【SS】白いスカーフ キャラクターストーリー 〜アブソル妹〜:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】白いスカーフ キャラクターストーリー 〜アブソル妹〜:ポケモンBBS

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【SS】白いスカーフ キャラクターストーリー 〜アブソル妹〜

 ▼ 1 インディ@こだわりスカーフ 15/03/17 21:20:01 ID:kU2Hbszc [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
※お読みください※

・前作【SS】白いスカーフ
 の続編兼キャラクターストーリーです

【SS】白いスカーフ
http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=70534


・公式設定の改変

・人間は出てきません

・世界観、設定等は前作と同じ

・誤字、脱字、足りない表現はそれぞれ妄想力でカバーしてね!


ではよろしくどうぞ!!
 ▼ 2 1 15/03/17 21:21:17 ID:kU2Hbszc [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第1話〜


大地を照らした太陽が地平へと沈み。
辺りは闇を増してゆく。
空だけは、いまだ光を受け雲が赤く染まっている。

私はこの時間が好きだ。
大好きな兄と思い切り遊び、お腹が空いたとふたり並んで家路に着く。
小さい頃から繰り返してきた幸せなひととき。


――私には兄がひとりいる。

兄は強さを求め、日々鍛錬に明け暮れ、
強者がいるとの噂を聞けば、挑戦しに旅に出る。

旅はいつも唐突なので、母は呆れていた。
父は「男とはそういうものだ」と兄を支持していた。

家族の中心である父がそう言うのだから、
母は特に反対することもなく、ただ「気をつけて」と送り出した。
 ▼ 3 1 15/03/17 21:22:21 ID:kU2Hbszc [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
私は、兄を応援している。
幼い頃から良く面倒を見てくれた、私の大好きな「お兄ちゃん」。
強くなることが兄の夢なら、私もそう願うのは自然だった。

ただ、旅の間会えないのはやはり寂しい。
だから、帰ってくるとその寂しさを洗い落とすかのように
兄にべったりとくっつき甘えていた。

今回の旅の目的は、おくりび山に住むキュウコンと手合わせすること。
おくりび山は片道ふた月ほどの距離だ。

兄が出てから半年が経った。
途中の寄り道を考えても、そろそろ戻ってくる頃だ。

そして、兄は戻ってきた。


……隣に女性を連れて。
 ▼ 4 1 15/03/17 21:29:55 ID:kU2Hbszc [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第2話〜


アブソル「……ただいま。」

兄は帰ってきた。

私「おかえり!お兄ちゃん!!」

父「……お帰り。」

母「お帰りなさい。」

いつもと変わらぬやりとり。だけど今回は少し違う。
それは兄が少し気恥ずかしそうにしていたこと。

アブソル「突然なんだけど……、紹介したい女性(ひと)がいるんだ。」

私・母「え!?」

父「……。」

アブソル「エーフィ。入って。」
 ▼ 5 1 15/03/17 21:31:35 ID:kU2Hbszc [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
家の外で待っていたであろうその女性は、兄の言葉を聞き、
静かに中に入ってきた。
私たちを認め、丁寧にお辞儀をする。
首には白いスカーフ。そして耳にはピンクの耳飾。


――とても綺麗な女性(ひと)。
華奢な身体つきではあるが、その佇まいはどこか気品に満ちている。

私の第一印象だ。
母も同じことを思ったらしく。

母「まあ!」

と驚きの声を上げる。

アブソル「こちらはエーフィ。旅先で出逢ったんだ。」
 ▼ 6 1 15/03/17 21:32:48 ID:kU2Hbszc [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
アブソル「俺たち、その……付き合うことにした。」

私「っ!?」

母「あらあら!?」

父「……。」

私「お、お兄ちゃん!?」

私「その……付き合うって。お兄ちゃんが!?」

私は動揺していた。

かっこよくて、強くて、私が甘えても呆れず、
しっかりと受け止めてくれるやさしい兄。
兄の愛情は確かに感じていた。
それが……、今は他の女性に……。

アブソル「ああ。俺は彼女が好きだ。」

そんな……、そんなことって……。
頭の整理が追いつかない。
 ▼ 7 ールル@クイックボール 15/03/17 21:36:48 ID:.jvSEzRo NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 8 1 15/03/18 20:10:58 ID:5ALecIiM [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>7
支援感謝です。

〜第3話〜


混乱し言葉が出ない私に対し、母はずっと独りだった兄に
彼女ができたのがうれしかったようで、

母「あらあら、まあまあ!」

と、はしゃいでいる。
そして、

父「……座らせたらどうだ?」

父の静かな声。

母・兄「え!?」

父はエーフィをまっすぐ見る。

父「長い旅で疲れているだろう。女性を長く立たせるものではない。」

父「こちらに来て座りなさい。」

エーフィは軽く会釈をし、兄の横へ座る。
 ▼ 9 1 15/03/18 20:13:21 ID:5ALecIiM [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
父「母さん。お茶を。」

母「!」

母「そうでした!」

母はいそいそとおもてなしの準備にとりかかる。

父「さて、詳しい話を聞かせなさい。」

そう言い父はふたりを見る。

アブソル「!」

兄が緊張するのが分かる。
父は正直恐い。普段物静かで穏やかな父だが、
独特の威厳があり、一家の大黒柱足る存在感がある。
 ▼ 10 1 15/03/18 20:15:15 ID:5ALecIiM [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
兄は説明する。
まずは、エーフィが声を失っていること。
エーフィと会話するには手持ちの装飾品で「回路」を開く必要があること。

そして、私たちは「回路」を開き、エーフィの声を聴いた。
彼女の声は透き通った綺麗な声だった。

それからエーフィの説明も交え、キュウコンとのバトルから現在に至るまでの経緯を話した。

父、そしてお茶の準備を終えた母も静かに聞いていた。
兄の話を聞くと、心からこの女性を愛しているのだと分かった。


でも……。


私「あたしは……、認めない!!」

一同「!」
 ▼ 11 1 15/03/19 10:36:18 ID:aoVWutUk [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第4話〜


私はそう言い、家の外に飛び出した。

私の大好きな兄が他の女性にとられてしまう。
心が苦しかった。

あの兄が選んだ女性なのだ。間違いはないのだろう。
でも、エーフィとの仲を許してしまえば兄の隣は、私のものでは無くなるのだ。
もう兄の隣を並んで歩くことはできない。そこには彼女がいるのだから……。

――涙がこぼれる。

私「あたしって、最低だ……。」

兄を応援していた。それが兄のためになると思っていた。
実際はひたむきな兄の姿に憧れ、近くで見ていたかったからで
結局は自分のためだった。
 ▼ 12 1 15/03/19 10:37:19 ID:aoVWutUk [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
兄とよく遊んだ丘の上に来た。
辺りは闇に包まれ、星が出ている。

大地は熱を失い。刻々と冷えていく。
暖かい家に帰りたい。

私「……。」

私「あんなこと言って飛び出して、帰れるわけないじゃない。」

ぼそりとつぶやく。


???「……落ち着いたか。」

私「!」

驚いた、それはもう飛び上がるほどに。

振り向くと、そこには父が立っていた。
 ▼ 13 1 15/03/19 20:30:09 ID:aoVWutUk [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第5話〜


私「お父さん。」

父「隣、座るぞ。」

父は私の隣に腰を下ろす。

私「……。」

父「……。」

気まずい。


――暫くの沈黙の後、父が口を開く。

父「おまえは反対なのか?」

私「……。」

父「あの娘、気にしていたぞ?」

父「おまえを傷つけたのではないかと。」

私「……。」
 ▼ 14 1 15/03/19 20:31:13 ID:aoVWutUk [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
父「……。」

父は静かにこちらを見る。
私はまた涙が出そうだった。

父「誰しも、独りでは生きられぬ。」

父「皆、誰かと出逢い離れて行くものだ。」

父「お前の兄は、今がその時だ。」

分かっている。兄の人生だ。

私「でも……。あたしはやっぱり辛い。」

感情の波が押し寄せる。
それと同時に涙が溢れてくる。
 ▼ 15 1 15/03/19 20:32:25 ID:aoVWutUk [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
私「お兄ちゃんには幸せになって欲しい。」

私「だから、あたしもふたりを応援するべきだと思う。」

私「でも、もう大好きなお兄ちゃんの隣にはいられない。」

私「……苦しいよぉ。」

そのあとは嗚咽で声が出なかった。

父「……お前が兄妹以上の感情をあいつに抱いていたのは知っている。」

父「私も、母さんもな。」

父「あの娘より、自分があいつに相応しいと思うのならそう行動すれば良い。」

父「お前がこの先どう動こうと、私たちは何も言わない。」

父「あとはお前自身が決めることだ。」

父はそっと私の頭を撫でてくれた。
 ▼ 16 1 15/03/20 14:08:55 ID:3FHZAFCI [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第6話〜


私が少し落ち着いたことを確認し、父は話を続ける。

父「まずは、あの娘と話をしてみなさい。」

父「好くにしろ嫌うにしろ、相手を知らなければ正確な判断はできない。」

私「お父さんは、賛成なの?」

父「私はあいつが選んだ女性なら間違いないと信じている。」

父「それに、あの娘は出逢った頃の母さんに似ている。」

私「お母さんに似ているの?」

私の興味はそちらに移る。

父「ああ、私の一目惚れだった……。」

あの父が母との馴れ初めを語るなんて。
よほど私が気を使わせたのだろう。

父はその後も母との話や、私の愚痴を聞いてくれた。
私は気持ちが軽くなった。

そして私はエーフィ。
いや、エーフィさんと話をしてみることにした。
 ▼ 17 1 15/03/20 14:10:56 ID:3FHZAFCI [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
――エーフィさんはとても素敵な女性だった。
私なんかじゃ到底及ばない。
彼女ならば大丈夫だ。兄を幸せにしてくれる。
私は吹っ切れた。

何より、大好きな兄の幸せを優先するために。
兄への想いはここで捨てよう。

代わりにエーフィさんに憧れた。
彼女のような素敵な女性になって。私も幸せを掴むんだ!

そして、彼女を育てたというキュウコンに興味を持った。

私「あたしも、キュウコンさんの弟子になる。」

皆は驚いた。
兄は無理だと言ったが、エーフィさんは応援してくれた。

しかし、私がひとりで旅に出るのは危険だ。
そこを理由に両親には猛反対された。

そういうことならと、
エーフィさんが、知り合いだというラティオスさんを呼んでくれた。

私たちは驚いた。まさか伝説のポケモンと知り合いだなんて。
エーフィさんとラティオスさんの協力で、
私は何とか家族からの同意を得られた。

ラティオスさんは私を背に乗せてくれた。
一緒に来たラティアスちゃんは私よりまだ幼かったけれど、
良い友達になれそうだった。
 ▼ 18 ーブル@しらたま 15/03/20 14:11:26 ID:XstqRdw. NGネーム登録 NGID登録 報告
神SS支援
 ▼ 19 1 15/03/20 20:33:28 ID:3FHZAFCI [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>18
支援感謝です。


〜第7話〜


ラティオスさんはとても速かった。
兄が3ヶ月掛かった道のりをわずか2日で飛んでしまった。
それでも、私を気遣い速度を落としてくれたらしい。
伝説のポケモンはやはりすごい。


――おくりび山の麓に着いた。

目の前には大きな赤の鳥居と、1本の広い山道が頂上へと延びている。
訪問者はまずここから向かうのが礼儀だと兄が教えてくれた。
ラティオスさんたちにお礼を言い、

私「よし!いくぞ!」

私は山を登った。キュウコンを目指して。

あのエーフィさんを育てたんだ。
きっと彼女の師匠も素敵なひとに違いない。
私は期待に胸を躍らせる。
 ▼ 20 1 15/03/20 20:34:57 ID:3FHZAFCI [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告

――そして3日後。

私「見つからない!」

私「もう!いったい何処にいるのよぉ!!」

脚力には自信がある。この3日間山を走り回った。

山頂にある文字の彫られた不思議な岸壁。
大きなクレーターの空いた草原。
朽ちた祠のある大きな木。

特徴的な地形はあれど、肝心のキュウコンが見当たらない。
付近のポケモン達に聞いても、彼女は気まぐれなので正確な場所は分からないと言う。
初めは期待に満ちていた気持ちも、だんだんと萎えてきた。
 ▼ 21 1 15/03/20 20:37:20 ID:3FHZAFCI [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
私「本当にいるのかな?」

私「狐だけに化かされてたりして……。」

私は朽ちた祠の前に横になり、体を休める。

そして、

私「うーっ、出て来い女狐ー!」

そう叫ぶ。
少しは気が紛れると思ったが、そうでもなかった。

私「……なんちゃって。」


???「騒々しいのう。」

不意の声。

私「ひゃ!?」

声の主を探す。

???「ここじゃ。」

声の方角を確認し上を見上げる。
すると、大きな岩の上から件のキュウコンが顔を覗かせていた。
 ▼ 22 1 15/03/20 20:41:37 ID:3FHZAFCI [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第8話〜


私「あ、あなたは?」

念のために確認を取る。

キュウコン「うん?」

キュウコン「我を探していたのじゃろう?」

と、答えたということはやはり彼女がエーフィさんの師匠。

そして、私の隣へ飛び降りる。
やわらかく着地をし、その身の軽さが伺える。

キュウコンは白かった。
いや、普通のキュウコンも白と言われればそのようにも見えるのだが、
彼女の白さはまた質が違う。
光に透かしてみれば、その体毛は銀色に輝く。

「白銀」

彼女がそういわれる所以だろう。
 ▼ 23 1 15/03/20 20:42:49 ID:3FHZAFCI [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
突然の出会いに緊張する。

私「……ずっと探していました。」

私「でも、全然見つからなくて。」

私「どこにいたんですか?」

キュウコン「そちの後ろじゃ。」

私「え?」

キュウコン「そちの後ろをずっとつけていた。」

私「ええ!?」

キュウコン「さすがに気づくかと思うたが、存外鈍感よのう。」

キュウコンはくつくつと笑う。
 ▼ 24 1 15/03/20 20:44:15 ID:3FHZAFCI [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
私「……。」

口をあんぐりと開け、言葉の出ない私に彼女は続ける。

キュウコン「3日前、我を訪ねて来たであろう?」

キュウコン「ちょうど退屈していたのでな。かくれんぼじゃ。」

キュウコン「まあ、ただ隠れるだけではつまらぬから、そちの後をつけた。」

キュウコン「つまりは、そういうことじゃ。」

どうやら私は遊ばれていたらしい。
状況を呑み込み、緊張が怒りへと変わる。

私「っ!! あたしが!! どれだけ本気で!!」

キュウコン「そうじゃのう。なにやらそちは本気のようじゃ。」

キュウコン「すまぬな。ちぃとばかし興が過ぎた。」

不意の切り返しで、リズムを狂わされる。
まさか素直に謝ってくるなんて……。
 ▼ 25 1 15/03/20 20:46:54 ID:3FHZAFCI [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
私「そ、そうよ。あたしは本気なの!」

キュウコン「して、本気のそちは我に何の用じゃ?」

ここだ!今回最も大切なところ。
私はできるだけ誠意が伝わるよう気持ちを込める。

私「あたしを弟子にしてください!」

私は深く頭を下げた。

キュウコン「……そちは、あのアブソルの妹じゃろう?」

私「え?」

私「なんで?」

知っているのか。

私の問いに彼女は、

キュウコン「さて、なぜかのう?」

微笑みながらそう答えた。
 ▼ 26 1 15/03/21 22:56:43 ID:zXtiKHYo [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第9話〜


キュウコン「結論から言えば、弟子はとらぬ。」

私「!」

私「何故ですか!?」

キュウコン「面倒じゃからの。」

私「……。」

私「あたしのこと本気だと認めてくれましたよね?」

キュウコン「じゃが、我には関係ない話じゃろ?」

私「むぅ。」

キュウコン「そもそも、なぜ我の弟子になりたいのじゃ?」

キュウコン「他にも師に適したものならおるじゃろ?」

私「エーフィさんに憧れたんです。」
 ▼ 27 1 15/03/21 22:57:41 ID:zXtiKHYo [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
私「それで、エーフィさんみたいになりたくて。」

キュウコン「つまらぬ。」

私「え?」

キュウコン「実につまらぬ答えじゃ。」

キュウコン「そもそも、エーフィとそちでは器量が違う。」

私「そんな、……酷い。」

キュウコン「いや、劣っているという話ではない。」

キュウコン「そちには、そちなりの良さがあるじゃろ。」

私「それは何ですか?」

キュウコン「出会ったばかりの我に、そのようなこと分かるはずなかろう。」

私「……。」
 ▼ 28 1 15/03/21 22:58:10 ID:zXtiKHYo [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
なんだろう、この不毛な問答は……。

そう思っていると、近くにぺラップが舞い降りた。

キュウコン「……。」

キュウコンはぺラップを一瞥し、

そして、

キュウコン「ふぅ。」

と目を閉じ、ため息をつく。

キュウコン「やはりこうなるか……。」

私「?」
 ▼ 29 1 15/03/21 23:02:26 ID:zXtiKHYo [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第10話〜


ぺラップ「毎度ありがとうございます。」

ぺラップ「どこでも音声をお届け!ぺラップ便でございます。」

ぺラップ「おくりび山のキュウコン様に言伝を預かってまいりました。」

ぺラップ「再生されますか?」

キュウコン「……頼む。」

ぺラップは兄の声でしゃべりだした。

ぺラップ「『キュウコンさん、ご無沙汰しております。』」

ぺラップ「『今そちらに俺の妹が厄介になっていると思います。』」

ぺラップ「『ご迷惑でなければ妹の希望を聞いてやってはもらえませんか。』」

ぺラップ「『お願いします。』」

キュウコン「……。」
 ▼ 30 ガルデ@カムラのみ 15/03/21 23:05:01 ID:zXtiKHYo [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
これは嬉しいタイミングだ。恐らく兄は私が発ったすぐ後、このぺラップに
キュウコン宛ての言伝を頼んだのだろう。
兄の願いならば、きっと考え直してくれるに違いない。私は期待した。

ぺラップ「以上になります。返信はされますか?」

キュウコン「ああ、そうじゃな。」

そう言うと、キュウコンはぺラップに向かって話した。

キュウコン「ちょうど、おぬしの妹がここにおるところじゃ。」

キュウコン「ずいぶん元気のある娘じゃな?」

キュウコン「追い出そうかとも思うたが、おぬしの願いならば仕方がない。」

キュウコン「暫く預かるぞ。」

キュウコン「……ああ、それと赤子はまだか?さっさとくっつけ。」

キュウコン「……以上じゃ。」

ぺラップ「承りました。またのご利用お待ちしております。」

そう言うとぺラップは飛び去った。
 ▼ 31 リボーグ@いかりまんじゅう 15/03/21 23:08:39 ID:zXtiKHYo [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
キュウコン「……やはり視たとおりになったのう。」

私「?」

私(見たとおり?)

キュウコン「そういうわけじゃ。そちを預かることにした。」

彼女が何を言ってるのかは分からなかったが、
ひとまず、私を弟子にしてくれるらしい。

私「やった!」

キュウコン「良い兄を持ったのう?」

私「えへへ。……ところで最後のは?」

キュウコン「うん?……ああ、あのふたりは不器用じゃからの。」

キュウコン「ああやってけしかけんと、何時になるか分からぬからな。」
 ▼ 32 モリ@ヤチェのみ 15/03/21 23:10:39 ID:zXtiKHYo [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
――赤ちゃん。

私「くっつく……。」

私はふたりを想像する。近づくふたり……そして。

私「///」

キュウコンは赤くなる私を見て考えを察したのか、

キュウコン「そうじゃ、男と女がくっつくあれじゃ。」

そう言って彼女は自分の手を重ねる。

キュウコン「そちにはちと刺激が強すぎたかの?」

何となく悔しくて反論する。

私「あ、あたしもそれくらい!」

私「その……キ、キスをすると赤ちゃんができるんですよね?」

キュウコン「……。」

キュウコンのなんとも言えない眼差し。

私「え?」
 ▼ 33 ルガルド@マトマのみ 15/03/21 23:13:13 ID:zXtiKHYo [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
私は何か変なこと言ったのだろうか?

キュウコン「……そちは、歳はいくつじゃ?」

私「12ですけど……。」

キュウコン「12?……どうじゃろうか。エーフィは察しが良かったからの。」

キュウコン「あれを基準にするのが間違いか?」

キュウコン「いや……しかし……親は何をやって……。」

キュウコンはブツブツと何かを言っている。

私(どうしたのかな?)

キュウコン「まったく、とんでもないものを押し付けおって……。」

どうやら自己解決したようで、彼女は私に向き直る。

キュウコン「そちにはいろいろと教えねばならぬことがあるようじゃ。」

キュウコン「……いろいろとな。」

私「?」


――こうして、私はキュウコンの弟子になった。
 ▼ 34 1 15/03/22 15:19:42 ID:aNmxGnVI [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第11話〜


キュウコン「成り行きでそちを預かったが……さてどうしたものか。」

キュウコン「ただ知識を授けるだけではな……。」

師匠は悩んでいる。私をどう導こうか真剣に考えてくれているようだ。
私はそれが嬉しかった。

私「あたし、なんでもやりますよ。お師匠!!」

キュウコン「ふむ。」

キュウコン「やはり基本は、心・技・体じゃ。」

キュウコン「……そちは、バトルは好むのか?」

私「体を動かすのは好きです。バトルは弱いですけど。」

キュウコン「我の見た限り、そちは恵まれた身体を持っておる。」

キュウコン「鍛えれば、兄にも匹敵するかもしれぬな。」

私「お兄ちゃんに!?」
 ▼ 35 1 15/03/22 15:23:36 ID:aNmxGnVI [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
素敵な女性になる。
当初の思惑とは大分違うけれど、あの兄に近づくことができる。

エーフィさんのような可憐で上品な女性にはなれないが、
それはそれでいいかもしれない。

――強くて、かっこいい女性。

私はきっとそうなってみせる!!

キュウコン「ただ物事を教えるだけではつまらん。」

キュウコン「どうじゃ?強さを求めてはみんか?」

私「はい!お願いします!!」

キュウコン「うむ。よい返事じゃ。」

キュウコン「もちろん、バトルだけではないぞ。」

キュウコン「そちにはまだまだ学ぶべきものがある。」

キュウコン「やるからには手加減はせん。覚悟せい。」

私「はい!」
 ▼ 36 1 15/03/22 22:31:26 ID:aNmxGnVI [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜12話〜


――キュウコンの弟子になり1年が過ぎた。
あれから家には帰っていない。

時折り「ぺラップ便」で連絡を取り合っていたし、
私は修行に夢中になっていたので、特に寂しくはなかった。

ぺラップ便によれば、ついに兄とエーフィさんは結婚したようだ。
返事で「おめでとう」を伝えたが、やはり直接言いたいので
近々顔を見せに帰ろうと思う。

師匠の修行は厳しかったが、自分の成長を実感できたのでとても楽しかった。
兄もこういう気持ちだったのだろうと、今になって理解できる。
やはり私たちは兄妹だ。

修行の合間に、師匠はいろいろなことを教えてくれた。
ためになること。くだらないこと。
そして、思わず赤面してしまうようなことも。

それらが全て合わさって今の私を成している。
とても充実していた。
 ▼ 37 1 15/03/22 22:33:07 ID:aNmxGnVI [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ある時師匠は教えてくれた。師匠は未来が視えるのだと。
私が弟子になるのも予知していたらしい。

ならばなぜ、初め「弟子はとらない」と答えたのか?
と聞くと、「試してみたかった」との返事が返ってきた。
師匠なりに予知の力がどこまでのものなのか試しているようだ。

師匠によれば、2年後に兄とエーフィさんとの間に子供が生まれるらしい。
そして、自分を訪ねてくるのだと。

……2年後に兄がここへ来る。
その時、私はある思いを抱いた。
 ▼ 38 1 15/03/22 22:39:42 ID:aNmxGnVI [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜第13話〜


そしてさらに1年が過ぎた。
もうすっかりおなじみのぺラップ便が今日もやってきた。

ぺラップはエーフィさんの声で語りだした。

ぺラップ「『お師匠様。お久しぶりです。突然ですが、私たち子供ができました。』」

ぺラップ「『生まれたら、この子を連れて会いに行こうと思います。』」

ぺラップ「『それと、彼の妹さんにもよろしくとお伝えください。』」

ぺラップ「以上になります。」

ぺラップ「なにやらおめでたい話のようで……。」

ぺラップは仰々しくお辞儀をする。

キュウコン「ふふふっ、そうか、ついに子ができたか。めでたいのう。」
 ▼ 39 1 15/03/22 22:42:27 ID:aNmxGnVI [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告

キュウコン「……ところで、子はどうやったらできるんじゃったかのう?」

師匠はわざとらしくそう言う。

ぺラップ「はい?」

私「!」

キュウコン「おお、たしか男女で接吻するとできr」
私「やめてください!!」

師匠はくつくつと笑う。

ぺラップ「???」

私「……ぺラップさん、お疲れ様です。」

私「お兄ちゃんたちに『おめでとう』と伝えてくれますか?」

ぺラップ「承りました。またのご利用お待ちしております。」

ぺラップはそう言うと飛び立った。
彼の向かう先にふたりがいる。
 ▼ 40 1 15/03/22 22:45:27 ID:aNmxGnVI [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
私「もう!お師匠。そのネタでからかうのはやめてください。」

キュウコン「うん?……最近物忘れが激しくてのう。」

キュウコン「歳じゃろうか?」

私「そうですね!もう1000年以上も生きているおばあさんですよ!!」

年老いている?もちろんそんなことはない。
この2年間、私は師匠から学んでいるが老いなど微塵も感じさせない。
何より、その姿は若く美しい。

私「……そんなに、わたしをからかって楽しいですか?」

私は師匠をねめつける。

キュウコン「うむ。楽しいのう。」

私(おのれ、女狐!)

キュウコン「ふふふっ。」
 ▼ 41 1 15/03/22 22:46:03 ID:aNmxGnVI [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
キュウコン「まあ、そんな話はどうでもよい。」

私(どうでもって……。)

キュウコン「とにかくめでたいのう。」

私「はい。わたしも嬉しいです。」

キュウコン「これでそちの時間も1年を切ったことになる。」

キュウコン「仕上がりはどうじゃ?」

私「順調ですが、まだまだ及びません。」

キュウコン「そうじゃな。」

キュウコン「ならば、ちと厳しくいくかの?」

私「はい!是非お願いします!!」

キュウコン「うむ、よい返事じゃ。」
 ▼ 42 ークライ@ネットボール 15/03/23 00:52:56 ID:wIvfaFLw NGネーム登録 NGID登録 報告
続き楽しみです!支援
 ▼ 43 1 15/03/23 23:06:37 ID:ppL2h3L2 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>42
支援感謝です。


〜第14話〜


私がおくりび山に来てから3年が過ぎた。
今日は師匠の予言の日。

私「それでは、行って来ます。」

私は山を下る。
私が最初に降り立ったあの場所。
おくりび山の入り口を目指して。

ふたりが来るならここからだろう。
私はふたりを出迎えるため、赤い鳥居の前で待つことにする。


太陽が一番高くなる頃、ふたりはやってきた。
兄は小さなゆりかごを首から提げている。

ふたりは私に気が付いた。
久しぶりの再会にふたりとも笑顔になる。
私も自然と笑みがこぼれた。
 ▼ 44 1 15/03/23 23:08:27 ID:ppL2h3L2 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
私「待っていたわ。お兄ちゃん!エーフィさん!」

私「まずは、祝福の言葉よ。」

私「おふたりとも、おめでとう。かわいい赤ちゃんね。」

ゆりかごの中では小さなイーブイが気持ちよさそうに眠っている。

エーフィ『ありがとう。』

兄は一旦ゆりかごを降ろす。
そして、エーフィさんに赤ちゃんの相手を頼んだ。

アブソル「お前、何でこんなところに?」

私「お兄ちゃんたちを迎えにきたの。」

アブソル「そうだったのか。キュウコンさんは元気にしているのか?」

私「ええ、お師匠は山頂であなたたちを待たれているわ。」

アブソル「それにしても、なんか雰囲気が変わったな。」

アブソル「その……素敵になったよ。」

私「ふふっ、ありがとう。」
 ▼ 45 1 15/03/23 23:09:51 ID:ppL2h3L2 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
兄から貰った賛辞の言葉。
過去の私なら飛んで喜ぶところだ。
でも、今は違う。


私は今日、あなたに……。


そして兄は私に近づく。

私「そこまでよ!」

アブソル「!」
エーフィ『!』

私はそう叫び兄の歩みを止める。

私「ここまでは、あなたの妹のわたしとして。」

私「そしてここからは、このおくりび山の主、」

私「『白銀のキュウコン』の弟子としてあなたたちを迎えます!」
 ▼ 46 1 15/03/24 00:14:10 ID:0x950LEo [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜最終話〜


私「……お師匠からの伝言です。」

私「『我に会いたくば、この者を倒せ。』」

アブソル「え?」

私「つまりわたしは、このおくりび山の門番というわけです。」

私「ここから先へ進むには、わたしと戦い勝つ必要があります。」

エーフィ『!』

アブソル「そんなこと、できるわけ……。」

私「……これは、わたしの希望でもあります。」

アブソル「!」
 ▼ 47 1 15/03/24 00:34:51 ID:0x950LEo [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
私「わたしは、ずっとお兄ちゃんに憧れていた。」

私「過去のわたしはお兄ちゃんの隣に居場所を求めた。」

私「貴方とふたりで幸せになりたかった。」

私「でも、それは違う!」

私「お兄ちゃんの隣には、エーフィさんこそが相応しいの。」

アブソル「……。」

私「わたしは、今日貴方に刃を向けることで、過去のわたしと決別する。」


――そう、貴方に恋をしていた妹の私はもうお終い。
これからは貴方のライバルとして、さらなる高みを目指していく。
 ▼ 48 1 15/03/24 00:36:37 ID:0x950LEo [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告

私「これは……、わたしなりのけじめよ!!」

私は天に向かって吼える。身体の内から力がみなぎる。

アブソル「これは!?」

私は光に包まれ身体の変化に身を委ねる。


――光が収まり、兄の驚く顔が目に映る。

アブソル「まさか、お前まで!」

私「ふふっ、驚いた?」

私「さあ、戦いましょ?」
 ▼ 49 1 15/03/24 00:37:41 ID:0x950LEo [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
アブソル「……。」


私「『我の弟子ぞ。遠慮は要らぬ。』」


アブソル「!!」

私「お師匠の言葉よ。」

エーフィ『クスッ。懐かしいわね。』

アブソル「……ああ。あの時もそうだった。」

兄はこの言葉で吹っ切れたようだ。

アブソル「彼女の弟子は……手強い!!」

兄は天に向かって吼える。
光に包まれ収まった先には、私と同じ姿の兄が立っていた。

アブソル「戦うからには、妹とて容赦はしない。いいな?」

鋭い眼光、溢れ出る闘志。
言葉に嘘はない……本気だ。
 ▼ 50 1 15/03/24 00:40:24 ID:0x950LEo [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
私「ふふっ。」


――嬉しい。

どんな時でも私と真剣に向き合ってくれる。
やはり貴方は最高の兄だ。

私「幸せボケで腕は落ちていないかしら?」

私「わたしの3年間見せてあげる!!」


アブソル「いくぞ!!」

私「いくわよ!!」


お兄ちゃん、今の私を見てください。
素敵な女性になったでしょ?



――これからは貴方のライバルです。



――おわり――
 ▼ 51 テッコツ@チイラのみ 15/03/24 00:44:08 ID:1fEONLyk NGネーム登録 NGID登録 報告
乙でした
いやー糞スレ見たあとの神SSは
一段とよく見えますなぁ
 ▼ 52 1 15/03/24 00:47:35 ID:0x950LEo [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
と、いうわけでアブソル妹編でした。

支援くださった方感謝です。
とても励みになります。

ありがとうございました。
 ▼ 53 ルガー@しんかいのウロコ 15/03/25 08:25:57 ID:aBBOxS8Y NGネーム登録 NGID登録 m 報告

これは良ssだわ
これからも期待するよ
 ▼ 54 フォクシー@きれいなぬけがら 15/03/25 22:37:21 ID:E8d5zXuY NGネーム登録 NGID登録 報告
次回作はあるのかな?これ
どちらにせよ、2作品まとめて良ssだった。乙
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