【エイプリルフールSS】嘘物語:ポケモンBBS(掲示板) 【エイプリルフールSS】嘘物語:ポケモンBBS

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【エイプリルフールSS】嘘物語

 ▼ 1 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:22:53 ID:gSqSiRdA [1/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
シャンデラ「とりあえず、今日は4月1日です」

ジュペッタ「うん、で?」

シャンデラ「4月1日と言えば?」

クチート「学年の始まり?」

シャンデラ「他に」

ジュペッタ「花見の季節」

ウソッキー「お花見でも行くか?」

シャンデラ「だーかーらー! 他には?」

……

シャンデラ「ったく、察し悪すぎだろお前ら……」
 ▼ 2 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:23:41 ID:gSqSiRdA [2/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
春休み。高校入学を控えた俺、ジュペッタは、親しかった、そして同じ高校へ合格を決めたシャンデラから呼び出され、彼の家へとやって来た。

そしてこの、クチート、ウソッキー。この2匹は、誰かを騙す事が得意なコンビとして、中学時代は有名だった。

騙すと言っても、彼らの嘘に罪はなく、むしろ誰かを楽しませる事に特化したほら話を好んでいたのが幸いで、彼らの評判は、プラスなものである。

あざむきポケモン、クチート。

まねポケモン、ウソッキー。

彼らの種族は、もとより嘘を吐く事が定められていると言っても過言ではない。

けれど2匹は、それを善に昇華した。

……しかし、2匹と俺とは特に接点がある訳でもなく、それはシャンデラも同様だったはずだ。

どうしてこの2匹がここにいて、こんな風に話しているのか、さっぱりわからない。
 ▼ 3 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:24:20 ID:gSqSiRdA [3/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
クチート「わかってるよーそのぐらい」

ウソッキー「エイプリルフールだろ? んな事ぐらいわかってら」

ジュペッタ「ったく、今までのも嘘ってか?」

シャンデラ「かーっ! わかってたのかお前ら。見事に騙されたぜ!」

ウソッキー「いや、今のは軽い冗談」

クチート「この程度、嘘には入らないよ。ね」

ウソッキー「そうそう」


俺の立場が形無しだ。

少し文句を言ったが、シャンデラに流されてしまう。


シャンデラ「まあ、そんなお前たちを見込んで、嘘の極意を教えて欲しいんだ」

ウソッキー「嘘の……」

クチート「……極意?」
 ▼ 4 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:24:56 ID:gSqSiRdA [4/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
こいつは何を言っているのだろうか。

俺の目線に気付いたのかシャンデラは肩をすくめ、それから笑って言った。


シャンデラ「ゴーストたるもの、嘘のひとつは吐けねえといけないなと思ってさ。

      それで、嘘のプロたるお前らに協力を仰いだって訳」


なるほど。こいつは、そんな事を考えていたのか。

ちゃらちゃらしているように見えて、しっかりこれから先を見据えていたシャンデラ。

俺は、意外な気持ちでシャンデラに視線を向けた。


クチート「なるほど、そういう事ね。でもなー、私、そんな難しい事考えてる訳じゃないのよね」

ウソッキー「嘘ってある意味、話作りみたいなもんだしな」

シャンデラ「その話作りが俺にはできないんだ。なあ、お願いだ。いいや、お願いします」

ジュペッタ「俺からも頼むよ」


俺だって、ゴーストの端くれだ。知っておいて損はないだろう。

そんな打算的な考えも俺の中を巡り、俺も頭を下げた。
 ▼ 5 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:25:29 ID:gSqSiRdA [5/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
ウソッキー「うーん、どうなんだろ、嘘の吐き方かぁ……」

クチート「盛るだけだもんね。話盛って、みんなを楽しませる、が私たちのポリシーだし」

ジュペッタ「その盛り方とかさ、なんかコツあるんじゃね?」

ウソッキー「そもそも、騙して何を目指してんの?」

シャンデラ「……成仏だな、死んでしまったポケモンの。

      そいつが死んでるって、傷付けずに教えるためのエッセンスが、そん中にありそうだなって」

クチート「そっか。まあ、嘘にもいろいろあるからね。

     誰かを傷付ける嘘。何にも起きない嘘。誰かのためを想っての嘘」

ウソッキー「これが一番大事かな。傷付ける嘘は、最低な嘘。誰かを楽しませる、ホラであれ、だな」

シャンデラ「ほーほー」
 ▼ 6 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:26:18 ID:gSqSiRdA [6/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
クチート「あっ、そうだ。ホーホーってね、実は両足を高速で入れ替えてて、その瞬間を見たポケモンは幸せになれるんだって」

シャンデラ「え? マジ?!」

ジュペッタ「幸せの件は嘘だろな」

ウソッキー「とまあ、こんなのは、僕たち的にはいい嘘だね。こういう夢のある話はオッケー。

      肝心なのは、見なかったからといって何も不利益が起こらない事。

      そして、見る機会もあんまないしね。身近にホーホーがいたらその子の不利益になるけど、それもない」

シャンデラ「え、嘘だぁ? 一瞬信じちゃったじゃねぇか」


語気を荒げたシャンデラに、クスクスとクチートが笑う。


クチート「駄目だこの子。今の流れで嘘吐くのは自然でしょ」

ジュペッタ「ホーホーが高速で足を入れ替えるのはマジらしいけど」

シャンデラ「そうなのか……」

ジュペッタ「知らなかったのかよ」


ウソッキーが笑いをこらえていた。

おーい、舐められてますぞシャンデラさん。
 ▼ 7 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:28:06 ID:gSqSiRdA [7/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
シャンデラ「まあ、つまり、誰かのためを想うからこそ、嘘は素晴らしい、か」

ウソッキー「まとめると、な」

クチート「後は話作りのとこだよね。ここまで来たら後は、物語を創るだけ。

     それが口頭で、しかも事実のように話されたのが嘘だから」

ジュペッタ「嘘は話作り……」

ウソッキー「ま、難しく考える必要はないな。

      誰だって、ちっちゃい頃は自分の話をいろいろとしてた訳で、それはある意味物語作りだからな」

クチート「ある意味成長してないとも言えるけどねそんな言い方すると」

シャンデラ「いやー、でもそれでみんなに好かれてんだから、いいじゃねえかお前ら」

クチート「そう言ってもらえるとありがたいよ」
 ▼ 8 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:29:00 ID:gSqSiRdA [8/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジュペッタ「そろそろ実践的な内容に踏み込まねぇか?」

シャンデラ「実際、どうやって話作りってやるんだ? 変にませちまったから、上手く作れねぇんだよ」

ウソッキー「まあ、気持ちの方はできてそうだしね。ここで変にませるって語彙が出てくるんだし」

クチート「もうメンタルの話はやめようよ。じゃ、話作りの極意、その1!

     時間の設定を明確にすべし!」

シャンデラ「……時間?」

ウソッキー「今、過去、未来。どのタイミングに関する話なのか。それによっていろいろと変わって来るのは確かだな」
 ▼ 9 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:29:35 ID:gSqSiRdA [9/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
クチート「未来だと、予言趣味が強くなるね。

     例えば……今日抜き打ちテストあるらしいよ?」

シャンデラ「はぁ?! やべえよ対策してない!」

ジュペッタ「……そりゃ今日は春休み、エイプリルフールだからな」

シャンデラ「っと……」

ウソッキー「実際になかった時に、なんだよ焦ったーって感じ。それを後は軽く反省する素振りを見せて笑いに変える、だな。

      ま、俺たちの場合、そういうキャラ付けができてるからみんな乗っかってくれんだけど」

クチート「あんまりやり過ぎると禍根を残すから、すぐにうっそぴょーん! って否定するのが大事ね」

シャンデラ「ほうほう」
 ▼ 10 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:30:09 ID:gSqSiRdA [10/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
ウソッキー「現在となると……お前、寝癖付いてんぞ」

シャンデラ「体毛もないし、それはさすがに騙されん!」

ジュペッタ「威張れねぇだろそれじゃ……」

クチート「炎赤いよ?」

シャンデラ「え、嘘」

クチート「嘘」

シャンデラ「ぐぬぬ……」

ウソッキー「これに関しては騙すのが目的って訳じゃないんだから」

クチート「てへ」


青い炎の方が、赤いのよりも高温であり、炎が赤いというのはシャンデラにとってわりかし重要な問題だ。

と脳内で擁護してみるが、それを差し引いてもこいつは純朴過ぎる。
 ▼ 11 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:31:39 ID:gSqSiRdA [11/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
クチート「要するに、一瞬で気付かれるのが大事。あんまり隠れてると、後を引く」

ウソッキー「どっちにしても、っつーか、どんな嘘でも、明るく否定するのが肝心だな」

シャンデラ「明るく否定、か」

クチート「最後は過去バージョン。うーんと……」

ウソッキー「既に通り抜けて来た時間の話だから、相手がわかってる事は使えない。

      相手と一緒にいない時に起こった話で、それを脚色して話すってのがテンプレになるな。

      例に出すにはちょっと重いが……

      俺、実はいじめられてたんだよね。だからこうやって、嘘を操って人気を取れるように頑張った」
 ▼ 12 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:32:13 ID:gSqSiRdA [12/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
シャンデラ「え、マジかよ」

ウソッキー「嘘。でも、知らないでしょ? そんな事があったって」

クチート「このパターンだと、些細な事なら訂正しなくてもいいかもね。

     ただ、そうなると嘘じゃなくなっちゃうけど」

ジュペッタ「嘘ってのは相手が認識して初めて、嘘になる、か」

ウソッキー「そう。だから、何を狙うのか。シャンデラの場合、成仏させたいんだっけ。この世に残りたい魂を、騙して引きずり込むのか?」

シャンデラ「そうだ」

クチート「相手に気付かれないままじゃ意味ないよね。しっかり自覚させないと駄目でしょ?」

シャンデラ「ああ。でも、なるべく傷付けないように、少しずつ」

ジュペッタ「まあ、どうしたって傷付くのはしゃーなし。死ぬのなんてどう考えても辛いしな」
 ▼ 13 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:33:36 ID:gSqSiRdA [13/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
ウソッキー「うーん、ケースバイケースではあるけど……。そもそもこんな壮大な嘘吐いた事ねぇしな」

クチート「まあ、後は応用力に期待するとして、次の極意!」

ウソッキー「感情をしっかり込めて、雰囲気を作るべし」

ジュペッタ「雰囲気か」

シャンデラ「信じ込ませやすいもんな、それっぽい感じ出してると」

クチート「ものによるね。さっきの炎赤いって嘘、ああいうのはさりげなく言った方が受ける」

ウソッキー「話と自分をずらさないのが大事だな。

      矛盾が見えたら、その時点で醒める」

ジュペッタ「なるほど……」
 ▼ 14 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:34:11 ID:gSqSiRdA [14/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
クチート「次行くよ。極意その3! 引き際を見極めるべし!」

ウソッキー「これが一番大事だな。ここで失敗すると、大火傷……はお前はしないか」

シャンデラ「だな」

クチート「でも、ゴーストっておばけ駄目だもんね。気を付けないと」

ジュペッタ「その辺は俺の方が詳しい自信あるし、また今度教えるわ」

シャンデラ「まあ、それはそうとして、引き際が大事。ミスると、禍根を残す、か」

ウソッキー「そう。その辺は、相手の立場に立って考えないと駄目だ。

      これ以上やったら後戻りできないだろ、ってとこをいかに回避するかだな」

シャンデラ「なるほど……」

クチート「でも、参考になる? 騙して成仏させるなんて、そんなたいそれた事した事ないし」

シャンデラ「引き際もクソもないんだよな。成仏させたらそれで終わりなんだから。

      死んだ事を最後には自覚させて、か。成仏のためにはそのステップが必須になるしな……」

ジュペッタ「嘘。冗談かな。それを混ぜながら伝えるってのがベターかもな」
 ▼ 15 ちます◆FvXQeTACDA 17/04/01 06:34:55 ID:gSqSiRdA [15/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
気が付けば空は朱に染まり、2匹はもう、帰らないといけないらしい。


ウソッキー「なんか、あんまり力になれなかったようで申し訳ない」

クチート「やっぱり、練習あるのみだよ。相手を傷付けない嘘は。また今度、特訓しようね!」

シャンデラ「おう!」

ジュペッタ「ありがとう」

嘘吐きコンビ「じゃあ、また!」

ゴーストコンビ「じゃあな!」


去って行った2匹を見送り、俺はシャンデラと話を始めた。

なかなかためになったな。

しかしお前、いろいろ考えてたんだな。

そんな風に声を掛けるが、シャンデラの表情は浮かない。


シャンデラ「なあ……こんな話知ってるか?」
 ▼ 16 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:50:17 ID:gSqSiRdA [16/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジュペッタ「おっ、さっそく練習か? いいぞ、聞いてやる」

シャンデラ「自分が死んだ事に気付かないポケモンっているよな」

ジュペッタ「ああ、いるな」

シャンデラ「実は俺、そういうポケモンと話せるんだ」

ジュペッタ「知ってるぞ。お前は事実、そういう奴だ。嘘になってない」

シャンデラ「わーってんよそんぐれぇ。でな? そういう生態だから、いろいろわかってくんだよ。

      本当に、何一つ変わらない日常を送ってるつもりで、いろいろ楽しんでんだよな。

      基本的に、そいつは周りに誰もいない。いないからこそ、自分が誰とも会話できていない事に気付けない」

ジュペッタ「……かわいそうだよな」


シャンデラ「でもよ、実は例外もあるんだ。そいつが一番強く思っていたポケモンになら、視認してもらえる」
 ▼ 17 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:51:20 ID:gSqSiRdA [17/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
嘘だ。俺もゴーストだから、それが嘘だとわかる。

現実とは、厳しいもの。例外なく、死んでなおこの世に未練を残す命は魂だけとなる。

想いだけで、交流するだなんて不可能だ。

それこそ、特別な力を持ったポケモンかあるいは、初めから死に近い位置にいるゴーストポケモンぐらいとしか話せない。

その状態で、成仏を目指さなければならない。

だからこそ、シャンデラが頑張らなければならないのだ。


けれど、あくまでこれは嘘の練習。こんな事を知っているポケモンも少ないし、乗っかってあげる事にした。


ジュペッタ「それで?」

シャンデラ「今さ、そんな成仏できない奴がいるんだよ。

      仲の良かった友達としか、話せない、死んじまったポケモンがな」

ジュペッタ「ほう」

シャンデラ「俺さ、なんとかして、そいつを成仏させたいんだ。

      嘘吐いてでも、どれだけ苦しくても」
 ▼ 18 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:52:05 ID:gSqSiRdA [18/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジュペッタ「なあおい、ちょっと待て」

シャンデラ「なんだ?」


俺の中で、あるひとつの物語が作り出される。

なるほどね。彼の吐く嘘を、俺は恐らく見破った。

俺は、その嘘に、乗りかかる。最後まで、突き進む。


ジュペッタ「友達と“しか”、って言ったよな。お前が。他でもないお前が」

シャンデラ「ああ」

ジュペッタ「なあ、どういう事だ? 死んじまった奴は、ゴーストタイプとぐらいしか話せない。

      そして俺の知り合いにゴーストなんて、お前ぐらいしかいねぇ。

      家族はいるが、元々中高なんて、あんま家族と話さねえし」
 ▼ 19 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:52:39 ID:gSqSiRdA [19/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
シャンデラ「……なあ、お前さ。今、何考えてるんだ?」

ジュペッタ「……聞きたいか?」

シャンデラ「聞かせてくれ」


俺は、チャックで閉ざされた口から思いっきり息を吸い込み、それからニヤリと笑う。



ジュペッタ「これだけの雰囲気が出せれば、嘘も吐けるだろ」
 ▼ 20 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:53:16 ID:gSqSiRdA [20/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
シャンデラ「だよな! お前も、そう思うよな!」

ジュペッタ「まあ7割は俺の演技のお陰だけど」

シャンデラ「言ったなこんにゃろ!」


きっと、これからも、こんな軽い日常は続いて行く。

俺とこいつは、なんだかんだ言って、腐れ縁なのだ。

一緒にいろいろな奴を脅かして、騙して、成仏させる。

俺は、笑ったまま夕焼けの空を見上げる。

桜の花が風に舞っていた。

中学も終わり。これからは、高校生活だ。
 ▼ 21 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:53:53 ID:gSqSiRdA [21/36] NGネーム登録 NGID登録 報告



――――――


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 ▼ 22 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:54:34 ID:gSqSiRdA [22/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
シャンデラ「……言えねぇよ。

      苦しくないって、自分を騙さないといけないのはわかってんだ。わかってんだけど……」


シャンデラは、1匹、涙を流す。

ジュペッタを見送り、部屋で1匹、そう呟く。


シャンデラ「お前が……お前が本当にそうだなんて、絶対言えない……。

      教えてくれよクチート、ウソッキー。これは、いい嘘なのかよ……」


ジュペッタは、シャンデラと以外誰とも話していない。

クチートも、ウソッキーも、彼の言葉を認識していないのだ。

シャンデラは、成仏できず、死にすら気付かない友を送り出す勇気を、未だに持てずにいる。

嘘。友達のためを想った最低な嘘を胸に、シャンデラは眠りの世界へと融けていく――
 ▼ 23 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:55:04 ID:gSqSiRdA [23/36] NGネーム登録 NGID登録 報告







嘘物語 完






 ▼ 24 説編◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:55:38 ID:gSqSiRdA [24/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シャンデラ「とりあえず、今日は4月1日です」

シャンデラ「4月1日と言えば?」

クチート「学年の始まり?」

シャンデラ「他に」

ウソッキー「お花見でも行くか?」

シャンデラ「だーかーらー! 他には?」

……

シャンデラ「ったく、察し悪すぎだろお前ら……」
 ▼ 25 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:56:11 ID:gSqSiRdA [25/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
クチート「わかってるよーそのぐらい」

ウソッキー「エイプリルフールだろ? んな事ぐらいわかってら」

シャンデラ「かーっ! わかってたのかお前ら。見事に騙されたぜ!」

ウソッキー「いや、今のは軽い冗談」

クチート「この程度、嘘には入らないよ。ね」

ウソッキー「そうそう」
 ▼ 26 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:56:49 ID:gSqSiRdA [26/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シャンデラ「まあ、そんなお前たちを見込んで、嘘の極意を教えて欲しいんだ」

ウソッキー「嘘の……」

クチート「……極意?」

シャンデラ「ゴーストたるもの、嘘のひとつは吐けねえといけないなと思ってさ。

      それで、嘘のプロたるお前らに協力を仰いだって訳」

クチート「なるほど、そういう事ね。でもなー、私、そんな難しい事考えてる訳じゃないのよね」

ウソッキー「嘘ってある意味、話作りみたいなもんだしな」

シャンデラ「その話作りが俺にはできないんだ。なあ、お願いだ。いいや、お願いします」
 ▼ 27 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:57:23 ID:gSqSiRdA [27/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ウソッキー「うーん、どうなんだろ、嘘の吐き方かぁ……」

クチート「盛るだけだもんね。話盛って、みんなを楽しませる、が私たちのポリシーだし」

ウソッキー「そもそも、騙して何を目指してんの?」

シャンデラ「……成仏だな、死んでしまったポケモンの。

      そいつが死んでるって、傷付けずに教えるためのエッセンスが、そん中にありそうだなって」

クチート「そっか。まあ、嘘にもいろいろあるからね。

     誰かを傷付ける嘘。何にも起きない嘘。誰かのためを想っての嘘」

ウソッキー「これが一番大事かな。傷付ける嘘は、最低な嘘。誰かを楽しませる、ホラであれ、だな」

シャンデラ「ほーほー」
 ▼ 28 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:57:54 ID:gSqSiRdA [28/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
クチート「あっ、そうだ。ホーホーってね、実は両足を高速で入れ替えてて、その瞬間を見たポケモンは幸せになれるんだって」

シャンデラ「え? マジ?!」

ウソッキー「とまあ、こんなのは、僕たち的にはいい嘘だね。こういう夢のある話はオッケー。

      肝心なのは、見なかったからといって何も不利益が起こらない事。

      そして、見る機会もあんまないしね。身近にホーホーがいたらその子の不利益になるけど、それもない」

シャンデラ「え、嘘だぁ? 一瞬信じちゃったじゃねぇか」

クチート「駄目だこの子。今の流れで嘘吐くのは自然でしょ」

シャンデラ「そうなのか……」
 ▼ 29 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:59:09 ID:gSqSiRdA [29/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シャンデラ「まあ、つまり、誰かのためを想うからこそ、嘘は素晴らしい、か」

ウソッキー「まとめると、な」

クチート「後は話作りのとこだよね。ここまで来たら後は、物語を創るだけ。

     それが口頭で、しかも事実のように話されたのが嘘だから」

ウソッキー「ま、難しく考える必要はないな。

      誰だって、ちっちゃい頃は自分の話をいろいろとしてた訳で、それはある意味物語作りだからな」

クチート「ある意味成長してないとも言えるけどねそんな言い方すると」

シャンデラ「いやー、でもそれでみんなに好かれてんだから、いいじゃねえかお前ら」

クチート「そう言ってもらえるとありがたいよ」
 ▼ 30 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 08:59:41 ID:gSqSiRdA [30/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シャンデラ「実際、どうやって話作りってやるんだ? 変にませちまったから、上手く作れねぇんだよ」

ウソッキー「まあ、気持ちの方はできてそうだしね。ここで変にませるって語彙が出てくるんだし」

クチート「もうメンタルの話はやめようよ。じゃ、話作りの極意、その1!

     時間の設定を明確にすべし!」

シャンデラ「……時間?」

ウソッキー「今、過去、未来。どのタイミングに関する話なのか。それによっていろいろと変わって来るのは確かだな」

クチート「未来だと、予言趣味が強くなるね。

     例えば……今日抜き打ちテストあるらしいよ?」

シャンデラ「はぁ?! やべえよ対策してない!」

      っと……」

ウソッキー「実際になかった時に、なんだよ焦ったーって感じ。それを後は軽く反省する素振りを見せて笑いに変える、だな。

      ま、俺たちの場合、そういうキャラ付けができてるからみんな乗っかってくれんだけど」

クチート「あんまりやり過ぎると禍根を残すから、すぐにうっそぴょーん! って否定するのが大事ね」

シャンデラ「ほうほう」
 ▼ 31 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 09:00:14 ID:gSqSiRdA [31/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ウソッキー「現在となると……お前、寝癖付いてんぞ」

シャンデラ「体毛もないし、それはさすがに騙されん!」

クチート「炎赤いよ?」

シャンデラ「え、嘘」

クチート「嘘」

シャンデラ「ぐぬぬ……」

ウソッキー「これに関しては騙すのが目的って訳じゃないんだから」

クチート「てへ」
 ▼ 32 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 09:01:47 ID:gSqSiRdA [32/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
クチート「要するに、一瞬で気付かれるのが大事。あんまり隠れてると、後を引く」

ウソッキー「どっちにしても、っつーか、どんな嘘でも、明るく否定するのが肝心だな」

シャンデラ「明るく否定、か」

クチート「最後は過去バージョン。うーんと……」

ウソッキー「既に通り抜けて来た時間の話だから、相手がわかってる事は使えない。

      相手と一緒にいない時に起こった話で、それを脚色して話すってのがテンプレになるな。

      例に出すにはちょっと重いが……

      俺、実はいじめられてたんだよね。だからこうやって、嘘を操って人気を取れるように頑張った」

シャンデラ「え、マジかよ」

ウソッキー「嘘。でも、知らないでしょ? そんな事があったって」

クチート「このパターンだと、些細な事なら訂正しなくてもいいかもね。

     ただ、そうなると嘘じゃなくなっちゃうけど」
 ▼ 33 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 09:02:24 ID:gSqSiRdA [33/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ウソッキー「そう。だから、何を狙うのか。シャンデラの場合、成仏させたいんだっけ。この世に残りたい魂を、騙して引きずり込むのか?」

シャンデラ「そうだ」

クチート「相手に気付かれないままじゃ意味ないよね。しっかり自覚させないと駄目でしょ?」

シャンデラ「ああ。でも、なるべく傷付けないように、少しずつ」

ウソッキー「うーん、ケースバイケースではあるけど……。そもそもこんな壮大な嘘吐いた事ねぇしな」

クチート「まあ、後は応用力に期待するとして、次の極意!」

ウソッキー「感情をしっかり込めて、雰囲気を作るべし」

シャンデラ「信じ込ませやすいもんな、それっぽい感じ出してると」

クチート「ものによるね。さっきの炎赤いって嘘、ああいうのはさりげなく言った方が受ける」

ウソッキー「話と自分をずらさないのが大事だな。

      矛盾が見えたら、その時点で醒める」
 ▼ 34 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 09:02:57 ID:gSqSiRdA [34/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
クチート「次行くよ。極意その3! 引き際を見極めるべし!」

ウソッキー「これが一番大事だな。ここで失敗すると、大火傷……はお前はしないか」

シャンデラ「だな」

クチート「でも、ゴーストっておばけ駄目だもんね。気を付けないと」

シャンデラ「まあ、それはそうとして、引き際が大事。ミスると、禍根を残す、か」

ウソッキー「そう。その辺は、相手の立場に立って考えないと駄目だ。

      これ以上やったら後戻りできないだろ、ってとこをいかに回避するかだな」

シャンデラ「なるほど……」

クチート「でも、参考になる? 騙して成仏させるなんて、そんなたいそれた事した事ないし」

シャンデラ「引き際もクソもないんだよな。成仏させたらそれで終わりなんだから。

      死んだ事を最後には自覚させて、か。成仏のためにはそのステップが必須になるしな……」
 ▼ 35 1◆FvXQeTACDA 17/04/01 09:03:27 ID:gSqSiRdA [35/36] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
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ウソッキー「なんか、あんまり力になれなかったようで申し訳ない」

クチート「やっぱり、練習あるのみだよ。相手を傷付けない嘘は。また今度、特訓しようね!」

シャンデラ「おう!」

嘘吐きコンビ「じゃあ、また!」

シャンデラ「じゃあな!」
 ▼ 36 ルビー@ふねのチケット 17/04/01 09:05:19 ID:gSqSiRdA [36/36] NGネーム登録 NGID登録 報告
当SSはこれにて完結です
お読み下さりありがとうございました
質問等ありましたらどうぞ

また当SSはエイプリルフールSS企画(http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=554348)に参加しています
 ▼ 37 トデマン@サイコシード 17/04/01 09:34:01 ID:LgruEncQ NGネーム登録 NGID登録 報告

 ▼ 38 ルトロス@バンジのみ 17/04/05 00:06:07 ID:Hz8ZNNVg NGネーム登録 NGID登録 報告

いや、すげえよこれ
 ▼ 39 ロボーシ@デンキZ 17/04/05 23:46:59 ID:tsOseVFw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
セリフの掛け合わせ方と使い方が凄かったです……
乙です
 ▼ 40 りもの湖◆1kfBK4rWHM 17/04/06 09:46:56 ID:HY2GbyCc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
乙…
泣いた
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