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SS

【SS】 カノン 「さよならっ……」

 ▼ 1 スノキ 15/01/25 02:34:00 ID:DcjZ/2f6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「アルトマーレ展?」
 (http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=25338


・上記SSの続編となります。同作をお読みいただいた方が、話が分かりやすいかと思います。

・時系列は、アニポケXY第56話と57話の間を想定(ヌメラをゲット後、ヒヨクシティ到着前)。
 ▼ 253 ヤッキー@どくバリ 15/02/04 19:31:05 ID:BO.EvhLs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>251
ありがとう、おかげで助かった。>>252みたいなの書いた俺恥ずかしい
 ▼ 254 スノキ 15/02/04 19:35:00 ID:dyyRzAcY [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
古代マシンのフロアに辿り着くと、まさにJが、ラティアスを古代マシンのリングに寝かせた所だった。


 カノン 「ラティアス!」

 サトシ 「やめろJ!」

 J 「来たか。……だが遅い!」


ラティアスの体が浮き上がり、古代マシンのリングが、その周りに纏わりつく。マシンがラティアスのパワーを吸い取る準備が完了したと言うことだ。


 J 「こころのしずくをセットすれば! 貴様らはこのマシン前に無力と化すのだ!」

 サトシ 「Jを止めるぞ! 出てこいゲコガシラ!」

     「げぇごぉぉぉ!」


 J 「無駄だ! さぁ! こころのしずくをセット……台座が無い!?」
 ▼ 255 スノキ 15/02/04 19:35:30 ID:dyyRzAcY [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「……ふふっ。マシンの動かし方をどこで知ったかは分からないけど。マシンの台座は撤去したのよ! 公表はしてないけどね!」

 J 「なにっ……!?」


確かに、昨日カノン、そんなことを言っていた。もう2度と同じことが起きないように、マシンの歴史的価値はあるものの、台座を撤去してしまったと。


 J 「馬鹿なっ……クッ! プランBに移行する! ラティアスを回収しろ!」


Jのボーマンダは、マシンから強引にラティアスを引き抜こうと動くが、そのタイミングで、セレナとユリーカがやって来た。


 ユリーカ 「サトシ! カノン!」

 サトシ 「……ってユリーカ!? それにセレナも! 危ないから来ちゃダメだ!」

 セレナ 「ううん! この前は、私は何も出来なかった。だから今回は私も一緒に戦うって決めたの! お願いフォッコ!」

     「ふぉこぉ!」

 J 「チッ。面倒な……。出てこいドラピオン! アリアドス!」

 サトシ 「カノンとユリーカは下がってるんだ! 行くぞピカチュウ! ゲコガシラ!」
 ▼ 256 スノキ 15/02/04 19:36:00 ID:dyyRzAcY [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こちらはピカチュウとゲコガシラ、それにフォッコ。

対するJは、ドラピオンとアリアドス。ボーマンダはラティアスに付いているので、こっちに加勢することは無いだろう。


 J 「ドラピオンは“つじぎり”! アリアドスは“どくづき”!」

 セレナ 「フォッコ、アリアドスに“かえんほうしゃ”よ!」

 サトシ 「ピカチュウはドラピオンに“でんこうせっか”! ゲコガシラは“かげぶんしん”だ!」


ピカチュウとドラピオンの攻撃が衝突し、相殺。パワーは互角か。


 サトシ 「“10万ボルト”だ!」

 J 「ならば“ミサイルばり”!」


すぐにピカチュウの体勢を整えさせ、“10万ボルト”で反撃に出るも、“ミサイルばり”が先にピカチュウに直撃してしまう。


 サトシ 「クッ! ゲコガシラ“みずのはどう”だ!」
 ▼ 257 スノキ 15/02/04 19:36:30 ID:dyyRzAcY [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
攻撃を撃ったばかりで隙のあるドラピオンに、ゲコガシラの“みずのはどう”が直撃、押し返すことに成功する。

その間、フォッコの“かえんほうしゃ”は、アリアドスの素早い動きに回避され続け、徐々に間合いを詰められたかと思うと、セレナの一瞬の隙を突き、“どくづき”がフォッコに直撃した。


 セレナ 「フォッコ! 大丈夫!?」

 J 「そんなザコ畳みかけろ! “むしくい”!」

 サトシ 「フォッコを守るぞ! ゲコガシラ“つばめがえし”!」

 J 「させるか! ドラピオン“つじぎり”だ!」


さすがにJの動き、指示は完璧だ。オレ達に防御する暇さえ与えてくれない。

フォッコには“むしくい”、ゲコガシラには“つじぎり”が直撃してしまい、2匹とも倒れ込む。


 セレナ 「あぁっ……」

 サトシ 「クッ……ピカチュウ“10万ボルト”だ!」

 J 「甘い! ドラピオン“ミサイルばり”!」


ピカチュウの“10万ボルト”と“ミサイルばり”が衝突。威力的には“10万ボルト”の方が圧倒的に勝っている。“ミサイルばり”なんて押し返してやるぜ!
 ▼ 258 スノキ 15/02/04 19:37:00 ID:dyyRzAcY [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「なにっ……!?」


押し返せると思ったが、現実は違った。

“ミサイルばり”と衝突した瞬間、そこで“10万ボルト”の効力が切れたのだ。そして、バラバラと落ちて消える“ミサイルばり”の針。


 サトシ 「なんでっ……」

 J 「ふんっ。所詮、貴様らなんてその程度と言うことだ。アリアドスは“どくづき”! ドラピオンは“クロスポイズン”!」


戸惑った一瞬の隙を突かれ、ピカチュウに“どくづき”が、ゲコガシラに“クロスポイズン”が直撃した。


 サトシ 「ピカチュウ! ゲコガシラ!」


2匹は何とか立ち上がるが、体力の限界が近いように見える。セレナのフォッコも同じだ。


 セレナ 「サトシっ……」

 サトシ 「くそっ……なんで“10万ボルト”がっ……!?」
 ▼ 259 スノキ 15/02/04 19:38:00 ID:dyyRzAcY [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガチャン! と大きな金属音が響き渡る。ボーマンダが、ラティアスを捕えているマシンのリングを破壊した音だ。


 ユリーカ 「このままじゃラティアスが連れてかれちゃう!」

 サトシ 「クッ……! ピカチュウの電撃が封じられちまったら……」

 カノン 「諦めないでサトシ君!」

 サトシ 「カノン……」

 カノン 「間違ってたら申し訳ないんだけど……、さっきの“ミサイルばり”、ピカチュウの“10万ボルト”が当たった瞬間、消えてなくなったわよね。あれって……“10万ボルト”を吸収させたんじゃないのかな? 避雷針みたいに」

 サトシ 「避雷針……!」


……そうか。“10万ボルト”が消えちまったのは、力で負けてた訳じゃ無い。吸収されてたのか!

 “ミサイルばり”の無数の針は、尖ってるから避雷針みたいな役割を果たしてくれる……。Jは そんな電撃対策をしてたって言うのか!


 サトシ 「サンキュー、カノン! 謎が解けたぜ!」

 カノン 「でもっ……あの“ミサイルばり”がある限り、ピカチュウのワザは……」

 サトシ 「あぁ、電撃は無効化される……。せめて避雷針を無視できる環境が作れれば……」

 カノン 「環境……?」

 サトシ 「例えば、電撃を壁に這わせるとか……」
 ▼ 260 スノキ 15/02/04 19:38:30 ID:dyyRzAcY [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「……ダメよサトシ君。この大聖堂、歴史的な建物だから、電気を通すような素材は使われてないの。防災設備も しっかりしてるから、万が一雷が落ちても、地中に電気を逃がす構造になってるし……」

 サトシ 「そっか。……クッ! なにか手は……ん? 防災設備!?」

 カノン 「えっ?」

 サトシ 「ならっ……あれだ! セレナ、フォッコ! 力を貸してくれ!」

 セレナ 「えっ……?」

     「ふぉこっ……」


 J 「さぁ、そろそろ終わりとしようじゃないか。ドラピオン! やつらに……」

 サトシ 「フォッコ! あの……天井のあそこに向かって“かえんほうしゃ”だ!」

 セレナ 「お願いフォッコ! “かえんほうしゃ”よ!」

     「ふぉこぉぉぉぉぉ!」

 J 「……血迷ったか?」


Jは、なんら警戒していない。当たり前か。Jのポケモン達とは全く関係ない方向、しかも天井に向けた“かえんほうしゃ”なのだから。
 ▼ 261 スノキ 15/02/04 19:39:00 ID:dyyRzAcY [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「みんな階段に!」


オレ達はすぐさま、後方にあった階段を、2,3段のぼる。若干視界が高くなり、古代マシンのフロアを見渡し易くなったが、そんなことどうでも良い。


 J 「ふん。無意味な行動を後悔するんだな! ドラピオンは“クロスポイズン”! アリアドスは“どくづき”で攻めろ!」


2匹が動き出す。スピードも速い。けど、オレ達が階段を上った分、時間的余裕が生まれる。……頑張れフォッコ!


     「ふぉっごおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!」



 ― ピリッ! ジリリリリリリリリリリリリリリリ……!!!



 J 「なにっ!?」

 サトシ 「よっしゃ!」
 ▼ 262 スノキ 15/02/04 19:39:30 ID:dyyRzAcY [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オレ達が何をしたか――。


そう、火災報知機を作動させたのだ。けたたましく鳴り響く非常ベル。

そして直後、スプリンクラーが作動。天井の配管からフロア内に勢いよく、水が噴き出した。


 J 「小癪なっ……!」


さすが貴重な古代マシン。火災を防ぐために、スプリンクラーの勢いは凄まじい。すぐさま床一面が水で覆われ、さながら大きな水たまりのようになる。


 サトシ 「今だピカチュウ! 最大パワーで“10万ボルト”だ!」

     「ぴぃぃかぁぁぁぢゅううぅぅぅぅぅ!」

 J 「クッ! ボーマンダ!」


Jは攻撃の意図を掴んだのか、ボーマンダを呼び寄せて飛び乗り、空中へ回避する。

床一面が水溜りなら、“10万ボルト”の電撃は、床全体に効果を表す。それは、足が床に着いているドラピオンとアリアドスに、“10万ボルト”の大ダメージを与えるのことに成功した。

オレ達は階段に上っているため、直接水浸しの床には触れていない。ラティアスも、浮いているリングに捕われているので、ダメージは発生しない。

Jのポケモンにピンポイントで電撃を浴びせる、これ以上ない攻撃方法なのだ。
 ▼ 263 クロッグ@かなめいし 15/02/04 19:39:34 ID:0RXzyfjA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 264 スノキ 15/02/04 19:40:00 ID:dyyRzAcY [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「凄いサトシ……よくこんな方法、思いついたわね……」

 サトシ 「へへっ。ニビジムに挑戦するとき、スプリンクラーを作動させちゃってさ」


もはやドラピオンとアリアドスは虫の息。この2匹を倒してしまえば、俄然オレ達が有利になる。


 サトシ 「チャンスだピカチュウ! もう1発“10万ボルト”で……」

 J 「調子に乗るな! ボーマンダ! あいつらに“りゅうのはどう”だ!」

 サトシ 「なにっ……!?」

 セレナ 「うそっ……」

 カノン 「逃げてユリーカちゃん!」


なんで、ボーマンダの攻撃を考えていなかったんだろう。

そして、Jの冷酷非道な性格も、考慮するべきだった。


“りゅうのはどう”は、真っ直ぐ、オレ達に向けられた。メガ進化していないとは言え、生身の体で“りゅうのはどう”を喰らうことがどれほど危険か、想像するに容易い。
 ▼ 265 スノキ 15/02/04 19:40:30 ID:dyyRzAcY [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「逃げろっ!」


咄嗟に階段を上って逃げるが、“りゅうのはどう”は、もうそこまで迫っている。



破裂。



直撃こそしなかったものの、爆風に巻き込まれたオレ達は、階段に叩きつけられる。


 サトシ 「うわっ……」

 セレナ 「きゃぁっ!」

 ユリーカ 「痛いっ……」

 カノン 「んっ……!」


そして、ピカチュウ、ゲコガシラ、フォッコも。


 J 「アリアドス! 糸を吐いて あいつらを縛りつけろ!」


体を痛みが襲い、動けないでいる所に、アリアドスのネバネバした糸が、オレ達を階段に拘束した。
 ▼ 266 スノキ 15/02/04 19:41:00 ID:dyyRzAcY [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「あっ!?」

 サトシ 「クッ! 解け!」


粘着性のある糸は、オレ達の力じゃ千切ることは無理だった。

ピカチュウとゲコガシラは体力を消耗している。フォッコはダウンしてしまった。そして拘束されたこの状態じゃ、モンスターボールに手を伸ばすことも出来ない。


 J 「ふんっ。調子に乗った罰だ。このまま葬ってやりたいところだが……」


 ― ガチャン! ガランガラン……


 J 「ラティアスをマシンから引きずり出した。もうここには用は無い」


Jは、疲労が溜まっているアリアドスとドラピオンをボールに戻すと、大聖堂の外へ向かって歩き出した。

ボーマンダは、ラティアスの首根っこを掴み、その後を追う。
 ▼ 267 スノキ 15/02/04 19:41:30 ID:dyyRzAcY [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「あっ……待てっ!」

 カノン 「待って! ラティアスをどうするの!?」

 J 「……決まってるだろう。ラティアスを囮に、秘密の庭でラティオスを おびき寄せる。あの秘密の庭は、野生のラティアスとラティオスの移動ルート上にあると聞く。仲間のピンチとなれば、すぐに駆けつけるだろうな」

 サトシ 「なにっ……!?」

 カノン 「そんな……これ以上ラティアスに酷い事しないでっ! その子は何も悪くないの! あなたに傷つけられる理由なんて無いのよっ!」

 J 「確かに、傷つけられ理由は無いだろうが……ハンターにとっては、そんなことどうでも良い」


Jは冷たい笑みを浮かべて吐き捨てた。


 カノン 「そんなっ……」

 J 「確か貴様、言ったよな。“ラティアスたちは、守る立場のポケモン”だと。仲間が傷つけられれば、当然、それを守りに来る。大した仲間意識なことだ!」


それだけ言うと、Jはまるでオレ達を おちょくるように、笑いながら大聖堂から出て行った。Jの靴の音が、コツンコツンと床に響いて小さくなっていく。

Jの奴……オレ達を始末するより、ラティアス達を捕まえることを優先するって言うのか!


ただJの姿を見送ることしか出来ないなんて……しかも、ラティアスを みすみす奪われて……。

こんなこと、あっていいのかよっ!?
 ▼ 268 スノキ 15/02/04 19:42:00 ID:dyyRzAcY [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「なんとか……なんとか抜け出さないとっ!」 グスッ……


カノンは涙ながら、力一杯もがく。しかし、糸が体に密着してしまい、抜けられそうにない。


 ユリーカ 「サトシ……私たち、どうなっちゃうの……」

 サトシ 「……大丈夫だユリーカ! 必ず何とかなる! 心配するな!」

 セレナ 「そうよユリーカ。大丈夫だから……!」


オレも力一杯体を動かすが、やっぱり糸は解けない。

……怪盗姉妹に襲われた時も、カノンとボンゴレさんは、この糸に捕まっていた。その時は確か、ピカチュウの“でんきショック”で糸を千切った記憶がある。オレの力じゃビクともしなかったから……。


 サトシ 「……くっそぉ!」


なんで……なんでボーマンダが攻撃してくる可能性を考えなかったんだよオレはっ!?

Jを止められなかっただけじゃない。カノンと、セレナと、ユリーカと……。オレの判断ミスが、3人を危険な目に遭わせてしまっている。

男のオレが、みんなを守らなくちゃいけないって言うのにっ!


 サトシ 「くそっ……くそっ! くそぉっ!」
 ▼ 269 クロッグ@たからぶくろ 15/02/04 20:40:55 ID:h7mrCQJY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン様はどこでございますか?
 ▼ 270 イリキー@メトロノーム 15/02/04 21:45:57 ID:HoQckMOw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おもしろい早く更新を!!
支援!!
 ▼ 271 ダンギル@ひでんのくすり 15/02/04 23:46:19 ID:E6lr1ahA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 272 スノキ 15/02/05 02:08:00 ID:Sk905Q7Y [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 シトロン 「はぁっ……はぁっ……みなさん!」

 ボンゴレ 「カノン! みんな!?」


シトロンとボンゴレさんが、ようやくやって来た。体力的に到着が遅れたのだろう。


 ユリーカ 「お兄ちゃん遅いよぉ!」

 シトロン 「すみません……いま助けます! ルクシオ!」


ルクシオのスピードスターで糸が千切られ、オレ達は拘束から解放された。


 ボンゴレ 「みんな怪我は無いか?」

 セレナ 「えぇ……」

 ユリーカ 「体 打っちゃったけど、大丈夫だよ」

 シトロン 「打っちゃったって……大丈夫かいユリーカ!? 痛みとか無い!?」

 ユリーカ 「うん」
 ▼ 273 スノキ 15/02/05 02:08:30 ID:Sk905Q7Y [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「それより! Jは秘密の庭に向かったんです!」

 ボンゴレ 「なにっ!?」

 カノン 「ラティアスを囮に、ラティオスをおびき寄せるって! 早く助けに行かないとっ!」

 シトロン 「ラティオスをおびき寄せる……?」

 ボンゴレ 「もともとラティアスとラティオスは、渡り鳥のようなものなんじゃ。色々な地方を飛び回り、そのルートは、個体によって異なる。ただ、このアルトマーレだけは、全ての個体の飛行ルート上に存在するんじゃ」

 セレナ 「って言うことは、近くを飛んでるラティオス達は……」

 ボンゴレ 「ラティアスが捕われているとなれば、助けに来るはずじゃ」

 ユリーカ 「でもそれじゃあ! ラティオスも捕まっちゃうよ!」

 サトシ 「あぁ! だから一刻も早く秘密の庭に行かないと!」

 カノン 「うん!」

 セレナ 「お願いねカノン!」


オレとカノン、それにセレナは走り出す。

ラティアスを助けるためにも、他の個体のラティオス達を巻き込まないためにも、もう余裕は残されていないのだ。
 ▼ 274 スノキ 15/02/05 02:09:00 ID:Sk905Q7Y [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ボンゴレ 「待つんじゃ!」

 シトロン 「ボンゴレさん、ユリーカをお願いします!」

 ユリーカ 「えっ!? 私も一緒に行く!」

 シトロン 「ダメだ! これは遊びじゃない……あの女は、本当に僕たちを殺しかねないんだ!」

 ユリーカ 「うっ……」

 シトロン 「大丈夫だよユリーカ。これでも僕はジムリーダーです。サトシもいますし、何も心配いりません」

 ユリーカ 「お兄ちゃん……」

 シトロン 「僕もサトシ達に加勢してきます。ボンゴレさん、ユリーカのこと、よろしくお願いします」

 ボンゴレ 「あぁ。ワシは警察に連絡して、後から秘密の庭へ向かう。くれぐれも気を付けてくれ」

 シトロン 「はいっ!」


シトロンもまた、秘密の庭へ向かって走り出した。ユリーカに危害が加わらないよう、ボンゴレに預けて。

ゆっさゆっさと相変わらず不器用な走り方だが、その背中には、大切な妹を思い遣る、兄としての決心が現れていた。
 ▼ 275 スノキ 15/02/05 02:10:00 ID:Sk905Q7Y [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。
ご支援、ご感想、ありがとうございました。

また明日の夜に再開します。
 ▼ 276 キノオー@かわらずのいし 15/02/05 02:33:45 ID:Oh.Pc7zI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 277 ガニウム@さざなみのおこう 15/02/05 04:04:34 ID:JWvUvH56 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 278 ビワラー@タウリン 15/02/05 06:53:16 ID:uA4Nv/CA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
警察に連絡して………?まあいいや支援
 ▼ 279 スノキ 15/02/05 18:50:00 ID:Sk905Q7Y [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【 31 】


私はサトシ君とセレナちゃんを引き連れて、最短ルートで秘密の庭へと走る。

途中で聞こえた消防車のサイレンは、きっと大聖堂に向かってるんだろう。火災報知機が作動したら、自動で消防署に通報するようになっている。

……そっか。J、消防隊が来るって分かったから、すぐに出て行ったのね。サトシ君が火災報知機を作動させたのは、良い判断だったのかもしれない。

おじいさんも警察に連絡してくれるし、大聖堂はひとまず問題無しかな。



……けど、私たちを待ち受けていたのは、非情な現実だった。


細い路地を抜けて、秘密の庭に入って、私は目を疑った。


 カノン 「ぁっ……えっ……」

 セレナ 「そんなっ……」

 サトシ 「秘密の庭が……」
 ▼ 280 スノキ 15/02/05 18:52:00 ID:Sk905Q7Y [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あの美しい秘密の庭は、そこにはもう無かった。

木々は圧し折られて、モニュメントは破壊されて、水場は濁って……。


 カノン 「うそ……でしょっ……? 秘密の庭が……ラティアスたちの住処がっ……」


遊歩道のタイルは砕かれ、噴水は潰され、草木は炎が上がって……。


 J 「……なんだ貴様ら。懲りずにまだ私に刃向いに来たのか」


頭上で声がした。

見上げると、秘密の庭で一番大きな木の上に、Jの姿があった。

そしてそこには、ラティアスがアリアドスの糸で縛りつけられていた。


 カノン 「ラティアス!?」

 サトシ 「J! ラティアスを離せっ!」


ラティアスは気を失っているらしく、私たちの声に全く反応しない。

そうこうしていると、Jがボーマンダに跨り、私たちの前に下りてきた。ドラピオンとアリアドスも、Jの横で構えている。
 ▼ 281 スノキ 15/02/05 18:53:00 ID:Sk905Q7Y [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「これだけ庭を荒らせば……別個体のラティアスやラティオスが来るのは時間の問題か」

 セレナ 「酷い……あんなに綺麗な お庭だったのに……! あなた自分のやってること分かってるの!?」

 サトシ 「そうだ! ここは昔っからラティアスたちの住処なんだぞ! ここまで荒らす必要あったのかよ!?」

 J 「ふん。全てはラティオスを引き寄せるためだ。仮に来なかったとしても、あのラティアスは渡して貰う。高い値で取引できるからなぁ!」

 サトシ 「クッ! 行けヒノヤコマ! ラティアスを助けるんだ!」

     「やっこぉ!」

 セレナ 「お願いヤンチャム! 力を貸して!」

     「ちゃむちゃぁ!」

 J 「ボーマンダ、“かえんほうしゃ”だ」

 カノン 「えっ……!? やめてぇ!」


サトシ君とセレナちゃんがポケモンを繰り出すと、ボーマンダは木々に向かって“かえんほうしゃ”を繰り出した。

緑が多いこの庭で、ひとたび炎が上がればどうなるか……。

木に燃え移った炎は、見る見るうちに大きく燃え上がり、バチバチと音を立てながら延焼していく。
 ▼ 282 スノキ 15/02/05 18:54:00 ID:Sk905Q7Y [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サトシ 「オイ……なにやってんだ!?」

 J 「貴様らが刃向おうと言うのなら、この庭は長く持たないと思え!」

 サトシ 「……クッ! 出てこいヌメラ!」

     「めらっ?」

 サトシ 「ヌメラ頼む! “あまごい”であの炎を消してくれ!」

     「めんら!」


サトシ君が繰り出したヌメラは、すぐに雨雲を呼び寄せて、炎の消火に当たってくれた。……けど、炎の勢いはまだまだ強い。


 サトシ 「ルチャブルも出てこい!」

     「ちゃぶぅぅ!」

 J 「私と遣り合おうと言うのか?」

 サトシ 「お前だけは……絶対に許さない! ラティアスを傷つけて、秘密の庭を無茶苦茶にして……絶対に許さないっ!」

 J 「では最後に忠告してやろう。貴様らに、私と戦ってる暇はない」

 サトシ 「……どういうことだ!?」
 ▼ 283 スノキ 15/02/05 18:55:00 ID:Sk905Q7Y [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「あの木……ラティアスの傍に、爆弾を仕掛けてある」

 サトシ 「えっ!?」

 セレナ 「爆弾っ!?」

 カノン 「そんな……ラティアスをどうするつもりなの!?」

 J 「安心しろ。別にラティアスをどうこうする訳では無い。この庭を破壊してしまえば、ラティオス達の定住地は無くなる……。ラティアスとラティオスの価値が格段に上がると言うことだ!」

 セレナ 「そんなっ……そんな理由で……!?」

 サトシ 「やっぱり……トライポカロンのステージを爆破させたのも お前の仕業なんだな!?」

 J 「トライポカロン? ……あぁ、聖堂前のステージか。あんな小さな爆発だと思ったら大間違いだ。確実にこの庭が吹き飛ぶ威力の爆弾を仕掛けてやったからなぁ!」

 サトシ 「クッ……! 絶対に爆発させない! ヒノヤコマ“ニトロチャージ”! ルチャブルは“フライングプレス”だ!」

 セレナ 「ヤンチャム、“あくのはどう”よ!」


サトシ君たちのバトルが始まったけど……、私はその場で立ち尽くしてしまった。


秘密の庭を破壊するような爆弾?

ラティアスたちの定住地を無くして、密猟の価格を上げる?


……分からない。なんでそんな酷いことが出来るのか、私には分からないっ!
 ▼ 284 ガヤミラミ@かえんだま 15/02/05 21:29:22 ID:s.bktlEs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!.......6回目ww
 ▼ 285 メパト@ずがいのカセキ 15/02/05 23:40:37 ID:R/pVWxUY NGネーム登録 NGID登録 報告
>>274
女………?

支援
 ▼ 286 ーナンス@バクーダナイト 15/02/06 01:23:39 ID:TiEhxLGI NGネーム登録 NGID登録 報告
支援

>>285
Jは女で合ってる
 ▼ 287 ャオブー@パワーリスト 15/02/06 02:20:20 ID:ChYuI28M NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
J許すまじ
 ▼ 288 ンフィア@ポイントマックス 15/02/06 02:24:11 ID:uFLIhkIA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 289 スノキ 15/02/06 02:48:30 ID:Orx8BVm. [1/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「ドラピオンは“つじぎり”! アリアドスは回避して“どくづき”だ!」


ヒノヤコマとドラピオンのワザがぶつかり合い、相殺。ヤンチャムの攻撃を回避したアリアドスは、“どくづき”でヤンチャムに迫る。


 サトシ 「ヒノヤコマ加速だ! 連続で“ニトロチャージ”!」

 セレナ 「ヤンチャム! 引きつけて“つっぱり”よ!」


ヤンチャムの“つっぱり”が、アリアドスの“どくづき”と真っ向から ぶつかり合う。大聖堂で“10万ボルト”を受けて弱っているアリアドスの攻撃は、セレナちゃんのヤンチャムとパワーは互角……。


 サトシ 「今だヒノヤコマ! 軌道をアリアドスに変えろ!」

     「やぁぁぁっこぉぉぉ!」


そのタイミングで、サトシ君のヒノヤコマが、“ニトロチャージ”でアリアドスに突っ込んだ。

効果抜群のワザを受けて、アリアドスはダウン。


 J 「戻れアリアドス! 役立たずめ……」
 ▼ 290 スノキ 15/02/06 02:49:30 ID:Orx8BVm. [2/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「良いぞヒノヤコマ!」

 セレナ 「ありがとうヤンチャム! 格好良かったわよ!」

     「ちゃんむぅ〜」

     「やっこぉ〜!」


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


この調子なら、サトシ君たちは大丈夫だ。なら、ポケモンを持っていない私に出来ることは一つしかない。


 カノン 「あなたたち、お願い。日を消すのを手伝って」


私は秘密の庭の隅っこへ移動し、ウパーとヌオーたちに声をかけた。元からここに住んでいたヌオーたちは、Jが暴れたせいで、怯えて隅っこに固まっていた。


     「うぱっ……」

     「ぬおぉぉ!」


ヌオーたちは頷いてくれた。


 カノン 「ありがとう! じゃあみんな、ついてきて!」
 ▼ 291 スノキ 15/02/06 02:50:00 ID:Orx8BVm. [3/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は、特に激しく燃えているエリアに、ヌオーたちを引き連れて行く。サトシ君のヌメラの“あまごい”があるけど、この広い庭の全体をカバーできる訳じゃ無いし、雨のような弱い水流では、この炎は消せそうにない。


 カノン 「みんなお願い。“みずてっぽう”!」

     「「「うぱぁぁぁぁ!」」」

     「「「ぬおおおぉぉぉぉ!」」」


ヌオーたちは、勢いよく“みずてっぽう”を発射して、消火に当たる。


その間に私は、ラティアスが捕まっている大木を見上げた。

Jが言うには、あそこに爆弾が仕掛けられている。しかも、この秘密の庭を吹き飛ばすほどの爆弾が……。

この庭の広さは相当なものだ。それを全て吹き飛ばす爆弾……威力は計り知れない。それに、あんなに高い位置で爆発してしまったら、アルトマーレの街にも被害が出てしまう。


 カノン 「(とにかく、あの爆弾をなんとかしないと……)」


Jはサトシ君たちとのバトルに集中していて、私の動きは全く気にしていない。ポケモンを持っていない私は、もともとマークされてなかったのかな。
 ▼ 292 スノキ 15/02/06 02:50:30 ID:Orx8BVm. [4/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なら好都合だ。


私はJにバレないように、こっそりと大木に近付いて、Jから死角になる面を登り始めた。

この大木はツタが茂っているし、表面もゴツゴツしていて、登りやすい。


……そう言えば昔、よく秘密の庭の木に登って遊んでたっけ。空を飛ぶラティアスやラティオスに近付きたい一心で。

2匹とも、必死で登る私を応援してくれて……木の頂上から見た秘密の庭は、凄く綺麗だったな。


半分程度まで登って秘密の庭を見下ろすと、現実を突きつけられる。

至る所で炎が上がっている秘密の庭は、見るも無残な姿だった。あの頃のような美しさ、瑞々しさは……もう残っていない。ラティオスだっていない。


そして今、ラティアスも危機に瀕している。

私の役目は、ラティアスたちと共に、アルトマーレを護ること。でもそれには、私がラティアスを護らなければ始まらない。


……私は、覚悟を決める時なんだ。
 ▼ 293 スノキ 15/02/06 02:51:00 ID:Orx8BVm. [5/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっと大木を登り詰め、ラティアスが捕まっている幹の部分に到達した。

Jは この大木に背を向けているので、私がここにいることは まだバレていないはずだけど、慎重に行動しなければならない。


 カノン (大丈夫ラティアス……!?)


ラティアスの額に手を当てて呼びかけるも、反応は返って来なかった。痛々しい傷を付けられたラティアスは、アリアドスの糸で縛られ、ぐったりとしている。


 カノン (酷い……ラティアスっ……)


糸を引き千切ろうと力を込めても、やっぱりビクともしない。ラティアスを助けるには、どうしてもポケモンの力が必要だったのだ。

サトシ君たちの方に目をやれば、Jとの激しいバトルが続いていた。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 J 「ドラピオン! “クロスポイズン”!」

 セレナ 「ヤンチャム“あくのはどう”よ!」

 サトシ 「ルチャブルは“フライングプレス”! ヒノヤコマは“ニトロチャージ”だ!」


ドラピオンの攻撃は、ヤンチャムの“ストーンエッジ”によって阻まれ、ルチャブルとヒノヤコマの攻撃が相次いで直撃。これでドラピオンはダウンしたようだ。
 ▼ 294 スノキ 15/02/06 02:51:31 ID:Orx8BVm. [6/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「戻れドラピオン。……では、そろそろ本領発揮と行こうか。ボーマンダ!」


控えていたボーマンダが、とうとう動き出す。


 サトシ 「ボーマンダ……!」

 J 「大人しくしていれば良かったものを。……ボーマンダ、メガ進化!」

 セレナ 「えっ……メガ進化!?」

 サトシ 「あぁ! Jのボーマンダはメガ進化するんだ!」


Jが左手に付けているキーストーンを大きく振りかざすと、ボーマンダのメガストーンと反応し、強い光が発生する。

みるみるうちに、ボーマンダの姿が変わっていく。胸板はプロテクターのような頑丈そうな見た目に、赤い翼は三日月のような鋭利に婉曲した形に。

溢れんばかりの気迫で上げた雄叫びは、空気を震わせた。


 セレナ 「これが……メガボーマンダ……」

 サトシ 「メガボーマンダは強いけど、Jのポケモンは こいつがラストだ! ルチャブルは“フライングプレス”! ヒノヤコマは“はがねのつばさ”だ!」

 セレナ 「ヤンチャムは“ストーンエッジ”よ!」


3匹の攻撃がメガボーマンダに迫るけど、Jは慌てる様子もない。ただ一言、メガボーマンダに指示を出した。
 ▼ 295 スノキ 15/02/06 02:52:00 ID:Orx8BVm. [7/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「蹴散らせ。“りゅうのはどう”」


メガボーマンダの口から放たれたその1発の攻撃に、ヤンチャム、ルチャブル、ヒノヤコマは吹き飛ばされた。

青白い息吹のような“りゅうのはどう”……。この高さにいても、余波がピリピリと伝わってくる。


 セレナ 「ヤンチャム!?」

 サトシ 「大丈夫か2人とも!?」

     「ちゃんむっ……」

     「るちゃっ……ちゃぶぅぅぅ!」

     「やっこぉ……っ!」

 J 「ははっ。どうした? もう虫の息じゃないか!」

 サトシ 「クッ! やっぱりメガボーマンダは強い……!」

 セレナ 「サトシっ……」

 J 「良い事を教えてやろう。貴様らがいくら私を相手に戦った所で、何も解決にはならない」

 サトシ 「……どういうことだ!? オレ達はお前を倒して爆弾を止めて! 秘密の庭を守る!」

 J 「ふんっ。まずメガボーマンダに勝てないだろう。頼みのメガラティアスは気絶。こころのしずくは私が持っている。貴様らに勝ち目はない」
 ▼ 296 スノキ 15/02/06 02:52:30 ID:Orx8BVm. [8/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サトシ 「そんなこと、やってみなくちゃ分からないだろ!」

 J 「これだからガキは……。まぁ聞け。あの爆弾は……時限爆弾なんだ」

 セレナ 「えっ!?」

 サトシ 「時限爆弾……いつ爆発するんだ!?」

 J 「私があの大木に仕掛けてから、ちょうど1時間後だ。もうそろそろ残り30分と言ったところか」

 セレナ 「そんなっ……」

 サトシ 「Jっ……お前っ……!」

 J 「貴様らに睨まれる筋合いは無いと思うがな。あと30分……爆発の規模を考えれば、早く逃げた方が身のためだぞ?」

 サトシ 「誰が逃げるもんか! お前みたいな……ポケモンをモノみたいに扱う奴に屈したりはしない!」

 J 「……ったく。遠まわしに逃がしてやると言っているのに、現実を見たらどうだ!?」

 サトシ 「たとえ勝ち目が薄くたって……オレはラティアスや秘密の庭を守る! お前の言いなりになんてなってたまるか!」

 セレナ 「そうよ! あなた、ラティオスを誘き寄せて捕まえるって言ったじゃない! それを見過ごすなんて出来ないわよっ!」


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ▼ 297 スノキ 15/02/06 02:53:10 ID:Orx8BVm. [9/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2人の、まるで決心したかのような叫びは、ここまでハッキリと聞こえた。


 カノン 「サトシ君……セレナちゃん……」


爆弾が爆発する……。

そんな危ない状況でも、ラティアスや、この秘密の庭を護ろうとしてくれている……。

2人は一族の人間ではないのに……本当に立ち向かわなきゃいけないのは、私の方なのに……。


 カノン 「……これが爆弾ね」


ラティアスの脇にあったのは、見た目30センチ四方ほどの、黒いケース。

見るからに頑丈そうなその表面にはデジタル時計がついていて、いま……37分14秒を指している。Jの言った時間とは少し差があるけど、カウントは1秒1秒、確実に減り続けている。

確か昔……。メガネと蝶ネクタイをつけた小学生探偵の映画をテレビで見たことがあるけど、その時は、爆弾の中のコードを切ることで、カウントを止めていた。

しかし、見たところこのケースには、外せる蓋のようなものは付いていない。しっかりとネジで留められていて、内部を確認するとか、そういったことは出来そうになかった。


 カノン 「どうしよう……これじゃあ爆発しちゃう……!」


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ▼ 298 スノキ 15/02/06 02:54:00 ID:Orx8BVm. [10/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「生意気な。……では聞こう。仮に私を倒したとして、どうやって爆発を止める気だ?」

 サトシ 「それはっ……力づくでもお前に止めさせる!」

 J 「はははっ。それは無理な話だ!」

 セレナ 「えっ!?」

 J 「あの爆弾は特殊でな。一度スイッチを入れたら止めることは出来ない。勿論、ドラマのようにコードを切断して止めることもな!」

 サトシ 「嘘つくな!」

 J 「嘘? 私はプロのハンターだ。万が一のことを常に考えている。あの爆弾もそうだ。絶対に爆発する爆弾……私の保身に役立つとは思わないか?」

 セレナ 「……爆発を防げないから、逃げるしかないってこと!?」

 J 「ほぉ。貴様は理解が早いな。つまりそう言うことだ」


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


……Jは本気なんだ。

万が一捕まったとしても、絶対に爆発する爆弾を仕掛けておけば、それどころではなくなってしまう。逃げる、周囲に知らせる、周辺を立ち入り禁止にする……。爆発への対処が膨大で、Jは後回しにせざるを得なくなってしまうからだ。


 カノン 「残り35分43秒で……絶対に……」
 ▼ 299 スノキ 15/02/06 02:54:30 ID:Orx8BVm. [11/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ここで爆発したら、秘密の庭は吹き飛んでしまう。そうなってしまっては、これまで私たち一族が護って来た物を、全て失うことになってしまう。

アルトマーレを訪れるラティアスたちの癒しの場所……。そんな秘密の庭を失うなんて、絶対に許されない。

それに、ラティアスや、サトシ君、セレナちゃんにも、危険な目に遭わせてしまう。爆発の威力を考えれば、アルトマーレの街にも被害が出てしまう。


 カノン 「どうしよう……どうすればいいの……」


たとえ秘密の庭の外へ持ち出しても、今度はアルトマーレの街が危険に晒されてしまう。


ポケモンの“あなをほる”で地中深くに埋める?

……ううん。水路が多いアルトマーレは、地盤がそんなに強くない。爆発で大規模な地盤沈下が起きるかもしれない。


“そらをとぶ”で空中に持って行って、安全な距離を保ってから、爆弾を攻撃して爆発させる?

……ダメ。このケースの頑丈さ……、きっとポケモンの攻撃で爆発しないようになっているはずだ。


海底に沈める?

……そんなことしたら、海に住んでる沢山のポケモンが危ない。


 カノン 「どうしよう……どうすればいいのっ……!? 秘密の庭でさえ守れないのにっ……なにが“アルトマーレの護神”よっ!? 私がっ……私が弱いばっかりにっ……うぅっ……グスッ……」
 ▼ 300 スノキ 15/02/06 02:55:10 ID:Orx8BVm. [12/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は、自分自身がとても小さく、情けなく感じた。

昔から秘密の庭を護って来て、ラティアスやラティオスのお世話をしてきた私たち一族。

その使命を果たすため、友達も作らずに、秘密を自分の中に閉じ込めて、ずっと静かに暮らして来た。

先祖代々、陰ながらアルトマーレを護る、とても重要な使命を背負って。


でも……もう秘密の庭は死んでしまった。

ヌメラやヌオーたちが頑張ってくれているお陰で、炎の勢いは大分おさまって来たけど、木々の6割ほどは、焼け落ちてしまっている。風のモニュメントは全て壊されてしまった。水場の透明感は失われてしまった。こころのしずくを置く噴水も、潰されてしまった。


……これは、本当に現実なのかな。なにか、悪い夢でも見てるんじゃないかな。

先祖代々護って来た秘密の庭が、こんな荒れ果てた姿になってしまうなんて……。


 カノン 「ごめんねっ……ごめんねラティアスっ……」


私は目を瞑って、そっとラティアスの額を撫でた。
 ▼ 301 スノキ 15/02/06 02:56:00 ID:Orx8BVm. [13/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……けど、木々の焼ける匂いで、否応にも現実の光景が脳裏に映し出されてしまう。

もうここには……ラティオス達は現れない。こんな荒れ果てた場所に、ラティオス達が現れることは無いだろう。

Jはラティアスを囮にラティオス達を誘き寄せるって言ってるけど、そもそも渡り鳥のラティオス達は、通常、夜に行動することは無い。

残酷かもしれないけど、ラティオス達が助けに来ることは無いのだ。それが、ラティオス達の習性なのだから……。


残り31分24秒。

もうあと30分ほどで、この爆弾は爆発する。そうなれば、秘密の庭は完全に吹き飛ぶ。それに、アルトマーレの街にも被害が出てしまう。

これだけ秘密の庭を荒らされて、さらに爆発だなんて……ご先祖様に顔向けできない。私は一族の恥だ……。


 ― ごくっ


 カノン 「……ラティアス。貴方はアルトマーレの護神として、これからもちゃんと……ちゃんと生きていくのよ」


秘密の庭を護って、アルトマーレを護って、サトシ君やポケモンたちを極力危険な目に遭わせない方法……。


もう、これしかない。

ここまで秘密の庭を滅茶苦茶にされちゃったんだ。私のが採るべき行動は、最初から決まっていたんだ。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ▼ 302 スノキ 15/02/06 02:56:40 ID:Orx8BVm. [14/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 J 「安心しろ! ラティアスは爆発には巻き込まない。私が高値で売り捌くのだからなぁ。あの大木の高所にある爆弾が爆発すれば……何やってるんだ貴様っ!?」

 セレナ 「えっ!?」

 サトシ 「カノン!?」

 J 「ボーマンダ! あいつに向かって“りゅうのはどう”だ! 叩き落としてやれ!」

 サトシ 「っ……! させるかぁ! ヒノヤコマ“ニトロチャージ”! ルチャブルは“とびひざげり”だ!」

 セレナ 「ヤンチャム“ストーンエッジ”! ボーマンダを止めるわよ!」

 J 「猪口才な! 薙ぎ払えボーマンダ! あの女に“りゅうのはどう”だ!」


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


……見つかっちゃった。


メガボーマンダは、私に向けて“りゅうのはどう”を放とうとする。

サトシ君とセレナちゃんのポケモンが、それを止めようとする。

……でも、メガボーマンダの力は相当なもので、3匹は簡単に弾かれてしまった。

そして、私に向かって“りゅうのはどう”が迫ってくる。
 ▼ 303 スノキ 15/02/06 02:57:31 ID:Orx8BVm. [15/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
普通に木を下りてたら、確実に直撃してしまう。そんなことになったら、元も子もない。

少し怖いけど、私は大木の上から飛び降りた。



 J 「なにっ……!?」

 サトシ 「あっ……カノンっ!?」

 セレナ 「いやぁぁぁっ!」



 ― ザバァァァァァン!


秘密の庭には、大きな水場がある。深さもある。その水場に飛び降りれば、体への負担は少しは軽くなるはずだ。


 カノン 「……ごほっごほっ……けほっ……んっ……はぁっ……はぁっ……」


 サトシ 「大丈夫かカノン!」

 セレナ 「カノンっ!」


体が痛い。いくら飛び込む姿勢を取ったからって、あの高さからだと衝撃も大きいか。
 ▼ 304 スノキ 15/02/06 02:58:00 ID:Orx8BVm. [16/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 セレナ 「大丈夫カノン!? しっかりっ!」

 サトシ 「カノン! しっかりしろカノンっ!」


サトシ君とセレナちゃんは、私を水場から引き揚げてくれた。……セレナちゃん、泣かないで。


 カノン 「私は大丈夫……大丈夫だから……」


ヨロヨロと立ち上がった私を、サトシ君とセレナちゃんは、心配そうな眼差しで見つめてくれた。

ただそれだけでも、私は嬉しかった。友達がいない私にとって、2人は唯一の仲間。何でも話せる、かけがえのない親友。


 サトシ 「カノン、それって……!?」


サトシ君は、私の腕に抱えられた物を指して言った。

……そう。これはJが仕掛けた爆弾。あと30分足らずで爆発してしまう、どうしようもない お荷物だ。


 J 「貴様っ……それをどうする気だ!? 解体なんて出来ると思うなよ! あれはドラマの中の話だからな!」


分かってるよ、そんなこと。

ただ私は、自分の使命を果たすだけだ。
 ▼ 305 スノキ 15/02/06 02:58:30 ID:Orx8BVm. [17/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「サトシ君、セレナちゃん……」

 サトシ 「なんだ?」

 セレナ 「どうしたのカノン?」


2人とも、真剣な表情で私の声に耳を傾けてくれた。

あぁ……、仲の良い人とお話できるって、こんなに嬉しい事なんだね。


 カノン 「ありがとう」


 サトシ 「えっ……?」

 セレナ 「カノン……?」


ただそれだけ、2人に伝えたかった。

ありがとう。こんな私と仲良くしてくれて、本当にありがとう。



 カノン 「さよならっ……」

 ▼ 306 スノキ 15/02/06 02:59:10 ID:Orx8BVm. [18/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は走り出した。


 セレナ 「えっ!?」

 サトシ 「カノン……待てよカノンっ!?」


振り返らない。振り返ったら、私の覚悟が薄れてしまうような気がしたから。


 J 「貴様どこへ行く気だ!? ボーマンダ! “かえんほうしゃ”で足止めしろ!」

 サトシ 「クッ……! ルチャブルとヒノヤコマはダウンしちまった! 出て来てくれゲコガシラ! “みずのはどう”で“かえんほうしゃ”を止めてくれ! ピカチュウも頼む! “エレキボール”だ!」

     「げぇぇぇごぉぉぉぉ!」

     「びかびかびかぁぁぁちゅびっか!」


背後で、激しいワザの衝突を感じた。

けど、私は振り返らない。


私は……、アルトマーレを護るんだ!
 ▼ 307 スノキ 15/02/06 03:00:00 ID:Orx8BVm. [19/19] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。
ご支援、ご感想、ありがとうございました。

次の更新は土曜日を予定しています。
 ▼ 308 バット@のろいのおふだ 15/02/06 03:09:17 ID:uFLIhkIA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
3時ちょうどだ。
 ▼ 309 ボツボ@のろいのおふだ 15/02/06 06:35:46 ID:0vTdDgGQ NGネーム登録 NGID登録 報告
>>286
マジか
 ▼ 310 クシー@きかいのぶひん 15/02/06 06:36:21 ID:qQo0BDw6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ようやくスレタイのセリフキターーーー!ここでラティオス復活とかだったらマジ感動
 ▼ 311 ロエッタ@こうてつプレート 15/02/06 17:28:54 ID:G6/QQltQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 312 ルホッグ@ボロのつりざお 15/02/06 18:14:46 ID:g7pJsYRI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 313 15/02/06 18:19:17 ID:atPks.Bg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コ○ンだよね
 ▼ 314 ャノビー@ゴールドスプレー 15/02/06 18:39:52 ID:GwEJIhjY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 315 ーナノ@ハガネールナイト 15/02/06 19:23:48 ID:WZnn6sgs NGネーム登録 NGID登録 報告
支援

カノンなにする気だよ・・・
 ▼ 316 ゲキ@スペシャルガード 15/02/06 21:55:15 ID:G6/QQltQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
カノンまさか...死んだりしないよね...?
 ▼ 317 リトドン@ボロのつりざお 15/02/06 22:37:00 ID:cX3GHCC6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 318 タマロ@ほしのすな 15/02/07 00:12:03 ID:nLuG//GQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カノン… 死なないで…

支援
 ▼ 319 ブト@いのちのたま 15/02/07 08:46:09 ID:vufsJ1y. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カノォォォン!!!! 
支援...8回目
 ▼ 320 ンベアー@ヤドランナイト 15/02/07 08:47:08 ID:pbzECnCc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>316
それ言ったらアカン

支援
 ▼ 321 ッキング@ヘルガナイト 15/02/07 21:40:49 ID:8LHNO6aQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 322 ャオブー@そうこのかぎ 15/02/08 14:44:42 ID:/A9r1PMQ NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 323 マワル@みどりのかけら 15/02/08 17:32:29 ID:uvbXin5k [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
更新は?更新は?
支援。楽しみ
 ▼ 324 ザリガー@まがったスプーン 15/02/08 17:33:35 ID:uvbXin5k [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>307
wwwある意味すごいww
 ▼ 325 ウマージメガバングル 15/02/08 17:35:45 ID:LTIa6Dto NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 326 ロカロス@しんぴのしずく 15/02/08 18:36:43 ID:O7q0ev6o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 327 ピナスしあわせたまご 15/02/08 20:16:16 ID:jYQYheow NGネーム登録 NGID登録 報告
早く続き〜〜〜
支援エン
 ▼ 328 ラセクト@ふしぎのプレート 15/02/08 20:33:19 ID:.NCSe64I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>297 コナンwww

支援
 ▼ 329 バメ@しんかいのウロコ 15/02/09 01:05:32 ID:FNmIfKuo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 330 フキムシ@しんかのきせき 15/02/09 02:21:26 ID:qEWkrQYU NGネーム登録 NGID登録 報告
パソコン不調?

支援
 ▼ 331 ュウツー@ミュウツナイトY 15/02/09 03:14:00 ID:ovDTD0Lw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 332 ャースおまもりこばん 15/02/09 18:55:40 ID:pq50ZPZE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
まだかな〜
支援
 ▼ 333 エトル@ダイブボール 15/02/09 19:29:40 ID:w2OmxaAw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>331
なまえすげー
支援
 ▼ 334 テラ@おはなのおこう 15/02/09 19:39:56 ID:DQDYpd5Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>332
支援なのニャー
 ▼ 335 ロボーシ@あなぬけのヒモ 15/02/09 20:27:07 ID:imLM.itQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援


まさかまたパソコンの調子が悪い系?
 ▼ 336 スノキ 15/02/09 20:30:00 ID:aAko3bOk [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
秘密の庭を飛び出して、私はただひたすら走る。

夜露に濡れた石畳の街並みは、しっとりとした空気に包まれて、普段以上に美しく感じた。

そんなアルトマーレのために、私は行動しなければならない。ラティアスたちを守るためにも、サトシ君たちを危険な目に遭わせないためにも。

ずっしりと重い爆弾は、残り30分を切っている。


……残された手段は、もはや一つしかなかった。



 カノン 「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」


アルトマーレの街並みを走り抜け、私は海に到達した。

残り時間は……21分40秒。まだ間に合う。じゅうぶん時間はある。


暗い海。

月明かりは出ているけど、鈍く青い海は、底なし沼のような恐怖さえ感じる。

普段は優しい海なのに、今日、いまは、何とも言えない雰囲気に包まれている。まるで、私を飲みこんでしまうぞと言わんばかりに。


……でも、私は覚悟を決めたんだ。

アルトマーレを護るため、みんなを護るため。
 ▼ 337 スノキ 15/02/09 20:30:31 ID:aAko3bOk [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 カノン 「……んっ!」



 ― ザバンッ!



私は海に飛び込んだ。

冷たい海水が肌に刺さる。

体が悴む。


でもっ……。


私は爆弾を服の中に詰め込んで、沖の方へと泳ぎ始めた。


港の入口に佇む、ラティアスとラティオスの石柱。

アルトマーレの護神と信じられている2匹の石柱の間を、私は潜る。

なんだか、2匹に見守られているような感じがした。……気休めかもしれないけど。
 ▼ 338 スノキ 15/02/09 20:31:00 ID:aAko3bOk [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
静かな海。

不気味なほど静かな海。

私は いずれ、この海に呑み込まれてしまう。

自分が選んだ道、自分の使命とは言え、怖くて堪らない。泣きだしたい。


でも、体は沖の方へと向かっている。

私がやらなくちゃ、アルトマーレは護れないんだ。



10分くらい泳げば、もうアルトマーレの街並みは小さく見える。距離にして500メートルくらいかな。

アルトマーレ育ちの私は、泳ぎが得意。こんな時にそれが役立つなんて、人生なにが起こるか分からない。


あとは待つだけだ。
 ▼ 339 スノキ 15/02/09 20:31:30 ID:aAko3bOk [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
爆発間際、爆弾を思いっきり空へ向かって放り投げる。

そうすれば、……この距離ならアルトマーレへの被害は無いだろうし、海のポケモンへも、最小限の衝撃で済むはずだ。

残り5秒になったら投げよう。それまでは……どうしよう。


目を瞑る。

波の うねる音だけが鼓膜に響く。

脳裏に浮かんだのは、ラティオスの姿。


ラティオス、私、アルトマーレを護るのよ。

思ってることは、あなたと同じ。アルトマーレを護る一族の使命として、命を懸けて護るのよ。

ラティアスや おじいさんには悲しい思いをさせちゃうけど、アルトマーレを護れるなら、天秤にかけるようなことでもないよね。
 ▼ 340 スノキ 15/02/09 20:32:00 ID:aAko3bOk [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
はぁ……。

私の人生……、これで良かったのかなぁ。

もちろん、アルトマーレを護ることが出来るのなら、それは一族としての本望。


けど……、1人の女の子としてなら、詰まらない人生だったかな。

友達を作れなくて、いつも一人ぼっち。恋愛だって……。


恋愛、か……。

私たち一族は、その使命から、結婚だって一族同士。自由なんて全くない。

それを当然と思って来たし、誰かを好きになることなんて無いと、私は思っていた。


だからこそ、サトシ君と出会えたのは、私にとって奇跡のようなものだった。

怪盗姉妹がアルトマーレを襲った時、勇敢に立ち向かって、一緒に戦ってくれたサトシ君に、私は初めて恋をした。

今だから恋って言えるけど、あの当時、サトシ君を見るだけでドキドキするあの気持ちは、恋だなんて思わなかった。

お別れの時だって、恥ずかしくて何も言えなかった。言えなかったけど、お礼の気持ちを込めて、サトシ君に絵を渡したんだ。

それに……、思い切ってキスもした。

もう会うことは無いだろうと思って、ちょっと大胆な行動に出ちゃったけど、それは、サトシ君への未練を断ち切る意味でもあった。
 ▼ 341 れいなゲーチス大統領 15/02/09 20:32:09 ID:06ZnzG3w NGネーム登録 NGID登録 報告
支援します!
 ▼ 342 スノキ 15/02/09 20:32:30 ID:aAko3bOk [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だから驚いちゃったな。アルトマーレ展で、サトシ君と再会した時は。


一緒にアルトマーレ展の屋台をデートして。

ベッドで押し倒されちゃって。

ラティアスを助けるために一緒に戦って。

ラティアスのメガ進化を一緒に見届けて。

怪我した私を抱きしめてくれて。

一緒にラティアスに乗って空を飛んで。

一緒に眠って。

最後にキスをしてくれて。


今でも鮮明に覚えてるよ、あの時のサトシ君とのこと……。
 ▼ 343 スノキ 15/02/09 20:33:00 ID:aAko3bOk [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今度こそ、サトシ君とはもう会えないと思っていた。


でも、サトシ君はアルトマーレに来てくれた。

勿論、私に会うためだけに来てくれた訳じゃ無くて、トライポカロンを見るのが目的だったみたいだけど、それでも嬉しかったな。


神様は、最後にサトシ君と会わせてくれたのかもしれない。

命を懸けてアルトマーレを護る私に、神様が、最後の御褒美をくれたのかもしれない。


 カノン 「ありがとう……神様……」


そう考えれば、私の人生に悔いはない。

サトシ君に好きだって伝えられなかったけど、それは綺麗なままの思い出として、私の心に残り続ける。

それで、十分じゃない……。


残り、約7分。

私は静かに、最後の時を待つことにした。



 サトシ 「カノンっ!」
 ▼ 344 ャースおまもりこばん 15/02/09 20:55:54 ID:pq50ZPZE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
やったん続ききた〜
クスノキさんのSSめちゃ面白いです。昨日アルトマーレ展見てからはまってしまいました。
楽しみに待っています。
 ▼ 345 6ruIN/jwzs 15/02/09 20:56:24 ID:LdT9YqQo [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
(´・ω・`)
 ▼ 346 ルリル@しんじゅ 15/02/09 21:09:00 ID:rW3dxdGE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
続ききたーーー!!
 ▼ 347 ガ デデンネ 15/02/09 21:12:19 ID:YXi.qb3I NGネーム登録 NGID登録 報告
悲しいな…
 ▼ 348 マサラ人3 15/02/09 22:13:42 ID:Z0l.kSzg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
続き気になるぅ〜。支援です。
 ▼ 349 ラサリス@もえぎいろのたま 15/02/09 22:39:49 ID:3.vh5IfU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援し支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援し支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援し支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援し支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援し支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援し支援支援支援
 ▼ 350 ラティナ@ギンガだんのカギ 15/02/09 23:02:49 ID:LdT9YqQo [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>349
荒らすな餓鬼
 ▼ 351 ンシグラードン◆u2YjtUz8MU 15/02/09 23:04:19 ID:113mlKX. NGネーム登録 NGID登録 報告
ゲン支援回帰!!
 ▼ 352 イアント@エルレイドナイト 15/02/09 23:05:34 ID:xXH2idLg NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
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