【SS】赤くて灰色【ぷ】:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】赤くて灰色【ぷ】:ポケモンBBS

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ポケモン

【SS】赤くて灰色【ぷ】

 ▼ 1 しー◆iTFigG3P7M 17/01/18 21:21:14 ID:rphu2.LY [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
よおーッ!レッド!レッドも来たのかよ!
……はッはッうれしいぜ!ライバルのおまえが弱いと張り合いがないからな!
俺は図鑑集めながら完璧なポケモンを探した!いろんなタイプのポケモンに勝ちまくるようなコンビネーションを探した!
……そして今!俺はポケモンリーグの頂点にいる!レッド!この意味がわかるか?

……………………分かった!教えてやる!この俺様が!世界で一番!強いってことなんだよ!
 ▼ 17 ワライド@うつしかがみ 17/01/18 22:12:34 ID:u8phoDkE NGネーム登録 NGID登録 報告
>>15
ならデデーンすれば?

デデーン!
 ▼ 18 しー◆iTFigG3P7M 17/01/18 22:22:54 ID:rphu2.LY [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
 こちらの真剣さが伝わったのか、グリーンは神妙な顔で、少し間を置き言う。


「なら、俺と今からバトルしろ。そしたら、考えてやるよ」


─────────
─────────


「いけっ、カビゴン」

「ピジョット!」

 グリーンとバトルするのも久しぶりだ。

いや、そもそもバトル自体、久しぶりなきがする。


「カビゴン、のしかかり」

「ピジョット、そらをとぶで躱せ!」


 闘いが始まってすぐ、懐かしさがこみ上げる。

 あぁ昔は──少し前は、いつもこうやってバトルしていたな。そして、いつもグリーンには敵わなかった。

 だから、俺は嬉しかったんだ。頂点を決める闘いがお前との、グリーンとの闘いであったことが。

その頂に、先にグリーンが座っていたことが。
 ▼ 19 しー◆iTFigG3P7M 17/01/18 22:26:12 ID:rphu2.LY [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
 でも、勝ち取った頂は想像以上に窮屈で、不自由だった。

なんてことはない行動の裏に悪意を見られ、自分の時間はなくなる。

それを拒むのは無責任かもしれない。遮二無二目指し、辿り着いた頂に不満をこぼし、手放すのは。

でも、耐えられなかった。
 ▼ 20 しー◆iTFigG3P7M 17/01/18 22:29:54 ID:rphu2.LY [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
 バトルは詰めの段階に差し掛かっていた。状況は、劣勢。もう、ひっくり返せないくらいに。

 とても冷めたバトルだった。相棒のリザードンも疲弊していた。

「ウインディ、ワイルドボルト!」


 雷を纏った突進で、リザードンは呆気なく地に伏した。


「ごめんな、皆んな。」

「…………いいだろう。チャンピオン、なってやるよ。……今のお前に、そこは相応しくない」


「ごめん……」


 グリーンは何も言わずに立ち去った。誰もいなくなった闇の中、もう一度呟く。


「ごめん……」


 それは誰に向けたものなのか、自分でもわからない。

不要に傷ついたポケモン、失望さしてしまったグリーン、不甲斐ない自分。

その全てかもしれないし、どれでもないかもしれない。
 ▼ 21 しー◆iTFigG3P7M 17/01/18 22:34:06 ID:rphu2.LY [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
 後日、チャンピオンの称号を正式にグリーンに受け渡す手続きをした。


去り際にグリーンが呟く。


「待ってるからな」


 それを聞こえないふりして、ただ静かに笑った。
 ▼ 22 しー◆iTFigG3P7M 17/01/18 22:39:26 ID:rphu2.LY [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
 チャンピオン引退のニュースはすぐに広まった。

マサラという辺境の地までバッシングにわざわざ訪れる人もいた。

グリーンも忙しくしているようだ。申し訳ない。

 俺はただ、部屋の中で布団をかぶり、死人のように座っていた。
 ▼ 23 しー◆iTFigG3P7M 17/01/18 22:43:25 ID:rphu2.LY [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
 布団の中で膝を抱え、自分だけの空間を想像する。


 そこはドアも窓もない、灰色の部屋。

音も風もない静寂で安息の部屋。

そこでは必要以上に傷つくことも、何もない。


天井からは少しだけ光が射している。

光の筋は床に届く前に灰色の中に吸い込まれ、消えていく。

俺はその部屋の中心で座ってる。
 ▼ 24 しー◆iTFigG3P7M 17/01/18 22:44:12 ID:rphu2.LY [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
 あぁ、なんて心地いい空間だろう。

 窓もドアもないその虚無の空間に内側から鍵をかける。

自身の心まで部屋の灰色に溶けていくように感じた。

 空気も入り込まないその部屋で、心が窒息するまでずっと。



ずっと……。



 ▼ 25 ンジュモク@ほのおのいし 17/01/18 23:03:13 ID:ccHEETK6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 26 ャヒート@きんりょくのハネ 17/01/18 23:10:03 ID:D9SVE5S2 NGネーム登録 NGID登録 報告
シリアスか支援
 ▼ 27 ェイミ@オーキドのてがみ 17/01/18 23:10:25 ID:ge3SmpbA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援......ってもう支援米あった
 ▼ 28 しー◆iTFigG3P7M 17/01/18 23:13:17 ID:rphu2.LY [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日は一旦終了です
 ▼ 30 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 19:59:02 ID:.IFkmnnQ [1/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 突然、視界が白んだ。




布団を取り上げられた。




灰色の部屋の壁は強引に蹴破られ、鍵が壊された。
 ▼ 31 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 19:59:58 ID:.IFkmnnQ [2/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
「何やってんだよ。おめぇ」


 震えた声が聞こえる。脳が久しぶりに音を受容する。

グリーンの声だ、と声の元を見上げて遅れて気付く。


 もう、三ヶ月も経っていたらしい。


「なんで、そんなになってんだよ」


 嫌なんだ。

記者の声も、嘲るような声も。称賛の声も。

 粗を探す卑屈に歪んだ視線も。羨望の眼差しも。

 こころでそう呟くが声が出ない。


「…………」
 ▼ 32 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:04:36 ID:.IFkmnnQ [3/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 グリーンが怒鳴るように、静かに言う。


「ほら、ボール持てよ。バトルしろよ。ポケモンと向き合えよ……!」

「…………」


 グリーンに握らさせられたボールが掌から落ちる。



 ゴツン。




 ボールはそのまま部屋の隅へ転がり、壁に当たって止まった。

 俺はそれを見て、家、傾いてたんだな、と思った。
 ▼ 33 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:09:06 ID:.IFkmnnQ [4/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 グリーンは諦めたように立ち上がり、部屋から出ようとする。


「……お前のポケモン、おばさんが面倒見てんだぞ」


 そう、言い残した言葉は柔らかい棘になって心に少し、刺さった。
 ▼ 34 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:14:23 ID:.IFkmnnQ [5/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 どれくらい時間が経っただろう。

 俺は部屋の隅のボールに目をやった。

のそのそと這い寄り、手に取る。それは、驚く程懐かしく、そして手に馴染んだ。




 壊された壁から灰色の部屋に新たな空気が入り込む。



 ▼ 35 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:18:29 ID:.IFkmnnQ [6/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 外に出よう。なんとなくそう思った。

部屋を出ると、今が昼であることに気づいた。

時間の感覚はとっくに無くなっている。

それを指し示すものは、定期的に部屋の前に来るご飯のみだったからだ。
 ▼ 36 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:21:34 ID:.IFkmnnQ [7/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ポケモンの入ったボールを手に取り、外に出る。

久しぶりの外は刺激に満ちていた。


 室内とは違う外の、風の匂い。

鳥の声。

土の感触。


五感で外を感じる。


 でも、心は灰色のまま。壊された灰色の壁の穴の奥には、墨でベタ塗りしたような闇が広がっている。
 ▼ 37 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:26:21 ID:.IFkmnnQ [8/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 辺りを少し歩くと、トレーナーに声をかけられた。


「目と目があったらポケモン勝負!」


 どうやら新人トレーナーのようだ。


「…………」


 俺はラプラスを繰り出す。相手はコラッタ。


「ラプラス、波乗り」


 勝負は当然、1発で終わった。でも、その呆気ない勝負の中に、確かに光を見た。そんな気がした。指示する声も出た。


「ひえー強っ…………ん? ひょっとして……レッドさん!?」


 気づかなかった。と、トレーナーが言う。それも当然かもしれない。髪も伸びたし、何より雰囲気が違う。


「…………」


 声は出なかった。穴からは見えたような気がした光はもう姿を消しており、今はまた、闇しか覗いていない。
 ▼ 38 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:27:32 ID:.IFkmnnQ [9/22] NGネーム登録 NGID登録 報告



 俺はふと思い立ち、セキエイ高原のグリーンの元にリザードンに乗って向かった。




 セキエイに着くと、グリーンは外に出ていた。

 待っていたかのようにこちらに近づき、グリーンは言った。


「窓からお前のリザードンが見えてな、出てきてやったんだよ。四天王倒さなきゃ、俺には会えないだろ」


 で、どうしたんだよ。とグリーンが続ける。
 ▼ 39 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:28:25 ID:.IFkmnnQ [10/22] NGネーム登録 NGID登録 報告


「…………」


 バトルしよう、と伝えた。

ポケモンと一緒にバトルしている時だけ、光が見える。そう感じた。




「いいぜ。でも、それなら正式な手続きを踏んでくれなきゃな。お前は挑戦者だ。まず、四天王を倒して俺のとこへ来い」


 頷くと、グリーンはリーグの中へ消えていった。
 ▼ 40 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:29:16 ID:.IFkmnnQ [11/22] NGネーム登録 NGID登録 報告


 四天王と闘うたび、灰色の部屋の壊れた壁から光が覗いた。

体が火照った。

でも、それはバトルが終わるとすぐに隠れ、体も冷める。







まだ、居心地のいい灰色の部屋に、明かりは灯らない。




 ▼ 41 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:30:37 ID:.IFkmnnQ [12/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 チャンピオンの間に着いた。グリーンが高みから叫ぶ。



よおーッ!レッド!来たか!

……はッはッうれしいぜ!ライバルのおまえが弱いと張り合いがないからな!

俺はチャンピオンの座に着いても完璧なポケモンを探し続けた!

いろんなタイプのポケモンに勝ちまくるようなコンビネーションを探し続けた!

……そして今!俺はポケモンリーグの頂点にいる!レッド!

この意味はもう…………わかるだろう?




 グリーンは半年前と同じセリフを同じ高みから口にした。




 ボールを手にやる。


バトルが始まる。


光が、見える。
 ▼ 42 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:31:57 ID:.IFkmnnQ [13/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 バトルの結果は散々だった。

俺はグリーンの手持ちの三体目までしか引きずり出せずに敗北した。




 でも、よかった。




相変わらず灰色のままだけど、バトルしてよかった。そう、思う。


「残念だったな。俺に挑むにはまだまだ早い」


 グリーンがそう笑う。
 ▼ 43 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:33:01 ID:.IFkmnnQ [14/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 俺はその場でタウンマップを広げた。ある場所を指差す。


シロガネヤマ


カントーで最も高い山だ。


「急になんだよ。ここに行くのか?」


 コクン、と頷く。



 俺にはグリーンみたいにチャンピオンの頂に居るのは耐えられない。
だから、俺は俺の立てる頂に立つ。



「ここって、一部のトレーナーしか入れない危険地帯だぞ……って、余計な心配か」
 ▼ 44 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:33:56 ID:.IFkmnnQ [15/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 チャンピオンの間から出るときグリーンがいった。


「俺はこの頂に座り続ける。でも、1人でただ座るのはつまらない」

「登って来いよ。俺の居るとこは元々お前から譲られた場所だ。このままじゃあ俺もモヤモヤする」



 もう一度コクン、と頷きそこを去る。


そして、シロガネヤマへ向かった。
 ▼ 45 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:34:44 ID:.IFkmnnQ [16/22] NGネーム登録 NGID登録 報告





 それから何年も経った。




俺の体は大人になったが、まだ灰色の部屋から出てはいないし、光もない。
 ▼ 46 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:35:23 ID:.IFkmnnQ [17/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 以前俺は、何故故郷の地が優しくないのか、と思っていた。

今はこう思う。

故郷だからこそ優しくないのだ。

故郷ほど残酷で無遠慮な所はない。見知った仲というのは、関わりのない他人よりもずっと無神経だ。
 ▼ 47 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:36:01 ID:.IFkmnnQ [18/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
 シロガネヤマの頂には、どこから聞きつけたのか何人かのトレーナーも訪れた。




 俺は今も頂で、灰色の部屋の中で待っている。




いつか、部屋を眩い光で満たしてくれるようなトレーナーが、現れるまで。
 ▼ 48 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:37:24 ID:.IFkmnnQ [19/22] NGネーム登録 NGID登録 報告


【エピローグ】




 足音が聞こえた。






見知った顔を面影に残すトレーナーが姿を見せた。





「よぉー、レッド。どうやら、ある地方で新チャンピオンが誕生したらしいぞ。

しかもその地方には珍しいポケモンもわんさかって話だ。

……ってオーキド博士が言ってた」
 ▼ 49 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:38:29 ID:.IFkmnnQ [20/22] NGネーム登録 NGID登録 報告





 ──なぁレッド






「アローラへ行かないか?」
 ▼ 50 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 20:40:32 ID:.IFkmnnQ [21/22] NGネーム登録 NGID登録 報告







          了














 ▼ 51 セロラジュース◆YOerWI2lvg 17/01/19 21:07:09 ID:YzMHj4nk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ▼ 52 ウカザル@みどりのバンダナ 17/01/19 21:16:36 ID:Wq5AjRhk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 53 ケッチャ@きんのたま 17/01/19 21:17:39 ID:Wq5AjRhk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
そう言えば【ぷ】って何?
 ▼ 54 しー◆iTFigG3P7M 17/01/19 21:22:16 ID:.IFkmnnQ [22/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>53
「ぷしー」の[ぷ]

ルカが自分のSSを識別しやすくしてるのをパクった


俺がSSを書いてるのもルカが切欠だったりする
 ▼ 55 ィアルガ@あおぞらプレート 17/01/19 21:44:08 ID:KTA9rd0k NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 56 フォクシー@ハガネールナイト 17/01/19 22:10:11 ID:iJpuhQ8I NGネーム登録 NGID登録 m 報告

独特な心理描写が好き
面白かった
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