とあるトゲキッスの物語:ポケモンBBS(掲示板) とあるトゲキッスの物語:ポケモンBBS

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とあるトゲキッスの物語

 ▼ 1 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/19 00:31:27 ID:0oulFtUc NGネーム登録 NGID登録 報告
昔々、小さな村がありました。そこには、とある家族と、トゲピーが住んでいました。

トゲピーはその家族の子供のパートナーとして、共に食べ、共に学び、成長していきました。
 ▼ 14 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/22 23:40:56 ID:NOA21CVw NGネーム登録 NGID登録 報告
今…何て…お別れ?嘘…だよね…?

[何で?]

ヒロ「…俺は兵隊にならなくちゃいけない。その前にお前を逃がしに来た。」

[僕、ヒロのポケモンじゃなくなるの?]

ヒロ「大丈夫だ。モンスターボールから逃がすわけじゃない。シュウジに預けるだけさ。じゃあな。」

[ヒロもここに残らないの?]

ヒロ「…これでもギリギリなんだ。ほら、そこに兵士がいるだろ?今回は特別の特別なのさ。」

…ヒロ、死んじゃうのかなぁ。…本当にお別れになっちゃうのかなぁ。

ヒロ「そんなに悲しい顔するなよ…戦争が終わったら必ず迎えに来るからさ。」

[本当に?]

ヒロ「僕が約束を破ったこと、ある?」

[ない]

ヒロ「うん。…じゃあなトゲキッス。…絶対迎えに来るからな。」

[またね。]

ヒロ「またな。」

僕が…人間だったら…ヒロと一緒に居られたのかなぁ…

僕が…人間だったら…もっと…もっとお別れを伝えられたのかなぁ…

僕が…人間だったら…

          

          大事なヒトとのお別れも…こんなに悲しくなんか…なかったのかなぁ…
 ▼ 15 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/23 23:07:36 ID:D4ZEBGRI [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
それからしばらくして、戦争が始まった。ここの新聞も、最初のうちは取りあげてたけど…

数週間したら、ほとんどなくなってしまった。

毎日、ヒロのことが心配でたまらなかった。

兵隊って人間を殺すんだよね…ヒロも殺したりするのかな…ヒロはそんなことしないはずだ。

ある日、ヒロが撃たれて死ぬ夢を見た。怖かった。だって、本当にあったみたいな夢だったから。

…早く元気なヒロに会いたいな…また…みんなと遊びたいな…
 ▼ 17 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/23 23:10:32 ID:D4ZEBGRI [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
それから数年経ち、ようやく戦争が終わった。長くて短い月日だった。

ヒロは迎えに来るって言ってた。今は戦争が終わったばかりだからすぐには会えないかもしれない。

でも僕は待つよ。ヒロが迎えに来るまで。
 ▼ 18 シギダネ@めざめいし 17/11/23 23:12:51 ID:9DikFl3Q NGネーム登録 NGID登録 報告
なんかいいね
 ▼ 19 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/23 23:13:52 ID:D4ZEBGRI [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
それから半年が経った。話によると船も使えるようになったみたい。



でも、ヒロはやっぱり来ない。でも、迎えに来るって約束したんだ。ヒロは約束は破らない。

だから、僕は待っている。
 ▼ 20 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/23 23:17:50 ID:D4ZEBGRI [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
ある日、シュウジさんが町に行こうと言った。…たぶん、ヒロは大怪我でもしてるんだろうって。

…そうだよね。ヒロにだって、無理なときはあるさ。

僕の方からヒロに会いに行って、ヒロを驚かせてやるんだ。
 ▼ 21 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/23 23:25:56 ID:D4ZEBGRI [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
久々に着いた町は、あまり変わっていなかった。…戦争の被害が少なそうで良かった。

子供「トゲキッス?」

[なに?]

子供「わー!字書いた!やっぱりトゲキッスだ!」

…この子は僕が昔話を見せてあげてた子だ。無事だったのか。

[町のみんなは元気?]

子供「うん!大変だけど、みんな元気だよ!」

…よかった。

シュウジ「知り合いが元気そうでよかったな。…それより、ヒロを探さないと。」

[もしかしたら、パン屋のユキオさんが知ってるかも。]

シュウジ「パン屋の人か…わかった。探してみる。」
 ▼ 22 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/23 23:35:09 ID:D4ZEBGRI [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
シュウジ「すいませ〜ん!パン屋のユキオさんはいらっしゃいませんか?」

ユキオ「俺がユキオだが…お前、何の用だ?」

シュウジ「…俺はヒロの従兄弟のシュウジと言います。…ヒロについて、何か知りませんか?」

ユキオ「うーん…それがな、俺も知りたがってるところなんだ。」

シュウジ「そ、そうなんですか?」

ユキオ「…俺は足が悪いからな。ひたすら食料の確保をやらされていて、兵隊にならなかったんだ。」

シュウジ「…そうですか。」

ユキオ「…力になれなくてすまない。」

シュウジ「いえ、こちらこそお話いただきありがとうございました。」
 ▼ 23 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/23 23:53:36 ID:D4ZEBGRI [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
シュウジ「ごめんなトゲキッス。ヒロの情報は手に入らなかったよ。」

[ううん。大丈夫だよ。]

シュウジ「…これからどうする?」

確かに…今はヒロの安否がわからない以上、ここに残る意味は薄いかもしれないし…

ユキオ「大変だシュウジさん!広場に死亡者リストが…」

シュウジ「何!?」

[どうしたのシュウジさん?]

シュウジ「…ヒロの安否がわかるかもしれないんだ。」
 ▼ 24 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/24 00:16:34 ID:nTOuywoI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜広場〜

シュウジ「さすがに人が多すぎて読めないな…しばらく待たないと…」

ユキオ「向こうで大量に配っているからそこに貰いに行くぞ!」

ーーーーーーーーーーーーー 
ーーーーーーーーー
ーーーーー

シュウジ「ようやく手に入った…」

ユキオ「…ヒロの名前を探さないとな。トゲキッスも見るか?」

[僕はいい。きっとヒロは大丈夫だ。]

ユキオ「…俺も、そうであって欲しい、けどな…」

二人はリストを読み進めていく。

シュウジ「…やっぱりたくさんの人が死んだんだな。」

ユキオ「戦争は何も作らない。破壊するだけだ。」

…ヒロが死ぬはずない。あんなに優しかったヒロが…戦争なんかで死ぬわけがない。

…あんなモノ、読んでても無意味なんだ。





ユキオ「…ヒロ…?」
 ▼ 25 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/24 00:25:53 ID:nTOuywoI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
え…?そんなはずが…

シュウジ「待て。同じ名前の別人かもしれない。直接城で聞いてみよう。」

ユキオ「…そうだな。…きっとそうだ。」



〜城〜

シュウジ「すいません!軍の方は…」

軍人「何だお前ら。何しに来た。」

ユキオ「この人を知りませんか?」

軍人「ふむ…この写真のやつか?確かヒロとかいう名前じゃなかったか?」

シュウジ「そうです!この人はどうなったんですか!?」

軍人「こいつは第三小隊だったな。…ここに第三小隊は全滅と書いてあるが…」

シュウジ「え…?」

軍人「まあ、早く出てけ。情報をやったんだから感謝しろ。」

シュウジ「そんな!もっと他の情報は…」

軍人「いいか!ここに書いてあるのは事実だ!わかったら帰れ!」
 ▼ 26 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/25 00:16:24 ID:mm7oQ0P. [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ユキオ「…シュウジさん遅いな…」

[どうしたんだろう?]

ユキオ「ん?あれシュウジさんじゃないか?」

[やけに暗い顔してるけど。]

ユキオ(…まさか!)

シュウジ「…なあ、トゲキッス。」

[どうしたの?]

シュウジ「ヒロはな…死んでたんだよ。」

ユキオ「…。」

[そんなはずないよ。ヒロは迎えに来るって言ってたよ?]

シュウジ「…わかってくれトゲキッス。辛いだろうが、これは本当のことなんだ。」

違う。違う違う違う。ヒロは死んでなんかいない。きっと生きてるんだ。みんな嘘をついてるんだ。

バサァッ!

シュウジ「おい待て!どこへ行くんだトゲキッス!」

…ヒロはきっとどこかに居る。ヒロが迎えに来れなくても、僕が迎えに行けばいいんだ。
 ▼ 27 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/25 00:24:32 ID:mm7oQ0P. [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
この町に来て最初に行った時計搭…

ヒロはいない。

住んでいた家…

いない。

いつも遊んでいた花畑…

いない。

ヒロのお気に入りの洋服屋…

いない。



…どこにもいない。
 ▼ 28 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/25 00:27:27 ID:mm7oQ0P. [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
シュウジたちの元から離れて3日…町の周辺は探し尽くした。

でもヒロはいない。

…もしかしたら昔住んでいた村に戻っているのかもしれない。

すごく遠いけど…行ってみよう。
 ▼ 29 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/25 00:38:53 ID:mm7oQ0P. [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
その村までの道のりは、歩いて行こうとすれば、人間には1週間ほどかかる道のりでした。

当然、トゲキッスは空を飛べます。なので、それほど時間はかかりません。

しかし、季節は冬。冷たい風や雪がトゲキッスを襲います。

それでも尚、トゲキッスは飛び続けました。

ですが、いくら精神力で支えても体の限界は変わりません。トゲキッスはだんだんと弱っていきました。



そして、旅を初めて5日目のこと…
 ▼ 30 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/25 00:46:38 ID:mm7oQ0P. [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
村まで…あと…少し…まだ…飛べる…

あれ…力が…入らない?

 ドサッ…

僕…ここまでなのかな?

…ごめんねヒロ。僕、だめだった。

最後に…もう一度だけ…会いたかった…なぁ…



…そのままトゲキッスは動かなくなりました。
 ▼ 31 リュウズ@ジュナイパーZ 17/11/25 15:29:05 ID:Zb2cPFDk NGネーム登録 NGID登録 報告
泣いた
 ▼ 32 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/25 18:02:26 ID:mm7oQ0P. [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
…ここはどこだろう?暖かい…。 花畑がある…

…ス…

…トゲキッス…

ヒロの声だ!向こうに居るのかな?

ヒロ「トゲキッス!」

トゲキッス「ヒロ!…ってあれ?僕喋ってる!?」

ヒロ「…ここでは会話がそのまま成立するみたいだね。」

トゲキッス「ここはどこなの?」

ヒロ「…ここは生と死の狭間の世界だ。」

トゲキッス「…僕、やっぱり死んじゃったんだ…ヒロも…」

ヒロ「いや、お前はまだ死んでない。僕の居る場所は死後の世界だから引き返せないけど。」

トゲキッス「僕が死んでないってどういうこと?」

ヒロ「僕が死んだときはね…すぐにこっちに引きずり込まれたんだ。でも、お前は違うだろ?」

トゲキッス「…じゃあ、どうして僕はここに?」

ヒロ「きっと今、体が死の縁にあるんだと思う。体に生きる力があればお前はここから帰れる。駄目なときは…」

トゲキッス「…僕は早くヒロのところに行きたいよ…」

ヒロ「…僕だってトゲキッスと一緒にいたいよ。でもね…」

ヒロ「生きろよ、トゲキッス。できれば、僕の分も。」

トゲキッス「…どうして?」
 ▼ 33 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/25 18:13:10 ID:mm7oQ0P. [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒロ「やだなあ、自分のポケモンに早く死ねなんて言わないよ。」

トゲキッス「そ、それはそうかもしれないけど…でも…」

ヒロ「それにな、お前にはまだ未来がある。自分の命を使いきらずに死ぬことほど勿体無いことはないぞ。」

ヒロ「僕の分も、存分にこの世界を楽しんでほしいんだ。」

トゲキッス「だけど…ヒロとまたお別れなんて…」

ヒロ「大丈夫、また会えるさ。ほら、後ろを向いてごらん。」

トゲキッス「…道が出来てる…?」

ヒロ「その道を進んでいけば、ここから帰れる。さあ、振り向かずに行くんだ。」

トゲキッス「…僕、ヒロの分もいっぱいいっぱい長生きするよ!だから…」

トゲキッス「また会うときには…生きていたときみたいに…」

ヒロ「わかった。約束だ。長生きしろよ。」

 そのままトゲキッスは、後ろを向いて飛び立っていった。






ごめんなトゲキッス…迎えに行けなくて。…約束、破ったこと無かったのになぁ…
 ▼ 34 リヤード@エネコのシッポ 17/11/25 23:29:36 ID:9Y4FgzF2 NGネーム登録 NGID登録 報告
止まるんじゃねえぞ……
 ▼ 35 リーザー@あまいミツ 17/11/25 23:48:09 ID:kAfmbHrM NGネーム登録 NGID登録 報告
このトゲキッスには幸せになって欲しい
 ▼ 36 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/25 23:55:25 ID:mm7oQ0P. [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
トゲキッスは、生と死の狭間の道を飛んでいた。目の前に白い光が見える。きっとそこが出口だ。

しかし、届かない。いくら飛んでも、光は遠くなっていく。

トゲキッスは…出せる限りの全力で羽ばたき、光の中へ飛び込んだ。
 ▼ 37 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/26 00:06:55 ID:5R.PncmA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
…ここは…?…暖かい…

失敗…したのかな?

???「おう、目が覚めたか。」

…誰かがこちらを覗きこんでいる。

トゲキッス「…君は?」

バクフーン「見てのとおり、俺はバクフーンだ。お前、何で雪山なんかにいたんだよ。死にかけだったぞ。」

トゲキッス「…ここはどこ…?」

バクフーン「俺の主人の家だ。まあ、ただのガラス細工職人だけどな。」

…よかった。僕、ちゃんと生きてた…

バクフーン「…ほら、木の実だけでも食えるか?」

木の実を頬張った。…よく考えたら少なくとも一週間ほどほとんど食べていなかった。

バクフーン「とにかくお前、どんな無茶をしたか知らないけど、体が弱りきってる。まずは飯食え。」
 ▼ 38 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/26 00:35:31 ID:5R.PncmA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
トゲキッス「ところで君の主人はなんていうの?」

バクフーン「レンっていうんだ。…ところでお前、野生じゃないよな。」

トゲキッス「そうだけど?」

バクフーン「お前の主人はどこだ?…まさか捨てられ…」

トゲキッス「違うよ!」

バクフーン「ふぁ!?」

トゲキッス「僕の…僕のマスター…ヒロは…戦争で死んだんだ…」

バクフーン「…だったらやっぱりどうしてこんな所に?」

トゲキッス「僕はヒロの死が受け入れられなくて、いなくなったマスターを探してたんだ…」

トゲキッス「この山の先に、昔一緒に住んでた村があったんだけど…辿り着く前に力尽きてしまったんだ…」

バクフーン「…自分の主人がいなくなるなんて、考えたこと無かったな…。」

バクフーン「なあ、トゲキッス。」

トゲキッス「?」

バクフーン「…お前さえ良ければ、そのヒロってやつの話、聞かせてくれないか?」

トゲキッス「いいけど…何で?」

バクフーン「お前がそこまでして探すほどの主人が、どんなやつか知りたくなっただけさ。」

トゲキッス「…わかった。少し長くなるだろうけど、話してみるよ。」
 ▼ 39 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/27 23:21:43 ID:GVgFBhyc [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
トゲキッスはゆっくり…少しずつ話し始めた。

ヒロはとても優しい人だったこと。

遠く離れた町に住んでいたこと。

兵隊になってしまったこと。

死にかけていたときに話をしたこと。

…だんだん涙が溢れてきた。あの時生きると決めたことを、心底後悔した。

すすり泣きながら、なんとか話を続けた。

胸が締め付けられるような心地になりながらも、大好きだったヒロの思い出を語った。

話が終わったときには、もうすっきり日が暮れていた。
 ▼ 40 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/27 23:31:02 ID:GVgFBhyc [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
トゲキッス「…僕が話せるのは、これくらいだ。長くなっちゃったね。」

バクフーン「うっ…うっ…」

トゲキッス「ちょ、ちょっとどうしたのバクフーンくん!?」

バクフーン「…こんな話聞かされてなぁ…泣けないわけないだろ…」

トゲキッス「!?」

バクフーン「お前が…あんなになるまで無茶すんのも、納得だぜ。まったく…」

トゲキッス「だ、大丈夫?」

バクフーン「ああ。…ありがとうな。トゲキッス。」

トゲキッス「え?いや、僕は別に…」

バクフーン「主がいることのありがたみ、思い出せたのはお前のおかげだよ。」

トゲキッス「…。」

バクフーン「さ、晩飯だ。お前が元気になったっていうのも見せてやらないとな。」
 ▼ 41 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/28 23:51:40 ID:9gN2hOpk NGネーム登録 NGID登録 報告
僕はバクフーンに連れられて部屋を出た。

晩飯を食べに行くと言われて入った部屋は、暖か…いや、暑い。

しかし窓から外を覗くと銀世界。…この部屋だけ夏なのかな?

バクフーン「どうしたトゲキッス?」

トゲキッス「いやぁ…この部屋暑いなぁ…って。外は物凄く寒かったのに。」

バクフーン「いや…それがレンのやつ、寒がりのくせにここで店をやるもんだからよぉ…ずっと暖房いれてんだ。」

トゲキッス「それ、大丈夫なの?」

バクフーン「知らん。さて、俺はあそこで寝てるバカをちょっくら起こしてくるからな。少し待っててくれ。」

ベチーン!

トゲキッス「!?」

ベチーン!ベチーン!

なんとバクフーンが寝ているレンに平手打ちを始めたのだ。

ベチーン!ベチーン!ベチーン!

レン「あだだだだ!やめろ!無表情のまま叩くな!怖いから!」

バクフーン「…。」

レン「…もう夕食か。少し待ってろ。」



トゲキッス「ねえ、バクフーンくん。」

バクフーン「何だ?」

トゲキッス「…いつもこうなの?」

バクフーン「うん」
 ▼ 42 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/30 21:43:55 ID:oI4GaE3I [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
レン「ん?そういえばそのトゲキッス、元気になったのか?」

コクリ

レン「良かった良かった。本当に危ないところだったから。」

トゲキッス「…バクフーンくん、紙とペンを持ってきてくれない?」

バクフーン「あ、ああ。そこにあるやつなら自由に。でも何に使うんだ?」

トゲキッスは試し書きをしてみた。さすがに腕は鈍っていたが、字を書くことはできた。

[助けてくれて、本当にありがとうございました。]

レン「…俺は夢を見ているのか?」

[夢ではないです。]

レン「うおおおおおおすげえええええええ!マジかよ!こんなのアリかよ!フォオオオオオオ…」

そのままレンはどこかへ駆け出して行った。

トゲキッス「…君のマスターは個性的だねぇ…」

バクフーン「それより!お前人間の文字書けるのか!?」

トゲキッス「そうだけど。」

バクフーン「頼むトゲキッス…いや、師匠!俺に字を教えてください!」

トゲキッス「…え?」
 ▼ 43 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/11/30 23:35:32 ID:oI4GaE3I [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
バクフーン「俺、どうしても文字を書いてみたいんだ!教えてください!」

トゲキッス「あ〜えっと…うん。大丈夫。」

バクフーン「本当か!?」

トゲキッス「も、もちろん。」

バクフーン「じゃあ晩飯の後早速教えてくれ!」

トゲキッス(うーん…困ったことになったなぁ…教えてもらったことはあっても、教えたことがないんだよなぁ…)
 ▼ 44 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/12/02 00:59:44 ID:rgnIXHUk [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
その日からトゲキッスはバクフーンに文字を教えた。

教えかたはそれはそれは酷いもので、とても教える、と言えるようなものではなかった。

しかしバクフーンは、そんなへっぽこ師匠に必死でついていく。

そうして、ようやくバクフーンがひらがなを書けるようになって、数日経ったある日のこと…
 ▼ 45 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/12/02 01:04:07 ID:rgnIXHUk [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
バクフーン(ようやく字を書けるようになったぜ…トゲキッスには感謝だな。)

レン「おーい、トゲキッス。」

[何ですか?]

バクフーン(ん?何だ?)

レン「…いつもあいつと遊んでくれてありがとうな。」

バクフーン(はぁ!?遊びじゃねえし!子供じゃねーんだよ!)

レン「それで…いつ、お前は帰るつもりなんだ?」

バクフーン(帰る…?)
 ▼ 46 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/12/02 01:09:03 ID:rgnIXHUk [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
レン「だってお前、こんなところに住んでるわけじゃないだろ?仲間が待ってるんじゃないか?」

バクフーン(そうか…トゲキッスは町から来たんだった…)

[その事なんですが、実は明後日ぐらいに出発しようかと。]

バクフーン(明後日!?早すぎるだろ!?)

レン「そうか…寂しくなるが、気をつけてな。」



バクフーン(嘘だろ…)
 ▼ 47 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/12/02 07:26:19 ID:rgnIXHUk [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
明後日にはトゲキッスは帰ってしまう…でも俺は全然お礼もできてない…

それに…せっかくできた友達が…

トゲキッス「バクフーンくん?」

バクフーン「え?あ、な、何だ?」

トゲキッス「今日は字を書く練習しないの?」

バクフーン「ああ…わりぃ、気分がのらなくてな…」

トゲキッス「あ、そうなんだ。」

バクフーン「…なぁ、トゲキッス、お前明後日には帰るんだろ?」

トゲキッス「聞いてたのか。」

バクフーン「…また、いつでも来いよ。」
 ▼ 48 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/12/02 08:00:13 ID:rgnIXHUk [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
その日の夜…

バクフーン(嫌だ…また、友達と離れ離れになるなんて…)

レン「どうしたんだ、バクフーン。元気がないみたいだけど。」

バクフーン「…。」

レン「…お前、トゲキッスが帰っちゃうのが寂しいんだろ?」

バクフーン「!」

レン「ふふ…図星か?だってお前、トゲキッスが来てからすっげえ楽しそうにしてたからな。」

バクフーン「…。」

レン「…俺も寂しいよ。なんか、家族が増えたみたいだったからさ。」

レン「でも、トゲキッスは帰らなくちゃいけない。そう決めたのは、トゲキッス自身だ。」

レン「だったら、邪魔せず見送ってやろうぜ。大丈夫、またきっと遊びに来てくれるさ。」

バクフーン「…。」

レン「…ごめんな。父さんの仕事のためとはいえ、こんなところまでついてきてもらって。」
 ▼ 49 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/12/05 00:12:43 ID:6K9JV0ow [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
そして、その日はすぐにやってきた。

[しばらくお世話になりました。]

レン「そのノートとペンはプレゼントだ。自由に使ってくれ。」

[木の実まで貰っちゃって、すみません。]

レン「気にすんな気にすんな。どうせ余るから。バクフーンもお別れしな。」

バクフーン「その…なんだ。短い間だったけど…楽しかったぜ。また来てくれよな。」

トゲキッス「もちろんだよ。まだ助けてもらったお礼も全然できてないし。」

バクフーン「まあ、お前にとってはそうかもしれないけど…俺は…友達として楽しかったというか…」

トゲキッス「…友達、かぁ。あんまり最近つくってないなあ。」

バクフーン「…お前はこれからどうするんだ?」

トゲキッス「まずは町のみんなに無事を伝えに行こうと思う。そしたら…」

バクフーン「そしたら?」

トゲキッス「…旅に出ようと思ってるんだ。」

バクフーン「旅?何でだ?」

トゲキッス「ヒロはこの世界を楽しめって言ってた。だから、僕はこの世界で、心から楽しいと思えることを探す。」

バクフーン「…随分難しいことを考えるんだな…」

トゲキッス「いつかバクフーンくんにもわかるさ。」

バクフーン「そういうもんか?」

トゲキッス「そういうものだよ。さて、出発しなきゃ。」

トゲキッスは飛ぶ体勢を整えた。

レン「出発かい?」

[本当にお世話になりました。]

バクフーン「またなトゲキッス。無理はすんなよ。お前がまた倒れてたら大変だからな。」

トゲキッス「うん。…レンさんはいい主人だよ。大切にしな。」



トゲキッスは一度後ろを向いて微笑むと…そのまま大空へ飛び立って行った。
 ▼ 50 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/12/05 00:28:30 ID:6K9JV0ow [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
やがてトゲキッスの姿は見えなくなった。

レン「…行っちゃったな。」

バクフーン「…。」

レン「何も泣かなくったっていいだろ。トゲキッスが無事飛び立って行ったんだぜ。良いことじゃないか。」

こらえきれなかったのか、バクフーンは足早に自分の寝床へ入ってしまった。

レン「まったくあいつは…こういうときだけションボリして…いつも俺に平手打ちをしてくる外道はどこへやら。」

レン「…あいつの好きな料理でも作ってやるか。」

そう思ってキッチンへ向かう。ふとテーブルを見ると、紙切れが置いてあった。

レン(トゲキッスが何か書いていったんかな?)

しかし、その紙にはガタガタのひらがなで、『れんへ』と書いてあるだけだった。

レン(トゲキッスってこんな下手くそな字だったか?ん、裏にも何かあるな。)

そうして裏面も読んでみた。これまたガタガタのひらがなで、



いつもありがとう



   ばくふーん



そう書いてあった。

レン(…ったく…いつもこんなんなら良いのに…。)
 ▼ 51 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/12/06 23:50:29 ID:LScYz4n6 NGネーム登録 NGID登録 報告
なあトゲキッス。

俺、お前と会えて良かったよ。

なんかお前と出会って、大切なことを思い出せた。

このままガラス細工を作る手伝いをするだけだと思ってたけど、本当はそうじゃなかった。

いつもレンが居てくれた。

なのに、俺はそんな簡単な事にも気づいてなかった。

…それを昔から知ってたとは、すげえよトゲキッス。やっぱり、お前は俺の師匠かもな。

俺はバクフーンだからお前と空を飛んだりは出来ない。でも、お前の旅路を祈ることは出来る。



ベストウィッシュ。良い旅を。
 ▼ 52 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/12/07 23:35:54 ID:18MQTa82 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
そのころトゲキッスは、雲の上を飛んでいた。

町に帰ったら、どうしよう。

…なんか僕が死んだことになってそうで怖いな…

ま、それは別にいいや。その後、無事だってわかってもらえれば。

でも、みんなを心配させたから、ヒロが怒ってたりして。

うん…ヒロはもうこの世にはいないんだよね…今でも少し信じられないや。

でも、思い出ならいくらでもある。

この世界で作った思い出、後でたっぷりヒロに聞かせてあげなくちゃ。



そんなことを考えながら、トゲキッスは飛びつづけた。
 ▼ 53 エネーワ!◆cfedtFj1t2 17/12/07 23:51:06 ID:18MQTa82 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
あなたは今、ポケモンを愛していますか?



あなたは今、ポケモンに愛されるような人ですか?



あなたとポケモンを繋いでいるものは何ですか?



欲望ですか?従属関係ですか?



それとも…



どこにいてもお互いを大切に想える、絆ですか?



あなたのポケモンは、あのトゲキッスのように、あなたを信頼してくれるでしょうか?



あなたとポケモンがそんなすばらしい関係であることを願って、この物語を送ります。



とあるトゲキッスの物語 〜完〜
 ▼ 54 ミツルギ@フォトアルバム 17/12/08 07:21:32 ID:wZ2wZ1jM NGネーム登録 NGID登録 報告
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