!」


ツンベアーに突っ込んでいくルチャブル。

そんなルチャブルの行く手を阻むかのように、ツンベアーの“つららおとし”が炸裂する。

何本もの大きな氷柱(つらら)が地面に突き刺さり、さながらツンベアーの防護壁のようだ。


 サトシ 「そんな氷柱の負けるな! “からてチョップ”で押し進め!」

 ルチャブル 「ちゃぶ!」


けど、氷に格闘ワザは効果抜群。

ルチャブルの“からてチョップ”で、そんな氷柱を崩しながらツンベアーとの距離を縮めていく。

そして、直撃させる。
 ▼ 185 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 18:10:30 ID:2q.gZqxc [2/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「良いぞルチャブル!」

 ハルキ 「流石に やるねぇ」


よろめくツンベアー。

もともとツンベアーの素早さは高くなかったはず。一気に攻め込むチャンスだ。


 サトシ 「続けて“とびひざげり”だ!」

 ルチャブル 「ちゃぶ!」


ルチャブルは助走を付けて走り出す。

そして大きくジャンプ、膝を付きだしてツンベアーに迫り、まさに直撃、……という瞬間だった。


 ハルキ 「かわせ!」

 サトシ 「えっ!?」
 ▼ 186 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 18:20:00 ID:2q.gZqxc [3/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツンベアーが、信じられないような機敏な動きで、ルチャブルの攻撃を回避したのだ。

“とびひざげり”の直撃間近という、絶対に避けられないようなタイミングにも関わらず。

そして、地面に激突したルチャブルはダメージを受ける。


 サトシ 「大丈夫かルチャブル!?」

 ルチャブル 「ちゃぶっ……!」


立ち上がったルチャブルは、いつものポーズを決めてくれた。

けど、今のツンベアーの動きは何なんだ? “からてチョップ”は避ける素振りも見せなかったのに……、それはワザと避けなかったってことなのか?


 ハルキ 「チャンスだツンベアー! “アクアジェット”!」


ハルキが言うが早く、ツンベアーは動き出す。

水を全身に纏ってルチャブルに一直線。……早い!


 サトシ 「クッ! ジャンプして かわせ!」

 ルチャブル 「ちゃぁぶ!」
 ▼ 187 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 18:30:30 ID:2q.gZqxc [4/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな“アクアジェット”を、ルチャブルはギリギリのところで回避。

氷タイプのツンベアーが“アクアジェット”を使うこと自体が予想外だったけど、一番気になるのは、やっぱり この素早さだ。


 サトシ 「“フライングプレス”!」


けど、ジャンプして回避したことで、ツンベアーの背後を取ることが出来た。

この状況、“フライングプレス”が最適だ。ジャンプしている分、構えてから攻撃に至るまでの時間を短縮できるし、ここで一気に流れを作りたい!


 サトシ 「行けぇぇぇぇぇ!」

 ルチャブル 「ちゃぶぅぅぅぅ!」


 ハルキ 「“れいとうビーム”!」

 サトシ 「あっ……!」


またしても、ルチャブルの攻撃がツンベアーに直撃する寸前だった。

ツンベアーが素早く体勢を整えて空中のルチャブルに向き合うと、その瞬間、“れいとうビーム”を発射した。

上空からの“フライングプレス”の勢いを完全に押し負かす程の高威力の“れいとうビーム”。

それに直撃したルチャブルは、上空へ押しやられた。
 ▼ 188 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 18:31:00 ID:2q.gZqxc [5/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「ルチャブル!?」

 ハルキ 「トドメだ! ”つららおとし”!」


無防備なルチャブルを、“つららおとし”が襲った。

何本もの氷柱が、空中のルチャブルに直撃し、そして、墜落。

地面に叩きつけられたルチャブルに、さらに何本もの氷柱が襲い掛かる。……効果は抜群だ。



 サトシ 「……戻れルチャブル。よく戦ってくれたな」

 ハルキ 「どうだい? 僕のツンベアー。なかなかだろ?」

 サトシ 「行けるか? ピカチュウ?」

 ピカチュウ 「ぴか!」

 ハルキ 「君のピカチュウの素早さが高いことは研究済み。僕のツンベアーと良い勝負が出来そうだねぇ」

 サトシ 「よし。頼んだぞピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴかちゅぅ!」
 ▼ 189 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:13:30 ID:2q.gZqxc [6/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
雨は止まない。

多分ハルキの言った通り、“あまごい”が元々の雨を誘発したんだと思う。

雨――、ツンベアーの“アクアジェット”の威力が上がるって訳か。


……もしかして、ツンベアーの素早さが高いのって、この雨が原因なのか?

雨で素早さが上がる特性、“すいすい”。

けど、氷タイプのツンベアーに“すいすい”って有り得るのか?


 ハルキ 「ツンベアー“つららおとし”!」

 サトシ 「かわすぞ! “でんこうせっか”!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」


今は考えてる暇はない。

けど、それ前提でバトルした方が良さそうだ。

この雨が降っている以上、ツンベアーの素早さは高い状態が続く。スピードでは そこまで有利に立てないってことだ。
 ▼ 190 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:14:00 ID:2q.gZqxc [7/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「そのまま“アイアンテール”!」


落ちてくる氷柱を、ピカチュウは“でんこうせっか”で かわしていく。

そして一気にツンベアーとの距離を詰めて、“アイアンテール”を繰り出した。

鈍く固く光る尻尾がツンベアーに直撃、効果は抜群。


 ハルキ 「“アクアジェット”!」


その直後、ツンベアーの“アクアジェット”がピカチュウに返された。

“アイアンテール”を受けてすぐに動ける当たり、やっぱりツンベアーも、相当に鍛えられてると見れる。


 サトシ 「大丈夫かピカチュウ!?」

 ピカチュウ 「ぴか!」

 サトシ 「よし!」

 ハルキ 「良いねそのピカチュウの表情! このバトル、絶対に勝たせて貰うよ」
 ▼ 191 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:14:30 ID:2q.gZqxc [8/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハルキの奴、“バトルに勝たせて貰う”って、要するにオレに勝ってピカチュウを奪うってことだろ。

そんなこと絶対にさせない!


 サトシ 「ピカチュウ! “でんこうせっか”でツンベアーを翻弄だ!」

 ピカチュウ 「ちゅぴっか!」


ハルキはツンベアーの素早さに相当自信を持っている。

ならこっちは、それを上回るまでだ。ピカチュウ持ち前の素早さと“でんこうせっか”で……。


 ハルキ 「地面に向かって“れいとうビーム”!」

 サトシ 「地面……!?」


オレはハッとした。

地面は濡れている。

雨の影響じゃない。さっきミロカロスが不発に終わった“なみのり”の水が、大量に地面に染み込んでいるのだ。

そんな状態で“れいとうビーム”なんて放たれたら……!
 ▼ 192 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:15:00 ID:2q.gZqxc [9/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「クッ……! ピカチュウ氷柱の上に避難だ!」

 ピカチュウ 「ぴか!?」


“れいとうビーム”によって、濡れた地面は簡単に凍って行く。

オレは すかさず、ピカチュウを“つららおとし”の氷柱の上に退避させた。あのまま地面に居たら、足が凍りついて動けなくなっていたところだった。


 ハルキ 「氷柱の上に逃げるとは……良い判断だね。でも、これで戦況は一気に僕が有利になったよ!」


地面――、フィールドは氷のリンク。

ツンベアーには問題ないだろうけど、ピカチュウは滑って足を取られてしまう。


 ハルキ 「いつまでも氷柱に捕まってられると思うなよ! “アクアジェット”!」

 サトシ 「マズい……! “10万ボルト”で向かい打て!」


ツンベアーは再び水を纏って、ピカチュウに向けて突っ込んできた。

氷柱の上から地面に降ろされたら、一気に動きが鈍ってしまう。それだけは避けたい……!
 ▼ 193 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:15:30 ID:2q.gZqxc [10/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「無駄だ! ツンベアーの素早さと氷のフィールドを甘く見られちゃ困るね!」


ハルキは力強く言った。

その言葉の通り、ツンベアーは氷の上を滑るように、軽やかにピカチュウの攻撃を回避する。

そして、“アクアジェット”はピカチュウに直撃した。氷柱もろとも。


 サトシ 「ピカチュウ!?」

 ハルキ 「まだ行くよ! “つららおとし”!」


凍った地面に倒れ込んだピカチュウの上に、無数の氷柱が作り出される。

そしてそれらが一斉射撃のごとく、ピカチュウに降り注がれる。


 サトシ 「マズい……ピカチュウ! 上に向かって“エレキボール”!」

 ピカチュウ 「ぴっか……ちゅぴっか!」

 ハルキ 「ほぉ〜」
 ▼ 194 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:16:00 ID:2q.gZqxc [11/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
頭上に打ち出した“エレキボール”が、降ってくる氷柱の1つと ぶつかった。

氷柱も“エレキボール”も、特殊ワザのエネルギーの塊のようなもの。そんな2つが衝突したことで、小規模な爆発が起こった。

本当に小規模なものだけど、その爆風で他の氷柱を吹き飛ばすのは簡単だった。


 サトシ 「よし!」

 ハルキ 「その奇想天外な発想は素直に感心するよ」

 サトシ 「黙れ! ピカチュウ“10万ボルト”だ!」

 ピカチュウ 「ぴか!」


“でんこうせっか”や“アイアンテール”と言った物理ワザは、足元が定まらない氷の上ではリスクがあるけど、“10万ボルト”と“エレキボール”なら、足元は そこまで関係ない。

これでなんとかツンベアーに反撃したいところ。


 ハルキ 「無駄だよ。避けろツンベアー!」

 サトシ 「また……!」
 ▼ 195 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:17:00 ID:2q.gZqxc [12/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど、ツンベアーは機敏な動きを見せる。

さすが氷タイプ……、凍ったフィールドを滑るように移動して“10万ボルト”は回避された。


 サトシ 「まだだ! 連続で“10万ボルト”!」

 ハルキ 「回避して接近!」

 サトシ 「あっ……!」


そしてツンベアーは、一気にピカチュウの目の前まで距離を詰めてきた。

ピカチュウが繰り出す“10万ボルト”を上手いこと避けながら、ほとんど一瞬で。


 ハルキ 「“ばかじから”!」

 サトシ 「ダメだ避けろピカチュウ!」

 ハルキ 「遅い遅い!」
 ▼ 196 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:17:31 ID:2q.gZqxc [13/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
直後、鈍い音が響いた。

ツンベアーの“ばかじから”が、抵抗されること無く、ピカチュウに直撃したのだ。


 サトシ 「ピカチュウ!?」

 ハルキ 「トドメの“つららおとし”!」


そして間髪入れずに、“つららおとし”がピカチュウを襲った。

当然、“エレキボール”で防ぐ余裕なんて無かった。


 ハルキ 「どうした? もう終わりかい?」

 サトシ 「大丈夫かピカチュウ!?」


氷柱の隙間から這い出てきたピカチュウは、もうボロボロだった。

“ばかじから”という高威力ワザと、“つららおとし”というタイプ一致ワザ。この2つの連続ダメージは計り知れない。

ピカチュウは辛うじて立っていられるような状態で、出来れば これ以上バトルは続けさせたくないと言うのが、正直なところだ。


 ハルキ 「おやおや。カロスリーグ準優勝者の実力って、これっぽっちだったんだねぇ」

 サトシ 「クッ……!」
 ▼ 197 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:18:20 ID:2q.gZqxc [14/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「まぁ、攻撃力を鍛えに鍛え抜いた僕のツンベアーの“ばかじから”と“つららおとし”を喰らって、まだ立ってることは褒めてあげるよ」

 サトシ 「……その素早さは、“すいすい”だよな」

 ハルキ 「ご名答。とっても珍しい特性なんだ。ミロカロスの“あまごい”は、ツンベアーを強化するためのものさ。無駄になった訳じゃないんだよ?」

 サトシ (さっきのオレの言葉を……!)

 ハルキ 「さて。そのピカチュウ、まだバトル続けられるかねぇ? 続けられたとしても、雨は止まないだろうから、そもそも攻撃を当てられるのかねぇ?」


悔しいけど、ハルキの言う通りだ。

例えバトルを継続しても、雨と氷のフィールドで、ツンベアーは相当 機敏に動けるし、機動力も半端ない。

オレたちにとって、あまりにも分が悪すぎる。


 ハルキ 「……なんだ? 反論も無しか。笑わせるね、その程度でカロスリーグ準優勝なんて」

 サトシ 「ハルキ……!」

 ハルキ 「これ時間稼ぎなんて必要無かったかもね。君の女……、セレナの方も、とっくにルイナに片付けられてると思うし」

 サトシ (セレナ……)
 ▼ 198 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:19:20 ID:2q.gZqxc [15/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「だいたいセレナの方もアレだね。おめでたいよ。ポケモンパフォーマー、カロスクイーンを目指してるなんて、実に生産性の無いことだ」

 サトシ 「なに!?」

 ハルキ 「ポケモンの価値の見出し方を言ってるんだ。僕は珍しいポケモンに興味がある。そしてそれを欲しがる人が居るから、僕の計画、ビジネスが成り立つんだ」

 サトシ 「………」

 ハルキ 「サトシのようなトレーナーのことも、僕は理解してるつもりさ。バトルして強さを極める――、悪くないことだ。ポケモンには闘争本能があるし、戦うポケモンは美しい」

 サトシ 「………」

 ハルキ 「けど、トライポカロンは意味が分からないね。野生で生きてきたポケモンを美しく着飾ってどうするって言うんだよ」

 サトシ 「それこそ価値観の違いなんじゃないのかよ?」

 ハルキ 「コンテストと違って、バトルの無いイベント。ポケモンの本能をまるで無視してる、お遊戯会だよ、アレは」

 サトシ 「お遊戯会って……!」

 ハルキ 「そんなことしてるから、君のセレナは弱いんだよ。つけ込まれるんだよ。今回の作戦だって、セレナが弱いからこそ成り立ったんだ。ある意味、セレナに感謝だね」

 サトシ 「ハルキ……お前っ……!」

 ハルキ 「サトシ、本当のこと言いなよ。トライポカロン何て言うレベルの低い芸当をする女より、もっと熱い……、バトルに力を入れている女の方が好みなんだろ? 少なくとも僕は そうだね」

 サトシ 「ふざけるなぁぁぁ!!!」
 ▼ 199 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/10 20:20:20 ID:2q.gZqxc [16/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「は?」

 サトシ 「お前にセレナの何が分かるんだよ!? セレナの努力を知らないお前に! セレナの頑張りを……セレナの強さを知らないお前に! セレナの悪口を言うのはオレが許さないぞ!!!」


なかなか夢を見つけられないで焦っていたセレナ。

夢を見つけて、初めてのポカロンのステージで失敗したセレナ。

それでも努力と練習を重ねて、フウジョ大会でミルフィを破って優勝して、嬉し涙を流したセレナ。

人見知りのイーブイと一緒に成長して、怒涛の追い上げで3本のプリンセスキーを手にしたセレナ。

ライバルたちに勝ち抜いて、憧れのエルさんと真剣勝負を繰り広げて、全力を出し切ったセレナ。

もっと成長したいと、ホウエンへの旅立ちを決意したセレナ。


 サトシ 「……そんなセレナの、どこが弱いって言うんだよ!? セレナのこと何も知らないお前が! セレナを弱いなんて言う資格なんて無い! そんなことオレが認めないっ!!!」

 ハルキ 「なにムキになってるんだよ」

 サトシ 「お前がセレナを悪く言うのが許せないって言ってるんだ!」

 ハルキ 「けどね。今この状況。カロスリーグ準優勝者だって言うのに、リーグに出たこと無い僕に完敗してる状況で、君の言葉に説得力は皆無じゃないか?」

 サトシ 「まだだ! まだバトルは終わってない!」

 ハルキ 「ほぉ〜。これだけ不利な状況なのに まだ言うのか。……もう勝負は付いてるんだよ! トドメ刺すぞツンベアー!」

 サトシ 「クソッ……!」
 ▼ 200 タドガス@ロックメモリ 17/04/10 21:03:30 ID:rKyUgjVQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 201 ルタンク@きんのいれば 17/04/11 06:35:26 ID:scM93zpw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 202 コザル@リピートボール 17/04/12 16:20:10 ID:e9hIetGM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 203 リジオン@ぼうごパット 17/04/16 14:09:40 ID:UHnlpqlM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援なり
 ▼ 204 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:13:30 ID:FDQD7Blw [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
考えろ。考えろ、この状況。

ツンベアーは、ルチャブルの“からてチョップ”と“アイアンテール”を受けている。平気そうな顔してるけど、効果抜群のワザを受けてるんだ。ダメージは溜まってるはず。

フィールドは氷。ミロカロスの置き土産で水浸しのフィールドが凍らされた形。

雨。“あまごい”が発端だけど、元から天気は悪かったし、さっきから何だかゴロゴロ言ってるから、多分これは自然の雨。

“つららおとし”の氷柱は、ルチャブル戦からのものを含めて、まだ何本も地面に突き刺さっている。


 ハルキ 「もう1発“ばかじから”だ! 2回目だけど まだまだ高威力で行けるぜ!」


地面に突き刺さる氷柱。

氷のフィールド。

雨。

ゴロゴロ言ってる空模様。



 サトシ 「……これだ! ピカチュウ行くぞ! 地面に向かって“アイアンテール”! 飛び跳ねろ!」

 ピカチュウ 「ぴかぴ……ちゅぴっかぁ!」
 ▼ 205 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:14:00 ID:FDQD7Blw [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウは大きく頷いた。

オレのこと、オレの作戦を信じてくれた証拠だ。

オレだってお前のこと信じてる。だからこんな作戦、思いついたんだぜ?


 ハルキ 「外したか……!」


ピカチュウは地面に叩きつけた“アイアンテール”の衝撃を利用して、大きくジャンプした。

こうしないと、滑ってジャンプの高さを得られないからな。


 サトシ 「電気を帯びろ! “10万ボルト”用意!」

 ピカチュウ 「ぴぃぃぃかぁぁぁぁ……!」


来い!

来い、来い、来い、来い、来い!



 ― ピカッ!

 ▼ 206 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:14:40 ID:FDQD7Blw [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
来た!


 サトシ 「その雷、貰ったぁ!」

 ハルキ 「なっ……!?」


暗雲から落とされた雷が、ピカチュウに直撃する。

このタイミングで雷が落ちるかどうかは賭けだったけど、落ちればピカチュウに向かうように、電気を纏わせたんだ。

雷でピカチュウの電撃がパワーアップするのを、オレは知っている。

初めて会った日。それに、メロエッタをロケット団や霊獣から守った時、ピカチュウは大きな電気を繰り出した。それと同じことだ。


 ハルキ 「ッ……! ツンベアー動け! とにかく動け! あんなの受けたらマズいぞ!」


平静を装っているように見えるハルキだけど、あれは内心、焦っている。

ってことは、実はツンベアーの防御は、それほど高くないんだろう。

攻撃を鍛えたって言ってたし、“すいすい”で素早さを強化してるなら、防御は捨ててるって考えてもおかしくない。
 ▼ 207 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:15:21 ID:FDQD7Blw [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「行くぜピカチュウ! 最大パワーの……“10万ボルト”!!!」

 ピカチュウ 「ぴぃぃぃぃぃかぁぁぁぁぁちゅううううぅぅぅぅぅぅぅ!!!」


青白い輝きを見せるピカチュウから放たれる、“10万ボルト”。

雷のエネルギーを貰って最大限に強化した“10万ボルト”。

それは多分、“10万ボルト”の域を超えていると思う。

言うならばそう……“1000万ボルト”!


 ハルキ 「臆するなツンベアー! そんなの当たらなければ意味ない!」


ハルキが叫ぶ通り、確かに当たらなければ意味は無い。

ツンベアーは“すいすい”の素早さと、氷上の身軽さ駆使して、氷のフィールドの上を縦横無尽に駆け回る。

正直、この状態のツンベアーにワザを当てるのは相当厳しい。


普通なら、な。
 ▼ 208 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:16:01 ID:FDQD7Blw [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
飛び跳ねた状態のピカチュウから、“10万ボルト”が撃ち落とされる。

けどオレは、攻撃方向を指示していない。


撃ち落とされた“10万ボルト”の電撃が、何方向にも分裂する。

そして、フィールドに注がれる。


 ハルキ 「なっ……これっ……はぁ!?」


爆音。

雷が落ちるような爆音とともに、青白い閃光がフィールドを支配する。


 ハルキ 「ダメだ出ろツンベアー! 凍った部分から外に出ろ!」

 サトシ 「遅いぜ!」


尖った氷柱と、凍ったフィールド、そして雨。

激しく降る雨は、氷柱に水分を含ませる。凍ったフィールドの表面に水の膜を作る。
 ▼ 209 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:16:40 ID:FDQD7Blw [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウの電撃は、まずは氷柱に落ちた。避雷針だ。

そして、氷を伝って、水の膜を伝って、凍ったフィールド全体に、電流が行き渡る。

何本もの氷柱避雷針へと分散した電撃が、凍ったフィールド上で、たちまち一つになる。



フィールドが、悲鳴を上げた。



フィールドが青白く光る。黄色く光る。

雷を受けてパワーアップした、ピカチュウの渾身の“10万ボルト”が、フィールドを襲ったのだ。

一瞬の閃光の後、フィールドは地割れを起こした。砂煙を上げながら。

ゴォォォォ、という、地の底から湧き出るような鈍い鈍い音を発しながら。


そんなフィールドに足を付いていたツンベアー、無事な訳が無い。

ピカチュウの“10万ボルト”が伝わって、痺れ、割れた地面に呑み込まれたのだ。
 ▼ 210 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/17 23:17:40 ID:FDQD7Blw [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ハルキ 「ぁっ……お前っ……、嘘、だろ……!?」


視界が晴れる。

そこには、変わり果てたフィールドと、割れた地面に嵌って気絶しているツンベアーの姿があった。

ピカチュウはと言えば、ボロボロになりながらも、氷柱の上に堂々と立っていた。


 サトシ 「いぃぃぃよっしゃぁぁぁぁ! 良いぞピカチュウ! 良くやった!」

 ピカチュウ 「ぴかぴぃか!」

 ハルキ 「おいツンベアーしっかりしろ! ツンベアー!?」

 サトシ 「ハルキ。お前、ピカチュウの攻撃を“当たらなければ意味ない”って言ったよな」

 ハルキ 「……クッ!」

 サトシ 「確かにお前のツンベアーは素早くて、攻撃は当てられなかったよ。けど、氷のフィールドを過信してた お陰で、この作戦を思いついたんだ」

 ハルキ 「僕の戦略を……逆手に取ったって訳か」

 サトシ 「そうだ。これがオレたちの力だ! お前がバカにした、カロスリーグ準優勝者の実力だ!」

 ハルキ 「……それがどうした!? こっちは まだ負けた訳じゃねぇ! これからが……!」



 ルイナ 「ハルキ!」
 ▼ 211 ブルモ@さざなみのおこう 17/04/17 23:24:53 ID:XsFgnIuA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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