【SS】ボーマンダ「こんな生活……」:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】ボーマンダ「こんな生活……」:ポケモンBBS

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【SS】ボーマンダ「こんな生活……」

 ▼ 1 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:20:27 ID:y2RzWaGQ [1/50] NGネーム登録 NGID登録 報告


季節は夏……

生暖かい風が吹く、深い深い夜……

とある町の片隅に、寂れたコンビニがあった……





深夜にもかかわらず、店の自動ドアが開き、大学生と思われるポケモン達が数匹入ってきた……


ボーマンダ「いらっしゃいませー」


深夜バイトのボーマンダはレジ周りの掃除をしながらいつも通り、機械のように気持ちのこもっていない挨拶をする……

 ▼ 2 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:24:44 ID:y2RzWaGQ [2/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


店に来たそのポケモン達は雑誌が並ぶ棚の前に座りこむと、今日発売の漫画雑誌を手にとって読み始めた……



グランブル「なんだよ……今週は休載だってよ……ガンピース」

アリゲイツ「えぇ……また休載か? ま、俺は読んでないからいいけど」

ヤルキモノ「やっぱチーゴ100%は最高だわ!」


ボーマンダは不機嫌そうな顔で大きな溜め息をつくと、レジを出て三匹の学生のもとに歩み寄った。
 ▼ 3 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:27:49 ID:y2RzWaGQ [3/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「すみませんお客様……立ち読みはご遠慮お願いします」


グランブル「あ? 俺達座って読んでるから座り読みだぜ?」

ヤルキモノ「ぎゃはは! 本当それだわ!」


ボーマンダ「っ……」


ボーマンダは顔をひきつらせた……


ボーマンダ「ほ、他のお客様の迷惑になりますので……」


グランブル「他に客なんていねぇからいいじゃねぇかよ!」


確かに深夜と言う事もあり、他に客など一匹もいない……

 ▼ 4 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:31:10 ID:y2RzWaGQ [4/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「……はぁ……」


ボーマンダは小さく溜め息をつくと、レジに戻った……


また、学生達の笑い声が聞こえる……


ヤルキモノ「ぎゃはは!」

グランブル「あー……こんな所でおしまいかよ……続きが気になるー!」


ボーマンダ「(あー……うるせぇ……ただでさえこっちは夜勤で頭が痛いのによぉ……)」


ボーマンダは頬杖をつき、また溜め息をついた。


ボーマンダ「(ほんと、なんで俺だけがこんな……)」

 ▼ 5 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:36:04 ID:y2RzWaGQ [5/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


数分後……


学生達は漫画雑誌を読み終えると、何も買う事は無く、また騒ぎながらコンビニを出て行った……


ボーマンダはまた、機械の様に気持ちのこもっていない挨拶をした。


ボーマンダ「ありがとうございましたー」



三匹の学生が出て行くと、再びコンビニは静けさを取り戻した……


他にはバイトもおらず、客もいない……


ボーマンダは虚ろな目で天井を見つめた……


ボーマンダ「くそ……あのアホ共め……大学舐めるなよ? 絶対後で死ぬほど後悔するからな?」


 ▼ 6 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:41:08 ID:y2RzWaGQ [6/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告







俺はボーマンダ


数年前に大学を卒業したんだが……就活に見事に失敗して、なんだかんだでフリーターだ……


安定しない収入……


夜勤続き、やりたい事は山ほどあるのに遊ぶ暇の無い毎日……


そうして溜まっていくストレスや将来に対する不安……


正直、俺はこんな生活に嫌気がさしてる……


これは、そんな平凡な……いや、平凡以下の俺のもとに舞い降りた、小さな奇跡……





 ▼ 7 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:42:12 ID:y2RzWaGQ [7/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告









一、悪魔の囁き×俺の嘆き








 ▼ 8 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:45:52 ID:y2RzWaGQ [8/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



バイトを終えたボーマンダはコンビニの裏口からヨロヨロと姿を現した……


ボーマンダ「まぶし……」


この季節になると、朝の5時でも既に太陽は昇り始め、辺りは明るくなってきている……


ボーマンダは遠くに見える眩しい朝日に目をショボショボさせながら町を歩き始めた……


ボーマンダ「ふぁあ……眠い……早く帰ろ……」


 ▼ 9 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:49:39 ID:y2RzWaGQ [9/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


酷く疲れた顔をしたボーマンダは、ポケモンの通りの少ない静かな朝の町を歩き続ける……


ボーマンダ「ほんと、こんな生活でいいのか? 俺……」


ボーマンダはそう呟くと俯き、自分の真っ黒な影を見つめながら歩く……


そんな時立った……
 ▼ 10 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:50:30 ID:y2RzWaGQ [10/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告










?「げへへ……変えたいのかぁ? 今の生活を……げへへ、げへげへ……」








 ▼ 11 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:52:55 ID:y2RzWaGQ [11/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「っ!?」


ボーマンダは突然聞こえた不気味な声に辺りを見渡したが……誰もいない……


ボーマンダはコツンと頭を叩いた。


ボーマンダ「幻聴か……早く帰らねえと……」


ボーマンダは再び歩き出そうとしたが……

 ▼ 12 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:53:28 ID:y2RzWaGQ [12/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告










?「幻聴なんかじゃないぜぇ! げへへ!」








 ▼ 13 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:55:42 ID:y2RzWaGQ [13/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

突然、ボーマンダの足元の影がグニャグニャと形を変え始めた!


ボーマンダ「!?」


影は伸びて……縮んで……形を変え続ける……


ボーマンダ「え……な、なんだこれ!?」


 ▼ 14 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:59:05 ID:y2RzWaGQ [14/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダから伸びた影から黒い何かが飛び出し、ボーマンダの前に降り立った……


ボーマンダ「!!」


ボーマンダは突然の出来事に、口をぽかんと開けていた……


?「よぉ……」


黒い影から現れた影の様に真っ暗なそいつはニヤニヤと不気味な笑顔を見せた……


 ▼ 15 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:01:44 ID:y2RzWaGQ [15/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダは目をこすった……


しかし、何度目をこすっても、目の前には影の塊の様な何かが……


ボーマンダ「……だ、だめだ……早く寝ないと……今度は幻まで……」


?「幻じゃねぇよ……俺は」


ボーマンダ「……」


ボーマンダは黙って歩き出した。


?「っておい! 無視するなっ!!」

 ▼ 16 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:04:41 ID:y2RzWaGQ [16/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


とあるマンションの三階……




ボーマンダは鍵を差し込み、自分の部屋のドアを開けた。


ボーマンダ「ただいまーっと……」


ボーマンダは部屋に入ると呼吸を整え……そして、ドアを少しだけ開けて外を見た……



あの黒い影の塊が息をきらせながら短い足でこちらへ走ってくる……



?「ま、待てよ! 待てって言ってるだろ!」



ボーマンダ「……」


ボーマンダはドアを閉め、鍵をかけた。
 ▼ 17 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:08:59 ID:y2RzWaGQ [17/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「はぁ……精神的にもかなりきてるのかもな……早く寝よ……」


ボーマンダは寝室に入るとベッドに飛び乗り、頭から布団を被った。


ボーマンダ「……」


するとその時、黒い影の塊が壁をすり抜けて寝室に走り込んで来た。


?「はぁ……はぁ……お前いい加減にしろよ!!」


ボーマンダ「うわっ!? さっきから何なんだよ!! 幻ならさっさと消えてくれよぉ!!」




 ▼ 18 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:14:13 ID:y2RzWaGQ [18/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダは再び布団を被った。


?「はぁ……はぁ……だから言ってるだろ……俺は幻なんかじゃ……ない……」


ボーマンダ「だったらなんなんだよぉ!」


影の塊はニヤリと笑った……


?「俺は……俺の名前はゲンガーだ……いわゆる悪魔って奴だ……」


ボーマンダ「悪魔……?」


ゲンガー「そうだ、この世界では一般的にそう呼ばれている……」



 ▼ 19 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:19:22 ID:y2RzWaGQ [19/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

悪魔と名乗るそいつはボーマンダの被っていた布団を取っ払った。


ボーマンダ「あっそうか……悪魔が来たって事は、俺はもう死ぬのか……ま、最近夜勤続きで体調崩してたからな……仕方ないか……」
 

ゲンガー「おいおい、俺は悪魔だぜぇ? 死神と勘違いしてないかぁ?」


ボーマンダ「ん……そうだな……じゃあ、悪魔がなんで俺の所に?」


ゲンガーは不気味に笑った……


ゲンガー「お前……こんな生活に満足してるのかぁ?」


ボーマンダ「!」


ゲンガー「どうなんだぁ?」


ゲンガーは何かを期待するかの様にニヤニヤしている……


ボーマンダはしばらく黙っていたが……

 
ボーマンダ「……俺は……昔はもっといい未来が待ってるって思ってた……」
 ▼ 20 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:23:40 ID:y2RzWaGQ [20/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告






学生の頃はそこそこ勉強も出来て、それなりにメスにもモテた……



友達も結構いたし、こんな事自分で言うのもあれだけどよ……人気者だった……



いわゆるリア充って奴だった……はずだった……



でも、就活を失敗してから俺は狂い始める……



友達はどんどん就職を決めていくのに……俺だけとり残されて……



必死になればなるほど空回り……



気がつくと、俺は大学を卒業してフリーターになっていた……






 ▼ 21 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:28:04 ID:y2RzWaGQ [21/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




ボーマンダ「現実ってのはそんなに甘くなかった……今更だけど、俺は少し調子にのりすぎていたみたいだ……」


ゲンガーはニヤニヤしながらベッドに飛び乗った。


ゲンガー「そんな事知ってるぜぇ! なんせ俺はずーっとお前の影の中からお前を見てきたからなぁ!」


ボーマンダ「!!」


ゲンガー「確かに、就活はお前を少しは狂わせたかもしれねぇ……けどよ、お前を狂わせた本当の原因は就活の失敗なんかじゃあないぜぇ? お前だって心のどこかではわかってるんだろぉ?」


ボーマンダ「……」




 ▼ 22 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:32:55 ID:y2RzWaGQ [22/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





お前は小学生の頃からそこそこ賢くて、勉強せずともなかなかの成績だった。


それに運動も出来た……


確かに、クラスの人気者だったな……



中学生の時、親友のハクリュー、ガバイトと同じ学校に行きたい事を理由に、お前はエリート高校の受験を放棄した……


親友二匹と同じ、一般レベルの学校を受験し難なく合格。なかなか充実した高校生活を送った……

 ▼ 23 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:38:31 ID:y2RzWaGQ [23/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


大学も同じ理由で良くも悪くも普通の大学を受験……


また、同じ様に大学で充実した生活を送るはずだった……



でも、お前は勉強を怠りすぎた……



努力を知らないお前は……大学も同じ様にいくと思ってたろ?


違ったんだよなぁ……世界はそんなに甘くねぇよ……げへへ……



遊び呆けていたお前は単位をお落とし続ける事になる……


それでも遊び癖は抜けなかった……


旅行に合コン、ゲーセン……他にも色々……



いざ、就職活動を始める頃には……何の取り柄もない、平凡以下のポケモンに成り下がっていたなぁ! げへへへへへ!!





 ▼ 24 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:45:43 ID:y2RzWaGQ [24/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「……本当に全部見てたんだな……」


ゲンガー「そうだぁ! だって俺はお前の専属の悪魔だからなぁ! げへへ!」


ボーマンダ「専属?」


ゲンガー「悪魔ってのは俺だけじゃねぇ。この世界に住むどんなポケモンにも必ず専属の悪魔がいるんだ! お前の場合は俺が専属の悪魔って事だ!」


ボーマンダ「で? その専属の悪魔が俺なんかに何の用だ?」


ゲンガーはニヤリとした……


ゲンガー「お前にチャンスをやろうと思ってな……げへへ……」


ボーマンダ「チャンス?」


ゲンガー「そうだぁ……お前のこれからを変えるチャンスだぁ……」


ゲンガーは短い腕を高くあげると……何もなかったはずの空間からペンと紙を掴み取った。


ボーマンダ「なんだそれ?」


ゲンガー「こいつは契約書だぁ……まずは黙ってこいつにサインしろぉ……」


ボーマンダはゲンガーから契約書を受け取った。



 ▼ 25 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:47:57 ID:y2RzWaGQ [25/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





契約書



悪魔との契約をここに認める。



闇より出でし、悪魔の力を解き放つ……



なお、全ての責任は、この契約書に名を記した者が持つ。






 ▼ 26 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:53:34 ID:y2RzWaGQ [26/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ボーマンダ「……なんだ……これ」


ゲンガー「さぁ、さっさとサインしなぁ……」


ゲンガーはペンを差し出した。


ボーマンダの心拍数が急激に上がった……


ボーマンダ「(さっきからこいつは壁をすり抜けたり……何も無い所から紙やペンを取り出したり……きっと本当の悪魔だ……いいのか? 俺……何が起こるかわからないんだぞ!?)」


汗がダラダラと流れ落ちる……


ペンを受け取ろうとするボーマンダの前脚が震えた……


ゲンガーはそれを見るとまた、ニヤニヤした……


ゲンガー「げへへ……さっさと名を書けよぉ……ここでチャンスを逃せば、ずーっとお前は夜勤のバイトを死ぬまでやって、一匹で暮らす……そんな残念なポケモンのまま、死んでいくんだぜぇ?」


ボーマンダ「っ!」
 ▼ 27 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:55:38 ID:y2RzWaGQ [27/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告







そうだ……よくわからないけど、何かが変わるなら……!



ここで逃せば……きっとこんなチャンスはもう来ない!!




 ▼ 28 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 02:58:20 ID:y2RzWaGQ [28/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ボーマンダは無意識のうちに、ペンを取り……気がつくと、契約書のど真ん中にでかでかと汚い字で自分の名を書いていた……



ゲンガー「げへへ……契約完了だぁ……」


ゲンガーは契約書をボーマンダから乱暴に奪い取り、宙に投げた……


すると、契約書は空中で突然青白い炎に飲み込まれ、燃え尽きてしまった……




 ▼ 29 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 03:01:25 ID:y2RzWaGQ [29/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ゲンガー「げへへ……力が……力がみなぎるぜぇ……げへ、げへへ……」


ゲンガーの体をを不気味な青白いオーラが包んでいる……


ボーマンダ「な、何が起こってんだぁ!?」


部屋の中に強い風が吹き、雑誌や紙屑が宙を舞う……



 ▼ 30 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 03:04:24 ID:y2RzWaGQ [30/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


しばらくすると、ゲンガーの体を包むオーラはゲンガーの体の中に吸い込まれ……そして、部屋に吹き荒れる風も止んだ。


次の瞬間、ゲンガーの不気味に輝く瞳がボーマンダを捉えた……


ボーマンダ「っ!」


ゲンガー「さぁ……これから始まるのはお前の生涯をかけたゲームだぁ……せいぜい楽しませてくれよぉ……げへへ……げへへへへ……」








げへへへへへへへへぇ!!!! 





 ▼ 31 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 03:08:08 ID:y2RzWaGQ [31/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



悪魔の不気味な笑い声が響く部屋の中、俺は突然起こった様々な出来事に少し混乱しつつも……これからの日々に妙な期待と恐怖を覚えていた……




その時……




ドンドンドン!!



どうやら隣の部屋のポケモンが壁を叩いたらしい……




ボーマンダ「あ……まだ朝方だからもう少し静かめで頼む……このマンション壁が薄いんだよ……」

   
ゲンガー「すまんすまん! げへへ!」







俺と悪魔の共同生活がこの日、始まったんだ。




続く
 ▼ 32 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 03:11:08 ID:y2RzWaGQ [32/50] NGネーム登録 NGID登録 報告
第一話おしまい

とりあえず完結が9月以降になるとこちらの都合で非常にまずいので、遅くても8月以内に完結させます。

できる限り1日一話更新を目標にしたいと思ってますのでよろしくお願いします。

では
 ▼ 33 黒の災い◆N/pP1Xva6I 17/08/20 06:44:24 ID:.vnNNasE NGネーム登録 NGID登録 報告
続きが気になる。支援です!
 ▼ 34 チルゼル@かくとうジュエル 17/08/20 07:22:21 ID:SuFmmnaw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 35 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 08:47:08 ID:y2RzWaGQ [33/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


朝日がカーテンの隙間から差し込み、ゲンガーの不気味な顔を照らす……




ボーマンダ「で? チャンスってなんだ? 本当に今の生活を変えられるのか?」


ゲンガー「げへへ……変えられるぜぇ……今より良くも……そして悪くもなぁ!! げへへ!!」


ゲンガーは不気味に笑う……


ボーマンダ「おい! 悪くもなるのかよ! そんなの聞いてねぇよ!! 今の契約取り消せ!!」


ゲンガー「契約書に書いてあっただろ? 全ての責任はこの契約書に名を書いたポケモンが持つってなぁ! げへへ!!」


ボーマンダ「はぁ!? 詐欺だ!! こんなの詐欺だ!!」


ボーマンダはゲンガー目掛けて枕をぶん投げたが……枕はゲンガーの体をすり抜けた。


ゲンガー「詐欺師じゃねぇよ! 俺は悪魔だぁ! げへへ!」


ボーマンダ「もー! なんだってんだよぉ!!」

 ▼ 36 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 08:54:44 ID:y2RzWaGQ [34/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダは再びベッドに飛び乗ると布団を被った。


ボーマンダ「これは夢だぁ……お願いだから夢って言ってくれぇ……」


ゲンガー「おいおい、落胆するのはまだ早いぜぇ?」


ゲンガーはベッドに飛び乗ると、ボーマンダの被る布団を取っ払った。


ボーマンダ「うぅ……」


ゲンガー「さぁ、お前にこれをやろう……」




ゲンガーが再び短い手を高くあげると……何も無かった空間から、また一枚紙切れを取り出して、それをボーマンダの顔の前に突きつけた。


ゲンガー「ほらよ」


ボーマンダ「契約書はもう書かねぇぞ!!」


ゲンガーは呆れた顔でボーマンダを見た。


ゲンガー「契約書じゃねぇよ、よく読め」


ボーマンダ「?」


その紙には、見たことのないよくわからない文字で何かが書いてある……


ボーマンダ「読めねーよっ! どうせどっかの国の言葉で書いた別の契約書だろ!!」


ゲンガーは溜め息をついた。


ゲンガー「だから違うって言ってるだろ? これはな……お前のこれからを決める運命の片道切符だぜ?」


ボーマンダ「?」




 ▼ 37 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 08:55:55 ID:y2RzWaGQ [35/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告










二、残念な俺×不思議な紙切れ








 ▼ 38 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:00:35 ID:y2RzWaGQ [36/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ボーマンダ「片道切符って……電車にでも乗るのか?」


ゲンガー「ちげぇよ、この紙をよく見ろ……真ん中に空欄が五個あるだろ?」



ボーマンダがその紙切れを見ると、中央に五つの長四角の空欄があった……



ボーマンダ「ああ、なんかそれっぽいのがあるな」


ゲンガー「この紙の空欄に書いた願いが叶うんだぜぇ? どうだ? すげぇだろぉ?」


ドヤ顔を決めたゲンガーとは違い、ボーマンダは驚くほどに冷めた目をしていた……


ボーマンダ「……嘘くせーな」

 ▼ 39 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:04:33 ID:y2RzWaGQ [37/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「嘘かどうかは試してみればいいだろぉ? ほら、このペンもセットでくれてやるよぉ」


ゲンガーは契約の時に使ったペンを差し出した……


ボーマンダはしばらく躊躇っていたが……


ボーマンダ「……そういや、腹減ったなぁ……」


ボーマンダは腹をさするとペンを手にとり、何かを書き出した……






ラーメンが食べたい







ゲンガー「げぇっ!? そんな願いでいいのかぁ!?」


ボーマンダ「どうせ冗談だろ? こんな事で願いが叶ったら苦労しねぇよ……」
 ▼ 40 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:07:01 ID:y2RzWaGQ [38/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その時……


ピンポーン……


ボーマンダ「ん? こんな朝っぱらから誰だ?」


ボーマンダはだるそうに玄関まで歩き、そしてドアを開けると……そこには岡持を持ったポケモンが立っていた。


ガオガエン「ラーメンおまち!」


ボーマンダ「はぁ!?」
 
 ▼ 41 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:10:40 ID:y2RzWaGQ [39/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ガオガエン「あれ? 出前の連絡しなかったか?」


ボーマンダ「してないけど……」


ラーメン屋の親父はポケットから紙切れを取り出した。


ガオガエン「げっ!? 届け先を間違ってただと!?」


ボーマンダ「おいおい……しっかりしろよ、おっさん……」


ガオガエンは岡持からラーメンを取り出し、ボーマンダに渡した。


ガオガエン「こっちの手違いで悪かったな! ここままじゃ麺が伸びちまうし、せっかくだから兄ちゃん食ってくれ!」


ボーマンダ「あ、ありがとう……」


ガオガエン「じゃあな!」


ガオガエンは走って帰って行った……


 ▼ 42 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:14:32 ID:y2RzWaGQ [40/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「……嘘……だろ?」


ボーマンダはドアを閉め、ラーメンを机の上に置いた。


ゲンガーはあの紙切れを見つめてニヤニヤしている……


ゲンガー「だから言っただろぉ? もったいねぇなぁ……せっかくのチャンスを棒に振る気かぁ?」


ボーマンダ「っ!」


ボーマンダはゲンガーの持っていた紙切れを奪い取った。



紙切れの空欄はあと4つ……


もちろん、擦っても先程書き込んだ文字は消えることは無い……
 ▼ 43 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:18:34 ID:y2RzWaGQ [41/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「おい! これ取り消せないのか!?」


ゲンガー「消せるわけないだろぉ? あ、願いを無かった事にはできるぞ?」


ボーマンダ「無かった事?」


ゲンガー「今の願いを無かった事にする。この場合、ラーメンが消えるって事だな! 別に願いの残り回数が戻る訳じゃねぇけどよ! げへへ!」


ボーマンダ「や、やめろ!! せめてラーメンは食わせろ!!」


ゲンガー「げへへ! ま、あと4つの願い、大事に使えよぉ! げへへ!!」


ボーマンダ「えええええっ!! マジかよぉ……」

 ▼ 44 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:20:56 ID:y2RzWaGQ [42/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「それより、さっさとそのラーメンを食っちまいなぁ! 麺が伸びちまうぜぇ?」


ボーマンダ「わかってる……いちいちうるせーな……」


ボーマンダは割り箸を取り、勢い良く麺をすすった……


すると、なんとも言えない味が口の中いっぱいに広がった……

 ▼ 45 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:21:53 ID:y2RzWaGQ [43/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告







油の味しかしないスープ……



こしのないベチャベチャの麺……



まずい、まずすぎる……!





 ▼ 46 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:24:39 ID:y2RzWaGQ [44/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダはあまりの不味さにむせて、麺を吹き出した。


ボーマンダ「げほぉっ!! まっず!! ぶほぉ!!」


ゲンガー「げへへ! なんだぁ? そのラーメン、そんなに不味いのかぁ?」


ボーマンダは涙を流しながらゲンガーの足にしがみついた。


ボーマンダ「お、おい! 悪魔! ラーメンを無かった事にしてくれぇ!! 頼む!! 不味すぎて死んじまうっ!!」


 ▼ 47 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:27:44 ID:y2RzWaGQ [45/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「げへへ、しょうがねぇなぁ……ほらよ」


ゲンガーが手をポンと叩くと、机の上のラーメンはどんぶりごと消えて……ついで、ボーマンダの口の中で暴れまわるその不味さも綺麗さっぱり無くなった。


ボーマンダ「はぁ……はぁ……助かった……」


ボーマンダはフローリングの上に倒れた。


ゲンガー「ま、これで俺の力が本物ってわかったよなぁ?」


ボーマンダ「あ、あぁ……さすがにもう信じた……」


 ▼ 48 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:31:27 ID:y2RzWaGQ [46/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガーはニヤニヤしながら紙切れを見つめた。


ゲンガー「この紙切れは運命を大きく変えるんだぜぇ……さっきも言ったが、使い方次第で勝ち組にもなれるし負け組にもなれる……この町にもこんな紙切れ一枚で負け組に転落した奴がいたなぁ……」


ボーマンダ「負け組……? そいつはいったいどうなったんだ?」


ゲンガーはその言葉ににやーっとした……




ゲンガー「幸せだった家庭は崩壊、一夜にして借金まみれになったって話しだ……」



ボーマンダ「!!」


 ▼ 49 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:35:23 ID:y2RzWaGQ [47/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「知り合いの悪魔から聞いた話だが……結局そいつは借金から逃れる為に自分の子どもに借金を全額押し付けて逃げ出したんだとよぉ……なかなか面白い話だろぉ?」


ゲンガーはボーマンダにぬっと顔を近づけた……


ゲンガー「ま、肩の力抜いて気楽にやろうぜぇ? げへへ!」


ボーマンダ「そ、そんな話聞いたら気楽になんてなれるかっ!! ……ふぁぁ……だ、ダメだ……眠くなってきた……」


ボーマンダは大きくあくびをすると、フローリングに横になり、そのままゆっくりと目を閉じて眠ってしまった……

 ▼ 50 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:38:48 ID:y2RzWaGQ [48/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ボーマンダ「ぐごぉぉぉ……」


ゲンガー「……夜勤明けじゃあ仕方ねぇかぁ……」


ゲンガーは机の上に紙切れとペンを置くと、死んだようにぐっすり眠るボーマンダの頬を撫でた……


ゲンガー「ま、せいぜい足掻けよ……そして、楽しませてくれ……げへ……げへへへへ……」






げへへへへへへへへへへへへぇえええ!!!





不気味な声が部屋中に響く……


すると、隣の部屋のポケモンが壁を叩いた。



ドンドンドン!!



ゲンガー「あ……げ、げへへ……」

 ▼ 51 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:40:17 ID:y2RzWaGQ [49/50] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





突然俺に舞い降りたこのチャンス……


どうでもいい事で一つ使っちまったのは惜しいけど……でも、あと四つもあるんだ!


これをうまく使えば……きっと俺は……!!






続く


 ▼ 52 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 09:41:11 ID:y2RzWaGQ [50/50] NGネーム登録 NGID登録 報告
第二話おしまい


とりあえず続きはまた明日です。


では
 ▼ 53 ルチャイ@ちかのカギ 17/08/20 12:07:31 ID:CWcvDbGk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 54 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 10:35:46 ID:3FD9NsoE [1/63] NGネーム登録 NGID登録 報告

あれから数時間後……


カーテンの隙間から見える空は既に暗くなり始めている……



ボーマンダ「うぅ……」


ボーマンダは冷たいフローリングの上で目を覚ました。


ボーマンダ「あれ? あの悪魔は……?」


ボーマンダは体を起こして部屋を見渡したが……どこにも悪魔の姿は無く、いつも通りの部屋だった。

 ▼ 55 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 10:41:20 ID:3FD9NsoE [2/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダ「……そうか、やっぱ夢か! 当たり前だよな! 悪魔なんていないんだよ! ははっ!」


すると突然、ボーマンダの影からゲンガーが顔をのぞかせた。


ゲンガー「夢じゃねぇよ! げへへ!」


ボーマンダ「ぎゃあっ!? 脅かすなっ!!」


ビビるボーマンダを見てゲンガーはニヤニヤしながら影から飛び出した。


ゲンガー「さて、一眠りしてスッキリしただろ? そろそろ二つ目の願いを決めようぜぇ」


ボーマンダ「うっ……突然願いって言われてもだな……金だろ? 酒だろ? 可愛いメスだろ?」


ゲンガー「げへへ……欲深くていいじゃねぇか!」


ボーマンダ「う、うるせーな……とりあえずは……うん! 金だな! 金はどれだけあっても困らねぇからな!」


ボーマンダはあのペンで机の上の紙切れに文字を書き込んだ。




大金持ちになりたい





 ▼ 56 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 10:42:02 ID:3FD9NsoE [3/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告










三、貧乏な俺×成金物語







 ▼ 57 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 10:46:22 ID:3FD9NsoE [4/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「げへへ! まるで子どもみたいにシンプルな願いだなぁ! まぁ、嫌いじゃないぜぇ!」


ボーマンダ「いちいちうるせーんだよ! これで俺は勝ち組! 大金持ちなんだよ!」


ボーマンダは大きく息を吸って……









ボーマンダ「さぁ、カモン! お金ちゃんっ!!」













しかし何も起こらない。
 ▼ 58 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 10:49:05 ID:3FD9NsoE [5/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダはゲンガーを睨んだ。


ボーマンダ「お、おい! どう言う事だよ! 金は!? 金はどこだよ!!」


ゲンガー「げへへ! 言い忘れてたけど、その紙切れに書いた事は絶対叶う訳じゃないぜぇ?」


ボーマンダ「はぁ?」


ゲンガー「あくまでその願いを叶えるためのチャンスが与えられるだけだぁ…… 」


ボーマンダ「えっと……どう言う事だ?」



 ▼ 59 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 10:58:17 ID:3FD9NsoE [6/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ゲンガー「さっきのラーメンの話で例えるとだなぁ……あれは本来誰かが注文したはずのラーメンで、ここに来る事なんて、絶対に起こるはずは無かった」


ゲンガー「でも、お前がそこに『ラーメンが食べたい』と書き込んだせいで、運命が書き換えられた。あの親父が間違ってここにラーメンを持ってくるって運命に……これが、お前に与えられたチャンスだ……」


ボーマンダ「え、ああ」


ゲンガー「例えばあの時、お前が居留守すれば、ラーメンは手に入らなかっただろ? お前がラーメン屋の親父と直接話した事でお詫びとして貰えた。」


ゲンガー「要するに、お前がそのチャンスに対してどうアクションを取るか? が大事になってくるんだぁ……」


ボーマンダ「なる程な」

 ▼ 60 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 11:05:16 ID:3FD9NsoE [7/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ゲンガー「だから金も……どこかできっとチャンスがあるだろうから、絶対に見逃すんじゃねぇぞぉ?」


ボーマンダ「わかった」


ゲンガー「さぁて、それじゃあ俺はしばらく影から様子を見させてもらうぜぇ! げへへへへ!」


ゲンガーは不気味に笑うと、ボーマンダの陰の中に溶け込んだ。


ボーマンダ「本当、何なんだよ……あいつはよぉ……」


悪魔と話しているだけでなんだかどっと疲れが溜まった気がした。


ボーマンダ「……」


ボーマンダがしばらくぼーっとしていた……その時、視界に掛け時計が飛び込んできた。


もう午後の7時をさしている。


ボーマンダ「ってやべっ!! そろそろバイトに行かねぇと!!」



ボーマンダは近くのレジ袋から菓子パンを一つ取り出すと、それを咥えて家を飛び出した……
 ▼ 61 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 11:20:23 ID:3FD9NsoE [8/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


午後8時……コンビニにて……



ボーマンダはいつも通り、レジに立った……


ボーマンダは大体いつも、夜の8時から朝の4時位までバイトをしている。


ボーマンダ「はぁ……あの悪魔のせいで疲れがまだとれてねぇよ……」


ボーマンダは首を鳴らすと店内を見渡した……


店の中には何匹かのポケモンが買い物をしている……

 ▼ 62 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 11:27:38 ID:3FD9NsoE [9/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「……」


ふと気になってボーマンダは足元の自分の影を見つめた……

すると、一瞬影がグニャリと形を変えた……


ボーマンダ「やっぱり……夢じゃないんだよな……」



ちょっと! 店員さん?



ボーマンダ「!」


気が付くと、レジの前に何匹かポケモンが並んでいた。


ミミロップ「早くしてよねっ! あたし急いでるんだからっ!」


ミミロップは菓子パンと千円札を乱暴に突き出した。


ボーマンダ「あっ、す、すみません!」


更にその後ろに並ぶポケモンが怒鳴った。


エモンガ「俺だって暇じゃねーんだよ! バイトはバイトらしく機械みたいに働け!」


ボーマンダ「すみません! すみません!!」



ボーマンダはひたすら謝りながら素早くレジをうった……


 ▼ 63 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 11:34:16 ID:3FD9NsoE [10/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

そうして列を作っていたポケモン達はどんどん帰って行った……


ボーマンダ「大変お待たせいたしました! 次のお客様……ってお前は!!」


列の最後に並んでいたのは、ボーマンダと長いつきあいの親友、カイリューだった。


カイリュー「ボーちゃん、久しぶりー!」


ボーマンダはカイリューから商品を受け取り、レジを打ちだした。


ボーマンダ「久しぶりだな! カイリュー! なんで今日はこんなコンビニに?」


カイリュー「いやぁ、ちょっとお腹がすいたからお菓子が欲しかっただけだよ」


 ▼ 64 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 11:39:49 ID:3FD9NsoE [11/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダ「ふーん……じゃ、合計850円な」


カイリューはお金を払い、商品を受け取ると……じっとボーマンダを見つめた……


カイリュー「……」


ボーマンダ「な、なんだよ?」


カイリュー「ボーちゃん、最近どう?」


ボーマンダ「どうって……別に何も? いつも通り、夜勤のバイトを頑張ってるだけだぜ?」


カイリュー「ボーちゃん、すごく疲れて見えるだよ? たまには休んだら……」


ボーマンダはため息をついた。


ボーマンダ「休みたいのは山々だけどよ……奨学金の返済とか、家賃とか……働かねぇと生きる事もままならねぇからな……本当、生きてるのが嫌になるぜ……」


カイリュー「そっかぁ……」

 ▼ 65 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 11:45:17 ID:3FD9NsoE [12/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


カイリューはまた、ボーマンダを見つめた……


ボーマンダ「な、なんだよ……そんなに見つめるな! なんか照れるだろ!」






カイリュー「ボーちゃん、変わったな」






ボーマンダ「へ?」


カイリューはレジ袋から先程買った紅茶を取り出して一口飲んだ。


カイリュー「昔の……あの頃のボーちゃんは……」


カイリューはどこか遠くを見つめ、目を細めた……


ボーマンダ「あの頃の俺は……?」


カイリュー「……いや、何でもないだ!」


カイリューは照れくさそうに笑った。


 ▼ 66 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 11:47:43 ID:3FD9NsoE [13/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「な、なんだよ! そこまで言われると気になるじゃねぇか!」


カイリューは歩き出した……


カイリュー「本当になんでもないだよ。今日はボーちゃんに会えて良かっただ! ボーちゃん、バイト頑張るだよ!」


ボーマンダ「お、おう……」



カイリューは手を振りながら、自動ドアの向こうの暗闇に消えた……



 ▼ 67 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 12:47:38 ID:3FD9NsoE [14/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


自分以外に誰もいなくなったコンビニでボーマンダは呟いた……


ボーマンダ「あの時の……俺……」


足元に広がる影からゲンガーが飛び出した。


ゲンガー「げへへ! 変わったか……あいつ、ぼーっとしてるくせになかなか面白い事を言うな!」


ボーマンダ「な、なんだよっ! 突然出てくるなっ!!」


ゲンガー「確かに、お前は昔とは色々と変わっちまったなぁ……」


ボーマンダ「お前まで……一体何がどう変わったって言うんだよ……」


ゲンガー「さぁな! そんな事より願いの事、忘れてねぇかぁ?」


ボーマンダ「あっ、忘れてた」


ゲンガー「おいおい、しっかりしろよ……ん? 客が来たみたいだぜ?」


ボーマンダ「え?」



ゲンガーはボーマンダの影の中に飛び込んだ。
 ▼ 68 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 12:52:29 ID:3FD9NsoE [15/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

自動ドアが開き、一匹のポケモンが入ってくる……


ボーマンダ「いらっしゃ……」


ボーマンダがそう言い終わるより速く、そのポケモンはボーマンダに駆け寄るとナイフを突きつけた。


ボーマンダ「っ!」


ワルビル「かっ金を出せ……!」


突然の出来事と恐怖のあまり、ボーマンダはその場にへたり込んだ。


ボーマンダ「ちょ、ちょっと待て! 落ち着け! まずはナイフを下げろ!」


ワルビル「うるさいっ! 早くしろ! 黙って金を出せぇ!!」


ワルビルの目は血走っている……


ボーマンダ「ま、マジかよ……なんで俺がこんな目に……」


 ▼ 69 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 12:56:43 ID:3FD9NsoE [16/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダの額からだらだらと汗が流れ落ちる……


もうだめだ……と思ったその時、影の中からゲンガーの声が聞こえた……



安心しろ……お前が残りの願いを叶えるまではお前を死なせはしない……



ボーマンダ「(っ! お前……)」



俺に任せろ……とりあえず立ち上がれ……



ボーマンダ「……」



 ▼ 70 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 13:00:26 ID:3FD9NsoE [17/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダは黙ってコクリと頷くと、ゆっくりとふるえる脚で立ち上がった……


ワルビルのナイフが再びボーマンダの首もとに素早く突きつけられた。


ワルビル「は、早くしろ!! さ、刺すぞ!!」


突きつけられたナイフの影と、ボーマンダの影……二つの影が重なったその瞬間、ボーマンダの影からゲンガーが相手の影に乗り移った!

 ▼ 71 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 13:14:30 ID:3FD9NsoE [18/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「っ!?」


ワルビル「ど、どうした? 早くしろって言ってるだろ! うぐっ!?」


突然、ワルビルはナイフを落として自分の首を掴んだ。


ボーマンダ「な、何が……っ!!」


ワルビルの影から飛び出したゲンガーがワルビルの背後から彼の首を締め上げている……


ワルビル「げほぉ! や、やめろぉ!! 助けてくれぇっ!!」


ワルビルはかすれた声で助けを求め続ける……


ゲンガーはニヤニヤしながらボーマンダに目で合図を送った……
 ▼ 72 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 13:18:21 ID:3FD9NsoE [19/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「や、やめろっ! やり過ぎだぞ!!」


ゲンガー「やり過ぎだぁ? こうでもしないとお前が死ぬ事になるぞぉ?」


ボーマンダ「いいから! もう許してやれ!」


ゲンガー「……けっ……甘すぎるぜぇ……お前はよぉ……」


ゲンガーはつまらなそうにボーマンダの陰の中に飛び込んだ……

 ▼ 73 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 13:22:34 ID:3FD9NsoE [20/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ワルビル「げほっ! がはっ!」


ワルビルはその場に倒れて苦しそうに咳き込んでいる……


ボーマンダ「お、おい……大丈夫か?」


ボーマンダはレジから出て、ワルビルに手を差し伸べた。


ワルビル「さ、触るなっ!!」


ワルビルは苦しそうにヨロヨロと立ち上がると、後ずさりをした。

 ▼ 74 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 13:26:00 ID:3FD9NsoE [21/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「何もしないから! とりあえず落ち着け!」


ワルビルは酷く怯えた顔をしてガタガタと震えている……


ワルビル「っ!!」




その時、ワルビルは見てしまった……


ボーマンダの影がグニャリと形を変え……その中から得体の知れない何かがこちらを見てニヤニヤしているのを……




ワルビル「ひ、ひぇっ! ひぇえええええぇぇっ!?」


ワルビルは一目散にコンビニを出て行ってしまった。

 ▼ 75 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 13:30:12 ID:3FD9NsoE [22/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダ「あっ! 待てよっ!!……あーあ、行っちまった……」


影からゲンガーが飛び出した。


ゲンガー「げへへ! 骨のない奴だな!」


ボーマンダはそんなゲンガーに呆れた。


ボーマンダ「はぁ……お前やり過ぎな……殺す気でやってたろ?」


ゲンガー「いいじゃねぇか! げへへ! ところであいつ、何か落としてったぜ?」


ボーマンダ「ん?」


見れば、自動ドア付近に何か紙切れが落ちていた……



 ▼ 76 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 13:33:20 ID:3FD9NsoE [23/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダはその紙切れを拾い上げた。


ボーマンダ「これは……宝くじだな」


ゲンガー「げへへ! もしやそれ、当たってるんじゃねーか? 調べてみろよ!」


ボーマンダ「あっそうか……これがチャンスだな?」


ボーマンダはスマホを取り出し、インターネットアプリを開いた。


ボーマンダ「えっと……宝くじ……当選番号……最新……」


 ▼ 77 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 13:39:29 ID:3FD9NsoE [24/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「どうだぁ? 当たってたかぁ?」


ボーマンダ「……」


ゲンガー「どうした?」


ボーマンダの額からぼとぼとと汗が落ちる……


ボーマンダ「う、嘘だろ? や、やべぇ……」


ボーマンダは宝くじとスマホの画面を何度も交互に見比べる……


ボーマンダ「さ、さささ三億円……当選だってよ……」


ゲンガー「おお! そりゃよかったな! げへへ!」


 ▼ 78 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 13:43:29 ID:3FD9NsoE [25/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダは息を大きく吸い……そして…… 


ボーマンダ「やったあああああああああああああっ!!」


ボーマンダはレジを飛び越えるとくるくる回りながらスキップして、あちらこちらへ店内を駆け回る……


ゲンガー「おいおい、はしゃぎすぎだろ……」


呆れた顔したゲンガーとは比べ物にならない程にボーマンダは飛んだり跳ねたり嬉しそうだ。


ボーマンダ「だってよ! 三億!! これから一生働かなくても大丈夫!! 遊びまくるぞっ!!」


ゲンガー「ま、良かったじゃねぇか……げへへ!」

 ▼ 79 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 13:48:29 ID:3FD9NsoE [26/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

その時、自動ドアが開いて客が一匹入ってきた。


ボーマンダ「あっ、やべっ!!」


ボーマンダは走ってレジに戻ると、いつもの様に気持ちのこもっていない挨拶……ではなく、満面の笑みで深く頭を下げ……


ボーマンダ「いらっしゃいませーっ!!」


客としてコンビニにやって来た常連のザングースは、そんなボーマンダの挨拶に少し驚いた。


ザングース「お、どないしたんや? バイトのにーちゃん。なんかええ事あったんか?」


ボーマンダ「ま、まぁ……へへっ!」


ザングース「ほーん……良かったな! いっつもにーちゃんつまんなそうに仕事しとるからな……ま、それは置いといて……いつものタバコ一箱くれや!」


ボーマンダ「はい!」


 ▼ 80 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 13:51:49 ID:3FD9NsoE [27/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告







その日のボーマンダは、これまでの彼とは比べ物にならない程に気持ちのよい仕事っぷりだった……


ボーマンダはその日、店にやってきたお客の一匹一匹に全力の接客をした……







そんなこんなで時は流れ、朝日が街を照らし始める頃……
 ▼ 81 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 13:58:36 ID:3FD9NsoE [28/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



バイトを終えたボーマンダは疲れ一つ無い顔で、家に向かってスキップしていた……


ボーマンダ「三億円っ! 三億円!」


上機嫌のボーマンダの影からゲンガーが顔を覗かせた。


ゲンガー「めちゃくちゃご機嫌だな……バイトも今日付けで辞めちまって……本当に良かったのかぁ?」


ボーマンダ「だってよ! 三億だぜ!? わざわざ働く必要があるかよ! っと危ねぇ! あまりでかい声で話してるとこのくじを盗まれるかもだな……」


ゲンガー「ま、その時は俺がどうにかしてやるから安心しなぁ! げへへ!」


ボーマンダ「よしっ! 今日はさっさと帰って寝る! 昼になったら換金しに行くか!」


ゲンガー「お前が嬉しそうで俺も嬉しいぜぇ! げへへ!」


ゲンガーは再び影の中に溶け込んだ。


ボーマンダ「今日から俺は大富豪! これまでとは違うんだ! へへっ!」 



朝日が照らすポケモンの通りが少ない町……ボーマンダはスキップしながら家に向かった……


 ▼ 82 キジカ@モーモーミルク 17/08/21 15:11:27 ID:OuDM6up. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 83 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 16:53:00 ID:3FD9NsoE [29/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

町がオレンジ色に染まる頃…… 


ボーマンダの部屋にて……



ベッドの上でスマホをいじるボーマンダの周りには、無数のリンゴマークのカードが散らばっている……


ボーマンダ「しゃっ! やっと最強キャラ来たっ!」


ボーマンダのスマホをゲンガーが不思議そうに覗いた。


ゲンガー「そんなゲームごときに何万円も費やして……よかったのか?」


ボーマンダ「んー……金はまだまだ余るほどあるから別に後悔はしてないぜ? でも、欲しいキャラが出たらこのゲームもどうでもよくなってきたな……」


ボーマンダは近くに転がっている無数の札束のうち一つを掴んだ。


ボーマンダ「課金したうえに奨学金を全額返済しても全く減りそうにないな! へへっ!」


ゲンガーは呆れた表情でボーマンダを見つめた。


ゲンガー「もっとましな使い方をしろよ……」


ボーマンダ「そうだな……じゃ、とりあえず外に出てみるか!」


ボーマンダは札束を一つ、カバンに突っ込んで家を飛び出した。


ゲンガー「お、おいっ! 待てよっ!」


ゲンガーは短い足でボーマンダを追いかけた。

 ▼ 84 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 16:56:24 ID:3FD9NsoE [30/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




夕闇が空を覆い始めた頃……



ボーマンダの住む辺りから少し離れた所に騒がしい街があった……


街には、帰宅途中のサラリーマンやOL……数匹で集まり騒ぐ学生達……


街の隅にはダンボールの上に座る、薄汚いポケモンもちらほら……



ボーマンダとゲンガーはそんな街を歩く……



 ▼ 85 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 17:05:26 ID:3FD9NsoE [31/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダ「でっけーテレビとかノートパソコンも欲しいけど……この辺り、電気屋が無いんだよな……」


ゲンガー「げへへ、お前の欲望は底無しだな!」


ボーマンダ「そういやお前ってさ、俺以外のポケモンに見えてるのか?」


ゲンガー「基本見えてるはずだぜ?」


ボーマンダ「おいおい……色々と大丈夫なのか? 腐ってもお前、悪魔なんだろ?」


ゲンガー「まぁ、あれだ。いくら俺の姿が見えようと、俺の事を悪魔だってわかる奴はそうそういねぇよ……げへへ!」


ボーマンダ「ふーん……それならいいんだけどよ……じゃあ、お前はこれから俺の友達って事にしといてくれ」


ゲンガー「友達だと?」


ボーマンダ「そのほうが色々と都合が良さそうだし、ごまかしもききそうだからな」


ゲンガー「そうか……わかったぜぇ、ボーマンダ君っ!」


ボーマンダ「うげっ!? やめろっ! その言い方っ! なんか気持ち悪いっ!!」


ゲンガー「げへへ!!」
 ▼ 86 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 17:09:33 ID:3FD9NsoE [32/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


二匹がそんな話をしていると、一匹のポケモンが駆けてきた。


ニューラ「ちょいとそこのおにーさん達っ! うちの店で遊んでかない?」


ボーマンダ「店?」


ニューラ「可愛い子がいっぱいいますよっ! はいっ!」


ゲンガー「いわゆるキャバクラか? げへ」


ニューラ「ま、簡単に言えば……で、おにーさん達どうします?」


ボーマンダ「そうだな……別に金も時間もあるし、行ってみようぜ?」


ニューラ「ありがとうございまぁす! こちらになりまぁす!」


二匹はニューラの後についていった……

 ▼ 87 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 17:14:03 ID:3FD9NsoE [33/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

二匹がやってきたのは、薄暗く……そして、様々な香水の混じったなんとも言えない香りが漂う怪しげな雰囲気の店…… 



二匹が店に足を踏み入れると、すぐさま沢山のメスのポケモンが出迎えてくれた。


メス達「いらっしゃいませー!」


ニューラ「ではお客様、こちらへ!」


二匹はニューラの後について行く……



ボーマンダはゲンガーに小声で話した。


ボーマンダ「こんな店、初めてなんだけど……なんか緊張するな」


ゲンガー「俺だって来たことねぇよ。ってか悪魔がこんな所に来ると思うか?」


ボーマンダ「さすがに悪魔は来ないか……そりゃそうだな」


 ▼ 88 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 17:22:41 ID:3FD9NsoE [34/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ニューラ「こちらの席へどうぞ!」


ボーマンダ「お、おう」


二匹はニューラに促されて豪華なソファにかけた。


ニューラ「こちら、失礼しますね」


ボーマンダ「ん?」


ニューラがメニューのような物を差し出した。


ボーマンダ「これは何だ?」


ニューラ「当店は指名制のクラブになっております! そちらからお好みのポケモンを選んでください!」


ゲンガー「だってよ。げへへ、どうするんだぁ?」


ボーマンダは黙ってニューラにメニューを突き返した。


ニューラ「へ?」


ボーマンダ「この店で一番人気の子を頼んだ。あと、一番高い酒もな? 金はあるから安心しろよ」


ボーマンダはカバンから札束をちらつかせた。


ニューラ「へ? は、はい! か、かしこまりましたぁ!!」


ニューラは走っていった……


ゲンガー「げへへ、お前ならそう言うと思ったぜ」


ボーマンダ「せっかく金があるんだからな……楽しまないとだぜ!」


ボーマンダはニヤリとした……

 ▼ 89 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 17:31:33 ID:3FD9NsoE [35/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


しばらくすると、ニューラが再びやってきた。


ニューラ「こちらのお客様です!」


?「はいはい、今行くから……」


暗闇から気だるそうな声が聞こえた……


ボーマンダ「さて、どんな可愛い子が来るのか……」


ゲンガー「げへへ!」


ニューラの後に続き、暗闇から一匹のポケモンが現れた……


ミミロップ「ご指名ありがとうございまーす……ってあなたは!?」


ボーマンダ「っ!? うちのコンビニの常連さん!?」


ゲンガー「あー、昨日も来たあの客だなぁ?」
 ▼ 90 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 19:00:32 ID:3FD9NsoE [36/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




昨日、コンビニにて……



ちょっと! 店内さん?


ボーマンダ「!」


気がつくと、レジの前に何匹かポケモンが並んでいた。


ミミロップ「早くしてよねっ! あたし急いでるんだからっ!」


ミミロップは菓子パンと千円札を乱暴に突き出した。


ボーマンダ「あ、す、すみません!」




 ▼ 91 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 19:04:22 ID:3FD9NsoE [37/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




ゲンガー「あの気の強そうなメス……まさか、こんな所で会うとはなぁ! げへへ!」


ミミロップ「し、失礼な事言うわねっ!」


ボーマンダ「ま、今回は俺が客だ。楽しませてくれよな!」


その言葉にミミロップは馬鹿にした様な目を向けた……


ミミロップ「そんな事より……あなた達、私を指名出来ると思ってるの? 私の指名料、コンビニバイト君なんかに払える額じゃないんだけど?」


ボーマンダはその言葉に顔を引きつらせた……


ボーマンダ「ほ、ほぉ……言ってくれるじゃねぇか……」


ニューラ「ま、まぁまぁ……お客様もミミちゃんもその辺で……」

 ▼ 92 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 19:08:46 ID:3FD9NsoE [38/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




ゲンガー「おい、見せてやりなぁ……」


ボーマンダ「わかってるって」


ボーマンダはカバンから札束を取り出して机に叩きつけた。


バンっ!


ボーマンダ「ほら、こんだけあれば足りるだろ?」


ミミロップ「!」

 ▼ 93 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 19:13:18 ID:3FD9NsoE [39/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ミミロップは突然の事に激しく動揺したが……やがて、落ち着きを取り戻すと、ボーマンダの隣に座った。


ミミロップ「バイト君……いえ、お客様……さっきはごめんなさい……あたし達はどんなお客様でも同じ様に接客しなきゃなのに……」


ボーマンダはニヤっと笑い、ミミロップの肩にゆっくりと手を回した……


ボーマンダ「別に気にしてねぇよ……わかってくれりゃあいいんだ……」


ボーマンダは札束をミミロップに渡そうとしたが……ミミロップはそれを押し返した。


ボーマンダ「?」


ミミロップ「でも、ごめんなさい……あたし、あなたの接客だけは出来ない……」


ゲンガー「……?」

 ▼ 94 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 19:18:00 ID:3FD9NsoE [40/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「ど、どうしてだよ!?」


ミミロップは立ち上がると、ボーマンダを見つめた……


ミミロップ「そのお金、どこで手に入れたのかわからないけど……アルバイトでコツコツ貯めたお金なのかな……もしそうだとしたら、こんな事なんかに使ったら絶対ダメだよ」


ボーマンダ「こ、この金は……」


ミミロップ「どんな形であれ、こんな大金……若いあなたがこんな事に……私のためなんかに使うなんてもったいないよ……」


ボーマンダ「……」


ミミロップ「今日はもう、帰ってくれないかな……1日でもいいから、もう一回考え直して?」


ミミロップの少し潤んだその瞳に、ボーマンダは返す言葉が見つからなかった……



そして……




ボーマンダ「……ちっ……わかったよ……」


ボーマンダはカバンに札束を突っ込むと、気だるそうに立ち上がった。


ゲンガー「お、おう……」


ニューラ「お、お客様!?」


二匹は店を出て行った……
 ▼ 95 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 19:23:28 ID:3FD9NsoE [41/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




ニューラ「み、ミミちゃん! 今日はどうしたんだい!?」


ミミロップはニューラに背を向けた……


ミミロップ「あの子……あたしがいつも通ってるコンビニのバイトさんなの……」


ニューラ「は、はぁ……」


ミミロップ「あたし、よくここの仕事で溜まったストレスをあの子や他のバイトさんにぶつけちゃうのよね……でも、あの子だけはこんなあたしにもしっかりした接客をしてくれる……根は真面目な子なのよ? あの子……」


ミミロップは別のテーブルに向かって歩き出した……


ミミロップ「そんなあの子だからこそ、間違った道に進んで欲しくないって心から思えるのかな……ここの店に通い詰めて破産したポケモンも沢山いるからね……あたし、あの子には幸せになってほしいの……」


ニューラはため息をついた。


ニューラ「ま、一応営業妨害になりかねないから、こんな事はこれっきりにして頂戴ね、ミミちゃん……」


ミミロップ「はいはい、わかってる」


ミミロップは笑った。




 ▼ 96 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 19:27:42 ID:3FD9NsoE [42/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




いつの間にか、空には大きな月が輝いている……


そんな夜空の下……街の大通りをボーマンダとゲンガーは歩いていた……




ボーマンダ「くそっ……なんだよ……」


ボーマンダは先程からずっと、イライラした様子である。


ゲンガー「ま、そんな気にするなよ。金の使い道なんていくらでもあるぜ?」


その時、突然ボーマンダが立ち止まった……


ゲンガー「げへ? どうした?」 


ボーマンダはゲンガーを見つめた……


ボーマンダ「なぁ、悪魔……」


ゲンガー「なんだぁ?」


ボーマンダ「金って一体何なんだろうな……」


ゲンガー「?」 


 ▼ 97 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 19:32:03 ID:3FD9NsoE [43/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダは夜空を見上げた……


ボーマンダ「俺はこれまでずっと、金のために働いてきた……奨学金の返済や、生活の為の金を稼ぐ為に……」


ボーマンダ「今のバイトじゃ生活もギリギリ……金がもっと欲しいってずーっと考えて生きて来たのによぉ……」


ボーマンダはカバンから札束を取り出して、それを見つめた……


ボーマンダ「いざ、手に入れてみたら……どうだ? 欲しかった物は手には入ったか? 俺が目指してたのはこんなにつまらない世界だったのか?」


ゲンガー「……」


ボーマンダ「もうよぉ……どうでもいいわ……」


ボーマンダは札を束ねていた紙を破り、札束を空へと放り投げた……


ゲンガー「げ、げぇっ!?」

 ▼ 98 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 19:35:01 ID:3FD9NsoE [44/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


無数の札がひらひらと宙を舞い……ボーマンダを包んだ……




な、なんだ!? あれは!!


お金よ!!


まじかよ!! 拾え拾え!!



気がつけば、ボーマンダの周りには金を拾いにきたポケモン達が群がっていた……


ゲンガー「おい! こんな事して……」


ボーマンダは悲しげな目で彼らを見つめ……やがて、彼らを押しのけて歩き出した……



ボーマンダ「行くぞ……」


ゲンガー「っ!……お、おう……」

 ▼ 99 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:00:33 ID:3FD9NsoE [45/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ボーマンダが群がるポケモン達の波から外へと踏み出したその時……聞き覚えのある声がボーマンダを呼び止めた……




ボーちゃん……




ボーマンダ「!」


ふと前を見ると……目の前にカイリューが立っていた……


ボーマンダ「カイリュー……お前、なんでここに……」


カイリューは泣きそうな顔をしていた……そしてまた、昨日と同じ言葉を放った……



ボーマンダ「ボーちゃん、変わったな」


ボーマンダはその言葉に怒りがこみ上げた。


ボーマンダ「昨日も……一体俺がどう変わったってんだよ!!」

 ▼ 100 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:02:43 ID:3FD9NsoE [46/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
>>99
下三行目ミスったので書き直します。



カイリュー「ボーちゃん、変わったな」


ボーマンダはその言葉に怒りがこみ上げた。


ボーマンダ「昨日も……一体俺がどう変わったってんだよ!」


 ▼ 101 エルコ@チャーレムナイト 17/08/21 20:09:26 ID:ASi1ADDk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
相変わらずガオガエンがいいキャラ

支援
 ▼ 102 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:10:59 ID:3FD9NsoE [47/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



カイリューがボーマンダにゆっくりと歩み寄った……


カイリュー「おらは……子どもの頃からずっとボーちゃんに助けられてきただ……田舎もんだから学校でもいじめられて……そんなおらをいじめっ子から助けてくれたボーちゃんは、おらのヒーローだっただよ」


カイリュー「でも、大学に行った頃からボーちゃんはどんどん変わっていっただ……これまで以上によく遊んで、学校にもあまり来なくなっただね……」


ボーマンダ「……」


カイリュー「昨日、おらはボーちゃんの事がなんだか急に心配になってコンビニに会いに行っただ……」


カイリュー「そしたら、ボーちゃんはやっぱり疲れた顔して働いていただね……奨学金もやっぱりまだ返済出来てなかっただ……あの時、おらを救ってくれたボーちゃんの面影は無かっただ……」


ボーマンダ「俺はどうせ落ちぶれたんだ……ごめんな、お前の事を助けてやれる様な余裕はもうねぇよ……」


ボーマンダが歩き出そうとしたその時……カイリューが呟いた……



カイリュー「別に、変わることは何にも悪くないだよ」

 ▼ 103 ンゲラー@クイックボール 17/08/21 20:12:29 ID:oh9KNRpc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
フライゴンとアローラ御三家のSSの方?
 ▼ 104 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:17:38 ID:3FD9NsoE [48/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


カイリュー「おらはそんなボーちゃんを見て、助けてあげたいって思っただ……恩返しがしたくなっただ……だから……」


カイリューの手には、札束が入った封筒があった。


ボーマンダ「!!」


カイリュー「せめて……せめて少しでも力になりたかったから、貯金を下ろして来た帰りだっただよ……でも……」


カイリューが見ると、先程までボーマンダが投げた札に群がっていたポケモン達はいつの間にかいなくなっていた……


カイリュー「なぁ! ボーちゃん! お金じゃないなら何をしたらいいだ!? おらは! おらは何をしたら……ボーちゃんを助けられるだ……?」


カイリューはその場に泣き崩れた……

 
 ▼ 105 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:23:11 ID:3FD9NsoE [49/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダはそんなカイリューを見つめている事しか出来なかった……


ボーマンダ「俺は最低だ……」


ゲンガー「……」


ボーマンダ「……なぁ、悪魔……」


ゲンガー「……なんだ?」
 

ボーマンダ「金が欲しいって願った事、無かった事にしてくれ……」


ゲンガー「っ!? いいのか!? お前の家にある金も、あのゲームの欲しかったキャラも、奨学金を返済した事も、全部全部全部無かった事になるんだぞ!?」


ボーマンダは遠い夜空を見上げた……


ボーマンダ「いいんだ……俺はカイリューの思いが聞けただけで腹一杯だ……」



ボーマンダの瞳から一筋の涙が流れた……


ゲンガーは溜め息を一つつくと……



ゲンガー「仕方ねぇな……」





ゲンガーが手をポンと叩くと……ボーマンダの目の前は真っ白になった……
 ▼ 106 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:28:16 ID:3FD9NsoE [50/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告








ん……ああ…………



ボーマンダが目を覚ますと、そこは自分の部屋……


隣を見れば、ゲンガーがいる……


ゲンガー「げへへ……取り消したぜぇ……これで全部無かった事になった……」


スマホの時計を見れば、午後の7時前……

日付も昨日の日付に戻っていた……



机の上に置かれたあの紙切れには、はっきりと『大金持ちになりたい』と、書かれている……


ボーマンダは微笑んだ……


ボーマンダ「……これでいいんだ……」


ゲンガー「本当、次の願いは慎重に決めろよな……」


ゲンガーはボーマンダの影に溶け込んだ……


ボーマンダ「わかってる! それよりバイトの時間だ!」



ボーマンダは菓子パンを一つ咥えると、家を飛び出した……
 ▼ 107 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:32:42 ID:3FD9NsoE [51/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


午後8時、あのコンビニ……


ボーマンダはいつも通り、レジについていた……



ボーマンダ「……」


影がグニャリと動き、ゲンガーの声が聞こえた……


ゲンガー「本当に良かったのか? こんなバイトしてても、入ってくる給料なんてオニスズメの涙だぜ?」


ボーマンダ「いいんだよ、少し位不便な方が俺にはお似合いだからな!」


そんな話をしていると……



ちょっと! 店員さん?



ボーマンダ「!」


気が付くと、レジの前に何匹かポケモンが並んでいた。



 ▼ 108 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:38:45 ID:3FD9NsoE [52/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ミミロップ「早くしてよねっ! あたし急いでるんだからっ!」


ミミロップは菓子パンと千円札を乱暴に突き出した。


ボーマンダ「うわっ! す、すみません!」


更にその後ろに並ぶポケモンが怒鳴った。


エモンガ「俺だって暇じゃねーんだよ! バイトはバイトらしく機械みたいに働け!」


ボーマンダ「すみません! ほんとすみません!!」
 


ボーマンダはレジを打ち、ミミロップに釣りとレシートを渡した。



ボーマンダ「お釣りとレシートです! ありがとうございました!」


ミミロップ「……」


ミミロップはお釣りを受け取ると、ボーマンダをじっと見つめた……


ボーマンダ「な、何か?」


強ばっていたミミロップの表情が優しくなった……


ミミロップ「さっきはきつく怒っちゃってごめんね、アルバイト、頑張ってね」


ミミロップはそういい残すと、菓子パンをかじりながら店の外へと歩いて行った……



ボーマンダ「あ、ありがとうございますっ!」

 ▼ 109 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:40:44 ID:3FD9NsoE [53/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



そんなこんなでレジに並んでいたポケモンはどんどん減って行き……最後にいたのはやはり、カイリューだった……



カイリュー「ボーちゃん、久しぶりー!」


ボーマンダ「やっぱり最後はお前か、カイリュー」


カイリュー「へ? ど、どう言う事だ? ボーちゃん?」


ボーマンダ「いや、なんでもねーよ」


 ▼ 110 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:45:05 ID:3FD9NsoE [54/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダはカイリューの持っていたお菓子を受け取ると、手際よくレジを打った。


ボーマンダ「合計850円な」


カイリューはお金を払い、商品を受け取ると……じっとボーマンダを見つめた……


カイリュー「……」


ボーマンダ「なんだ?」


カイリュー「ボーちゃん、最近どう?」


ボーマンダ「どうって……別に何も? いつも通り、夜勤のバイトを頑張ってるだけだぜ?」


カイリュー「ボーちゃん、すごく疲れて見えるだよ? たまには休んだら……」


ボーマンダは笑った。


ボーマンダ「そうだな! それじゃ、また今度、ガブを誘って三匹で飲みに行かねーか?」

 ▼ 111 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:49:52 ID:3FD9NsoE [55/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


カイリュー「……」


カイリューはまた、ボーマンダを見つめた……


ボーマンダ「な、なんだよ……そんなに見つめるな! なんか照れるだろ!」


カイリューはニッコリと笑った。


カイリュー「ボーちゃん、変わってなくて安心しただ!」


ボーマンダ「へ?」


カイリューはレジ袋から先程買った紅茶を取り出して一口飲んだ。


カイリュー「それじゃ、その時はおらが奢るだよ!」


ボーマンダ「おっ! いいのか?」


カイリュー「ボーちゃんもたまにはおらを頼って欲しいだ!」


カイリューは照れくさそうに笑った。



ボーマンダ「それじゃ、お言葉に甘えるとするかな!」



二匹は顔を見合わせ笑った。
       

 ▼ 112 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:52:06 ID:3FD9NsoE [56/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


カイリューは歩き出した……


カイリュー「今日はボーちゃんに会えて良かっただ! ボーちゃん、バイト頑張るだよ!」


ボーマンダ「おう!」



カイリューは手を振りながら、自動ドアの向こうの暗闇に消えた…… 






 ▼ 113 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 20:56:59 ID:3FD9NsoE [57/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


コンビニはボーマンダ一匹っきりになった……



ボーマンダの影からゲンガーが飛び出した。


ゲンガー「今度は変わってない……か……」


ボーマンダ「変わってない……いいじゃねぇか! それで!」


ゲンガー「俺にはよくわかんねぇな……っと、それよりお前、あいつの事を忘れてるんじゃないのか?」


ボーマンダ「あいつ?」


ゲンガー「ほら、お出ましだぁ」



ゲンガーが影に飛び込むと同時に自動ドアが開いた……


ボーマンダ「いらっしゃ……」


ボーマンダがそう言い終わるより速く、そのポケモンはボーマンダに駆け寄るとナイフを突きつけた……


ボーマンダ「っ!」


ワルビル「か、金を出せ……!」
 ▼ 114 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 21:03:27 ID:3FD9NsoE [58/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダは溜め息をついた……


ボーマンダ「まぁ落ち着け……お前、宝くじ持ってるだろ?」


ワルビル「っ!? な、なんでそれを!?」


ワルビルはナイフを下ろした。


ボーマンダ「こんな事しなくてもいいんだぜ? ほらよ」


ボーマンダはスマホで宝くじの当選番号をワルビルに見せた……


ワルビル「え……」


ワルビルは宝くじを取り出すと、画面と何度も何度も交互に見つめ……やがて……


ワルビル「やったぁああああ!! マジで!? マジでか!?」


ボーマンダ「よかったな、これで強盗なんてしなくて済んだろ?」


ワルビルはボーマンダの前脚をぎゅっと握った。


ワルビル「ありがとうございます! ありがとうございます! これで母さんの入院費が払えますっ!!」


ボーマンダ「っ!……そっか、母さんの為だったのか……良かったな、母さんを大切にな!」


ワルビル「はいっ!」

 ▼ 115 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 21:06:21 ID:3FD9NsoE [59/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダ「ま、店長には俺からうまく言っといてやるから……ほら、さっさと帰りな」


ワルビル「本当にありがとうございましたっ!!」


ワルビルは自動ドアの向こうの闇に消えた……



ボーマンダはそれを見送ると微笑んだ……



ボーマンダ「これで全部丸く収まったな……良かった良かった!」


ゲンガー「ま、これでお前が満足するなら……げへへ!」





 ▼ 116 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 21:10:52 ID:3FD9NsoE [60/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


そんなこんなで、朝日が町を照らし始める頃……



バイトを終えたボーマンダとゲンガーはポケモンの通りの少ない朝の町を歩いていた……



ボーマンダは歩きながら財布を覗いたが……財布にはたいした額は入っていなかった……


ボーマンダ「あー……今月もやべぇな……でも……」


ボーマンダは近くの自販機に千円札を突っ込むと、コーラを二本買った。


ボーマンダ「こう言うちょっとしたご褒美って奴がまた、最高なんだよな!!」


ボーマンダはコーラを一本ゲンガーに投げて渡した。


ゲンガー「お、いいのか?」


ボーマンダ「おう! 飲め飲め!」

 ▼ 117 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 21:16:17 ID:3FD9NsoE [61/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダはコーラを一瞬で飲み干すと……


ボーマンダ「ぐえぇぇぇっぷ!! あーっ! スッキリしたぜっ!」


ゲンガー「おまっ! きったねぇなぁ!」


ボーマンダ「うるせぇ! これが好きで俺はコーラを飲むんだよ!」


ゲンガー「はぁ……」


ボーマンダはコーラの空き缶を握りつぶすと朝日を見つめた……


ボーマンダ「これくらいのちっさい幸せが俺には丁度いいんだ……そうと決まりゃ、次のちっさい幸せに向かって頑張るかっ!」


ボーマンダは潰れた空き缶をゴミ箱に投げ捨てると走り出した。


ゲンガー「っておい! 走るな! 俺は走るのが遅いんだよ! 足が短いの知ってるだろ!!」 


ボーマンダ「へへっ! そんな事知らねーよっ!」


二匹は朝日が照らす町を真っ直ぐに走って行った……




続く


 ▼ 118 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 21:23:14 ID:3FD9NsoE [62/63] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
第三話おしまい。
長かった……


>>101
>>103
前のSS読んでくれた方ですねありがとね
今回もグダグダな更新になるだろうけど、良かったら最後まで見てってくれたら嬉しいです。
 ▼ 119 1◆v1GnTfaqxg 17/08/21 21:27:50 ID:3FD9NsoE [63/63] NGネーム登録 NGID登録 報告
一応前作のURLはるだけはっときますね(はれてなかったらごめんね)
このSSの続きのイメージで書いてますので、良かったら見てってくださいな。(別に読まなくても話はわかるから大丈夫ですよ。)
http://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=538560

こっちのSSより前の時系列のつもりです。はっきりしたつながりはないけど登場キャラがいくつかかぶってます。
http://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=597512


では、続きはまた明日ですね
 ▼ 120 ズゴロウ@うしおのおこう 17/08/21 21:28:35 ID:0hXLE1PU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 121 ースター@ザロクのみ 17/08/21 22:18:21 ID:rCfKMNLc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 122 テトプス@しんかのきせき 17/08/21 22:56:54 ID:4LlWA0DI NGネーム登録 NGID登録 報告
しーえん
 ▼ 123 ロピウス@くろいてっきゅう 17/08/21 23:31:20 ID:RtvKRYkw NGネーム登録 NGID登録 報告
よきかな
 ▼ 124 ャロップ@プレシャスボール 17/08/21 23:44:19 ID:tcE8mMgc NGネーム登録 NGID登録 報告
いいね
続きが気になる
支援
 ▼ 125 タチマル@オボンのみ 17/08/22 00:59:03 ID:Jat1gLUY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
おもしろい 支援
 ▼ 126 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 10:15:28 ID:bIoZgByc [1/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダの部屋……


窓の外をみれば、真っ青な昼空が広がっている……



ボーマンダ「はぁ……頭痛ぇ……」


ボーマンダは溜め息をつくと、カップ麺のスープを飲み干した。


ゲンガー「おいおい、体に悪いぜ?」


ボーマンダ「うるせー! そんな事より今の生活リズムの方がよっぽど体に悪いわ!」


ゲンガー「確かにな! 昼夜逆転だからな! げへへ!」


ボーマンダは窓の外を眺めた……


ボーマンダ「俺だってちゃんとした会社に就職したかったんだけどよ……就活失敗して……あっ! そうか!」


ゲンガー「?」


ボーマンダは机の上のあの紙切れに何かを書き込んだ。


ゲンガー「おっ! 次は何を願うんだ?」


ゲンガーが覗き込むと……そこには……






まともな仕事が欲しい!





 ▼ 127 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 10:17:33 ID:bIoZgByc [2/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告










四、新入社員俺×どうしようもない社会









 ▼ 128 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 10:20:24 ID:bIoZgByc [3/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「これで俺も普通のポケモンになれるはず!」


ゲンガー「なるほどな……仕事を変えりゃ、生活リズムも元通りってか?」


ボーマンダ「その通りだ!」


その時、ボーマンダのスマホが鳴った。


ボーマンダ「ん? 誰だ?」


ボーマンダが電話に出ると……聞き覚えのある、懐かしい声が聞こえた……



?「おーい! ボーマンダ? 起きてたか?」

 ▼ 129 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 10:27:46 ID:bIoZgByc [4/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「お前……もしかしてガブか?」


ガブリアス「お! 覚えててくれたか! 嬉しいな!」


ボーマンダ「忘れる訳ねーだろ? 懐かしいな! 大学卒業して以来会ってなかったからな!……そんな事より今日は突然何の用だ?」


ガブリアス「お前、まだ深夜バイトやってるって? カイリューに聞いたぞ?」


ボーマンダ「うっ……ま、まぁな……」


ガブリアス「それについてなんだけどさ……お前、うちの会社で働かないか?」


ボーマンダ「え?」


ガブリアス「うちの会社、丁度社員が一気に定年退職しちゃって社員が足りないんだよ……お前、パソコンとか結構得意だろ? 今ならパソコン出来るなら即採用って社長も言ってたからさ……どうだ?」


ボーマンダ「行く! もちろん行くぜっ!!」


ガブリアス「そうか! 良かった! それじゃあ明日、うちの会社のビルに来てくれ! 時間は……」













 ▼ 130 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 10:32:31 ID:bIoZgByc [5/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「おう! 今日はありがとな!」


ガブリアス「ま、気にするなよ! 困った時はお互い様だろ? じゃな!」


ブチっ!


ボーマンダはスマホを置いた……そして……



ボーマンダ「いよっしゃああああああああ!!!!」



ゲンガー「っ! おい! そんなでけぇ声出すと……」



ドンドンっ!ドンドンドンっ!!



隣の部屋から鈍い音がした……


ボーマンダ「あ……俺とした事が取り乱しちまったぜ……へへっ!」



ボーマンダは座り直した。


ボーマンダ「とりあえず、明日に向けて準備だ! バイトも辞めなきゃだし……他にもどんな会社なのかも調べとかなきゃな!」


ゲンガー「ま、せいぜい頑張れよ! ぐへへ!」


 ▼ 131 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 10:49:47 ID:bIoZgByc [6/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



そんなこんなで次の日の朝……



街の真ん中を貫く大通り……


その大通り沿いに大きなビルがあった……




ボーマンダは大きなビルを見上げた……



ボーマンダ「や、やべぇ……緊張してきた……」


影からゲンガーが顔を覗かせた。


ゲンガー「げへへ! そんなに緊張するなよ!」


ボーマンダ「おい! お前は出てこない約束だろ!? お前が出てくると色々とまずい事になりそうだからな! 今日はおとなしく影に入っててくれ!」


ゲンガー「すまんすまん! げへへ!」


ゲンガーはボーマンダの影に飛び込んだ。


ボーマンダ「ほんっとにお前は……」



 ▼ 132 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 11:12:20 ID:bIoZgByc [7/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その時、ガブリアスがやってきた。


ガブリアス「ごめんごめん! 待ったか?」


ボーマンダ「いや、俺も今来たばっかりだぜ?」


ガブリアス「そっか、良かった! それにしてもラッキーだな! 面接とか全部すっ飛ばせるなんてなかなかないぞ?」


ボーマンダ「マジでありがとな! 助かったぜ!」


ガブリアス「それより早く行こうぜ!」


ボーマンダ「おう!」


ボーマンダは歩き出したガブリアスについて行った……




 ▼ 133 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 11:15:48 ID:bIoZgByc [8/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ビルに入り、エレベーターに乗る……

エレベーターはどんどん上がっていく……



ボーマンダ「なんだか昨日は緊張しちまってよ……どんな仕事をすりゃいいのかわかんねぇし……初めての事だらけだからよ……俺、うまくやってけるかな…」


ガブリアスはそんな弱気なボーマンダを笑い飛ばした。


ガブリアス「なんだよボーマンダ! 柄にもない事言うな!」


ボーマンダ「お、俺だってこんなナイーブな一面があるんだぜ?」


ガブリアス「ま、お前ならうまくやってけると思うぜ! それに、あそこの奴らはいい奴ばっかだって噂だしな!」

 ▼ 134 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 11:21:52 ID:bIoZgByc [9/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その時、エレベーターが止まり、ドアが開いた。


開いたドアの向こうには、デスクに向かいコンピューターを使って各々の仕事に取り組むポケモン達が見られた……


ボーマンダ「ここか?」


ガブリアス「おう! 20階がお前の所属する階だ!」


ボーマンダ「え? ガブと一緒じゃねぇのか?」


ガブリアス「俺は別の階! 仕事は主に外回り中心だからな! それじゃ、せいぜい頑張れよ! じゃな!」


ガブリアスは笑いながらエレベーターに乗り、そのまま上の階へ行ってしまった……



 ▼ 135 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 11:27:09 ID:bIoZgByc [10/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダ「え、えっと……いきなりこんな所に……うぅ……」


ボーマンダは誰かに声を掛けようとしたが、皆、自分の仕事に必死でボーマンダに気が付かない……


ボーマンダ「ど、どうすりゃいいんだよ! ガブぅ!」


ボーマンダがあたふたしていると、そこに一匹の細身で美しいポケモンが通りかかった。



?「あら? あなた……もしかして、今日からうちに入るって言う新入りさん?」


ボーマンダ「え? あ、はい!」


?「あらあら、元気な子ね! うふふ! 私はエーフィ! 今日からよろしくね!」


ボーマンダ「お、俺はボーマンダです! よろしくお願いします!……ところで俺、何をすればいいんですかね……」


エーフィ「とりあえずこっちに来てくれる?」  


ボーマンダ「は、はい!」


ボーマンダはエーフィについて行った……


 ▼ 136 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 11:32:45 ID:bIoZgByc [11/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

エーフィは一番端にあった机の前で立ち止まった。


エーフィ「今日からここがあなたのデスクね!」


ボーマンダ「ここが俺の……」



机の上には書類入れとブックスタンド……そして、ノートパソコンが置いてあった。


なぜかその光景は、長年眠っていたボーマンダのやる気を刺激した。



ボーマンダ「うう……今日から俺も会社員だ! なんかやる気出てきたぜぇ!!」


エーフィはかわいらしく笑った。


エーフィ「あなた、なかなか可愛いわね! 仕事は隣のデスクの子に聞いてね! それじや、頑張りましょうね!」


ボーマンダ「は、はいっ!」

 ▼ 137 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 11:37:14 ID:bIoZgByc [12/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


エーフィが歩いていくと……隣のデスクからポケモンが顔を覗かせた。


?「新入りの分際でエーフィの事狙っとるとはええ度胸やな……」


そのポケモンの鋭い視線がボーマンダに突き刺さった。


ボーマンダ「えっ!? べ、別に俺は!!」


?「ほんまか? ほんまにエーフィの事は……」


ボーマンダ「別に狙ってませんってば!」


その言葉を聞いた瞬間、そのポケモンの表情は明るくなった。


?「なんや! ならええねん! わいはサンダースや! よろしくやで!」 


ボーマンダ「お、俺はボーマンダです……よ、よろしくお願いします……(な、なんだよ……このポケモン……)」

 ▼ 138 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 11:46:57 ID:bIoZgByc [13/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

サンダース「わからん事はなんでも聞いてな!……って言いたいとこやけど、ちょっと今わい手が離せんくてな……」


すると、ボーマンダの後ろの席のポケモンが寄ってきた。


?「あなたが新入りさん? 私ニンフィアって言うの! 良かったら私が色々教えてあげようか?」


ボーマンダ「あ、俺はボーマンダって言います。よろしくお願いします!」


サンダース「お! ニンフィア、ええんか?」


ニンフィア「いいよいいよ! 私も新入りさんと仲良くなりたいから! まかせて!」


サンダース「そんじゃ、ニンフィアに任せるな! わいは仕事が山ほど残っとるからなー……さっさと片付けるでー!」


サンダースはデスクに向き直ると仕事を再開した。



ニンフィア「それじゃ、まずはそこにあるパソコンをつけて!」

ボーマンダ「はい!」


 ▼ 139 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 13:43:46 ID:bIoZgByc [14/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


十分後……



ニンフィアは驚きを隠せなかった。


ニンフィア「すごーい……ボーマンダ君ってパソコン得意なんだね!」


ボーマンダ「ま、俺は機械物にはある程度は強い方だからな! これくらいなら余裕だぜっ! へへっ!」


ニンフィア「サンダースさん! ボーマンダ君何でも出来ちゃうよ! 即戦力だよ!」


ニンフィアがサンダースの肩を叩くと……


サンダース「だぁーっ! うるさいなぁ! さっきからうまい事資料が出来んくてイライラしとんねん! 話しかけんといてーな!」


ニンフィア「あっ、ごめんね……サンダースさん……」
 

ボーマンダはサンダースの後ろからパソコンを覗いた。


ボーマンダ「サンダースさん、ちょっといいっすか?」


サンダース「な、なんや!」




ボーマンダはサンダースのパソコンをカタカタ動かして……




ボーマンダ「これでどっすかね?」


サンダース「お、おお!!」


画面にはほぼ完成された書類が……


サンダース「ありがとさん! 助かったわ! ほんまにパソコン得意やな! あんた!」


ボーマンダ「へへっ! どうも! (なんとかやってけそうだな……この仕事……)」



 ▼ 140 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 13:47:02 ID:bIoZgByc [15/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


そんなこんなで昼休み……



ボーマンダ「ふぃー……疲れた……ってあれ?」


気が付くと他のポケモン達は皆、何処かへ消えていた……


ボーマンダ「うわっ、マジかよ……仕事に集中し過ぎて全然気付かなかった……どうりで静かだと思ったぜ……」


影からゲンガーが顔を覗かせた。


ゲンガー「他の奴らは十分前には全員どっかに行っちまったぜぇ?」

 ▼ 141 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 13:51:11 ID:bIoZgByc [16/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

掛け時計の秒針の音がはっきりと聞こえる程に静まり返った部屋の中、ボーマンダの腹が鳴った……


ぐうぅぅ……


ボーマンダ「うぅ……腹減ったなぁ……ところでこの会社、社員食堂とかあるのかな……」


ゲンガー「さぁな? あいつにでも聞いてみりゃいいじゃねぇか?」


ボーマンダ「あいつ?」


ゲンガーの指す先、遠くのデスクにもう一匹ポケモンがいた。


ボーマンダ「おっ! 俺一匹だけじゃなかったのな!」


ボーマンダはそのポケモンのもとに向かった。


ゲンガー「げへへ!」


ゲンガーはボーマンダの影に引っ込んだ。


 ▼ 142 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 13:57:27 ID:bIoZgByc [17/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ボーマンダ「どうも! 今日からここで働く事になったボーマンダです! 良かったら飯食べに行きません?」


そのポケモンは手を止めると、少しだけボーマンダと目を合わせた……


?「あたしはブラッキー」


そしてすぐにパソコンに向き直った。


ボーマンダ「あの……飯食べに行きません?」


ブラッキーはカタカタとキーボードをうちながらボソッと呟いた……


ブラッキー「早く他の誰かとお昼食べに行けば?」


ボーマンダ「ま、まぁまぁ……そんな事言わずにさ! 食べに行きましょうよぉ! 俺、食堂の場所知りませんし!」


ブラッキーは立ち上がるとエレベーターに向かって歩き出した……


ボーマンダ「おっ! その気になりましたか?」


ブラッキー「別に? 一匹で食べるだけ」


ボーマンダ「またまたぁ!」


ブラッキーがエレベーターに乗ると、追ってボーマンダもエレベーターに乗った……







遠くのデスクから一匹のポケモンがそんな二匹を見ていた……


?「……」
 ▼ 143 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 14:02:57 ID:bIoZgByc [18/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


エレベーターが向かった先は食堂……ではなく、屋上……



ブラッキーは錆び付いたドアを開けて、屋上へと出た…… 

屋上は広く、他に誰もいなかった。



ボーマンダ「あれ? 食堂行くんじゃ……」


ブラッキー「ねぇ、どこまでついて来るつもりなの? 君……」


ブラッキーは少しイライラした様子でどんどん歩いていく……


ボーマンダ「いやー、ブラッキー先輩について行ったら食堂につくかなー……って」

 ▼ 144 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 14:05:21 ID:bIoZgByc [19/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ブラッキーはため息をついた。


ブラッキー「食堂はここのビルの二階にあるからさっさと行ってきなよ」


ボーマンダ「そっすか! これで明日は食堂に行けるぜ! 先輩どうもっす!」


ブラッキー「明日? 今から行かないの?」


ボーマンダ「せっかくなんで今日はブラッキー先輩と二匹で食べようかなって……へへっ!」


ブラッキー「……」
 ▼ 145 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 14:11:34 ID:bIoZgByc [20/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ブラッキーはカバンからカロリーメイトを取り出して一口かじった。


ブラッキー「……」


ブラッキーが屋上の手すりにもたれて空を見上げていると、ボーマンダが隣によって来た。


ボーマンダ「あのー……」


ブラッキー「何? まだ何か?」


ボーマンダ「それ、半分下さい」


ブラッキーは突然の事に吹き出した。


ブラッキー「ぶっ!? げほっ! な、何なの!? あなた!」


ボーマンダ「えーっと……俺、食べ物持ってないから……」


ブラッキー「仕方ないな……」


ブラッキーは箱に入っていたもう一本のカロリーメイトをボーマンダに渡した。


ボーマンダ「ざっす!」


ブラッキー「君、食べ物も持ってない癖に私と一緒に食べようとしてたの?」


ボーマンダ「いやー……今月お金がヤバくて……分けてもらえるかな……って」


そんなボーマンダを見ているブラッキーの表情が緩んだ……


ブラッキー「ほんとにもう……ふふっ!」

 ▼ 146 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 14:18:28 ID:bIoZgByc [21/40] NGネーム登録 NGID登録 報告


ボーマンダ「あっ、先輩笑った!」


ブラッキー「なによ、いいじゃない」


ボーマンダ「先輩もっと笑ったらいいのに……可愛いんだからさぁ……」


ブラッキー「な、なによっ! 変な事言わないでよっ!///」


ボーマンダ「へへっ! そーやって照れてるところもまた……」


ブラッキー「もう! なんなのよぉ!」






そんな二匹を遠くの影から眺めているポケモンがいた……


?「あいつ……僕のブラッキー先輩に……許さない……」


そのポケモンはUSBメモリを握りしめて走り出した……





二匹は気付いていなかったが、ボーマンダの影からゲンガーが顔を覗かせ、そのポケモンを見ていた……



ゲンガー「(げへへ、あいつ……何をする気だぁ?)」



ゲンガーはボーマンダの影から飛び出すと、屋上の鉄柵の影を経由し、そのポケモンの影に飛び込んだ……

 ▼ 147 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 18:49:10 ID:bIoZgByc [22/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


二匹で話をしていると、いつの間にか昼休み終了の時間が来た……



ブラッキー「あ、そろそろ戻らなきゃ……」


ボーマンダ「もう仕事っすかぁ? だりーなぁ……」


ブラッキー「ほら、帰るよ」



二匹は屋上を後にし、エレベーターに乗った。


 ▼ 148 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 18:53:33 ID:bIoZgByc [23/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



エレベーターはどんどん降りて行き……そして、20階についた。



エレベーターが開き、二匹が降りると……なんだか辺りが騒がしい……


ボーマンダ「な、なんだ?」


ブラッキー「何があったんだろ……」




部屋にポケモン達の叫びが響く……


サンダース「わ、わいのデータが!?」

ニンフィア「なんで!? パソコンが起動しないよ!?」

ブースター「一体なんなのよぉ!!」




二匹が立ち尽くしていたその時、一匹のポケモンがボーマンダに駆け寄って来た……


?「おい! 新入りってのはお前か!!」

 ▼ 149 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 18:59:33 ID:bIoZgByc [24/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「へ?」


ブラッキー「グレイシア部長! 何があったんですか!?」


グレイシア「お前の使っていたパソコンにウイルスが入ってそこから会社のパソコン全体が攻撃をくらっているんだ!」


ボーマンダ「はぁ!?」


ブラッキー「なっ!? あなたそんな事したの!?」


ボーマンダ「いや、俺はさっきからグラフ作成しかしてねぇよ! ウイルスが入り込む隙なんて無かったはずだ!」


ボーマンダは自分のデスクに向かい、パソコンを立ち上げた……


パソコンは起動したものの、画面いっぱいにウインドウが広がり続け、まともに使える状態じゃない……


ボーマンダ「げぇ!? なんだこれ!?」

 ▼ 150 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 19:02:55 ID:bIoZgByc [25/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


グレイシアがボーマンダに怒鳴りつけた。


グレイシア「お前! どう責任をとってくれるんだ!」


ブラッキー「ちょっと待って! なんでボーマンダ君のせいなの? 断言する証拠は?」


グレイシア「っ! そ、それは……誰が言い出したのかわからないが……でも! こう言う時、一番怪しいのは新入りに決まっているだろ!! それに、私達は腐っても技術者集団だ! ウイルスに対する知識もそれなりにある!」


ブラッキー「だからってそんなのおかしいよっ!」


 ▼ 151 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 19:08:54 ID:bIoZgByc [26/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その時、デスクやポケモンの影を経由して、ボーマンダの影にゲンガーが飛び込んできた……


ボーマンダ「(っ! お、お前どこに行ってたんだよ!)」


ゲンガー「(げへへ、気になる事があってな!)」


ボーマンダ「(今それどころじゃねぇんだよ! この状況見ろよ!)」


ゲンガー「(ま、俺がどうにかしてやる! 安心しろよ! げへへ!)」


ボーマンダ「(安心? 何するんだ?)」

 ▼ 152 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 19:12:58 ID:bIoZgByc [27/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

グレイシア「さっきから何をこそこそ話しているんだ!」


ボーマンダ「な、何でもないです!」


グレイシア「やっぱりお前……怪しいな……」


グレイシアがボーマンダを睨みつけた……その時




おい、お前らぁ……聞こえるかぁ?




ボーマンダ「っ!」


グレイシア「だ、誰だ!?」


ブラッキー「何なの? この声……」


 ▼ 153 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 19:22:43 ID:bIoZgByc [28/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

影の中のゲンガーは続ける……



俺、誰がやったのか見てたぜ?



ボーマンダ「なにぃっ!?」


グレイシア「なんだと!?」


ブラッキー「誰がこんな事……」



ゲンガーが不気味に笑った……



俺が見たのはよぉ……げへへ……そこのデスクに座ってる青色……お前だぁ……



グレイシア「!?」 


ブラッキー「それって……シャワーズ君!?」



 ▼ 154 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 19:27:11 ID:bIoZgByc [29/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


グレイシアがシャワーズに駆け寄った。


グレイシア「おい! シャワーズ! お前がこんな事をしたのか!?」


シャワーズは飛び上がった。


シャワーズ「なっ!? ななななんで僕がそんな事をしなくちゃいけないのっ!? そ、そんな事してもいい事なんて何にもなな無いじゃな、ないですかぁ!?」


ボーマンダ「えらくわかりやすい奴だな……」


グレイシア「ってそれより……さっきから誰が話してるんだ? 新入りの声でもないし、ここにはそんな不気味な声のポケモンはいないぞ?」



げへへ……仕方ねぇな……
  


ボーマンダ「っ!? お、おいっ! 出てくるなよ! 約束したろ!?」


ボーマンダの願い虚しく、ゲンガーが影から飛び出した。


 ▼ 155 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 19:35:23 ID:bIoZgByc [30/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


グレイシア「!?」


ブラッキー「なにこれっ!?」


ゲンガー「げへへ……俺はこいつの影の中から全部見ていた……屋上でボーマンダとそこの黒色が話している所を嫉妬しながらこいつが見ていたのをなぁ……」


シャワーズ「!!」


ブラッキー「嫉妬って……」


シャワーズ「で、でも証拠が無いよっ! 証拠も無いのに疑わないでよ!」


ゲンガー「証拠はお前の机の上にある、そのUSBメモリだ」


シャワーズ「っ!」


シャワーズは咄嗟に机にのっていたUSBメモリを手にとり握りしめた。


ゲンガー「さあ、そいつの中身を調べさせなぁ……それが証拠だぁ……」


シャワーズ「そ、それは……うぅ……」


ゲンガーがあとずさりするシャワーズに顔をぬっと近づけて睨んだ。


ゲンガー「ウジウジうるせぇ!! お前がやったんだろぉ!?」


シャワーズ「ひええっ!! や、やりましたぁ! 僕が作ったウイルスを新入りさんのパソコンに入れたんだよぉ!」


 ▼ 156 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 19:44:41 ID:bIoZgByc [31/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ブラッキー「本当にシャワーズ君だったのね……」


グレイシア「わからん……こんな訳のわからん事が……あぶぶ……」


グレイシアは泡を吹いて倒れた。


ボーマンダ「おい! 大丈夫か!?」


ボーマンダはグレイシアを揺すったが、グレイシアはすっかり意識を失っている……


ブラッキーは悲しげな目でシャワーズを見つめた……


ブラッキー「シャワーズ君……どうしてこんな事……」


シャワーズ「だって! 大好きなブラッキー先輩を取られて悔しくて! 悔しくて……うぅ……」


ブラッキー「!」


シャワーズはすすり泣く……


震えるシャワーズの隣にブラッキーが寄り添った……


ブラッキー「ねぇ、シャワーズ君……」


シャワーズ「ひっぐ……えっぐ……」


ブラッキー「ありがと……」


シャワーズ「?」


ブラッキー「そんなに大好きでいてくれてありがと……私、嬉しかったよ……」


シャワーズ「!!」


 ▼ 157 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 19:49:26 ID:bIoZgByc [32/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ブラッキー「でもね、こんな事したらダメだよ……シャワーズ君のせいでみんなが迷惑したんだよ? すごい損失がでたんだよ?」


ゲンガー「そうだぜぇ? お前はこれから刑務所行き確定! 裁判にかけられるだろうなぁ! げへへ!」


その言葉にシャワーズは不意に我に帰った。


シャワーズ「そうだ……僕はとんでもない事を……もうおしまいだぁ! うわぁぁあん!」


ゲンガー「げへへ! ざまぁねぇなぁ!」



そんなやり取りを見て、ボーマンダはため息をついた……


ボーマンダ「……はぁ……めんどくせーなぁ……わかったよ……」


ゲンガー「何がわかったんだぁ?」


ボーマンダは小さく呟いた……


ボーマンダ「悪魔、俺の願いを取り消せ」


 ▼ 158 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 20:03:42 ID:bIoZgByc [33/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「はぁ!?」

ブラッキー「悪魔!?」

シャワーズ「願い?」


ボーマンダ「全部話す……俺がこの悪魔に願ったんだ……仕事が欲しいってよ……そしたら、なんだかんだでここに来た……そんなこんなで今に至るって訳だ……」


ボーマンダ「正直よぉ……ここは悪い職場じゃねぇと思うぜ? でも、俺が一匹来たせいで、ここまでぐちゃぐちゃに壊れちまった……みんなごめんな……」


ブラッキー「……」


ボーマンダ「それに、悪魔の存在がばれちまったからな……」


ボーマンダはゲンガーに目を向けた……


ゲンガー「で、でもよぉ……俺があの時出てこなけりゃお前は……」


ボーマンダ「その事については感謝してる。ありがとな」

 ▼ 159 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 20:07:40 ID:bIoZgByc [34/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「他の奴の幸せを奪ってまで自分の幸せを追求する事なんて俺には出来ねぇよ……俺はそこまでグズじゃねぇよ……引き際もわきまえてるつもりだ……」


ブラッキー「ボーマンダ君……」


ボーマンダ「さぁ、悪魔……願いを取り消せ……そうすりゃ全部元通りだ……今日の出来事も全部無かった事になるからな……」


ゲンガーはため息をついた……


ゲンガー「はぁ……わかったよ……」


ゲンガーがポンと手をたたくと……また、ボーマンダの目の前は真っ白になった……

















 ▼ 160 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 20:14:53 ID:bIoZgByc [35/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告







ボーマンダ「……んぁ…………」


ボーマンダが目を覚ますと、そこは自分の部屋……


ボーマンダ「……ま、仕方ねぇよな」


ベッドの上に寝転がっていたゲンガーは不服そうな表情を見せた。


ゲンガー「なんで取り消すんだよぉ……はぁ……」


ボーマンダ「あんなの取り消すしかないだろ?」


ゲンガー「なんでだよぉ……お前だってあの仕事、気に入ってたじゃねぇか……」


ボーマンダ「でも、俺はやっぱりあいつを貶めてまで自分の幸せの追求は出来ねぇ! ま、仕事なんて世界にはいくらでもある! ゆっくり自分にあう仕事を探して行けばいいだろ?」


ボーマンダは玄関に向かった……


ゲンガー「おい、どこ行くんだ?」


ボーマンダ「ハロワだ! たまには自分から行動起こさねーとな!」


ゲンガー「本当、お前って奴は……げへへ!」


 ▼ 161 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 20:22:21 ID:bIoZgByc [36/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


街の空には眩しい太陽が昇っている……




ハロワ帰りのボーマンダは街の大通りを歩いていた……


ボーマンダ「なかなかいい仕事、見つからねぇな……」


ゲンガー「お前が決めたんだろぉ? ゆっくり探して行くってよぉ」


影から顔を覗かせたゲンガーを見て、ボーマンダは笑った。


ボーマンダ「次はもっと楽しくて、やりやすい……自分の天職を見つけてやるぜっ!」


ゲンガー「ま、それまでは夜勤バイト、せいぜい頑張れよ!」


ボーマンダ「うっ……夜勤の事は言うな……気が滅入る……」


 ▼ 162 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 20:24:55 ID:bIoZgByc [37/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ゲンガー「げへへ! お? あれ見ろよ!」


ボーマンダ「ん?」


ゲンガーの指す先……あのビルの屋上にブラッキーが見えた……


ボーマンダ「ブラッキー先輩……」


その時、ブラッキーの隣にシャワーズがやってきた。


二匹は楽しそうに何か話している……


ボーマンダはそれを見て微笑んだ……


ボーマンダ「先輩……仕事、頑張れよ……」




 ▼ 163 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 20:27:32 ID:bIoZgByc [38/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

その時、ブラッキーと目があった……


ボーマンダ「……」


ボーマンダはなんとなく、屋上のブラッキーに手を振った……


しばらくブラッキーはボーマンダを見つめていたが……手を振り返してくれた。


ボーマンダ「あれ? 俺の事わかるのか?」
 

ゲンガー「そんなはずはねぇよ、気のせいだ」


ボーマンダ「だよなー……じゃ、帰るか!」


ゲンガー「おう!」



二匹は街の大通りを歩いていった……
 ▼ 164 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 20:31:46 ID:bIoZgByc [39/40] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その頃、ビルの屋上では……


二匹は屋上から大通りを見下ろしていた……



シャワーズ「先輩、さっきのポケモン、知り合いですか?」


ブラッキーは遠ざかるボーマンダを見つめた……


ブラッキー「いや、知らないポケモン……だけど、知ってる気がする……」


シャワーズ「どう言う事?」


ブラッキー「さぁね、私もよくわからない……けど、なんだか懐かしいような気がするんだ……」


シャワーズ「?」


ブラッキーは歩き出した……


ブラッキー「ほら、もう時間だよ? 仕事に戻ろ?」


シャワーズ「はい!」


二匹は屋上を後にした……







とある街の昼下がり……少し不思議な出来事であった……



続く

 ▼ 165 1◆v1GnTfaqxg 17/08/22 20:33:25 ID:bIoZgByc [40/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
第四話おしまい


五話の下書きがまだ完成してない……早く書かないと明日に間に合わなくなる……

とりあえず今から書きます。

明日更新出来なかったらごめんね。

では
 ▼ 166 タマロ@ボスゴドラナイト 17/08/22 22:09:15 ID:Jat1gLUY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
続きが気になる支援
 ▼ 167 ドリーノ@トウガのみ 17/08/22 22:42:33 ID:1/LahKcY NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 168 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 11:47:50 ID:P0CJzuB6 [1/79] NGネーム登録 NGID登録 報告


その日の夕方……


ボーマンダの部屋にて……



ゲンガーはベッドに座ると紙切れを見つめてため息をついた……


ゲンガー「はぁ……それにしてももったいねぇな……あと2つだぞ?」


ボーマンダは疲れきった表情で座布団に座ると、机に顎をのせた。


ボーマンダ「だって仕方ないだろ? ラーメンはまずいし……金もなんだか俺には似合わないし……仕事はゆっくり探してく事にしたし……」

 ▼ 169 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 11:51:23 ID:P0CJzuB6 [2/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



しばらく二匹の間に沈黙が流れた……


突然、ゲンガーが手をポンと叩いて立ち上がった。


ゲンガー「あっ! そういやお前、可愛いメスが欲しいって言ってなかったか? げへへ!」


ボーマンダ「!」


ゲンガーはボーマンダに歩み寄ると、机の上に転がっていたリモコンを手にとり、テレビを付けた。


テレビに映ったバラエティー番組には、可愛らしいモデルのポケモンが出演している……


ボーマンダはテレビを見ると、静かにため息をついた……


ボーマンダ「……いや、可愛いメスなんていらねぇや」

 ▼ 170 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 11:58:39 ID:P0CJzuB6 [3/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ゲンガー「おいおい、どうしてだよ? 可愛いメスが欲しいって言ってなかったっけかぁ?」


ボーマンダは俯き、小さな声で語り出した……


ボーマンダ「お前はずっと俺の事を見てたからわかるだろ……? 俺は数年前、オノノクスってメスのポケモンとつき合ってたんだ……」


ゲンガー「あー……あの不細工なメスか……」


ボーマンダ「そうだな、あいつはお世辞にも可愛いとは言えなかった……けどよ……優しかった……」


ゲンガー「確かに、性格はまずまずってとこだったな」


ボーマンダ「でも、あの時の俺は不細工と一緒にいるってのが恥ずかしくては……オノノクスはなんにも悪くないのに別れよう……なんて言って逃げ出しちまった……」


 ▼ 171 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:02:13 ID:P0CJzuB6 [4/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダはスマホを取り出した……


連絡先にはまだ、オノノクスの名前が残っている……


ボーマンダ「今から考えりゃ、あれほどいいメスってのも他に無いんじゃないかってな……けどよ、もう一度会うなんて俺には出来なかった……そんな勇気なんてどこにも無かった……だから……」


ボーマンダはゲンガーから紙切れを受け取ると、紙切れに何かを書き込んだ……







オノノクスともう一度付き合いたい……






 ▼ 172 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:05:38 ID:P0CJzuB6 [5/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「……ま、お前がそれで満足するなら……」


ボーマンダ「頼む……オノノクスにもう一度会うチャンスを……!」


ボーマンダが目をつむり、必死に願うと……その時……



ガチャ、ポトン……



ドアのポストに何かが入れられた……


ゲンガー「ん?何か来たみたいだぜ? 見てこいよ。げへへ!」


ボーマンダ「あ、ああ……」


ボーマンダはポストに入っていたハガキを取り出した……


ボーマンダ「なになに……っ!!」


ゲンガー「どうした?」



ゲンガーが覗きこむと……そのハガキには……


 ▼ 173 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:07:02 ID:P0CJzuB6 [6/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




私達、結婚しまーすっ!


オノノクス
サザンドラ


ボーマンダ君も良かったら結婚式に来てね!



場所、…………

日時、…………



…………

 ▼ 174 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:10:25 ID:P0CJzuB6 [7/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダは安心と悲しさ……様々な感情の混じった瞳でハガキを見つめた……


ボーマンダ「……そっか……結婚するのか……」


ゲンガー「お、おい、諦めるのか?」


ボーマンダ「ま、結婚するなら仕方ないよな……それより見ろよ、この写真……」


ハガキにはご丁寧に、オノノクスとその旦那になるサザンドラと言うポケモンの写真がプリントされていた……


ボーマンダ「幸せそうな顔してる……よかったな、オノノクス……幸せにな……」


ボーマンダの目から小さな涙がこぼれ落ちた


ゲンガー「……」




 ▼ 175 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:13:48 ID:P0CJzuB6 [8/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「仕方ないよな……」


ボーマンダは涙を拭うとテレビのチャンネルを切り替えた……


切り替わった画面にニュースが映る……




ニュースキャスター「こちらが、現在指名手配中の詐欺師です」



テレビにでかでかとポケモンの顔が映った……


ボーマンダ&ゲンガー「!?」


その詐欺師の顔写真は……オノノクスの隣に写っていたサザンドラと言うポケモンとそっくりだった……


ボーマンダ「ど、どう言う事だよ!?」


 ▼ 176 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:17:11 ID:P0CJzuB6 [9/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ニュースキャスター「現在、警察はこのポケモンの情報を求めています。見かけた方は警察に連絡をお願いします。皆様、くれぐれも結婚詐欺にはお気をつけ下さい。」


ボーマンダ「結婚詐欺っ!?」


ゲンガー「おいおい……とんでもない事になってきたなぁ! げへへ!」


ボーマンダは再びハガキを見た……


ボーマンダ「結婚式は……明日だ!」


ゲンガー「どうするんだぁ? げへへ!」


ボーマンダ「決まってるだろ!! オノノクスに伝える!! 俺がオノノクスを取り返してやる!!」

 ▼ 177 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:17:59 ID:P0CJzuB6 [10/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告










五、独身の俺×花嫁泥棒









 ▼ 178 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:13:01 ID:P0CJzuB6 [11/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



次の日……


街のはずれにある、最近できたと言う大きな式場にて……




式場は沢山のポケモン達で溢れかえっていた……


そんな中、ボーマンダとゲンガーはオノノクスを探していた……



ボーマンダ「すげーポケモン多いな……」


ゲンガー「早く探さねぇと式が始まっちまうぜぇ!」


ボーマンダ「そうだな……でも、どっから探せば……」


 ▼ 179 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:16:58 ID:P0CJzuB6 [12/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダは辺りをキョロキョロ見渡すが……知らないポケモンばかりで、オノノクスは見当たらない……


その時……



ボーちゃーん!

こっちこーいっ!




ボーマンダ「っ!」


ボーマンダが声のする方に振り返ると、カイリューとガブリアスがいた。


ボーマンダ「カイリュー! ガブ!」


ガブリアス「お前も来てたんだな!」


ボーマンダ「来ちゃ悪いか?」


ガブリアス「いやー……元カノの結婚式って気まずくないか?」


ボーマンダ「今回は少し野暮用でな……」


ガブリアス「なんだそれ?」



 ▼ 180 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:20:06 ID:P0CJzuB6 [13/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「そんな事よりガブ! お前、オノノクスがどこにいるか知らねぇか?」


ガブリアス「俺は知らないけど……あいつなら知ってるかもだな……」


カイリュー「んだな」


ボーマンダ「あいつ?」


ガブリアスは遠くのポケモン達が集まっている場所目掛けて叫んだ。


ガブリアス「ガン子ー! ちょっとこっちこーい!!」


すると、ポケモン達を押しのけて、クリムガンとジャラランガがやってきた。


 ▼ 181 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:22:34 ID:P0CJzuB6 [14/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


クリムガン「どうしたの? って! ボーマンダ君じゃん!? 久しぶりー!」


ボーマンダ「お、おう……久しぶりだな……(相変わらず酷いあだ名だな……)」


ジャラランガ「本当、久しぶりね! ボーマンダ君っ! やっぱりいつ見てもイケてるねー!」


ボーマンダ「おう、サンキューな!」

 ▼ 182 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:25:51 ID:P0CJzuB6 [15/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ガブリアス「なぁ、ボーマンダがオノノクス探してるんだってよ。どこにいるか知らね?」


クリムガン「知ってるよ! さっき話に行ったもん!」


ボーマンダ「マジでか! 連れてってくれないか!?」


クリムガン「いいよ! じゃ、ついてきて!」


ボーマンダ「すまん! 助かる!」


クリムガンとボーマンダは走って行った……


ゲンガー「お、おいっ! 待てよっ!」


そして、ゲンガーも二匹について行った……
 ▼ 183 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:28:47 ID:P0CJzuB6 [16/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ガブリアス「ボーマンダについて行ったあの黒い奴……誰だ?」


カイリュー「きっとボーちゃんの友達だよ」


ガブリアス「ふーん……ま、いいか……それよりボーマンダ、よく元カノの結婚式なんかに来たな……俺なら気まずくてパスするわ……」


カイリュー「んだな……」


ジャラランガ「でも、あの二匹……結構お似合いだったのに、どうして別れたんだろうね……」


ガブリアス「さぁ……」



 ▼ 184 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:31:40 ID:P0CJzuB6 [17/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


クリムガンとボーマンダは式場の通路を走っていた……



クリムガン「で? なんでオノノクスちゃんに会いたいの? 別れたんでしょ?」


ボーマンダ「あー……えっとだな……ま、最後に少しくらい話がしたくてよ……」


クリムガン「ふーん……ま、いっか! ほら、ついたよ!」


ボーマンダ「ここに?」


二匹の目の前には控え室があった……

 ▼ 185 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:34:04 ID:P0CJzuB6 [18/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


クリムガン「じゃ、お邪魔虫は退散するねーっ! じゃーねー!」


ボーマンダ「っておい!」


クリムガンはマッハで帰って行った……


ゲンガー「ほら、早く行けよ! げへへ!」


影から飛び出したゲンガーがボーマンダの背を押した。


ボーマンダ「ってお前いたのか……お前はちょっと引っ込んでろ……」


ゲンガー「仕方ねぇなぁ! げへへ!」


ゲンガーは陰の中に飛び込んだ……

 ▼ 186 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:36:07 ID:P0CJzuB6 [19/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「この中に……」


心拍数が上がり……息が苦しくなる……



ボーマンダは呼吸を整えると、控え室の扉をノックした……



コンコン……



はーい、どうぞー!




聞き覚えのある、懐かしい声に誘われて……ボーマンダは扉を開けた……

 ▼ 187 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:38:52 ID:P0CJzuB6 [20/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


扉の向こうには……白く美しいドレスに身を包んだオノノクスがいた……


オノノクス「っ!……ボーマンダ君、来てくれたんだ」


ボーマンダは目をそらした。


ボーマンダ「……おう、なかなか綺麗なドレスじゃねーか」


オノノクス「やっぱりボーマンダ君は酷いね。あたしじゃなくてドレスが綺麗なの?」


ボーマンダ「いちいちうるせぇな……」


ボーマンダはため息をついた……


 ▼ 188 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:42:54 ID:P0CJzuB6 [21/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「それで? 何の用?」


ボーマンダ「(っ! そうだ……俺は……)」


ボーマンダは再び呼吸を整えると……オノノクスに向き直った……


ボーマンダ「おい、よく聞けよ……」


オノノクス「な、何?」


ボーマンダはネットニュースのスクショをオノノクスに見せた。


スクショにははっきりと結婚詐欺師、サザンドラの姿が写っていた


ボーマンダ「お前が結婚しようとしてるサザンドラって奴……詐欺師なんだよ……」



 ▼ 189 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:52:09 ID:P0CJzuB6 [22/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「……」


オノノクスはしばらくボーマンダを見つめていたが……


オノノクス「はぁ……ボーマンダ君、こんな嘘に騙されないよ? そもそも別れようって言ったのはボーマンダ君じゃん、諦めて?」


ボーマンダ「う、嘘じゃねーよっ!」


?「騒がしいな……なんだ?」


ボーマンダ「っ!」


ボーマンダがその声に振り返ると……そのスクショに写っているポケモンがいた……


 ▼ 190 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:55:42 ID:P0CJzuB6 [23/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


サザンドラ「お前誰だよ」


オノノクス「サザンドラ君!」


ボーマンダ「お、お前が詐欺師かっ!」


サザンドラ「は? 詐欺師だって? 言い掛かりはよしてくれよ……」


オノノクス「そうよ!」


ボーマンダ「だから言い掛かりなんかじゃ……」


サザンドラ「ほら、俺達忙しいんだ。出てってくれ」


サザンドラがボーマンダを控え室から押し出した。


ボーマンダ「や、やめろ! オノノクス! お前は騙されてるんだよ! 気づけっ! オノノクス!!」


ボーマンダは部屋から押し出され、扉には鍵が掛けられた……
 ▼ 191 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:59:00 ID:P0CJzuB6 [24/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


サザンドラ「ふぅ、邪魔者はいなくなったね……あいつはオノノクスちゃんの友達?」


オノノクスは鏡を見ながら化粧直しをしている……


オノノクス「元カレだよ」


サザンドラ「ふーん……それよりオノノクスちゃん、もうすぐ式が始まるから準備しといてね」


オノノクス「うん、わかってる」




 ▼ 192 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 14:05:12 ID:P0CJzuB6 [25/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その頃、控え室の外では……



ボーマンダ「……どうしよう……このままじゃあいつが……あいつが騙されちまう……」


ゲンガーが影から顔を出した。


ゲンガー「仕方ねぇ、式をぶっ壊す覚悟で挑まねぇといけなくなったな」


ボーマンダ「うっ……式をぶっ壊す……そんな事……」


ゲンガー「やるしかねぇんだよ、お前の元カノが騙されてもいいのか?」


ボーマンダ「!……そうだ、こんな式はぶっ壊してやる! そうでもしねぇとあいつを助けられねぇ!!」


その時、天井のスピーカーから声が聞こえた……


スピーカー「皆様、大変長らくお待たせいたしました。オノノクスさんとサザンドラさんの結婚式を始めたいと思います。皆様、会場にお集まり下さい……」



ボーマンダ「やべっ! 始まっちまう!」


ボーマンダは会場に向かって走り出した……


ゲンガー「よっと!」


ゲンガーはボーマンダの影に飛び込んだ……






ゲンガー「(にしても、あのサザンドラって奴……なんかくせぇな……)」




 ▼ 193 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 14:10:54 ID:P0CJzuB6 [26/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



その頃、控え室では……



オノノクス「あっ、もう始まっちゃう! あたしちょっとトイレ行ってくるから先行ってて!」


サザンドラ「うん、わかった」


オノノクスは先に控え室を出て行った……




ドアが閉まり、控え室はサザンドラ一匹になった……




サザンドラ「……さて、始まるな……」
 

サザンドラが呟くと、サザンドラの影がグニャリと形を変えた……


?「そうだな……」


影の中から黒いポケモンが姿を現した……


サザンドラ「ジュペッタ……この式、成功するだろうか? さっきの奴、俺の正体を知っているらしい……」


ジュペッタ「失敗するはずはない……あの紙に書いたのだからな……後はお前がそのチャンスをものにできるか……だ……」


サザンドラ「……そうだな……それじゃ、行こうか……」


ジュペッタ「おう」



ジュペッタはサザンドラの影に引っ込んだ……
 


 ▼ 194 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 15:12:16 ID:P0CJzuB6 [27/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


結婚式会場……


会場には沢山のテーブルが並び、それぞれのテーブルにポケモンが数匹集まっていた……


ボーマンダはガブリアスやカイリュー、ジャラランガ、クリムガンと同じテーブルにいた……



ボーマンダ「……」


カイリュー「ボーちゃん、どうしただ? さっきから難しそうな顔して……」


ボーマンダ「っ! い、いや……なんでもない」


カイリュー「そう? ならいいけど……」


ガブリアス「それにしても、ボーマンダはいつになったら結婚するんだ? これで、あの日の合コンに出席したポケモンで結婚してないの、お前だけになったぞ?」


ボーマンダ「ガブ! うるせーぞ!」


ガブリアス「ま、そんなに急がなくてもいいか! ははっ!」


 ▼ 195 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:00:29 ID:P0CJzuB6 [28/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


会場は盛り上がっていたが、ボーマンダだけはずっとその盛り上がりの中、これから起こる出来事に複雑な気持ちでいた……


ボーマンダ「(あいつを助けたい……だけど、助けるってことはこの結婚式をぶっ潰すって事だ……そんな事したらオノノクス……悲しむだろうな……)」


その時、会場の照明が消えてアナウンスが響いた……


皆様、大変長らくお待たせいたしました。これよりオノノクスさんとサザンドラさんの結婚式を開催いたします。


ボーマンダ「!」


カイリュー「始まるだよ、ボーちゃん」


ガブリアス「さてと、主役登場だな……」

 ▼ 196 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:06:34 ID:P0CJzuB6 [29/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


それでは、新郎新婦の入場です。拍手でお迎え下さい!


真っ暗だった会場の中、スポットライトが新郎新婦を照らすと会場はわっと盛り上がった。



盛り上がる会場をオノノクスとサザンドラは手をつないで舞台へと向かう……


クリムガン「オノノクスちゃーん! おめでとー!」


ジャラランガ「最っ高に可愛いわよーっ!」


オノノクスは二匹の声に気づくと笑顔を返した……


ボーマンダ「!!」


その笑顔は……ボーマンダの見たことの無い笑顔だった……


ボーマンダ「(やっぱり……俺よりあの詐欺師といた方があいつは幸せなのか……)」


オノノクスはどんどん歩いていく……遠くなっていく……


まるで、もう自分の手には届かない所に行ってしまうかのように……


ボーマンダ「いや! そんな事ねぇ!!」


ガブリアス「!?」


カイリュー「どうしただ!?」



 ▼ 197 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:12:15 ID:P0CJzuB6 [30/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダ「オノノクスっ!!」


オノノクス「!」


オノノクスはその声に振り返った……


その瞳に見つめられると……なぜか、ボーマンダは息が苦しくなり、声が出なくなった……


ボーマンダ「……(だ、ダメだ……なんて言えばいいんだ……)」



ボーマンダが黙っていると、オノノクスはすぐに前に向き直り、またゆっくりと歩き出した……



ボーマンダ「あぁ……俺ってダメだな……」


カイリュー「何言ってるだ? ボーちゃん」


ボーマンダ「!」


気が付くと、ボーマンダは同じテーブルのポケモンどころか、他のテーブルのポケモンの注目まで集めていた……


ボーマンダ「い、いや……なんでもない! ははっ!」



ボーマンダはその場をなんとかごまかすと、椅子にかけ直した。



 ▼ 198 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:19:13 ID:P0CJzuB6 [31/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクスとサザンドラが席に着くと、またアナウンスが響いた……


まずは、新郎であるサザンドラさんから挨拶をお願いしたいと思います。


サザンドラがマイクを持って立ち上がった……


サザンドラ「皆様、今日は私達二匹の為にお集まり頂き、誠にありがとうございます。」


ボーマンダはサザンドラを睨んだ……


サザンドラ「私とオノノクスさんとの出会いは……」


サザンドラは話を続ける……


ボーマンダはオノノクスにばかり目がいってしまい、話は全く頭に入ってこない……


ボーマンダ「(オノノクス……)」


その時、オノノクスがボーマンダの視線に気づき、目をそらした……


ボーマンダ「(ダメだ……見てるだけじゃなんにも始まらねぇ……何か行動を起こさないと……)」


サザンドラ「……これが、私とオノノクスさんとの出会いなのです。繰り返しになりますが、皆様、本日はお忙しい中、私達二匹の新しい門出を祝福して頂き、誠にありがとうございます!」 



会場は拍手に包まれた……



ボーマンダ「(何か……何か手は無いのか……)」


 ▼ 199 レフワン@グラウンドメモリ 17/08/23 17:23:01 ID:5yzkLDN2 NGネーム登録 NGID登録 報告
ガン子とボーちゃんで笑った
支援
 ▼ 200 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:26:18 ID:P0CJzuB6 [32/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


そんなボーマンダをサザンドラは見ていた……


サザンドラはオノノクスに小声で話した。


サザンドラ「なぁ、オノノクスさんの元カレだけど……あいつなんなんだ? ストーカーみたいじゃないか……」


オノノクスは少し不機嫌そうな顔をした。


オノノクス「ほんっとに……あっちから別れようって言ってきたのに何を今更……もうっ!」


サザンドラ「オノノクスさんはあいつの事、どう思ってるんだ?」


オノノクスは俯き、つぶやいた……


オノノクス「わかんない……」


サザンドラ「!」

 
 ▼ 201 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:31:26 ID:P0CJzuB6 [33/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「あいつってさ……馬鹿で遊んでばっかりでお酒ばっかり飲んで……お金使いも荒いし……最悪なのよね……」


サザンドラ「そ、それは酷いな……そんな奴とはさっさと縁を切った方が……」


オノノクス「でも、少しだけ優しくて……少しだけ漢気があって……一緒にいると少しだけ楽しくて……」


サザンドラ「……」


オノノクス「私がいないと何にも出来いし……」


サザンドラ「どうして……どうしてそこまで……」


オノノクスはふっと我に返った。


オノノクス「あっ! なんでもない! なんでもないよ! ごめん!」


サザンドラ「……」


サザンドラはオノノクスを見つめた……


サザンドラ「ほら、次はスライドショーだ」


オノノクス「あ、うん!」



 ▼ 202 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:38:37 ID:P0CJzuB6 [34/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


会場にまた、アナウンスが響く……


では次に、新郎新婦の沢山の思い出をスライドショーでご覧になって頂きたいと思います。


会場が暗くなり、プロジェクターが大きなスクリーンに写真を映し出した……


オルゴール調の音楽に合わせ、オノノクスやサザンドラの子どもの頃の写真が次々と映されていく……


会場がしんみりとした空気に包まれた……そんな時、ボーマンダの影から声がした。


ゲンガー「おい、何か考えはねぇのか? このままじゃ式が終わっちまうぜ!?」


ボーマンダ「わかってる……わかってるけどよぉ……」


ボーマンダはスクリーンを見た……


ボーマンダ「……」


ボーマンダは席を離れ、プロジェクターを観察した……


プロジェクターからは太いケーブルがのびていて……それは舞台裏まで続いている……


ボーマンダ「!……あれを使うか! 悪魔、ついて来い!」


ゲンガー「何か思いついたのかぁ? げへへ!」


ゲンガーはボーマンダの影に飛び込んだ。


ボーマンダは皆がスクリーンに目をとられている隙にこそこそと影に隠れながら舞台裏へ向かった……


 ▼ 203 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:43:28 ID:P0CJzuB6 [35/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


子どもの頃の写真も終わり、スクリーンに映される写真は最近の物になっていた……



クリムガン「あっ! あたし写ってる!」


ジャラランガ「あたしも!」


次にスクリーンに映されたのは、彼らが学生だったころに開いた合コンの写真だった……


ガブリアス「おいおい、誰だよ……いつの間に撮ったんだ? 俺まで写ってるじゃん……恥ずかしい……」


カイリュー「なつかしいだー!」


クリムガン「そう言えばヌメ子とフライゴン君、あの合コン以来見なくなったわね……」


ジャラランガ「そう言えば……どこに行ったのかしら?」


ガブリアス「(あいつらならきっと向こうで元気にやってるぜ! へへ!)」

 ▼ 204 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:45:48 ID:P0CJzuB6 [36/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



オノノクスもその写真を見つめていた……



写真にはボーマンダも写っている……


オノノクス「……」


サザンドラはそんなオノノクスを隣で見ていた……


サザンドラ「……」




その時だった……


突然曲が止まり、スクリーンも真っ暗になった……


ガブリアス「あれ? 何かトラブルか?」

 ▼ 205 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:48:55 ID:P0CJzuB6 [37/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


会場がざわつき始めたその時、また、プロジェクターが写真を映し出した……


それは、ネットニュースのスクショだった。


スクショには結婚詐欺師、サザンドラの姿がはっきりと写っている……


サザンドラ「!?」


オノノクス「なんで!?」


会場のスピーカーからボーマンダの大声が響いた……



このサザンドラって奴は詐欺師だ! 結婚詐欺師なんだよ! 結婚して嫁から金を搾り取るクズなんだ!!


 ▼ 206 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:53:09 ID:P0CJzuB6 [38/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


舞台裏……



プロジェクターに繋がれていたノートパソコンには、さらにボーマンダのスマホが繋げられ、そこから画像の出力をしている……


舞台裏にいたスタッフのエンペルトはゲンガーに首を締められていた……


エンペルト「あぐっ……お、お前ら……やめろ……!」


ボーマンダ「すまんがもう少しそいつを止めてくれ、悪魔」


ゲンガー「了解! げへへ!」


ゲンガーが更に強く首を締めあげると、エンペルトは泡を吹いて気を失った……


エンペルト「あぐ……」


ボーマンダはそれを確認すると、再びマイクをとった……

 ▼ 207 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:57:21 ID:P0CJzuB6 [39/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


会場に再びボーマンダの大声が響く……



おい、オノノクス! いい加減目を覚ませ!



俺はお前の事を思ってこんなしたくも無い事やってんだぜ?



お前の事が好きだからこんな事やってんだぜ?




なぁ、あの時は俺が全部悪かったよ……




別に、許してもらえなくても構わねぇ……ただ、俺はお前にこれ以上悲しんで欲しくねぇんだよ……っ!? うわっ! やめろ!!  



ガチャ! ブチっ……ピー……

 ▼ 208 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:04:13 ID:P0CJzuB6 [40/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



それっきり声は聞こえなくなり、プロジェクターの画像も消えた……


会場は更にざわめいた……


ガブリアス「ボーマンダの奴、あいつ何やってんだ!?」


カイリュー「でも、さっきの写真……すごく新郎さんに似てただよ?」


クリムガン「もし、ボーマンダ君が言ってる事が本当なら……ヤバくない!?」


ジャラランガ「だよね……でも、確信も持てないし……」






その時、舞台の席に座っていたオノノクスが立ち上がり、走り出した。


サザンドラ「オノノクスさん!?」 


オノノクスは着慣れないドレスでなんとか走っていくと、舞台裏に消えた……


サザンドラ「……」



 ▼ 209 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:09:23 ID:P0CJzuB6 [41/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


舞台裏では……


ボーマンダは沢山の警備員に取り押さえられていた。


ボーマンダ「は、離せよ! くそっ!」


ゲンガーがボーマンダに取り付く警備員を引っ剥がしていくが、数が多すぎてきりがない……


ゲンガー「ダメだ! らちがあかねぇ!」


その時、ドレス姿のオノノクスが舞台裏にやってきた。


ボーマンダ「おまっ! なんでこんなとこに!」
 ▼ 210 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:12:33 ID:P0CJzuB6 [42/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクスは酷い有り様のボーマンダを見ると一言……


オノノクス「警備員さん、どいて」


警備員達「え?」


警備員達は一斉にボーマンダから離れた……


オノノクスがボーマンダに寄ってきた……


ボーマンダ「オノノクス、わかったてくれたか!?」


しかし、次の瞬間……


パァン!


ボーマンダ「!?」

ゲンガー「げ」

警備員達「(うわぁ……)」


ボーマンダは平手打ちを食らった頬を撫でた……


ボーマンダ「なんで……」


 ▼ 211 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:16:48 ID:P0CJzuB6 [43/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「なんでじゃないわよ! あたしの一度っきりの晴れ舞台を台無しにして!! 返してよ!! 返してよ……あたしの幸せを……」


オノノクスは両手で顔を覆い、泣き崩れた……


ボーマンダ「……」


ボーマンダとゲンガーを警備員達が部屋の外へと引っ張った……


警備員「さっさと行くぞ! ついて来い!!」


ボーマンダ「……」


バタン……




二匹を一枚の扉が遮った……


 ▼ 212 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:22:17 ID:P0CJzuB6 [44/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


警備員に連行されるボーマンダはゲンガーに小声で話した……


ボーマンダ「悪魔、悪いけどよ……この願いも取り消してくれ……」


ゲンガーはもう驚くことも無かった……


ゲンガー「お前ならそう言うだろうと思ったぜ……ほらよ」


ゲンガーは手をポンと叩いた……















しかし、何も起こらない……


ボーマンダ「あれ? いつもだったらここで目の前が真っ白に……」


ゲンガー「な、なんでだぁ!?」


ゲンガーは何度も手を叩いたが……やはり、なにも起こらなかった……


ボーマンダ「な、何でだぁ!? 何で何も起こらないんだよぉ!!」






 ▼ 213 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:31:03 ID:P0CJzuB6 [45/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その時、舞台裏では……


泣いているオノノクスの元にサザンドラがやってきた。


オノノクス「サザンドラ君……ごめんね……あたしの元カレが……」


オノノクスが顔を上げると、サザンドラが微笑んだ……


サザンドラ「いい彼氏さんだな」


オノノクス「え?」


サザンドラ「オノノクスちゃんの事を本気で思ってくれる……あんな彼氏さんがいるなら、俺は勝てないよ……」


オノノクス「何の話……?」


サザンドラはオノノクスの背を優しくなでた……


サザンドラ「彼氏さんの言うとおりだ……俺は結婚詐欺師……オノノクスちゃんを騙してたんだよ……」


オノノクス「!」


サザンドラ「ほら、今なら間に合う……彼氏さんの所に行ってきな……」


オノノクス「……」


サザンドラはそっとオノノクスの背を押した……


オノノクスはまた、着慣れないドレス姿で走り出した……


 ▼ 214 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:37:31 ID:P0CJzuB6 [46/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



サザンドラの他、誰もいなくなった舞台裏……


サザンドラ「……」


サザンドラの影からジュペッタが飛び出した……


ジュペッタ「良かったのか? お前の願い……」


ジュペッタの手には紙切れが一枚握られていて……その5つ目の空欄には……






本当の恋がしたい……





サザンドラ「良かったんだ。俺はこれまでに沢山のメスを泣かせてきた……正直、好きになれる相手がいなかったから、俺は騙されるメスの気持ちなんてわかりはしなかった……」


サザンドラの目から一筋の涙がこぼれた……


サザンドラ「でも、今わかったよ……誰かを好きになるって事がどれだけ辛いか……」


サザンドラ「オノノクスちゃんは幸せだな……あんなに本気で思ってくれる彼氏さんがいるんだから……」


 
 ▼ 215 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:42:12 ID:P0CJzuB6 [47/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その頃、ボーマンダは警備員に連行され、式場の外にいた……


ボーマンダ「うぅ……俺、捕まるのかな……」


ゲンガー「こんな事…………っ! もしかしてあいつ!」


ボーマンダ「?」


ゲンガー「もしかするとあのサザンドラって奴も、悪魔と契約してるかもだ!!」


ボーマンダ「なんだって!?」


ゲンガー「あいつもオノノクスについて何かを願った……それで、二つの願いが重なっちまってうまく取り消せねぇんだ!」


ボーマンダ「まじかよ!?」


警備員「うるさいぞ! 静かにしてろ!」


ボーマンダ「う、うぅ……」

 ▼ 216 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:45:25 ID:P0CJzuB6 [48/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


警備員に注意され、ボーマンダがうなだれていると……




ボーマンダくーん!!



ボーマンダ「え?」


声のした方へ目をやると、オノノクスがこちらへかけてくる……


ボーマンダ「オノノクス……なんで……」


オノノクス「ごめん、ボーマンダ君……サザンドラ君は本当に詐欺師だったんだね……」


警備員「えっ!? まじで!? おい、お前ら! さっきのポケモン捕まえに行くぞ!!」


警備員はサザンドラを捕まえに式場に向かった……

 ▼ 217 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:48:05 ID:P0CJzuB6 [49/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「本当にごめん……あたしが最初から聞いてたら……」


ボーマンダはしょげるオノノクスを見つめていたが……やがて……


ボーマンダ「……へっ……やっぱりお前は俺がいないとダメダメだな……」


オノノクス「っ! な、なによっ!」


ボーマンダ「でも」


オノノクス「?」


ボーマンダ「俺だって、お前がいないとダメダメなんだ……だからさ、俺ともう一回……付き合ってくれねぇか?」



 ▼ 218 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:51:04 ID:P0CJzuB6 [50/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

オノノクスはその言葉を聞いて、しばらくボーマンダを見つめていたが……


オノノクス「ぷっ! なにそれ!」


ボーマンダ「なっ、なんだよ!」


オノノクス「でも、いいよ! 付き合ってあげる!」


ボーマンダ「!」


ボーマンダは静かに微笑み、オノノクスを抱きしめた……



ボーマンダ「……ありがとな」



式場の前……二匹を夕日が優しく包んでいった……


 ▼ 219 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 19:07:14 ID:P0CJzuB6 [51/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その頃……舞台裏では……



ジュペッタ「さて、これで5つの願いを叶えた訳だが……どうだった?」


サザンドラはジュペッタに背を向けた……


サザンドラ「ああ……満足だ……オノノクスちゃんはともかく、他の願いは軒並み満足だ……」


ジュペッタ「そうか……ま、満足してるかなんて、どうでもいいんだがな……」


サザンドラ「?」




ジュペッタ「このゲーム、お前の負けだ……」




サザンドラ「ゲーム……?」


サザンドラが振り返ると、自分より大きくなったジュペッタが大口を開いていた……



サザンドラ「!!!!!!!!」




 ▼ 220 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 19:08:15 ID:P0CJzuB6 [52/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
















げぇふ……ごちそうさま…………だな…………
















 ▼ 221 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 19:13:34 ID:P0CJzuB6 [53/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


サザンドラを飲み込んだジュペッタの体がグニャリと形を変え……サザンドラの姿に変わった……



サザンドラ?「やーっと手に入れたぜ……」


そこに警備員達がやってきた。


警備員「おい! 詐欺師! おとなしくしろ!!」


サザンドラ?「あぁん?」


サザンドラが睨みつけると、警備員達の体が硬直した。


警備員「ひいっ!?」


サザンドラ?「簡単に捕まってたまるかよ……宴はこれからだってのによぉ……!」


サザンドラの姿をしたジュペッタは闇に飲み込まれて消えた……


警備員「い、いったい何が起こったんだ……?」



 ▼ 222 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 19:18:38 ID:P0CJzuB6 [54/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



その日の帰り道……



ボーマンダとゲンガーは並んで夜の街を歩いていた……



ボーマンダ「それにしても、とんでもない1日だったな……」


ゲンガー「……」


ボーマンダ「ん? どうした?」


ボーマンダがふと、ゲンガーを見ると……ゲンガーの体が少しだけ透けて見えた……


ボーマンダ「っ!? どうしたんだよ! お前!!」


ゲンガーはボーマンダから目をそらした。


ゲンガー「次が最後の願いだろ? 俺とお前……一緒にいれるのもあと少しって訳だ……」


ボーマンダ「……そうなのか……」


ボーマンダはしばらく黙っていたが……


ボーマンダ「ま、いなくなっちまうその時までよろしくな! 悪魔!」


ゲンガー「……」




二匹は真っ暗な道を家に向かってゆっくりと歩いて行った……




続く


 ▼ 223 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 19:20:25 ID:P0CJzuB6 [55/79] NGネーム登録 NGID登録 報告
第五話おしまい

なんとか更新できて良かった……

そろそろ完結が見えてきたので、今日は休憩してから寝る前にもう一話書くと思いますのでよろしくお願いしますね。

ではでは
 ▼ 224 イリキー@ミミロップナイト 17/08/23 19:24:21 ID:XpwBncw2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 225 チート@あかぼんぐり 17/08/23 19:32:36 ID:mhN1DfEQ NGネーム登録 NGID登録 報告
良き良き 支援
 ▼ 226 ビィ@しめつけバンド 17/08/23 19:40:09 ID:i/InfmIw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ジュペッタ何奴……

支援
 ▼ 227 ルフーン@こだわりハチマキ 17/08/23 19:52:47 ID:CgRCarD. NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
読みやすいし面白い
支援
 ▼ 228 ルキー@わすれもの 17/08/23 21:14:35 ID:AuBPANq2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 229 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:05:50 ID:P0CJzuB6 [56/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




窓の外はもう暗く、何も見えない……深い深い夜……




もう他の家々の灯りも殆ど消えてしまっている……


そんな町の中……ボーマンダの部屋にて……



 ▼ 230 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:09:33 ID:P0CJzuB6 [57/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガーは少し透けた自分の体を見つめた……


ゲンガー「……」


ボーマンダ「どうしたんだ? 悪魔……元気出せよ!」


ケラケラと笑っているボーマンダをチラッと見ると、ゲンガーは呟いた……


ゲンガー「なぁ、次が最後の願いになるけどよぉ……決まったのか?」


ボーマンダ「んー……まぁな」

 ▼ 231 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:16:07 ID:P0CJzuB6 [58/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「どんな願いだ? 最後の願いだから慎重になれよ? もう取り下げなんて勘弁だぞぉ!?」


ボーマンダは机の上のペンを取った。


ボーマンダ「最後の願いは絶っ対に取り消さねぇよ! 安心しろ!」


ボーマンダは何の躊躇いも無く、つらつらとあの紙切れに何かを書き込んだ……


ゲンガー「!?」


すると、ゲンガーの体が更に透けて、見にくくなった……


ゲンガー「なっ!? お前! 何を書いたんだよ!!」


ボーマンダ「ほらよ」


ボーマンダが差し出した紙切れ……最後の空欄に書かれていたのは……







俺の親友の悪魔に最高の幸せが訪れますように。







 ▼ 232 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:16:47 ID:P0CJzuB6 [59/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告










六、変わらない俺×最後の願い








 ▼ 233 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:18:26 ID:P0CJzuB6 [60/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「お前! これ、どう言う事だよ!?」


焦るゲンガーにボーマンダは笑顔を返した。


ボーマンダ「俺さ、お前に会ってからここ数日……色々やったよな」





 ▼ 234 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:21:04 ID:P0CJzuB6 [61/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





まずいラーメン食べて……




大金持ちになって……




やった事の無い仕事について……




元カノの結婚式に突撃もしたよな……







 ▼ 235 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:25:22 ID:P0CJzuB6 [62/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ボーマンダ「色々あった……泣いたり笑ったり……怒ったり……正直疲れたりもしたけどさ、楽しかった! すっげぇ楽しかった!!」


ゲンガー「……」


ボーマンダ「だからさ、最後はこんなに面白い体験をさせてくれた俺の親友に恩返しがしたくてな! へへっ!」


ゲンガー「なんだよ……それ……意味がわからねぇ……」


ボーマンダ「だってさ、もうお前と一緒にいられないんだろ? それならせめて、お前が幸せに暮らしてるって願えば……お前がいなくなっても俺は安心出来るからな! これでも少しはお前の事、心配してるんだぜ?」

 ▼ 236 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:28:10 ID:P0CJzuB6 [63/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「わからねぇ……全くわからねぇ……けどよ……ありがとな……そして……」


声を震わせるゲンガーはボーマンダに背を向けた……





ゲンガー「このゲーム、お前の勝ちだ……」





ボーマンダ「ゲーム? 何の事だ?」


ゲンガー「あの日、お前と出会った日……確かに言ったはずだ……」






 ▼ 237 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:29:38 ID:P0CJzuB6 [64/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告






ゲンガー「さぁ……これから始まるのはお前の生涯をかけたゲームだぁ……せいぜい楽しませてくれよぉ……げへへ……げへへへへ」





げへへへへへへへへぇ!!!!














 ▼ 238 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:32:17 ID:P0CJzuB6 [65/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告








ボーマンダ「そういや……そんな事言ったっけ……」


ゲンガー「隠してた事も全部話してやる……まずは俺達、悪魔の正体……」


ボーマンダ「正体? 悪魔は悪魔じゃないのか?」


ゲンガー「それは俗称だ……俺達の本当の名前……それは、欲望……宿主の欲望だ……」

 ▼ 239 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:35:32 ID:P0CJzuB6 [66/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「欲望?」


ゲンガー「そうだ、お前の欲望の塊が俺なんだよ……簡単に言えば、俺はお前の分身みたいなもんだ。だから俺はお前の専属の悪魔だって言ったんだ……」


ボーマンダ「……俺の……欲望……」


ゲンガー「そうだ、お前の欲望だ……俺達悪魔は宿主の欲望をエネルギーに変えて生きてるんだ……」


 ▼ 240 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:39:08 ID:P0CJzuB6 [67/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ゲンガー「俺達悪魔は本来実態を持たないし、見ることも出来ない……」


ゲンガー「でも、悪魔が実体化出来る条件が一つだけあった……それは、宿主の欲望がオーバーフローする事だ……」


ゲンガー「お前は……やりたい事が山ほどあるのに、時間も金も無かった……日に日に溜まるストレスと不安によって、どんどんお前の欲望も溜まっていった……」


ゲンガー「そう、俺はお前の度を超した欲望のおかげでこうして実体化できたんだ……」


 
 ▼ 241 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:45:29 ID:P0CJzuB6 [68/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「実体化した悪魔達が次に欲しがるのは体だ……」


ゲンガー「だから、俺達悪魔は……宿主の欲望を更に高めるよう誘いかける……欲望の力を溜め込むために、宿主にゲームをしかけるんだ……」


ボーマンダ「それがあの……紙切れ……?」


ゲンガー「そうだ……本来なら、願いを叶えていけば、どんどん欲しい物ってのは増えていく……金とか権力とかな……」


ゲンガー「そうして更に高まった欲望をエネルギーに、俺達悪魔は最後にゃ宿主を食っちまうんだ……」


ボーマンダ「!」


ゲンガー「そして、悪魔に食われた宿主は死に……悪魔が代わりにその体を乗っ取って生きていくって訳だ……」


ボーマンダ「乗っ取る?」


ゲンガー「今もこの世界には何百……何千匹……悪魔とのゲームに負けて、体を乗っ取られたポケモンがいるんだぜ?」


 ▼ 242 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:48:59 ID:P0CJzuB6 [69/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「……」


ゲンガー「だが、お前は他の奴らとは違った……お前は、願いを取り消し続けた……しかも、叶える度に、お前の欲望は薄れていった……」


ゲンガー「挙げ句の果てには自分の為じゃなく、お前を食おうとしていた俺なんかの為に最後の願いを使っちまって……」


ボーマンダ「……」


ゲンガー「ほんと、お前の事はよくわからねぇよ……げへへ……」


再びこちらに向き直ったゲンガーは、不気味な笑顔……ではなく、いつもと違った普通の笑顔だった……

 ▼ 243 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:53:06 ID:P0CJzuB6 [70/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


初めて見た、その普通の笑顔に……なぜか、ボーマンダの目には涙が浮かんだ……


ボーマンダ「そ、それじゃ、俺のせいで……俺が欲望をなくしちまったせいでお前は死んじまうのか!?」


ほぼほぼ透明になったゲンガーはその言葉にやっぱりいつも通り、不気味な笑顔を返した……


ゲンガー「何を甘い事を言ってるんだぁ? そんなに簡単に死にはしねぇよ。お前の欲望が無くなったんじゃなくて、薄れただけだから……見えなくなるだけだぜ? また、お前が欲望にまみれたその時、再び俺が見えるようになるだろうよぉ……」


 ▼ 244 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:55:24 ID:P0CJzuB6 [71/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「そもそも、この世界中どこを探しても、欲望が全く無いポケモンなんていねぇよ……」


ボーマンダ「……」


ゲンガー「ま、要するに見えなくなるだけだ! 俺はまた、お前の事を影の中からずーっと見といてやるからなぁ! 安心しなぁ! げへへ!」


ボーマンダ「なんだよ……それ……へへっ!」


ボーマンダは涙を拭い、笑った。

 ▼ 245 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:57:10 ID:P0CJzuB6 [72/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガーの体はもう、目を凝らさないと見えない……


ゲンガー「もう時間だな……それじゃ、次にお前の欲望が溢れたその時まで……」


ゲンガーはぴょんと飛び上がると、ボーマンダの影に飛び込んだ。


 ▼ 246 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:57:49 ID:P0CJzuB6 [73/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告












あばよ! げへへへへへへへへへへへへぇ!!!!











 ▼ 247 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 23:00:58 ID:P0CJzuB6 [74/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダ「悪魔っ!!」


ボーマンダの影は、しばらくの雨粒の落ちた水面のようにゆらゆらと動いていたが……やがて、動かなくなった……


ボーマンダ「……じゃーな、親友……」



ボーマンダが影を見つめて静かに微笑んだ……その時



ドンドンドン!! ドンドン!!



隣の部屋から鈍い音が……



ボーマンダ「だから壁が薄いって言ってるだろ? その変な笑い方もよせよ……へへっ!」



 ▼ 248 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 23:02:23 ID:P0CJzuB6 [75/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告








これは、暗い暗い夜の町……一つの部屋で起きた、不思議な不思議な出来事……







 ▼ 249 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 23:05:27 ID:P0CJzuB6 [76/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


それから数時間後……



更に深い夜……


真っ暗な町の中、ボーマンダの部屋の灯りも消えていた……





ボーマンダ「ぐかぁぁぁぁ……んごぉぉぉ……」


ボーマンダはベッドでぐっすり眠っている……





机の上には全ての空欄が埋められた、あの紙切れとペンがまだ置いてあった……




ボーマンダ以外、誰もいないはずのその部屋……


突然、机の上のペンが浮かび上がった……


 ▼ 250 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 23:09:21 ID:P0CJzuB6 [77/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



俺の親友の悪魔に最高の幸せが訪れますように……か……



けっ、俺は宿主の欲望が欲しいのによ……宿主があれじゃ……この願いは残念だが叶わねぇなぁ……



ま、叶って欲しくねぇけど…… 



だって、この願いが叶うって事は……あいつがまた、欲望にまみれちまうって事だからな……



あいつの体を乗っ取るなんてごめんだぜ……



親友のお前を食うなんて、今更出来ねぇよ……



……げへへ……お前のせいで変わっちまったよ……甘いにもほどがあるぜぇ……俺もよぉ……




 ▼ 251 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 23:13:42 ID:P0CJzuB6 [78/79] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


全てが満足に行くよりも、あいつには程々の幸せがお似合いだ……



浮かび上がったペンが紙切れに何か書き込むと……ポトリとその場に落ちた……



本当によぉ……厄介な宿主だぜ…… 





ま、これからおもしれー事や辛い事……色々あるだろうけどよ、せいぜい楽しめよ……そして……

 





楽しませてくれ……






部屋の暗闇の中、不気味な声が吸い込まれていった……




続く






 
 ▼ 252 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 23:15:24 ID:P0CJzuB6 [79/79] NGネーム登録 NGID登録 報告
第六話おしまい

もしかしたら明日、完結までいけるかも……


とりあえず、ここまで読んでくれた方、支援コメ下さった方、ありがとうございました!


では、また明日ー
 ▼ 253 ラティナ@ちからのこな 17/08/24 00:18:30 ID:02DThjkQ NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 254 ーケン@パークボール 17/08/24 01:24:12 ID:TMRVoOmw NGネーム登録 NGID登録 報告
まだあるんだな 支援支援
 ▼ 255 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:35:16 ID:N/rP3UxY [1/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



次の日……



ボーマンダ「ん……ぁぁ……?」


ボーマンダは目を覚ますと辺りを見渡した……


何の変哲も無い、何時もの部屋である……





 ▼ 256 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:36:15 ID:N/rP3UxY [2/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告










七、それからの俺×変わらない世界








 ▼ 257 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:39:51 ID:N/rP3UxY [3/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「そうだ、あいつは……」


ボーマンダは立ち上がると、自分の影を見つめた……


影は闇のように真っ黒……自分が動けばその通りに動くが、影は自分から動こうとはしない……


ボーマンダ「……ま、当たり前なんだけどな……」


ボーマンダは目を細め、親友の面影を思い出した……


ボーマンダ「心配するなよ、親友! これからの俺の活躍、特等席でじっくり見てろよな!」

 ▼ 258 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:44:32 ID:N/rP3UxY [4/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その時……


ぐぅぅぅ……


ボーマンダ「そんな事より朝飯朝飯っと!」


ボーマンダは電子レンジの上に置いてあった袋から食パンを一枚取り出すと、それを咥えて机に向かった。


その時、ボーマンダは机の上に、まだあの紙切れがのっていた事に気づいた……


ボーマンダ「ってあれ? まだあの紙切れ…………っ!」


その紙切れには、ボーマンダの字で書かれた5つの願いと……それと別に手書きの空欄に、見覚えの無い字で6つ目の願いが書き込まれていた……







俺の親友が、どんな時も笑って暮らせますように







 ▼ 259 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:47:02 ID:N/rP3UxY [5/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「なんだよあいつ……こんな書き方しても叶うわけ……」


ボーマンダはニヤリとした。


ボーマンダ「いや、叶うじゃねぇよな! 叶えてやるよぉ! げへへ! ってか!?」


ボーマンダは親友の口まねをすると、食パンを一口かじった……





ボーマンダ「……なんだ……? 今日の食パンはえらくしょっぱいじゃねぇか……」





 ▼ 260 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:48:01 ID:N/rP3UxY [6/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告









そんなこんなで、俺と悪魔の長いようで短かった数日は幕を閉じた……








 ▼ 261 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:49:49 ID:N/rP3UxY [7/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





あれから数ヶ月後……






季節は秋……少し冷たい風が吹く、深い深い夜……ではなく、夕方……






とある町の片隅に寂れたコンビニがあった…………




 ▼ 262 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:53:16 ID:N/rP3UxY [8/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


店の自動ドアが開き、常連のザングースがやってきた……


ボーマンダ「いらっしゃいませー」


バイトのボーマンダは笑顔で客を迎え入れる……


ザングース「おう、にいちゃん! いつものタバコ一箱くれや!」


ボーマンダ「はい、いつものですねー」


ボーマンダはタバコを一箱取り出すと、ザングースに差し出した。


ザングースもいつものと言うだけあり、すでにタバコの価格ぴったりの小銭を用意していたので、ボーマンダはそれを受け取った。


 ▼ 263 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:56:21 ID:N/rP3UxY [9/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「いつもありがとうございます!」


ザングース「おう、にいちゃんもバイト頑張りやー!……それにしても……」


ザングースがボーマンダを見つめた……


ボーマンダ「へ? な、何か?」


ザングース「いや、夜中のバイト辞めたからかな……にいちゃん、前より元気に見えるわ!」


ボーマンダ「そっすか! ありがとうございます!」


ザングース「ほんじゃ、体には気をつけるんやでー!」


ザングースは店を出て行った。


ボーマンダ「ありがとうございましたー!」


 ▼ 264 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:58:16 ID:N/rP3UxY [10/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




俺はあれから深夜にバイトを入れる事を辞めて、昼のバイトだけにした……




収入は減ったけど、健康の方が大事だからな!




仕事はまだ見つかってない……




自分にぴったりの仕事を今でもゆっくり探してるぜ!




 ▼ 265 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:59:54 ID:N/rP3UxY [11/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





ボーマンダ「……!」




ボーマンダはふと、視線を感じた気がして……自分の影を見た……




影はいつも通り、吸い込まれるように真っ暗だ……






 ▼ 266 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:01:24 ID:N/rP3UxY [12/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告






あれから影は、一度も自分から動いた事は無い……






正直、今でもあの日々は全部夢だったんじゃねぇかなって思う時がある……





 ▼ 267 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:02:50 ID:N/rP3UxY [13/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





ボーマンダは懐からあの紙切れを取り出し、それを見つめた……



ボーマンダ「……へへっ」



ボーマンダは微笑むと、また、その紙切れを折り畳んで懐にしまった……




 ▼ 268 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:04:03 ID:N/rP3UxY [14/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告






ま、別に夢だってなんだっていいんだ!



夢でもなんでも、こうして俺は前より前向きに生きてるんだからな!



それだけで十分だぜ!





 ▼ 269 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:06:21 ID:N/rP3UxY [15/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




その時、店内に子どもの叫び声が響いた……




いーやーだぁー!! お菓子買ってくれなきゃやだーーーっ!!




ボーマンダ「?」



声のした方を見ると、子どもがお菓子売場の前で座り込み、駄々をこねていた……



 ▼ 270 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:11:44 ID:N/rP3UxY [16/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ピチュー「お母さん買ってぇ!」


ライチュウ「お菓子は買わないって約束したでしょ? 今日は買いません!」


ピチュー「嫌だぁ!!」



その時、ピチューの影がグニャリと動いた……



ボーマンダ「!!」



ライチュウ「ほら、置いてくわよ?」


母親のライチュウはどんどん歩いて行く……  


ボーマンダは固唾を飲んでピチューを見つめた……


ボーマンダ「……」


ピチュー「約束……約束したよね……」


ピチューはぐずりながらも、母親の後を追った……



影はそれっきり動かなかった……



ボーマンダ「いい子だな……せいぜい、悪魔に体を乗っ取られるんじゃねぇぞ……」


ボーマンダは微笑んだ……
 ▼ 271 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:14:35 ID:N/rP3UxY [17/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



それから数時間後……


バイトを終えたボーマンダはコンビニを出た。


空を見上げれば、もう暗く……暗闇の中にキラキラと星々が輝いている……



ボーマンダはそんな星を見つめていたが……



ボーマンダ「よし、行くか!」



ボーマンダは暗い町の片隅を目指して歩き出した……


 ▼ 272 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:16:31 ID:N/rP3UxY [18/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


町の片隅のとある飲み屋……


ボーマンダが戸を開けると、座敷から声がした。


カイリュー「おーい! ボーちゃーん!」


ガブリアス「こっちこっち!」


ボーマンダ「おう!」



ボーマンダは二匹のもとに向かった……

 ▼ 273 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:19:54 ID:N/rP3UxY [19/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ボーマンダは座敷に座った。


ボーマンダ「いやー、遅れてすまん!」


カイリュー「ボーちゃんお疲れー」


ガブリアス「ほんと、ご苦労さん! ほら、もう注文しといたから飲め飲め!」


ガブリアスがビールジョッキを差し出した。


カイリュー「今日はおらの奢りだからいっぱい食べるだよ!」


ボーマンダ「今月かつかつだから本当助かるぜ! ありがとな!」


カイリュー「困った時はお互い様だよ! それじゃ、久しぶりに飲むだよー!」




三匹「かんぱーい!!」



 ▼ 274 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:24:47 ID:N/rP3UxY [20/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



一時間後……



ガブリアス「があぁ…………ぐぉぉ…………」


カイリューが机に突っ伏して爆睡しているガブリアスの背をなでた……


カイリュー「ガブちゃん、やっぱり寝ちゃっただね」 


ボーマンダ「ま、昔っからそうだったよな! こいつは!」


カイリューは水を一口飲んだ。


カイリュー「ところでボーちゃん、明日の準備は出来ただ?」


ボーマンダ「おう、とりあえず今できる事は全部やったつもりだぜ?」


カイリュー「そっか! おらは応援する事しかできないけど……ボーちゃん、頑張るだよ!」


ボーマンダ「おう、ありがとな……それじゃ、明日の夕方……あの公園な……」


カイリュー「んだ! ガブちゃんにはおらから伝えとくだよ!」


 ▼ 275 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:28:00 ID:N/rP3UxY [21/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


カイリューは立ち上がると、財布からお札を出した。


カイリュー「おら、先に帰るだよ……そろそろ帰らないと……」


ボーマンダ「あ……嫁さんに怒られるからか?」


カイリュー「んだ……ジャラ美ちゃん怒ると怖いから……」


ボーマンダ「ま、嫁さんによろしくな! お疲れ! 今日はありがとな!」


カイリュー「んだ! ガブちゃんの事、頼んだだよー!」


ボーマンダ「おう!」



カイリューは手を振りながら店の外に消えた……

 ▼ 276 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:30:35 ID:N/rP3UxY [22/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダはガブリアスを揺すった……


ボーマンダ「おい! 起きろよ!!」


ガブリアス「うぅ……眠い……」


ガブリアスは虚ろな目で遠くを見つめている……


ガブリアス「ああ……頭痛ぇ……」


ボーマンダ「はぁ……本当にお前は酒に弱いのな……ほら、もう帰るぞ! すみませーん! 店員さん! お勘定!」






 ▼ 277 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:36:21 ID:N/rP3UxY [23/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




ボーマンダは酔っ払ったガブリアスを背負って夜の町を歩く……



ガブリアス「あぁ……疲れた……働きたくねぇ……」


ベロンベロンに酔っ払ったガブリアスがボーマンダの背で呟いた……


ボーマンダはそんなガブリアスを見てため息をついた。


ボーマンダ「まだまだお前は経験が足りねぇな……仕事があるってのは幸せな事なんだぜ?」


ガブリアス「経験が足りない……か……経験と言やぁ、俺、昔幽霊に会った事があるぜ?」


ボーマンダ「なんだよそれ……そんなの見間違いだろ……そんな事言ったら俺なんか親友に悪魔がいるぜ?」


ガブリアス「なんだそれ……お前こそそんなの見間違いか何かだろ……」


ボーマンダ「ま、確かに見間違いかもな……へへっ!」


二匹は暗い町をゆっくりと歩いて行った……


 ▼ 278 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:38:12 ID:N/rP3UxY [24/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「それよりお前、酒くせーからもうしゃべるな」


ガブリアス「うるさいな…………うぷっ……あ、やべ……吐きそう……」


ボーマンダ「うげっ!? や、やめろ!! やめ……」







ああああああああああああああああああああ!!!!!






 ▼ 279 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:39:41 ID:N/rP3UxY [25/26] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




そんなこんなで俺は元気にやってるぜ!



だから、安心して俺の事を見てろよな! 親友!



また、いつか会えるその日まで…………



じゃーなっ!






続く

 ▼ 280 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:41:14 ID:N/rP3UxY [26/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
第七話おしまい。


あとはおまけ編が一つあるので、それが最後です。


用事を終わらせたら続きを書きますので少々お待ちを……

 ▼ 281 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 11:24:35 ID:q22XNYvI [1/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告









おまけ 俺らしい俺×馬鹿らしい仲間








 ▼ 282 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 11:28:30 ID:q22XNYvI [2/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



夕闇空の下……とある公園にて……



薄暗くなり始めた公園の隅……小さな灯りの下にボーマンダがいた……


ボーマンダ「……」


少し肌寒く感じる風がボーマンダを襲う……


ボーマンダ「寒っ……もうこんな季節か……」


ボーマンダは薄暗い公園で一匹、ため息をついた……


ボーマンダ「いざ、こんな日が来るとなると……はぁ……」


ボーマンダは灯りの下をぐるぐると回りだした……


ボーマンダ「落ち着け……落ち着けよ……俺……」

 ▼ 283 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 11:31:16 ID:q22XNYvI [3/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その時、暗闇から突然オノノクスが現れた。


オノノクス「さっきからくるくる回って何してるの? 不審者みたいよ?」


ボーマンダ「ぎゃあっ!?」


飛び上がったボーマンダにオノノクスは呆れた表情を見せた……


オノノクス「なによ……ボーマンダ君から呼んどきながら……そんなに驚かなくてもいいじゃない!」


ボーマンダ「す、すまん……」


 ▼ 284 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 11:33:41 ID:q22XNYvI [4/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

オノノクス「もういいよ、そんな事より……こんな所に呼んで、今日は何の用?」


ボーマンダ「……」


ボーマンダはオノノクスをじっと見つめた……


オノノクス「?」


ボーマンダ「……」


オノノクス「な、何よ! そんなに見つめられると照れるじゃない!」


ボーマンダ「お前さ……俺と出会った日の事……覚えてるか?」


 
 ▼ 285 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 11:37:11 ID:q22XNYvI [5/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

オノノクス「え? あの合コンの事?」


ボーマンダ「おう」


オノノクス「覚えてるわよ、忘れる訳ないじゃない!」


ボーマンダ「……あの日、やったよな……王様ゲーム……」


オノノクス「やったわね……」


オノノクスは遠い日を思い出して微笑んだ……


ボーマンダ「あの時、お前は王様を引けなかったな……だからさ……」


ボーマンダはカバンから二本の割り箸を取り出した。


ボーマンダ「今から王様ゲームしないか?」

 ▼ 286 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 11:41:17 ID:q22XNYvI [6/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

オノノクスは突然の事に、開いた口が塞がらない……


オノノクス「はぁ!? そんな事のためにあたしを呼んだの!?」


ボーマンダ「まぁ聞けよ、二分の一だぜ? お前が王様を引ける確率は……悪い話じゃねぇだろ?」


オノノクス「そ、それとこれとは……」


ボーマンダはオノノクスの顔の前に割り箸を差し出した……


ボーマンダ「あの日、王様を引けなくて悔しがってたじゃねぇか……俺がチャンスをやってんだぜ? ほら、黙って引いてみろ」


オノノクスは少し戸惑っていたが……


オノノクス「……仕方ないわね……」
 ▼ 287 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 11:43:11 ID:q22XNYvI [7/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクスはしばらく迷っていたが……二本の割り箸のうち、一本を引き抜いた……


オノノクス「……」


オノノクスの引いた割り箸には、数字の一が書かれていた。


ボーマンダ「へへっ! 二分の一を引けないなんてついてねぇな!」


ボーマンダはニヤニヤしている……


オノノクス「う、うるさい!」

 ▼ 288 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 11:46:25 ID:q22XNYvI [8/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダはオノノクスから割り箸を回収すると、カバンに戻した。


ボーマンダ「さてと……お前が引けなかったのなら俺が王様だな……俺の命令、聞いてもらうぜ?」


オノノクス「……」


不機嫌そうなオノノクスの顔の前に、ボーマンダが小箱を差し出した。





ボーマンダ「一番を引いたオノノクスは王様の花嫁になれ!」




 ▼ 289 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 11:48:50 ID:q22XNYvI [9/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

小箱の中には小さな小さな宝石がはめ込まれた指輪があった……


オノノクス「……ぷっ! 何これ! 指輪しょぼっ!」


ボーマンダ「う、うるせー! 今の俺にはこれが限界なんだよ!!」


オノノクスはふっと笑うと、指輪を爪にはめた……


ボーマンダ「!」


オノノクス「ま、王様の命令は絶対だから……仕方ないわね!」


 
 ▼ 290 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 11:51:37 ID:q22XNYvI [10/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




ボーマンダ「……や、やっ………………」



ボーマンダ「やったあぁぁぁぁぁあ!!!」



ボーマンダの叫びが響いた途端、公園の草陰からガブリアスやカイリュー、クリムガンにジャラランガが飛び出した。



四匹「おめでとーーーっ!!」




 ▼ 291 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 11:54:46 ID:q22XNYvI [11/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「っ!?」


ボーマンダとオノノクスは突然現れた四匹に囲まれた。


ボーマンダ「やったぜ! お前らっ!」


ガブリアス「ほんと、ヒヤヒヤさせやがって!」


カイリュー「よかっただぁ……本当によかっただよぉ……ぐす……」


ボーマンダ「おまっ! 泣くなよ!」


クリムガン「オノノクスちゃんおめでとー!」

 
ジャラランガ「今度こそ結婚出来るわね!」
 

 ▼ 292 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 11:58:47 ID:q22XNYvI [12/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「ちょっと! 何なの!? これ!! 見られてたの!? 恥ずかしーっ!!」


両手で顔を覆うオノノクスにガブリアスがよって来た。


ガブリアス「ほら、カメラで動画も撮っといたぜ!」


ガブリアスがカメラで撮っていた動画を見せると、オノノクスの顔は真っ赤になった。


オノノクス「っ!! は、恥ずかしいから消してーっ!!」


オノノクスがガブリアスを突き飛ばした。


どすっ!


ガブリアス「いてっ!」


よろけたガブリアスがボーマンダにぶつかり、ボーマンダは盛大にこけた


ボーマンダ「ぐえっ! ちょっ! 何すんだよ!」




一同「ははははは!!」


 ▼ 293 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 12:02:26 ID:q22XNYvI [13/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「……!」


その時、オノノクスが何かに気づき……ボーマンダに近寄った……


ボーマンダ「?」


オノノクスはボーマンダのカバンから落ちた割り箸を手に取った……


ボーマンダ「あっ! それは!!」


オノノクス「……なにこれ」



先ほど使ったその二本の割り箸……


一と書かれた割り箸と、もう一本は赤く塗られた王様の意味をなす王様の割り箸…………ではなく、もう一本の割り箸には数字の二が書かれていた……


 ▼ 294 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 12:05:56 ID:q22XNYvI [14/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「ち、違う!! 違うんだよ!!」


オノノクス「八百長……してたのね……」


オノノクスの鋭い目がボーマンダを睨みつけた……


ボーマンダ「ひえぇっ!!」


ボーマンダは走って逃げ出した。


オノノクス「待ちなさいよぉーっ!!」


オノノクスがボーマンダを追いかける……


四匹はそんな二匹を見て笑った……


ガブリアス「あーあ……最後の最後で……」


クリムガン「だから最初から素直にプロポーズすればいいって言ったのに……」


ジャラランガ「ま、こんなのもいいんじゃない?」


カイリュー「ボーちゃんらしいだ!」


 ▼ 295 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 12:09:14 ID:q22XNYvI [15/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「ひえぇーっ!!」


ボーマンダが必死に逃げていると……その時、どこからか声がした……




うまくいってよかったじゃねぇか……げへへ!




ボーマンダ「!」


ボーマンダはその声に立ち止まり……影を見つめた……


影がグニャリと動いた……気がした……



ボーマンダ「……へへっ!」


その時、追いついたオノノクスがボーマンダにのしかかった。


どすっ!


ボーマンダ「ぐえっ!?」


オノノクス「絶対に許さないんだからぁ!!」


ボーマンダ「ほ、本当にごめんって!! マジで!!」






 ▼ 296 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 12:12:35 ID:q22XNYvI [16/17] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告






俺は、仲間に支えられてこうして生きてる……



不便な事の方が多いかもだけど、少し不便で……それに、少しの欲望があった方が、生きていくのは楽しいんだろうな……



なんでも手に入ったり、思い通りになるのはなんだかつまらねぇ。


そう考えりゃ、こんな生活も悪くないのかもな!


へへっ!




おしまい

 ▼ 297 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 12:17:32 ID:q22XNYvI [17/17] NGネーム登録 NGID登録 報告
これでおしまいです。

なんとか今月中に完結できてよかった……

今回のテーマは欲望ですね……自分の欲望について色々考える事があったのでそれらを踏まえて書きました。


今回も好き勝手に書けたので、個人的には満足です!


では、コメ下さった方々! 読んで下さった方々!

ありがとうごさいました!



↓落書き

 ▼ 298 ヒドイデ@ホノオZ 17/08/24 12:29:05 ID:4dsg2XM6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
オノノクスが2引いてたらやばくなかったですかね……

(2本とも1でした、の間違いかな?)

乙です
 ▼ 299 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 12:38:40 ID:co0PBDVs [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告

>>298
ま、もう一本の割り箸はボーマンダが持ってたからいくらでも確認できたでしょう……(適当な辻褄あわせみたいですみません)

読んでくれてありがとねー
 ▼ 300 ネズミ@アクロママシーン 17/08/24 13:31:37 ID:5RemQ5o2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
面白かった
 ▼ 301 黒の災い◆N/pP1Xva6I 17/08/24 13:45:40 ID:7KIkAFqo NGネーム登録 NGID登録 報告
非常に面白かったです!
乙です。
 ▼ 302 イパム@いのちのたま 17/08/24 14:52:17 ID:aXyKMJqM NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 303 ョロモ@クリティカッター 17/08/24 16:14:08 ID:yy/1hOOs NGネーム登録 NGID登録 報告
答えたくなければいいですが、何で今月中に終わらせたかったのですか?
 ▼ 304 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 16:34:10 ID:co0PBDVs [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
>>303
本当に皆様にはどうでもいい事なんですが、自分、9月から1ヶ月ほど幼稚園で実習がありましてね……ここの板に来れなくなります。

半端なとこまで更新して急に更新ストップがかかると、読者の方に大変な迷惑がかかると心配で心配で……ま、そう言う事ですね……

長文失礼しました。

 ▼ 305 ワーク@エスパージュエル 17/08/24 20:28:14 ID:dwv4HS0E NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!面白かった!
 ▼ 306 ナッキー@マックスアップ 17/08/24 21:25:10 ID:eIE6vK6Y NGネーム登録 NGID登録 報告
ほんとにおもしろかった!
感動しました!
乙です!
 ▼ 307 ゲピー@バグメモリ 17/08/25 16:17:32 ID:6qfFWfCU NGネーム登録 NGID登録 報告
>>304
回答ありがとうございました
お疲れ様です!
 ▼ 308 ジュマル@アゴのカセキ 17/08/25 19:22:04 ID:Q0l7xw6Q NGネーム登録 NGID登録 報告
完結おめ!乙でした!
 ▼ 309 コリザル@コスメポーチ 17/08/25 19:27:01 ID:s8eaDBMY NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ジュペッタが言ってた宴とはなんだったんですか?
 ▼ 310 1◆v1GnTfaqxg 17/08/25 20:46:21 ID:hXAlVRUo NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
>>309
ジュペッタ(悪魔)の目的はサザンドラ(宿主)の体を乗っ取る事。
乗っ取る事に成功したジュペッタにとってはサザンドラになりすまして生きていくこれからが宴って訳ですね。

では皆様、欲望を持ちすぎて悪魔に体を乗っ取られないようお気をつけて……
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