ここは、ハクタイの森。いつも、どこかもの悲しく聞こえる冷風が、木々をゴトゴト鳴らしながら吹き荒んでいる。様々なポケモンが生息しており、隣には人の住む町があるが、生態系を荒らされることはなく、両者の均衡は保たれていた。
その日は朝から雷嵐だった。朝日は遮られていたので、森のポケモン達は朝になっても深い眠りの中にいた………
一組、とあるエモンガのつがいを除いては。
その木の洞(うろ)から洩れる叫びは、降り注ぐ雷鳴にも引きをとらない鋭さである。中では、二匹のエモンガの内の一匹が呻いていた。
エモンガ♀「あぁーっ、あぁーっ、今のでっ、3匹目っ……なのっ?」
エモンガ♂「い、いや、4匹、今ので4匹目…だ…。………なあ、まだ出てくるか?」
エモンガ♀「………あ…と…2匹……くぅぅううぅ……」
エモンガ♂「ォィォイオイオイ!ウチは3匹までしか育てたことないだろ!?せめて5匹だ!これ以上はご近所にめいわ」
エモンガ♀「あ"ぁーっっくるくるくるくるぅ"ーっ!」
パササッ
羊水が飛び散った藁のベッドに、肉塊が1つバウンドした。
エモンガ♂「……………っ!!くぉおお……っ、くぉんの忌み子がっ………!」
激昂した♂は、産まれたばかりのその5匹目の子を、木の洞から投げ捨てた。♀も6匹目の出産に追われ、気付くことはなかった。
その子は雨より早く落下したが、木の葉でバウンドを繰り返しながら減速し、運よく広々とした葉の上に着地した。
目も開いていないその子は、母の温もりを欲してただ蠢くことしかしなかった。
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