ポケットモンスター ジャック・ジョン:ポケモンBBS(掲示板) ポケットモンスター ジャック・ジョン:ポケモンBBS

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ポケットモンスター ジャック・ジョン

 ▼ 1 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/06/01 20:08:01 ID:Tc1mie0c NGネーム登録 NGID登録 m 報告
序章 残酷な世界

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ジョン「さあ決めろヒトカゲ!

オーバー、ヒートッッ!!」


「…………!!」



ここはオーキド研究所。

対峙していたのは俺、ジャックのポッチャマとジョンのヒトカゲ。

レベルは互いに5。

本来ならひっかくと叩くの応酬、つまりどちらが有利とも言えない勝負。


…………のはずだったのに。
 ▼ 917 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/26 15:31:01 ID:/8uvQq46 [1/7] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

ジャック「頑張れ、カイリュー! 龍星群!!」



ほっほう!

あくまで最大火力で削りに行く算段かい。

短期決戦とみたか、はたまたせめて一太刀ってところかね?

加えて、いくらリザードンが俊敏な種族とは言えども範囲攻撃に近い龍星群をかわしきるのは困難だろうから。

……ただ、それはあくまで普通の場合。



「…………クックク、どう思うカンナ?」


カンナ「どう、とは?」


「そんなの決まってるだろう、試合だよ試合。

スバリ、この試合どっちが勝つ?」


カンナ「…………難しい質問ですね」



あのリザードンが相手とあっては、並大抵のポケモンや対策ではまず相手にならないね。

軽く一蹴されて終わりだろう。

よくてかすり傷一つ負わせるくらいか。



ジャック「行けっ!!」


ジョン「かわせ、リザードン!!
龍星群の打点より上に行けば絶対に当たらない!!」



フィールド上空で炸裂したエネルギー弾。

爆散してフィールドめがけて四方八方に飛び散っていく。

だが、やはりオーキドの孫が数枚上手だったようだね。
 ▼ 918 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/26 15:35:41 ID:/8uvQq46 [2/7] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

【きょーうれつな龍星群が……が……なんとぉー?!
これは!!】


しかしまあ呆れた飛行能力だ、まさか龍星群の打点より高く飛べるとはね。

思いつきはしても実行できるもんじゃない。

ただ、ジャックも見込みが甘かったね。

鈍重なバンギラスやナッシーにあれだけのジャンプをしこめるオーキドの孫の育成能力を散々目の当たりにしておきながらその辺の警戒を怠った。



ジョン「これでも喰らいな、目覚めるパワー!!」



【そしてカイリューの真上から打ち下ろされる衝撃波!!】



ジャック「あれは……!」



【目覚めるパワー……おそらくそのタイプは氷ーっ!!】



かわす暇もなかったね。

ただ元よりバンギラス戦でかなり消耗していたわけだ、カイリューに関して言えばここまでよく頑張ったと褒めるべきかもしれないね。



ジャック「ありがとう、カイリュー……」


ジョン「ま、こんなもんだ。
ハリボテのリードなんか、あっという間に潰してやる!!」



カイリュー、戦闘不能。 5ー4。

リザードンの残りHP、依然満タン。



カンナ「……こうしてチャンピオンの本気を見せつけられると、私たちが日ごろどれだけ簡単にあしらわれていたか思い知らされます……」


「ああ、その通り。 この勝負、決まったね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ▼ 919 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/26 16:04:09 ID:/8uvQq46 [3/7] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

見事な戦いだ。

実に見事。

あのリザードンをここまで鍛え上げることができるのは並の人間の所業ではない。

ある意味、一番手本にならない育成。

なにしろ、あれだけの……異次元の強さを手に入れるにはトレーナーの力だけではどうしようもない。

リザードン自身の生まれ持った才能まで加味した強さ、すなわち力なのだから。

ジョンという男……生まれから育ちに至るまで、やはり天は二物……いやそれ以上のものを与えたのだと確信せずにはいられない。

もちろん、それを見事に磨き上げ輝かせたジョン自身も賞賛に値するものなのだが。



ジャック「…………行くぞ、バクフーン!!」



……ふむ、ここに来て炎タイプ対決か。

わしのジム戦の時はバクフーンを出していなかったから、もしかしたらあの後に加入したのかもしれん。

なにせもう二年前の話……か。

時の流れは残酷なほど早い。

それにしても、ジョンはここまで本気を出していながらなぜまだメガシンカしない?

ジョンが操るメガリザードンはX。

まだメガシンカしていないのが不思議なくらいなのだが……?



ジョン「バクフーン……特性、貰い火の可能性アリか。

だったら、ここで行くか!」



いや、そうか。

ジョンが天候を強制的に晴れにできる特性、日照りのタイミングを虎視眈々と伺っていたのか。
 ▼ 920 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/26 16:24:44 ID:/8uvQq46 [4/7] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

ジャック「神通力で捕まえろ!」



やれやれ、歳を食うと頭の回転が遅くなってかなわん。

そしてその胸のネックレスに触れるジョンの右手。

……ここでトップギアに入るつもりか!



ジョン「行くぞ、ジャック!
これが俺たちの最後の切り札!!

メガシンカ!!!」



神通力で拘束されたまま虹色の光に包まれるリザードン。

うむ、確かにジャックのバクフーンも見事に育て上げられているのだが、いかんせんあのリザードンは規格外中の規格外。

決定打となるにはあまりにも望みが薄い……!



キュィィィイイイイ…………!!



【ここでリザードン、七色に輝きながらその姿を変えていく!

メガシンカだー!!】




メガシンカが完遂された刹那、リザードンを拘束していた念のオーラが堪えきれずに霧散した。

ダメージは、ない!

否、散ったのは神通力のみに留まらず。



ジャック「……!」



先刻までは空を覆い尽くしていた薄雲が全て消え去り、西に傾いていた太陽が一際強く輝き出す。

メガリザードンYの特性、日照りによるものだ。

それにしても、ジョンのリザードンが日照りを発動するとここまで強烈なものとなるのか。
 ▼ 921 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/26 16:27:54 ID:/8uvQq46 [5/7] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

ジョン「ソーラービーム、発射!!」



……無理だ。

バクフーンでは、勝てない。

炎タイプのエキスパートを自負するだけに余計にこの後の惨劇から目を背けたくなるが……しかし目を背けるような真似はできん!



ジョン「終わりだ……!」



細い、一筋の光線。

洗練され、かつ力が完璧に一点に集約された技というものは得てしてあのように一見細く儚げなものとなる。

しかし、それは見た目だけだ。



【ソーラービームが一直線ーっ!!

バクフーン貫かれたー!!】



ナッシー戦で翻弄された疲労もあっただろう、あえなく直撃を喰らうバクフーン。

二回、三回と地面に叩きつけられながら最後はフィールドの壁に激突して気絶してしまった。

しかし、あのリザードン相手に一発とはいえ神通力を届かせたあの俊敏さは評価すべきだろう。

ただ、惜しむらくはダメージを与えるに至らなかったことか。



ジャック「…………サンキュー、バクフーン。

よく頑張った、あとは俺たちに任せろ……!」



【同点、同点です!!

そしてご覧くださいこの雲一つない夕空!
これは間違いなくメガリザードンYの特性、日照りによるものでしょう!

ここに来て遂にトップギアに入った怪物王者!!

挑戦者が食いさがるのか、はたまたこのまま押し切られてしまうのか?!】
 ▼ 922 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/26 17:08:58 ID:/8uvQq46 [6/7] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

バクフーン、戦闘不能。

5ー5。

メガリザードンYの残りHP、満タン。

日照りは、残り4ターン。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…………これでもう、最後か」



まあ、ジョンがハリボテのリードって言ったのも割と事実だったし。

ただ、みんなのおかげでお前の情報は粗方引き出させてもらったぞ?

火炎放射、ソーラービーム、目覚めるパワー氷。

残り一枠は……気合玉? 地震? ニトロチャージ? オーバーヒート?

まず候補に上がるのはその辺だろ。

そんでもって地震は基本ヒードランにピンポイントだからない。

それにニトロチャージを積むなら対フシギバナの時点でもう使ってたはずだ。

なにより俺の側にはリザードンより早いポケモンがゲンガーしかいない。

その上にゲンガーは基本的にフーディンに縛られるわけだからニトロチャージを積極的に採用する理由が更に薄れる。

よし、技がかなり絞られた。

素早さに特化したバクフーンの神通力を破ったんだから、素早さは向こうも最速。

……ここで同速勝負に勝って神通力のダメージが入ってたらもう少し展開が楽になってたかも知れないんだけど。

ま、サントアンヌ号の時は結局リザードンの性格が特定できてなかったからこれはデカイ情報だ。

えーっと、となるとだ……。


リザードン@リザードナイトY
性格:臆病
特性:サンパワー→日照り
努力値:CS特化(推定)
技:火炎放射 ソーラービーム 目覚めるパワー氷 オーバーヒートor気合玉(推定)


判明した情報は、こうか。

日照りで水技の威力はガタ落ちするけど、可能性は十分あるはず。

…………行くぞ、エンペルト。

 ▼ 923 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/26 17:11:13 ID:/8uvQq46 [7/7] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

ジョン「さて、ジャック」


「……?」



エンペルトのモンスターボールに手を伸ばした刹那、ジョンが口を開く。

なんだ、こんな時に?



ジョン「このまま一気に……とは行かねえだろうけど、エンペルトを倒して見事防衛成功ってのもまあ悪くないぜ。

だけどな、さっきも言った通り俺が求めるのはサントアンヌの時みてーな熱くなれるバトル……」



ああ、そんなことも言ってたっけな。

それにしても逆光で眩しい。

西に傾いた太陽とジョンが重なっているせいでジョンの背後から後光が差しているように錯覚させられる。



ジョン「お前に落ち着くための、考えるための時間をやるよ。

そうだな…………三分だ。

その時間、じっくり考えた上で降参するってのなら止めはしない……できない」



左手を突き出して三本、指を立てるジョン。

ただ、その表情は真剣そのもの。

あくまで勢いでの逆転をよしとしないってことか。

口先では降参を勧めてるけど、目は口ほどに……いや口以上に物を言うんだな。



ジョン「三分間待ってやる」



ま、いっか。

せっかくくれるって言うんだからその時間、ありがたくもらうとしよう。

…………その間に、観客席の最後の空席が埋まるかもしれないし。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ▼ 924 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/29 15:57:04 ID:kydE5UX2 [1/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

終章 栄光の架け橋



はあ、はあ、はあっ……。

やれやれ、長引かせるなとあれほど言い含めておったのに全く……。

こんなに遅れてしまうとは想定外じゃった。

試合はとっくに始まっておるじゃろう。

せめて試合が終わっていないことを望むばかりじゃ。

しかし、ここまで誰ともすれ違わなかったのじゃからまだ試合は終わっておらん……はずじゃ!



「……っ、間に合ったか?!」



老体に鞭打って階段を駆け上がり、スタジアムの入り口を通ると ―――



キクコ「おんや、ジジイ。
随分と遅かったじゃないか」


「はあ、はあ……すまんのう。
……それで、ジョンは? ジャックは?!」


キクコ「とにかく落ち着くんだねジジイ。
そんなもん見ればわかるだろう」



――― 沈黙に包まれたスタジアムが目前に広がっておった。



「…………5ー5」



スクリーンに映し出されていたのはスコアとジョンのリザードンの残りHPが満タンであることを示すゲージ。



「ジョンのラストはリザードン……そうか。

ジョンの奴、とうとう本命を出しよったか」



そして眼下に目をやると、バトルフィールドを悠然と飛び回るメガリザードンYの姿があった。
 ▼ 925 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/29 15:58:45 ID:kydE5UX2 [2/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

キクコ「ああ、悔しいがどこまでもあたいらは軽くあしらわれていたようだよ。

認めたくはないが、あの二人……繰り広げるバトルの次元が違うね」


「…………やはり、か」


キクコ「ふん、わかるのかい?
一線を退いて久しいあんたに」


「少なくともキクコ、君よりは長くあの二人を見とるつもりじゃよ」


キクコ「…………ふん」


「あの二人は……面白いほどに、それこそ鏡に映したように正反対の存在じゃったからのう……」



自分の席に座りつつ我が言葉に酔いしれる。

鏡に映したように。

手前味噌ながらこれほどあの二人にしっくりくる表現はないじゃろう。

左右こそ逆であれど、上下は同じ。

相反する両者でありながらも、本質は案外似た者同士。


……最初のバトル。

まずはあれでくっきりと明暗が分かれよったな。

日本晴れ、サンパワー、命の珠、オーバーヒートとあの時点で考えうる限りの、ありったけの火力強化手段を用いて強引に押し切ったジョンと、なす術なく散ったジャック。


……序盤のジム戦。

ジャックがようやく相性で有利なニビシティジムのバッジを手に入れた頃には既にジョンはトキワシティジム、ニビシティジムのバッジを手中に収めておった。

いや、そればかりか続くハナダシティジムのバッジにまで半分手をかけておった。

どれも、ヒトカゲでは攻略が難しいジムばかりだったというのに。
 ▼ 926 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/29 16:03:10 ID:kydE5UX2 [3/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

……もっとも、ジョンが最初からトレーナーとしてあまりにも完成しきっていたという事実も加味して考える必要があるじゃろうがな。

ジョンはワシの助けなど全く必要としなかったし、ワシも基本的には二人の旅路を遠くから静観するつもりじゃった。

しかし、さすがにゴールデンボールブリッジとハナダシティジムでの連敗が堪えていたジャックを見過ごすことはできなんだ。

だいたいジョンは技マシンを全て持って旅に出ていたのじゃからあの程度の助け ―――使いこなすにはトレーナーの技量が問われる補助技の技マシン――― を授けたくらいでワシが咎められる謂れはない。

あの助けがきっかけとなってくれたのか、はたまた違うきっかけがあったのか ―――前者ならわしとしては嬉しいのじゃが――― 幸いにもサントアンヌ号あたりからだんだんとジャックも頭角を現し始めた。


……手持ちの死の経験の有無も、あの二人を考える上で抜きにするわけにはいかんじゃろうて。

そしてそこの違いがくっきりと現れたのがシルフカンパニー最上階でのあの二人によるタッグバトルの一部始終じゃろう。

最小限の被害で最大限の結果を得ようと試みたが故に味方をも容赦なく巻き込んだジョンとあくまでそれをよしとしなかったジャック。

ラッタを失って以来、ジョンはポケモンに対するある種の信頼と愛情を失ってしまったようじゃな。

ゲンガー ―――ラッタの生まれ変わり――― の引き取りをあのような形で拒否したのはけしてジョンの本心ではなかったじゃろう。

しかし、ジョンを求めるゲンガーの心よりもこれ以上何かを失うことを恐れる己が心を優先させてしまったのは……頭ごなしに説教する気にはならんが、関心はせんのう……。

そんなゲンガーの心の空白を埋めてくれたジャックには頭が下がる思いじゃ。


……そして時は流れ、ジョンがチャンピオンとして過ごしていた二年とジャックがひたすら研鑽に励んでいた二年。

一見すればジョンの方が濃密な時間を過ごしたように見えるが、その実……見かけほどのものがあったかは疑わしい。

目標を失った……というより目標とすべきものが無くなってしまったジョンと、どこまでもジョンの背中だけを追い続けたジャック。

果たしてどちらの方が充実した二年を過ごしていたのか、それが今からのラストバトルで明らかになるじゃろう。
 ▼ 927 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/29 16:05:59 ID:kydE5UX2 [4/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

……そして、何よりの差は。

相棒と直接言葉を交わせるジャックとそれができない ―――というよりそちらの方が通常当たり前なのじゃが――― ジョン。

言葉で繋がるジャックとエンペルト。

信念で繋がるジョンとリザードン。

ジョンに関してはカロス留学の間に何か芽生えたものがあったのじゃろうが、ジャックの方は、このワシがしかとこの目で見ておった……いや、その一助を担ったと自負しておるよ。



ポッチャマと喋れたらいいのになー。


ポチャ! ポッチャマ!



全てはあの時の、あのやり取りに集約されておる。

もうジャック自身は覚えておらんやもしれんがのう。

ジャックがそう望んだから、というポッチャマにとって単純明快にしてこれ以上ない理由。

ワシとしても長年の研究テーマが一段落ついた ―――というよりは宙ぶらりんになっておった――― ところじゃったし、それを助けるのはやぶさかではなかった。

ジョンがカロス留学に出てしまって退屈……近くに話す、遊ぶ相手がおらんというその年頃の子供にとってはかなり致命的な問題を抱えておったジャック。

あの言葉はそんな思いがないまぜになって出てきたものじゃったに違いない。

そして……それをワシよりもずっと深刻に受け止めていたのがポッチャマじゃった。

それからのことは……うむ、ワシが言葉にしようとするのは傲慢じゃ。

幸運だった、とだけ言っておこう。

結果としてジャックとポッチャマは確かに言葉で繋がった。

その瞬間、彼らは真の意味でのパートナー……固い言い方をするならば互いを独立した自我として認め合う対等な関係になった。

そこは、ジョン……否、ジョンに限らずこの世界中のポケモントレーナーにはないもの。


ジャック。

バトルフィールドの中ではいざ知らず……それ以外の時間をポケモンたちと対等な立場で過ごすというのは君自身が思う以上に貴重かつ困難なことじゃ。

それを、忘れるでないぞ。

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 ▼ 928 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/29 17:19:15 ID:kydE5UX2 [5/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

「思い出すよな、エンペルト」



カタッ。



何のことだ、と言いたげに俺の手の中で揺れるエンペルトのモンスターボール。



「最初のバトル……オーキド研究所でのジョンとのバトルも、こんな感じだったっけか」



…………。



今度は反応がない。

プライドの高さがそれを認めることを拒否してるのか?

あの時とはもう違うっていう意思表示か。



「うん、すっげー似てる…………」



完全に静まり返ったスタジアムで一人呟く。

他に音を出すものがあるとすればバトルフィールドを我が物顔で飛び回るジョンのリザードンくらいか。

照りつける日差しがフィールドを焦がさんばかりに熱していて。

こんな時、いわゆる異世界転生者……ってか俺以外の主人公ポジションの人間だったら。


メガエンペルト?

エンペルトの専用Z技?

絆変化、ジャックエンペルト?

まあ、唐突にその辺からなんかしら繰り出して鮮やかにラストを締めるんだろう。

主人公に相応しい、おきまりのパターンだ。
 ▼ 929 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/29 17:20:56 ID:kydE5UX2 [6/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

だけど、俺はそうじゃないから。

俺には何も……それこそ元々の知識、それとエンペルトと喋れるくらいしかないから。

でもまあ……知識あっても努力値振る手段ないし技マシンないしでかなーり持て余してた感はあったけど。

それにエンペルトと喋れるって言ったところで。

喋れるのはエンペルトとだけだから、これも俺の力というよりエンペルトのおかげだし。

……つまるところ、本当に俺は"主人公っぽいポジション"にいるだけ。



"お前は、誰だ?"



"君は、何者なんだ?"



あの時のエンペルトやサカキの疑問も当然っちゃ当然か。

俺との信頼関係が破綻しかけていたあの時のポッタイシ。

どこまでも ―――半ば成り行きとはいえ――― 敵対し続けたサカキ。

時は違えど、立場は違えど。

どっちも俺と真正面から向き合ってくれていた。

だからこそ、あんな疑問をぶつけてきたんだろう…………。


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 ▼ 930 801と802の間 17/08/29 17:22:52 ID:kydE5UX2 [7/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

トキワシティジム



ハクリューがドサイドンを倒して、グリーンバッジを受け取って、そこにハンサムが乱入して。

あれは、全ての罪を認めたサカキが連行されていく最中だった。


サカキ『あいわかった。
己が罪と敗北を認め、潔く縄につくとしよう…………だが、その前に。

ジャック、最後に君に伝えたいこと……聞きたいことがある』


『…………』



何を言い出すのかわからなくて思わず身構えたっけな。

でも、サカキの言葉は俺があの時予想していたどの言葉とも違った。



サカキ『ジャック。君は、何者なんだ?』


『…………えっ?』


サカキ『早くしろ、時間がない。
そのままの意味だ。

君に興味がある。
君は一体何を見て、何を得てきたんだ?』


『…………わからない』


サカキ『なんだと?』


『わからない。

自分が何者なのか、なんていきなり言われても……考えたこと自体、ほとんどなかった』



何が何だか自分でもよくわからないうちに口が……壊れたように動きだしていたっけ。

ただ、そんなとっさの時に出てくる言葉こそが、自分の本当の言葉だってことも今では理解しているつもりだ。



サカキ『ほほう、ならば ―――』
 ▼ 931 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/29 17:25:17 ID:kydE5UX2 [8/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

『でも』


サカキ『――― む?』


『最初はロケット団にポッタイシを奪われたからだった。

どうしても、手放すわけにはいかなかった。
だから俺は無謀と知りながらロケット団アジトに突っ込んだ』


サカキ『バカな……正気の沙汰とは思えん』


『二回目は、オーキド博士に頼まれたからだった。

断れない雰囲気にされたってのもある』



その断れない雰囲気にした当の本人が居る前でそれ言うのは無神経だったかもしれないけど、ハンサムは苦笑いしただけだった。



サカキ『…………その程度の士気で、よくもあれほど暴れ回ったものだ』


『主に暴れてたのはジョンだし。

今回ここに来た理由も……たまたまここのバッジだけ、持ってなかったから。

初めてトキワシティに来た時はちょっと遅かったせいでジム、閉まってたし』


サカキ『…………ありえない。

そんなことが……現実に……』


『でも、現実にこうなった』


サカキ『それでもだ! ……何故だ?

君の言い方だと、全ては偶然だったと取れる……』



呆れているのか、驚いているのか、それとも両方か。

そんな複雑な表情を浮かべてたサカキの顔が、印象深かった。
 ▼ 932 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/29 17:26:41 ID:kydE5UX2 [9/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

『いや、一つだけ必然があった』


サカキ『何?』


『ポッタイシを奪われた、ってくだり。

今思えば、あれが……強いて言うなら運命の分かれ道だった』


サカキ『つまり、君は ―――』


『ただのトレーナー。

ちょっと知識があっても金がないせいでそれを全く活かせない、残念なトレーナーだよ』


サカキ『――― なるほど、それが君の……そうか、そうだったのか』



でも最後には、俺の返答に納得したように笑って、ハンサムに連行されて行ったんだっけか。

最後の最後まで、あれがサカキという男だったんだって思い知らされた。

正直、あれで納得させられるのかあの時自信なかったんだけど。

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 ▼ 933 526あたりの話 17/08/29 17:31:17 ID:kydE5UX2 [10/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

タマムシシティ ロケット団アジト



あの時の衝撃は、今でも鮮明に覚えてる。



ポッタイシ『なあ…………ジャック…………お前は、誰だ?』



緊迫したバトルの最中、唐突にポッタイシからぶつけられた疑問。

サカキの時になってようやくそれらしい答えは出たけど、あの時は何が何だかわからなくて、頭真っ白になったっけな。

それでも、あの時、あの質問のおかげでやっと俺はポッタイシに隠してた本音を全部ぶつけられた。



ポッタイシ『そうか……ならば質問を変えよう。

お前にとって、俺様はなんだ?』



そして向けられたもう一つの問い。

あの時の答えは今でも変わらない。

これからも、変わらないって胸を張って言える。

エンペルト。

お前は……あの時の俺の答え、覚えてるか?

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 ▼ 934 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/29 17:33:24 ID:kydE5UX2 [11/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

ジョン「さて、三分だ。
これ以上はもう、待たないぜ?」



あれこれと記憶の蓋を開けているうちに三分が過ぎていたらしい。

随分、濃い三分だった。



「ああ、わかった」



エンペルトのモンスターボールをジョンの方に突き出すことでバトル続行の意思は示した。

ありがとな。 今の三分で色々思い出せたよ。


「……エンペルト。

今、相手のエースが暴れまわってて、俺たちのポケモンが次々倒されて」



まだ手の中のモンスターボールからの反応はない。



「俺の手持ちは残り一体」



突き出していたモンスターボールを胸に引きつけ、投げるモーションに入りながら呟く。



「そんな今、俺が最後に繰り出すポケモン」



ところどころ今の状況に合わせて言葉は変えたけど、もし覚えててくれたのならきっと応えてくれるはずだ。



「それは……」



そう信じて ―――



「お前だ、エンペルト!」



――― エンペルトのモンスターボールを、空高く放り上げた。
 ▼ 935 トカゲ@ひみつのコハク 17/08/29 18:30:05 ID:ee03yE8U NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 936 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 15:11:39 ID:/GVD9Bl2 [1/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

エンペルト「ああ、まさしくその通り。

これこそ……俺様が最も待ち焦がれた舞台。

行くぞ、ジャック!!」


「……覚えててくれたんだな」


エンペルト「ふん……」



エンペルトはリザードンに対峙したまま、もうこっちを振り返ることはない。

だって、振り返る必要がもうないから。

行ってこい、エンペルト!!



「冷凍ビーム!」


ジョン「始めようぜ……
そんですぐに終わらせてやる! 火炎放射だ!」


「直撃は回避しろ!」



冷凍ビームと火炎放射。

全く性質の異なる二つの攻撃は重なることこそあれど相殺し合うことは、ない。

互いにすり抜け、ターゲットを狙い撃ちにいく。



ジョン「踏ん張れリザードン!!」



しかし火炎放射の方がやや早くエンペルトを捉えた。

その刹那、冷凍ビームの出力が僅かに下がる。

 ▼ 937 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 15:12:42 ID:/GVD9Bl2 [2/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

「頑張れ、エンペルト!」


エンペルト「なんの……!」



それでも、エンペルトの後ろ姿からはまだ余裕が感じ取れた。

大丈夫、そんなに効いたわけじゃない。

直撃を避ける動作と火炎放射のせいでちょっと集中を切らされただけだ!



ジョン「へえ、ちょっとはタフになったみたいだな!」




エンペルトの残りHP、64%。


メガリザードンYの残りHP、75%。




ジョン「だが、これで終わりだ!

飛べ、リザードン!!」


「来るぞエンペルト! 歯ぁ食いしばって!」



来る。

俺の直感がそう告げていた。

ジョンもずっとこのシチュエーションを思い描いていたに違いない。

再現をしようとしてるんだろ…………?

この大舞台で!!
 ▼ 938 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 15:14:10 ID:/GVD9Bl2 [3/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

ジョン「決めてやる、始まった時と同じように!」



ジョンの背後から差し込む西日が赤く輝く。

やれる限りの、全ての手は尽くした。

後はエンペルトの頑張り。

それと……ほんの少しの運次第だ!



ジョン「さあ決めろリザードン!

オーバー、ヒートッッ!!」


「負けてたまるか!

ハイドロポンプ!!」



シュゥゥウウ……。



圧倒的な威力の熱量と水流との激突。

互いの大技をぶつけあった結果がこれだ。

エネルギーの余波でフィールドが一面霧に包まれた。

これじゃ、リザードンがどこにいるのか全然わからない。



ジョン「くそっ! 霧で前が……!

リザードン!!」



でも、エンペルトははじめの位置から一歩も動いていない。

俺の声は、届く!

 ▼ 939 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 15:15:07 ID:/GVD9Bl2 [4/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

「エンペルト」


エンペルト「…………」


「…………エンペルト?!」


エンペルト「…………ふん」



ちょっと焦ったけど、杞憂だった。

真っ白な霧の中で右の翼を軽くあげて俺の声に応えるエンペルトの姿がおぼろげに見える。

エンペルトの放つ青いオーラがぼんやりと霧を照らし出す。



ドスンッ…………



エンペルト「…………!」



その刹那、フィールドに地響きが走る。



「やったか?!」



…………グォォオオオ!!!



エンペルト「油断するな……これしきで倒れるはずがない……!」



"やったか?!"は禁句だったか、そういや。

……でも、なんでわざわざ地上に降りてきた?

空中から火炎放射を打ち下ろせばエンペルトはもう……ああ、そうか。

リザードンも限界が近いんだ。

それも、空に留まれないくらいに。
 ▼ 940 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 15:17:34 ID:/GVD9Bl2 [5/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

「「「次で決めるぞ!!」」」


グォォオオオ……ッ!!!



霧の中、全ての声が重なった。

ああ。これで、決めてこい……!!



「アクアジェット!!!」


ジョン「ソーラービーム!!」



エンペルトが飛び出した。

水を纏い、時折フィールドにそれに撒き散らしながらリザードンの背後に回り込もうとする。



「いいぞ、そのまま撹乱しながらだ!
ソーラービームの狙いを絞らせるな!」


ジョン「ちっ……! フィールドごと全部薙ぎはらっちまえ!!」



間髪入れずに次々と発射されるソーラービーム。

当たらない。

闇雲に打っているわけじゃない。

全部狙い澄まされた必殺の一撃だ。

当てさせない。

エンペルトのスピードがそのはるか上を行くから。

…………ああ、見える。見えたぞ!



「行っけー!!」



エンペルトの撒き散らした水滴とわずかに残った霧に西日とソーラービームが乱反射して、七色に輝いている。

これが俺たちの……栄光の架け橋だ!!
 ▼ 941 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 15:23:56 ID:/GVD9Bl2 [6/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

エンペルト「…………らあっ!!」



ドンッ……!!



直撃。

エンペルトのアクアジェットがとうとうリザードンの腹部に深々と突き刺さった。

その刹那、全ての時が止まった。

そして、ゆっくりと時間が動きだす。



ドサッ……。



リザードンが崩れ落ちる。



ジョン「……ばかな!」



リザードンのメガシンカが解除された。



ジョン「ほんとに終わったのか!」



夕陽が地平線の向こうに沈んでいく。



ジョン「全力を賭けたのに」



振り返ると、俺の背後から月がゆっくりと登ってきている。 ……今夜は、満月だ。



ジョン「負けた!」



リザードン、戦闘不能。 6ー5。

エンペルトの残りHP、5%。

 ▼ 942 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 15:29:01 ID:/GVD9Bl2 [7/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

ーーーーーーーーーー!!!



文字ではもう到底表現できないような怒号がスタジアムいっぱいに轟いた。

どこからかバトルに集中しすぎて周りの歓声がすっかり聞こえなくなっていた分、余計にうるさく聞こえる。

でも、それさえ今は心地いい。



ジョン「せっかくポケモンリーグの頂点に立ったのによう!
もう……! 俺の天下は終わりかよ!」



【決まったーっ!!

王座交代ー!!

最初から最後まで一瞬たりとも目の離せないこの激闘……いえ、まさにこれぞ死闘!】



もう、って言ってもなあ。

二年間ぶっちぎりで戦い続けたお前もほんとにすごいよ。



ジョン「……そりゃないぜ!」



【ここに新チャンピオンの誕生です!!

その名は……ジャックだー!!】



エンペルト「勝ったな、ようやく」


「ああ……ありがと、エンペルト」


エンペルト「…………ふん」



よく頑張ってくれたのに、どこまでも素直じゃないっていうか、いつも通りというか。

撫でてやろうと伸ばした手はやんわりと振り払われた。

 ▼ 943 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 15:32:51 ID:/GVD9Bl2 [8/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

ジョン「なぜ……なぜ負けてしまったんだ……俺の育て方……間違ってなんかいないはずなのに」



呆然とフィールドに立ち尽くすジョン。

……間違ってないだろ、育て方は。



「俺もそう思う」


ジョン「…………え?」


「正直、賭けだったんだ」



種明かし、してやるか。



ジョン「……賭け?」


「…………突撃チョッキ、HPと特防に特化」


ジョン「!!」



さすがジョン。

もう全部わかったらしい。



「もしお前がメガリザードンXで来てたら、俺はその時点でほぼ負けだった。

でも、お前ならきっと、オーキド研究所でのあのバトルの再現を、きっと狙ってくるだろうなって思ってさ」


ジョン「…………そんな、ことまで」



一つでも歯車が狂っていたら、俺の負けだった。

四天王戦でエンペルトを引きずり出されたら、ジョンにチョッキHDがバレていたら、ジョンがメガリザードンYを出さなかったら。

まあ、そこまでしてもエンペルトが火炎放射+オーバーヒートを耐えられるかは運が絡むんだからメガリザードンYの脅威ぶりがはっきりわかる。

 ▼ 944 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 15:37:18 ID:/GVD9Bl2 [9/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

「だから最後の最後までエンペルトは出さなかったし、ほんとは一週間早く来れるはずだったんだけど、とっさに鍛え直してたから遅くなったんだ。

つまるとこお前の育て方自体は ―――」


ジョン「……あーあ! 負けだ負けだ!
勝ったやつに言われても嫌味にしかなんねーよ!

しょうがないぜ……お前がポケモンリーグ新チャンピオンだ……!

……………………認めたくねーけど」


「――― 間違ってない」



もういい、と言わんばかりに肩をすくめるジョン。

もう、これ以上話すことはないか。

今は……だけど。



オーキド「ジャック!とうとう勝ったな!
ポケモンリーグ制覇!心からおめでとう!」



ジョンに背を向けると、そこにはオーキド博士がポケモンリーグの重役らしき人たちを引き連れて俺の方に向かってきていた。



オーキド「はじめてポッチャマとポケモン図鑑集めに出かけた頃と比べると逞しくなったな!

……いやいや、ジャックは大人になった!」



ひとしきり言いたいことを言い終わると、オーキド博士の矛先はジョンに向いた。

 ▼ 946 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 15:47:06 ID:/GVD9Bl2 [11/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

オーキド「ジョン……! ……残念だ!
ジョンよ……! なぜ負けたのかわかるか?」


ジョン「今ジャックが言ってただろ?
俺の作戦が全部読まれて」


オーキド「お前がポケモンたちへの信頼と愛情を忘れとるからだ!

それではどんなに頑張ってもトップには立てんぞ!」


ジョン「…………っ、ざけんな!」



信頼と愛情。

いや、ないわけないだろ?

ジョンはずっとリザードンをはじめポケモンをみんな大事にしている。

どう見てもそこを叱責される謂れはないと俺は思うんだけど…………。

ジョンは図星を指されたような感じだし、なんか心当たりがあるのか?



オーキド「ジャック! ポケモンリーグを制覇したのは一人の力ではないことを……お前はわかっとるな!

ジャックとポケモンの絶妙なコンビネーション! 見事だったぞ!

それでは……ジャック!

私についてきなさい!」


「は、はい!」



ってことは流れ的に殿堂入りの間に行くんだろう。

ピカチュウ、ゲンガー、カイリュー、バクフーン、フシギバナ、そしてエンペルト。

みんな、よく戦ってくれた。

 ▼ 948 夜で完結させます 17/08/30 15:53:33 ID:/GVD9Bl2 [13/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

ジョン「…………ジャック!」



感傷に浸りながらバトルフィールドを後にしようと踵を返した刹那、ジョンが声を張り上げる。



「…………ジョン?」



思わず振り返ると、俺の知る限り一番真剣な表情で俺に駆け寄ってくるジョンがいた。



ジョン「…………もし、いつか……ヒマがあったら。

……一度、ゲンガーに会わせてくれないか?」



…………そういうことだったのか。

やっと、納得した。

オーキド博士が指摘した"信頼と愛情"。

ラッタを失って以来、ジョンは喪失感の中から抜け出せていなかったのかもしれない。



「…………わかった」


ジョン「…………ありがと」



今度こそ、俺はオーキド博士についてポケモンリーグ殿堂入りの間に向かった。

これで俺とエンペルトの、この世界での旅が……一つの区切りを迎える。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ▼ 949 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 18:19:09 ID:/GVD9Bl2 [14/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

ポケモンリーグ ポケモンセンター



…………夢みたいな時間だった。

窓辺に寄りかかり、夜風に吹かれながらぼんやりとそんなことを思う。

でも、夢なんかじゃない。



「なあ、エンペルト」


エンペルト「…………なんだ?」



個室のテーブルに置かれたトロフィーや賞金の小切手。

それにみんなのチャンピオンリボンが何よりの証拠だ。

俺たちが、チャンピオンなんだ。



「これからのこと、なんだけど」


エンペルト「…………?」



じゃれあうピカチュウとゲンガー、それを呆れたような目で見るフシギバナ。



「ちょっと、やりたいことあるんだよね」


エンペルト「やれやれ、チャンピオンになったばかりだというのにせわしないやつだ」



バクフーンはカイリューに抱きついて甘えていた。

そして、俺の隣にはエンペルト。

チャンピオンになろうが殿堂入りしようが何も変わらない、いつも通りのこの光景。
 ▼ 950 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 18:21:44 ID:/GVD9Bl2 [15/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

「もしかしたら、かなり時間かかるかもしれない」


エンペルト「…………」



押し黙るエンペルト。

胸のチャンピオンリボンが月明かりで幻想的に光っている。



「ついてきて、くれるかな?」


エンペルト「…………ふん。

普通なら"何をするかの説明なしに諾うことなどできるか"と突っぱねてくれるところだが」


「…………が?」


エンペルト「他ならぬお前の頼みなら仕方がない。
……どこまでも、ついて行ってやるさ」


「あはは……ありがとう」


エンペルト「…………礼には及ばん」



ポケモンリーグ制覇は一つの区切り。

まだまだやること、やりたいことがある。

……幸い、たんまり入った賞金とオーキド研究所で栽培していた木の実のあまりをちょっと流してたおかげで金はあるんだ。

旅してた時みたいに、一つずつ、一つずつ。

俺たちは、前に進んでいけばいい。




ポケットモンスター ジャック・ジョン


THE END

 ▼ 951 RIVER◆zFLCCAWaiw 17/08/30 18:32:26 ID:/GVD9Bl2 [16/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告

後書きとか、今後の予告とか



この自己最長のSSに最後までお付き合いくださった読者の皆様に感謝。

作者としてはなんとか1スレに収まって一安心。

ラストバトルで劇中の伏線は全部回収しきったのでSSの内容についてここで改めて解説するものはありません。



今後、このジャックとエンペルトのコンビと世界観で今作を含めた4連作のシリーズにする予定です。

(ウルトラサンムーンや第8世代の内容次第では5連作になるかも)

タイトルは無難に

エンペルト「〜〜〜」

って形式にする予定です。

(スレタイのセンスに関しては某所で酷評されたので自信がないんですが)



それではまた次回(多分金銀VC出る辺りになると思います)のSSでお会いしましょう!
 ▼ 952 ーブル@ヤミラミナイト 17/08/30 18:35:02 ID:nVR1AlFM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
次どこ舞台にするか分からんけど応援ぞ
 ▼ 953 ライオン@ちいさなキノコ 17/08/30 18:37:53 ID:jNyxEGP2 NGネーム登録 NGID登録 報告
乙です

次回も楽しみにしてます
 ▼ 954 ニーゴ@あさせのしお 17/08/30 18:39:35 ID:HXvF/1Gg NGネーム登録 NGID登録 報告
乙です
 ▼ 955 ンゲラー@おうじゃのしるし 17/08/30 18:58:29 ID:zOkHN74. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
乙です
 ▼ 956 ララッパ@こわもてプレート 17/08/30 19:03:27 ID:5WbdkRwM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
乙!
好きだったわ
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