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【地の文有りSS】バンギラス「俺って、怖いか?」 グレイシア「怖いと思うわよ?」

 ▼ 1 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/04/30 18:47:13 ID:l70cZsRY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
曇り空を、見上げる。

さっきからの数分で急に空は圧倒的な黒雲に支配されつつあった。

気分は――最悪だ。

俺は、バンギラス。

岩タイプを含む俺は水気になかなか敏感だ。

だから、これからすぐ雨が降る、なんて予測は体が勝手にしてくれる。

ぽつり、と前に伸ばしてあった手に水が一滴。

それらはコラッタ算式、いやそれ以上のスピードで、空間を支配する。

住居である洞窟から手を伸ばしていただけの俺は手より先が濡れることはなかった。

もともと、雨くらいなら濡れても体が重くなるだけなのだが。

ザアアアアァァァァ……、と雨が打ち付ける音は、他人事のようにBGM以上のものとして耳には入ってこない。

そんなものはどうでもいいくらい俺は憂鬱だった。
 ▼ 133 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:28:42 ID:PgesFyRY [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ぴと、と尻尾が冷却される。

同時に、ずんと尻尾の重さが増した。

「ぬあっ……!」

思わず尻尾を地面について立ち止まる。

「おい、何してんだ」

俺は振り返りもせず、その状況を作った犯人に問いかける。

「……もう歩くのは疲れたの。このまま連れて行ってくれないかしら?」

「俺が疲れるじゃねえか……」

「それに、こうした方がはぐれないじゃない」

そう言われてしまうと、弱かった。

そもそも行きに手間取った理由ははぐれたせいなので、断りづらい。

「…………じゃあせめて根元にしてくれ。先に体重かけられるのはキツい」

「まぁ、いいわ」

ぽす、と今度は尻尾の付け根に、さっきよりは幾分か軽いおもりが乗っかった。

落とさないようにバランスを調整しながら、俺は再び歩きだした。
 ▼ 134 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:29:10 ID:PgesFyRY [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっとねぐらへ到着したのは、もうとっくにヤミカラスやコラッタたちが活発な活動をし始める頃。

寝てしまっているグレイシアと一緒にまず尻尾を下ろす。

尻尾からやっと力を抜くことができ、疲れた時特有のあまり気分がいいとはいえない疲れが尻尾を包む。

いくら軽いとはいえ羽を乗っけているわけでもあるまいし、長時間続けていると流石に疲弊するのだ。

次に、小脇に抱えたふっかつそうをひとまず下へ下ろしてみる。

「はぁーーー……」

長いため息を、一つ。

息を吐いたことで体から力が抜けて、一瞬寝そうになった。

眠く閉じてくる目を無理やりこじ開けて、今更のように持ってきたふっかつそうの詳細調べる。

一枚を手にとって半月の月明かりに照らすと、鮮やかな緑が確認できる。

新鮮な証拠だ。

量もふっかつそうが減らないくらいの量しかないので、初見でその辺の事情を読み取ったのだろうか。

吟味もほどほどに、俺はふっかつそうの束を貯蔵庫へ持っていく。

そして、戻ってきて座り込んだ瞬間。

本当に一瞬の時間もなく俺は眠りについた。
 ▼ 135 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:29:27 ID:PgesFyRY [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ぽっぽー、ぽぽっぽー、と朝を喜ぶようなポッポの鳴き声で俺は目覚めた。

ゆっくりと意識が覚醒していく。

目が覚めてしばらく経ってから、すぐ隣、下方から静かな息遣いが聞こえ始めた。

グレイシアがまたも俺の尻尾を枕代わりにしていたのだ。

別にそうなっていたからといってなにがあるわけでもないが。

とりあえず、尻尾を揺らしつつ声をかける。

「……グレイシア? もう朝だぞ」

「うぅ……んぅ………………えっ?」

起き上がってしばらくしてから、グレイシアが素っ頓狂な声を出した。

ずざっ、っと若干地面にからだを擦り付けながら後ずさる。

あまりの驚きように逆に俺が驚かされた。

「……驚かせたか?」
 ▼ 136 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:29:43 ID:PgesFyRY [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「い、いえ、そういう訳じゃないの」

こほん、とグレイシアは不自然に咳払いをした。

「えっと……きょ、今日は何か予定があるのかしら」

「いや、もうお前がいなきゃいけないようなことはないぞ?」

「っ……べ、別に良いじゃない。いても良いんでしょう?」

「そりゃな。迷惑ってわけでもないし、いてくれても構わんが……」

わざわざこんなところにいたがる理由が俺には分からないのだ。

別に掘り下げようとも思わないが。

「とにかく、朝ごはんはまだかしら? オッカのみなんかいいわね」

発生した沈黙を打破するためか、グレイシアが話を逸らした。

「オッカのみな。分かった、持ってくる」

ありがたく話に乗せてもらって、俺はその場を離れた。
 ▼ 137 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:29:59 ID:PgesFyRY [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オッカのみと適当なきのみを持って戻ってくると、グレイシアはこちらを見もせずに言った。

「オッカのみは冷たい方が好きなの。熱いと辛味が増すもの」

背中で命令するのが板についているあたり、身侭な印象が拭えない。

なんというか、顎で使われている感じでどうも雑用係っぽい。

別にわざわざ嫌いなものにしようとも思わないし良いのだが。

というわけで火炎放射を利用して一瞬だけ火で炙り、氷の層を薄くしたオッカのみをグレイシアの方へ投げ渡す。

「ほらよ。これで良いか?」

「えぇ! ……お、美味しそうじゃない」

一瞬こちらに向けて嬉しそうな顔をして、それから慌ててそっぽを向くグレイシア。

……というか、この前もこんな反応をしていなかったか?

食べ物には割と弱いらしい。
 ▼ 138 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:30:19 ID:PgesFyRY [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「食わないのか?」

「た、食べるわよ……」

グレイシアは解凍したばかりのオッカのみを美味しそうに小さな口で頬張りはじめる。

そんな様子を見ながらこちらもきのみを口に放り込む。

咀嚼の時間がどうも暇で、自然とどうでもいいことを考えてしまう。

「なぁ、お前、バトルとかしないのか?」

「バトル? やれないことはないけれど……」

「今日やることもないだろ? ならバトルしないか?」

「…………」

グレイシアは食べる手を止め、俯いて黙考し始めた。

唯一見える横顔からは、何を思っているのか全くわからない。

「……いえ、やめておくわ。得意なわけでもないし」
 ▼ 139 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:30:35 ID:PgesFyRY [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「そうか。変なこと言って悪いな」

「別にいいわ」

それっきり、食べ終わるまではお互いに一言も喋らなかった。

量あったオッカのみを完食したグレイシアがすくっと立ち上がった。

「私、散歩にでも行ってくるわ」

「あ、あぁ。好きにしてくれて構わん」

「…………っ」

グレイシアはさっさと早足で洞窟を出て行った。

横顔がどこか怒っているように見えたのは、気のせいだといいのだが。

そして、洞窟には俺と転がっている数個のきのみだけが残された。

「……ボスゴドラのとこでも行くか」

さっきバトルの話を持ちかけたら、急激にバトルがしたくなったのだった。

残り数個をさっさと口に放り込み、食べ終わる間も惜しんで俺もすぐに出発した。
 ▼ 140 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:30:56 ID:PgesFyRY [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ◇ ◇ ◇

ぺしぺしと曖昧にぼかされた木の影を踏んで歩く。

「……はぁ」

溜息が漏れた。

上を見ても、見えるのは不規則に揺れる木の葉と空一面にかかる薄い雲だけ。

横を見ても、もちろん誰もいない。

――本当はいるはずだったのだが。

足が重い。

もちろんその理由は疲れなんかじゃなく。

(――別に、あいつがいようがいまいがやるのは歩くことだけじゃない。何が変わるのよ)

私は頭を強く振った。

しかし、憂鬱な気持ちは水を手でかいた時のように瞬時に戻ってくる。
 ▼ 141 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:31:13 ID:PgesFyRY [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
元々、自分がなんでこんなに憂鬱になっているのかもわからない。

ちょっと言うタイミングを逃して誘いそびれただけなのに。

むしろ一人の方が気楽なはずなのに。

と、その時。

頭上でガサガサッ、と物音がした。

驚いて一瞬体を震わせた後、ゆっくり上を見上げる。

葉っぱに隠れて見えないが、木の中に何かがいる。

反射的にその場から離れた瞬間、木が一際強く揺れた。

そして、何かが落ちてくる。

しかし、何故か地面まで落ちずに私の目の前で止まった。

「あら、おはようございます〜」

「なっ……!?」
 ▼ 142 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:31:31 ID:PgesFyRY [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
落ちてきたものに突然話しかけられて、私は驚いて硬直してしまった。

数秒後、落下物の正体がミノマダムであることを認識する。

「お、おはようございます……?」

「あら? グレイシアさん……!?」

勝手に上から降ってきたくせに、勝手に驚く葉っぱの塊。

誰かを確認もせずに落ちてきているなんて、私が悪いポケモンだったらどうするのだろうか。

「えぇ。そうですけれど」

「だ、大丈夫なんですかっっっ!!?」

「…………は?」

突如ミノマダムがものすごい剣幕で私に迫ってきた。

正直何を心配(?)されているのか分からない。

あるとすれば、3日前に怪我をしていることくらいだ。
 ▼ 143 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:31:50 ID:PgesFyRY [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……えっと、なんのことですか?」

「え、何もされてないんですか!?」

私は内心で溜息をついた。

話が噛み合わない、というより全く話の核心が掴めない。

「だから、なんの話でしょうか」

「何ってあなた、あのバンギラスに捕まってたじゃないですか!!」

「バンギラスに、捕まってた……?」

「えぇ! 寝ているあなたを持ち上げて自分の洞窟に入って行くバンギラスを見ましたから!」

「私、別に捕まってなんかいないんですが? むしろ、助けてもらいました」

すると、ミノマダムの目に同情の色が宿った。

「……可哀想に。バンギラスはゲンガーと手を組んで悪さをしていると聞くし、きっと催眠術にかけられているんだわ」

「催眠術にもかかってなんかいません。あいつは……悪いやつじゃない」
 ▼ 144 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:32:13 ID:PgesFyRY [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もちろん私だってまだ3日しか関わってはいないわけで、もしかしたら私の知らない面があるのかもしれない。

でも、少なくとも今の私にはバンギラスが悪さをするようには見えない。

ミノマダムの表情が、同情を通り越して嘲りを示す。

「3日前もハハコモリさんのうちが恐喝に遭ったって嘆いていましたわ。しかもふっかつそうを取られたんですって! どう考えても悪者でしょう!!」

3日前……? ふっかつそう……?

疑問符が頭に並ぶ。

それらは直後に繋がりあって、一つの推測を私にもたらした。

それが本当なら、申し訳なくてたまらない。

数瞬の思考の後反駁しようとした私だったが、ミノマダムに先を越されてしまう。

「……あなた、もしかしてバンギラスの仲間なんじゃないですか?」

「……はっ?」

「近づかないでくださいまし! この悪者!!」
 ▼ 145 況雑記◆Ju6JKuHffQ 17/06/25 22:36:03 ID:PgesFyRY [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
【ほんとどうでもいいです無視推奨】
本当は今日ごっそり書こうと思っていたのですが
勉強→疲れてグダる
を繰り返していたら書けませんでした申し訳ない
一週間で13ってどう考えても少ないですよね……?

あとは自分で開催予定次のSS企画に向けて書こうかと構想を固めるもこっちを書いていると終わるというジレンマ(勉強も入れてトリレンマ?)
(無視推奨なら書くなのツッコミは厳禁の方向で)
 ▼ 146 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/06/26 11:31:34 ID:PHk3ea7o NGネーム登録 NGID登録 報告
(企画って夏休みらへんでしたっけ?)

支援
 ▼ 147 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/06/26 18:27:34 ID:eJsowa.A NGネーム登録 NGID登録 報告
>>146
(Yes! 夏休み真っ盛りです)
 ▼ 148 オキシス@くっつきバリ 17/06/27 05:59:23 ID:339XdSC2 NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 149 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/02 20:59:03 ID:d20FXjoU [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミノマダムが叫ぶが早いが、私の視界を緑が埋め尽くす。

あまりにも唐突で、近距離も相まって抵抗するのは不可能に近かった。

あからさまに攻撃の意思を持ったそれは私の体を切りつけて無数の生傷を作っていく。

――これは……リーフストームね。

全身の痛みを堪えながら、私は口元に意識を集中した。

集めた冷気を前方に撒き散らす。

木の葉の大群に、氷雪混じりの突風が衝突する。

勢いの差は明らか。

一瞬で木の葉たちは失速した。
 ▼ 150 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/02 21:05:30 ID:d20FXjoU [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「まぁ! 攻撃してきたわ! やっぱり悪者なのね……!!」

(頭おかしいんじゃないの? 脳みそあるのかしら)

しかし、口に出してしまえば勘違いは完璧なものとなるので、かろうじて堪える。

「攻撃してきたのはあなたでしょう」

「あ、あなたが近づいてくるから悪いのです!」

「そもそも、私は相殺しかしていないはずよ」

「何をふざけたことを! 私の大事なミノが凍ってしまっているのが見えないのですか!?」

目を凝らして見ると、下の方の葉っぱが霜がついたように凍っていた。

「その程度。私は傷だらけなのだけれど」

「悪者なのだから当然ですわ!」

私は諦めることにした。

自分は攻撃しても相手が悪者だからよくて、ちょっと凍った程度で糾弾するしてくるようなやつだ。

どう考えても頭が悪……よろしくない。
 ▼ 151 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/02 21:07:41 ID:d20FXjoU [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
嫌気がさした、というか軽くイラっとした。

少し本人へ八つ当たりでもさせてもらおうかしら。

「……ふふふ。よく見抜けたわね、その悪い頭と腐った目で」

「な、なんですって!?」

「喋るんじゃないわよ。不快だわ。黙ってちょうだい」

「や、やっぱり悪者じゃないですの!!」

「喋るな、って言ったの聞こえなかったのかしら。仕方ないわね、その小さな頭には綿が詰まっているんだもの」

「なんて極悪な……!」

「これでも食らって黙りなさい!」

こっそり集めておいた冷気を一気にミノマダムの真ん中へと放出する。

れいとうビーム。私が出せる最速の技。

ミノマダムは抵抗もできずに氷漬けになった。

溶かすための炎技もミノマダムでは弱点で使えないし、溶かすまでに苦労するだろう。

いい気味だ。

1つ嘲笑して、私はその場を離れた。
 ▼ 152 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/02 21:08:27 ID:d20FXjoU [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ねぇ、あのポケモンって」

「グレイシア、よね」

「グレイシアってこの前バンギラスが攫ってたっていう?」

「そうそう。恐喝に続いて何するつもりなのかしら」

「分からないけど……グレイシアは見た目可愛いし…………っていうことも」

「あー、あるかもしれないわね」

さっきから、木のざわめきに混じってささやき声が聞こえてくる。

私は足を止め、声のした方向をにらみつけた。

エルフーンとドレディアがわざとらしく目をそらしてそそくさとどこかへ行った。

「はぁ……」

今日何度目とも分からないため息をつく。

「なんであいつがこんなこと言われているのよ……」

小声でそう呟きつつも、理由は分かっていた。
 ▼ 153 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/02 21:09:05 ID:d20FXjoU [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それは、自分。

ひそひそと話すのを聞いている限りだと、必ず私の名前が入っている。

つまり、バンギラスが色々言われている原因の一端は私が持っているのではないのか。

迷惑をかけていることを改めて認識してしまうと、もう頭はブルーな気持ちで埋め尽くされる。

立ち止まって、空を見上げる。

相変わらず空は太陽の光なんてかけらもないどん曇り。

しかし、雲の色から見ても、空気の湿度から見ても雨は降りそうにない。

いっそ雨が降ってくれたら、とそう思った。

私は上を向いたまま大きく息を吸い込んだ。

「――〜〜♪」

目を閉じ、ゆっくりと、歌い始める。
 ▼ 154 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/02 21:09:41 ID:d20FXjoU [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
言葉の一つ一つを発するごとに、空気が湿っていく。

なおも声を出しながら、空を見上げる。

さっきまで灰色一色だった空が圧倒的な黒雲に支配されていく。

ぽつり、と見上げていた額に水が一滴。

それらはコラッタ算式、いやそれ以上のスピードで、空間を埋め尽くした。

ザアアアアァァァァ……、と雨が木々の葉を打ち付ける音をBGMに、歌は終わりへと向かう。

「♪〜〜〜…………」

そして、雨音だけを取り残して他の音が消える。

雨が背中を打ち、体温を奪っていく。

私はなすがままにただ呆然としていた。

――これからどこに行こうか。

あの洞窟へ戻る、なんて申し訳なくてできない。

しかし、他に行くあてはない。

でも、戻るのは……。

私は、ループする思考を放棄してその場に立ち尽くした。
 ▼ 155 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/02 21:10:34 ID:d20FXjoU [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…………あ、れ……?」

気づけば私は、誰もいないあの洞窟の前に立っていた。

何故ここに来たのかわからない。

何も考えなかった結果、無意識のうちにここへ来てしまったのだろうか。

これではまた迷惑をかけてしまう。

しかし、ここで安心を求めている自分も確かにいた。

迷惑をかけると分かっていつつ、やっぱりここに戻って来た自分もいたはずだ。

自分勝手で、わがままでしかない行動。

「……最低ね」

嘲笑しながら呟いた言葉は、正確に自分自身の心をえぐる。

引き返す、という選択肢もまだあったはずなのに、私はそのまま洞窟へ入った。

体を震わせて水気を飛ばす。

そのまま私は崩れ落ちるように壁の端に横たわった。

奪われた体温を少しでも取り戻そうと、体を丸める。

そんな全身を脱力できる格好では、襲い来る眠気に耐えることなんて出来なかった。
 ▼ 156 ンカラス@ドラゴンZ 17/07/02 21:17:03 ID:hU3pnT3s NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 157 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/09 21:00:41 ID:GdLBp3Ks [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「おい、起きろ」

耳に突き刺さる、短くて大きな声。

たまらず私は飛び起きる。

すぐ目の前にはバンギラスの顔。

「っ! …………?」

一瞬自分の口元が綻ぶのを感じた。

しかし、バンギラスのこちらを睨みつけるような険しい表情を見て、笑みなんてものは跡形もなく消え去った。

「……な、何よ」

「出て行け」

「………………っ!?」

私は思わず息を詰まらせた。

心の奥底で予想はしていたのに、それでも信じられない言葉。

冗談ならそうだと早く言って欲しい。
 ▼ 158 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/09 21:01:00 ID:GdLBp3Ks [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「聞こえなかったか? 早く出ていってくれ」

バンギラスは最大限怒りを抑えている風の声で私に迫る。

「……突然、なんで……?」

「見えねぇのか?」

「見える……?」

私はバンギラスの体を目を凝らして見た。

私と同じように、全身に小さな傷が走っている。

「これ、は……?」

「お前のせいだよ。分からねぇのか」

私は、はっと思い出した。

もちろん、分からないはずがない。

さっきミノマダムを氷漬けにしてしまったせいで、更に悪評が広まってしまったのだろう。

「だ、大丈夫……なの?」

「大丈夫もなにもねぇだろうが!」

バンギラスが声を張り上げ怒鳴った。
 ▼ 159 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/09 21:01:33 ID:GdLBp3Ks [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
空気がビリビリと震える。

グラードンにのしかかられるような圧倒的威圧感に、私は萎縮するしかなかった。

「っ……! でも……」

舌が動かない。

次の言葉を私が出すよりも先に、バンギラスは冷たく突き放してくる。

「知らん。早く出て行ってくれ」

「…………分かったわ、分かったわよ……っ!」

もうこれ以上は無理だ、と思った。

口の中を小さく噛んで身体の痛みをこらえ、脚を洞窟の外へ伸ばす。

頭をを振って躊躇を振り払う。
 ▼ 160 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/09 21:02:02 ID:GdLBp3Ks [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうして足早に洞窟から出て、一歩、二歩。

足が止まった。

早く離れないと、と思っているのに、足が動かない。

地面に顔を向けると、足元に一つ雫が落ちた。

地面に小さなシミができる。

(泣いてる……? なんで……)

振り払っても、すぐにまた視界がぼやけてしまう。

どうせ自分でも出て行ったほうがいいと思っていたから、丁度いいはずなのに。

いくら自分を説得してみても、目からは延々と涙が溢れては顔を伝う。

これ以上動かなかったら、もう動けないかもしれない……。

私は震える脚を無理やり動かして、濡れた地面を踏みつける。

地面を濡らし、その地面を踏みながら、私は走った。
 ▼ 161 ッカニン@フライングメモリ 17/07/10 13:08:08 ID:oH8pXCYI NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 162 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/16 20:02:46 ID:y58mIZYo [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
気がつけば、光が全くない鬱蒼とした森にいた。

狂ったようにうねっている、不気味な木々。

西日だった太陽はいつの間にかいなくなっていて、中途半端に斜めの月光は全て木が遮ってしまっている。

当然こんな場所、知っているわけもない。

疲れなのか足に力が入らなくなって、私はその場にへたり込んだ。

下は湿った感触が気持ち悪い土だったが、そんなこと気にしてもいられなかった。

何もすることがなくて目を瞬かせていると、涙がとっくに乾いていることに気づく。

拭きすらしなかったせいで、顔の一部で涙が乾いた後の感触がこびりついている。

手近な木まで動いて、寄りかかる。
 ▼ 163 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/16 20:03:16 ID:y58mIZYo [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
はぁ……と溜息をついた瞬間、地面が激しく揺れ始めた。

動くことも出来ないような強い横揺れ。

私は伏せることくらいしかできなかった。

(なによこれ、早く止みなさいよ……!)

しかし揺れは一向に収まる気配はなく、それどころかその強さをどんどん増していく。

そんな中、私は意識が遠ざかっているのを感じた。

靄が掛かったように思考が出来なくなる。

そして、伏せていて元からほとんどなかった私の視界の光が完全に消え去った。
 ▼ 164 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/16 20:03:32 ID:y58mIZYo [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「おい、グレイシア! 大丈夫か?」

体が揺さぶられる振動で、私は意識を取り戻した。

半目を開けて目の前の様子を確認する。

瞬間、頭にかかって思考を邪魔していたもやは綺麗さっぱり消え去った。

「……あなた、なんでここに?」

「居ちゃ悪いか。ここは俺の住処なんだが」

「すみか……?」

「んなことはどうでもいい。その傷はどうしたんだ?」

「…………これは」

「別に無理に聞こうとはしないが」

「……いえ。やっぱり話しておかないとダメね」
 ▼ 165 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/16 20:03:49 ID:y58mIZYo [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は時々考えて思い出しながら、経緯を説明した。

「……すまんな。迷惑をかけた」

「あなたのせいじゃないわ。それに、迷惑をかけたのは私も同じ」

「ん? お前は何かしたのか?」

「ミノマダムを凍らせちゃったもの。あれでは悪評が加速するわ」

「あんなやつは凍らされて当然だ。どうでもいい」

バンギラスが一緒に怒ってくれたのが、とても心強い。

「……ところで。あなたは怪我していたりしないの?」

さっきからバンギラスの体を見る限り、傷の類は全く見つからない。

さっき起きた時はあったのに。

「俺はな。とりあえず自分を心配しろ」

「え、えぇ。私は大丈夫だけれど……」

場所が洞窟に戻っていて、バンギラスの傷もなくなっている。

となると、可能性は。

(なんだ、夢だったのね。…………良かった)
 ▼ 166 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/16 20:04:49 ID:y58mIZYo [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
少なすぎるとは思いつつ時間が取れない悲しみ
しかし、祝日っていいですね
明日も更新できるかもしれません


喧嘩する夢を夢占いにかけると……?
(↑このレスはこれが言いたかった)
 ▼ 167 ーみん 17/07/16 21:18:00 ID:cHqCo1ok NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 168 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/17 22:15:07 ID:I3LcFDhQ [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ◇ ◇ ◇

せっかく傷が治りかけて来たのにまた作って来やがって……。

このままだと大事なふっかつそうがまた切れちまうじゃねえか。

「本当に大丈夫なのか? 念のため使っとけ」

脚の傷を気にするグレイシアの前にふっかつそうを置く。

「え、いいわよこれくらい。勿体無いわ」

「いいから使っとけ。治るなら早い方がいいだろ?」

「……でも、あなたのところのを使うのは」

「これを取ったのはお前だろ。使えばいいんだよ」

「…………。分かったわ。お言葉に甘えさせてもらうわね」

渋るグレイシアを説得してふっかつそうを渡した時だった。
 ▼ 169 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/17 22:15:25 ID:I3LcFDhQ [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ここですわっ!」

俺のでも、グレイシアのでもない甲高い声がうるさく洞窟に反響する。

見れば、ミノマダムを先頭に草タイプだの水タイプだの格闘タイプだの、俺が軒並み苦手なタイプのポケモンが勢揃いしていた。

何十もの憎悪の目線が俺に突き刺さる。

「ちょうど取引現場ですわね!! 悪者どもが!!」

「……突然人の住処に押しかけてなんなんだ」

「なんなんだじゃないでしょう!? 強奪したもので取引なんてして……!」

「これは強奪したものなんかじゃないわ!」

「何を言うんですの! 仮にそれが奪ったものでなかったとしても、恐喝していたことには変わりありませんわ!! 皆さん、やってしまいましょう!!!」

それ以上俺たちが何かを喋る暇もなかった。

一斉にポケモン達が技を溜め始める。

あからさまな害意があればこちらからも攻撃はできる……とはいえ、この量を押さえるのは流石に難しい。
 ▼ 170 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/17 22:15:43 ID:I3LcFDhQ [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「はっ、攻撃できるもんならしてみりゃいいじゃねえか!」

言い放って、それから俺は相手より早く岩雪崩を発動した。

ドガドゴッ、と地を揺らす轟音を立てて岩塊が立て続けに落下する。

一瞬で洞窟の入り口は閉鎖されてしまった。

直後、即席の岩の盾に数々の攻撃がぶつかる音が岩越しに聞こえてきた。

念のため二重、三重に岩を落としておく。

あの程度の攻撃ではそう早く突破はされないだろう。

「入り口を塞いじゃって大丈夫なの?」

「誰も入り口がここだけとは言ってない。付いて来い」

暗くては道も分からないので、溜めておいた松明用の木の一本に火をつける。

ポケモン達が岩を破壊しようとしている間に俺達は洞窟の奥へと走り出した。
 ▼ 171 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/17 22:16:13 ID:I3LcFDhQ [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
出たのは、さっきの入り口とは真反対の入り口だ。

ここなら外を回ってくればかなりの時間がかかるし、中を通って来たとしても迷っている時間は稼げるはず。

とりあえず安心していいだろう。

「走ったけど大丈夫か?」

「……傷は大丈夫よ」

「そうか。ならいい」

やっと一息ついて、俺は洞窟の壁に寄りかかる。

「お前は座らないのか?」

「……好きにするからいいわよ」

「そうか」

余裕ができたことで、頭が無駄なことを考え始めた。

「それにしても有志なのかなんなのか知らないが、よくあれだけ集まったな」

「……一番連携力が強くなるのは、共通の敵を持った時よ」

「敵、か。別に今更いいけどな」
 ▼ 172 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/17 22:16:31 ID:I3LcFDhQ [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…………ごめんなさい」

唐突に、グレイシアに謝られた。

声のトーンが、暗い気持ちを表していた。

「何がだ? 謝られるようなことはなかったと思うが」

「いいえ、あるわ。話したけれど、ミノマダムが襲ってきたのは私のせいだもの」

「いや。あいつは今に限らずうるさかったが」

「……でも、私のせいで実際に行動に移されてしまったのは事実のはずよ」

「……否定はできんが」

「ほら、ね? やっぱり、私がいると迷惑を掛けちゃうわよね……」

「こんなん迷惑ですらねえよ。むしろ俺がお前を巻き込んじゃうかもしれない」

俺が座っているおかげで俺とグレイシアの目線の高さが同じになっている。

しかし、グレイシアとは俯いていて目は合わない。

やがて、グレイシアは俺に表情を見せないで体を洞窟とは反対方向に向ける。
 ▼ 173 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/17 22:16:47 ID:I3LcFDhQ [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
二、三歩歩いてから、ふと思い出したようにグレイシアは顔だけで振り向いた。

何かが吹っ切れたような、そんな笑み。

「3日くらい、かしら? 助かったわ。ありがとう。でも、あなたに迷惑を掛けたくないから私はもう出て行くわ」

そのままグレイシアはスタスタと洞窟から離れて行く。

グレイシアの言葉が頭を巡る。

迷惑を掛けたくないという自分の意思だと主張したその言葉は、俺に有無を言わさないような言外の意味を含んでいる。

――つまり、何か言われると分かっていたということ。

確証はないが、もしそうだとしたら……。

顔を上げて見れば、もうグレイシアの姿はかなり遠くへ行ってしまっている。

俺は全速力で追いかけた。

ドス、ドス、と腹の底から響くような重低音が連続する。

それに気づいたグレイシアの足が速くなった。
 ▼ 174 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/17 22:17:10 ID:I3LcFDhQ [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それでも、体格差か、俺の方が早かった。

「……おい、グレイシア!」

息急き切って走りつつ、叫ぶ。

ぴたり、とグレイシアが止まった。

「……なによ」

背中越しに発したその声は暗涙していたようにびしょびしょに濡れていて、さっきのカラッとした口調は見る影もない。

「別に出て行くって言うなら、俺は勝手にしてくれても構わない」

「じゃあ、なんで」

「だけどよ。行く先はあるのか?」
 ▼ 175 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/17 22:20:42 ID:I3LcFDhQ [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…………っ!!」

息を詰まらせる音が聞こえた。

「本当にあるなら、引き止めて悪かった。でも、もしないなら。勝手にされた余計な気遣いで出ていかれて野たれ死なれても寝覚めが悪ぃんだよ」

グレイシアの眉が驚愕に跳ね上がる。

そして、目の奥に怒りが具現化した炎が宿る。

「…………勝手にって、何よ。余計なって、何よ……!」

「事実だろ。俺は迷惑じゃないって言ってんだ」

「私は、あなたを心配して……!」

「それはこっちのセリフだ。行く当てもないのに相談もしないでただ出て行って」

「……でも」

「迷う者道問わず。寄る辺なんか自分だけで解決できると思うんじゃねえぞ。俺は問題ねぇからよ」

だんだんと、目の炎が涙に鎮火されていく。
 ▼ 176 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/17 22:21:03 ID:I3LcFDhQ [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
反応からして、推測は当たっていたらしい。

追いかけて来てよかった。

「……本当に、いいの?」

「さっきから良いって言ってるだろ」

「じゃあ…………もう少し、いさせて、ください」

「お前が嫌じゃないなら俺はいくらでも構わん」

「全く……せっかく綺麗に別れようとしたのに……恥ずかしいじゃない」

「自己犠牲は綺麗じゃねえよ」

「……そうね。…………ありがと」

少し濁音が混ざった声で、グレイシアは小さな小さな言葉を呟いた。
 ▼ 177 ーフィ@フーディナイト 17/07/20 07:37:18 ID:hUMok1Uk NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 178 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/23 22:14:22 ID:Bpb2cR9Y [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
洞窟をもう一度抜け、いつもの場所へと戻ってきた。

諦めたのか、攻撃はもう止んでいる。

このままでは外に出られないので、尻尾を一振りして入り口を塞いでいる岩の山を突き崩す。

実は待ち伏せされていて……なんてこともなかった。

まだ完全に安心してはいけないのだろうが、ひとまず休むくらいはいいだろう。

ゆっくり腰を下ろして足の力を抜くと、洞窟全体が低く振動した。

その横に、グレイシアがちょこんと座る。

しかし、するようなこともなければ、特に話すこともなく。

何となく居心地のあまり良くない雰囲気が漂う。

誤魔化しに俺は洞窟の外を見上げた。

空模様は、淡い藍色が若干優勢なものの、空の真ん中で赤と青が拮抗している。

日没はもうすぐだ。

「……そういえば、晩飯食ってねえな」
 ▼ 179 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/23 22:14:39 ID:Bpb2cR9Y [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
座ったばかりで立ち上がるのは少々億劫ではあったが、空腹には勝てない。

洞窟奥へ向かおうとして、違和感に気づく。

グレイシアが何も言って来ないのだ。

振り向いて様子を確認しても、ぼんやりと思考に耽るように俯いて押し黙ったまま。

「おい、大丈夫か?」

声をかけると、慌ててグレイシアは取り繕い始める。

「あ、え、えぇ。大丈夫、よ」

「なんか食いたいもんないのか?」

「……ないわ。嫌いなもの以外なら」

「そうか。じゃあ適当に持ってくるぞ?」

「お願い、します……」
 ▼ 180 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/23 22:14:58 ID:Bpb2cR9Y [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
甘めの木の実を適当にチョイスして持って来て、グレイシアの目の前に置いた。

しかし、グレイシアは微動だにしない。

「…………食べないのか?」

「いえ、食べるけれど……」

そうは言いつつも、グレイシアは地面を超えてずっと地下を眺めているように俯いている。

さっきからずっとこの調子の理由なんて、一つしか思いつかなかった。

「なぁ、聞いていいか」

「……答えないかもしれないわよ。それでもいいなら」

予防線を張って来るところを見ると、やはり聞かれたくはないのだろう。

しかし、俺はあえて無視してそのまま続けた。

「なんで、行くあてがないんだ? 近くで火事が起こったなんて話も聞いてないが」

「…………!! あなたには関係ないわよ……っ!」

図星、だろうか。
 ▼ 181 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/23 22:15:29 ID:Bpb2cR9Y [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし、このままでは話を聞いてもらえなくなる。

なので、俺は先にこちらの情報を開示した。

「じゃあ……なんで俺が冷凍ビームとか火炎放射とか、野生じゃ使えないような技を使えると思う?」

そっぽを向いていたグレイシアが、ものすごい速さでこちらを振り向いた。

その顔は余すところなく驚きに染まっている。

「…………まさか、あなたも、なの……?」

「もしかするとお前の言っているのと俺の過去が違うかもしれないけどな。……話してくれないか?」

なおも迷う素ぶりを見せるグレイシアだったが、最終的にこくりと一つ頷いた。

「……分かったわ。あなたなら」

今度こそ、説得が成功したようだ。

グレイシアは左上に目線をやりながら、訥々と喋り始めた。
 ▼ 182 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/23 22:16:00 ID:Bpb2cR9Y [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ◇ ◇ ◇

育て屋と呼ばれるポケモンを育てる施設の前で、一人の男が自転車を乗り回していた。

と、男が連れているファイアローが温めている5個の卵のうち一つが揺れ動いた。

「……やっとか。ったく、これだから孵化歩数の長いやつは」

悪態をつきながら、男はファイアローから卵を受け取って正面のカゴに乗せる。

そのまま、止まりもせずに自転車を走り回らせていると。

カゴの卵にヒビが入って、中から茶色の耳が飛び出した。

「ぶいっ! ぶぶい!」

生まれたばかりのイーブイはまん丸な瞳で男を見つめる。

しかしそんなことは意にも介さず、男は小さなモニターがついた機械をイーブイへ向け、

「……チッ、C抜けかよ。ゴミ個体が。これで何体目だと思ってる」

口の端に泡を溜めて、ブツブツと悪態をつく。
 ▼ 183 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/23 22:16:29 ID:Bpb2cR9Y [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ぶい? ぶ……ぶぶい!」

「うるせぇ! 黙ってろ!」

次の瞬間、イーブイは道のそばに投げ捨てられてしまった。

生まれたばかりで、しかも走っている自転車の上から、だ。

イーブイは全身に傷をつけながら数メートルをゴロゴロと転がる。

傍らに飛ぶファイアローは、しばらくイーブイに哀れみの目を向けていた。

しかし男はそんなものには目もくれず、ファイアローから次の卵を受け取っている。

同じように生まれてきたイーブイに、流れ作業で同じように事務的に機械をかざす。

「…………めざ炎理想キターーーーー!!!」

男が唐突に空を仰いで叫び始める。

唾がファイアローに掛かったのも気にも留めず、男は自転車を折りたたんでバタバタと育て屋の中へ走って行った。
 ▼ 184 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/23 22:17:09 ID:Bpb2cR9Y [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一年の時を経て、生まれたイーブイはグレイシアへと進化させられていた。

「グレイシア、吹雪!」

「しあああああ!」

氷雪混じりの突風が、グレイシアの目の前にいる、ナットレイ、ボーマンダへと迫る。

しかし、吹雪は薄皮一枚、ギリギリで二匹の間だけを通り過ぎてしまう。

「ッチ……ナットレイにめざパッ!」

「……っ……しあっ!」

今度は、グレイシアが緋色に輝く光球を連射する。

それらは全てナットレイに命中してその体を炎で包んだ。

「4倍弱点だ。流石に――」

「ナットレイ、グレイシアにジャイロボール」

直後、赤い煙の中から銀色の物体がスピンしながら高速で飛び出てきた。

そんなものが空中で技を打って着地した直後のグレイシアに避けられるはずもなく。

まるで車に轢かれたようにグレイシアは向かいの壁へ勢いよく叩きつけられた。
 ▼ 185 ルホッグ@くろぼんぐり 17/07/25 22:40:13 ID:y9PQkiiU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 186 ョボマキ@ぐんぐんこやし 17/07/30 22:16:30 ID:fWWCpvps [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
対戦終了後、男は怒り狂っていた。

怒りの矛先は、グレイシア。

「なんで吹雪外すんだよッ! マンダにくらい当てろや!」

ナットレイのジャイロボールをまともに受けて、倒れたまま動くことすらできないグレイシアに、男の足が突き刺さる。

「し……しあ……」

「なんでめざ炎耐えられんだよッ!! 珠持ってんだからナット倒せよ!!」

2度、3度……全身に次々と男の足が刺さっては抜かれ、また刺さる。

「……し……あ…………」

グレイシアは苦しそうな呻き声を出すことしかできない。

蹴って、殴って、罵倒して。

これが、グレイシアの扱いだった。

男はイライラすると日常的に自分のポケモンへ八つ当たり行為を繰り返しているのだ。

そして、バトルの時他に持っているのはボーマンダやガブリアス、メタグロスなんかの大きくて力強いポケモンだけなので、バトル後の八つ当たりの矛先はいつもグレイシアに向けられる。
 ▼ 187 スゴドラ@するどいくちばし 17/07/30 22:16:51 ID:fWWCpvps [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あァもう! 負けたのお前のせいだろ!!!」

足を振りかぶっての、先ほどまでよりも重い一撃。

それを受け、グレイシアの小さな体は、2,3メートルほども吹き飛んだ。

追撃をしようと、男が更にグレイシアの元へと足を進める。

グレイシアが傷だらけの足を震えさせながらなんとか立ち上がって、

「…………しあ……ぐれいしゃ……っっ!!」

男の顔面目掛けて冷凍ビームを放った。

水色の光線は男の眉間を冷酷に狙っていた。

抵抗されるなんて予想もしていなかったのか、男は避けもせずにただ固まっている。

「なっ……がっ……ぐああぁぁッ!」

直後。顔に氷の幕を張られた男の、断末魔のような叫び声が施設内に響き渡る。

その間にグレイシアは男のバッグを漁ってから、施設の外へと飛び出て駆けて行った。
 ▼ 188 ンドール@ミアレガレット 17/07/30 22:17:13 ID:fWWCpvps [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男は数分パニックに陥った後、リザードンを呼び出して顔の氷をなんとか溶かした。

既に男の思考はグレイシアへの殺意とも呼べるどす黒い塊に支配されていた。

道行く人に尋ねながら、グレイシアの足取りを追い始める。

しかし、いくら時間を稼いだとはいえ、やはり体力を消耗した上傷ついたポケモン。

短時間で遠くへは行けなかった。

そう時間はかからず、街からは外れるもののそう遠くない森でグレイシアは発見されてしまう。

男は荒い手つきで草むらを掻き分け、地べたに落ちている水色の塊を確認した。

「見つけた……見つけたぞ……!!」

男の喉から気味の悪い声が垂れ流される。

その声でグレイシアもまた男に見つかったことに気づいた。

「逃がさねぇ……ボコボコにしてやる!!」

男の狂気に満ちた目に本能的恐怖を覚えたのか、グレイシアは体の不調などなかったかのように脱兎のごとく走り出す。

「待ちやがれ!」

当然男も追いかけ始め、捕まれば命の保証はされない鬼ごっこが始まった。
 ▼ 189 ャヒート@きりのはこ 17/07/30 22:17:30 ID:fWWCpvps [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
男とグレイシアとでは当然男の方が早く、彼我の距離はどんどん縮まっていく。

あと4,5歩で男が追いついてしまうというところまで近づいた時。

突然グレイシアが振り向き、男の足へと冷凍ビームをかました。

「ぐぁっ!?」

足を止められた男は走っていた勢いのままその場へ倒れ込んでしまう。

倒れてくる男を避けると、何故かグレイシアは踊り始めた。

それを見た男の目が最大限まで開かれる。

「……そ、それは!」

グレイシアが踊るにつれて、雲の色が急速に濃さを増していく。

次の瞬間、まさにバケツをひっくり返したように前触れもなく雨が降り始めた。

一粒一粒が重みを持った、篠突くような雨が男とグレイシアをひっきりなしに叩く。

整備なんてされていない獣道のようなでこぼこの道路に無数の水たまりが作られていく。
 ▼ 190 ョロモ@パワフルハーブ 17/07/30 22:17:53 ID:fWWCpvps [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「雨乞いかよ、クソ……冷てぇ……」

氷と雨にどんどん奪われていく体温を保つため、男は必死に腰元をまさぐってモンスターボールを探した。

男が複数の水たまりに沈んでいく様子を見たグレイシアは、その小さな口元に冷気を溜め込み始めた。

それを見た男の目が、同じようにかっ開かれる。

ただし、今度は原始的な恐怖によるものだった。

「やめろ……やめてくれ……!」

掠れた声でポケモンに命乞いを始めた男の胴体が――

「しああっ!」

グレイシアの渾身の冷凍ビームに撃ち抜かれ、下の水たまりと一緒に凍りついた。

氷に埋められ、男は全く身動きが取れなくなってしまう。

冷たい雨に為すすべなく晒される男を見捨て、グレイシアはその場を去った。
 ▼ 191 フォクシー@みどりのプレート 17/07/30 22:18:14 ID:fWWCpvps [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ◇ ◇ ◇ 

「……今話したのが三日前、あなたと会う直前。途中はあまり思い出したくないからちょっと省略させてもらったけれど、いいかしら」

グレイシアは脚の傷をいじって気にしながらそう締めくくった。

「……あぁ。俺よりもずっと大変だな」

「やっぱり、同じだったの?」

問われて俺は遠い昔を思い出そうと思考を巡らせる。

「俺か? 俺みたいなデカイのは街の暮らしに合わなかったってだけだ。進化するとすぐに逃がされたよ」

もう昔のことはあまり覚えていなかった。

しかし、少なくとも俺は進化する前までは普通に楽しかったような、そんな記憶が漠然と残っていた。

同じくトレーナーの元から離れて野生になっているとはいえ、境遇の違いは火を見るよりも明らかだ。

「そう……」

やはり嫌なことを思い出してしまったせいか、憂鬱気味なグレイシア。

その瞳の奥には何が映っているのだろうか。

考えたところで、自分以外の思考はやはり分からなかった。
 ▼ 192 ルッグ@ミストシード 17/07/30 22:18:31 ID:fWWCpvps [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
物思いにふけっているような面持ちで空を見上げるグレイシア。

さっきまで微妙に朱色が混じっていた空は、既に真っ黒に塗りつぶされていた。

雨乞いの時に周りの雲まで巻き込まれて散ったのか、空には雲の欠片すらない。

少し細く弱ってしまった月の代わりに、数多の星々が一つ一つ存在感を放っていた。

俺に背中を向けて外を見ていたグレイシアが、その小さな背中越しにぽつりと呟く。

「……こんなこと言っちゃいけないのかもしれないけれど。……あなたも同じで良かったわ」

表情は窺い知れないが、少なくともその声は柔らかい。

「俺とお前じゃ理由がだいぶ違うと思うがな」

「それでも、いいの。――あなたと、少しでも一緒だから」

振り向いて、グレイシアは心底嬉しそうに微笑みを浮かべた。

不覚にも、少し見惚れた。

「…………そうか」

適当にお茶を濁して、俺は手に持ったまま食べていないノワキのみを口に放り込んだ。
 ▼ 193 ルバット@すくすくこやし 17/07/30 22:19:04 ID:fWWCpvps [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「これ、あげるわ」

用意した木の実をちょうど全部食べ終わった頃、グレイシアが何やら差し出してきた。

それは、うぐいす色の半透明をした綺麗な石。

中には赤いものが閉じ込められている。

「ん? ……これは、なんだ?」

「私のトレーナーだったやつのバッグから適当に盗ってきたの」

「でも、なんで俺に? お前が持ってたほうがいいんじゃないか?」

「それは……色、あなたに似合うと思って」

なるほど、確かに言われてみれば俺の体色とはかなり似ている。

「そうか。ならありがたく貰っておこう」

しかし、元々こういったものを俺は何一つ持っていない。

保管なんかをどうすればよく分からなかった俺は、とりあえずそのままその石を手に握っていることにした。
 ▼ 194 スキッパ@ライブキャスター 17/07/30 22:19:29 ID:fWWCpvps [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――翌日。

寝起きの凝り固まった体をほぐすべく伸びをしつつ、俺は横を見やる。

――何も、ない?

反対側……やはり、何もない。

数秒かけて、俺の脳は事態を正しく把握した。

「……グレイシアっ!?」

一瞬で跳び起き、洞窟中を探し回る。

しかし、見当たらない。

となると、考えられるのは――

「――連れ去られた……?」

何かを考えるまでもなく、俺は洞窟を飛び出た。

自分で出て行ったという可能性もあったかもしれないのに、そんなことは脳裏にかすりもしなかった。
 ▼ 195 マシュ@すいせいのかけら 17/07/30 22:20:07 ID:fWWCpvps [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドス、ドス、と地面が揺れる。

道行くポケモンたちは蜘蛛の子を散らすように慌てて逃げていく。

いつもならあまり良い気分はしないが、とにかく急ぎたい今の俺にとっては助かるのだった。

行く先は一つ、昨日のミノマダムのところ。

辿り着いた俺は、大木をへし折る勢いで揺らした。

「おい、ミノマダムッ!」

ガサゴソっ、と頭上で音がして、ミノマダムたちが一斉に落ちてきた。

その中で先頭にぶら下がっているのは、昨日殴り込みに来たあいつだ。

「な、なんですの!? お願いですから、木は折らないでくださいまし!」

甲高い声で焦り気味に言ってくる。

嘘を言われては困るので、ここは悪いと分かっていても威圧せざるを得なかった。

「……場合によっては折るかもしれねえな?」
 ▼ 196 マワル@ヤドランナイト 17/07/30 22:20:24 ID:fWWCpvps [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あからさまにミノマダムの顔つきが変わった。

恐怖と敵意が混ざったような表情で俺を睨みつけてくる。

「っ……!! 何の用ですの!?」

「安心しろ、ちょっと聞くだけだ。……グレイシアが居なくなったのは、お前らの仕業か?」

「グレイシア? 私たちは昨日以来手は出していませんけど?」

「本当、だな?」

「えぇ。何もしていませんわ。そうでしょう、皆様方!」

後ろからどよめきにも似た、たくさんの返答が返ってくる。

中にはミノムッチの子供もいたので、嘘である可能性は低いだろう。

「……ふん、そうか。ならいい」

何か余計なことを言われる前に、俺はその場を立ち去ることにした。
 ▼ 197 ォーグル@みかづきのはね 17/07/30 22:20:41 ID:fWWCpvps [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「チッ、何処に行きやがった……!」

居るはずもないのに、その辺の草むらを手当たり次第にかき回して走る。

当然見つかるわけもない。

と、その時、木々の奥から何やら楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

木をたわませてその間を覗くと、数匹の子供たちがが柔らかい泥の地面にできた二本のくぼみの中で楽しそうに遊んでいる。

それが何故か気になった。

仔細に観察するため子供たちの前に躍り出た。

驚いた子供たちは腰を抜かしたのかその場から動かずに大きな声で泣き始めた。

そんなことには構わず、俺は怪しいくぼみに顔を近づける。

深さは小さい子供が入って遊べるくらいでそう深いわけではない。

だが、二本のくぼみが全く付かず離れず走っていて、しかも、終わりが見えない程に前へ前へと続いている。

こんな跡、野生ポケモンの生活の中で付くだろうか。

どうもこの跡が気になったため、このくぼみに従って走ってみることにした。
 ▼ 198 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/07/30 22:21:33 ID:fWWCpvps [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やべぇ、コテ付け忘れた
IDでわかるとは思いますが……
ID被りは勘弁してくれ
 ▼ 199 ーテリー@クラボのみ 17/07/30 22:49:05 ID:Tcuq6lws NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 200 ドゼルガ@オレンジメール 17/07/31 07:21:37 ID:/yQq9jf. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 201 ーボ@バグメモリ 17/08/01 16:41:50 ID:SgmAV.Dg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ザマス
 ▼ 202 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/06 23:41:09 ID:Yv2fgSuI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
申し訳ないですが、今週は全く書けていないです……
理由としては一応企画関連で動いていたから、というのが主で時間が削られました
20日ぶんくらいまではない可能性までありますのでご了承ください
 ▼ 203 カシャモ@あおいかけら 17/08/07 20:25:57 ID:zsCxEqP. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 204 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/13 21:58:03 ID:lUcYyPFc [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ◇ ◇ ◇ 

目が覚めると、私は洞窟にいなかった。

かと言って、知らない場所かと言われるとそうではない。

――もう二度と来たくなかった場所ではあるけれど。

「おっと、起きたか。寝てる途中に殴るのもいいが、一発目から苦しめたいからなァ」

底冷えのするような、不気味な声が降って来る。

その音源をキッ、と鋭く睨みつける。

「あァ? 反抗してんじゃねえ、よッ!」

いきなり飛んで来た爪先の一撃。

ずっと身構えていなければ、まともに受けていただろう。

「……しあっ!」

反撃のれいとうビームはしかし、寝ながら打ったせいで男の手首にしか当たらなかった。

しかも、それは男がつけている白の腕輪を凍らせただけだったため実質男に害はない。
 ▼ 205 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/13 22:01:35 ID:lUcYyPFc [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「チッ、後で溶かすの面倒だろうが!」

カシャカシャっ、と凍った腕輪を外すと、重量感のあるそれを私へ投げつけてきた。

体を跳ねさせて、なんとか避ける。

「お前は何もしないで蹴られてりゃいいんだよッ!」

お腹へと飛んでくる靴。

とっさに近くにあった腕輪でガードする。

「っつ……返しやがれ!」

腕輪にまともにぶつけて足の指を痛めてしまった男は、しゃがみこんで腕輪を取り返そうと引っ張ってくる。

お互いに引っ張り合えば、当然勝機は男にある。

このままでは負けてしまうと踏んだ私は男の手をどかすべく、そのお世辞にも綺麗とは言えない手に牙を立てた。

「……っだぁッ!!?」

奇声とともに男の手が慌てて離れていく。

口の中に不味い血の味がかすかにして、胃酸がせり上がってきた。
 ▼ 206 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/13 22:01:51 ID:lUcYyPFc [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんとか吐き気をこらえて、作れた一瞬の隙に立ち上がろうとした私だったが、

「ッテメェ……調子乗ってんじゃねえぞ!」

男の足が、頭に降ってきて押さえつけられてしまう。

私は車に轢かれたケロマツのような格好で地面に押し付けられた。

「あの後大変だったんだからなァ、ちょっとやそっとの復讐じゃ足りねえんだよッ!」

体重をかけ、グリグリと硬い靴の底が側頭部を傷つける。

じたばたともがいてみても、男の足はビクともしなかった。

「……くはは、ははははは! 死ぬ直前までいたぶってやるからな……!」

痛みを堪えるため、腕輪に密着するように体を限界まで丸める。

(…………助けて……バンギラス……っ!)

その時だった。
 ▼ 207 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/13 22:02:31 ID:lUcYyPFc [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ◇ ◇ ◇ 

ひたすら、本当にひたすらくぼみは続く。

いい加減下を見て走るのに飽き飽きして来たころ。

跡が、ついに薄れ始める。

いつの間にか地面の地質は乾いたものになっていた。

――昨日大雨が降ったにもかかわらず、である。

目の前には、遠くで森の木よりも高い建物がたくさん軒を連ねている光景。

どうやら、森を出て人間の暮らす街まで来たらしい。

先ほど消えてしまったあの跡は、多分「車」とか言うやつのものだろう。

俺がまだ野生ではなかった時にトレーナーが乗っていたのだ。

ここで引き返すか、人間の街に踏み込むか、俺は一瞬迷った。

しかし、行ってみなければグレイシアがいるかどうかは分からないのだ。
 ▼ 208 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/13 22:03:03 ID:lUcYyPFc [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
山を下る道を一歩踏み出した、その時。

街の建物群の一角からまばゆいばかりの圧倒的な光がこちらへめがけて飛んできた。

思わず避けようと体をひねったが、その光線はあろうことかぐにゃりと曲がって俺の手に直撃した。

しかし、怪我もなければ痛みなどもない。

その手の中にあるのは、昨日グレイシアにもらって、今日そのまま持ってきてしまっていたあの石。

それを目の前に持ってくると――

――突如、石が光り始め、膨大なエネルギーの奔流が俺を包み込んだ。

「ぐ……ぐあぁ……っ!」

全身を痛みと共にエネルギーが駆け巡る。

しかし、その痛みは苦痛ではなかった。

痛いこと自体は辛いのだが、その中に微かな温かさ、柔らかさが含まれていて緩和してくれている。

体細胞が急激に活性化して成長していく、この感じは。

(進化、か……? 俺が……?)
 ▼ 209 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/13 22:04:06 ID:lUcYyPFc [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして、体が、石から出るエネルギーを全てを吸い取り終わった。

俺を包んでいたエネルギーの奔流が霧散した。

「……なんだ、これは」

呆然とする。

というのも、やはり進化に似た感触は間違いではなく、自分の体が大きく変化していた。

体表面はいつも以上に硬質化していてまるで鎧をまとったよう。

頭から肩、背中、尻尾にかけての突起が急成長して鋭く反り返っている。

青かった体の模様はエネルギーを蓄えて真っ赤に染まっていた。

何より、体の内側から経験したことのない量の力が湧き上がってきている気がする。

今ならどんなバトルにも勝てる気がした。

(とりあえず、さっきの光線が気になる。行ってみるか)

方針を固めて俺は一歩踏み出した。

ズシン……、と大地を踏みしめ、街へと走る。
 ▼ 210 コガシラ@ほのおのジュエル 17/08/13 22:34:18 ID:UBXXCejQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 211 レビィ@ピンクのリボン 17/08/14 08:13:00 ID:w9K9BHec NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 212 日で完結◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 20:36:26 ID:9rk1sTzY [1/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ◇ ◇ ◇ 

ピロリン、と軽快な音が響いた。

「あァ? なんだよ……」

男が携帯を弄り始める。――もちろん私を踏みつけたまま。

しばらくすると、男が訝しむように眉根を寄せてスマホをテレビに向ける。

点いたテレビでは緊急ニュースが放送されていた。

地面に顔をつけてしまった体勢だと画面は見られないものの、音声だけは聞こえてくる。

「突如市街地に現れたメガバンギラス。何故急に街へ降りてきたのか、戦闘中にしか起こらない現象であるメガシンカが何故起こっているのかなどの原因は現在調査中とのことです。今のところ被害は無い模様ですが、住民の方々は戸締りなどの対策を講じてください。繰り返します――」

バンギラス……?

思わず耳を疑った。

ほんとに、助けに来てくれた……? まさか。偶然違うバンギラスが市街地に紛れ込んだけだろう。

一瞬痛みも忘れて考えた。
 ▼ 213 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 20:38:26 ID:9rk1sTzY [2/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし直後、テレビの音がブツンと切れる。

「チッ、面倒臭ェ……どうせ関係ないだろ。それより今は、こいつをもっと痛めつけてやらねぇとなァ!」

ニヤニヤと下卑た笑いを向けられ、私は背中を震わせた。

生理的嫌悪感に胃から吐き気が上がってくる。

一瞬頭から足が離れたかと思えば、即座に勢いよく落ちてくる。

鈍い衝撃。

意地で泣き叫ぶのを堪えることしかできなかった。

足が再び上がって、二撃目の準備へと入

ガッシャアアアアアアアンッ!! と。

南向きの壁一面に貼ってあった掃き出し窓が、鼓膜が破れそうなほどの破砕音を立てて割れた。

代わりにあるのは、うぐいす色の大きな影。

ドズン、と重い音を立てて侵入して来たそのポケモンは、紛れもなくバンギラスだった。
 ▼ 214 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 20:49:27 ID:9rk1sTzY [3/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
(……本当に、助けに来てくれるなんて)

夢のようだ、と私は思った。

いや、夢だってこんな都合は良くないだろう。

幸い、男はガラスが割れた音でビビって既に床に尻餅をついたまま動けなくなっている。

その隙に立ち上がろうとしたが、傷つけられすぎた脚はもはや力も入らない。

ふわり、と体が宙に浮いた。

バンギラスの顔がすぐ近くに見える。

私を回収すると、バンギラスは男にこれ以上ない敵意の眼光を突き刺した。

「ひ、ひぃ……」

横から見ている私でさえ怖いと感じるその目に、男はロクに言葉も発せなくなってしまう。

その無様な様子を尻目に、バンギラスは男の家を出た。
 ▼ 215 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 20:52:45 ID:9rk1sTzY [4/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ◇ ◇ ◇ 

さっきのガラスの音のせいで一気に恐怖に駆られた通行人達。

歩けば悲鳴が飛んでくる阿鼻叫喚の地と化した道路を、グレイシアを抱きかかえながら一気に駆け抜ける。

全速力で市街地を抜け、森へと突入する。

ここまでくれば、もう人間は1人もいない。

少し安堵して走るスピードを緩めたその時。

一瞬、全身を光が包んだ。

溢れるほどにあったエネルギーが一斉に抜けていく感覚。

詳しくは分からないが、一時的な強化だったらしい。
 ▼ 216 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 20:54:32 ID:9rk1sTzY [5/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しばらく歩いていると、再びグレイシアが話しかけてきた。

「……あの、お、降ろしてくれないかしら。自分で歩けるわ」

「やめておけ。ただでさえ怪我が増えてるんだ。今くらいじっとしとけ」

「……ありがとう」

グレイシアがはにかむような表情で微笑んだ。

一輪の花が可憐に咲くような、そんな笑み。

自然に足が止まった。

「……どうしたの?」

「なぁ。さっきの、『なんでお前を助けたか』ってやつなんだが」

グレイシアの表情が一瞬で緊張感に包まれたものに変わる。

「多分――





――お前が、好きだ」


 ▼ 217 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 20:56:13 ID:9rk1sTzY [6/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…………っっっ!?」

グレイシアの水色の肌が一瞬でこれ以上ないくらいに紅潮した。

「……別に、拒否しようが構わん」

なんとなくそのまま言ってしまったが、よく考えればこんなことは突然言うことではない。

驚いても仕方がない。

「…………じゃない……」

「……な、なんだ?」

「……拒否するわけ、ないじゃないっ……!」

絞り出すようにグレイシアが言った。

その目には大粒の涙が浮かんでいる。

「……なんで泣いてるんだ?」

「な、泣いてなんかないわよ! …………いえ、その……嬉し涙よ……」

一回怒鳴ったあと、グレイシアは恥ずかしそうに目を拭いた。
 ▼ 218 ナバァ@ホイップポップ 17/08/20 21:04:07 ID:ufsweoWo [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ふぉぉぉぉ、ふぉぉぉぉぉおお!!
 ▼ 219 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 21:06:04 ID:9rk1sTzY [7/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……嬉しい?」

「なんで分からないのよ……!」





「……私も……私も、あなたが…………あなたと、同じだから……」



「……あ?」

「な、何回も言わないわよ……」

「同じっていうと……」

その先を心の中で呟いて、俺は少し安堵した。

「そうか。そりゃ良かった」
 ▼ 220 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 21:21:19 ID:9rk1sTzY [8/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
はっ、と意識が急激に浮上した。

ここは――いつもの洞窟か。

脳に情報が入って来た途端、記憶が一斉に蘇った。

……とは言っても帰ってきてすぐに疲れで眠ってしまったことくらいしか思い出すような出来事なんてなかったが。

考え終わると、視界が本格的に機能し始めた。

グレイシアが目と鼻の先にいる。

つまり……一緒に寝ているわけか。

すると、今までその存在を知らなかった感情が俺を締め付けた。

それは、心が奥から温まるような。

とその時、グレイシアが目を開いた。

そのまま、眠そうな目をパチパチと瞬かせている。

しばらく、何もせずに見つめあっていた。
 ▼ 221 ガネール@ジュカインナイト 17/08/20 21:23:06 ID:Ft69uD2k NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援支援支援
 ▼ 222 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 21:25:07 ID:9rk1sTzY [9/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
不意にグレイシアが微笑む。

ぱぁっ、という擬音がよく似合う、蕾が花開くようなあの笑顔。

「今、すごく楽しいわ」

「お前もか。奇遇だな」

「あら、あなたも?」

「……まぁ、な」

ぐるりと寝返りを打って、洞窟の天井を見上げる。

幸福感に似ているようで、しかし何かが決定的にそれとは違う。

しかし、自分がそれによって楽しいと感じていることだけははっきりと分かった。

「……ねぇ。こっちに向いてくれないかしら」

突然、グレイシアがそんなことをお願いしてきた。
 ▼ 223 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 21:28:48 ID:9rk1sTzY [10/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「なんだ? 別に構わ――」

ちゅっ、と。

額に柔らかな感触が花を咲かせた。

その行為が何を意味するのかなんて、俺は知らない。

知らなかったが、何故か心臓が高鳴った。

「その顔だと、知らなそうね。これは……人間が好きな人にあ……き、気持ちを伝えるときにやることよ」

「それは、知らなかったな」

俺は自分の口角が吊り上がるのを感じた。

苦笑い以外で笑ったのは果たしていつぶりだろうか。
 ▼ 224 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 21:29:26 ID:9rk1sTzY [11/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「あなた、笑顔下手ね」

「……悪かったな」

案の定グレイシアにツッコミを入れられた。

笑い慣れていないのだ、仕方がない。

「私も得意ではないけれど……笑顔くらいなら」

すると、グレイシアは急に話を切った。

理由は――俺に顔を近づけるため。

「……ずっと、一緒にいて、教えてあげる…………」

囁き声。

しかし、もちろん俺の耳はその言葉を一言一句逃さなかった。

「……あぁ。よろしく、な」

2人して体をくっつけて、前方、すなわち洞窟の外へと視線をやる。

ほとんどないも同然の細い月の周りでは、それを励ますように星々が一層煌めいていた。
 ▼ 225 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 21:30:44 ID:9rk1sTzY [12/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





――――Fin.

 ▼ 226 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 21:33:02 ID:9rk1sTzY [13/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あとがきに擬態したい何か

4月から書き始めて、もう8月ですね……
内容としてはそんなに長いわけでもないのに4ヶ月も掛かってしまっているのはひとえに僕の亀更新が原因です……本当にすみませんでした
さて、いかがでしたか?
そもそもなんでバンギとグレイシアかっていうと理由は特にないです(笑)
多分少しずつ心を開いていくグレイシアが描きたかったんだと思うんですが、ちゃんと伝えることは果たして出来たのでしょうか
あとは、最後の方は別に駆け足で適当告白したわけじゃないですよ(念のため)
書くことはこれくらいですかね

次作投稿予定は特にないです
いえ、書かないというわけじゃないのですが
今まですぐ書きたくなって見切り発車でスレ立て先にする……ってやってきましたが、それやってると更新がノロくなってしまう上に途中から義務感に追われてる感じになるんですよね
もちろん随時書いていくのも楽しかったのですが、一旦解放されてみようかなと思った次第です
全部書き切ってから落としていくことになるので、次作がBBSに出没するには少し間が離れると思います
もし出した時はまた見つけ出していただけたら嬉しいです

それでは、こんな亀どころかカタツムリにも劣る更新速度のSSに愛想を尽かさず付き合っていただき、本当にありがとうございました!
また会いましょう!


SS二つ書き終わった上に企画までやって、今までで一番忙しい夏休みだった……

あと書きたい題材尽きたのでネタなんかください↓
 ▼ 227 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/20 21:47:57 ID:JS7dnFU2 NGネーム登録 NGID登録 報告


調べたらタマゴグループ違うじゃないか!
(バンギラスに陸上あると思ってた)
 ▼ 228 ャローダ@キラキラメール 17/08/20 21:48:51 ID:HMFgxjHk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙です
後日談があるならボスゴドラ(だったっけ?)には
精一杯二匹をいじってもらいたいですね
 ▼ 229 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/20 21:49:35 ID:9rk1sTzY [14/14] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>228
後日談?




みんな欲しいの……?
 ▼ 230 リトドン@ダークストーン 17/08/20 21:51:33 ID:ufsweoWo [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>229
欲しいです☆
 ▼ 231 ガネール@じてんしゃ 17/08/21 16:41:40 ID:.efycKKk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

面白かった後日談もあるならぜひ欲しいです
 ▼ 232 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/21 20:30:40 ID:4kc04.rg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
…………
じゃあ書いてきます!
そんな長くするつもりはないのですぐに落とせるとは思いますが(希望
このページは検索エンジン向けの機能制限版の旧ページです。
下URLから閲覧下さい。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=584866
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