ククイ「新たなクラスメートが入ってくるぞ！」

始めます

はいZリング破壊

オーカサスくる？

ピラミッドホーーーーン！！l

ライ「汚い学k…転校生のライです よろしくね」

ククイ「みんな！座れー！！」ｽﾀｽﾀ

サトシマオリーリエスイレンカキマーマネ「はーい！」

ククイ「今日、新たなクラスメートが入ってくるぞ！」

サトシ「えっ、マジかよ！」

マオ「サトシ以来じゃない！」

リーリエ「どんな方なのでしょうか？」

カキ「どんなポケモンを持ってるんだろうな？」

スイレン「怖かったらやだな」

マーマネ「電気仲間欲しい」

ロトム「どんな転校生ロト？」

ククイ「じゃあ入ってくれ！」

ｽﾀｽﾀ

「……」

サトシマオリーリエスイレンカキマーマネ「……」

ククイ「こいつがこのクラスに加わる新たなクラスメート…」

ククイ「名前は？」

シンリ「シンリだ」

サトシマオリーリエスイレンカキマーマネ「……」

シンリ「……」ｼﾞｨ

カキ「…？」

ククイ「どうしたシンリ？」

シンリ「いえ、なんでもないです」

ククイ「そうか、みんな仲良くするんだぞ！シンリの席はサトシ…えっと赤色の帽子を被ってるやつの隣だ」

シンリ「分かりました」ｽﾀｽﾀ

サトシマオリーリエスイレンカキマーマネ「……」

シンリ「……」ｽﾄﾝｯ

ククイ「…シンリも座ったという事で、10分後に授業だからそれまでに準備しとけよ！」

シンリ「……」

マーマネ「ねぇ？なんか、転校生絡みにくくない？」　

マオ「う、うん……なんかそうだね」

リーリエ「そんなこと言っちゃいけませんよ、サトシとは真逆の落ち着いた感じで良い人かもしれませんよ？」

スイレン「そうかな……」

カキ「ポケモンは持ってるのか……？」

ロトム「良い人50%、悪い人50%ロト！」

サトシ「よぉシンリ！」

マオリーリエスイレンカキマーマネロトム「サトシっ！？」

シンリ「……」

サトシ「オレ、サトシ！俺もカントーからの転校生でさ、ここに来てからまだそんなに経ってないからアローラのことについてあまり詳しくないけど、同じ転校生同士宜しくな！」

シンリ「そうなんだ、よろしくサトシくん」

サトシ「ああ！」

リーリエ「ほら、良い人でしょ？」

マオ「本当だぁ！」

スイレン「クールなんだね」

マーマネ「なぁんだ、不安になって損したよ」

カキ「シンリ！俺はカキだ、よろしくな！」

シンリ「よろしくカキ君」

マオ「私マオ！料理が得意なんだよ！今度食べさせてあげるね！」

リーリエ「リーリエです、趣味は読書です」

スイレン「スイレンです、釣りが好きなんだ」

マーマネ「君、電気に興味ない！？」

ロトム「君は一体どんな性格ロト？成績は？ポケモンは？住んでるところは？」ｸﾞｲｸﾞｲｯ

みんな「ロトム、邪魔！」

ロトム「ギエェェェ！」

シンリ「みんなよろしく(汗)」

ククイ「授業を始めるぞ！おっ、早速みんな、シンリと仲良くなったようだな！」

サトシマオリーリエスイレンカキマーマネ「はーい！」

ククイ「さて、1限は算数をやるぞ！えーと、今日は距離の問題だな！」

ククイ「教科書P53ページだ。ケンゴくんは時速5kmで10km歩きました。さて何分かかったでしょうか？……という問題だが、サトシわかるか？」

サトシ「えっ俺？う、う〜ん……1分？」

マオリーリエスイレンカキマーマネロトム「www」

サトシ「な、何だよ？何で笑うんだよ！」

マオ「1分で10kmも歩けるわけないでしょwwwひー、お腹痛いwww」

リーリエ「そーですよ、時速5kmの意味が無くなるじゃないですか」

ククイ「じゃあ、シンリ分かるか？」

シンリ「120分です」

サトシマオリーリエスイレンカキマーマネククイロトム「……」

ククイ「あっ、正解だ。よく分かったなシンリ！」

シンリ「どうも」

スイレン「答え方もクールなんだね」

リーリエ「やりますね、シンリ」

マーマネ「僕も分かってたけどね！」

カキ「えっ……3分じゃないのか？」ｶﾞｰﾝ

マオ「カキがサトシの失態を笑う権利はないよ」

マオ「で、シンリって勉強できるんだ？」

シンリ「さぁどうかな？」

マオ「謙遜しなくていいよ！」

ククイ「マーオ！次の問題答えてみろ」

マオ「ええー！」ﾁﾗｯ

シンリ「……」外の方を見てる

マオ「……」

リーリエ「シンリ、ちょっといいですか？」

シンリ「何？」

リーリエ「シンリってすごいですね！国語や算数の授業で、当てられた質問をすべて数秒以内に答えるんですから！普段、どんな勉強をしているのですか？」

ロトム「特に、算数の最後の問題は難しかったロトよ？どうしてわかったロト？」

シンリ「別に…普通に考えたらわかる問題だし」

マオ「でも、授業中よそ見しちゃだめだよ？」

リーリエ「マオ？」

マオ「いやシンリね、授業中外ばかり見てるのよ」

シンリ「…俺、外を眺めるのが好きだから」

マオ「でもダメだよ？授業中はちゃんとククイ先生の話を聞かないとっ！！」

リーリエ「まぁまぁ、別にシンリは悪いことをしているわけではありませんし」

カキ「シンリのお母さんか、お前は」

シンリ「…分かったよ」

スイレン「クールなんだね」

マーマネ「スイレン、さっきからクールしか言ってなくない？」

サトシ「そーだシンリ！お前、ポケモン持ってるんだろ！？」

シンリ「あ、あぁ…持っているけど？」

サトシ「だったら、ちょうど休み時間だしバトルしようぜ！」

カキ「おっそれはいいな！俺も混ぜてくれ」

ロトム「シンリのポケモンをずっと知りたかったロト！」

サトシ「いいぜ！シンリもどうだ！？」

シンリ「……まぁ、親交を深めるために良い機会なのかもね。いいよ」

サトシ「よっしゃ！じゃあ早速グラウンドへ行こうぜ！」

カキ「おおっ！俺のZ技でまたボコボコにしてやるぜ！」

シンリ「！！」ﾋﾟｸｯ

シンリ「……」

サトシ「シンリ？どうした、さっさと行こうぜ」

シンリ「君たち、ひょっとしてZ技継承者……なのかな？」

サトシカキ「……ああ、そうだけど？」

サトシ「お前、Z技を知っているのか！？」

シンリ「俺はアローラ出身ではないけど、Z技を使うトレーナーと対峙したことあるよ」

サトシ「ってことは、お前もまさかZ技継承者な」

シンリ「んなわけないでしょ」

サトシカキ「！！」

シンリ「そうかそうか……Z技ね……フフ、フフフ……ハハハハハ！！」ｹﾞﾗｹﾞﾗ

カキ「な、何がおかしいっ！！」

シンリ「まさかこの学校にもZ技継承者がいるとは……Z技っていうのはここにいる人達にも譲渡されるようなものなんだね」

カキ「な、何を言っていやがる……」ｷﾞﾘｯ

シンリ「いやぁ失敬失敬、当時Z技継承者と対峙したって言ったでしょ？」

サトシマオリーリエスイレンカキマーマネロトム「……」

シンリ「ガラクタリングつけてガラクタな宝石をポケモンに持たせて、変な動きと糞ダサいネーミングから繰り出されたが、何が起こったか不明なまま、叩きのめしてやったよ」

シンリ「それで分かったんだよね…Z技を使ってる奴は、自分は周りよりも特別人間であることを盲信して、Z技に依存しなきゃ結果も残せない、実際実力もない弱い奴だってことをなっ！！」

サトシ「お前っ！！」

ロトム「クズ過ぎるロト！」

マオ「シンリがそんなやつだったなんて……」

リーリエ「許せません……」

スイレン「あの人、全然クールじゃない……」

マーマネ「言い過ぎだぞお前っ！！」

カキ「貴様っ…Z技を愚弄するのか……？」

シンリ「ん？」

カキ「Z技はアローラの各島を巡り、厳しい試練を乗り越え、伝授できる者は滅多にいない神聖な技だっ！それにはポケモンとの絆も試され、ポーズも技もポケモンに思いを伝えるのに大切な儀式なんだっ！Z技に必要なZリングやZクリスタルも希少なものなんだ！それを侮辱した貴様を俺は許さないっ！！」

サトシ「カキ……」

シンリ「そんなの聞き飽きたよ。どいつもこいつも君のようなことばかり言う。反論なんかに時間を使う暇があるなら、大人しくZ技のおままごとでもしときなよっ！ハハハッ！！」

カキ「もう我慢できねぇ……俺とバトルしやがれ！Z技の本当の力ってのを見せてやるっ！！」

シンリ「はぁ？なんで君みたいなZ技に頼るやつなんかとバトルしなきゃいけないんだよ？どうせあいつらの二の舞になるだけだ、結果がみえてるのにやる意味ないよ」

カキ「ただとは言わない、もし俺がお前に負けたらZリングとZクリスタルをお前にくれてやるよ」

サトシマオリーリエスイレンマーマネロトム「！！」

シンリ「へぇ？」

サトシ「カキ！そこまでしなくてもいいだろっ！」

カキ「いや、そこまでの覚悟を見せないとあいつは応じない」

シンリ「ふーん、その覚悟気に入ったよ。でも、くれてやるってことは自由に扱っていいってことだよね？」

カキ「ああそうだ！」

シンリ「だったら、もし君が負けたら、俺はそれらを壊すかもよ？」

カキ「！！」

サトシマオリーリエスイレンマーマネロトム「なっ！！」

カキ「…ああ、俺が負けたらZリングとZクリスタルを壊されたのと同然……自由に扱ったらいい」

サトシマオリーリエスイレンマーマネロトム「カキっ！？」

シンリ「……」

カキ「だが、俺は負けるわけがない。何故なら、寝る間も惜しむことなくバクガメスとZ技の特訓に捧げてきたからだっ！」

シンリ「…いいね、その条件ならやってやるよ。俺が負けたらZ技を侮辱したことを謝罪してやるよ」

ククイ「よしっ、みんな理科の準備はできて……ってあれ？みんなどこだ？」ｷｮﾛｷｮﾛ

ククイ「あっ！あいつらグラウンドにいやがる！おいお前ら、教室に戻れ！！」

リーリエ「あっ、ククイ先生！すみません、今それどころじゃないんですっ！」

ククイ「ど、どういうことだっ！？」

リーリエ「唐突ですが、カキとシンリがバトルすることになりました！理由はカクカクシカジカマルマインですっ！」

ククイ「何っ？シンリがZ技を侮辱してカキが憤怒し、バトルの展開になっただと！？今すぐ俺もそっちへ行く！！」ﾀﾞｯ

スイレンマーマネ(なんで、カクカクシカジカマルマインで内容把握できたんだろう？)

ククイ「おいお前ら！何を勝手にバトル始めようとしてるんだ！やめろ！！」

カキ「すみませんククイ先生、授業を潰してしまう形になりますが、俺はZ技を馬鹿にしたあいつを許せない」

ククイ「カキ……」

ククイ「っていうかシンリ！なんでお前はカキを怒らせるようなことを言うんだっ！」

シンリ「別に良いでしょう？事実なんですから」

ククイ「シンリ、お前な……」

マオ「ククイ先生、もういいからっ！邪魔しないでっ！！」ｸﾞｲｯ

ククイ「お、おいマオ！引っ張るなって！白衣が破れるから……」ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞ

ククイ「ったく、何だってんだ……」

マオ「私ね……」

ククイ「…！」

マオ「Z技の試練を受けたことないし、使ったこともないから偉そうにシンリを説教するなんてことはできない。でもカキはアローラの島々を巡って、厳しい試練にも突破してやっとの思いでZ技を手に入れたことを誰よりも知ってる。なのに、シンリはカキの努力をいとも簡単に踏みにじった……私はシンリを絶対許せない」

ククイ「マオ……」

サトシ「俺も同じだぜマオ」

マオ「サトシ？」

サトシ「俺も最初は、試練を受けずにカプ・コケコに譲り受けただけだから、Z技なんてただのバトル強化アイテムだと思ってた。でも俺とZ技を使うピカチュウやモクロー、ルガルガンとハラさん、そしてカキにZ技の素晴らしさってのを教えてもらった。Z技はポケモンとの絆がいかに重要であることを教えてくれる素晴らしいものなんだ！」

ククイ(……そうだな、サトシ)

サトシ「大丈夫だマオ！カキはZ技を馬鹿にするあいつなんかに絶対負けねぇ！あいつがZ技を習得した後も努力し続けているのは、何よりも俺たちが知ってるじゃねぇか！」

マオ「…うん、そうだね！カキ、頑張って！！」

サトシ「カキ、その生意気転校生をフルボッコにしてやれ！！」

リーリエスイレンマーマネ「カキ、ファイトぉぉぉ！！」

ロトム「絶対勝つロト！」

ククイ(…カキ、お前のZ技の努力をちゃんとみんなは知っているようだ。もう俺からは何も言いはしないよ、お前のZ技でシンリをコテンパンにしてやれ！)



「……」

ククイ「このバトル、俺が審判を務める。バトル形式は1対1、それでいいな2人とも！」

カキ「はい！」

シンリ「……」

カキ「行くぞバクガメス！！」ﾎﾞﾑｯ

バクガメス「ガメェ！！」

シンリ「…へぇ、そいつがさっき言っていたバクガメスなのか。初めて見るなぁ」

カキ「バクガメスを知らないのか？」

シンリ「俺はアローラ出身じゃないって言ったでしょ？知らないよ、そんなポケモン。まぁ別にいいよ、どっちにしろ“公平だと思う”し」

カキ「どういうことだ？」

シンリ「いけっ、オーカサス！」ﾎﾞﾑｯ


オーカサス「カサァァァァス！！」ﾄﾞﾝｯ


サトシマオリーリエスイレンカキマーマネククイロトム「！！」

ロトム「見たことないポケモンロト！検索したところ、ヒットしないロト！」

スイレン「何、あのポケモン……見たことない」

リーリエ「全長だとバクガメスぐらいありそうです。頭に長く伸びた鋭利な角が4つと、その真ん中に透き通った黄色の四錐体の角がありますね。どういう戦い方をしてくるのでしょうか？」

マーマネ「なんかところどころトゲが生えてるね？羽っぽいのあるけど、格納しているのかな？」

マオ「ねぇ、せこくない？私たち、あんなポケモン見たことないし、全然フェアじゃないよね？」

リーリエ「いえ、そうでもありません。シンリもバクガメスは知らないとおっしゃってましたし、お互いのポケモンのタイプや技、特徴を探りながら戦うことになるでしょうね……」

ククイ(俺も長年博士をやっているが、あんなポケモンを見たことがない。しかし、あのポケモンに似ているな…気のせいか？)

サトシ「おいシンリ！もしかして、そいつヘラクロスの進化形かなんかじゃないのか！？」

マオリーリエスイレンカキマーマネククイロトム「！！」

マーマネ「本当だ！でっかくなっているし、トゲトゲしててごつくなっているけど、ヘラクロスと似たような体形してるよ！」

リーリエ「本当です……サトシ、よく気が付きましたね」

サトシ「俺、ヘラクロス持っているから一瞬で気づいたよ」

シンリ「へぇ、みんなヘラクロス知っているんだ？そうだよ、このポケモンはヘラクロスの進化形だよ」

ククイ「やっぱりそうなのかっ！」

マオ「ヘラクロスの進化形って、見たことないよ」

スイレン「私も…」

ロトム「ヘラクロスの進化形！？メガ進化とは別の進化経路があることを聞いたことがないロト！」

カキ「オーカサスか……ヘラクロスの進化形がいるとはな、知らなかった」

カキ(だとすれば、オーカサスのタイプは大体想像がつく！)

シンリ「やっぱり？だったらフェアだね。お互い見たことない者同士、Z技以上に楽しいバトルになりそうだよ」


カキ「先生、さっさと始めましょう！」

ククイ「あっ、そうだな！準備はいいな？それじゃ、バトル開始っ！！」



カキ&バクガメスVSシンリ&オーカサス

カキ「先手必勝だ！バクガメス、火炎放射！！」

バクガメス「ガメェェェ！」ﾎﾞｫｫｫｫ

シンリ「オーカサス、いわなだれで相殺しろ！」

カキ「！」

オーカサス「カサァァァス！」ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

カキ「いわなだれ…なるほど、きちんと対策しているんだな」

シンリ「どうも」

シンリ(いきなり火炎放射か……ヘラクロスの進化形と聞いて炎を使ってきたという事は、炎タイプの可能性が高いな。一致技は威力が上がるから、その線が妥当だろう……)

カキ「どうした？仕掛けてこないのか！？」

シンリ「おっ、仕掛けていいんだ？だったらお言葉に甘えて……ピラミッドホーン！！」

カキ「！！」

オーカサス「カサァァァァス！！」ｽﾞｽﾞｽﾞ……

マオ「あれ、撃ってこない？」

マーマネ「は、はったりだよ！ピラミッドホーンなんて聞いたこともないし、嘘つくんじゃないよ、シンリ！」

スイレン「なーんだ、そっかぁ！」

カキ「避けろバクガメス！！」

バクガメス「ガメッ！！」ｽｯ


ｽﾞﾄﾞｫｫｫｫﾝ!!


バクガメス「…ガメ……」

スイレン「何、今の……マーマネ、嘘ついたの？」

マーマネ「ええっ！？いや、僕も知らなかったんだよ！！」

カキ(…かろうじて避けられたが、なんて威力だ……)

シンリ「へぇ、初見にしてはよく回避できたもんだ」

カキ「その真ん中の角からエネルギーを溜めて、エネルギー弾を発射する仕組みのようだな」

シンリ「まぁね、頭冴えてるじゃないか」

リーリエ「よく冷静に対応しました、その調子ですカキ！」

ロトム「カキはサトシと違って、ちゃんと考えて戦うロト！」

サトシ「えっ！？(そうだっけ？)」

カキ「バクガメスいけるか！？」

バクガメス「ガメッ！」

カキ「よしっ、いけっりゅうのはどう！！」

バクガメス「ガメェェェ！」ｽﾞﾘｭｳｳｳｳ

シンリ「岩雪崩でエネルギーを分散しろ！」

オーカサス「カサァス！」ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

カキ「ちっ、塞がれたか」

シンリ「休む暇は与えないよ！岩雪崩だ！」

オーカサス「カサァス！」ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

カキ「また岩雪崩！？避けろバクガメス！！」

シンリ「遅い！」

バクガメス「ガメェ……」ｽﾞｻｧｧｧ

カキ「バクガメス、大丈夫か！？防御が高くて助かった……」

シンリ「ふむ……そのポケモンはほのお・ドラゴンかな？」

カキ「む？」

シンリ「【りゅうのはどう】はドラゴンタイプの技だ。ポケモンのタイプがドラゴンでない限りドラゴン技を覚えさせることはそうそうない。それに、岩雪崩が思った以上に効いていたし、最初に火炎放射を使用したところから、ほのお・ドラゴンタイプじゃないかなって」

カキ「さぁな？例え合っていたとしても俺は何も答えない。せいぜい、お前のその賢い頭でバクガメスのタイプを探り続けて、勝手に確信しときな」

シンリ「……」

カキ(まずいな…たったこれだけの攻防でバクガメスのタイプが特定されてしまった、まだ探っている段階だろうが、おそらくあいつはほのお・ドラゴンと認識して攻撃を仕掛けてくるだろう)

カキ(しかし、こっちはオーカサスのタイプがわからん。さっきから岩雪崩を連発していたし、虫格闘ではなく岩タイプなのか…？しかし、今のところ岩雪崩と聞いたことも見たこともないピラミッドホーンしか確認できていない。せめてピラミッドホーンのタイプを知ることができれば大きな手掛かりになりえるだろうが……)


ククイ(お互いの知らないポケモンを探り、そして読み合い、こりゃとんでもないバトルだな……)

マオ「すごいねカキ！あんな見たことないポケモンと渡り合ってるよ！」

サトシ「いや、シンリもすごい。こんな短いバトルでバクガメスのタイプを当てやがった……」

マオ「ちょっとサトシ！なんでシンリのことを褒めてるのよ！」

サトシ「あっ、いや、2人のバトルが凄くてつい……」

カキ「ちっ、考えてもいても埒が明かねぇ！バクガメス、勝負をつけるぞ！殻を破る！！」

シンリ「殻を破る……？」

カキ「続けて火炎放射！！」

シンリ「火炎放射なんて通用しないよ！いわなだれ！！」

バクガメス「ガメェェェ！」ﾎﾞｫｫｫｫ

オーカサス「カサァァァァス！！」ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ


ﾄﾞｶｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧﾝ!!


オーカサス「カサァァァァス！」ｽﾞｻｧｧｧ

シンリ「なっ！威力が上がった！？」

マオ「よしっ、やっとダメージを食らった！」

リーリエ「殻を破るは、攻撃と特攻、素早さを上げます！シンリはその技をご存じなかったようなので上手くダメージを与えられましたね！」

サトシ「その調子だ、カキ！」

カキ「休ませねぇぞ！バクガメス、走れ！」

バクガメス「ガメッ！」ｼｭﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞ

シンリ(さっきよりも素早さが上がってるだと？なるほど、殻を破るは自分の能力を上げる技か)

カキ「りゅうのはどう！」

バクガメス「ガメェェェ！」ｽﾞﾘｭｳｳｳｳ

シンリ「りゅうじんづきだ！！」


ﾊﾞｧﾝ！


サトシマオリーリエスイレンマーマネククイロトム「えっ！？」

カキ「なっ…りゅうじんづき……？」

シンリ「バクガメスが“接触可能領域”にいるぞ！りゅうじんづきだ！！」

カキ「…はっ！避けろバクガメス！！」

バクガメス「ガメッ！」ｼｭﾊﾞｯ

オーカサス「カサァァァス！」ﾄﾞｩﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙ

バクガメス「ガメェェェェェェェェェェ！」ﾄﾞｶｧｧｧｧﾝ

カキ「バクガメスっ！？」

バクガメス「ｶﾞﾊｯ…ガメッ……」ﾖﾛﾖﾛ

カキ「バクガメス…大丈夫か……？」

シンリ「なるほどね、殻を破るは速攻可能になる代わりに防御面が脆くなる技か。防御の高いバクガメスがここまでダメージが入るのは想定外だったよ」

スイレン「カキが…押されてる……？」

リーリエ「これは絶体絶命ですね……」

ロトム「どうするロト！？」

カキ(や、やばい……知らないポケモンを持つ同士のバトルで、こんなに追い詰められるとは……はっきりわかる、強い……)

サトシ「カキ、諦めるな！」

カキ「！」ｸﾙｯ

サトシ「まだバクガメスは倒れてないぞ！勝手に戦意喪失するんじゃねぇ！」

マーマネ「そうだよ！まだいけるよ！」

マオ「頑張って！」

カキ「……ああ！」

シンリ「まだ続けるつもり？」

カキ「ああ…バクガメスはまだ倒れていない、勝手に俺だけが瀕死になるわけにはいかないだろ？」

シンリ「……オーカサス、岩雪崩」

オーカサス「カサァス！」ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

カキ「バクガメス、火炎放射だ！！」

バクガメス「ガメェェェ！」ﾎﾞｫｫｫｫ


ﾄﾞｶｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧｧﾝ！！


ククイ「うおっ！！」

サトシマオリーリエスイレンマーマネロトム「くっ！！」

シンリ「くっ、砂埃が邪魔だな」


ｷｨｨｨｨｨｨｨｨﾝ…!


シンリ「ん？」


カキ「行くぞ、バクガメス……！」

バクガメス「ガメッ！！」


シンリ(砂埃でよく見えないが、あれはもしや……！)



カキ「ウオオオオオオオオオオオオ！！」
バクガメス「ガメエエエエエエエエエエエエエエ！！」



シンリ「オーカサス…」ﾎﾞｿｯ

オーカサス「……」ｺｸｯ

リーリエ「カキがZ技を使います！」

マーマネ「カキがZ技を使ったら、シンリは敵いっこないよ！」

スイレン「…勝った！」

サトシ「いけカキ！お前とバクガメスの最大級のZ技をぶつけてやれ！！」

マオ「いけえええカキっ！あんなやつぶっ飛ばしてやれ！！」

ロトム「カキとバクガメスのZ技でオーカサスを倒せる確率…100%ロト！」
＞
カキ「ダイナミックフルフレイム！！」

バクガメス「ガメエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ！！」

シンリ「今だ！」

サトシマオリーリエスイレンカキマーマネククイロトム「！！」

オーカサス「カサァス！！」ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

カキ「岩雪崩か！それくらいでダイナミックフルフレイムは破られ…」

シンリ「知ってるさ」

カキ「…え？」

シンリ「続いてりゅうじんづきだ！！」

オーカサス「カサァァァス！！」ﾄﾞｩﾙﾙﾙﾙﾙ

カキ「…それでもZ技、ダイナミックフルフレイムが破られるわけがないだろうがぁぁぁ！！」

バクガメス「ガメェェェ！！」

オーカサス「……」

シンリ「……」


ﾄﾞｶｧｧｧｧｧｧｧｧﾝ!!

オーカサス「　」

シンリ「……」

カキ「フッ…」

バクガメス「ガメッ！」ｾﾞｪｾﾞｪ

マオ「…や、やったぁ！オーカサスにダイナミックフルフレイムが炸裂したよ！」

リーリエ「これは倒せましたね！」

スイレン「うんっ！」

マーマネ「流石、カキだよ！」

ククイ「よしっ！」

ロトム「やっぱりZ技は強いロト！」

サトシ「すげぇ……カキのやつ、また強くなっているじゃねぇか……」

カキ「やったな、バクガメス！」

バクガメス「ガメッ！」ｾﾞｪｾﾞｪ

マオ「これはシンリの負けだね！ほら、シンリ！カキに謝罪しなよ？」

シンリ「……」

ククイ「オーカサス、戦闘不能！よって、勝者カ」

シンリ「オーカサス、よく耐えたな」

オーカサス「カサァス！」ﾑｸﾘ

サトシマオリーリエスイレンマーマネカキククイロトム「！！」

カキ「な、なんだと……」

シンリ「いやぁ、殻を破るからZ技、ダイナミックフルフレイムは流石にやばかった」

カキ「な、なんで耐えているんだ…なぜ立てるんだ……」

シンリ「んー？カキ君、さっきのいわなだれとりゅうじんづきを突破したと思っているの？」

カキ「どういうことだ！？お前も見ていただろ！ちゃんと突破……ま、まさか……」

ククイ「そ、そういうことか……」

カキ「バ、バクガメスっ！……」ﾀﾀｯ

バクガメス「　」

カキ「…俺たちが…負けた……」

シンリ「だから言ったでしょ？結果が見えてるって。Z技という強力な技があれば、初対面の相手でも打ち勝てると思い上がっていたようだけど、そこが君たちのZ技継承者の悪いところだ」

シンリ「どんなバトルにおいても、ポケモンのことを知り尽くしてなければ勝てるバトルも勝てないんだよ！」

カキ「！」

マオ「ちょっと待って！」

カキ「マオ……？」

マオ「おかしいよ！なんでオーカサスが立ってられるの！？まともに食らっていたじゃない！」

シンリ「確かに。殻を破るからのZ技だから、この作戦が成功するかどうか不安はあったが、上手くいってよかった。もし失敗したら負けていた」

ククイ「岩雪崩からのりゅうじんづき、恐らくいわなだれとりゅうじんづきでダイナミックフルフレイムの威力を低減させようと、あのときに思いついたんだな？」

シンリ「ええ、しかしよく気づきましたね」

リーリエ「どういうことですか博士？」

ククイ「ああ、シンリな、カキがダイナミックフルフレイムを撃つ前にオーカサスに何か指示していたんだよ。シンリはダイナミックフルフレイムを破ろうとしたんじゃない、できる限り威力を下げて耐えようとしたんだ。それにダイナミックフルフレイムを撃つ前にバクガメスは瀕死寸前だったし、本来の威力を撃つことができないことも考慮して耐えきる可能性は高いとそう瞬時に判断したんだろう」

マオ「そ、そんな…それでも納得いかないっ！絶対何か不正したんだよ！非正規アイテムか何かで攻撃力を上げたのよ！」

シンリ「来ると思ったよ、その疑問。生憎だけど、俺はカキ君みたいにアイテムに頼るバトルプレイは好まないんでね。それでも疑うなら、どうぞオーカサスから探してみなよ」

オーカサス「カサァァァス！」

マオ「くっ…シンリっ！」

ククイ「マオ！」

マオ「何、博士！今はそれどころじゃ…」

ククイ「残念だが、シンリは何も不正はしていない。それどころかちゃんとバトルの公式ルールに忠実に従いバトルをしていた。それに、バトルは何が起こるか分からないし、Z技を通常技で突破するのも俺たちが目のあたりにしたことがないだけであり得ない話じゃない。シンリのバトル技術があってこそ、そこは尊重すべきところだ」

マオ「それでククイ博士はなっと……！」

ククイ「……」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

マオ「博士…？」

ククイ「俺も正直悔しいよ。マオのように何か不正したと嫌疑をかけたいさ。カキはあんなにZ技の特訓に励んでいたのに、Z技を侮辱したやつに敗北するなんて認めたくもない……」

シンリ「ようやく納得したようだな。さぁ、カキ君、約束のZリングとZクリスタルを……」


ｶﾞｼｯ


シンリ「……」ｸﾙｯ

ククイ「だが、お前にカキのZリングとZクリスタルを譲渡する話については認めるわけにはいかん」

ククイ「確かにカキが口走ってZリングとZクリスタルを差し出すと言ったが、それはお前に挑発されたからなんだ！本心はそんなつもりはないとお前も分かってるだろ！？」

リーリエ「そうですよ！考え直してください！」

シンリ「…で？」

ククイ「で？って……ふざけているのかお前！？」

シンリ「ククイ先生、何を勘違いしているかわかりませんがね、俺はカキ君がZリングとZクリスタルを差し出すと言ったから、このバトルを受けたんです。そして彼が負けたんだから、宣言した通りに従うのがセオリーでしょう？俺からすればそんな事情知ったことじゃない」

ククイ「……そもそも、お前が負けた時の謝罪と釣り合うとでも思っているのか？」

シンリ「はい？」

ククイ「お前は謝罪するだけだ、周りとの関係は薄れるだろうが修復は可能だ！だがZリングとZクリスタルは失ったら二度と戻れないんだぞ！」

シンリ「へぇ？俺だけ罰を施行して、カキ君だけは撤回するんだ？何ですか、その不公平？」

ククイ「不公平？何を言っている？俺はお前とカキの賭け対象が明らかに差がありすぎると言っているだけだ！こんな腑に落ちないバトル、誰が納得できるか！」

シンリ「それ、あなたの理屈ですよね？それが正論だとでも思ってるのですか？そんなのあなたの主張を押し付けているだけだ」

ククイ「何っ！？」

シンリ「そもそもあなたは、賭けの本質を理解していますか？」

シンリ「賭けというのは第三者が決めるものではない。実際に戦う者同士の承諾により決まるんだ。つまり、その時点でどんなに不釣り合いな対象であろうとも無条件で同価値となる」

シンリ「結局、カキ君はZリングZクリスタルを、俺は謝罪という形でお互い了承したので、そこに口を出さないでほしいですね」

ククイ「それこそ、お前の勝手な理屈に過ぎない！お前がそう思っているだけだ！客観的に見て、誰もが釣り合っていないと思うはずだ！少なくとも、ここにいる全員はそうだ！」

サトシマオリーリエスイレンマーマネロトム「……」ｷｯ

シンリ「ならばバトル前に止めたらよかったんですよ」

ククイ「は？」

シンリ「俺もそこまで融通の利かない人間じゃありませんよ？賭けというのは勝負の決着がついて初めて有効になります」

シンリ「だからバトルが始まる前に止めたらよかったのに、何を根拠にカキ君が勝つと思っていたのか知りませんがね、カキ君の勝利の信用を優先してその後の事をほったらかしにするあなたに、このバトルに口を出す権利はありませんよ」

ククイ「ぐっ……」

シンリ「それに、今になって止められたら俺が腑に落ちない」

ククイ「お前の言い分は分かった、ならば他の物で代替はできないか？別にZリングやZクリスタルでもなくてもいいだろ？」

シンリ「ククイ先生、話聞いていませんでした？僕は“ZリングとZクリスタル以外の物は認めない”と言っているんです」

ククイ「！」

シンリ「どうやらこれ以上の異論はないようなので、この話はこれでおしまいとします」

ククイ「待てシンリっ！カキからZリングとZクリスタルを奪って何が面白いんだ！人の…クラスメートの不幸を招くような真似はやめ」

カキ「もうやめてくださいっ！！」

ククイ「……カ、カキ？」

カキ「もういいです博士……元はと言えば事の重大さを理解せずに軽々とZリングとZクリスタルを差し出すといった俺のせいです」

カキ「……」ｶﾁｬｶﾁｬ

サトシマオリーリエスイレンマーマネククイロトム「！！」

ククイ「ま、まてカキっ！」ｸﾞｯ

カキ「何ですか、博士……」

ククイ「よく考えろカキ！それらはそんな簡単に手放していいものなのか？そうじゃないだろ！お前にとってのZリングとZクリスタルは最早、お前の体の一部じゃないか！何よりもZリングZクリスタルを誰よりも大切に思っていたのはお前じゃないか！」

カキ「……博士、俺…このバトル負けたんですよね…？」

ククイ「…ああ、そうだ……」

カキ「だったら…俺はこんなもの持っている資格は……ない」

ククイ「！！」

ククイ「カキ！一生Z技が使えなくなってもいいのか！？お前にとってのZ技はお前のすべてなんだろっ！？お前の唯一の大切なものを誰かに奪われることなどあっちゃならん！シンリの言う事に大人しく従う必要はない、ここは俺が何とかするから……」

カキ「心配していただいてありがとうございます、でも俺は大丈夫です」

ククイ「え」

カキ「博士がここまで俺がZリングとZクリスタルを大切にしているところを見ていてくれたことに嬉しかったです。でも、もう覚悟はできてますから」ﾆｺｯ

ククイ「カ、カキ……」

カキ「時間を手間取らせてすまない、約束のZリングとZクリスタルだ」ｽｯ

シンリ「ホントだよ、外野の反論に付き合ってられないよ」

シンリ「にしても、これがカキ君のZリングとZクリスタルかぁ…他の奴とは大違いだ」

シンリ「さて…と……」


(･･ )ﾉ ⌒C△ﾎﾟｲｯ


シンリ「オーカサス、ピラミッドホーン！」

オーカサス「カサァァァァス！！」ｽﾞﾄﾞｫｫｫｫﾝ


ﾊﾟﾗﾊﾟﾗﾊﾟﾗﾊﾟﾗﾊﾟﾗ……


サトシマオリーリエスイレンマーマネククイロトム「……！」

カキ「……」

シンリ「これを機におままごとでもしてなよ、カキ君？」



「……」ﾌﾞﾁｯ ｽｯ

シンリ「……」

ククイ「カキ、大丈夫か…？」

カキ「はい、大丈夫です……すみません、教室に戻りましょう…」

サトシ「カ、カキ……」ﾀﾞｯ


ｽﾞﾄﾞｫｫｫｫﾝ!!
ﾊﾟﾗﾊﾟﾗﾊﾟﾗﾊﾟﾗ……


サトシ「！」ｿﾞｸｯ


リーリエ「私たちも教室に戻りましょう…」

スイレン「うん……サトシ？」

サトシ「……」ｸﾞｯ

スイレン「サトシ、腕を握りしめてどうしたの？」

サトシ「…はっ！いや、なんでもない……教室に戻ろう」ｽﾀｽﾀ

スイレン「…サトシ……？」

ククイ「…あんなこともあったが、今は授業中だし、気が進まないがやるぞ……」

サトシマオリーリエスイレンマーマネ「……」

カキ「……」

ククイ「えと…理科の教科書p58……この文章を…次は確か、カキだったな、読めるか？」

カキ「…はい……」ｽｯ

カキ「動物の細胞と植物の細胞の違いは……」ﾎﾞｿﾎﾞｿ

ククイ(カキ…やはりZリングとZクリスタルを壊されたショックは大きいか……)

シンリ「カキくーん、声が小さくて聞こえないからもっと大きな声で喋ってくれる？」

サトシマオリーリエスイレンマーマネククイロトム「！！」

シンリ「あんだけ大きな声を出していた君が、ボソボソ喋ってるなんて、君らしくないぞ！」

ククイ「シンリ」

シンリ「はい、何ですか？」

ククイ「カキの気持ちを考えろ」

シンリ「カキ君の気持ち…ZリングとZクリスタルを破壊されてショックな状態であるってことですか？」

ククイ「そうだ」

シンリ「はぁ……そんなの自業自得じゃないですか」

ククイ「その通りだ」

シンリ「…えっ？」

ククイ「確かに、後先考えずにZリングとZクリスタルを賭けたカキの自業自得だ。だから、この件についてはお前の行為は目を瞑るつもりだ。だがな、どんなことであれ、大切なものを目の前で奪われたらショックで元気がなくなるのは当然だろ！自業自得であろうがなかろうがお前には人の気持ちを分かろうとする心はないのか！？」

シンリ「人の気持ちねぇ……」

サトシマオリーリエスイレンマーマネククイロトム「……」

シンリ「…それが分かったらどれだけ気が楽なんだろうか」ﾎﾞｿｯ

ククイ「なんだ？」

シンリ「いえ、敗者に同情のかけらなんてこれっぽちもないって言ったんです」

ククイ「お、お前っ……」

カキ「シンリ」ｽｯ

ククイ「カキ？」

カキ「お前、やっぱりすごいな」

シンリ「うん？」

カキ「お前はZ技を使っていないのにZ技を使う俺に勝ったんだから、自分はまだまだだなって思い知らされたよ」

シンリ「……」

カキ「みんな」

サトシマオリーリエスイレンマーマネククイロトム「！」

カキ「シンリは何も悪いことはしてないよ、そもそもこのバトルの発端は俺にあるんだから」

サトシリーリエスイレンマーマネククイロトム「カキ……」

マオ「カキ……」ｸﾞｯ

カキ「シンリも、みんなと仲良くしてくれよ」

サトシ「……」


そのカキの言葉で、俺は気づいた


シンリ「…カキ君がそういうなら……」

カキ「先生」

ククイ「なんだ？」

カキ「俺、今日は具合が悪いので早退してもいいですか？」

ククイ「…ああ、また明日な」

カキ「はい、また明日」

サトシ「……」ｸﾞｯ


カキが、学校に来なくなることを……

あれから一週間……


ククイ「今日もカキは休みか……」

スイレン「カキ大丈夫かな…」

リーリエ「ZリングとZクリスタルを破壊されたので無理もないですよ…」

マオ「私、昨日カキのところに行ってきたんだけどさ、部屋に引き籠ってるって……」

マーマネ「仕方ないよ……」

サトシ「カキ……」

ロトム「それからカキ無しでやっていくロト？」

ククイ「……カキが立ち直るのを俺は信じてる。だから、お前らもクヨクヨすんな！」

マオリーリエスイレンマーマネ「……うん」

サトシ「……」

ククイ「じゃあみんな、気を付けて帰れよ」

サトシマオリーリエスイレンマーマネ「……」

シンリ「……」

シンリ「やっと今日も終わった」

マオ「……」

シンリ「…マオちゃん、カキ君とのバトル以来、ずっと跡をついてきてるね？」

マオ「当然じゃない、また何かしら問題を起こすかもしれないんだから」

シンリ「ひどいなぁ、その決めつけ」

マオ「酷いのはどっちよ？」

シンリ「……」

アゴジムシ「！」ﾋｮｺ

シンリ「おっ？アゴジムシか、アローラにもいるのか」

マオ「アゴジムシ知ってるの？」

シンリ「俺の故郷には頻繁に出てくるポケモンだ、知ってるさ」

アゴジムシ「……」

シンリ「…食うか？」つクラボの実

アゴジムシ「！」ｷﾗｷﾗ

シンリ「遠慮するなよ、ほら」

アゴジムシ「！」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

マオ「へぇ、美味しそうに食べてる！」

シンリ「やっぱり、アゴジムシはクラボの実が好きなんだな」

マオ「そういやシンリってさ、出会ったポケモンに決まって木の実やってるよね？」

シンリ「うん、だから何？」

マオ「いや、意外だと思って」

シンリ「どういう意味？」

マオ「いや、だって……ZリングとZクリスタルを躊躇なく壊すから……」

シンリ「俺が嫌ってるのはZ技だけさ、ポケモンは関係ない」

マオ「……ねぇ、アローラに来る前に何かあったの…？」

シンリ「……どうしてそう思うんだ？」

マオ「だって、そこまでZ技を嫌う人は見たことないから…だから……」

シンリ「……」



「おい、お前がシンリだな？」

シンリ「…誰？」

マオ「君は、隣のクラスのライトじゃない！」

ライト「聞いたぞ！お前が、カキのZリングとZクリスタルを破壊したって！」

シンリ「ライト君だっけ…？カキ君とどんな関係なの？」

マオ「ライトはカキとよくバトルしてたのよ！ライトもZ技継承者なのよ！」

シンリ「あー…なるほど、かたき討ちかな？」

ライト「勝負しろシンリ！カキの恨みは俺が晴らすっ！」

シンリ「嫌だ、Z技継承者とのバトルなんてしたくない」

ライト「お前が勝ったら、ZリングとZクリスタルを渡してやるよ」

マオ「え……」

シンリ「…へぇ、だったらいいよ」

マオ「シンリっ！？」

シンリ「じゃあ、俺が負けたら……そうだなぁ、外野からの不満を聞きたくないからなんでもすることにするよ」

ライト「じゃあ早速バトルグラウンドに…」

マオ「ちょっと待ってライト！もっと考えて！あいつは本当にZリングとZクリスタルを壊すよ！」

ライト「俺が負けるとでも思ってんのか？」

マオ「そういうことが問題じゃないの！カキはもう、シンリとZ技のことでバトルして欲しくないと思ってるはず！もし…またカキと同じように被害者が出たら、カキは自分のせいだってもっと自分を責めてしまうのよ！」

ライト「……分かってるよ、そんなこと」

マオ「えっ…」

ライト「俺とカキは友達なんだ、あいつの代わりに勝ってやりたいんだ！カキのZ技に対する気持ちが本物であることを認めさせるためにっ！」


カキ『Z技はアローラの各島を巡り、厳しい試練を乗り越え、伝授できる者は滅多にいない神聖な技だっ！それにはポケモンとの絆も試され、ポーズも技もポケモンに思いを伝えるのに大切な儀式なんだっ！Z技に必要なZリングやZクリスタルも希少なものなんだ！それを侮辱した貴様を俺は許さないっ！！』


マオ(カキと同じ気持ちだ……引き留められない……)

私は、ライトを引き留めることはできず、カキと同じ賭けバトルが始まった


ライト「ﾊｧﾊｧ…まだだ……電磁砲！」

シンリ「いわなだれ」


でも、バトルの実力は歴然だった
シンリの一方的な攻めに、ライトは受けるだけで精いっぱいだった


ライト「スパーキングギガボルト！！」

シンリ「……オーカサス、りゅうじんづきでダメージを低減しろ！」

オーカサス「カサァス！」ﾄﾞｩﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙ


ﾊﾞｧｧｧｧｧｧｧﾝ!!


オーカサス「カサァス……」

ライト「…そ、そんな……」ﾍﾟﾀﾝｯ

シンリ「ピラミッドホーン」

オーカサス「カサァス…」ｽﾞｽﾞｽﾞ……

ライト「避けろクワガノンっ！」

クワガノン「！！」ﾋﾞｭﾝｯ



ｽﾞﾄﾞｫｫｫｫﾝ!!

ライト「負けた……ごめん…勝てなくて……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

シンリ「じゃあ、約束通り、渡してもらおうか？」

ライト「嫌だ…嫌だ……」

マオ「シンリ、もういいでしょ！

シンリ「……」

マオ「相手の物を奪って何が面白いのよ！あなたがZ技を嫌ってるのは知ってる！でも、奪うのは違ってる！例え相手からバトルを吹っ掛けられたとしても……」

シンリ「そうか、ならいいや」

マオ「分かってくれた！？」

シンリ「ライト君、そこから動くなよ？」

マオ「…え？」

シンリ「オーカサス」

オーカサス「カサァス」ｽﾞｽﾞｽﾞ

マオ「その構え……ピラミッドホーン……？」

ライト「な、何をするんだ……」

シンリ「約束、破るなよ？ライト君？」ﾆｺｯ

ライト「や、止めろ…止めろ……」


ｽﾞﾄﾞｫｫｫｫﾝ!!

ﾊﾟﾗﾊﾟﾗ……


ライト「あ、ああ……」

マオ「な、なんてことを……」

シンリ「……行くか、オーカサス」ｸﾙｯ

オーカサス「カサァス」

マオ「シ…シンリっ！ちょっと待ちなさ」

シンリ「……」ﾎﾞﾑｯ!!


ｷﾗｧﾝ!!


マオ「くっ、まぶしいっ！」

マオ「……シンリがいない」



マオ(…それよりも、今の光……何…？)

ククイ「なっ！シンリが、隣のクラスのライトのZリングとZクリスタルを破壊しただとっ！？」

マオ「はい…止められませんでした……」

ククイ「マオのせいじゃない、くそっ……自発的じゃないとはいえ、もうこれ以上は見過ごせんな」

スイレン「またシンリが……」

マーマネ「やっぱり強いんだね……」

サトシ「…シンリ……」ｸﾞｯ

スイレン「サトシ…？(また、腕を……)」

シンリ「どうしたのみんな？元気ないけど？」

ククイ「シンリ！聞いたぞ！ライトと勝負して、壊したらしいな！挙句に腕に装着した状態でピラミッドホーンで壊すとか何を考えているんだ！」

シンリ「ああそれですか？ライト君の聞き分けが悪くてですね、負けたくせに素直に約束を守ろうとしないんですよ」

ククイ「お前、その行為が許されると思っているのか！？いくら相手が妥協したとしても、ZリングとZクリスタルの破壊は重罪だ！退学処分だぞ！」

シンリ「退学処分程度で俺がビビると思いますか？俺の行為よりも、軽々しくZリングとZクリスタルを差し出すと約束する彼らの方が問題なんじゃありません？」

ククイ「それは……」

シンリ「本当に大切だったらそんなのプライドとかなんだとか関係なく、すぐ差し出しますか？俺だったら、考える時間も設けず余計なプライドを持たずにすぐに断りますよ？」

ククイ「……」

シンリ「挑発された程度ですぐ差し出すとか、彼ら本当にどんな思考しているんですか？本当にZ技を重宝してんのかな？」

マオ「シンリがそうなるように誘導したんでしょ…？じゃなきゃ、そう簡単に差し出すわけないじゃない！」ﾜﾅﾜﾅ

シンリ「そりゃ誘導するだろ？Z技のバトルでZ技専用アイテム以外の物を出されたら、俺が得しないんだよ。賭けバトルとはそういうものだろ？けど、本当に大切な物なら誘導されても出さないよ」

マオ「くっ……」

ククイ「とにかくっ！それ以上はダメだ！お前の好き勝手な行動をさせないように監視する！」


「おい、シンリってやつはここにいるのかっ！」


リーリエ「あれ？今、シンリって言いませんでしたか？」

マーマネ「いや、僕は言ってないけど？」


「シンリを出せ！」


リーリエ「ほら、聞こえますよね？」

マーマネ「確かに…外から聞こえるね」ｽﾀｽﾀ

マーマネ「リ、リーリエ！」

リーリエ「何ですか？……！！」

マーマネ「先生、こっち来て！！」

ククイ「なんだ？この忙しいときに……」ﾋｮｲ

ククイ「な、なんだこれ……」

マオ「どうしたの先生？……嘘でしょ……」

スイレン「こんなにたくさん……」

ロトム「どういう状況ロト！？」

シンリ「ん？何かあったの？」ﾋｮｲ

ククイマオリーリエスイレンマーマネ「……」

シンリ「ついにアローラ島中に知れ渡ってしまったか……」

シンリ「フッ……」ﾆﾔｯ

ナリヤ「君たち、落ち着きたまエンブオー！」

ククイ「ナリヤ校長！これは一体どういう状況ですか！？」

ナリヤ「やぁククイ先生！困ったもんだよ、シンリを出せ出せうるさいんじゃ！」

ククイ「！！」

マオリーリエスイレンマーマネロトム「博士っ！」

ククイ「ああ…ここにいる全員、Z技継承者で、シンリにバトルを挑む気だ」

マオリーリエスイレンマーマネロトム「！！」

モブA「おい、お前シンリって言ったな！出せよシンリを！！」

モブB「俺がぶっ飛ばしてやる！！」

モブC「出せよ！Z技の恐ろしさを教えてやる！！」

ククイ「皆さん落ち着いてください！シンリは……」

シンリ「俺がどうかしたの？」

ククイマオリーリエスイレンマーマネロトム「シンリ！」