【SS】そうだ、島巡りに行こう:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】そうだ、島巡りに行こう:ポケモンBBS

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【SS】そうだ、島巡りに行こう

 ▼ 1 SxCy/NIFN. 17/02/18 06:33:20 ID:lUs7RGUg [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ただの少年がこれといった事件に巻き込まれることもなく普通にのんびり島巡りする小説です。
多少設定が適当だったり、たまに原作と矛盾することもあるかと思いますが許してください。

【プロローグ】

俺はしがない短パン小僧。

そろそろ半袖短パン姿が痛々しくなってきた13歳だ。

2年前に島巡りに挑んで最初の試練で挫折してしまい、学校に戻るに戻れず、今までずるずると引きこもっていた。
 ▼ 19 SxCy/NIFN. 17/02/18 07:08:33 ID:lUs7RGUg [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺はポケモンセンターのソファに座って、コイルの回復を待っていた。


勝負は一瞬だった。

でんきショックのチャージ中にかみつかれて、即瀕死。

コイルにとっては初戦闘とはいえ、俺は一応6日間だけトレーナーをやっていたのだ。

まさか最弱のトレーナーが集う道路にいるやつに遅れを取るとは思ってなかった。

でんき技が割と隙が大きいのを知らなかったのは俺が悪いとは思うが、だからって一撃でやられるとは…

項垂れていると、ジョーイさんがカウンター越しに話しかけてくる。

ジョーイさん「気をつけてくださいね。最近、1番道路で初心者狩りが流行ってるらしくて…」

いや、ふざけんなよ……
 ▼ 20 マガル@きいろのバンダナ 17/02/18 07:15:26 ID:Te3WNp0A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 21 SxCy/NIFN. 17/02/18 07:16:15 ID:lUs7RGUg [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>18
基本システムは
1年〜5年、島巡り年間、6年、中学…
って感じです
日本の学校システムに島巡りをぶち込むならどうなるのかってのを考えて、こういう設定にしました
だから飛び級とかはあんま考えないですね。シトロンが大卒であることを考えれば可能だとは思いますが、1年以上かかるような旅にはなりませんし。
(一応1年でクリアできなかったら島巡り浪人をする人もいるって設定です。)
まぁ別にいつ休学しようが構わないしなんなら夏休みとか使って細切れに試練やジムを越えればいいわけですが、学校と島巡りの慣習を並立するならこうだろうなぁ、と。
 ▼ 22 SxCy/NIFN. 17/02/18 07:19:00 ID:lUs7RGUg [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンを持つのは10歳から、島巡りは11歳から。

つまり10歳からポケモンを持っていたちょっと強いトレーナーが、島巡りが始まる時期に合わせて最初のポケモンをもらったトレーナーを狩っているわけか。

なんて悪趣味なんだ、クソッ。

とにかく、理不尽なレベル差の暴力により路銀の1割を失ってしまった。

しかも、付近の道路にいるのが初心者狩りか初心者か区別がつかないと来た。

さらに、これは眉唾ものの情報ではあるが、超高レベルのトレーナーがこの辺りで弱いポケモンをひたすら蹂躙する姿も目撃されているらしい。

かといってレベル上げをしないことには先に進めない。

どうしたもんかねぇ。
 ▼ 23 マザラシ@シールいれ 17/02/18 07:19:10 ID:5rUJX/TU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コイルはじりょくだったか……。
 ▼ 24 SxCy/NIFN. 17/02/18 07:20:50 ID:lUs7RGUg [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジョーイさん「お待ちどうさま。コイルはすっかり元気になりましたよ」

「ありがとうございます」

受け取ったボールからコイルを出してみると、確かに歯型は治っていたが心なしかしょんぼりしている。

そうだよなぁ。昼までずっと電柱に張り付いてて、やっと解放されたと思ったら初戦闘であの仕打ちだもんなぁ。

窓の外を見ると、空はすっかり茜色に染まっていた。

まだ休むには早い時間だが、今日はもう動く気になれない。

コイルも体力は回復したが、これからまたバトルさせるのは少し酷だろう。

今日の旅はここまでにして、明日からまた頑張ろう。
 ▼ 25 ノアラシ@ホロキャスター 17/02/18 07:21:54 ID:WVRcNnG6 NGネーム登録 NGID登録 報告
>>19
1番道路で初心者狩りって…
ひでぇwww
 ▼ 26 SxCy/NIFN. 17/02/18 07:23:44 ID:lUs7RGUg [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
家から10分のポケモンセンターにいるんだから旅もクソもないと思うが、雰囲気を重視してポケセンに宿泊することに。

旅立った手前初日から「ただいまー」ってのもバツが悪いしね。

とりあえずカフェで夕食をとった後、貸しシャワーを浴びた。

コイルにも浴びせてみたら思いの外気持ちよさそうにしていた。無機物のわりに表情豊かなやつだと思う。

カウンターで素泊まり1泊の料金1000円を支払って寝袋を受け取り、2階の宿舎に移動する。

個室はなく、大部屋に適当に場所をとって寝る形式らしい。

部屋の端に寝袋を敷いて仰向けに寝転がり、今後のことを考える。
 ▼ 27 ラナクシ@はっかのみ 17/02/18 07:24:54 ID:v8F1K/Ww NGネーム登録 NGID登録 報告
>>21
あっ、飛び級っていうのは5年と6年の間に島巡り休学をしないってことです。
それなら僕は島巡り休学をしないで島巡りをしようかな?
 ▼ 28 SxCy/NIFN. 17/02/18 07:28:59 ID:lUs7RGUg [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
朝昼晩メシと宿泊代、あとポケモンのエサ代あわせて一日2500円ちょっと。雑費含めて月8万ほど。

きずぐすりやボール代も考えなければならない。

このままでは2週間ほどでお小遣いが尽きる計算になる。

島巡り開始から1年間は宿泊や食事の大部分が無料なので本来はあまり苦労しないのだが、島巡り浪人はこれがキツイ。

(もっとも、保護者からの学校集金によって賄われているサービスなので事実上の前払いである。

両親からすれば1年島巡りする前提で払った集金を6日でフイにしてしまっているので、結構申し訳ない。)

旅に出るのを勢いで決めたはいいが、現実的に見て相当な金欠になるのは避けられないだろう

初心者狩りや謎の高レベルトレーナーの問題もあって、資金稼ぎが厳しすぎる。

一度両親に掛け合って見たほうがいいかもしれない。

俺は腹の上でポケマメの最後の一口をかじっていたコイルをボールに戻して目を閉じ、長い一日を…

…ん?
あの体でどうやってポケマメ食ってたんだ?

まぁいいや。

長い一日を、終えた。
 ▼ 29 SxCy/NIFN. 17/02/18 07:31:14 ID:lUs7RGUg [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
1日目の手持ち

コイル Lv7 じりょく
たいあたり
ちょうおんぱ
でんきショック
マグネットボム
 ▼ 30 SxCy/NIFN. 17/02/18 07:46:19 ID:lUs7RGUg [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日暇だったのでここまで書きましたが、しばらく忙しいので2話は来週になるかと思います
 ▼ 31 ーメイル@スチールメモリ 17/02/18 08:50:12 ID:4pWlCupM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 32 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:04:36 ID:gciIzhW6 [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【2日目】

硬い床に寝袋一枚で寝ていたせいか、体の節々が痛い。

電柱に登ったりポケセンまで走ったりと慣れない運動をしたせいもあるかもしれないが、とにかく肩や腰が痛い。

ともあれ、旅が終わるまではしばらくこの就寝環境だ。場合によっては野宿もするだろう。早めに慣れておきたい。

さて、当面の目標は《イリマの試練》へのリベンジだが、まずはポケモンを強化しなければ始まらない。

単純に試練攻略の適正レベルまで上げる必要があるのもそうだが、ポケモンが弱いと賞金収入が入らずジリ貧である。

とりあえずしばらくはレベル上げと、できれば試練までに1〜2匹は仲間を増やしておきたい。
 ▼ 33 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:06:14 ID:gciIzhW6 [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とはいえ、初心者狩りが横行している街の近くの道路の草むらに行くのはやはり厳しい。

目を合わせなければいいだけかとも思ったが、『狩り』と言うからにはありとあらゆる方法で目を合わせてくるのだろう。

一度引っかかる度に貴重な路銀が1割削られるし、何よりいちいち瀕死にさせられるコイルが可哀想だ。

というわけで今日の目的地はハウオリシティはずれ、1番道路南半分の海岸部分である。

あの辺りは試練への道筋に直接関係がないエリアだからトレーナーの数が少ない、イコール初心者狩りもいないはずだ。

多少レベルは高いがみずタイプのポケモンが多く生息しているとのことなので、コイルの修行には最適だろう。

ついでに苦手な炎や地面の対策として新たな仲間を捕獲してもいいかもしれない。

そうと決まれば出発だ。

寝袋をカウンターで返却し、きずぐすりとモンスターボールを数個購入してポケモンセンターを後にする。

よっしゃ島巡りするぜ!
 ▼ 34 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:08:23 ID:gciIzhW6 [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
街を抜けて海岸の草むらまで徒歩で小一時間。

ちょっとした散歩くらいの距離でも、わりと息が切れるし筋肉痛がじわじわと悲鳴をあげる。

この体力のなさは、短パン小僧の面汚しと言われてもちょっと反論できない。

だが、へたってもいられない。ここからが今日のメインだ。

サイコソーダをぐっと飲み干し、休憩を切り上げて立ち上がる。

ざっと周囲を見渡したところキャモメと死闘を繰り広げている新人がいるのみで、初心者狩りと思しきトレーナーは見受けられない。

よし、今日は行けそうだ。ボールからコイルを出し、息を潜めて草むらに潜入する。
 ▼ 35 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:10:50 ID:gciIzhW6 [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
作戦は昨日の1番道路と同じく、背後から近づいて電撃で奇襲。

でんき弱点で動きが遅いヤドンが狙い目だ。

む、早速草陰にピンクのしっぽを発見。コイルに小声で指示を出す。

「いいか、行くぞコイル。あのしっぽめがけて、でんきショックだ。できるだけ、静かにな…!」

俺の声に応えるように左右のU磁石がくるくる回り出す。充電の動作だ。

昨日のコラッタ戦ではこの隙を突かれて手痛い反撃を食らったが、生憎今は完全に意表をついている。

「よし、やれっ…!」

「###%!」
 ▼ 36 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:12:13 ID:gciIzhW6 [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2つの磁石の間から草の隙間を縫って青白い電光が一閃!

おし、直撃………あれ?

「やぁん?」

なんてこった、確かに当たったは当たったが、わりと平気そうだ…。っていうか完全に気づかれたな…。

ヤドン「やぁーーーぁ…」

あくびしてるし…。どうしよう、ここは一旦逃げて油断したところにもう一回 \ゴトン/

ゴトン?

足元に、ぐっすり寝息を立てるコイルが転がっていた。

ーーーしまった、あくび!
 ▼ 37 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:15:20 ID:gciIzhW6 [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
眠ってしまって隙だらけのコイルに向かって、ヤドンがのっそのっそと距離を詰めてくる。

「起きろ!起きろって!来てるから!おおい!」

ぺしぺしと叩きながらコイルに呼びかけるも、その寝顔はとても安らかだ。

畜生、作戦は失敗だ!

俺はコイルを抱え上げて草むらの外に向かって駆け出した。意外とっ…重いっ…!

「うぉい起きろって!早く…うなッ!?」

突然背後から大量の水をぶっかけられて前のめりにすっ転んだ。

地面は柔らかい草地なのでダメージはないが、どうやらやすやすと逃してはくれないようだ。

見た目の割に執念深いな…!
 ▼ 38 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:16:38 ID:gciIzhW6 [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「##÷…?」

コイルが寝ぼけた声を上げて目を開ける。

「ようやく起きたか!こうなったらもうやるしかない、バトルするぞ!」

そもそも正面先頭は無理と決めつけていたのがダメだった。

あくびは仮に使われても10秒程度なら意識を保てるわざのはずだ。

あそこで逃げるかどうか迷ったりせず、即決ででんきショックを指示すればそれで倒せたかもしれない。

「コイル、でんきショック!」

「##%%……+#!?」

指示に合わせてコイルがチャージ体制に入ったが、すぐさま飛んで来たヤドンのみずでっぽうを頭から被ってしまう。

致命傷ではないようだが、集中が切れたのかチャージ中の電気が散りぢりになっていた。

くそっ、これじゃ攻めるに攻めれん!
 ▼ 39 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:21:00 ID:gciIzhW6 [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
使ったことがないが、他の技ならどうだろうか。やってみる価値はあるか…!

「コイル、ちょうおんぱ!」

「%%…@!」

「んやぁ!?」

キイィーンとつんざく耳鳴り音を伴って、ヤドンに見えない何かが炸裂した!

なるほど、ちょうおんぱは出が早い!

でも俺も割と頭痛い。次これを使うときはちゃんと耳を塞いでおこうと心に刻み込む。

ヤドンはクラクラしながらみずでっぽうのタメに入っている。

今なら当てられる!こめかみを抑えながらもう一度指示を出す。

「コイル、チャンスだ!でんきショック!」

再度、コイルの磁石が回転する。

ヤドンも負けじとみずでっぽうを発射するが、混乱の効果で狙いが定まらず、水流はコイルの十センチ横を勢いよくかすめて行った。

「##…%!」

「や”ぁ”ん”ん”!」

今度こそチャージが成功し、稲光がヤドンに正面から突き刺さった。
こうかは ばつぐんだ!
 ▼ 40 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:23:28 ID:gciIzhW6 [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
よし、このまま追撃して終わり…いや、まてよ。

…もしやこれは、イケるのでは?

俺は懐からモンスターボールを取り出し、痺れと混乱で酩酊状態のヤドンめがけて投げつけた。

命中したボールから放たれた光にヤドンが吸い込まれていく。

その様子を固唾を呑んで見守る俺とコイ…いやまて今こいつどっから「ゴクリ」って音出した?

ヤドンを閉じ込めて落下したボールが静かに揺れ始める。

くらり。さぁ。

くらり。どうだ。

くらり。これは…?

カチッ。!!!

何かが閉まるような音とともに、モンスターボールが完全に制止した。ということは…

「よーーし! やったぞコイル、初勝利だ!」

「###ー!」
 ▼ 41 ミッキュ@ラグラージナイト 17/02/19 15:27:22 ID:Fr8axdyA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 42 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:30:57 ID:gciIzhW6 [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日の帰り道は昨日と打って変わって気分が良かった。

犠牲がなく、収穫があるというのはこんなにも素晴らしいことなのか。


ヤドン戦の反省を踏まえ、あの後はより電気に弱いキャモメに狙いを変えた。

空を飛んでいるということで攻撃が当てづらいのではないかと思い敬遠していたのだが、これもヤドン戦での経験が活きた

ちょうおんぱで隙を補い、でんきショックを当てる。

この単純なコンボ戦術が思いの外ハマり、先のヤドンと合わせて合計5匹の討伐に成功した。

当初の予定ほど簡単な狩りにはならなかったものの、昨日の惨状を鑑みるに十分な成果と言えるだろう。

今日は祝勝会だ。おっちゃん、マラサダ3つね。
 ▼ 43 石の森◆Y0TXrTESFs 17/02/19 15:32:36 ID:8ii0LhvE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 44 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:34:13 ID:gciIzhW6 [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンセンターに着く頃にはすっかり日が暮れていた。

新メンバーのヤドンはとにかく表情が変わらない。

無機物のコイルですら表情豊かだというのに、こいつは感情を失ったような顔をしている。

マラサダを食べる時も無表情でちびちびかじっていた。

あと、コイルと頑なに目を合わせようとしない。コイルには目しかないのに。

まぁ不意打ちで電撃浴びせたわけだし、これは仕方がないのかもしれない。

きっと時間が解決してくれると思う。

というか解決しないのであれば、この先の捕獲方法を再検討しなければならない。

シャワー室でヤドンにもシャワーをかけてみたが、案の定、無反応だった。

試しに冷水に変えてみたところみずでっぽうで反撃されたので、多分温水でOKなのだろう。無反応だったが。
 ▼ 45 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:36:18 ID:gciIzhW6 [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いつまでも家から10分のポケセンを拠点にするのはどうかと思うが、焦っても仕方がないのでとりあえず寝袋を借りて2階へ上がる。

まぁ、本当に焦っても仕方ないのだが、でも実際焦る気持ちはあるよなぁ、と仰向けになりながら考える

いつ金が尽きるかわからないし、トレーナーを倒すだけで本当に足りるのかも分からない。

だったら、攻略のスピードは速いに越したことはない。こうして寝泊まりしてるだけでも金は減るのだから。

少し早いかもしれないが、明日からは試練攻略に乗り出して見てもいいかもしれない。

なんというか、早いとこ旅っぽいこともしてみたいし。

なんてことを考えていると遠足前夜な気分になって目が冴えてしまう。

寝袋の中でそわそわしていると、ヤドンがボールから出てきて、一つあくびをして帰っていった。

なるほど、こいつは……おやすみ。
 ▼ 46 SxCy/NIFN. 17/02/19 15:37:30 ID:gciIzhW6 [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2日目の手持ち

コイルLv.9
でんきショック
マグネットボム
ちょうおんぱ
たいあたり

ヤドンLv.8
あくび
たいあたり
なきごえ
みずでっぽう
 ▼ 47 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 06:17:54 ID:doRFyLjE [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【3日目】

うむ、38度2分。

そりゃそうだ。

思えば昨日の海岸ではヤドンのみずでっぽうを思いっきりかぶってしまった。

混乱してコイルから大きく狙いが逸れたキャモメのみずでっぽうも全身に浴びていた。

いくらアローラの温暖気候とはいえ、3月に濡れた衣服で夕方まで活動を続けていれば風邪ぐらい引く。

それは例え俺が短パン小僧でも変わらない真理だ。

というか、こんな色白の短パン小僧が病気に強いわけないだろう。

ジョーイさんに体温計を返却し、処方された風邪薬を持って2階に戻る。

階段を登るのも結構辛い。これじゃ今日のところは旅は休むしかないなぁ…。

いっそ今日ぐらいは家に帰ろうかとも思ったが、なんとなくプライドが許さないような気分になって首を振る。

別段両親と仲が悪かったわけではないが、「引きこもり息子が旅に出てすぐ帰ってきた」みたいになるのが嫌だ。

「あんた、まだ旅立ってなかったの?」なんて言われたらそれこそ仲が悪くなってしまいそうだ。

結局、大人しく寝袋に潜り込んで療養することにした。
 ▼ 48 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 06:22:47 ID:doRFyLjE [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
寝苦しい。体が火照る。息が苦しい。……心細い。

一人旅で風邪を引くとこんなに辛いのか。

帰りたくなってくるが、ここで折れたら負けな気がする。

そもそもこの先もっと遠くに拠点を移せば自宅に甘えることもできないのだ。

これくらい我慢できなくてどうする。

しきりに寝返りを打ちながら呼吸を落ち着かせていると、開けっ放しのリュックの中からもぞもぞとヤドンが這い出てきた。

モンスターボールは虐待対策とかなんとかで内側にもスイッチが付いているとか、なんかでやってたなそういや。

いつ飛び出されてもいいように、ボールを入れてるときはリュックのチャックは開けておこう。

「どうした?昼飯はまだ……ひゃっ!」

ヤドンはひたひたと枕元までにじり寄って座り込むと、無表情のまま俺の額にぺたりと尻尾を乗せてきた。

突然冷んやりしたので一瞬身を縮めてしまったが、すぐに落ち着いた。

なるほど、やっぱこいつは……

いや、やっぱりよくわからんな。無表情だし。

でもちょっとだけ、楽になった気がする。


額の冷たさに温かさを覚えながら、俺は眠りに落ちていった。
 ▼ 49 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 21:51:32 ID:doRFyLjE [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【4日目】

一夜開けて、体のだるさはすっかり取れていた。

熱も下がっている。

あまり無理はしないほうがいいだろうが、これなら旅を再開しても大丈夫そうだ。

寝袋をたたんでグッと伸びをする。

昨日はずっと寝ていたからか、まだ朝日が昇りきっていない。

あたりを見渡すとまだ寝ているトレーナーが多かった。

コイルと、いつのまにかボールの中に戻っていたらしいヤドンをボールから出して小声で語りかける。

「よしお前ら。今日からな、本格的に旅するぞ。」

「#+?」 「や?」
 ▼ 50 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 21:52:28 ID:doRFyLjE [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
端末の地図アプリを開き、2匹に説明する。

まぁこいつらに旅路を説明する意味はない(というか理解できるのかも謎)のだが、これは気分の問題だ。

一人旅よりはポケモンと一緒の旅と思ったほうが、モチベーションも上がるというものだろう。

「まず、ハウオリを北に抜けて2番道路に向かう。道路を道なりに進めばポケモンセンターがある。

とりあえず2日かけて2番道路北のポケセンを目指す。途中、野宿することになると思う。」

コイルはコクコク頷きながら聞いている。

ヤドンは聞いているのかどうかはよくわからないが、尻尾で床をぺしぺししていた。

「で、試練だ。ポケセンのすぐそばにノーマルの試練の洞窟がある。

前日までに2番道路ポケセンで挑戦予約が必要だから、多少早くついても試練は3日後だな。

…よし、じゃ、行くか!」
 ▼ 51 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 21:54:46 ID:doRFyLjE [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
適当に野営用の道具を買い揃え、傷薬も多めに買い、ポケセンを出た。

持ち物は最小限に抑えたつもりだが、それでも結構かさばるし重い。

ポケモンマスターを目指す旅を描いたアニメでは道中の休憩でテーブルや寸胴鍋を出していたが、アレはどういう原理でリュックに収まっていたんだろうか。

ともかく、この荷物を背負っていては逃げるのもそう上手くはいかないだろう。

道路に入ったら慎重に進まなくては。
 ▼ 52 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 21:58:02 ID:doRFyLjE [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
1時間ほど歩いては休憩し、また1時間ほど歩いては休憩し。

たまに飛び出してくるポケモンを適当にあしらいつつ。

コイルにも哨戒を手伝ってもらい、慎重に、少しずつ進んでいた。


やはりというか、この道路にも初心者狩りはいた。

というのも、街を出てすぐのところで2人のトレーナーが向かい合い、その間でツツケラとニャヒートがバトルしていた。

ニャヒートって。

スタート地点の町の隣の道路でニャヒートはないだろう。

コイルはもちろん、相性で勝るヤドンでもまず勝てないレベル差だ。

幸いバトル中なら「!」とはならないので、ツツケラ使いのトレーナーには可哀想だが素通りさせてもらった。

その後も何度かトレーナーの姿を確認したが、迂回したり物陰に隠れたりしてやり過ごした。

もしかしたら適正レベルのトレーナーかもしれなかったが、そうじゃなかった場合は即ハウオリに帰る羽目になる。

小学生トレーナーの背後を忍び足ですり抜ける13歳。

情けなく映るかもしれないが、これが今できる最善だと思う。

石橋は叩いて渡るなんてことわざがある以上、吊り橋を最初から渡らないのは当然の策である。

誰にも文句は言わせない。
 ▼ 53 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 22:00:52 ID:doRFyLjE [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
地図を確認すると、現在地は2番道路の1/4辺り。東に向かう分かれ道を進むと霊園があるらしいが、特に用はない。

一応調べてみたが、インド象を2秒で卒倒させる危険極まりないポケモンがいるという情報があったので近寄らないでおこう。

ちょうど日も高くなっていたので、一旦昼食休憩を取ることにした。

木陰にシートを敷き、腰を下ろす。

コイルたちはポケマメを、俺はブロック状の携行食をもそもそと口に運ぶ。

味気ない食事だとは思うが、何もキャンプやピクニックに来ているわけではない。

自炊など数える程しか経験がないし、荷物や時間の効率を考えればこういう形に落ち着くのは妥当だと思う。

ひと段落ついたので、シートを片付け……あれ、コイルがいない。

ちょっと目を離した隙に、まさかまた電柱に吸い込まれたのだろうか…?

「##%%√ーーッ!!!!」

声がした方を振り向くと、コイルがマケンカニに追いかけられている。

泣きながらこっちに向かってくるコイルは、両の磁石できのみを抱えていた。

やはり、味気ない食事も考えものなのかもしれない。

「…ヤドン、頼んだ。」

ふへぇ、とため息を漏らすヤドンにマケンカニを追い払ってもらい、みんなでオレンの実を分けて食べた。
 ▼ 54 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 22:01:54 ID:doRFyLjE [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日の目的地である2番道路中間地点までもう少し。

日が傾いて来たので早く進みたいのだが…

…50m先でトレーナーが道路端に陣取って、視線で道を塞いでいた。

ひとまず物陰に隠れ、様子を伺う。

どうしよう。あれでは背後を通ることもできないし、迂回する道もない。

初心者狩りと決まったわけではないが、ここは2つのポケモンセンターのちょうど真ん中。

万が一にも戦闘不能にされようものなら、かなりマズイ。

そもそも、普通のトレーナーとだって互角程度でしかないのだ。

むしろ戦闘をひたすら避けている分、レベルで劣るかもしれないぐらいである。

どちらにしろ、勝てる保証がない以上は戦いたくない。
 ▼ 55 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 22:03:56 ID:doRFyLjE [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
どうにか戦わず通り抜ける方法を模索する。

手持ちが全員瀕死でポケセンに向かってることにするか?

いや、無理だ。「!」の呪縛からその程度で逃れられるとは思えない。

でんきショックかちょうおんぱで気絶させる?

いやいや、それは流石にダメだろう。

屈強なポケモンの破壊光線を人に向かって放ったと噂の某チャンピオンも、権力がなければ今頃どうなっていたか分からない。

隣を見ると俺の思考を察したのか、怯えた顔をしたコイルのネジがカタカタ鳴っている。

流石にこいつに人を襲えと指示を出せるほど俺は無情じゃない。

ポケモンのわざで人を傷つけるのは立派な犯罪…いや、まてよ?

傷つけなければ…?
 ▼ 56 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 22:05:03 ID:doRFyLjE [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
道路の端で眠りこける短パン小僧の横を、忍び足で素通りする。

この少年にはヤドンをけしかけて、あくびで眠ってもらった。

放っておいてもすぐに起きるし、外傷や後遺症も残らない。

野生のヤドンに不意打ちを食らったとしか思わないはずなので、足もつかない。

完全犯罪だ。

いや、犯罪ではないが。

…やっぱり犯罪かもしれない。

傷つけてはいないが、睡眠薬盛るのとあんま変わんないしなぁ…。
 ▼ 57 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 22:07:22 ID:doRFyLjE [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうは言ってもだ。

初心者相手に強制的にバトルを仕掛ける行為は例え合法であってもカツアゲとなんら変わらない。

許されることではない。

許されない行為なら、多少法に触れる方法でも止めざるを得ない。むしろ止めるべきだ。

いわば確信犯というやつである。

そんな言い訳を連ねつつ、だいぶ距離が開いたトレーナーの方を振り返る。

あくびの効果が切れたのか、周囲をキョロキョロしていた。

あいつがただの初心者だったら、これって普通に何の正当性もない迷惑行為だよなぁ…

……まぁ、いいか。俺は悪くない。

世間が悪い。
 ▼ 58 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 22:09:21 ID:doRFyLjE [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それにしても、この先にも初心者狩りがいるとしたら、毎回これをやらなきゃならないんだろうか。

この島だけならまだいいが、メレメレを出ても各地に適正レベルを超えたトレーナーがいるのだとしたら…

前途多難すぎて匙を投げてしまいたい。

どうにも飲み下せない理不尽感を抱えながらも沈む夕日を横目に歩き、中間地点の目印である曲がり角に到着した。

完全に日が暮れる前に簡易テントを張り、適当に食事を済ませる。

いつまでも同じような食事ばかりだと、またいつかコイルがきのみ泥棒に手を染めかねないので、料理を覚えてみようかなぁとも思う。

結構な距離を移動したからか、寝袋に潜るとすぐに睡魔に襲われた。

…おやすみ。
 ▼ 59 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/20 22:10:56 ID:doRFyLjE [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
4日目の手持ち

コイル Lv10
でんきショック
マグネットボム
ちょうおんぱ
たいあたり

ヤドンLv9
みずでっぽう
たいあたり
あくび
なきごえ
 ▼ 60 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 16:50:53 ID:5e3bBXU2 [1/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【5日目】

「!」

!!!!

ついにやってしまった。

初日ぶりに味わう「!」の感覚に、仕方なく視線の主の方へ振り向く。

おそらく年下の短パン小僧が、どこか緊張を孕んだ、それでいて強い戦意を感じさせる表情でこっちを見ている。

「勝負…か?」

まぁ、勝負なのは間違いないが、一応聞いて見る。

短パン小僧「もちろんだろ? 俺と目があっちゃったんだからな!」

だから合ってねぇよ。
 ▼ 61 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 16:52:21 ID:5e3bBXU2 [2/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とはいえ、これがルールだ。

戦意があるものが戦えるトレーナーを視認した場合、相手の意思に関係なくバトル開始となる。

これはトレーナー必携の公式ルールブックにも載っている世界共通のルールである。

「…初心者狩りじゃないよな?」

まぁ、初心者狩りだったところでここからバトルを避けられるわけじゃない。

だからこの質問も意味はないのだが、一応聞いて見る。

短パン小僧「あんな卑怯なのと一緒にすんじゃねーよ!

そんなこと聞くってことは、兄ちゃんもこの先の試練に挑戦しにきたんだよな?」

「そっか、すまんな。こないだカツアゲにあったんでピリピリしててさ。…そうだよ、俺も挑戦者だ。」

よかったぁぁ…。

ひとまず胸をなでおろす。

いくら初心者狩りが横行しているとはいえ、普通の挑戦者トレーナーの方が多いのは当然といえば当然か。

それにしても、相手からすれば俺だって初心者狩りの可能性があるのに、随分と勇気があるな。

俺も少しは見習うべきなのかもしれない。

短パン小僧「んじゃ、初心者同士短パン同士、正々堂々やろうぜ!」
 ▼ 62 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 16:53:43 ID:5e3bBXU2 [3/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
道路の真ん中で向かい合うのはコイルとガーディ。

ボールから出て見張りをしていたコイルをそのまま出したら、相手がガーディを繰り出してきたという形だ。

見るからに不利なカードである。

戦わないための哨戒ではあるが、いざ戦う時に初手が割れているというのはよろしくない。

というか流れでコイルを出してしまったが、別に見せているポケモンを出さなきゃならないなんてルールはない。

次バトルになったときは一旦手持ちに戻してから選びなおすようにしよう。

人間は反省する生き物である。

小僧「じゃ、始めるぞ。俺が投げた石が地面に落ちた瞬間バトルスタートだ。…そい!」

ひゅー……
 ▼ 63 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 16:55:26 ID:5e3bBXU2 [4/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……カツン。

「コイル、ちょうおんぱ!先手必勝だ!」

「##@!」

小僧「ガーディ、ひのこっ!」

「ぐるぁ…!」

ガーディが口を大きく開き、萌黄色の光をのぞかせた。

しかし炎が放たれるより、コイルのちょうおんぱが届く方が一瞬早い。

「ぐるらっ?!」

ふらつきながら吐き出されたひのこは若干狙いが外れ、コイルのネジの先端を若干焦がして空に消えた。

小僧「結構やるな…ガーディ、深呼吸して一旦落ち着け!」

「ぐるぅ…わふぅー…」

おっと、割と対処が早い。

焦ってそのまま雑に攻撃してくれるのが理想だったのだが、野生戦のようにはいかないらしい。
 ▼ 64 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 16:57:27 ID:5e3bBXU2 [5/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガーディが平衡感覚を取り戻すまでに1発ぐらいはチャージできるかもしれないが、この隙は交代に使った方がいいだろう。

「よーし上出来だ、コイル。…ヤドン、ゴー!」

「やぁん」

お互いまだほとんどダメージはないが、主導権を握ってるのはこっちだ。

これはいける!






結論から言うと、負けた。

かみついてくるガーディをヤドンのみずでっぽうでカウンター気味に下したまではよかった。

が、ヤドンのダメージが思いのほか大きく、ここでコイルに交代。

相手のラス1がアシマリだったので相性差で押し切れるかと思ったが、対ガーディでちょうおんぱを見せていたのがよくなかった。

短パン小僧の「耳を塞げ!」の指示で混乱を回避され、でんきショックのタメの隙を狙い撃ちされてやられてしまった。

体力ギリギリのヤドンでどうにかなるとも思えなかったので、俺は降参を宣言した。
 ▼ 65 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 16:58:28 ID:5e3bBXU2 [6/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
幸いにも良心的な短パン小僧だったのでトドメまでは刺されずに済んだものの、実力不足を痛感する結果となった。

旅を始めて5日、未だにトレーナー戦の勝利経験がない。

現実は厳しいなぁ…

俺は財布から1000円札2枚を取り出しながら、しみじみと思った。
 ▼ 66 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 16:59:42 ID:5e3bBXU2 [7/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
腕の中でぐったりしているヤドンにきずぐすりを吹き付けながら、気になっていたことを聞いてみる。

「にしてもお前、何でわざわざ挑んできたんだ?初心者狩り相手だったらこうはいかなかったろ。」

小僧「あぁ、だって俺の所持金ほぼ空だからね。」

えっ?

「文無し? ウソだろ?」

小僧「文無しだよ。どうせ狩られるならってことで、全部薬とかボールに変えた。

どうせ島巡り中は生活保障があるしな?」

あぁ、なるほど。島巡り初年度は0円でも生きられるようになってるんだった。

随分と思い切ったやり方ではあるものの、自衛の策としてはアリだ。

「なるほどなぁ…」
 ▼ 67 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:00:40 ID:5e3bBXU2 [8/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
小僧「そうでもしなきゃ戦う気にならねーからな。戦わないとレベルが上がらねーし。

ま、いい勝負だったよ。じゃあ、またどっかでな。」

「おう、またな。」

そう言って別れる…という流れだと思ったが、よく考えたら目的地が同じである。

短パン小僧はまだその事実に気づいていないようなので、とりあえず姿が見えなくなるまで逆方向に歩くことにした。

…何やってんだ俺。
 ▼ 68 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:01:57 ID:5e3bBXU2 [9/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
戦わないとレベルが上がらない。

短パン小僧の姿が見えなくなったことを確認してその場に座り込み、あいつの言葉を反芻していた。

一応野生戦でもレベルは上がるが、トレーナーとしての力はそうもいかない。

ちょうおんぱ戦術を簡単に破られたのがその証拠だ。

あいつは多分格上のトレーナーに何度も負けながら成長してきたんだろう。

うーん、あんまり戦闘をきらうのも良くないのかもなぁ…。

賞金のリスクさえどうにかできればなぁ…。

っていうかまた所持金減っちゃったんだよなぁ…。

テントとか結構高かったし、思ったより早く金がつきそうなんだよなぁ…。

はぁ…。

……っと、こんなとこで悩んでたら日が暮れてしまう。

気持ちを切り変えて、ポケセンに向かって再び歩き出した。

…はぁ。
 ▼ 69 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:02:44 ID:5e3bBXU2 [10/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンセンターに到着した。

哨戒担当のコイルが力尽きてしまったので不意打ちされる懸念があったが、幸い特に何事もなくたどり着くことができた。

ジョーイさんにコイルとヤドンを預けて、ソファに座り込む。

おっとそうだ、試練の予約しないとな。

センター備え付けのPCをつけて予約状況を確認する。

午後2時からの挑戦枠が空いていたので、そこに登録しておいた。

どうにも、前時代的なのかハイテクなのかよく分からない慣習である。
 ▼ 70 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:04:47 ID:5e3bBXU2 [11/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
食事の間、コイルに元気がなかった。

思えば、でんきショックのタメをキャンセルされて一方的に攻められるというのは初日のコラッタと同じ敗因である。

俺がトレーナーとしての力不足を感じたのと同様、こいつも責任を感じたのかもしれない。

もしかしたら、先のトレーナー戦で1匹倒したヤドンに負い目を感じたのかもしれない。

そのヤドンは相変わらずコイルと目を合わせようとしない。

マケンカニの時など一応仲間と認識してはいるようだが、確執(?)はまだ続いているらしい。

今後ダブルバトルなどに支障が出そうなので、早めに和解してほしい。

まぁ、ポケモンの気持ちは分かるようでよく分からないので、俺にできることは特に思いつかないのだが。

本当に、こういうときなんて声をかければ良いんだろう。
 ▼ 71 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:05:19 ID:5e3bBXU2 [12/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
周囲に住宅やホテルがないためか、ここのポケセンの宿舎は比較的人が多かった。

壁際のスペースは空いていなかったので、仕方なく真ん中らへんの空間に寝床を作る。

多少落ち着かないが、我慢するしかない。

何となく周囲を見渡すと、奥の方に昼間戦った例の短パン小僧がいる。

声をかけようかと思ったが、「またどこかでな」なんて別れ方をした手前ここで再会するのもアホらしいのでやめておいた。

寝袋に入って、目を閉じる。

明日は試練。

2年前に挫折した、試練だ。
 ▼ 72 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:06:29 ID:5e3bBXU2 [13/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
5日目の手持ち

コイルLv.10
でんきショック
マグネットボム
たいあたり
ちょうおんぱ

ヤドンLv.10
みずでっぽう
たいあたり
あくび
なきごえ
 ▼ 73 ブルモ@ブロムヘキシン 17/02/21 17:22:18 ID:L9MrZK3. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 74 ブキジカ@シャドーメール 17/02/21 17:23:55 ID:5e3bBXU2 [14/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【6日目】

試練開始時刻まで5時間。

俺と2匹は試練の予習と対策をすべく、ポケセン横の少しひらけたスペースに腰を下ろしていた。

2年前挑んだ記憶と島巡り攻略wikiの記述を元に、要点を整理していく。

「まず、洞窟の中の穴倉に潜んでるヤングースを倒す。

洞窟の中の巣穴のうち3箇所、それぞれ1匹ずつ倒していけばOKだ。」

まぁ、これは流石に大丈夫だと思う。

2年前のニャビーとの島巡りでも、そいつらには大して苦戦しなかった。

試練システムが当時から続いてる以上敵も強くなっているという懸念もあったが、wikiによると、『試練に協力するポケモンのエサには経験値の取得を阻害する成分が含まれている。』らしい。

試練の難易度が一定に保たれる仕組みがあるということに安堵する。

若干闇を感じるやり方ではあるが。
 ▼ 75 ンドロス@フエンせんべい 17/02/21 17:25:35 ID:5e3bBXU2 [15/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「で、問題はその次。奥に進むとボスのデカグースとのバトルになる。

こいつ単騎でも結構な強さなんだが、ヤングースまで呼んでくる。

島巡り公式ルールでこっちは1匹までしかポケモンを出せないから、1対2だ。これが相当キツイ。」

そう、1対2。

ニャビーと旅してた時は他のポケモンを捕まえなかったのでどのみち1匹しか出せなかったが、結構理不尽だと思う。

wikiによると、『かつては1対1だったが、難易度を調整するために変更された。ゴースト系ポケモンで呪いをかけた後に手持ち総出で時間を稼いで突破する戦法が流行り、試練が成り立たなくなった背景がある。』らしい。

昔の子供もよう考えたなぁそんなん…

しかし、確かに陰湿な戦法ではあるのだが、対策として攻略難度を上げた結果が今のアローラだ。

毎年挑戦者の1割弱が試練を挫折し、さらにその3割がそのまま社会不適合者となり、スカル団が勢力を拡大した。

謎の新人トレーナーの手によりスカル団は解散したものの、それで挫折者問題自体が解決したわけではない。

入団予定だった俺としても解散はショックだったし、生活を団に依存していた旧団員ならなおさらだろう。

敗者の言い分など勝者の耳には届かないが、島巡りが人生を壊しているというグズマの主張は間違ってはいないと思う。
 ▼ 76 チコール@デボンのにもつ 17/02/21 17:26:15 ID:cRw7ODqA NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ふっ
 ▼ 77 ータス@じゃくてんほけん 17/02/21 17:26:49 ID:5e3bBXU2 [16/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャビーが敵2匹の波状攻撃で何もできずに倒れ伏した後、ポケモンセンターで項垂れていたのを思いだす。

最初の試練でこれか。

もっとレベルを上げて突破しても、次の試練は?

粘り粘って次の試練も突破できたとして、その次は?

無理だ。必ずどこかで限界がくる。

よしんばギリギリ最後まで突破したとしても、それはほとんどのトレーナーが当然のように超えていく壁。

その先の競争まで見据えれば、ますます限界が見えてくる。

そんな風に考えていくと、島巡りを続けることに意味がないような気がしてしまった。

人より才能がないことを自覚して、かと言って地道に努力する気概もなくて。

ライバルや戦友もいなければ、これと言った使命があるわけでもなくて。

どいつもこいつも主人公なわけじゃないんだと、自分は持っていない側の人間として生まれたんだと。

そんなことを考えながら、あの時の俺はニャビーの回復を待っていた。
 ▼ 78 クーン@しろいハーブ 17/02/21 17:28:00 ID:5e3bBXU2 [17/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気ままな旅はそれなりに楽しいが、今でも試練を意識するとやはりネガティブになる。

スカル団が無くなったから島巡りか学校かの択一になって、消去法で島巡りを選んだに過ぎない。

後ろを向けなくなったから前を向いているだけであって、試練に再挑戦したいと本気で思っているわけではない。

2年間で何か新たな力をつけたわけではないし、この先上手くいくビジョンが降って湧いたわけでもない。

過去を振り返って現実を直視すればするほどに、むしろ諦めぶわっは!

「……何すんねん」

唐突にヤドンに水をぶっかけられた。

「ややん」

こんなことしといてやはり無表情……いやまて、ほんのわずかにいつもより目がつり上がってるような。

もしかして叱られてんのかな…。

「×÷#」

コイルの方を見ると、不機嫌そうな顔でバチバチしていた。

ポケモンの気持ちはよくわからないが、ポケモンは割と俺の気持ちを見通しているらしい。

「そうだよな。…じゃ、主対策の作戦、考えなきゃな。」
 ▼ 79 リープ@しらたま 17/02/21 17:29:00 ID:5e3bBXU2 [18/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
試練開始5分前。

茂みの洞窟の入り口までやってきた俺に、イリマが説明をはじめる。

イリマ「では、イリマの試練の説明をしますね。まずは」

「あ、説明はいいっすよ。2年前にやったのと同じだと思いますんで。」

イリマ「え、ああ、そうですか…。では、制限時間は3時までですので。…リ、リベンジ頑張ってくださいね?」

うーむ。

やはり島巡り浪人というだけで色々と勘ぐってしまうものなのだろう。

最初の試練から浪人してるやつはなかなかいないのかもしれないが、この微妙な反応には苦笑いせざるを得ない。

はぁ…。

…さ、気を取り直して洞窟入りますか。


ーーー試練開始!
 ▼ 80 ンタイン@きかいのぶひん 17/02/21 17:30:50 ID:5e3bBXU2 [19/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
薄暗い洞窟に響き渡る爆発音。

試練前の作戦会議で提案した『玄関前ダイナマイト作戦』は大成功だった。

穴倉の入り口の脇にこっそりマグネットボムを設置し、穴の中にちょうおんぱを撃ち込んでおびき出したところで即爆破。

これを各エリアの巣穴で敢行することで、俺たちはぬしの間入り口まで無傷でたどり着くことに成功していた。

元は穴倉の入り口そのものを爆破して封殺するという案だったのだが、それだと後ですごく怒られそうなので妥協してこの作戦になった。

交戦時間を最小限に抑えたのでポケモンの疲労もない。

ぬし戦に際して万全の状態であると言えるだろう。

「よし…行くぞ。」

気合いを入れ直し、ヌシの間へ足を踏み入れる。

いざ、再戦の時。
 ▼ 81 リリダマ@アクロママシーン 17/02/21 17:32:07 ID:5e3bBXU2 [20/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ぐわしゃぁーッ!」
「きしゃーッ!」

デカグースとヤングースが猛然と距離を詰めてくる。

「ヤドン、近寄らせるな!連続でみずでっぽうだ!」

「やぁ…んやっ!」

「ぶわっ…ぐしゃーぁーッ!」

水勢で押し返して牽制するが、2匹相手では対処しきれない。

みずでっぽうに仰け反りながらも突進を続けるデカグース達は、もう目前まで近づいていた。

まずい、ピンチだ。
 ▼ 82 マザラシ@オッカのみ 17/02/21 17:32:47 ID:5e3bBXU2 [21/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ぬしは最初は1匹で勝負を仕掛けてきて、戦闘中に仲間を呼び出す。

ならばいきなり眠らせてしまえば1対2の状況を避けられると考えて、出会い頭にあくびを放ったのだが…

流石は歴戦のぬしポケモンである。自らの爪を脇腹に突き立てて強引に睡魔を振り払ってしまった。

結局すぐに仲間を呼ばれて、当初の作戦は失敗してしまったわけである。



「くっそ、引き剥がせ! みずでっぽう!」

「んやっ! んやっ!」

デカグースたちは明らかに接近戦で力を発揮するタイプ。

2匹同時に間合いに入られたらヤドンはなすすべがない。

爪や牙が食い込む寸前でギリギリ押し返せてはいるが、連発のしすぎでみずでっぽうの水勢は徐々に弱まってきている。

このままではジリ貧だ…

……攻めに出るしかない!
 ▼ 83 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:34:13 ID:5e3bBXU2 [22/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ヤドン、今日はもう撃てなくなってもいい!強めに1発、みずでっぽう!!!!」

「んん…やっっ!!!!」

渾身のみずでっぽうが2匹まとめて10mほど吹っ飛ばす。

が、ぬしは相当タフだ。すぐに立ち上がって再び突っ込んでくるだろう。

だがこのブレイクを無駄にはしない。

「続けて、あくび!」

「やぁぁーーぁ…」

デカグースたちを強烈な眠気が襲う。

再び自傷で眠気を振り切りにかかるだろうが、それでも突進開始までに数秒は隙が生まれる。そして…

「よし!よく頑張った、戻れヤドン。…コイル、行ってこい!」

「##&!」

それだけあれば、安全に交代できる。
 ▼ 84 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:34:52 ID:5e3bBXU2 [23/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
すいません、途中コテ取れてましたね
ちゃんと本人です
 ▼ 85 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:36:54 ID:5e3bBXU2 [24/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ぐるわっしゃぁーーッ!」「わしゃーッ!」

10m先では、眠気から抜け出したデカグースたちが突進体制に入っている。

交代は成功したが、いつも通りならこの状況、チャージ中に噛み付かれて終わりだろう。

いつも通りなら。

そう、今日のコイルはいつもと一味違う!

「コイル! 水に直接、でんきショックだ!」

「##…%%%√√!!!!」

「ぐわしゃしゃしゃしゃ!?」「きしゃしゃしゃ!?」

ヤドンが体力を使い切って作った巨大な水たまり。

その上をダッシュしていたぬしと子分は突然足元から流れ込んだ電流に激しく痙攣し、その場に倒れこんだ。

でんきショックのタメに隙があるなら、チャージ中の電気を直接流せばいい。

チャージと対複数の攻撃手段の問題を一挙に解決する、攻めの一手。

万一あくび戦術が決まらなかった時に備えて、正攻法も考えておいたのだ。

同じく水の上にいて盛大に感電した俺は、水溜まりの中に突っ伏しながら弱々しく宣言した。

「試練、達成……っ」
 ▼ 86 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:37:47 ID:5e3bBXU2 [25/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
痺れて体が動かない俺の頭上から拍手が聞こえてくる。

イリマ「みごとでしたよ。複数攻撃のわざを駆使して突破するトレーナーはそれなりにいますが、このような機転はなかなか見れません。」

「機転なんかじゃないっすよ。事前にそういう風に作戦立ててたんです。ほら、その…2回目ですしね?」

この状態で褒められてもこっぱずかしいので、自虐を交えて謙遜してみる。

イリマ「さぁ、イリマの試練攻略の証、ノーマルのZクリスタルです。受け取ってください。」

「話題を逸らしたな?」

イリマ「いいから受け取ってください!」

「ちょっと待ってください…よっと」

ようやく感覚が戻ってきた体でゆっくりと立ち上がり、ノーマルZを受け取った。

イリマ「では、説明しますね。このノーマルZは…」
 ▼ 87 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:38:54 ID:5e3bBXU2 [26/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ノーマルZ…。

イリマの説明を聞き流しつつ、白く透き通った八面体を太陽にかざす。

13にしてやっと手に入れた試練攻略の証。

これで俺はようやく2年前の自分を超えることができたのだろうか。

そう思うとなんだか目頭が熱くなってくる。

イリマ「Zパワーは補助技に使うことも……聴いてます?」

「ああ、はい。便利っすねぇ。」

イリマ「………。では、そろそろ次の挑戦者がくる時間ですから、外に出ましょうか。」
 ▼ 88 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:40:42 ID:5e3bBXU2 [27/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンセンターに戻ってシャワーを浴びた後、普段より少しだけ贅沢な食事を取った。

ヤドンとコイルにも柄付きのポケマメをあげた。

普通のポケマメと見た目以外何が違うのかは、ポケモンにしか分からないらしい。

そういえば食事中、ヤドンとコイルが初めて目を合わせた。

3秒ほど見合ってすぐに目を逸らしてしまったが、大きな進展といえよう。

今回のバトルで連携戦術を決めたことで多少信頼が深まったのかもしれない。
 ▼ 89 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:41:22 ID:5e3bBXU2 [28/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2階の宿舎スペースに上がり、寝袋の上に仰向けに寝転がる。

ポケットからノーマルZを取り出し、また掲げてみる。

本当にやったんだなぁ…。

まぁ、全く大したことではないんだけど。

喜んでもいい、よな?

クリスタルを握りしめて胸に当てて、最初の関門を超えた実感を噛みしめていると、

「にゃーう」

どこからきたのか、ニャヒートがすり寄ってきた。
 ▼ 90 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:42:01 ID:5e3bBXU2 [29/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
迷い猫?

なわけないよな。ポケセンの2階にまで来ないだろ。

多分この宿舎のどこかにトレーナーがいるんだろうが…。

「にゃうにゃう」

それにしても随分と懐かれている。

なんだかニャビーを思い出すなぁ…。

………。

…え?

お前まさか。

「ニャビー、か?」

「にゃう!」
 ▼ 91 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:43:12 ID:5e3bBXU2 [30/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
短パン小僧「あーいた、すいませーん。」

「こいつのトレーナー?…ってお前、2番道路にいた…」

初心者狩りじゃないか。

そうか、あの時ツツケラとバトルしてたニャヒートか。

小僧「え? あーそうそう。2番道路入り口でトレーナーと戦ってたら、なんかニャヒートの様子が急におかしくなって。

こいつにせかされてここまで来たんだよね。んで、さっき試練をクリアしてポケセンに帰ってきたら、また勝手に駆け出してさ。」

「あの、さ。」

小僧「ん?」

「こいつ、もしかしたら…昔俺のポケモンだったかもしれない、かも。」
 ▼ 92 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:44:48 ID:5e3bBXU2 [31/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
小僧「へぇーなるほどねぇ! 確かにニャヒートはニャビーの頃にハウオリの草むらで拾ったよ。1年半前ぐらいかな。

しばらく親に預かってもらってて、トレーナーになった時に最初のポケモンにしたんだよな。」

ニャビー、いやニャヒートは俺の膝の上で喉を鳴らしていた。

「いや、いいトレーナーに拾われててよかったよ。最初見た時初心者狩りだと思って通り過ぎちゃったけど、普通に旅始めたばっかだったんだな。悪い。

ニャヒートも、気づかなくてごめんな?」

「にゃうー。」

小僧「まぁレベル差あるのは確かだし……。で、どうする? もし君が引き取りたいなら…」

「あー、いやいや、そういうんじゃないんだ。俺が一緒にいたのってたった1週間だし。そっちの方がずっと一緒にいたわけだしな。」

小僧「そっか。まぁ、言ってはみたけど正直手放せないわ。安心した。」

「はは、そりゃそーだよな。……ただ…一つ頼みがある。」

小僧「なに?」

「一晩だけ…。一晩だけニャビー…ニャヒートを、預けてくれないか?」
 ▼ 93 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:46:26 ID:5e3bBXU2 [32/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その晩、ニャヒートを連れてポケセンの外に出て、ベンチに腰掛けた。

「ごめんな。」

「にゃう?」

「ぬしポケモンと戦った時、まともな作戦なんも考えつかなくて。」

「もうちょっと頑張れば勝てたかもしんないのに、すぐ諦めて帰っちゃって。」

「……お前のこと、勝手な都合で、その…逃したりして。」

「ほんと、ごめんな。」
 ▼ 94 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:48:18 ID:5e3bBXU2 [33/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「にゃーう…」

ニャヒートが足元にすり寄ってくる。

許してくれているのかどうかはわからない。

俺もニャヒートもそれぞれに試練にリベンジを果たしたわけだが、それでめでたしなんて話になるとも思っていない。

ただ、今はこの足元の温もりに安堵してもいいかなぁ、なんて都合がいいことを思う。

「俺さ…」

「島巡り、やり遂げるよ。コイルと、ヤドンと。あと、これから仲間になるかもしれないポケモン達と。」

2年遅い。でも2年前には戻れない。だから。

「お前もあいつと最後まで…一緒に頑張るんだぞ。」

「…にゃぶ!」


夜空に淡く光る満月が、1人と1匹の涙を照らしていた。


(第1章 終)
 ▼ 95 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/21 17:53:50 ID:5e3bBXU2 [34/34] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ありがとうございました。これにて一章は完結です
しばらく書き溜めたら2章もここで書くと思います
なんか気がつけば主人公含む登場人物がほぼ全員短パン小僧でしたね
 ▼ 96 レイドル@リザードナイトX 17/02/21 18:09:06 ID:TaGXe3jU NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 97 ザード@まんまるいし 17/02/21 22:36:21 ID:sE/E0TNU NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 98 ーマルド@ライブドレス 17/02/22 02:05:20 ID:8NU1VjAw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 99 ガイドス@ブルーカード 17/02/24 10:00:57 ID:uGQf/yxA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 100 スマス@ふしぎなアメ 17/02/26 17:59:32 ID:8AP7OnaI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげ
 ▼ 101 ーテリー@ひでんのくすり 17/02/27 20:02:51 ID:1MLDLiiQ [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
1章のあらすじ

挫折者の受け皿であったスカル団が解散してしまったので仕方なく2年ぶりに島巡りに旅立った不登校短パン小僧、13歳。
電柱にひっついていたコイルを捕まえ、海岸でヤドンを捕まえ、トレーナーをひたすら避け、たまに見つかって負けながらも忍び足で2番道路を進んでいく。
そして遂にかつて挫折したイリマの試練にリベンジを果たし、島巡り達成への確かな1歩を踏み出したのであった。






ここから2章スタートです。
 ▼ 102 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:04:08 ID:1MLDLiiQ [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【7-8日目】

「ま、えぇ……?」

乾ききった唇の隙間から何の意味も成さない言葉が漏れる。

ここは真夜中の2番道路。

試練以外には何がある道路でもなく、交通網としての意味合いも薄い、初心者の修行場。

だから、遠巻きに見えるアレは、明らかにおかしい。

夜空をそのまま映し出したような翼を持つ巨大なポケモンと、それを従えるトレーナーの少女。

傷ついた体で震えながらも叫び上げるオニスズメと、森から飛び出しては即座に光に射抜かれ墜落するその仲間。

タチの悪い冗談か悪夢にしか見えない。

しかし、尚もオニスズメ狩り続ける少女の瞳にはどこか苦悶が滲んでいて、これが逃れ難い現実であるということを嫌が応にも突きつけてくる。

岩陰に潜伏して様子を伺っていた俺は、気づけば呼吸が浅くなり、身体中に汗が滲み、足がすくんでいた。

あぁもう、なんなんだよアローラ地方……!
 ▼ 103 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:06:05 ID:1MLDLiiQ [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
話は遡って半日前。



試練が終わってひと段落つくと途端に旅の疲れが押し寄せてきたので、俺は1日だけポケセンに留まってオフを取っていた。

寝袋の上に寝そべって、なんとなくヤドンを撫で回しながら物思いに耽る。

旅を続けてすべての試練を攻略する。

誓ってみたはいいが、それが現実として可能であるかどうかはまた別の話であるということを強く実感していた。

というのは、純粋な難易度の話ではない。

先ほどポケセンで延泊を申請して追加料金を支払った時、ついに残金が1万を切ってしまったのだ。

ここから自宅までぐらいならたどり着けるだろうが、5桁と4桁の差は精神的に大きい。

とにかく、あまり無理が効く状況でもないので、コイルのネジを緩めたり閉めたりしながら旅程を組み立てていた。
 ▼ 104 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:08:58 ID:1MLDLiiQ [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次の目的地は大試練が行われるリリィタウンだが、ルートは二通りある。

試練攻略者専用道の3番道路から行くか、2番道路を戻ってハウオリ経由で向かうか。

3番道路は、まず最短ルートである。

試練ゲートの先にあるためトレーナーの平均レベルこそ高いが、野営の必要がないのは大きい。

さらに、初心者狩りも少ないと考えられる。

そもそも初心者狩りのターゲットは「金はあるが実力のない旅立ち直後のトレーナー」だ。

ある程度熟練し長旅で初期資金も減り始めている試練攻略者相手では、歩合が悪いと考えるだろう。

……まぁ、初心者狩りがいないとしても試練を突破した他のトレーナーに勝てるかはかなり怪しいわけだが。
 ▼ 105 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:10:05 ID:1MLDLiiQ [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハウオリ経由の場合、リリィタウンへは遠まわりになるが、大試練の前に一旦自宅に寄れる。

大試練に連敗し再挑戦を繰り返してる間に資金がつきる可能性を考えると、安全策をとって一度帰っておきたい。

が、道中で初心者狩りに出くわす可能性が高いという問題がある。

うーん、どっちにしろトレーナーがなぁ…。

「……そうだ!!」

突如湧いてきた打開案に、俺はガバッと身を起こす。

その勢いで外れて落下したコイルのネジを慌てて元に戻しながら、2匹に話しかける。

「今日は日が沈む前に寝るぞ。そんで日付が変わったら……夜の旅に出発する」
 ▼ 106 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:12:12 ID:1MLDLiiQ [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
当たり前だが、わざわざ真夜中に起きて旅をするトレーナーなんてまずいないはずだ。

ポケセン宿舎が昼間は閑散としていて、夕暮れになると人が集まるという事実がこれを裏付けている。

深夜に出発して無人の3番道路を急ぎ足で抜ければ、おそらくトレーナーが活動を始めるまでにはリリィにたどり着くだろう。

もし大試練に負けたら、そこからハウオリに帰って体勢を立て直せばいい。

考えれば考えるほど理にかなったやり方ではないか。

ちょうど1週間前まで昼夜が逆転していた俺にはうってつけのスタイルだ。
 ▼ 107 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:12:54 ID:1MLDLiiQ [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
郵送サービスカウンターで野営セットをハウオリに送る手続きを済ませ、速やかに無音で出発できるよう荷造りをし、6時前には床についた。

時間が時間なので友達同士島巡りをしている集団がわいわいと騒がしかったが、ヤドンの力を借りれば問題ない。

お前ら今は楽しそうにしてるけど、友達の最後の1人が試練クリアするまでちゃんと待っててやるんだろうな?

微睡みゆく意識の中で、徐々に遠ざかって行く無邪気な笑い声に人知れず苦笑いを返した。
 ▼ 108 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:14:36 ID:1MLDLiiQ [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そしてポケセンをチェックアウトして30分ほど夜道を歩いたところで、今に至る。


この非現実的な現実に、俺は一体どうすればいいんだろうか。

というか、ハウオリのポケセンで聞いた『雑魚ポケ狩りの超高レベルトレーナー』の話は本当だったのか。

……止めるべきだろうか?

圧倒的レベル差でオニスズメを屠る行為に何の意味があるのかは知らないが、どう考えたって褒められたことではない。

ないのだが、じゃあ普通のトレーナーが同レベルの野生ポケモンを倒すのと何が違うのか、と訊かれれば答えられない。

そもそも、こんな深夜にやっている以上あの少女も後ろ暗いことをしている自覚があることは確実だ。

そうでなければあんな険しい表情にはならない。

だが、これはあまりにも……。
 ▼ 109 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:16:21 ID:1MLDLiiQ [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「#……」

隣で一緒に岩に隠れていたコイルが、何か伝えたいことがあるかのように微弱な電気を送ってくる。

「……やっぱ、嫌だよなぁ。なんか」

正義だ何だと気取るつもりはないが、見てしまったものは仕方がない。

放置して忍び足で通り過ぎようかとも思ったが、きっとコイルに怒られるだろう。

彼女が今ここで俺と戦闘するメリットは皆無のはずなので、おそらくは普通に話しかければ大丈夫。

そう言い聞かせて震える体に鞭打ち、岩陰を出て少女の元へ歩き出した。
 ▼ 110 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:16:58 ID:1MLDLiiQ [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少女はまだこちらに気づかない。

深呼吸をし、意を決して話しかける。

「な、なぁ……」

少女「!!」

少女は一瞬身を竦めながらもこちらを振り向く。

視線がこちらに向いた瞬間、反射的に背筋が凍りつく。

……が、『!』の感覚は訪れない。

よし……いける!
 ▼ 111 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:20:43 ID:1MLDLiiQ [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
内心ホッと胸を撫で下ろしつつ、会話を進める。

「あっと、その、いきなり声をかけてすまない。……まず、そこの怯えたオニスズメを逃がしてやってくれないか?」

少女「…………うん」

少女は少し躊躇ったようだが、うなづいて承諾の意思を見せた。

少女が星空の羽を広げるポケモンをボールに戻すと、オニスズメがよれよれと森へ飛んで行く。

「……で、単刀直入に聞くけどさ。あんた……一体何をしてたんだ?」

少女「基礎ポイント……」

「何だって?」

耳慣れない単語に思わず聞き返す。

少女「基礎ポイントは……倒したポケモンの長所を身につけて得られる力、です」

なるほど、そういうのもあるのか。
 ▼ 112 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:21:31 ID:1MLDLiiQ [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「そういう理由か。でもまぁ、事情はわかったけどさ……何というか…………。」

その先の言葉が続かない。直感的にダメだと感じたが、論理的に説明ができない。

少女「ダメですよね、こんなの……。でも、やらなきゃダメなんです。私は、わた、しは……」

言葉が切れ切れになり、少女の目に涙が滲み始める。

このままだと本気でどうすればいいか分からなくなりそうなので、慌てて会話を続ける。

「いや、待って待って。やらなきゃダメって……。そんなになってもか?絶対おかしいって」

少女「こんなになっても、です。だって、私は……

……チャンピオンだから」

「今、」

なんて、と続けようとした言葉は突如吹き荒れた暴風にかき消された。

風の主であるリザードンが、ゆっくりと羽ばたきながら高度を下ろす。

ライド用のベルトに身を包んだリザードンは少女を背に乗せ、再び草むらを風圧でなぎ倒しながら飛び去って行った。
 ▼ 113 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:24:22 ID:1MLDLiiQ [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
は?

いや、意味がわからない。

2500億円というぶっ飛んだ予算で話題になったアローラポケモンリーグ建設は記憶に新しい。

確か旅立ちの前日に、初代チャンピオン就任がどーたら言っているニュースを見た記憶はあるが……。

先ほどの悲痛な表情を浮かべる涙目の少女がそうだというのか?

部屋の外にいる僅かな時間に偶然TVに映っていた時ぐらいしかニュースを見ないので、記憶がいかんせん不明瞭だ。

端末を取り出し、検索をかけてみる。

「……マジかよ」

端末に、完成したリーグの前で晴れやかな顔で胸を張る先ほどの少女の写真が表示されていた。

しかも、ニュース記事によるとスカル団解散の決め手となったのもあの少女らしい。

マジかよ。
 ▼ 114 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/02/27 20:25:57 ID:1MLDLiiQ [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
となると、俺はあの少女に間接的に更生させられたことになるのか。

そう考えると、説教じみたことをしたのがものすごく恥ずべきことに思えてきた。

それにしても、疑問は尽きない。

こんな嬉しそうに笑う写真の少女が、なぜあんなに救いのない状態になっていたんだろうか。

そもそもトレーナー歴1ヶ月ちょっとでチャンピオンというのがまず普通ではないような……。


引っかかることばかりだが、そんなハイエンドトレーナーのことなんか俺が気にしても仕方ない。

とりあえず、まずは自分のことだ。

引きずる気持ちを無理矢理に断ち、俺は再びリリィタウンに向けて夜道を歩き始めた。
 ▼ 115 メタマ@ヘラクロスナイト 17/02/28 20:21:22 ID:Sarciyik NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 116 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/01 21:00:07 ID:u7bkxreE [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【8日目:続き】

ハラ「うむぅ、こう言ってはなんですが…」

腕を組みながら、若干当惑の混じったような小難しい顔で……

ハラ「弱すぎ、ではないですかな?」

ハラさんが、ものすごく率直な感想を突きつけてきた。

「ですよねー……」

首尾よくバトルを避けてリリィタウンに到着した俺は、早速2タテを食らっていた。

試合時間はわずか2分足らず。

見るに耐えない試合内容だったので描写は割愛するが、それはもう見事な惨敗だった。
 ▼ 117 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/01 21:01:35 ID:u7bkxreE [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

この町にはポケセンがないので、治療を代行している試練サポーターの青年にヤドンとコイルを預け、回復を待っていた。

通算3度目の全滅回復待ちに若干慣れを感じつつ、今回の敗因を考察する。

思えば、デカグースを討伐して以来1匹たりともポケモンを倒していない。

3番道路でレベルを上げてきている前提の難易度で組まれた試練と考えれば、確かにレベルが足りないのは明白だった。

だからって、「弱すぎ」って……

脱力してバトルフィールドの淵にへたりこむ俺に、ハラさんが声をかけてくる。

ハラ「何か策を用意していたのは分かりましたが……しかし、単純な力量差というものはそう簡単に埋められるものではないですからなぁ……。

今のあなた方は戦術以前の問題と言いますか……。まぁ、精進してまた来るといいでしょう」

ぐうの音も出ない。

「……すいません」

なぜか謝ってしまった。
 ▼ 118 うにんこぞう◆SxCy/NIFN. 17/03/01 21:02:35 ID:u7bkxreE [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このままここに居ても資金が尽きるだけなので、とりあえず家に帰ることにした。

ここからハウオリまでは、地図上ではぐるっと回って結構な長旅をすることになっている。

が、実際にそのルートを行くのは素人。

リリィタウン南西の森を抜ければ圧倒的に早く到着するというのは、地元住民の中ではあまりに有名な話である。

人が通れる程度の獣道は確保されており、時たま飛び出すポケモンに気をつけてさえいればさほどの危険はない。

湿った腐葉土の感触を踏みしめながら、森の小道を小一時間ほど歩く。

視界が開けたところで低い土手を降りて、観光案内所の裏手の草地を掻き分け進み、昼前にはハウオリシティ市街地に到着した。

見慣れた道を辿って、自宅に戻る。

まだ出発から10日も経っていないが、玄関を前に懐かしさが込み上げて来る。

俺、メレメレ島を一周したんだなぁ…

そんな感慨を胸に、鍵を差し込んでドアを開けた。

「ただいま」
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