【SS】ボーマンダ「こんな生活……」:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】ボーマンダ「こんな生活……」:ポケモンBBS

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【SS】ボーマンダ「こんな生活……」

 ▼ 1 1◆v1GnTfaqxg 17/08/20 01:20:27 ID:y2RzWaGQ NGネーム登録 NGID登録 報告


季節は夏……

生暖かい風が吹く、深い深い夜……

とある町の片隅に、寂れたコンビニがあった……





深夜にもかかわらず、店の自動ドアが開き、大学生と思われるポケモン達が数匹入ってきた……


ボーマンダ「いらっしゃいませー」


深夜バイトのボーマンダはレジ周りの掃除をしながらいつも通り、機械のように気持ちのこもっていない挨拶をする……

 ▼ 171 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:02:13 ID:P0CJzuB6 [1/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダはスマホを取り出した……


連絡先にはまだ、オノノクスの名前が残っている……


ボーマンダ「今から考えりゃ、あれほどいいメスってのも他に無いんじゃないかってな……けどよ、もう一度会うなんて俺には出来なかった……そんな勇気なんてどこにも無かった……だから……」


ボーマンダはゲンガーから紙切れを受け取ると、紙切れに何かを書き込んだ……







オノノクスともう一度付き合いたい……






 ▼ 172 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:05:38 ID:P0CJzuB6 [2/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「……ま、お前がそれで満足するなら……」


ボーマンダ「頼む……オノノクスにもう一度会うチャンスを……!」


ボーマンダが目をつむり、必死に願うと……その時……



ガチャ、ポトン……



ドアのポストに何かが入れられた……


ゲンガー「ん?何か来たみたいだぜ? 見てこいよ。げへへ!」


ボーマンダ「あ、ああ……」


ボーマンダはポストに入っていたハガキを取り出した……


ボーマンダ「なになに……っ!!」


ゲンガー「どうした?」



ゲンガーが覗きこむと……そのハガキには……


 ▼ 173 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:07:02 ID:P0CJzuB6 [3/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




私達、結婚しまーすっ!


オノノクス
サザンドラ


ボーマンダ君も良かったら結婚式に来てね!



場所、…………

日時、…………



…………

 ▼ 174 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:10:25 ID:P0CJzuB6 [4/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダは安心と悲しさ……様々な感情の混じった瞳でハガキを見つめた……


ボーマンダ「……そっか……結婚するのか……」


ゲンガー「お、おい、諦めるのか?」


ボーマンダ「ま、結婚するなら仕方ないよな……それより見ろよ、この写真……」


ハガキにはご丁寧に、オノノクスとその旦那になるサザンドラと言うポケモンの写真がプリントされていた……


ボーマンダ「幸せそうな顔してる……よかったな、オノノクス……幸せにな……」


ボーマンダの目から小さな涙がこぼれ落ちた


ゲンガー「……」




 ▼ 175 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:13:48 ID:P0CJzuB6 [5/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「仕方ないよな……」


ボーマンダは涙を拭うとテレビのチャンネルを切り替えた……


切り替わった画面にニュースが映る……




ニュースキャスター「こちらが、現在指名手配中の詐欺師です」



テレビにでかでかとポケモンの顔が映った……


ボーマンダ&ゲンガー「!?」


その詐欺師の顔写真は……オノノクスの隣に写っていたサザンドラと言うポケモンとそっくりだった……


ボーマンダ「ど、どう言う事だよ!?」


 ▼ 176 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:17:11 ID:P0CJzuB6 [6/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ニュースキャスター「現在、警察はこのポケモンの情報を求めています。見かけた方は警察に連絡をお願いします。皆様、くれぐれも結婚詐欺にはお気をつけ下さい。」


ボーマンダ「結婚詐欺っ!?」


ゲンガー「おいおい……とんでもない事になってきたなぁ! げへへ!」


ボーマンダは再びハガキを見た……


ボーマンダ「結婚式は……明日だ!」


ゲンガー「どうするんだぁ? げへへ!」


ボーマンダ「決まってるだろ!! オノノクスに伝える!! 俺がオノノクスを取り返してやる!!」

 ▼ 177 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 12:17:59 ID:P0CJzuB6 [7/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告










五、独身の俺×花嫁泥棒









 ▼ 178 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:13:01 ID:P0CJzuB6 [8/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



次の日……


街のはずれにある、最近できたと言う大きな式場にて……




式場は沢山のポケモン達で溢れかえっていた……


そんな中、ボーマンダとゲンガーはオノノクスを探していた……



ボーマンダ「すげーポケモン多いな……」


ゲンガー「早く探さねぇと式が始まっちまうぜぇ!」


ボーマンダ「そうだな……でも、どっから探せば……」


 ▼ 179 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:16:58 ID:P0CJzuB6 [9/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダは辺りをキョロキョロ見渡すが……知らないポケモンばかりで、オノノクスは見当たらない……


その時……



ボーちゃーん!

こっちこーいっ!




ボーマンダ「っ!」


ボーマンダが声のする方に振り返ると、カイリューとガブリアスがいた。


ボーマンダ「カイリュー! ガブ!」


ガブリアス「お前も来てたんだな!」


ボーマンダ「来ちゃ悪いか?」


ガブリアス「いやー……元カノの結婚式って気まずくないか?」


ボーマンダ「今回は少し野暮用でな……」


ガブリアス「なんだそれ?」



 ▼ 180 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:20:06 ID:P0CJzuB6 [10/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「そんな事よりガブ! お前、オノノクスがどこにいるか知らねぇか?」


ガブリアス「俺は知らないけど……あいつなら知ってるかもだな……」


カイリュー「んだな」


ボーマンダ「あいつ?」


ガブリアスは遠くのポケモン達が集まっている場所目掛けて叫んだ。


ガブリアス「ガン子ー! ちょっとこっちこーい!!」


すると、ポケモン達を押しのけて、クリムガンとジャラランガがやってきた。


 ▼ 181 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:22:34 ID:P0CJzuB6 [11/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


クリムガン「どうしたの? って! ボーマンダ君じゃん!? 久しぶりー!」


ボーマンダ「お、おう……久しぶりだな……(相変わらず酷いあだ名だな……)」


ジャラランガ「本当、久しぶりね! ボーマンダ君っ! やっぱりいつ見てもイケてるねー!」


ボーマンダ「おう、サンキューな!」

 ▼ 182 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:25:51 ID:P0CJzuB6 [12/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ガブリアス「なぁ、ボーマンダがオノノクス探してるんだってよ。どこにいるか知らね?」


クリムガン「知ってるよ! さっき話に行ったもん!」


ボーマンダ「マジでか! 連れてってくれないか!?」


クリムガン「いいよ! じゃ、ついてきて!」


ボーマンダ「すまん! 助かる!」


クリムガンとボーマンダは走って行った……


ゲンガー「お、おいっ! 待てよっ!」


そして、ゲンガーも二匹について行った……
 ▼ 183 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:28:47 ID:P0CJzuB6 [13/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ガブリアス「ボーマンダについて行ったあの黒い奴……誰だ?」


カイリュー「きっとボーちゃんの友達だよ」


ガブリアス「ふーん……ま、いいか……それよりボーマンダ、よく元カノの結婚式なんかに来たな……俺なら気まずくてパスするわ……」


カイリュー「んだな……」


ジャラランガ「でも、あの二匹……結構お似合いだったのに、どうして別れたんだろうね……」


ガブリアス「さぁ……」



 ▼ 184 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:31:40 ID:P0CJzuB6 [14/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


クリムガンとボーマンダは式場の通路を走っていた……



クリムガン「で? なんでオノノクスちゃんに会いたいの? 別れたんでしょ?」


ボーマンダ「あー……えっとだな……ま、最後に少しくらい話がしたくてよ……」


クリムガン「ふーん……ま、いっか! ほら、ついたよ!」


ボーマンダ「ここに?」


二匹の目の前には控え室があった……

 ▼ 185 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:34:04 ID:P0CJzuB6 [15/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


クリムガン「じゃ、お邪魔虫は退散するねーっ! じゃーねー!」


ボーマンダ「っておい!」


クリムガンはマッハで帰って行った……


ゲンガー「ほら、早く行けよ! げへへ!」


影から飛び出したゲンガーがボーマンダの背を押した。


ボーマンダ「ってお前いたのか……お前はちょっと引っ込んでろ……」


ゲンガー「仕方ねぇなぁ! げへへ!」


ゲンガーは陰の中に飛び込んだ……

 ▼ 186 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:36:07 ID:P0CJzuB6 [16/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「この中に……」


心拍数が上がり……息が苦しくなる……



ボーマンダは呼吸を整えると、控え室の扉をノックした……



コンコン……



はーい、どうぞー!




聞き覚えのある、懐かしい声に誘われて……ボーマンダは扉を開けた……

 ▼ 187 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:38:52 ID:P0CJzuB6 [17/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


扉の向こうには……白く美しいドレスに身を包んだオノノクスがいた……


オノノクス「っ!……ボーマンダ君、来てくれたんだ」


ボーマンダは目をそらした。


ボーマンダ「……おう、なかなか綺麗なドレスじゃねーか」


オノノクス「やっぱりボーマンダ君は酷いね。あたしじゃなくてドレスが綺麗なの?」


ボーマンダ「いちいちうるせぇな……」


ボーマンダはため息をついた……


 ▼ 188 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:42:54 ID:P0CJzuB6 [18/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「それで? 何の用?」


ボーマンダ「(っ! そうだ……俺は……)」


ボーマンダは再び呼吸を整えると……オノノクスに向き直った……


ボーマンダ「おい、よく聞けよ……」


オノノクス「な、何?」


ボーマンダはネットニュースのスクショをオノノクスに見せた。


スクショにははっきりと結婚詐欺師、サザンドラの姿が写っていた


ボーマンダ「お前が結婚しようとしてるサザンドラって奴……詐欺師なんだよ……」



 ▼ 189 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:52:09 ID:P0CJzuB6 [19/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「……」


オノノクスはしばらくボーマンダを見つめていたが……


オノノクス「はぁ……ボーマンダ君、こんな嘘に騙されないよ? そもそも別れようって言ったのはボーマンダ君じゃん、諦めて?」


ボーマンダ「う、嘘じゃねーよっ!」


?「騒がしいな……なんだ?」


ボーマンダ「っ!」


ボーマンダがその声に振り返ると……そのスクショに写っているポケモンがいた……


 ▼ 190 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:55:42 ID:P0CJzuB6 [20/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


サザンドラ「お前誰だよ」


オノノクス「サザンドラ君!」


ボーマンダ「お、お前が詐欺師かっ!」


サザンドラ「は? 詐欺師だって? 言い掛かりはよしてくれよ……」


オノノクス「そうよ!」


ボーマンダ「だから言い掛かりなんかじゃ……」


サザンドラ「ほら、俺達忙しいんだ。出てってくれ」


サザンドラがボーマンダを控え室から押し出した。


ボーマンダ「や、やめろ! オノノクス! お前は騙されてるんだよ! 気づけっ! オノノクス!!」


ボーマンダは部屋から押し出され、扉には鍵が掛けられた……
 ▼ 191 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 13:59:00 ID:P0CJzuB6 [21/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


サザンドラ「ふぅ、邪魔者はいなくなったね……あいつはオノノクスちゃんの友達?」


オノノクスは鏡を見ながら化粧直しをしている……


オノノクス「元カレだよ」


サザンドラ「ふーん……それよりオノノクスちゃん、もうすぐ式が始まるから準備しといてね」


オノノクス「うん、わかってる」




 ▼ 192 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 14:05:12 ID:P0CJzuB6 [22/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その頃、控え室の外では……



ボーマンダ「……どうしよう……このままじゃあいつが……あいつが騙されちまう……」


ゲンガーが影から顔を出した。


ゲンガー「仕方ねぇ、式をぶっ壊す覚悟で挑まねぇといけなくなったな」


ボーマンダ「うっ……式をぶっ壊す……そんな事……」


ゲンガー「やるしかねぇんだよ、お前の元カノが騙されてもいいのか?」


ボーマンダ「!……そうだ、こんな式はぶっ壊してやる! そうでもしねぇとあいつを助けられねぇ!!」


その時、天井のスピーカーから声が聞こえた……


スピーカー「皆様、大変長らくお待たせいたしました。オノノクスさんとサザンドラさんの結婚式を始めたいと思います。皆様、会場にお集まり下さい……」



ボーマンダ「やべっ! 始まっちまう!」


ボーマンダは会場に向かって走り出した……


ゲンガー「よっと!」


ゲンガーはボーマンダの影に飛び込んだ……






ゲンガー「(にしても、あのサザンドラって奴……なんかくせぇな……)」




 ▼ 193 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 14:10:54 ID:P0CJzuB6 [23/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



その頃、控え室では……



オノノクス「あっ、もう始まっちゃう! あたしちょっとトイレ行ってくるから先行ってて!」


サザンドラ「うん、わかった」


オノノクスは先に控え室を出て行った……




ドアが閉まり、控え室はサザンドラ一匹になった……




サザンドラ「……さて、始まるな……」
 

サザンドラが呟くと、サザンドラの影がグニャリと形を変えた……


?「そうだな……」


影の中から黒いポケモンが姿を現した……


サザンドラ「ジュペッタ……この式、成功するだろうか? さっきの奴、俺の正体を知っているらしい……」


ジュペッタ「失敗するはずはない……あの紙に書いたのだからな……後はお前がそのチャンスをものにできるか……だ……」


サザンドラ「……そうだな……それじゃ、行こうか……」


ジュペッタ「おう」



ジュペッタはサザンドラの影に引っ込んだ……
 


 ▼ 194 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 15:12:16 ID:P0CJzuB6 [24/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


結婚式会場……


会場には沢山のテーブルが並び、それぞれのテーブルにポケモンが数匹集まっていた……


ボーマンダはガブリアスやカイリュー、ジャラランガ、クリムガンと同じテーブルにいた……



ボーマンダ「……」


カイリュー「ボーちゃん、どうしただ? さっきから難しそうな顔して……」


ボーマンダ「っ! い、いや……なんでもない」


カイリュー「そう? ならいいけど……」


ガブリアス「それにしても、ボーマンダはいつになったら結婚するんだ? これで、あの日の合コンに出席したポケモンで結婚してないの、お前だけになったぞ?」


ボーマンダ「ガブ! うるせーぞ!」


ガブリアス「ま、そんなに急がなくてもいいか! ははっ!」


 ▼ 195 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:00:29 ID:P0CJzuB6 [25/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


会場は盛り上がっていたが、ボーマンダだけはずっとその盛り上がりの中、これから起こる出来事に複雑な気持ちでいた……


ボーマンダ「(あいつを助けたい……だけど、助けるってことはこの結婚式をぶっ潰すって事だ……そんな事したらオノノクス……悲しむだろうな……)」


その時、会場の照明が消えてアナウンスが響いた……


皆様、大変長らくお待たせいたしました。これよりオノノクスさんとサザンドラさんの結婚式を開催いたします。


ボーマンダ「!」


カイリュー「始まるだよ、ボーちゃん」


ガブリアス「さてと、主役登場だな……」

 ▼ 196 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:06:34 ID:P0CJzuB6 [26/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


それでは、新郎新婦の入場です。拍手でお迎え下さい!


真っ暗だった会場の中、スポットライトが新郎新婦を照らすと会場はわっと盛り上がった。



盛り上がる会場をオノノクスとサザンドラは手をつないで舞台へと向かう……


クリムガン「オノノクスちゃーん! おめでとー!」


ジャラランガ「最っ高に可愛いわよーっ!」


オノノクスは二匹の声に気づくと笑顔を返した……


ボーマンダ「!!」


その笑顔は……ボーマンダの見たことの無い笑顔だった……


ボーマンダ「(やっぱり……俺よりあの詐欺師といた方があいつは幸せなのか……)」


オノノクスはどんどん歩いていく……遠くなっていく……


まるで、もう自分の手には届かない所に行ってしまうかのように……


ボーマンダ「いや! そんな事ねぇ!!」


ガブリアス「!?」


カイリュー「どうしただ!?」



 ▼ 197 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:12:15 ID:P0CJzuB6 [27/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダ「オノノクスっ!!」


オノノクス「!」


オノノクスはその声に振り返った……


その瞳に見つめられると……なぜか、ボーマンダは息が苦しくなり、声が出なくなった……


ボーマンダ「……(だ、ダメだ……なんて言えばいいんだ……)」



ボーマンダが黙っていると、オノノクスはすぐに前に向き直り、またゆっくりと歩き出した……



ボーマンダ「あぁ……俺ってダメだな……」


カイリュー「何言ってるだ? ボーちゃん」


ボーマンダ「!」


気が付くと、ボーマンダは同じテーブルのポケモンどころか、他のテーブルのポケモンの注目まで集めていた……


ボーマンダ「い、いや……なんでもない! ははっ!」



ボーマンダはその場をなんとかごまかすと、椅子にかけ直した。



 ▼ 198 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:19:13 ID:P0CJzuB6 [28/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクスとサザンドラが席に着くと、またアナウンスが響いた……


まずは、新郎であるサザンドラさんから挨拶をお願いしたいと思います。


サザンドラがマイクを持って立ち上がった……


サザンドラ「皆様、今日は私達二匹の為にお集まり頂き、誠にありがとうございます。」


ボーマンダはサザンドラを睨んだ……


サザンドラ「私とオノノクスさんとの出会いは……」


サザンドラは話を続ける……


ボーマンダはオノノクスにばかり目がいってしまい、話は全く頭に入ってこない……


ボーマンダ「(オノノクス……)」


その時、オノノクスがボーマンダの視線に気づき、目をそらした……


ボーマンダ「(ダメだ……見てるだけじゃなんにも始まらねぇ……何か行動を起こさないと……)」


サザンドラ「……これが、私とオノノクスさんとの出会いなのです。繰り返しになりますが、皆様、本日はお忙しい中、私達二匹の新しい門出を祝福して頂き、誠にありがとうございます!」 



会場は拍手に包まれた……



ボーマンダ「(何か……何か手は無いのか……)」


 ▼ 199 レフワン@グラウンドメモリ 17/08/23 17:23:01 ID:5yzkLDN2 NGネーム登録 NGID登録 報告
ガン子とボーちゃんで笑った
支援
 ▼ 200 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:26:18 ID:P0CJzuB6 [29/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


そんなボーマンダをサザンドラは見ていた……


サザンドラはオノノクスに小声で話した。


サザンドラ「なぁ、オノノクスさんの元カレだけど……あいつなんなんだ? ストーカーみたいじゃないか……」


オノノクスは少し不機嫌そうな顔をした。


オノノクス「ほんっとに……あっちから別れようって言ってきたのに何を今更……もうっ!」


サザンドラ「オノノクスさんはあいつの事、どう思ってるんだ?」


オノノクスは俯き、つぶやいた……


オノノクス「わかんない……」


サザンドラ「!」

 
 ▼ 201 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:31:26 ID:P0CJzuB6 [30/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「あいつってさ……馬鹿で遊んでばっかりでお酒ばっかり飲んで……お金使いも荒いし……最悪なのよね……」


サザンドラ「そ、それは酷いな……そんな奴とはさっさと縁を切った方が……」


オノノクス「でも、少しだけ優しくて……少しだけ漢気があって……一緒にいると少しだけ楽しくて……」


サザンドラ「……」


オノノクス「私がいないと何にも出来いし……」


サザンドラ「どうして……どうしてそこまで……」


オノノクスはふっと我に返った。


オノノクス「あっ! なんでもない! なんでもないよ! ごめん!」


サザンドラ「……」


サザンドラはオノノクスを見つめた……


サザンドラ「ほら、次はスライドショーだ」


オノノクス「あ、うん!」



 ▼ 202 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:38:37 ID:P0CJzuB6 [31/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


会場にまた、アナウンスが響く……


では次に、新郎新婦の沢山の思い出をスライドショーでご覧になって頂きたいと思います。


会場が暗くなり、プロジェクターが大きなスクリーンに写真を映し出した……


オルゴール調の音楽に合わせ、オノノクスやサザンドラの子どもの頃の写真が次々と映されていく……


会場がしんみりとした空気に包まれた……そんな時、ボーマンダの影から声がした。


ゲンガー「おい、何か考えはねぇのか? このままじゃ式が終わっちまうぜ!?」


ボーマンダ「わかってる……わかってるけどよぉ……」


ボーマンダはスクリーンを見た……


ボーマンダ「……」


ボーマンダは席を離れ、プロジェクターを観察した……


プロジェクターからは太いケーブルがのびていて……それは舞台裏まで続いている……


ボーマンダ「!……あれを使うか! 悪魔、ついて来い!」


ゲンガー「何か思いついたのかぁ? げへへ!」


ゲンガーはボーマンダの影に飛び込んだ。


ボーマンダは皆がスクリーンに目をとられている隙にこそこそと影に隠れながら舞台裏へ向かった……


 ▼ 203 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:43:28 ID:P0CJzuB6 [32/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


子どもの頃の写真も終わり、スクリーンに映される写真は最近の物になっていた……



クリムガン「あっ! あたし写ってる!」


ジャラランガ「あたしも!」


次にスクリーンに映されたのは、彼らが学生だったころに開いた合コンの写真だった……


ガブリアス「おいおい、誰だよ……いつの間に撮ったんだ? 俺まで写ってるじゃん……恥ずかしい……」


カイリュー「なつかしいだー!」


クリムガン「そう言えばヌメ子とフライゴン君、あの合コン以来見なくなったわね……」


ジャラランガ「そう言えば……どこに行ったのかしら?」


ガブリアス「(あいつらならきっと向こうで元気にやってるぜ! へへ!)」

 ▼ 204 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:45:48 ID:P0CJzuB6 [33/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



オノノクスもその写真を見つめていた……



写真にはボーマンダも写っている……


オノノクス「……」


サザンドラはそんなオノノクスを隣で見ていた……


サザンドラ「……」




その時だった……


突然曲が止まり、スクリーンも真っ暗になった……


ガブリアス「あれ? 何かトラブルか?」

 ▼ 205 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:48:55 ID:P0CJzuB6 [34/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


会場がざわつき始めたその時、また、プロジェクターが写真を映し出した……


それは、ネットニュースのスクショだった。


スクショには結婚詐欺師、サザンドラの姿がはっきりと写っている……


サザンドラ「!?」


オノノクス「なんで!?」


会場のスピーカーからボーマンダの大声が響いた……



このサザンドラって奴は詐欺師だ! 結婚詐欺師なんだよ! 結婚して嫁から金を搾り取るクズなんだ!!


 ▼ 206 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:53:09 ID:P0CJzuB6 [35/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


舞台裏……



プロジェクターに繋がれていたノートパソコンには、さらにボーマンダのスマホが繋げられ、そこから画像の出力をしている……


舞台裏にいたスタッフのエンペルトはゲンガーに首を締められていた……


エンペルト「あぐっ……お、お前ら……やめろ……!」


ボーマンダ「すまんがもう少しそいつを止めてくれ、悪魔」


ゲンガー「了解! げへへ!」


ゲンガーが更に強く首を締めあげると、エンペルトは泡を吹いて気を失った……


エンペルト「あぐ……」


ボーマンダはそれを確認すると、再びマイクをとった……

 ▼ 207 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 17:57:21 ID:P0CJzuB6 [36/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


会場に再びボーマンダの大声が響く……



おい、オノノクス! いい加減目を覚ませ!



俺はお前の事を思ってこんなしたくも無い事やってんだぜ?



お前の事が好きだからこんな事やってんだぜ?




なぁ、あの時は俺が全部悪かったよ……




別に、許してもらえなくても構わねぇ……ただ、俺はお前にこれ以上悲しんで欲しくねぇんだよ……っ!? うわっ! やめろ!!  



ガチャ! ブチっ……ピー……

 ▼ 208 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:04:13 ID:P0CJzuB6 [37/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



それっきり声は聞こえなくなり、プロジェクターの画像も消えた……


会場は更にざわめいた……


ガブリアス「ボーマンダの奴、あいつ何やってんだ!?」


カイリュー「でも、さっきの写真……すごく新郎さんに似てただよ?」


クリムガン「もし、ボーマンダ君が言ってる事が本当なら……ヤバくない!?」


ジャラランガ「だよね……でも、確信も持てないし……」






その時、舞台の席に座っていたオノノクスが立ち上がり、走り出した。


サザンドラ「オノノクスさん!?」 


オノノクスは着慣れないドレスでなんとか走っていくと、舞台裏に消えた……


サザンドラ「……」



 ▼ 209 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:09:23 ID:P0CJzuB6 [38/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


舞台裏では……


ボーマンダは沢山の警備員に取り押さえられていた。


ボーマンダ「は、離せよ! くそっ!」


ゲンガーがボーマンダに取り付く警備員を引っ剥がしていくが、数が多すぎてきりがない……


ゲンガー「ダメだ! らちがあかねぇ!」


その時、ドレス姿のオノノクスが舞台裏にやってきた。


ボーマンダ「おまっ! なんでこんなとこに!」
 ▼ 210 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:12:33 ID:P0CJzuB6 [39/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクスは酷い有り様のボーマンダを見ると一言……


オノノクス「警備員さん、どいて」


警備員達「え?」


警備員達は一斉にボーマンダから離れた……


オノノクスがボーマンダに寄ってきた……


ボーマンダ「オノノクス、わかったてくれたか!?」


しかし、次の瞬間……


パァン!


ボーマンダ「!?」

ゲンガー「げ」

警備員達「(うわぁ……)」


ボーマンダは平手打ちを食らった頬を撫でた……


ボーマンダ「なんで……」


 ▼ 211 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:16:48 ID:P0CJzuB6 [40/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「なんでじゃないわよ! あたしの一度っきりの晴れ舞台を台無しにして!! 返してよ!! 返してよ……あたしの幸せを……」


オノノクスは両手で顔を覆い、泣き崩れた……


ボーマンダ「……」


ボーマンダとゲンガーを警備員達が部屋の外へと引っ張った……


警備員「さっさと行くぞ! ついて来い!!」


ボーマンダ「……」


バタン……




二匹を一枚の扉が遮った……


 ▼ 212 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:22:17 ID:P0CJzuB6 [41/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


警備員に連行されるボーマンダはゲンガーに小声で話した……


ボーマンダ「悪魔、悪いけどよ……この願いも取り消してくれ……」


ゲンガーはもう驚くことも無かった……


ゲンガー「お前ならそう言うだろうと思ったぜ……ほらよ」


ゲンガーは手をポンと叩いた……















しかし、何も起こらない……


ボーマンダ「あれ? いつもだったらここで目の前が真っ白に……」


ゲンガー「な、なんでだぁ!?」


ゲンガーは何度も手を叩いたが……やはり、なにも起こらなかった……


ボーマンダ「な、何でだぁ!? 何で何も起こらないんだよぉ!!」






 ▼ 213 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:31:03 ID:P0CJzuB6 [42/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その時、舞台裏では……


泣いているオノノクスの元にサザンドラがやってきた。


オノノクス「サザンドラ君……ごめんね……あたしの元カレが……」


オノノクスが顔を上げると、サザンドラが微笑んだ……


サザンドラ「いい彼氏さんだな」


オノノクス「え?」


サザンドラ「オノノクスちゃんの事を本気で思ってくれる……あんな彼氏さんがいるなら、俺は勝てないよ……」


オノノクス「何の話……?」


サザンドラはオノノクスの背を優しくなでた……


サザンドラ「彼氏さんの言うとおりだ……俺は結婚詐欺師……オノノクスちゃんを騙してたんだよ……」


オノノクス「!」


サザンドラ「ほら、今なら間に合う……彼氏さんの所に行ってきな……」


オノノクス「……」


サザンドラはそっとオノノクスの背を押した……


オノノクスはまた、着慣れないドレス姿で走り出した……


 ▼ 214 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:37:31 ID:P0CJzuB6 [43/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



サザンドラの他、誰もいなくなった舞台裏……


サザンドラ「……」


サザンドラの影からジュペッタが飛び出した……


ジュペッタ「良かったのか? お前の願い……」


ジュペッタの手には紙切れが一枚握られていて……その5つ目の空欄には……






本当の恋がしたい……





サザンドラ「良かったんだ。俺はこれまでに沢山のメスを泣かせてきた……正直、好きになれる相手がいなかったから、俺は騙されるメスの気持ちなんてわかりはしなかった……」


サザンドラの目から一筋の涙がこぼれた……


サザンドラ「でも、今わかったよ……誰かを好きになるって事がどれだけ辛いか……」


サザンドラ「オノノクスちゃんは幸せだな……あんなに本気で思ってくれる彼氏さんがいるんだから……」


 
 ▼ 215 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:42:12 ID:P0CJzuB6 [44/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その頃、ボーマンダは警備員に連行され、式場の外にいた……


ボーマンダ「うぅ……俺、捕まるのかな……」


ゲンガー「こんな事…………っ! もしかしてあいつ!」


ボーマンダ「?」


ゲンガー「もしかするとあのサザンドラって奴も、悪魔と契約してるかもだ!!」


ボーマンダ「なんだって!?」


ゲンガー「あいつもオノノクスについて何かを願った……それで、二つの願いが重なっちまってうまく取り消せねぇんだ!」


ボーマンダ「まじかよ!?」


警備員「うるさいぞ! 静かにしてろ!」


ボーマンダ「う、うぅ……」

 ▼ 216 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:45:25 ID:P0CJzuB6 [45/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


警備員に注意され、ボーマンダがうなだれていると……




ボーマンダくーん!!



ボーマンダ「え?」


声のした方へ目をやると、オノノクスがこちらへかけてくる……


ボーマンダ「オノノクス……なんで……」


オノノクス「ごめん、ボーマンダ君……サザンドラ君は本当に詐欺師だったんだね……」


警備員「えっ!? まじで!? おい、お前ら! さっきのポケモン捕まえに行くぞ!!」


警備員はサザンドラを捕まえに式場に向かった……

 ▼ 217 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:48:05 ID:P0CJzuB6 [46/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


オノノクス「本当にごめん……あたしが最初から聞いてたら……」


ボーマンダはしょげるオノノクスを見つめていたが……やがて……


ボーマンダ「……へっ……やっぱりお前は俺がいないとダメダメだな……」


オノノクス「っ! な、なによっ!」


ボーマンダ「でも」


オノノクス「?」


ボーマンダ「俺だって、お前がいないとダメダメなんだ……だからさ、俺ともう一回……付き合ってくれねぇか?」



 ▼ 218 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 18:51:04 ID:P0CJzuB6 [47/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

オノノクスはその言葉を聞いて、しばらくボーマンダを見つめていたが……


オノノクス「ぷっ! なにそれ!」


ボーマンダ「なっ、なんだよ!」


オノノクス「でも、いいよ! 付き合ってあげる!」


ボーマンダ「!」


ボーマンダは静かに微笑み、オノノクスを抱きしめた……



ボーマンダ「……ありがとな」



式場の前……二匹を夕日が優しく包んでいった……


 ▼ 219 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 19:07:14 ID:P0CJzuB6 [48/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その頃……舞台裏では……



ジュペッタ「さて、これで5つの願いを叶えた訳だが……どうだった?」


サザンドラはジュペッタに背を向けた……


サザンドラ「ああ……満足だ……オノノクスちゃんはともかく、他の願いは軒並み満足だ……」


ジュペッタ「そうか……ま、満足してるかなんて、どうでもいいんだがな……」


サザンドラ「?」




ジュペッタ「このゲーム、お前の負けだ……」




サザンドラ「ゲーム……?」


サザンドラが振り返ると、自分より大きくなったジュペッタが大口を開いていた……



サザンドラ「!!!!!!!!」




 ▼ 220 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 19:08:15 ID:P0CJzuB6 [49/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
















げぇふ……ごちそうさま…………だな…………
















 ▼ 221 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 19:13:34 ID:P0CJzuB6 [50/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


サザンドラを飲み込んだジュペッタの体がグニャリと形を変え……サザンドラの姿に変わった……



サザンドラ?「やーっと手に入れたぜ……」


そこに警備員達がやってきた。


警備員「おい! 詐欺師! おとなしくしろ!!」


サザンドラ?「あぁん?」


サザンドラが睨みつけると、警備員達の体が硬直した。


警備員「ひいっ!?」


サザンドラ?「簡単に捕まってたまるかよ……宴はこれからだってのによぉ……!」


サザンドラの姿をしたジュペッタは闇に飲み込まれて消えた……


警備員「い、いったい何が起こったんだ……?」



 ▼ 222 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 19:18:38 ID:P0CJzuB6 [51/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



その日の帰り道……



ボーマンダとゲンガーは並んで夜の街を歩いていた……



ボーマンダ「それにしても、とんでもない1日だったな……」


ゲンガー「……」


ボーマンダ「ん? どうした?」


ボーマンダがふと、ゲンガーを見ると……ゲンガーの体が少しだけ透けて見えた……


ボーマンダ「っ!? どうしたんだよ! お前!!」


ゲンガーはボーマンダから目をそらした。


ゲンガー「次が最後の願いだろ? 俺とお前……一緒にいれるのもあと少しって訳だ……」


ボーマンダ「……そうなのか……」


ボーマンダはしばらく黙っていたが……


ボーマンダ「ま、いなくなっちまうその時までよろしくな! 悪魔!」


ゲンガー「……」




二匹は真っ暗な道を家に向かってゆっくりと歩いて行った……




続く


 ▼ 223 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 19:20:25 ID:P0CJzuB6 [52/76] NGネーム登録 NGID登録 報告
第五話おしまい

なんとか更新できて良かった……

そろそろ完結が見えてきたので、今日は休憩してから寝る前にもう一話書くと思いますのでよろしくお願いしますね。

ではでは
 ▼ 224 イリキー@ミミロップナイト 17/08/23 19:24:21 ID:XpwBncw2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 225 チート@あかぼんぐり 17/08/23 19:32:36 ID:mhN1DfEQ NGネーム登録 NGID登録 報告
良き良き 支援
 ▼ 226 ビィ@しめつけバンド 17/08/23 19:40:09 ID:i/InfmIw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ジュペッタ何奴……

支援
 ▼ 227 ルフーン@こだわりハチマキ 17/08/23 19:52:47 ID:CgRCarD. NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
読みやすいし面白い
支援
 ▼ 228 ルキー@わすれもの 17/08/23 21:14:35 ID:AuBPANq2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 229 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:05:50 ID:P0CJzuB6 [53/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




窓の外はもう暗く、何も見えない……深い深い夜……




もう他の家々の灯りも殆ど消えてしまっている……


そんな町の中……ボーマンダの部屋にて……



 ▼ 230 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:09:33 ID:P0CJzuB6 [54/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガーは少し透けた自分の体を見つめた……


ゲンガー「……」


ボーマンダ「どうしたんだ? 悪魔……元気出せよ!」


ケラケラと笑っているボーマンダをチラッと見ると、ゲンガーは呟いた……


ゲンガー「なぁ、次が最後の願いになるけどよぉ……決まったのか?」


ボーマンダ「んー……まぁな」

 ▼ 231 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:16:07 ID:P0CJzuB6 [55/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「どんな願いだ? 最後の願いだから慎重になれよ? もう取り下げなんて勘弁だぞぉ!?」


ボーマンダは机の上のペンを取った。


ボーマンダ「最後の願いは絶っ対に取り消さねぇよ! 安心しろ!」


ボーマンダは何の躊躇いも無く、つらつらとあの紙切れに何かを書き込んだ……


ゲンガー「!?」


すると、ゲンガーの体が更に透けて、見にくくなった……


ゲンガー「なっ!? お前! 何を書いたんだよ!!」


ボーマンダ「ほらよ」


ボーマンダが差し出した紙切れ……最後の空欄に書かれていたのは……







俺の親友の悪魔に最高の幸せが訪れますように。







 ▼ 232 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:16:47 ID:P0CJzuB6 [56/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告










六、変わらない俺×最後の願い








 ▼ 233 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:18:26 ID:P0CJzuB6 [57/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「お前! これ、どう言う事だよ!?」


焦るゲンガーにボーマンダは笑顔を返した。


ボーマンダ「俺さ、お前に会ってからここ数日……色々やったよな」





 ▼ 234 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:21:04 ID:P0CJzuB6 [58/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





まずいラーメン食べて……




大金持ちになって……




やった事の無い仕事について……




元カノの結婚式に突撃もしたよな……







 ▼ 235 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:25:22 ID:P0CJzuB6 [59/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ボーマンダ「色々あった……泣いたり笑ったり……怒ったり……正直疲れたりもしたけどさ、楽しかった! すっげぇ楽しかった!!」


ゲンガー「……」


ボーマンダ「だからさ、最後はこんなに面白い体験をさせてくれた俺の親友に恩返しがしたくてな! へへっ!」


ゲンガー「なんだよ……それ……意味がわからねぇ……」


ボーマンダ「だってさ、もうお前と一緒にいられないんだろ? それならせめて、お前が幸せに暮らしてるって願えば……お前がいなくなっても俺は安心出来るからな! これでも少しはお前の事、心配してるんだぜ?」

 ▼ 236 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:28:10 ID:P0CJzuB6 [60/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「わからねぇ……全くわからねぇ……けどよ……ありがとな……そして……」


声を震わせるゲンガーはボーマンダに背を向けた……





ゲンガー「このゲーム、お前の勝ちだ……」





ボーマンダ「ゲーム? 何の事だ?」


ゲンガー「あの日、お前と出会った日……確かに言ったはずだ……」






 ▼ 237 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:29:38 ID:P0CJzuB6 [61/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告






ゲンガー「さぁ……これから始まるのはお前の生涯をかけたゲームだぁ……せいぜい楽しませてくれよぉ……げへへ……げへへへへ」





げへへへへへへへへぇ!!!!














 ▼ 238 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:32:17 ID:P0CJzuB6 [62/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告








ボーマンダ「そういや……そんな事言ったっけ……」


ゲンガー「隠してた事も全部話してやる……まずは俺達、悪魔の正体……」


ボーマンダ「正体? 悪魔は悪魔じゃないのか?」


ゲンガー「それは俗称だ……俺達の本当の名前……それは、欲望……宿主の欲望だ……」

 ▼ 239 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:35:32 ID:P0CJzuB6 [63/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「欲望?」


ゲンガー「そうだ、お前の欲望の塊が俺なんだよ……簡単に言えば、俺はお前の分身みたいなもんだ。だから俺はお前の専属の悪魔だって言ったんだ……」


ボーマンダ「……俺の……欲望……」


ゲンガー「そうだ、お前の欲望だ……俺達悪魔は宿主の欲望をエネルギーに変えて生きてるんだ……」


 ▼ 240 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:39:08 ID:P0CJzuB6 [64/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ゲンガー「俺達悪魔は本来実態を持たないし、見ることも出来ない……」


ゲンガー「でも、悪魔が実体化出来る条件が一つだけあった……それは、宿主の欲望がオーバーフローする事だ……」


ゲンガー「お前は……やりたい事が山ほどあるのに、時間も金も無かった……日に日に溜まるストレスと不安によって、どんどんお前の欲望も溜まっていった……」


ゲンガー「そう、俺はお前の度を超した欲望のおかげでこうして実体化できたんだ……」


 
 ▼ 241 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:45:29 ID:P0CJzuB6 [65/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「実体化した悪魔達が次に欲しがるのは体だ……」


ゲンガー「だから、俺達悪魔は……宿主の欲望を更に高めるよう誘いかける……欲望の力を溜め込むために、宿主にゲームをしかけるんだ……」


ボーマンダ「それがあの……紙切れ……?」


ゲンガー「そうだ……本来なら、願いを叶えていけば、どんどん欲しい物ってのは増えていく……金とか権力とかな……」


ゲンガー「そうして更に高まった欲望をエネルギーに、俺達悪魔は最後にゃ宿主を食っちまうんだ……」


ボーマンダ「!」


ゲンガー「そして、悪魔に食われた宿主は死に……悪魔が代わりにその体を乗っ取って生きていくって訳だ……」


ボーマンダ「乗っ取る?」


ゲンガー「今もこの世界には何百……何千匹……悪魔とのゲームに負けて、体を乗っ取られたポケモンがいるんだぜ?」


 ▼ 242 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:48:59 ID:P0CJzuB6 [66/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「……」


ゲンガー「だが、お前は他の奴らとは違った……お前は、願いを取り消し続けた……しかも、叶える度に、お前の欲望は薄れていった……」


ゲンガー「挙げ句の果てには自分の為じゃなく、お前を食おうとしていた俺なんかの為に最後の願いを使っちまって……」


ボーマンダ「……」


ゲンガー「ほんと、お前の事はよくわからねぇよ……げへへ……」


再びこちらに向き直ったゲンガーは、不気味な笑顔……ではなく、いつもと違った普通の笑顔だった……

 ▼ 243 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:53:06 ID:P0CJzuB6 [67/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


初めて見た、その普通の笑顔に……なぜか、ボーマンダの目には涙が浮かんだ……


ボーマンダ「そ、それじゃ、俺のせいで……俺が欲望をなくしちまったせいでお前は死んじまうのか!?」


ほぼほぼ透明になったゲンガーはその言葉にやっぱりいつも通り、不気味な笑顔を返した……


ゲンガー「何を甘い事を言ってるんだぁ? そんなに簡単に死にはしねぇよ。お前の欲望が無くなったんじゃなくて、薄れただけだから……見えなくなるだけだぜ? また、お前が欲望にまみれたその時、再び俺が見えるようになるだろうよぉ……」


 ▼ 244 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:55:24 ID:P0CJzuB6 [68/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガー「そもそも、この世界中どこを探しても、欲望が全く無いポケモンなんていねぇよ……」


ボーマンダ「……」


ゲンガー「ま、要するに見えなくなるだけだ! 俺はまた、お前の事を影の中からずーっと見といてやるからなぁ! 安心しなぁ! げへへ!」


ボーマンダ「なんだよ……それ……へへっ!」


ボーマンダは涙を拭い、笑った。

 ▼ 245 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:57:10 ID:P0CJzuB6 [69/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ゲンガーの体はもう、目を凝らさないと見えない……


ゲンガー「もう時間だな……それじゃ、次にお前の欲望が溢れたその時まで……」


ゲンガーはぴょんと飛び上がると、ボーマンダの影に飛び込んだ。


 ▼ 246 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 22:57:49 ID:P0CJzuB6 [70/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告












あばよ! げへへへへへへへへへへへへぇ!!!!











 ▼ 247 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 23:00:58 ID:P0CJzuB6 [71/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ボーマンダ「悪魔っ!!」


ボーマンダの影は、しばらくの雨粒の落ちた水面のようにゆらゆらと動いていたが……やがて、動かなくなった……


ボーマンダ「……じゃーな、親友……」



ボーマンダが影を見つめて静かに微笑んだ……その時



ドンドンドン!! ドンドン!!



隣の部屋から鈍い音が……



ボーマンダ「だから壁が薄いって言ってるだろ? その変な笑い方もよせよ……へへっ!」



 ▼ 248 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 23:02:23 ID:P0CJzuB6 [72/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告








これは、暗い暗い夜の町……一つの部屋で起きた、不思議な不思議な出来事……







 ▼ 249 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 23:05:27 ID:P0CJzuB6 [73/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


それから数時間後……



更に深い夜……


真っ暗な町の中、ボーマンダの部屋の灯りも消えていた……





ボーマンダ「ぐかぁぁぁぁ……んごぉぉぉ……」


ボーマンダはベッドでぐっすり眠っている……





机の上には全ての空欄が埋められた、あの紙切れとペンがまだ置いてあった……




ボーマンダ以外、誰もいないはずのその部屋……


突然、机の上のペンが浮かび上がった……


 ▼ 250 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 23:09:21 ID:P0CJzuB6 [74/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



俺の親友の悪魔に最高の幸せが訪れますように……か……



けっ、俺は宿主の欲望が欲しいのによ……宿主があれじゃ……この願いは残念だが叶わねぇなぁ……



ま、叶って欲しくねぇけど…… 



だって、この願いが叶うって事は……あいつがまた、欲望にまみれちまうって事だからな……



あいつの体を乗っ取るなんてごめんだぜ……



親友のお前を食うなんて、今更出来ねぇよ……



……げへへ……お前のせいで変わっちまったよ……甘いにもほどがあるぜぇ……俺もよぉ……




 ▼ 251 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 23:13:42 ID:P0CJzuB6 [75/76] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


全てが満足に行くよりも、あいつには程々の幸せがお似合いだ……



浮かび上がったペンが紙切れに何か書き込むと……ポトリとその場に落ちた……



本当によぉ……厄介な宿主だぜ…… 





ま、これからおもしれー事や辛い事……色々あるだろうけどよ、せいぜい楽しめよ……そして……

 





楽しませてくれ……






部屋の暗闇の中、不気味な声が吸い込まれていった……




続く






 
 ▼ 252 1◆v1GnTfaqxg 17/08/23 23:15:24 ID:P0CJzuB6 [76/76] NGネーム登録 NGID登録 報告
第六話おしまい

もしかしたら明日、完結までいけるかも……


とりあえず、ここまで読んでくれた方、支援コメ下さった方、ありがとうございました!


では、また明日ー
 ▼ 253 ラティナ@ちからのこな 17/08/24 00:18:30 ID:02DThjkQ NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 254 ーケン@パークボール 17/08/24 01:24:12 ID:TMRVoOmw NGネーム登録 NGID登録 報告
まだあるんだな 支援支援
 ▼ 255 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:35:16 ID:N/rP3UxY [1/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



次の日……



ボーマンダ「ん……ぁぁ……?」


ボーマンダは目を覚ますと辺りを見渡した……


何の変哲も無い、何時もの部屋である……





 ▼ 256 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:36:15 ID:N/rP3UxY [2/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告










七、それからの俺×変わらない世界








 ▼ 257 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:39:51 ID:N/rP3UxY [3/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「そうだ、あいつは……」


ボーマンダは立ち上がると、自分の影を見つめた……


影は闇のように真っ黒……自分が動けばその通りに動くが、影は自分から動こうとはしない……


ボーマンダ「……ま、当たり前なんだけどな……」


ボーマンダは目を細め、親友の面影を思い出した……


ボーマンダ「心配するなよ、親友! これからの俺の活躍、特等席でじっくり見てろよな!」

 ▼ 258 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:44:32 ID:N/rP3UxY [4/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


その時……


ぐぅぅぅ……


ボーマンダ「そんな事より朝飯朝飯っと!」


ボーマンダは電子レンジの上に置いてあった袋から食パンを一枚取り出すと、それを咥えて机に向かった。


その時、ボーマンダは机の上に、まだあの紙切れがのっていた事に気づいた……


ボーマンダ「ってあれ? まだあの紙切れ…………っ!」


その紙切れには、ボーマンダの字で書かれた5つの願いと……それと別に手書きの空欄に、見覚えの無い字で6つ目の願いが書き込まれていた……







俺の親友が、どんな時も笑って暮らせますように







 ▼ 259 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:47:02 ID:N/rP3UxY [5/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「なんだよあいつ……こんな書き方しても叶うわけ……」


ボーマンダはニヤリとした。


ボーマンダ「いや、叶うじゃねぇよな! 叶えてやるよぉ! げへへ! ってか!?」


ボーマンダは親友の口まねをすると、食パンを一口かじった……





ボーマンダ「……なんだ……? 今日の食パンはえらくしょっぱいじゃねぇか……」





 ▼ 260 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:48:01 ID:N/rP3UxY [6/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告









そんなこんなで、俺と悪魔の長いようで短かった数日は幕を閉じた……








 ▼ 261 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:49:49 ID:N/rP3UxY [7/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





あれから数ヶ月後……






季節は秋……少し冷たい風が吹く、深い深い夜……ではなく、夕方……






とある町の片隅に寂れたコンビニがあった…………




 ▼ 262 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:53:16 ID:N/rP3UxY [8/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


店の自動ドアが開き、常連のザングースがやってきた……


ボーマンダ「いらっしゃいませー」


バイトのボーマンダは笑顔で客を迎え入れる……


ザングース「おう、にいちゃん! いつものタバコ一箱くれや!」


ボーマンダ「はい、いつものですねー」


ボーマンダはタバコを一箱取り出すと、ザングースに差し出した。


ザングースもいつものと言うだけあり、すでにタバコの価格ぴったりの小銭を用意していたので、ボーマンダはそれを受け取った。


 ▼ 263 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:56:21 ID:N/rP3UxY [9/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ボーマンダ「いつもありがとうございます!」


ザングース「おう、にいちゃんもバイト頑張りやー!……それにしても……」


ザングースがボーマンダを見つめた……


ボーマンダ「へ? な、何か?」


ザングース「いや、夜中のバイト辞めたからかな……にいちゃん、前より元気に見えるわ!」


ボーマンダ「そっすか! ありがとうございます!」


ザングース「ほんじゃ、体には気をつけるんやでー!」


ザングースは店を出て行った。


ボーマンダ「ありがとうございましたー!」


 ▼ 264 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:58:16 ID:N/rP3UxY [10/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




俺はあれから深夜にバイトを入れる事を辞めて、昼のバイトだけにした……




収入は減ったけど、健康の方が大事だからな!




仕事はまだ見つかってない……




自分にぴったりの仕事を今でもゆっくり探してるぜ!




 ▼ 265 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 07:59:54 ID:N/rP3UxY [11/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





ボーマンダ「……!」




ボーマンダはふと、視線を感じた気がして……自分の影を見た……




影はいつも通り、吸い込まれるように真っ暗だ……






 ▼ 266 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:01:24 ID:N/rP3UxY [12/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告






あれから影は、一度も自分から動いた事は無い……






正直、今でもあの日々は全部夢だったんじゃねぇかなって思う時がある……





 ▼ 267 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:02:50 ID:N/rP3UxY [13/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





ボーマンダは懐からあの紙切れを取り出し、それを見つめた……



ボーマンダ「……へへっ」



ボーマンダは微笑むと、また、その紙切れを折り畳んで懐にしまった……




 ▼ 268 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:04:03 ID:N/rP3UxY [14/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告






ま、別に夢だってなんだっていいんだ!



夢でもなんでも、こうして俺は前より前向きに生きてるんだからな!



それだけで十分だぜ!





 ▼ 269 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:06:21 ID:N/rP3UxY [15/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告




その時、店内に子どもの叫び声が響いた……




いーやーだぁー!! お菓子買ってくれなきゃやだーーーっ!!




ボーマンダ「?」



声のした方を見ると、子どもがお菓子売場の前で座り込み、駄々をこねていた……



 ▼ 270 1◆v1GnTfaqxg 17/08/24 08:11:44 ID:N/rP3UxY [16/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ピチュー「お母さん買ってぇ!」


ライチュウ「お菓子は買わないって約束したでしょ? 今日は買いません!」


ピチュー「嫌だぁ!!」



その時、ピチューの影がグニャリと動いた……



ボーマンダ「!!」



ライチュウ「ほら、置いてくわよ?」


母親のライチュウはどんどん歩いて行く……  


ボーマンダは固唾を飲んでピチューを見つめた……


ボーマンダ「……」


ピチュー「約束……約束したよね……」


ピチューはぐずりながらも、母親の後を追った……



影はそれっきり動かなかった……



ボーマンダ「いい子だな……せいぜい、悪魔に体を乗っ取られるんじゃねぇぞ……」


ボーマンダは微笑んだ……
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