【R18SS】六つの尻尾と二つの尻尾【ぷ】:ポケモンBBS(掲示板) 【R18SS】六つの尻尾と二つの尻尾【ぷ】:ポケモンBBS

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【R18SS】六つの尻尾と二つの尻尾【ぷ】

 ▼ 1 わすれちゃった◆3P9scls6N2 17/06/07 18:14:35 ID:uTg1USRQ NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 そのポケモンは放浪者だ。

 青々とした草の生えた、長閑な草原。そこには場違いに枯れ木が一本。

 先の災害から一年が経った。恐らくこの辺りも一面枯れ果てたであろうに、植物の生命力の高さには感心させられる。枯れ木に見えたその枝にも新芽が顔を覗かせていた。
 ▼ 55 3P9scls6N2 17/06/08 18:57:07 ID:Kt.SZT2U [1/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「ここか」


 因みに今日もパトロール口調だ。

ロコンの50メートル程先に問題のダムが見えた。こっそりと近くまで寄り、怪しい影を探す。

 せき止められた川は池のようになっており、その真ん中にはポツンと一つ、浮島のような物。

ふむ。これは。


「何かわかるのか?」


 ん。多分あのポケモンの仕業だと思う。


「あのってどの」


 だから、そのポケモン。
 ▼ 56 3P9scls6N2 17/06/08 19:01:02 ID:Kt.SZT2U [2/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「こそこそと何やってるんだ?」

「ふぇ?」


 間抜けな声を出し、背後から急にかけられた声の方を見る。

 ロコンの真後ろには、目立つ前歯と茶色い毛皮、扁平な尾が特徴のポケモン。ビーダルだ。

 ロコンはフローゼルと出会った時と同様に、咄嗟に戦闘体形をとる。


「お前! このダムを造った奴かっ!」

「あー、だったらなんだ?」

「取り壊せ! 下で水が減って木の実が取れないんだっ」

「いきなり取り壊せとは、ご挨拶だな」

「うるさいっ!」


 ロコンがお得意の青白い炎の玉を打ち出す。相変わらずふわふわと飛ぶそれはあっさりとビーダルに躱されてしまった。


「とっちめてやる」


 初撃を外しておきながらロコンは意気込む。今の攻撃で、ビーダルも戦闘体形に移った。
 ▼ 57 3P9scls6N2 17/06/08 19:04:41 ID:Kt.SZT2U [3/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 いきなり押しかけられて、苦労して作ったであろうダムを、大した説明も無しに壊せと言われた上、攻撃までされたのだ。当然ビーダルは怒り心頭。

 ビーダルが両前足を合わせて固く握り、大きく振りかぶり、そのまま振り下ろした。

 上から斜めの方向に落ちてくる前足はロコンの肩辺りに直撃し、体を横に大きく吹き飛き飛ばされた。そのまま地面に叩きつけられる。──レベルが違う。

 ロコンがふらふらと立ち上がった。

 何がロコンを奮い立たせているのだろうか。何故勝ち目はないと分かる戦いに挑むのだろうか。

 今ビーダルと戦うことは、ダムを壊させ水量を戻すことは、ロコンがする必要のないことだ。なのに、何故。

 絶対に勝てない。もう逃げて。現に今だって──


「うるさい! 邪魔をするな!」


 ビーダルが近づいてくる。次の一撃はもう耐えられないだろう。
 ▼ 58 3P9scls6N2 17/06/08 19:09:52 ID:Kt.SZT2U [4/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 あぁ、これは、ロコンの意地なのだ。確かに川の水量の回復は、ロコンがする必要はない。誰にだってその義務はない。ここは野生なのだから、義務に縛られる事は無い。


 だから、ロコンがそれをする。強者は多少木の実が減ったとしても困りはしない。だから、このことについても強い者が解決してくれることはないだろう。このまま木の実が減り続けると、困るのはロコンのような弱者だ。


 弱く、誰かに助けられて生きてきたロコンの、誰かの為に何かをしたいという、このままは嫌だという、ただの意地。だからロコンは立ち向かう。そしてそれは、ロコンの為でもある。
 ▼ 59 3P9scls6N2 17/06/08 19:10:27 ID:Kt.SZT2U [5/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ふらふらと、立っているのもやっとなロコンの前で、先程と同じようにビーダルが両前足を固める。

 ロコンは固く目を閉じ、身体を強張らせた。

 閉ざした視界。暗闇の中、いくら待っても覚悟していた衝撃は襲ってこない。薄く目を開ける。飛び込んできたのは、二つの尻尾。


「この辺りはやけに天気がいいなァ。暑くて、長く居たくねぇ。お前さん、ここは大人しく引いてくれないかァ?」
 ▼ 60 3P9scls6N2 17/06/08 19:12:31 ID:Kt.SZT2U [6/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 いきなり現れたフローゼルがビーダルに提案する。

 訳も分からぬロコン。


「お、おい。どうなってるんだ?」


 ロコンが眼を閉じて、ビーダルが両前足を振り下ろそうとした瞬間、水を纏ったフローゼルが高速で間に割って入ってきた、こんなところかな。

 対してビーダルは突如として現れて、敵であるロコンを庇うフローゼルに敵意剥き出しである。


「ビーダルって大体はのほほんとしてるもんなんだがなァ」


 ビーダルが、僅かに苛立ちを感じさせる声で言う。


「何でダムを、家を壊さなければなんねぇ? ここはオレが実力で勝ち取ったんだ。どうしようとオレの勝手だろう?」
 ▼ 61 3P9scls6N2 17/06/08 19:14:47 ID:Kt.SZT2U [7/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ははーん、とフローゼルが笑った。


「お前さん、捨てられたポケモンだなァ」


 その一言にビーダルが凍り付いた。


「確かに、ここいらじゃ強いのかもしれねぇが、野生で生きたいならあんまり勝手はしない方がいいぞ。今は災害の所為もあってみんなギリギリだァ。その内、痛い目見るぜ」


 ビーダルが喚く。捨てられたという図星突かれ怒りが頂点に達し、意味の乗らない叫び声をあげながらフローゼルに突進した。
 ▼ 62 3P9scls6N2 17/06/08 19:16:44 ID:Kt.SZT2U [8/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ビーダルの爪が鋭く光り、フローゼルに切りかかる。フローゼルはそれを、弧を描くような軌道で後ろに回り込みながら避け、水を纏わせた尻尾でビーダルの背中を叩いた。



 前足で切りかかっていた為に重心が前に傾いていたビーダルは、その一発で簡単にバランスを崩し、地面に倒れこむ。立ち上がったビーダルの目の前にいるのは──ロコン。



 その一撃でフローゼルには勝てないと踏んだビーダルが、標的をロコンに切り替えた。




 先程のビーダルからのダメージがまだ残っているロコンは、その場から咄嗟に逃げることが出来ない。



 ビーダルが全身の力を乗せた前足を振りかぶる。




「いけねえっ!」
 ▼ 63 3P9scls6N2 17/06/08 19:18:21 ID:Kt.SZT2U [9/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 声が響いた直後、今度こそロコンに衝撃が走る。想定していた物よりも、幾分も軽い衝撃が。


 飛ばされたロコンが状況を確認しようとする。視界が揺れ、視点が定まらない。
 ▼ 64 3P9scls6N2 17/06/08 19:21:33 ID:Kt.SZT2U [10/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 よろよろと立ち上がり、横たわっていたソレを見て息を呑んだ。


「お、おま……何で……?」


 倒れていたのはフローゼル。ビーダルがニタリと笑った。追い打ちをかけるべく、フローゼルに歩み寄る。

 足が震える。自分の不甲斐なさがフローゼルを傷つけた。このままでは、フローゼルがやられてしまう。ロコンは、静かに覚悟を決めた。
 ▼ 65 3P9scls6N2 17/06/08 19:25:03 ID:Kt.SZT2U [11/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 勝てないと分かっていた。表面上を取り繕ったって、中身は変わらない。でも、それでも、助けてくれたフローゼルを見捨てたら、自分は一生このままだ、とロコンは思った。


 勝てなくても、せめてフローゼルが起き上がるまで。それも無理なら、一発だけでも。


 ビーダルが近づいてくる。日差しが、強くロコン達を照り付け、じりじりと肌を焼く。
 ▼ 66 3P9scls6N2 17/06/08 19:30:15 ID:Kt.SZT2U [12/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 力を溜め、いざ技を放たんとした時──


「っ……つぅ。あァ」


フローゼルが呻き、立ち上がる。


「まっじぃなァ……受け身を取り損なうたァ随分となまったもんだァ」


 体勢を立て直し、フローゼルがビーダルを睨む。


「何で、庇ってくれたの……?」


 ビーダルが攻撃を仕掛けてくる。それを軽く避けながらフローゼルが答えた。


「前にも言ったろ。かわいい子を助けるのは当然だァ」

 フローゼルが微かに呟く。

「力はあんのに、意味のねぇ使い方をしやがって」


 ゆっくりとビーダルを見据える。

 その眼光に射竦められたかのように、ビーダルが身体を硬直させた。
 ▼ 67 3P9scls6N2 17/06/08 19:35:03 ID:Kt.SZT2U [13/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 それは一瞬の、ほんの刹那の出来事だった。


 水を纏いし速攻──アクアジェット。その勢いが乗った手刀をビーダルの顎にいれる。


 いとも呆気なく、ビーダルは沈んだ。脳を揺らされたビーダルは、意識はあっても立つことはできない様だ。
 ▼ 68 3P9scls6N2 17/06/08 19:40:01 ID:Kt.SZT2U [14/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ビーダルを見下し、フローゼルが一言。


「この川は下った先で分流してる。そっちの下流の方になら住処を作ってもだれも文句は言わねぇよ。

 お前さんがただ住処を作っていたってのもわかる。ただ場所が悪かったなァ」


 フローゼルが強いというのは、分かっていた。が、ここまで圧倒的なものなのかと、ロコンは驚愕する。

 ぽかんとするロコンにフローゼルが声を掛ける。


「無事のようだなァ」

「あの……その……」


礼を言おうとも、尚も鮮明に焼き付いているのは初対面の出来事。それがロコンから感謝の言葉を奪う。


「あァ? どうした」

「えっと、その、ありがと」


 別に構わねぇよ、と興味なさげにフローゼルが答える。

 なぜそんなに強いのか。なぜ一目でビーダルが捨てられたと見抜けたのか。聞きたいことは山ほどある。
 ▼ 69 3P9scls6N2 17/06/08 19:45:01 ID:Kt.SZT2U [15/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「じゃあ、な」


 フローゼルがロコンに背を向けた。

 引き止めなければ、とロコンは思った。そうしないとフローゼルにはもう会えない気がしたのだ。


「あのっ! ……寝床、ないよね? ……ボクの住処、使っても……いいよ?」

「あー、まァ、願ってもない話だがァ」


 なら、とロコンは自分の住処にフローゼル
を案内した。
 ▼ 70 3P9scls6N2 17/06/08 19:50:01 ID:Kt.SZT2U [16/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「ほう、中々良いとこじゃねぇかァ」


 L字状の構造をしたロコンの住処を一目見て、フローゼルが呟く。雨風を凌げるというだけで、野宿よりもずっとマシだ。

 その横でロコンがあくせくと藁を並べてフローゼルの寝床を作っている。


「別に地べたでも構わねぇんだが……」


 そう言いながらも、徐々に出来上がっていく寝床を見て、フローゼルは下品に口元を歪ませる。

 そんな事には気付きもせずに、ロコンはせっせと藁を整えていた。
 ▼ 71 3P9scls6N2 17/06/08 19:55:02 ID:Kt.SZT2U [17/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 夜。抱いていた疑問を、ロコンはフローゼルにぶつけた。


「何であのビーダルが捨てられたって分かったの?」

「技を見て、ピンときてなァ」

「技?」


 ロコンが首を傾げる。


「『いわくだき』『かいりき』『いあいぎり』……どれもヒトの作った道具で覚えられる技だァ」


 因みに、両前足を固めて振り下ろしたのがいわくだき。フローゼルがロコンを庇ったときにビーダルが放った技がかいりき。フローゼルに切りかかっていた技がいあいぎりだ。


「ほへー」


 ヒトのことをあまり知らないロコンは、ただただ感心している。
 ▼ 72 旦終わり◆3P9scls6N2 17/06/08 20:00:04 ID:Kt.SZT2U [18/18] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「でも何でニンゲンはビーダルを捨てたのかな?

「それはオレの知ったこっちゃねぇなァ。だがまァ、捨てられたポケモンが荒れる気持ちもわからなくはねぇな。今まで慕って付いて行ってたのに、急に捨てられたら、荒んじまうのも無理はねぇ」


 …………。


「あ、あとフローゼルは何でそんなに強いの?」

「さァな。旅して色んな経験してきたからかもなァ」


 そういうフローゼルの目はどこか遠くを見ている。

 そろそろ、ここいらからも離れる頃かね。小さく呟かれたその言葉にロコンは小さく動揺した。そして同様している自分にまた、動揺する。


「ま、お前さんもその内強くなるさ」


 最後にそう締めて、フローゼルは横になる。疲れていたのだろうか、それとも旅の中で培ってきた物か、すぐに寝息を立て始めた。

 その、フローゼルの寝息を聞きながら、ロコンも瞼を閉じる。内に感じた、感じてしまった、微かな想いを押し殺して。
 ▼ 73 3P9scls6N2 17/06/08 22:54:46 ID:Nu11MIyA [1/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 朝、目を覚ましたロコンは隣を確認した。フローゼルはまだ寝ていた。その姿を認めて、ロコンは朝食の木の実を取りに出かける。

 二匹分の木の実を取って、何故フローゼルの分まで取っているのか。自分の内に感じるもやもやは何なのか。ロコンは自問する。

 住処に木の実を持ち帰っても、まだフローゼルは眠っていた。起こさないように気を遣いつつ、その隣に木の実を置く。
 ▼ 74 3P9scls6N2 17/06/08 22:55:50 ID:Nu11MIyA [2/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 フローゼルが起きたのは、昼頃だった。置かれていた木の実を見て、ロコンに確認する。


「コレはァ……オレの分ってことで良いのか?」


 ロコンの頷きを見て、一言礼を言い噛り付く。

 木の実が噛み砕かれる小気味の良い音が洞穴の中に響く。
 ロコンは尋ねた。

「どうして、旅なんてしてるの?」

 この近辺から出た事の無いロコンにとってそれは単純な疑問だった。


「まァ、楽しいからかね。それに性分にも合ってる」

「どんなことが?」

 フローゼルがニヤリと笑う。

「そりゃお前さんみたいなかわいい奴と出会えることかなァ」

 ……はぐらかすのが上手いイタチである。ロコンもロコンで満更でも無い様だ。

「そ、そう」

 これにはフローゼルの方が拍子抜けというものだ。反応が薄いとからかい甲斐もない。
 ▼ 75 3P9scls6N2 17/06/08 22:56:20 ID:Nu11MIyA [3/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「フローゼルは、もう別の所に行っちゃうの?」

「さァな。ここは結構居心地も良いし、どうするかは分かんねぇよ」


 離れるか、留まるか。それは結局フローゼルの気まぐれでしかない。魅力があるなら留まるし、それが見つけられないなら、離れるだけ。昨日までの決定を今日180度切り替える何てことはままあること。そうやってフローゼルは気ままな旅をしてきたのだから。

 それだけ聞いて、ロコンは会話を切った。
 ▼ 76 3P9scls6N2 17/06/08 22:56:52 ID:Nu11MIyA [4/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
そんなことから、一週間。

 その日、ダムの一件から水嵩が増した川に、バシャバシャと水音が立てているポケモンが一匹。暫くすると諦めたように河原にへたり込む、六つの尻尾。

 どうやらロコンが魚を取ろうとしているようだ。いつも木の実を取っているロコンだが、今日は魚取りにチャレンジしている。

 それは、最近ルームシェアをし始めたフローゼルに関係している。

 フローゼルはイタチ……もっと言うとウミイタチポケモンだ。食べ物の趣向もどちらかと言うと木の実よりも魚を好む。

 そのフローゼルの為に、ロコンは必死に水面を叩いていたというわけだ。
 ▼ 77 3P9scls6N2 17/06/08 22:57:20 ID:Nu11MIyA [5/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 魚を取ろうと決めて早一時間。成果は0。厳密には石の下にいた小さなカニが数匹といったところであるが、蔦で編んだ手製の籠に入れていた為に、すでに脱走されている。

 苦手な魚取りを、愛しのフローゼルの為にと、涙ぐましく努力しているのだ。


「愛してなんかないっ」


 最近、大胆にも自分の住処を提供して、毎日のようにフローゼルに抱かれてよがっている淫乱狐に言われても、だ。


「知らないっ!」
 ▼ 78 3P9scls6N2 17/06/08 22:58:05 ID:Nu11MIyA [6/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「お、こんなところにいたのかァ」


 ホラ、愛しのフローゼルがやってきたよ。


「何だァ。魚を取ろうとしてたのか?」


 ロコンが、籠が空であることの恥ずかしさから俯く。


「ほいっ」


 フローゼルが水面に手を突っ込んだかと思うと、鮮やかな手つきで魚を陸に打ち上げた。


「すごい」


 これにはロコンも感嘆せずにはいられない。というか、初めからフローゼルに任せておけば良かったのではないだろうか。

 フローゼルが追加で2・3匹の魚を獲って、ロコンの方を向く。


「調理は頼んだァ」


 そのまま何処かへ行ってしまった。最近フローゼルはよくこうして出歩くことが多い。もともと一カ所に留まるような性格ではないし、ただ意味もなく辺りを散策しているのだろう。
 ▼ 79 3P9scls6N2 17/06/08 22:58:36 ID:Nu11MIyA [7/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 夜。太陽に代わって月が空を照らす時間。夜行性のポケモンが活発になる時間でもある。

 そんな中、夜行性ではない二匹のポケモンも、L字状の洞穴内で活発になっていた。


「ひ、あひっ」


 ロコンの高い声が洞穴に木霊する。


「さァ、そろそろ解れてきたなァ」


 品無くニタつくフローゼルも、すでに準備万端だ。
 ▼ 80 3P9scls6N2 17/06/08 22:59:09 ID:Nu11MIyA [8/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 初期の頃に比べ開発され切ったロコンのアナルに、フローゼルの陰茎が埋まっていく。それは的確にロコンの前立腺を刺激し、喘がせる。

 ロコンは、挿入されている異物が、自分の内を心地よく抉り圧迫する感触に身体を震わせた。


 快楽に昇るように堕ちていく。

 ▼ 81 3P9scls6N2 17/06/08 22:59:48 ID:Nu11MIyA [9/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ロコンは腹を上にして、ヒトで言う正常位の体制でフローゼルと交わっている。

 フローゼルが突然、浮袋を思わせる黄色い袋状の器官で、ロコンの熱い、太い、先端から涎を垂らすソレを挟み込んだ。


「っ! それっ、ダメ……!」


 後ろと前。内と外。そこから与えられる二重の刺激に悶え、思わず身体を強張らす。それはそのままフローゼルへの刺激となり、二匹の限界が早まっていく。

 フローゼルはバトルも、こっちのバトルも速攻戦を得意とする。速さと手数で一気に決める、とすると聞こえはいいが、言ってみれば早漏だ。


「そろそろイクぞぉ……っ!」


 一層深く腰を突き上げ、そのまま数秒間、動きを止める。それを受けロコンも耐え切れずに吐精した。
 ▼ 82 3P9scls6N2 17/06/08 23:00:39 ID:Nu11MIyA [10/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 すかさず二回戦に移る。 フローゼルがロコンの体勢を腹が下になるように誘導した。

 六つの尻尾をかき分け、バックで再び腰を動かし始める。

 突かれる角度が変わることで与えられる快感の種類が変化し、ロコンは喘ぎ続ける。

 もっと深く、深く愛してほしい。頭が真っ白になるほどに。
 ▼ 83 3P9scls6N2 17/06/08 23:01:09 ID:Nu11MIyA [11/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ロコンは分かっていた。フローゼルはいつか何処かへ行くのだろうと。自分とはフローゼルがここにいる間だけの関係なのだと。


 出会いこそ襲われる形だったが、ロコンはフローゼルに離れてほしくないと思うようになっていた。それは、フローゼルが可愛いと、愛していると言ってくれたから。必要としてくれたから。弱い自分に価値を見てくれて、守ってくれたから。
 ▼ 84 3P9scls6N2 17/06/08 23:01:37 ID:Nu11MIyA [12/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 それは行為を盛り上げるための、ただの台詞でしかない。それもわかっている。ただ、それでも、ロコンはその言葉に光を見てしまう。舞い上がってしまう。


 フローゼルは離れていく。それを分かっているから、ロコンは必死にフローゼルを繋ぎ留める。こうして交わることで。必要としてもらうことで。


 それはロコンが望む事でもあった。漠然と感じているこの気持ちを、この刹那だけでも、吹き飛ばして欲しい。だからロコンはよがり、喘ぐ。快楽に、堕ちようとする。
 ▼ 85 3P9scls6N2 17/06/08 23:02:24 ID:Nu11MIyA [13/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 一際早くなる腰の動きに、思考がどんどん白く暈けていく。

 強く陰茎を締め付けられたフローゼルの2度目の限界が、徐々に、的確に、確実に近くなっていく。

 ロコンの泣くような喘ぎ声がフローゼルの興奮を増長させる。


 フローゼルは悩んでいた。


 最初、フローゼルにとってロコンを襲ったとき、もっと言うと見初めた時、今ほど特別な感情など抱いてなかった。──『今ほどは』では、今は?
 ▼ 86 3P9scls6N2 17/06/08 23:03:14 ID:Nu11MIyA [14/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 これまでオスメス問わず、旅の途中で一時の関係を求め、手に入れてきた。ロコンもその中の一匹。ただ、一時の交わり。

 だが、その交わりの後、どういう訳かロコンにある変化が生じたらしい。そしてその変化にフローゼルも流され始めている。


 最初、心底フローゼルを嫌っていた筈のロコンは、自分から誘うことはなくとも、拒むこともなくなった。最初は痛い、苦しいと泣いていたが、それは心底からの言葉でなく、拒絶でもなかった。そして今もフローゼルを引き止めている。少しでもここから離れるような素振りを見せると、不機嫌になったり、頼みごとをしたり、と。


 勿論無視することは出来た。ただ、情が移ったとでも言うのだろうか。ロコンのその素振りに、フローゼルも甘えていた。

 でも、それは長くは続かない。それは分かっている。なぜなら、それが自分の性分だから。そして、それ以外にも……。

 だからフローゼルは悩んでいる。
 ▼ 87 3P9scls6N2 17/06/08 23:03:58 ID:Nu11MIyA [15/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告


 2匹は内なる想いを隠し合いながら、ただひたすらに快楽を貪り、溺れていく。溺れようとしていく。

 ▼ 88 3P9scls6N2 17/06/08 23:04:43 ID:Nu11MIyA [16/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「は……んぅ……あひっ」


 内側から執拗に、普段は触れられる事の無い敏感な部分を刺激され続け、ロコンが再び限界を迎えようとしている。どんどんと、どんどんと強くなる快感は脳まで震えるようで、意識が飛びそうになる。身体の内側が痺れてくる。それも、そのまま快感に置換される。


「あっ、もう、ダメ! ゴメン、もうっ出る」


 ロコンがたまらず声を大きくする。フローゼルがニヤけた。


「2回目の割にはちと早いんじゃねぇかァ? どうする? 休憩してもいいんだぜ」
 ▼ 89 3P9scls6N2 17/06/08 23:06:15 ID:Nu11MIyA [17/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 頂点を目の前にしてお預けされたらたまったものではない。ロコンが懇願する。


「えっ? あぅ……や、やめないで」

「なら、もっと言い方があると思うがなァ」


 尚も続くフローゼルの意地悪発言に、ロコンが顔を赤らめる。

「お願いっ……やめないで」

 その一言でフローゼルが腰の動きの速さに拍車をかける。

「ひ、ひゃあっ」

 ズンズンと突き上がってくる快感。ますます声が大きくなる。

「ひっふっ……んっ、ふあっ」


 半ば叫ぶように嬌声を上げるロコン。その股間からはトロトロと白濁の混じった体液が、地面に向かって垂れていく。


「んぅーっ」

 歯を食いしばり、声を殺そうとするロコン。きつく目を閉じ、頭がおかしくなりそうな快楽の渦に、不安、焦燥、刺激、幸福、胸中の遍く全ての感情を巻き込み堕ちていく。溺れていく。
 ▼ 90 3P9scls6N2 17/06/08 23:06:44 ID:Nu11MIyA [18/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 声を殺す事すらも出来なくなり、溜め込んだ全てを開放する。

「ひうっ……もうダメっ! フローゼルっ。出る! 出ちゃうっ!」

 2度目の絶頂に達したロコンの中で、フローゼルもまた限界が近くなる。フローゼルの陰茎は怒張して、みしみしとロコンの腸壁を押し広げる。

 強い圧迫感。密着することで感じられる、フローゼルの微かな震え。自分を内側から執拗に叩いてくる白濁。それら全てを一身に受けながら、ロコンはトロンとした表情で軽く息を漏らす。
 ▼ 91 た明日◆3P9scls6N2 17/06/08 23:07:13 ID:Nu11MIyA [19/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 少しだけ時間が経ち、ずっとロコンに栓をしていたフローゼルの陰茎が引き抜かれた。ロコンの腸液とフローゼルの白濁が入り混じった液体が溢れ出す。

 陰茎を引き抜かれた時の、言い表しようもない感覚にロコンが震える。

 行為の終わり、緊張が緩んだ反動で、急激に微睡みの中に落ちるロコン。その乱れた姿のまま眠りに就いた。
 ▼ 92 3P9scls6N2 17/06/09 12:46:54 ID:mcUlfT7o [1/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 そして、翌日。いつものようにフローゼルとロコンの一日分の木の実を取りに、天然の木の実畑へ向かう。その木の実畑にて、ふと見覚えのある一匹のポケモン。


「母さん!」


 ロコンが駆け出す。ロコンが母さんと呼んだそのポケモンが、ロコンに気付いた。


「あら、ロコンちゃん」


 ロコンが少しだけムッとする。いまだに母親はロコンのことをちゃん付けで呼ぶからだ。いくら言っても聞かないので、半ば諦めてはいるが。
 ▼ 93 3P9scls6N2 17/06/09 12:47:45 ID:mcUlfT7o [2/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ロコンに目の前でふわふわと浮遊して居る彼女は、ロコンからしても掴み所のない性格をしている。

 暗めの紫色をした、一見すると魔女のようなポケモン。彼女はムウマージ。


「最近木の実が取れなくてね、お母さん困ってるのよ。どう? ロコンちゃんはちゃんとご飯食べてる?」


 言われてハッとした。確かに木の実の数が少なくなっている。その原因であろう、川の水嵩の問題はすでに解決したにも関わらず、だ。木の実の減少は、水量の低下が原因ではなかったのだろうか。ダムがなくなった今も、木の実の量はあまり変わっていない。むしろ減っているような気すらする。


「ちゃんと食べてるよ」


 まぁ、水が増えても木の実が取れるようになるまでにはもう少し時間がかかるのだろうと、ロコンは深く考えないようにした。
 ▼ 94 3P9scls6N2 17/06/09 12:48:17 ID:mcUlfT7o [3/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「よぉロコン。そこのお方は誰だァ?」


 ロコンの背後から掛けられた声。振り向かなくとも、誰のものか分かる。


「アラ、お友達?」


 正確にはおホモだちだね。


「まぁ、ね」


 少し歯切れの悪いロコン。最近毎晩のように自分を掘っている相手が母親の前に現れたら、そうなるのも無理はない。
 ▼ 95 3P9scls6N2 17/06/09 12:49:19 ID:mcUlfT7o [4/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ロコンがフローゼルの方を向いて、ムウマージを紹介する。


「ボクの母さんだよ」

「ほぉ、そりゃぁ失礼。オレはフローゼル、今はロコンの住処に居候さして頂いている者だァ」

「ふぅん。こちらこそよろしく。この子にこんな逞しいお友達が出来るなんて、お母さん感激だわ。ふふっ、最近聞こえる可愛い声はもしかしたらあなたが原因かしら」


 これには二匹とも肝を抜かれた。フローゼルが小声で、ロコンに囁き尋ねる。
 ▼ 96 ストダス@ロメのみ 17/06/09 12:49:51 ID:UMLMYVMI NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
昼間はsage進行しろよ…
 ▼ 97 3P9scls6N2 17/06/09 12:50:08 ID:mcUlfT7o [5/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「一体どういうことだァ?」

 バレてますね、色々と。なんかデジャヴな気がしないでもない。


「か、母さん色々と鋭い所があるんだ。それに、母さんの住処の洞穴、ボクの住処の斜向かいにあるし」


 同じく小声でロコンが答える。

 それにしても、住処を出ておいて、その斜向かいに住むとは、それは果たして意味があるのだろうか。


「仕方ないじゃん。良い所を見つけちゃったんだから」


 ムウマージがニコニコと、そのやり取りを見ている。


「と、取り敢えず母さんも元気でねっ!」


 逃げるように、フローゼルを置いて去るロコン。


「からかい過ぎたかしら」


 意地悪くクスクスと笑うムウマージ。それにしても、自分の息子が毎晩オスに掘られているというのに気にも留めないとは。
 ▼ 98 3P9scls6N2 17/06/09 12:51:44 ID:mcUlfT7o [6/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 で、とフローゼルが話題を転じた。


「ロコンの母親というにはァ、少々種族が違い過ぎるんじゃねぇか」


 当然の疑問である。


「あぁ、拾い子なの。あの子」


 ことなさげに、ムウマージがぶっちゃける。


「ヒトがタマゴを捨ててたから、もらちゃった」


 タマゴを捨てるとは、ひどいトレーナーも居るものだ。


「ふむ、タマゴを捨てるたァ、ひどいトレーナーもいたもんだァ」


 フローゼルも全くの同意見のようだ。


「潜在能力はあると思うのだけど、何分臆病だから、バトルは苦手なのよね」


 ムウマージが、ロコンの去っていった方向を見て言った。
 ▼ 99 3P9scls6N2 17/06/09 12:52:30 ID:mcUlfT7o [7/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 所変わって、ロコンの住処。

 そこでロコンは一匹、寝床の藁に顔を埋めていた。途中「あー」とか、「うー」等と、訳の分からぬ言葉発している。


「何してるんだァ?」


 ムウマージとの話を終え、ロコンの住処に帰ってきたフローゼル。その手にはいくつか木の実が。

 ロコンが何も取らずに帰ってしまった為、ムウマージが持たせたようだ。

 我に返ったかの如く、ロコンが姿勢を正し木の実を受け取る。

 齧ると少し硬かった。熟れている木の実が取れなかったのだろう。ガリッと音を立てながら、ロコンはさほど美味しくない木の実を平らげた。
 ▼ 100 3P9scls6N2 17/06/09 12:53:20 ID:mcUlfT7o [8/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 一週間後。木の実不足は改善されるどころか、ますます深刻化していた。

 本格的に木の実が取れず、木に残っているのは小さく青い物ばかり。

 ロコンは悩んでいた。

 しかし、ロコンを悩ませていたのは木の実の事ではない。食事など、フローゼルに魚を獲ってもらえばなんとでもなる。

 最近、フローゼルが抱いてくれないのだ。毎日のように盛り合っていた二匹だが、この四日間程ご無沙汰である。
 ▼ 101 3P9scls6N2 17/06/09 12:53:59 ID:mcUlfT7o [9/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 これは、もしかしたらフローゼルが旅立つ兆候なのかもしれない。いつか来ると分かっていたそれが、急激に形を持ち始め気が重くなる。

 素直に抱いてって言えばいいのに。このスケベ狐。


「スケベってゆーな」


 あれ程……それこそムウマージに聞こえるほど喘いでいたくせに。スケベがダメなら、変態、淫乱、淫奔、淫猥だ。


「うるさい!」


 怒られた。……実は、ロコンは自分から抱いてとフローゼルを誘ったことは一度もない。それをしてしまうと、何かの一線を越えてしまうと考えているのだ。あくまで、自分はフローゼルを求めてなどなく、仕方なく嫌々付き合っているだけ。そう思いたいのかもしれない。
 ▼ 102 3P9scls6N2 17/06/09 12:54:23 ID:mcUlfT7o [10/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 カサカサと、背後で葉が擦れる音がした。振り向くと、誰も居ない。カサ、カサカサ。また、音がする。

 一瞬、ロコンは小さな影を見た気がした。それも複数。視界の端に映った気がする何かを、目を凝らして探すが、何も居ない。

 気のせいか、とロコンは、あまり期待はしてなかったがやはり収穫ゼロで軽い籠を見て、小さくため息をついた。今日も魚か、と思いながら帰路に就く。
 ▼ 103 旦終わり◆3P9scls6N2 17/06/09 12:54:49 ID:mcUlfT7o [11/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 ロコンが住処に帰った時、そこにフローゼルの姿はなかった。心臓を掴まれたように、胸が不安に押し潰されそうになる。


 まさか、食料の無くなったこの場所を見限ったのだろうか。かといって探しに出かけるのも、負けたような気がして癪だ。ロコンは不安に思いながらも、フローゼルの帰りを待った。
 ▼ 104 ロッパフ@ビアーのみ 17/06/09 15:54:01 ID:xoviCZ4s NGネーム登録 NGID登録 m 報告
しえそ
 ▼ 105 3P9scls6N2 17/06/09 22:34:39 ID:hvD6pZYo [1/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 せせらぎ長閑な川。そこにポチャンと石が1つ投げ込まれる。


 河原の、少しだけ大きめな石に、フローゼルは腰かけていた。
 ▼ 106 3P9scls6N2 17/06/09 22:35:28 ID:hvD6pZYo [2/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ロコンが心配してるよ。


「あァ、そうかァ」


 最近フローゼルが構ってくれなくて寂しいってさ。

 フローゼルが自嘲気味に笑う。


「ハっ、確かにらしくねぇなァ。可愛い子を前にこれはァ」


 何かあったの?


「別に大したことじゃねぇさ。ただ、長居しすぎたなってなァ」


 それまで、ずっと気ままに暮らしてきた。あちこちを彷徨い、訪ね、留まったり留まらなかったり、気の赴くままに旅していた。なのに。


「特定の奴に、情が移るとはなァ」


 また1つ、川に石を投げ込む。
 ▼ 107 3P9scls6N2 17/06/09 22:36:19 ID:hvD6pZYo [3/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 それは、自分が居なくなることで、ロコンが傷つくのが嫌だから、悩んでいるんでしょ? 案外優しいんだ。


「そっちこそ」


 ……なんの事?


「ロコンの事、守っていただろ? ビーダルの時。邪魔するなって怒られてたがなァ」


 別に、そんなのじゃない。
 ▼ 108 3P9scls6N2 17/06/09 22:37:09 ID:hvD6pZYo [4/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「なに一匹で話してるの?」


 ビクッとフローゼルが肩を震わせる。現れたのはムウマージ。フローゼルの反応にクスクスと笑った。

 考え込んでいたとはいえ、易々と後ろを取られ、それに気付けなかったことにフローゼルがへこむ。

 が、いい機会だと、ムウマージにいくつか質問した。
 ▼ 109 ニューラ@Zリング 17/06/09 22:38:01 ID:InaYanaE NGネーム登録 NGID登録 報告
読みにくい
 ▼ 110 3P9scls6N2 17/06/09 22:38:30 ID:hvD6pZYo [5/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「例えばだがァ、ロコンがここよりもっと離れた所で暮らしたい、って言ったら止めるか」

「さぁ、どうかしら?」


 また、クスクスと笑う。


「でも、そうね。多分止めはしないわ。だって、私の住処から出るのは止めなかったのに、それを止めるのは可笑しいもの」


 それでも、とムウマージが続ける。


「あの子はまだ、一匹で生きられるほど強くはない。ふふっ、誰か強いポケモンが一緒なら、心強いのだけど?」


 どうやら、お見通しのようだ。もし自分がまた旅に出たら、ロコンが付いて行きたいと駄々を捏ねるかもしれない。その時、自分はどうすればいいのか。その答えをムウマージに求めていたことが。……結局、自分で決めろという事か。
 ▼ 111 うすれば良いかな◆3P9scls6N2 17/06/09 22:40:11 ID:hvD6pZYo [6/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「もう1つ。ロコンを捨てたトレーナーの事だァ」

「ロコンのタマゴ、ね」


 ムウマージの些細な訂正を無視して、フローゼルが言葉を続ける。


「そのトレーナーの特徴、もう一回教えてくれ」


「それなりに長身の男性、ヒトの中ではハンサムなほうで、黒髪の痩せ気味ってこと位かしら」


 もう一度、というのはフローゼルが初めてムウマージと会った時、ロコンが逃げた後に聞いていたからだ。
 ▼ 112 うすれば良いかな◆3P9scls6N2 17/06/09 22:41:04 ID:hvD6pZYo [7/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「でもそんなトレーナー、分かっていると思うけれど沢山いるわよ?」


 確かに、ムウマージの言う通りである。それもロコンの年を考えて11年ほど前の事だ。

それでも、フローゼルはその男が、自分の探している人物である気がしてならなかった。

根拠のないただの勘だが、そう思うのだ。


 因みに、ロコンの年齢の11歳とは、実はかなり大変な事だ。

普通ロコン位の成長速度のポケモンは3歳くらいで家庭を持つのだが、その年で未だに進化してないのはかなり稀なことで、いかにロコンの運と実力がないかが分かる。

ロコンがコンプレックスを抱えるのも無理はない。

余談だが、フローゼルは13歳だ。
 ▼ 113 うすれば良いかな◆3P9scls6N2 17/06/09 22:41:49 ID:hvD6pZYo [8/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「あなたも、目的があって旅をしてるのね」

「さァな」

「でも、あんまりつまらないことは考えない方が良いわよ。おばさんからの、アドバイス」


 クスクスと笑いながら、ムウマージは去っていった。


「ったく。あのポケモンと話すのは疲れるな」


 つまらない事って、つまり……。


「別に、しねぇよそんな事。ただ、探してるだけだァ。オレの元トレーナーを、な」


 ふふ、捨てられたポケモンが多いね。この辺は。


「偶然、なのかねぇ」
 ▼ 114 た明日◆3P9scls6N2 17/06/09 22:43:31 ID:hvD6pZYo [9/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 そのトレーナーってどんな人だったの?


「あー……強いトレーナーだったなァ。ただ、どっかのチャンピオンに憧れて、そっから狂っちまってよ」

 フローゼルがポーチを軽く叩く。そういえば、そんなものを着けていた。冒頭でしか描写してないから忘れていた。


「これも、そのトレーナーのもんだァ。ウツホつってな」


 ウツホ?

 はぁ、とフローゼルが短くため息をついた。


「……オレとしたことが、話過ぎちまったなァ。やっぱりあのポケモンには調子が狂わさせられる」


 ポリポリと頭を掻いて、フローゼルが立ち、ロコンの住処へ戻った。
 ▼ 115 ドラ@おはなのおこう 17/06/09 22:44:51 ID:qUa7wwwU NGネーム登録 NGID登録 報告
たまにナレーターと話すよな
何かの鍵なのかな?
 ▼ 116 3P9scls6N2 17/06/09 22:53:53 ID:hvD6pZYo [10/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
質問です

今回は少し書き方を変えました
「具体的には、段落が変わるまで改行しない」です。
前の、文章毎に適当に改行した方が良いですかね?


もう一つ
投下速度を少し下げました(いつもの半分位)

もっと早くすべきか、遅くすべきか、それとも丁度いいか

予定では、あと3日で終わります

 ▼ 117 3P9scls6N2 17/06/09 22:55:09 ID:hvD6pZYo [11/11] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>116
脱字

「前の、〜」ではなく


「前の様に、〜」です
 ▼ 118 3P9scls6N2 17/06/10 00:06:58 ID:urIcDLmM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>109とあるので、改行は以前の形式に戻して、投稿ペースはこのままでいきます。

スレ汚し失礼
 ▼ 119 ダリン@ロックメモリ 17/06/10 00:26:03 ID:jbf3ZhTU NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援以外ありえない
 ▼ 120 3P9scls6N2 17/06/10 15:21:00 ID:t3H48Qv. [1/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 フローゼルが住処に戻って来たのを見て、ロコンが顔に少し安堵を覗かせる。

「どこ行ってたの?」

「ちょっと散歩になァ」

「そっか。木の実、取れなかったから魚焼いてくる」

 フローゼルが短く返事をする。


 しばらくすると、こんがりと焼けた魚をロコンが持ってきた。ここ最近で焼くのも随分と上手くなったものだ。

「あー、モモンの実とヒメリの実が食べたい」

 魚を齧りながら、愚痴を漏らすロコン。

「また明日の朝見に行ってみようかなぁ」

 骨だけになった魚を持て余しながら、ロコンが呟いた。
 ▼ 121 3P9scls6N2 17/06/10 15:22:20 ID:t3H48Qv. [2/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 朝。籠を持ったロコンが天然木の実畑をうろつく。やはり、木の実はなっていない。疲れて、座り込む。

「はー、また魚かなぁ」

 とぼとぼと下を向いて歩いていると、地面に赤い物を見つけた。木の実だ。

 身長が低くい為、見上げてばかりだったからか、今まで下にある木の実に気が付かなかったのだろうか。

これ幸い、と早速拾おうとすると、木の実が逃げ出した。

「あれ?」

 いや、逃げた訳ではない。木の実に隠れて小さな影が1つ。見張りポケモン、ミネズミだ。
 ▼ 122 3P9scls6N2 17/06/10 15:23:03 ID:t3H48Qv. [3/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 木の実を抱えたミネズミは真っ直ぐと西の方向に走っていく。


 昨日一瞬見たような気がした影。その大きさとミネズミの大きさはちょうど同じくらい。

何かあるかも、とロコンはミネズミを追いかけた。


 しばらく追い続けると、辺りに甘い香りが漂い始めた。その匂いはだんだんと強くなっていく。
 ▼ 123 3P9scls6N2 17/06/10 15:24:00 ID:t3H48Qv. [4/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 そして、遂に匂いの元を発見した。ロコンが追いかけていたミネズミが、その匂いの元である洞穴に入っていく。

ロコンは、そっとその洞穴を覗いてみた。


 中には、3匹のミネズミ、一匹のミルホッグ、大量の木の実。


 こいつらが木の実を独占していたのか。ロコンが心の中で呟く。


 殴りこもうか、と思ったものの、相手は4匹だ。ロコン一匹ではどうしようもない。

素直にフローゼルとムウマージに協力を仰ぐことにした。

以前のがむしゃらだった頃と比べれば大した進歩だ。
 ▼ 124 3P9scls6N2 17/06/10 15:24:36 ID:t3H48Qv. [5/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 自分の住処に戻ると、ロコンが木の実を取りに出かけた時は寝ていたフローゼルは、すでに起きていた。

 ミネズミ達が木の実を独占していたことをフローゼルに伝える。

「ほぉ、そりゃ大問題だな。お手柄じゃねぇかァ」

 フローゼルがロコンの頭をわしゃわしゃと撫でまわす。ロコンが、その手を照れくささから払いのけた。
 ▼ 125 旦終わり◆3P9scls6N2 17/06/10 15:25:33 ID:t3H48Qv. [6/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 続いて、ムウマージの住処。

 同じように、木の実の独占をムウマージに伝える。

「ふぅん。なら、潰しに行きましょうか」

 さりげなく恐ろしい事を言う。

「潰すって……母さん、穏便に穏便に」

「まぁ、そうね。何にしても困っているポケモンも多いでしょうし、迷惑なことは止めて貰いましょ」

 それにしても、どうしてそんなことをするのかしら? 
そう、ムウマージが小さく疑問を口にした。
 ▼ 126 3P9scls6N2 17/06/10 21:57:05 ID:uP5jUWho [1/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 さて、二匹に事情を説明したところで、早速ミネズミ達の居る洞穴へ向かう。

 洞穴から漂う甘い香り。ロコンが慎重に、中の様子を探ろうとする。

「たのも〜」

 そんなロコンを無視してムウマージが堂々と侵入した。

「な、なんですか!?」

 高い位置にある眼をギョロつかせながら、集団のボスであろうミルホッグが、急に現れたムウマージにたじろぐ。
 ▼ 127 3P9scls6N2 17/06/10 21:58:40 ID:uP5jUWho [2/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
「たくさん木の実があるようだけど、少し分けてもらえないかしら」

「だ、ダメだっ。これでも全然足りてないんだぞ」


 ムウマージの後に続いて、フローゼルとロコンも洞穴内に突入した。

 フローゼルがミルホッグを睨めつける。

「足りないだァ? 森中の木の実をかき集めて何言ってやがる」


 二匹がミルホッグと話している間に、ロコンがある違和感に気付いた。

 先程、フローゼルが森中の木の実と言った。それは、多少の誇張はあれど、間違ってはいないのだろう。

事実、いま木の実は殆ど無くなくなっているのだから。


 だとすると、木の実の数が明らかに少ない。

毎日、多くのポケモンが木の実を食べても、尽きることの無いほどの木の実が、こんな洞穴に入りきる量である筈が無い。

そして、それ程の量をミルホッグ達だけでは到底食べきることなど出来ないだろう。
 ▼ 128 3P9scls6N2 17/06/10 21:59:44 ID:uP5jUWho [3/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
「どーしたァ?」

 突如として、図太く、間延びした声が洞穴に響いた。


 ロコン、フローゼル、ムウマージの3匹が一斉に後ろを振り向く。

 後ろに居たのは、丸々と大きなお腹をした、カビゴン。
 ▼ 129 3P9scls6N2 17/06/10 22:00:52 ID:uP5jUWho [4/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 フローゼルとカビゴンの目が合う。カビゴンの目線が、フローゼルの腰のポーチを捉えた。

「お前……まさか、あのフローゼルかァ?」


 ロコンが驚き、フローゼルに尋ねる。

「え!? フローゼル、あいつ知ってるの?」

 ハァ、とフローゼルが溜息を吐いた。

「知ってるも何も、あのカビゴンは同じトレーナーの下にいたポケモンだァ」
 ▼ 130 3P9scls6N2 17/06/10 22:01:37 ID:uP5jUWho [5/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
 フローゼルがカビゴンに聞く。

「これはお前の仕業か?」

「だったらなんだァ」


 つまり、カビゴンがミルホッグ達を従えて、木の実を集めさしていたのだろう。


「やめとけ」

 短く、フローゼルが言い放つ。カビゴンは怯む気配を見せない。

「力があるのに使わないのは勿体ねぇだろ? ま、このあたりの食い物もなくなってきたし、もう少ししたら、場所を移るさァ」

「野生で生きたいなら、好き勝手にやり過ぎると痛い目にあうぞ」


 フローゼルが再三言っていることだ。かくいうフローゼルは何か痛い目に会ったのだろうか。
 ▼ 131 3P9scls6N2 17/06/10 22:02:21 ID:uP5jUWho [6/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
「あーあー、うっぜぇなァ」

 カビゴンが大きくあくびをした。

「だったら痛い目に合わせてみろ。ここだとせめぇし、外来いよ」

 フローゼルが、身体はカビゴンの方に向けたまま、ロコンに言った。

「わりぃが、そっちの方は頼んだァ」

 そっちってことは、つまり……ロコンがミルホッグ達の方を向く。

 ミルホッグと3匹のミネズミはすでに戦闘モードだ。結局戦うことになるのか、とロコンも身構える。
 ▼ 132 3P9scls6N2 17/06/10 22:03:03 ID:uP5jUWho [7/9] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 自分でもミネズミなら、と思ったものの、目の前に居たのは……ミルホッグ。


 どうやらこのミルホッグもロコンと同じくビビり──

「ビビりじゃない!」

 失礼。過剰に慎重な性格らしく、目敏く弱そうなロコンに目を付け相手に選んだ様だ。

 つまり、ムウマージの相手が、ミネズミ3匹である。


「〜♪」

 ムウマージは、呑気に歌いながら、のらりくらりとミネズミ達の攻撃を躱していた。
 ▼ 133 3P9scls6N2 17/06/10 22:05:02 ID:uP5jUWho [8/9] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ムウマージの方に気を取られていたロコンに、ミルホッグが隙を見て、砂を顔に向かって投げかける。

細かな砂は目に入り、涙と痛みでロコンの視界が悪くなる。

「ひ、卑怯だぞ!」

 よそ見をする方が悪いと思う。

「う、うるさ──」

 またもや隙だらけのロコンに、ミルホッグが今度はたいあたりをかました。

ロコンが洞穴の壁に強く打ち付けられる。痛みに呻くロコン。

地面にヘタっている所に、追い打ちをかけるようにミルホッグがけたぐりを放つ。
 ▼ 134 た明日◆3P9scls6N2 17/06/10 22:07:34 ID:uP5jUWho [9/9] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 横腹を蹴られたロコンは、洞穴の外にはじき出された。


 洞穴の外では太陽が燦々と輝き、地面を照り付けている。


 少しだけ視界が回復したロコンは、それでもかなりのダメージを負ってしまった。

あと一発でも攻撃を食らってしまったら、たまらず気を失ってしまうだろう。

 相手が格下であると確信したミルホッグが、ニタニタと笑いながらロコンとの距離をゆっくりと詰める。じりじりと、じりじりと。
 ▼ 135 ガヤミラミ@ポフィンケース 17/06/10 23:12:59 ID:NtzUsbAY NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 136 3P9scls6N2 17/06/11 17:14:56 ID:GM0kj08I [1/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「ひぃっ! すみません」

 ロコンに背を向け逃げ出すミルホッグ。


 戦いが終わったロコンはムウマージの方を確認した。

 すでにミネズミ3匹を倒していたムウマージは上機嫌に、溜め込まれていた木の実の1つを齧っている。呑気なものだ。


 フローゼルは、と見ると、そこには地に伏したフローゼルの姿が。

カビゴンは止めを刺そうと、重そうな足取りでフローゼルに近付いていた。
 ▼ 137 3P9scls6N2 17/06/11 17:15:59 ID:GM0kj08I [2/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「フ、フローゼル! 起きて!」

 必死に呼びかけるも、フローゼルに反応はない。

「…………」


 ロコンは覚悟を決めた。カビゴンに向かって駆け出す。

「やいっ!」

「ァん?」

 カビゴンがロコンを見た。

「何で木の実を独占するんだっ」

「何でって、そりゃァオレが住み易くする為に決まってんだろ」

「それで困ってるポケモンもいるんだぞ」


 ロコンには理解が出来ない理屈だった。自分の欲求を満たす為なら、他者はどうなっても構わないというのか。
 ▼ 138 3P9scls6N2 17/06/11 17:16:38 ID:GM0kj08I [3/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「そんなの、弱い奴がワリィ。大体、誰しもが他者に迷惑をかけて生きてんだよ。お前のはただの偽善だァ」

 ロコンの後ろから声が上がる。

「いやァ、違うねぇ」

 その声に、カビゴンはめんどくさそうに舌打ちをした。

「チっ。話し過ぎたかァ」

「確かに、みんな誰かに迷惑を掛けてはいるかもしれねぇ。だが、蔑ろにはしてない。誰かを蔑ろにしちゃぁ、野生では生きられない。そんなもんだァ」

 それだけ言って、フローゼルがロコンの方を向く。
 ▼ 139 3P9scls6N2 17/06/11 17:17:25 ID:GM0kj08I [4/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「ロコン。あのバカの相手をするには、お前さんの力が必要だァ。協力してくれ」

「え? ボクの?」


 予想外の発言にロコンが目を瞬く。この弱い自分に一体何が出来るというのか。


「お前さんの特性ひでりでオレの水タイプの技が上手く通らねぇ。だが、この日差しの下、お前さんの炎技ならあいつに一泡ふかすことが出来る」

「……うん。 やってみる」

「よし」


 それだけ言って、フローゼルはカビゴンへの攻撃に移った。素早い動きでカビゴンを翻弄する。
 ▼ 140 3P9scls6N2 17/06/11 17:18:04 ID:GM0kj08I [5/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「はん、協力を始めたみたいだが、そんなにちょこまか動いてたらお仲間が攻撃できねぇぜ」


 カビゴンが余裕を見せている所に、ロコンがおにびを放つ。


「馬鹿めっ。フローゼルも巻き添えにするつもりかァ? それにそんな炎簡単に……」


 呑気に喋っているカビゴンを前に、フローゼルが跳躍する。そのままカビゴンの顔にアクアテールを叩きつけた。
 ▼ 141 3P9scls6N2 17/06/11 17:18:50 ID:GM0kj08I [6/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 派手に、辺りに飛散する水。怯むカビゴン。着地するフローゼル。そして、そこには──おにび。

 フローゼルを巻き添えにして、怯んだカビゴンにおにびが命中する。

「あちぃ。で、でもフローゼル、てめぇも」

「カビゴン、何か忘れてねぇかァ?」

 ここで、カビゴンは思い出す。忘れていたのも無理はない。それは、有効に働く場面がそう多くはないからだ。


 みずのベール。火傷にならない、フローゼルの特性。


 フローゼルとカビゴン、二匹に当たったおにびは、しかし一方には効果がない。

火傷の痛みから、カビゴンは身体に力が入らず、更に徐々に体力が削られる。

「クソがァ……!」


 激昂するカビゴン。大振りな攻撃はフローゼルを捉えるどころか、かすりもしない。
 ▼ 142 3P9scls6N2 17/06/11 17:19:27 ID:GM0kj08I [7/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ロコンのおにびを、勿論フローゼルはそれを躱すことも出来た。当たったのはわざとだ。


ここで重要なのは『ロコンの攻撃はフローゼルには意味を成さない』とカビゴンに思わせること。それによりカビゴンの注意を分散させ、攻撃のチャンスを増やす事。


当然、おにび以外の攻撃はフローゼルにも有効である。動き回るフローゼルを前に、ロコンが攻撃し難いのも事実。


 だが、ロコンの攻撃を確実に当てるための布石は、もうすでに打ってある。
 ▼ 143 3P9scls6N2 17/06/11 17:20:40 ID:GM0kj08I [8/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 フローゼルがカビゴンから距離を取った。フローゼル唯一の遠距離攻撃技『れいとうビーム』。

その、氷点下の攻撃を、カビゴンの足下に向かって打つ。


 カビゴンの注意を分散さした事には、加えてもう1つの理由がある。

それは、カビゴンにフィールドの状況を気付かせないこと。


 カビゴンの足下には、フローゼルの水を纏った攻撃によってできた水溜まり。そこに放たれた、れいとうビーム。

 地面が凍てつく。それにカビゴンの足が取られた。

「ロコン! 今だァ!」

 その声に反応して、カビゴンの下から巻き起こるほのおのうず。

灼熱の炎は空気を熱し、カビゴンの肺にまでダメージを与えた。
 ▼ 144 3P9scls6N2 17/06/11 17:21:33 ID:GM0kj08I [9/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ほのおのうずから解放されたカビゴンの目の前には、フローゼル。

「これに懲りたら、少しは大人しくするんだなァ」


 束ねられた尻尾による殴打。直撃したカビゴンの巨体が、沈んだ。




 緊張が解けたロコンがその場にへたり込む。

「中々やるじゃねぇかァ」

 フローゼルがロコンに近付き、その頭をポンポンと撫でた。

ロコンは、今朝振り払ったその前足を、今度は払うことをしなかった。



 そのまま、目を閉じる。気疲れしたのか、ロコンはその場で寝息を立て始めた。
 ▼ 145 3P9scls6N2 17/06/11 17:22:45 ID:GM0kj08I [10/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 フローゼルは、眠ってしまったロコンを背負い、のんびりと木の実を齧っているムウマージの所へと移動する。

「アラ、終わったの? ふふ、流石に強いわね」

 フローゼルが呆れたように溜息を吐いた。

「よく言うぜぃ。…………本当はあなたさん一匹でどうにか出来たんじゃないのかァ?」

「そんなことないわ。私じゃ、ミネズミの相手で精一杯よ」

「どんなテクニックか知らねぇがァ、相手にだけ『ほろびのうた』を聞かせるとは、中々出来ることじゃねぇだろう?」
 ムウマージがいつものようにクスクスと笑う。

「買いかぶり過ぎ、よ」

 フローゼルがまた、溜息を吐いた。本当に食えないメスだ。
 ▼ 146 旦終わり◆3P9scls6N2 17/06/11 17:23:56 ID:GM0kj08I [11/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 寝ているロコンがフローゼルの背中で呻く。



「……フローゼル…………好き……」



 風の音にかき消されそうなほど小さな声で、ロコンは確かにそう呟いた。フローゼルの動きが止まる。

「アラ、随分気に入られているみたいね」

 とんだ地獄耳である。



「……行かないで」



 フローゼルはロコンの住処に向かって、歩いていく。

揺れる背中で、ロコンは心地よさそうに寝息を立てていた。
 ▼ 147 旦終わり◆3P9scls6N2 17/06/11 17:26:12 ID:GM0kj08I [12/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ん……?
展開飛ばしてないかコレ?


しまったorz
>>134>>136の間を今から投下します
 ▼ 148 3P9scls6N2 17/06/11 17:27:19 ID:GM0kj08I [13/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 一方、ロコンがピンチを迎える少し前、フローゼルとカビゴンは洞穴の外で戦いを始めていた。

 素早いフローゼルと、遅いカビゴン。ルール無用の戦いで、木々が生い茂る木の実の森。カビゴンの攻撃がフローゼルを捉えることはなかった。

 相手の隙を見て、要所要所で的確に攻撃を入れていくフローゼル。

フローゼルが使える遠距離攻撃であるれいとうビームは、カビゴンの特性『あついしぼう』も相まってあまり効果がない。したがって戦いは接近戦だ。

「あー、ちょこまかとうざってぇなァ」

 素早さでカビゴンを圧倒するフローゼル。翻弄されたカビゴンが怒りを露にする。
 ▼ 149 3P9scls6N2 17/06/11 17:27:53 ID:GM0kj08I [14/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 しかし、フローゼルの攻撃もまた、あまりカビゴンには通っていない様子だ。フローゼルは戦いながら、そのことに疑問を抱いていた。

 ビーダルの時もそうだった。自分の攻撃があまり効かない。あの時は、タイプ相性の問題だと思っていたが、カビゴンは違う。

カビゴンは特別水タイプの技に強いポケモンではないのにも関わらず、フローゼルの攻撃があまり意味を成していない。何故だろうか?

 額に汗が浮かぶ。頭上では太陽が照り輝いていた。

 ここで、フローゼルがあることに気付く。

そういえば、あの時も──太陽が。
 ▼ 150 3P9scls6N2 17/06/11 17:35:43 ID:GM0kj08I [15/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 瞬間、回りかけていたフローゼルの思考を、唐突な、あまりにも唐突な睡魔に遮られた。

「やっと効いてきたかァ」

 ニヤリと笑うカビゴン。

 効いてきた? いったい何を? 靄のかかった思考を無理矢理働かせる。


──「あーあー、うっぜぇなァ」
 カビゴンが大きくあくびをした──


 カビゴンが大きく『あくび』をした。



 ──あくび。それは対象のポケモンに眠気を誘う技。

「く……そ…………」

 耐え切れなくなり、フローゼルはその場に倒れこむ。
 ▼ 151 3P9scls6N2 17/06/11 17:41:42 ID:GM0kj08I [16/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 さて、場面をロコンに戻そう。

 ミルホッグがじりじりとロコンに近付く。

 自分は、また足を引っ張るのか? ビーダルの時だって、意味なくフローゼルを傷つけた。

 結局、自分は弱いままなのだろうか? どれだけ取り繕おうとしても、中身は変わらない。そんな事自分が一番分かっている。

 嫌だ。ロコンは強く思った。そんなのは、嫌だ。
 ▼ 152 3P9scls6N2 17/06/11 17:42:10 ID:GM0kj08I [17/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 近付くミルホッグにロコンが火球を放つ。それは、真っ直ぐとミルホッグに向かって飛んでいった。

 しかし、当たらない。ミルホッグは飛んでくる火球を横に跳ねる形で回避する。放たれた火球はそのまま地面に着弾した。

しかし、それだけでは終わらない。着弾した火球は四方八方にはじけ飛んだ。その火球の残滓がミルホッグ当たる。

予想してない事に、ダメージは殆ど無いものの、ミルホッグが怯んだ。
 ▼ 153 3P9scls6N2 17/06/11 17:43:01 ID:GM0kj08I [18/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 その隙をロコンは逃がさない。怯んだミルホッグの足元から紅蓮の渦が巻き起こった。

それは、ミルホッグを閉じ込める炎の檻となる。

 ほのおのうずに包まれたミルホッグが灼熱にその身を焦がす。焼かれる痛みは、気絶することすら許さない。

渦巻く炎の中、ミルホッグが悲痛な叫び声をあげる。

 ようやく、その炎から解放されミルホッグの視界が明るくなる。明るくなる。そう、ミルホッグの目の前にはあやしいひかり。

光球が妖しく輝く。それはミルホッグを惑わせた。
 ▼ 154 3P9scls6N2 17/06/11 17:43:45 ID:GM0kj08I [19/19] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ふらふらと足下が覚束ないミルホッグにロコンは狙いを定め、おにびを放つ。

相変わらずゆっくりではあるが、混乱しているミルホッグは避けることが出来ず、おにびは見事命中した。その熱さから、再び短い悲鳴を上げる。

 混乱から冷めたミルホッグに、すでに戦意は無くなっていた。
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