【クリスマスSS】 アルトマーレ・クリスマス:ポケモンBBS(掲示板) 【クリスマスSS】 アルトマーレ・クリスマス:ポケモンBBS

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【クリスマスSS】 アルトマーレ・クリスマス

 ▼ 1 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/20 23:30:00 ID:MaSn5he. NGネーム登録 NGID登録 報告

SS企画、クリスマスSS大会に参加しています。
http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=721326

途中ごく一部でR-18描写があります。


 ▼ 75 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/24 22:57:00 ID:sn45ZzK. [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告



先祖代々護って来たものがあって(秘密の庭のことは、当然話していない)、その一族の使命から、他人との干渉を自然と控えるようになってしまったこと。

そのせいで、アルトマーレに友達が居ないこと。昔は親しかった子とも、疎遠になってしまったこと。

当然、男の子との お付き合いも出来ないこと。

そんな私に、ぼっち とか根暗とか、悪口を言う子が居ること。


そんな子たちに、クリスマスに働いていることを笑われて。

恋人が居ないって、馬鹿にされて。

お客さんからは、理不尽なクレームを何件も受けて。

そうしたら、自分の不注意でミスをしてしまって、皆に迷惑をかけちゃって。


私は、アルトマーレに来てくれる人の役に立ちたい一心で、この仕事を引き受けたのに。

欠員が出てみんな困ってたから、クリスマスに予定の無い私が名乗り出たのに。

一生懸命頑張ってるのに、それが空回りしちゃって。


先祖代々の役目だから仕方ないって分かってるけど、こんなクリスマス、寂しすぎるよ……。

 ▼ 76 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/24 23:41:01 ID:sn45ZzK. [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告


 ハルカ 「……そっか。大変なんだね、カノン」

 モブミ 「先祖代々って……、お寺か何かかしら?」

 カノン 「えっと……はい。そんなところです」

 ハルカ 「でも辛いよね。そういう しきたりのせいで、友達が作れないって」

 カノン 「うん。……慣れっこなはずなんだけどね。でも、それでクリスマスに仕事してるのを馬鹿にされて……、私、なにやってるんだろうな、って」

 モブミ 「偉いじゃない、カノン」

 カノン 「えっ?」

 ハルカ 「うん。それに凄いかも。そういう使命があるのに、アルトマーレのために働くなんて、すっごく立派!」

 モブミ 「貴方を馬鹿にした子たちが おかしいのよ。フラフラ遊んでるだけの奴が、働いてる人間を馬鹿にするなんて許せないわ」

 カノン 「モブミさん……」

 モブミ 「良い? カノン、貴方は恥じるべきことなんて、何もしてないのよ。むしろ誇りに思って良いわ」

 ハルカ 「クリスマスって、友達や恋人と一緒に過ごすのが普通かもしれないけど、そのために働いてる人だって、いっぱい居るんだから」

 カノン 「そのために……働いてる……?」

 ハルカ 「レストランの店員さん。ホテルのスタッフさん。バスの運転手さん。それに、私たちだって」

 モブミ 「クリスマスイベントだから、当然 私たちも、クリスマスは潰れちゃうわね」

 ハルカ 「でもクリスマスに働いてる人って、気持ちは皆、同じはずだよ。“クリスマスを楽しんで貰いたい”ってね!」

 カノン 「あっ……」

 モブミ 「だからカノン。貴方は偉いのよ。まわりが遊んでる時に、こうやって誰かのために働いて。簡単に出来ることじゃないわ」

 ハルカ 「そうだよ。もっと自信を持って良いんだよ、カノン!」
 ▼ 77 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/24 23:41:40 ID:sn45ZzK. [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハルカちゃんとモブミさんの言葉が、優しく私の心を包み込んだ。

偉い――か。

沢山の人を楽しませたトップコーディネーターの2人に言われるなんて、なんだか くすぐったいな。

それに、働く自分が存在する意味が、何となく、分かった気がした。



そうだよね。

遊ぶためだけにクリスマスがある訳じゃない。

恋人同士で過ごすのがクリスマスの当たり前って、いったい誰が決めたって言うんだろう。



私は、クリスマスを楽しむ人のために、働いている。


皆がクリスマスを楽しめるのは、私たち、クリスマスに働いている存在の お陰。


私たちが居なかったら、クリスマスは回らない。皆が楽しむことは出来ないんだ。



当たり前のクリスマスとは違う、影で支える12月24日――。

こんなクリスマスの過ごし方も、たまには良いよね。
 ▼ 78 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/24 23:42:20 ID:sn45ZzK. [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 カノン 「……うん。ありがとう、ハルカちゃん。モブミさん」

 ハルカ 「ふふっ。やっぱりカノンは笑顔が似合うよ。可愛いんだからっ」

 カノン 「そうかなっ……えへへっ」

 モブミ 「良い顔じゃないの。その気持ち、忘れちゃダメよ?」

 カノン 「はいっ」


 モブミ 「なんだか……、カノンの気持ち、私、すっごい分かるわ。友達が居ない寂しさとか」

 カノン 「えっ……そうなんですか?」

 モブミ 「私ね、トップコーディネーターになるために、小さい頃から英才教育を受けてたのよ。ダンスとかピアノとか、弓道なんかもね」

 カノン 「凄い……。やっぱりプロになるって厳しいんですね」

 モブミ 「でも、犠牲も付き物よ。そういう習い事に集中したせいで、私は友達が出来なかった。作る時間が無かったのよ」

 カノン 「友達を……?」

 モブミ 「今だから言うけど、辛かったわよ。まわりの子たちは遊んでるのに、私は習い事ばっかりで。自分で選んだ道だけど、なんで自分だけ、こんなに苦労してるんだろうって」

 カノン 「本当に……私と同じなんですね」
 ▼ 79 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/24 23:43:01 ID:sn45ZzK. [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 モブミ 「えぇ。けど、その甲斐あって、こうやってトップコーディネーターを務めてるのよ。自信も実力も付けて、自分の手で掴み取った地位だからね」

 ハルカ 「ホウエンでモブミさんを知らない人、ほとんど居ないんだから」

 モブミ 「それは大袈裟よ。それに、犠牲は大きかった訳だし。ハルカにも、悪いこと しちゃったしね」

 ハルカ 「だーかーらー、その話は もう良いんですよっ! プロのモブミさんに認めて貰えて、私、嬉しかったんですから」

 モブミ 「……まったく、可愛い子ね、ハルカは」

 ハルカ 「えへへっ」

 モブミ 「だからカノン。先祖代々の使命とか、私は詳しいことは分からないけど、一生懸命それに突き進めば、悪いようには ならないわ。私が その証拠よ」

 カノン 「モブミさん……」

 モブミ 「友達が居ないなんて、もう二度と言わせないわよ」

 カノン 「えっ?」

 ハルカ 「ふふっ。私たち、もう友達でしょっ!?」

 カノン 「ぁっ……」

 モブミ 「貴方みたいな真面目で素直な人が、不幸になる訳が無いのよ。私は個人的に、今後も貴方と お付き合いしたいわ」

 ハルカ 「私もっ。カノン可愛いし、コンテストにデビューさせてあげたいなぁ」

 モブミ 「ダメよ。カノンには先祖から続く使命があるんだから」

 ハルカ 「あ、そうでした」

 カノン 「ふふっ……グスッ、もぉ……」
 ▼ 80 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/24 23:43:40 ID:sn45ZzK. [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
もぉ……、嬉しいよ、ハルカちゃん、モブミさん。

こんな私なのに……、こんな私を、評価してくれて。

こんな私と、友達になってくれて。

初対面なのに、こんなに私のこと、優しくしてくれて。


 カノン 「ありがとう、ハルカちゃん。モブミさん。ホントに、グスッ、本当にっ……」

 ハルカ 「泣いちゃダメっ。可愛い顔が台無しだよ?」

 モブミ 「純粋なのね、カノンって」

 カノン 「グスッ……、だって、嬉しいっ……。私っ、こんな気持ち、初めてで……」


泣いちゃダメなのに。

でも、涙が溢れて来る。きっとこれが、嬉し涙なんだな。


 カノン 「んっ……ふふっ」

 ハルカ 「良い笑顔だよ、カノン」

 モブミ 「お互い頑張りましょう。目指すものは違うけど、私たち、似た者同士なんだから」

 カノン 「はいっ。ふふふっ」


 ▼ 81 ノヤコマ@かがやくいし 17/12/25 00:39:09 ID:9.kmhB9E NGネーム登録 NGID登録 報告
すげぇ一気に更新来た
めちゃくちゃ嬉しい
 ▼ 82 カシャモ@ふしぎなおきもの 17/12/25 01:16:32 ID:jg9qOxEE NGネーム登録 NGID登録 報告
モブミってあれかめちゃくちゃゴミ扱いされた奴カ
 ▼ 83 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:30:01 ID:9.srXmis [1/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


  ― ピピピピピッ ピピピピピッ


 カノン 「ぁっ……と電話、もしもし?」

 ハルカ 「もう船の時間?」

 モブミ 「流石にまだ早いわよ」

 カノン 「えっ……はい、分かりました。失礼します」


 ハルカ 「どうしたの?」

 カノン 「えっと、ミナミダさんって方が、モブミさんに会いに来てるって……」

 モブミ 「お父さんが?」

 カノン 「お父さんだったんですね。言えば分かるって言ってたので。応接室で待ってるそうです」

 モブミ 「分かったわ。応接室って、さっき通ったあそこよね。ちょっと行ってくるわ」

 ハルカ 「ふふっ。ミナミダさん、あれからモブミさんのこと、過保護気味ですもんね」

 モブミ 「うるさいわよ」


そう言ってモブミさんは、控室から出て行った。

仕事場に会いに来てくれるなんて、良いお父さんだな。……それとも、ハルカちゃんの言うように過保護なのかな。
 ▼ 84 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:31:00 ID:9.srXmis [2/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


控室に残った、私とハルカちゃん。

するとハルカちゃんは、私を見て微笑むと、ゆっくり口を開いた。


 ハルカ 「ねぇカノン。モブミさんが、友達の居ないカノンの気持ちを分かったみたいに、私もね、カノンの気持ち、分かるんだ」

 カノン 「ハルカちゃんも?」

 ハルカ 「友達に関しては……ごめんね、いっぱい居るからアレなんだけど、男の子と お付き合い出来ないってこと、私、痛いほど分かるよ」

 カノン 「あっ……///」

 ハルカ 「彼氏が居ないって馬鹿にされたこととか、すっごい分かるよ、カノンの気持ち」

 カノン 「ハルカちゃんも……、男の人と お付き合い、出来ないの?」


それは、意外な告白だった。

ハルカちゃんみたいな可愛くて社交的な子、お付き合いしてる人が居ても おかしくないのに。


 ハルカ 「トップコーディネーターってね、なんて言うんだろう……、芸能人に近いものなのかな。だからね、異性との関係って、タブーなんだ」

 カノン 「あっ……そうなんだ」

 ハルカ 「たとえ普通の友達でも、男の人との関係は気を付けなさいって。所長からも厳しく言われてるの」

 カノン 「そうだよね。こんなに可愛くて人気があるんだもん。男の子と お付き合いなんて知られたら、どんな反応されちゃうか……」

 ハルカ 「ふふっ、ありがとう。 それでね、私、前に問題になっちゃったんだ」

 カノン 「問題に?」
 ▼ 85 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:32:21 ID:9.srXmis [3/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ハルカ 「私ね、トップコーディネーターになる前は、旅をしてたの。色んな街のコンテスト会場を巡って、グランドフェスティバルに出場するために」

 カノン 「うん」

 ハルカ 「そのとき一緒に旅してた男の子と、久しぶりに会ったんだけど……、その様子をね、写真に撮られて、ゴニョッターで拡散されちゃったんだ」

 カノン 「酷い。そんなことする人いるんだ……」

 ハルカ 「ゴニョッターは匿名だから、火付けの人は誰だか分からないけど……、それがニュースにまで なっちゃったの」

 カノン 「ニュースに!?」

 ハルカ 「うん。“トップコーディネーターに男の影が!?”とかタイトル付けられて。あの時は悲しかったなぁ」

 カノン 「そんな……」

 ハルカ 「スキャンダルの扱いだよ。所長からも、彼とは縁を切れって迫られて、本当に私、どうすればいいか分からなかったもん」

 カノン 「縁を切れって……。そんなの あんまりだよ。異性ってだけで そこまで……」

 ハルカ 「その人は大切な旅仲間なの。私のこと、何度も助けてくれた、バトル一筋で、純粋で、優しくて、……ちょっと鈍感で。縁を切るなんて有り得ない存在なの」

 カノン 「良いね、そう言う人って。それで、大丈夫だったの?」

 ハルカ 「うん。色々あったけど、最終的にね、デボン・コーポレーション社長のツワブキさんが、私たちは単なる友達で、純粋な関係だって、宣言してくれたんだ」

 カノン 「えっ……、なんだか凄い人が出てきたね」

 ハルカ 「えへっ、旅してる時に、会ったことがあるんだ」

 カノン 「そうなんだ」
 ▼ 86 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:34:05 ID:9.srXmis [4/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ハルカ 「そのお陰で、その人とは縁を切らなくて済んだの。ツワブキ社長には、感謝してもしきれないな」

 カノン 「シビアな世界なんだね、トップコーディネーターって。友達でも男の子なら縁を切れだなんて……」

 ハルカ 「全部が全部そうって訳じゃないけど、でも、やっぱり異性関係には厳しいかな」

 カノン 「そっか……」


 ハルカ 「……でもね、実は私、その彼のこと、ちょっと……気になってたんだ」

 カノン 「わぁっ……密かな恋?」

 ハルカ 「そのトラブルの時も、彼が私のこと守ってくれて、やっぱり格好良いなって。一緒に旅してた頃から成長して、すっごく素敵な男の子になってて」

 カノン 「ふ〜ん。そのこと、彼には……?」

 ハルカ 「勿論、伝えてないよ。伝えられないよ、やっぱり。トップコーディネーターって言う立場を考えたら」

 カノン 「あぁ……そうだよね、やっぱり」

 ハルカ 「……まぁ、その彼が超鈍感ってのもあるんだけどね」

 カノン 「鈍感なんだ」

 ハルカ 「好きな人に気持ちを伝えられない。恋人を作れない。……だから私もね、先祖代々のことで、男の子と お付き合いが出来ないカノンの気持ち、すっごく分かるよ」

 カノン 「うん……ふふっ。私たち、立場は違うけど、本当に似た者同士、なんだね」

 ハルカ 「えへへっ。そう言う意味でも頑張ろうね、カノン。もうカノンは、一人じゃないんだからさっ!」

 カノン 「うん! ありがとうハルカちゃん」

 ▼ 87 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:34:50 ID:9.srXmis [5/28] NGネーム登録 NGID登録 報告





  ― ピピピピピッ ピピピピピッ


 カノン 「電話だ……」

 ハルカ 「今度こそ船の時間みたいね。私、モブミさん呼んでくるね」

 カノン 「うん。……もしもし」




その電話は、やっぱり、ハルカちゃんとモブミさんが船着場へ移動する時間を知らせるものだった。


アルトマーレに訪れたトップコーディネーターは、まるで要人輸送のように、厳重な警戒の元、アルトマーレを去ることになる。



 ▼ 88 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:36:35 ID:9.srXmis [6/28] NGネーム登録 NGID登録 報告



 カノン 「それじゃあ、私は ここで お別れですね」

 ハルカ 「寂しいな。せっかく仲良くなれたのに、もう お別れなんて……」

 カノン 「私も寂しい。こうやって楽しく お話しできたの、本当に久しぶりだったから……」

 モブミ 「お別れは、次の出会いの招待券よ。大丈夫、また会えるし、貴方のこと、忘れないわ」

 ハルカ 「私も。カノンのこと忘れない。私たち、ずっと友達だからねっ」

 カノン 「うん。私もハルカちゃんとモブミさんのこと、絶対に忘れません。楽しかった今日のこと……グスッ、絶対に忘れないです……」

 モブミ 「ほら、泣かないの。可愛いんだから」

 ハルカ 「そうだよカノン。寂しいけど……グスッ、お別れに涙は似合わないんだから」

 カノン 「グスッ……ふふっ。ハルカちゃんだって」

 ハルカ 「……えへへっ」


 カノン 「あっ……これ、私から、ハルカちゃんとモブミさんに」


私は2人に、さっきまで描いていた絵を渡した。

細く丸めた画用紙を、ピンクのリボンで留めた、簡単なプレゼントだけど。


 ハルカ 「えっ……なになに!?」

 モブミ 「画用紙ってことは、絵画? カノンって絵を描くの?」

 カノン 「はい。私、絵を描くのが趣味なんです」

 ハルカ 「見ても良い?」

 カノン 「うん」
 ▼ 89 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:38:00 ID:9.srXmis [7/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハルカちゃんは、リボンを解いて画用紙を広げる。覗き込むモブミさん。

私の絵が広がったその瞬間、2人の顔がパァァっと明るくなった。


 ハルカ 「凄い凄い! これ、私のグレイシアとモブミさんのマニューラ!?」

 カノン 「うん。初めてコンテストを見て、とっても綺麗だったから」

 ハルカ 「凄い! ホントに凄いよカノン! こんな上手いポケモンのイラスト、私はじめて見たかも!」


控室での待機中に描いた、ハルカちゃんのグレイシアとモブミさんのマニューラ。


グレイシアは、大きく飛び跳ねて“れいとうビーム”している瞬間を。

マニューラは、モブミさんが編み出したって言う“つじぎりメロディ”(※)を、優雅に奏でている瞬間を。

私なりのアングルと色使いで表現してみた作品だ。







※ つじぎりメロディ

“つららおとし”でフィールドに発生させた氷柱を、“つじぎり”の爪で擦ることで音階を生み、メロディを奏でるコンテスト向けのワザ。モブミが考案。


 ▼ 90 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:39:40 ID:9.srXmis [8/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 モブミ 「本当、これ凄いわね。マニューラの“つじぎりメロディ”の様子、こんなに躍動感あって……。初めて見たのに、こんな上手な絵を描けるって……、カノン、もしかしてプ

ロの絵描きさん?」

 カノン 「そんなっ。ただ趣味で描いてるだけですよ。本当は、ちゃんと絵具で描きたかったんですけど、持って来てなくて……」

 ハルカ 「えっ……これ絵具じゃないの!?」

 カノン 「これ、水性のカラーペンなんだ。色味が少ないのは、そのせいなの」

 ハルカ 「色味って……そんな気にならないよ! って言うよりカラーペンで ここまで描けるって、ちょっと信じられないよ!」

 モブミ 「えぇ。これ……、カラーペンを絵具タッチで描いてるみたいだけど、言われないと気付かないわよ。私も絵には自信あるけど、貴方に勝てる自信は無いわ」

 カノン 「えへへっ……ありがとう、ハルカちゃん。モブミさん。これが私からの、精一杯の お礼です」

 ハルカ 「も〜カノンってば最高! 本当に ありがとう! 大切にするね!」

 モブミ 「これ、帰ったら額を用意して事務所に飾りましょうよ。こんな素敵な絵画、大切にしないとバチ当たるわよ」

 ハルカ 「はい! 目立つところに飾りましょうねっ」

 カノン 「そんな大袈裟ですよ〜」



良かった。

こんなに喜んで貰えるとは思わなかったな。


私を勇気付けてくれたハルカちゃんとモブミさんには、感謝してもしきれないもん。

そう言う時、私は感謝の気持ちを込めて、絵画を贈ることにしてるんだ。


あの時……、サトシ君にも贈ったもんね。
 ▼ 91 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:40:45 ID:9.srXmis [9/28] NGネーム登録 NGID登録 報告

 ハルカ 「それじゃあ……ホントのホントに、さよならだね」

 カノン 「うん。……もう泣かないよ? お別れは笑顔で、だよね?」

 ハルカ 「ふふっ……うん! カノンの笑顔、とっても素敵だよっ」

 カノン 「ありがとう。ハルカちゃんだって」

 ハルカ 「えへへっ」

 モブミ 「またアルトマーレ公演があったら、遊びに行かせて貰うわね」

 ハルカ 「うん。絶対行くからねっ」

 カノン 「はい。待ってますね、モブミさん。ハルカちゃん」


 モブミ 「それじゃあね。頑張るのよ、カノン!」

 ハルカ 「私たち、いつも応援してるからねっ!」

 カノン 「ありがとう……、本当にありがとう。ハルカちゃんとモブミさんも頑張って! 私、辛くなったら今日のこと思いだして……頑張ります!」



 ▼ 92 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:41:43 ID:9.srXmis [10/28] NGネーム登録 NGID登録 報告




マネージャーらしき人と警備員の人に連れられて、ハルカちゃんとモブミさんは、控室を後にした。


ここの仕事が無ければ、船着場まで お見送りしたかったけど、そう言う訳にも行かないよね、私の仕事なんだから。


私は、廊下を進む2人の姿が見えなくなるまで、手を振り続けた。

ハルカちゃんとモブミさんも、手を振り返してくれて。


こういう友達の関係って、本当に、いつ以来だろう。

とっても暖かい気持ちになれたよ、ハルカちゃん、モブミさん。

本当にありがとう、ハルカちゃん、モブミさん……。



 カノン 「……さてっ」


私は ずっと軽い気持ちになって、控室の片付けを始めた。

こうやって私が働くことで、皆のクリスマスを、楽しいモノにしてるんだもんね?




 ▼ 93 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:43:45 ID:9.srXmis [11/28] NGネーム登録 NGID登録 報告





18時を過ぎて、私のクリスマスの仕事は終わった。


ポケモンコンテスト特設ステージの応援スタッフ。

昨日は大忙しで、辛くて、寂しくて、挫けそうになっちゃったけど、今となっては、それも一つの経験だ。

そういう気持ちになれたのも、ハルカちゃんとモブミさんに出会えた お陰。

楽しく お話しできて、励まされて、支えられて……。私の心を、“かいふくのくすり”のように癒してくれた。



クリスマスの仕事する寂しい女の子?


ううん。

私は……、私も、ハルカちゃんも、モブミさんも、皆にクリスマスを楽しんで貰いたいから、仕事をしてたんだ。

私たちの頑張りで、皆を笑顔にする――、ねぇ、それって とっても素敵なことだよね?

一生懸命働いたこと、誇りに思って良いんだよね。


誰かに必要とされてるんだよね、私。
 ▼ 94 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:44:55 ID:9.srXmis [12/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
特設ステージの片付けやイベントの総括があるみたいだけど、まだ若い私は、そこまで残らないで良いってことになった。

お酒が入る打ち上げも あるみたいだから、どのみち私は残れない。

でも おじいさんは打ち上げに参加するから、帰りが遅くなるみたい。今夜は私だけだ。



 カノン (……そうだ)



私はショッピングモールに立ち寄って、ちょっと買い物をした。

こういう気持ちになれたのも、ハルカちゃんとモブミさんの お陰。2人に出会えて、本当に良かったな。







 カノン 「ただいまー!」

 ▼ 95 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:45:11 ID:9.srXmis [13/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


 ラティアス 「くぅぅ〜♪」


私は自分の部屋には入らないで、秘密の庭に足を運んだ。


声をかけるなり、ラティアスが嬉しそうに飛んでくる。

とっても良い笑顔。まるで、私の気持ちを読み取ってるみたい。


 カノン 「ただいまーラティアス。今日の仕事はね、とっても楽しかったんだよっ」

 ラティアス 「くぅう〜?」

 カノン 「素敵な友達も出来てね、私、すっごく幸せな気持ち。昨日の憂鬱さが嘘みたい」

 ラティアス 「くぅ!」

 カノン 「ふふっ。ごめんね、心配かけちゃったよね、ラティアス。でも私、もう大丈夫だから、安心して。……ラティオスもね」

 ラティアス 「くぅぅ〜くぅぅ〜♪」


私の笑顔を見て、ラティアスは嬉しそうに、宙を回転した。

噴水の“こころのしずく”も、少しだけ、輝きを増したような気がした。
 ▼ 96 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:46:02 ID:9.srXmis [14/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 カノン 「それでね。今日は おじいさん遅くなるみたいだから、夕ご飯、ここで食べようかと思って。ケーキ、買ってきちゃった」

 ラティアス 「くぅぅぅ♪」 キラキラ

 カノン 「ふふっ、ラティアス、ケーキ好きだもんね。一緒に食べよっ。今日はクリスマスだもんね。……みんなも一緒に食べよー!」


食事は大勢の方が楽しいって、私は経験済みだ。

庭に住んでいるウパーやヤンヤンマ、ナゾノクサやジグザグマといった野生ポケモンたちを私は呼び寄せた。




 カノン 「ふふつ。1人分は ちょっと小さくなっちゃうけど、ささやかなクリスマスパーティー、執り行いたいと思いますっ」

 ラティアス 「くぅぅぅぅ〜♪」

 野生たち 「「「 わぁぁぁぁぁぁぁ♪ 」」」


24日の夜だから、大きなクリスマスケーキ、半額になってたんだ。

そんな裏話は置いといて、私たちは、私たちだけのクリスマスパーティーを楽しんだ。

 ▼ 97 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:46:51 ID:9.srXmis [15/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
私、ひとりぼっちじゃないもん。

こんなに沢山、一緒に笑い合える友達が居て、一緒にパーティーを楽しめて。


私は これからも、先祖代々続いてきた使命――、秘密の庭を護り、この島を訪れるラティアスとラティオスを癒し、お世話する――、そんな重大な使命を、全うする。

それには、島の人たちとの深い干渉は やっぱり避けなきゃいけないから、ここで友達を作るのは、今まで通り、難しいかな。


でも、私には掛け替えのない仲間がいる。


ここに居る皆がそう。

元気いっぱいのラティアス。

私たちを見守ってくれている暖かい光、ラティオス。

私に勇気をくれた、ハルカちゃんとモブミさん。


私、もう寂しいなんて思わない。

私には私の使命がある。誰に何を言われたって、私はもう、迷わない。



私はもう、迷わないんだ!



 ▼ 98 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:47:12 ID:9.srXmis [16/28] NGネーム登録 NGID登録 報告







 ボンゴレ 「これカノン。朝じゃぞ」



 カノン 「う〜ん……ぇっ……あれっ、もう朝?」




12月25日。

カーテンの隙間から、朝日が優しく部屋を照らす。

ベッドから飛び起きた私は、普段より1時間も寝起きが遅いことに驚いた。
 ▼ 99 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:47:43 ID:9.srXmis [17/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ボンゴレ 「すまんのカノン。昨日は遅くなってしまって」

 カノン 「ううん。私も気にしないで先に寝ちゃったし……、あぁもぉ、なんで寝坊しちゃったんだろう!」



昨日の夜、私が眠るまでの間に、おじいさんは帰って来なかった。

きっと楽しい打ち上げだったんだろうけど、私だって、ラティアス達と楽しいパーティーをしたんだから、別に怒ったりは していない。

それより、寝坊なんて久しぶりだな。早く朝ごはんの準備しないと。



 ボンゴレ 「良いんじゃカノン。たまには ゆっくりしなさい」

 カノン 「でもっ」

 ボンゴレ 「それに……、メリークリスマス」

 カノン 「えっ……?」


突然おじいさんから飛び出した言葉に、私は一瞬驚いた。

でも、おじいさんが両手に抱えているラッピングされた箱を見て、理解することが出来た。
 ▼ 100 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:48:28 ID:9.srXmis [18/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 カノン 「それ……私に?」

 ボンゴレ 「あぁ。……ほれ」

 カノン 「わぁ……ありがとう」


プレゼントの箱を受け取った。

軽くは無いけど、重い訳でもない。30cm四方くらいの箱で、厚みは10cmちょっとかな。


若草色のラッピングを丁寧に剥がすと、顔を出したのは、黒いシックな箱。金色の帯を巻いて、そこに写る写真には、木箱と絵具がズラリ。


 カノン 「えっ……これって!」


箱を開けると、高級そうな木箱が。

そっと手に取り、鈍く光る真鍮の金具を開けば、油絵具が鮮やかなグラデーションを成して詰まっていた。

5号絵具が20色と、9号絵具が10色の計30色。

絵具が収まっている部分の下には引き出しがあって、そこにはペインティングメデュウムやオドレスホワイトスピリット、木製パレットに油ツボダブル、混色ガイドなど、絵画をサポー

トする品々が収納されていた。


 カノン 「これっ……、“ターレンス”の油絵具!?」


ターレンスの油絵具は、画材メーカーの中でも最高級品で、著名な画家さんも愛用している、素人には手が出しにくい品だ。

おじいさんからのプレゼント、木箱入りの30色で、しかも色んな物が付いてて……、これ、普通に買ったら5万円じゃ おさまらないはずだよ!
 ▼ 101 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:49:18 ID:9.srXmis [19/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ボンゴレ 「昨日、あの後な。KさんとLさんから聞いたんじゃ。イベント初日、カノンがミスしてしまったこと」

 カノン 「あっ……」

 ボンゴレ 「凄い混雑だったようじゃな。休む暇も無く観光客の対応で、あの状況なら、誰がミスしてもおかしくないと言っておった。むしろ、よくミスを1回で済ませたのぉ」

 カノン 「ううん。ミスはミス。私が ちゃんと確認していれば……」

 ボンゴレ 「実はな、昨日カノンの配置が変わったのは、館長さんの指示なんじゃ」

 カノン 「やっぱり……、ミスする人間に、受付は務まらないもんね……」

 ボンゴレ 「いいや違う。館長さんも、あの混雑は想定外だったらしい。あれだけ混むことが分かっていれば、カノンを受付に配置することは無かったそうじゃ」

 カノン 「えっ……と?」

 ボンゴレ 「つまりな、あの受付は、大聖堂の正社員が受け持つべき仕事だったと言うことじゃ。そこに素人のカノンが入ってしまったんじゃよ」

 カノン 「そうだったんだ」

 ボンゴレ 「しかしカノンは、1回ミスしたとは言え、受付の仕事を やり切った。正社員の仕事をじゃ。これは凄いことじゃぞ」

 カノン 「凄い……のかな。私、ただミスしないようにって、いっぱいいっぱいで……」

 ボンゴレ 「館長さんも、Kさんも、Lさんも、みな褒めておったぞ。流石カノンだと。ワシも鼻が高かったわ」

 カノン 「褒めてくれてたの……? みんな?」
 ▼ 102 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:50:28 ID:9.srXmis [20/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ボンゴレ 「そうじゃ。それに加えてカノン。昨日の仕事ぶり、コーディネーター事務所のPPPKから お褒めの電話を貰ったぞ」

 カノン 「PPPK……、ハルカちゃんとモブミさんのところ!」

 ボンゴレ 「あぁ。“うちのハルカとモブミがリラックスして最高の演技を出来たのは、カノンの丁寧な仕事の お陰。またアルトマーレ公演があれば、是非ともカノンを指名したい”

とな」

 カノン 「そんなぁ。私、自分で精一杯やってただけなのに」

 ボンゴレ 「とにかく、大聖堂の皆、カノンに感謝しておったぞ。昨日の打ち上げも、お前さんの話で持ちきりじゃ。本当にワシは、良い孫を持ったわい」

 カノン 「……えへへっ。大袈裟だよ、おじいさん」


そっか、みんな、私のこと褒めてくれてたんだ。

館長さん、怒ってなかったんだ。


なんだか心配して損しちゃったな。落ち込むと、まわりのことが どんどん暗いイメージになっちゃって、余計に憂鬱になっちゃって。

私、悪いほう悪いほうって考えちゃってたけど、全然大丈夫だったんだ。


良かった。

迷惑をかけちゃったのは事実だけど、落ち込むようなことでも無かったんだよね。

本当に、良かった……。
 ▼ 103 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:51:41 ID:9.srXmis [21/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ボンゴレ 「ほっほっほっ。とまぁ、その油絵具セットは、お礼を兼ねたクリスマスプレゼントじゃ。カノンが欲しいものは分からんから、ひとまず良さそうなものを買ってみたが…

…」

 カノン 「良さそうって言うか、これ最高級品だよ! こんなの買って貰っちゃうの、逆に申し訳ないよぉ」

 ボンゴレ 「気にするでない。普段からカノンには、色々 苦労をかけておるからな。我々一族の使命もあって、お世辞にも自由な生活が出来ているとは言えん」

 カノン 「そんなこと」

 ボンゴレ 「黙って受け取りなさい。こうでもして、ワシから お前さんに、感謝の気持ちを伝えさせておくれ」

 カノン 「おじいさん……」



おじいさんからの、感謝の気持ちか――。

先祖代々の使命のことで、おじいさんから感謝の言葉を聞いたの、もしかすると、これが初めてかもしれない。

おじいさん、私のこと、ちゃんと見ててくれたんだね。私のこと、気にかけてくれたんだね。私の気持ち、気付いてくれてたんだね……。



 カノン 「ありがとう。大切に使うね、この素敵な画材セット!」

 ボンゴレ 「あぁ。思いっきりカノンの趣味を楽しんでおいで」

 カノン 「うん!」

 ボンゴレ 「その前に、朝食にしよう。今日はワシが作るから、カノン、早く着替えて来なさい」

 カノン 「はーい!」
 ▼ 104 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:52:31 ID:9.srXmis [22/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
おじいさんは恥ずかしかったのか、足早に、1階のリビングへと下りて行った。

おじいさんの朝ごはん、久々だな。




 カノン (……ふふっ)


私は もう一度、プレゼントを じっくりと眺める。

木箱入りの、高級油絵具。いま私が使っている絵具とは、比べ物にならないほど高価なものだ。


……良いのかな、こんなに高級なもの、貰っちゃって。

おじいさん。私が欲しいもの分からないから、とりあえず高いもの買ったんじゃないかなぁ。


 カノン (まぁ……いいよね、たまには)


でもおじいさんは、普段からの お礼と言っていた。

なら素直に受け取ろうよ。

気を遣いすぎるのも逆に変だし、おじいさんからの気持ち、ちゃんと受け取らないとねっ。
 ▼ 105 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:53:10 ID:9.srXmis [23/28] NGネーム登録 NGID登録 報告



最初は憂鬱で仕方なかったクリスマス。


今は、最高のクリスマス。




皆の役に立てて。


大切な友達が出来て。


おじいさんから。館長さんから。Kさんから。Lさんから。ハルカちゃんから。モブミさんから。皆から感謝されて。




私の頑張り、皆が見ててくれたんだよね。


私の一生懸命、こうやって報われたんだよね。




本当に、最高のクリスマスだ。


 ▼ 106 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:54:29 ID:9.srXmis [24/28] NGネーム登録 NGID登録 報告




 カノン 「……あれっ?」


着替え終えて、ベッドを整えていると、枕元に、小さな箱が置いてあるのに気付いた。

10cmくらいの立方体で、飾り気のない茶色の箱だけど……。


 カノン (昨日は無かった……はず)


こんなものがベッドにあれば、すぐ気付くはずだ。

……今は起きがけで おじいさんに話しかけられたから、気付けなかったけど。



ひとまず私は、その箱を開けてみた。



 カノン 「わぁ……! これっ、アルトマーレグラスのペンダント!」


そこには、美しい水色のペンダントが入っていた。

シルバーのチェーンに続く、水色のガラスの球体。

それは正しくアルトマーレグラスの逸品で、アルトマーレの伝説として登場する“こころのしずく”をモチーフにしたものだった。
 ▼ 107 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:55:50 ID:9.srXmis [25/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 カノン (このペンダントって……)


そうだ。

先月……だったかな。マーケットで見つけて、すっごく気に入ったんだけど、贅沢しちゃダメだって思って、結局買わなかった。

でも、本当は すっごく欲しかったんだ、このペンダント。


それが……どうして?


 カノン 「……もぉ。おじいさんったら」


どうしてもなにも、私にプレゼントしてくれる人なんて、おじいさんしか居ないよね。

おじいさん、さっき私を起こす前に、このペンダントを、枕元に置いたんだ。

その後に私を起こして、油絵具をプレゼントしてくれて。


“私が欲しいものが分からない”って、それ、私をビックリさせるために言ったのね。

油絵具に加えて、私が本当に欲しかったものをプレゼントしてくれて……、もぉ、最高のサプライズだよ。




 カノン 「おじいさん! おじいさーん!」


私は早速ペンダントを付けて、おじいさんの待つリビングへと駆けて行った。


首元で揺れるペンダントは、朝の光を浴びて、美しく輝いた。


まるで、本当の“こころのしずく”のように――。






 ▼ 108 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:57:00 ID:9.srXmis [26/28] NGネーム登録 NGID登録 報告






 ラティアス <……ふふっ>


 ラティアス <カノン、喜んでくれて良かった♪>


 ラティアス <それはね、いつも頑張ってるカノンに、私からのプレゼント。こっそりカノンの様子を観察して、欲しいもの、リサーチしてたんだ>


 ラティアス <でも、私からのプレゼントって言うのは内緒だよ。これはサプライズなんだから。頑張ってるカノンに、サンタさんからのプレゼントなんだから♪>


 ラティアス <カノン。私だって、あなたの友達だよ。ずーっと一緒に、秘密の庭を、護っていこうねっ!>



 ラティアス <メリークリスマス、カノン!>



 ラティアス <メリークリスマス、アルトマーレ!>





     ――― 完 ―――


 ▼ 109 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:58:15 ID:9.srXmis [27/28] NGネーム登録 NGID登録 報告





これにて完結です。


クリスマスと言えば、恋人同士、友達同士、華やかなイメージですが、その影で働いている人が居るからこそ、皆が楽しめているんですよね。

そんな“影で働く存在”をテーマに、当SSを書いてみました。


これまでの ご支援、ご感想、ありがとうございました。


>>1もクリスマスは仕事でした。正月三が日も仕事ですリア充くたばれ
 ▼ 110 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/12/25 23:58:50 ID:9.srXmis [28/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


なおこのSSは、以下の2作品の続編となっています。

カノンの背景、ハルカとモブミの関係など描いてありますので、もしよろしければ ご覧くださいませ。



カノン 「さよならっ……」
http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=58149

サトシ「ハルカを助けに行ってくる!」
http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=50724

 ▼ 111 マガル@ミュウツナイトX 17/12/26 08:19:54 ID:mTosN5D. NGネーム登録 NGID登録 報告
少しサトカノ期待してましたww
今度、機会あればよろしくお願いします
 ▼ 112 レディア@はかせのてがみ 17/12/26 12:10:32 ID:rhpi0aSo NGネーム登録 NGID登録 m 報告
乙です
 ▼ 113 ガアブソル@トロピカルメール 17/12/26 18:22:03 ID:udPbJjfk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
乙!
 ▼ 114 ルマイン@サファイア 18/01/06 01:10:39 ID:K/Q0CpWM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
良かったよ
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