レッド「メガシンカ……か……」ミヅキ「余っちゃった」

211 : ゾノクサ@ねっこのカセキ 18/05/12 20:42:51 ID:8f5Hr6eg 報告
してん
212 : ロデスナ@ザロクのみ 18/05/12 20:45:56 ID:yzPWdJKc 報告
これ最近見ねぇなぁと思ったら未完で終わりそうだったのか…
213 : マージョ@パイルのみ 18/05/20 01:14:46 ID:KMwwJxCE 報告
214 : イクン@ユキノオナイト 18/05/20 20:10:22 ID:wdSA0P9s 報告
しっかりと完結させて、どうぞ
215 : ワムラー@シルフスコープ 18/05/24 22:35:47 ID:DI5Z0QRc 報告
最後に書いたの1月なのか…
216 : mTQB7XkZdk 18/05/31 19:50:20 ID:iknRLcHY [1/5] m 報告
「るなぁぁっ」

ルナアーラはミアレを照らす月光を浴びて、気持ち良さそうに飛行を楽しんでいる。

もしもこの光景が誰かの目につくようなことがあれば、即ネットニュースのトップにドドンと掲載されることになるだろう。

伝説の、それも他地方のポケモンが出現したということが判明すれば、街中が大騒ぎだ。

が、そんな懸念も一瞬にして忘却されてしまう。

なぜなら、今ゴールドの目の前で起こっていることは、その不安にも勝る感動の瞬間だったからだ。

彼の瞳が、ルナアーラの放つ神秘の光によって潤んでいく。

他の生物を超越する、伝説と唱われしポケモンとの出逢いは、ゴールドの人生にとって最高峰の一つに数えられる記憶となった。

「今回、ルナアーラは出場出来なかったんだ」

「伝説のポケモンはダメって言われちゃって」

「あー……」

伝説のポケモンは、強大すぎる力を持つゆえ、大会のパワーバランスという名の秩序を乱す一因になりかねない。

そういった理由によって、伝説のポケモンの参加が不可能となっている大会は実際数多くある。

PWTもその内の一つというわけだ。
217 : mTQB7XkZdk 18/05/31 19:50:53 ID:iknRLcHY [2/5] m 報告
「でも、私達の心はいつだって一つ!」

「参加こそできなくても、ルナアーラはちゃんと私と一緒に戦ってくれているんだよっ!」

それでもミヅキは、ルナアーラとの共闘を諦めてはいない。

二人の心同士で繋がっている絆を、ミヅキは信じている。

「……そうですか」

「良いですね、そういうの」

ルナアーラを想うミヅキの純粋な言葉に、ゴールドは心を突き動かされ、無意識に微笑んでしまう。

「ゴー君も、きっとルナアーラと仲良くなれるよ!」

「おーい、おいでよルナアーラ!私の新しい友達を紹介するからさー!」

「るなぁ!」

ミヅキに呼ばれたルナアーラは、威厳あるべき伝説のポケモンとは思えぬ程に無垢な笑顔で反応して、直ちにミヅキのもとへと飛んできた。

そしてゴールドは、接近してきたルナアーラに思わず圧倒され、驚きと同時に少し怯えたような仕草をしてしまう。

近くで見てみるとやはりもの凄い迫力だ、と。

ルナアーラは全体的に見ると、まるで三日月のような形の翼を持っている。

近くに寄ってきたルナアーラの体を、ゴールドは暫く夢中になって眺めた。
218 : mTQB7XkZdk 18/05/31 19:52:09 ID:iknRLcHY [3/5] m 報告
ルナアーラが持つ数々の特異な外見的特徴の中でも、一際ゴールドの目を引いたのは、ルナアーラの頭部にある、まるで宇宙空間の星々ような不思議な模様だった。

その模様は、よおく見てみると少しずつ動いている。

ゴールドはそれをじっと観察し続けてみた。

すると、まるで本物の宇宙に吸い込まれたかのような感覚を彼は覚える。

無限に広がる紫の空。

あまねく煌めく星に見惚れてしまった彼は、数秒ほどその幻惑の中に幽閉された。

やがてハッと気づいた時、ゴールドは見慣れた地上の景色に何となく安堵する。

そんなゴールドの少しぎこちない様子を見て、ルナアーラはクスクスと笑った。

「るなるなぁ!」

「ははっ」

この瞬間ゴールドは思った。

伝説とは言っても、普通のポケモンとは全くの別次元ということは無いと。

こうしてルナアーラが普通に笑っているところを見ると、そこに壁なんて無いんだなと感じる。

ゴールドも、これまでの旅で色々な伝説のポケモンを見てきたが、これ程表情が豊かなのはルナアーラをおいて他にはいない。

ゴールドは何となく嬉しかった。

こうして自分と関わりを持つことによって、伝説と言われるポケモンがこんなにも喜んでくれたことに。

彼はそのルナアーラの無邪気な姿に、とても励まされた。
219 : mTQB7XkZdk 18/05/31 19:53:22 ID:iknRLcHY [4/5] m 報告
「僕はゴールドっていうんだ」

「よろしくね、ルナアーラ」

「るなぁ!」

ゴールドとルナアーラの邂逅を横から眺めていたミヅキは、嬉しさからかニコッと笑う。

アローラ代表の面々は、和やかな時間を過ごしたのだった。

明日に迫った決勝戦を前に、多少暢気ではあるかもしれないが、最後の息抜きという意味では充実の一時だったと言える。

そして彼らは月明かりに誓うのだった。

明日の聖戦に勝利し、世界最強の座を勝ち取ってみせると。

月輪の化身たるルナアーラは、そんなやる気に満ちた二人を見て、彼らが大いなる戦果を残すことを確信する。

世紀の決戦の日は近い。

…………

……

「コルニ」

「んっ?」

ホテルの部屋で、レッドがコルニに声をかける。

反応したコルニは、それまで見ていたテレビ番組のボリュームをリモコン操作で下げてから、彼の話に耳を傾けた。
220 : mTQB7XkZdk 18/05/31 19:53:57 ID:iknRLcHY [5/5] m 報告
「良かったら、今から練習がてらポケモンバトルをしないか?」

「最後の試合の前に、もう一度だけコルニのルカリオと戦っておきたいんだ」

既に夜遅くの時刻ではあるが、それはレッドからコルニへの練習試合の申し込みであった。

突然の誘いにコルニは少し驚いたものの、他ならぬレッドの頼みであるからか、すぐにテレビの電源を落として立ち上がり、こう言った。

「良いよ!アタシも、今のレッドと全力で戦ってみたい!」

「決まりだな」

レッドの誘いを快諾したコルニ。

戦意高ぶる二人は部屋を後にし、ホテルの外の敷地に設けられているバトルスペースへと移動した。

…………

……

ホテルのバトルスペースもまた、ポケモンが戦うにはうってつけの広さと平坦さを兼ね備えている。

更に整備も十分行き届いていて、缶やタバコなどのゴミは一切無い。

この戦場ならば思う存分戦うことがてきる。

そして、レッドとコルニは既に、お互いの全力をここでぶつけ合っていた。

「リザードン、“かえんほうしゃ”!」

「ルカリオ、“インファイト”!!」
221 : クリン@ミックスオレ 18/05/31 20:09:24 ID:8O22QriM m 報告
おお!
更新されてる!?
222 : クーダ@りゅうのウロコ 18/06/01 22:18:18 ID:uiGa9bqA m 報告
待ってたァ!
223 : mTQB7XkZdk 18/06/02 00:50:10 ID:rmyqOpLQ [1/5] m 報告
メガシンカしたリザードンとルカリオが、それぞれ死力を尽くして体力を削り合っている。

メガリザードンYの特性“ひでり”によって、夜であるにも関わらず小さな太陽が戦場を熱く照らしていた。

そんな灼熱地獄の中、リザードンはこの環境を追い風にして炎の技でルカリオを攻め立てる。

火竜の怒涛の猛攻に、ルカリオも負けじと不屈の心で立ち向かった。

月光のもとで激昂を続ける両者が繰り広げる死闘。

リザードンもルカリオも、共に旅を続けていく中でこんなにも成長していた。

少なくとも、この戦いに割って入れる者は世界でもそうはいないと言える程に。

レッドもコルニもはじめは練習試合のつもりだったが、想像以上に“ムキになった”二匹を見ていたら自然と昂ぶってしまったようで。

「負けるなリザードン!」

「そこだっ!いけぇルカリオッ!」

いつの間にか、凄まじく熱量が上がってしまっていた。

そして……。

「グォォォォッ!!」

「くわぁっ……!?」

リザードンの火炎の咆哮が轟いた瞬間、ルカリオの鋼鉄の肉体が爆風によって吹き飛んだ。

「くわぁぁっ!?」
224 : mTQB7XkZdk 18/06/02 00:50:49 ID:rmyqOpLQ [2/5] m 報告
あまりにもヒートアップし過ぎて放たれたリザードンの渾身の一撃。

常を超えた威力の“オーバーヒート”が、この熾烈なる勝負にピリオドをうった。

「くわぁ……」

「ルカリオっ……あちゃあ。負けちゃったか」

「ありがと!ゆっくり休んでね」

気絶したルカリオに声かけをしながら、敗北したコルニは彼をボールに戻す。

金の髪をわしゃわしゃと搔き、参ったといった感じの表情を浮かべた。

そして、勝利したレッドもまた、リザードンをボールに戻し、コルニのもとへと駆け寄る。

「ありがとうコルニ」

「こんな夜遅くに付き合わせちゃってごめん」

「えへへ、レッドの頼みならこれくらいなんてことないよ」

「アタシの方こそ、ルカリオの良い経験になって感謝してるんだしさ」

試合の後、礼を交わした二人はホテルに戻るため歩みを始める。

その帰路の途中でコルニはふと思い立ち、レッドに聞いた。

どうして、さっき急にバトルしようなんて言い出したのかと。
225 : ガサーナイト@たてのカセキ 18/06/02 00:50:58 ID:rL72OhLU m 報告
支援
226 : mTQB7XkZdk 18/06/02 00:51:18 ID:rmyqOpLQ [3/5] m 報告
するとレッドはこう答えた。

“明日の答えを見つけるため”だと。

そして、その答えは見つかったとも言った。

「答え……?」

「うん」

「これで俺達は明日……勝つことができる」

発見したその答えがあれば、明日の勝利は確実。

レッドはそう断言したのだった。

また、次に彼はこのように言い放つ。

「コルニ」

「さっきの君とのバトルは……本当に“面白かった”」

満面の笑みで、面白かったと口にしたレッド。

コルニは彼の笑顔に思わず胸がときめき、心臓を踊らせた……が。

(……レッド……?)

彼女は同時に、彼のその“面白かった”という言葉には隠された意味があることを悟る。
227 : mTQB7XkZdk 18/06/02 00:52:25 ID:rmyqOpLQ [4/5] m 報告
その意味が何なのかは分からない。だが……。

……その隠された意味こそが、つまりレッドの言っていた答えとやらなのではないか、と、コルニは推測した。

…………

……

……翌日のPWT会場は、最高潮の盛り上がりを見せていた。

来場者数はここ数日の中で最多を既に記録しており、快晴という天候もあって凄まじい熱気が観客席を覆っている。

人々の汗と声が交錯する中、コルニとルカリオ、ズミ、セレナはそれぞれの想いを胸に、この最後の決戦を見届けるべく席について時を待っていた。

「……やっぱりセレナさんも、カルムのことが気になるんだね」

「何だかんだ言ってもね、……はぁ」

一度は決別したとはいえ、かつての恋人の晴れ舞台となれば気をかけてしまうものなのか、セレナは憂鬱そうにしながらもカルムの登場を待ちわびている。

「ズミさんも、今まで散々好き放題言ってたけど、結局は見に来るんですね〜?」

「……それが何か?」

「べっつにぃ」

そして、ズミに対しては皮肉を込めまくった言い方で挑発的に喋るコルニ。

これまでの会話で彼女にすっかり反感を買われてしまったズミ、しかし当の彼には悪びれている様子はほとんど無い。
228 : mTQB7XkZdk 18/06/02 00:52:59 ID:rmyqOpLQ [5/5] m 報告
相変わらずのプライドの高さにふくれた様子を見せるコルニ、だが最後くらいは気持ちよく観戦したいという思いもあるため、これ以上は彼に話しかけなかった。

「……皆様、大変長らくお待たせいたしました!」

「間もなく、PWT決勝戦――」

「――カロスvsアローラの試合が始まります!」

大会進行役の意気揚々とした声が、会場にて響き渡る。

そして瞬間、それをも遥かに凌駕する音量の歓声が巨獣の咆哮のように大気を揺るがしながら轟いた。

だが、これから始まる戦いはこれすらも上回る迫力の激闘となるだろう。

その地方を代表して出場した最強のポケモン同士のぶつかり合い、それはまさしく究極のバトル。

ここまでの激戦を勝ち上がってきた猛者達は今ここに集う。

そして、世界最強を賭けた決戦に満を持して臨む。

アローラとカロス、勝つのはどちらになるのか。

…………

……

「さてさて、準備はいいか?レッド」

「勿論」
229 : mTQB7XkZdk 18/06/03 23:59:05 ID:7jb1doXM m 報告
メガシンカしたリザードンとルカリオが、それぞれ死力を尽くして体力を削り合っている。

メガリザードンYの特性“ひでり”によって、夜であるにも関わらず小さな太陽が戦場を熱く照らしていた。

そんな灼熱地獄の中、リザードンはこの環境を追い風にして炎の技でルカリオを攻め立てる。

火竜の怒涛の猛攻に、ルカリオも負けじと不屈の心で立ち向かった。

月光のもとで激昂を続ける両者が繰り広げる死闘。

リザードンもルカリオも、共に旅を続けていく中でこんなにも成長していた。

少なくとも、この戦いに割って入れる者は世界でもそうはいないと言える程に。

レッドもコルニもはじめは練習試合のつもりだったが、想像以上に“ムキになった”二匹を見ていたら自然と昂ぶってしまったようで。

「負けるなリザードン!」

「そこだっ!いけぇルカリオッ!」

いつの間にか、凄まじく熱量が上がってしまっていた。

そして……。

「グォォォォッ!!」

「くわぁっ……!?」

リザードンの火炎の咆哮が轟いた瞬間、ルカリオの鋼鉄の肉体が爆風によって吹き飛んだ。
230 : mTQB7XkZdk 18/06/04 00:03:09 ID:MYv2ZEg. [1/5] m 報告
ミスしました。申し訳ありません。

試合前の最後の調整を終えた二人は、早速バトルフィールドへと足を進める。

一方、二人が歩むその先では、アローラ代表が一足早く準備を完了して戦いの時を待っていた。

レッドはゴールドの姿を確認すると、そこで一旦足を止める。

そしてじっと目を細め、ゴールドを見つめた。

レッドは過去にゴールドとシロガネ山で戦った経歴を持つ。

だがこの時レッドは思うのだった。

今そこに立っている彼は、昔戦ったその人物とは見違えてしまうくらいの強者になっていると。

あの時から既にゴールドはレッドをも超える力を有していたが、更にかなり腕を上げているのがレッドには一目瞭然だった。

今の彼にはもはや、かつての挑戦者だった時の面影はなく、あるのは立ちはだかる者が如く風格である。

今となってはむしろ、レッドの方が挑戦者なのだろう。

原点は現在、頂点にあらず。

レッドは今改めて悟るのだった。

この戦いこそが、自らが真に最強の名を取り戻すための、またとない機会なのだと。

一方でゴールドもまた、自らの視界で立ち止まるレッドを見て思う。
231 : mTQB7XkZdk 18/06/04 00:03:45 ID:MYv2ZEg. [2/5] m 報告
(レッドさん……この大会をここまで勝ち上がるなんて)

(やはりあの人はとんでもないポケモントレーナーだ)

ゴールドは、最初にレッドと再会したとき、実はそこまで感動を覚えなかった。

なぜなら、いくらかつての強敵だったとはいえ、自分が一度勝った相手だったからだ。

かなりの実力者であったことは記憶しているものの、レッドとの戦いにはそれなりに自信があった。

だが、これまでのレッドとカルムの戦いぶりを見てきたゴールドの心には、既にそれまでの余裕は無くなっていた。

互いが互いを最強の相手と認め合った瞬間は刹那に過ぎ去り、二人の目線は交差して離れる。

各々の定位置につき、自らがこの日のために鍛え、選び抜いたポケモンが入ったモンスターボールを構える。

そして、レッドの隣に立つカルムも、この試合にかける自身の想いに胸を昂ぶらせていた。

(ついにこの時が来た)

(あの時レッドをスカウトして本当に正解だったと、今なら胸を張って思える)

(最強のパートナーと共に、最強のライバルに戦いを挑むんだ)

カルムの胸に募るのは、至高の誇り。

カロス地方のチャンピオンは今、レッドとの出逢いに心から感謝する。

今日まで共に戦ってきたレッドとの絆を、そして、ポケモンとの愛を信じて、カロスに住む人々の希望と期待を背負い。

若くして彼は、多くの者の願いをその身に宿す。
232 : mTQB7XkZdk 18/06/04 00:04:17 ID:MYv2ZEg. [3/5] m 報告
だが、そんな彼はその重みに挫けることはない。

なぜなら、芯まで信頼をおける仲間がいるから。

情熱を注ぎ合える友ができたから。

カロスの王たるカルムを縛り付けるモノは何もない。

――そして、無論彼女も。

(ゴー君やポケモン達と一緒にここまで来れたこと、本当に嬉しいな)

(後はこれで勝てれば、きっと最高だよね)

(レッドさんもカルムさんもかなりの強敵だけど……私達には敵わない)

(この勝負……最後に勝つのは私達だ!)

アローラ地方初代チャンピオン・ミヅキは、パートナーのゴールドとの間に芽生えた友情と、これまで培ってきたポケモン達との信頼関係を噛み締めながらこの試合に臨む。

彼女もまた、カルムと同じようにチャンピオンとして大勢の人々の“勝ちたい”という気持ちを背負っている。

それも、“初代”という重大な肩書きを付け加えられてだ。

アローラ地方にとってミヅキは、偉業を成し遂げてもらうべき存在なのだ。

そしてミヅキはその為に、ここまで勝利を積み重ねてきた。

現に彼女は初代の名に恥じない卓越した実力でカントーの選手を下した。
233 : mTQB7XkZdk 18/06/04 00:04:55 ID:MYv2ZEg. [4/5] m 報告
柔和な雰囲気に隠した知能と闘志は未だ未知数。

彼女を含めた計四人の眼前には既に、勝利の杯がある。

それを手に取るのは果たしてどちらのチームか。

女神に微笑まれるか、はたまた見捨てられるか。

負けた者が汚泥を舐める。

勝った者が栄光を手にする。

それが、弱肉強食たる自然の掟。

頂点をめぐる究極のサバイバルバトルの果てに、ついに彼らは雌雄を決する。

四人の「いけっ!」という声の後。

それぞれが望みを託したポケモン達が一斉に飛び出す。

カロス代表の二人は。

「ピカチュウ!」

「ゲッコウガ!」

疾走せし雷電“ピカチュウ”と、水面の忍者“ゲッコウガ”。

「ピカァッ!」

「ゲロッ!」
234 : mTQB7XkZdk 18/06/04 00:05:22 ID:MYv2ZEg. [5/5] m 報告
どちらも、速度の能力がずば抜けて高いポケモンだ。

並のポケモンでは攻撃を当てることはおろか、目でその姿を追うことすら難しいだろう。

レッドとカルム、それぞれの敏腕トレーナーのもとで練り上げられた技はその塾度によって真価を発揮する。

そして、対するアローラ代表の二人は……。

「“メガヤンマ”!」

「“ジュナイパー”!」

……まるで薄暗い森を彷彿とさせるような、深緑の狩人達を繰り出す。

片方は、時を過ごす毎に飛行速度を増す、蜻蛉のような姿をしたポケモン“メガヤンマ”。

原始の力を得た“ヤンヤンマ”というポケモンが進化して辿り着く境地であり、その実力は、年月の経過によって失われた能力を全て取り戻したことにより、ヤンヤンマの頃とは見違えるように強くなっている。

そしてもう片方は、森の奥深くにて獲物を狩猟する、影の暗殺者……“ジュナイパー”。

音を、気配を、感情を、全て消して放つ彼の弓矢の如く羽の一閃は、影を縫って敵を貫く。

彼は、ミヅキがアローラで最初に手にしたポケモンであり、今日まで彼女と共に育んできた彼女との絆は誰よりも強い。

古くから共に戦い、共に成長してきたミヅキとジュナイパー。

二人が切り拓くのは、二人がまだ見ぬ世界。

レッドとカルムに挑戦することによって、その世界に飛び込む。
235 : ヤ顔イーブイ 18/06/04 00:12:30 ID:NwHYLbrY 報告
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
236 : mTQB7XkZdk 18/06/05 00:11:49 ID:OQ7Vrtg2 [1/4] m 報告
彼女達がやりたいように。

彼女達の思うがままに。

「さぁ!決勝戦に相応しいエンバイロメントを制定致しましょう!」

PWTでは慣習のエンバイロメントシステムが、実況の声によって作動する。

バトルスタジアムの無機質なコンクリートの床は、白い煙に包まれて一旦その姿を消し。

軽い地面の揺れを伴って、戦場は姿形を変えていく。

これまでは天候が深く関係したバトルフィールドだったが、霰、雨、砂嵐、晴れときて、未使用の天候はもう無い。

いや、厳密に言えば無いことも無いのだが、後残っているのは、伝説のポケモンのみが巻き起こせるという、天候というよりはもはや災害に近い事象のみだ。

なので、これから制定されるエンバイロメントの全容は誰にも予測不可能。

皆が息を呑んでその不確定の戦場が現れるのを待つ。

そして……立ち込めていた煙がついに消え去った。

観客達が目を見開いて、眼下の景色を刮目する。

すると彼らの目に映ったのは……至ってフラットな空間だった。

だが、それでいてどことなく荘厳な雰囲気を感じさせる。

紫や白といった寒色系の配色が、空間に独特の静けさのようなものを形作っており、そこに立つ者にえも言われぬ緊張感を与える。
237 : mTQB7XkZdk 18/06/05 00:12:25 ID:OQ7Vrtg2 [2/4] m 報告
また、全体を見回してみると、円形のフィールドを囲むように漆黒の柱が何本も建っているのが確認できた。

その柱には真っ赤な炎が揺らめく松明が飾られており、まるでトレーナーとポケモンを鼓舞するかの如く燃え盛っている。

この、戦いと静寂を織り交ぜたような不思議な空間。

ごく一部の人間とポケモンは、この雰囲気に何となく見覚えがあった。

すると、選手用観客席にてシロナが次の瞬間、この戦場の見た目について感想を述べる。

「この空間……」

「……まるで、“チャンピオンの間”のようね」

この感想はどうやら的を射たようで、彼女の周りで同じく試合を観戦する選手達が全員納得したのだった。

そう、レッド達がこれから戦うこの空間は、チャンピオンが挑戦者を待つ部屋をイメージして作られたモノ。

旅を始めたトレーナーが、激戦の末最後に辿り着く、終焉の、あるいは決着の地。

今回のPWT挑戦者なら誰もが通った場所だ。

「決勝戦の舞台はこの、“ラストステージ”!」

「最後の戦いに相応しい、シンプルな実力を競える戦場です!」

決勝戦だからこそなのか、天候も地形も関係なく、単純な力と力のぶつかり合いが行える場所が選定された。

戦いは頂点にして原点に立ち返る。
238 : mTQB7XkZdk 18/06/05 00:15:47 ID:OQ7Vrtg2 [3/4] m 報告
頂きへの挑戦者達にとっては、これは好都合な展開と言えよう。

何も難しいことは考えず、思いっきり、のびのびと戦えるわけなのだから。

「では――」

「――バトルスタート!」

ついに始まった。

全世界の王者を決める、歴史的な聖戦が。

この戦に勝利を収めし者が、歴史に栄光を刻む。

彼らが欲するのは、ただ一つのもの。

“最強の称号”、それだけだ。

「いくぞ、ピカチュウ!」

「ピカァッ!」

一足早く声を張り上げたのは、シロガネ山の主にしてカロス地方を歩む冒険者、レッド。

相棒のピカチュウに、このバトル最初の指示を繰り出す。

「メガヤンマに、10まんボルト!」

「ピカァァッ!」

ピカチュウが鳴き声をあげた瞬間、彼の周りを黄色の電波が覆う。
239 : mTQB7XkZdk 18/06/05 00:16:41 ID:OQ7Vrtg2 [4/4] m 報告
バチバチと音を立ててその電力は上がっていく。

電圧が10万Vに達した時、それは電撃となって唸りをあげた。

宙を走る10まんボルト。

疾風怒濤の一撃は目線の追随を許すことなくメガヤンマに襲いかかる。

「メガヤンマ、サイコキネシス!」

「ヤンッ!」

だが、この速度に追いつくポケモンがここに一匹。

オニトンボポケモン・ヤンヤンマは羽音のテンポを加速させながら強力な念力を発する。

空間を捻じ曲げるサイコキネシスは、10まんボルトの行く手を阻む障壁となった。

電流は空間上のその特異点にて動きを停止し、やがて行き場を失って辺りに電力を分散させる。

ピカチュウの速攻は、メガヤンマによって相殺されてしまった。

これが、PWTラストバトルのスピード。

「おい、なんつー速さだアレ……」

「一生かけても追いつける気ィしねぇぞ……!」

それは、一般的なトレーナー達に、己が追いつくことを完全に諦めさせるレベル。
240 : コン@かえんだま 18/06/05 16:32:16 ID:GQMVrHHc 報告
まってた
支援
241 : mTQB7XkZdk 18/06/06 00:47:57 ID:XVnmy0Q. [1/5] m 報告
類稀なる才能を持ち、血の滲むような努力を重ね、数多の死線を掻い潜った猛者のみが辿り着ける次元。

同じ世界の住人とは到底思えぬぐらいにデタラメな能力者同士がぶつかり合うことによって、その戦いは常人にとって最高に燃えるショーとなる。

「ゲッコウガ、ジュナイパーにみずしゅりけん!」

ゲッコウガの両手に、水のエネルギーが集まっていく。

そのエネルギーは徐々に、古来より忍者が扱う武器・手裏剣の形を成していった。

そしてその鋭利な刃は、ゲッコウガによって水飛沫を散らしながら数回に渡って撃ち放たれる。

空を裂く多段攻撃が、ミヅキのジュナイパーに迫る……!

「ジュナイパー、リーフブレード!」

「ジュナ」

だが、それに対抗するはジュナイパーの技。

鋭い葉を幾つも重ね合わせ一本の刀を作りそれを振り払って攻撃する、リーフブレード。

ジュナイパーが薙ぐそれは威力が別段に高く、ゲッコウガが放った水の手裏剣を軽く斬り伏せてしまう。

真っ二つに割れた手裏剣は勢いを失ったことで単なる水となり虚しく辺りに飛び散っていっていく。

その後もジュナイパーはバッサバッサとみずしゅりけんを立て続けに斬っていき、最後までその身を守り切った。

この速く鋭いジュナイパーの動きに、カルムは驚きのあまり思わず息を飲んでしまう。
242 : mTQB7XkZdk 18/06/06 00:48:23 ID:XVnmy0Q. [2/5] m 報告
「ゲッコウガのみずしゅりけんを、こうもあっさり割るか……!」

みずはくさに対して確かに不利であるが、いくらなんでもこんな簡単に技が破られてしまっては敵わない。

だが、攻撃が防がれてしまった今、次にカルムが意識を向けるべきは敵の反撃だ。

「今度はこっちの番だね!ジュナイパー、かげぬい!」

「ジュナァ」

カウンターを仕掛けるミヅキが打ち出した策は、かげぬいという聞き慣れない技。

初見の技なだけに警戒するカルム。

すると次の瞬間彼の目に映ったのは……。

「これは……影!?」

影。

今、ゲッコウガの影が大きく拡大している。

不穏かつ不自然な光景だ。

もしこれがかげぬいの前兆であるなら、絶対にこの影から注意を逸してはならない。

「気をつけろ、ゲッコウガ!」

「ゲロッ」
243 : mTQB7XkZdk 18/06/06 00:48:51 ID:XVnmy0Q. [3/5] m 報告
ゲッコウガに警戒を促すカルム。

そして。

「今だよジュナイパー!撃って!」

「ジュナッ」

ミヅキの指示と同時に、ジュナイパーはどこからともなく木と草でできた一本の矢を取り出した。

すると次に彼は、左腕を突き上げる。

この時彼の左手は、自身の胸部から生えているロープ状の部位を引っ張っており、全体的にまるで弓のような形を作っている。

そして彼は、先程取り出した矢を弦のように伸びている部分に引っ掛けると、それを……。

……弓矢の如く引き絞って、射った!

「かわすんだ!」

「ゲロッ!」

この矢による攻撃がかげぬいという技なのだと認識するや否や、カルムはすぐさまゲッコウガに回避の指示を出す。

矢の速度は決して速くはなく、ゲッコウガの俊敏さならば余裕でかわせる。

ゲッコウガはしっかりと矢の軌道を確認したうえで、的確な回避をとった。

だがこの時、不可解なことが起こる。
244 : mTQB7XkZdk 18/06/06 00:49:23 ID:XVnmy0Q. [4/5] m 報告
ゲッコウガの影が、先程までいた地点から移動した地点まで、まるでゴムのように伸びているのだ。

そして放たれた矢は、最終的にその影に突き刺さる。

すると……。

「……何!?」

「ゲロォォッ!?」

ゲッコウガが突然、悲鳴をあげた。

矢が当たっていないのにだ。

ゲッコウガの体には何一つとして損傷の痕跡は無い。

にも関わらず、ゲッコウガは今、確かなダメージを受けている。

「ふふっ」

作戦通りにいったということか、ミヅキはしてやったりという表情で微笑んだ。

「バカな、矢はゲッコウガに当たっていないのに何で……!?」

一方でしてやられたカルムは、今目の前で起こっている不可思議な現象に焦る様子を見せる。

だがこの時、カルムの脳裏をあの影の存在が過る。

そう、この現象にからくりがあるとすれば、あの影がそうだ。
245 : mTQB7XkZdk 18/06/06 00:49:54 ID:XVnmy0Q. [5/5] m 報告
かげぬいの指示と同時に膨張を始めたゲッコウガの影に、カルムは今一度目をやる。

すると、ゲッコウガの影にはジュナイパーの放った矢が突き刺さっていた。

あの時は単に矢が外れただけだとばかり思っていたが……。

……もし、矢が最初から狙っていたのがこの影だったとすれば。

その推測をした瞬間、カルムの中で渦巻いていた謎が晴れ渡った。

「……待てよ、まさかこの影に矢が刺さったことで、ゲッコウガにダメージが及んでいるのか!?」

「あっ、バレちゃった」

矢が影を介してゲッコウガにダメージを与えていたことが判明する。

「ゲロッ……!」

「クソ、大丈夫かゲッコウガ!」

ここでカルムは、かげぬいという技の本当の意味を知る。

このように“影を縫い付ける”から“かげぬい”なのだと。

「流石カロスのチャンピオンさん!洞察力が普通の人とは桁外れだね」

「貴方の言う通り、かげぬいは相手の影を矢で縫い付けて攻撃する技」

「だから本体が居なくてもそこに影さえあれば、攻撃を当てることは可能なの!」
246 : ツベイ@タンガのみ 18/06/10 10:48:52 ID:hA3wgdl. 報告
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