【ポケダン風味SS】天と地の旅物語:ポケモンBBS(掲示板) 【ポケダン風味SS】天と地の旅物語:ポケモンBBS

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【ポケダン風味SS】天と地の旅物語

 ▼ 1 去ログのSSを修正します 17/03/21 15:43:55 ID:C7fs05E2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


太陽と月は輝きを増す


偽りの世界においても、天地は開ける──

 ▼ 64 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/24 11:58:41 ID:K77Odi2c NGネーム登録 NGID登録 報告
ゴーリキー「しかし、そうも言ってられん……リキリキィッ!!」ドガドガ

プチッ、グチャアッ。

ヒードラン「ドラドラドラッ!」ポポポポ

子ども「こぽぽぽっ!!」パカッ

ゴーリキー(きりがねぇ……俺の体力が、その前に──)


ゴーリキー「リキィッ!」バゴッ


ヒードラン「ふははっ、どうしたぁっ!? 便器に攻撃に喰らわすとは……狙いが外れてるぞぉっ!!」

ゴーリキー(……)

ヒードランの言うとおり、便器に、ヒビが走る。

ヒードラン「さて、ここからは直々に我が止めを刺してやろう……光栄に思うがいい。マグマ…ストオォ〜……ムゥッ!!」ボオッ

ゴーリキー「!!」
 ▼ 65 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/25 00:32:24 ID:/4noB3GQ [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴーリキー「ア……アチいっ!!」

ヒードランが放ったストームのため、室内に火が回る。

ヒードラン「どうだっ!? 特性がもらいびの我は、この炎の中でも容易に耐えることができるっ!! これで……後はお前が焼死体となるのを待つだけだぁっ!!!」

ゴーリキー「……」

ヒードラン「な、なんだ……? お前……なぜそう平然としていられるのだっ!?」

ゴーリキー「……水をせき止めて置くぐらい、しなきゃなぁ。やるのなら徹底的にやるべきだった。完全にトイレ内の水を抜いておくぐらいになっ!!」

ヒードラン「な、なにを……」

ゴーリキー「さてと……リキリキィッ!!」バコバゴォン

ヒードラン「……!?」


なんとゴーリキーは、便器に向かって乱打を始めたのだ。


便器「イタイ」

次第に便器が崩れていき、そして……。

ヒードラン「そ、そうか、わかったぞ! お前の……その行動の真意がっ!!」

ゴーリキー「わかったところでもう遅いっ!!」プシュー

そしてトイレ内の全方位に、水が噴き出した。
 ▼ 66 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/25 00:33:17 ID:/4noB3GQ [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シュウウウ…。


ヒードラン「あぁ……炎が消え去っていく……。便器を壊し、中に溜まっていた水で炎を消化するとは……お、己ぇ」カポッ

ヒードラン(ん……この感触、温もり………もしや!?)

ゴーリキーは、彼の顔に脱ぎたてホヤホヤのパンツを被せたのだ。

ゴーリキー「四足歩行というのは不便なものだ。なにせ、被させられたパンツでさえ自分で取ることもできないからな。これでお前の視界は塞がった」

ヒードラン「あ、あ……!!」

ゴーリキー「さて、俺はなぶり殺すのは性に合わねぇ。素早く片付けてやるから安心しな。命を粗末にした者の末路よ」

ヒードラン「ひっ……ゆ、許してくださぁ〜ぃっ!!」


ゴーリキー「リキ……リキリキリキリキィッ!!」バゴバゴ


ヒードラン「げぐわぁ〜っ!!?」
 ▼ 67 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/25 00:33:52 ID:/4noB3GQ [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ド ガ ァ ー … ン 。


子ども共々、ヒードランの身体は吹き飛んでしまった。


ヒードラン「……」ピクピク


“鋼司”ヒードラン撃破


------------------------

ドーブル「遅かったですね、ゴーリキー……きゃあ! どうして裸なんですかぁっ!?」

ゴーリキー「あ、あぁ……すまねぇが……。ちょっと、紙を貸してくれないかな……」
 ▼ 68 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/25 21:36:30 ID:4ZbtktuM [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜診療所内個室〜

ピカチュウ「じゃあな、イーブイ。俺たちはもう行くよ」

イーブイ「うん、わかった」

ピカチュウ「……」

イーブイ「……元気ないね、ピカチュウ。あのサンドパンのことを気にしてるの?」

ピカチュウ「……気づいてたのか、イーブイ。あのサンドパンと俺には、ちょいとばかり、因縁があるかもしれないんだ。再び戦うことになるかもと、少し……怖いんだ」

イーブイ「……ピカチュウ」

ピカチュウ「……そうだ、イーブイ。お前の本当の名前はなんて言うんだ? ……友だちとして、知っておきたくてな」

イーブイ「……私の、名前?」

ピカチュウ「ああ、お前の名前だ。人間の時の、本当のな」
 ▼ 69 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/25 21:37:07 ID:4ZbtktuM [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
イーブイ「……私の名前は、『依夢(イブ)』。変わってるでしょ?」

ピカチュウ「イブ……いや、可愛い名前だと思うぜ。凄くお前らしい感じがする。人間の時のお前の顔を見てみたかったぜ。きっと可愛いんだろうな」

イーブイ「ありがとう、ピカチュウ。このちょっと変わった名前で、昔ちょっとからかわれたこともあったんだけど……そうよね、もう昔の話よね」

ピカチュウ(あれ、イブって名前……どこかで、聞いたような……?)

イーブイ「あ、呼ぶときはこれからもイーブイでいいよ。本当の名前を呼ばれるのって……なんか恥ずかしいし」

ピカチュウ「あ、ああ、わかった」

ゴーリキー「お〜い、ピカチュウ、もう行くぞ〜。尻も拭けたしな。準備はバッチシだ」

ピカチュウ「じゃあな、イーブイ。俺たちはこれからオルゴールを探しに行って来る。お前はしっかりと休息を取ってくれよ」

イーブイ「うん……ピカチュウ。じゃあね」


バタン……。


こうしてピカチュウたちは、病室を後にする。
 ▼ 70 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/25 21:38:25 ID:4ZbtktuM [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
イーブイ「……」


イーブイ(このこと……話さなくてよかったのかな……)


彼女は、不可解に感じていた。
毒を喰らった他のポケモンたちと比べ、思った以上に身体に毒が回っていなかったのである。

イーブイ(んっ……あ、頭が……)

時折彼女の脳裏に映る光景がある。
それは、彼女自身の古い記憶なのであろうか。

ーーー


???「……イブさん。どうやら“例の男”までがこの世界にやってきたようです。まったく……“あのお方”はズボラなことで。では、貴女は別の、『対抗勢力』の──」


------------------------


イーブイ「……!」
 ▼ 71 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/25 21:39:18 ID:4ZbtktuM [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜その頃 アロガントタウンでは〜

「た、大変です…ハリテヤマさん!」

ハリテヤマ「……どうした?」

「この町にあるポケモンがやって来て、暴れてるんです!!」

ハリテヤマ「一体、誰だ?」

「なんでも、そのポケモンは……『創蛙』と名乗っていて……」

ハリテヤマ「……あの、伝説の──」

フタチマル「フタァ……!」ドサッ

ハリテヤマ「……! フタチマル、お前まで……」

フタチマル「ハリテヤマさん、早く逃げて下さい! 奴はあなたの『アレ』を狙っているようです! 直に……ここにもやって来ますっ!!」

ハリテヤマ「!?」


… … ガ シ ャ 〜 ン ッ ! !


その時、ちゃんこ屋の扉が壊され、とある一匹のポケモンが入り込んで来たのだ。
 ▼ 72 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/25 21:40:05 ID:4ZbtktuM [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
???「……」

ハリテヤマ「食事時だったって言うのに……まさか、ここのちゃんこが目的じゃないよな? それなら、いくらでも振舞ってやるのに。お代さえ払ってくれたらな」

???「……“創蛙”の名を、知っているでござるな?」

ハリテヤマ「知っているさ。伝説の存在。だが、お前が……そうなのか?」

“創蛙”「そう、そして拙者はATZの一員“水司”でもある。この下らない世界から脱出を図るため、“創蛙”として……。お主のその、『草のオルゴール』を貰い受ける!!」

ハリテヤマ(……)

ハリテヤマ「ちょっと待ってよ……。俺、こないだまで怪我しててさ。そんな物騒なこと言うなよ……。いや、本当に、勘弁してくれ──」シュッ


──隙を、狙った。
 ▼ 73 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/25 21:40:53 ID:4ZbtktuM [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
……ガガッ。

ハリテヤマ「!」


──ドシュッ!!


ハリテヤマ(なんだ……早い! コイツ……俺の身体に水の塊をぶつけ、動きを封じ込めた……!!)

“創蛙”「貴様のオルゴールは……既に頂いた」

ハリテヤマ「!?」

“創蛙”「さて、止めでござる」シュッ

ハリテヤマ「っ……!」


ゲホッ……。


------------------------

フタチマル「ハ……ハリテヤマさあぁぁぁ〜んっ!?」

フタチマルが気づいた時、“創蛙”の姿は既になかった。

ラフレシア「お、おいっ、手当を急げ! ハリテヤマさんはまだ息があるっ!!」

フタチマル「フ……フタッ!!」
 ▼ 74 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 00:15:12 ID:Ao2pqAgU [1/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──デザートサン

ゴーリキー「さて、遺跡を目指そうか」

ドーブル「あなた方には少なからず免疫ができていますが……。油断は禁物です」

ピカチュウ「あぁ、気をつけるよ……」

三匹は遺跡を目指し、砂漠を進んで行く。


ーーー


──ダイヤード・マウンテン

サザンドラ「……」


ーーーー


──ブラックタワー

超司「えぇ、今度はあの一味です。果たしてあのゴーレム相手にどれ程やれるのか……見極めてきましょう」
 ▼ 75 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 11:54:41 ID:Bqm59Qc6 NGネーム登録 NGID登録 報告
〜ルイナ・リバー(川のダンジョン)〜

ドーブル「…この先に、遺跡があります」

ピカチュウ「だったらさ。また翼なり船なり具現化して渡れば良いんじゃないのか?」

ドーブル「それは、駄目なのです」

ピカチュウ「え?」

ドーブル「この川は神聖なものとされていて、そういう行為は神に反逆するのと同じことなのだそうです」

ゴーリキー「へぇ」

ドーブル「そして、この川の集落の民が、洗礼を受け川を渡る許可を持った船を所有しているのです。ただ、あの長老……」

ピカチュウ「どうした?」

ドーブル「少し……と言うか、中々の頑固者なのだそうです。果たして、得体の知れない私たちなぞに船を貸してくれるかどうか……」

ピカチュウ「得体の知れないとは酷いな。元トレーナー、画家崩れ、バカマッチョで話はつくだろ?」

ドーブル「……色々と、不安ですね」
 ▼ 76 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 11:55:28 ID:Ao2pqAgU [2/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドーブル「画家と言うより、以前私は漫画を書いていました。漫画家だったのです」

ゴーリキー「ほう、どんな漫画だ?」

ドーブル「時差が全くなかったり、適当に回転していたら時間が逆行したり、電荷を帯びた物体が通り過ぎた個所が半永久的に帯電していたりしていました」

ゴーリキー「それキ○肉マンやないか」

ピカチュウ「言葉の意味はわからんが、とにかく凄いストーリーだと言うことはわかる」

ドーブル「そうです。私には常識的なストーリーを作る才能がありませんでした。そんな時、私はある女性と知り合ったのです」

ピカチュウ「ある女性?」

ドーブル「それこそ、ATZ“炎司”……マフォクシーです」

ピカチュウ「……ATZが?」

ドーブル「彼女は天才でした。私が作画を、そして彼女が原作を務め、漫画を執筆することになったのです」

ゴーリキー「無敵のコンビだな、正に」

ドーブル「えぇ、まさにその通りで、私たちの漫画はデビュー作一発で、賞を貰うことができたのです。『ナナホシー』名義でしばらく漫画家として活動していました」

ゴーリキー「……あ、あんたがあの、ナナホシーだったのか!?」

ドーブル「はい、そうです」
 ▼ 77 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 11:56:14 ID:Ao2pqAgU [3/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウ「俺もナナホシーの漫画は知っている。だが、とある時期を機会に……その名前はめっきり聞かなくなってしまった」

ドーブル「──はい、その通りです」

ピカチュウ「できればだが、教えてほしいな。お前とそのマフォクシーの間に、一体何が起きたんだ?」

ドーブル「……」

ピカチュウ「……そっか、今は言いたくないという訳か。だったらごめんな、聞かないよ」

ドーブル「すみません……。またいずれ、お話する機会があるかもしれません」

ゴーリキー「おう、その時が楽しみだ!」

------------------------


──ルイナの集落


ゴーリキー「ここが、そのルイナ族の集う集落か」

ドーブル「ええ、では長老に会いに行きましょう」

ピカチュウ「しかし……どんな奴なんだろうな?」
 ▼ 78 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 11:59:40 ID:Ao2pqAgU [4/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜長老のテント〜

ドーブル「失礼します、長老殿。私共は旅を続ける身なのですが、この先の『砂漠遺跡』へと渡りたいのです。此度はあなた方の神船、『シャイニング号』をお借りしたく参った次第でございます」

シェイミ(娘)「私は長老殿の一人娘でございます。父上、この方々に船をお貸しになられては?」

シェイミ(長老)「いや、駄目だ! 船は断じて誰にも貸すわけにはいかぬっ!!」

シェイミ(娘)「父上……?」

シェイミ(長老)「さあ、お引き取り願おう」

ドーブル「……分かりました」

ピカチュウ「お、おい、良いのか!? ここまで来といて」

ドーブル「……仕方がありません」

------------------------

ピカチュウ「あのさ、本当にあのまま帰って良かったのか……?」

ドーブル「ご心配には及びません」

ピカチュウ「え?」

ドーブル「あの長老には、盗撮機付監視蝿を付けておきました。結構容量を喰いましたね」

ゴーリキー「某ハンター漫画じゃないんだからさ。でも、どうしてそんなことを……?」

ドーブル「彼がなせそこまで船を貸すのを拒むのか。それを知るためです」
 ▼ 79 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 12:03:55 ID:Ao2pqAgU [5/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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ドーブル「……わかりました。あの長老がああまで船を貸すのを拒む理由が」

ゴーリキー「……おおっ。……スマン。少し寝てた……で、何なんだ?」

ドーブル「この録音レコーダーの内容を、聞いてください」


──ジ〜……。


娘の声《そうだったのですか……》

長老の声《あの遺跡に行って帰って来た者は一匹もおらぬ! じゃから、あえて船を貸さぬのじゃ!!》

ピカチュウ「!」

ドーブル「そういう訳だったんです」

ゴーリキー「参ったな、これじゃ素直に貸してくれるかどうかわからねぇ」

ピカチュウ「ち、ちょっと待ってくれ……」

ドーブル「なんです、ピカチュウ?」

ピカチュウ「考えてみれば、俺はここまで深い考えもなく付いて来ただけだ。そんな危険な思いをすることもねぇ。俺は……降りる!」

ゴーリキー「!?」
 ▼ 80 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 12:05:35 ID:Ao2pqAgU [6/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウ「……じゃあな」タタッ

ピカチュウは、彼らの元を去って行ってしまった──

ゴーリキー「お、おい待て……」

ドーブル「……行かせてあげましょう」

ゴーリキー「!?」

ドーブル「ここからの旅路、確かに危険なものになること請け合いです。ならば、着いて来れないものは置いていくのみです」

ゴーリキー「ピカチュウ……」

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翌日。ドーブルたちは、川の辺りで野宿を続けていた。


──その時。


『『キ、キャァ〜ッ!!』』


ドーブル「……い、今の悲鳴は……」

ゴーリー「……長老の娘の声だ!!」ダダッ

ドーブルたちは、声の元へと駆けつけて行った。
……慌てていたのか、彼女は筆も持たずに、だ。
 ▼ 81 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 17:33:33 ID:Ao2pqAgU [7/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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ズキズキン「ぎゃはははっ! 長老、おとなしくその船を渡しなっ!!」

ペリッパー「ペリペリ〜、俺は“飛司”……ペリッパー! このまま飛んで目的地に着くも良いのだが、それでは骨が折れる。さぁっ、痛い目に合いたくないなら渡せっ!!」

シェイミ(長老)「じゃから、ワシはお主らの身を案じておるのじゃっ! 断じて渡すわけにはいかぬっ!!」

ペリッパー「頑固なジジィだ! だったら、力尽くで奪うのみよっ!!」

その時。場にゴーリキーとドーブルが到着した。

ドーブル「……待てっ!」ザッ

ペリッパー「あぁんっ!? そうか、貴様らか……俺たちATZの邪魔をする輩はっ!!」

ズキズキン「あれ、あのピカチュウはいないのか?」

ドーブル「……」

ズキズキン「まぁいい、飛司……やれっ!!」

ペリッパー「ペリペリィ〜!!」

ドーブル「ふんっ、貴様らなど私の敵じゃ……あれ?」


……筆を忘れたことに、気づいたようだ。
 ▼ 82 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 21:12:43 ID:Ao2pqAgU [8/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ペリッパー「ペリペリ、貴様の具現化能力は愛用する筆でしか引き出せないということは調査済みよっ! 武器を忘れるとは情けない限りだ……これで貴様は単なる弱小ポケモンに成り下がる!! そして……喰らえっ!!」シュパッ

ゴーリキー「ぐふっ!!」

ドーブル「!」

攻撃を受けたゴーリキーが、よろめく。

ドーブル(し、しまった! 格闘タイプに飛行タイプの技、“エアスラッシュ”は抜群……!)

ペリッパー「ペリペリ〜!!」

ゴーリキー「くっ……この早口野郎が……」

ズキズキン「飛司、トドメの“ハイドロポンプ”だ!!」

ペリッパー「おうともさぁ〜!」カアァッ

そしてペリッパーは口を開け、ハイドロポンプの発射準備に入るのだ。

ドーブル「あ……あ…………」

ズキズキン「ククク、絶望に浸ったその表情……たまらないぜ。さぁ飛司、早いとこトドメを刺しな」

ゴーリキー(うぅ、さっきの攻撃で立ち上がることすらできねぇ。情けねぇ。ここで……俺たちの命運も尽きるのか……!?)


──万事休す、かに思えた。
 ▼ 83 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 21:13:40 ID:Ao2pqAgU [9/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……だが。


《ガボッ。》


ペリッパー(!!?)

ゴーリキー「な、お前は……ピ、ピカチュウッ!!」

そう、ピカチュウであった。

ピカチュウ「ほら、筆返すぜっ」ヒョイ

ドーブル「フフフ、上手くいきましたね」

ゴーリキー「え? え? ……え?」

ピカチュウは、ペリッパーの口に具現化した巨大な洗濯バサミを投げつけ、彼の口を完全に封じたのだ。

ペリッパー「ペリグワ〜!」ボンッ

その結果、彼の口は暴発してしまう。

ピカチュウ「喰らぇ……10まん…………」

ズキズキン「ま、まずい……。水、飛行タイプに電気タイプの攻撃は……!!」

ピカチュウ「……ボルトォーーーッ!!!」バリィッ

ペリッパー「「ペ、ペリゴラァ〜〜ッ!!?」」
 ▼ 84 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 21:16:47 ID:Ao2pqAgU [10/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ドサッ!


焼け焦げたペリッパーは、地面に墜落してしまった。

ズキズキン「くっ、ここは退く──」ダダッ

ゴーリキー「逃がすか……リキィッ!!」ドゴォッ

ズキズキン「あぶ〜〜っ!!?」


〜“飛司”ペリッパー、“悪司”ペリッパー撃破〜


------------------------

ゴーリキー「なるほどね。離別したフリして、敵を倒す作戦だったと。敵を騙すにはまず味方から……と。ブツブツ」

ピカチュウ「俺が筆を使ったら、こんなイビツな洗濯バサミになってしまったよ。ドーブル、やっぱお前凄いな」

シェイミ(長老)「……お主たちの実力なら、遺跡からも生きて帰って来れるかもしれぬ。……船を貸そう。無事を祈っておるよ……」

ドーブル「ありがとうございます、長老殿」

こうしてピカチュウたちは、長老に船を貸し与えてもらったのだ。

ーーー

そして一同は川を渡り、遂に……『砂漠遺跡』の入り口へと辿り着く。
 ▼ 85 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 21:19:51 ID:Ao2pqAgU [11/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜砂漠遺跡〜

ピカチュウ「ここが…『砂のオルゴール』があるとされる遺跡……」

ゴーリキー「見るところ、だいぶ古い遺跡だな。敵さんは居なさそうだが……」

ドーブル「ええ、油断せずに行きましょう。長老の話によると、ここから生きて帰って来た者は居ないそうですし……」

ピカチュウ「おいおい、その話をぶり返すなよ。不安になってくるじゃないか。」

ドーブル「あら、ピカチュウ。あなた、怖い話は案外好きじゃないタチかしら」

ピカチュウ「やめろ、そうじゃない。俺はお化け屋敷とかでも、怖いんじゃなくて脅かされるのが嫌いなんだ」

ドーブル「フフ、屁理屈ですね」

ピカチュウ(……コイツ)

ゴーリキー「ハハハ!」


こんな調子で、ピカチュウたちは遺跡内を進んで行く。

やがて一同は、更に奥へと辿り着くのだが……。
 ▼ 86 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 21:21:10 ID:Ao2pqAgU [12/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「……うぅ」

ドーブル「あら、誰か倒れていますね」

ピカチュウ「……こ、こいつは……!!」


なんと、毒司であるスコルピが倒れていたのだ。


スコルピ「……なんだ、お前たちか。情けない姿を見られてしまったな……」

俺「おい、大丈夫かっ!? こ、こいつをここまでする奴なんて……そうだっ、トサ……サンドパンはッ!?」

スコルピ「……アイツなら更に奥に進んだ。無事かどうかは知らない……」

ピカチュウ(奴に奪われるかもしれない……オルゴールをっ!!)ダダッ

ドーブル「ピカチュウ……私たちも行きましょう!!」

ゴーリキー「お、おうっ!!」

ピカチュウたちは、更に奥へと進んで行った。

スコルピ(フフ、いいぞ……。皆、皆……“アイツ”にやられてしまえ……グフッ!!)バタッ

どうやらスコルピは、気絶してしまったようだ。
 ▼ 87 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 21:21:56 ID:Ao2pqAgU [13/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜砂漠遺跡 番人の間〜


ドーブル「こ、こいつは……!」

ゴーリキー「なんという、威圧感……!!」

ピカチュウ「…! トサ……いや、サンドパン……。コイツまでもが、奴にやられたと言うのか……」

サンドパン「うぅ……」


一同の前にそびえ立つ、そのポケモンは。



レジロック『『ざざざりさ……』』



──伝説のポケモン……レジロックだ。
 ▼ 88 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 21:26:11 ID:Ao2pqAgU [14/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レジロック『レジィィ……』

ドーブル「この遺跡の、護り主という訳ですね……」

ゴーリキー「……マッハパン──」

レジロック『レジィ〜!』ビシュッ

ゴーリキー「!」

レジロックは、ゴーリキーに“でんじは”を放つ。

ゴーリキー(……思うように、身体が……!!)

ドーブル(コイツ、自身の素早さを補おうと……? “スケッチアート”ッ、壁を具現化っ!!)ピィィィッ


……パリィンッ。


ドーブル「つっ……!?」

レジロックはドーブルの創り出した壁を、いとも容易く破壊したのだ。

ピカチュウ「こっちだって素早さは負けてないぞっ! “でんこうせっか”っ!!!」シュッ

レジロック『……』
 ▼ 89 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 21:27:14 ID:Ao2pqAgU [15/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガキィン──

レジロック『ざりざり……』

ピカチュウ「か、硬い……!?」

ピカチュウの攻撃を喰らっても、レジロックはビクともしないのだ。

ドーブル「具現化、まひなおしっ!!」シュワァ

ゴーリキー「お、おぉ……麻痺が治った。しかしコイツに、立ち向かうには、ハァ……」

ドーブル「……まずいですね。短期決戦に持ち込まねば」

ピカチュウ「ハァ、ハァ……」

三匹の体力も、限界に達していたのだ。


……だが。


ドーブル「…ピカチュウ、カイリキー、作戦を考えました。……これならいけると思います」ゴニョゴニョ

ゴーリキー「おおっ、それは良い作戦だ!」

ピカチュウ「よし……“10万ボルト”だっ!!」
 ▼ 90 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 21:29:54 ID:Ao2pqAgU [16/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バリバリ……。


ピカチュウ「これで、少しは効いたはず……」

レジロック『レジィ〜!』

ピカチュウ「なっ……」

しかしレジロックは、攻撃をなんなく耐え抜く。

ゴーリキー「これだけしぶといとは……。さすがは、伝説のポケモンというだけは……」

ドーブル「……よしっ」シュシュシュ

ピカチュウ「ドーブル、時間は稼いだ……準備はできたか?」

ドーブル「はい、できました!!」ボワンッ

レジロック『ざざざり……?』


ドーブルは、スプリンクラーを描き出し、具現化したのだ。
 ▼ 91 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 21:34:00 ID:Ao2pqAgU [17/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ビショビショ……。

レジロック『レジィ……』

ピカチュウ「へへ、上手くいったな。タ○シ戦のやり方」

一同はスプリンクラーの水を、レジロックに浴びさせる。

ドーブル「濡れた岩なら、ご自慢の防御力も半減。ゴーリキー、今ですっ!!」

ゴーリキー「リキリキリキリキリキリキィッ!!」バゴバゴ

レジロック『レジィッッッ!?』

ドゴドゴォッ!!

ゴーリキーは、濡れた拳でレジロックの身体にラッシュをお見舞いした。

レジロック『……』


ドサァ……。


レジロックは倒れ、遂に、活動を停止したようだ。

ゴーリキー「やったぞ、勝利だぁっ!!」

ドーブル(ん……?)

だがドーブルは、気になる“なにか”を発見する。
 ▼ 92 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 21:34:35 ID:Ao2pqAgU [18/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドーブル(001…?)

レジロックの身体には、そう数字が掘られていたのだ。

ピカチュウ「お、おい、こいつが落とした宝箱の中身……。これ、もしかして……!」

宝箱には、地面のオルゴールが入っていた……。

ピカチュウ「こいつが持っていたとはな……」

サンドパン「……うぅ」

ドーブル「……彼。サンドパンを連れて、一度タウンへと帰りましょう。なにか情報が聞き出せるかも……」

ゴーリキー「だが、思った以上に疲労が……。少し、休ませてくれないか……」


──その時であった。


「「ちょっと、お待ちを……」」ボワンッ


ピカチュウ「!」

突如ピカチュウたちの前に、一匹のポケモンが現れたのだ。

ゴーリキー「お、お前は……。“超司”、カラマネロ……!?」
 ▼ 93 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/26 21:35:42 ID:Ao2pqAgU [19/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウ「こ、このカラマネロが……。“超司”……!?」

カラマネロ「カラカラ、なにもあなたがたに危害を加えようと訪れたわけではありませんよ」

ゴーリキー「では、なにをしに来たっ!!」

カラマネロ「お見事でした。よもや001号を倒すとは。個々の力は弱いですが、それを補って余りある団結力があなた方にはあるようです」

ゴーリキー「なにが……言いたいんだ……!?」

カラマネロ「カラカラ、決まっているじゃありませんか。弱りきったあなた方を、送り届けてさしあげるのですよ。光栄に思いなさい」

ドーブル「なっ……!?」

カラマネロ「いきますよ……カラカラッ!!」

ピカチュウ「!」


シュン──


カラマネロはテレパシーにより、ピカチュウたちをタウンへと転送したのである。
 ▼ 94 ーケオス@ダークボール 17/03/26 22:59:26 ID:Lfp9WPKA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 95 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/27 21:43:51 ID:TBHGMm7w [1/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜アロガントタウン〜


……ボテッ!!


ピカチュウ「あいたたた……」

ドーブル「な、なんだったのかしら、アイツ……」

ゴーリキー「わからん。あいつ……カラマネロはATZでも相当の変人だったからな。俺たちを舐め腐ってるような、そんな感じすら受けたし……」

ピカチュウ「とにかく、帰ってきたんだな…アロガントタウンに……。……お前もか」

イーブイ「あいたたた……」

ゴーリキー「……とりあえず、奴が心配だ。最寄りの病院へと送り届けて来るよ」

サンドパン「……」ハァ、ハァ

ドーブル「……ピカチュウ。私のことを話していないのにぶしつけですが、今度はあなたに聞かせてもらいたい。あなたとサンドパンには、一体どんな因縁が?」

ピカチュウ「……あぁ、話すよ──」

------------------------

ドーブル「そんなことが……」

ピカチュウ「でも、俺は奴にもう、恨みなどないよ。だって……」

ーーー
 ▼ 96 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/27 21:44:53 ID:TBHGMm7w [2/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
俺とこのサンドパン……名前は『トサ』と言うんだが、俺は奴に挑み、話した通り、無残にも敗北を期した。

俺「ポカブ……しっかりしろ! ポカブ……」

……俺の相棒だったポカブは、死んだ。
それ程までに、奴と俺の実力差はあったんだ。

……でも。

お母さん「ねぇ。なんかお金と手紙が置いてあるんだけど。もしかしてこれ、アンタあてのじゃないの?」

俺「……!?」

奴の謝罪の言葉。10の力の俺を、100の力で倒してしまったことへの謝罪。それと医療代と慰謝料のお金。


……実のところ、悪かったのは俺だったんだ。無謀にも、格上に立ち向かっていった、俺が。

それなのに……。

その件でとある女友だちと喧嘩をしてしまうんだが、それはまた、後の話だ。
 ▼ 97 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/27 21:45:42 ID:TBHGMm7w [3/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
──やがて。


「「号外〜、号外〜!」」


イーブイ「あら。これは、新聞記者のヌメルゴンが執筆してる新聞ね。号外だってさ。ふ〜ん、今日はお尋ね者の情報も出ているんだね。……えっ、これは……」


一大ニュースであった。


町の主、ハリテヤマの謎のポケモンの襲撃による負傷。

その“謎のポケモン”……お尋ね者“創蛙”。

そして、その仲間とされる……あのサザンドラ。
それらのポケモンの顔写真が、掲載されていたのだ。


イーブイ「あ、あのサザンドラさんが……!? 確かに、そんなことしそうな顔で、それでもってとっても怪しかったけど……」


──その時。


「いえ、間違いはありませんよ」


ピカチュウ「ん、あんたは……?」
 ▼ 98 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/27 21:46:37 ID:TBHGMm7w [4/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
オノノクス「私は個人探偵。あの二匹の行方を遥か昔から追い求めてきたのです。オルゴールのことは既に調べが付いています。あの二人を元の世界へと返す訳には行きません」

ピカチュウ「アンタがオクタンの言ってた探偵だったのか。俺たちは次にアイスロックへと向かうつもりだ。そいつがいたら、捕まえてやるよ」

オノノクス「ありがとうございます……。いえ探偵といっても、全然成果の挙がらない無名なもので──」

イーブイ「見た目、こんなに強そうなのにね」

オノノクス「力があったとて、頭がついていかなければ、探偵という職業は難しいのですよ。今はまだ情報は微小なものですが、次にあった時には、ご協力できると思います」

ピカチュウ「そうか、ありがとう!」


やがて、オノノクスは町外れの方へ去って行った。


ピカチュウ「さて、シャイニング号でアイスロックへ渡ろうか。そのための準備を……」


サンドパン「……待て」


ピカチュウ&イーブイ「!!」


突然にも、サンドパンが二匹に声をかけたのだ。
 ▼ 99 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/27 21:47:08 ID:TBHGMm7w [5/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
サンドパン「私も不本意ながら、元の世界へと帰還すべくATZに侵入していたのだ。罪滅ぼしとして、私もピカチュウたちと共に行く」

ピカチュウ(……)

サンドパン「痛めつけた上に、そんな私を救ってくれたお前。……私を殺そうとすれば、チャンスはあったハズなのに、お前は、そうはしなかった」

ピカチュウ「……恨んじゃいない。ポカブを死なせたのは、その後の手際が悪かった俺の責任だ」

サンドパン「……次の戦いでは、先の不甲斐なさを解消することを約束する。だから私を、仲間に──」

ピカチュウ「ああ、いいぜサンドパン! お前も俺たちの仲間だっ!!」

イーブイ「……ピカチュウ」

サンドパン「ありがとう。……そして、今一度言おう。……すまなかった……」


こうしてサンドパンが、ピカチュウたちの仲間に加わった。

……そして一同は、アイスロックへと向かうのだ。
 ▼ 100 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/27 21:47:45 ID:TBHGMm7w [6/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜フレアグリン 北東部 寒冷地帯〜

イーブイ「うぅ、寒いね……」ブルブル

ドーブル「ここからはアイスロックへと続くことになるのだから、当然ですよ」

ゴーリキー「町はあるのか?」

ドーブル「えぇ、寒い場所を好むポケモンが集う町、『ブリザードライク』があるます。その町へと行きましょう」

ピカチュウ「俺、季節の中では冬が一番好きなんだ。なんていうのかな……一年の終わりって、ほら、冬だろ? 物悲しくなるんだ。雪は降って来るが年は終わる。過ぎ去るものと来訪するもの。……深い意味があるんじゃないかなって」

イーブイ「うん、私も冬は好きだよ。私には彼氏はいなかったけど……好きな人と冬景色を見ながら温泉にでも浸かれたら……どんなに幸せかなぁって。」

ゴーリキー「なんなら俺が彼氏になろうか? 嬢ちゃん」

イーブイ「アハハ、冗談はその筋肉だけにしてください」

ゴーリキー(……笑顔で拒否された)
 ▼ 101 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/27 21:48:42 ID:TBHGMm7w [7/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜ブリザードライク〜

イーブイ「うわぁ。辺り一面……白、白、白っ! 雪が降り続いてるね。木々や屋根にも雪が積もってる!!」

ドーブル「屋根が三角屋根ですね。雪が振り続ける地域での、雪を屋根に残さないための知恵でしょうか」

イーブイ「あ、見て…雪だるまが作られてるよぉ! キャハハ、よく見たらユキノオーだ。かっわい〜っ!!」


だが、そう呑気に観光をしている場合でもなさそうだ。


住人「アイスロックの名物……町の外れの“雪生塔”でATZが暴れてるの。このままじゃ、崩れそうで怖いわ……」

住人「なんでも、『雪のオルゴール』とかなんとかを探してるらしい。ホント、迷惑だよ」


ゴーリキー「なるほどな。行くしか、ないよな……」

サンドパン「……あぁ」


かくして一同は、雪生塔へと向かうことになる。
 ▼ 102 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/27 21:49:40 ID:TBHGMm7w [8/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜雪生塔 頂上〜

イーブイ「……あの顔面は!」

オニゴーリ「オニオニ……我は“氷司”オニゴーリでオニ! お前たちか……相手になるぞっ!!」

ドーブル「……なんか、語尾からして実に雑魚っぽいです。オニゴーリになるくらいなら、ユキメノコになりたい」

ピカチュウ「その発言は全国のオニゴーリファンを敵に回すぞ。アニメでの活躍で好きな人も多いだろうし」

オニゴーリ「……甘く見やがって」


サンドパン「……リージョンフォームッ、変形ッ!!」ボンッ


ピカチュウ「……おぉっ!」


周辺の雪を纏い、サンドパンは戦闘態勢に入った。


オニゴーリ「……我の実力、見せてやるっ!!」ヒュンッ
 ▼ 103 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/27 21:50:37 ID:TBHGMm7w [9/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
サンドパン「つっ……」フラッ

オニゴーリの体当たりを、サンドパンは辛うじて避ける。

ドーブル「外見と口調から、少々油断をしていました。あの巨体で、なんという速さ……まるで、ドッチボールです」

オニゴーリ「ほら、ほら……ほらぁっ!!」ビュウンッ

サンドパン「……避けるばかりでは能がないか。こちらも攻撃あるのみ……“ブレイククロー”ッ!!」ガリッ

サンドパンは、自身の爪により、オニゴーリに対し攻撃を仕掛ける。

オニゴーリ「……ふんっ!」バリィッ


サンドパン「!!」


しかしなんと、オニゴーリの突進により、……彼の爪は、砕け散ってしまったのだ。
 ▼ 104 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/27 21:51:14 ID:TBHGMm7w [10/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
オニゴーリ「どうした、ご自慢の爪が砕けたくらいで……もう降参かぁ!?」

サンドパン「……まだ、数有る中の一手が破かれたのみ。手札はまだ残っている……ニードルアーマーッ!!」ビィィィ

身体中の棘を強化し、そのまま回転を始める。

サンドパン「……ドッチボール対決、受けて立つ。 お前が凍てつく氷のボールなら…こちとら地の果て針地獄……ニードルボールだ!」グルンッ

オニゴーリ「面白い! 我に……球技で勝負を挑もうとはぁっ!!」グルルンッ


ズガアッ……!!


二匹の身体が、衝突し合う。

ゴーリキー「うおぉっ……なんという衝撃だっ……!!」ビリビリ

ドーブル「打ち勝ったのは、どっちなの……?」


ムクムク……。


サンドパン「う、うぅ……」

ピカチュウ「……サ、サンドパンッ!?」
 ▼ 105 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 05:25:34 ID:Ish0PJRg [1/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オニゴーリ「……あ〜あ、期待外れだなぁ」


地に伏せていたのは、サンドパン。

立ち誇っているのは……オニゴーリだ。


オニゴーリ「爪も駄目、棘も駄目ときた。呆れるばかりだ。最早お前の前には勝利など存在しない。待っているのは、壮絶なる“敗北”のみだ。さぁ、観念し……我の技を喰らい昇天するが良かろう」

サンドパン「……」

イーブイ「交代しよっ、サンドパン! 私がこんな奴……やっつけてやるんだからっ!!」

サンドパン「……いや、それではやはり駄目なのだ」

ゴーリキー「サンドパン……なぜ、そんな意地を……?」

サンドパン「……お前たちは、“友だち”だからだ」

ピカチュウ「!」

サンドパン「デザートサンでは、お前たちに危害を加えてしまった。友だちとして……恥ずべき行為。その私がお前たちの仲間となり、この初めての戦い……。どうしても、ケリは俺自身の手で付けたいんだ」

ピカチュウ「しかし、この絶望的な状況……。もう“希望”なんて……!!」

オニゴーリ「もう良いだろう……終わらせよう……。れいとう……ビイィィ〜ムウゥゥッ!!!」ピキピキ


一同「!!」
 ▼ 106 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:11:57 ID:Ish0PJRg [2/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンドパン「……!」


ピキ、ピキィ……。


サンドパンの身体が、凍りついてしまった。

オニゴーリ「オニオ二、後はこの凍り付いた身体を踏み潰せば任務完了! 瞬時に凍り付いたもの程、脆いものはないからな、本当に呆気がない。少しは期待したのだが……損をしたわぁ!!」

ピカチュウ「もういい、俺がコイツを……」

イーブイ「いや、これはチャンス! ドーブル、サンドパンに…火を放つのよぉっ!!」

ドーブル「!」

ゴーリキー「な……なんだって!? 気でも狂ったのか、イーブイッ!! そんなことをしたら……サンドパンが焼け死んじまうぜっ!?」

イーブイ「大丈夫っ! サンドパン……あなたは確かにこう言った!! 私たちのことを……“友だち”だって!!」

オニゴーリ(なにを考えているのだ……この小娘は)
 ▼ 107 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:12:34 ID:Ish0PJRg [3/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イーブイ「その“友だち”の手を借りることは、決して恥ずべきことなんかじゃないっ! “友だち”だからこそ、助け合って支え合って…ええぃ、上手く言えないけど、とにかく……私たちはあなたを助ける!!」

サンドパン(……)

オニゴーリ「ごちゃごちゃと、綺麗事をほざきおって……。コイツは踏み潰されて死ぬ、それで終わりだ! 小娘……現実を、この惨劇を……よぉ〜く見ておけっ!!」

イーブイ(つまり、こういうことなの……。ゴニョニョ……)

ピカチュウ……(そういうことかっ! なんか昔、そういう展開を漫画で読んだことがあるぞ)

オニゴーリ「仲間の冥福でも祈っているのか!? ……死ねえぇぇぇっ!!!」ゴォォォ

ドーブル「では、いきますよ……ふんっ!!」ボォォ


オニゴーリ「!」


ドーブルは炎を具現化し、凍ったサンドパンの身体に向け、火を放った。
 ▼ 108 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:13:14 ID:Ish0PJRg [4/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オニゴーリ「も、もしや……!」

ドーブル「普通の炎攻撃や、刺々ボールはあなたには通用しないかもしれない。しかし、それが合わさったら……どうなる……?」

オニゴーリ「小娘、これが狙いで……!!」

イーブイ「私は、ただサンドパンやドーブルのことを信じていただけ。それだけよ。私は……何もしていないじゃない」

サンドパン「むんんんっ……」ボオォォ

サンドパンの氷が程良く溶け、彼女の身体に炎が渦巻いた。

ドーブル「奇しくも身に纏う氷のおかげで、あなたに炎のダメージはそれ程伝わってはいない。さぁ、サンドパン……今こそ“あなた自身”の手で、トドメを刺すのよっ!!」

サンドパン「……ありがとう、皆。本当に感謝する。オーバーヒートォ…ニードルゥゥ…ボールゥゥゥッ!!!」

オニゴーリ「う……うおぉぉぉぉぉぉっ!?」


ドゴォッ……。


鋭い棘と燃え盛る炎を纏ったその“ボール”は……。

邪悪なる大敵ATZに向け………。


渾身の一撃を込め、突撃した。
 ▼ 109 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:14:00 ID:Ish0PJRg [5/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オニゴーリ「……」


サンドパン(決まった、か……?)


オニゴーリ「う、うおぉ……」



「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」



ピキピキピキピキィ……。

パリイィィン………!!


オニゴーリの身体に亀裂が走り……。


ボコォンッ!


そのまま、少爆発を遂げた。


落下していくオニゴーリの氷の破片は、煌めき、淡く、幻想的なものであった。

しかし、それは地面に吸い込まれるや刹那、瞬時に溶け込んでいくのであった。
 ▼ 110 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:15:25 ID:Ish0PJRg [6/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
“氷司”オニゴーリ 〜撃破〜

------------------------

サンドパン「……逆転勝利と言ったところ、かな……」

イーブイ「サンドパン。あなたは、私たちの友だちだよ」

サンドパン「……あぁ、皆、本当にありがとう」


──その後ピカチュウたちは、町に戻り事情を話した。


住民「その『雪のオルゴール』のことなのですが……。もしかしたら、手掛かりはこの町のすぐ近くにあるかもしれません」

イーブイ「ほ、本当ですか!? ぜ、是非教えてくださいっ!!」

住民「この先の『氷塊遺跡』から生きて帰って来たものは、デザートサンの遺跡よろしく…やはり、誰も居ないのです。あの遺跡の最深部には、遺跡の護り主とも呼べる……鬼の様に強い存在が棲んでいるらしいのです」

ピカチュウ「あの、レジロックと同じ様な……」

住民「もしかしたら、あなたがたならば……。デザートサンの遺跡を突破し、今しがたあのオニゴーリを撃破した。そんなあなたがたならば、その存在をも突破できるやもしれませんね」

住民「あなたがたのおかげで、町に活気が漲りました。せめてものお礼です。お代は要りません。この町の宿に泊まって、英気を養ってください」


こうしてピカチュウたちは、ブリザードライクの宿へと宿泊することになったのだ。
 ▼ 111 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:16:18 ID:Ish0PJRg [7/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜夕食〜

ピカチュウ「……このボルシチ、冷めきってないか?」

ドーブル「そこが売りなんだそうですよ。『カチコチに冷えた身体に、キンキンに冷めた料理をプレゼント!』ってのがキャッチコピーだそうです」

ピカチュウ「この宿がガラガラな理由がわかるような気がするよ」

ゴーリキー「ぶぇっくしょん! はぁっくしょん!!」

イーブイ「どうしたの」

ゴーリキー「ここの大浴場、全部水風呂さぁ! こんなんじゃ温まる訳ねぇよ!!」

サンドパン「俺は地面タイプだから、水は嫌いだな」

ピカチュウ「ここの住民は寒さに弱いのか強いのかわからんくなってきた」

ゴーリキー「おい、もう寝ようぜ。ピカチュウ……一緒に枕投げしないか?」

ピカチュウ「お前は修学旅行の学生か」
 ▼ 112 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:16:55 ID:Ish0PJRg [8/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜男部屋〜

ゴーリキー「ほらほら、どうしたピカチュウゥ!!」ボィーン

ピカチュウ「ちょっ、おま…ずるいぞ……腕が四本あるなんてっ!!」

ゴーリキー「アシ○ラマンなんか六本あるんだぞ。それに比べたら安い安い。ほれほれぇっ!!」ボィーン

ピカチュウ「おい、痛えぞこの枕! あっ、てめぇ…石が入ってんじゃねぇかっ!!」ボィーン

ゴーリキー「おい、てめぇこそ……なんじゃこりゃあっ!? 鉄パイプじゃねぇか、鉄パイプ!! よぉ〜し、だったらこっちは──」ボィーン

ピカチュウ「うわっ、お前……なにを入れようとしてんだっ!?」

ゴーリキー「ハハハ、前に手に入れた、ヒードランの卵入りのカプセルボールさ。落としたら……地獄が待ってるぞぉ〜〜」ボィーン

ピカチュウ「ばか、やめろ、俺は虫が大嫌いなんだっ!!」

ゴーリキー「ハハ、可愛い可愛い。それにヒードランは虫じゃないさぁ〜〜」ボィーン

ピカチュウ「おい、ちょっと…落ちるって……マジヤバイって! う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

………
……
 ▼ 113 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:17:29 ID:Ish0PJRg [9/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜女部屋〜

サンドパン「あの男部屋のノリにはついていけない。ここでやっかいさせてもらうことにする」

イーブイ(……問題、ないのかなぁ)

サンドパン「……今日は……ありがとうな」

イーブイ「え、なにが?」

サンドパン「アンタ、わざとなのか天然なのか理解しかねるな。今日のATZとの戦いだよ。俺はただ、あのピカチュウに報いたいという一心で、希望だけはいっちょ前に捨てることができなかった」

ドーブル「……あなたは、一人ではなにもできなかったのかもしれない。だけど、勝利を収めることができた。私たちが居たから。力を合わせて団結したから」

イーブイ「……あ、私も、ピカチュウのことが好きだよ」

サンドパン「……」

イーブイ「ピカチュウは、私を護ろうとしてくれる。こんな、どうしようもない私を。ポケモンが好きということぐらいしか取り柄のない、勉強も運動もからっきしなこの私を」

ドーブル「……ポケモンそのものに成り果てた今、思うことがあります。ポケモンという存在は、本来出会うことのない筈の人たちを、結びつけてくれる。対戦や交換だけではなく、今のようにも……」

イーブイ「すごいね……ポケモンって。私たちが居なくなった後も、もしかしてポケモンは生き続けるのかなぁ」
 ▼ 114 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:18:16 ID:Ish0PJRg [10/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドーブル「始まりがあるからこそ、終わりもあります。いつかは、私たちの元からポケモンはいなくなるのかもしれませんね。だけど……」

イーブイ「?」

ドーブル「私たちは、まぁ……過程はともかく、ポケモンを通じてこうして知り合った訳です。友だちになれたのです。それは、恐らく永遠の形の一種と呼べるでしょう。」

イーブイ「なんか、難しい……」

ドーブル「私たちが朽ち果てた後も、歴史はそれを紡いでいく。私たちは、確かに存在していた。私がイラストを描くのも、その“生きた証”を残したいというのが……理由の一つなのかもしれません」

サンドパン「生きた証……か」

ドーブル「その“生きた証”を生み出す同士の一人に、かつてATZの“炎司”が居ました。『ナナホシー』……以前話しましたよね。彼女の目を覚まさせてやることも、私が今回の旅へと参加した目的の一つです」

サンドパン「俺は、皆と行動できて楽しい。目的はそれぞれ違うけれども、俺は罪滅ぼしのためだが……。皆……互いの目的を成就できるように、願おう。頑張っていこう」

ドーブル「さて、もう時間も時間です。男部屋の方はさっきカサカサとか言う音や悲鳴が聞こえてきましたが……気にしないでおきましょう。では、お休みなさい……」zzZ

イーブイ「はっやっ!」

サンドパン「俺も寝るか、あっ、言っておくが……。どうやら俺は、寝相がものすご〜〜〜っ…く、悪いみたいなんだ」

イーブイ「え」

サンドパン「安心しろ。寝相で尻を触ったりはしないよ。まぁ、くれぐれも注意しておくことだ。じゃあ、お休み」

イーブイ「え、え、ちょっと」

──パチ。

辺り一面が、闇に染まった。
 ▼ 115 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:18:58 ID:Ish0PJRg [11/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜翌日〜

ピカチュウ「おい、どうした……イーブイ。身体中、傷だらけじゃないか。目のクマも凄いことになってるし」

イーブイ「あ、あぁ……ちょっとね………」ゲッソリ

サンドパン「女にとって睡眠不足は敵と聞く。ちゃんと寝ないと、頭も働かないしな」

イーブイ(アンタのせいで眠れなかったんでしょうが!!)

ゴーリキー「さて、朝飯はバイキング形式のようだが……。もう冷えた飯など食いたくはないからな。さっさと遺跡に行くこととするか」

サンドパン「……」

ドーブル「……ええ、そうですね」

ピカチュウ「……あぁ、わかってるさ」


イーブイ(……皆の顔つきが、変わった…………)


そうだよね、怖いよね。

私は知らないけど、そのレジロックのようなポケモンと戦うことになるだなんてさ……。
 ▼ 116 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:19:33 ID:Ish0PJRg [12/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜氷塊遺跡〜

ゴーリキー「……割りと、近かったな」

ドーブル「見たところ、造られてから相当の年月が経っているようですね。壮観です、いたるところが冷気により凍りついていますし」

イーブイ(ソ〜ッ……)ペタッ

イーブイ「うわっ、冷たい……」

ドーブル「あまりむやみに触れない方が良いでしょう。低温やけどをしますよ」

ピカチュウ「この先に、『雪のオルゴール』が……。そして──」

ゴーリキー「“護り主”さんが、どっしりと待ち構えているという訳だ。挑み生きて帰って来た者は、居ないというな」

イーブイ「……」ゴクリ

サンドパン「あの時ばかりは不覚を取ったが……。今は、お前たちが居る。もう、負けるわけにはいかないな」

ピカチュウ「ああ、じゃあ……乗り込むぞっ!!」ダダッ


恐怖を乗り越え、一同は遺跡内へと侵入する。
 ▼ 117 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:20:13 ID:Ish0PJRg [13/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──氷塊遺跡 内部


ドーブル(……妙、ですね)

ピカチュウ「どうしたんだ、ドーブル」

ドーブル「いや。なんでしょうか……なにか……。根本的な違和感を……感じませんか?」

イーブイ「いわかん?」

ピカチュウ「ぽんかんみたいなアクセントで言うなよ」

ゴーリキー「どういうことだ?」

ドーブル「恐らく、最深部には明確なる敵が潜んでいる筈なのです。それにしては、なんだか……。『殺気』とでも、言えば良いのでしょうか……。そういったものが、全く感じられないのです」

ピカチュウ「殺気、ね……」

ゴーリキー「殺気はさっきも微塵に感じなかったな」

ピカチュウ「ただでさえ寒いのに、そーいうのは止めた方が良いと思います」


そして、最深部へと到着した一同。

……その場で、衝撃的な光景を目にすることとなる。
 ▼ 118 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:20:59 ID:Ish0PJRg [14/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ーー最深部ーー


ゴーリキー「……なんだ? 誰かが、倒れているようだが」

イーブイ「胸騒ぎがする……行って……見ようっ!!」ダダッ


そして。


ピカチュウ「……これ………は──」

イーブイ「あ、あなたはっ……!!」


──最深部には、二匹のポケモンが居た。

一匹は、既に地に伏せているポケモン、『レジアイス』。


そして。


サザンドラ「……」



あの、サザンドラであった。
 ▼ 119 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:23:30 ID:Ish0PJRg [15/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サザンドラ「…お前たちか……。最早、会うこともないと思っていたが……久しいな」

イーブイ「あ、あなた……タウンでハリテヤマさんを襲ったポケモンの……仲間……。わ、悪い奴なんでしょっ!? し……知っているのよぉっ!!」

サザンドラ「そう解釈するのは勝手だが。悪い奴か……フフ……。傍から見れば……確かに、“悪い奴”だな」


──その時。


カラマネロ「カラカラ」ボワンッ

一同「!!」

あのカラマネロが、またもや突如として現れた。

カラマネロ「おやおや、サザンドラさん……これはまた、お久しぶりですねぇ」

ピカチュウ「お、お前も来るだなんて。もうメチャクチャだ。しかしお前……知っているのか……? アイツのことを……」

カラマネロ「カラカラ…旧知の仲ですよ、本当にね。ねぇ……」

サザンドラ「揃いも揃い、変わらなさ過ぎること……この上ない。ねちっこいな、お前」

カラマネロ「始まりは、あなたと“あのお方”と、この私でしょう。そりゃあ……ここまでねちっこくもなれますねぇ」

イーブイ「な、なんのことを話してるの……?」

カラマネロ「直にわかりますよ。……えっと、イブさんでしたっけ」

イーブイ「!?」
 ▼ 120 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:24:16 ID:Ish0PJRg [16/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
な、なんで…。

私の、本名を……。


イーブイ(ピカチュウたち以外には、話していないはずなのに……)


カラマネロ「カラカラ……なにも、わからないでしょうね。それでいい、それでいいんです」

イーブイ「あなた、いや、あなたたち……一体、何者なの……?」

カラマネロ「さて。私がここに来訪した目的は、他でもありません」

イーブイ「しっ……質問に応えてよぉっ!!」

カラマネロ「……そのポケモンですよ。『氷塊遺跡』のゴーレムさん」


レジアイス『……』


ピカチュウ「こ、この……レジアイスのことか?」

カラマネロ「このゴーレムさんたちの維持管理が、“あのお方”に命じられた私の使命。いきますよ……カンラカラカラッ!!」ビビビビ

ドーブル「なっ……」


カラマネロは、レジアイスに対し、禍々しい光線を放ったのだ。
 ▼ 121 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:24:52 ID:Ish0PJRg [17/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シュワアァァァァ…。


ピカチュウ(なんだ……?)


レジアイス『……き』

ゴーリキー「つっ……!」

レジアイス『じゃき』

サンドパン「ま、まさか………!?」


『『じゃきいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!』』


一同「!!?」


ムク──


なんと、レジアイスは何事もなかったかのように平然と起き上がり……。

復活を、遂げたのだ。
 ▼ 122 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:25:47 ID:Ish0PJRg [18/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴーリキー「う、嘘だろ……コイツら……。復活、するのか………?」

ドーブル「じゃ、じゃあ……あの、レジロックも………?」

サンドパン「………!」

一同、戦慄。

カラマネロ「全く。ゴーレムさんたちが倒れる度に出張に現れなければならない、私の苦労をわかってほしいものですね。まぁそんなことは、あなたがたとこのサザンドラさんの例しかありませんが……では」ボワンッ

イーブイ「あ、ちょっと待ちなさいよ!!」

そう言い残し、カラマネロは消え去って行った。


レジアイス『レジィ〜ッ……』


サザンドラ「あぁ、全く………だ」

イーブイ「え……?」
 ▼ 123 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:26:22 ID:Ish0PJRg [19/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「お前たちと、こうして再び巡り会えたのだ。これも、なにかの“縁”だと思うことにしよう。……ハアァァァ──」


コオォォ……。


ゴーリキー「な、なんだ……? この、遺跡が……」

サンドパン「震えて、いるようだ……。凄い……気だ……」


『『レジィィィィィィィィ〜ッ!!!!』』


“敵”であると認識し、レジアイスはサザンドラへ襲いかかる。

サザンドラ「……あやつに魂を吹き込まれし、木偶人形よ。今一度、俺がキサマを打ち倒し……“使命”なるものから開放してやろう。仮初の休息だがな」


サザンドラ「「……ふんっ!!」」


ピカチュウ「!」



ド  ゴ  オ  ォ  ォ  ッ  …  !  !
 ▼ 124 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 14:26:54 ID:Ish0PJRg [20/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウ「う、うおぉぉっ……!?」


ビリビリ……。


サザンドラの攻撃により生じた衝撃波が、一同を包み込んだ。

レジアイス『レ、レジィィィィィ〜ッ!!』


ドサァ……。


一同「……!」


一同は、絶句する。

……無理もない。


あれだけの苦戦を強いられたレジロックと、同等の強さを有するであろう、レジアイス。

それが……得体の知れぬポケモンの一撃により、呆気なく倒されたのだから。
 ▼ 125 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:40:41 ID:Ish0PJRg [21/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サザンドラ「……くれてやる」

イーブイ「え……?」

サザンドラ「それだ、それ。奴を今しがた撃破した際……落下したのを、見ただろう?」

イーブイ「それってもしかして……この、宝、箱……?」

レジアイスは、倒された瞬間……レジロックと同様に、宝箱を落としていたのだ。

サザンドラ「お察しの通り……それには『雪のオルゴール』が入っている。そう、プログラムされているからな」

イーブイ(プログラム……?)

サンドパン「なぜ、俺たちに……?」

サザンドラ「言ったろう、なにかの“縁”だと。お前たちの実力では、コイツを倒すことすら手を焼くだろうからな。ほんの……“親切心”だ」

ゴーリキー「その“親切心”とやら……お前の仇とならぬが良いがな」

サザンドラ「減らず口だけは立派なようだ。その根性で、まぁ……これからの健闘を祈っている。……じゃあな」スタスタ

イーブイ「ま……待ってっ!!」

サザンドラ「……?」

イーブイ「そ、“それ”……あなたの、でしょう……?」
 ▼ 126 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:41:42 ID:Ish0PJRg [22/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サザンドラは、とあるものを戦いの最中に落としていたのだ。


ピカチュウ「これは、未使用のモンスターボール……。しかし、ずいぶんと傷だらけな、ボロボロの状態だ。こんな古臭いものを……どうして……?」

サザンドラ「“古臭い”、か……確かにな。……だがな。この世界とこのボール、似ているとは思わないか?」

ゴーリキー「……?」

サザンドラ「古褪せた、ボールと世界。互いにポケモンを閉じ込め、あまりに良い気になり過ぎている。とは言っても、プラズマ団のように、モンスターボール自体を否定するつもりはない。……忌まわしきは、この偽りの世界だ」

イーブイ「……偽りの、世界……」

ピカチュウ「難しい話はよくわからないんだが……」

サザンドラ「まぁ……このモンスターボールは、俺が散々“あやつ”と呼称する、とある者との思い出の品なのだ。例え、ああまで変わり果ててしまっていてもな……“思い出”だけは、色褪せることなどない」

イーブイ「友だち、だったんですね……その人とは……」

サザンドラ「……トモダチ……」

イーブイ「友だちは、大切にしなきゃ駄目だと思います。例えば、ここに居る、ピカチュウ、ゴーリキー、ドーブル、サンドパンは、同じポケモン好きの……私のとても大切な友だちです。代わりなんて、絶対にいません」

ピカチュウ「イーブイ……」


サザンドラ(イブ……)


イーブイ「どうして、その友だちと……。その……喧嘩でも、してしまったのですか……?」
 ▼ 127 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:42:38 ID:Ish0PJRg [23/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サザンドラ「喧嘩、か……似たようなものだがな。それにしても、俺としたことが……フフ、“落としもの”をしてしまうことになるとはな」

イーブイ「私も、落としものは沢山してきたよ。財布、携帯、トレーナーパス、モンスターボール……数々に渡り、色々ね」キリッ

ピカチュウ「流石に抜け過ぎだろ。しかも、そんなドヤ顔で言われても」

サザンドラ「そうだ、“落としもの”だ。……きっかけは、些細なことだったな。今にして思うと。“あの日”以来……“あやつ”は変わってしまった」

ドーブル「何か……色々複雑な事情がある様ですが」

サザンドラ「つい、色々と喋ってしまい格好は付かんが……これ以上の詮索はするな。……俺がこの世界に舞い降りたのは、“あやつ”に引導を渡すためなのだ」

ゴーリキー「……終わってしまった友情って奴なのかな」

サザンドラ「そう。最早……どんなに願っても、元に戻ることは叶わぬのだよ」

サンドパン「だから、引導を渡すのか。それは……かつて友だちだったものとしての、義務とでも言うべきことなのか……?」
 ▼ 128 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:44:04 ID:Ish0PJRg [24/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サザンドラ「義務なのか、権利なのか……或いは、その両方なのか。それを知るには、月日が経ち過ぎた」

ピカチュウ「……」

サザンドラ「俺は既に、オルゴールは入手した。だから、もうここには用は無い。さて……今度こそ、行くとする」

イーブイ「サザンドラさん……。あなた、本当に……悪い人、いや……ポケモンなの……?」

サザンドラ「フフ。……相変わらず、おめでたい頭だ」

イーブイ「なっ……なにをぉっ!?」カアァッ

サザンドラ「……じゃあな」タタッ


そう言って、サザンドラは去って行った。


イーブイ「もう……頭きたっ! ピカチュウたち、戻りましょっ!!」プンスカ

ピカチュウ「……あ、あぁ」

ゴーリキー「あのサザンドラとやら。随分親切にしてくれたが……。案外、心優しい奴なのかもしれないな。不器用なだけで」

イーブイ「どこが心優しいのよ、あんな奴っ!!」

ドーブル「……」

ドーブル(レジロックの身体には、『001‐Regi』と。そして、今のレジアイスの身体には、『002‐Regi』と。そう、掘られていた……。カラマネロは、『ゴーレム』と呼んでいましたが……)

もしかして、この『ゴーレム』たちは……。あのカラマネロによって、造り出された存在……?
 ▼ 129 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:44:34 ID:Ish0PJRg [25/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『雪のオルゴール』を思わぬ形で入手することになり、氷が溶けるが如く終わりを迎えた……アイスロックの旅路。


だが──


“サザンドラ”、“カラマネロ”、“ゴーレム”、“あやつ”……。

様々な謎は、解けずに残ることとなる。


果たしてピカチュウたちは、旅路を続ける中において、これらの謎を結び付けることができるのであろうか。


………
……
 ▼ 130 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:45:18 ID:Ish0PJRg [26/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アイスロックの旅を終えた一同は、タウンへと帰還する。


──アロガントタウン ハリテヤマのちゃんこ鍋


ピカチュウ「どうも」

オクタン「あら、いらっしゃいぃん。さっきぶ……いや、お久しぶりねぇん。何か大事な用事でもあったのかしらぁ?」

イーブイ「おばさん。ハリテヤマさんは……大丈夫なんですか……?」

オクタン「あぁ、あの人は上の階に居るわぁん。一時は心配したけど、大分容体も安定してきて……本当に良かったわぁあんぅぅ」

イーブイ「そ、そうなんですか。それを聞いて、安心しました!」

オクタン「それにしても……許せませんね。……“あのお方”を差し置いて、“ソウア”を名乗るだなんて……」

イーブイ「?」

オクタン「あ、いや……なんでもないわぁぁぁぁんっ!!」


ハリテヤマに事情を聞くために、ピカチュウたちは上の階へと上がることにした。
 ▼ 131 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:46:09 ID:Ish0PJRg [27/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜二階〜

イーブイ「ハリテヤマさん……大丈夫?」

ハリテヤマ「おう、小娘」

イーブイ「こ、小娘って言わないで!!」

ハリテヤマ「ハハ、元気そうだな」

ピカチュウ「それ俺たちのセリフだろ」

ハリテヤマ「ところで、お前たちも知っているだろう?」

ピカチュウ「あぁ、アンタがその“創蛙”とやらに襲われたことは、もう誰もが知っている。それより、一つ聞きたいことがある。アンタはなぜ……『オルゴール』を持っていたんだ?」

ハリテヤマ「なに、その答えは簡単だ。俺がネットオークションで競り落としたからだ。『苦天』と言うんだが」

ピカチュウ「色々怒られないか、それ」

ハリテヤマ「今でこそ、このような店を開いているが……。人間世界に居た頃は、俺は相撲取りだったんだ」

俺「四股名は何だったんだ?」

ハリテヤマ「……悪小龍だ」

イーブイ「完璧にヒールじゃないですか。プロレスみたいな」
 ▼ 132 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:47:01 ID:Ish0PJRg [28/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハリテヤマ「そんな俺でさえ、“創蛙”の前には歯が立たなかったんだ。そしてあの“創蛙”は、カエルポケモンの容貌をしていた」

ピカチュウ「だから、“蛙”なのか。どこらへんが“創”なのかは、よくわからないが」

ピカチュウ(だが、一つ。腑に落ちないことがある。伝説の存在とまで謳われた、“創蛙”。その存在自体も少し疑わしいところもあるが……果たしてそんな大層な輩が、顔を見られると言うヘマをするだろうか?)

ハリテヤマ「……舐めていた。隙をつけば、容易く倒せるとばかり考えていたが……。奴の実力は、そんなものではビクともしないくらい、盤石なものだった」

イーブイ「ハリテヤマさんが、敵わないなんて……」

ハリテヤマ「凄いよ、“創蛙”は。流石は伝説上の存在と言うだけはある」

ピカチュウ(……)

ハリテヤマ「お前たちも……油断だけはするなよ。油断は、死に直結するからな」

イーブイ「ありがとう、ハリテヤマさん!」

ハリテヤマ「さて、モノは相談なのだが……。お前たちに一つ、頼みたいことがある」

ピカチュウ「なんだ?」

ハリテヤマ「『オルゴール』は奪われてしまったが……。俺が生きているということがもし奴に知れれば。口封じとか、そう言ったことのため……またいつ“創蛙”がここを襲撃するかわからん」

イーブイ「ひぇっ、またそのカエルさんが……。ここにやって来るかもしれないんですか?」

ハリテヤマ「そうなれば、今度こそ俺は……。自分自身も、住民も護りきることは難しいだろう。このポケモンタウンの壊滅の恐れだってある」

イーブイ「そ、そんな……」

ハリテヤマ「お前たちは今度は『マグマランド』に赴くのだろう。大変だと重々分かってはいるが……。お前たちの中から一匹……この町の“護衛”についてはもらえないか?」
 ▼ 133 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:47:58 ID:Ish0PJRg [29/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウ「護衛、か。わかったぜ。だが……誰がこの町に残ろうか?」

イーブイ「そうだね……サンドパンはどうかな? アイスロックでは、ATZも倒したしね」

ハリテヤマ「それは心強いな。サンドパン、悪いが……このポケモンタウンに残ってくれ」

サンドパン「あぁ、わかった……。ピカチュウ、すまないな……俺はこの町に残ることにするよ。お前たちの無事を、心から祈っている」

ピカチュウ「頑張れよ、サンドパン」


こうして、サンドパンはアロガントタウンへと、単身残ることになった。
 ▼ 134 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:48:33 ID:Ish0PJRg [30/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜マグマランドの町 グツグツレスへの道〜

ピカチュウ「近くに火山も見えるな。噴火はしないだろうな?」

イーブイ「噴火怖い、雷怖い、雪崩怖い、津波怖い」ガクブル

ピカチュウ「自然現象全面的に駄目じゃないか。それにしても……なんて暑さなんだ、ここは……」

ゴーリキー「俺、サウナは大好きだが……。ここの気温は、その度を超えているな……」

ドーブル「気休めにしかなりませんが、これを具現化しましょう」ボンッ

ピカチュウ「……それは、なんだ?」

ドーブル「みずの○ごろもです。裏技で、二つ増やした覚えはありませんか?」

ピカチュウ「世代違うし。つか、ゲームが違うし」

バサッ…。

ゴーリキー「う〜ん、冷やっこい。これで、なんとか乗り越えられそうだ」

ドーブル「グツグツレスには、もう少しで辿り着きます。そこで、情報収集を行いましょう」


「「う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ〜っ!!」」


一同「!」

その時一同は、けたたましいポケモンの悲鳴を聞く。
 ▼ 135 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:49:14 ID:Ish0PJRg [31/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イーブイ「なにかが起こっている……。ピカチュウ、ゴーリキー、ドーブル……行こうっ!!」ダダッ

ピカチュウ「他のポケモンのことなんか、放っておけば良いと思うんだけどな……。まぁ、乗りかかった船ってこともあるかっ!!」ダダッ

一同が悲鳴の元へと駆けつけると、そこでは……。

ナエトル「ぐぅっ……」

グランブル「ハハッハーッ! どうした、もう……成すすべなしかぁっ!?」

ポケモンのナエトルが、グランブルに襲われていたのだ。

ゴーリキー「奴は……“妖司”ッ!!」

ドーブル「ATZの一匹ですか……。しかし、どうしてATZが我々とは無関係のポケモンを襲っているのでしょうか?」

グランブル「グラグラ、我とてこのようなか弱いポケモンを襲うのは律儀に反するのだが……」

イーブイ「じゃあ、なんで襲うのよっ!!」

グランブル「話は最後まで聞け……このマグマランドを探索中の我に対して、コイツがいきなり勝負を挑んで来てなぁっ! その心意気に免じて、我がこうして真っ向なタイマン勝負をしてやっているという訳なのだよっ!!」

ナエトル「ゼェ、ゼェ──」

ナエトルは、グロッキー状態だ。

ピカチュウ「仕方がない。俺が助けるか」

イーブイ「うん、それがいいと思……」ドクンッ

イーブイ(…え?)
 ▼ 136 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:49:55 ID:Ish0PJRg [32/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──お前は、本当に、それでいいのか…?


彼女の心に、呼びかける声が一つ。


イーブイ(な……なんだと……。言う、の……?)


《考えてみろ。お前は他の仲間たちと違い……手段はどうであれ、未だに己の手で敵を倒してはいない。これは、チャンスだとは思わないか?》

イーブイ(チャンス……)

《そうだ、チャンスだ。ここでこのグランブルを倒し、お前の力を仲間たちに認めさせるのだ。……今こそ、秘めた力を開放させる時なのだ》

イーブイ(私の……。秘めた、力……)

《最終的にどうするかは、お前自身が決めることだ──》


──プツン。


イーブイ(……確かに、私は……。このままポケモンを倒さないでいたら、ピカチュウたちと一緒に旅を続ける権利なんて、ないのかもしれない)


ーーー


イーブイ(今こそ、私が……。私自身が、行動に出るべき……!!)
 ▼ 137 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:50:27 ID:Ish0PJRg [33/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イーブイ「……待って!」

ピカチュウ「イ……イーブイ!?」

イーブイ「考えてみれば……私はまだ一回も、自分自身ではポケモンを倒すことは……できていなかった。だから、この子を助けるのは…私に任せてほしいの」

ピカチュウ「…そういうことか。だが、イーブイ……お前に、その……できるのか?」

ドーブル「……ピカチュウ」

ピカチュウ「ドーブル……?」

ドーブル「イーブイが、こう言っている。“友だち”が、こうして私たちに頼んでいる」

ゴーリキー「そうだな。“友だち”のことを信じることができるのが……。本当の、“友だち”って奴じゃないのかい?」

ピカチュウ「……ドーブル、ゴーリキー」

イーブイ「ピカチュウ……お願いっ!!」


ピカチュウ「……」


イーブイ「ピカチュウッ!!」
 ▼ 138 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:51:08 ID:Ish0PJRg [34/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピカチュウ「……わかった。俺は、いや、俺たちは……お前のことを、信じるよ」

イーブイ「ピ……ピカチュウッ!!」


友だちに、認められた。

──それだけのことが、本当に嬉しかった。


イーブイ「コイツは、絶対に私が倒す! だから、皆は先にグラグラレスへと行ってっ!!」

ドーブル「……わかったわ、イーブイ。ソイツのことは、あなたに任せる。私たちは、安心してグラグラレスへと行く。無事に合流しましょう。無事にね!」

イーブイ「うん、皆! グラグラレスで、落ち合おうっ!!」


……ダダッ。


ピカチュウたちは、グラグラレスへと駆け出した。
 ▼ 139 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:51:47 ID:Ish0PJRg [35/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グランブル「さっきから、我のことを差し置いて……。なにをほざいてやがったあっ!?」ドゴッ

イーブイ「ど、どごぐぇ〜!?」

まずは、グランブルの攻撃がイーブイに決まることとなる。

グランブル「ちなみに、我は女だっ! だから…ムカつくんだよぉっ!! お前のような、可愛いポケモンにはなぁっ!!!」ドガッ

イーブイ「えぇぇっ、女だったのぉ〜っ!? そんな……あの、貫禄のある顔してて……。声だって、その……とっても野太いのに……」

グランブル「お前……良い就職先が見つかったな。……我をとことん怒らせるという仕事になぁっ!!!」ボゴォッ

イーブイ「だがるぁ〜っ!?」

ナエトル「イ、イーブイさん……。だ、大丈夫ですか……?」

イーブイの顔は、幾多に渡る殴打によりボッコボコに腫れてしまっていた。
 ▼ 140 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:52:23 ID:Ish0PJRg [36/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イーブイ「げふっ……こ、攻撃しなきゃ……。た……“たいあたり”っ!!」ドガッ

イーブイの攻撃が、グランブルに決まる。

……が。

グランブル「……こんな、ものか?」

イーブイ「!」

グランブル「本当の“たいあたり”ってのはな……。こう、やるんだ〜っ!!」ドゴォンッ

今度はグランブルの重い一撃が、イーブイを襲う。

イーブイ「が、はっ……。す、“すなかけ”……」ザザッ

グランブル「……目くらましか? ……フンッ!!」サララッ

イーブイ「あ、あぁ……」

グランブルは、砂を手で鷲掴み、脇へと追い払ってのけた。


……圧倒敵な戦力差。

勝機など、端から無きに等しかったのである。
 ▼ 141 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:53:37 ID:Ish0PJRg [37/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グランブル「まだ、足りない…足りないなぁ。
その可愛い顔…とことんやってしまわぬと気が済まない。」

グランブルは、イーブイの片耳を掴み、持ち上げた。

イーブイ「は゛、離゛し゛て゛」


声も、絶え絶えであった。


グランブル「……おらぁっ!!」バシィッ

イーブイ「げふっ……!」

グランブルは、彼女を地面へと思い切り叩きつけた。

グランブル「ATZに逆らおうとすると、こうなるのだと言う実例を……お前でこしらえてやる。光栄に思え。少しでも、我に敵うとでも思ったか?」バシィッ

イーブイ「……や゛、や゛め゛て゛……」


聞く耳など、持つ筈がなかった。
 ▼ 142 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:54:21 ID:Ish0PJRg [38/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドゴォ、バゴォ、ズゴォ……。


無情なる衝撃音が、響き渡る。


イーブイ(……)


最初はか細い悲鳴を上げていた彼女だったが……。
その内に、声すら出すことができなくなってしまう。


グランブル「……」バゴォッ


グランブルも、最早無言である。
それは、完全なる“作業”へと成り果ててしまっていた。


ナエトル「……イーブイさん……」


“死”を待つばかり。

この光景をもし誰かが見ていたのなら、誰もがそう思うだろう。



……しかし。
 ▼ 143 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:58:06 ID:Ish0PJRg [39/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告








“奇跡”は、起こった──








 ▼ 144 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 16:58:37 ID:Ish0PJRg [40/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
薄れ行く意識の中で、イーブイは思う。

イーブイ(大見得張ったけど……。やっぱり、私には…無理だったのかなぁ……)


──次の瞬間、だった。


ピカァ……。


グランブル「なっ……」

イーブイ「えっ……」


彼女の身体が、発光していたのである。


イーブイ(嘘……私の身体……。何が、起こっているの……?)


漆黒の絶望の先には、輝かしい希望が待っていた。

彼女は、そのまま……。

変化を………。


──遂げて行く…………!!!
 ▼ 145 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 17:02:37 ID:Ish0PJRg [41/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
パアァァァァァァッ!!!


グランブル「ぐ、ぐぉっ……。ま、眩しい……!!」


シュウウゥゥゥゥ……。


光は、消え去った。


グランブル「な、なんのコケ脅しを使ったのだ……。んっ……」


グランブル「「!!?」」


イーブイ?「……」


グランブル「お、お前……なんだっ!? その……“姿”はっ………!!?」
 ▼ 146 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 17:03:30 ID:Ish0PJRg [42/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィア(私……)


イーブイは、ニンフィアへと変貌を遂げたのであった。


グランブル「ま、まさか……進化、したとでも言うのか? そんなの、この世界では聞いたことがないぞっ!!」

ニンフィア「だったら、目の前のこの現実……。どう解釈するつもり……?」

グランブル「えぇいっ、余計なことはどうでもいいっ!! それより……うおぉぉ、死ねえぇっ!!!」


バシッ。


グランブル「……なにっ!?」


ニンフィアは、攻撃を容易く受け止めたのだ。


グランブル(さっきまで攻撃を受け続けるばかりだった、コイツが……)
 ▼ 147 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 17:04:15 ID:Ish0PJRg [43/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィア(わかる、グランブルの動きが──)


どう行動するのか。

私のどこを狙ってくるのか。

攻撃する際に、必ず口を閉じる癖も。


そして……。



私に、恐怖を抱いているということもッ!!



《そうだ、それでいいのだ……イブ》



ニンフィア(……!?)



《お前の秘めた力は、今ここに解き放たれた。もう理解できただろう。最早、奴はお前の敵ではない。さぁ……トドメを刺せ》
 ▼ 148 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 17:04:46 ID:Ish0PJRg [44/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィア「私が、トドメを……命を、奪う……」

《そうだ。“殺す”、のだ》

ニンフィア「……」

《どうした、“友だち”に……。認められたくは、ないのか……?》

ニンフィア「馴れ馴れしく、ピカチュウたちのことを……語らないでっ!!」

《そうムキになるな。さぁ、決断しろ……イブ!!》


グランブル「グラグラァ〜ッ!!!」ドドドド


グランブルは、ニンフィアに対し突撃を図ろうとする。

ニンフィア「だから、私の名前を……あなた如きが……呼ばないでよぉっ!!」

------------------------

ニンフィア(今こそ、力を──)
 ▼ 149 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 17:05:58 ID:Ish0PJRg [45/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
雄大、壮大、そして寛大なる月。


ニンフィア(この悪しきATZを倒すため……ピカチュウたちに、認められるため……。力をっ!!)


グランブル「グ……ラアァァァァ〜ッ!!」ザシュッ

グランブルは、ニンフィアに飛びかかった。

ニンフィア「……無駄だよ」ガシィッ

グランブル「!」


……それを彼女は、身体に纏うリボンで受け止める。


グランブル「ぐっ……は………離せっ!!」ジタバタ

ニンフィア「攻守逆転と言ったところかな。さて……“トドメ”──」キュイイン

グランブル「なっ、なんだぁっ!?」
 ▼ 150 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 17:06:28 ID:Ish0PJRg [46/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コオォォォォ……。


グランブル(こ、これは……)


彼女の身体を、妖しげなオーラが包み込んでいく。


ニンフィア「私は、あなたに勝つ。ただそれだけ。それだけが……目的なの。じゃあ、行くよ…。ムーン……フォースウゥゥゥゥ〜ッ!!!」ゴゴオッ


グランブル「う……うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ〜っ!!!」



グランブルに向け、妖々しい力が発射された。
 ▼ 151 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 17:07:03 ID:Ish0PJRg [47/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グランブル「グラァ〜ッ!!」


ドサッ……。


ニンフィア「……か」


勝った……。


かくして、グランブルは倒れ込み……。
ニンフィアが、勝利を遂げた。


“超司”グランブル 〜撃破〜


------------------------

グランブル「グラグラ……。我としたことが、不覚を……取ってしまった……よう、だ……」

ニンフィア「……」

グランブル「さぁ、勝利者のご褒美だ。我に……トドメを刺すがいいだろう。さぁ……やれっ!!」

ニンフィア「……それは……できない」

グランブル「な、なんだと……!?」
 ▼ 152 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 17:11:45 ID:Ish0PJRg [48/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グランブル「敗者に情けをかけるつもりか、お前っ!?」

ニンフィア「……そういうことじゃない」

グランブル「では、どうしてっ!?」

ニンフィア「……言ったでしょ。私は、あなたに“勝つ”ことだけが目的だって。だから……その先の余計なことはしたくないの」

グランブル「お前……」

ニンフィア「それに、私は思うの。女は顔じゃないって。そんなもの、自分勝手な価値観に過ぎない。正しく生きていれば、きっと……いつかは報われるよ」

グランブル「グラグラ……さっきと言ってること違うじゃねぇか。だがその言葉、身に染みるよ。気にいった、ぜ……」ドサッ

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ナエトル「た、助けてくださって……ありがとうございます。イーブイ、いや……ニンフィアさん」

ニンフィア「いいのよ、それより君は? なんで……ATZに挑もうなんて思ったの?」
 ▼ 153 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 17:12:37 ID:Ish0PJRg [49/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナエトル「なぜ、僕がATZに挑もうと思ったか。それは、僕がATZ“草司”、ブリガロンの義兄弟だからです」

ニンフィア「義兄弟……?」

ナエトル「この世界に来た時、僕は孤独な独り者でした。そこを、あのブリガロンが世話を焼いてくれたのです。僕のことを気に入り、義兄弟の契りまで……わざわざ結んでくれました」

ニンフィア「恩人なのね。その“草司”とは」

ナエトル「しかし、そんなある時……。そのブリガロンは、僕の前から姿を忽然と消してしまったのです」

ニンフィア「姿を、消した」

ナエトル「はい。姿を消す際に、ブリガロンは僕に手紙を残しました。それがこれです。いつも持ち歩いています」ペラッ

ニンフィア「どれどれ──」

ーーー

《義兄弟 ナエトルよ
訳あって、私はATZなる集団へ潜り込もうと思う。お前とは、もう会うことはできぬかもしれぬ。せめてもの償いとして、お前が当分食っていけるだけの金は置いていく。だから……私のことは詮索しないでくれ。……では。
             義兄弟 ブリガロンより》
 ▼ 154 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 17:13:24 ID:Ish0PJRg [50/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィア「訳、ね……」

ナエトル「その後彼は、メキメキとATZ内で実力を現した。だが僕は、どうしてもその“訳”が知りたかった。再び彼に……会いたかった」

ニンフィア「だから、ATZを打ち負かし……アジトまで行こうとしたのね。……実力もない癖に」

ナエトル「そこを言われると、返す言葉もないです」

ニンフィア「……いいわ、ナエトル。あなたも、私に着いてきて」

ナエトル「い……いいんですかっ!?」

ニンフィア「ATZを倒すためには、仲間は少しでも多い方がいい。この先グラグラレスには、私の信用できる仲間たちが既に辿り着いているはず。道は、わかるわよね?」

ナエトル「は、はいっ! 案内します、こちらですっ!!」

こうして、ニンフィアとナエトルは、グラグラレスへと共に行くこととなった。

ニンフィア「……あれ、ナエトル………どこ〜?」

ナエトル「二、ニンフィアさん! そこじゃないです、こっちですよ〜!!」

ニンフィア「え、どこ〜?」グルグル

ナエトル「だから、こっちです! な、なんで南に向かってるんですか〜っ!? き、北ですよぉ〜っ!!」

ニンフィア「北って、どっちだっけ」

ナエトル(このポケモンに着いて行って……。本当に大丈夫なんだろうか)

少し不安になりながらも、ニンフィアとナエトルはグラグラレスの町へと辿り着いた。
 ▼ 155 ーパ@メダルボックス 17/03/28 18:22:23 ID:LgQ6PcL6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 156 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 19:35:17 ID:Ish0PJRg [51/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜グラグラレスの町〜

ニンフィア(な、なに…? 町の雰囲気が、なんだか…おかしい……?)

ピカチュウ「……! お、…お前は、その……“お前”、なのか……?」

ニンフィア「えぇ、私よピカチュウ。それより、この町でなにがあったの?」

ナエトル「……あのポケモンは」

ピカチュウ「見る方が早いだろう。……あれを見ろ」

ニンフィア「あっ、あれは……二匹のポケモンが、交戦してる……。一匹は、ドーブル。もう一匹は、え、マフォクシー? もしかして──」

ゴーリキー「やぁ、嬢ちゃん。無事に帰って来れたようだな。あぁそうだ。あれは“炎司”マフォクシー。“大炎の魔狐”の異名を持つ……恐るべき女だ」

ニンフィア(『ナナホシー』……昔は二人で一人だった。それが、今では……こうして対立してしまうことになるなんて……)

ドーブル「……久しぶりですね、マフォクシー」

マフォクシー「ゴホン。ふん、久しぶりと言われる筋合いもないな。さて、どちらだ? 先に裏切ったのは……」

ドーブル「あなたが金稼ぎに走り、粗雑な作品を量産するようになったからですよ」

ナエトル「あの有名なナナホシーに、そんな過去が……」

ドーブル「道を踏み外したかつての盟友を打ち倒すため……。奇遇なことにこの世界に来ていたあなたを知り。私は、ここで得た新たなる仲間たちと……ここまで、旅をして来たんだっ!!」

マフォクシー「そうだな。今こそ……決着を付ける時だ」
 ▼ 157 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 19:35:52 ID:Ish0PJRg [52/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マフォクシー「…ふんっ!!」


ボオォォ…。


ゴーリキー「!」


マフォクシーは、二匹の周囲に炎を渦巻いた。


俺「こ、これでは……」

ニンフィア「私たちが援助をすることはできない……!!」

ドーブル「これで、私たち以外が邪魔たてすることは不可能…。あくまで、二匹のみの戦いに拘るわけですか。
せめてもの礼儀です。かつて、私たちの好んでいた…少年漫画風に申しましょう」


ーーー


ドーブル「『……受けて立ってやるっ!!』」


周囲に炎が燃え盛る中、二匹の戦いは始まった。
 ▼ 158 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 19:36:45 ID:Ish0PJRg [53/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドーブル「…みずてっぽうっ!!」シュシュッ

マフォクシー「…ひのこっ!!」ボオォッ


ボシュウッ…。


二匹の攻撃が、相殺し合う。


ピカチュウ「まずは小手調べか」

ニンフィア「互いの力量を、確かめあってるようにも見えるね」

ドーブル「フフ、枝の炎を飛ばすとは……」

マフォクシー「お前こそ、筆を用いているではないか。今でも似た物同士なのだな、私たちは」

ドーブル「あぁ、だからこそ……私たちは、良いパートナーだったのかもしれませんね。できれば、過去形では言いたくなどなかったです」

マフォクシー「生き物は、過去には決して戻れないのだ。だからこそ、過去に固執し続けるお前が酷く滑稽に見える」

ドーブル「過去があるからこそ、現在があるのです。そんなことも忘れてしまったあなたは……とても醜く映りますね」


ドーブル「…フンッ!!」バゴォッ


ドーブルは岩を具現化し、マフォクシーに突き出した。
『ストーンエッジ』である。
 ▼ 159 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 19:37:20 ID:Ish0PJRg [54/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マフォクシー「炎よ、我を包み込めっ!!」ボオォッ

ドーブル「!」


シュウゥ…。


マフォクシーの纏った炎は……岩を、蒸発させた。


マフォクシー「炎を自在に操るからこそ、“大炎の魔狐”なのだ」

ドーブル「肩書は、伊達ではないというわけですか。中々いいものですね。この追い詰められた感覚。“戦ってる”と言うべき感覚です」

マフォクシー「頭と口は、相変わらずよく回るようだ。さて、ならば……この攻撃には、どう対処する……?」


ボオォォ…。


ピカチュウ「うぉ、なんだあれはっ!?」

ニンフィア「狐の形をした、炎だね。なんか、見てて美しい……」

ゴーリキー「だが、その美しさの中には……。漆黒なる、殺意が潜んでいる……」

マフォクシー「この炎は、意志を持っていてな……。どこまでも、どこまでも……お前を追い詰める。喰らえっ!!」


炎狐『グルルゥワアァァッ!!』
 ▼ 160 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 19:38:14 ID:Ish0PJRg [55/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィア「ド、ドーブル…危ないっ!!」


ゴオォォ…。


『炎狐』が、ドーブルの身体を激しく包み込んだ。


ニンフィア「ドーブルッ!!?」


炎狐『ぐ、ぐるがあぁぁぁぁ〜っ!!』


ピカチュウ「な、なんだ……炎狐が、消え去って行くぞ……?」

ドーブル「あなたの目は、節穴ですか? 私は、『みずの○ごろも』を身に纏っていた。これは、いわば水の塊です。だから……炎狐は消滅したのですよ」

ピカチュウ「だから、ゲーム違うっての」

ドーブル「例えあなたが何度でも炎を生み出そうと、これがある限り……あなたは私には敵わない」

マフォクシー「……ガッカリ、だな」

ドーブル「なにが、です?」

マフォクシー「本当に節穴だったのは、どっちの方だったのか……それをお前は、思い知ることになるだろう。」


──その時で、あった。
 ▼ 161 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 19:39:45 ID:Ish0PJRg [56/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
炎狐『ぐるがあぁぁぁぁ〜っ!!』ボコォッ


ドーブル「!」


突如、地中より……もう一匹の炎狐が現れた。


ピカチュウ「馬鹿な! 炎狐は、確かに消滅したはずだっ!!」

ゴーリキー「まさか……。もしや……!!」

マフォクシー「私は、炎狐が一匹だと言った覚えはない。もう一匹密かに生み出し、地中に潜めておいたのだ」ボオォッ

ドーブル「し、しまっ…。」


ドーブル(……グウゥッ!!)


炎狐が、ドーブルの身体にモロに被弾した。


マフォクシー「かつての仲間として、敬意を払おう。ここまでの旅路、実にご苦労なことであった。仲間たちとは……大いに楽しめたか?」

ドーブル「……マフォクシー……いや、マコ(真子)。あなたは、悪夢に取り憑かれてしまった」

マフォクシー「……なにが、言いたい?」

ピカチュウ「マコ……。それが、本名か」
 ▼ 162 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 19:40:54 ID:Ish0PJRg [57/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドーブル「マコ。あなたと漫画を描いていた頃のこと……覚えていますか?」

マフォクシー「フン。そんな昔のことなど……」

ドーブル「…最初は、上手くいかなかったですね。ストーリーを考えることも、絵を描くことも、ああまで難しいとは思わなかった」

マフォクシー「……」

ドーブル「原稿料だって折半で、食べることも難しかった。怒られましたね、色々と。『お前たちの漫画はメチャクチャだ!』とか。『君たち、このままだと打ち切りだよ』とか」

マフォクシー「──昔のこと、だ」

ドーブル「私は、今でも昨日のことのようにはっきり覚えていますよ。でも……あの頃が、一番楽しかったように思えます」

マフォクシー「……なぜ?」

ドーブル「あの頃……。試行錯誤していた頃……精一杯足掻いていた頃……模索していた頃……。あの頃が、一番自分たちの描きたいように描くことができましたからね」

マフォクシー「私にとっては、苦痛でしかなかった」

ドーブル「フフ、やっぱり忘れてないじゃないですか。嘘つきですね……ホントに」

マフォクシー「!」

ドーブル「話を続けましょうか。その後……デビュー作『闘将!炎狐女!!』が、見事にヒットすることになる。まぁ、最初の頃は順調でした。それなりの知名度も得て、生活も安定しましたしね」

ニンフィア「あー、知ってるよ。炎狐女。昔、古本屋で買いました。イッシュ各地を人助けの旅に周る……マフォクシーの話です」

ピカチュウ「新品で買え」
 ▼ 163 石の森◆Y0TXrTESFs 17/03/28 19:42:08 ID:Ish0PJRg [58/58] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドーブル「そこからですよ、あなたが変わってしまったのは……。“ヒット”が“大ヒット”に変わり、“それなり”の知名度が“物凄い”知名度になってからの話です」

マフォクシー「私が、変わった……」

ドーブル「アニメ化。ゲーム化。映画化。一躍、私たちは時の人となった。ブームが廃れる気配も、全く見えてこなかった」

ニンフィア「凄かったよねー、あの時の人気は」

ドーブル「そう、あなたは“名声”に、溺れてしまった。明らかに、あなたには漫画を描くことに対するやる気が見られなくなってしまった。原作も、粗末なものになってしまった」

マフォクシー「……」

ドーブル「これではいけない、と思った。だから、私はあなたとコンビを解散したのです。しかし、あなたの目は……覚めることはなかった」

ニンフィア「ナナホシーが解散したのは……。そんな理由があったからなのね……」

マフォクシー「……だから、なんだと言うのだ。“金”は、人を狂わす。確かにその通りだ。だから……漫画描写でもそうだが、貧乏人は大抵聖人君子に描かれ、金持ちはいつも“ワルモノ”にされる」

ドーブル「漫画を描くことの面白さ。それを、もう一度あなたに知ってもらいたいのです」

マフォクシー「戯れ言を……。漫画家など、所詮は数ある中の職業の一つに過ぎない。漫画家になったのは、そう……“たまたま”だ」

ドーブル「…たまたまでしょうか。本当に……そうだったのでしょうか。」

マフォクシー「……お前の昔話に付き合ってやるのもここまでだ」


ボォォォ──


ゴーリキー「この技は……炎司の最終奥義……“だいもんじ”だ!!」
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