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SS

【SS】 白いスカーフ

 ▼ 1 ワーク@ヨプのみ 15/03/02 22:43:31 ID:7z6k21mA [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
※お読みください※

・公式設定の改変

・人間は出てきません

・通常覚えない技の使用

・一部オリジナル技があるかも?

・話により語り手が変わることがあります。

・誤字、脱字、足りない表現はそれぞれ妄想力でカバーしてね!

・始めた限りは完走したいです。


ではよろしくどうぞ!!
 ▼ 2 (^_−)−★んwwww◆hN6neyyGE. 15/03/02 22:44:44 ID:EpfHvETQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
よろしくお願いしますっ!
 ▼ 3 1 15/03/02 22:45:23 ID:7z6k21mA [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜第1話〜



――霊山「おくりび山」

死者の魂が、あの世へと還るためここへ集まるという。
100年に1度扉が開き、魂たちは冥界を目指し旅立つ。
気をつけなければならないのは、魂の中には生者への恨みを持ち、みちずれを狙うものもあるということ。

これが伝承。

山の中腹には今にも朽ち果てようとしている祠がある。
さきの伝承ではこの祠が「入り口」らしい。
祠の後ろには樹齢数千年とも言われる大樹があり、枝葉を伸ばし大きな木陰を創っていた。

日課である山の巡回を終え、火照った身体を冷ますため今日はここで仮眠をとることにする。
苔むした大岩の上に横になり、目を閉じる。
ひんやりと冷たい岩の感触が心地よく、早くも襲ってきた睡魔に身を委ねようとしていると、
サクサクと草を踏む軽い足音が近づいてきた。
 ▼ 4 1 15/03/02 22:49:01 ID:7z6k21mA [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???『やはりここに。』


凛とした声が頭の中に響く。


???『お師匠様。』

???「……ぅん?」


我の状況を察したのか、その者は先ほどより遠慮がちに続ける。


???『お師匠様と手合わせしたいと言う者が……。』

???「むぅ。まずは我の弟子であるそちを倒してから申せ。そう伝えよ。エーフィ。」


瞼が重い、今はバトルなぞ興味が無かったし、弟子であるこの者を倒す実力がなければ、我とは到底戦えるはずも無い。
これで我の昼寝は安泰だ。この弟子に勝てる者などそうはいないのだから。
 ▼ 5 1 15/03/02 22:50:57 ID:7z6k21mA [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エーフィ『それが……。』


声の調子が少し変わる。それを認めて大方察しがついた。


???「……ふむ、ならば我が行くしかあるまいな。」

エーフィ『申し訳ありません。』

???「なに、そちが気にすることではない。」


瞼を開け、軽く伸びをし頭を覚ます。昼寝は惜しいが、どうやらそうもいかない相手らしい。
岩から下に顔を出すと、エーフィはこちらに向かって頭を垂れている。
その首に巻かれた白いスカーフが闇に慣れた目には眩しかった。
 ▼ 6 (^_−)−★んwwww◆hN6neyyGE. 15/03/02 22:56:26 ID:EpfHvETQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 7 ナフィ@でかいきんのたま 15/03/02 23:44:44 ID:xygZp96w NGネーム登録 NGID登録 報告
ポケモンのSSでポケモンに出てこない技や覚えない技は駄目
それやっちゃうとポケモンじゃなくてもおkってなっっちゃうから。ポケモンの長所を生かす方法を考えて書きな
 ▼ 8 1 15/03/03 00:13:08 ID:S0sVoUjI [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>6
支援感謝です。

>>7
手厳しい意見。感謝です。
豆腐メンタルな自分にはとても応えますが、
ここは我を貫かせていただきます。
 ▼ 9 1 15/03/03 00:14:36 ID:S0sVoUjI [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜第2話〜



エーフィに連れられ木漏れ日の中を進む。
道中、山の近況を話したり鍛錬の経過を尋ねたりと、普段と変わらぬ話をする。
これを拾い、我の弟子として育て10年。時の流れは早いものだ。

我はこのくらいのときは何をしていたのだろう?
思い出そうにも出てこない。記憶は薄れ、忘れていくものだ。
そうしなければ辛い記憶に心が押しつぶされてしまう。

数百年後にはこれの記憶も失くしてしまうのだろうか?
それはないだろうが、声や顔は思い出せなくなるかもしれない。
なにせ、我の寿命は長い。
すでに他人の10倍は生きたであろうこの体はまだ衰えを知らぬのだから。


エーフィ『あちらに。』


エーフィの声で意識を戻すと、ちょうど開けた場所に出た。
そこには白い体毛に黒い肌、頭に付いた大きな鎌が特徴的なポケモンがひとり佇む。
年の頃20代半ばといったところか。やはり悪タイプ。
その者は、エーフィ、そして我の姿を認めると軽く会釈する。
 ▼ 10 1 15/03/03 00:16:15 ID:S0sVoUjI [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「俺の名はアブソル。このおくりび山に、伝説のポケモンと並び称される妖狐が住まうとの噂を聞き馳せ参じた。」

アブソル「キュウコン。あなたがその妖弧で間違いないか。」


アブソルは良く通る声で口上を述べる。声はやはり若い。


キュウコン「ふむ、そのような噂がまだあったとは。どうやら物好きな伝承者が居たようじゃの。」

アブソル「俺は自分の力がどこまで通用するのか試したい。是非手合わせ願おう!」


肢体は引き締まり無駄がない。余程の鍛錬を積んできたのだろう。
端整な顔にある双眸は、まっすぐこちらを見つめている。
まるで血のような深い赤の瞳は、油断も驕りもなくただ静かに闘志を湛えていた。


――良い眼だ


キュウコン(なるほど、これほどの相手はそういるまい。)

キュウコン(じゃが……。)

キュウコン「断る。おぬしでは我に勝てぬ。先の見えたバトルをするつもりはないのう。」

アブソル「戦いもせず結果が分かると?」

キュウコン「分かるのじゃ。悪いが他を当たってくれ。」
 ▼ 11 1 15/03/03 00:19:19 ID:S0sVoUjI [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう言い背を向ける。
発した言葉は嘘ではない。奴は強いがそれでも足りぬ。

その時、ふとエーフィと目が合った。
うん?その顔、おぬし戦いたいのか?
……まあ、それもよい経験かの。お互いに、な。


キュウコン「じゃが、我の弟子に勝てたら相手をしてやってもよい。」


そう言いながら振り返るとアブソルはエーフィを一瞥し、


アブソル「女性と戦うつもりはない。」

キュウコン「おぬし……、我も女なのじゃが……。」

アブソル「ち、違う! そういうことじゃない。」


アブソルの言うことも分かる。エーフィの華奢な体つきは可憐な少女そのもので、およそ戦うものには見えない。
それにしても、この若者女性の相手が苦手とみえる。
 ▼ 12 1 15/03/03 00:20:01 ID:S0sVoUjI [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュウコン(まだまだ青い。)

キュウコン「視野が狭いの。こう見えても我の弟子ぞ、遠慮はいらぬ。」


アブソルはしばし沈黙の上覚悟を決めたようで、


アブソル「……手合わせ願おう。俺はアブソル。戦う以上は手加減しないが問題ないな?」

エーフィ「……。」

アブソル「沈黙は了解と捉えるがいいな?」

エーフィ「……。」

アブソル「ふぅ。ならばいざ!!」
 ▼ 13 ラセクト@ザロクのみ 15/03/03 11:46:19 ID:YosDLTWc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 14 ンタコス 15/03/03 12:00:45 ID:sy0406Bw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
かっけぇ。何かすげぇかっけぇ。支援。
 ▼ 15 1 15/03/03 22:02:29 ID:S0sVoUjI [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援感謝です。

〜第3話〜


アブソル「勝負!!」

そう叫ぶと頭を振り、その大きな鎌から無数の刃を放つ。

−アブソルのサイコカッター−


エーフィ「……。」

−エーフィのひかりのかべ−


エーフィは自身の目の前に光の壁を張り、その攻撃を受ける。
無数の刃が命中するが、壁には傷ひとつ付かない。


アブソル「なるほど、堅いな。」

アブソル「それなら!」

−アブソルのでんこうせっか−
 ▼ 16 スペルゴン◆AIxLnxNKvA 15/03/03 22:03:22 ID:eG7HS3II NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
中々の文才。
 ▼ 17 1 15/03/03 22:05:47 ID:S0sVoUjI [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
鋭い身のこなしでサッとエーフィの背後に回る。そして間髪入れず

−アブソルのきりさく−


鋭い爪がエーフィを襲う。


アブソル(決まった。)

キュウコン「甘いのう。」


−エーフィのみがわりが攻撃を受け消滅−


アブソル「!」

アブソル「どこに!?」
 ▼ 18 1 15/03/03 22:06:41 ID:S0sVoUjI [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告








−エーフィのテレポート−


エーフィ「……。」

アブソル(後ろか!)


−エーフィのスピードスター−


ズドドドドッ!!


鈍い音と共にアブソルの口からは苦痛の声が上がる。


アブソル「ぐっっっ!」


エーフィのスピードスターは至近距離から直撃したが、アブソルはすぐに体制を立て直す。
 ▼ 19 1 15/03/03 22:11:25 ID:S0sVoUjI [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>16
ありがとうございます。
悩んで悩んでようやく絞り出した結果です。
プロの物書きさんは改めてすごいと感じます。
 ▼ 20 1 15/03/03 22:12:13 ID:S0sVoUjI [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アブソル「げほっ。……強いな。」

キュウコン「じゃから言ったであろう。遠慮は無用と。」

アブソル「ああ、その通りだ。」

アブソル「これは最後まで取っておきたかったが、出し惜しみは無しだ!!」


そう言うとアブソルは天に向かって鋭く吼える。大気が震えビリビリと毛を逆立てる。
そしてアブソルは光に包まれた。


エーフィ「!」

キュウコン「これは、進化の光?」


長く生きてはいるがアブソルが進化するなど聞いたこともない。


―――そして光は収束し、収まった。
そこには翼のような体毛と、さらに大きく発達した鎌を携えたアブソルが立っていた。
 ▼ 21 1 15/03/03 22:24:21 ID:S0sVoUjI [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アブソル「……いくぞ。」


−アブソルのしんそく−


キュウコン(これは、危険じゃな。)


−エーフィのみがわりが攻撃を受け消滅−


−エーフィのテレポート−


アブソル「そこだ!」

エーフィ「!」


−エーフィのリフレクター−


エーフィは咄嗟に光の壁を構築。


アブソル「はあ!!」


−アブソルのメガホーン−
 ▼ 22 1 15/03/03 22:25:13 ID:S0sVoUjI [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
パリンッ!


壁が粉々に砕け散る。


エーフィ「!!」

キュウコン「……」


−キュウコンのリフレクター−


アブソル・エーフィ「!?」


ガキン!


アブソルの攻撃はここで止まる。


キュウコン「勝負ありじゃ。」

キュウコン「アブソルよ、この勝負おぬしの勝ちじゃ。」
 ▼ 23 1 15/03/04 09:37:40 ID:1fc2.JPE [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
行間を一部詰めてみた。(何より30行制限が辛い)
より読みやすくしたいので、
文章構成についてご意見あればお願いします。


〜第4話〜


キュウコン「アブソルよ、この勝負おぬしの勝ちじゃ。」

キュウコン「そうであろう?エーフィ。」

エーフィは黙って頷く。

キュウコン「エーフィの壁を破るとは、大した威力じゃ。」

アブソル「しかし、あなたの壁は破れなかった……。」

キュウコン「そうじゃな。して、我とは戦うのか?」
 ▼ 24 1 15/03/04 09:39:01 ID:1fc2.JPE [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――メガホーン

どんな相手も当たれば一撃で倒してきた俺の最強の技。
それがあの薄い壁1枚で防がれた。
正直動揺しているが、どこか納得もしている。
この白銀のキュウコンは今までに戦ったことのないレベル。規格外だ。
彼女を倒した時、最強を名乗れると確信した。

アブソル「是非お願いしたい。」

キュウコン「うむ、ならば。」

キュウコン「まずは休憩じゃな。」

キュウコン達と離れて休息を取る。
「一緒に休まぬか?」との誘いを受けたが丁寧に断った。
女性の近くは落ち着かない。戦いの前に集中を乱したくはない。

エーフィは手強かった。
進化しなければ負けていたかもしれない。
そういえば、彼女の声を聞いたことがない。最初にキュウコンについて尋ねたときも
何も言わず去っていくものだから、キュウコンとのバトルは正直諦めていた。

だが、そのキュウコンともうすぐ戦える。
問題は、どう戦うかだ。
あの壁を破るには攻撃力が足りない。先の戦いでもしんそくの動きにもついてきた。
今俺にできることは……。
 ▼ 25 1 15/03/04 09:40:29 ID:1fc2.JPE [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュウコン「さて、もうよいかの?」

俺は無言で頷く。

アブソル(勝ちあるとすればこれしかない。)

彼女は広場の中央に陣取る。

アブソル「ふーっ。」

呼吸を整える。



キュウコン「さあ、どこからでもかかってくるがよい。」

アブソル「いくぞ!!」

−アブソルのこうそくいどう−
[アブソルのすばやさがぐーんと上がった。]
 ▼ 26 1 15/03/04 09:44:01 ID:1fc2.JPE [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺はそのままこうそくいどうで走り続ける。動きが読まれないようできるだけ変則的に。

[アブソルのすばやさがぐーんと上がった。]

キュウコン「ほう、速いの。」

[アブソルのすばやさがぐーんと上がった。]

アブソル(次はこれだ。)

−アブソルのつるぎのまい−
[アブソルの攻撃力がぐーんと上がった。]

−キュウコンは様子を見ている−

アブソル(積ませてくれるのなら積んでやる!)

−アブソルのつるぎのまい−
[アブソルの攻撃力がぐーんと上がった。]
 ▼ 27 1 15/03/04 09:44:53 ID:1fc2.JPE [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
−キュウコンは目を閉じた−

アブソル(!?)

アブソル(だが、ふざけているわけではなさそうだ。)

アブソル(この隙に!)

−アブソルのつるぎのまい−
[アブソルの攻撃力がぐーんと上がった。]

アブソル(相手の呼吸を読め! 隙を見つけ一気に叩く!!)






キュウコン「……捉えたぞ。」
 ▼ 28 1 15/03/04 09:48:15 ID:1fc2.JPE [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュウコンの瞳が怪しく光る。

−キュウコンのかなしばり−

ギンッ!!!

アブソル「ぐっ!?」

アブソル(体が……動かない!?)

キュウコン「止めてしまえば、素早さも、その呆れるほどの攻撃力も意味がないのう。」

俺は力の限り動こうとするが、体の自由がまったく利かない。

キュウコン「確かに、己を強化し一撃を狙うのも悪くはない。」

キュウコン「じゃが、おぬしには合わぬようじゃ。」

見破られている。普段積み技など使わない。
その不慣れなところを突かれた。
 ▼ 29 1 15/03/04 09:50:01 ID:1fc2.JPE [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュウコン「初めにエーフィとバトルしたときの方が良い動きをしていた。」

キュウコン「攻め続けるのがおぬしの型じゃ。あとは、経験じゃな。」

風が渦巻き、火の粉が舞う。
それらがひとつに集まり巨大な火の玉へと姿を変える。

アブソル(まるで太陽だな。)

小さな太陽を従えた白銀のキュウコンは神々しく美しかった。

キュウコン「さらばじゃ、アブソルよ。なかなか良いものが見れて楽しめたぞ。」

アブソル(完敗……だな。)

火球が直撃する。空間ごと焼かれ呼吸ができない。
痛みが全身を襲うが、すぐに耐え切れなくなりそのまま意識が途切れた。
 ▼ 30 バルドン@あかいかけら 15/03/05 21:43:18 ID:wVR8qTJo NGネーム登録 NGID登録 報告
続きが気になる
支援
 ▼ 31 1 15/03/06 11:36:03 ID:Z5adOt1g [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>30
支援感謝。続きです。

〜第5話〜


勝負は一撃だった。
火球の直撃した場所はクレーターとなり辺りは熱気に包まれている。

キュウコン「む、少々加減を間違えたかの?」

キュウコン「死んではおらぬと思うが、どうじゃろか……。」

師匠はそう言うとクレーターを覗き込む。

キュウコン「うむ、どうやら生きておるな。」

お師匠様……。

キュウコン「エーフィ。あの者を介抱してやれ。」

エーフィ『はい。』

キュウコン「我はしばらく出かける。留守は預けたぞ?」

そう言い小さな火球を空へ打ち上げる。

エーフィ『どちらに?』

キュウコン「先のバトルで血がたぎっての。亀にちいとばかし『喧嘩』をな。」
 ▼ 32 1 15/03/06 11:39:06 ID:Z5adOt1g [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――亀

師匠がそう呼ぶ者は、ここから西にある大陸で暮らすドタイトスのことだ。
万年生きたとされる彼もまた「伝説と並ぶ者」と呼ばれており、
お師匠様と対等に戦える数少ない相手のひとり。


「この世は不思議に満ちておる」


師匠の言葉だ。

無限とも言われる生命がひしめくこの星で、ごく稀にこの世に長く留まる者が現れる。
その力は時と共に増してゆき、ついには伝説と呼ばれる者たちと肩を並べるまでになるという。

ただの伝承と捉えるものもいれば、私のようにその不思議を目の当たりにしたものからは、
崇拝または「忌むべき者」として、代々言い伝えられてきた。
 ▼ 33 1 15/03/06 11:44:12 ID:Z5adOt1g [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
師匠が言うには、始めは皆ごく普通のポケモンらしい。
それぞれが生きていく中で、何かのキッカケに触れそうなる。
望むものもいれば、望まずにその力を手に入れてしまうものもいる。

師匠の場合は、「あまり良いものではない。」
と、キッカケを教えてはくれないから、きっと望んではいなかったのだろう。

望まなかったとはいえ、それはそれで今を楽しんでいるらしく、
気が向いては、生命の輪廻を外れた者たちと「喧嘩」――バトルをする日々を過ごしている。

確かドタイトスとは前回のバトルで「234戦92勝130敗12分け」だったかな?

キュウコン「大きく負け越しておるからの。ここらで差を詰めたいところじゃな。」

エーフィ『無理はなさらないでくださいね。』
 ▼ 34 1 15/03/06 11:46:21 ID:Z5adOt1g [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうこうしていると一対のポケモンが近くへ舞い降りる。
ホウエンの伝説。ラティオスとラティアスだ。

ラティオス「お呼びでしょうか、キュウコンさん。」

ラティアス「こんにちわー。」

キュウコン「こんにちは、ラティアス。ひとりで挨拶ができるとは大したものじゃ。」

ラティアス「エヘヘ。」

ラティアス「おねえちゃんも、こんにちわー。」

エーフィ『こんにちは。今日も元気いっぱいね。』

ラティアス「うん!」

ラティアスの屈託のない笑顔は癒される。
 ▼ 35 1 15/03/06 11:47:18 ID:Z5adOt1g [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ラティアス「ねぇねぇ、このひとはだぁれ?」

ラティアスはアブソルの顔を覗き込む。

エーフィ『お師匠様への挑戦者よ。』

ラティアス「ふーん。キュウコンおばちゃんに勝つなんてむりなのにね。」

ラティオス「そう言うなラティアス。彼は命を賭して戦ったのだ。」

ラティオス「己が信念を貫き、命を散らした戦士として賞賛されるべきだ。」

ラティオス「ここは黙祷と鎮魂歌をもtt」 

エーフィ『死んでませんよ?』

ラティオス「え?」

ラティオス「……。」

エーフィ「……。」

キュウコン「……。」

ラティオス「……ところで、今日はどちらに?」

エーフィ(流したわね。)

キュウコン(流したのう。)
 ▼ 36 1 15/03/06 11:50:05 ID:Z5adOt1g [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュウコン「亀じゃ。よろしく頼む。」

そう言うとひらりとラティオスの背に飛び乗る。

エーフィ『お気をつけて。』

ラティアス「おねえちゃん、バイバイ。」


師匠とラティオス達を見送ってから、アブソルの元へ。

――辺りはまだ熱い。

アブソルは元の姿に戻っていた。あの力はいったい何なのだろうか。
師匠も知らないようだったから、希少な力なのは間違いない。
それを聞くためドタイトスの所へ行ったのかも。
 ▼ 37 1 15/03/06 11:51:31 ID:Z5adOt1g [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アブソルの身体を見分する。大きなケガは無いようだ。
師匠はああ言っていたけれど、こういう力の制御はさすがだ。
多少治癒してやればあとは自力で回復するだろう。

私はリフレクターを地面に対し水平に張る。そこへ押したり引いたりしながら、なんとか彼を乗せた。

エーフィ(ふぅ……。)

エーフィ(これは、重労働ね。)

普通なら念力で浮かすところだが、エスパー技は悪タイプのアブソルに効果が無いから仕方がない。

そして、アブソルを乗せたリフレクターを念力で浮かせ移動する。

まずは川で身体を冷やしてから、どこか落ち着ける場所へ運ぼう。
 ▼ 38 ースト@こおりなおし 15/03/06 12:02:01 ID:Yr/cHo3M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 39 1 15/03/06 16:23:25 ID:Z5adOt1g [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>38
支援感謝です。

〜第6話〜


夜になり雨が降ってきた。アブソルはまだ気を失っている。
仕方がないので普段寝床にしている洞穴へと連れてきた。
寝床の藁を念力で整え、その上にアブソルを寝かせ火を起こす。

エーフィ(今日はいろいろなことがあったな。)

エーフィ(久しぶりにバトルで負けた。初めは勝てると思ったけれど……。)

エーフィ(やはりあの力が肝ね。どういう理屈なのかしら?)

そう思いながらアブソルに目を向ける。呼吸は落ち着き、静かだ。
よく見ると身体のあちこちに古い傷がある。

エーフィ(ずっと戦ってきたのかしら。こんなに傷だらけになりながら。)

エーフィ(彼は己の力を試すためと言っていたけれど。)

師匠からは、戦う相手は選べと教えられている。
今回の彼のように、大差がある相手と戦ったところで学べるものは何も無い。
得られるものは深い傷と、最悪の場合死を貰うことになる。

戦うのなら、切磋琢磨し、技を磨ける力の等しい者が良い。
今回の私と進化前の彼がそのような関係に近い。

エーフィ(ラティオスもそうだけど、男って何考えてるか分からないわね。)
 ▼ 40 1 15/03/06 16:25:13 ID:Z5adOt1g [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――男


ふとその単語が引っかかり、アブソルを凝視する。


「男を」 「自分の寝床に」 「上げている」


エーフィ「///」

途端に恥ずかしさが込み上げてくる。

エーフィ(これは、そういう意味じゃなくて介抱なのよ!)

エーフィ(目覚めたら、なんて話せば……。)

エーフィ(「会話」……か。)

途端に冷静になり気持ちが沈む。そう、アブソルは悪タイプなのだ。

エーフィ(もう寝よう。)

私はアブソルと距離を置き、背を向け丸くなった。
 ▼ 41 1 15/03/06 16:28:43 ID:Z5adOt1g [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜第7話〜


パチッ

音を起点に意識が戻る。
薄く目を開けると辺りは暗い。どうやら夜になっているようだ。
まだぼやけている視界の隅で煌々と炎が揺らいでいる。
ここで最初に聞こえた音が、薪の爆ぜる音だと理解した。

アブソル(暖かい。)

キュウコンとの勝負に負けた。それは確かだが、その後自分がどうなったのか全く覚えていない。
身体は重く、あちこちが痛む。

アブソル(ここがどこかは分からないが、今は休むことに専念しよう。)

そう思った矢先、背中の方からスースーと寝息が聞こえてきた。

アブソル(誰かいる!?)

ひとまず相手の存在を確認するために身体を起こす。
その時寝藁から、ふわっと良い匂いがした。
 ▼ 42 1 15/03/06 16:30:32 ID:Z5adOt1g [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……相手は女だ。

男の本能を刺激し、思わずクラッとしてしまうその香りは経験のないアブソルでもすぐに分かった。

アブソル(キュウコンだろうか、それとも……。)

そして相手の姿が目に入る。
華奢な身体、大きな耳、紫の体毛。やはりエーフィだった。
彼女は隅のほうで、俺に背を向け小さく丸まって寝ている。顔は確認できない。

鼓動が早くなる。俺にはひと回りほど歳の離れた妹がいるが、その他の女性との接触は非常に少ない。
それもそうだ、日夜戦いに明け暮れ体を鍛え、技を磨いてきたのだから。
ひとりの男として女性に興味が無いわけではないが、不慣れなためどう接して良いのか分からない。

そして、いきなりこの状況だ。
こういうのは仲の良い男女が共にする場所だ。俺には相応しくない。

アブソル(この空間は毒だ!!俺の気持ちを紛らわせる!!)

身体はやはり重い。だが、ここにいては気が狂ってしまいそうで俺は外に出た。
 ▼ 43 1 15/03/07 19:59:31 ID:willXt8I [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜第8話〜


久しぶりの空。

彼方へ沈む太陽を追いかけ我らは進む。

今まで多くの者たちの背に乗ってきたが、ラティオスの背が一番居心地がよい。
下界の景色が驚くほどの早さで流れていくのに、風の抵抗はほんのわずか。
どうやら、そういう飛び方があるらしい。

ラティアスはくるくると我らの周りを回ってみたり、急加速、急停止、宙返りなど
飛ぶことを心から楽しんでいるように見える。

キュウコン「器用なものじゃな。」

ラティオス「あなたと勝負したというアブソル。強かったのですか?」

キュウコン「……もしおぬしがあやつと戦っていたなら、おぬしの勝率は8割5分といったところかの。」

ラティオス「オレが負ける可能性も?」

ラティオスは少し驚く。
伝説の一族としてこの世に生を受け20余年。
まだまだ青いが、バトルの才能は確かで油断ならぬものがある。
 ▼ 44 1 15/03/07 20:00:34 ID:willXt8I [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だがあの力は軽視できない。あれをまともに食らえば我もただでは済まないだろう。

キュウコン「なにやら得体の知れぬ力を使う。」

キュウコン「おぬしは、すでに進化を終えた者が戦いの最中さらに進化するという事象に心当たりはないか?」

ラティオス「……ないですね。彼は進化したのですか?」

キュウコン「うむ、進化前とは比較にならぬほど攻撃力が上がっておったわ。」

キュウコン「耐久はそうでもないようじゃが。」

ラティオス「ラティアスは知っているかい?」

ラティアス「あたし、むずかしいお話わかんない。」

ラティオス「オレの一族に伝承に詳しい者がいます。今度彼に話を聞いてみます。」

キュウコン「頼んだぞ。」
 ▼ 45 1 15/03/07 20:02:37 ID:willXt8I [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ラティオス「ところで、エーフィを残してきて良かったのですか? 相手は得体が知れないんでしょう?」

キュウコン「得体が知れぬのは力のみ。あやつ自身は『何事にも真面目な堅物』と、我はみておる。」

キュウコン「堅物ゆえ、ちいとばかし足りぬところがあるようじゃが……。」

ラティオス「?」

キュウコン「いや、こちらの話じゃ。」

ラティオス「???」


ラティオス「ああ、それと彼女は言葉が……。アブソルは悪タイプでしょう?」

ここで言語を切り替える。エーフィが使っていたテレパシーだ。

キュウコン『そこはエーフィの才能に賭けるしかないのう。おぬしもできるであろう?』
 ▼ 46 1 15/03/07 20:04:04 ID:willXt8I [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ラティアス『なになに、てれぱす遊び?』

ラティオス『あなたやオレ達はエーフィとは次元が違います。』

ラティオス『彼女の力は認めますが、一般的に「種族の壁」エスパータイプから悪タイプへの力の干渉はできません。』

ラティオス『エスパーの力であるテレパシーもその例外ではないと思いますが。』

キュウコン『まあ、それも踏まえてあやつが何かしてくれるような気がしての。期待しておるのじゃ。』

キュウコン『それに、まだ他に手はあるぞ?』

ラティオス『と、言いますと?』

キュウコン「考えてみることじゃな。」

言語を戻す。
テレパシーのみの会話は力の浪費だ。

ラティオス「ところで、キュウコンさんはエスパータイプって持っていましたっけ?」

キュウコン「いつだったかの? 気づいたら開眼しておったわ。」

ラティオス「そんなものですか……。」

キュウコン「そんなものじゃ。」


ラティアス『あ、テッカニン! まてまて〜!!』
 ▼ 47 1 15/03/07 21:14:00 ID:willXt8I [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜第9話〜


――笑い声が聞こえる。まだ幼い子供の声。


声の方へ意識を向けると、ブースターとニンフィアそして3匹の幼いイーブイ達。

(ああ、またこの夢だ。これは駄目だ!目覚めなければ!)

そう思っていつも抗うけれど、目覚めることなく無常にも場面は進んでいく。

私には2人の兄妹がいた。ふたつ上の兄。そして私と双子の妹。

妹は、好きな色、好きな食べ物など私との共通点が多く、
よく物の取り合いになっていた。
最後は母ニンフィアになだめられ、私が譲ることが多かったかな。

兄はわんぱくで私と妹はよくいじめられた。
その度父ブースターの鉄拳制裁で目を回していたっけ。
でも、私たちが困っているときは一番に駆けつけ助けてくれた。
とても頼りになる兄だった。

私は母が大好きだった。抱かれるととても暖かく良い匂いがした。
将来は母のようなニンフィアになりたかった。

この日は、おくりび山の麓の草原に家族で遊びに来ていた。季節は春。
妹と花を沢山摘んで両親にプレゼントしようと話をしていた。


――ここまでは楽しい記憶。この先は……地獄だ!!
 ▼ 48 1 15/03/07 21:17:14 ID:willXt8I [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

目の前に広がる惨状。吐き気のする血の臭い。

――襲われたのだ。

相手は複数。とても大きな体をしていた。

ふたりの兄妹はすでに動かない。
父は残された私を守るため戦い死んだ。母は何処かへ連れて行かれた。

そして私も……。

喉に突き刺さる牙。ブチブチと何かが切れる感触。口に広がる鉄の味。
もうおしまいだと思った。

その時、見えない力が相手をなぎ倒す。

???「お前たち!! ここが我の縄張りと知っての所業であろうな!!」

その声には激しい怒りが込められていた。

現れたのは、白銀のキュウコンだった。
 ▼ 49 1 15/03/07 21:19:35 ID:willXt8I [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――場面が変わる。


目覚めたとき、私は声を失っていた。
父が、兄妹が死んだ。

そして、しばらくして……母の死を知らされた。

泣いた。涙が枯れるまで泣いた。
それでも声は戻らない。両親も、兄妹も戻らない。
いつの間にか首に巻かれていた白いスカーフが、涙でじっとりと重くなる。

キュウコン「仇はとった、じゃが……。」

キュウコン「そなたの家族は救えなかった、すまない。」

私を助けたキュウコンはまだ幼い私に頭を垂れる。

キュウコン「正直、そなたを助けようかも迷った。」

キュウコン「家族を失ったそなたをどう導いてゆけばよいのか、我には分からぬ。」

キュウコン「じゃが、そなたの母は亡くなる前、『あの子を頼む』と我に託した。」

キュウコン「そなたを『愛している』と。じゃから、生きよ。」

キュウコン「生きるに必要な力は我が授ける。我を見て学べ。」

――そうして私は、おくりび山の主「白銀のキュウコン」の弟子になった。
 ▼ 50 ブトプス@キーのみ 15/03/08 08:18:36 ID:5Cs33DCg NGネーム登録 NGID登録 報告
こういうのめっちゃ好みだわ 支援
>>1
は他に何か書いてないの?
 ▼ 51 1 15/03/08 21:25:31 ID:qHebOEL2 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>50
支援感謝です。
いろいろ考えてはいたのですが、文章化したのはこれが初めてです。

〜第10話〜


目が覚めた。

あの夢を見たあとは決まって傷が疼く。
私は白いスカーフを首に巻く。

あの時、師匠から譲り受けたスカーフだ。
なんでも、このスカーフには不思議な力が込められていて、
私があの瀕死の傷を負ったときも、これの力で命を繋ぐことができたらしい。

師匠は声の回復も期待していたようだが、それは叶わなかった。

そのまま傷を隠すため今も使っているが、確かにこれを身に着けると、
不思議と痛みが和らぐ気がする。

そういえば、

ふとアブソルのことが気になり後ろを振り向く。
目に入ったのは、空の寝床と燃え尽き墨になった薪だった。

どうやら彼は行ってしまったようだ。
 ▼ 52 1 15/03/08 21:27:43 ID:qHebOEL2 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
安堵と共に少しの後悔が込み上げてくる。

エーフィ(少し、話をしてみたかったな……。)

声は出ないし、テレパシーも届かないが、会話の方法はそれだけじゃない。

「文字」

そう、筆談である。

もともとは数万年前、私たちポケモンとは全く別の生き物が使っていたらしいが、彼らは滅んだ。
なぜ滅んだか定かではないが、幾つか有用なものを遺してくれた。

そのひとつが「文字」。

私は師匠から文字を習った。習い始めて8年でようやく師匠に認められた。
問題は、相手が文字を読めるかどうか。

文字の習得率は100%ではない、普段生活する分には知らなくても支障がないからだ。
知的好奇心を満たそうとする者や、幾つかの種族においては一家相伝という形で受け継がれているらしい。
それらを踏まえて錬度の差はあれど、「文字」を扱える者はせいぜい1割程度だろうと師匠は言っていた。

彼は文字を読めたのだろうか。

エーフィ(居なくなってしまってから考えても仕方ないか。)

そう思いながら洞穴を出る。暫くは師匠が留守なので、山の巡回は私の仕事だ。
 ▼ 53 1 15/03/08 21:32:01 ID:qHebOEL2 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜第11話〜


朝になった。

俺は洞窟から出た後、近くの木陰で休んでいた。
雨はあの後暫くして止んだ。今は青空が広がっている。

やはりあちこち痛むし、雨に濡れて身体は冷える。
もっと暖かいところで休むべきなのだが、
何より世話になっておいて、
挨拶も無しに姿を消すことなんてできない。

そのうち、エーフィはあそこから出てくるだろう。

「世話になった、ありがとう。」
「君の師匠によろしくと伝えてくれ。」

それだけだ。
それだけ伝えて、山を降りる。
そして、また強い者を求めて旅に出る。

負けたのは久しぶりだ、
ただのひとつも傷をつけられず、完敗したのはいつ以来だろう。
 ▼ 54 1 15/03/08 21:32:53 ID:qHebOEL2 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう思っていると、彼女が洞穴から出てきた。

すでに去ったものだと思ったのだろう。
彼女はこちらに気づくと目を丸くし、固まっている。

……ここは、俺から近づく。
緊張する。昨夜のことが頭から離れない。

アブソル「その……、ありがとう。傷の手当を……してくれて。」

目が合わせられない、鼓動が早くなる。

エーフィ「……。」

エーフィはやはり語らない。

アブソル「君の師匠に伝えてくれないか……。その、……世話になったと。」

あれ?「よろしく伝えておいてくれ。」じゃなかったっけ?
頭が真っ白になる。できれば走って逃げたかった。

そのとき、

くつくつと小さな笑い声が聞こえた。
声の主はエーフィだった。
 ▼ 55 1 15/03/09 21:06:58 ID:XajZrNco [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜第12話〜


洞窟から外に出ると、彼はそこにいた。
私は驚いて足を止める。

そして彼はゆっくりと近づいてきた。

アブソル「その……、ありがとう。傷の手当を……してくれて。」

彼は緊張している。誰が見てもそう感じるだろう。
目も泳いでいるし、汗も大量に掻いている。まだ涼しい時間帯なのに……。

アブソル「君の師匠に伝えてくれないか……。その、……世話になったと。」

戦いの時にはあれほど勇ましく、私の師匠にも臆せず立ち向かっていった男が、
こんなにも動揺している。
その姿があまりにも可笑しく。思わず笑ってしまった。

アブソル「え?」

アブソルは驚いてこちらを見る。
キョトンとしている顔が可愛らしい。
 ▼ 56 1 15/03/09 21:07:53 ID:XajZrNco [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は念力を使い、地面に文字を書いた。

エーフィ[体の調子はいかがですか?]

彼は文字を見る。

アブソル「これは、文字?」

文字とは分かるが、理解はしていない。
心が折れそうになるも、あきらめずもっと簡単な文章で綴った。

エーフィ[からだ だいじょうぶ?]

アブソル「体、大丈夫?」

エーフィ(ああ、読めた!)

アブソル「君のおかげで、ずいぶんと良くなったよ。」

アブソルは微笑む。どうやら少しだけ緊張がほぐれたようだ。
 ▼ 57 1 15/03/09 21:15:27 ID:XajZrNco [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜第13話〜


彼女は綴る。

エーフィ[もじ よめますか]

アブソル「少しだけなら。書くのは無理だけど。」

少し緊張もほぐれてきた。
何より、文字を読むため彼女の顔を見る必要が無い。
普通の会話だったら、そうはいかなかっただろう。

エーフィ[みまわり いきます いっしょに どう?]

アブソル(見回り?と……これは誘ってくれているのかな?)

エーフィ[ごはん たべましょう]

アブソル「巡回がてら、朝食ということでいいのかな?」

どうやら当たりのようで、彼女は微笑む。

――可愛い。
 ▼ 58 1 15/03/09 21:18:38 ID:XajZrNco [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アブソル「あ、ありがとう。一緒してもいいかな?」

一瞬ドキリとしながらも、なんとか言葉を搾り出す。
やはり女性との会話は苦手だ。

身体は痛むが歩く分には支障はない。
俺は彼女について行った。

今居るのは山の3合目といったところだろう。
昨日バトルしたところが中腹程のところだったから、少し下ってきたようだ。

アブソル「君があそこまで運んでくれたのか?」

エーフィは頷く。
そして、リフレクターを水平に張ってその上に飛び乗り、念力で操ってみせた。

アブソル「なるほど、器用なことができるものだね。」

このエーフィは特殊型なのかもしれない。
 ▼ 59 1 15/03/09 21:37:15 ID:XajZrNco [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――攻撃技には大きく分けて2種類ある。
爪や拳などで直接相手を攻撃する物理攻撃と、
精神や、ある種の理論を用い超常現象を引き起こす特殊攻撃だ。

物理攻撃は習得が比較的容易で、ほぼ全てのポケモンが使えるが、
多くの技は使用者の身体能力に依存するため、身体を鍛えることが必須になる。
技と身体の両方を鍛えなければならないため、極めるには相当の時間が必要となる。

特殊攻撃は、タイプや種族といったある種の才能が必要になる。
妙な追加効果や状態異常を引き起こすものもあり、やっかいではあるが
精神の強いもの、特異体質を持つものなどには効果が薄かったりと制約も大きい。

それぞれ鍛錬を重ねることで威力の底上げや、技の連続使用なども可能になる。

どちらも基本形の「型」が存在し、俺たちポケモンはそれらを「技」と呼んでいるが、
中には「技」を組み合わせたり、「技」を昇華させ全く別の攻撃にするものもいる。

俺は物理攻撃が得意だ。
さまざまな相手と戦うため特殊攻撃も少しは使えるが、ほぼ特化しているといっていい。

キュウコンはどうだろう?
最後の攻撃を見る限りでは特殊型と言いたいところだが、それ以外の技は見ていないし、
思えば動きを止められたのも、それがどんな技だったのかいまいちよく分かっていない。

アブソル(相手の分析すら許さない。本当に、圧倒的だな……。)
 ▼ 60 1 15/03/09 21:42:36 ID:XajZrNco [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜第14話〜


俺は改めて気落ちしそうになるも、
今はエーフィと一緒なのであまり考えないようにする。

周りの景色を見てみると、この山の自然はとても豊かで空気も穏やかだ。
「霊山」と呼ばれているから、もっと恐ろしい雰囲気を想像していたので、

アブソル「この山は良い雰囲気だね。」

素直にそういう言葉が出てきた。

エーフィ[ししょう の おかげ]

やはりキュウコンがこの山を統率しているらしい。

ふと、エーフィが足を止め、上を見上げる。
俺も釣られて上を見ると、さまざまな木の実がなっていた。

どうやらここで朝食を摂るらしい。
 ▼ 61 1 15/03/09 21:43:57 ID:XajZrNco [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それぞれ好みの木の実を採り食べる。
食事中、いろいろな話をした。
俺は文字をあまり読めないので、内容はそう深いものではなかったけど……。

ただ、エーフィにはずいぶん慣れてきたようで、
割と普通に会話をできるようにはなっていた。

アブソル(エーフィも言葉がしゃべれたらいいのに。)

ずっと気になってはいたが、恐らく彼女は「話さない」のではなく、「話せない」のだ。
事故や、バトルの後遺症の話はたまに聞く。彼女も何かしらの不幸があったのだろう。

原因は気になるが、さすがに聞く気にはなれない。
そう思っていると、彼女が文字を書く。

エーフィ[あなたと おはなし できたら いいのに]
このページは検索エンジン向けの機能制限版の旧ページです。
下URLから閲覧下さい。
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