思いつくままにポケモンの恋愛系SSを書いていくスレ:ポケモンBBS(掲示板) 思いつくままにポケモンの恋愛系SSを書いていくスレ:ポケモンBBS

  ▼  |  全表示657   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

思いつくままにポケモンの恋愛系SSを書いていくスレ

 ▼ 1 ブネーク@マトマのみ 18/01/28 00:19:23 ID:WjjhBx2U [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
・『進化』(イーブイ♀×リザードン♂)

イーブイ「うーん・・・やっぱりニンフィアかなぁ」

リザードン「どうしたんだイーブイ、悩み事か?」

イーブイ「あ、リザ君!あのね、私もそろそろ進化の頃合いかなって思って」

リザードン「へぇ、進化の」

イーブイ「うん!で、私たちイーブイって進化先がたくさんあるでしょ?」

リザードン「ああ、色々あって羨ましいぜ」

イーブイ「え、リザ君は今の姿、気にいってないの?」

リザードン「そういうわけじゃないけどよ・・・」

イーブイ「私はリザ君カッコよくて好きだけどなぁ!」

リザードン「そ、そうかよ・・・//」

イーブイ「って、そうじゃなくて、何に進化すればいいか悩んでたの。リザ君は、何になってほしい?」

リザードン「あ?俺に聞くのかよ」

イーブイ「もともと聞こうと思ってたよ?」

リザードン「そうかい。そうだな・・・」
 ▼ 2 張れ◆/nxyuvdOYk 18/01/28 00:21:53 ID:SmVmSCgc NGネーム登録 NGID登録 報告
ほう
 ▼ 3 ノンド@たんちき 18/01/28 00:33:52 ID:WjjhBx2U [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
イーブイ「やっぱりニンフィアかな?ラブリーで可愛いもんね!」

リザードン「ニンフィア・・・かぁ・・・」

イーブイ「それともエーフィみたいなおしとやかな感じの方が好き?ブースターもいいかも!タイプお揃い〜♪」

リザードン「そうだな、グレイシアかリーフィアになってくれたら喧嘩になっても楽に勝てていいかもな」

イーブイ「・・・サンダースかシャワーズだな、進化の石探さなきゃ」

リザードン「わりぃわりぃ、冗談だって!」

イーブイ「もう・・・真剣に考えてよ・・・」

リザードン「そうは言ってもよ、お前が自分で考えるべきなんかじゃないのか?」

イーブイ「へ?」

リザードン「進化なんて、大事なことなんだからよ・・・自分のことは自分で決めろよ」

イーブイ「大事なことだからリザ君に決めてほしいんだよ!」

リザードン「は・・・?」

イーブイ「私の大切なことだから、私の大切な人に決めてほしいんだよ?それに、リザ君の好きな私でいたいし・・・」

リザードン「・・・バカだな、どんなお前でも好きにきまってんだろ」

イーブイ「キャー//恥ずかしいよもう何言ってるの〜?」バンバン

リザードン「いてぇいてぇ!やめろって!」

イーブィ「えへへ、ごめんごめん」

リザードン「・・・俺、ブラッキーがいいと思うぜ」

イーブイ「ブラッキー?でもブラッキーって男の子っぽくない?私♀だしなぁ」

リザードン「お、俺は太陽だ!」

イーブイ「へ?」

リザードン「炎の光でお前を照らしてやれる。特性ひでりにもなれるしな。だから、お前は、ブラッキーになって月の様に俺を見守ってほしいんだよ」

イーブイ「リザ君・・・」

リザードン「・・・・・」

イーブイ「フフッ」

リザードン「なっ」

イーブイ「キャハハハハ!!何言ってるの〜リザ君も〜よくわかんない〜!!」

リザードン「なんでよくわかんねぇんだよ!てか笑うな!!」

イーブイ「だって、もう・・・フフフッ!!」

リザードン「チッ、言うんじゃなかったぜ・・・」
 ▼ 4 ッチール@ジメンZ 18/01/28 00:44:02 ID:WjjhBx2U [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
イーブイ「・・・うん、私、ブラッキーになるね」

リザードン「いいのか?」

イーブイ「だって、リザ君が真剣に考えてくれたんだもんね!私のために!」

リザードン「・・・ま、まぁな」

イーブイ「それに、リザ君はこの姿が一番好きだって思ったら・・・うん!ブラッキー!いい感じ!!」

リザードン「単純な奴だな・・・」

イーブイ「そ、そんなことないもん!!」



ブラッキー「聞いてよリザ君、今日女の子に告白されて・・・やっぱりこの姿って、可愛いっていうより、カッコイイ・・・?」

リザードン「おれはお前のその姿、可愛いと思うし好きだけどな」

ブラッキー「!!私もリザ君好き!!!」ギュッ

リザードン(・・・女にモテる分には問題ないだろうっていうのもブラッキーを推した理由の一つだって言ったら、こいつ怒るかな・・・)


『進化』・・・おしまい
 ▼ 5 ンタロス@ホズのみ 18/01/28 00:45:30 ID:rMaLpQa2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援

次はブースター♀とリーフィア♂で頼むわ
 ▼ 6 ニーゴ@くろいメガネ 18/01/28 00:55:50 ID:O7vI04qM NGネーム登録 NGID登録 報告
エルレイドとサーナイトでお願い
 ▼ 7 ルマユ@タウンマップ 18/01/28 01:30:06 ID:WjjhBx2U [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
『にほんばれを覚えた理由』(ブースター♀×リーフィア♂)

ブースター「行くぞぉ!にほんばれ!」ピカァッ

シャワーズ「うぅ、眩しい!!」

グレイシア「日本晴れで日差しが強くなったわ!これで水タイプの技の威力は下がって炎タイプの技の威力はあがる!!」

エーフィ「相性の差が軽減されるわ・・・どっちが勝つのかしら?」

ブースター「よぉし!!捨て身タックル!!」

シャワーズ「キャァァ!!」

ミュウツー「そこまで!この勝負、ブースターの勝ち!」

グレイシア「凄い、相性不利にもかかわらずブースターが勝ったわ!」

ブースター「やったぁ!!」

ミュウツー「補助技を巧みにつかった見事なバトルだったな。みんなも今のブースターを見本におのおの精進してくれ」

キーンコーンカーンコーン

ミュウツー「時間か。ではこれにて、バトルの授業を終了する」

「はーい!」


シャワーズ「ねぇ、ブースター」

ブースター「なぁに?シャワーズ」

シャワーズ「いや、どうしてにほんばれなんて技覚えてるのかなって」

ブースター「え?」

シャワーズ「いや、確かに私は今日はにほんばれのせいで負けたけど!でも技スペースの問題とかあるじゃない?勿体ないんじゃないかなーとか思ったり思わなかったりして・・・」

ブースター「うーん・・・それはね・・・」

シャワーズ「それは・・・?」

ブースター「秘密!」

シャワーズ「ええ〜!?そんな秘密にするようなことなの!?」

ブースター(秘密だよ〜、私がこの技を覚えようと思ったのには深い理由があるんだから・・・!)


リーフィア「や〜っと昼休みだぁ!!腹ペコだよぉもう・・・」

サンダース「俺もう弁当残ってねぇ・・・買ってくるか」

ブラッキー「早弁で食べつくしたのか・・・」

ブースター「リーフィアくーん!!」

リーフィア「あれ?ブースター?」
 ▼ 8 ルガモス@ダートじてんしゃ 18/01/28 01:30:42 ID:GLPXivgg NGネーム登録 NGID登録 報告
俺らが書くんじゃないのかよ
 ▼ 9 リュウズ@たいようのいし 18/01/28 01:41:17 ID:WjjhBx2U [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ブースター「一緒にお昼ごはん食べよ?」

リーフィア「え、どうしたの急に」

ブースター「リーフィア君に見てもらいたいものがあるの!」

リーフィア「え、えーと・・・」チラッ

ブラッキー「サンダースには説明しといてやる。行ってきたらどうだ?」

リーフィア「分かった、いいよ」

ブースター「じゃあ屋上に行こう!」

リーフィア「え、屋上!?」

ブースター「うん!行こう行こう!」

リーフィア「え、ちょ、ちょっと!」

ブラッキー「ふむ・・・」

サンダース「おっす〜、あれ、リーフィアは?」

ブラッキー「逆ナンされてったぞ」

サンダース「はぁ!?」


ブースター「そぉれ!」ピカァ

リーフィア「うわっ、眩しい・・・あ」

ブースター「どうでしょう!」

リーフィア「にほんばれ・・・?日差しが強くてなんだか・・・」

ブースター「なんだか・・・?」

リーフィア「気持ちいい〜・・・」

ブースター「ほんと!?(よし!作戦成功!特性ようりょくそ、得意技こうごうせいのリーフィア君には、絶対にほんばれを使うと仲良くなれると思ってたよ!)」

リーフィア「でもどうしてにほんばれを?」

ブースター「ふぇ!?えっと、ほら・・・私炎対応だから水タイプ対策に・・・」

リーフィア「なるほど〜・・・すっごく気持ちいい・・・あ、なんだか・・・眠たくなってきちゃった・・・」

ブースター「え?リーフィア君?お昼ごはんは?」

リーフィア「Zzz...」

ブースター「・・・うーん・・・にほんばれを使って仲良くなって、一緒にお昼ごはんを食べてもっと仲良くなろうって作戦だったんだけど・・・でも・・・」

リーフィア「むにゃむにゃ・・・気持ちいいよぉ・・・」

ブースター「リーフィア君の寝顔、可愛いなぁ//」
 ▼ 10 テノ@たからぶくろ 18/01/28 01:43:30 ID:rMaLpQa2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
えろ?
 ▼ 11 レフワン@ホイップポップ 18/01/28 01:49:00 ID:WjjhBx2U [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ブースター「リーフィア君!お昼休み終わっちゃうよ!!」ユサユサ

リーフィア「うーん・・・ん?え!?そんなに寝てた!?」

ブースター「うん・・・お昼ごはんどうする・・・?」

リーフィア「うっ・・・お腹すいた・・・ま、いっか!放課後食べるよ。今日はありがと!ブースターも早く教室戻ったほうがいいよ?」

ブースター「うん!リーフィア君、また、一緒にここでお昼食べてもいいかな?」

リーフィア「うん、いいよ。次は寝すぎて食べ損なわないようにしなきゃ・・・」

ブースター「フフッ、ありがとう!(なんだかいい感じかも・・・!にほんばれ覚えた甲斐があったなぁ!!)」


リーフィア「ブースター、近くで見ると結構可愛かったかも・・・それに優しいなぁ・・・実はにほんばれ自分で使えること言っちゃったら、一緒にご飯食べてくれなくなっちゃうかな・・・」


『にほんばれを覚えた理由』・・・おしまい
 ▼ 12 バルドン@こだいのぎんか 18/01/28 01:50:25 ID:UPVyYjww NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 13 フォクシー@きぼんぐり 18/01/29 00:41:55 ID:Nem0iYxU [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
『俺の特権、私の特権』(エルレイド♂×サーナイト♀)

エルレイド「・・・・・」ジーッ

エンペルト『いやぁ、今日観覧の皆さんはラッキーだね!』

『ええぇぇぇぇ!?』

ゴウカザル『誰だよ!ゲスト誰だよ!』

ドダイトス『呼べよ!早く呼べよ!』

エンペルト『呼ぶよ今から!では本日のゲストは女優のサーナイトさんです!!』

サーナイト『よろしくお願いします』

『キャァァァァァ!!!』

ドダイトス『えぇぇぇぇ!?出てくれるんだこういうの!』

エンペルト『いやぁ、お忙しい中よくきてくださいました』

サーナイト『私もこの番組好きでよく見てて、出たいなぁと思ってたので』

ゴウカザル『ほんとぉ!?番宣じゃないのぉ?』

エンペルト『失礼だぞお前!えーとサーナイトさん、今日は番宣ではないですよね?』

サーナイト『えーこの後すぐ私が主演のドラマ・・・』

エンペルト『いや番宣かーい!!!』

『アハハハハハハ』

エルレイド「フフッ・・・さて、そろそろかな?」

ガチャ

サーナイト「ただいまぁ!!」

エルレイド「お帰り、サナ」

サーナイト「今日も私頑張った〜!お疲れだよ〜エル〜!!」

エルレイド「はいはいお疲れ様。ご飯できてるけど、先にお風呂にする?」

サーナイト「もう腹ペコ・・・ごはん食べる」

エルレイド「じゃあ一緒に食べようか」

サーナイト「エルも食べるの待っててくれたの?」

エルレイド「二人で食べた方が美味しいからね」

サーナイト「もう〜、エルったら・・・」

エンペルト『さてサーナイトさんは今年の春に結婚されたことがニュースになりましたが・・・』

サーナイト「あっ、これ・・・」
 ▼ 14 シデ@ジュナイパーZ 18/01/29 00:53:56 ID:Nem0iYxU [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
サーナイト『はい、今は夫婦二人で暮らしてます』

サーナイト「私が出た回の・・・見てたの?」

エルレイド「うん、折角だしね」

サーナイト「恥ずかしいよ・・・」

エンペルト『じゃあ旦那さんのご飯とかも作ったりするの?』

サーナイト『基本夫が作ってくれるんですけど、休日とかは・・・』

エルレイド「・・・作ってくれたことあったっけ?」

サーナイト「あ、あるよ!」

ゴウカザル『得意料理とかはあったりするんですか?』

サーナイト『得意というほどではないんですけど・・・オムライスとか』

エルレイド「オムライス・・・」ジーッ

サーナイト「うっ・・・ほ、ほら!テレビだし、イメージもあるし!そういうのは許してほしいな〜なんて・・・」

エンペルト『旦那さんが専業主夫なんだっけ、旦那さんの料理は美味しいの?』

サーナイト『はい、とても上手ですよ。撮影終わりで遅くなってもご飯作って待っててくれて、最近ドラマの撮影とか大変な時期でも一日頑張れるんです』

『ヒュー!!!』

エルレイド「・・・許そう//」

サーナイト「よかったぁ!」

エルレイド「まあ別に怒ってもないけどさ」

サーナイト「今日も美味しいよ、エル♪」

エルレイド「そう言ってもらえてうれしいよ」

エンペルト『夫婦生活で困った点とかあります?』

エルレイド「むっ」

サーナイト「あー、なんて言ったかな・・・」

サーナイト『そうですね・・・普段はとてもカッコいいんですけど、寝言とか・・・』

ゴウカザル『寝言!?』

エルレイド「ね、寝言?」

サーナイト「あー、そうだそうだ!」

サーナイト『どんな夢寝てるのかわかんないんですけど、時々サナ〜・・・って、サナ〜俺を捨てないでくれ〜って嘆いてたりするんです』

『アハハハハハハ!!!』

エルレイド「は、はいっ!?」
 ▼ 15 ドクイン@ぐんぐんこやし 18/01/29 01:05:32 ID:Nem0iYxU [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
エルレイド「な、なにこれ・・・」

サーナイト「困ったことなんてそうそうないからね、絞り出して言ったんだけどウケてよかった〜、エルのおかげね!」

エルレイド「いやいやいや、俺こんなこと言ったの!?」

サーナイト「聞く?」

エルレイド「録音あるの!?」

エンペルト『さて街角で聞いたサーナイトさんのイメージですが・・・こちら!』

ドダイトス『清楚、綺麗、賢い・・・凄い、やっぱりプラスなことばかりだ』

エンペルト『これは当たってますかねサーナイトさん』

サーナイト『いえいえ、全然・・・』

エンペルト『うっそだぁ!!』

エルレイド「清楚、賢い・・・ねぇ」

サーナイト「な、何よぉ・・・」ジトッ

エルレイド「そうかなぁって思って」

サーナイト「もう・・・でも綺麗、は認めてくれるんだ」

エルレイド「ま、まぁ、綺麗なんじゃないの?」

サーナイト「もーエルったら!」

ゴウカザル『やっぱ私生活もしっかりしてそうですよね』

ドダイトス『部屋とかすっげぇ片付いてそうだな!』

エルレイド「今サナの部屋すっごい散らかってるよね」

サーナイト「なっ!?」

エルレイド「ちゃんと片づけなよ?」

サーナイト「うぅ・・・時間ない・・・」

エルレイド「もう・・・しかし、こうしてみると、全然世間のイメージと違うよね」

サーナイト「仕方ないでしょ、外ではやっぱりちょっとシャンってしなきゃ・・・これでも本格派女優で売ってるし!」

エルレイド「俺は昔からサナといるし、俺の知ってるサナの方が当たり前だから、なんかこういうテレビで猫かぶってるサナ見るの面白いなぁ」

サーナイト「猫かぶってる言うな!」ジジジ

エルレイド「やめてやめてやめてサイキネ解いて」

サーナイト「もう・・・」

エルレイド「・・・でもサナは外で有名だけど、俺だけが知ってるサナがいるのって、凄い嬉しいよ」

サーナイト「いまさら何〜?」
 ▼ 16 レッグル@のんきのおこう 18/01/29 01:16:02 ID:Nem0iYxU [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
エルレイド「こんな、ちょっとだらしないけど可愛いサナが見れるのは、世界中で俺だけの特権だな」

サーナイト「もう、何よそれ〜。じゃあ、エルの美味しいごはんが食べられるのは私だけの特権ね!」

エルレイド「サナの特権、それだけ!?俺の価値はご飯だけか!」

サーナイト「あとボディガードね。格闘タイプだから、一緒にデートしてて誰かに私が迫られても、ちゃんと守ってくれるもんね!」

エルレイド「おう!インファイトで一網打尽だ!」

サーナイト「一網打尽って、なんで対複数前提なのよ・・・ねぇ、エル」

エルレイド「なに?」

サーナイト「好きよ、エル」

エルレイド「なんだよ、改まって」

サーナイト「何度でも言わなきゃ不安になるの。仕事柄、こんなこと誰にでも言うんだから。でも、あなたに好きだって伝えられるのは私だけ。それが、一番の私の特権」

エルレイド「・・・そ、そっか」

サーナイト「ふふっ♪ごちそうさま!私お風呂入ってくるね!」

エルレイド「ああ」

サーナイト「フーンフフーフフーン♪」


エルレイド「サナが誰に好きだって言っても言われても、その回数はきっと俺には敵わない。俺は世界一の幸せ者なのかもしれないな・・・さ、片づけるか!」


『俺の特権、私の特権』・・・おしまい
 ▼ 17 イノーズ@とうめいなスズ 18/01/29 01:16:27 ID:vVLbp5Pk NGネーム登録 NGID登録 報告
ありがとう……(成仏)
 ▼ 18 ルーグ@ブロムヘキシン 18/01/29 11:40:06 ID:62OtgonU NGネーム登録 NGID登録 報告
お疲れさま
 ▼ 19 グレー@スピーダー 18/01/29 12:00:04 ID:Nem0iYxU [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
『素直な気持ちで』(ルカリオ♀×エネコロロ♂)

「ねえあれ見て!ルカリオ先輩よ!」

「キャー!今日もカッコイイ!!」

「・・・・・・はぁ」

カッコイイなどと言われても、嬉しくないのだがな。

格闘・鋼タイプで凛々しい顔つき、古くから伝わる英雄譚など、ルカリオという種にあるイメージは華々しいもので、同胞の男たちも女子からよく人気を博すると聞く。

「・・・なのに、どうして私は♀に産まれてしまったのだろうな・・・」

「やっほールカリン!どうしたの?浮かない顔して〜」

「・・・エルフーン。なんだ?その頭の・・・」

「これ?新発売のリボンだよ!可愛いでしょ〜」

「・・・まあ、そうだな」

「ルカリンもアクセサリーとかつけてみたら?」

「・・・リボンを?私がか?」

「リボンとか可愛いのはルカリンには似合わないよ〜!でも、シルバーのネックレスとか〜」

「・・・・・」

本当は、私もエルフーンのつけているような可愛いリボンとかつけてみたいのだが・・・

・・・エルフーンには悪気はないのだが、こうもあっさり似合わないと言われると、傷つくな・・・



「じゃあね〜ルカリン!また明日〜!」

「ああ」

エルフーンは素直でとても可愛らしい、とても女の子っぽい女の子だ。学校の男子からも人気が高い。

「・・・私もあんな風に笑えたら、もっと男子たちの目を引くことができるだろうか・・・」

エルフーンに比べて私はというと、クールで、素っ気無くて、ガードが堅い・・・そもそも恋愛事になど興味がない。そんな風に思われているようで、ルカリオという種に付随するイメージばかりが先行して誰も本当の私など見ようとしてくれない。

私自身も、自分のことを素直に表に出していくことができないのだから、それも仕方ないのだが・・・。ああ、本当は私だって可愛いものに目がない普通の女子なのに!白馬の王子様と出会って恋をして、素敵なデートをしてみたいのに!!

「おいお前どこ向いて歩いてるんだよ!!」

「ご、ごめんなさい・・・」

「なんだお前♂か?♂の癖に随分ナヨナヨしたやつだな!」

「エネコロロの癖に♂とか気持ちわりぃww」

「うぅ・・・」

・・・ん?あれは・・・
 ▼ 20 ャロップ@ソクノのみ 18/01/29 12:20:23 ID:Nem0iYxU [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おい、やめないか!」

「あぁ!?なんだおま・・・ル、ルカリオ!?」

「なにしゃしゃり出てきてんだオラァ!」

「おい、やめようぜ!こいつ♀の癖にマジで強いって噂なんだよ!」

♀の癖に・・・?

「引かないというなら私が相手してやってもいいのだが・・・」

「ひっ・・・に、逃げるぞ!」

「お、おう!!」

全く、つまらん。少しにらみを聞かせただけで逃げていくなど、肝の据わっていない男ほど醜いものはないな。

・・・私は、それほど怖いのだろうか・・・

「あ、た、助けてくれてありがとうございます・・・」

「別に礼に及ばないさ、これくらい」

「あの・・・僕、エネコロロって言います!」

「・・・ルカリオだ」

「ルカリオさん!何かお礼をさせてくれませんか?」

「別に礼などいらない。それでは失礼するぞ」

「あ、ルカリオさん!!行っちゃった・・・あ、あれ?」

あの卑劣な男たちに絡まれていたエネコロロという男子も、きっと私のことを怖いと思ったのだろうな・・・お礼など、無理をさせてはいけない。それよりも早く家に帰ろう、家にいる間は可愛いものを愛でていても、誰にも見つかる心配がないからな・・・



「ねぇねぇルカリン昨日のドラマ見た〜?」

・・・どうしよう・・・私が毎日こっそり学校に持ってきていた縫いぐるみが無くなっている・・・

「ルカリン?聞いてる?」

「あ、ああ・・・えっと、何の話だったか」

「大丈夫?なんかボォ〜っとしてるけど・・・」

「だ、大丈夫だ・・・何もない」

気づいたのは昨日家に帰ってからだ。恐らく学校で落としたのだろう、職員室に届けられている可能性もあるが・・・仮にそうだとして、なんと言えばいいんだ?私があのファンシーな、お着替えピカチュウの縫いぐるみを持っているなどとしれたら・・・恥ずかしいじゃないか!

「なんか変な汗かいてるけど・・・」

「気のせいだよ、気のせい!」

・・・友達の落とし物を取りに来た、という体で取りに行けば・・・いやしかしそれも・・・

 ▼ 21 ンテイ@きよめのおこう 18/01/29 12:53:54 ID:Nem0iYxU [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ルカリオさん!!」

「ん?」

エネコロロ・・・?いったい何の用だろうか・・・

「誰〜?ルカリンの知り合い?」

「ああ、まぁ・・・どうしたんだ?私に何か用か?」

「どうしても昨日のお礼がしたくて・・・クッキー焼いてきたんです!どうか受け取ってもらえませんか?」

「クッキーを?別にいいと言ったのに・・・いや、折角だし、ありがたく受け取っておこう。ありがとうな」

「お礼〜?ルカリン何かしたの?」

「別になにもないさ」

「あと、これ・・・」

「!?」

お、お着替えピカチュウの縫いぐるみ・・・あの時落としていたのをエネコロロが拾っていたのか!?

「ルカリオさんが落と・・・」

「っ、来い!」

「え、うわっ!?」

「へっ!?ルカリン!?」



お、落としたとこまで見られていたのか・・・学校の生徒に、私が可愛いもの好きだっていうのがバレてしまう・・・!いや、でもこれは、私が殻を破るいい機会なのでは・・・でも・・・

「きゅ、急にどうしたんですか?ルカリオさん・・・」

「そ、それは私のものなのだが・・・」

「は、はい!そうですよね、ルカリオさんが落とされてたので・・・」

「・・・こんななりで、こんな感じで、縫いぐるみとか可愛いものが好きだなんて・・・おかしいだろ?だから、ほんとは周りには秘密にしてて・・・だから、その、すまない・・・」

「あ、僕が教室でこの縫いぐるみを出しちゃったから・・・」

「いや、エネコロロは何も悪くないんだ・・・その、ありがとう。大切なものだから、無くしてどうしようかと思ってたんだ・・・そ、それじゃ!」

「ル、ルカリオさん!」

ああ・・・もう顔が真っ赤だ。恥ずかしすぎてどうにかなってしまいそうだ・・・学校の男子に、こんな、醜態を・・・やはり私には無理だ!エネコロロが他の生徒たちに秘密にしてくれたらいいが・・・

「恥ずかしくなんてないですよ!ルカリオさん!」

「!?」

「全然恥ずかしくないですよ、そんなこと」

「エネコロロ・・・」
 ▼ 22 ジギガス@ゴーストメモリ 18/01/29 14:00:07 ID:Nem0iYxU [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「僕・・・ルカリオさんのこともっと知りたいです。カッコイイ人だなって思ってたけど、可愛いものが好きだとか、ルカリオさんもかわいらしいところがあるんだって思うと、なんだか嬉しいです」

「なっ・・・//」

「ごめんなさい、失礼ですよね。でも、そういうとこって誰にも見せてないんですよね?」

「ま、まあ・・・」

「じゃあ僕だけの秘密だ♪」

「うぅ・・・」

なんだ、この感じは・・・心臓がキュッと掴まれるような・・・不思議な感覚だ。母性本能をくすぐられるというのはこんな感じを言うのだろうか・・・

「お、お前は・・・クッキーを焼いてきたり、そんな風にかわいく笑ったり・・・私より随分女らしいやつだな。私はお前みたいになりたいよ」

「お、女らしいなんて・・・これでも気にしてるんですよ?」

「あ、す、すまない・・・」

今まで何度も男みたいなやつだと言われて、その時の気持ちは私が一番分かってたはずなのに・・・傷つけてしまっただろうか。

「・・・エネコやエネコロロって、♀の方が多い種族なんです。僕の家族も姉や妹ばっかりで、男は僕だけ・・・それにこんな見た目だし、それに僕って弱いから・・・」

「エネコロロ・・・」

「でも、僕だって強くなりたいんです。バトルの練習だってしてるんですよ。いつかは女の子のことを守れるような強い男になれるように!」

「そうなのか・・・」

エネコロロは、自分の弱いところに真正面から向き合って、克服しようとしてるのだな。道は長いかもしれないが、心の芯はとても強い、偉いやつだ!!

「・・・お前は凄い奴だな。私もお前の強さを見習わなくてわな」ポン

「あ、だ、ダメです!ルカリオさん!」

「ん?どうした?」

「・・・だ、大丈夫ですか?なんともないですか?」

「私か?私は別に何とも・・・!」

あ、あれ・・・

「ほっ、それならよかった・・・僕の特性は」

「ちっ、近い!」バッ

「え・・・?」

な、なぜだ、急にエネコロロの顔を見ることが・・・

「も、もしかしてやっぱり・・・」

む、胸が苦しい・・・顔が赤くなるのが分かる・・・心がキュンとして、顔を見るのも、声を聴くのも苦しい・・・でも、求めてしまう!

「お、落ち着いて聞いてください、ルカリオさん。今僕に触れた時に、僕の特性が発動して・・・」

これが・・・恋というやつなのか・・・?
 ▼ 23 テッコツ@いわのジュエル 18/01/29 14:13:08 ID:Nem0iYxU [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「っ・・・き、聞いてくれ!エネコロロ!」バッ

「ル、ルカリオさん!?」

「私のことをもっと知りたいと言ったのはお前だろう!?」

「確かに、そう、言いましたけど・・・でも、今は」

ダメだ、止められない・・・この気持ちの高ぶりは・・・恋というのはこれほどに・・・

「私は、お前に恋してしまったらしいんだ!こんな気持ちは初めてなんだ、どうか、どうか私の気持ちを受け入れてくれないか!!」

「ル、ルカリオさん!」

「私と付き合ってくれないか!?」

「ダメです!ルカリオさん!!」

「ダメッ・・・!」

今・・・私はフられ・・・

これが・・・失恋・・・

「メロメロボディなんです!僕の特性!!ルカリオさんは今、メロメロ状態になってしまって・・・」

「メロメロ・・・ボディ・・・?」



「あああ・・・私は何という醜態を・・・忘れてくれ忘れてくれ!驚かしてしまって悪かった!!」

「いえ、僕がいけないんです・・・何も話さずにルカリオさんに近づいてしまったから・・・」

ああ・・・メロメロ状態のせいとは言え、勢いで・・・あんな・・・いっそ死んでしまいたい・・・

「・・・その、付き合うとか、そういうのかは分かんないですけど・・・僕は、ルカリオさんのこと好きですよ。そうやって恥ずかしがってる姿とか、とてもかわいらしくて」

「か、からかうのはやめてくれないか・・・」

「だからもっと仲良くなりたいです。友達になってくれませんか?」

「友達に・・・」

・・・あんな醜態まで晒してしまって、もう、エネコロロの前でこれ以上に恥ずかしいことなんて、ないのだろうな・・・

「そうだな、友達になろう。これからよろしくな、エネコロロ」

「!!・・・はい!」

それなら、エネコロロの前では、もっと素直な私でいられるだろうか・・・


「聞いてくれエネコロロ!今度お着替えピカチュウのコラボカフェが期間限定でオープンするんだ!!一緒に行かないか!?というか来てくれないか!?」

「ははは・・・ルカリオさんって、ほんとは凄いアクティブな方なんですね・・・」


『素直な気持ちで』・・・おしまい
 ▼ 24 クラビス@ドラゴンメモリ 18/01/29 14:24:15 ID:cmWIeLj. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援!
 ▼ 25 tQb4dKoPUA 18/01/29 22:04:19 ID:WVksYAqk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
オチまで可愛くて和む
支援
 ▼ 26 ガタブンネ@たからぶくろ 18/01/29 22:09:46 ID:qmb1Wmhw NGネーム登録 NGID登録 報告
カイリキー×フーディン
 ▼ 27 ブライカ@じゃくてんほけん 18/01/29 22:56:59 ID:dgatYrd2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ミミッキュ♀×ジュナイパー♂お願いします
 ▼ 28 ガハッサム@みどりのプレート 18/01/30 01:24:40 ID:vAChFA7Y [1/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
『一生モノの縁』(カイリキー♂×フーディン♀)

ホウエンに、仲の良い少年と少女がいた。

少年と少女はある日、それぞれ同じ日に旅に出た。

旅に出るとき、二人はひとつ約束をした。

今日からちょうど一年後に、お互いのポケモンと一緒にここで集まって、旅の成果を見せよう。

少年は旅の途中、ケーシィを捕まえた。

少女は旅の途中、ワンリキーを捕まえた。

少年は他のポケモン達と同様、ケーシィにも愛を注ぎ、ユンゲラーに進化させた。

少女もまた同じように、ゴーリキーに進化させた。

少年少女は、ユンゲラーが、ゴーリキーが、通信交換にて進化することを知った。

示し合わせたわけではなかったが、二人は旅の始まりから一年経つまで、ユンゲラーを、ゴーリキーを進化させなかった。

そして旅の始まりから一年たった日、二人は再会した。

二人は、ユンゲラーとゴーリキーを交換した。

ユンゲラーはフーディンに進化した。

ゴーリキーはカイリキーに進化した。

二人は、当然元の持ち主の元に好感しなおしてもよかったが、

離れていてもお互いにつながっていることの証として、

どちらからともなく、そのままにして旅を続けようという提案をした。

フーディンは、カイリキーは、それを了承した。

主人たちの思いを託された二匹は、とても誇らしかった。

フーディンは初年を愛していた。

カイリキーは少女を愛していた。

二人は、また一年後にここで会おうと約束した。

少年は、バトルを極めるためにホウエンから飛び出し、世界を巡った。

少女はホウエンに残り、コンテストを極めんとした。

フーディンは少女の愛に触れた。

カイリキーは少年の愛に触れた。

そして、また一年が経った。

少年と少女は再会した。

フーディンとカイリキーは再会した。
 ▼ 29 ガバンギラス@ちからのハチマキ 18/01/30 01:38:25 ID:vAChFA7Y [2/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「久しぶりね、カイリキー」

「おう!フーディン!お前の主人は元気にしてたか?」

「・・・そうね、大きな病気もなく元気よ」

「そりゃよかった!ま、お前がついてるなら問題ないとはおもってたけどよ!」

「随分買ってくれるのね、私たち会うの二回目じゃなかった?」

「そうだっけか?でも、お前のことならなんでも知ってるぜ!主人が俺の顔を見るたびにお前の話をするからよ!」

「私のご主人様もそうだわ。思い出すのかしらね」

「なんだかんだ寂しいんだろうな!まあ、俺のこともちゃんと信頼してくれてるからいいけどよ」

「そうね、私は今のご主人様の方が好きだわ」

「なんだよ、主人のこと嫌いだったのか?」

「そうは言ってないでしょ、あいつは心配性で慎重すぎるのよ。回復もマメだし、煩わしかったのよ」

「確かに、少しの傷でも心配して回復してくれるな!俺はそういうところ好きだぜ?」

「それに、ご主人様は少し抜けているところがあるでしょ?私が守ってあげないとって思うと、不思議と魅了されていたわ」

「ま、主人はしっかりもんだしな。俺はお前の主人の元にいる時も楽しかったけど、やっぱコンテストよりバトルの方が肌に合ってるぜ」

「ま、あんたみたいなのには難しいでしょうね」

「お前こそどうなんだよ。随分不愛想なイメージだけど、コンテストなんてできんのか?」

「見る?」

「うぉっ、このリボン全部!?」

「そう、コンテストリボンよ。これでも結構やるのよ?私たち」

「こりゃあ、お前の主人にとっちゃ交換は正解だったかもな・・・俺も主人のために戦って、たくさんのバッジの獲得に貢献してきたつもりだけどよ」

「そう。ところで、そのリボンは・・・」

「なんだ、わかんねぇのか?」

「分かるわよ、これでしょ?いわば、ルーキークラスのリボンじゃない」

「俺はこれ一つしか取れなかったからな・・・ふがいない話だけどよ」

「そうね」

「でも、今でも宝物だ」

「・・・・・・」

「今の主人も、前の主人も、俺たちはほんとトレーナーに恵まれたよな」

「まぁ、否定はしないわ」

「素直じゃねぇな〜」
 ▼ 30 ラージェス@カムラのみ 18/01/30 01:48:11 ID:6yQfIVlo [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゲンガー♂とムウマージ♀でここはひとつ
 ▼ 31 ユルド@エドマのみ 18/01/30 01:51:25 ID:vAChFA7Y [3/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・なぁ、フーディン」

「なに?」

「いや、奇妙なもんだと思ってよ。進化の瞬間を思い出すたび、俺はお前のことを思い出すんだと思ってな」

「そうね、厄介な進化の仕方をしたものだわ」

「お前の話はたくさん主人から聞いたが、それでもお前本人と会うのはこれで二回目」

「ええ」

「次に会うのも、きっと来年だろう?」

「そうでしょうね」

「お前がコンテストで成績を残して有名になれば、テレビとかで見るかもだけどな」

「あんたたちが行く場所でもホウエンのニュースがやってるのかしらね」

「はー、俺は折角だし、お前のことをもっと知りたいよ」

「別に、一緒に進化したってだけで、そこまで思い入れをもてるもんなの?」

「そうじゃねえのか?」

「私はあんたなんて別にどうでもいいわよ。ご主人様が話すあんたの話も聞き飽きたわ」

「つめてぇもんだな」

「そうでもないわ」

「・・・はぁ、俺はトレーナーには恵まれたと思うけど、恋さえ自由にままならねぇって時だけは野良のやつらを羨ましく思うぜ」

「何それ、さっきから口説いてるつもりなの?随分下手糞ね」

「あ〜、主人から聞く話だともっと魅力的な奴だって想像してたんだけどな〜」

「期待に沿えなくて悪かったわね」

「嘘だよ、聞いてた通りのやつだ。一見冷たく素っ気無いけど、意外と分かりやすくて可愛い奴だってな」

「私のどこをどう見たら可愛いなんて思うのかしら」

「ちょっと前から顔が赤いんだよ」

「・・・・・生意気なやつ」

「ははは、悪い悪い」

「・・・まあ、どうせいずれ、毎日のように顔を合わせるような日が来るわよ」

「あ〜、まあ、そうなればいいな」

「あいつが旅先で女作んないように、精々見張ってなさいよ」

「じゃあお前も、お前の主人に色目使うような男から守ってやってくれよ?」

「そうね・・・悪い男に騙されるくらいなら、あいつと一緒になる方が幾分マシだわ」
 ▼ 32 ャース@フォーカスレンズ 18/01/30 02:00:02 ID:vAChFA7Y [4/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「じゃあ、そんなときが来たら、俺たちももっとお互いのこと知れるのかもな」

「そんなに私のこと知りたいわけ?」

「知りてぇさ。俺は結構、お前とのこと運命だって思ってんだぜ?こんな縁そうそうねえからな」

「縁だけで恋できたら楽なもんよ。折角色んな地方回るんだから、もっとマシな♀探したら?」

「それもいいかもな!」

「・・・・・」

「どうした?なんか不機嫌か?」

「単純馬鹿に振り回されるのは気持ちのいいものではないわね」

「ん?なんて?」

「なんでもないわよ」

「なんだよ、気難しい奴」

「・・・まあ、とりあえず一年後のあんたとの再会は、楽しみにしといてあげる」

「へへっ、俺も楽しみだ」

「・・・じゃあ、あいつのこと、頼んだわよ?あんまり無理はしないように見ててちょうだい」

「おう!任せとけ!お前も、自分の主人のことは引き続き守ってやってくれな」

「当然よ」



一年に一度の逢瀬を繰り返し、二匹はより深くお互いのことを知っていく。

二人のトレーナーはいずれそれぞれの夢描いた世界で光り輝く存在となる。

二匹は、二人の主力の一匹としてその名を記録の殿堂に残していくこととなる。

交わった二匹の運命が、一つとなるその瞬間はゆっくりと近づいている。


『一生モノの縁』・・・おしまい
 ▼ 33 イナン@かなめいし 18/01/30 05:09:32 ID:HFjWOn5U NGネーム登録 NGID登録 報告
フライゴン×ラティアスお願いします(:D)| ̄|_
 ▼ 34 ワライド@ネコブのみ 18/01/30 10:08:01 ID:BdGhDOcw NGネーム登録 NGID登録 報告
エンニュート×ルージュラはどうかな
 ▼ 35 ックラー@こうてつプレート 18/01/30 12:39:36 ID:LGpfZjHY NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 36 ュゴン@ネコブのみ 18/01/30 12:42:28 ID:1gLiPdfA NGネーム登録 NGID登録 報告
面白い
しえん
 ▼ 37 ースター@ブロムヘキシン 18/01/30 13:20:54 ID:vAChFA7Y [5/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
『仮面』(ジュナイパー♂×ミミッキュ♀)

野良ポケモンのジュナイパーにとって、アローラの「島巡り」」という風習は関係のないものであったが、その過程の中にある「試練」というものは興味深いものであった。

「あれ、試練リタイアしちゃうの?」

「ア、アセロラちゃん!ここの試練なんかヤバいよ!!」

「アハハ、ゴーストタイプのポケモンは苦手かな?」

「いや、そういうことじゃなくて・・・ぬしポケモンを探してたら、で、出たんだよ!!」

「え〜?出たって〜?」

キャプテンと呼ばれる存在が島巡りのトレーナーに試練を行う。その試練の最後には、どうやら「ぬしポケモン」と呼ばれる存在が立ちはだかり、それはかなりの難敵であるとのこと。

そして、ここスーパーメガやすのあとちでも、その試練は行われているらしい。己の鍛錬のために、またその成果を示すためにもジュナイパーはぬしポケモンと一度、手合わせしてみたかったのだ。

「しかし、ここか・・・」

自身もゴーストタイプであるジュナイパーだが、当然かつてはモクローであった。そのころ、一度このメガやす跡地で迷子になったことがある。

優しいポケモンに出会い、一緒に遊んで友達になった気がしたのだが、何か怖いことがあって気を失い、気が付けば一人メガやすのあとちで目を覚ました。

「・・・しかし、よく思い出せないな・・・」

自身が小さかったこともあり、曖昧な記憶だ。仲良くなったポケモンの種族も思い出せない。モクローだった自分は、そのポケモンに再び会いたい気持ちもあったが、それよりかすかに覚えていた恐ろしい体験が足を引っ張り、自然とメガやすから距離を置いていた。

「・・・ま、今更恐れるものなどないのだがな」

進化に進化を重ね、鍛錬に鍛錬を重ね、今のジュナイパーはとても強くなった。目標は、ただ一匹の♂として強くなること、それのみである。今、彼が怖いものなどない。

「では、ぬしポケモンとやらに会いに行くか・・・」

かくしてジュナイパーはぬしポケモンとの対峙を己の試練として、メガやすあとちに足を踏み入れた。
 ▼ 38 ドイデ@スーパーボール 18/01/30 13:30:10 ID:vAChFA7Y [6/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
ぬしポケモンは戦闘に際し特異なオーラを放つという。更に、その姿は通常の個体より大きいと聞いた。

「大きい姿を見れば、ぬしポケモンか否か、一目で分かるだろうな」

意気揚々と進んでいくジュナイパー、戦闘を前に気合いが入っているからか、メガやすに住み着いたゴーストやゴースはジュナイパーを一目見て逃げていってしまう。

「・・・しかし・・・」

かくして最深部までたどり着いたジュナイパー。だが、ぬしポケモンとらしき姿は確認できなかった。

「・・・おや?」

辺りを見回すと、一度見逃していたのか、一つ空けていない扉があったことに気づいた。他に探していない場所もないので、意を決してジュナイパーは扉を開いた。

「頼もう!!」

扉を開け、歩みを進める。中は小部屋、隠れるような場所も見当たらない。前方にポケモンの姿は確認できない。ジュナイパーはそこでも注意深く辺りを見回した。

上、左、右、後ろ――

「!!」

「・・・やぁ」

「き、君は・・・」


これが、ジュナイパーとミミッキュの出会いだった。
 ▼ 39 コガシラ@いかりまんじゅう 18/01/30 13:49:41 ID:vAChFA7Y [7/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「でも、よくここまでたどり着いたね〜、この部屋への扉は普段見えないようにしてるんだけどね」

「見えないように?どうやって・・・」

「僕の不思議な力でね。アセロラちゃんに稽古つけてもらうときはこの部屋から出るんだけど、トレーナーさんを待つ時はこの部屋にこもってるの」

「な、なんのために・・・」

「アセロラちゃんはこの部屋の存在を知らないでしょ?だからアセロラちゃんは、奥にこんな部屋はないってトレーナーさんに言うの」

「は、はぁ・・・」

「その時のトレーナーさんの顔ったら!!」

「・・・・・」

随分といたずら好きなようであるこのミミッキュは、ジュナイパーが理解している通常のサイズのミミッキュと比べ確かに大きかった。

アセロラとはキャプテンの少女の名前、キャプテンに稽古をつけてもらっているということからも、このミミッキュはぬしポケモンに違いなかった。

だがミミッキュの方はジュナイパーを単にお客さんであると認識したのか、嬉しそうに話しを始めてしまい、ジュナイパーの方もいざミミッキュと戦闘を開始しようという気が起きていなかった。

このミミッキュが♀だったから、というのはその要因の一つだろうか。

「しかし、こんな部屋で一匹暮らしているのか、寂しくないのか?」

「寂しいよ〜、ゲンガーたちは僕の相手をしてくれるけど、それでもやっぱりね・・・」

「わざわざこんな奥の部屋に、扉を見えないようにしてまで閉じこもってる理由はなんだ?」

「んーとね、人前に出るのが恥ずかしくって・・・苦手なんだよね」

「なるほど・・・とてもそのようには見えないが・・・俺のことは平気なのか?」

「うん、平気!なんでだろね、同じゴーストタイプだから?なんか懐かしい気がするんだよね〜、来てくれて嬉しいよ!」

話を聞いているとかなり明るい娘のようで、シャイだというのも疑わしい。わざわざこんなところに閉じこもっておきながら、メガやすから出てきたトレーナーとキャプテンが話をするその瞬間はわざわざ外にでていることも不思議であった。

「嬉しいと言ってくれるのであれば、時々ここに通ってもいいか?」

「え?また来てくれるの!?嬉しい!!じゃあ、ジュナイパー君が来てくれた時は、ちゃんと扉が見えるようにしておくね!!あ、でも今日入ってこれたんだし、その必要もないのかな?」

「一応見えるようにしておいてくれると助かる」

既にジュナイパーはこの可愛いぬしポケモンに打ち勝つという思考は捨て去っていたが、それでもミミッキュにまたここへ来ることを約束した。
 ▼ 40 ビット@どくバリ 18/01/30 14:03:09 ID:vAChFA7Y [8/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
本人の弁と違い、人懐っこい性格のようであるミミッキュは、ジュナイパーのことも気に入り、彼がメガやすあとちの最後の部屋を訪れるたびに二匹の仲は深くなっていった。

何度も来訪を重ねたある日、ジュナイパーがいつものようにミミッキュの元へ訪れようと扉を開けると、

「う、うう・・・」

「・・・・・・・」

「あ、あれが・・・」

「うわぁぁぁぁぁ!!!」

まさに試練真っ最中であったためか、オーラを纏いトレーナーのポケモンを圧倒するミミッキュの姿があった。

「あ、ジュナイパー君!来てくれたんだ!!」

「お、おう・・・」


「ぬしポケモンであることは聞いてたが、あれほど強いとはな」

「えへへ、驚いた?」

試練から逃げ出したトレーナーの様子を外に出て観察することがミミッキュは好きであったが、ジュナイパーが訪れたことを知ると二人で話している方が楽しいからと部屋にとどまった。随分と好かれているものだなと思ったジュナイパーの方は最後に見たシャドークローの威力の凄まじさに少しばかりの恐れをなしていた。

「トレーナーが青ざめた顔で駆け出して行ったからな・・・」

「ジュナイパー君も、一回僕と手合わしてみる?」

「俺がか?」

「だって、最初はそのつもりだったんでしょ?」

トレーナーに対する同情の念を抱いていたら、予想外の提案を受け面くらう。まさか今更になって初めてここへ来た目的をぶり返されるとは思っていなかったからだ。

恐れを抱いたと言っても、ジュナイパーはミミッキュに負けるとは思っていなかった。自分が戦う側となると、むしろ高揚感に包まれる感じさえした。強者を前に震えるこの感じは、今のジュナイパーにはなかなか味わえないとても心地のいい緊張だ。

「・・・最初から、バレていたのか」

「だって、たのもー!って入ってきたじゃん」

「そうだったか?」

だが、ジュナイパーは今更戦う気などなかった。ここでミミッキュを一目見た時から、たとえ相手が強くとも、彼女を傷つけるような行為に抵抗を持っていた。

「・・・やめておくよ。女の子を傷つけるのは紳士じゃない」

「ふーん、それは残念」
 ▼ 41 ソハチ@かるいし 18/01/30 14:17:38 ID:vAChFA7Y [9/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・違うな、ただ、俺は君に手を挙げるようなことはできないだけだ」

「それは、♀だからってわけじゃなくて?」

「ああ・・・なあ、ミミッキュ。その布の下を、見してくれないか?」

「っ!!」

「俺たち随分仲良くなったろう。でも、俺は君の顔を見たことがない。どうか、見してくれないか・・・」

ジュナイパーは、ミミッキュという種の特性をよく理解していた。ピカチュウの恰好をして他の人たちと仲良くするため、なんて図鑑に載ってるような理由は、あくまでミミッキュが今の姿でよくみられるようになった起源を表しているだけで・・・

「・・・意地悪だね、君賢いから・・・知ってるでしょ?」

「ああ、だが、俺は弱くないさ。怖いものなど何もない」

ミミッキュの素顔を見た研究者がショック死したというエピソードはあまりにも有名で、この人懐っこいミミッキュがこのような場所で人に見つかりにくいように暮らしている理由は、そこにしか見いだせなかった。

「君は少しいたずら好きなところもあるが、とても優しい娘だ。その布一つ覆っただけの姿で外に出るのが怖かったのだろう。いつ、素顔を見られて誰かを不幸にするか、分かったものじゃなかったから」

「やっぱり、分かってるんじゃない」

「俺は、君の全てを知りたいよ。どれだけ仲良くなれたって、君と俺の間には二枚の分厚い壁がある」

そう言うと、ジュナイパーは自らの頭部を覆うフードを捨て去った。

「・・・へぇ、カッコいいね、そんな風になってたんだ。顔、よく見えなかったから、なんか、変な感じだな」

「ミミッキュ、俺を信じてくれないか」

「もう・・・強情だな」

その行為をジュナイパーの覚悟だと認めたミミッキュは、遂に諦めた様に言った。

「もう、どうなっても知らないからね!」

そういってミミッキュは、自身の体を覆う布を投げ捨てた。
 ▼ 42 ネズミ@カイスのみ 18/01/30 14:40:15 ID:vAChFA7Y [10/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジュナイパーは、現れたミミッキュの本体をジッと見据える。一時も目を逸らさない。

しっかりと、目が合うのがわかる。ミミッキュは少し照れ臭くなってキョロキョロと目を動かしたが、影縫いで縫い付けられたかのように結局はジュナイパーの視線に応えた。

ゴーストタイプのミミッキュには影縫いなんてものから逃げるのはたやすいが、それでも今その技を使われると、永遠にジュナイパーの元から逃げられない、そんな気さえした。

ジュナイパーはその目を見据えたまま、ゆっくりとミミッキュに近づくと、優しく抱き上げる。

「可愛いよ、ミミッキュ」

「・・・バカ言わないでよ」

「俺は、今の方がよほどいい」

「・・・・・もう」

「遅くなって、悪かったな」


ジュナイパーになって初めてメガやすあとちに入り、ミミッキュと出会った。

その瞬間には、それが「再会」であったことにジュナイパーは気づいていた。

かつてモクローだったころ、ここに迷い込み、それを見かねたミミッキュに助けてもらったこと。その時に見えない扉が見えるようになった出来事も、かすかに覚えていたから、再びここに来た時も扉を見つけることができたのかもしれない。

やんちゃだったモクローは、ミミッキュとすぐに意気投合し、一緒に遊んだ。その過程で、幼かった少年の心には確かに恋が芽生えていた。

だが、少年は好奇心から、嫌がるミミッキュの布の中を見てしまった。ジュナイパーは、小さな子供をひどく怖がらせ気を失わせてしまった経験が、ミミッキュに大きな影を落としていると推測したのだ。

姿を見るのは二度目だから、

あの時より強くなったから。

ミミッキュのことをよく知ることができたから、

だから、もう、怖くない。

「・・・き、君があの時のモクロー・・・君なの?」

「ああ、一目見て全て思い出せたよ。君の方は全く思い出せなかったみたいだけど」

「なんだよ、もう・・・すっかりカッコよくなっちゃってさ。思い出してたのなら、さっさと言ってくれたらよかったのに」

恥ずかしさに打ちひしがれる思いのミミッキュは、すぐに布を着なおした。

「着てしまうのか?」

「他の誰かに見られたら、その人は平気じゃないからね」

また布に身を隠してしまうのは少し残念だったが、なかなか首がたたないミミッキュの姿をほほえましく思い、ジュナイパーはそれを手伝ってやった。

「ミミッキュ、好きだ。あの時からずっと、他の誰かを思ったことなんてないんだ」

「もう、調子いいんだから・・・」

 ▼ 43 ウカザル@エレキシード 18/01/30 14:49:14 ID:vAChFA7Y [11/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
それから二匹は、時々デートに出かけた。

ミミッキュを背に乗せ、海を越えアーカラ島やメレメレ島などにも行った。

ミミッキュは今まで見たことのない世界の広さを知った。

それに感動するミミッキュの姿を見るのが、ジュナイパーは好きだった。

二人はたくさん話をし、時々はお互いを覆うものを捨て去って見つめあった。

いずれ、住処を共にし、いつ何時も二匹は一緒になった。

ミミッキュはもう、寂しくなんてなかった。

愛に満たされ、朝から晩まで幸せに続いた日々は、これからも続いていくのだろう。


「帰ったぞ、ミミッキュ・・・あれ、どこだ?」

「ワッ!!」

「!?あっ、ちょ、うわっ!!!」

ドンガラガッシャーン

「ハハハハ!!普段クールなくせに驚かした時の反応すっごい面白いから、ジュナイパー君を驚かすのはやめられないね!」

「・・・不意の事態に弱いのだけは、どれだけ精神を鍛えても直らないんだよ・・・」


『仮面』・・・おしまい
 ▼ 44 ブンネ@メガバングル 18/01/30 17:13:18 ID:uM/19kaA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ミミッキュ×ジュナイパーをリクエストした者です
ありがとうございます!
 ▼ 45 ッキー@なぞのすいしょう 18/01/30 18:42:43 ID:Evs6dXL2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
デンリュウ×ライチュウとか見てみたい
 ▼ 46 ンベ@ビアーのみ 18/01/30 18:59:45 ID:vEwMCvlU NGネーム登録 NGID登録 報告
フライゴン×グレイシア 

ピカチュウ×ミミロル


格好いい男子(女子)が女子(男子)に振り回せれるのっていいな
>>43
 ▼ 47 ュバルゴ@デボンボンベ 18/01/30 20:46:42 ID:vAChFA7Y [12/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
『Please abduct me』(ゲンガー♂×ムウマージ♀)

チャーレム「暗夜城に潜入ですって?」

ゲンガー「おう!お宝そんでお宝をゴッソリいただくという算段よ!」

アーボ「暗夜城っていうと、ここ一体では一番の金持ちの貴族の城だよな!?」

ゲンガー「だからこそ狙う価値があるってもんよ!」

チャーレム「冗談じゃないわ、危険よ!」

アーボ「警備だって半端ねぇに決まってるぜ!引く気はないのか?」

ゲンガー「あたぼうよ!」

チャーレム「あんたはゴーストだからどうとでもなるでしょうけど・・・アタシは降りるからね!」

アーボ「俺もだ、流石についていけねぇ!」

ゲンガー「はぁ!?・・・っち、なんだよ・・・しゃあねえ、俺だけでやってやるぜ!」


サマヨール「お嬢様、御勉学の方は順調でございますか?」

ムウマージ「ええ、ボチボチよ」

サマヨール「ディナーの後は妖術の鍛錬の時間でございます。予習のほど、ぬかりなきよう・・・」

ムウマージ「分かっているわよ」

サマヨール「では、失礼します・・・」ガチャ

ムウマージ(・・・全く、毎日勉強、勉強、勉強!退屈でつまらないわ・・・私もお外に出て、お友達を作って遊んだりしたいのに・・・)

ガサッ

ムウマージ「!!・・・誰かいるの?」

ゲンガー「ちっ、気づかれたか・・・」

ムウマージ「あなたは・・・?」

ゲンガー「手ごろな窓から潜入したはいいけどよ、気づかれてちゃ世話ねぇな。ま、丁度いい・・・お前、この城のお嬢様だろ?」

ムウマージ「ええ、そうよ。この家に拾われた、仮初の御姫様」

ゲンガー「ん?ま、まあなんでもいいけどよ。この城のお宝の在り処を教えてくれよ。おっと、もし誰かを呼んだりしたら・・・」

ムウマージ「つまりは、強盗さんってことね?心配しないで、別に誰も呼ばないわ」

ゲンガー「おお、物分かりがいいお嬢様じゃねーか」

ムウマージ「でもお宝の在り処なんてものは、教えられないわね」

ゲンガー「なに?」

ムウマージ「そんなもの教えたって、きっと警備の人に見つかって、あなた捕まっちゃうわよ?」
 ▼ 48 スゴドラ@どくのジュエル 18/01/30 21:06:58 ID:vAChFA7Y [13/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゲンガー「馬鹿言えよ、俺様がここに潜入できたのはなんでだと思う?」

ムウマージ「見たところ、種はゲンガーでしょうし、影に潜んできたのかしら?」

ゲンガー「そんなとこだ。だから見つかったりなんて」

ムウマージ「ゲンガーならうちにもいるわよ。あなたが見つからずにお宝を持ち去れるなら、宝物庫の警備をしている彼ならいくらでも宝を持ち去れるわね」

ゲンガー「ちっ・・・まあ簡単じゃないことはわかったけどよ」

ムウマージ「はいっ、あげる」

ゲンガー「お、おう・・・なんだ、これ」

ムウマージ「ダイヤのリングよ。これだけでもきっと、相当の値が付くわ」

ゲンガー「これで手打ちにしろってか?そんな勝手なことしていいのかよ」

ムウマージ「私がもらったものだからいいのよ。それに、私はそんなものいらないわ・・・これ、あげるかわりに少しお話しましょ?強盗さん?」

ゲンガー「はぁ?」


ムウマージ「お義母さまは貴族の当主であった男の人と結婚なされたのだけど、若いうちにその旦那様を亡くされてしまって。子供もいなかったわ」

ゲンガー「おう」

ムウマージ「でもお義母さまは再婚を拒んで、一人で旦那様の業務をすべて受け継ぎ、この家の当主になった。跡継ぎとして捨てられ子の幼かった私を拾ったと聞いてるわ」

ゲンガー「なるほどね、それで仮初の御姫様だなんて言ったのか」

ムウマージ「お義母さまはとても優しい方で、私も野垂れ死なずにすんだし、裕福な生活をできている。感謝してるのよ?でも、少し過保護すぎるのよ」

ゲンガー「ま、こんな名家の一人娘じゃあなぁ」

ムウマ―ジ「ここでの生活は私には窮屈だし、色々な勉学はとても退屈だわ。ルビーの赤もサファイアの青も私にはくすんで見える。ありふれたお宝に価値なんて見いだせないの」

ゲンガー「そういうもんかね・・・」

ムウマージ「貧しくたって、正しい道を踏み外したって、逞しく生きているあなたの人生の方がよほど楽しいと思うわよ?」

ゲンガー「金持ちの嬢ちゃんも大変なんだな」

プルリル「お嬢様、失礼します」ガチャ

ゲンガー「なっ!?」

ムウマージ「あっ」

プルリル「ゲ、ゲンガー!?うちのものではないようですね、お嬢様から離れなさい!」

ゴルーグ「どうしたプルリル!賊か!?」

ゲンガー「ちっ・・・あばよお嬢様!!」

ムウマージ「ゲンガー!!」

ゴルーグ「あれは・・・お嬢様のリング!おのれ賊め・・・」
 ▼ 49 ャース@あおぞらプレート 18/01/30 21:22:11 ID:vAChFA7Y [14/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
ムウマージ(言ってしまわれたわ・・・)

プルリル「お嬢様、大丈夫ですか!?」

ムウマージ「・・・ええ、大丈夫よ」

ゴルーグ「くっ、総員に告ぐ。お嬢様の部屋に賊が出た!それぞれ警護を固め、怪しいものがいれば直ちに確保せよ!」

ムウマージ(・・・大丈夫かしら、ゲンガー・・・)


サマヨール「それでは、お休みなさい、お嬢様」

ムウマージ「ええ、お休みなさい」

ガチャ

ムウマージ「・・・起きて、勉強と食事を繰り返して、そして寝る・・・毎日同じことばかり、お嬢様の暮らしなんて刺激の足りない退屈な毎日よ」

ムウマージ「・・・この前、ゲンガーが来てくれたみたいに、なにか珍しいことが起きればいいのに・・・」

ゲンガー「俺様を呼んだか?」

ムウマージ「!!・・・ゲ、ゲンガー・・・?」

ゲンガー「数日ぶりだな、お嬢様。お前の影を踏んだ、もう逃がさないぜ?」

ムウマージ「その姿は・・・メガシンカ?」

ゲンガー「おう!警護を固めたって聞いたが、この姿になれば楽勝だったぜ!」

ムウマージ「もう・・・前あげたリングじゃ足りなかったの?」

ゲンガー「リング?これのことか?」

ムウマージ「売ってなかったの?お金が欲しいんじゃなかったっけ」

ゲンガー「どうでもいいだろ、そんなこと。今日はお前を攫いに来たんだ」

ムウマージ「攫いに・・・?」

ゲンガー「ついて来てもらうぜ、ムウマージ」

ムウマージ「・・・仕方ないわね、攫われてあげる!」


ジュペッタ「うう・・・ぐぅ・・・」

ヨノワール「くっ・・・この私が・・・」

ムウマージ「・・・あれ、あなたがやったの?」

ゲンガー「ちっ、もう目を覚ましてやがるのか」

ムウマージ「驚いたわ!あなたって、思ってたよりずっと強いのね!」

ゲンガー「あたぼうよ。しかし・・・これじゃあ外に出れねぇな。もう一度痛い目を見てもらうか・・・?」

ムウマージ「それは可哀そうよ、私に任せて」
 ▼ 50 レザード@うつしかがみ 18/01/30 21:42:26 ID:vAChFA7Y [15/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゲンガー「・・・ほんとに気づかれなかったが、何をしたんだ?」

ムウマージ「私たちがここにいないっていう、幻を見せてあげたのよ。ムウマージなら誰でもできるわ」

ゲンガー「ほんとかよそれ・・・」

ムウマージ「で、どうしたの?私を攫うだなんて。あなたはお宝にしか興味がないんじゃなかったの?あ、身代金でも要求するつもりかしら」

ゲンガー「俺も何がしたいのかわかんねぇよ。一通り遊んだ後は城の奴らに金を要求するのも無駄がなくていいかもな」

ムウマージ「ふふっ、変な人。こんなことして、いつかバレたらあなた大変なことになるかもよ?」

ゲンガー「そうなったらその時に考えるさ。さぁ、ついてこいよ、お嬢様!」


プルリル「ひどい・・・誰がこんなことを・・・」

パンプジン「急いで治療をしないと!!」

ユキメノコ「どうしたの、何の騒ぎ?」

プルリル「代表様!城の警護班が襲撃にあったらしく・・・」

ゴルーグ「だめだ!応答がないので強行突破したが、部屋にお嬢様がいない!」

サマヨール「城内のどこにも、お嬢様の姿はございません!」

ユキメノコ「まぁ・・・なんてこと。急いで探しましょう!!フワライド?外の捜索を頼めますか?」

フワライド「分かりました。私の部下も総出で探し出して見せましょう」

ユキメノコ「ヨノワール達を倒してしまうなんて、襲撃者は相当の手慣れと見えます。みんな、注意して捜索にあたってくださいね」

プルリル「・・・もし、もしお嬢様の身に何かあれば・・・」

ユキメノコ「大丈夫よ、プルリル。あの娘は強い子だから」

プルリル「代表様・・・」

ユキメノコ(ムウマージ・・・まさか、家出ではないわよね・・・)


ムウマージ「こんな時間だっていうのに、お外はとても明るいのね。こうしてゆっくり佇んでいるだけでもワクワクするわ」

ゲンガー「だろうなぁ、お前みたいな世間知らずのお嬢様は、こうして外に出るだけでも楽しいと思ったぜ」

ムウマージ「私の知っている世界なんて、ほんとちっぽけなものだったのね・・・」

ゲンガー「世界だ・・・?俺だってそんなでっけぇもんの片りんすらつかめていねぇよ」

ムウマージ「そういうものなの・・・!?ゲンガー、隠れて!」

ゲンガー「あっ?」

フワンテ「ダメですフワライド様・・・確かにこちらから強い霊気を感じたのですが・・・」

フワライド「くっ・・・襲撃者はつい先日お嬢様の部屋に侵入したゲンガーであると考えるのが妥当・・・それならさきほどの霊気を追えば見つかると思ったのですが・・・引き続き捜索を続けなさい!」

フワンテ「はい!」
 ▼ 51 シャマリ@ヒレのカセキ 18/01/30 21:55:38 ID:vAChFA7Y [16/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
ムウマージ「・・・見つかるのも、時間の問題ね」

ゲンガー「・・・っち、夜はまだまだこれからだってのによ。まだ少し歩いただけじゃねぇか」

ムウマージ「・・・ありがとね、ゲンガー。私は十分楽しかったっわ」

ゲンガー「は?」

ムウマージ「あなたが見つかると、あいつらただじゃ済まさないわ。私が帰れば済むことだから・・・」

ゲンガー「でも、お前・・・」

ムウマージ「それに、あの城での生活が嫌いだってわけじゃないのよ?確かに退屈だけど、こうしてあなたが来てくれて・・・今日みたいな刺激的な思い出があれば、またうまくやっていけるわ」

ゲンガー「なんだそれ、気に食わねぇな」

ムウマージ「・・・ねぇ、そろそろちゃんと教えてよ。どうしてこんなマネを?」

ゲンガー「・・・前にお前の部屋から逃げる時、ひどく寂しい目をしてたろ」

ムウマージ「寂しい?私が?」

ゲンガー「退屈な毎日に飽き飽きしてる、裕福だけど恵まれない、そんな毎日からお前を解き放ってやれば、どんな顔をするのか、見て見たかったんだよ」

ムウマージ「・・・ゲンガーっていう種は、獲物として狙った相手との間にしかキズナは芽生えないなんて聞いたことがあるわ」

ゲンガー「なんだそれ、めちゃくちゃだな」

ムウマ―ジ「本当ね。ねぇ、ゲンガー。もう二度と、私の城なんかに来ちゃダメよ」

ゲンガー「っ、おい!」

ムウマージ「そして、どうか忘れないでね・・・私のこと」

ゲンガー「ムウマージ!!」

フワンテ「!!あれは・・・」

ムウマージ「あなたが私を連れ出してくれて、短い時間だったけど、夢みたいな時間だった」

フワライド「お嬢様!!ご無事でし・・・」

ゲンガー「・・・っち、ハァァァア!!」

フワライド「グッ!?」

フワンテ「フワライド様!!」

ムウマージ「ゲ、ゲンガー!?」

フワライド「お前は・・・以前お嬢様の部屋に侵入したという・・・!」

フワンテ「なんて威力のシャドーボールなんだ・・・フワライド様!こいつはメガシンカしています!危険です!」

フワライド「くっ、援軍要請!援軍要請!!」

ゲンガー「今のうちだ!逃げるぞ、ムウマージ!!」

ムウマージ「ゲンガー・・・」
 ▼ 52 クロズマ@ボーマンダナイト 18/01/30 22:08:21 ID:vAChFA7Y [17/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
ムウマージ「っ、どうして!もう顔も見られて、援軍もすぐに来るわ。いくらあなたが強くたって、多数の精鋭に囲まれたら、無事じゃすまないわよ!?」

ゲンガー「名家のお嬢様の手を離すのが、惜しくなっちまってな」

ムウマージ「もう・・・!」

ギルガルド「これより先へ行かせはせんぞ!」

ヒトツキ「せんぞー!」

ゲンガー「ちっ・・・こいつもか」

ムウマージ「ギルガルド・・・」

ヨノワール「先ほどはよくもやってくれたな・・・」

ジュペッタ「もう逃がさねえぜ」

ゲンガー「てめえら・・・もうここまで!」

ムウマージ「ジュペッタはメガシンカまで・・・」

ジュペッタ「覚悟!!」

ムウマージ「やめて!!」

ゲンガー「!!」

ヨノワール「お嬢様・・・?」

ムウマージ「魔が差しちゃって・・・少しだけと思ってお城を抜け出したの。この人は関係ないから・・・私、もう帰るから、もう手を出さないで」

ジュペッタ「それは、本当なのですか・・・お嬢様」

ゲンガー「ム、ムウマージ・・・!?」

ギルガルド「これは・・・くろいきり!?」

ムウマージ(・・・ありがとう、ゲンガー・・・私、とても楽しかったわ。短い時間だったけど、本当に、ありがとう・・・)


チャーレム「大丈夫かい!?ゲンガー!!」

ゲンガー「な、なんだったんだ・・・?」

アーボ「なんだったんだじゃねーよ!名家のお嬢様を誘拐なんて、何考えてんだおめー!」

ゲンガー「アーボ・・・今のはお前が・・・」

アーボ「俺がくろいきりで目くらましして、チャーレムがお前を運んだんだよ。随分長い間メガシンカしてたろ、体力がかなり落ちてんぞ!」

チャーレム「ひとまず休みなさい、全くもう・・・あんたってやつは・・・」

ゲンガー「おう・・・助けてくれたのか、ありがとな」

アーボ「はっ!?ま、そりゃ・・・当然だろ」

チャーレム「あたしたちは3人で仲間なんだからね・・・」
 ▼ 53 クティニ@メタグロスナイト 18/01/30 22:19:08 ID:vAChFA7Y [18/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
ムウマージ「心配かけてごめんなさい、お義母さま・・・」

ユキメノコ「もう・・・どうしてあんなマネをしたの!?」

ムウマージ「私・・・」

ユキメノコ「なんて、本当は分かってるの。あなたのこと、必要以上に縛りすぎたって」

ムウマージ「え・・・」

ユキメノコ「本当はね、私と旦那様の間には一人の娘がいたのよ」

ムウマージ「お義母様の子どもが・・・?」

ユキメノコ「生まれた時にはすでに旦那様は亡くなってて、私は娘により一層の愛を注いだわ・・・色々なところに連れ回って、たくさん遊んだ」

プルリル「代表様・・・」

ユキメノコ「でも、公園で遊んでいた最中に、突如公園に突っ込んできたトラックに轢かれて・・・」

ムウマージ「そ、そんなことが・・・」

ユキメノコ「・・・きっと、あなたのことを亡くなった娘の代わりとして大事にするあまり、あなたの気持ちに寄り添えなかったのね。城の中に閉じこもりっぱなしでは、あなたも窮屈なのは当たり前なのに・・・」

ムウマージ「・・・ごめんなさい、お義母さま・・・私、そんなこと何も知らずに・・・!」

ユキメノコ「・・・私こそ、ごめんなさい、ムウマージ・・・娘の気持ちを分かってあげられない私は、母親失格ね・・・」

ムウマージ「お義母さま・・・お義母さま!」ギュッ

プルリル「・・・・・失礼します」ガチャ

ゴルーグ「どうだった、プルリル」

プルリル「もう大丈夫です、きっと仲直りされますよ」

ゴルーグ「それは良かった」
 ▼ 54 ャラドス@トポのみ 18/01/30 22:30:44 ID:vAChFA7Y [19/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
アーボ「ふぅ、バイト疲れたぜ・・・」

ゲンガー「まあまあ、働いて食う飯は旨いっていうだろ?」

チャーレム「まさか今更真面目に働くはめになるなんてねぇ〜」

ゲンガー「嫌なら降りていいんだぜ?」

チャーレム「馬鹿ね、アタシたちはあんたについていくだけよ。もう二度とアンタを捨てたりしないわ」

アーボ「傍で見てねぇと、どんな無茶するかわかったもんじゃねぇからな」

ゲンガー「へっ、よく言うぜ」

アーボ「しかし、一体なんで急に更生なんて言い出したんだよ」

ゲンガー「あ?まあ・・・気が向いただけだよ」

ムウマージ「!!ゲンガー!!」

ゲンガー「あ?・・・お前!」

アーボ「おい・・・あれ、あの城のお嬢様じゃ・・・!」

ムウマージ「久しぶりね、ゲンガー。元気してた?」

ゲンガー「おいおい・・・なんだってこんな時間に一人で」

ムウマージ「私ももう子供じゃないからね。一週間で少しの時間だけだけど、お義母様が外出を許可してくれたの」

ゲンガー「そいつはよかったじゃねーか!」

ムウマージ「そうね、折角会えたんだから、前の続きをしましょ!」

アーボ「おいおい、ゲンガー・・・これはどういうことだ?」

チャーレム「なんでこのお嬢とアンタが、そんな仲良さげに・・・」

ゲンガー「しゃあねぇな・・・じゃ、着いて来いムウマージ!とっておきの場所へ連れてってやる!」

ムウマージ「ええ!!」

アーボ「おい、待てよゲンガー!」

ゲンガー「お前らもついて来いよ!!」


『Please abduct me』・・・おしまい
 ▼ 55 ィグダ@ちかのカギ 18/01/30 23:22:23 ID:6yQfIVlo [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
やっぱりゲンガーはカッコよくて可愛いな
 ▼ 56 ガアブソル@あおいバンダナ 18/01/31 00:59:11 ID:JYsrMp9I NGネーム登録 NGID登録 報告
カイリキーとフーディンをリクエストしたものです。
まさかのトレーナー絡みで新鮮でした。
ありがとうございます!
 ▼ 57 ンリュウ@なぞのすいしょう 18/01/31 11:46:07 ID:G3C5hbXw [1/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
『コンプレックス』(フライゴン♂×ラティアス♀)

ラティオス「よし・・・忘れ物はないよな・・・」

ラティアス「あれ、お兄様。もう出られるのですか?」

ラティオス「ああそろそろ約束の時間で・・・」

ラティアス「それなら私も急いで準備を・・・」ピーンポーン

ハクリュー「ラティオス先輩!私です!」

ラティオス「わざわざ迎えに来てくれたのか!?ハクリュー」

ハクリュー「だって、少しでも早く先輩に会いたかったから・・・」

ラティアス「・・・ん?」

ラティオス「じゃあ、先に行くな。ラティアス、戸締りは頼んだぞ?」

ラティアス「え、お、お兄様!?」


ラティアス(ズーン・・・)

ガブリアス「おいおい・・・ありゃ、一体何があったんだ?」

チルタリス「凄く落ち込んでるわね・・・」

サザンドラ「目の前であんな沈まれると、飯にも誘い辛いな・・・」

ボーマンダ「おい、フライゴン!ちょっと聞いてきてやれよ!」

フライゴン「な、なんで僕が!」

ボーマンダ「なんでって、馬鹿だな・・・折角気を利かせてお前に頼んでやってんだろ?」

フライゴン「うう・・・」


フライゴン「ど、どうしたの?ラティアス。なんだか元気がないみたいだけど・・・」

ラティアス「フライゴン・・・聞いてくれる?」

フライゴン「う、うん・・・」

ラティアス「実は・・・」

フライゴン「実は・・・?」

ラティアス「お兄様に、こ、恋人ができたのぉぉぉぉぉぉおおお!!!」

フライゴン「おに・・・会長にかい?そりゃ、あの人は強くて優しくて賢くて、それにカッコイイこの学校一の人気者だから・・・」

ラティアス「う、うわぁぁぁぁぁぁん!!!!!」

フライゴン「そんなに泣かないでよ!!!」

ガブリアス「おいなんかあいつラティアスのこと泣かせてるぞ」
 ▼ 58 ッギョ@ルビー 18/01/31 11:58:25 ID:G3C5hbXw [2/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
ボーマンダ「・・・そんなことで沈んでやがったのか、相変わらず・・・」

ラティアス「そんなことじゃない!!」ギロッ

ボーマンダ「ウォッ!」

サザンドラ「・・・相変わらず拗らせてんな・・・」

チルタリス「相手はどんな方だったの?」

ラティアス「隣のクラスのハクリューさん」

ボーマンダ「うぉっ!マジで!?俺ひそかに狙ってたのによぉ・・・」

チルタリス「・・・最低」

ボーマンダ「はっ!?なんでだよ、別に何も悪い事言って無くねーか?」

フライゴン「ま、まぁまぁ・・・会長に彼女がいるってことは、まあ当然っちゃ当然の話だし・・・」

ラティアス「今朝もその子と一緒に登校なんかしちゃって・・・お兄様の隣は私の特等席なのに・・・!」

ガブリアス「あーはいはい、辛かったな」

ラティアス「お弁当だっていつも私が作ってあげてたのに、ハクリューに作ってもらうからいいよなんて・・・!!」

チルタリス「・・・ご愁傷様ね・・・」

ラティアス「きっともう私のことなんてどうでもいいんだわ・・・素敵な彼女さんと二人で生きていけばいいのよ!」

ガブリアス「お、落ち着けって・・・」

ラティアス「でもお兄様のいない生活なんて耐えられない!」バーン

サザンドラ「・・・今まで見た中で一番荒れてんな・・・」

フライゴン「・・・そうだね」


ジジーロン「はい、じゃあこの問題を・・・そうだなぁ、ラティアス!」

ラティアス「・・・・・・」

ジジーロン「ラティアス?」

フライゴン「ラティアス、!呼ばれてるよ!」

ラティアス「!!」

ジジーロン「どうしたー、具合悪いのか?」

ラティアス「え、えーと・・・いや、大丈夫です」

ジジーロン「そーかー、じゃあ問題の答えを黒板に書きに来てくれ」

ラティアス「はい・・・痛っ!?」

フライゴン(大丈夫かな・・・)
 ▼ 59 ドシシ@こおりのいし 18/01/31 12:12:54 ID:G3C5hbXw [3/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジャラランガ「それでは教科書の34ページの8行目から、ラティアス」

フライゴン「ラティアス、ここから音読だって」

ラティアス「う、うん・・・ありがと。えーと」

ガブリアス(あいつ今日ずっとボーッとしてやがるな・・・)

チルタリス(少し心配です・・・)

ラティアス「幸せに生きるために必要な二つ目のことは、恋をすること。若いうちから沢山恋をしなさい・・・誰かを愛すると、いう、ことは・・・とて、も、しあ・・・グスッ、幸せな・・・こと・・・」

ジャラランガ「ラ、ラティアス!?大丈夫か!?」

フライゴン「ラティアス!?泣いてるの!?」

ラティアス「せ、せい、しゅんの・・・グスッ、いちぺ・・・え・・・じを・・・グスッ、こい・・・び・・・うぅ、ううっ・・・」

フライゴン「先生!ラティアスさんが体調不良みたいなので保健室に連れていってもいいですか!?」

ジャラランガ「お、おう・・・頼んだ!」


フライゴン「どうしちゃったの、ラティアス・・・突然授業中に泣き出すなんて」

ラティアス「恋なんて・・・お兄様が恋に落ちたせいで私はこんなにも不幸せな気持ちなのに!!」

フライゴン「た、確かにルージュラの詩のあの部分が今のラティアスに当たるのは嫌な偶然だったけど!そんな、泣くほどかい?」

ラティアス「うぅ・・・」

フライゴン「今日一日、ずーっと上の空だし、授業もちゃんと聞けてないでしょ」

ラティアス「だってぇ・・・」

フライゴン「・・・ダメだよ、ラティアス。今のままだと会長にも迷惑かけちゃうよ。お兄さん離れしないと」

ラティアス「なんでそんなこと言うの!?」

フライゴン「いや、別にお兄さん離れって、物理的に離れるとかそういうことじゃなくて、ほら、子供の親離れ・・・みたいな。そういう感じの、心理的離別っていうのかな」

ラティアス「うう・・・だって、私・・・」

フライゴン「僕も手伝うから!頑張ろう?ラティアス」

ラティアス「・・・・・うん・・・」


チルタリス「結局授業が終わるまでに戻ってこなかったね・・・」

サザンドラ「フライゴンもフライゴンで、こなかったねあんな重度のブラコンのどこがいいのか、サッパリだぜ」

ボーマンダ「顔はいいんだけどなぁ!」

チルタリス「・・・・・・」

ガブリアス(チ、チルタリスの顔が怖い・・・)

チルタリス「けど、心配だわ・・・」
 ▼ 60 クフーン@チイラのみ 18/01/31 12:34:38 ID:G3C5hbXw [4/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
ガブリアス「心配?確かにあそこまで落ち込んでるのは見たことねぇけどよ」

チルタリス「それもそうだけど、今日は生徒会役員会議の日なの。会長とラティアスの間に変な空気が流れてなければいいけど・・・」

ボーマンダ「そっか、お前とフライゴンとラティアスは生徒会に入ってたな」

サザンドラ「お勤めご苦労なこった」

フライゴン「ただいまー」

ガブリアス「おっ、帰ってきたか」

ラティアス「ご心配おかけしました・・・」

チルタリス「ラティアス、ちょっとは落ち着いた?」

ラティアス「うん、もう大丈夫だよ」

チルタリス「会議の方も、出られる?」

ラティアス「うん・・・」


ラティオス「ラティアス、来週の生徒集会の件だけど・・・」

ラティアス「はい!おに・・・」

フライゴン『言霊思想ってのは馬鹿にならないよ。呼び方を変えるだけでも依存度を軽減できるかもしれない。会議の間は会長、それ以外ではお兄さんって呼んでみるのはどうかな』

ラティアス「コホンッ、はい、会長。準備はつつがなく進行しています」

ラティオス「・・・了解、ありがとう、ラティアス」

フライゴン『褒められたりしてもクールな態度を崩さずに。いつも見たいにデレデレしすぎないほうがいいよ』

ラティアス「いえ。ところでキングドラ先輩、オーケストラコンクールの各クラスの希望演奏曲ですが・・・」

キングドラ「うん・・・結構被っちゃってるのよね・・・どうしましょうか」

ラティオス「・・・?」

オノノクス「おい、ラティオス・・・お前、妹となんかあったのか?」

ラティオス「・・・いや、特に何も」

オノノクス「なんかお前に対する態度がいつもと違くねえか・・・」

ラティオス「別に、気にするほどのことでもないよ」

フライゴン(うん、うん、いい感じだよラティアス。何事もまずは形から、そういった態度で接していればいずれ会長に依存する気持ちの方も薄れてくるはず・・・!)

チルタリス(心配してたけど、大丈夫みたいね・・・フライゴンがうまくやったのかしら、凄いしたり顔ね・・・)

ヌメルゴン「おっくれました〜!」

ラティオス「ヌメルゴン・・・随分遅かったじゃないか」

ヌメルゴン「ごめんなさい〜ちょっとクラスの方で用事があってね!」

 ▼ 61 ロバレル@めざめいし 18/01/31 12:54:44 ID:G3C5hbXw [5/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヌメルゴン「それよりラティオス〜!後輩の彼女ができたって本当!?」

ラティアス「!?」

フライゴン「なっ!」

チルタリス(!!ラ、ラティアスは・・・)チラッ

ラティオス「・・・ヌメルゴン、今は」

ラティアス「今はもう業務の時間ですよ先輩」

ヌメルゴン「へ?」

ラティアス「先輩も遅れて来たなら来たでさっさと準備をすませて作業に移ってください」ゴゴゴゴゴ

ヌメルゴン「ひっ、こ、怖いよラティアスちゃん・・・」

フライゴン「あ、せ、先輩!丁度今週末の全校集会の賞状授与の打ち合わせを・・・」

ヌメルゴン「あー、そんなのあったわね・・・」

チルタリス(・・・大丈夫、なのかしら・・・)

ラティオス(ラティアス・・・?)


ヌメルゴン「ふぅー今日の業務はおしまい!」

キングドラ「遅れて来たくせに随分仕事しました感を出すのね」

フライゴン「ま、まあまあ、来てからはちゃんと真面目にされてましたから」

ヌメルゴン「そうそう、だから疲れちゃった〜。そうだ、この後カラオケ行く人!!」

オノノクス「唐突だな・・・」

ヌメルゴン「せっかく頑張ったんだからぁ、御褒美が必要よ!」

チルタリス「でもいいですね、カラオケ!私も行きたいです!」

オノノクス「ちっ、仕方ねーな・・・」

フライゴン「嫌々言いながらも来るんですね・・・」

ヌメルゴン「ラティオスも来る〜?」

ラティオス「いや、僕は遠慮しておくよ」

ヌメルゴン「む、もしかして先約が・・・」

ラティアス(!?)

フライゴン「会長はいつも終わったらそのまま帰られますもんね!」

キングドラ「あなたも会長なんだし、もう少し付き合い良くてもいいと思うけど。別に放課後遊びに行くのが悪いことだなんて思わないわよ?」

チルタリス「まあまあ・・・」
 ▼ 62 ガユキノオー@あまいミツ 18/01/31 13:09:14 ID:G3C5hbXw [6/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
フライゴン「ラティアスも、来る?」

ラティアス「わ、私は・・・」

フライゴン『会議が終わった後もいつも会長と二人で帰ってたけど、たまにはみんなに混じって遊びにいくのもいいと思うよ。会長といない時間を作って、そういうのに慣れていかないと』

ラティアス「・・・うん、私も行く」

ヌメルゴン「ラティアスちゃん来るの!?珍しい、私嬉しいな〜!」

ラティオス「行くのか?ラティアス」

ラティアス「はい、兄さんは先に帰っていてください。遅くなりすぎないようにします」

オノノクス「ま、そこらへんは俺ら全員いるし、心配すんな」

ラティオス「・・・分かった。楽しんでくるといい」



ヌメルゴン「今日は楽しかったね〜!」

オノノクス「おう!またみんなで行きたいな!!」

キングドラ「あんた最初は嫌がってなかった?」

オノノクス「嫌がってねぇよ!唐突だと思っただけでよぉ!!」

チルタリス「ははは・・・皆さん元気ですね」

ラティアス「あ、それじゃあ私、家こっちなんで」

フライゴン「あっ、僕もここで」

ラティアス「え?フライゴン・・・」

ヌメルゴン「えっ、フライゴン君のお家って・・・」

チルタリス「・・・!あっ、今朝話してた参考書?本屋さんそっちだもんね!」

フライゴン「う、うん!そうなんだ。それでは、お疲れ様でした!!」


ヌメルゴン「・・・もしかして、あの二人も付き合ってるの?」

チルタリス「ま、まさか!たまたま帰り道と本屋の方向が一緒なだけですよ〜」

オノノクス「いや、ありゃフライゴンのやつがラティアスに惚れてるから送ってってやるってところだろ!」

キングドラ「まあ、あの子あんな草食系っぽい感じなのに、意外と積極的なのね」

ヌメルゴン「あ〜!片思い系か!フライゴン君がラティアスちゃんのこと好きなのは分かってたんだけどね〜」

チルタリス「み、皆さん気づいて・・・」

キングドラ「案外分かりやすいからね、あの子。もしかしたら本人も気づいてるかもよ?」

チルタリス「あちゃ・・・もう、頑張ってとしか言えない・・・」
 ▼ 63 ルネロス@ゴーストジュエル 18/01/31 13:26:35 ID:G3C5hbXw [7/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
ラティアス「・・・本屋に行くって、ほんと?」

フライゴン「・・・嘘、送っていこうと思って。もう外も暗いし」

ラティアス「やっぱり・・・」

フライゴン「嫌だった?」

ラティアス「ううん?嫌じゃないよ。今日一日色々迷惑かけたし、そのお礼も言いたかったから」

フライゴン「お礼?」

ラティアス「保健室に連れてってくれたのも、相談に乗ってくれたのもそうだけど、色々気にかけてくれてたんだよね・・・ヌメルゴン先輩の発言とか」

フライゴン「ああ・・・まあ、会長の前で泣かれても困るし」

ラティアス「ええ〜?何それ・・・」

フライゴン「・・・突然色々変えるように言っちゃったから、お兄さんも困惑してるかもね」

ラティアス「そうだね、でも、それで何か聞いてくれたら、その時はちゃんと正面から向き合って話そうと思ってるんだ」

フライゴン「ラティアス・・・」

ラティアス「・・・お兄さまに彼女ができて、寂しかったってこと。一緒に登下校をしたいし、お弁当は私が作ったものを食べてほしいし、正直彼女さんには嫉妬してるし・・・」

フライゴン「うん・・・」

ラティアス「きっと、あの後お兄様たちもこうして二人で帰ってたんだろうなぁ」

フライゴン「なっ//」

ラティアス「いつもなら勉強がしたいとか、バイトがどうだとか、明確な理由を言ってお誘いを断るのに、今日は理由言わなかったし」

フライゴン「・・・まあ、そうだろうね、付き合いたてみたいだし」

ラティアス「私昔からお兄様のことが一番好きで、今まで他の男の人とどうこうなんて考えたこともなかった。多分、お兄様も同じだと思ってたのね・・・そんなわけないのに」

フライゴン「・・・・・」

ラティアス「・・・私が誰かと恋に落ちたら、その時の気持ちは今のお兄様に対するそれと、ちゃんと違う物なのかな・・・」

フライゴン(・・・もうすぐ彼女の家に着いてしまう。もし、今思いを告げたら・・・もしかしたら、僕たちは付き合・・・)

ラティアス「・・・着いちゃった。今日は、色々、ありがとうね!フライゴン!」

フライゴン「!!」

ラティアス「じゃあ、また明日」

フライゴン「ラ、ラティアス!!」

ラティアス「・・・なぁに?」

フライゴン「・・・焦る必要はないよ。きっと、君もいつか、他の誰かを愛おしく思う時が来るから」

ラティアス「ふふっ、そうだといいな・・・」

フライゴン「・・・じゃあ」
 ▼ 64 ラップ@ミックスオレ 18/01/31 13:35:05 ID:G3C5hbXw [8/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
フライゴン(・・・結局、言えなかった・・・でも、僕だって・・・焦る必要はないよね・・・)


ラティアス(・・・あー、ビックリした・・・告白されるのかと思った)

ラティオス「お帰り、ラティアス」

ラティアス「ただいま、えっと・・・お兄さま!」

ラティオス「!・・・カラオケは楽しかったか?」

ラティアス「はい、とても!お兄さまも一緒だったらもっと楽しかったのに」

ラティオス「それは、済まないな。そうもああいうたぐいのものは苦手で・・・」

ラティアス「彼女さんとかと、いつか行くでしょう?だからそれまでに、一度私と行きましょう!うまく歌えなかったら笑われてしまいますよ?」

ラティオス「・・・それは、弱ったな」

ラティアス「・・・ねぇ、お兄さま。お兄さまは、ハクリューさんの、どこが好きなのですか?」

ラティオス「どうしたんだ?急に」

ラティアス「私には恋が分からないから、色々な話を聞きたいのです。どうか、聞かせてくれませんか?」

ラティオス「・・・全く、仕方ない妹だ」

ラティアス(もし、フライゴンが私のことを好きだとして、あの場で告白されてたら・・・私は、OKを出したのかな・・・)

ラティオス「どうした?ラティアス」

ラティアス「いいえ、なんでもありません、お兄さま」


 ▼ 65 クガメス@エレベータのカギ 18/01/31 14:03:05 ID:G3C5hbXw [9/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
チルタリス「それで、告白せずに終わってしまったの!?」

ガブリアス「ま、全くもうお前ってやつは!!」

サザンドラ「どれだけヘタレれば気が済むんだ!!」

フライゴン「う、うるさい!もう・・・ほら、もうすぐラティアスが来るかもしれないだろ!」

ボーマンダ「大丈夫だよ、まだ来てねぇから・・・あ、今廊下に見えたぜ」

フライゴン「あ、危ないなもう・・・」

ラティアス「みんなおはよう!」

ガブリアス「おう!もう元気みたいだな」

ラティアス「うっ、昨日はお騒がせしました・・・そうだ、フライゴン!これ!」

フライゴン「えっ?」

ラティアス「チョコレート!昨日のささやかなお礼です!」

サザンドラ「おいおい、バレンタインはまだ当分先だぜ?」

ラティアス「バレンタインは関係ないの!チョコだけど。頑張って作ったから、きっと美味しいわよ?だから大事に食べてね♪」

フライゴン「う、うん!!ありがとう!大事にするよ!!」

チルタリス「いや食べなさいよ!!」


ガブリアス「・・・なんだかんだ、脈ありそうな感じだよな」

ボーマンダ「ああ、ラティアスの方からフライゴンへのアプローチが増えたっていうか・・・」

サザンドラ「案外うまくやったのかもしんねぇな」

チルタリス「それでも、最後の一押しはフライゴンからできればいいのだけど・・・」

ガブリアス「難しいと思うぜ?あのヘタレには・・・」


ラティアス(今、フライゴンに抱いてるこの気持ちが恋かどうかは自分じゃわかんないけど・・・)

ラティアス(それでも、一緒にいたいなって思うこの気持ちは、お兄さま以外の他の誰にも抱かない、特別な気持ちだな・・・)

ラティアス「・・・明日から、朝一緒に登校しない?一人で登校、慣れてなくて寂しいの」

フライゴン「ええ!?・・・家、逆なんだけど」

ラティアス「えー・・・ダメ?」

フライゴン「・・・もう、仕方ないな!」

ラティアス「ほんと!やった!!」

フライゴン(・・・これは・・・間違いなく、脈アリ・・・だよな?)


『コンプレックス』・・・おしまい
 ▼ 66 ワンテ@トウガのみ 18/01/31 21:11:25 ID:G3C5hbXw [10/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
『ハツユキソウ』(ルージュラ♀・エンニュート♀)

「へぇ・・・あんたが遂にねぇ」

「まあねぇ、いつまでもヤンチャしてるわけにもいかないしね」

エンニュートと言えば多数のオスのヤトウモリをはべらせて暮らすことで有名なポケモンであるが、ルージュラの親友である彼女も昔から男癖が悪かった。

学生時代は何人ものオスをとっかえひっかえ、同時期に複数の男と付き合っていたことだってあっただろう。

そんな彼女のことを、男に縁のなかったルージュラは羨ましくも思っていたが、一匹のポケモンとして魅力にあふれたエンニュートのことを、ルージュラは良き友として愛していた。

「わざわざあんたが身を固めるなんて、夢にも思わなかったわ」

「何よ、人を浮気魔みたいに」

「そうは言ってないけど、自覚あるんじゃないの」

「まあね」

そんなエンニュートから、今度結婚するとの報告を受け、多忙の身ながら一日時間を作って、こうして会いに来たのだ。

「仕事の方は順調そうね、ルージュラ」

「おかげさまでね」

ルージュラ、職業は物書き。小説や詩などを書き、中には国指定の教科書に採用されるような作品も持つ、売れっ子執筆家である。

特に恋愛小説は高い人気を誇り、女子高生のカリスマとまで呼ばれる存在であるが、

「あんたも、フィクションの恋物語ばっかり書いてる場合じゃないと思うけどね」

「言わないでよ・・・」

一方で、現在に至るまで彼氏の一人もできたことがない。エンニュートに言わせれば「こいつの書く恋愛小説が売れる理由が分からん」というほどで、恋愛経験などろくになかった。

「ま、お互いこれから都合がつく日も少なくなるだろうし、今日は思いっきり楽しみましょ?今日は一日遊べるんでしょ?」

「ええ。そうね」

対照的な二匹であったが、その付き合いは学生時代から今に至るまで付き合いは途切れたことがなく、こうして二匹で遊べる日の前日は今でも気分が高揚する。

二匹はいわば親友であった。
 ▼ 67 ンターン@カゴのみ 18/01/31 21:29:03 ID:G3C5hbXw [11/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あ〜〜〜気持ちよかった・・・」

「ほんと、前から一度行って見たかったのよね・・・岩盤浴」

ショッピングにレジャーにグルメ、娯楽の髄を楽しみつくさんとばかりの二匹。

しゃれた雰囲気のカフェで一息ついたあたりで、お互いの近況の話になる。

「で、実際のところ、あんたはどうなの?」

「何がよ・・・」

「最近、出会いとかは・・・」

「ないわよ、ないない」

今まで幾度もエンニュートからこの質問を投げかけられたが、ルージュラは一度たりともYesと答えたことはなかった。

事実、最近は作業部屋に閉じこもり、原稿とにらめっこの毎日。確かにまだ見ぬ男性との出会いなどないに等しかったが、

「それにもし出会ったところでね・・・」

「そんな卑屈でどうすんのよ」

長年にわたり男と縁のない暮らしをしてきたルージュラは、もはや女としての幸せを望まないようになっていた。

そのきらいは数年前からみられており、話を聞いていく中で浮かび上がってくるずぼらな生活の実態も併せて、エンニュートは彼女の生活が心配だった。

「そうねぇ・・・お見合いパーティとか、出ないの?」

「嫌よ、めんどくさい」

「めんどいって、あんたね・・・」

「案外一人でなんとかなるもんよ。って、これから結婚するあなたに対して話すようなことじゃないわね」

「もう・・・」

ルージュラの方はエンニュートのこの手の話を耳にタコができるほど聞いており、もはや痛くもないほどであった。

二匹はそもそも性格からして違うし、初対面の相手にも積極的に話していけるエンニュートのようなタイプのアドバイスなど、ルージュラにはとても実践できる代物ではなかったのだ。

「ま、いずれ寂しくなったら、本気出すんじゃない?」

「いつまでも若いわけじゃないのよ?楽しまなきゃ」

「今は仕事が恋人ってことで」

だからこうしてエンニュートをあしらう。

エンニュートの方もこれ以上は余計なお世話だと思い引き下がるが、すると今度はルージュラの方から話が振られるのだ。
 ▼ 68 ュウツー@ボスゴドラナイト 18/01/31 21:42:54 ID:G3C5hbXw [12/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あんたの方は、ほんとにちゃんと落ち着けるのかねぇ」

「どういうこと?」

「不倫して別れるとか、そういう未来ばっかり見えるんだけど」

「はぁ?」

ルージュラはエンニュートの男癖の悪さは嫌ってほど分かっている。

カッコいい♂が見えるとすぐに話しかける。遊びだけの相手、などというルージュラからしたらどだい理解不能な存在も多数あったようで、

「あんたが一人の男の元に落ち着けるなんて、今でも正直信じられないわ」

というのは、まぎれもないルージュラの本音だった。

「まあ、そりゃ・・・私だって褒められたような遍歴じゃないけどさ」

「うん」

エンニュートはしみじみと語り始める。

「旦那さんは、もう私と知り合って長い人だし、男にだらしない私のこともよく知ってくれている人なのよ」

「そうなんだ」

「それでも、そんな私のことを好きだって言ってくれたの。一生俺だけを見ててくれってね」

「・・・ふ〜ん」

「私とのこと、そんな真剣に考えてくれた人なんて一人もいなかったのよ?だから私はその人に決めたの」

「・・・素敵な話ね」

今まで見ていたエンニュートのイメージがまるっきり変わってしまうような、真剣な雰囲気のエンニュートの言葉に、ルージュラは思わず言葉を失うような気分だった。

・・・自分が今まで書いてきたのは、先代のいくつもの恋物語を模して混ぜて出来たような紛い物の恋話のはでしかないが、

真剣に誰かと恋に落ちた者の言葉というのは、これほどまでに、胸に刺さる。

「・・・それで浮気なんてしたら、笑い話にもならないわよ?」

「わかってるわよ!信用ないわね〜」

「今までのあなたのどこを信頼しろっていうのよ」

「ひっどい、それでも私の友達なの?」

軽口でごまかしながらも、ほんの数分前にも変わることがないと確認した自分の気持ちが揺らいでいることに気づいたルージュラは、そそくさと話題を変えてしまうのだった。

 ▼ 69 マズン@はかせのふくめん 18/01/31 21:54:55 ID:G3C5hbXw [13/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・今日はわざわざありがとね」

「お互い様よ。私も楽しかったわ」

夜も深くなり、それぞれ家路につく。

次に会えるのはいつになるだろうか、考えると少し寂しくも思う。

二人の愛の巣へと帰っていくエンニュートと違い、ルージュラは明日からも静かで慌ただしい仕事にもまれる毎日に帰っていく。

エンニュートのことを羨ましいと思わなくなったのは、いつからだっただろうか。

彼女のことを羨ましいと思ったのは、いつ以来の話だろうか。

私は彼女になれないと気付いたのは。

彼女のようになりたいと思ったのは。

彼女に嫉妬して、彼女を傷つけたのは。

彼女に嫉妬して、自分を傷つけたのは。

そして、誰も傷つかないために、自衛手段の様に嫉妬という感情を投げた幼い自分がいて・・・

「全く、妬けるわね」

「何よ、一人でも平気なんじゃなかったの?」

「平気よ、でも、二人の方が楽しいのかもね」

彼女に嫉妬しても、心の底から彼女の幸せを願えるほど、自分が大人になったのは。

「これ、あげるわ」

「何?これ・・・きれいなお花のペンダント?」

「その花の白の様に、清く、美しく生きなさい、エンニュート。そうすれば、あなたはずっと幸せに生きていけるはずよ」

「・・・フフ、肝に銘じるわ」

花に託した思いは『祝福』。

きっとそんなことに、気づく術もないエンニュートを背に、ルージュラは寂しくとも誇らしい気持ちでいっぱいだった。

「こんな私と友達でいてくれてありがとうね、エンニュート」

『ハツユキソウ』・・・おしまい
 ▼ 70 ーイーカ@ポロックケース 18/01/31 22:47:28 ID:WcvSFtbA NGネーム登録 NGID登録 報告
神スレあげ
 ▼ 71 ルネアス@バクーダナイト 18/01/31 23:30:36 ID:xbOxSTEQ NGネーム登録 NGID登録 報告
エンニュート&ルージュラありがとうございます!
イチャイチャ?っていうのを予想してたのですが、
まさかの日常SSで…でもこれはこれで面白かったです!
エンニュートさん末永くお幸せに…!


次は、コイキング×ヨワシでお願いします!
 ▼ 72 バルドン@クチートナイト 18/01/31 23:44:24 ID:NRWEQ0oA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 73 日ゴロゴロンダ◆XTk1MeLTks 18/01/31 23:58:46 ID:WYtwC7E2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 74 ードリオ@4ごうしつのカギ 18/02/01 01:36:09 ID:lMqStbIU NGネーム登録 NGID登録 報告
クチート×フライゴンお願いします!
 ▼ 75 トーボー@こだわりハチマキ 18/02/01 12:03:51 ID:64afyfuo [1/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
『カフェオレが飲みたいの』(デンリュウ♂×ライチュウ♀)

「えーと・・・神成荘ってここ・・・だよな?」

春からの新生活に向け一人下宿生活を始めることになった僕は、今日からこの神成荘でお世話になる。「カミナリ」だなんて、電気タイプの僕にピッタリだけど、建物の外見は別段特別な様子もなく、いたって普通の下宿先だ。

前の住人が退去された場所に運よく入ることができたので、両隣の部屋にもすでに住人がいるらしい。どんな人だろう、挨拶周りとかもしなきゃな・・・いい人だといいな。


自分の部屋につき、荷物の整理も終えた僕は、早速まだ見ぬ隣人の部屋へ向かい、インターフォンのボタンを押した。ピンポーンと音が鳴り・・・

「ハイハーイ、ただいまー!」

陽気な声と共に出てきたのは・・・見慣れない、ライチュウ・・・?」

「ハロー!よく来たね〜待ってたよ!さ、さ、あがって!」

「え、いや、別に・・・」

「立ち話もなんだから〜あがれあがれ〜!」

プカプカと浮いている見た目通りフワフワした雰囲気の彼女に強引に部屋に招かれ、僕も思わずそのまま彼女の部屋に入ってしまったが・・・

「・・・ところで〜、君、誰?」

「ですよね!」


「デンリュウです。今日から隣の部屋でお世話になる・・・」

「なるほど〜、私はライチュウ!よろしくね〜」

話を聞くと、彼女は留学生で僕が入るスクールの一つ先輩。見慣れない姿をしているのは、リージョンフォームというやつだろうか。

「そっか〜、後輩か〜、なんか嬉しいな〜!私のことお姉さんって呼んでいいよ!」

「なんでお姉さん・・・」

故郷のお国柄か、かなりフランクな感じの人だ。悪い人ではなさそうだし、歓迎してくれてるみたいだしで、とりあえず隣人がこの人でよかった・・・のかな。

「そうだ!お向かいさんにはもう挨拶した?」

「いえ、まだです」

「じゃあ私と一緒に行こう!驚くよ〜、なんてったって・・・フフフ♪」

「な、なんなんですか・・・」

「さー行こう行こう!」

ライチュウさんの反対側のお隣さんには、何か秘密があるのか、やたら僕を合わせたがるライチュウさんはまたも強引に僕の手をひっぱり連れ出した。

「ピーンポーンっと!」

とても楽しそうにその部屋のインターホンを押し、ニコニコが止まらない。

一体なんだって彼女はそんなに僕と隣人さんを合わせたいんだ?

驚くような隣人って・・・まさか有名人とか・・・?
 ▼ 76 ノヤコマ@みずたまリボン 18/02/01 12:17:45 ID:64afyfuo [2/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はーい・・・」

ガチャっと部屋を開けて出てきたのは・・・

「紹介します!ライチュウです!」

「え、な、なに・・・?」

「あ・・・ども・・・??」

僕もよく知ってる姿をしたライチュウさんであった。

「すっごいでしょ!?君の左も!右も!ライチュウ!!」

「ね、ねぇ、彼は・・・」

「誰か隣に入ってきたら絶対これやろうと思ってたんだ〜!いやぁ、君みたいな若い子でよかったよ!!」

少し驚いている僕、突然のことで置いてけぼりを喰らっているライチュウさん・・・えーと、よく見慣れた姿のライチュウさんをしり目にリージョンフォームのライチュウさんのテンションはとどまるところを知らない。

「あ、ライちゃん、彼、隣の部屋に越してきたデンリュウ君。君の同級生だよ、仲良くしてあげてね!」

「あ、よ、よろしくお願いします」

「う、うん・・・よろしくね」

「じゃ私の部屋に戻ろっかデンリュウ!」

「え、ちょ、ま」

「ま、待ちなさい!!」

驚くべき隣人の秘密をあかしたところで満足したのか、リージョンフォルムのライチュウさんは僕を連れて部屋に戻ろうとする。知ってる姿のライチュウさんはそれを制止するが無視して部屋まで戻ろうとし・・・


「も、もう・・・全く、初対面の男子を部屋にあげるなんて・・・不用心です」

「ライちゃんは堅いな〜」

「・・・・・・」

最終的にはリージョンフォルムのライチュウさんの部屋で、3人で机を囲むような恰好になった。

「・・・えっと、ライチュウさんは」

「なに〜?」

「どうしたの?」

「・・・どう、呼べばいいでしょうか」

二人とも名はライチュウ。同種の知り合いが複数いると、こういう時に困るのだ。現に僕も、リージョンフォルムのライチュウさんと知ってる姿のライチュウさんという、長ったらしい区別のつけ方をするはめになっている。頭の中でするはめになっている。

「そうだな〜やっぱり私のことはお姉ちゃんって」

「呼びませんって!」

「何呼ばせようとしてるんですか!!」
 ▼ 77 ゲキ@ホイップポップ 18/02/01 12:48:27 ID:64afyfuo [3/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
結局は「ライチュウ先輩」と「ライチュウさん」に落ち着き、「引っ越してきてばかりでやることも多いだろうから」と気遣ってくれたライチュウさんの気遣いで僕は先輩の部屋から解放された。

「あんな人だからちょっと大変だと思うけど、困ったことがあったら私になんでも相談してね」

「あ、ありがとうございます」

「同級生なんだし、タメ口でいいよ!春から、学校でもよろしくね?」

「う、うん・・・よろしく」

フランクの度が過ぎる先輩に比べてライチュウさんは落ち着いた人でとても頼りになりそうな感じだった。

同じ学校の同級生というのも頼もしく、不安だらけの新生活も彼女の存在のおかげでなんとかなりそうだなと思えるほどだった。


さて、神成荘での生活が始まった。アパートの掃除当番、ゴミ出しの日、回覧板、覚えないといけない色々なことは親切な隣人たちが逐一教えてくれたので、生活に困ることもなかった。

「・・・でも、こればっかりはな・・・」

ただ一つ、食事を除いては。

いや、食事も困るというほど困るものでもない。ただインスタントフーズに頼りっぱなしになってる現状は好ましくないだろうな、ということぐらいで。

「でも料理もなぁ・・・覚えるか・・・?」

「あら、デンリュウ君。買い物帰り?」

「ライチュウさん。うん、近くのスーパーで缶詰めの安売りしてたから・・・お金の問題もあるし、一人暮らしって大変だね・・・」

「・・・缶詰め?それ全部?」

「ん?」


「信じられない!!この成長期食べ盛りの男子が毎日缶詰めで過ごしてたの!?」

「だって、料理とかできないし・・・」

うん、缶詰め生活が健康に良くないことは重々承知ではあったけど、それを知ったライチュウさんは目の色を変えて僕に怒り始めて・・・

何もそこまで言わなくてもと引きつる僕のことは目に入っていない様子で食事の大事さを延々と説くその姿はまるでお母さんのよう。

「いい?確かに世の中便利になってきてるし機能性食品というものも優れているとは思うけど、食べる喜びを忘れてしまってはいけないと思うの!」

「は、はい・・・」

遂には健康からも話は脱線し、食事料理のすばらしさを説かれてしまい・・・

「なんだか騒がしいね〜・・・おや?」

「せ、先輩!」

「何してるの〜?ライちゃんにデン君」

「聞いてくださいライさん!実は・・・」

「な〜んだ、そんなこと!それなら私にいい考えがあるよ!」

「「え?」」
 ▼ 78 エトル@フィラのみ 18/02/01 13:35:05 ID:64afyfuo [4/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・お待たせしました」

「ん〜いい匂い!」

「これは・・・」

「惣菜ポフィン。お口に合うといいうけど・・・」

先輩の案というのは、「毎日夜ご飯は3人で食べよう」というもの。

元々は一人分作るのもめんどくさく外食に頼りがちだった先輩が「3人分まとめてだったら手間もそう増えないし仲良くなれて一石二鳥だ」と発案したのだけど、

「美味しい!!」

「ほんと!?よかった♪」

「嬉しそうだね〜、ライちゃん」

「え!?そりゃ、喜んでくれたら嬉しいでしょ」

ライチュウさんも「偉そうに言った手前、自分が作らないわけにはいかない」と引かず、二人が交互に料理を作ってくれることに。いずれは僕も二人から料理を習おうかな・・・

「しかし、男の子の部屋って感じだね〜・・・殺風景といいますか」

「そんなジロジロ見ないでください」

「そうですよ、はしたないですよライさん」

男子を女子の部屋にあげることに抵抗のあるライチュウさんの発案で、僕の部屋で行われることになった小さな晩餐、まだ散らかるほど物もなかったからよかったけど、同世代の女の子を部屋にあげるとなると掃除にはしっかり気を配らないと・・・


「はーい!今日はパンケーキだよ〜!」

「デザートにポロック作ってみたよ」

「私の故郷の名産のね!マラサダって言うんだよ!!」

「今日のご飯はシチューです!」


そんな晩餐会の日々にも慣れ始め、同じ名前の隣人さん達とも随分関係が近くなったように思う。

「デンリュウ君準備できてる?」

「うん、今出るよ!」

「もう〜、女の子を待たせるなんて紳士じゃないな〜」

「ごめんなさい・・・昨日ちょっと夜更かししちゃいいまして」

「夜更かし!?健康的な生活が大事だってあれほど言ってるのに・・・」

「ごめんごめん」

いつからか3人一緒に登校するようになったし、朝起きるのが遅いとモーニングコールがかかってくることも。

まるで二人の姉ができた気分って、そんなこと言ったらほんとに先輩のことを「お姉さん」と呼んでしまいそうだ。

ともかく、神成荘での生活は二人のおかげでとても充実したもので、僕は毎日が楽しかった。
 ▼ 79 ズゴロウ@きよめのおふだ 18/02/01 13:49:24 ID:64afyfuo [5/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
「なあデンリュウ、お前毎日二人の女の子と登校してくるじゃん?」

「え?あ〜、うん。下宿のお隣さんなんだ」

「よく見るよく見る、ひとりは隣のクラスのライチュウさんだよね」

そんなある日、クラスメートのエレブーとランターンに二人の話題を出されて、僕はある問題に直面する。

「結局、お前どっちが本命なの?」

「本命?」

「まさか二股かけてるわけじゃねぇだろ?だとしたら、まだ付き合ってないんだろうし、どっちのことが好きなんだよって」

僕はどちらが好きなのか。

満たされた毎日の中で別にそんなことはどうでもいいと、考えることは少なかったけど二人のことを意識したことがないなんて言うとウソなわけで。

「別に、好きとかそんなんじゃないよ」

「とはいっても、ねぇ」

「仲よさそうに登校してくるし、何もないはねぇんじゃないの?」

「じゃあ二人とも好きだよ」

「なんだよそれ!」

ライチュウさんとの仲を先輩にからかわれたりすることはよくあって、それを流すのにもなれたから今更この手の話題でアワアワしたりするようなことはないのだけど・・・

その日の放課後に偶然、

「俺とお付き合いしてくれませんか!?」

「・・・ごめんね!私、君とは付き合えないや」

先輩が男の人に告白されている姿を見かけてしまい、そして何故かモヤモヤしてしまう自分に気づくのだった。


「先輩って結構モテるのかな」

「へ?」

毎日3人顔をそろえて夜ご飯を食べれるなんてことはなく、時々はこうして二人になることもある。そうなると最初の方は少し抵抗のあったライチュウさんもそうなると今では何のよどみもなくいつものように僕と話してくれるのだけど、

「どうしたの・・・急に」

「・・・あんまりこんなこと言うのもよくないけど、今日告白されてる先輩を見たから」

「・・・そっか」

この日、僕がこの話題を口にしてからはなんだか急に余所余所しくなってしまった。

「まあ、可愛いし、明るくて男の子にもグイグイ行くタイプだし、モテるんじゃない?」

「まあ、そりゃそうか」

「デンリュウ君も好きなんでしょ?先輩のこと」
 ▼ 80 ルマッカ@ハガネールナイト 18/02/01 14:13:04 ID:64afyfuo [6/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
突然冷たい声になって、どこか棘があるような感じでライチュウさんはそう言い放った。

ナイフを喉元に突き付けられたような感じがして、少し冷や汗をかきながら彼女の方を見ると、少し震えていて。

僕の方から顔を反らしていて、その目を見ることはできなかった。

「・・・そんなこと」

「だって、そうじゃないと聞かないでしょ、そんなこと」

「気になっただけだよ、そういう現場見たから。世間話みたいな感じでさ」

「・・・デリカシーないのね」

隠そうとしているのか、それも分からないほど今のライチュウさんからは怒りのようなものを感じられた。

君が怒るようなことじゃないだろ、どうしたんだよ急に。

そんな言葉がでかかったけど、きっと怒る理由ならあるのだ。正当なものかどうかは別にして、僕にはそれを理解できるはずだった。

僕が彼女を、先輩を意識しているのと同じように、彼女も僕のことをそんな風に見ていたら・・・

僕が好きなのは君だ、と言ってしまえば、彼女は機嫌を直してくれるだろうか。僕の自惚れでしかなくてフられてしまうかもしれないな、それでも多分落ち着いてはくれるのかな。

でも、僕の気持ちはそんなことができるほどクリアじゃなくて、彼女が言う通り先輩のことを好きなのかもしれないと思う自分もいて・・・

「・・・部屋、帰るね。食器はまた、返すから」

「待って!」

気まずくなって、出ていこうとした彼女のことを、僕はつい呼び止めてしまう。

何を言えばいいのか分からなかった。言いたいこともまとまってないのに・・・それでもこのまま彼女を返したら、明日以降、登校も一緒にできなくなるかもしれない。

そう思うと、それが嫌で嫌で仕方なくて。

「あ、あのさ・・・」

「うん・・・」

何を伝えればいい?

きっとウソをついてはいけない。ボロが出てしまって、余計不信感を煽るかもしれない。

正直に、今の僕の気持ちを正直に・・・

「多分、君が言う通り、僕は先輩のことが好きだよ」

「・・・やっぱり、別に隠さなくたっていいのに。いいんじゃない?男の子には先輩みたいな子って人気あるだろうし」

「でも君のことも好きだ!」

「!?」

「同じくらい・・・うん、同じくらい!でもどっちがどうとか、そういうのは決められなくて・・・いやもちろん二人ともと〜なんて考えてるわけじゃないけど・・・なんていうか、その・・・」

「分かったよ!もういい!もういいから・・・」

ライチュウさんの顔が真っ赤になる。自分の顔も同じように赤いのが分かる。僕は今、何を口走った・・・?
 ▼ 81 ーナンス@ロックメモリ 18/02/01 14:27:58 ID:64afyfuo [7/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
「さいっていだね・・・二人とも好き、なんて」

「うぅ・・・」

「男らしくないと思うよ、うん、男らしくない!男なら白黒つけなさいよ〜」

「だって・・・そもそも好きって、その、そういうあれじゃないといいますか・・・」

「そういうあれってどういうあれよ」

「・・・・・あー・・・」

「・・・さいってい」

「うぅ・・・」

いたたまれない空気をヒシヒシと感じながらも、ライチュウさんは僕の部屋にとどまってくれた。

僕のことを咎めながらも、その顔は少し明るくて、時々笑って見せてくれた。

「・・・私ね、隣の部屋に同級生の男の子が引っ越してくるって聞いて嬉しかったんだぁ」

「うん・・・・・」

「凄いドキドキしてた。これまで女学院通いだったから、カッコイイ人だったらどうしよう。一緒に学校に通ったりするのかな。ご飯とか作ってあげたり、朝起こしてあげたり・・・こうやって、一つの部屋で隣どうして、お話したりするのかなぁって」

顔を真っ赤にしながらも、ライチュウさんはゆっくりゆっくり、僕に言葉を紡いでくれる。

小刻みに揺れる彼女の耳、首の長い僕のことを上目遣いで見上げては、すぐに反らして、またこちらを見据える彼女の潤んだ眼、二人の間、呼応するように弾ける静電気。

「いざ君が来て、新しい生活が始まって、思ってた以上に想像通りの毎日になって・・・運命なのかなって思ったり、したんだぁ」

「ラ、ライチュウさん・・・」

「・・・カッコよくはないかもしれないけど」

「なっ!?ちょっと!」

「フフフ、ごめん!でも、ほら、同じ電気タイプだし・・・仲良くなれて、よかった」

「・・・僕もだよ」

「でも私二股する人とは付き合えないよ!!」

「だ、だからそうじゃなくて!!二人ともと付き合おうなんて考えてないし!?そもそも付き合うとか、まだ、そういうんじゃないかもしれないし・・・」

「・・・だから、いつかさ」

「・・・うん・・・」

そこで、彼女の口が止まる。

不思議に思い彼女の方を見やると、今までになくしっかりと目が合った。

真剣なまなざしで僕を見やる彼女の目はあまりにも綺麗で。

気を抜いたら、吸い込まれてしまいそうなほどで・・・

永遠に思えた数秒間、僕たちは互いに、一瞬も目を逸らさなかった。
 ▼ 82 ガバンギラス@シルフスコープ 18/02/01 14:41:47 ID:64afyfuo [8/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
「いつか、私のことを選んでね?」

「!!」

そう告げた彼女の小さな体はあまりに愛おしくて、抱きしめてしまいたい衝動は、理性でかき消せるギリギリで、

まだ彼女を選んでいない僕には、彼女に触れる資格なんてない。

次、先輩と会った時に、自分の気持ちにきっと白と黒をつけられる。

つけられたら、その時は、この衝動に身を任せることを、あなたは許してくれるだろうか。

「・・・また、明日ね」

「また、明日」

明日も会えるということが、これほどまでに嬉しい。

彼女のことを愛おしく思う気持ちが、明日も明後日も変わらずにあればいいのに。

一時の勢いに任せた恋じゃなければいいのに。


この日、僕は眠りにつくのにひどく時間を要した。

彼女の声で起こされたのは言うまでもない。

その、言うまでもない事実までもが、とても嬉しくて仕方がなかった。



「あ、見られてたんだ〜、もう、デン君も趣味悪いな〜」

「たまたま見てただけです!でもなんでフっちゃったんですか?」

「だってー、彼氏いるしね〜」

「え!?」

「ラ、ライさん彼氏いるんですか!?」

「知らなかった〜?地元の方にね〜。遠距離ってやつ」

「・・・そ、そうなんですか・・」チラッ

「だ、ダメだからね!?そういう感じじゃ、私、納得しないから!!」

「わ、分かってるよ!!!」

「???」

「ラ、ライさんも彼氏いるのに男の子と距離感近すぎです!!」

「そうかな〜?」


『カフェオレが飲みたいの』・・・おしまい
 ▼ 83 イドン@ガオガエンZ 18/02/01 15:09:12 ID:Imek2c7c NGネーム登録 NGID登録 m 報告
デンリュウ×ライチュウをリクエストしたものです
いつかこの2匹が正式に結ばれるといいな…
ありがとうございました!
 ▼ 84 ーディ@HPかいふくポン 18/02/01 15:19:00 ID:R/S2a62g NGネーム登録 NGID登録 m 報告
バリエーション多くていいね

支援
 ▼ 85 ャスパー@ねっこのカセキ 18/02/01 16:47:09 ID:64afyfuo [9/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
『雪に焦がされ』(フライゴン♂×グレイシア♀)

キッサキシティ。

シンオウ最北端の極寒の町。

ジムや神殿があり、多くのトレーナーや観光客がこの町を訪れるが、年中雪降るこの町で見られるポケモンなんてそう多くはない。

だからこそグレイシアは、キッサキシティへ繋がる217番道路に、雪に埋もれてかすかに見えた緑色の翼に違和感を覚えた。

「大丈夫?ねぇ、大丈夫!?」

身体は冷え切り、意識もない。

もう、死んで――

「っ!!」

グレイシアは無我夢中でその体を雪から掘り起こし、小さな体に倒れたポケモンを背負うと、急いでテンガンザンへ向かった。

火事場の馬鹿力とはこのことを言うのか、それなりにあった距離を、雪をかいてなんとか進み、降り続ける雪をしのげるテンガンザンまで倒れたポケモンを運ぶことに成功したが、そこでグレイシアの方も体力の限界を迎え、

「はぁ・・・はぁ・・・」バタンッ

倒れ、眠りについてしまった。


「ん・・・あれ、私・・・」

いつから眠っていたのだろうか、目が覚めると自分が助けたポケモンが変わらぬ姿で眠っていた。

「起きたかい?グレイシア」

「アサナン・・・」

「こんなところでバタって倒れて、あたしゃビックリしたよ。無防備が過ぎるね、襲われても知らないよ?」

「あなたが見ててくれたの?」

「まぁねぇ、知らない中じゃないし」

216番道路の方からアサナンがやってくる。格闘タイプでありながら厳しいこの地で己を高め続ける彼女は、グレイシアの友人の一人であった。

「私、ここに来てからどれくらい寝てたのかな」

「あたしがここであんたを見てから、ざっと3時間くらい経ってるかなぁ」

「そんなに・・・なのに、この人は起きないのね」

「大丈夫、生きてるよ。ピッピに頼んでアロマセラピーもかけてもらったし、じきに起きるわね」

「そう・・・ありがとね」

「なぁに、困ったときはお互い様さね」

アサナンの言葉に安心し、ひとまず落ち着いたグレイシア。

安心したらお腹がすいたのか、蓄えた木の実を食べるために一度住処に戻ることとした。
 ▼ 86 リーパー@ジャポのみ 18/02/01 17:08:49 ID:64afyfuo [10/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
「こ、ここは・・・」

「よかった、目が覚めたのね」

「あ、あなたは・・・」

「ほら」

グレイシアが戻ってくると、丁度助けたポケモンが目を覚ました様子だった。

彼もきっとお腹を空かしているだろうと、持ってきていた木の実を分けてやる。

「ありがとうございます・・・」

素直に木の実を受け取った彼は、ここがどこなのか分からないといった様子で、グレイシアにとっても彼のようなポケモンを見たことがなかったので、ひとまず自己紹介をすることにした。

「私はグレイシア、この近くで暮らしてるの。あなたは、そういうわけじゃないんでしょ?」

「・・・フライゴン、ホウエンから来ました」

「ホウエン・・・」

グレイシアはシンオウの外の話に明るいわけではなかったが、ホウエンというと明るい気候で有名な土地だったという認識を持っていた。

「随分遠いところよね?どうしてわざわざ」

「修行です。厳しい所に身を置いて強くなりたくて」

「修行!?」

ドラゴン・地面タイプのフライゴンにとって寒さは大敵であった。

バトルにおいてその実力をより発揮するための武者修行として、遠路はるばるシンオウまで飛び、その中でも最北端のキッサキシティまでたどり着いたはいいが、たまった疲れに寒さがとどめとなって、雪積もる道中に力果ててしまったとのことだった。

「もう・・・バカね!わざわざなんの身寄りもなくこんなところ来て、あなた、死ぬところだったのよ!?」

「う、うん・・・ありがとう、助けてくれて」

「もう・・・シンオウでも南の方に行くと寒さもマシになるでしょう。少し休んで、体調が回復したら南の方へ下りなさい」

「うん・・・そうするよ」

その日、グレイシアはテンガンざん休養するようフライゴンに進め、自身もその傍で一日を過ごした。

話をして、食事をとって、お互いにつかれているからと早めに寝支度をして・・・

寝息を立てるフライゴンの横で、グレイシアは一日暗い表情のままだったフライゴンのことを思った。

彼の目はどこか影を落としている、心の奥底に深い闇を抱えているような・・・

それでもどうせ明日までの縁、気にすることはないと彼のことを意識から逃して、静かに眠りについた。

 ▼ 87 ッサム@ゴッドストーン 18/02/01 17:22:21 ID:64afyfuo [11/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
明くる日、北端から発とうとするフライゴンにグレイシアは自身の蓄えの一部を分けてやった。

「何から何までありがとうございます・・・」

「あなたみたいな人って、なんかほっとけないのよ・・・さ、元気でね」

「ご迷惑おかけしました」

何度も何度もお礼を言って、大空へ飛び立つため羽ばたこうとしたフライゴンだが、そこで異変に気付く。

「っ・・・!」

「・・・どうしたの?」

「翼が・・・動かない・・・」

「ええ!?」


「これハ・・・凍傷ですネ。ひどク傷ついていマス・・・当分ハ動かさナイほうガいいでショウ」

「そう、ですか・・・」

「ありがとうドーミラー」

「イエイエ、素人ノすル医者ノ真似事ですガ・・・」

ドーミラーに翼を診てもらい、あらためて長距離の移動は無理だと悟るグレイシアとフライゴン。

「これから・・・どうするの?」

「・・・歩いて、テンガンざんを下ります」

「無茶よ、それに下った先でもどうすることもできないでしょう?」

「安静ニしテいテくだサイ」

「う・・・」

ほおっておくといくらでも無茶をしてしまいそうなフライゴンのことを見やり、グレイシアはフライゴンにここに留まるように諭す。

遂にはフライゴンも納得し、テンガンざん内部に仮居を構えることとしたのだが、相変わらず表情は沈むばかりで・・・

「元気出して、フライゴン。翼のリハビリ、私も手伝うから」

「あ、ありがとうございます」

のりかかった船だと、グレイシアはフライゴンのここでの生活にとことん付き合うことを決めた。
 ▼ 88 ガスピアー@ゴーストメモリ 18/02/01 17:46:57 ID:64afyfuo [12/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
「っ・・・」

「まだ痛むみたいね、無理は禁物よ。フライゴン」

「はい・・・」

リハビリの進行は好ましいものではなかった。

地に足をつけ高速で走る分には問題なく、日常生活に支障をきたすものではなかったが、一生空を羽ばたけないような不安に襲われ、眠れない日もあった。

精神的に疲弊しているフライゴンの心の支えはグレイシアであった。

フライゴンは今までに至る経緯の後ろめたさからも彼女の目をまっすぐ見ることができず、心の内をしっかり話せないでいたが、その分グレイシアは自分のことをよくフライゴンに話した。

「私これでもバトルには自信があってね?腕試しにテンガンざんを探検してたら迷ってこの付近に出て、それで襲ってきたトレーナーのポケモンを返り撃ちにした時に進化したの」

「フフ、私のことが見える?フライゴン。特性ゆきがくれ、便利でしょ?これを使っておともだちを驚かすのが好きなの!」

「トレーナーにゲットされて色んなところを回るのもいいけど、私は気ままな野良がいいの。あなたはこの辺では珍しいから、捕まりたくなかったらあまり隠れ住処から出てきたらダメよ?」

「ねえ、フライゴン。あなたと出会ってそれなりに経つけど、あなたが笑ったのって見たことないわ。私の話って、つまらないかしら?」

「フフ、なんてね。困らせちゃうわね、こんなこと。あなたが話してもいいって思えたら、あなたの話も聞かせてね」

(僕のことを・・・か)

フライゴンはグレイシアの優しさがとても嬉しかったが、グレイシアのくれる無償の愛の下で居心地は悪かった。

随分世話焼きな性格なのだろう、でも、自分の存在にそれほどの価値を、フライゴンは見いだせなかった。

(僕は、僕はこんなに優しくしてもらっていいような存在じゃないんだ・・・やはり、夜の間にここを出よう。これ以上、グレイシアに迷惑をかけたくない)

何度もそんなことを考えたが、結局遠くまでは出られずにグレイシアの元へ帰ってきてしまい更に迷惑をかけるような気委がして、結局仮居を出られずにいた。


「そう、ですか・・・いつもすみません」

「イエイエ、是非とモ安静ニ」

ドーミラーに度々翼を診てもらうが、一度もよい診察結果を得られたことはなかった。

「落ち込まないで、フライゴン。何も慌てる必要なんてないわ」

「・・・はい」

グレイシアに励ましてもらっても、フライゴンは落ち込むばかり。

彼がすごすごと帰っていくのを見送った後、ドーミラーはグレイシアに聞いた。

「・・・本当ニ、いいんですカ?彼ノ翼ハもウ直っテいるハズなのニ」

「・・・今はまだここを出したくないの。仮に本当のことを伝えて彼が飛べるようになったって、まだ彼は問題を抱えているような気がして・・・」

ドーミラーが嘘の診断を出した後も、フライゴンはリハビリを続けており、ドーミラーの見立てでは彼は既に飛べるはずであった。

それでも診察通り飛べずにいるのは、彼のメンタルの問題。

グレイシアは、その問題を自分の手で解決したかったのだ。
 ▼ 89 ンシグラードン@ルビー 18/02/01 18:09:47 ID:64afyfuo [13/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
「よくやるねぇ・・・そんなに彼のことが気になるのかい?」

「アサナン・・・うん、まあ知らない土地で独りぼっちで可哀相だし・・・そうでなくても孤独って感じがしてさ。癒してあげたいなって思っちゃったのよねぇ」

面倒ごとに首を突っ込む癖があるグレイシアのことをアサナンは毎度呆れて見ているばかりだった。

優しくて、世話焼きで、そしてどこか人を疑うことを知らないところは彼女の美点であると好ましく思いながらも、アサナンは何かあれば助けてやらねば、と思う程度に抑え、過干渉は避けていたのだ。

「しっかし、キッサキシティにはまだ着かないのかよ・・・」

「!?グレイシア、トレーナーだよ!」

雪をかき分け進むトレーナーの存在に気付いたアサナンはグレイシアに呼びかける。

かなり近い、雪のせいもあって随分気づくのが遅れてしまった。

ポケモンの中にはトレーナーに積極的に顔を出し、中には捕まえられることを望む者もいるが、二匹はトレーナーの目をなるだけ避けて生きてきた。

だからアサナンも気づいた瞬間直ちに避難し、グレイシアにも呼び掛けたが・・・

「グレイシア!」

「そうだな〜・・・もっと直接的なスキンシップとか?でも私凍りタイプだし、冷たいしな〜」

考え事に夢中なグレイシアにその声は届かない。

雪がくれと言えど、これでは見つかるのも時間の問題で・・・

「おい・・・グレイシア!?こいつはレアだな!」

「逆に嫌われちゃう・・・!?」

「いけ!スカタンク!!」

気づかれた!その瞬間にグレイシアはテンガンざんの方向へ全速力で走った。

「火炎放射だ!!」

スカタンクの放つ火炎放射が雪を割ってグレイシアに襲い掛かる。

「ううっ・・・キャァァァ!?」

その一撃で運悪く火傷を負ったグレイシア。

その歩みも遅くなり、トレーナーとスカタンクがじわりじわりとグレイシアを追い詰めた。

トレーナーがボールを構える、その時。

「ウォォォォォオオオオ!!!」

「なんだ!?」

スカタンクの足下が割け、凄まじい攻撃が放たれた。

「これは・・・大地の力・・・!?」

「大丈夫・・・ですか?」

直後、グレイシアは目の前に、ゆっくり羽ばたいて着地するフライゴンの姿を見た。
 ▼ 90 カタンク@こうらのカセキ 18/02/01 18:25:46 ID:64afyfuo [14/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
「圧巻だね、大地の力も流星群も。まさか君がこんなに強かったとは・・・」

見ていたアサナンも思わず舌を巻く出来事だった。

どうやってグレイシアを助けるか、無謀にも正面から突っ込もうかと考えていた矢先、テンガンざんから猛スピードで駆け付けたフライゴンが敵を蹴散らした。

あの日以来羽ばたいたことなどなかったはずなのに、そのブランクも感じさせない動きで、フライゴンのゲットをも狙ったトレーナーをいともたやすく撃退した。

「終わりましたよ〜」

「ありがとう、ピッピ」

アロマセラピーでやけどを治してもらい、グレイシアはフライゴンと向き合う。

「フライゴンも、ありがとね。なんで助けてくれたの?」

「悲鳴が聞こえたから、無我夢中で」

「それで、文字通り飛んできてくれたのね・・・」

「自分でも驚きました。まさか、飛べるなんて・・・」

「・・・前から思ってたんだけど、敬語って堅くていけないね。最初はタメ口じゃなかったっけ」

「そ、それは・・・」

「ため口でいいよ。ゲットされたくないくせにトレーナーに見つかった間抜けな私を、助けてくれてありがと!フライゴン!」

「・・・お互い様だよ」

その時、初めてフライゴンが笑って見せてくれた気がして、グレイシアも釣られて微笑む。

「笑顔、可愛いじゃん。似合ってるよ」

「・・・それ、君が言うの?」

「それもそうだね、でもフライゴンこんなこと言ってくれないでしょ?」

「・・・可愛い・・・よ、君も」

「え!?も、もう・・・言われてみると案外照れるもんだね//」

少しずつ、フライゴンの心が溶けていくのが分かる。

温かい気持ちに触れて、凍ってしまった冷たい心が、ゆっくり、ゆっくり。

フライゴン自身にも、グレイシアにも分かるほど。

「うーん・・・あたしたちは邪魔さね」

「そうですね、帰りましょうか」

二人で向き合い笑っているグレイシアとフライゴンを残して、アサナンとピッピはその場を去った。
 ▼ 91 ポッコ@エレベータのカギ 18/02/01 18:42:45 ID:64afyfuo [15/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
「君が話してくれたこと、ほんとはちゃんと覚えてるよ。優しく僕に寄り添ってくれて、嬉しかった」

「何よ、改まって」

「でも、僕自身のことは何も君に教えてこなかった」

「ホウエン出身だって教えてくれたでしょ?」

「それもそうだね」

フライゴンの仮居で二匹、今まで何度も話をしたが、フライゴンが自ら口を開いてくれることは今までなかった。

「もともと、僕はトレーナーのポケモンだった」

「え・・・」

「ナックラーの頃からとても親切にしてくれて、僕は彼のことが大好きだった」

しみじみと語るフライゴンの声は震えていた。

「大丈夫?無理に話さなくても・・・」

「話したいと思ったから、話してるんだよ。君にも、僕のことを知ってほしいって思ったから」

「フライゴン・・・」

震えていたが、その目はグレイシアをしっかり見据えていた。

一か月近くの短く、濃い生活の中で培った信頼が、そこにはあった。

「流星群は、その証なんだ。トレーナーのことを信頼していないと、この技を覚えられない」

「そんなに信頼していたのに、どうして・・・」

「弱いから、捨てられた」

「えっ・・・」

「彼を満足させられるほど強いポケモンに僕は育たなかっただから捨てられたんだよ」

「・・・そっか。それで強くなるなんて言ってあんな無茶をしたのね」

「今更もう、どうでもいいはずなのにね・・・あの人の元に戻りたいなんて思わないはずなのに。流星群だって、忘れてしまいたいのに、どうしても惜しくて・・・」

気づけば、フライゴンの目から涙がこぼれていた。

グレイシアもまた、そんな彼を思って、泣いた。

「泣かないでよ、グレイシア。君に泣かれると、僕はもっと辛い。

「えへへ・・・ごめんね、そういうのに私弱くて」

「・・・僕、自分に他人から優しくしてもらえる価値なんてないって、あの日からずっと思ってたんだ」

「うん・・・」

「でも、僕の力でも、僕に優しくしてくれたあなたを守れたから、少しだけ、自分のことが好きになれた」

そう言って笑うフライゴンの声は震えなどなくて。グレイシアは今まで自分が彼にしてきたそのすべてが報われた気分になった。
 ▼ 92 ンテール@トライパス 18/02/01 18:55:54 ID:64afyfuo [16/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ねえフライゴン」

「何?グレイシア」

「帰る場所がないなら、ずっとここに居なよ」

「そうだね、それもいいかも。ここの寒さにも十分慣れたし、それに僕なら君からもらった沢山の木の実よりも、もっとたくさんの木の実を取ってきて、みんなに分けてあげられる」

「それはいいわね。実のところ、蓄えが無くなってきててどうしようかと思ってたの」

「あはは・・・ごめんね」

軽口を叩きあった後、どちらからともなく二匹は体を寄せ合う。

「ねぇ、グレイシア」

「何?」

「抱きしめても、いい?」

「何?実は肉食系なの?」

「えっと、ほら・・・寒いから暖を取りたくて・・・」

「私を抱きしめても寒くなるだけよ?」

思わず吹き出すグレイシアだが、その後フライゴンに体を委ね、

「馬鹿ね。こういう時は黙って抱きしめるのが筋ってものでしょ」

「あはは、ごめんよ、グレイシア」

そのまま抱きしめあい、眠りへと誘われていった。

「ねぇ、フライゴン。暖かい?」

「うん、おかげさまで。熱いくらいだ」

「嘘つき、体が震えてるわ」

「それは喜びに震えてるだけだよ。幸せだ、グレイシア」

「・・・私もよ」



「これハ凍傷ですネ」

「アロマセラピーしますね!」

「め、面目ない・・・」

「馬鹿な男さね、氷タイプに触れて寝るなんて、オチは見えてたはずなのに」

「熱いっていうか、痛かったのね・・・」


『雪に焦がされて』・・・おしまい
 ▼ 93 ベノム@いましめのツボ 18/02/01 19:33:59 ID:hX2vRI1E NGネーム登録 NGID登録 報告
フライゴン カッコイイ 
>>91



 ▼ 94 ッキング@ゴーストメモリ 18/02/01 20:10:34 ID:OoIygBPI NGネーム登録 NGID登録 報告
ミュウ→ドーブル♂←メタモン ってちょっと難しい?
 ▼ 95 シレーヌ@ぼうごパッド 18/02/01 20:52:59 ID:64afyfuo [17/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
『旅の終わりに思うこと』(ピカチュウ♂×ミミロル♀)

ピカチュウ「モデルにスカウトか・・・凄いね」

ミミロル「そ、そんなことないよ!」

ピカチュウ「ふふ、そんなことあるよ。可愛いもんね、ミミロル」

ミミロル「ふぇぇ!?」

ピカチュウ「自信持って。応援してる」

ミミロル「・・・うん・・・ありがとう・・・」

ピカチュウ「ん?どうかした?」

ミミロル「なんか、ピカチュウ君のセリフ、お別れの時の言葉みたいだなって思って」

ピカチュウ「ははは、何言ってるんだよ」

ミミロル「・・・・・」

ピカチュウ「お別れの、言葉なんだよ?」

ミミロル「・・・うん、そうだよね」

ピカチュウ「お別れの言葉だからさ、そんなそっぽ向かないで。ちゃんと君に聞いてほしいな」

ミミロル「うん・・・」

ピカチュウ「・・・えへへ、何度目かのお別れなんだけど、僕だって全然慣れないんだよね」

ミミロル「・・・・・」

ピカチュウ「だから、短くまとめられなくて。ごめんね?色々話すけど、聞いてくれるかな」

ミミロル「うん・・・聞くよ。ちゃんと聞く、あなたのどんな言葉も聞き逃したくないから」

ピカチュウ「・・・サトシと旅を始めた時はね、僕って生意気でさ」

ミミロル「ピカチュウ君が?」

ピカチュウ「サトシの言うこと全然聞かなくて、それで大変な目に遭って、死にかけたんだよね」

ミミロル「死にかけたの!?」

ピカチュウ「あれはやばかった〜・・・」

ミミロル「笑い話かな・・・」

ピカチュウ「その一件で流石に懲りて、サトシにサトシと共に旅をすることに決めて」

ミミロル「うん」

ピカチュウ「だからミミロル!ヒカリの言うことはちゃんと聞くんだよ!!」

ミミロル「そ、それが言いたいことなの!?」
 ▼ 96 ドラン♂@メガバングル 18/02/01 21:10:27 ID:64afyfuo [18/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
ピカチュウ「じゃないと死ぬよ?」

ミミロル「私別にやんちゃしないもん!!」

ピカチュウ「あはは、ごめんね。それで、サトシがゲットした仲間とも、別れたりすることがあったよ」

ミミロル「仲間と?」

ピカチュウ「うん、ほら、エテボースみたいに」

ミミロル「エテボース、元気にしてるかな・・・」

ピカチュウ「とても寂しいよね。でも、そんなときもなるべく元気でいてほしいんだ」

ミミロル「元気で?」

ピカチュウ「もしヒカリが、この先誰かの意志を尊重してその子と別れる決断をしても、その時はなるべく笑顔で、ヒカリの傍にいてあげてほしい」

ミミロル「・・・うん」

ピカチュウ「だって、一番つらいのはその決断をしたトレーナーだからね」

ミミロル「そうだね、分かったよ」

ピカチュウ「その代わり餌の時間を忘れたりポケモンの世話をおざなりにするようなことがあれば本気で怒っていいからね」

ミミロル「う、うん」

ピカチュウ「こっちにしたら死活問題なんだからうっかり忘れてた〜なんて言うようなら10万ボルトをお見舞いしてやればいい」

ミミロル「じ、実体験なの・・・?私10万ボルト使えないよ・・・」

ピカチュウ「あと旅先で出会う優しそうな人には全力で甘えるといいことがありやすいかな」

ミミロル「何の話!?」

ピカチュウ「大切な舞台で失敗した時は励ましてあげればいいけど、大切な舞台で恥かいたときは思いっきり笑ってからかってやればいい」

ミミロル「思いっきり笑うんだ!」

ピカチュウ「形態模写は極めておくと凄い役に立つよ」

ミミロル「確かに上手だもんね、ピカチュウ君」

ピカチュウ「はいソーナンス」

ミミロル「アハハハハ!似てる!似てるよピカチュウ君!」

ピカチュウ「なんだかんだ言ってこれが一番得意かな」

ミミロル「あはは・・・もう、何の話〜?形態模写別に関係ないでしょ?」

ピカチュウ「慣れてないから、みじかくまとめられないんだよ」

ミミロル「もう・・・絶対いらなかったよ今の」

ピカチュウ「そうだな・・・そうだ、一番大事なこと忘れてた」

ミミロル「なに?どうせまた冗談でしょ?」
 ▼ 97 イリュー@リニアパス 18/02/01 21:14:58 ID:64afyfuo [19/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
ピカチュウ「サヨナラの時は、そんな感じの笑顔でいることが大事だよ、ミミロル」

ミミロル「え?」

ピカチュウ「最後の顔が泣き顔じゃ、いやだもんね」

ミミロル「ピカチュウ君・・・」

ピカチュウ「うん・・・バッチリだ!じゃあ、サトシたちのところにいこうか」

ミミロル「・・・・・もう」

ミミロル(最後の最後はもう一回、真剣に好きだよって伝えたかったのに・・・)

ミミロル(そんな雰囲気じゃなくなっちゃった・・・)

ミミロル(でも、きっと・・・そんなピカチュウ君だから・・・)


ミミロル(ずっと、好きだったんだろうなぁ・・・)


『旅の終わりに思うこと』・・・おしまい
 ▼ 98 ドリーナ@スピーダー 18/02/01 21:34:08 ID:3IlBYTR. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
流石ピカ様当時にして14年の貫禄
 ▼ 99 ァイアロー@でかいきんのたま 18/02/01 21:34:18 ID:64afyfuo [20/20] NGネーム登録 NGID登録 報告
【目次】

リザードン♂×イーブィ♀『進化』 >>1

リーフィア♂×ブースター♀『にほんばれを覚えた理由』 >>7

エルレイド♂×サーナイト♀『俺の特権、私の特権』 >>13

エネコロロ♂×ルカリオ♀『素直な気持ちで』 >>19

カイリキー♂×フーディン♀『一生モノの縁』 >>28

ジュナイパー♂×ミミッキュ♀『仮面』 >>37

ゲンガー♂×ムウマージ♀『Please abduct me』 >>47

フライゴン♂×ラティアス♀『コンプレックス』 >>57

ルージュラ♀・エンニュート♀『ハツユキソウ』 >>66

デンリュウ♂×ライチュウ♀『カフェオレが飲みたいの』 >>75

フライゴン♂×グレイシア♀『雪に焦がされ』 >>85

ピカチュウ♂×ミミロル♀『旅の終わりに思うこと』 >>95
 ▼ 100 バコイル@ポケじゃらし 18/02/01 21:35:59 ID:IU4Pd7kQ NGネーム登録 NGID登録 m 報告
エモンガ♂とビリジオンお願いします!!
 ▼ 101 ナギラス@まひなおし 18/02/01 21:41:41 ID:9DttcHwk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
よくリクエストからこのストーリー思い付くなあ
神スレあげ
 ▼ 102 ランブル@みどりのかけら 18/02/01 21:54:14 ID:ua1POUD6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
どの話も面白い、支援
アニメ映画ありならボルケニオン×マギアナみてみたいな
 ▼ 103 ポエラー@スペシャルアップ 18/02/02 11:53:05 ID:PqKMGQJg [1/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
『海の魔物』(コイキング♂×ヨワシ♀)

コイキング、世界で一番情けなくて弱いポケモンとして有名なポケモン。

だが、進化するとギャラドスという、非常に凶暴で強いポケモンとなる。

大抵のギャラドスは、コイキングの時代に晴らすことのできなかった鬱憤やストレスを暴れることで発散し、その力で得た自身の他者に対する優越感に溺れる。

そして、他の大抵のポケモンが持ち合わせるような、自身の進化前の形態に対する保護欲やシンパシーなんてものは、ひとかけらも持ち合わせていない。

寧ろ彼らはコイキングの時代を忘れたいあまり、コイキングを見かけるとイライラを覚え、迫害する傾向まである。

今この時も、

「てめぇ誰の許可得て俺様の前を泳いでんだこらぁぁぁ!!!」

「ひぃぃぃぃぃ!!!お助けをぉぉぉぉぉ!!!」

とあるコイキングがギャラドスの怒りを買い逃げていた。


泳ぐスピードだけはそれなりに速いコイキングだが、それでもギャラドスに敵う道理はなく、

「ちょこまか逃げんじゃねぇ!!ぶっ殺してやる!!」

「助けてぇぇぇぇぇ!!!」

体力のなさも相まって徐々に追い詰められていく。

その時、

「「弱い者いじめとは感心しないな」」

「なっ!?」

コイキングとギャラドスの間に割って入る大きな影。

「「随分と力に自信があるようじゃないか。どれ、私が相手をしてやろう」」

「う、う・・・ウワァァァァアアアア!!!」

その巨躯の持ち主が戦闘態勢を取ると、威圧感に押されたギャラドスは情けなく逃げていった。

コイキングはというと、その様子を見ても今度は助けてくれた相手に恐怖を怯えるばかりで、

「あ、あなたは・・・」

それでもお礼を言うために勇気を出して名前を聞いてみると、

「大丈夫だった?災難だったね〜ギャラドスに目を付けられるなんて」

その巨躯はみるみるうちに形を変え小さくなっていって、

「みんなありがとね?あ、私の名前だっけ」

最後には小さな一匹の魚ポケモンとなった。

「私の名前は、ヨワシ!」
 ▼ 104 ョロボン@きんりょくのハネ 18/02/02 12:08:39 ID:PqKMGQJg [2/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私ね、一匹だけだと弱っちいんだけど、ピンチになると光って仲間を呼ぶの」

「仲間を?」

「うん。ヨワシは団体行動が得意だから、さっきみたいにおっきな魚の姿になって、海の魔物なんて呼ばれたりしてるのよ?」

ヨワシの正体が自分と同じ小魚だと知ったコイキングは安心して、社交的で明るい彼女と友達になった。

仲間を呼べるほどうまく瞳を光らせることができるのは、ある程度育ったヨワシだけ。

今のコイキングには、この小さな姿のヨワシにも勝てないのだろうと思っていた。

「でもひどいよね、あのギャラドスだって、君みたいなコイキングの時代があったはずなのに」

「仕方ないよ、進化して性格が変わったり、そもそも記憶が欠落したりなんてこともあるらしいし」

「ふーん、私たちには進化なんてものはないから、よくわかんないな」

「僕だって、いつかは強いギャラドスになりたいんだ!」

コイキングは既にたいあたりの技を覚えていた。

荒波に揉まれ跳ねることしかできず、長年を意味のあるのかないのか分からない特訓に費やしてきたが、この技を覚えたと言うことはギャラドスへの進化の時がすぐ近くまで来ているという証だ。

「でも、あんまり暴れるようだったら、さっきみたいに私たちが痛い目見せてあげるからね?」

「は、はい・・・」

ギャラドスが逃げ出すほどの迫力あるヨワシの群れたすがた、いくら自分が進化して強くなってもあの姿のヨワシとは対峙したくないと思うコイキングであった。


それから、コイキングとヨワシは度々会うようになった。

「はぁぁ!!」

「いっ、なかなかやるね!」

単独の姿のたヨワシに特訓をつけてもらい、コイキングのトレーニングは以前にも増して捗るようになった。多彩な技を使え、コイキングを痛めつけるほどの力を持たない一匹のヨワシはコイキングのコーチ役に最適だったのである。

ボチャン

「!?」

そんなある日、特訓中に大きな水しぶきをあげて何かが落ちてきた音を耳にした。

「あれは・・・!」

見ればポケモンらしき陰が深く沈んでいくのが分かる。

「魚じゃない・・・助けなきゃ!」

ヨワシがひとみを光らせ、むれを作るよりも早く、

「!!」

「コイキングくん!!」

コイキングはその陰の元にたどり着き、ポケモンの救助を試みた。

 ▼ 105 リーザー@ポイントアップ 18/02/02 12:23:22 ID:PqKMGQJg [3/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はぁ・・・はぁ・・・あとちょっと・・・」

「「手伝うよ!」」

「ヨワシ・・・のみんな!」

群れが完成し、追いついてからは手伝うと言ってもヨワシの群れだけで事足りた。

群れの姿の背に当たる部分にポケモンを乗せて、海の上まで運んでいく。

コイキングは背からポケモンが落ちないように見張ることしかできなかった。


「友達を助けてくれて、ありがとうございます!!」

「ううん、無事でよかったよ!」

海の中に落ちてきたのはプラスル。

マイナンは号泣しながら何度も何度もヨワシに礼を言った。

「私、プラスル君が死んじゃったんじゃないかと思って・・・でも私じゃこんな海の中に入れないし・・・ほんとに、ほんとに!ありがとうございました!!」

「よしよし、怖かったね」

群れた姿を解いてやさしくマイナンをなだめるヨワシの姿を見て、コイキングは物思いにふけていた。

むれになっていると言えど、あの大群のリーダーはこのヨワシで、ヨワシの指示で全体が動く。

強くて優しくて、とても明るくて、そして可愛い。

ギャラドスになって強くなれたら、こんな彼女にも釣り合うのかな・・


「速かったね・・・驚いたよ!」

「僕が?」

ヨワシもヨワシで、コイキングに敬意を表していた。

いの一番に海に落ちてきたプラスルに気づいて、自分よりも速く彼の元にたどり着いて、一生懸命救助を試みる。

この人はとても優しくて、強い人なのだ。でも・・・

「・・・私、誰かのために頑張れる優しい人って好きだな」

「僕もだよ。誰だってそうじゃない?」

「・・・コイキング君が進化しちゃっても、そんな風にあってくれるのかな・・・」

「へ?」

ギャラドスになると、こんな優しいコイキング君も、凶暴になってしまうのだろうか。

ずっとこの姿でいてくれたら・・・そんなことを考えてしまう。

「ダメだね、私は君の夢を応援してあげないと」

そういったヨワシの笑顔のぎこちなさに、コイキングは気づくことができなかった。
 ▼ 106 ンジャラ@あおいビードロ 18/02/02 12:38:28 ID:PqKMGQJg [4/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「聞いたわよ〜、ヨワシ。海に落ちてきたポケモンを助けたんだって?」

海の奥深くに居を構えるオクタンは、ヨワシの友達の一人であった。

そんな彼女のことを、ヨワシは今日コイキングに紹介しにきたのだ。

「最初に助けたのは彼だよ、オクタン」

「まあ、コイキングが?聞いたときは半信半疑だったけど、あんたの友達だけあって勇敢なところがあるのねぇ」

「い、いえ・・・」

少し表情が読み取りにくく、謎の威圧感をもつオクタンを前にコイキングは緊張していた。

優しくて可愛らしい彼女と、この人が友達なのかと、交友関係は分からないものだなんて考えていたが、

「どうしたの?コイキング君、だいぶ堅いみたいだけど」

「そ、そんなことないよ!」

「別に心配しなくても、ヨワシの友達っていうなら悪くはしないわ。コイキングなんて身柄じゃ、周りの目も大変でしょう」

この日を通じて彼女も優しく接してくれたので、帰る頃には警戒心もなくなっていた。


「お近づきのしるしにこれをあげるわ」

「これは・・・小判?」

「オクタンはね、海の中に眠るお宝を集めるのが趣味なの!色々あって面白いのよ!」

「そうなんだ・・・」

「お守りにでもしなさいな。とてもなんだかありがたそうな見た目をしているでしょ?」

コイキングはありがたく小判をいただき、また来ることを誓ってヨワシと共に彼女の家を出た。

帰る頃には、オクタンに抱くイメージも随分変わっていた。

「いい人だったでしょ?彼女」

「うん、とても親切な人だったよ」

「私赤色って好きなんだ〜。だから、オクタンの近くにいるととても落ち着くの」

さりげなく発せられる言葉にドキドキしてしまう。

自分と友達になってくれたのも、自分の体の色が赤色だったからなのか。

とても恥ずかしくてそんなことは聞けなかったが、

「ほら、私も前オクタンからもらったの。壊れたモンスターボール!」

「そ、そんなものまであるんだ・・・」

いつからかこんなにも彼女の隣にいることで落ち着かない自分がいるのに、彼女は赤い自分の隣にいることで落ち着いていられるのかと思うと、

何故か少し悔しく感じてしまうのだった。
 ▼ 107 ーメイル@こないれ 18/02/02 12:47:49 ID:PqKMGQJg [5/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あいつか・・・?あんなちっこいのにやられたってのかよ」

「今は小さく見えるけど、ほんとはやべぇんだよあれ!みるみるうちにでっかくなって・・・」

「だから集団で囲んでやっちまおうってか。気は進まねぇな」

「なあ、頼むよ・・・俺が嘗められたまんまだとお前らにとってもよくねぇだろ?」

「ギャラドスの面汚しが・・・まぁいいぜ。やってやる」

ご機嫌に泳ぐ単独のヨワシを囲む不穏な姿。

かつてヨワシの前から逃げていったギャラドスが腹いせにヨワシを襲おうとしていたのだ。

「いくぞ!!」


「キャァァァアアア!?」

悲鳴が聞こえてコイキングは海の異変に気付く。

「ギャラドスの群れ・・・何が起こってるんだ!?」

ギャラドスが数匹で行動を行うことなど珍しかった。

怖い気持ちを抑えて近づいてみると、その中にヨワシの姿が見て取れた。

「ヨワシが襲われている・・・!」


「この前は良くも俺に恥をかかせてくれたな!!」

「一匹だとこんな弱っちい癖に、粋がりやがって!!」

「うう・・・」

ギャラドスに囲まれ、逃げることができないヨワシ。

群れを作る仲間たちも、多数のギャラドスに阻まれてヨワシの元にたどり着けない。

「やめろ!!!」

「うわっ!?」

突如、一匹のギャラドスが態勢を崩す。

コイキングの体当たりだ。

「なんだ・・・?雑魚が俺たちになんのようだ!!」

「ヨワシ逃げて!!」

「うん!!」

態勢を崩したギャラドスの隙から、ヨワシが脱出に成功する。

「おいこらまてクソアマァ!!」

ヨワシを追いかけようとするギャラドスだったが・・・
 ▼ 108 ミカラス@リザードナイトX 18/02/02 12:58:09 ID:PqKMGQJg [6/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ぼ、僕が相手だ!!」

震えながらもヨワシを守るように構えるコイキングがそれを阻む。

「なんだよ!ヒーロー気取りか!?随分と情けない恰好だな!!」

「うう・・・僕は、僕は逃げないからな!!」

震える身体も怯える心もコイキングに逃げろと叫ぶが、

それでもコイキングはその場を引かなかった。

「ちっ、痛い目見なきゃわからねぇみたいだな!」

ギャラドス達が一斉にコイキングにかかろうとした瞬間、

「「はぁぁぁあああああ!!!」」

「な、なに・・・うわぁぁぁあああ!!」

超高威力のハイドロポンプがギャラドスたちを一掃した。

「ヨワシ・・・」

「「ありがとね、時間稼いでくれて」」

コイキングがヨワシを守っている間に、ヨワシは群れの形成を完了していたのだ。

コイキングは少しホッとしたが、またもヨワシに守られてしまう形となり情けないとも思った。

「てめぇ、なめやがって!!!」

ギャラドス達は再びヨワシに襲い掛かる。

1対1では勝てなくとも、これだけのギャラドスがいれば勝利は堅いと認識していたから。

ヨワシの方も引く気はなかったが。

「お前たちやめないか!!」

「なっ!?」

そこに仲裁が入り、ギャラドスはすごすごと逃げ帰っていった。


「あんなにやる気満々だったのに、あっさり帰っていっちゃったね」

「だって、仲裁に入ってくれたギャラドスさん、凄く強そうだったもの」

ギャラドス達の暴走を止めたのも、ギャラドスであった。

ヨワシの目にも、彼らの目にも、そのギャラドスは自分達とまるで格が違うように映っていた。

それでいて、礼を言うヨワシたちにはとても穏やかな顔を向け、同族の非礼を詫びて帰るのみ。

ヨワシの知っているギャラドスのイメージとは大きく違っていた。

「ギャラドスの中にも、あんなに優しいギャラドスがいるんだね・・・」
 ▼ 109 ディアン@ミュウZ 18/02/02 13:11:27 ID:PqKMGQJg [7/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「コイキング君も、ああいうギャラドスになってね!強くて優しいギャラドスに!」

「え?僕はギャラドスにならないよ」

「へ?」

「ほら、変わらずの石。オクタンさんに頼んでもらったんだ。これで変な気使わなくても進化の心配はないね!

突然のコイキングの告白に、ヨワシは面食らう。

コイキングはギャラドスになるのが夢で、そのために特訓をしていたのではなかったのか・・・

「私が、ギャラドスにならないでほしいなって思ってたから、ギャラドスになるのやめちゃったの?」

「ううん、違うよ」

ヨワシの問いにコイキングは少し照れて、

「ヨワシが、赤色が好きだっていうから。進化したら嫌われちゃうかなって・・・」

顔を逸らしながらこう答えた。

「・・・そ、そんな理由で?」

「それに、ほら、一匹の時の君と話すのは、この姿の方がいいでしょ?」

「ふふ、そうだね」

「それに、コイキングのままでも強くなれるし!ほら、新しい技を覚えたんだよ!じたばた!!」

コイキングが進化して、ギャラドスになって、もし凶暴になってしまっても変わらず友達であり続ける自信をヨワシは持っているつもりだった。だったのだが・・・

「・・・え?ヨワシ、泣いてるの?」

「・・・ううん、泣いてないよ。ちょっと安心しちゃって・・・」

コイキングがコイキングであり続ける理由となったのが自分であるという事実が、ヨワシはとても嬉しかった。

何故かもわからないけど、ただただ、嬉しかった。

「じゃあコイキング君のその決断の責任は私が取らなきゃだね!」

「え?」

「私たち、ずっと友達だよ!ズッ友!これからもよろしくね!」

「と、友達・・・う、うん・・・よろしく」

「あれ?嬉しくないの?」

「嬉しいよ!」

ヨワシとコイキングのお互いを思う気持ちにはまだズレがあるのかもしれない。だが、お互いの存在がかけがえのないものであることは、十二分に分かっていた。

それ以上の関係になれるかどうかは、これからのコイキング次第だ。


『海の魔物』・・・おしまい
 ▼ 110 ーボック@そうこのカギ 18/02/02 14:31:09 ID:PqKMGQJg [8/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
『デザートは甘くないくらいが丁度いい』(フライゴン♂×クチート♀)

クチート「ううん・・・砂塵が強くなってきたな・・・」

バルジーナ「大丈夫かい?今日はそろそろ引き上げるのも手だと思うけどねぇ」

クチート「ダメダメ、今日はなんの戦果も得られていない!引き下がれないね!」

ランクルス「確かにクチートは鋼タイプだから砂嵐によるダメージの心配はないけど、こうも砂嵐が強いと捜索活動もままならないでしょう?」

バルジーナ「喉も乾くし、体力も予想以上に持っていかれる。あんた体も小さいし、後悔してもしらないよ?」

クチート「倒れたらバルジーナが運んでくれるでしょ?」

バルジーナ「アンタねぇ・・・」

クチート「トレジャーハンタークチート様の名に懸けて、この砂漠に眠るという財宝を手にして見せるんだから!!」

ビュオォォォォォォォ

クチート「んんっ!!二人とも大丈夫?」

・・・・・・・・

クチート「・・・へ?」


バルジーナ「まずいねぇ・・・今吹かれたので、クチートを見逃した!」

ランクルス「こ、こんな砂塵の中じゃ探すのは一筋縄にはいきませんよ!!」

バルジーナ「・・・まぁ、アタシたちが死んでもあの子は生きてるとは思うけどさ。経験も長いし、アタシたちの界隈で誰よりも強いし」

ランクルス「神童・クチート。子供の頃から天性のセンスで財宝という財宝を見つけ出した、この世界じゃ名前を知らない者はいない存在」

バルジーナ「そんな彼女が単身、ここイッシュの地に来ると聞いたときは随分驚いたものだね、アタシたちがご一緒できてるなんて、まるで奇跡みたいなもんさ」

ランクルス「ですが、チームを組んでみると、なかなかどうして危なっかしい人なんですよね・・・私たちが弱いだけでしょうか、とてもそうは思えません・・・」

バルジーナ「これで今まで生きて来たってんだから、まあ、そうなんだろうけどさ。見つけるに越したことはない、探すよ!」

ランクルス「はい!」


クチート「・・・ん?これは・・・おいおい、一体なんだ?お城?リゾートデザートにこんなお城があるなんて、聞いたこともなかったけど・・・」

フライゴン「誰だ?」

クチート「ワオ、先客!?」

フライゴン「・・・なんだ、子供じゃないか。まさか一人でここまで来たのか?」

クチート「こ、子供じゃないやい!!見た目で判断すんな!アタシの名前はクチート様だ、この道に入って10数年の大ベテラン様よ!」

フライゴン「この道・・・?」

クチート「こっちでも結構知られてるみたいだったけど、まあ知らない人がいるのも仕方ないわ」

フライゴン「さっきから一体、何の話だ?」
 ▼ 111 ブライカ@プロテクター 18/02/02 14:45:37 ID:PqKMGQJg [9/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
クチート「あんたもトレジャーハンタ―でしょ?リゾートデザートに潜むというまだ見ぬお宝を探しに来たんじゃないの?」

フライゴン「まさか。私はフライゴンという、ここを住処にしているただの一匹のポケモンさ」

クチート「え、こんなところに住んでるの!?」

フライゴン「私は砂漠が好きでね。安住の地を探して世界中を飛び回っていたけど、ここに落ち着いたのさ。静かで、暮しやすくて、いい場所だ」

クチート「へぇ・・・なんだ、そうだったの」

フライゴン「君、仲間は?」

クチート「仲間?」

フライゴン「まさか一人でここまで来たわけじゃあるまい。はぐれたのか?」

クチート「そうね、はぐれちゃった。今頃帰って私を心配しているかもね」

フライゴン「なんだって!?それなら君は早く帰るべきだ。送ってあげよう」

クチート「嫌よ。折角こんな誰もたどり着いたことのなさそうなお城にやってきたのに、アタシはこのお城を探検するわ。そして財宝ゲットよ!」

フライゴン「ここには何もないよ。そもそも私たちが先に住んでいるだろう、誰もたどり着いたことがないわけじゃない」

クチート「そ、それもそうね・・・」

フライゴン「もし君の仲間が君を探していて、道中で倒れていたらどうする?」

クチート「アタシたちはプロよ?道中でのたれ死ぬなんてありえないわ」

バルジーナ「クチート!!」

ランクルス「どこにいるのです!?」

クチート「ほら!」

バルジーナ「!!クチート、こんなところに!!」

ランクルス「心配しましたよ・・・」

フライゴン「保護者の方か」

クチート「保護者じゃなーい!!」

バルジーナ「うん?アンタは・・・」

フライゴン「私はフライゴン、この古代の城で暮らしている」

ランクルス「古代の城?」

クチート「そんな名前あったの!?お宝のにおいがする素敵な名前!」

フライゴン「仮にお宝があったとして、それならばすでに私たちが全てかすめ取っているよ」

クチート「ううっ、そんなのずるくない?」

フライゴン「もとよりここには何もない・・・さあ、仲間と合流したことだし、帰るといい。私がリゾートデザートの外まで送っていくよ」

クチート「むぅ・・・」
 ▼ 112 ックウザ@とくせいカプセル 18/02/02 14:59:18 ID:PqKMGQJg [10/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
クチート「来たわよフライゴン!!」

フライゴン「・・・また君か」

クチート「昨日のとこは大人しく帰ったけど、今日こそはここに眠るお宝を根こそぎゲットよ!!」

フライゴン「だからここには何も・・・」

クチート「それ進め〜!!」

フライゴン「あ、ちょっと、こら待て!」


フライゴン「仲間たちはどうしたんだい?」

クチート「今日は別のところに言ってるわ。私には少しぬる過ぎるところだったから、パスしてこっちにきたの」

フライゴン「昨日も思ったが、君はもう少し自分の体を大事にするべきだ。仲間に心配をかけて、すこし自由奔放すぎるんじゃないか?」

クチート「アタシにしたらこの砂漠くらい、なんでもないのよ。確かに昨日は砂嵐がひどかったけど、あれくらいが歯ごたえ合って丁度いいわ」

フライゴン「そういう話をしているのでは・・・」

クチート「そうは言われても、小さいころからあんなの日常だったし、ちっとも危ないなんて思えないんだもの」

フライゴン「・・・そうか」

デスマス「フライゴンさん、お客さんですか?」

クチート「キャァァァァァ!!!お化け!!!」

フライゴン「ああ、自称トレージャーハンターの・・・何隠れているんだ?」

クチート「じ、自称じゃないし・・・」


デスマス「驚かせて申し訳ございません。ワタクシ、デスマスと申します」

クチート「へぇ・・・デスマスって言うんだ」

フライゴン「クチート、少し離れてくれないか」

クチート「デスマス!この城に眠るお宝の在り処を答えなさい!フライゴンったら、全然口を割らなくて困ってたのよ!」

フライゴン「・・・怖がりながらすごまれてもなぁ」

デスマス「お宝、ですか・・・そうですね」


チラーミィ「フライゴンお兄ちゃん!デスマスお姉ちゃん!お帰りなさい!!」

ゾロア「!!お兄ちゃんの後ろにいる子、誰!?新しい家族!?」

フライゴン「ただいま、みんないい子にしてたか?」

ワルビル「帰ったかフライゴン!!ちょっとヨーテリーあやすの変わってくれ俺じゃあ全然泣き止まん!!」

クチート「・・・え、なにこれ」
 ▼ 113 ートロトム@こううんのおこう 18/02/02 15:14:35 ID:PqKMGQJg [11/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
デスマス「しいて言うなら、これが私たちのお宝ですね」

クチート「お宝・・・?まさか、あんたたちの子ども!?」

デスマス「違いますよ!どうしてデスマスとフライゴンからチラーミィやゾロアが!」

フライゴン「それにデスマスには既に夫がいる」

デスマス「私たちはこの古代の城を用いて、集落のようなものを築いているのです」

フライゴン「古代の城をもともと住処としていた者に加え、砂漠で遭難に遭った子供たちを迎え、共同生活を行う場、それがここだ」

クチート「ふ〜ん、なるほどねぇ」

ゾロア「クチートも一緒にあそぼ!!」

クルミル「遊ぼ遊ぼ〜!」

ゴチム「クチート遊ぼ〜!!」

クチート「え、あ、ちょっと!」

フライゴン「せっかくここまで来たんだ、遊んでやってくれないか」

クチート「う〜、もう、仕方ないなぁ」

モノズ「ドォ〜ン!」

クチート「うわっ!?」

モノズ「鬼ごっこだ〜!クチートが鬼な〜!」

クチート「このっ・・・アタシのことはクチートお姉ちゃんと呼びなさい!!」

クルミル「わ〜!クチートお姉ちゃんが怒った〜!」

ゾロア「逃げろ〜!!」

ワルビル「・・・あのクチートってのは何者なんだ?」

フライゴン「遠くの地方からやってきたらしい。幼いころからトレージャーハントに勤しんでいたとか」

デスカーン「それでこんなところまで・・・リゾートデザートに眠るお宝の噂を聞きつけたんだな?」

デスマス「あなた、お帰りなさい!」

デスカーン「しかし、増えていくばっかだと食料問題も考えなきゃなんねぇな」

フライゴン「うむ・・・」


ゾロア「スー・・・スー・・・」

クルミル「むにゃ・・・お姉ちゃん・・・」

デスマス「遊び疲れて寝ちゃいましたね」

クチート「うん・・・私も疲れちゃった」
 ▼ 114 エルオー@おだんごしんじゅ 18/02/02 15:38:40 ID:PqKMGQJg [12/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
フライゴン「ありがとう、クチート。目いっぱい遊ばせてしまって、この子たちも喜んでいたよ」

クチート「ううん、私も楽しかったよ。ここ、いいところだね」

フライゴン「・・・そうかな」

デスマス「始めたのはフライゴンさんなんですよ」

クチート「え、あんたが?」

デスマス「ある日チョロネコを拾ったのがきっかけなのです。フライゴンさんがリゾートデザートにたどり着いて間もないころでしたっけ」

フライゴン「デスマス・・・」

デスマス「息も絶え絶えのチョロネコを拾って、古代の城を見つけたフライゴンさんがその日初めてやってきて、私たちで懸命に看護したんです」

フライゴン「想像していたことだったが、そのチョロネコには親がなくて、若かった私は一人でチョロネコの親代わりになろうとした」

クチート「へぇ・・・」

フライゴン「見かねたここの住人たちが協力してくれるようになったんだ」

デスカーン「そのあともこいつ、調子に乗って次々拾ってくるようになってよ・・・」

フライゴン「仕方ないだろ・・・どうも、ここは捨て子が多いらしく」

デスマス「成長したレパルダスさんを筆頭に、生活の支援をしていただいてるのですが、どうにも・・・」

クチート「・・・私の家ね、代々続くトレージャーハンターの家系でさ」

フライゴン「ああ」

クチート「物心ついたときから私もお父さんたちの仕事について行った。お父さんもお母さんも仕事ばっかりで、私がしんどいよぉって言っても全然聞いてくれなくて」

デスカーン「・・・・・」

クチート「まだ子供だった頃に私は家出したんだ。最初の頃はそんなに遠くないとこ、友達の家とか、親の目の届く範囲。心配してるから帰ったら〜とか、色々言われたんだけど、そんな口先だけの心配なんて気にも留めなくてさ」

デスマス「反抗期ですね・・・」

クチート「そのうち故郷から出て、遠い遠いところでトレジャーハントで生計を立てるようになった。生計有名になったら親から連絡が来たりしたけど、全部無視した」

フライゴン「・・・・・」

クチート「ダメな子だったね、アタシ。たった一人の娘がわがまま言って家出して、遂に手の届かないところまで行っちゃってさ。最期まで、心配じゃないわけ、なかったのにね・・・」

フライゴン「!!」

クチート「バルジーナやランクルスにも悪い事しちゃったなぁ。もう長い間、ずっと一人で生きていけるって信じ込んでたから、誰かに心配されたって、全部きれいごとみたいに思ってたんだよね」

フライゴン「次会ったら、ちゃんと謝ればいいさ」

クチート「うん、そうするね」

フライゴン「リゾートデザートの外まで、送っていくよ」

クチート「ありがとう、フライゴン」

フライゴン「・・・例には及ばない」
 ▼ 115 オー@アッキのみ 18/02/02 16:01:23 ID:PWbAC2tU NGネーム登録 NGID登録 m 報告
サトシ「カキってなんでいつも上半身裸なの?」

カキ「チクニーのしすぎで、服を着るのがつらくなったんだ」

サトシ「カキは俺のこと、好き?」

カキ「どうした急に…友達として好きだぞ」

サトシ「じゃあここでチクニーしろ」

カキ「フン…くっ…サトシィィ…ぬぅうぁっ………はっ!」

サトシ「友達として、なんて嘘ばっかりだ。普段つかってるオカズの名前、ヴェラの火口から漏れ出ているぜ?」

カキ「おお神よ、はやくいれてくれ」

サトシ「アローラ。大きな声で鳴けよ?」ズブリボン
 ▼ 116 ラルバ@シールいれ 18/02/02 16:07:50 ID:PqKMGQJg [13/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
フライゴン「ただいま」

デスマス「お帰りなさい、フライゴンさん、お仕事お疲れ様です」

フライゴン「ああ、今月はファイトマネーも多いから、少しは生活も楽に・・・ん?」

クチート「次はモノズが鬼だぞ〜!そーれ逃げろ〜!」

ゾロア「逃げろ〜!!」

モノズ「ちょ、クチートずるい!早すぎ!!」

ヨーテリー「バルジーナお姉ちゃんの翼ってすっごい大きいね!」

バルジーナ「立派なもんだろ?そうだ、一緒に空飛んでみるかい?」

ランクルス「そうですね・・・モモンの実ですね!」

ゴチム「凄い!どうして考えてること分かるの!?」

フライゴン「・・・また来てたのか」

クチート「ん?あ、フライゴン!お帰り!」


クチート「みんな喜んでくれるからさ〜、嬉しくって。来たらだめだった?」

フライゴン「別にダメってことはないさ」

クチート「そうだ、仕事終わりでしょ?これ、食べる?働いた後のご褒美ってことで」

フライゴン「これは・・・?」

クチート「クチート様お手製のポロック!さ、食べな食べな!」

フライゴン「あぁ・・・」

クチート「おチビたちにはもう少し甘いほうがいいんだろうけど、あんたにはこれくらいかなぁって」

フライゴン「そうだな、美味しいよ」

クチート「でしょ〜?いや〜、クチート様ってば料理も出来ちゃって、やっぱし天才!」

フライゴン「自分で言うのか・・・」

クチート「そうだ、アタシね、今日からここで暮らすことにしたから!」

フライゴン「はっ!?今日から!?」

クチート「お〜、アンタもそんな声出すんだね!面白い!」

フライゴン「・・・あのなぁ」

クチート「生活の助けになれると思うよ。なんてったって超一流のトレジャーハンタ―様だし」

フライゴン「・・・・・だが」

クチート「私家族いないしさ」
 ▼ 117 ナトーン@ウタンのみ 18/02/02 16:20:07 ID:PqKMGQJg [14/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
クチート「決まった家もないから・・・アンタ達と一緒だったら寂しくないかなって」

フライゴン「・・・・・」

クチート「バルジーナ達も時々遊びに来てくれるって言うし・・・ダメ、かな?」

フライゴン「っ、ダメだとは言ってないだろう!」

クチート「そう言ってくれると思ってた!これからよろしくね!フライゴン!!」ニコッ

フライゴン「!・・・勝手にしてくれ・・・」


バルジーナ「じゃあ、達者でね、クチート」

クチート「そんな永遠の別れみたいに、どうせ仕事の時は一緒なんだしさ」

ランクルス「それもそうですね。皆さんも、また遊びに来ますね」

デスマス「ええ、いつでも歓迎します!」

バルジーナ「それじゃ」


ランクルス「・・・なんだか、変わりましたね、クチート」

バルジーナ「ああ、いいことなんじゃない?あのフライゴンの影響かねぇ」

ランクルス「子供たちの影響も大きいかもしれませんね」

バルジーナ「それもそうかねぇ、クチートのやつ、随分フライゴンに懐いてるようだったけど」

ランクルス「私たちのこともより信頼してくれるようになりましたし、無茶をすることも減りましたし、私はこれでよかったと思いますよ」

バルジーナ「はっ、違いねぇや!」


ゾロア「これからは毎日お姉ちゃんと一緒に遊べるんだね!!」

クルミル「お姉ちゃん大好き!!」

クチート「ふふ、嬉しい事言ってくれるじゃない!」

デスカーン「いやぁ、クチートちゃんが来てくれてよかったよなぁ」

デスマス「子供たちも楽しそうですね」

デスカーン「なにより、フライゴンの奴が凄い嬉しそうにしてやがる」

デスマス「結構気にかけてましたからね・・・あれ、本人多分無自覚ですから、あまりちょっかいをかけてはだめですよ?」

デスカーン「分かってるよ、ありゃ良くも悪くも真面目な奴だしな」


『デザートは甘くないくらいが丁度いい』・・・おしまい
 ▼ 118 メモース@グラウンドメモリ 18/02/02 16:54:09 ID:s4L6mX3c NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん

>>115
おいw
 ▼ 119 ローニャ@ダイゴへのてがみ 18/02/02 20:31:45 ID:PqKMGQJg [15/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
『気になる彼は絵が上手』(ドーブル♂・メタモン・ミュウ)

ドーブル「ふむ・・・こんな感じかな」

メタモン「変身解いていい?」

ドーブル「うん、良いよ」

ポムン

メタモン「見せて見せて!」

ドーブル「こんな感じ・・・どうかな」

メタモン「うん!カイリューの勇ましい感じがよく出てるよ!」

ドーブル「ほんとに?」

メタモン「まあモデルの僕の擬態が上手だからこそだけどね〜」

ドーブル「そうだね、いつもありがとう、メタモン!」

メタモン「えへへ〜、僕にはこれしかありませんから〜。でもこんなに喜んでくれると嬉しいなぁ」

ドーブル「描いたポケモンの数も随分増えた、デッサンもかなり得意になってきたよ」

メタモン「次は〜?」

ドーブル「順番的にはミュウツーかな」

メタモン「ミュウツーかぁ・・・見たことないや。でも任せて!」

ポムン

メタモン「こんな感じ?」

ドーブル「おお!これはまごうことなきミュウツー!」

メタモン「じゃあ、思う存分描いちゃって!」

ドーブル「うん!」


ミュウ「あれは・・・ミュウツー?」コソッ

ドーブル「描けた!」

メタモン「ほんと!?」

ポムン

ミュウ「ミュウツーが溶けた!」

ドーブル「ん?」

ミュウ「あ、やばっ・・・」コソッ

ドーブル「今なんか声が・・・」
 ▼ 120 トライク@かがやくいし 18/02/02 20:53:05 ID:PqKMGQJg [16/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
ドーブル「気のせいか・・・」

ミュウ「・・・メタモン・・・メタモンの変身を使ってミュウツーのデッサンを描いてたんだね!」

メタモン「上手上手!見事なミュウツーだよ!」

ドーブル「メタモンの変身が上手だからだよ〜」

メタモン「エヘヘ〜、僕の変身の特訓にもなるし、どんどん描いて行こう!」

ドーブル「次はミュウだ!」

ミュウ「へっ、僕!?」

メタモン「よ〜し、変身!」

ポムン!

ミュウ「!!」

ドーブル「ミュウの変身も上手だよ!よ〜し、じゃ、早速」

ヒュンッ

メタモン「!?」

ドーブル「な、なに・・・」

ミュウ「・・・じゃあね〜♪」

ヒュンッ

メタモン「い、今のは・・・ってあれ!?ドーブル君!?」


ミュウ「フフフ、探してる探してる」

ドーブル「い、一体何が・・・君は?まさか、本物のミュウ!?」

ミュウ「そうだよ、僕がミュウ!よろしくね、ドーブル!」

ドーブル「ど、どうしてミュウが・・・それに、僕に何の用?」

ミュウ「このあたりを散歩してたら君たちが面白そうなことしてたから。でも、あのメタモンの僕の変身、へったくそだったよね!」

ドーブル「そ、そんなことは・・・」

ミュウ「見てよ!本物の僕はもっと可愛くてチャーミングでしょ?折角ミュウのデッサンするなら、ちゃんと可愛く描いてほしいし!」

ドーブル「それでわざわざ僕を攫ったの?」

ミュウ「大げさだなぁ、ちょっと物陰まで連れて隠れてるだけじゃん!さ、ミュウを描きたいんでしょ?さぁ、描いて描いて!」

ドーブル「うーん、でも、確かに本物の幻のポケモンのデッサンができるなんて、レアな体験だ!」

ミュウ「そうそう、出血大サービスなんだから!」

ドーブル「よし、描くゾ!」
 ▼ 121 メルゴン@エレキシード 18/02/02 21:02:56 ID:PqKMGQJg [17/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
ドーブル「・・・・・・・」ジー

ミュウ(・・・な、なんか、ドキドキするなぁ)

ドーブル「・・・・・・」ジー

ミュウ(ジーって見られてる・・・どうしてそんなに見てくるの?)

ドーブル「・・・・・・・」カキカキ

ミュウ(って、デッサン中だから当たり前か)

ドーブル「よし!描けた!」

ミュウ「ほんと!?見せて見せて!」

ドーブル「ど、どうかな・・・」

ミュウ「これは・・・」

ドーブル(ゴクリ)

ミュウ「可愛い!ドーブルって絵がとても上手なんだね!!」

ドーブル「そ、それほどでも・・・」

ミュウ「ほんとほんと!ミュウ大満足!!」

ドーブル「満足してもらえてよかったよ」

ミュウ「・・・ねぇ、ドーブル」

ドーブル「どうしたの?」

ミュウ「これ、もらっちゃったらダメかな?」

ドーブル「え?う〜ん・・・今まで描いたデッサン絵は順番にしてファイルにまとめてるんだけど・・・」

ミュウ「分かった!じゃあもう一枚描いていいから!」

ドーブル「そういうことなら、いいよ。モデル料がわりということで」

ミュウ「やった!折角だから違うポーズがいいね!どんなのが好みかな?」

ドーブル「こ、好み・・・?」

ミュウ「やっぱり?可愛いの?それともカッコイイの?」

ドーブル「じゃあ、カッコイイので・・・」

ミュウ「オッケ!僕ってばカッコイイポーズも様になっちゃうんだから!!」ビシッ

ドーブル「おお・・・確かにカッコイイ!」ジーッ

ミュウ「攻撃を決めた後のイメージでねぇ!」

ドーブル「よぉし・・・」

ミュウ「さぁ、じゃんじゃん描いちゃって!」
 ▼ 122 チゴラス@フライングメモリ 18/02/02 21:16:52 ID:PqKMGQJg [18/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
ドーブル「よし、こんなところかな」

ミュウ「カッコイイ・・・」パァー

ドーブル「これでフシギダネからミュウまで完成!じゃあ次はチコリータを・・・そうだな」

ミュウ「?」

ドーブル「またメタモンに変身を頼まなきゃ。僕はそろそろ戻るね?」

ミュウ「ええ!?」

ドーブル「じゃあ、モデルになってくれてありがとうね!」

ミュウ「あ、ま、待って!」

ポムン

ドーブル「!!」

ミュウ「僕も変身は得意だよ〜!ほら、こーんなキュートなチコリータだって!」

ドーブル「凄い!流石幻のポケモン・・・!」

ミュウ「でしょ〜?だからもっと僕のこと描いてよ!!」

ドーブル「・・・うーん、でも、メタモンのことほったらかしだし」

メタモン「ドーブル君!こんなところに!!」

ドーブル「メタモン!!」

ミュウ「なっ」

ポムン

メタモン「うわっ、本物のミュウ!?」

ミュウ「そうだよ。君の中途半端な変身なんかより、僕の方をモデルにした方がドーブルも描きやすいよ!」

メタモン「なっ、ドーブル君ミュウのことモデルにして絵描いてたの!?僕が探してる間ずっと!?」

ドーブル「ま、まあ・・・せっかくだし」

メタモン「この浮気者!!」

ドーブル「浮気ってそんな大げさな・・・」

メタモン「お前も!!勝手に出てきてなんのまねなの!?ドーブル君のモデルは僕の役割なのに!!」

ミュウ「でも僕の方が変身も上手だし、モデルにもふさわしいよ」

ポムン

ミュウ「ほら、チコリータの変身だってこの通り!」

メタモン「何を・・・!」

ポムン
 ▼ 123 ブンネ@ありふれたいし 18/02/02 21:21:16 ID:PqKMGQJg [19/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
ドーブル「!!これは・・・」

メタモン「このぉ・・・!」

ミュウ「やるかぁ!?」

ドーブル「対峙する二匹のチコリータ・・・ナイスモチーフ!二人とも少しそのまま!」

「「え?」」


ドーブル「そうか、変身を使えるポケモンが二匹いたらこんな絵が描けるのか・・・これは面白い!二人とも、引き続きモデルやってくれる!?」

メタモン「うう・・・僕は一人がいいのに・・・」

ミュウ「僕だって!!」

メタモン「でもドーブル君がそういうなら仕方ないね・・・」

ミュウ「ちぇっ・・・」

ドーブル「そうだな・・・じゃあ、次はサーナイトとエルレイドのキスシーンなんてどうだろう!」

メタモン「!?」

ミュウ「そ、そういうのは・・・」

「「勘弁してよぉ!!!」」



『気になる彼は絵が上手』・・・おしまい
 ▼ 124 ョロモ@デボンスコープ 18/02/02 21:26:45 ID:tVrskUBw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ギャラドス×ミロカロスお願いします
 ▼ 125 457 18/02/02 22:02:00 ID:ugcX7lzY NGネーム登録 NGID登録 報告
ホルビー♀×ニンフィア♂ 花火
デデンネ♂×ピカチュウ♀ 手紙
ピカチュウ♂×イーブイ♀→サンダース♂
季節外れの花
これって難しいかな?
 ▼ 126 ワーク@メガストーン 18/02/03 10:33:04 ID:OY2zbtFw [1/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
『性別不明の罠』(エモンガ♂×ビリジオン♀)

それまでは決まった住処を持たなかった自分がヤグルマの森に定住することになったのは、とある出会いがきっかけであった。


小さく可愛い見た目からは想像できないだろうけど、地元の豊穣の社では敵知らずなほどポケモンバトルの腕に優れ、自分の実力がいかに優れているかを示すためにイッシュを南へと下って行った。

特に目ぼしい相手を見つけることもなく、自称実力派のしょうもないファイターたちを片っ端から倒していくと、ヒウンシティに着いたあたりで興味深い話が聞けたのだ。

「ヤグルマの森の奥深くに伝説のポケモンが住み着いてるらしいよ!」

「なんでも、森を荒らした人間から森のポケモンを守って、」不届き者に制裁を与えたとか!」

ヤグルマの奥深くに住み着く伝説のポケモン・・・

言われてみれば、伝説のポケモンと言われる存在と出会ったことはなかった。バトルをしたポケモン達も、どこかで見たことのある種族ばかり。

「僕を満足させられるポケモンとなると、もう伝説ポケモンしかいないのかもね」

自分の実力に驕り高ぶっていた僕は、その伝説ポケモンとやらにバトルを挑むため、ヤグルマの森を抜け「思索の原」へと入った。

「あら、お客様?」

言葉を失った。

気品あふれる美しさ、凛とした佇まい、それでいてどこか隙のない、圧倒的たる強者のオーラ。

見たことのないポケモン。

伝説のポケモンがどんな姿をしているのか、僕は聞かされていなかったが、

「あなたこそが・・・伝説のポケモン・・・」

間違いないと、僕は確信していた。

「伝説なんて、そんな大層なものじゃないのだけれど。ところで、どうしたの?その伝説のポケモンとやらを探していたの?」

いたずらっぽく笑いながら、彼女は僕にそう聞いた。

・・・確かに、この人は強い。戦わずとも分かる。だが見たところ、タイプは草。

相性は悪くないはずだ。

「腕試しに、イッシュ中を回ってるんだ。伝説のポケモンと、戦うためにここに来た」

僕は宣戦布告する。気高い相手のペースに惑わされぬよう、精一杯クールな感じに努めてそう言った。

「まあ、そんなに小さいお子様なのに、随分な自信ね」

「お子様言うな!!」

だが一瞬でつけ刃の姿勢は崩されてしまった。

見ると彼女はクスクスと笑っていて、まるで子供をからかう大人の様子。

「でも、飛行タイプのポケモンは苦手なのよね・・・私、草・格闘タイプだし」


 ▼ 127 ャワーズ@こだいのどうか 18/02/03 10:49:21 ID:OY2zbtFw [2/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
「!!」

余裕からか、彼女はわざわざ自身のタイプを口に出した。

草、それに格闘。飛行タイプの技で大ダメージを与えられるタイプ。

これなら、先にアクロバットを決めてしまえば、万に一つも負けることはない。

「見逃してくれないかしら?」

「嫌だね、僕のこと馬鹿にして。絶対倒してやる」

「馬鹿になんてしてないわ。あ、もしかしてお子様って言ったのがそんなにこたえた?」

「っ!!」

「ごめんなさい、悪気はなかったの。でもそんなので熱くなってるようじゃ、やっぱりあなたお子様かもね」

「バ、バトルだ!!」

確かに僕はすぐ熱くなる性格だという自覚があった。

馬鹿にされるとどうしても過剰に反応してしまう。

その反応が面白くて、相手は更に僕を煽ってくる。

だから僕は、そこで実力行使で相手を黙らせるのだ。

二度とそんな口をきけないように。

おかげで舌戦は相変わらず弱いままだったけど、

世の中力がすべて、バトルで勝てるだけの実力さえあれば何も問題はない。

今回だって、素早い動きからアクロバットを決めて僕の勝ち――

「!?」

慢心していた僕の攻撃は、鋭い太刀筋で相殺されていて・・・

「せいなるつるぎ。あなた、見たことないでしょう?私たち『闘神』と呼ばれるポケモンは、攻防にこの角を用いて戦うの」

涼しい顔で僕をいなし、彼女は続けた。

「前の足も後ろの足も動く様子がなかったから、あなた、攻撃が決まると思い込んでいたのね?止める瞬間までの笑顔も、止められたことを理解した時の驚愕の顔も、とてもいい顔をしていたわ」

驚きから抜け出せない僕を置いて、彼女はまた笑いだす。

隙を見せて誘っているのか・・・?

これほど無防備に見える相手に僕は一歩も踏み出すことができないでいた。

彼女はひとしきり笑った後、

「そうね、来てくれないなら、こっちから行くわ」

そう言って、自らは一歩も動くことなく、無数の岩の欠片を周りに浮かべて解き放った。

「ストーンエッジ・・・」
 ▼ 128 ャノビー@マゴのみ 18/02/03 11:11:58 ID:OY2zbtFw [3/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
「精が出るわね、エモンガ」

「ビリジオン!」

それからというもの、僕は思索の原の近隣のヤグルマの森を住処として生活を行うようになった。

表向きの理由は、ビリジオンにリベンジするため。

「でも、その様子じゃ、私に勝とうなんて数十年早いかも。大人になってから出直して来たら?」

「だから子ども扱いすんな!エモンガ族は大人になってもこの姿なんだよ!」

「そう?ごめんね、このあたりにエモンガって見ないから・・・じゃあ、精々練習頑張ってね」

「もう・・・」

裏向きの理由は、

「・・・エモンガ、お前今すっごいにやけてんぞ」

「バ、バオップ!」

・・・ビリジオンの傍に居たかったからだ。

早い話が、その強さと雰囲気にやられて惚れこんでしまった。

「バトルで負けて惚れてからかわれて喜んで、ちょろい男やな〜」

「珍しい住人が増えたと思ったら、まさかマゾだったとは・・・」

「ヤナップ!ヒヤップ!」

この3猿の言う通りで、自分でもろくでもないと思うのだが、こればっかりは仕方がない。

自分を負かした相手に惚れてしまう、惚れた相手に構ってもらえると嬉しい、どれも自然な道理だ、うん、そうに違いない。

「こら、あまりエモンガさんをからかってはいけませんよ?」

「ドレディア!俺はからかってるつもりはねぇよ、ただこいつが意中の相手に凄いにやけ顔晒してたから注意しただけでよぉ」

「嘘ビリジオンがいる時からにやけてたの!?」

「バッチリやったやな〜」

「うう・・・最悪・・・」

そもそも今まで恋になど落ちたこともなかった。

俗に言う初恋というやつで、その相手が伝説のポケモン、しかもあんな感じでは攻略難易度はかなり高い。

せめて、彼女より強くなって彼女を打ち負かすことができなければ、きっと一方的にからかわれて終わりだろう。

「私は応援してますよ、エモンガさん」

「・・・ありがとう、ドレディア」

ヤグルマの森の仲間はなんだかんだ言いながら、新参者の僕のことを歓迎してくれている。

ビリジオンの影響か、やたら人をからかうのが好きなメンツも多かったが、住処としてとても居心地のいい場所だった。
 ▼ 129 ーゴヨン@きのみぶくろ 18/02/03 11:29:30 ID:OY2zbtFw [4/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
「でも、僕ドレディアにもみんなにも、ビリジオンのことが好きだなんて言った記憶ないのだけど」

「見ていればわかりますよ〜!!」

「ええ・・・」

「俺はドレディアからそう聞いてな。言われてみれば、確かに〜って」

「そんな感じやな〜」

「ええ」

「っ!!気づいたのはいいとして、なんで言いふらしたりしたのさ!!」

「言いふらしてません!ただポロっと話してしまっただけで!」

「同じだよ!!」

特にドレディアは森のみんなから愛されるアイドル的な存在だったが、少し天然で、おしゃべり好きで、更に、

「ねえエモンガさん!具体的にはどんなところが好きなのですか?強いからというわけではないでしょう??」

「か、関係ないだろ!」

この手の話が大好きで、僕がここに来て二日目にはこうして色々聞かれるようになっていた。この質問ももう何度目かになる。

「二日でバレる分かりやすいお前も問題だけどな」

「まあ来た経緯が経緯やったからやな〜」

「この瞬間もまんざらでもない顔してるあたり、ドマゾですね」


さて、ヤグルマの森に住みついてからも、その周辺を散歩がてら飛び回ることはあった。

久しぶりにヒウンまで来てみると、モニターにニュース番組が映されていて、

「謎が謎を呼ぶ伝説のポケモン!ビリジオン特集!」

そんな出演者の声が聞こえてきた。

「ビリジオン特集・・・?」

「古代から伝わるイッシュの歴史書にもその存在は確認されるビリジオンですが、そのタイプは草・格闘タイプとされており・・・」

やはり伝説のポケモン、最近巷で噂になっていたこともあり、その生態に迫ろうというコーナーのようである。タイプはしっかり当たっているので、ある程度信ぴょう性の高いデータなのだろう。

「高さは約2メートル、重さは200キロで、特性は正義の心とされています」

「かつて仲間を守るために人間に挑んだという伝説そのものの特性ですね」

へぇ、そんな特性が。

正義の剣といい、伝説ポケモンだけあって、やはり他のポケモンには見られない特徴が多いようだ。

そんなことを考えていると、更にニュースは進み、

「性別は不明、最近ではヤグルマの森の付近で見た人がいるとかいないとか・・・」

「!?」
 ▼ 130 ックラー@ピーピーエイダー 18/02/03 11:44:58 ID:OY2zbtFw [5/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ポケモンの中には性別を持たない者もいる。

身体が歯車で出来ているギギギアルなんかは本人が「性別ナンテモノハナイヨ」と言っていたし、元は人の発明品だというゴルーグも「生物学的な意味での性別は持ち合わせていない」と言っていた。

彼らを図鑑で解説した音声も聞いたことがあるが、図鑑はいずれも「性別不明」と言っていた。

要は、「性別不明」とはつまり「性別がない」ということなのである。

「ビリジオンに・・・性別が・・・ない・・・?」

あわれ僕の初恋は♂も♀もない生命体に捧げられてしまったのだろうか。

途端に不安になった僕は居てもたってもいられず、急いで思索の原へ向かった。


「え?私の性別?」

「ニュース番組でビリジオンの特集をやっていてさ。性別は不明って言ってたから」

藁にも縋る思いでビリジオンに話を聞く。

だがビリジオンはそんな話を聞くと大笑いして、

「アハハハハ!それで私に性別がないって思ったの?」

「な、笑うなよ!!」

いつもの調子で僕のことをからかうのだ。

「不明ってことは要するに、人間様には私の性別を調べる術がないと言うことよ」

「術が・・・」

「伝説のポケモンというのは、他のポケモンと比べて数も極端に少ない、いわば希少種よ。一匹しかいない、とは敢えて言わないけれど」

ビリジオンは淡々と話す。

「それで、私たちの声は人間様には理解できないし、体を見たって、個体一匹だけじゃあそれが♂なのか♀なのか分からないのよ」

「そ、そうか・・・」

「ましてや伝説のポケモンなんて研究サンプルも不足していて、その生態もほとんど分かっていないはずよ?」

一つ一つ、自身の性別が「不明」であることをビリジオンが説明して、遂に僕はビリジオンが性別ふめいとされた理由を完全に理解した。性別不明とは、単に本当に性別が判明していないだけなのだ。

「じゃあやっぱりビリジオンの性別は」

「実は♂だったり」

「ええ!?」

「嘘、♀よ。当たり前でしょ?」

「も、もう・・・」

相変わらずからかわれながらも僕は、ビリジオンの口からしっかり「自分が♀である」ことを聞けてとてもホッとした。

「よかった〜・・・」
 ▼ 131 レッグル@サンのみ 18/02/03 11:57:04 ID:OY2zbtFw [6/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あら、何がよかったの?」

「へ?」

ホッとするあまり、口から洩れ出た一言。

それがビリジオンにも聞こえてしまったらしい。

「いや、ビリジオンがちゃんと♀でよかったなって」

僕はその言葉がビリジオンに聞こえてしまったことの重大さを、すぐには理解できずにいたが、

「私に性別がなかったり、私が♂だったりしたら、都合の悪いことがあったの?」

ビリジオンのその追撃でようやく、それがどういう意味なのか気づいてしまった。

「!?」

「アハハハッハ!!!何その顔!!!」

驚いて顔を真っ赤にする僕を見て、それがよほど面白いのかお腹を抱えて笑うビリジオン。

もう言い逃れできないような気がして、好きだと言うことを伝えるしかないのか、でも伝えたら伝えたでさらに馬鹿にされるような・・・

追い込まれていく僕を見て、ビリジオンは妖しく笑ってこう言い放った。

「そうね、エモンガ・・・今からバトルしましょうか」

「え・・・?」

意図が読めなくて固まる僕に、ビリジオンはこう続ける。

「あの日以来ね・・・少しは成長したのかしら」

挑発。たまらず僕はその言葉にかみつき、

「当たり前だろ!!前みたいには行かないよ!!」

「そう?私、あなたが私に勝てるとは到底思わないのだけど・・・」

「言ってくれる・・・やってやろうじゃないか!」

「簡単に熱くなって、相変わらずお子様ね」

「なっ!?」

舌戦の方は全く成長できず、あっけなく手玉に取られる僕のことをお決まりのようにからかってから、ビリジオンはジッと僕の目を見つめた。

「そうね・・・もしあなたが私に勝つことができたら・・・」

ゆっくりと間を取り、いつに無い妖艶な雰囲気。

思わず見とれる僕に顔を近づけて、

「私のこと、好きにしてくれていいわ」

「・・・ビリ・・・ジオン・・・!?」

そう言って、かかってらっしゃいとばかりに戦闘態勢を取るのだった。
 ▼ 132 ューラ@スターのみ 18/02/03 12:08:25 ID:OY2zbtFw [7/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ぐぅ」

「アハハハハ!ぐぅの音出てる!!もう、全然ダメね〜、話にならないわ!!」

僕は負けた。それはもう手ひどく負けた。ボッコボコのバッコバコに負けた。

「ひ、卑怯だ・・・戦う前から、僕の心を弄んで・・・」

「この分だと普通にやってもあなたの負けよ」

返す言葉もなかった。

だって、それはもうボッコボコのバッコバコだったから。

「アハハ、もう・・・ほんっと、フフ、あなたって面白いわ!!」

僕が抱えた気持ちまでも、恐らくビリジオンにバレてしまって、からかわれる材料が増えたばかり。今日はとんだ厄日だ・・・

「あ、そうだ。あなたがここに住み着いた理由って、やっぱり私に惚れたからだったんだ」

「ほ、本人にそんなこと聞くな!」

「これは落ちたな〜っていうのは、初めてあなたを倒した時から気づいてたけどね」

「なーーーーー!?」

ああ・・・もう・・・ほんと、厄日だ。

ここから出ていってやろうか・・・

「・・・今日は、もう、失礼します・・・」

心も体もボロボロになって僕は、思索の原から出ようとする。

「ねえ、エモンガ」

「・・・何?」

ビリジオンの呼びかけにも、今は振り向きたくもなかったけど、それでも惚れた弱みからか話を聞かずにはいられなかった。

「私、目標に向かってひたむきに頑張る男って好きよ?カッコいいもの」

「!?」

「その目標が自分だとしたら、それは女としてとても幸せなことよね」

いつになく真剣な声でビリジオンが僕に語りかける。

もう、その声から耳を離せない。

「あなたのおかげで私は幸せ者よ?ありがとう、エモンガ」

「ビリジオン・・・」

そこで、話を終え、ジッと僕の方をただ見るだけのビリジオン。

僕の出方を伺っているようで、不思議と、何かを返さなければいけない気になる。

僕は、試されている・・・?
 ▼ 133 バルオン@ダイゴへのてがみ 18/02/03 12:20:43 ID:OY2zbtFw [8/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ぼ、僕は!」

決意を込めて、初めて僕はこの言葉を口にする。

どうなってもいい、真剣な気持ちをビリジオンにぶつけるんだ。

ぶつけた先、どうなるのかが見たかったから。

「僕は、あなたのことが――」
「でも私弱い男には興味がないの!!」

僕の言葉をさえぎって放たれた言葉は、あまりにも強烈で、無残に僕の心を砕いて。

「だから、精進なさい?エモンガ」

でも、砕けてボロボロに零れ落ちそうなすんでのところでまた、繋ぎ止められて。

「あなたが私に勝てる日を、楽しみに待ってるわ」

そうして、あなたは僕の目標へと戻っていく。

「・・・あなたって人は、本当に・・・」

「なに?」

「・・・とんでもない、悪女だよ・・・」

「あら、じゃああなたは女を見る目がないのね」

「ほんとにね!」

精魂疲れ果てた僕は、こう言葉を投げ捨てるのが精いっぱいで、やはり敵わない相手は実力行使で黙らせるしかないと悟るのだった。


「エモンガさん、前にもまして凄い熱の入りようですね」

「ありゃ、何かあったな・・・」

「あの人に敵うわけないのに、頑張るやな〜」

「でも、なんだかんだビリジオン様の方もまんざらではなさそうですよ?」

「本当ですかヒヤップさん!!いやぁ、恋のパワーって素晴らしい!!」

「まんざらでもないって、丁度面白いおもちゃを見つけたから毎日ご機嫌なだけだと思うけどなぁ」

「本当に、とんでもない人やな〜」

「うう・・・そんな人に恋してしまうなんて、災難ですね、エモンガさんも」


『性別不明の罠』・・・おしまい
 ▼ 134 チニン@まひなおしのみ 18/02/03 12:27:15 ID:HGC4nMm6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告

マグナゲートとはまた違うこういう雰囲気もいいな
 ▼ 135 ラッキー@サイコソーダ 18/02/03 22:25:36 ID:OY2zbtFw [9/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
『僕らは声を届けよう』(ボルケニオン×マギアナ)

サトシ達との交流を経て、ネーベル高原のポケモン達は人への抵抗を薄くした。

ボルケニオンもそれは例外でなく、「悪い人間といい人間がいる」ことを深く思い知り、時折ネーベル高原に足を踏み入れた人間たちのことを警戒しながらも、むやみに追い出したりはしないようになった。

心を取り戻したマギアナは、そんな様子のボルケニオンを微笑ましく思い、そのことを指摘するたびに「うるせぇ」と照れるボルケニオンを見るのが好きだった。


ある時、一組の男女がネーベル高原にやってきた。

いつものようにボルケニオンは彼らにすぐに心を開かず、妙な真似をするようならと迎撃の準備も行っていたが、高原の仲間たちがその人間にひどく懐いたので仕方なくその様子を傍観していた。


「私たち、二つの国の王子と王女だったの」

「ぞれぞれ国を置いて、逃避行の途中なんだ」

人間の言葉を離せるボルケニオンに、人間は自分達の身の上を話した。

ここにいるポケモン達がどういう経緯でここにやってきたのか、それを話した返しの言葉がそれであった。

「私たちにも、ポケモンがいたの」

「逃避行に際し、捨ててきた。巻き込みたくない一心だったけど、そんなものは人間のエゴでしかないのかもね・・・」

今でも彼らのことを思い出しては寂しくなるのだと語る彼らの傍について、マギアナは精一杯励ました。

ボルケニオンにも思うところがあったが、悲痛な様子の彼らとマギアナの甲斐甲斐しい姿の前に、余計なことは言うまいと口を閉じた。


「ここで、結婚式を挙げたいわ」

女はボルケニオンにそう言った。

「簡単なものでいいの、この美しい場所で、あなたたちの愛に満ちたこの場所で、私たちの愛を誓いたいの」

結婚式というものが何なのか、長く生きたボルケニオンはその概要を理解していた。

逃避行の最中だが、既に双方の国は彼らの捜索を打ち切り来たるべく戦争に向け準備を進めているため、彼らの旅は順風満帆であった。

いずれ傷つく自らの国の人々を思うと辛く悲しい思いであったが、愛に生きることを決めた二人は幾年の間幸せに旅を続けた。

唯一の心残りが、結婚式を挙げられていないことだ、ということだった。

勝手にしろと、ボルケニオンは告げた。

自身が準備をしてやるほどボルケニオンは優しくはない。

歓迎してやるほどボルケニオンは素直ではない。

だが、二人の儀を喜んで手伝う仲間たちに水を差すような真似をするほど、ボルケニオンは意地っ張りでもなかった。

「僕は、生涯、この人を愛し続けることを、ここに誓います」

「私は、生涯、この人を愛し続けることを、ここに誓います」

それに、人間の儀を見つめるマギアナもとても幸せそうにしていたので、ボルケニオンも悪い気はしなかった。
 ▼ 136 ワンコ@うみなりのスズ 18/02/03 22:38:53 ID:OY2zbtFw [10/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おめぇら、随分懐いてたようだな」

晴れて夫婦となった二人が去った後、ボルケニオンは仲間達にそう告げた。

人間が去り、元気をなくす仲間達、目の前に広がるその現実がボルケニオンは少し癪であったが、自身も彼らのことを嫌いにはなれなかったので嫌味などは言わなかった。

「・・・あいつらに捨てられた奴らは、さぞかし辛かっただろうな」

だからこそ、彼らが国においてきたポケモン達のことを思うと、やりきれなかった。

今は幸せだと語る逃避行も、きっと苦難もあったろう。

だが、彼らのポケモンはどんな苦難があろうとも、彼らと共に行きたかったはずである。

彼らと共に生きたかったはずである。

「・・・俺は、思うんだよ。マギアナ」

ボルケニオンは語る。

「ゴクリンのトレーナーも、あいつのこと別に捨てたくなかったんじゃねぇかって」

そのトレーナーがゴクリンのことを守れないなんらかの理由があって、

彼のことを思って捨てたのだとすれば・・・

勿論、そんな可能性は以前から考えていて、それすらも人間のエゴだとボルケニオンは一蹴できた。

今となっては、そう言って捨ててしまえない咎がボルケニオンにはあった。

「だとしたら、悲しいよなぁ。どっちが正しいかなんて、わかんねぇよ」

悪い人間がいて、いい人間がいる。

ポケモンにもきっと悪い奴だっている。

人間は嘘をつくが、ポケモンだって嘘をつく。

醜い嘘も、美しいと思いたい嘘もあるのだろう。

「・・・ああ、やめだやめだ!考えがとっちらかっちまった」

難しいことを考えるのは嫌いだと投げ捨てて、ボルケニオンはさっきから黙ったままのマギアナに顔を向けた。

マギアナは時々うなずきながら、手元では何か作業を続けていた。

「マギアナ、さっきから何やってんだ?」

「花冠、作ってるの」

「はなかんむりだぁ?」

その作業の意図が読めないボルケニオン。

そう言えば、つい最近この花冠を見た気がして・・・

「私、結婚式を挙げたいの」

「はぁ!?」
 ▼ 137 リテヤマ@ピーピーマックス 18/02/03 22:57:43 ID:OY2zbtFw [11/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
やけに焦がれるように結婚式を見ていたとは思っていた。

あの人間どもの真似事がしたかったのかと、合点がいったが、

「そうかよ、勝手にやったらいいだろうが」

「一人で式は挙げられないわ」

「誰か一人、てきとうに選べばいいだろ」

「あなたがいいの」

「俺ぁ、ごっこあそびはごめんだ」

「ごっこ遊びがしたいんじゃないわ」

ほら来た。

俺はそんな恥ずかしい人間の真似事は嫌だね。

そう言って終いにしたかったが、なんだかんだ言ってマギアナに逆らえないボルケニオンの性格を、ボルケニオン自身が一番理解していた。

「ったくよぉ・・・」

こうして、ボルケニオンとマギアナは式を挙げることとなった。


準備は迅速に歌った。

チルタリスの澄んだ歌声が広い空に響く。

「ったく、なんで俺がこんな事・・・」

ボルケニオンは悪態をつくが、本気で嫌がる姿を見せるとマギアナが落ち込むので途中で投げ出したりはしなかった。

最期には誓いのキスをするんだったか、人間流の愛情の表現の仕方というものに従うのも癪だな。

でも今日のところはマギアナに付き合ってやろうか。いつか失わないとも限らないことは良く思いしったろうが。

「私は、生涯、あなたを愛することを誓います」

マギアナが言葉に乗せて愛を誓う。

「っ・・・」

心の奥底、何か熱く感じたことに気づく。

「や、やっぱりやめねぇか、マギアナ」

「どうして?」

照れ臭くなったボルケニオンは、たまらず一度マギアナに中断を申し出る。

てきとうな理由を話しても、きっと受け入れてくれないだろう。

「・・・俺は、誓いなどせずとも行動に愛を乗せてきたつもりだぜ?感じねぇか?」

ボルケニオンは、心のままをマギアナに話した。
 ▼ 138 ッポウオ@いんせきのかけら 18/02/03 23:07:54 ID:OY2zbtFw [12/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・そうね、しっかり受け取っているわ」

「じゃあ・・・」

「それでも、誓ってほしいの」

だが、マギアナは引かなかった。

自らの魂の位置に手を当て、

「だって、言葉にするたびにとても温かい気持ちになるの。言うことも、言われることも。だから、私たちは何度でも言葉にするべきなのよ」

「そ、そうか・・・」

「王女様の、請け売りだけどね」

笑うマギアナに対し、負けましたよとボルケニオンも自嘲気味に笑う。

マギアナの誓いを受けて自らも暖かい気持ちとやらを感じてしまったのだから、ボルケニオンはこの気持ちを返さなくてはいけなかった。

「・・・俺は、生涯、お前を愛することを誓う」

そうして、二人はキスを交わす。

「マギアナ」

「なぁに?」

互いに見つめあい、二人が交わる直前、ボルケニオンは呟いた。

「お前が無事で、良かった」

そういって、照れを隠すように乱暴にキスをするボルケニオンを、その儀を見守っていた仲間たちは盛大に冷やかした。


それからというものの、マギアナは頻繁にボルケニオンや仲間たちに愛を告げるようになった。

言葉にしなきゃ分からないなんて、そんな浅い関係でもないだろうとボルケニオンは思っていたが、

それでも不思議と、愛を告げることも告げられることも悪い気はしなかったので、たまにはボルケニオンからもマギアナに返してやったのだった。


『僕らは声を届けよう』・・・おしまい
 ▼ 139 イティ@バグメモリ 18/02/03 23:21:22 ID:TvpZ/z2U NGネーム登録 NGID登録 報告
ゼクレシお願いします
 ▼ 140 ガルカリオ@こだいのぎんか 18/02/03 23:27:55 ID:QJv4Vtrs NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
ボルケニオン×マギアナとてもよかったですありがとう
支援
 ▼ 141 コッチ@カプZ 18/02/04 10:23:34 ID:aWxOztsE NGネーム登録 NGID登録 報告
コイキングヨワシありがとうございます!
なんというか、勧善懲悪は問題解決の王道ですね!
これからもがんばれコイキング!

>>94さんのような三角関係だったり
>>102さんのように舞台追加もOKなら、

ルカリオ♂←ミュウツーをお願いします。
舞台はポッ拳で。
 ▼ 142 ガハガネール@フエンせんべい 18/02/04 11:03:22 ID:UWBbOsmw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
イーブイ×ニンフィア
ニャビー♂×モクロー♀↔️ピカチュウ♂
グレイシア♀→ホルビー♀↔️カガオエン♀
全員でインターネットで知り合った学園祭で会おう 一般人も入れるし
勘違い物って難しいかな
 ▼ 143 レベース@ひみつのカギ 18/02/04 12:32:16 ID:PMOCbdCQ [1/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
『消せない過去に囚われて』(ギャラドス♂×ミロカロス♀)

「ひぃぃ!ギャラドスだ!!」

「おい、あいつには近づくんじゃねぇ!!」

「ギャ、ギャラドス様!!どうかお許しを!!」


愉快だ。

かつては俺を見下していた奴らが、今は俺のことを恐れ、おののき、顔をっ見ただけでへっぴり腰になって逃げていく。

これほどに愉快なことはない!

俺は辛く醜い時代を耐え、遂にギャラドスになった。

俺より強いものなんていない、いわば海の王になったのさ!


世界一弱く情けないとも言われるコイキングの時代に受けた屈辱を、このギャラドスは進化へのエネルギーとしていた。

進化の動機は復讐、己を馬鹿にしたこの世界全てへの復讐だ。

間違った方向へ向けられた感情は、力を得るための正しき努力を生み、ギャラドスにふさわしいだけの力を得た彼はもはやだれにも止められない海のギャングであった。

勿論、広い海の中、彼より強い者など五万といるのだろう。

彼も、彼を取り巻く環境も、まだそれを知らないのだ。


ある日、ギャラドスはいつものように自らの住処の近くを泳いでいると、何やら気になる声が聞こえてきた。

「見たか!?さっきの奴!!」

「すっげぇ綺麗だったよな!!あんな奴この周りにいたか?」

この周りではまず見かけないほどに綺麗なポケモン。

進化前の苦い経験から、己の容姿にコンプレックスを抱いていたギャラドスは、彼らを問いただしてそのポケモンに関する情報を仕入れた。

「おい、今の話詳しく聞かせろよ」

「ひぃ!!え、えーと・・・」


どうして情報を仕入れ、そのポケモンを探すのか。

理由は簡単だった。

見つけて、暴力をもって分からせる。

二度とこの周りを泳げないように分からせてやるのだ。

今のギャラドスは理不尽の塊で、彼の奮う力に大義なんてものはなかった。

今回も、ただ美を当てつけに来たそいつをしめるだけ。

常人には理解できない理由で彼は捜索を開始した。
 ▼ 144 ナフィ@ロゼルのみ 18/02/04 12:45:48 ID:PMOCbdCQ [2/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「見て!ミロカロス様よ!!」

「凄い綺麗だ・・・ああ、どうか僕の物にならないものか・・・」

「俺と付き合おうぜ、ミロカロス。俺に見初められるなんて、お前は幸せ者だ」


不快だ。

かつては私を見下していた人たちが、掌を返したように、今の私を褒め称え、媚を売り、薄っぺらい愛を叫ぶ。

これほどに不快なものはない!

私は辛く醜い時代を耐え、遂にミロカロスになった!

その努力の報酬がこれだと言うの!?冗談じゃない!

これなら、まだ数少なくとも私の心を見て友達になってくれる人がいたヒンバスの時代の方がマシだったくらいよ・・・・


世界一美しいポケモンと呼ばれることもあるミロカロス。

みずぼらしいヒンバスの姿からは想像できないような進化の奇跡を経て、この姿になるが、進化にたどり着くことができるものはそう多くない。

誰も目を向けないヒンバスから、誰もが見とれるミロカロスへ。

その過程を経て、ミロカロスは、生きる者の心の醜さをしかと感じた。

かといって、彼女は自分を見る人々を邪険に扱うことはできず、言い寄ってくる人には優しくお断りを入れるのみであった。

そんな毎日に疲れ、自分の住処から遠く離れた地まで泳いできたのだが・・・

「ここでもそう変わらないわね」

ミロカロスのようなポケモンを見たことがないらしいこの地のポケモン達の間では、ミロカロスはかえって目立ってしまった。

「私には、この姿は持て余すわ」

ため息をつき、これからどう生きようか考えあぐねていた矢先。

「おいあんた!!」

見ず知らずのポケモンが自分に突然話しかけてきた。

かなり焦っているようで、

「どうしたの?私に何か用?」

と聞くと、

「ギャラドスがあんったを狙ってる・・・早くここから逃げたほうがいい!!」

と返された。

私がここに来たのを知って、求婚を申し込むために探しているのだろうか。

ギャラドスと言うと凶暴なことで有名なポケモンだ。

だが、バトルの心得があるミロカロスは、別段逃げることもせず、ギャラドスが自分に接触してくるのを待った。
 ▼ 145 ゲキ@プレミアボール 18/02/04 13:00:38 ID:PMOCbdCQ [3/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あいつだな・・・」

ギャラドスはミロカロスの姿を捉えた。

「・・・確かに、なかなかいい見た目じゃねぇか」

噂にたがわぬ美しさを持つミロカロスを前に、ギャラドスの苛立ちも少しずつ軽減されていく。

ミロカロスには怒りや憎しみの心を癒す力があると言われ、ギャラドスの理不尽な怒りにもその効果は表れた。

「・・・あなたがギャラドスね」

ミロカロスもギャラドスを見つけ、話しかける。

「私に何か用があるらしいけど」

凛とした佇まい、気品あふれる風貌に、ギャラドスは圧される。

なぜこいつは俺のことを知っているのか、さてはあいつらがチクりやがったか?

「別に用なんざねえよ。ここらの雑魚が噂してたからよぉ、どんなもんか一目拝んでやろうと思ってな」

即座に攻撃を仕掛けるつもりだったギャラドスも、いざミロカロスを前にすると気がそがれ、てきとうに話をして茶を濁す。

「あら、御期待にはそえたかしら?」

「期待なんざしてねぇよ。俺はお前みたいな小奇麗なやつが嫌いなんだ」

敵意は隠さずまま、ギャラドスはミロカロスと対峙する。

自分を前にしても一歩も引かないミロカロス相手に、ギャラドスはますますやりにくさを覚える。

こいつ、只者ではないな。

一体どこのどいつだっていうんだ。

「綺麗なやつが嫌い?面白いこと言うのね、気異例な女の子にこっぴどくフられた経験でもおありなのかしら」

「ああ!?」

威勢を感じられないギャラドスを、ミロカロスは煽る。

素直に言い寄ってこないポケモンはそうそうミロカロスにも珍しく、少し相手のことを探りたくなったのだ。

「お前みたいなやつは、さぞかし周りからチヤホヤされて生きてきたんだろうよ。俺はそういう奴が憎いんだよ!俺みいたいな奴のことを散々コケにして、馬鹿にしてきた奴はお前みたいな恵まれた奴だった!!」

「へぇ・・・コイキングの時代の話かしら?」

感情的になるギャラドスを相手に、なおミロカロスは一歩も引かない。

周りには心配そうな顔をして局面を見守るポケモン達。

だが、ギャラドスを恐れるあまり、物陰に隠れては一向にこちらにやってこようとはしない。

「そうだよ!そういう奴らは、俺がいざ進化すると怯えて逃げて、媚び諂う奴らもいた。気に食わねぇ奴は全員ぶっ飛ばした!お前だって・・・」

「あなた、学がないのね」

「・・・なんだと?」
 ▼ 146 マザラシ@コインケース 18/02/04 13:18:14 ID:PMOCbdCQ [4/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
怒りに身を任せて言葉を話すギャラドスは、今、確実にミロカロスの地雷を踏みぬいていた。

自分が憎くて憎くてたまらないような者たちと、自分のことを、目の前のこの男は同じだと言い放ったのだ。

「ミロカロスの進化前の姿、あなた、御存じでないの?」

だが、ミロカロスは冷静であった。

静かな怒りに包まれて、ギャラドスはそこから一歩も動けなかった。

「ヒンバスよ」

吐き捨てるようにミロカロスは言う。

そこまで言われてギャラドスはハッとしたのだ。

こいつの境遇は、俺と――

「私のことを散々コケにして、馬鹿にして、見返してやろうといざ進化したら今度は誰も私のことをほおっておかなくなったわ」

「・・・幸せなことじゃ・・・」

「幸せなわけあるものですか!!私に言い寄る男達の中には、私の進化前の姿を知っているものだって沢山いたわ。決まって言うの、『過去のことなんか関係ない。俺は今の君を愛している』なんて・・・」

徐々に昂るミロカロスを前に、ギャラドスは自らが大きな間違いを犯していたことに気づく。

自分が彼女に言った言葉は、最大級の侮辱であったのだ。

ミロカロスの境遇にシンパシーを感じたギャラドスは、もはや彼女への敵意を喪失していた。

「賢い人ほど、私の心なんてちっとも分かってくれないのね。関係ないわけないのよ、どれだけの傷を負ったと思ってるのかしら。消せるはずもない事実を、きれいごとで突っぱねて、馬鹿みたい・・・」

「お前・・・」

「ヒンバスだった私にもね、友達がいたのよ?でも、みんなダメになった。友達だと思ってた男の子は、私がミロカロスになるのを知っていてキープしていただけだったり、進化を機に関係がこじれてしまった人たちもいた・・・」

ミロカロスは、いつの間にか理性の枷が外れていることに気づかない。

もはや目の前のギャラドスが、ひどく優しい目をしていたことにも気づかなかった。

「周りを見返そうとして、進化した先にあったのは、よりひどい孤独・・・私の努力って、いったい何だったのかしら・・・」

遂には泣き出してしまうミロカロス。

自分の前で、素直に弱さを吐き出す彼女を前に、ギャラドスはどうすればいいのか分からない。

「・・・私はあなたが羨ましいわ。素直に、気に入らない者は気に入らないって、捨て去ってしまえるんだもの。私はダメなのよ、そんな風に、素直になれない・・・」

「・・・嫌われるよりも、マシだろって言ったら、怒るか?」

「怒る権利なんてないわよ。でも、私はあなたを嫌ったりしないわ」

牙を抜かれたギャラドスは、一日ミロカロスを住処に泊めてやった。

二人で長く、お互いの過去と今について語らいあった。

ギャラドスはミロカロスと接することで変わっていく自分が怖かったが、

それでも、その変化を受け止めなければならないと考えていた。
 ▼ 147 ーホー@ドラゴンZ 18/02/04 13:30:55 ID:PMOCbdCQ [5/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「本当は、もう、復讐だとか、どうでもいいんだよ」

「うん・・・」

「進化したての頃はそりゃ、色々溜まってたのは事実だし、それで暴れたけどよ・・・でも、今更俺の顔を見て怯えない奴なんていなかった」

ポツリポツリと、ギャラドスは語り始める。

「気が付いたら、もう後戻りできない気がしてよ・・・今の生き方を変えちまうと、俺が、俺でなくなる気がして・・・」

アイデンティティの喪失は、ギャラドスが恐れる物の一つであった。

自分は何のために進化したのか、生き方を変えた途端、その理由がなくなってしまう。

それが、嫌で嫌でたまらなかった。

「私は、とっくに見失っちゃった」

「・・・すまない」

「謝らなくていいのよ」

己の境遇を嘆き、泣いたミロカロスの姿。

自分に訪れるかもしれない未来として、ギャラドスの心に深く刻まれていた。

「でもね、あなたに会えて、少し希望が見えたの」

ミロカロスは、ギャラドスを見つめ語る。

「だって、私たち、似てるでしょ?」

「進化前の話、な」

「でも、それは消せない事実なんだから、進化のせいで似たような悩みを抱えて、私たちは似たもの同士よ」

「・・・どうだか」

「そうさせてよ、お願い、ね?私一人で背負うには、色々と、重すぎるの」

ミロカロスの縋るような気持ちに、ギャラドスはすぐに応えることができない。

存外臆病でヘタレな男だ、心の中で自嘲する。

「あなたに会えてよかったわ・・・今日だけでとても心が軽くなったもの。まるで運命の出会いね」

歯が浮くようなミロカロスの言葉に、ギャラドスは何も返すことができない。

ただ顔をそっぽ向けて、寝たふりも試みたが、きっとバレていないはずもない。

「それに、あなたは私の姿を見ても、他の男みたいに言い寄ってこないものね」

「帰ってくれ、ミロカロス」

「今更?どうして?」

「俺だって男だ」

「もう、そんな可愛い事言わないでよ」
 ▼ 148 ンキー@ひみつのカギ 18/02/04 13:40:50 ID:PMOCbdCQ [6/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
恥ずかしくなって、もう当分ギャラドスはミロカロスの顔を見ない。

触れるものすべてを遠ざけたギャラドスが、こういったことに慣れないのは当然であったが、それを分かった上でミロカロスは思わず吹き出した。

「笑いやがったな!?」

「笑うわよ〜、だって、似合わないもの」

悔しそうに歯ぎしりをしながら、なおもミロカロスの視線に応えないギャラドス。

あまり苛めるのは可哀そうかと思い、

「もう、寝るわね」

ミロカロスはギャラドスにそう呟いた。

「勝手にしろ」

ギャラドスはそっけなく言う。

「・・・軽い女は嫌いかしら?」

「・・・・・・」

「もういい大人なのだから、咎められるようなことでもないと思うけど」

「眠るんじゃなかったのか」

「今日初めて会ったって気がしないの。私だけ?」

「・・・俺はお前みたいなやつと会ったことがあったなら、覚えてると思うがな」

「男の人の住処に上がるのなんて、今日が初めてだわ」

「深い意味はねぇ」

「私、あなたに会えて良かった」

「・・・俺も、そう思ってるよ」

「明日、デートしましょ?二人で一緒に出掛けるの。あなたのこと、もっと知りたいわ?」

「早く寝ろ!!」

「ふふ、お休みなさい。ギャラドス」

「・・・ったく」

 ▼ 149 ュレム@メガバングル 18/02/04 13:51:08 ID:PMOCbdCQ [7/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おい、あれ昨日の・・・」

「ギャラドスがあんな綺麗な子を連れてるぞ!!」

「きっと脅されてるのよ・・・助けてあげないと!」

約束を肯定した記憶はないが、ギャラドスはそれでもミロカロスと一日を共にした。

「・・・お互い大変ね」

「ったく、今更慣れないもんでもねぇよ」

周りの偏見にさらされながら、二人は優雅に海を駆けた。

「ねぇ・・・あの子、凄い幸せそうじゃない?」

「ギャラドスも、なんか柔らかい顔をしてるよ」

「っち、見せもんじゃねーぞ!!」

「キャー!!」

ギャラドスの怒号に、彼らを眺めていたポケモン達は逃げていったが、

照れ混じりの声にいつものようなキレはなかった。

「もう、帰りたくないわ、ギャラドス。明日も明後日も一緒に入れたらいいのに」

「・・・昨日の今日で何言ってやがんだ」

「軽い女は嫌い?でも私、軽くなんてないわ。誰にもこんなこと言ったことないの、何人も男をフッて、それであなたを選ぶのよ?」

「・・・バカ野郎」

ミロカロスに終始振り回されっぱなしのギャラドスは、それでも心の奥で悟っていた。

俺たちは一生進化前に負った傷を、進化後に負った傷を背負って生きていかなければならない。

その傷を俺たち二人で分け合うことができたから、

こいつには俺が必要だ。

「・・・俺は小奇麗な奴は嫌いなんだよ」

「もう・・・」

それでもギャラドスが素直になれるのには、まだ時間がかかるようだった。


『消せない過去に囚われて』・・・おしまい
 ▼ 150 デンネ@たんちき 18/02/04 13:52:10 ID:PMOCbdCQ [8/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>142

少しわからないです、ごめんなさい<(_ _)>
 ▼ 151 ュウコン@ピッピにんぎょう 18/02/04 15:03:16 ID:UWBbOsmw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>150やっぱり「⇔」これはハグる
イーブイ×ニンフィア

ニャビー♂×モクロー♀→ピカチュウ♀
ここから本命
性別勘違いもの三角関係
グレイシア♀×ホルビー♀×ガオガエン♀


 ▼ 152 日ゴロゴロンダ◆XTk1MeLTks 18/02/04 15:23:37 ID:A6Al1nYM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ゴロンダ♂×マリルリ♀
 ▼ 153 ケンカニ@シーヤのみ 18/02/04 17:34:53 ID:PMOCbdCQ [9/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
『花火』(ニンフィア♂×ホルビー♀)

「射的にヨーヨー釣り、スマートボールに輪投げ・・・色々出てるけど、どれも混んでるな・・・」

「人気だもんね、ここのお祭り」

「ああ、ポケモンもたくさんいるな・・・はぐれんなよ?」

「う、うん!」

夏休みの最後の日の、地元でも大きなお祭に、ホルビーは勇気を振り絞ってニンフィアを誘った。

爽やかで優しくて、彼はクラスの人気者。

対して私は少し地味で、目立たない女の子。

彼とはきっと、釣り合わない。

そんな風に自覚しながらも、ホルビーは何もしないまま、恋の炎を消してしまいたくなかった。

だから、彼女は玉砕覚悟で彼をお祭りに誘った。

彼が誰か、他のかわいい子に取られてしまう前に。

私が、思いを告げる機会を失ってしまう前に。


「はい!かき氷」

「ありがとう・・・」

「ブルーハワイ、好きなの?僕、結局あれが何味なのかいまいちわかんなくて苦手だな・・・」

「でもかき氷のシロップって、全部同じ味だなんて言うよ?香料と色だけが違くて、それでごまかされてるとか」

「うっそだぁ!食べてみ?イチゴ、絶対違うよ」

だから、二人きりで一緒に行けると決まってからは夢のようで。

まさかOKをもらえるなんて思っていなかったホルビーは、緊張のあまり眠れない日々を過ごした。

少しでも可愛いと思ってもらいたくて、普段はつけないリボンを耳につけたことも、

慣れないメイクに手を出したことも、

彼はすべて気づいて褒めてくれた。

紳士的な彼は、ホルビーをしっかりリードした。

話をしていても楽しくて、いつしかホルビーの緊張も解けていた。

誰にでも優しいニンフィアの性格をよく理解していても、

この瞬間は私だけを見てくれていて、

私だけに優しくしてくれているようで、

まるで、恋人といるようで・・・
 ▼ 154 イボルト@レッドカード 18/02/04 17:52:51 ID:PMOCbdCQ [10/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニンフィアは、別になんとも思っていない相手とこうして二人で祭りに出かける気などなかった。

ホルビーの誘いを受けたのは、ニンフィアにもそれだけの理由があって。

自分自身モテる自覚はあったが、

そんな自分が気になるのは、周りからお似合いだと言われるようなクラスのマドンナでも、

何度も何度も自分に熱狂的な愛を伝えてくるような人でもなく、

素朴で大人しいけど、お花に水を欠かさないような、

目立たなくて地味だけど、人の嫌がる仕事も進んでこなすような、

そんな優しい彼女で――


「参ったな・・・こんなに溢れるほど、来るとは・・・」

「花火、どこからなら見れるかな・・・」

お祭りの最後、そして目玉。

地方でも有数の、花火大会。

楽しい時間の流れに取り残されてしまった二人は、場所を取ることに失敗した。

折角楽しい祭りだったのに、最後の最後に少し水を差されるような出来事だった。

「・・・少し、離れるけど・・・」

ニンフィアは考えた結果、苦肉の策を挙げた。

あの場所からならきっと、花火も綺麗に見えるはずだ。


二人は、祭りを後にして歩いた。

ニンフィアを先頭に、その後ろにホルビー。

終わりが近いことを知って、二人の口数は少なくなる。

「着いた」

「ここ・・・」

ニンフィアが目指した場所は、川に架けた大きな橋の、その真ん中。

「ほら、始まるよ」

何とか間に合ってよかった。落ち着く間もなく、花火が始まって・・・

少し小さく見えるけど、やはりここにしてよかった。

花火の音が轟いて、少しの静寂に包まれて、また次の花火が挙がる。

最後まで、二人は互いに言葉を交わさなかった。

言葉になどせずとも、思うことは同じだった。
 ▼ 155 リテヤマ@ピッピにんぎょう 18/02/04 18:05:40 ID:PMOCbdCQ [11/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
綺麗だな、美しい、あなたと見れてよかった。


祭りが終わって、そこに集まった者たちが帰っていくのも橋の上からならよく見えた。

「帰ろうか、じきにここも祭りから帰る客でいっぱいになる」

「うん・・・」

ここで、思いを告げたなら、どれだけ映えるだろうか。

ムードに任せて、思いを告げてしまおうか。

しかし、ホルビーはその一歩を踏み出せなかった。

こうして一緒にここに来れただけで、幸せじゃないか。

これ以上を望むのは、贅沢だ。

ニンフィアもまだ、それが恋なのかどうか、判断することができなかった。

ただ、この一日で、彼女に抱いた感情に変化があったことにだけは、気づくことができた。


これから、花火を見るたびに、きっとこの日のことを思い出す。

パッと開いて、散っていく花火の様に、どうかこの思いは散ってくれるな。

切なさも、儚さも、私に映えるものではないから。

ホルビーは、その夜もまた、眠れなかった。



『花火』・・・おしまい
 ▼ 156 オル@ライブドレス 18/02/04 18:29:36 ID:PMOCbdCQ [12/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
『手紙』(デデンネ♂×ピカチュウ♀)

デデンネ「タイムカプセル・・・?」

パチリス「そう!未来のアタシたちにお手紙を書いて、地面に埋めたりするの!」

マイナン「それで、数年後にみんなで集まって、それを掘り起こすんでしたっけ?」

パチリス「卒業しちゃったら、今まで見たいに遊んだりできないかもしれないし、思い出作りになるかなって」

プラスル「面白そうじゃん!やろうぜやろうぜ!!」

ピチュー「やろうやろう!そうだ、お姉ちゃんも呼んできていい?」

トゲデマル「多い方が面白そう!!」


ピカチュウ「いいの?同級生の中に私一人混ざっちゃって」

エモンガ「ピカチュウお姉ちゃん、いつも私たちの面倒見てくれたから!」

プラスル「遠慮すんなよ〜、ピカネェ!」

ピカチュウ「そう、じゃあ私も・・・何書こっかなぁ・・・」

トゲデマル「僕はね〜、ピカチュウお姉ちゃんと結婚してますか!?って書く!!」

デデンネ「!?」

ピカチュウ「え〜、そんなこと書くの〜?」

ピチュー「ええ!?じゃあトゲデマルが僕のお兄ちゃんになるってこと?嫌なんだけど・・・」

トゲデマル「嫌ってなんだよー」

マイナン「書く内容を書いてしまったら、空けるときの楽しみがなくなってしまいますよ?」

パチリス「そうだよ〜!もう、男子ってほんと馬鹿!」

プラスル「馬鹿したのはトゲデマルだけだろ!?」

ピカチュウ「はいはい、喧嘩しないの〜」

エモンガ「でも、何書いたらいいかわかんないよ」

ピカチュウ「そうだなぁ、将来の夢とか、今の私たちが楽しかったこととか、あとは大人になった私たちへの応援かな?」

プラスル「応援かぁ・・・」

ピカチュウ「デデンネはもう書けた?」

デデンネ「ンネ!?な、なんで僕・・・?」

ピカチュウ「さっきからずっとダンマリだったから・・・考えてたのかな?」

デデンネ「う、うん・・・難しくって」

ピカチュウ「フフ、ゆっくり考えたらいいよ〜」
 ▼ 157 ガース@ミズZ 18/02/04 18:30:00 ID:UWBbOsmw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
初々しいなぁ 
>>155
 ▼ 158 ラカッチ@フーディナイト 18/02/04 18:40:35 ID:PMOCbdCQ [13/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
パチリス「うわぁぁぁぁぁん!!ピチュー!!」

トゲデマル「ピカチュウお姉ちゃぁぁぁん!!!」

デデンネ「ううっ、ぐすっ・・・」

ピチュー「みんなぁぁぁぁ!!う、うう・・・うわぁぁぁぁぁん!!!」

ピカチュウ「はいはい、泣かないの」

プラスル「だって・・・引っ越しなんてよ・・・」

マイナン「次の学校でもピチューと一緒がよかったです・・・」

エモンガ「お姉ちゃんは寂しくないの?」

ピカチュウ「・・・寂しいよぉ〜?でもね、みんな」

デデンネ「うん・・・」

ピカチュウ「お別れの時はね、笑顔じゃないといけないの。じゃないと、最後に見た顔が泣き顔だったら、思い出すときも泣き顔のままなんだよ?」

エモンガ「でも、でもぉ・・・」

ピチュー「お姉ちゃんだって、泣いてるじゃんか・・・」

ピカチュウ「えへへ・・・。それでも、私はみんなと笑ってサヨナラするからね」

デデンネ「笑って・・・サヨナラ・・・」

ピカチュウ「そうだよ〜、できる?」

デデンネ「う・・・うん、笑って・・・バイバイする!」

ピカチュウ「そうか、偉いぞ〜デデンネ!」ナデナデ

デデンネ「ピカチュウお姉ちゃん・・・」ボッ

トゲデマル「ぼ、僕も!僕も笑ってバイバイする!」

プラスル「俺だって!!」

ピカチュウ「皆えらい!・・・ピチュー?」

ピチュー「うん・・・」

ピカチュウ「・・・行こっか。じゃあね、みんな。元気でね?」

ピチュー「バイバーイ!!みんなぁぁぁぁぁ!!!」

「「バイバァァァァァァイ!!!」」

デデンネ(・・・ピカチュウお姉ちゃん・・・)
 ▼ 159 シコ@バーゲンチケット 18/02/04 18:55:35 ID:PMOCbdCQ [14/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
ピカチュウ「それで、ライチュウったら、あの後ずっと泣いてたよね〜」

ライチュウ「うるさいな!!そんなことはどうだっていいんだよ、タイムカプセルだろ?約束だと確か今年開けるんじゃなかったか?」

ピカチュウ「そうだったね、あれからみんなずっと一緒ってわけじゃなかったみたいだけど、ちゃんと連絡つくかしら」

ライチュウ「まあ、時間もあるし、なんとかなるだろ・・・」


デデンネ「久しぶりだね!凄いじゃん、立派なライチュウになって!」

ライチュウ「進化があるのは俺たちだけだもんな。デデンネの方は全然変わってない」

デデンネ「これでも大人になって落ち着いたと思うんだけど・・・」

ライチュウ「国電勤めだろ?電気タイプ界隈だとエリートじゃねぇか。よく頑張ったなぁ」

デデンネ「それほどでもないよ。僕なんて全然・・・ところで・・・」

ライチュウ「ああ、同窓会の話だけど、ほら、タイムカプセル埋めたろ?」

デデンネ「ああ、そんなこともあったね」

ライチュウ「あれを掘り起こそうと思ってさ。みんな連絡つくかな?」

デデンネ「トゲデマルとは時々会ったりしてるよ、あとはどうだろ・・・そのトゲデマルの方ならもうちょい知ってるかも」

ライチュウ「了解、じゃあトゲデマルにつないでもらっていいか?」

デデンネ「任せといて!しかしタイムカプセルかぁ・・・何書いたっけなぁ」

ライチュウ「凄い前の話だし、正直覚えてねぇよな」

デデンネ「ほんとにね。あ、知ってる?エモンガが結婚したって話」

ライチュウ「知ってる知ってる、あのヤンチャ娘がなぁ」

デデンネ「もうそんな年かぁって思うよね・・・もしかして、お姉さんも?」

ライチュウ「ないない、姉貴は男っ気全然ないよ。そろそろ考えたほうがいいんじゃねぇのって言ってんだけどさ・・・」

デデンネ「そ、そっか」

ライチュウ「俺は見て通りライチュウになったけど、姉貴はまだピカチュウのままだしな」

デデンネ「え、なんで?」

ライチュウ「進化する気がないんだと。今の姿の方が好きらしいぜ?」

デデンネ「へぇ・・・」


デデンネ「同窓会かぁ・・・あの人も、来るんだよな・・・」

デデンネ「ライチュウは全く変わってないって言ってたけど・・・綺麗になってるのかな・・・」

デデンネ「なんでだろ、もう当分会ってないのに変にドキドキしちゃうな」
 ▼ 160 マゾウ@かみなりのいし 18/02/04 19:07:09 ID:PMOCbdCQ [15/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
ピカチュウ「みんな久しぶりぃ〜!」

ライチュウ「すまん、ちょっと遅れたな」

マイナン「もう、遅すぎですよ!!」

プラスル「久しぶりだなぁおい!!ほんとにライチュウになってんじゃねーかでかくなってこのやろぉ!!」

ライチュウ「そんな可愛いカッコですごまれても面白いだけだぜ?」

プラスル「こ、このやろぉ!!」

ピカチュウ「・・・もう、酔ってるの?」

マイナン「ごめんなさい、彼、お酒大好きで・・・」

パチリス「久しぶりねぇ、ピカチュウお姉ちゃん?」

ピカチュウ「今更お姉ちゃんはやめてよ、もう・・・」

デデンネ「久しぶりです、ピ、ピカチュウさん」

ピカチュウ「デデンネは堅すぎ!!ピカチュウでいいよ〜」

エモンガ「ねえ聞いてよピカチュウ!あのパチリスとトゲデマルあのが付き合ってるんだって!」

トゲデマル「なっ、そんな言いふらすことじゃないだろ恥ずかしい!」

パチリス「もうエモンガ!?」

ピカチュウ「へぇ〜そうなんだ!末永くお幸せにね?」

パチリス「そんな、結婚したわけじゃないから・・・」

ピカチュウ「でも悲しいなぁ、トゲデマルって小さい頃はピカチュウお姉ちゃんと結婚するの〜!って言っててくれたのに」

トゲデマル「ち、小さいころなんてそんなもんだろ!?」

デデンネ「ハハハ・・・」

ピカチュウ「っていうか、エモンガよエモンガ!あなたに話聞きたかったの!結婚したてたってのは聞いたけど、子供もいるんだって!?」

エモンガ「うん、今日は旦那さんに面倒見てもらってるんだけどね?」

ピカチュウ「いいな〜幸せそうで!パチリスもトゲデマルと付き合るっていうし・・・どうしようマイナン〜!」

マイナン「え、えーと・・・」

プラスル「ピカねぇ、そいつも彼氏いるぞ」

ピカチュウ「うっそでしょ!?」

マイナン「ちょっとプラスル!?」

プラスル「隠すようなことじゃないだろ〜職場の男だってさ」

ピカチュウ「この裏切り者〜!!」

ライチュウ「だから言ってたのに・・・」
 ▼ 161 ルガモス@スピードパウダー 18/02/04 19:16:18 ID:PMOCbdCQ [16/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
エモンガ「うわぁ〜・・・懐かしい、そうそうこんなカプセルだったね!」

マイナン「感動するなぁ・・・」

プラスル「うう・・・頭痛い・・・」

パチリス「だから飲み過ぎだって言ったのに〜」

ライチュウ「さ、開けようぜ!」

ピカチュウ「手紙入れたんだよね、何書いたかな・・・」

トゲデマル「お、空いた空いた!」

ライチュウ「これは・・・えっと、パチリスのだな」

マイナン「えっと、これ内容みんなで見るのですか?」

パチリス「ちょ、ちょっと待ってよ何書いてるかわかんないしそれは恥ずかしくない?」

プラスル「その方が面白いぜ!読んじゃえ読んじゃえ!」

ピカチュウ「もう、自分は何書いたのか覚えてるの?」

プラスル「全く!」

ライチュウ「ま、子供の頃に書いた話だしな。笑って済ませようぜ」

パチリス「それもそうね〜」

ライチュウ「どれどれ・・・大人になった私は、白馬の王子様と素敵な恋をしていますか?」

デデンネ「白馬の王子様・・・?」

マイナン「は、半分当たってるんじゃないですか?」

パチリス「あ〜やっぱ音読やめようよ恥ずかしい!!」

トゲデマル「ちょ、今パチリスのターンだろ!?なんで俺まで・・・」

ピカチュウ「勝手に付き合ってるから悪いんだよ〜。白馬の王子様?」

エモンガ「アハハハハハ!!!」

ライチュウ「パチリスが音読やめようって言ってるけど、今やめたらパチリスだけ恥かいて終わりだぜ?」

パチリス「それもそうね!全員晒しなさい!!」

トゲデマル「お、俺の恥は!?」

プラスル「うるせぇぞ、白馬の王子様!!」

トゲデマル「あいつしめる!!」

エモンガ「ちょ、プラスル凄い酔ってるしあんまりハッスルさせないでよ!?」

ライチュウ「じゃあ次は・・・」

・・・・・・・・
 ▼ 162 ムパルド@モーモーミルク 18/02/04 19:29:45 ID:PMOCbdCQ [17/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
ライチュウ「素敵なお嫁さんになっていますか・・・」

ピカチュウ「えへへ、やっぱりあの頃って女の子はそういうのに憧れたんだねぇ」

エモンガ「い、今もだよね・・・」

マイナン「手紙を書いた若き日のピカチュウお姉ちゃんに謝ってください・・・」

ピカチュウ「な、なんでよ!私まだ若いでしょ!?」

パチリス「うん、うん!まだいけるよ!ポケ生まだまだこれからだ!!」

ライチュウ「つ、次行くか!最後だぞ〜、デデンネだ」

デデンネ「僕か〜、何書いたのかな・・・」

ライチュウ「どれどれ・・・フフッ」

デデンネ「な、なに!?」

ピカチュウ「早く読んで読んで〜!」

プラスル「先に笑ったりしたらダメだろ!」

ライチュウ「いや、ごめんごめん・・・大人になった僕はピカチュウお姉ちゃんと結婚していますか?」

デデンネ「!?」

ピカチュウ「え、デデンネ私のこと好きだったんだ〜!」

パチリス「あ、知らなかったんだ!」

トゲデマル「俺たちは知ってたけどな〜」

ピカチュウ「へぇ、こんなとこに書いちゃって、可愛いとこあったんだね〜!!」

デデンネ「うう・・・」

ライチュウ「そんな恥ずかしがることないだろ〜!」

マイナン「恥ずかしがれば恥ずかしがるほどさらに恥ずかしくなりますよ?」

プラスル「ガチ臭出るしな!」

デデンネ「ガチとか言うな!」

ピカチュウ「ってことは〜私昔はモテモテだったんだぁ」

パチリス「そうなるねぇ」

トゲデマル「こっちみんな」

ピカチュウ「モテ期はやすぎぃ・・・」

プラスル「言えてるな!アハハハハ!!」

デデンネ「・・・・・」

ライチュウ「・・・?」
 ▼ 163 ネズミ@ナナのみ 18/02/04 19:41:48 ID:PMOCbdCQ [18/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
エモンガ「今日は楽しかったよ〜、お疲れ様!!」

マイナン「また集まりましょうね!今度はもっと近いうちに!」

ピカチュウ「会えてよかったよ〜!」

ライチュウ「俺たちは二次会行こうと思うんだけど、どうする?」

ピカチュウ「聞くのも野暮だよ〜」

パチリス「う、うるさい!」

トゲデマル「ま、また会おうぜ」

ライチュウ「ハハハ、おう、またな!」

プラスル「ちっくしょ〜、リア充どもはいいよな〜!」

デデンネ「プラスル、凄い酔ってるよ・・・」

プラスル「こうなったら俺たちで朝まで飲み明かそうぜ〜!」

ピカチュウ「フラッフラね・・・」

ライチュウ「!ちょ、ちょっとこいつ落ち着かせてくるから、先に店の方いっててくんないか?」

ピカチュウ「分かった!」

デデンネ「え?う、うん・・・」


テクテクテクテク

ピカチュウ「デデンネってさ、今、彼女とかいるの?」

デデンネ「え!?」

ピカチュウ「あ、違うよ?さっきの手紙があったから聞いてるとかそんなんじゃなくて・・・」

デデンネ「い、いないよ」

ピカチュウ「そうなんだ。まあ、いたらさっきマイナンたちと一緒に帰ってるか」

デデンネ「できたこともないよ。他の人を好きになったこともない」

ピカチュウ「へぇ〜。なんか嬉しいなぁ」

デデンネ「・・・ほんとは、ちゃんとしたラブレターも書いたりしたんだ。渡せなくて」

ピカチュウ「ふ〜ん?」

デデンネ「だから、持ってきた」

ピカチュウ「え!?今日!?」

デデンネ「あなたは、ずっと憧れの人だったから・・・なんか、区切りをつけたくて」

ピカチュウ「・・・そっか」
 ▼ 164 ルマッカ@かくとうジュエル 18/02/04 19:49:53 ID:PMOCbdCQ [19/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
デデンネ「はい」

ピカチュウ「読んでいいの?」

デデンネ「うん」

ピカチュウ「じゃあ・・・ふふっ、ははは!」

デデンネ「わ、笑いすぎだよ!」

ピカチュウ「なーんか、恥ずかしくて!!」

デデンネ「そりゃ、そうだと思うけど・・・」

ピカチュウ「僕は、ピカチュウお姉ちゃんが、大好きです!だって〜!あははは、もう、可愛いなぁ!」

デデンネ「今でも、そうだよ?」

ピカチュウ「へ?」

デデンネ「ずっと会ってなくて、本当はもうほとんど忘れてるはずなのに、今日会ったあなたが、思ってた通りのあなただったから・・・」

ピカチュウ「な、なに?恥ずかしいよ・・・」

デデンネ「僕と、付き合ってくれませんか」

ピカチュウ「うう・・・本気?」

デデンネ「本気・・・だよ」

ピカチュウ「だって、それは・・・話が変わってくるっていうか・・・」

デデンネ「・・・」

ピカチュウ「あ、改めて、友達からってことで・・・」



ピカチュウ「いやぁもっと行けるでしょ〜情けないよプラスル!!」バンバン

プラスル「いや、ねぇ・・・ほんと、もうきついっす、勘弁してください・・・」

ライチュウ「・・・姉貴が見たことないくらい酒進んでるんだけど、お前、なんか知ってる?」

デデンネ「なにも知らないよ〜♪」

ライチュウ「お前もお前でご機嫌だな・・・さてはうまくやったのか?」


『手紙』・・・おしまい
 ▼ 165 ラクロス@だいだいバッジ 18/02/04 23:02:22 ID:pBTlVy2A NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 166 テッコツ@まんぷくおこう 18/02/04 23:40:17 ID:PMOCbdCQ [20/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
『季節外れの花』(ピカチュウ♂・イーブィ♀・サンダース♂)

「好きな人の幸せって、願えると思う?」

憂いを帯びた顔で、僕の好きな人は僕に問いかける。

「どうしたの?藪から棒に」

「サンダース先輩が、女の人と一緒にいたから」

足が速くて走る姿がカッコいいの、ああ見えて意外と優しいところがあるんだよ、友達とヤンチャしてて笑う顔が可愛かった。

彼女の話はそんなことばかりで、僕はいつもうんざりしながらそれを聞いていた。

でも、彼のことを語る彼女の顔はとても可愛くて、僕は悔しいけど、その顔が好きだった。

そんな彼女の心を奪って、お前は更に彼女の笑顔も奪うのか。

「・・・彼女がいるなんて、聞いたことないよ」

行き場のない怒りを抑えながら、僕は彼女を励ますように言う。

「私、先輩に好きな人ができても、応援できないと思うの」

「そんなの仕方ないだろ。僕だってそうさ」

走る姿が様になる、陸上部のエース。

女子からの彼の人気は、疑いようもないものだった。

「・・・告白しちゃおっかな」

焦りからか、彼女は大事な決意を投げやりに言葉にする。

「いいんじゃない?」

僕もまた、投げやりに嘘をつく。

「応援できない」なんて言ったのは、ほんの数分前の話だ。

「行動しないで終わるのが、一番いやだもんね」

ありがとう、なんて言ってイーブィは僕に別れを告げる。

揺れる耳が可愛らしい。

あまりにも愛おしい。

それなのに、どうか告白がうまくいきませんようにと願うのは、

僕があまりにあさましいからか。

フられて帰ってきた彼女が、僕の物になるなんて保証はないのに。

それでも、僕にはどうしようもなかっただろう。

彼女に募る思いを伝えたって、

彼女の眼にはアイツしか映ってないのだから。
 ▼ 167 ブト@りゅうのウロコ 18/02/04 23:55:04 ID:PMOCbdCQ [21/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・好きです、先輩!私と付き合ってください!」

「・・・ゴメン、俺は君の気持ちには、応えられない」

今までこうして、何匹もの女の子を傷つけてきた。

誰が何と言おうと、俺はそのたびに自身の心も傷つけてきた。

贅沢な悩みだろうか、誰かに怒られてしまうだろうか。

それでも俺は、今は誰かと付き合う気なんてサラサラなかった。


廊下でとある後輩とすれ違った。

よく知っている、あの時泣かせてしまった後輩の、友達だ。

俺のことをひどく睨んでいたのは、気のせいではないはずだ。

その八つ当たりを、俺は甘んじて受け入れる。

彼がどこにもぶつけられず抱え込む怒りを、

ほんの少しだけ受け入れてやる。

結局は友達を傷つけられて、彼は怒っているのだ。

美しいことじゃないか。

俺にだって似たような覚えがある。

好きな人が恋に落ちて、

そしてフラれてしまって。

俺はそうなることを願っていたのに、

そう願った自分を恥じて結局行動に移せなくなってしまった。

お前が幸せにしてやれば良かったんだ。

最後はそんな風に考えて、それ以上に何もなかった。

後ろ姿がその悔しさを表している。

ギザギザのしっぽが、不規則に揺れている。

彼が彼女と共に帰る姿を見たことがある。

それだけで分かるほど、分かりやすく彼は彼女に惚れていた。

どうか、君は俺の様にならないでくれ。

彼女の思いに応えなかった俺の代わりに、彼女を幸せにしてやってくれ。

そんな風に願う権利なんて、俺にはきっとないけれど、

君たちは幸せになる権利を持っているだろう?
 ▼ 168 ンジュモク@きいろのバンダナ 18/02/05 00:06:51 ID:KND6AwjY [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
泣いて、泣いて、泣いて。

ひとしきり泣いても、思い出したらまだ涙が止まらなくて。

喪失感に襲われて、どうしようもなくなって。

黙って隣にいてくれた彼を、ひどく困らせてしまった。

ああ、こんなにも辛いのなら、恋なんてしなければよかったのか。

あの人のことを思って幸せだったことも確かに覚えているのに。

天秤にかけられるようなものでもないのに。

彼は隣でずっとうつむいていた。

ただ、隣にいてくれた。

「帰るね」

そういって私が立ち上がると、

彼は一輪の花を差し出した。

季節外れのバラの花。

「分からないなら、それでいいよ」

それだけ言って、彼は去っていった。

真意を理解するのに、時間はかからなかった。

これまで全く気付かないほど、私も鈍感じゃなかったから。

それでも、今までだって気づかないふりをしてきたのだ。

今は、彼の思いに応えたくない。

彼に甘えたくはない。

グチャグチャになって、分からないような気持で、

彼と向き合いたくはなかった。

だから、明日も私は気づかないふりを続ける。

先輩のことを思って生きる。

託された思いも相手に伝えられぬままの、

季節外れなだけの哀れな花は、

ずるい私と、ウソつきな彼を表しているようで、

とても歪に見えたけど、

だからこそ愛おしく思えた。


『季節外れの花』・・・おしまい
 ▼ 169 ーダイル@とくせいカプセル 18/02/05 11:53:47 ID:KND6AwjY [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
『黒と白のラブチェイス』(ゼクロム×レシラム)

「てめぇら調子乗ってんじゃねぇぞ!!」

「あんたらこそいい加減にしなさいよ!!」

当国に存在する二大貴族学校、「黒雷学園」と「白炎学園」。

それぞれ男子校と女子校で、両校の関係は代々密接なものだったが、

近年は険悪なムードが漂っており、両校の生徒間での諍いが耐えなかった。

「やめねぇか!お前ら!」

「ゼクロム会長!!」

「はしたないですよ、あなたたち」

「レシラム様!」

両校のトップに君臨する生徒会長、ゼクロムとレシラム。

共に教員をもしのぐ学園の最高権力者であり、学園を運営する最高貴族の子ども。

荒々しくも大衆の目を引き付ける魅力にあふれたゼクロムと、

上品かつ冷静に場を治める生徒たちのカリスマレシラム。

学園の長たる二人もまた、不要な争いは諫めつつも両校の敵対関係を受け入れており、

「おいおい、あんまりうちのもんにちょっかいかけて欲しくないんだがなぁ」

「あなたこそ、飼い犬の躾がなっていないのではなくって?」

対峙するたびに牽制の意を込めて口撃を飛ばすような関係である。

ピリピリとした緊張感が場を支配し、先ほどまでいきり立っていた両校の生徒たちも二人の様子を黙って見つめるのみ。

「あんまえい目に余るようだと、俺も黙ってみている訳にはいかなくなるからよ。せいぜい気をつけるこったな」

「その言葉、そっくりそのままお返ししますわ」

ちっ、と舌打ちをしてゼクロム一行が引き上げる。

フフン、と鼻で笑ってレシラム一行が引き上げる。

二人が会長の座を継いでから、もうずっとこの冷戦のような雰囲気が続いているのだ。

先代の会長たちは喧嘩っ早く、一触即発の空気の中で生きてきた生徒たちの中には平穏を望む生徒も多く、

現在は以前よりも幾分過ごしやすい空気であった。

「はぁ・・・俺は、あの♀どもに目に物見せてやりたいところなんだけどよぉ」

「私としてはヘタレた♂どもに一発お見舞いしてやりたいところなんだけど・・・まぁ無理よね」

生徒会長の代が変わり、これでも両校の生徒たちは大人しくなった方だ。

その理由こそ、ゼクロムとレシラムが一歩引いた位置で対峙してくれているから・・・
 ▼ 170 ガラグラージ@ルアーボール 18/02/05 12:09:36 ID:KND6AwjY [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「「あの二人、付き合ってるわけだし」」

とかではなく、単に二人がお熱い関係だから。


「わりぃ!待たせちまった!」

「ううん、全然!」

休日になるとデートに出かける二人の仲睦まじい様子が見られる。

「それより、誰にも見られなかった?寮から出るところとか・・・」

「おう!バッチシだぜ!」

二人は険悪な両校の会長という立場もあって、一応この関係は秘密であるとしているのだが、

「あれでバレないと思ってるのかね〜・・・」

「一応、変装してますしね。ほら、サングラス・・・」

目立つ身なりで二匹一緒に出掛けたらバレないわけもない。

初めのうちは密やかに密会をしたり、街中に出るにしても距離を置いたりと、バレないように二人も気を遣っていたのだが、

結論から言うとゼクロムがレシラムの部屋を訪れたその最初の段階で白炎学園の生徒にバレていて。

その日やたらご機嫌で夜になるのを待ち遠しくしていたレシラムを見て「彼氏との逢瀬かもしれない」と騒いでいた生徒たちが、ゼクロムの来訪に気づきすべてを察し、レシラムのためを思って気づかないフリをした日から二人の関係は生徒たちの間で黙認されることとなった。

当の本人たちは、全くバレる様子もないので次第にエスカレートして今に至る、というわけである。

「さ、行きましょ?」

「おう!」

二匹が出発する。

「あ、出発したよ!ドレディア!」

「ああ、レシラム様・・・なんてかわいらしい・・・」

「・・・おーい、ドレディア〜?」

白炎学園のエルフーンとドレディアは、言わば会長の右腕的存在で、

「彼氏と言えども黒雷の男と会うのだから見張りは必要だ」という名目で二人のデートをつけていた。

今までも数度このような行為に出ることがあったが、二人だけの世界に没頭するレシラムとゼクロムは彼女たちの存在に気付くべくもなく、

「ああ、折角ならサングラスも取ってくれたら・・・」

「まあ、変装の意味も最早為してないわけだしね」

「彼氏の前でしか見せない女の子らしいレシラム様の姿をこの目とカメラに収めたい」という少々はしたないドレディアの本来の目的も、つつがなく達成されてきた。

「それよりいいの?二人とも大きいから一歩一歩がデカいし、私たちもついていかなきゃ見失っちゃうよ?」

「あ、そうでした!急いで追いましょう!」
 ▼ 171 ングラー@ヒメリのみ 18/02/05 12:33:28 ID:KND6AwjY [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「急ぐぞナゲキ!!」

「待ってくれダゲキ!!カメラの紐が絡まって・・・」

「「あ」」


白炎学園に彼らのデートを追う物がいるのであれば、黒雷学園にもまたそういうものがいることは何もおかしいことではなく、

「またあんたたちなの!?レシラム様の邪魔をしないでほしいものだわ!」

「それはこっちのセリフだ!俺たちは前回の釣り堀デートは我慢したんだぞ!?」

「私たちもそれには行ってないわよ!不意打ちで放課後に出かけちゃったから対応できなかっただけじゃん!!」

ダゲキとナゲキもまた、ゼクロムの右腕、やっていることはストーカーである。

「言い争ってる場合じゃないです!ここは一時休戦、急いで追いますわよ!」

「それに賛成・・・グッ、ちょ、首が紐で締まって・・・」

「ナゲキィ!大丈夫か、ナゲキィ!!」

「何やってんのよ・・・」

ストーカー筆頭のこの4人はそれなりにバッタリ顔を合わすことも多く、実際口で言うほど仲は悪くない。

出会って、悪態ついて、一時休戦の流れは毎度のことであった。


「ポケリンガか・・・私あんまり知らないのよねぇ」

「いいスポーツだぜ、空を飛べるポケモン達が空中でリングを奪い合う!ルールも簡単だし、今度うちの親交行事にも取り入れようかと思ってるんだよ」

「なるほどねぇ」

本日のデートはスポーツ観戦の模様。

ポケリンガというと、この地域では人気興行の一つで「空中格闘技」の異名で知られ、リングを激しく奪い合うポケモン達の熱いバトルが見どころだ。

「うーん・・・でも、レシラム様、あまり興味なさそうじゃない?」

「なんでぃ、ゼクロム会長のチョイスにケチつける気か!?」

ストーカー4人衆も近すぎず遠すぎない位置から二人の様子を観察している。

「ああ・・・ゼクロム会長いい顔してるぜ・・・」

満足そうな顔でゼクロムにレンズを合わせて写真を撮るナゲキの様子は、はたから見たらかなり危ない。

「相変わらず気持ち悪いわねぇ」

「気持ち悪いってなんだよ!そんなんお前らだって同じだろ!?」

「ドレディアはまだ女の子だからいいんです〜!」

「女尊男卑だ!!」

「あ、ポケリンガが始まりましたよ!!」
 ▼ 172 マカジ@はがねのジュエル 18/02/05 13:09:57 ID:KND6AwjY [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「凄い・・・スポーツ観戦があんなにもエキサイトなものだとは思わなかったわ!!」

「そうか、喜んでもらえてよかった」

終わってみれば、レシラムは大満足だったようで、

「レシラム様ぁ・・・」

「な、なんかこいつ・・・大丈夫か?」

「大丈夫大丈夫、いつもこんな感じだから。途中でよく見るためにサングラス取ってくれたからそれが大分嬉しかったみたいね」

「思ったけど、取っちゃっていいのかよ・・・」

レシラムフォルダがまた一つ潤う結果となったドレディアもまた生涯悔いなしと言わんばかりの様子であった。

「最後にウォーグルがケンホロウのエアカッターの雨あられを凌いで決めるシーンなんて、思わず興奮して立ち上がっちゃったもの!」

「確かにあれは鳥肌者だった」

「カッコよかったわ・・・スポーツに勤しむ男性って素敵ね」

「・・・・・・」

「あっ、もちろんあなたも素敵よ?ゼクロム。きっとあなたがこのスポーツをしてもとても強いんでしょうね」

「そ、そんなことあるか〜?一回俺とお前でやってみるか!」

「面白そう!!」

「・・・めっちゃイチャイチャしてんな・・・」

「てかあんたがカッコイイ男がいっぱい活躍する所に連れて来たくせに嫉妬してんじゃないよ!」

レシラムにはゼクロムの嫉妬を誘うような言葉を発する癖があった。

少しむくれた彼の様子が面白くて、その後彼のことをほめてやると分かりやすく照れて手をつないでくるのが可愛かったのだ。

ゼクロムは単純で、駆け引きなどは相手にされるがまま。

デートをリードするのはゼクロムの役目だったが、それもレシラムが彼をたてているからにすぎなかった。


「はい、お弁当」

「サンキュ、レシラム!」

デートの際には公園で、レシラムが作った弁当を二人で食べるのがお決まりの流れであった。

「実際、どっちが惚れてるんだろね」

そんな二人を眺めながら、エルフーンは呟く。

分かりやすくデレデレなゼクロムと、彼をたてるのに終始するレシラム。

「どっちがって、ありゃベッタベタの両想いだろ」

「そうだけど・・・例えば、告白はどっちからだったのか〜とか」

思えば、本人に何も話を聞くわけにはいかない自分たちは、彼らの馴れ初めも知らないのだった。
 ▼ 173 ュバルゴ@するどいキバ 18/02/05 13:27:57 ID:KND6AwjY [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あなた、こんなところで何してるの?」

「ん?お前・・・白炎の・・・」

話はさかのぼって、レシラムとゼクロムがまた会長の座についていなかったころ。

事実上の次期会長として、お互いのことを知ってはいたが話などしたこともなかった二人は、雨に降られる河川敷で初めて接触した。

傘もささずに、雨に打たれるがままのゼクロムの体の下には、ヨーテリーやミネズミやチョロネコ、小さなポケモン達の姿があった。

「遊んでたら、降られたんだと。傘もなくてどうしようもなくて、泣いてやがったからよ」

「それで、屋根代わりに?せめて雨宿りできるところまで運んでやるとか、もうちょっと考えなかったの?」

「そいつは思いつかなかったな」

「・・・バカね」

これが初めての会話、最初の印象。

意外と優しくて、子供好きで、だけど馬鹿。

それがレシラムがゼクロムに抱いたファーストインプレッションだった。

「送っていくわ」

「バカ野郎、白炎のお前と同じ傘になんか入れるかよ」

「あんたじゃないわよ、そのおチビたちよ」

少し冷たそうだが、優しい奴。

ゼクロムの方はレシラムのことをそう捉えた。

「・・・しかし、随分可愛らしい傘だな」

「っ、悪かったわね!」

そして、存外女っぽい。

花柄のカラフルな傘を堂々とさしているのだから、別に隠す気もないのだろうが、この時レシラムがひどく恥ずかしがったことはとても印象に残っている。

「私ね・・・バカらしいって思ってるのよね」

「何がだ?」

「白炎とか、黒雷とか、そういうの」

「へぇ、次期会長様がそんなこと言っていいのかよ」

子どもたちを送り終わり、二人は共にいる理由などなかったが、雨が降っているからと適当な屋内に雨宿りして二人は少し話をした。

「昔は、こんな感じじゃなかったって聞くわ」

「そりゃ、元々一つの学園だったんだからな」

「一つの学園を男子校と女子校に分けたのが、それぞれの学園の起源、だっけ」

「そうだったろ?確か」
 ▼ 174 ッコウガ@ねばりのかぎづめ 18/02/05 13:43:44 ID:KND6AwjY [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私たちと同じね」

バカだと言われようが、ゼクロムは学がないわけではなかった。

「・・・伝説の話か?」

だから、レシラムが言わんとしていることもすぐに理解した。

「仲違いした双子の王様のために、一つの体を二つに分けた。それがレシラム種とゼクロム種の起源・・・」

「・・・ま、ほんとかどうか怪しいけどな」

自分はもちろん、そのような過去など持ち合わせていない。

分かった上でゼクロムは、彼女が自分たちと学園を重ねて話をしたいのだと悟った。

「そんな話をするなら、そんな理想事は俺のセリフじゃねーのか?」

「確かにね・・・今に至るまで、レシラムとゼクロムの元のポケモンがいったいどんな存在だったのか、解明されてないわ」

ふと気づくと、雨が上がっていて共にいる名目がなくなってしまった。

「・・・帰るか」

重い腰を上げてゼクロムが呟くと、

「ねえ、ゼクロム。一度分かれてしまったものは、二度と元に戻らないって思う?」

レシラムはそう問いかけて、颯爽と駆けて去ってしまった。


それから、二人は話をする機会は当分なかった。

顔を合わせる機会はいつも会長の傍にいたし、

会長の喧嘩に駆り出されお互いに傷つけあうこともあった。

「なかなかやるじゃないの」

「たりめーだ!俺を誰だと思ってるんだ!!」

「っ!?」

(まずい!)

そのうちの一つは、レシラムに当分残る傷となった。

「悪いな、本気で傷つけるつもりなんてなかった」

「わざわざそれを言うために、私を呼び出したの?」

その日、ゼクロムはたまらずレシラムに謝りたいと彼女を呼び出して、それがそのまま久しぶりに二人で話をする機会となった。

会長の座を継ぐ日が、目の前まで近づいた日のことだった。

「あんな風にお前と手合わせするようなことも、もう避けられるだろうよ」

「そうなればいいわね」
 ▼ 175 ネッコ@おはなのおこう 18/02/05 13:59:32 ID:KND6AwjY [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そうするんだよ、俺たちで」

「・・・そうね。会長を正式に継いだら、もう一度こうしてお話しましょ?」

「他の奴ら抜きでか?いったい何を・・・」

「なんだっていいじゃない」

ゼクロムは彼女の意図が理解できなかったが、いざ会長を継いだその日。

「私たち、付き合いましょう?」

「はぁっ!?」

痛いほどにその意図を理解するのだった。


「まあ、そんなところかしらね・・・わかった?」

「はい・・・申し訳ございませんレシラム様・・・」

「ったく、悪趣味な奴らだ。まさか気づいてやがったとは」

「いや、だって、気づくでしょうよ・・・」

さて、デートの尾行をしていたエルフーン達は、写真の撮りたさ余り半分暴走状態となっていたドレディアとナゲキのせいで遂に本人たちに存在がバレてしまい、

失礼覚悟で二人の馴れ初めを聞きたいとエルフーンが申し出てみたところ、素直に話してくれたのでありがたく聞いていたところだった。

「全く、わざわざサングラスまでしていたのに、この努力は無駄だったのね」

「ほんとにな。これからは堂々とできていいかもな」

ため息をつきつつも、それほど嫌な様子でもない二人をよそに、エルフーンは思索する。

これまでは両会長の関係は黙認されてきていたが、白炎の中にも現状を好ましく思わない者は多い。前会長のような過激派の存在は未だ根強いのだ。

今の危ういバランスが完全に取れなくなってしまうと、会長たちにとって望まない結果になりかねない。

「・・・どうか、私たちが気づいているということは、知らないままでいてくれませんか」

「どういうこと?」

「両校の対立関係は、両会長の和解という事実だけで収まるほど、単純なものではありません」

「・・・そうか、そりゃあ、残念だが・・・ま、そこら辺のことは分かってるつもりだ。俺らもうまくやるさ」

「そうね・・・あなたたちも、うまくサポートして頂戴ね」

「はい、喜んで」

いつ何時も白炎のために、そのためならばレシラム様の指示に従い尽力する。

それがエルフーンの、白炎に生きる者の誇り。

自身の思いを汲んでくれたレシラムにエルフーンは心の底から感謝を示すのだった。

「・・・ところで、レシラム様?」
 ▼ 176 バゴーラ@もえぎいろのたま 18/02/05 14:10:48 ID:KND6AwjY [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
同じように思索に耽っていたドレディアが問う。

「話を聞いた限りでは、レシラム様がゼクロム会長に惚れた理由が分かりませぬ」

「ドレディア!!」

だが、ドレディアはやはりいつものドレディアで、

即座にエルフーンがドレディアを咎めるがドレディアの方はレシラムの返答を待ち遠しく見つめるのみ。

「そういや俺も聞いてねぇんだよなぁ。自分たちが恋仲になれば両校の関係も〜とかそんな理由しか」

「それで、会長は申し入れを受けたのですか」

「だってこいつ可愛いし、真面目で賢くて断る理由もないだろ」

「ゼ、ゼクロム・・・//」

平然とした顔で小恥ずかしいことを言うゼクロムを小突き、レシラムは間をおいて答えた。

「・・・ほとんど第一印象のままだ。カッコイイ見た目に反して子供にやさしいギャップとか、少し抜けた可愛さとか・・・あとは律義なところ。そういうギャップにやられたのよ」

「な、なんか照れるな・・・」

「こ、これで満足!?」

「はい!素晴らしいです!レシラム様!!」

御馳走様でした、と言わんばかりのドレディアの勢いに頭を抱えながらも、エルフーンも幸せそうなレシラムの様子を見ていて幸せだった。

この日以来も、黒雷と白炎の関係性は急激な変化を見せることはなかったが、二人が長の座にある間、ゆっくりとだが学園はいい方向に変わっていくことだろう。


「今日のレシラム様、とてもご機嫌ね」パシャパシャ

「写真やめなよ・・・ありゃ多分デートね」

「ああ・・・レシラム様のあんな表情を引き出すゼクロム会長が憎い・・・」

「憎いんだ。向こうも惚れてるけど、やっぱりうちの会長様の方がベタ惚れみたいね〜・・・」


『黒と白のラブチェイス』・・・おしまい
 ▼ 177 オラント@はっきんだま 18/02/05 16:38:33 ID:f/YP24LI NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 178 ルタンク@みずのいし 18/02/05 18:21:24 ID:wxrVoZO. [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
私怨
 ▼ 179 バルオン@モンスターボール 18/02/05 20:35:39 ID:MMhzuVOc NGネーム登録 NGID登録 報告
ブラッキー♂と僕っ娘ブースター♀
 ▼ 180 ンプク@たてのカセキ 18/02/05 23:28:47 ID:Wg2VpK7. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ミジュマル♀×ピカチュウ♂
 ▼ 181 ンドロス@ピカチュウZ 18/02/05 23:48:05 ID:wxrVoZO. [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
アシレーヌ♀×ガオガエン♂
 ▼ 182 マージョ@ジュナイパーZ 18/02/06 00:31:21 ID:64/NF35. [1/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
『舞台裏の心事情』(ルカリオ♂×ミュウツー)

ミュウツー「・・・・・」

シャンデラ「あら、ミュウツー!あなたがサロンに来るなんて珍しいじゃない!」

カイリキー「ほんとだな、今日もお疲れさん」

ミュウツー「ああ・・・」

サーナイト「どうしました?浮かない顔して」

ミュウツー「いや、少しな・・・」

サーナイト「悩み事があるなら聞きますよ?」

ミュウツー「悩みか・・・そうだな。実は・・・」

シャンデラ「実は?」

ミュウツー「ルカリオ、いるだろ?」

カイリキー「ああ、いるな」

ミュウツー「なんだか、最近あいつの顔をまっすぐ見ることができないんだ」

シャンデラ「まぁ!」

カイリキー(ルカリオっていうと、確か・・・)

サーナイト(ええ、ミュウツーさんの救助にも尽力されていましたね)

ミュウツー「あいつとバトルするときにも影響が出ていて、困っているんだ・・・」

シャンデラ「なるほどねぇ・・・いい?ミュウツー」

ミュウツー「?」

シャンデラ「それは恋よ!」

ミュウツー「恋・・・?」

カイリキー「ちょっと待てよ、まずお前に性別ってあるのか?」

ミュウツー「失礼だな、確かに私は作られたポケモンだが、私にも性別はある」

シャンデラ「レディに失礼よ?」

ミュウツー「私の原種が♀だったのだから私も♀だ」

カイリキー「お、おう・・・すまん・・・(ミュウも性別不明種だろうよ・・・)」

サーナイト(不明なだけですから・・・)

シャンデラ「なるほどねぇ、ルカリオは確かに色男だもんねぇ!そっかぁ、それじゃあ告白するっきゃないね!」

ミュウツー「告白・・・?」

サーナイト「ちょ、ちょっとシャンデラさん。結論を急ぎ過ぎでは・・・?」
 ▼ 183 ブリー@しんかいのキバ 18/02/06 01:15:29 ID:PxKNFzLo NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ゼクレシありがとうございました!
 ▼ 184 aSS341n256 18/02/06 01:19:34 ID:64/NF35. [2/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
シャンデラ「だって〜、ルカリオの顔、まっすぐ見れないんでしょう?」

ミュウツー「ああ」

シャンデラ「ルカリオの目を見たら、キュンキュンしちゃうんでしょ?」

ミュウツー「キュンキュン・・・?」

シャンデラ「ルカリオの声を聴くだけで胸が苦しくなるんでしょ?」

ミュウツー「???」

シャンデラ「ほら恋だ!」

カイリキー「ほらじゃねぇよ!!もはや二つ目の設問から肯定してねえだろうが!」

シャンデラ「今のままじゃ困るでしょ?気持ちをはっきりさせないと」

ミュウツー「ああ・・・そうだな」

サーナイト「シャンデラさん・・・ただ面白がってるだけでは?」

シャンデラ「真剣しんけーんよ!私はミュウツーのことを思って・・・」

ミュウツー「シャ、シャンデラ・・・そこまで私のことを・・・」

カイリキー「お前も大概だよな。バトルはあんなに強いのに」

サーナイト「天然と言いますか何と言いますか・・・」

シャンデラ「じゃ、告白しましょう!」

ミュウツー「その、告白というのは、何をすればいいのだろうか?」

シャンデラ「気持ちそのまま伝えればいいよ」

ミュウツー「なるほど・・・ルカリオ!実は最近お前の顔を見ることができなくて困っているんだ!」

シャンデラ「そう言われてもルカリオ困っちゃうね」

ミュウツー「そうなのか?」

シャンデラ「もっと分かりやすくしてあげよう」

ミュウツー「助かる」

カイリキー「助かるじゃねぇよ」

シャンデラ「ルカリオ!お前のことが好きなんだ!・・・これでよし」

ミュウツー「なるほど」

カイリキー「なるほどじゃねえよ!」

シャンデラ「煩いわね〜、お前の顔を見ることができないは要するに好きってことよ、覚えときなさい」

ミュウツー「分かった」

カイリキー「違うね。絶対違うね」
 ▼ 185 ジギガス@サイコシード 18/02/06 01:22:53 ID:3iIrvVqg NGネーム登録 NGID登録 報告
できたらエムリットとアグノムでお願いします
ユクシーが2匹を見守る感じで
 ▼ 186 aSS341n256 18/02/06 01:30:39 ID:64/NF35. [3/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
シャンデラ「乙女心が分からないカイリキーのことは置いといて、要は好きって気持ちを伝えればいいのよ。分かった?」

ミュウツー「分かった」

シャンデラ「じゃあルカリオのとこに行ってらっしゃい!」

ミュウツー「ああ!」シュンッ

サーナイト「・・・行っちゃいましたね」

カイリキー「お前も途中から全然止めてなかったけどな」

サーナイト「いや、恋かどうかはともかく、ミュウツーさんのあの様子なら本人に直接アタックするのが一番早い解決法かなぁって」

シャンデラ「そゆこと、さすがサーナイト分かってるぅ!」

サーナイト「あなたは面白がってるだけですよね・・・」

カイリキー「俺ぁどうなっても知らねぇからな」


ルカリオ「・・・ふぅ・・・」

ミュウツー「居残り特訓か、精が出るな」

ルカリオ「ミュウツーか。高みを目指すためには、特訓を欠かすわけにはいかないからな」

ミュウツー「殊勝な心掛けだ」

ルカリオ「お前も一緒にするか?」

ミュウツー「いや、今日はお前に言わなければならないことがあってな」

ルカリオ「なんだ?改まって」

ミュウツー「ルカリオ、お前のことが好きなんだ」

ルカリオ「はっ!??」

ミュウツー「伝わったか?」

ルカリオ「伝わったって、急に何を・・・」

ミュウツー「こう言えばいいと、シャンデラから教わって」

ルカリオ「・・・なるほど。詳しく話を聞く必要がありそうだ」


ルカリオ「俺の顔を見ることができない・・・?」

ミュウツー「ああ、何故かはわからんが、まっすぐ見ることができなくて」

ルカリオ(確かに、手合わせの時に妙な動きをしていた気はするが・・・)

ミュウツー「それをシャンデラに相談したら」

ルカリオ「なるほど・・・けしかけられたと」

ミュウツー「私はお前のことが好きなのではないのか?」
 ▼ 187 aSS341n256 18/02/06 01:41:40 ID:64/NF35. [4/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
ルカリオ「俺に聞かれても一番困るんだが・・・そうか、好きという感情もいまいち理解していないのか」

ミュウツー「感情というものは難しいな」

ルカリオ「そうだな・・・顔を見れなくなったのは、きっとファイターとして俺のことを強く意識していたからだろうな」

ミュウツー「・・・つまりどういうことだ?」

ルカリオ「俺のことをライバルと見ていたんじゃないか?」

ミュウツー「ライバル・・・?」

ルカリオ「負けたくないと思う気持ちが強いあまり、常に成長する俺のことを直視できなかった・・・なんて自分でいうのも驕りが過ぎるが、きっとそんなところさ」

ミュウツー「では、私はお前のことが好きではないのか・・・」

ルカリオ「そ、そうだな・・・好きというのにも色々あってな」

ミュウツー「色々あるのか?」

ルカリオ「ああ、共に高めあうライバルとして、少なくとも俺はお前のことを認めているし、友という意味では、お前のことが好きだぞ?」

ミュウツー「お前は私のことが好きなのか」

ルカリオ「そ、そうだな・・・友としてな?」

ミュウツー「・・・なんだか嬉しい気持ちになるものだな」

ルカリオ「そ、そうか」

ミュウツー「では、私もお前のことが友として好きなのか」

ルカリオ「ああ、そういうことにしておこう」

ミュウツー「そうかそうか、友か。お前に話してスッキリしたよ」

ルカリオ「じゃあ、もう俺の顔をちゃんと見れるか?」

ミュウツー「ああ!」スマイル

ルカリオ「!!」キュンッ

ミュウツー「では私は去るぞ。特訓の邪魔をして悪かったな」シュン

ルカリオ「ああ・・・・・」

ルカリオ(・・・あれ、今、俺は・・・)


ミュウツー「・・・ということで、私は友としてルカリオのことが好きだということが判明した」

シャンデラ「っち、あの色男うまく逃げやがったな」

サーナイト「まあまあ、悩みが解決してよかったです」

ミュウツー「あいつは私のことをライバルとして認めているとも言ってくれた。これからはあいつを失望させないために、これまでの分までしっかり戦わなくてはな」

カイリキー「一時はどうなることかと思ったが、うまくまとまってよかったぜ」

サーナイト「ほんとですね」
 ▼ 188 aSS341n256 18/02/06 01:48:39 ID:64/NF35. [5/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
シャンデラ「ブー、つまんなぁい・・・」

カイリキー「お前は人の気持ちを何だと思ってるんだ・・・」

シャンデラ「でも当たらずしも遠からずだと思うよ〜?」

サーナイト「と、言いますと?」

シャンデラ「ミュウツーがちゃんと恋ってものを理解したら、その時はルカリオにもう一回告白したらいいんじゃないかな・・・」

カイリキー「シャンデラ・・・」

シャンデラ「だって、恋するってそれほど素敵なことだからさ。知らないなんてもったいないよ」

カイリキー「・・・なんか、いい話風にまとめようとしてないか?」

シャンデラ「バ、バレた・・・?」

サーナイト「強引が過ぎますよ・・・」


ミュウツー「どうしたルカリオ!動きが甘いぞ!」

ルカリオ「くっ!!(なぜだ、なんだかあいつの顔を、まっすぐ見ることができない・・・!)」

ミュウツー「私のライバルなのだろう!?私を失望させてくれるなよ!!」


シャンデラ「・・・ねぇ、もしかしてつまらなくない展開になってない?」

サーナイト「・・・そうですね。ルカリオさんの様子が、どう見てもおかしいです」

カイリキー「これあいつの相談にも乗る展開じゃねぇだろうな・・・」


『舞台裏の心事情』・・・おしまい
 ▼ 189 aSS341n256 18/02/06 12:15:06 ID:64/NF35. [6/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
『スウィートミルク・チョコレート』(イーブイ♂×ニンフィア♀)

ニンフィア「おじゃましま〜す!」

イーブイ「ニンフィア!あがってあがって!」

ニンフィア「ブイ君のお家入るの初めてだから緊張するな〜」

イーブイ「・・・全然そういう風には見えないけど」

ニンフィア「えへへ、じゃあ何する?」ガサゴソ

イーブイ「ナチュラルに部屋物色するのやめてください」ペシッ

ニンフィア「いたっ!だって何か面白い物とかあるかな〜って」

イーブイ「隠すようなものはありません〜」

ニンフィア「ほんとに?」

イーブイ「ほんとのほんと」

ニンフィア「ちぇ、つまんない!」

イーブイ「残念でした。さあ、ゲームしよゲーム」

ニンフィア「うん・・・ん!?ナニコレ!!」

イーブイ「なにって・・・イーブイの進化マニュアルだけど」

ニンフィア「ええ!?ブイ君進化しちゃうの!?」

イーブイ「まぁ、いずれはね」

ニンフィア「いやだいやだいやだブイ君はそのままのブイ君がいい!!」

イーブイ「分かってよニンフィア。僕だって一人の男として強くありたいんだよ」

ニンフィア「ブイ君こんなにも可愛いのに〜!!」プニプニ

イーブイ「そういうのだよ!!」

ニンフィア「どういうの?」

イーブイ「ただでさえニンフィアの方が年上で、なんか、凄い子供扱いされてる気がするのにずっとイーブイのままだと余計に・・・」

ニンフィア「でもね、ブイ君」

イーブイ「・・・何?」

ニンフィア「ナインエボルブーストはイーブイだけの特権だよ?」

イーブイ「そ、それはそうだけど・・・」

ニンフィア「バトンタッチでつないで味方を支えるのも、一つの強い男の在り方だと思うけど」

イーブイ「で、でも僕は・・・」

ニンフィア「自分で戦いたい?」
 ▼ 190 aSS341n256 18/02/06 12:24:29 ID:64/NF35. [7/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
イーブイ「うん・・・」

ニンフィア「アシストパワーなんて技もあるよ?」

イーブイ「た、確かに全能力を挙げてからのアシストパワーは凄い威力になるけど・・・」

ニンフィア「適応力から単純に捨て身タックル撃ってるだけでもバカみたいな威力出るよ?」

イーブイ「そ、そうかな・・・」

ニンフィア「そうだよ、進化なんかに頼る前にブイ君は今の自分の持ち味を精一杯生かせるように鍛錬するべきだね」

イーブイ「わかった!頑張るよ!」

ニンフィア「よしよし、偉いぞ〜」ナデナデ

イーブイ「もう・・・って、理詰めで論破された!!」

ニンフィア「アハハハハ!」

イーブイ「もう!そんななのにどうして賢いんだよニンフィアって!」

ニンフィア「今のは別に私賢いようなこと言ってないよ、むしろ・・・」

イーブイ「僕がバカだって!?」

ニンフィア「全部素直に聞き入れちゃうから・・・」

イーブイ「なんか説得力あるし・・・」

ニンフィア「バ可愛いよ、ブイ君♪」

イーブイ「ううう・・・もう!喉乾いたから飲み物入れてくる」

ニンフィア「はーい」

イーブイ「ニンフィアは何がいい?」

ニンフィア「コーヒーがいいな。ある?」

イーブイ「あるよ。お父さんがよく飲むから」

ニンフィア「ビックリした〜!ブイ君が飲んでるのかと」

イーブイ「・・・なんで僕が飲んでたらびっくりするのさ」

ニンフィア「だってコーヒーって苦いし、ブイ君には無理だろうなぁって」

イーブイ「僕だって飲むよ!割と好きなんだよね!」

ニンフィア「ほんとに〜?エネココアとかじゃないの〜?」

イーブイ「グランブルマウンテンとか飲むし!」

ニンフィア「おっ、グランブルマウンテンあるんだ。あれをブラックで飲むのが最近のマイブームなんだよね〜」

イーブイ「ぼ、僕もそうなんだよ!!美味しいよね、グランブルマウンテンブラック!!」

ニンフィア「一つの名前みたいになっちゃった」
 ▼ 191 aSS341n256 18/02/06 12:34:17 ID:64/NF35. [8/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
イーブイ「はい」

ニンフィア「ありがと♪」

イーブイ「僕の方が以外だよ・・・ニンフィア、見るからにこういうの飲みそうな感じじゃないのに」

ニンフィア「見かけで判断しないでよ〜、私ってば、学校ではカッコイイ系で通ってるんだから」

イーブイ「嘘つけ絶対キャルルン系だよ!」

ニンフィア「バカ言わないでよ〜。ブイ君以外の男にキャルルンするわけないでしょ?」

イーブイ「キャルルンするって何・・・」

ニンフィア「ね?」キャルルン

イーブイ「・・・あっそ」プイ

ニンフィア「照れてる照れてる。本当に可愛いな〜ブイ君は」ゴクゴク

イーブイ「ニ、ニンフィア・・・砂糖は?」

ニンフィア「入れないよ?ブラックだもん」

イーブイ「ブラック・・・え?」

ニンフィア「私の言うブラックは、砂糖もミルクも入れないの。ほら、カロリーも気になるし」

イーブイ「そ、そっか・・・いや、そうだよね!入れないよね!僕も普段は入れてないから・・・」

ニンフィア「そういう時はそんなの気にする必要ないよ!!って言うんでしょ!?私がダイエットしなきゃいけないみたいじゃない!!」

イーブイ「ええ!?ご、ゴメン!!」

ニンフィア「ま、冗談だけどね〜。私苦いくらいが丁度いいから。ブイ君は?」

イーブイ「僕も実はそういう感じ!」ゴク

イーブイ(にっっっっっっげぇぇぇぇぇぇ!!!!!)

ニンフィア「・・・美味しい?」

イーブイ「美味しいよ・・・」ヒキヒキ

ニンフィア「すんごい顔引きつってるよ?」

イーブイ「これはほっぺが落ちそうになってるんだよ・・・」

ニンフィア「そう?ならいいけど」ゴクゴク

イーブイ「そうそう、心配には及ばないよ」

ニンフィア「その割には全然進んでないけど」

イーブイ「僕は香りを楽しむタイプだから・・・」

ニンフィア「一回飲んでから!?」

イーブイ「一回飲んでから!!」
 ▼ 192 aSS341n256 18/02/06 12:42:51 ID:64/NF35. [9/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニンフィア「ふぅ、御馳走様!」

イーブイ「・・・・・・」コヒューコヒュー

ニンフィア「ブイ君、まだだいぶ残ってるけど」

イーブイ「あんまり喉乾いてなかったから・・・」

ニンフィア「喉乾いたって言って入れに行ったんじゃん」

イーブイ「うう・・・」

ニンフィア「もう・・・バ可愛いなぁブイ君は。変な意地張っちゃって」

イーブイ「ニ、ニンフィアがからかうから・・・」

ニンフィア「残り飲んであげよっか」

イーブイ「!?」

ニンフィア「なに?・・・意識した?」

イーブイ「な、何を・・・」

ニンフィア「間接キッスだなぁって」

イーブイ「ま、まさか!」ゴクゴク

イーブイ(にっげぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!飲めば飲むほど苦い!)

ニンフィア「そ、そんなに嫌だった?」

イーブイ「違うよ!喉乾いてるから飲んだだけ!」

ニンフィア「別に気にしなくていいのに、恋人なんだし」

イーブイ「それもそう・・・違うの!僕はコーヒー飲みたいだけ!」ゴクゴクゴクゴクプハー

ニンフィア「おお〜!!飲み切った」

イーブイ「・・・・・・・・」コヒューコヒュー

ニンフィア「・・・死んでるけど大丈夫?」

イーブイ「何が?全然大丈夫だし。苦くないし」

ニンフィア「今更?苦いに決まってるじゃん!私も普段は砂糖入れるし」

イーブイ「・・・!!!!!!!」ジタバタ

ニンフィア「ごめんごめんジタバタしないで!!」

イーブイ「もう・・・嫌い・・・」

ニンフィア「アハハ・・・時にイーブイ君」

イーブイ「今度は何?」

ニンフィア「お口直ししたくないかい?」
 ▼ 193 aSS341n256 18/02/06 12:48:54 ID:64/NF35. [10/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
イーブイ「・・・別に」

ニンフィア「いらないんだ〜」

イーブイ「!?そ、それは・・・」

ニンフィア「折角ブイ君でも食べられるように甘々スウィートなチョコレート作ってきたのに、いらないんだ〜」

イーブイ「ほ、ほんとに甘いの?」

ニンフィア「仮に苦くても受け取りなさいよ!今日は何日?」

イーブイ「わ、分かってるよ!」

ニンフィア「まあ意識してるのは知ってたけど。ずっとソワソワしてたもんね、今日」

イーブイ「してない、してない!」

ニンフィア「欲しいの?欲しくないの?」

イーブイ「・・・欲しいです?」

ニンフィア「なんて?聞こえない!」

イーブイ「欲しいです!」

ニンフィア「何が欲しいの!?」

イーブイ「ニンフィアが作ったバレンタインのチョコレートが欲しいです!!」

ニンフィア「はい、よくできました〜!」

イーブイ「うう・・・恥ずかしい」

ニンフィア「はい、あ〜ん・・・」

イーブイ「・・・・・あーん」パク

ニンフィア「素直に食べたね」

イーブイ「もう疲れたし、家の中で誰も見てないからいっかって」

ニンフィア「感想は?」

イーブイ「・・・甘い。美味しい」

ニンフィア「本命チョコだからね?」

イーブイ「分かってるよ」

ニンフィア「ホワイトデー、期待してるね♪」

イーブイ「・・・了解しました」



『スウィートミルク・チョコレート』・・・おしまい
 ▼ 194 クノシタ@すごいつりざお 18/02/06 12:50:20 ID:dZJkBEiA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
イーブイかわいい、支援!
 ▼ 195 aSS341n256 18/02/06 16:55:49 ID:64/NF35. [11/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
『瞳に僕は映らない』(ニャビー♂・モクロー♀・ピカチュウ♀)

「ど、どうかな・・・」

「似合う似合う!可愛いよモクロー!!」

オシャレに無頓着なモクローが、生まれて初めて身に着けた赤色のリボンは、小柄で可愛らしい彼女の姿を更に映えさせて。

「ニャビーもそう思うよね!」

「ま、まあ・・・いいんじゃねぇの?」

「そんな、無理に言わせなくていいよピカチュウ・・・」

「無理じゃないって、ほんとに・・・可愛い」

「・・・ありがと」

「なんだなんだこの〜二人して照れちゃって!!」

そんな装飾品がなくても、元より俺はお前の虜なのだが、

それでもいつもと違った彼女の姿に俺は目が離せない。

「・・・ちょっとあんた、見過ぎじゃない?」

「そ、そんなことねぇよ!!」

そんな俺の気持ちをきっと見透かしているピカチュウは、こうして俺をからかうのが好きなようだった。

モクローにオシャレを強引に促したのも、このこいつの仕業で。

「ねえモクロー!今度二人でブティックにでも出かけよっか!!」

「わ、私は・・・」

「あ、ニャビーはダメだからね〜!女の子同士で買い物なんだから!!」

「わーったよ、勝手にしろ」

やたらとモクローにベタついては女同士を強調させる彼女は俺の嫉妬を誘っているのだろう。

狙い通りなのは癪だが、正直彼女が羨ましい。

過剰なスキンシップにモクローは決まって顔を赤くして、

「もう・・・やめてよ・・・」

と力のない返事を返すのみ。

派手な抵抗もないのでピカチュウにされるがまま。

(・・・・・くそっ)

我ながらしょうもないと思う。

♀が♀と仲良くするのは当たり前だ。

こいつに嫉妬したところでなんにもなんねぇだろうが。
 ▼ 196 aSS341n256 18/02/06 17:06:38 ID:64/NF35. [12/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私がモクローと引っ付いてるときにさぁ」

モクローが所用でいない場で、ピカチュウは俺に言う。

「露骨にイライラするのやめなよ」

「してねぇし!!」

してる。

図星を突かれて大きく真っ赤な嘘を返す俺の様子が、またピカチュウのツボにはまったらしく、

「してるよ〜!!」

と俺に小突いてくる。

もともとパーソナルスペースなどの概念が薄い奴だ。

特性も静電気の癖に、やたら接触してくる彼女のことは別に俺は嫌いではなかったが、

「本人に気づかれちゃうよ?」

「うっ・・・」

二人きりで話すのは、正直苦手だった。

「お前と話してると疲れんだよ」

「私は楽しいけど?」

「多分、だからだろ」

変に言葉に重みがあり、俺の余裕を奪っていく。

おしとやかで大人しくて、物静かなモクローとは正反対のタイプ。

俺のことをまるでおもちゃかなんかだと思っていやがる。

「男ならバンバン押していきなよ!あの子、男の影ないし」

「・・・だろうな」

「丁度いい感じの機会セッティングしてあげよっか」

それでいて、俺の恋路の協力をしてきたりしやがる。

優しく気が利くところがあるので、みんなからの人気者。

「・・・ほんと、なんなんだよ」

「何が?」

「別になんもねぇよ」

「フフ、変なの」

こいつの手を素直に借りるのは癪だが、モクローと恋仲になるのに、彼女の力を借りるというのは当然の良手で。

気に食わねぇ俺は、「これはこいつを利用しているだけだ」と自分に言い聞かせた。
 ▼ 197 aSS341n256 18/02/06 17:18:20 ID:64/NF35. [13/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
「モクローは今好きな人とかいるの?」

ピカチュウの奴に乗せられるがまま3人でデパートに遊びに来た時。

ピカチュウは俺の方をチラリと見て、そしてニヤリと笑いながらモクローにそんなことを聞いた。

思っていたよりも幾分直接的な策略に俺は内心うろたえる。

「い、いないよ・・・」

控えめにそうごまかすモクローはまた顔を真っ赤にしている。

種族柄素直に表情を出せない俺の性質は、こういう時に役に立った。

「ふーん、ニャビーは?」

「俺のことはどうでもいいだろ」

「いるんだ〜!」

「いねぇよ、別に」

「嘘でしょ、嘘だね!その反応はいるよ〜、私の目はごまかせないよ?」

ターゲットを俺に変えたピカチュウは、知った上で執拗に俺に問い詰める。

「なんでそんな来るんだよ、いねぇったらいねぇ!」

「へぇ〜?ふぅ〜ん?そうなんだ〜?」

わざとらしい態度で俺の反論を封殺し、

「分かった分かった。で、誰なの?」

「なんもわかっちゃいねぇ」

あまりにしつこい彼女の追求に、まるで「今告白してしまえ」なんて言われているような気もしたが、

そんなことはできるはずもないし得策でもないと思い俺はそれ以上は無視を決め込んだ。


「あ!私用事があるんだった!」

「用事?」

「うん、習い事!急いで帰らなきゃ!じゃね!!」

慌ただしく帰っていくピカチュウ。

彼女の一挙手一投足が全てわざとらしく見える。

「・・・行っちゃったね」

「・・・だな」

かくして、俺はモクローと二人きりになった。

言ってしまえ、脳裏にはそう笑うあいつの姿が浮かぶ。
 ▼ 198 aSS341n256 18/02/06 17:26:45 ID:64/NF35. [14/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・好きな人、いるんだ」

「あ?」

ふいに、モクローの方から話を振られ、俺はひどく驚く。

「隠してたって分かるよ〜。ピカチュウじゃないけどね」

既に気づかれているかもしれない、なんてあいつの言葉を思い出す。

モクローは、俺の気持ちに気づいて・・・

「応援してるよ、ニャビー君の恋」

「応援だ?」

「うん、友達でしょ?」

目の前の彼女の心理を読み取れず、俺は混乱する。

単に別の誰かのことを好いていると思っているのか、

それとも相手は自分だと知ってそんなことを言うのか。

後者だとしたら、それは・・・応援と言ったその意味は・・・

「・・・お、お前は!どうなんだよ」

「え?」

結論を出すことができず、俺は探りを入れる。

「お前も誤魔化してただろうが。ほんとのとこはどうなんだよ、俺にだけ聞くのは不公平だ」

少し強く問い詰め、いるのかいないのか・・・

「ほんとは、いるよ」

「!!」

「私、ちゃんと恋してる・・・」

そう呟く彼女の顔はひどく切なく見える。

その相手は、もしかして、俺・・・

「でもね、私の恋は、どう頑張っても叶うものじゃないから・・・」

そう言って、モクローは振り向く。

視線の先には、あいつと別れたデパートの出入り口。

「これじゃあ、いないのと同じかなこれじゃあって」

俺はその視線の意味を悟った。

「だから、ニャビー君の恋、応援してるね!」

俺は、彼女の言葉の意味を悟った。
 ▼ 199 aSS341n256 18/02/06 17:31:21 ID:64/NF35. [15/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
「もう、離れてよぉ・・・」

「嫌だよ、だって寒いんだもん!」

さしものピカチュウも、彼女の気持ちには気づかないのだろうなと思う。

「モクローも寒いでしょ?」

「寒かったらニャビー君に抱き着いてきなよ。私より暖かいよ?」

「ニャビーは♂だからだめぇ。残念?」

「残念じゃねーよ」

モクローの心労も、今はよくわかる。

ピカチュウに絡まれながら、彼女がいつも見せていた複雑な表情の意味も。

一番近くて遠い位置にいる彼女の、耐えがたい孤独も。

俺は、いつか彼女に思いを告げてもいいのだろうか。

彼女がその叶わない恋から覚めるきっかけに、

俺はなってもいいのだろうか。


『瞳に僕は映らない』・・・おしまい
 ▼ 200 1008えん】 ひろった! 18/02/06 17:34:52 ID:eUTfix5M NGネーム登録 NGID登録 報告
 ロコン×リーフィア 「肝試しの後にて」

 グレイシア×ピカチュウ×色ピカチュウ 「喧嘩」

ビブラーバ×ブースター×ドードー 「命の交差点」
 ▼ 201 aSS341n256 18/02/06 21:08:44 ID:64/NF35. [16/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
『素敵な恋が始まらない』(グレイシア♀・ホルビー♀・ガオガエン♀)

グレイシア「待ち合わせ場所のコダックの銅像って・・・あれ、だよね・・・」

ホルビー「グレイシアさんまだかな・・・」

グレイシア「コダック像の前にいるホルビー種・・・あ、あの人かな。すいません!」

ホルビー「おっ、おーい!!」

グレイシア「えーと、映画の・・・」

ホルビー「三毛チョロネコホームズの!うん、俺であってるよ!」

グレイシア「(俺・・・男の人なのかな)今日ご一緒させていただくグレイシアです、よろしくお願いします」

ホルビー「ホルビーだよ。よろしく!(♀同士だし、気楽でいいな〜)」

グレイシア「それじゃあ、行きましょうか・・・」

ホルビー「おう!」


ホルビー(三毛チョロネコホームズの映画鑑賞オフ会、最初のうちは10人ちょっと集まる予定だったんだよなぁ)

グレイシア(でもあれよあれよとキャンセルが続出して・・・いざ当日になると5人、しかも15分前にドタキャンが3人出て・・・)

ホルビー(それで、じゃあもうやめましょっかって言うのも、なんかグレイシアさんに悪いし・・・)

グレイシア(せめて性別くらい聞いておけばよかったかなって思ったけど、聞いたら聞いたでなんかそういう感じのこと意識してるのかなとか思われたらあれだし・・・)

ホルビー(まあ、始まってみたら、案外大人しそうだけど同年代の女の子みたいでよかった!)

グレイシア(いざ集まってみたら結構グイグイきそうな感じの同年代の男の人だったよ〜・・・どうしようなんか緊張する・・・)


チョロネコ『あなたは、愚か者だ』

グランブル『な、なんだと・・・』

チョロネコ『あなたに殺されたブル美さんは、最後の最後まであなたの身を案じ、あなたのことを愛していたのだよ!!』

グランブル『そ、そんなはずないだろ!!ブル美はブル男と浮気して協力して俺のことを殺そうと・・・』

チョロネコ『現場に残っているのだよ。彼女が息絶え絶えの中、あなたが犯人であることがバレないようにと、捜査の妨害工作を施したあとがだよ・・・』

グランブル『そんな・・・俺は、俺はぁぁぁぁあああ!!!』

ホルビー「うううっ、ひっぐ、うぅぅ・・・うううぅぅぅぅぅううう!!!」

グレイシア「・・・・・」

ホルビー「うう、ご、ごめ・・・うう・・・ブル美ぃ・・・!」

グレイシア(泣いてるぅぅぅぅう!!!凄い泣いてる、凄い泣いてる!!この劇場探してもこんなに泣いてる人いないよ!!)
 ▼ 202 aSS341n256 18/02/06 21:23:19 ID:64/NF35. [17/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
ホルビー「うわぁぁぁ・・・ブル美・・・なんてけなげな奴なんだぁ!!!」

グレイシア「あの・・・これ、使います?」つハンカチ

ホルビー「ありがどう・・・グスッ」

グレイシア「いえいえ・・・」

グレイシア(・・・いい!)

ホルビー「俺ああいうの弱いんだよ・・・まさか三毛チョロシリーズであんな悲しい恋模様が描かれるなんて・・・」

グレイシア(泣いてるグイグイ系俺男子、いい!いいよ!ギャップにやられちゃいそう・・・)

ホルビー「ああ・・・ごめん、なんかこんな・・・グスッ、泣いちゃって・・・」

グレイシア「いえいえ、いい話でしたから。僕もちょっと泣いちゃいましたし。じゃあ、予定通りレストランの方に移動しましょうか」

ホルビー「そうだな・・・」


ホルビー「いやぁ、しかし、恋人のブル太が犯人だったなんて・・・ブル美の工作にすっかり騙されちゃったよ」

グレイシア(さり気なく車道側を歩いてくれてる・・・優しい・・・)

ホルビー「でも、すっきり解決しちゃうチョロネコは流石だよなぁ・・・大丈夫?ちょっとボォっとしてるみたいだけど」

グレイシア「あ、大丈夫ですよ?(細かな気遣いいい!)」

ホルビー「それならよかった・・・クチュン」

グレイシア(くしゃみ可愛い・・・もう好き・・・)

ホルビー「それにしても最近寒・・・うわっ!?」

グレイシア「!?」

ホルビー「ひ・・・ひったくり!?ちょ、待ちやがれ俺のカバン返せ!!」

アーボ「俺様は泣く子も黙る筋金入りのワル、アーボ様だぁ!待てって言われて誰が待つかよ!」

グレイシア「大変だ・・・すぐに追わなきゃ」

ガオガエン「そこまでだ」ガンッ

アーボ「グェッ!?」


ガオガエン「取られたカバンはこれでいいのか?」

ホルビー「あ、ありがとうございます!(カ、カッコイイ・・・)」

ガオガエン「さっきのひったくり犯は警察に突き出した。君たちにけがはなかったかい?」

グレイシア「そうだ、僕は何もないけどホルビーさん大丈夫ですか?」

ホルビー「あ、はい!ケガはないです!!」

ガオガエン「それは良かった。それじゃあ」
 ▼ 203 aSS341n256 18/02/06 21:40:06 ID:64/NF35. [18/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
ホルビー「あ、あの!俺たち今からレストランに行くところなんですけど、よかったら一緒にどうですか!?お礼になにか御馳走させてください!」

ガオガエン「え、いや、しかし・・・」

ホルビー「あ、グレイシアもいいかな?」

グレイシア「ホルビーさんが言うなら僕もいいですよ・・・ぜひご一緒にどうぞ」ニコッ

ガオガエン「そ、そうか・・・なら、私もご同伴にあずかろう(い、今の笑顔はなんだ・・・こんな可愛い殿方がいるのか!?)」

ホルビー(私・・・強くて紳士的な男の人だな・・・)

グレイシア(二人だと緊張しちゃうしね・・・)


ガオガエン「そうか、二人は今日初めて会ったのか」

グレイシア「はい、オフ会ってやつで、僕もホルビーさんも同じ映画が好きだったので」

ガオガエン「どんな映画だったんだ?」

グレイシア「三毛チョロネコホームズっていう映画で、最後はもうホルビーさん泣いちゃって泣いちゃって・・・」

ホルビー「や、やめてくれよそういうこと言うの恥ずかしいじゃないか//」

グレイシア「あ、ごめんなさい!(女の人の前でこういうこと言うと恥ずかしかったかな・・・デリカシーない女だって思われた!?)

ガオガエン「そ、そんなに泣ける映画だったのか・・・」

グレイシア「わ、私お水入れてきますね!!」

ガオガエン「私も手伝おう(彼一人にやらせるわけにはいかない!)」

グレイシア「大丈夫ですよ一人で!(気遣いができるアピールで挽回しなくちゃ!!)」

ガオガエン「そ、そうか・・・」シュン

ホルビー「(二人になっちゃった!!)えーと、ガオガエンさんは何か趣味とかは・・・」

ガオガエン「そうだな・・・ボクシングやプロレスなんかは自分でもやってみたりするかな」

ホルビー「凄い!カッコいいです!それであんなに強かったんですね!」

ガオガエン「いやいやそれほどでも・・・それに変な趣味だとも言われるよ」

ホルビー「そ、そんなこと!」

グレイシア「入れてきました〜・・・どうしました?」

ホルビー「ガオガエンさんの趣味がプロレスやボクシングだそうで、全然変じゃないよな!?」

グレイシア「(女の人なのにプロレスやボクシングかぁ)珍しいとは思いますけど、素敵だと思いますよ?」

ガオガエン「す、素敵・・・!?」

グレイシア「ええ」ニッコリ

ガオガエン「そ、そうだろうか・・・//」

 ▼ 204 aSS341n256 18/02/06 21:58:30 ID:64/NF35. [19/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒヤッキー「お待たせしましたぁ。ガッツリステーキ250gです」

ガオガエン「きた!実はお腹すいてたんだ・・・」

グレイシア「凄い!ボリューム満点ですね・・・」

ガオガエン(し、しまった!いつもの感覚でつい・・・沢山食べる女性は引かれるだろうか・・・)

ホルビー「やっぱり格闘技とかされてると、食べる量も多くなるんですね(食べる物も男らしいなぁ・・・)」ウットリ

ガオガエン「ああ、どうしてもな・・・!!」

グレイシア「どうしました?」

ガオガエン「(そう言えば御馳走してもらうという流れだっただろうか!)す、すっかり忘れていたが・・・別にさっきのお礼とかはいいからな!?」

ホルビー「いえいえ!是非御馳走させください!」

ガオガエン「気持ちだけいただいておくよ・・・もう、思いっきり遠慮なく頼んでしまったし・・・」

ホルビー「そんなこと気にしなくていいのに・・・それならデザートとか・・・」

グレイシア(ホルビーさん、義理堅い人だなぁ)

ヤナッキー「とろ〜りオムライスです〜」

ホルビー「あ、俺のだ」

グレイシア「オムライス好きなんですか?」

ホルビー「そうだなぁ、結構好きかな」

グレイシア(練習しよう・・・)

ガオガエン「オムライスと言えば・・・みんな料理とかはされるのか?」

グレイシア「(こ、心を読まれた気分・・・)僕は普段4足だし、少し苦手ですね・・・でもちょっと頑張ってみようかなぁと思ったり」

ガオガエン(苦手なことにも頑張る姿勢・・・とても素晴らしい!)

グレイシア「ホルビーさんは?」

ホルビー「俺は全く。練習しなきゃとは思うんだけど・・・なかなかなぁ」

グレイシア(これは!ちゃんと練習して食べてもらったら一気に落ちてくれたりするかも!?)

ホルビー「ガオガエンさんは?」

ガオガエン「こう見えても結構得意でな!オムライスが実は得意料理なんだ!」

ホルビー(ギャップいい!!食べてみたい・・・どうにかお近づきになれないかな・・・)

グレイシア「オムライス得意なんですか!一回食べてみたいです!」

ガオガエン「!??」

グレイシア「ガオガエンさん?」

ガオガエン(やはり料理の話題を出してよかった・・・折角こんな機会だし、このまま後に残る付き合いにできたらいいのだが・・・)
 ▼ 205 aSS341n256 18/02/06 22:11:46 ID:64/NF35. [20/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
バオッキー「お待たせしやしたぁ。ハニーエッグトースト・・・」

グレイシア「あ、僕のです」

バオッキー「ってガオガエン!偶然だな!」

ガオガエン「バオッキー!!こんなところでバイトしてたのか!」

ホルビー「お知合いですか?」

バオッキー「こいつとはジムが一緒で、って言っても性別違うしたまに顔あわせる程度なんだけど」

グレイシア「そうなんですか・・・」

ガオガエン「お前、仕事に戻らなくていいのか?」

バオッキー「いっけねぇ、じゃ、ごゆっくり〜!」

ホルビー「・・・驚きました、今の人女の人なんですね」

グレイシア「え?」

ガオガエン「ん?」


ガオガエン「アハハハハハ!!私のことを男だと思ってたのか!まあ、このなりで飯も食うし、仕方ないよな!!」

ホルビー「うう・・・ごめんよぉ・・・」

ガオガエン「いいっていいって、気にしてないから。よくあることだし」

ホルビー「もう、死にたい・・・」

グレイシア「でも、強い女性って憧れちゃいます!」

ガオガエン「そ、そうか?」

グレイシア「僕もジムとか通ってみようかなぁ。目指せ、スーパーウーマン!」

ガオガエン「・・・ん?」


ホルビー「アハハハハハ!!!」

グレイシア「何でですかぁ!どっからどう見たって僕は女の子じゃないですか!」

ガオガエン「すまん・・・すまんほんとに・・・」

グレイシア「初めて言われましたよ・・・」

ガオガエン「だって僕って言ってるし・・・」

ホルビー「まあまあ、そんなに怒らなくても」

グレイシア「別にいいんですけど・・・」

ホルビー「まあ、せっかくこういう3人で一緒にご飯も食べたわけだし、同性どうしこれからも仲良くしていこうぜ!」

グレイシア「!?」
 ▼ 206 aSS341n256 18/02/06 22:14:17 ID:64/NF35. [21/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
ガオガエン「そうだな!折角だしな!!連絡先とか交換しとくか?」

ホルビー「いいねぇ!ほら、グレイシアも!」

グレイシア「・・・・・」

ホルビー「グレイシア?」

グレイシア「・・・そうですね!はい、これ、連絡先です!」


ガオガエン「じゃあ、これからよろしくな!」

ホルビー「また会おうぜ〜!!」

グレイシア「うん、また!!」

スタスタスタ

グレイシア「・・・・・ま、いっか!」


『素敵な恋が始まらない』・・・おしまい
 ▼ 207 aSS341n256 18/02/06 23:47:36 ID:64/NF35. [22/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
『頑張れゴロンダパパ!』(ゴロンダ♂×マリルリ♀)

マリル「ううぅぅぅぅ・・・」

ゴロンダ「どうした?そんなものか息子よ!」

マリル「ぐぬぅぅぅぅ!」

ルリリ「パパー!お兄ちゃぁん!!何やってるの?」

ゴロンダ「おう娘よ、これは腕相撲といってな」

マリル「ぐんぬぅぅぅぅう!!!」

ゴロンダ「こうしてお互いひじをついて手を握り、相手の方に腕を倒した方が勝ちというゲームだよ」

マリル「ぐんぬおぉぉぉぉおおおお!!!!!」

ゴロンダ「・・・えい」パタン

マリル「負けたぁぁぁあああ!!もうパパ強すぎ!!」

ゴロンダ「子供にはまだまだ負けんよ」

マリル「もう一回!!」

ゴロンダ「ま、まだやるのか?もうそろそろ諦めたらどうだ?」

マリル「もう一回やるの!!」

マリルリ「あらあら、親子で仲良く腕相撲?」

ゴロンダ「ママ!」

マリル「仲良くなんかないやい!!何回やってもパパに勝てないんだよ!!」

ゴロンダ「フハハ、土木作業で鍛えたパパの力はまだまだこんなものではないぞ?」

マリルリ「そうねぇ、それじゃあママがマリルの敵をとってあげましょう!」

ゴロンダ「えー、ママがかい?」

マリル「よーし!いけぇ!ママ!!やっちまえ!!」

マリルリ「こらこら、そんないけない言葉遣いはダメよ?」

ルリリ「やっちまえー!」

マリルリ「ルリリもマネしないの。じゃあ、お手柔らかにね?」

ゴロンダ「いやぁ、まさかママに負けたりしないよ。パパも男の意地があるからね」

マリルリ「フフフ、じゃあ、マリルに審判をお願いしようかしら」

マリル「本格的だね!・・・準備はいい?」

ゴロンダ「いいぞ!」

マリル「それじゃ、レディ・・・」
 ▼ 208 aSS341n256 18/02/06 23:56:37 ID:64/NF35. [23/23] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゴロンダ(ママはレディだからな。思いっきりやると怪我してしまうかもしれないし、まずはマリル相手より少し力を抜くくらいで・・・)

マリル「GO!!」

ズドォォォォォォォォン!!!



私たちの出会いは、高校時代だった。

喧嘩に明け暮れていた当時の私は、ある日大けがをして校庭で倒れてしまった。

その時に私を保健室まで運んでくれたのが、後の妻となるマリルリだ。

「ありがとう・・・君は・・・」

「あなたの隣のクラスのマリルリよ。よろしくね?」

「俺のことを知っているのか」

「知ってるわよ、毎日喧嘩に明け暮れてるって有名よ?」

彼女は私のことを怖がることもなく、生徒たちから恐れられて一人で過ごしていた私を見つけては、話しかけてくるようになった。

「喧嘩ばかりしていてはだめよ?いつか取り返しのつかないことになるわ」

「分かってはいるのだが・・・」

「まあ、悪い不良を叩きのめす強いあなたは好きだけどね」

「マ、マリルリ・・・」




ゴロンダ「はっ!!」

マリル「あ、起きた」

ルリリ「ママつよ〜い!」

マリルリ「でしょう?私ってこう見えて力持ちなのよ?」

ゴロンダ「ちょ、ちょっと待て!」

マリルリ「どうしたの?パパ?」

ゴロンダ「もう一回!もう一回だけやろう!今のは油断してた!」

ゴロンダ(そうだ、すっかり忘れていた。彼女はちからもちなのだ。私を一人で運べる程度には。しかし、いくら力を抜いていたとはいえ、この私が気を失い、走馬燈を見るほどとは・・・)

マリルリ「いいわよ、それじゃあ準備なさい?でも今度は本気よ?」

ゴロンダ「おう!」

ゴロンダ(子供たちの手前、今度は負けるわけにはいかない・・・!)

マリル「それじゃあ二人とも準備して!」

ルリリ「じゅんびして〜!」
 ▼ 209 ォッシュロトム@イーブイZ 18/02/07 00:03:27 ID:EJUL3AS6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
しえんね
 ▼ 210 aSS341n256 18/02/07 00:03:57 ID:DO4lmTeU [1/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
マリル「それじゃあ、レディ・・・」

ゴロンダ(今度は油断なし、最初から本気の全力だ!)

マリル「GO!」

ゴロンダ「ふぉぉぉお!!」

マリルリ「む!!」

マリル「凄い!互角だ!!」

ルリリ「がんばえー!!」

ゴロンダ(互角・・・いや、違う・・・私の方が少し押されている・・・)

ゴロンダ「ふんぬぅぅぅぅぅううう!!!」

マリル「パパの気合いが凄い!!」

ジリジリジリ

マリル「でもママの方が押している!!」

ゴロンダ「うおぉぉぉぉおおおお!!」

マリルリ「むむむ」

ゴロンダ「ぐんぬおぉぉぉぉおおお!!!!!」

マリルリ「むむむむ」

ゴロンダ「ぐふんぬぼぉぉぉおおおお!!!!!」

マリル「パパうるさい」

ゴロンダ「おおおぉぉぉぉおおおおお!!」



「俺と、付き合ってくれ!!」

「・・・・・はい!」

高校を卒業すると同時に俺と彼女の交際が始まった。

彼女はとてもいい人で、よく俺のことをたてる人だった。

少しわがままで血の気の多い俺のことをうまく扱いながら、

大きな喧嘩をすることもなかった。

そんな彼女が怒ったのは、あの時ぐらいのものだろう・・・


「どういうことなの!?別れようなんて!!」


 ▼ 211 aSS341n256 18/02/07 00:13:53 ID:DO4lmTeU [2/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「見てのとおり、俺の体はこのざまだ。いつ仕事に戻れるかもわからない」

建築作業の仕事に就いていた俺は、仕事中ミスを犯し大きな怪我をした。

幸い命はとりとめたが手術も行わなければならないし、後遺症が残るかもしれない。

俺は、彼女のために別れることを選んだ。

「バカみたい!私のことを思って別れようなんて言うの!?」

「そ、そうだ・・・」

「ふざけないでよ!!私の夢は、あの時あなたと恋に落ちたその瞬間から・・・」

泣いて、泣いて、泣いて、そして大声で言った。

「あなたのお嫁さんになることだけなのよ・・・!」



マリル「パパ!?パパ腕相撲しながら気失ってない!?」

ルリリ「パパー!」ペチペチ

ゴロンダ「はっ!私は何をうおぉぉぉぉおおおおおおお!!!」

マリルリ「惜しい、あともうちょっとだったのに〜」

マリル「気が付いた瞬間力が緩んだけどギリギリで持ちこたえた!やっぱりパパは凄いや!」

ゴロンダ(しまった・・・力を入れすぎるあまり、腕相撲中に気を失い走馬燈を見てしまうとは・・・)

ゴロンダ「しかし、パパの威厳にかけて、この勝負負けるわけにはいかない!!!」

マリルリ(・・・・・フフッ)

マリル「パパが押し返してる!」

ゴロンダ「ふんぬおぉぉぉぉぉおおおお!!!」

マリル「でもうるさい」

パタンッ

マリルリ「あらら、負けちゃったわ」

ゴロンダ「ゼー・・・ゼー・・・私の勝ちだ・・・」

マリル「やっぱりパパは凄いや!なんかママより疲れてるけど!!」

ルリリ「パパすごーい!!」

ゴロンダ「そうだろうそうだろう!!」

マリルリ「・・・もう、パパったら」

ゴロンダ「ハハハ、パパは偉大なのだよ!!」

マリルリ「子供みたいなはしゃぎようね〜」
 ▼ 212 aSS341n256 18/02/07 00:23:14 ID:DO4lmTeU [3/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
マリル「スー・・・スー・・・」

ルリリ「ムニャムニャ・・・やったえー・・・」

ゴロンダ「二人ともグッスリだな」

マリルリ「ねぇあなた」

ゴロンダ「どうした?ママ」

マリルリ「子供たちはもう寝ちゃったし・・・」

ゴロンダ「ああ」

マリルリ「もう一回だけ腕相撲してくれない?」



ゴロンダ「フオォォォォオオオ!フオォォォォオオオオ!」

ルリリ「キャハハハハハ!!!!!」

マリル「ねぇママ、パパはルリリを背中に乗せて何やってるの?」

マリルリ「腕立て伏せね」

マリル「それは分かるんだけどさ。急になんで?」

マリルリ「マリルにまだまだ腕相撲で負けないために特訓してるのよ」

マリル「えー!ずるい!パパが特訓したら僕もっと勝てないじゃん!」

マリルリ「マリルも一緒に特訓する?」

マリル「する!」

ゴロンダ「フンヌオォォォオオオオ!!!」

マリル「ヌオォォォオオオ!」

ゴロンダ「グフンヌオォォォォオオオオオオ!!!」

マリルリ「全く、本当に子どもっぽいんだから・・・」


それでも、子供の前ではパパを立ててくれるママのことが、

パパはとっても、大好きですbyゴロンダ


『頑張れゴロンダパパ!』・・・おしまい
 ▼ 213 ナトーン@アイスメモリ 18/02/07 00:28:22 ID:EJUL3AS6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
グレイシア♂
ダース♀で
 ▼ 214 ローン@ラティアスナイト 18/02/07 00:33:32 ID:1G9DCaA6 NGネーム登録 NGID登録 報告
素敵なお話しですね 全部面白く読ませてもらっています
書いて頂けるらしいので ネタをいくつか

『ノゾマヌシンカ』サーナイト♂×カポエラー♀ & アゲハント♂×ミノマダム♀ゴミの蓑

『シンカノゾンデ』ピカチュウ♂(Z)×イーブイ♀(Z) & サマヨール♂×ラッキー♀

キレイハナ♂ → ラランテス♀
   ↑       ↓        『こもれびのあたたかみ』
ドレディア♀ ← チェリム♂
 ▼ 215 aSS341n256 18/02/07 00:56:27 ID:DO4lmTeU [4/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
【目次・2】

※以前のものは>>99 こちらから

コイキング♂×ヨワシ♀ 『海の魔物』 >>103

フライゴン♂×クチート♀ 『デザートは甘くないくらいが丁度いい』 >>110

ドーブル♂・メタモン・ミュウ 『気になる彼は絵が上手』 >>119

エモンガ♂×ビリジオン 『性別不明の罠』 >>126

ボルケニオン×マギアナ 『僕らは声を届けよう』 >>135

ギャラドス♂×ミロカロス♀ 『消せない過去に囚われて』 >>143

ニンフィア♂×ホルビー♀ 『花火』 >>153

デデンネ♂×ピカチュウ♀ 『手紙』 >>156

ピカチュウ♂・イーブイ♀・サンダース♂ 『季節外れの花』 >>166

ゼクロム×レシラム 『黒と白のラブチェイス』 >>169

ルカリオ♂×ミュウツー 『舞台裏の心事情』 >>182

イーブイ♂×ニンフィア♀ 『スウィートミルク・チョコレート』 >>189

ニャビー♂・モクロー♀・ピカチュウ♀ 『瞳に僕は映らない』 >>195

グレイシア♀・ホルビー♀・ガオガエン♀ 『素敵な恋が始まらない』 >>201

ゴロンダ♂×マリルリ♀ 『頑張れゴロンダパパ!』 >>207
 ▼ 216 ーシャン@おとどけもの 18/02/07 00:58:10 ID:qpJOSEEY NGネーム登録 NGID登録 m 報告
リクエストが結構きてるけど大丈夫なんだろうか、無理はしないでほしい
 ▼ 217 aSS341n256 18/02/07 14:02:45 ID:DO4lmTeU [5/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
『ビターカカオ・チョコレート』(ブラッキー♂×ブースター♀)

ブラッキー「・・・う〜ん・・・」

ブースター「起きた?おはよ、ブラッキー」

ブラッキー「・・・ん、ブースターか」

ブースター「随分眠ってたみたいだね。また授業サボってたの?」

ブラッキー「昼は元気でねーんだよ。別にお前に関係ねーだろ」

ブースター「関係あるでしょ。テスト前になると僕のところに泣きついてくるんだから」

ブラッキー「授業なんて真面目に聞いてるやつそういねぇだろ。出ても出なくても変わんねーよ」

ブースター「もう・・・」

ブラッキー「それに、今日は特に教室にいたくないんだよ」

ブースター「なんで?」

ブラッキー「なんつーか、空気が生ぬるくてな・・・」

ブースター「バレンタインデーだから?」

ブラッキー「たく、どいつもこいつも浮かれやがって、気持ちわりぃ」

ブースター「ふぅん・・・」

ブラッキー「・・・なんだよ、なんか機嫌悪そうだな」

ブースター「べっつに〜?」

ブラッキー「あれか、お前も浮かれて誰かにチョコレートでも作ってきたって口か?」

ブースター「そうだよ〜、僕だって恋する乙女だもん」

ブラッキー「そうかい。そいつは悪かったな」

ブースター「誰に作ったのか気になる?」

ブラッキー「興味ねぇよ」

ブースター「ヒントあげよっか!」

ブラッキー「興味ねぇって。うるせぇ」

ブースター「もう、冷たいな・・・ねぇ」

ブラッキー「・・・なんだ」

ブースター「これ」

ブラッキー「・・・どうした」

ブースター「食べてくれない?」

ブラッキー「俺がか?」
 ▼ 218 aSS341n256 18/02/07 14:16:32 ID:DO4lmTeU [6/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
ブースター「うん」

ブラッキー「・・・お前」

ブースター「食べたら感想聞かせてね!自分でも食べたんだけど、客観的な意見が欲しくて」

ブラッキー「・・・お前なんか、味見役頼まれてるみたいだな」

ブースター「味見役頼んでるんだけど」

ブラッキー「味見役かよ」

ブースター「ん、どうかした?」

ブラッキー「なんでもねぇよ!」

ブースター「どうしたの急に怒って。もしかして、甘いの嫌い?」

ブラッキー「そうだよ、俺は甘いのは苦手だ」

ブースター「でも残念、今年のチョコレートは男の子にも美味しく食べてもらえるように苦めに作ったの!」

ブラッキー「・・・・・」

ブースター「僕の自信作だよ!さ、食べてみて」

ブラッキー「しゃーねぇな・・・」

ブースター「・・・どう?」

ブラッキー「・・・にげぇ」

ブースター「あれ、苦すぎた?」

ブラッキー「そうだな、苦すぎる。こりゃあ食べられたもんじゃねぇな」

ブースター「そこまで言う?」

ブラッキー「ああ、こんなもんあげたら嫌われちまうんじゃねぇか?」

ブースター「むぅ・・・意地悪だなぁ」

ブラッキー「・・・で、どうすんだ?」

ブースター「どうするって?」

ブラッキー「それ、あげんのかよ」

ブースター「あげるって?」

ブラッキー「好きな奴に渡すために俺に味見させたんじゃねーのかよ」

ブースター「そうだけど・・・まあ、そうだなぁ、やっぱり味よりも気持ちだと思うしなぁ」

ブラッキー「やめとけって」

ブースター「心配してくれてるの?」

ブラッキー「興味ねぇよ」
 ▼ 219 aSS341n256 18/02/07 14:27:13 ID:DO4lmTeU [7/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハブースター「そう?」パク

ブラッキー「・・・で、自分で食うのかよ」

ブースター「・・・ねぇ、これほんとにそんなに苦い?」

ブラッキー「苦いって言ってるだろ」

ブースター「ブラッキーが食べてくれないからさ」

ブラッキー「ああ」

ブースター「さっきの、苦く作ったっていうの、嘘だったんだけど」

ブラッキー「・・・・・」

ブースター「ブラッキー?」

ブラッキー「・・・・・」

ブースター「ちゃんと僕の目を見て言ってよ。ほんとにそんなに苦かった?」

ブラッキー「・・・お前の舌がおかしいんだろ」

ブースター「どうして目を逸らすのさ」

ブラッキー「逸らしてねぇ」

ブースター「逸らしてる」

ブラッキー「逸らしてねぇ!」

ブースター「なんの嘘なの〜?」

キーンコーンカーンコーン

ブラッキー「・・・授業始まるぞ。早く行け」

ブースター「ブラッキーは?」

ブラッキー「俺はサボる」

ブースター「もう・・・」

ブラッキー「・・・・・」

ブースター「・・・・・」

ブラッキー「・・・早く行けよ」

ブースター「僕もサボっちゃおっかなー」

ブラッキー「なんでだよ、早く行けよ」

ブースター「残念〜もうシャワーズに連絡しちゃいました〜」

ブラッキー「だからなんだよ。行けよ!」

ブースター「僕ちょっと熱っぽくて。風邪じゃないんだけどね」
 ▼ 220 aSS341n256 18/02/07 14:39:03 ID:DO4lmTeU [8/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
ブラッキー「嘘つけよ元気そうじゃねぇか」

ブースター「ほんとだって。体温700度くらいあるし」

ブラッキー「・・・平熱じゃねーか。お前の平熱だろそれ」

ブースター「えへへ」

ブラッキー「ったく」

ブースター「・・・・・」パクッ

ブラッキー「・・・めっちゃ食うな」

ブースター「われながら美味しいんだもん」

ブラッキー「そうかよ」

ブースター「えい!」ポンッ

ブラッキー「!?」

ブースター「ねえブラッキー、美味しいでしょ?」

ブラッキー「急に何すん・・・だからにげぇって」

ブースター「ちゃんと僕の目を見て言って」

ブラッキー「・・・・・」

ブースター「あはは!悪ぶってるくせに、嘘つくの下手だなぁ」

ブラッキー「・・・嘘ついてねぇよ」

ブースター「つぶらな瞳にやられちゃった?なーんて」

ブラッキー「冗談言え」

ブースター「一言美味しいって言ってくれたら報われるのになぁ」

ブラッキー「知るかよ」

ブースター「この前の休日に一日かけて頑張って作ったんだよ?」

ブラッキー「かけすぎだろ」

ブースター「こだわって作ったからね」

ブラッキー「そうかよ」

ブースター「・・・やっぱり教室に戻ろうかな」

ブラッキー「・・・勝手にしろ」

ブースター「今残念そうな顔したでしょ」

ブラッキー「してねぇよ」

ブースター「変なの、授業出ろとか言ったり出るなとか言ったり」
 ▼ 221 aSS341n256 18/02/07 14:46:55 ID:DO4lmTeU [9/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
ブラッキー「出るななんて言ってねぇ」

ブースター「これ、置いてくね。全部食べちゃっていいから」

ブラッキー「いらねーよ」

ブースター「食べてよ、折角だし」

ブラッキー「嫌だっつってんだろ」

ブースター「嫌いじゃないでしょ?チョコレート」

ブラッキー「嫌いだっつってんだろ。ってか」

ブースター「なに?」

ブラッキー「他の野郎に作ったチョコわざわざ食べたくねーっつってんだよ」

ブースター「ふぅん・・・嫉妬?」

ブラッキー「ちげぇよ!残飯処理みたいでいやだっつってんだよ」

ブースター「君も大概面倒だなぁ」

ブラッキー「お前に言われたかねぇ」

ブースター「でも、そういうことなら、やっぱり食べてよ」

ブラッキー「は?」

ブースター「僕が君のことだけを思って作ったんだから、やっぱり君に全部食べてほしいって思うんだ」

ブラッキー「・・・お前、今」

ブースター「あー、なんか熱くなってきた!僕行くね!!じゃあね♪」

ブラッキー「おい、ちょ、待てよ・・・美味かった!」

ブースター「・・・フフッ、ありがと!」タタタッ


ブラッキー「・・・・・」パクッ

ブラッキー「・・・あめぇ・・・けど、やっぱにげーな」パクッ



『ビターカカオ・チョコレート』・・・おしまい
 ▼ 222 aSS341n256 18/02/07 16:13:03 ID:DO4lmTeU [10/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
『パレードは続く』

「それじゃあ、シンオウ公演の成功を祝して、カンパーイ!!」

「カンパーイ!!」

カロス発、世界を股にかけるサーカス団、シルク・ド・ミアレ。

私ミジュマルは初めてそのメンバーの一員として、公演に同行した。

派手な格好と裏腹に、目立たないその他大勢といった役回りではあったけど、夢の舞台に立てて私は幸せだった。

「しかし、こんな俺たちの国とはるか離れた場所でもこんなにたくさんの人たちが来てくれるなんてな〜、嬉しいぜ!」

「中でもやっぱり座長の人気は凄かったね!!」

「以前こっちのメディアに出させてもらったことがあったから」

「さすが、シルク・ド・ミアレの顔!」

ゼニガメとチコリータが座長のことを盛り立てる。

彼らの言う通り座長・ピカチュウは世界的に有名なエンターティナーで、若くしてこのサーカスを取り仕切る私たちのリーダー的存在だった。

「なんか、遠くなっちゃったな・・・」

手を伸ばせば触れられる距離に彼はいる。

それでも、その手を伸ばすことさえ憚られるような、陽の当たるところへ彼は行ってしまった。


「カ、カントーから来ました!ピカチュウです!よろしくお願いします!!」

第一印象は、夢を追って田舎から登ってきた右も左も知らない若者。

オーディションの場で、緊張している様子の彼を見て、周りの人々は笑っていたのを覚えている。

私はイッシュの大都会、ヒウン出身ではあったけど、夢を追って異国の地に飛び出したという境遇は彼と一緒で、

「そっか!君も他の地方から来たんだね!」

「うん、ミジュマルっていうの!よろしくね!」

私たちはそこで意気投合し、友達になった。


「あの子凄い!!」

「歌も踊りも上手ね・・・」

「先生、彼女は・・・」

「ああ、そうだな・・・」

小さいころからこの世界一のサーカス団に入ることを夢としていた私は、イッシュにいる間も人一倍の練習を続けてきた。

「水タイプの特徴を華麗に活かしたパフォーマンス、見事だよ」

私が独力で確立した水とホタチを巧みに操るパフォーマンスは、オーディションでも確かに通用した手応えがあった。
 ▼ 223 aSS341n256 18/02/07 16:32:55 ID:DO4lmTeU [11/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「彼も、彼女も、誰も私には敵わないわ。ポケモンサーカスに出るのに誰にでも出来るようなパフォーマンスをしてたんじゃダメよ」

他の参加者のパフォーマンスを見ても、私は誰かに劣っているとは思わなかった。

憧れた大サーカスも、オーディションともなると話は別。名前に釣られてやってきたミーハー気質の人たちは、イッシュから海を渡ってくるほどの私の情熱には敵いやしない。

「き・・・君・・・!」

「えっ!?」

だからこそ彼のパフォーマンスを見た時、私はあっけにとられた。

電撃を使って光り輝き、しっぽを用いて縦横無尽に跳ねまわり、

ダンスや歌といった基本も完璧にこなして見せた彼は・・・

「天才だ・・・このオーディションで君ほどの天才を、私は見たことないよ!!」

「ほんとですか!?それじゃあ・・・」

「結果の方は、まだ決まってない以上言えないが、恐らく入団は間違いないだろう」

「やった!!」

天才、と称した審査員に心の底から同意した。


「テレビで、たまたま見たんだ。このシルク・ド・ミアレのサーカスを」

「うん・・・」

「カントーの人たちの心には響かなかったみたいだけど、僕はそれに夢中になって・・・それでこのサーカスの一員になることを夢見るようになった」

サーカス文化の根付かないカントーで、彼は一人サーカスの芸の練習に明け暮れた。

周りの人たちからは笑われ、家族からは夢を諦めるよう諭され、それでも単身カロスに乗り込んだという。

「みんな悔しがってたよ。君が、あんなに素敵なパフォーマンスをするものだから・・・」

「田舎者だって笑ってたもんね。君くらいだったよ、僕にこうして話しかけてくれるのは」

オーディションに突破すれば、大抵は研究生から始まる。

言ってしまえば二軍みたいなもので、その間は日々練習に明け暮れ日の目を見ることも叶わない。

それでも、オーディションは狭き門で・・・

「一緒に入れたらいいね、周りがカロスの人ばっかりだと心細いし」

「そうだね・・・でも、もし私がだめでも、ピカチュウ君のこと応援してるよ!そうだ、今のうちにサインもらっとこうかな〜」

「なにそれ!じゃあ、お互いにサインしとく?」

「私も書くの?」

「僕だって、ある程度芸の良し悪しは分かるよ。オーディションに出てたメンバーの中で、君が一番だった」

彼の発案で私たちは、二人そろってオーディションを突破して一緒の舞台で活躍できるようにとの願いを込めて、お互いのサインを交換した。
 ▼ 224 aSS341n256 18/02/07 16:48:27 ID:DO4lmTeU [12/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はい・・・合格!?本当ですか!!」

後日、私にオーディションの合格通知が来た。

オーディションに参加したメンバーの中で合格したのは私を含めて3人だけとのことで、

私は天にも昇る気持ちで、ピカチュウにも連絡した。

まさか彼が落ちているなんて少しも考えなかった私はなんの遠慮もなく電話をかけ、

「ピカチュウ!私合格したよ!これから同じサーカス団の仲間だよ!!」

なんて興奮気味で喜びの声を伝えると、

「そっか!おめでとう、ミジュマル!嬉しいよ!!」

彼も明るい声で返してくれる。

「改めて、よろしくね、ピカチュウ!!一緒に頑張ろう!」

だが、続けて言葉をかけた私に対し、ピカチュウは、

「一緒・・・えっとね、ミジュマル」

少しだけ言葉が曇り、遠慮がちにこう言った。

「僕、春からもう正式な団員として舞台に立たせてもらえることになって・・・」


凄いじゃん!流石!私もすぐに追いつくから待っててね!!

私、応援してるからね!!

それからの言葉は全て、私の心からの言葉だって自信を持って言えなかった。

世界でも人気の高いピカチュウという種族に、優れた運動神経と電気という自らの強みを活かした格の違うパフォーマンス。

あんなものを見せられて、彼は私とは次元が違うということをしっかり理解していたつもりだったのに。

「友達になれると思ってたのになぁ・・・」

団でも前例の少ないというオーディションからのいきなりの正式な団員化。

彼がスターになるのにそう時間はかからないだろう。

なんか、寂しいな・・・


「やぁ、ミジュマル!元気してる?」

「ま、また来たの?」

いざ、研究生としての生活が始まってみると、彼は練習の間をぬって私に会いに来た。

「正式な団員様が研究生寮に何の用?嫌味でも言いに来たの?」

「そんな冷たいこと言わないでよ・・・みんなサーカスでバリバリ活躍してる人たちで、居づらいんだよ」

そう言ってにこやかに笑う彼が会いに来ることを、私は冷たい態度をとったりしながらもいつも楽しみにしていた。
 ▼ 225 トマル@しゅんぱつのハネ 18/02/07 16:56:53 ID:Fs7AW.MQ [1/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 226 aSS341n256 18/02/07 17:14:01 ID:DO4lmTeU [13/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
持ち前の明るさと愛嬌の良さで、彼はすぐに団に打ち解けていった。

本当に最初の方は、仲間の嫉妬の矛先に晒されることもあったらしく、私も心配していたけど、

彼が入って1年経つ頃にはムードメーカーとしてみんなから愛される存在になっていた。

そんな彼がいる元に私も早くたどり着きたくて。

でも研究生としての生活は過酷で、厳しい練習に私の唯一の同期生は早々に団を去ってしまった。

メンバーの入れ替えで舞台に出られなくなったような先輩達はピカチュウのことを逆恨みしている様子で、悪い空気を醸し出していた。

2年、3年と経って、ピカチュウも忙しくなって私の元に会いに来ることもほとんどなくなっていった。会えない時の連絡の数も減っていって・・・

付き合ってるわけでもないからそれも当たり前なのに、なんだか無性に寂しくなってなんだか気持ちは滅入るばかり。

テレビで彼の姿を見た時は、さらに切なく私がいて。

なんか楽しくないな、こんなとこで燻ってるくらいなら、夢なんて捨てちゃってもいいのかな・・・なんて考えたり。

「久しぶり、ミジュマル」

「ピ、ピカチュウ!どうしたの!?」

そんな一番しんどい時期に、そんな彼は私の部屋にやってきた。

「僕たちがオーディションを受けた時に君のことを買っていた先生が、出世してね。なんていうか、発言力が強くなって・・・」

「へ、へぇ・・・」

「次の体制の団員の候補に、君のことを挙げているみたい」

「ほんと!?」

それからの私は、より一層練習に力を入れて、

「初めてみた時から、更によく成長したね。しっかり練習を続けてきたみたいじゃないか」

「あ、ありがとうございます!」

その先生が実際に私たちの練習現場を見に来て下さったときも、私は好感触を得た。

そして、遂に・・・

「おめでとう!ミジュマル!!」

「ありがとう・・・ピカチュウ!」

私は正式な団員に選ばれた。

「・・・あなたも、頑張ってね。新米座長さん!」

「うん・・・えへへ、なんか照れるな」

彼が座長の座に就いたのは、それと同時だった。

代々、メンバーの中でも若手に相当する団員を中心に据える体制を取るこのサーカス団の歴史においても、

彼が座長の座に就いたのは、歴代で最年少だった。
 ▼ 227 aSS341n256 18/02/07 17:29:42 ID:DO4lmTeU [14/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「それじゃあ、明日からも頑張っていきましょう!」

「おーう!!」

彼の音頭で二次会が終わり、メンバーは各々解散する。

メンバーが各々帰路に就き、私もホテルに帰ろうとする。

明日にはカロスに出発する、荷物の整理をしなければ。

「ミージューマール!」

「・・・ピカチュウ?」

そんな私のことを呼び止めたのはすっかり赤くなった新米の座長さんで、

「もう一軒、どう?」

「嘘でしょ?すっかりできあがってるじゃん」

「まあまあ、御馳走させてよ。ミジュマルの初公演終了祝いってことで」

私は誘われるがままに彼と二人でレストランに入っていった。


「もう、上がってくるの遅すぎだよ・・・」

「わ、悪かったわね」

「上がってきたと思ったら、なんか前にもまして余所余所しいしさー」

「そ、それはだって・・・」

入るや否や彼は急に私に文句の雨あられ。

私だってもっと早く同じ舞台に上がりたかったし、若手の平団員では座長とそう馴れ馴れしくもできない。

「勝手に置いて行ったのはピカチュウの方じゃん・・・」

「ごめんごめん」

文句なら私の方が言いたいことはたくさんのはずだ。

「でも、本当にうれしいよ。このシンオウの公演を一緒に回れてよかった」

赤い顔をしながらも、真剣な様子で彼はそんなことを言う。

私が研究生だったころから、彼は私にこうしてしょっちゅう思わせぶりな態度をとってきて、

私は彼に振り回されるばかりなのが気に食わなかった。

「誰かが上がってくるたびにそんなこと言ってるんじゃないの?」

「そんなことないよ」

私が冷たい態度をとると、決まって彼は笑ってそれを流す。

私が押しても引いても彼は彼の態度を崩さなかった。
 ▼ 228 aSS341n256 18/02/07 18:11:21 ID:DO4lmTeU [15/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そうだ、ミジュマル。これ、覚えてる?」

それから、たわいもない話をしながら食事をしていると、彼は一枚の色紙を取り出した。

「サイン・・・そう言えばしたっけ」

お互いに願掛けして交換したサイン。

彼には内緒だけど、実は研究生になってからの私の宝物。

彼との約束が、苦しい時も私の支えになっていたのだ。

「まさか売ったりしてないよね?」

「してないわよ!!」

「よかった。これね、ミジュマル」

軽口を飛ばした後、彼は照れ臭そうに私に言った。

「僕の宝物だったんだよ」

「!?」

思わず私は顔を真っ赤にして、驚きのあまり声も出ない。

「言わばお守りみたいなものでね、どんな場所に行くときも持っていってた」

「なにそれ、ちょっと気持ち悪い」

今もホテルの部屋に彼のサインがあることを思うと、私は人のことを言えない。

私より先に、広い世界で活躍していた彼も、私と同じ気持ちでいたのかな、そんなことを思うと、なんだか恥ずかしくってたまらなくて。

「でも、これからはどんな公演も一緒だし、もう持ち運ぶ必要はないか」

「・・・一人で他の地方のメディアに出たりもするんじゃない?」

私も随分酔いが回っているのか、何故か彼のその言葉を悲しく思い、食い下がると、

「じゃあ、一緒に来てよ」

「え?」

「結婚しよう」

「へ?」



「ええええええええええええええええ!?」
 ▼ 229 aSS341n256 18/02/07 18:26:16 ID:DO4lmTeU [16/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「うわ、どうしたんすか座長その手形!!」

「いやぁ、ちょっとね・・・」

酔った勢いでの彼のプロポーズを私は受け入れられるはずもなく、

その場は勢いでビンタして帰ってきてしまったのを覚えている。

それからなんだかピカチュウと目を合わせられなくて、一人気まずい感じでどうしたものかと考えていると、

「・・・昨日はごめんよ、まだ怒ってる?」

周りの目を盗んで彼が私に謝りに来て。

「当たり前でしょ、付き合ってもないのに、あんなの」

何だかヘラヘラしてる様子の彼と目を合わさず、素っ気無い態度をとる私。

私だって、彼と同じ舞台に立ちたくて、いつしかその一心で練習を続けて、彼のことを思い続けて・・・

きっと、交際の申し込みだったならOKを出していたんだろうな、なんて思いながら。

「じゃあ、付き合ってって言ったら、OKをくれる?」

「誰が」

今更そんなこと言われても、私は素直に受け入れられるはずもなく。

「カロスに上がってきたときのあんたって、そんなにチャラついてなかったわよ?」

「かぶれちゃったかな」

「前の方が好きだった」

「手厳しいな・・・」

耳をひくつかせて、しっぽをゆらゆら揺らし、少し困った様子を見せる彼。

私が自分の気持ちに素直になって、彼と結ばれるのはもう少し先の話になりそうだ。


『パレードは続く』・・・おしまい

(タイトルの方に登場キャラの記載が抜け落ちていました。申し訳ございません)
『パレードは続く』(ピカチュウ♂×ミジュマル♀)
 ▼ 230 aSS341n256 18/02/07 21:21:37 ID:DO4lmTeU [17/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
『黄昏』(ガオガエン♂×アシレーヌ♀)

出会ったのは、確か夕暮れ時の浜辺。

季節は冬に近づいていただろうか。

ロードワークに勤しんでいた時分、美しい歌声が聴こえてきて、

そちらに視線を向けると、美しくも儚げな様子で歌うアシレーヌがそこにいて。

「・・・私に何か用?」

「あっ、いや・・・」

「さっきからジロジロ見てくるから・・・知り合い・・・じゃ、ないわよね?」

つい見惚れ、聞き惚れてしまっていた俺は彼女と目を合わせてしまい、怪訝そうな顔つきに代わる彼女を前にしどろもどろ。

「あまりに綺麗なものだったから、つい・・・」

苦し紛れに軟派な男の言うような言葉を投げかけると、

「へぇ、何がきれいだって?」

「姿も、声も」

「・・・そう。ま、いいわ」

彼女はふわりと笑い、俺への警戒心を解いたように、また歌を歌い始めて。

ここにいることを許可されたと捉えた俺は、そこに腰掛けて彼女の歌に耳を傾けた。


「私の歌は気に入っていただけたかしら」

「ああ。とてもきれいだよ」

「ふふ、お上手ね」

彼女が歌い終わるまで俺がそこに腰かけていると、彼女の方から俺に話しかけてきた。

心のままに彼女をほめると、無邪気に喜ぶアシレーヌ。

「俺は毎日この辺りでロードワークに勤しんでいるが、アンタのことは見たことなかったな。よそ者か?」

俺は彼女を見た時から気になっていたことをそのまま伝える。

「ええ、そうよ。放浪してるの」

「放浪?」

「私ね、歌を歌うのが得意で、誰かに私の歌を聞いて喜んでもらうのが好きなの」

アシレーヌとは歌姫とも称される種族だと聞いたことがある。

本人も歌うことが好きだと言うのであれば、

通りで聞いていて心が洗われるような気分になるわけだ。
 ▼ 231 オキシス@あいいろのたま 18/02/07 21:26:51 ID:WLz0wn2A NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>216
これ

シエンネ
 ▼ 232 aSS341n256 18/02/07 21:39:40 ID:DO4lmTeU [18/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「だからね、あなたに褒めてもらえてうれしかった」

「そうか」

「お世辞だとしてもね」

「お世辞なんかじゃないさ」

悪戯っぽく言う彼女に俺はきっぱりと否定する。

綺麗な笑顔、柔らかい雰囲気、透き通るような声。

だが、美しい彼女にもどこか陰のようなものが見えて・・・

「明日には、また別のどこかへ行くのか?」

「それがね、ちょっと体を悪くしちゃって。しばらくはこの付近で休憩ね」

ばつが悪そうな顔をして俺の質問に答えた彼女の顔を見て、どこか感じていた違和感の原因はそれだ、と合点がいった。

「身体を悪くしたって・・・大丈夫なのか?」

「遠くまでは泳げないぐらいのもよ。こうして歌も歌えるし、歩いて木の実を取ることもできるし。そうね、唯一の不満というと、この近くには友達がいないことだけど・・・」

悪くしたと言っても重症ではないようで、少し安心する。

今までの様に泳げないとなると窮屈な生活になるだろう、気持ちが曇るのも仕方がない。

「あまたが毎日会いに来てくれたら、孤独も癒せるのだけれどね」

またそう言って悪戯っぽく笑う彼女に、

「分かったよ。どうせこの辺りはいつも走っているからな」

俺はここに通うことを約束した。


「あら、ガオガエン。本当に来てくれたのね」

「言ったろ、ここはロードワークのコースなんだ」

「それを邪魔しちゃ悪いかしら」

「ああ、終わらせるまで少し待っててくれ」

砂浜を走るのは存外体力を使う。

人間のボクサーがこういった地形を走って鍛えているのをまねて始めた行為だったが、

人型に近い俺にもしっかりとその効力は発揮された。

そんな俺の様子を見ながらアシレーヌは歌を歌う。

味気ないただ走るだけの時間に、気の利いたBGMが流れる。

「こいつははかどっていいな」

気分が乗った俺は少し走る量を増やすことにした。
 ▼ 233 aSS341n256 18/02/07 22:28:21 ID:DO4lmTeU [19/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「随分長い間走るのね」

「ああ」

身体を鍛えるのに走り込みはもってこいだ。

技の特訓や筋力アップのトレーニングも大事だが、何よりも基盤となるのが、如何に足腰を鍛えているかということ。

「・・・まあ、あなたのような足腰を私は持ってないから、わからないのだけれど」

熱く語ったところ、アシレーヌには一蹴されてしまったが。

「でも、そんなに熱心に鍛えて、あなたは普段何をしているの?」

「何を?」

「例えば・・・夢とか目標とかがあったり」

「夢・・・ねぇ、そんなことに興味があるのか?」

「私たち、友達になるのでしょう?お互いのことを何も知らないのは変よ」

友達、という響きに少し心が温かくなる。

誰も自分のことを知らない土地で、自分だけが彼女の友達。

特別な存在になったようで、少し照れ臭い。

「俺みたいな野郎の夢なんて相場は一つに決まっているさ」

「へぇ、何?」

「最強のポケモンだ。ただ強くなることだよ」

気をよくした俺は俺自身のことを彼女に色々と話してやった。


「へぇ・・・そんな催し物があるのですか!」

「ええ、それでね?綺麗な服を着てスポットライトを浴びて・・・あら、ガオガエン。ごきげんよう!」

「・・・いや友達いるのかよ」

俺が彼女と出会って3日目で既に彼女は俺なしで孤独を癒していた。

「タマンタ、ケイコウオ、それにヨワシ!みんな私に仲良くしてくれるわ。ここはとてもいいところね!」

「そりゃあ良かった」

初対面の俺とも割と簡単に打ち解けたあたりからも察せられたが、彼女は接してみると人懐っこく明るい性格だ。

そりゃ友達だって簡単にできるか。

「みんなの前で歌うとコンサートみたいで・・・なんか、拗ねてる?」

「別に・・・」

照れ臭くなった自分が恥ずかしくなって、彼女に言わせるとその日の俺は少し不機嫌だったそうだ。
 ▼ 234 ォーグル@ノーマルZ 18/02/07 22:31:40 ID:Fs7AW.MQ [2/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
うおお、ガオガエン♂×アシレーヌ♀ありがとうございます
支援支援
 ▼ 235 aSS341n256 18/02/07 22:49:22 ID:DO4lmTeU [20/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
それからも俺は、毎日のように彼女の元に会いに行った。

別に俺が会いに行かなくとも彼女は既に孤独ではなかったが、

元よりここは俺のロードワークのコースであったし、それに俺が少し嫌味っぽくここへ来ることをやめようかなんて話すと、

「そんなこと言わないでよ。あなたが来てくれないと寂しいわ?」

なんて彼女が上目遣いで言うので、結局はここへ通うのをやめられないのだった。


「あんたがここに来てからもう一月くらい経つな」

「もうそんなになるかしら」

「身体はまだよくならないのか?」

「どうして・・・?」

俺は彼女がここに来た経緯を思い出す。

放浪中に体を壊し、それを癒すためにここに滞在しているということ。

それが治れば、いずれ彼女はまた・・・

「もしかして、私にここを発ってほしくないの?」

首をかしげながらそんなことを言う彼女は夕日に重なって美しく輝いて、

「・・・そうだな。ずっとここにいてくれたら嬉しいのに」

俺は正直に答えを返した。

ともすれば、告白のようなその文言にもしっかりと気づいたうえで、

きっと彼女への恋を自覚したのは、この瞬間。

「フフッ、まさか肯定されるとは思わなかった!」

彼女は俺に微笑みかけ、

「あなたがこれからも毎日ここに来てくれるなら、私もずっとここにいようかな」

そう言って、少し顔を赤くした。


そんなことを言われては、

そんな顔をされては、

俺はもう、心の髄から彼女の虜で。

自惚れかもしれないが、彼女もきっと満更ではないのだろうと思った。

雨の日も、風の日も、俺は彼女に会いに行った。

だが、お互いにすっかり仲良くなり、今の関係に慢心していた俺は、

「告白」という明白な行為に出ることはなかった。
 ▼ 236 aSS341n256 18/02/07 23:02:04 ID:DO4lmTeU [21/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「アシレーヌのやつ、きっと喜ぶだろうな・・・」

陸上では少し動きが不自由な彼女のことを思い、俺は時々差し入れに木の実を持っていってやった。

ありがとうと言って、美味しそうにそれを食す彼女の姿が目に浮かぶ。

少し早足になって、いつもの場所にたどり着いた俺だったが、

「アシレーヌさん!大丈夫ですか!!」

「しっかりしてください!!」

「うう・・・」

なんだか浜辺の様子がおかしい。

「どうしたんだ!?いったい何の騒ぎだ!」

「ガオガエンさん!!」

「!?」

そこには、顔色を悪くして苦しそうに倒れたアシレーヌの姿があって。


俺の手に抱えられた木の実が零れ落ちていく。

手足に力が入らず、俺はそこに崩れ落ちる。

「アシレーヌ・・・どうしたんだよ!おい!」

「ガオガエン・・・」

ふるえるような俺の声に反応したアシレーヌは、弱弱しい笑顔を俺に見せてから、

「フフ、今日も・・・来てくれたのね」

「アシレーヌ!!」

そう言って、気を失ってしまった。

「落ち着いてください、ガオガエンさん・・・今タマンタさん達が救援を探してくれていますから!」

「ああ・・・そうか・・・」

彼女と仲が良かったヨワシの声にも、俺は弱弱しく反応するのみ。

『体を悪くしちゃってね』

彼女の体は全くよくなっていなかったのだ。

明るく振舞っていた彼女は、毎日自身の病気と闘いながら精一杯生きていた。

俺は、そんなこと何も知らなかった。

彼女の抱えていた陰が、これほど深刻なものだと言うことも、

全く知らなかったのだ。
 ▼ 237 aSS341n256 18/02/07 23:19:12 ID:DO4lmTeU [22/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・なるほどね・・・」

「ジーランスさん、彼女は!」

「ワシも長く生きているだけでそこらの若者より知識はあるだろうが・・・」

「助かりそうですか・・・?」

「随分弱っているねぇ・・・こいつは、まずいかもな」

「!!」

タマンタやヨワシが、博識で有名らしいジーランスに色々問いかけるが、彼はどうにも言い解答を口に出さない。

「アシレーヌさん、重い病気を抱えていたそうで・・・」

ケイコウオがポツリポツリと言葉を紡ぐ。

「余命を宣告されていたそうなんです。アシレーヌさんが世界を泳いで回り始めたのは、それからの話らしくて」

「・・・そんなこと、聞いたことがなかったな」

ケイコウオは、ただ一人彼女からそういった事情を聴き受けていた。

残り少ないかもしれない命で、少しでも自分が生きた証を広く残したくて、彼女が旅を始めたこと。

聞かされていた死のその瞬間が近くなった時に体調不良を覚え、最後を覚悟した頃にここアローラにたどり着いたこと。

「でも、その宣告された日数はもう過ぎてるんです。だから『私は病気なんかに負けなかったんだ!』って、誇らしくされて・・・」

要するに、いつ死んでもおかしくないと言うような状態だったんだ。

それでいて、前向きに生きて・・・とても強い奴だ。

「どうして、俺には話してくれなかったんだろうな」

その意図を、彼女の口から聞ける機会があることを、俺はただ願うのみだった。


その日、俺は浜辺から帰らなかった。

懸命な治療を行うジーランスたちの傍で、アシレーヌのことを見守っていた。

俺に何かできることがあればと、彼らの指示に従って己の体を動かした。

弱っていく拍動、着実と近づく死の瞬間、俺は何もできないようなときには、

頑張れ、頑張れと彼女に届いているかもわからない声をあげ続けた。

もう一度だけ、彼女の歌が聞きたい。

もう一度だけ、彼女の笑顔が見たい。

もう一度だけ、彼女と一緒に木の実を食べたい。

もう一度だけ、彼女が目覚めることがあったなら、

彼女に、この思いをしっかりと伝えたい・・・
 ▼ 238 aSS341n256 18/02/07 23:32:41 ID:DO4lmTeU [23/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「起きて、ガオガエン。あなた、一体いつから寝てるのよ」

アシレーヌの声・・・夢・・・か?

「ガオガエンってば!」

パシンッと、いい音が鳴って、痛みが俺の頬を襲う。

「起きた?見てよガオガエン、綺麗な夕日。もう日が沈むのよ?あなた、そう日が昇る前から眠ってたそうじゃない」

眠ってた・・・そうか、俺は寝落ちてしまっていたのか。

「・・・おはよう、アシレーヌ・・・これは、夢じゃない・・・のか?」

「夢じゃないわよ」

アシレーヌの声がはっきりと聞こえる。

目と目が合って、直後視界がぼやける。

「フフフ、泣くほど嬉しいの?」

「そうか・・・生きていてくれたのか」

アシレーヌが無事だった。

今ようやく、俺はその事実を認識した。


「もう先は長くないから覚悟しろって言われちゃった」

「そうか・・・」

「でも、前にも一度こんなこと言われたわ。あなたと出会うよりももっともっと前に」

何度目かの死の通告にも、彼女は悲しそうな素振りを見せない。

本人が笑っているんだ、俺がしけた面してちゃ、いけない。

「あなたにもお礼を言わないとね。助けてくれてありがとう」

「俺は大したことはできていないさ」

結局は、ジーランスたちに全て任せて、誰よりも早く寝落ちてしまったのが俺だ。

情けないやら恥ずかしいやら、こうしてアシレーヌと合わせる顔も本来ないくらいだ。

「そんなことないわ、聞こえてたよ?頑張れって言ってくれてるの」

「!?」

「なーんて、ジーランスのおじちゃんから話聞いてね。うるさかった〜ってぼやいてた」

「やめろよ・・・今冗談言われても笑えねぇ」

あっけにとられるほど、アシレーヌは明るく振舞う。

でも、今の彼女には、初めて出会った時に見たような、憂いのようなものを感じて。
 ▼ 239 aSS341n256 18/02/07 23:42:47 ID:DO4lmTeU [24/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・ほんとはね、死にたくないんだ」

そう発した声だけは、震えているように聞こえた。

「当たり前だろ、誰だってそうだ」

俺は傍に寄り添って、彼女を慰める。

「俺だって怖かったんだ。お前はもっともっと怖かったよな」

「えへへ・・・こればっかりはね」

力なく笑う彼女。最期の別れとなりかけた瞬間の彼女の顔を思い出し、俺は少し青ざめる。

「・・・どうかした?ガオガエン」

今、この瞬間も、彼女が生きていることは、奇跡。

この瞬間に伝えなければ、次の瞬間に、俺はまた取り返しのつかない現実にただ後悔を抱くだけかもしれない。

「話があるんだ、アシレーヌ」

力強い言葉で、力強い態度で彼女に語り掛ける。

「なぁに?ガオガエン」

夕日を背に、彼女が俺に微笑みかける。

「俺は、お前のことが好きだ。アシレーヌ」

「私もよ、ガオガエン」

思いを告げることができた。

彼女も同じ気持ちだったと知った。

「ちょっと!あなたって、存外泣き虫ね!」

「す、すまない!!」

「フフフ、別に怒ってないわよ。いいんじゃない?可愛くて」

これから、二人の時間がどれだけ残されているかなんてわからない。

だから、今この瞬間を全力で生きる彼女に、俺も全力で付き合おう。

彼女がこの世に未練を残さないように、色々なことをしよう。

彼女が望むことなら、なんだってするんだ。

彼女の望む場所なら、どこへでも行こう。

最後の瞬間、彼女が笑っていられるように。

最後の瞬間、彼女が幸せでいられるように。

俺に出きることなら、なんだって。

俺に行けるところなら、どこだって。
 ▼ 240 ビゴン@グッズケース 18/02/07 23:49:15 ID:Fs7AW.MQ [3/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
切ない(´;ω;`)ブワッ
 ▼ 241 aSS341n256 18/02/07 23:51:59 ID:DO4lmTeU [25/25] NGネーム登録 NGID登録 報告
「歌を聞かせてくれないか?お前の歌が好きなんだ」

「いいわよ、でも・・・そうだな、今日は一緒に歌いましょ?」

「俺もか、歌は苦手だな」

「私もあなたの歌が聞きたいの。幸せの歌を歌いましょう」

「分かったよ、どんな歌なんだ?」

「私の大好きな歌よ。よく聞いててね・・・」


「タマンタ、幸せそうですね、あの二人」

「ケイコウオは全部聞いてたんだよね、どうして彼女はガオガエンさんには話さなかったんだろう」

「仲良くなるにつれて話さないとって思ってたらしいけど、自分でもわからないんだって」

「好きな人に程、そういうことは話せんもんなんじゃよ」

「そういうものなのですか?」

「黙っていても、話しても、相手を悲しませると分かった上で、行動をとることができん。そういうもんなんじゃ」

「へぇ〜・・・」

「・・・あの豪胆さがあれば、しばらくは問題ないかもしれんの。折角命を拾ったんじゃから、長く生きてほしいものじゃ・・・」


『黄昏』・・・おしまい
 ▼ 242 リルリ@ちりょくのハネ 18/02/07 23:53:59 ID:fF5txIWU NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ヤバい、泣きそうになった
 ▼ 243 ローン@ダークボール 18/02/07 23:59:35 ID:Fs7AW.MQ [4/4] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
これは泣ける
 ▼ 244 ーベム@あやしいパッチ 18/02/08 00:06:37 ID:sWSKvfOs NGネーム登録 NGID登録 報告
これは切ない…
アルセウス様治してやってください
 ▼ 245 イプ:ヌル@せんせいのツメ 18/02/08 07:37:47 ID:rY6UBmF6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
できるのならでいいです。
ボスゴドラ♀とバンギラス♂の
縄張り争いからの発展をお願いします。
 ▼ 246 メテテ@きちょうなホネ 18/02/08 11:26:28 ID:M2oCFI.6 NGネーム登録 NGID登録 報告
ネタを欲していらっしゃると思いましたので書かせて頂きましたが>>216ですね
頑張り過ぎないで、でも続けて頂けると助かります

楽しみにしてます シエンネ
 ▼ 247 aSS341n256 18/02/08 11:33:24 ID:Y/5Yf4Lo [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
『意思と知識と感情と』(アグノム×エムリット)

エムリット「うーん・・・うーん・・・」

ユクシー「どうしたのですエムリット。うんうんうなって」

エムリット「聞いてくれる!?ユクシー!」

ユクシー「そんなこれ見よがしに悩んでおいてそうきますか」

エムリット「そんな冷たいこと言わないでよ!!私本当に苦しいんだから・・・」

ユクシー「一体どうしてです?・・・大方原因は想像つきますが」

エムリット「最近アグノムのことを考えるとね」

ユクシー「やはり彼の話じゃないですか」

エムリット「こう、胸がキューっとしめつけられて!」

ユクシー「もう何年そんなこと言って悩んでるんですか」

エムリット「仕方ないじゃん!そんなこと言われたって・・・」

ユクシー「全く、難儀なものですね。恋に落ちる苦しみや喜びも、あなたが作ったようなものでしょうに。それであなたがこう悩んでいたらもうお笑い話です」

エムリット「でも、私だってずっとこのまま抱え込んでいる訳にはいかないと思ってるの」

ユクシー「はぁ」

エムリット「だから協力して!ユクシー!あなたの知識があればきっとアグノムと結ばれることだって・・・」

ユクシー「それよりも彼のことが好きだった記憶を消してしまうという、もっと簡単な解決法がありますが」

エムリット「いやよ、忘れたくないもの!それにその力は」

ユクシー「冗談ですよ、こんなもの、戯れに使うものではない」


ユクシー『単純接触効果というものを知っていますか?要は読んで字のごとく、単純に接触した回数が増えるほど相手の自分に対する好意が上がっていくという原理です』

エムリット「単純接触・・・要はアグノムに触れればいいのね」ソー

アグノム「ん?やぁ、エムリット。どうしたの?僕に何か・・・」

エムリット「ヒャー!!」ササッ

アグノム「・・・エムリット?」

エムリット「い、いきなり振り返らないでよ!!もう!!」

アグノム「ええー・・・」

エムリット(いけない、接触のチャンスが・・・)

アグノム「そうだ、エムリット。リッシ湖に気になる欠片が落ちてるのをこの前見つけてさ」

エムリット「へぇ・・・何?」

アグノム「これなんだけど・・・」チョン
 ▼ 248 aSS341n256 18/02/08 11:42:51 ID:Y/5Yf4Lo [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
エムリット「ヒャァァァァァ!!!」ビュンッ

アグノム「・・・・・・」ポツン


アグノム「エムリットに嫌われたかな・・・」

ユクシー「なぜそうなるのです・・・」ズーン

アグノム「いや、後ろにエムリットの気配がしたから振り向いたら急に振り向くな!って言われるし」

ユクシー「・・・・・・」

アグノム「物を渡すときにちょっと触れちゃったのかな?そしたら悲鳴をあげて逃げていくし・・・」

ユクシー「あの子・・・ダメダメですね・・・」

アグノム「僕、何かしたかな。今までもなんか余所余所しいところはあったけど、あんなことはなかったよ」

ユクシー「そうですね・・・めげずに仲良くしてあげてください。あの子、ほら、感情の神だから少し過剰にそういうのが出やすいんですよ」

アグノム「そういうもの?何か悩み事かな・・・」

ユクシー「ま、また私が聞いておきます」

アグノム「そう?」


ユクシー「なにしてるんですかあなたは」

エムリット「うう・・・・・」

ユクシー「彼、嫌われてるんじゃないかと私に相談に来ましたよ?」

エムリット「ええ!?そんなわけないじゃん!もう、どうしてわかってくれないの!?」

ユクシー「わかるか!」

エムリット「ヒッ」

ユクシー「そもそも、私があなたに授けた策は接触効果だったはずです。それが、接触された途端逃げてどうするのですか」

エムリット「だって、恥ずかしくて・・・」

ユクシー「何年来の付き合いだと思ってるんです。いまさらそんなこと・・・」

エムリット「だって、意識しちゃうと恥ずかしくて・・・」

ユクシー「彼を意識してからも何年経ってますか!」

エムリット「違うよ!変わらなきゃ!ってより強く意識してから!」

ユクシー「はぁ・・・もう、全く世話が焼けますね」

エムリット「うう・・・」

ユクシー「仕方ない、他に何か考えてみましょう」

エムリット「アリガトウゴザイマス」
 ▼ 249 aSS341n256 18/02/08 11:58:03 ID:Y/5Yf4Lo [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
ユクシー『接触と言っても、触れ合うことももちろん効果を発揮しますが、そのほかに一緒にご飯を食べるなども有効な策ですよ』

エムリット『私二人でごはんに〜なんて誘えないよ!』


アグノム「3人で一緒に〜なんて、久しぶりだね」

エムリット「そ、そうだね!」

ユクシー(この子はやる気があるのでしょうか・・・)

アグノム「それにしてもポフレか・・・名前こそ聞いたことあるけど、食べるのは初めてだなぁ」

ユクシー「カロス地方発祥のお菓子ですからね、エムリットが取り寄せたのです」

アグノム「そうなんだ!美味しそうだ♪」

エムリット「わ、私も興味あったから・・・」

アグノム「じゃあ、いただきます!」

エムリット「美味しい!!」

ユクシー「これは・・・なかなかに興味深いですね」

アグノム「そうだね〜、なかなかの上物だ!」

エムリット「取り寄せた甲斐があったね!」ハムハム

アグノム「・・・これって、一つ一つ味が違ったりするの?」

ユクシー「そうですね・・・見るからに私とアグノムの物は同じでしょうが・・・」

エムリット「?」

アグノム「・・・いただき!」パクッ

エムリット「!?」

アグノム「うん!こっちも美味しい・・・エムリット?」

エムリット「」カーッ

ユクシー(ああ・・・)アタマカカエー

アグノム「ご、ごめん!そんなに嫌だった!?ちょっとした悪戯のつもりで・・・ほら、代わりに僕のもどうぞ?」

エムリット「」カァァァァァァァァッ

アグノム「エムリット?大丈夫!?顔真っ赤だけど!!」

ユクシー「・・・大丈夫でしょう、顔が赤いのは元々です」

アグノム「とても元々の色とは思えないのだけど!!」

エムリット「あうあうあー・・・」

アグノム「エムリット!!」
 ▼ 250 aSS341n256 18/02/08 12:09:33 ID:Y/5Yf4Lo [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
アグノム「間接キス・・・?」

ユクシー「はい、例えば誰かが口をつけたものをそのまま飲んだり食べたり、そういったことをすることで疑似的な口づけのようなものを連想してしまう現象・・・みたいなものです」

アグノム「気にし過ぎじゃない・・・?」

ユクシー「気にする人は気にします。アグノムだって、誰とでも口づけをするわけではないでしょう?」

アグノム「ま、まぁ、そりゃそうだけど」

ユクシー「人によっては同じようなものなのですよ」

アグノム「そ、そうなんだ・・・いけないことしちゃったかな・・・」

ユクシー(・・・アグノムの方はまったく気にしないタイプだったみたいですね。そうですね・・・私から口出しするのは野暮ですが、少し、きっかけを与える程度に彼の方にも干渉してみますか)

アグノム「エムリットに謝らなきゃな・・・」

ユクシー「どうでしょう、私には彼女が言うほど嫌がってるようには見えませんでしたが」

アグノム「え?どういうこと?」」

ユクシー「私は感情には疎いので推測ですが・・・あれは恥ずかしがっていただけでまんざらでもない、そんな表情だったように思いますよ?」

アグノム「そ、そうなの?」

ユクシー「あくまで推測です」

アグノム「もし、それが本当だったら・・・彼女は僕と、キスするのとか、嫌じゃないってこと?」

ユクシー(飛躍しすぎですが、ここは肯定も否定もするまい)


エムリット「うう・・・」

ユクシー「落ち着いてください。大多数の人はそれほど気にしないと言うことですよ」

エムリット「でも・・・あんなの・・・アグノムに私が食べられてるみたいで・・・」

ユクシー「重症ですね」

エムリット「で、でも!一緒に食事できた!これで彼も私に・・・」

ユクシー「一度の食事にそこまでの即効性はありませんよ」

エムリット「ええ!?」

ユクシー「継続こそ力なりです。続けていきましょう」

エムリット「そ、そんな・・・」

ユクシー「そもそもセッティング私、あなたのことをアピールするのも私、あなたはただそこにいただけじゃないですか」

エムリット「そ、そうなんだけど・・・」

ユクシー「そうですね・・・次はあなたももう少し頑張らなくてはいけませんね」

エムリット「頑張る・・・?」
 ▼ 251 aSS341n256 18/02/08 12:54:37 ID:Y/5Yf4Lo [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
アグノム「ポフィン!やっぱこれだね〜♪」

ユクシー「エムリットが作ったんですよ」

アグノム「へぇ、エムリットが?」

エムリット「う、うん・・・お口に合うといいけど・・・」


ユクシー『男性は女性の手料理に弱いとよく聞きます』

エムリット『料理って言ったって・・・ポケモンに料理なんてできるの?』

ユクシー『あなたそれでも神ですか!少しは頑張るという気概がないのですか?』

エムリット『うう・・・そうね、頑張ってみる』


エムリット(喜んでくれたらいいけど・・・)

アグノム「いただきまぁす!」パクッ

エムリット「・・・どう、かな?」

アグノム「うん、美味しいよ!」

エムリット「よかった・・・」ホッ

ユクシー(その美味しいポフィンに至るまでに何匹のユクシーが死んでいったことか・・・全く彼は幸せ者ですね)


ユクシー「ポフレ・・・ですか?」

エムリット「うん、レシピを参考に作ってみたの」

ユクシー「うん、美味しいです」

エムリット「でしょ〜?」

ユクシー「・・・すっかり料理にはまりましたね。最初はどうなることかと思っていたのですが」

エムリット「えへへ〜、うまくできるようになったら、これがなかなか楽しくって!」

ユクシー「ですが本来の目的を忘れていませんか?」

エムリット「!!・・・いや、でも、作ったものはアグノムにもあげてるし・・・」

ユクシー「それなら尚更都合がいい。そろそろ一対一でデートに誘ってみるというのは」

エムリット「無理無理無理!!そんなこと・・・」

ユクシー「あなた、最後は彼とどうなりたいんです?」

エムリット「そりゃ・・・もう・・・」

ユクシー「その過程として必要なことです。なんならもう、いけそうなら告白までしてきちゃってください」

エムリット「投げやりになってきてない!?」

ユクシー「攻めるときは攻めるのが大事ですよ?」
 ▼ 252 aSS341n256 18/02/08 13:21:10 ID:Y/5Yf4Lo [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
ユクシー『デートの日付を決めるときは候補の日にちを二つ決めて、○日か○日に一緒に出掛けよう、という具合に誘うのが定石です』

エムリット『どうして?』

ユクシー『相手の頭の中で、一緒に出掛けるか出掛けないかの選択肢を飛ばしてどちらの日に出掛けるかという選択肢に発展しやすく、誘える確率が高くなるのですよ』

エムリット(言われたとおりに・・・)

アグノム「・・・どうしたの?エムリット、ジッとこっち見て」

エムリット「あ、あのね!明日か明後日、暇だったら一緒に出掛けない?」

アグノム「明日か明後日・・・うん、別に暇だしいいよ」

エムリット「ほんと!?じゃ、じゃあ明日!」

アグノム「でもどこに行くの?」

ユクシー『スポットはおくりの泉がお勧めです。神秘的な場所ですから、きっとムードの形成に役立ちますよ』

エムリット「お、おくりの泉・・・」

アグノム「おくりのいずみか・・・いいね、あの場所は僕も好きなんだ」

エムリット「ほんとに?それなら・・・よかった・・・」


アグノム「綺麗な泉だな・・・いつ来ても心が洗われるようだ」

エムリット「そうだね・・・」

ユクシー『陽が落ちてから、泉はもっとも美しくなります。彼の隣で、目が合った時がチャンスです』

アグノム「・・・今日は、どうしてここに?」

エムリット「え?」

アグノム「何か用事でもあったのかと思って。ユクシーには話せない事?」

エムリット(アグノムがこっちを見てる・・・目があって、きっと今言わなきゃだめなんだ・・・)

ユクシー『あなたの率直な思いをぶつけてきてください。彼なら悪いようにはしませんよ』

エムリット(・・・・・言わなきゃ!)

アグノム「エムリット?」

エムリット「ううん、ただの気まぐれ」

アグノム「そっか」

エムリット(あああああああ私の馬鹿!!!)

アグノム「それにしても、静かだね・・・薄く霧がかかって、泉に星が反射して」

エムリット「うん・・・」

アグノム「まるで、世界に僕たちだけしかいないような気分になる」

エムリット「え・・・」キュンッ
 ▼ 253 aSS341n256 18/02/08 13:31:13 ID:Y/5Yf4Lo [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
アグノム「なんてね」ニコッ

エムリット「・・・あのね、アグノム。私・・・」

アグノム「ん?」

エムリット「あなたのことが、好き・・・あなたと一緒にいると嬉しくて、あなたのことを考えるととても苦しくなるの」

アグノム「・・・・・」

エムリット「私の恋人になって・・・くれませんか?」

アグノム「・・・いいよ」

エムリット「・・・ほんと!?」



ユクシー「それにしても驚きですね。けしかけはしましたが、まさかほんとに告白にこぎつけるとは・・・」

エムリット「どういう意味よそれ!」

ユクシー「そのまんまの意味です。私がどれだけあなたのヘタレた姿を見てきたと思ってるんです」

エムリット「うう・・・」

ユクシー「あなたには感謝されてもされたりないくらいですよ」

エムリット「ほ、ほんとにありがとうございます・・・」

ユクシー「・・・アグノムは意思の神、生きとし生けるものに決意を与えた存在ですから。そんな彼相手だったからこそ、あなたも告白に踏み切ることができたのかもしれませんね」

エムリット「・・・そうなのかな」

ユクシー「折角一度結ばれたのです。精々その縁を手放さないように。幸せになってください」

エムリット「・・・うん!」


アグノム「いやぁまさか僕から逃げたりしてたのも恥ずかしかったからだったとは・・・」

ユクシー「あなたも大概鈍いですよね」

アグノム「でも、あらためて見るとエムリットって健気で可愛くて・・・なんか僕には勿体ないくらい!」

ユクシー「そしてあなたも妙な感情をエムリットからもらってしまったらしい・・・はぁ、惚気ならよそでやってくれませんかね」


『意思と知識と感情と』・・・おしまい
 ▼ 254 ブンネ@かいのカセキ 18/02/08 18:37:39 ID:5WGZTgFc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
テテフ×コケコ
できそうならお願いします
 ▼ 255 日ゴロゴロンダ◆XTk1MeLTks 18/02/08 23:32:11 ID:QE6KPDUA NGネーム登録 NGID登録 報告
>>212
リクエストした者です!ありがとうございます!
平和でにぎやかな家庭とかゴロンダの喧嘩っ早いけど優しいとことかイメージ通りで最高でした!
 ▼ 256 ルフォン@ポフィンケース 18/02/09 00:08:08 ID:YhL8rOOw NGネーム登録 NGID登録 報告
>>247
ありがとうございます!UMAはやっぱり可愛い
 ▼ 257 aSS341n256 18/02/09 00:45:54 ID:RnaOw1Hs [1/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
『肝試しの後にて』(リーフィア♂×ロコン♀)

林間学校の夜、クラスのみんなで肝試しを行うことになった。

誰が言ったか男女二人一組になって回ろうなんてことになって。

その相手はくじ引きで決めると知った何人かの人たちは見るからにテンションを上げ、誰々と一緒になりたいなんて笑いあっている。

でも、そううまくいくわけもなく、

「ごめんね〜、私と一緒で」

「別に、まだ友達と一緒になれてホッとしてるくらいだ」

僕の相方はグレイシアに決まった。

お調子者の男子が羨ましいなんて僕を小突いてくるが、そもそも僕にも彼女にも既に恋人がいて、

彼女の恋人というのは一つ上の学年に在籍している部活の先輩のため当然このクラスにはいないのだけど、

「だって、あからさまにガッカリした様子だったんだもの」

僕の方はクラスメートのロコン。

あわよくば一緒に組めるか、とも思っていただけに結果が出た時の顔の変化をグレイシアに見られていたらしい。


「じゃあ行こっか、ロコンさん」

「うん!」

先に肝試しを開始した彼女はなんだか楽しそうだ。

同行しているのはクラスでも女子から人気が高いルクシオ。

なんだかおもしろくない。

「もしかしたら、ルクシオ君に惚れちゃうかもね〜」

少し不機嫌なのをグレイシアにからかわれて、

「なんか、心が小さいみたいで嫌だ」

こんな行事の成り行きで仕方なくだとしても、

彼女が他の男子と仲よさそうにしているのを見て嫉妬する自分にイライラする。

「彼女も同じ気持ちかもしれないわよ?」

そんな僕を見かねたグレイシアは僕を慰めてくれるが、僕のアンニュイな気持ちは晴れないまま。

「おいおい、もうちょっと驚かしてくれないと張り合いってもんがねぇよ」

「ごめん、彼ちょっとそういう気分じゃないみたい」

お化け役のクラスメートが思わず文句を言うほどに、

僕らの肝試しは味気ないものになった。
 ▼ 258 aSS341n256 18/02/09 01:00:00 ID:RnaOw1Hs [2/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「楽しかったな〜、肝試し!」

「それはよかったね」

終わってみると、ロコンはとてもご機嫌で、反比例するように僕の機嫌は悪くなる。

「リーフィア君はどうだった?怖いの苦手だったりする?」

「全然」

「・・・なんか素っ気無くない?」

遂には彼女にも分かるほどに、あからさまにテンションの低い僕。

「もしかして・・・嫉妬してる?」

「・・・察しがいいのも考え物だね」

「図星なんだぁ」

結局はその心の狭さを彼女に露呈してしまう。

男として少し情けないだろうか、こんなことを繰り返してるといずれ愛想をつかされてしまうのかな。

「でも、なんか嬉しいな」

そんなことを考える僕をよそに彼女はとてもにこやかで、

「他の男の子と私が話してるのも嫌なんだ?」

「・・・まぁ」

「フフフ、リーフィア君の愛を感じる」

そんな風に、とても前向きにその事実を捉える。

別に束縛しようなんて気はさらさらないのだけれど、これなら暫くは彼女は僕のことだけを見てくれると思っていいのかな。

「私もほんとはリーフィア君とがよかったなぁ。ルクシオ君には悪いけどね」

「ほんとに?」

「ほんとだよ。リーフィア君が思ってるよりずっと、私は君のこと好きだよ?」

そう思ってもよさそうだ。

時折恥ずかしげもなくこんなセリフを言う彼女の気持ちを、疑ったりして悩むのなんてまるで時間の無駄でしかないみたいだな。

「・・・っていうか、行こうよ。二人で」

「え?」

「肝試し!今からさ、みんなには内緒でね?」

そう言い終わる頃には彼女はすでに僕の手を引っ張って、人気のなくなったホテルの外へと駆けていく。

僕は彼女に任せるままに足を動かして。

そのころには機嫌もすっかり戻っていた。
 ▼ 259 aSS341n256 18/02/09 01:11:05 ID:RnaOw1Hs [3/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・にしても、少し暗すぎるかもね」

「足元も見えない・・・大丈夫?リーフィア君、ついて来てる?」

当てもなく森の中を割って進む。

お化けの役の生徒だって、もういない。

驚くほどの静寂に包まれて、風に吹かれて少し寒い。

「ねぇ・・・リーフィア君、あれ、見て?」

「・・・なに、あれ」

彼女に促されてその方向を見ると、火の玉のようなものが浮いていて。

「・・・下がってて」

少し嫌な汗をかいて、彼女を下がらせる。

だけど彼女はあっけらかんと、

「うーん・・・思ってた反応と違うなぁ」

「なんて?」

「驚かせようと思ったんだけど」

エイッと言って火の玉の方に手を伸ばす。

するとそれは消え去って、

「・・・君の仕業か」

そこで火の玉の正体を知る。

「でも、今のはそれはそれで・・・ちょっとキュンと来ちゃった」

「やめてよ、結構ビビったよ?」

「ごめんね〜。私、ほんとは驚かす方も少しやりたかったの」

ペロっと舌を出して謝る彼女。

愛らしい態度の前に僕はそれ以上何も言えず、

火の玉を使って周りを照らしながら僕たちは開けたところまでやってきた。

「結構歩いてきたね・・・」

「うん。少し休もっか」

柔らかい草原の上。

ゴロンと寝転がる彼女が僕に手招きをするので、僕も隣で横になる。

「綺麗な月ね・・・でも三日月というには、少し大きいかしら」

願いでもかけるかのように、彼女は空をみつめる。
 ▼ 260 ンベアー@カビゴンZ 18/02/09 01:25:20 ID:eQE8bCIw NGネーム登録 NGID登録 報告
>>182
ありがとうございます!
性別不明種は、詳しく調べれば実際は性別が存在する…参考になりました。

続きまして、カイリキー♂×マッシブーン(♂寄り?)をお願いします。
 ▼ 261 aSS341n256 18/02/09 01:28:36 ID:RnaOw1Hs [4/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
山の中で空気も綺麗だからか、満天の星空が視界余すところなく広がっていた。

思わず言葉を飲み込むほどの光景に、僕はあっけにとられるばかりで。

「ねぇ」

クイッっと、両手で首を掴まれて優しく横に倒される。

向き合う形になって、思っていたよりも近い距離に思わず僕は顔を背けて。

それを許さないとでも言うように彼女はもう一度僕の首に手をかける。

「照れ臭いな」

今度は顔を背けなかった。でも、目は見れなくて、

「ちゃんとこっち見て。この星空よりも君の方がきれいだよ〜なんて言ってくれたらときめいちゃうんだけど」

「君には敵わないな」

なんだか彼女にリードされっぱなしで、男としての情けなさを痛感する。

心も狭い、話も面白くない、ネガティブで、ついでにタイプ相性も悪い。

可愛い彼女に釣り合うような見た目なのかは、自分では判断しかねる。

果たして僕は彼女にふさわしいのか、どうして彼女は僕のことを好きだと言ってくれるのか。

「・・・どうしたの?」

「考え事してた」

顔に出ていただろうか、心配そうな彼女の声で空想から現実に引き戻されて。

「もう、今は私に集中してよ。折角、こんなにも綺麗な夜景を二人占めして、私はあなたを独り占めできるのに」

彼女が僕を誘ってここに来て、この瞬間に彼女の隣に僕がいる、その事実だけで十分だ。

余計なことを考えるのは、もうよそう。

「ごめんよ、あまりに今が幸せだから、ちょっと未来が怖くなって」

「その未来でもあなたの隣に居たいな」

「そうしてくれると助かるよ」

「フフフ、本当に二人きりね。今ならどんなことしたって、誰にもバレやしないんだわ」

「なにもしなくても、こうして二人並んでいられることが、何よりも幸せだ」

「それもそうね・・・」

時折言葉を交わしながら、僕らは明るくなり始めるまでその場で寝転がっていた。


『肝試しの後にて』・・・おしまい
 ▼ 262 ドリーノ@ひかりのねんど 18/02/09 02:57:14 ID:cUWHXw/s NGネーム登録 NGID登録 報告
もしよろしければルカリオ♂×ミミロップ♀をお願いします…!
 ▼ 263 トマル@スキルコール 18/02/09 03:04:46 ID:e7cOEmz2 NGネーム登録 NGID登録 報告
シエンネ
 ▼ 264 ャラコ@トポのみ 18/02/09 08:38:39 ID:mmmKEMGE NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
しゅき
 ▼ 265 aSS341n256 18/02/09 12:36:01 ID:RnaOw1Hs [5/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
『喧嘩』(ピカチュウ♂・色ピカチュウ♂・グレイシア♀)

双子の僕らの子どもの頃の喧嘩の理由なんて、しょうもないものばかりで。

人のおやつを勝手に食べたとか、遊びで反則を使ったとか、

少しお調子者でずる賢い兄と生真面目で几帳面な弟の僕。

毎日のように喧嘩をしてはお母さんに怒られた。

兄の特性は避雷針、一方僕は静電気。

闇雲に電気技を打っても向こうが強くなるばっかりで、喧嘩が発展していくといつも僕が負けて泣かされて、

そのたびに隣の家のイーブイの元に泣きついた。

「もう、あんまりピッ君のこと苛めちゃダメでしょ?」

「うるさいな、弱いそいつが悪いんだよ」

口ではそう言いつつも、兄も兄で彼女には弱いところがあって、僕はいつもつい彼女に甘えてしまった。

ピカ君と呼ばれる兄、ピッ君と呼ばれる弟。

僕らは小さいころから、彼女のことが好きだった。


少し大きくなると、僕らを取り巻く環境も変わっていって。

「見て見て!進化したんだ!!どう?」

「グレイシアか!うん、可愛いよ!」

「ま、まあ・・・いいんじゃねぇの?」

少し早めの進化を行った彼女に対して、僕らは一向に進化する気はなくて。

ピカチュウという種族はライチュウよりも人気があって、その影響で僕たち家族は進化に対して慎重になっていて。

色違いの兄は昔からよく目立つみんなの人気者だったけど、彼の体色が特別なものなのだと気が付いたのはスクールの友達や周りの大人が彼をチヤホヤするのをよく見るようになってから。

特性だって、彼の方が優秀なようだ。

それに運動神経だって、彼は僕に勝っていた。

外で遊ぶのが好きな兄と、インドア派で読書などによく興じていた僕。

テストの時だけは優越感に浸ることができたが、

それ以外は基本兄のことを羨んで、嫉妬して、劣等感を抱える日々だった。

ファイターとして将来有望だと兄に期待を寄せる親。

僕のことを蔑ろにしている訳ではないと知りながらも、どうしても寂しさを覚えてしまう僕。

僕のことなど気にも留めず、兄のことを褒め称える周りの人々。

少しずつ僕の心を蝕む孤独。
 ▼ 266 aSS341n256 18/02/09 12:50:44 ID:RnaOw1Hs [6/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ピッ君助けて!読書感想文が書けないの!!」

そんな僕の心のよりどころはやっぱりグレイシアで。

僕たち兄弟をなんの分け隔てなく接してくれるのは彼女くらいのものだった。

宿題やテスト勉強など、彼女は勉強のことになるとよく僕を頼りに家に来た。

「何の本読んだの?ってか、まず本は読んだの?」

「ちゃんと読んだよ!ルージュラ先生の小説の・・・」

「・・・ああ、それね。僕も去年くらいに読んだから内容は覚えてるよ」

「さっすが!」

彼女に頼られることで、兄にはない自分の長所をしっかりと認識できて。

彼女に頼られたい一心で更に勉強を頑張って・・・そんなことの繰り返しだった。

「はぁ・・・夏休みも終わっちゃうね」

「ほんとに。まだまだ暑いのに・・・」

「・・・・・えい」ピト

「ヒャッ!?」

「もう、そんな女の子みたいな声出さないでよ〜。涼しいでしょ?私氷タイプだし」

「・・・冷たいよ、普通に」

成長していくにつれて彼女のことをより意識していく僕に対し、

彼女は昔から何も変わらないような、そんな感じがして。

近いままの距離感、誰かにからかわれても恥ずかしくないような素振り。

子どもながらに、いつかこの人と付き合いたいなんて考えては、赤くなる顔を彼女に
不思議そうな目で見つめられた。

「ただいまー、なんだグレイシア来てたのかよ」

「あ、ピカ君おかえりなさい。今ね、宿題の読書感想文見てもらってるんだ〜」

「兄さんこそ、終わったの?夏休みももう終わるけど」

「・・・ぜんっぜん」

「もう・・・間に合わなくても知らないよ?」

「うるさいな、俺はお前みたいに暇じゃないんだよ!!」

習い事でスポーツに勤しむ兄は確かに僕よりも毎日忙しそうで。

だからこうしてグレイシアと顔を合わせる機会も少なくて。

兄としては、彼女と仲良くしている僕のことが気に入らなかったのだろう。

兄弟の仲は、この頃とても微妙なものであった。
 ▼ 267 aSS341n256 18/02/09 13:05:34 ID:RnaOw1Hs [7/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
さらに時を経て、僕らはハイスクールへと進学した。

スポーツの特技を活かして進学の道を探した兄と、

勉学の才を開花させて高い偏差値の学校へと進んだ僕。

この頃になると親も、兄とはまた違う道へ進む僕に期待をかけてくれているのが分かって、少し現金だなと思いつつもそれがシンプルにうれしかった、

スクールには兄のことを知らない人たちばかりで、

ようやく劣等感から脱出した僕はそこで、ノビノビと生活を楽しんだ。

「学校ではうまくやってるの?」

「うん、毎日充実してる。グレイシアは?」

「楽しいけど・・・寂しいな。だって二人がいないし」

「そうだね・・・」

グレイシアとは、僕も会う機会が減ってしまった。

それでも家は近かったし、こうして時々顔を合わせて、話をするたびにまだこの人のことを好きでいる自分に気が付いて。


「好きだ、グレイシア。僕と付き合ってくれないか」

だから、ある時僕は思い切って行動に出た。

長い長い初恋の人への、人生初めての告白。

「・・・ごめんね、ピッ君とは付き合えない」

でも、結果は惨敗で。

少し時間をかけすぎたかな。心のどこかで、きっとうまくいくなんて思っていたな。

思いのほかショックだな。これから顔を合わせにくくなるだろうか。

「・・・そっか、ごめん、変なこと言って」

「うん・・・もしよかったらだけど、これからも友達として・・・」

お決まりの言葉が胸に突き刺さって。

小説やドラマでしか見たことのないセリフを、いざ自分に言われるとこんなにも刺さって。

机に向かって勉強しているだけじゃ、こんな気持ち、分からなかった。

涙がこぼれたのは、彼女が帰ってから。

自分はというと、そこでしばらく立ち尽くして。

周りの目も気にせずに泣いた。

でも、仕方がないことだと思った。そう自分に言い聞かせた。

お互いに知らない生活を送っているんだ。新しい出会いだって沢山あったんだから。
 ▼ 268 aSS341n256 18/02/09 13:14:11 ID:RnaOw1Hs [8/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
そんな風に考えて、それでも割り切れずにいたような頃に、僕は町中で偶然彼女を見かけて。

「もう、最近ぜんっぜん会ってくれないよね」

「仕方ないだろ、昔みたいに家も近くないし」

隣には、少し濃い色をしたピカチュウ。

見間違えるはずもない、兄の姿。

「次の試合は負けられないんだよ、絶対に」

「大会だっけ。応援してるね」

「よかったら見に来てくれよ!そしたらもっと頑張れるからさ!」

「もう、都合いいんだから」

何故か、僕は彼らに見つかりたくなくて姿を隠して。

とても楽しそうな二人の姿。

寮生活の兄がこちらへ帰ってくるときは決まって家に連絡を入れていたはずで。

「じゃあね、また」

「今度はこっちに泊まりに来いよ」

「そんなことしたら怒られちゃうんじゃない?」

「バレなきゃなんてことねーよ」

そうか、二人は付き合っていたんだ。

だとしたらいつから?

僕はどうして全く気付かなかったんだ。

兄は、僕の気持ちに気づいていた?

だから、今まで僕に隠し通して・・・

「・・・ピッ君?」

呆然としていた僕は、グレイシアに見つかって。

「どうしたの、こんなところで。なんか顔色悪いけど」

やあ、偶然だね。別に大したことはないんだ。

「・・・いつからなの?」

「え?」

なんでもない。もう日も落ちて暗くなるし、帰りなよ。

「いつから付き合ってたんだって聞いてるんだ」

「ピ・・・ピッ君?」
 ▼ 269 aSS341n256 18/02/09 13:25:34 ID:RnaOw1Hs [9/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
なんでもない。なんでもないんだ、本当に。

「キャッ!?」

抑えようとしても、僕の体が言うことを聞いてくれなくて。

人目のつかないところで、僕は彼女を壁に押し付けて、

「どうして!どうしてあいつなんだよ!!」

「ピッ君・・・」

忘れていたはずの醜い思いが。

嫉妬が、劣等感が、敗北感が、絶望が、僕の衝動を掻き立てる。

止まらない涙に困惑する彼女。

怯えているその目も、僕の行動を止めてはくれない。

「君だけは、君だけは僕のことをちゃんと見てくれてると思ってたのに・・・」

「や、やめてよピッ君・・・こんなこと」

「結局みんなあいつなんだ!何もかもあいつが優れているからみんなあいつしか見ないんだ!!」

「違うでしょ・・・ピッ君はピッ君で、彼とは違ういいところがあって」

「そんなことどうでもいいんだ!」

「ヒッ・・・」

「君に、君に選ばれないなら・・・結局は、何の意味もないんだよ・・・」

彼女の両の頬に手をやって、僕は強引に口づけを迫る。

ああ、ダメだ、こんなことをしてはいけない。

もう、戻れなくなってしまう。友達にも、兄弟にも。

僕らの喧嘩は次第に生々しくなって、最後には大好きだった彼女を巻き込んで、

僕の望みは、こんなことではなかったずだ。

すぐ触れられる距離にいる彼女。

あいつはもうここにはいない。

全て、僕の思いのままに出きる。

彼女の気持ちは僕の物にならなくても、彼女の体は――

パチンッ

「っ!!」

「やめてよ」

打たれた。最も分かりやすい、拒絶の形だ。
 ▼ 270 aSS341n256 18/02/09 13:32:58 ID:RnaOw1Hs [10/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・・・」

「うっ・・・」

彼女を乱雑に突き放して、顔も見ずに僕はそこから走り去る。

打ってくれてよかった。

止めてくれてよかった。

実際には、もう手遅れだったのだろうけど、

それでも、よかったと思う。

僕は、彼女に告白したあの時よりも泣いていて、

彼女の心にも、あの時よりも大きな傷を遺して。

兄がこの出来事を知ったなら、どんな行動を起こすのだろう。

僕を殴りに来るのかな。

彼女を慰めるのだろうか。

僕はどうしてこんなことをしてしまったのだろう。

彼女が誰かの物になったのが悔しかったから?

その相手が、他でもない兄だったから?


明日になると、なんでもない毎日が再会された。

僕と顔を合わせた彼女は、何もなかったかのように笑顔を見せてくれて。

まっすぐ顔を見れない僕に、優しい声をかけてくれて。

兄が帰ってきたときも、彼は何も知らない様子で。

僕は、大きな闇を抱えて、僕の生活へと溶け込んでいくだけであった。



『喧嘩』・・・おしまい
 ▼ 271 aSS341n256 18/02/09 15:29:36 ID:RnaOw1Hs [11/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
『命の交差点』(ビブラーバ♂・ブースター♀・ドードー♂)

とある町の外れでブースターが営む雑貨屋で、ビブラーバが面倒を見てもらうようになったのは3年前のこと。

「・・・あれ、僕・・・」

「気づいた?よかったぁ」

「あなたは・・・(ぐぅ〜)・・・あ」

「ふふ、お腹がすいてるのね。ちょっと待ってて」

旅の途中、財産も底をつき食べる物もなく、力尽きたところを彼女に拾ってもらったのがきっかけであった。

「へぇ、進化のための修行の旅」

「うち、貧乏だし住処にいても家族に迷惑をかけるだけだったから。旅を始めたころはナックラーだったんだけど、今はこうしてビブラーバ」

「じゃあ、どうして進化したいの?」

「フライゴンになったら立派に空も飛べるようになって、配達業とか色々できるようになるし」

ブースターは彼に食事を作ってやり、彼の身の上話を聞いて、

「それでも、住むところはあったほうがいいでしょ?あなた、うちで働かない?」

「ここで?」

「店に泊めてあげる。元気になるまで、ここでゆっくり休んでよ」

また旅の途中で倒れるのも心配だしと、彼を雑貨屋に雇うことに決めた。


「おはよう、ビブラーバ。今日も早いね」

「うん、最近なんだか体の調子が良くて」

開店前や閉店後、ビブラーバはレベルアップのための特訓を行うのが日課で会った。

ナックラーからビブラーバに進化した時にも感じたような、言葉には表しにくい感じを今彼はひしひしと感じ取っていて、

「進化の前兆ってやつ?」

「多分!」

以前にも増してとても元気がよかった。

「いつまでもここでお世話になってるわけにもいかないし、一日でも早く進化しないとね」

「・・・そうだね」

旅の疲れもとれ、旅を再開しても構わないところまで回復してからも、ブースターはビブラーバのことを引き留めていた。

当てもなく闇雲に毎日を生きる放浪の旅の中でビブラーバの精神は鍛えられたが、

実際問題進化のために体を鍛えるにはいい環境で過ごしている方がいいのは明白で、

構わないのならと、ビブラーバは進化するその時までブースターの厚意に甘えることにしていた。
 ▼ 272 aSS341n256 18/02/09 15:43:54 ID:RnaOw1Hs [12/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ありがとう、また来てね〜!」

「おう!明日も来るぜ!」

ブースターの営む雑貨屋はそれなりに繁盛していて、

愛想がよく優しいブースターは町の人たちからも愛される存在であった。

「・・・ミルホッグさん、毎日来るね」

「うん、大切な常連さんだよ」

スーパーや食品店ならまだしも、雑貨屋に毎日来る用事などないだろうに、

何かと細かい物を買いに店に通いつめる人の目的はブースターに会いに来ることだろう。

本人はそれに気づいているのか、のほほんと「ありがたいね〜」なんて言っている。

「昨日買うものも、明日買うものも、全部今日にまとめて買ってしまっても問題ないだろうに」

ビブラーバとしては別にどうでも構わないのだが、そのあたりの話が気になってブースターに探りを入れてみることにした。

「・・・まあ、私に会いに来てくれてるんだろうね」

「ちゃんと気づいてたんだ」

「ビブラーバがここに来る前からの常連さんだからねぇ」

ほぼ毎日来るミルホッグのような人は、他にも何人かいて、

そういった人たちのことはビブラーバだって流石に顔を覚えるほどだった。

全員が彼女のことを好きなのかな、だとしたらちょっとドロドロな気もするな・・・

そんなことを考えていると、

「ビブラーバには話してなかったよね」

少し切なそうな顔をして、ブースターはビブラーバにそう問いかけた。

「私の兄弟の話」


元々はこの雑貨屋はブースターの兄、サンダースと妹、シャワーズの3人で、開いた店だった。

しかし、サンダースやシャワーズには夢があって、ブースターはそれを応援するためにそれぞれを送り出した。

それ以来もう数年会っていなくて、彼女はずっと独りぼっちで。

3人の頃から常連だった人々はそんな事情も知っていて、彼女が一人になって元気がない時も知っていたから、

「みんな、ブースターに話をしに理由をつけてわざわざここにやってくるんだ・・・」

「暖かいところでしょ?ここ。みんなが優しい気持ちで生きているから私はこの町が大好きなんだ」

いつまでもここにお世話になるわけにはいかない、なんて言った時に、彼女の顔が少し曇ったのを思い出す。

彼女が僕をここにおいてくれたのは、きっと彼女自身が一人で寂しい思いをしてきたから。

それなら、進化の瞬間が来た時に、僕がここを出るとなった時に、彼女はまた一人になってしまう・・・
 ▼ 273 aSS341n256 18/02/09 15:54:20 ID:RnaOw1Hs [13/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「こんにちは〜」

「店長さんいるかい?」

「ドードーさん」

常連の一人、ドードーが店にやってきた。

ブースターは丁度商品の管理で手が離せず、今はビブラーバが店番をしていて、

「ごめんなさい、ブースターは今手が離せなくて・・・」

「いいよいいよ、急ぎの用事でもないから」

丁度客の少ない時間帯での来訪であった彼ら。

いつものようにブースターと世間話をするのが目的だったらしく、

「ドードーさんって、僕がここに来るずっと前からこの店に通ってらっしゃるんですよね?」

「そうだねぇ」

「もう何年にいなるかなぁ」

こちらから話しかけても、気さくに応えてくれた。


「そうかぁ、今まで知らなかったんだね」

「はい。そういう事情があったなんて」

ブースターから話を聞いて、少しモヤモヤした気持ちを抱えていたビブラーバは、そのことについてドードーに話す。

「なんか、早くここから出たいって言ってるみたいで、彼女を悲しませてしまったかなって」

「まあ、知らなかったなら仕方ないよねぇ」

「ねぇ」

二つの頭を持ち、それぞれが別々に会話をすることができるドードー。

彼と話をすることに、ビブラーバは慣れてはいなかった。

「君は確か、旅先で倒れて」

「そこをブースターに拾われたんだっけ?」

「はい、そうです」

「それならきっと、君にお兄さんたちを重ねたんだろうねぇ」

夢を追って旅に出た彼女の兄弟。

夢を追った末にここにやってきた自分。

兄たちとも連絡を取っていないことも考えると、彼女は旅先で倒れた僕のことをどうしてもほおっておけなかったのかもしれない。

「君もここにきてから結構経つよねぇ」

「ええ、もう3年とちょっと」
 ▼ 274 aSS341n256 18/02/09 16:03:09 ID:RnaOw1Hs [14/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そんだけいたら、君たちはもう」

「家族のようなもんだねぇ」

「家族、ですか」

しみじみとドードーは語る。

「君とブースターとが出会って」

「君の人生が大きく変わって」

「ブースターがお兄さんや妹を送り出して」

「彼女たちの人生が大きく変わって」

「生きることなんて、そんなことの繰り返しなんだよねぇ」

「まあ、僕らみたいに最初から交わってる例は珍しいけどねぇ」

「なんだか、急に哲学的になりましたね・・・」

彼らの言わんとしているところがいまいちつかめず、首をかしげるビブラーバだったが、

「なにも難しいことはないよぉ。どう生きるかは君自身が決めることだけど」

「折角交わった縁を、活かすも殺すも君次第ってことだねぇ」

「あ、ドードーさん!今日も来てくれたの?」

少し長く話し込んでいると、作業を終えたらしいブースターがやってきて。

「・・・なぁに?ビブラーバがお客さんとおしゃべりなんて、珍しいね」

「いや、ちょっとね」

「男同士の話だからねぇ」

「女の子には話せないねぇ」

「ちょ、ちょっとその言い方は語弊が・・・」

「・・・やらしぃなぁ、もう」

「だから違うって!」

お客さん達と話をしているブースターはとても楽しそうで。

彼女の寂しさを、完全にとまではいかなくても、

きっと僕が来る前からみんなで癒してあげていたのだろう。

彼女の命がここにあって、

沢山の命とここで交差して、

そうやって、こうして笑っていられるんだなぁ。

そんなことを考えると、ビブラーバはこの店のことが今までになく愛おしく感じられた。
 ▼ 275 aSS341n256 18/02/09 16:15:19 ID:RnaOw1Hs [15/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・ほんとのところは何を話していたの?」

夜、特訓を欠かさないビブラーバにブースターが話しかける。

「なんだろ、難しくてよくわかんなかった」

「ふふ、あの人少し哲学的なところあるもんね。脳も二人分だから、賢さも二倍なのかしら」

もしかしたら、彼女の話を聞いてから少し思い悩んでいた僕の様子に、気が付いていたのかもしれない。

それで、今も僕の様子を気にかけているのかな。

ビブラーバは、それならばと彼女に向き合って、

「悩みを聞いてもらってた」

「悩み?」

あるがままに話をしようと思い直した。

「それなら、私に話してくれたら相談に乗るのに・・・」

「今日ドードーさんと話して、ここっていいなぁって改めて思った」

少し不意をつかれた様子で、ブースターは目を丸くする。

何が言いたいのかわからない、ドードーの前でのビブラーバと同じような表情。

「だから、進化しても、ここから出たくないなって、ちょっと、思っちゃった」

でも、すぐに彼が言いたかったことが分かって。

「・・・そっか」

その後に照れ臭そうに笑うビブラーバが面白くて、ブースターはいつものように優しく笑った。

「気が済むまでいてくれていいんだよ?帰らないといけなくなっても、また来てくれたっていいし」

「ありがとう。ブースターの傍にいるとなんだかとっても落ち着くな。お姉ちゃんがいたらこんな感じなのかも」

「ビブラーバはとてもシャワーズには見えないな〜」

釣られてビブラーバも笑って、改めて彼はここに居られることに、彼女に感謝するのだった。


「おや、なんだかいい顔してるね〜」

「晴れ晴れとした顔だね〜」

「はい、おかげさまで」

「なに?また内緒話?」

「ふふ、別に?なんでもないよ」

今日もこの店では、暖かい時間が流れている。


『命の交差点』・・・おしまい
 ▼ 276 ルーラ@カチャのみ 18/02/09 20:10:07 ID:7h/E9HHc NGネーム登録 NGID登録 報告
思ったxy サトセレだけど ポケモンのカプあるやんどれもが非公式だけどね
テルーナー→ピカチュウ
ゲッコウガ→テルーナー
ニンフィア→ホルビー
ヌメルゴン→テデンネ (唯一 本編終了後でも成立するカプです。)
 ▼ 277 aSS341n256 18/02/10 07:42:28 ID:z5aDfsSY [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
『ノゾマヌシンカ』(サーナイト♂・カポエラー♀・アゲハント♂・ミノマダム♀)

トレーナーにゲットされたポケモンは、いつ何時もトレーナーに対し従順であらなければならないだろうか。

少なくとも、進化のような大事な意思決定は俺たちに委ねてほしいというのは、ポケモン側のわがままなのだろうか。

可愛らしい少女のようなキルリアの姿を嫌い、自分を見る周りの目を嫌って早くエルレイドになることを願った俺の願いは遂に叶えられることはなく、

俺はある時トレーナーを守るために発揮されるというすさまじい力を使って、

爆発した不満をぶつける形で自分の主を襲い、逃げ出した。


「起きたか、サーナイト」

「ごきげんよう。素敵な朝ね」

「ああ、おはよう」

数多くのポケモンはかつて野生で生きていたが、一度トレーナーのものとなったポケモンがその元を離れて外で生きていくのは、野生から離れていた時間が長いほど難しい。

そういったポケモン達の中には独自でコミュニティを作り、生活しているものも存在する。

ラルトスの時代に捕獲され、長い間主に仕えていたサーナイトは、自身の望まない形での進化をきっかけにその主と決別し、とある森をさまよっている時に出会ったアゲハントに出会いこのコミュニティに誘われた。

「どこいくの?」

「散歩だよ」

彼がこのコミュニティに合流してそれなりに経つ。

そこに暮らす仲間達とも打ち解けていないわけではなかったが、この場で暮らす彼にはどこか不満足気な様子が見受けられて。

「彼はきっと、トレーナーを嫌って出ていくことができなかったから」

「彼らの種族は進化前から、トレーナーに対し従順な種とされているからなぁ」

「未だにその時のことを、迷っているのね。正しかったのか」

この場でも中心的な存在であったアゲハントとミノマダムは彼のことを心配していた。

今でも時々主のことを思い出しては寂しそうな素振りを見せるサーナイトの歪な状態の心を。

「いっそ嫌ってしまえば楽なのにねぇ。いまさら戻れるわけでもあるまいし」

敬愛していたトレーナーのことを、見限ってしまえるほどにサーナイトは貴婦人のような自身の姿が屈辱的で、

自分の思いを聞き入れてくれなかったその出来事があまりにショックで。

このような行動に移したのには少なくとも衝動的な原因もあり、タイミングが悪かったところもあって、冷静になって考えるとまた違ったのかもしれないなど、考えては空しくなるだけで。

「・・・はぁ」

テレポートを使って、不意に主と歩いた思い出の地へ赴いてしまう。

来るたびに切なくなって、やるせない気持ちになることは分かっているのに。

「な〜にしてんだろうな、俺は」
 ▼ 278 aSS341n256 18/02/10 07:57:09 ID:z5aDfsSY [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「どいてください!!」

「ん?うわっ!?」

突如、走ってきたポケモンに激突され、のけぞるサーナイト。

「なんだ・・・カポエラー?」

目の前で倒れているのは格闘タイプの少々珍しいポケモン。

「逃げたぞ!追え!」

「そこだ!!」

「!!」

その後ろからガーディやポチエナ、ジグザグマなんかの捜索に優れたポケモンを連れた人間が追ってくる。

「お前、あいつらから逃げてるのか?」

「はい!もう来てる・・・ごめんなさい、ちょっと」

「じゃあ捕まってろ!!」

ひとまず追っ手からカポエラーを逃がすために、サーナイトはテレポートを使いカポエラーごと自分達が暮らす森へとワープした。


「ありがとうございます。助かりました・・・」

「頃合いを見てまた戻ろうか」

「いえ、別に。あの場に居る必要もないので・・・」

「・・・どうしたんだ?訳ありだったみたいだけど」

アゲハントたちのところへ戻る前に、サーナイトはカポエラーが人間たちから来ていた理由を聞いた。

咄嗟の判断で逃がしたとはいえ、事情が事情なら彼らの元へ連れ戻さないといけない。

だが、カポエラーが話した事情は予想のはるか上を超えていて。

「・・・私、♀なんです」

「そうか・・・♀?お前、カポエラーだよな?」

「はい・・・」

カポエラーの進化前、バルキーは♂しか発見されていないポケモン。

故に目の前のそのポケモンが♀であるわけがなかったのだが。

「研究者たちの実験や、遺伝子操作の影響で私が生まれたらしくて。数々の試行錯誤の上の研究の成果、それが私なんです」

存在するはずのない個体。

人為的に促された、あまりに歪な種の進化の結果。

それが彼女の正体であった。
 ▼ 279 aSS341n256 18/02/10 08:13:56 ID:z5aDfsSY [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ひどい、そんなことが・・・」

「全く、人間ってやつは本当に自分勝手なもんだ」

サーナイトは、彼女を自分たとのコミュニティへと勧誘した。

研究者から存在を狙われる彼女を匿うことは、ともすれば自分たちの暮らす森に危険を呼ぶかもしれなかったが、

「安心してくれ、カポエラー。この地には、人に捨てられたり、人から逃げてきた奴がたくさんいるんだ」

「まあ、あなたほど壮絶な過去を持ってる人はいないだろうけどね・・・よく逃げて来たわね」

彼女を受け入れないような心の狭い者は、ここにはいなかった。

「みんな少なからず心に傷を負ってここにたどり着く。助け合って生きてるんだよ」

「俺たちは家族みたいなもんだと思ってくれていい。これからよろしくな」

「家族みたいなもんって、あんたらは本物の家族・・・」

「今それは関係ないでしょ!」

研究成果物としてしか見られず、監禁と実験の日々から逃げだし、逃避行の日々であったカポエラーは、遂に安息の地を見つけることができた。

「・・・ありがとうございます・・・」

「おいおい・・・泣くなよ」

彼女の人生を今までよりいい方向に帰ることができたサーナイトは、自分の心が少し軽くなっていたことに気が付いていなかった。


「ケムッソってポケモンは、進化するとき初めて将来アゲハントかドクケイルになるか決まるんだ」

「進化の分岐はよくありますが、誰にも選べないのはケムッソ種くらいのものですよね」

「ああ。ドクケイルが欲しかったあいつは、カラサリスに進化した俺をあっさり捨てていったよ」

あっさりと悲痛な事実を告げるアゲハントは、そんな過去などとっくに乗り越えた様子で、共に聞いていたサーナイトは改めて彼の強さを思い知る。

「マルユドだって野生でよくみられるんだからよ。最初っからそいつを捕まえればよかったんだ」

同時に、彼がひどく人間を軽蔑していることも。

「まあいいじゃない。そのおかげで私と出会えたんだし」

ミノマダムが彼をなだめる。

二人がこの森で出会い、恋に落ちたのが言わばこのコミュニティのルーツだった。

「私も最初はこの姿が嫌いでね。綺麗なくさきのみのに進化したかった。それでトレーナーの元から逃げてきたの。まあ、あいつのことは元々好きでもなかったし、今は嫌いだけど」

ミノマダムが桃色の体を見やりながら言う。

「この人がいいと思うって言ってくれたから、今はこの姿が好きなのよ?」

「なんだか、素敵な話ですね」

カポエラーは目を潤わせながらその話を聞いていた。
 ▼ 280 aSS341n256 18/02/10 08:28:34 ID:z5aDfsSY [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
俺は、そう好きにはなれないな。

内心サーナイトはそう毒づく。

今までこの姿を憎んでやってきたんだ。

誰かに、そんな風に言われても、寧ろ嫌な気さえするかもしれない。

「サーナイトさんはどうやってこの場に?」

夜になって一人寝転んでいるとカポエラーがやってきて、そう聞いてきた。

アゲハントたちの様に、自分の来歴を人に話すのがサーナイトは苦手だった。

話すたびに、主のことを思い出すから。

「・・・ミノマダムと似たようなもんさ。エルレイドになりたかったのに、聞き入れてもらえなかったから、捨ててきた」

「分かります、エルレイドってカッコいいですもんね」

カポエラーから帰ってきた言葉が同意で、想定していたものとは違ったので、サーナイトは少し面食らう。

「私も、バルキーの頃に施設を逃げ出して、いずれ進化するときはこの姿がいいなって思ってたんです。まだちょっとは女の子っぽく見えるかなって」

「そうか」

「まあ、エビワラーでもまだましだけど、サワムラーなんてもう最悪。全く可愛げがないんだもの」

「サワムラーに聞かれたら怒られそうだな」

「♂ならいいんですよ?カッコよくて」

バルキー種も自分たちと同じように、複数の進化先を持つポケモンだ。

本来♂しかいないのだから気にする必要もないことだが、確かにサワムラーの姿で♀というのも似合わないような気がした。

「でも、私たちの進化先の決定って独特なんです。攻撃能力が高いか、防御能力が高いか、それとも同じか。自力では今の自分の能力なんてなんとなくしかわかんないから・・・」

「望み通りになれて、運がよかったな」

「はい!」

カポエラーへの進化条件は進化時に攻撃、防御共同じであること。

偶然であったとすれば、かなりラッキーだったように思う。

「・・・姿も変わったから、しばらくは見つかる心配もないと思ってたんですけど・・・性別のせいで、あいつらには一発で分かるみたいですね」

「・・・まあ、また襲ってきたら俺が守ってやるさ。テレポートがあれば一発だろ」

「そうですね・・・」

なりたい自分になれなかったサーナイトは、自身の行動の理由を彼女に求めた。

いずれで会う彼女を人間たちから守るために、自分は主を捨てたのだ。そう思うことで、彼はひとまず、自分の過去に対し折り合いをつけることができたのだ。


「ノゾマヌシンカ」・・・おしまい
 ▼ 281 リル@チイラのみ 18/02/10 08:41:10 ID:zLnQ568A NGネーム登録 NGID登録 報告
素敵な話で感動しました ありがとうございます
そういえばバルキー種って♂だけなんでしたね 失念しておりました すみません
 ▼ 282 ポエラー@もののけプレート 18/02/10 09:52:04 ID:D8z72VxE NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
イッチは作家になりなよ
 ▼ 283 aSS341n256 18/02/10 14:13:15 ID:z5aDfsSY [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
『冬のアナタ』(グレイシア♂×サンダース♀)

僕は冬が嫌いだ。

「う〜・・・なんでこんなに寒いの?」

全身の毛を逆立ててブルブルと震えている彼女は少し可愛いと思うのだけれど。

「そんなに震えるほど?」

「近づくな!あんたの体って見てるだけで寒いんだよ」

「ひどいな・・・」

こうして近づくだけで彼女に怒られてしまうから、冬は嫌いだ。

「はぁぁ・・・ブースター暖かい〜」

「くっついていいからせめて毛を逆立てるのやめてくれない?刺さって痛いよ・・・」

「・・・・・」

「そ、そんな怖い顔で見ないでよ・・・」

「なに?嫉妬?見苦しいな、いいんだよだろ女同士なんだし」

この季節になると炎タイプの友達にこれ見よがしにひっつくから嫌いだ。

「うう・・・こうも寒いと手がかじかんでダメね・・・そう思わない?ルカリオ」

「・・・手、つなぐか。少しはマシになるだろ、サーナイト」

「フフ、冬になるとあなたが手をつないでくれるから、私冬って結構好きよ?」

街中に出るとカップルたちがこれ見よがしに手をつないで歩いているのを目にするから、冬は嫌いだ。

僕自身は全く寒くないのだけど。

「いいなぁ、氷タイプだったら冬の寒さも平気なんでしょ?」

「平気なのもいいもんじゃないよ、リーフィア」

「どうして?僕がグレイシアだったら雪の中も元気に駆け巡って、雪だるま作ったり足跡つけて笑ったり!いつまでもいつまでもそうして楽しむのになぁ!」

友達も冬の僕の孤独を分かってはくれないから、冬は嫌いだ。

「今日は鍋にすんぞ!冬はあったかい料理に限るぜ!」

「・・・一昨日も鍋じゃなかった?」

「昨日は違うかっただろ!鍋なんて味がちがけりゃべつもんだ!毎日鍋でもいいくらいだぜ!」

彼女がやけに鍋を食べたがるから冬は嫌いだ。

別に鍋は嫌いじゃないけど、飽きても飽きても鍋だから嫌いだ。

夜眠るときも、露骨に距離を取られて寂しいから、

僕は冬が嫌いなのだ。
 ▼ 284 aSS341n256 18/02/10 14:25:15 ID:z5aDfsSY [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・・・・」

「サ、サンダース・・・?」

何かあった?とブースターが問いかけるのも無理はないくらい、グレイシアはどこかムッとした様子で。

冬で寒いからといって少し邪険にしすぎたかなと思わなくもないサンダースだったが、

それでも寒いものは寒いわけで。

「あいつが氷タイプなのが悪いんだ」

「夏になるとベッタリ甘える癖に」

「うるせぇな!!」

二人が交際を始める前からブースターは二人の友達だが、

夏になるとサンダースがグレイシアを欲して距離感が近くなる。

冬になるとその対象が自分になるのだが、男の子にとってベッタリ甘えてくるサンダースの破壊力は計り知れないものなのだろう。

気が強くてやんちゃで、そんな彼女がトロンとした目つきで甘えてきて、はなれようとすると抱き着いて逃してくれない。

おっきな赤ちゃんと表現するのがピッタリなような、そんな状態のサンダースに、

グレイシアは見事にやられてしまって。

無理もない勘違いから始まったグレイシアのアプローチだったが、意外とサンダースもまんざらではなかったようで、その秋ごろに二人は交際を始めた。

だからこそブースターは心配だった。

自分の場合は「ブースターは別にそこまで暑苦しいタイプでもないから」と夏になっても拒絶されることはなかったが、

グレイシアが冬になって恐らく扱いを変えるであろうサンダースに耐えれるか、それがブースターの懸念点だった。

一年目でも大分応えていたようだが、それでもサンダースの方が割と気遣った甲斐もあって乗り越えた。

再び夏のデレ期を経て、二度目の冬。

「・・・結構ヤバいかもなぁ」

グレイシアの方はかなり不満気で。

サンダースも交際生活に慣れたためか去年に増してグレイシアの扱いがぞんざい。

二人の間に挟まれるような恰好のブースターは、なんとか二人の仲を修復したかったが、

「難しいんじゃない?私もこの時期彼と仲良くしようとは思わないし」

「な、何かいい案はありませんかね・・・」

「難しいわね」

「ううう・・・」

頼りにしている博識のエーフィもグレイシアを切って捨てる始末。

お人好しのブースターはグレイシアのことが気の毒になってきてもはや涙目である。
 ▼ 285 aSS341n256 18/02/10 14:36:42 ID:z5aDfsSY [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・ま、どっちにせよ」

そんな彼女を見かねたエーフィが言う。

「自分の力で乗り切らなきゃね。グレイシアの気持ち次第でしょ。サンダースが彼のことを嫌いになったわけではないのだし」

「そっか・・・そうだね!」

何の解決にもなってはいないのだが、それでもエーフィの言葉にブースターは元気を取り戻すのだった。


「彼女が相手してくれない〜?」

「うん・・・」

「そんなこと私に言われても、どうしろっていうのさ!!」

「まあそうなんだけど・・・」

まっとうな言葉を返すのはグレイシアに相談されているニンフィア。

彼女もグレイシアの容姿を見てまた震え上がっているのだが、彼の深刻な表情を見てそのまま切り捨てるのも良心がいたんだので、話を聞くだけ聞いてやることにしたのだ。

「どうしたらいいでしょう・・・」

「そうだなぁ・・・だって、君、冷たいし」

「冷たいけど!」

「冷たくなくなればいいんじゃない?」

「んな無茶な・・・」

グレイシアに進化した瞬間から、彼はずっと冷たいまま。

ある程度コントロールできるといっても、高くするのは無理であって。

「でも、ほら、例えばこれとか!」

ニンフィアは自らが持っている防寒具を取り出し、

「手袋・・・っていうか、足袋?わかんないけど、これ使えば」

「それでなんとかなるかな・・・」

「何もしないよりマシでしょ!あとは気持ちよ!!」

少しばかりの策とそれを覆う感情論。それがニンフィアがグレイシアに授けた策。

「帽子被って服着て手足を覆って、それで好き好き大好き〜!!って言えばサンダースもきっと気持ちを受け止めてくれるよ!!」

「ほ、ほんとかなぁ」

「仕方ないから一緒に服選んであげるね!」

グレイシア自身は寒くなどないので自身の体を装飾する服装など持っていなかったが、

ニンフィアの勧めで初めてのオシャレな買い物を試みた。

こうして着飾った彼の姿が少しラブリーに仕上がったのは、ニンフィアの趣味が多大に影響したためである。
 ▼ 286 aSS341n256 18/02/10 14:50:05 ID:z5aDfsSY [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ただいま」

ニンフィアと別れ、その恰好のまま帰ってきたグレイシア。

「・・・おかえり・・・!」

帰ってきたグレイシアの方を見もせず返事をしたサンダースであったが、一目彼の姿を見た際には流石に驚く。

「な、なにその恰好」

「ニンフィアに勧められて。これで少しは暖かいかなって」

「ぜんっぜん似合ってないね」

「なっ・・・」

ブースターに注意されて少し落ち込みムードのサンダースは、八つ当たりのようにグレイシアにきつくあたるが、もちろんそれではいけないことは彼女が一番わかっていて。

「勧められてって、そもそもなんでそんな流れになったのさ」

「冬になるとサンダースが全然相手してくれないからさ。これなら手をつないでも冷たくないでしょ?」

一方のグレイシアの方は臆せずサンダースにアタックを続ける。

「私と手繋ぎたいがためにそんなかっこしてんの!?」

「まあ、そうなるね」

「・・・バカだな・・・」

お前が好きだ、という気持ちを隠そうともしない様子のグレイシアにサンダースも恥ずかしくなってきて。

「・・・ああ、もう脱げ!見てるだけで恥ずかしい!!」

「えっ?」

結局はサンダースもグレイシアのことが好きなのだ。最近かまってやれなかったことを悪くま思いながらも素直になれないサンダースは勢いのままに彼をまくしたてる。

「私がお前に似合う感じのやつ見繕ってやるって言ってんだよ!ほら行くぞ!!」

「!!・・・うん!!」

「あ、その足のはそのままにしとけ」

「これを?」

「・・・繋ぐんだろ?」

そう言って前足を差し出す彼女の顔は真っ赤でとても寒そうには見えず、

そんな様子のサンダースのことを愛おしく思いながら、グレイシアは少しだけ冬が好きになれたのだった。


『冬のアナタ』・・・おしまい

 ▼ 287 スモウム@びっくりこやし 18/02/10 18:49:48 ID:JJAhS6yQ NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援!
 ▼ 288 aSS341n256 18/02/11 07:48:16 ID:sjsr9k76 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
『シンカノゾンデ』(ピカチュウ♂・イーブイ♀・サマヨール♂・ラッキー♀)

「いくよ!ピカチュウ!!」

トレーナーの声が響く。

目の前には消耗したサマヨール。

捉えきれるか否かといったところで、切り札を使うトレーナーの語気も強まる。

「ひっさつの!!ピカチュート!!!」

Zエネルギーを秘めた一撃がサマヨールに炸裂。

砂煙が起こり、少しの間緊張がその場を支配して、

「・・・サマヨール戦闘不能!ピカチュウの勝ち!!」

自身の勝ちを告げる審判の声に喜び、相棒を抱き上げるトレーナー。

だが、肝心の相棒本人の心は穏やかではなかった。


「僕はずっと、ピカチュウのままなのかな・・・」

サイコキネシスを操りフワフワと浮いて宙を舞うように華麗に戦うライチュウ。

ピカチュウはそんなライチュウの姿に憧れていて、バトルの腕を磨いてきたのもトレーナーの元に現れたのも、全てはその瞬間のためだった。

トレーナーは自分のことを愛してくれて、バトルでも重用してくれたが、

「・・・こんなの・・・」

彼がピカチュウに持たせたのは、自身の種のみが扱えるZクリスタル。

究極の秘儀を放つためのその道具が、今のピカチュウにはとても忌々しく見えた。

こいつが、僕をこの姿に縛り付けているんだ。

全て、こいつのせいで・・・!

「こんなものがあるから!!」

ふとサロンの方を見ると、バトルを終え、休憩しているポケモン達の中に先ほど戦ったサマヨールの姿があった。

「やめてよ、サマヨール!!」

「こんなものがあるから、俺は!俺は!」

彼を最も活かすとされる道具、「しんかのきせき」を投げ捨て、何度も何度もそれにあたるサマヨール。

彼をなだめるラッキーの声もまるで聞こえていないようで。

「ヨノワールになれたら、俺がヨノワールならもっと多様な戦法が使える。鍛えた体を活かした攻撃だってできるんだ!!こんなものがなくたって、俺は強いんだよ!!」

そうか、彼も道具に縛り付けられて、望んだ姿になれずにいるんだ。

ピカチュウは先ほどまで敵として向かい合った相手に深く共感を覚えた。
 ▼ 289 aSS341n256 18/02/11 08:02:11 ID:sjsr9k76 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「しんかのきせきを壊したって、主さんはまた新しいそれを用意するだけよ!!」

悲痛な声でラッキーが言う。

「それに、私たちにはそれが必要なの!!そういう風に育てられたんだから!!」

「け、けどよぉ!!」

「あんまり妙なことすると、捨てられるかもしれないのよ!?私を置いてどっかいくなんて、そんなの嫌よ!!」

ラッキーがバトルで使用する道具もきっとしんかのきせきだろう。

それなら二人はバトルの出場の枠を競合するライバルのような存在だろうか。

それとも同じ悩みを共有する有人、恋人かもしれない。

ラッキー自身はサマヨールの悩む様子を見て、トレーナーになつくことができずにいるのかもしれないな。

ピカチュウはそんなことを一人考えながら、やはり、と思うのだ。

トレーナーとポケモンなんて、所詮は支配と隷属の関係。

僕らの思いなんて、彼らはお構いなしなんだ。

「くそぉ・・・くそぉ!!」

「サマヨール・・・」

遂には力なく崩れ落ちて涙を流すサマヨールの、背中をさすってやるラッキー。

彼女の顔もとても悲痛で、彼らのトレーナーはどこまで彼らの気持ちを理解しているのか、それを思うと胸が痛くなるだけだった。


「イーブイ!ナインエボルブースト!!」

今日もまた、ピカチュウはZ技を武器に戦っていた。

今日は先鋒で出場し、一体を必殺の一撃で倒したあと、自身も相手の攻撃ではかなく倒れた。

進化していれば、この耐久力の低さも補えるのに。

相手の攻撃を受けてあっさりと倒れてしまう現状が情けない。

そうして、ボールの中からバトルの様子を見ていたところ、相手が繰り出したイーブイに何故か目がひかれた。

Z技を繰り出して、バトンタッチで帰っていって、後続につなぐ。

それだけの役割。

結局そのバトルは、イーブイの能力を引き継いだ相手のエースが戦い抜き、ピカチュウたちは敗北した。

イーブイはチームの勝利を心から喜んでいるようだ。

「彼女は・・・あれで満足なのかな・・・」

進化こそがすべて、なんて考え方はもちろん自分のエゴだと思うが、それでもとピカチュウは思うのだ。

いわば引き立て役のような立場に甘んじて、

進化すればもっとチームの核として戦えるのではないか。
 ▼ 290 aSS341n256 18/02/11 08:13:17 ID:sjsr9k76 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「お疲れ様!」

「き、君は・・・」

サロンで休憩中、話しかけてきたのはイーブイの方だった。

「・・・何か?」

「君のこと気になっちゃって」

彼女は気さくに笑ってピカチュウの隣に腰かけた。

「気になるって、どうして」

「だってずっと私の方見てるんだもん」

気づかれていたのか、と少し恥ずかしがるピカチュウの横でそんなに可愛かった?なんてイーブイは冗談を言いながら彼を和ませる。

「・・・なんか、君のバトル見ててさ、凄い悩んでるみたいだったから」

その顔が真剣になったのが、本題に入った合図。

ピカチュウは遠慮せずに、自分の悩みを打ち明けた。


「アハハハハハ!!そんなこと〜?」

「なっ・・・」

真剣に聞いてくれると思っていたイーブイは、話を聞いて思いっきり笑って茶化してきた。

「なんだよ!僕はこれでも本気で・・・」

「ごめんごめん〜」

思わず怒るピカチュウをイーブイはなだめて、

「だって、いや、そうだな・・・そんな悩まなくてもいいじゃん!」

と軽い感じで返す。

「イーブイは思わないの?進化したいなって」

「昔は思ったけどね」

ピカチュウの疑問にイーブイは答える。

「だって、私には8通りの可能性があるし、どれになろうかって考えたこともあったけど・・・」

でもね、と彼女は笑顔で続ける。

「ご主人様が私にしかできない役割を託してくれたから、そう思ったら進化なんてしたくなくなっちゃった!」

「そんなに好きなんだ、トレーナーのこと」

「あったりまえじゃん!!」

まるで考えることが丸々違っているようで、ピカチュウは面食らう。

当たり前にトレーナーのことが好きだなんて、自分はとても言えない。
 ▼ 291 aSS341n256 18/02/11 08:25:38 ID:sjsr9k76 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「君だってそうでしょ?」

「まさか!」

そう考えていたからこそ、イーブイの次の言葉には過剰に反応してしまった。

「初対面の君になんでそんなこと分かるのさ!」

「分かるよ〜!だってさ」

イーブイの方も引かない。

「だって、Z技っていうのは、トレーナーとポケモンがお互いを思いやって初めてその真価が発揮されるんだよ?」

「思いやって・・・?」

「あんなにすごい技が打てる君が、トレーナーさんのこと嫌いなわけないでしょ?」

ピカチュウは思い出す。

彼にゲットされた時のこと。

共に戦い、強くなるのを実感したこと。

大事なバトルで活躍して褒めてもらったこと。

勝利の喜びを共に分かち合ったこと。

逆に、負けて悔しかった時、涙をこらえて僕らを労ってくれたこと。

Z技を習得したその瞬間も、大はしゃぎでまるで自分のことのようにで喜ぶ彼の様子を見て、

自分自身もとても喜んだことも。

「そりゃ、まぁ・・・」

進化にこだわってきた自分ではあったけど、

「嫌いじゃ、ないけどさ・・・」

本当は、彼以外のトレーナーと戦いたいなんて思わなくて。

支配と隷属の関係なんかじゃなくて、彼はちゃんと僕らのことを仲間、友達として見てくれている。

「嫌だったら逃げちゃえばいいんだしね」

彼女の不意の一言に、恐ろしくなる。

逃げる?僕が?彼の元を離れるのか・・・?

「絶対に嫌でしょ?」

想像しただけでも顔が青くなったピカチュウは、その心をイーブイに読まれて今度は赤くなる。

「っ、完敗だよ完敗!!もう・・・」

「ふふふ、悩みは解決した?」

敵わない、と白旗を上げるピカチュウに対してイーブイは変わらぬ笑顔で問いかける。
 ▼ 292 aSS341n256 18/02/11 08:33:27 ID:sjsr9k76 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「うん・・・おかげさまで」

少しムスッとしながら、ピカチュウはうなずいた。

「素直でよろしい!」

フフッっと笑ってイーブイはトレーナーの元へ帰っていく。

「・・・なんか、ありがとう」

少しは悔しくもあったが、それでもとピカチュウは礼を言うと、

「カッコよかったよ!きみのZ技!」

また会えたらいいね、なんてウィンクしながら言って、イーブイは去っていった。

「・・・・・・」

「お待たせ〜ピカチュウ!」

不覚にも可愛いなと思って、顔は赤いままのピカチュウの元に自身のトレーナーがやってくる。

「・・・ピカチュウ、なんかご機嫌?いいことあった?」

僕がご機嫌?まさか、どこ見てるんだよ。いいことなんて何もなかったよ。

・・・全く、ちゃんと見ているもんなんだな。

「え、な、なに〜?今日はやけに素直だね!!」

いつものように抱き上げられると、今日ばかりはピカチュウは自分から甘えてみた。

過剰なスキンシップがいつもよりさらに過剰になっても、彼はそれが少し心地よかった。


『シンカノゾンデ』・・・おしまい
 ▼ 293 レベース@しろいハーブ 18/02/11 11:56:10 ID:5zUudu7c NGネーム登録 NGID登録 報告
ジュプトル×色セレビィ
ポケダン
 ▼ 294 ワパレス@もえぎいろのたま 18/02/11 12:13:43 ID:hYdsBEGk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
アロライZの方が強いという悲しみの事実を知ったらこのピカチュウどうなっちゃうんだろう……

支援
 ▼ 295 ミロル@ラブタのみ 18/02/11 12:24:11 ID:80JZK4rc NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シエンネ
 ▼ 296 カリオ@ドラゴンのホネ 18/02/11 15:42:27 ID:Bl/7147s [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
カントー地方 
ヒトカゲ♂×フシギダネ♀ 「ありがとうとえたくて」
ゼニガメ×ヒトカゲ 「旅立ちの日に!!」
フシギダネ×ゼニガメ 「同じ町にて」 
ヒトカゲ×フシギダネ 「奈落の底」
リザードン♂×フシギバナ♀ 「チャンピオンシップでの対決」
ジョウト地方
チコリータ♀×ヒノアラシ♂ 「突然の別れ」
ヒノアラシ♂×ワニノコ♀ 「闇の世界で」
メガニウム♀×マグアラシ♂ 「激突!正義と悪」
ホウエン地方
キモリ♀×アチャモ♂ 「同時期旅立ち」
ミズゴロウ×アチャモ 「バトルの合間に?」
メガジュカイン♀×メガバシャーモ♂ 「ホウエンリーグ決勝戦 ライバル対決 メガバトル」
 ▼ 297 ラミドロ@ハンサムチケット 18/02/11 16:22:43 ID:.Mj4vNIQ NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>296
そこまで思い浮かぶなら自分で書けばいいんじゃないかと思ってしまったぜまる。
 ▼ 298 ュワワー@ヒウンアイス 18/02/11 16:41:04 ID:u1UFhG02 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>296
多すぎじゃ?
 ▼ 299 ジロック@ジャラランガZ 18/02/11 20:59:39 ID:fIlyFELA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>296
さすがにイッチが持たない…
 ▼ 300 ンシグラードン@アクZ 18/02/11 21:15:29 ID:guk1vias NGネーム登録 NGID登録 報告
>>296
それに、他の人のリク順番も回ってこない…;;
 ▼ 301 216 18/02/11 21:24:39 ID:Bl/7147s [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>296
本命のジョウト地方の三部作だけにする。
ツタピカでやろうかな スワップ企画またやってほしいな 次は参加者側で
このボツネタから選んで バトルは苦手アニメ風はね
 ▼ 302 メイル@かおるキノコ 18/02/11 22:25:59 ID:Yv8Xjqa6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
デンリュウ×クチートお願いします!
 ▼ 303 aSS341n256 18/02/12 01:05:54 ID:qfViBgTg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
・ちょこっとSS 『彼らのその後 ジュナイパー・ミミッキュ編』(>>37 『仮面』より)

「アハハ、またひっかかったね〜!!」

「全く・・・俺をからかうの、そんなに楽しいか?」

クールな割に驚かされることに滅法弱いジュナイパーはミミッキュにとっては格好の餌で。

彼がめがやすあとちで暮らすようになると毎日のように大小様々なドッキリを仕掛けていた。

ジュナイパーの反応が大好物のミミッキュはジュナイパーを驚かせてはとても楽しそうに笑うので、ジュナイパーの方もそんなミミッキュの様子を呆れながらも微笑ましく見ていた。

だが、元々負けず嫌いなジュナイパーはただやられているだけというのも少し癪で・・・

「・・・ミミッキュ?布の耳の辺り、どうしたんだ?」

「え?どうしたって?」

「いや、少し・・・ゴミか?なんが違和感が・・・」

この日ジュナイパーはミミッキュにささやかな仕返しを試みた。

「え、ゴミ?ちょっとよくわかんない・・・」

「取ってやるよ」

「うん、お願い」

耳にあたる部分に感じる違和感んて全くのウソで、無駄に自然な演技でミミッキュ近づいて、しゃがみ、耳の方に手を伸ばして・・・そのまま軽く口づけた、

「な、何!?」

「悪いな、少しそういう気分になって」

不意打ちに恥ずかしがるミミッキュの前でフフンと得意げなジュナイパー。

「・・・でも、ここ、口じゃないんだけど」

してやったりなジュナイパーの前で少し悔しいミミッキュは残念でしたと反撃を試みるが、

「なんだ?口元へのキスを御所望か?」

「なっ!?」

これがジュナイパーが一晩考えたキラーワード。

予想していた通りミミッキュは恥ずかしがって、

「ば、馬鹿言わないでよ・・・意地悪」

としおらしくなってしまった。

「全く、本当に可愛いやつだ」

シミュレーション通りにカウンターを決めたジュナイパーは優越感に浸り、その日一日いつになく御機嫌だった。

翌日以降、しばらくミミッキュのドッキリのレベルがひどく上がったのは言うまでもない。

〜おしまい〜
 ▼ 304 aSS341n256 18/02/12 01:10:51 ID:qfViBgTg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
【諸連絡】

多数の支援やリクエストありがとうございます<(_ _)>
とても更新の励みになってます。

諸事情や単純なリクエストの見落としなどにより、
リクエストいただいたテーマのSSの更新がされていなかったり、順番が入れ替わったりする場合があります。

また、視聴、プレイしていないポケモンの作品も多く、リクエスト内容に応えられていない場合がございます。

ご理解のほどよろしくお願いします<(_ _)>
 ▼ 305 ライガー@キズぐすり 18/02/12 01:41:48 ID:AU0TD9UA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>304
全部のゲームをプレイ、アニメを視聴してキャラを把握してる人なんていないし、無理せず続けてください
 ▼ 306 aSS341n256 18/02/13 12:15:08 ID:KIU.KkWE [1/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
『歪なボーイミーツガール』(バンギラス♂×ボスゴドラ♀)

「逃げろ!バンギラスが出た!!」

「巻き込まれるぞ!!」

バンギラス。災害ポケモンと呼ばれるほど乱暴で有名なポケモンで、野生の個体が暴れだすと簡単には沈めることはできない。

地響きを鳴らしながら歩く姿は怪獣そのもの、山があればそれを崩して住処にしてしまったりとやりたいほうだいのポケモンで、彼の噂を聞いた野生ポケモンたちは怯える毎日を暮らすことになる。

「なんだ?あれは・・・丁度よさそうな山があるじゃねぇか」

季節の移り変わりの影響で新しい住処を探していたバンギラスは、気に入った山を見つけてそれを崩すためにその山へ向かっていった。

長くてもそこに居座るのは半年、そのたびに一つ一つ山が崩されていくのだ。

「おい・・・あいつが向かってる山って」

「待ってくれよ、これじゃあどっちに転んでも地獄だぞ!!」


「・・・騒がしいと思ったら、お客さんがいらしたみたいだねぇ」

「ああ?なんだてめぇ」

意気揚々と山に足を踏み入れたバンギラスは、そこでとあるポケモンと相対した。

「ここはあたしの縄張りでねぇ、どんな理由があってもここに立ち入った奴は全員・・・」

「なんだてめぇ、やる気か!?」

ボスゴドラが動き出すより早くバンギラス攻撃を仕掛けようとする。

大きな攻撃のモーションをとって、大地を揺らす振動で相手にダメージを与える協力な範囲攻撃、地震を放・・・

「グボォ!?」

「叩きのめすことになっていてねぇ」

放とうとしていた無防備な瞬間にノーモーションで馬鹿力を叩きこまれたバンギラスはそこで昏倒。

その巨体を抱えて遠くに投げ飛ばし、ボスゴドラは何もなかったように山の見回りを再開した。


「わ〜!!何か降ってくるぞ!!」

「あれは・・・バンギラスだ!逃げろ!!」

「バンギラス!?なんでバンギラスが降ってくるんだ!?」

ドスン、と大きな音を立てて落下したバンギラス。

暫くは戦闘のダメージで立ち上がることもできなかったが、やがて自然治癒してノソッと起き上がり、

「あのアマ・・・俺のことコケにしやがって。ただじゃあおかねぇ!」

とリベンジを誓った。

 ▼ 307 aSS341n256 18/02/13 12:27:57 ID:KIU.KkWE [2/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おい!バンギラスがまたボスゴドラの山のところへ行こうとしてるぞ!!」

「おいおい!昨日派手に負けたって話じゃなかったか!?」

昨日のことがあり、気が立って立って眠れなかったバンギラスは、早速翌日にボスゴドラのところへ向かった。

「うるせぇぞてめぇら!!」

「ヒャー!逃げろ!!」

自分が手ひどく負けたことは周りの野生ポケモンにも広まっており、陰でコソコソとそのことを話されてとても気分が悪い。

睨みをきかし、怒号をあげ、遮る木々をなぎ倒しながらバンギラスはその山のところへたどり着いた。

「お迎えかよ」

「そんな派手な音をたてて来やがったら分かるってんだ。さ、また帰ってもらうよ」

「昨日は本気じゃなかっただけだ。お前なんて本気を出せばちょちょいのちょいなんだよ!!」

バンギラスはそう言って力を開放する。

メガシンカだ。

「見たか!これが俺の真の姿・・・何!?」

「真の姿が・・・なんだって・・・?」

勝ち誇ったように言ってボスゴドラの方を見ると、そちらも姿を変えていて。

「お前みたいな弱っちい奴にできてあたしにできないわけがないだろうが」

「っ、言わせておけば・・・!」

彼女の挑発に怒り心頭のバンギラスは早速攻撃を発動する。

昨日自身が喰らった馬鹿力だ。

「おっらあぁぁぁぁ!!!」

並大抵のポケモンなら恐れおののき、見ているだけでその場から逃げていくような勢いの一撃を、

「!?」

「こんなもんかい・・・」

ボスゴドラは何事もなく受け止めてみせる。

メガシンカしてタイプは鋼のみになり、さらに特性はフィルター、おまけに圧倒的な物理防御能力。これではバンギラスの攻撃は通らない。

更に、馬鹿力の発動には代償があって・・・

「さて、覚悟はできてんだろうね・・・?」

「なっ・・・!?」

ボスゴドラの体から異様なオーラが見える。

無防備なバンギラス相手に、今度はしっかりと構えをとって、渾身の一撃を放つ。
 ▼ 308 aSS341n256 18/02/13 12:37:40 ID:KIU.KkWE [3/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「グボハァァァ!!」

「馬鹿力ってのは、こうやって撃つんだよ」

もう二度と来ないように、この一撃で昨日よりもより威力のこもった一撃を放ったボスゴドラ。

自身の馬鹿力の代償で防御能力の下がったバンギラスには、死を疑うほどの強烈な一撃だっただろう。

昨日よりもさらに長い距離を、バンギラスは飛んだ。

「なんか降ってくるぞぉぉぉぉおお!!」

「あれは!バンギラスだ!!」

「バンギラスが!?なんで空から!!」

ズドオォォォォォン。

昨日よりも大きな音を立てて、バンギラスは落ちた。

昨日よりも長い時間、バンギラスは目覚めなかった。


「オッラァァァアアア!!!」

「グボァァァ!!!」

「もう二度とくんじゃねーぞ!!!」

それでも、次の日にバンギラスは来た。

次の日も、また次の日も、さらに次の日も。

そのたびにボスゴドラは馬鹿力を叩きこんで。

そのたびにバンギラスは空を飛んで。

「バンギラスが降ってきたぞぉぉぉおお!!!」

「ああ、もうそんな時間か」

「こいつも飽きねぇな」

流石に周りのポケモンも慣れる。

バンギラスのことを怖いと思うポケモンも減ってきた。

かといって自分がバンギラスと勝負するとなると、勝ち目がないので逃げていくのだが。

「バンギラスさん!バンギラスさん!」

「ああ!?なんだよ」

バンギラスの降ってくる森のあたりに暮らすヤヤコマはバンギラスに聞く。

「どうして、毎日毎日ボスゴドラさんに勝負を挑むのですか?」

「んなもん決まってんだろ。意地だよ。コケにされたまま終われねぇんだよ!!」

バンギラスの方は、当初の目的以上に妥当ボスゴドラに執着するようになっていた。
 ▼ 309 aSS341n256 18/02/13 12:46:44 ID:KIU.KkWE [4/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「往生せぇやボスゴドラぁぁぁぁあ!!!」

「ああ、もうそんな時間かい」

慣れた手つきでバンギラスをあしらうボスゴドラ。

だがボスゴドラの方はこの毎日の不毛なやり取りに少しうんざりしていて。

「まあ、落ち着けよ。もう何日目になるかも、お互い覚えてねぇだろ」

「16日目だよ」

「覚えてんのかい」

バンギラスの方はボスゴドラから受けた屈辱のその一回一回を明確に記憶していた。

一度たりとも、善戦に至ったことすらなかったが、その悔しさを糧にバンギラスは少しずつ、更に強くなっていた。

「じゃあ今日で17日目かい。もう半月も過ぎるし、あんたのことを知らない仲というのも最早無理があるね」

ボスゴドラはうんざりしながら、

「まあ座りな。少し話をしようじゃないか」

とバンギラスを諭そうとするが、

「おらぁぁぁああああ!!」

「だから効かねぇって言ってんだろ!!」

おかまいなしでメガシンカしてくるバンギラスにボスゴドラもしぶしぶメガシンカで対応する。

「分かったよ。とりあえずあんたの目的を効いてやる。なんだってこんなとこに来たんだい」

組み合いながらボスゴドラはバンギラスに当初の目的を聞く。

そもそもの発端を解決すれば、バンギラスがここに来ることもなくなるだろうと思ったからだ。

「この山を崩して俺の住処にすることだよ」

「聞けるわけねぇな!!」

「ゴフォッ!!」

だがバンギラスの目的は、ボスゴドラにとっては聞けるわけもない無理難題で。

初っ端から交渉決裂と相成った。

「お・・・俺だって今更譲歩してもらう気ねぇんだよ!てめぇを打っ倒して俺はこの地を手に入れる!!」

「そんなに打倒にこだわるなら、少しは特訓でもしてきたらどうだい!!」

「必要ねぇよ!!」

「必要あるだろ・・・」

強情なバンギラスに呆れ、ボスゴドラはこの日も実力行使でバンギラスを打ち飛ばすのだった。
 ▼ 310 aSS341n256 18/02/13 12:56:26 ID:KIU.KkWE [5/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「バンギラスさん!バンギラスさん!」

「なんだよ」

「かれこれ1月くらいあの山に通っていますよね?」

「もうそんなになるか・・・」

バンギラスが空を舞い、大きな音を立てて森に落ちる異様な風景ももはや日常と化していて。

「ボスゴドラさんを倒すまで続けるんですか?」

「たりめーだろ!!」

威勢よく、この日もバンギラスはボスゴドラの居る山へと向かっていく。

「あれは、なんなんでしょうね・・・殴り愛?」

いつの日からかこっそりボスゴドラの住む山の上空で二人の様子を見ていたヤヤコマは、次第に向かい合うバンギラスとボスゴドラが楽しそうになっていく変化を見抜いていた。

「今日は少し遅かったじゃないかい」

「ああ?いつ来ようが俺の勝手だろうが」

「それもそうだね。じゃあ、今日も帰ってもらうとしますかね!」

「今日こそは俺が勝つ!!」

二人同時にメガシンカを発動し、バンギラスの攻撃をボスゴドラが耐え、返す刀でバンギラスが飛ばされる。

今日もまた、こうしてボスゴドラの連勝記録が伸びた。

「うーん・・・ちょっとずつ打撃が重くはなってるんだけどねぇ」

ボスゴドラはもはや、バンギラスの成長を少し楽しみにしている節もあった。

来訪の時間がいつもから遅れると心配している節もあった。

あまりにバンギラスが毎日通うせいである。

ボスゴドラの方も攻撃力は日に日に増していて、バンギラスが飛ぶ距離も日に日に伸びていく。

周りのポケモン達からはた迷惑でしかなかったが、その様子を一人だけ見ているヤヤコマは彼らの心境の変化をなんだか微笑ましく思うのだった。

「それでも、まだしばらくはこんな毎日が続くんでしょうねぇ」

今日も明日もバンギラスは、変わらず空を飛んでいる。


『歪なボーイミーツガール』・・・おしまい
 ▼ 311 トモシ@きんのたま 18/02/13 18:56:00 ID:Zd0aF0pQ NGネーム登録 NGID登録 m 報告
バンギ×ボスゴをお願いしたものです。
書いてくださりありがとうございます。
無理しない程度で頑張ってください。
 ▼ 312 aSS341n256 18/02/13 21:33:54 ID:KIU.KkWE [6/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
『バレンタイン・デ・アローラ』(カプ・コケコ×カプ・テテフ)

テテフ「コーケコ!」

コケコ「テテフ・・・来てたのか。なにか用事か?」

テテフ「まあ、そんなところ!」

コケコ「どうした?アーカラによくないことでもあったのか?」

テテフ「いいや?いたって平穏よ。そういう用事じゃないの」

コケコ「あまり不用意に島をあけるなよ」

テテフ「釣れないな〜」

コケコ「で、用事ってのは」

テテフ「まあまあ、そんなに急ぎなさんな!メレメレに来ることなんてそんなにないから、ちょっと回りたくて」

コケコ「回る?」

テテフ「どっか連れてってよ!お勧めのスポット〜とか」

コケコ「・・・あのなぁ」

テテフ「嫌だって言っても帰らないからね!!」

コケコ「強情なこった。メレメレなんて、お前んとこに比べてなんもないぞ」

テテフ「そんなことないでしょ?」

コケコ「・・・お前が行ったことないところなんて、連れていくようなところねぇ」

テテフ「それでも別にいいよ。そうだなぁ、じゃ、まずはメレメレの花園とか!」

コケコ「・・・そうか」


テテフ「ここはいつ来ても綺麗ね〜・・・」

コケコ「まあ、な」

テテフ「アブリーやオドリドリ達も、のどかで幸せそう!」

コケコ「お前も・・・花とか見て綺麗だとかおもったりすんのな」

テテフ「当たり前でしょ!寧ろそういうキャラだと思うんだけど!」

コケコ「まあ、それもそうだろうが。わざわざこんなところに来たいなんて言うようなやつだったかと思ってな」

テテフ「失礼ね〜・・・」

コケコ「悪い悪い」

テテフ「・・・・・」

コケコ「・・・・・」
 ▼ 313 aSS341n256 18/02/13 21:46:51 ID:KIU.KkWE [7/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
テテフ「・・・夕日がきれいね」

コケコ「お前今退屈だろ」

テテフ「そ、そんなことないよ〜」

コケコ「花園見て綺麗だな〜でお前が満足できる時間、持って10分くらいだろ」

テテフ「言いがかりだよ!後・・・えっと・・・9時間半くらいは大丈夫だよ!」

コケコ「あとちょっとで日またぐくらいじゃねーか」

テテフ「分かった!分かったよ!じゃあテンカラットヒルに行きましょう!」

コケコ「テンカラットヒルだぁ?」


テテフ「・・・・・」

コケコ「満足したか?」

テテフ「いやぁ、やっぱり登山っていいものですね」

コケコ「登山も何も、浮いてんだからねーだろ」

テテフ「見て!コケコ、パッチールがいるわ!」

コケコ「まあ、この付近でよくみられるな」

テテフ「パッチールは一体として同じ模様の個体が存在しないらしいわよ?」

コケコ「へぇ・・・」

テテフ「本当かしら。同じ個体がいないか探してみましょうか!」

コケコ「やめろ、パッチール達が可哀そうだろ」

テテフ「見て!ハート模様のパッチールよ!可愛い!」

コケコ「困ってるだろ!やめろ!」

テテフ「違うわ、照れてるのよ。この娘♀なのね、可愛いって言われて嬉しいのよ」

コケコ「はぁ?」

テテフ「コケコってば、女心が分からなさそうだから」

コケコ「ちっ・・・もういいだろ、いくぞ」

テテフ「うーん・・・後6時間くらいか・・・」

コケコ「なに?なんかいったか?」

テテフ「何も!次はビッグウェーブビーチに行きましょう!」

コケコ「なんだよ、次から次に」

テテフ「よーし、レッツゴー!」

コケコ「全く、元気な奴だ」
 ▼ 314 aSS341n256 18/02/13 21:56:36 ID:KIU.KkWE [8/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
テテフ「うーん・・・海だぁ〜!」

コケコ「まあ、海だろうな」

テテフ「これが潮風・・・気持ちいいわ・・・」

コケコ「海くらいアーカラにもあるだろ」

テテフ「これがメレメレの海なのね・・・」

コケコ「何が違うんだ。全然分かってないだろ」

テテフ「陽も完全に沈んじゃって。夜の海ってきれいだと思わない・・・?」

コケコ「まあ、それには同意するが」

テテフ「ねぇコケコ」

コケコ「なんだ」

テテフ「えいっ!」ピチャンッ

コケコ「なにすんだ」スッ

テテフ「避けるの!?普通こういう時は避けないでそのままやり返すものでしょ!?」

コケコ「だれが夜の海でそんなお約束するんだよ」

テテフ「私はするわ?」

コケコ「お前なぁ」

テテフ「コケコって、普段は好奇心旺盛な感じなのに、私にはちょっと冷たいわ」

コケコ「お前のことは大抵知ってるし、知ってるものに好奇心も何もないだろ」

テテフ「だからメレメレにいる時は大人しいのね」

コケコ「メレメレのことも勝手知ったるからな。別に目新しいこともねぇし」

テテフ「あのカントーから来たとかいう男の子のことを気に入ったのも、珍しかったからでしょ〜」

コケコ「・・・さぁな」

テテフ「・・・それにしても、静かね」

コケコ「夜の海だしな」

テテフ「世界に私たちだけしかいないみたい・・・夜空を移す水面って、神秘的でいいわねぇ」

コケコ「仮にも神が神秘的だとかなんとか言ってもな」

テテフ「別にいーじゃん」

コケコ「身体冷やすぞ、そろそろ帰ろう」

テテフ「じゃあ次は〜」

コケコ「お前なぁ・・・」
 ▼ 315 aSS341n256 18/02/13 22:09:11 ID:KIU.KkWE [9/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
テテフ「なに?私と一緒にいるの不満なの?」

コケコ「そろそろアーカラに戻れ。あと一時間もしたら明日になっちまうぞ」

テテフ「つれないわね・・・」

コケコ「つれないとかじゃねーだろ」

テテフ「じゃあ最後に!最後にもう一か所だけ!」

コケコ「・・・はぁ。次でホントに最後だな?」

テテフ「約束するわ!」


コケコ「・・・で、ここかよ・・・」

テテフ「いくさのいせき・・・私、ここの雰囲気好きなの」

コケコ「・・・そうかよ」

テテフ「いのちのいせきも気に入ってるんだけどね」

コケコ「まあ、よその島のいせきが気になるのは確かに分かるけどよ」

テテフ「ほかのとこと比べても、ここが一番ね」

コケコ「・・・そうか」

テテフ「あなたのいせきだからかしら」

コケコ「満足したか、じゃあとっとと」

テテフ「待ってよ!着いてからまだ10分も経ってないじゃない!」

コケコ「別にここに居続ける必要もないだろ」

テテフ「お話しましょ?毎日一人だと寂しいのよ」

コケコ「ま、神様ってのは退屈なもんだけどよ」

テテフ「でしょ?コケコったら分かってる!」

コケコ「分かってねぇよ。そろそろ帰んな」

テテフ「あと30分!あと30分とちょっとでいいから!」

コケコ「30分だぁ?・・・お前なんでそんなに日をまたぎたがって」

テテフ「そうだ!こうしましょ、コケコ」

コケコ「なんだ?」

テテフ「私とバトルしない?」

コケコ「!?」

テテフ「あなただって、私とのバトルには興味があるでしょ?」

コケコ「まあ・・・お互い島の守り神だし、俺に釣り合う実力の奴らって言ったらお前らぐらいのもんだからな」
 ▼ 316 aSS341n256 18/02/13 22:19:51 ID:KIU.KkWE [10/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
テテフ「よし、それじゃあいくわよ!!」グワンッ

コケコ「サイコキネシス!?お前不意打ちは卑怯だろ」バリリリリリッ

テテフ「きゃあっ!やったわね!!」

コケコ「かかってきやがれ!!」


コケコ「・・・はぁ、はぁ・・・なんだってこんな時間に俺たちは暴れてんだ」

テテフ「あなただってノってきたじゃないの」

コケコ「・・・いよいよ日もまたぐな」

テテフ「3・・・2・・・1・・・」

コケコ「?」

テテフ「よし!コケコ、今日は何日?」

コケコ「・・・14日、になったか?」

テテフ「この日はね、バレンタインデーって言って、とある国では女の子から男の子へ気持ちを込めたチョコレートを贈る日なんだって!」

コケコ「バレンタインデー?聞いたことはあるが・・・その、チョコレートってのはなんだ?」

テテフ「甘くて美味しい食べ物よ!人間の愛用する甘味だけど、私も食べてみて好きだったから、コケコにもあげる!」

コケコ「そ、そうか・・・ありがとな」

テテフ「気になってるでしょ!食べていいよ!」

コケコ「ああ・・・こ、これは!」

テテフ「どう?」

コケコ「・・・俺には少し、甘すぎるかもな」

テテフ「ありゃりゃ・・・」

コケコ「・・・でもうめぇ、美味しいよ。わざわざ作ったのか?」

テテフ「分かった?そう、実は手作り!その国の女の子たちは、みんな好きな男の子に手作りのチョコレートを作って思いを伝えるらしいから、私も真似てみたの!」

コケコ「そうかい」

テテフ「・・・あなたのことが好きだよ〜って言ってるのに、全然何とも反応してくれないのね」

コケコ「まぁ、な。お前がそういうこと言ってきたの、初めてじゃねぇし」

テテフ「まあ、そうなんだけどさ・・・」

コケコ「俺らみたいな存在は、別にその先があるわけでもないだろ。どうなろうがこれからも関係を切ったりできないわけだし」

テテフ「ドライなのね・・・なんかつまんない」

コケコ「まあ、そういうなよ」
 ▼ 317 aSS341n256 18/02/13 22:27:39 ID:KIU.KkWE [11/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
テテフ「・・・他の誰にも先を越されたくなかったから、あなたと一緒に日を明かしたかったの」

コケコ「・・・ここらでは別に、そんな風習メジャーじゃないんだろ?俺も知らなかったし」

テテフ「知らないのはコケコが興味ないからよ。地域によって色々違ったりはするんだけどね」

コケコ「どっちにしろ、それならそれでこっちに来る時間が速すぎだ。陽が落ちてからでもよかっただろ」

テテフ「バレンタインのせいにして長い時間コケコと一緒にいれるかなって思って」

コケコ「お前な・・・」

テテフ「・・・そろそろ帰るね。私も、アーカラの神様だし」

コケコ「そうしろそうしろ」

テテフ「もう、冷たい。そんなこと言われたら帰りたくなくなっちゃうんだけど」

コケコ「なんて言っても帰りたくなんてないんだろ」

テテフ「フフ!・・・じゃあ、行くね」

コケコ「ああ」

テテフ「あ、そうだ!」

コケコ「今度はなんだ?」

テテフ「一か月後!ホワイトデー!バレンタインに贈り物をもらった人がお返しをする日よ」

コケコ「ふーん・・・ん?」

テテフ「お返し、期待してるからね〜!」

コケコ「おい、ちょ、待て!」

テテフ「じゃね!!」シュンッ

コケコ「おい!おい、テテフ!・・・全く、勝手な奴だ」


コケコ「・・・ま、ちょっと気合入れてお返ししてやるかな」


レヒレ「チョコレートは渡せたの?テテフ」

テテフ「バッチシよ!喜んでくれてたし、大成功!」

レヒレ「そう、よかったじゃない」

テテフ「うん。本人は気づいてなかったと思うけど、顔が笑ってたしね〜。全く、素直じゃないんだから!」


『バレンタイン・デ・アローラ』・・・おしまい
 ▼ 318 ガカメックス@アシレーヌZ 18/02/13 22:29:15 ID:ybW5OnUc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
シチュとかよく思いつくな、支援
 ▼ 319 aSS341n256 18/02/14 00:45:22 ID:AzoSu4xw [1/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
・ちょこっとSS 『彼らのその後 ゲンガー・ムウマージ編』(>>47 『Please abduct me』より)

ムウマージ「う〜ん、美味しい!」

ゲンガー「喜んでもらえてよかったぜ」

ムウマージ「でも、わざわざ私に御馳走しようだなんてよく思ったわね〜、自慢じゃないけど、私は毎日いい物食べてるしあなたより楽な生活してると思うのに」

ゲンガー「庶民の料理ってのも案外悪いもんじゃないだろ?ま、屋台のたこ焼きを御馳走なんてあんまり言わねぇけども」

ムウマージ「お返しに今度家に来てよ。ディナーに招待するわ」

ゲンガー「いやぁ・・・前のこともあるし、ちょっとな・・・」

ムウマージ「・・・まあ、それもそうか・・・あなた、今は真面目に働いてるんだもんね」

ゲンガー「そうだぜ。汗水流して、腹もすかして、毎日働いて生活してんだ」

ムウマージ「じゃあ、もう私を攫ったりはしてくれないのね・・・」

ゲンガー「馬鹿言ってんじゃねえよ」

ムウマージ「ふふ、冗談よ。毎週こうして会ってくれてるし、私はそれで十分」

ゲンガー「・・・こんな俺を雇ってくれた今の屋台の店主にも感謝してんだけどよ」

ムウマージ「まあ、そうね。犯罪者だもんね」

ゲンガー「はっきり言うなよ!・・・お前にも感謝してんだぜ?」

ムウマージ「私に?私は何もしてないわ」

ゲンガー「そうだな、お前が何かしてくれたからってわけじゃないけどよ・・・まっとうに生きようと思えたのは、お前と会ったからだ」

ムウマージ「そうなの?」

ゲンガー「お前に対して胸を張れる俺でありたいって思ったからかもな〜・・・ありがとな」

ムウマージ「そう・・・ねぇ、ゲンガー」

ゲンガー「なんだ?」

ムウマージ「感謝は行動で示すものよ?」

ゲンガー「は?」

ムウマージ「だからもっともっと色々なところへ連れてってよ!今日も来週もその先も!」

ゲンガー「・・・ったく、頼まれなくてもそのつもりだ!よしっ、今日は隣の町の方まで行ってみようぜ!」

ムウマージ「隣の町!?楽しそう!!私、拾われてからこの町を出たことなんてなかったわ!」

ゲンガー「結構遠くまでいくぜ!大丈夫か?」

ムウマージ「望むところ!私を楽しませてよ!!」

ゲンガー「任せとけ!!」


〜おしまい〜
 ▼ 320 aSS341n256 18/02/14 00:57:48 ID:AzoSu4xw [2/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
【目次・3】

※ 【目次・2】は >>215 こちらから

ブラッキー♂×ブースター♀ 『ビターカカオ・チョコレート』 >>217

ピカチュウ♂×ミジュマル♀ 『パレードは続く』 >>222

ガオガエン♂×アシレーヌ♀ 『黄昏』 >>230

アグノム×エムリット 『意思と知識と感情と』 >>247

リーフィア♂×ロコン♀ 『肝試しの後にて』 >>257

ピカチュウ♂・色ピカチュウ♂・グレイシア♀ 『喧嘩』 >>265

ビブラーバ♂・ドードー♂・ブースター♀ 『命の交差点』>>271

サーナイト♂×カポエラー♀ 『ノゾマヌシンカ』 >>277
アゲハント♂×ミノマダム♀

グレイシア♂×サンダース♀ 『冬のアナタ』>>283

ピカチュウ♂×イーブイ♀ 『シンカノゾンデ』 >>288
サマヨール♂×ラッキー♀

バンギラス♂×ボスゴドラ♀ 『歪なボーイミーツガール』 >>306

カプ・コケコ×カプ・テテフ 『バレンタイン・デ・アローラ』 >>312

ちょこっとSSシリーズ

ジュナイパー♂×ミミッキュ♀ 『仮面』より >>303

ゲンガー♂×ムウマージ♀ 『Please abduct me』 >>319
 ▼ 321 日ゴロゴロンダ◆XTk1MeLTks 18/02/14 01:53:39 ID:HZIeTAug NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
コケコテテフって意外と見ないからよかった
 ▼ 322 aSS341n256 18/02/14 10:45:20 ID:AzoSu4xw [3/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
『ありきたりな恋』(ルカリオ♂×ミミロップ♀)

校内の男子たちの目線を釘付けにして、

街中ですれ違う人々が思わず二度見する。

世の男達の憧れの的、ミミロップ。

「おはよう、ミミロップ」

「あ、おはよう・・・ロズレイド、マニューラ」

「・・・どうしたんだ?浮かない顔して」

「ううん、なんでもないの」

「察してあげなよローズ〜、ミミはこの日が苦手なんでしょ?」

「・・・うん・・・」

そんな彼女からチョコレートを貰えたら、

クラスメートの男子たちはそんな思いを抱え2月14日の日を迎える。

教室でもソワソワしている男子たちからいくつもの視線を向けられて、ミミロップは毎年この日が来るのが憂鬱だった。


「今年もバレンタインの季節だな!」

「ローズ、案外こういうの好きだよね」

「料理は結構得意だからな。ミミロップだって私らの間で交換するのは好きだろ?」

「あー、うん・・・そうだね」

今年もバレンタインの日が近くなってきて、期待を秘めた男子と計画を練る女子たち。

「友チョコもいいけど〜、本命はあげないの〜?二人とも」

「まさか」

女友達の間でチョコレートを交換し合う近年の流行、友チョコ。

ロズレイドは友達との交換のためだけに胸を躍らせて毎年チョコレート造りに勤しむが、マニューラの方はそれだけだと少しつまらない。

「面白くないな〜、華の女学生が好きな人の一人や二人もいないでどうすんのさ!」

俗に言う恋バナというものが好きなマニューラは誰が誰に本命のチョコレートを渡すのかということが一番の関心ごとで、

「ったく、自分はもう彼氏がいるからって好き勝手言って」

自分の方はというとそういったことでからかわれる材料も方はないのがマニューラの質の悪いところだった。

「じゃあ、ミミはどう?」

「ふぇっ!?」

マニューラは標的をミミロップに変える。

話を振られたミミロップは、哀れ好きな人がいますと言わんばかりの反応をしてしまい、その瞬間マニューラの目つきが変わった。
 ▼ 323 aSS341n256 18/02/14 11:00:00 ID:AzoSu4xw [4/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あげるの!?チョコ!?男の子に!?」

「い、一体誰にだ!?お前が男子にチョコレートをあげるとなると、それはもう大事件だぞ!」

「そ、そんなことないよ!!」

マニューラに加え、ロズレイドからも追及を受けるミミロップ。

この日を苦手にするミミロップが自分から男子の誰かにチョコレートをあげた記憶など二人にはなくて、

「もう告白しちゃうってことだよね!義理だとか言って濁したりしないでよ!!」

「ああ、お前にも遂に恋人が・・・寂しくなるな・・・」

「えっ!?あ、あの、二人とも・・・」

「ローズも頑張らなきゃだよね〜!!」

「うるさい!!」

「ちょっと待ってよ!!」

二人の興奮する様にミミロップは怯えを覚えて落ち着くように二人に懇願する。

「告白したら付き合えるって決まったわけじゃないし・・・」

ミミロップはもっともな正論を二人に投げかける。

諦めたのか気づいていないのか、この時点で好きな人にチョコレートをあげるという事実の否定は放棄してしまっている。

「でも、ミミに告白されてごめんなさい〜なんて言えるの、いる?」

「既に恋人がいる奴なら・・・でもそうでない限り、誰だって受け入れるだろ。なんたってお前はこのスクールのマドンナだからな」

「あ〜あ、でも選ばれなかった男子たちの落胆の様が目に見えるな〜」

「そうだな、好きなアイドルが結婚するのと似た感じの喪失感じゃないか?」

「ふ、二人とも・・・」

マニューラとロズレイドはミミロップの正論を暴論でねじ伏せ、二人でなおのこと盛り上がって、

当の本人は置き去りになり顔は真っ赤なまま。どうしてちゃんと隠せなかったのかと後悔するばかりだが、マニューラが別に深く追求していたわけでもないうちにバレてしまったので彼女に隠し通すのは半ば無理な話であった。

「・・・で、結局誰なんだ?」

「い、言わなきゃだめ・・・?」

ロズレイドが本題に話を戻す。もはやマニューラよりも食いつきがいい。

「そこまでいったらねぇ、気になっちゃうし〜」

「うう・・・」

マニューラもミミロップを攻め立てる。彼女が押しに弱いのは今までの付き合いでよく理解していた。

ミミロップは諦めた様に、その思い人の名前を告げる。

「・・・ルカリオ、君・・・だよ」
 ▼ 324 aSS341n256 18/02/14 11:20:54 ID:AzoSu4xw [5/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
校内の女子たちの目線を釘づけにして、

街中ですれ違った人々が思わず二度見する。

世の女たちの憧れの的、ルカリオ。

「・・・あ〜、彼か・・・」

「なんていうか、意外と普通にカッコイイ人に惚れたね。割と面食い?」

「そ、そんな言い方やめてよ・・・」

ロズレイドがミミロップをマドンナと評したが、それならルカリオの方はスクールの王子様といったところか。

確かに特定の誰かと交際関係にあるという話は聞かなかったが、

「そうなってくると・・・話は変わってくるかもな・・・」

「言ってしまえば選び放題だもんね、彼」

毎年校内で一番チョコレートの数を貰うのは間違いなくルカリオで。

整った容姿に、強くて優しくて正義の心の持ち主で、男子としてこれといった弱点が見当たらない。

「そんな彼にチョコレートをあげても、埋もれちゃいそうで・・・」

ミミロップはこの日のことを真剣に考えるのは初めてのことだった。

今年同じクラスになって、初めて彼と接して、初恋に落ちて。

みんなも毎日幸せな苦痛を抱えて生きているのだろうか。

自分一人で抱えているのはとても辛かったが、ここまで誰かに話すのもそれはそれで恥ずかしくて。

「そうだなぁ・・・やっぱりインパクトが大事だよね」

マニューラは、話を聞いた手前ミミロップの恋が実るように協力を惜しまない。

「他の人からも告白だってされるんだろうし、いっそのことメロメロボディを使うとか!」

「そんなのダメだよ!!」

ミミロップがこれまで男子とそこまで深い関係を築いてこなかった理由の一つが、彼女の特性。

異性に触れられることでその異性をメロメロ状態にしてしまうメロメロボディの特性の発動を警戒するあまり、男子とむやみに接触しないようミミロップは男子と距離を置く傾向にあった。

「だって、普段からその特性に悩まされてきたのに、利用するときは利用しなきゃ!」

「あまり関心はしない方法だが・・・」

「いいんだよ、恋っていうのはいつも狡猾になった者が勝つの!ローズにはわかんないでしょ!」

「なっ・・・」

肉食系女子マニューラは狡くてもルカリオの心を掴むためにはなんだってしろ、という考え方で

ミミロップは初めはその方法にひどく反発したが、そうでもしないとルカリオの中で一番になれないかもしれないと言われると納得してしまい・・・

「・・・私、どうしたらいいんだろう・・・」
 ▼ 325 aSS341n256 18/02/14 11:39:35 ID:AzoSu4xw [6/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おっすルカリオ!!」

「ムクホーク・・・おはよう、ご機嫌だな」

「まぁな!見てくれよ、これ!」

迎えたバレンタイン当日。

ルカリオの級友であるムクホークは朝から3つほどチョコレートを貰い、上機嫌である。

ルカリオはそんな彼の様子を見て純粋に羨ましく思っていた。

「お前は・・・まあ、そうなるわな」

両手いっぱいにチョコレートを抱えたルカリオを見てムクホークは少し同情する。

いつからだろうか、とルカリオは考えた。

昔はムクホークのように、自身に向けられた好意を普通に好ましく思っていた。

この日にもらえるたくさんのチョコレートも純粋に嬉しかった。

だが、毎年のように増えていく数に、少しうんざりする自分が出てきて。

お返しだって全て完遂することはできない。名前も知らないような相手にはどうすることもできない。

それもルカリオにとっては目覚めの悪い話で、いつからかルカリオはこの日を敬遠するようになっていた。

「なんか、機嫌悪いな・・・お前」

「そうか?」

ムクホークはルカリオの異変に気付く。

ルカリオは、今年は特別この日が憂鬱である理由に、自分でもはっきり気づいていた。

(あの人からは、もらえないのだろうか・・・)


「俺さぁ、お前に彼女がいないのずっと不思議に思ってたんだけど」

「なんだ、藪から棒に」

お昼時、人目につかないところでルカリオとムクホークは食事をとる。

飯も喉を通らないといった状態のルカリオを見かねて、ムクホークはかねてからの疑問をルカリオにぶつけた。

「ミミロップのことが好きなのな」

「!!お前、何をゴフッゴホッ!!」

「悪い悪い驚かせたな!とりま水飲め、水!!」

ルカリオは誰にも話したことのない秘めた思いをムクホークに口に出され、心底驚き、もはやパニックで。

「ど、どうしてそれを・・・」

誤魔化すのも無理があると判断し、諦めてムクホークにその理由を聞く。

「いやぁ、だって、お前・・・今までも割とミミロップの方に目を向けてたしよ」
 ▼ 326 aSS341n256 18/02/14 11:51:07 ID:AzoSu4xw [7/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そ、そんなことは・・・」

言われて初めてその事実に気づき、ルカリオは顔を赤くする。

「今日なんて特にガン見だったし、これはチョコレート欲しいのかなぁって思ってみてたんだよ」

「!!!」

ルカリオはこの日、ミミロップからのチョコレートを確かに欲していた。

この人からもらえないのなら、他の誰からもらっても意味がないとまで思って、

そんなことを思うのは自分を思ってチョコをくれた人たちにあまりに失礼だと自己嫌悪に陥って、

それでもほしい物は欲しくて。

ある程度期待してしまっていた昨日今朝までの自分と、徐々に不安でつぶれていきそうになる今の自分とで、ルカリオの憂鬱は加速していって。

「万が一もらえなくたってよぉ、告白しちまえばいいんじゃねぇの?」

「俺がか!?彼女に!?」

ムクホークは他人事のように言う。

「お前ならフラれたりすることもねぇと思うんだだ」

「ミミロップって言うと、男子からの人気は凄いだろう。何人もの人から思われている・・・」

「その中にお前以上の男なんているかねぇ」

「くっ・・・」

なまじ自分自身が周りから人気があることを理解しているため、こんなことを話すのは恥ずかしくて誰にも告げていなかったが、ルカリオがミミロップに惚れたのは同じクラスになってからすぐのことで。

完全な一目ぼれとまではいかなくとも、ほぼほぼそんな感じで。

可愛らしい容姿と、その性格や雰囲気に、他の有象無象の男子たちが彼女に夢中になるように彼もまた恋に落ちてしまった。

「強気にいってもいいんじゃねぇの?俺がお前だったら即行動だけどなぁ」

「・・・好き勝手言ってくれるな」

ルカリオの方も他の誰かに恋に落ちたことはなくて、これが正真正銘の初恋。

ムクホークに言わせれば必要以上に臆病になっているとのことであったが、そうは言われても一歩を踏み出すのは予想以上に難しい。

「!!」

ピコンと音を立てて、ルカリオの持つ携帯端末にメッセージが届く。

「ん?どうした?」

「・・・なんでもない」

ルカリオの鼓動が音をたてて速くなる。

こりゃ、何もないわけがないな、ムクホークは悟る。

端末の画面には、ミミロップからのメッセージが映し出されていた。
 ▼ 327 aSS341n256 18/02/14 12:04:50 ID:AzoSu4xw [8/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「送っちゃった・・・」

「よし!よく送った!!」

「あとは放課後になるのを待つだけだね!!」

当日になっても踏ん切りがつかないミミロップを見かねたマニューラとロズレイドは、昼休みに彼女を連れ出して、いつものようにお昼を食べる中で彼女の背中を押すことにした。

彼のためのチョコレートはしっかり持ってきていたミミロップに安心しながらも、こんな日に周りから注目を集めてしまう二人の間でチョコレートを渡す瞬間などそうないことはマニューラ達も理解していて。

だからマニューラは放課後、公園にルカリオを誘ってそこで告白することを提案した。

携帯からメッセージを送るのは割かし簡単で、

でも送ってしまえば最後逃げるわけにもいかなくて、

「頑張れ、ミミロップ。お前はきっと大丈夫だ」

「も、もっと根拠とかないの・・・」

投げやりな応援をするロズレイドにミミロップは思わず苦言を呈する。

「あのね、ミミ」

マニューラは少し真面目そうな顔をして、

「メロメロボディのこととか、忘れていいよ。随分悩んでたでしょ?ごめんね、変なこと言って」

ミミロップにそう告げた。自分の不用意な発言からミミロップを苦しめてしまったことに彼女は心を痛めていた。

姑息な手を使ってしまうのは、ルカリオのようなタイプには合わないかもしれないし、合わない何よりミミロップが犯罪に手を染めるような覚悟でその作戦に臨もうとしている表情を見るのは心苦しかった。

「で、でも・・・大丈夫かな、私」

「大丈夫だよ、ミミは可愛いもん」

すっかり自信を無くしているミミロップにマニューラは笑顔で答える。

「もしフラれても、私たちが一緒に泣いてあげる」

「そうだな、思いっきり当たってこい!」

「・・・うん!」

ようやく決心をかためたミミロップは二人に感謝した。


昼休みを終え、ミミロップとルカリオは同じ教室で授業を受ける。

少しばかり気まずくて、二人は目を逸らしたりしながら、一言も言葉を交わさなかった。

この日に彼女から呼び出しを受けた。

ルカリオはその事実を脳内で咀嚼する。

普通に考えて、これは告白のはずだと。

でも好きな人からの告白を確信できるような者はそういなくて、

午後からの授業の内容はルカリオの頭の中に全く入ってこなかった。
 ▼ 328 aSS341n256 18/02/14 12:23:08 ID:AzoSu4xw [9/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
放課後になって、ミミロップがスクールから駆け足で出ていく。

ルカリオはというと、他の女子からいくつかのチョコレートを受け取り、公園に向かうのも少し遅くなって。

「・・・少し、遅いな・・・」

ミミロップは一人公園で待ちぼうけ。

「まさか・・・来てくれなかったり・・・」

最悪の結末を想定して顔を蒼くしては、そんなはずがないとマイナスな考えを捨て去って。

この後起こるかもしれない幸せな結末を想像しようとして、でもすぐにマイナスに振れて。

そんなことを繰り返しているうちに、

「悪い、待たせたな・・・」

「ルカリオ君!」

遂に彼がやってきて。

「・・・凄い、荷物だね・・・」

スクールからそのままやって来たルカリオは、両手に沢山の袋を抱えていて。

「それ、全部チョコレート?」

「・・・まぁ」

少しばつの悪そうな顔をするルカリオと、チョコレートを渡す決心が揺らぐミミロップ。

こんなにたくさんもらっているのに、今更私からもチョコレートなんて迷惑ではないだろうか。

彼のことを思って作ったけど、そんなの他の人たちだって同じで。

私よりも本気で彼のことを好きな人だっているはずで。

こうなることは前からわかっていたはずなのに、目の前で見てみると辛くて。

「・・・その、用事っていうのは」

「あ、そ、そうだね!!えっとね!えっと・・・」

気まずい沈黙の時間を打ち破ったのはルカリオの方。

ミミロップもここまできてやっぱり何もない、なんて言えなくて。

身動きが取れないまま口ごもる。

「・・・その、背中の」

ルカリオはミミロップが背後に何か隠していることに気づく。

もしもそれが、自分にあてたチョコレートだったなら。

「・・・・・・・」

あなたのために作ったチョコレートなのだと、声にしたくても声にならなくて、ミミロップは口を動かしながらも黙ったまま。話し方を忘れてしまったかのよう。
 ▼ 329 aSS341n256 18/02/14 12:38:07 ID:AzoSu4xw [10/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・もし、さ。もし違ったら恥ずかしいんだけど」

遂にルカリオの方から動き出す。

「俺のための、チョコレートだったりするのなら、俺は・・・」

顔をさらに赤くして、少し目を逸らして、そしてもう一度ミミロップのことを見つめて、

「俺は、嬉しい。あなたからのチョコレートが、何よりも欲しかったから」

「!!」

言い切った瞬間にミミロップの目から涙が流れて。

「ミ、ミミロップ!?」

「違うの、私・・・うん、嬉しい。嬉しいよ、ルカリオ君・・・」

嬉しくて、情けなくて、でもやっぱり嬉しくて、涙が止まらない。

好きな人の前で泣き出してしまって、恥ずかしくて、迷惑をかけてしまって、それでも、きっと、今の言葉は・・・

「私、ルカリオ君のことが好きなの・・・だから、これ」

「・・・ああ」

彼も私のことを思ってくれていたという証拠で。

「俺も、あなたのことが好きだ」

そんなことを考えているうちに、より確かな言葉が聴覚を刺激して、心臓を刺激して。

ルカリオの方も今までに感じたことのない、異質な喜びに震えている。

同じ気持ちであれたことに心の底から喜ぶ。

「チョコレート・・・食べてもいいかな?」

「うん・・・」

可愛らしい包装を解いて、ルカリオはハート形のチョコレートをつまんで口にする。

舌の上でそれを転がし、とろけるような甘さに身を任せて、これこそが幸せの味なのか、なんて思ってみたり。

「どう、かな・・・」

「美味しい・・・幸せだ」

「よかった・・・」

ルカリオの言葉にミミロップは安堵する。

「・・・今日から、じゃあ、恋人ってことで、いいのかな。俺たち」

「恋人・・・うん、そうだね。これから、よろしくね・・・」

二人の初恋はこうして実って、誰もがうらやむようなカップルがこうして誕生して。

周りが想像するよりもずっとゆっくりのスピードで、二人の関係は確実に進んでいくのだ。
 ▼ 330 aSS341n256 18/02/14 13:33:59 ID:AzoSu4xw [11/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「心の底から良かったぁって思うんだけどさ〜」

後日、報告を受けるまでもなくミミロップの様子から結果を察したマニューラは、

「なんていうか、今思うとちょっとまどろっこしかったよね」

ロズレイドにそんなことを零していた。

「まあ、お似合いだとは思うがな」

体躯も似ていて、校内の男子と女子で一番人気の二人が、順当にくっついて。

「案の定、そんなに怯える必要なかったじゃんって」

話を聞けば端から両想いだったらしく、この二人であれば、と周りの男女も納得して騒ぐこともなくて、

「なんていうの?徒労感?」

「まあ、収まるところに収まったなぁとは」

少し物足りなさそうな様子を隠さないマニューラ。

「でも、まあ・・・」

丁度窓から二人仲良く帰路につく様子が見える。

ミミロップの顔は今までになく笑顔で輝いていて。

「・・・幸せそうだし、いーのかな」

「いいんだよ」

おとぎ話に出てくる王子様とお姫様のような二人が校門を出るのを見届けてから、二人も帰る準備を始めた。


『ありきたりな恋』・・・おしまい
 ▼ 331 コザル@ペアチケット 18/02/14 15:49:39 ID:QHnXEQZU NGネーム登録 NGID登録 報告
ポケモンってヤブクロンやオタマロとして生まれるよりリオルやイーブイとして生まれたほうが絶対モテるよな…

ゴウカザル♂×テールナー♀お願いします。
 ▼ 332 ローニャ@アブソルナイト 18/02/14 16:45:34 ID:kQACxdnc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 333 aSS341n256 18/02/14 17:40:31 ID:AzoSu4xw [12/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
『光明の未来で』(ジュプトル♂×色セレビィ)

「今日も一日お疲れ様〜、あんまり頑張りすぎないでくださいね」

「ああ・・・わかってるよ」

暗黒に囚われた彼らの『今』に終止符を打ってから、ジュプトルは休むことなく毎日働いていた。

世界の立て直しのため、彼は休んでなどいられなかったのだ。

世界所せましと、時にセレビィの力も借りて動き回り、彼らの見ている景色は随分と美しいものになった。

だが、まだあるべき姿には程遠い。

「まだまだ、ここが踏ん張りどころだな」

世界のために己の力を発揮する毎日は、ジュプトルにとってとても楽しいものであった。

目の前の先には希望で満ちた世界が待っているようで、立ち止まっても立ち止まらないような感覚で。

隣にはセレビィがいてそれもきっと幸せな理由の一つなのだろうか。

「・・・どうかしました?ジュプトルさん。なんか・・・」

「いや、幸せだな〜って思ってな」

「へ、へぇ!?どうして?」

ジュプトルは心の中に浮かんだ言葉をそのまま口にしていく。

「世界が平和になって、これからどんどんよくなっていって・・・隣にはセレビィがいて、俺は、幸せだ」

「そ、そう!?ジュプトルさんったら、今日は随分に素直ですね〜もう!」

普段のジュプトルからはあまり聞かないような言葉にセレビィは思わず顔を赤らめて、嬉しいやら恥ずかしいやら。そんなセレビィの様子に気づかずジュプトルは言葉を続ける。

「そうか?なんかさ、お前の隣にいると暖かい気持ちになれるんだよ」

「そ、そうなんですか・・・//」

いつになく自分のことをほめてくるジュプトルの言葉一つ一つにセレビィは心をドギマギさせてしまう。

「まあ、私ってば、優しいし、可愛いし!?ジュプトルさんが夢中になっちゃうのも無理もないかな〜なんて・・・」

「それに、なんか気も許してしまうし・・・顔まで熱くなってきたような・・・」

「顔?」

徐々にジュプトルの言葉がふわふわしだして、ふと彼の方へ顔を向けると少しフラフラ〜っとしながら、目の焦点もあってないような、そんなあからさまにおかしい雰囲気で・・・

「きっと幸せだからだな〜・・・っと」

バタッっと音を立ててジュプトルはその場に倒れ込む。

「え、ちょっと、ジュプトルさん!?」

セレビィは急いでジュプトルの額に手をやる。

そうまでしなくても分かるくらいに明白に、ジュプトルは熱を出していたのだ。
 ▼ 334 アル@ダイゴへのてがみ 18/02/14 17:43:27 ID:31QD4.2Q NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
syamu game
 ▼ 335 aSS341n256 18/02/14 17:56:07 ID:AzoSu4xw [13/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
医者に聞けば、風邪というわけでもない。

ならば要因というのはハードワークぐらいのもので。

「だから働き過ぎだって言ったのに・・・あなたが風邪をひいた分だけあなたの目標の達成も遅くなるんですよ?」

「すまない・・」

一晩ゆっくり寝て、体温こそまだ高いものの、ジュプトルは随分冷静になったようで。

「あの・・・セレビィ。少し一人にしてくれないだろうか」

しっかり自分が昨日に口走ったことを覚えているジュプトルとしては、そのセレビィに看病されているのは少しやるせない。

「でも私が傍にいると暖かい気持ちになれるんですよね?」

彼女がこうして自分のことをからかってくるのは目に見えていた話だ。

ああ、もう、どうしてあんなことを・・・後悔しても言ったことは消えやしないので、

「心が温かくなるから熱が下がらないかなぁなんて」

「そんなバカな〜、ジュプトルさんも面白い冗談言いますね♪」

「ほら、お前に風邪をうつしたくない」

「風邪じゃないって言われたでしょ!」

「わざわざ住処まで来てもらってこれ以上迷惑かけるのも・・・」

「どうしたんですか?私のこと嫌い?」

「そうは・・・言って・・・ない・・・」

帰ってもらうよう交渉を試みたジュプトルだったが、何を言ってもうまく返されてしまい惨敗。

実際に熱で少し辛いジュプトルは彼女が身の回りのことをしてくれること自体はありがたかったが、いかんせん少し気まずすぎたのだ。


ジュプトルは、いまだにセレビィの気持ちに応えていない。

今となっては流石に気づいていたのだ、だがセレビィもジュプトルが世界の立て直しを急いでいる今自分が邪魔をすることをよしとせず、気持ちを伝えていなかったこともあり、

二人の今の関係に明白な名前をつけることはできない状態であった。

それなのに、自分はというと、昨日あんな言葉をセレビィに投げかけてしまい。

中途半端にセレビィにその気にさせてしまっただろうか。

後戻りができなくなれば、こちらからしっかり気持ちを伝えてやればいい、そういう覚悟をジュプトルはできているつもりでいたが、

いざとなると恥ずかしくて照れくさくてうまく言葉にできないし、

熱に頭をやられたのをきっかけに思いを告げようなんてのも、きっかけとしてセレビィ的にもどうなんだろうか、

そんなことを考えると、とりあえず今は何も考えずに休んでいたかった。

「はい、薬膳スープ。何か体に入れないとよくないですし」

当の本人がいると、何も考えずに、というわけにもいかなくて、ジュプトルの悩みの種は大きくなるばかりであった。
 ▼ 336 ドラ@むげんのふえ 18/02/14 18:03:45 ID:dAMNgRWY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
このスレは>>1
以外が書いてもいいのか?
いいのならワニノコ×ヒノアラシをポケダン風で書きたいのだが・・・
 ▼ 337 aSS341n256 18/02/14 18:17:16 ID:AzoSu4xw [14/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>336
紛らわしいスレタイで申し訳ございません。
自身でスレを立てて書いていただきたく思います。
 ▼ 338 ラエナ@ミストシード 18/02/14 18:39:34 ID:dAMNgRWY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>337
了解です
 ▼ 339 aSS341n256 18/02/14 18:43:00 ID:AzoSu4xw [15/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・ねえ、ジュプトルさん」

「・・・なんだ」

「昨日言ってくれたことって、ジュプトルさんの本音って思っていいのかな?」

セレビィに作ってもらったスープを飲んで、少し休んで、いつからか眠りについて・・・

起きたころには熱もだいぶマシになったようで、その時にもセレビィはジュプトルの隣にいた。

「隣にいて温かい気持ちになるって、本当なんですか?」

からかうでもなんでもなく、真面目な顔をして聞いてくるセレビィを、もうジュプトルはかわすことができない。

「暖かくなるってのは・・・」

「はい」

「・・・まあ、熱のせいだろうな」

「ちょっと!」

「でも、お前が隣にいるから幸せだっていうのは、ほんとだと思うぜ」

「・・・ジュプトルさん」

ジュプトルは、かつて厳しい戦いの中で一人自分を支えてくれていたセレビィのことを思う。

消滅を覚悟したあの時、最後に彼女を抱きしめた自分の気持ちには、嘘はつけないのだということもわかっているのだ。

それから新たな毎日が始まって、作業の最中、いつも共に居て、時には今まで知らなかったような世界に遊びに行ったりしたこと。

デートだねだなんてからかった彼女のことを軽く小突いたりしたが、そのつもりで俺が連れてきたことにはきっと彼女は気づいていない。

「嘘はない、俺はお前に感謝してる。感謝してもしきれないくらいだ」

「・・・そう、でも」

セレビィは布団をかぶって寝転がっているジュプトルに顔を近づけて言う。

「私が欲しいのは、その言葉じゃないかな〜なんて」

彼女に出会って以来、自分は彼女に明確な好意を示してこなかったのだ。

そりゃ、当時はそれどころではなかったし、消える定めのわが身にそんなことを考えるということもなかった。

平和を手にしてから、幾分素直になった彼女に対して、俺はどうだっただろうか。

これからいくらでもある時間の中で、俺は先を急ぎ過ぎて隣に立つ彼女のことをしっかり見てこれただろうか。

「分かりますか?どんな言葉か」

「・・・分かるさ」

ジュプトルは、自分の命が、彼女の命が当たり前のものではないことを知っている。

だからこそ、それが終わってしまう前に、自分がやるべきことを成し遂げたくて急いで生きていたのに、

こんなに大事な言葉を伝えることだけは先延ばしにしていた。自分の都合いい矛盾が嫌になる。
 ▼ 340 aSS341n256 18/02/14 18:55:38 ID:AzoSu4xw [16/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・言って、くれる?」

彼女の求めている言葉を、伝える覚悟を決めて。

ジュプトルはセレビィの目をしっかり見据えてゆっくりと口を開いた。

「嫌だ」

「なーーーーー!!」

嫌が応にも期待していたのだろう、セレビィは怒って信じられないといった様子で抗議の声をあげる。

「だって、こんな、カッコ悪いじゃねぇか」

病床のジュカインは、横になっている状態でのその告白を拒んだ。

「遺言を伝えてるみたいで、いい気分もしねーよ」

「もう・・・」

「な、泣くなよ・・・」

肩透かしをくらったセレビィは涙目。

かつては否定していたジュプトルへの思いも、今はもはや自分を騙せるような小さなものでもなくなっていて、じっと我慢してきて遂に彼と結ばれると思って・・・

そこでのお預けは、彼女視点ではあまにりも酷で。

「もう、知りません・・・ジュプトルさんなんて」

プイっと後ろを向き、ジュプトルの傍から離れていき、少したったところでチラっとジュプトルを見やるセレビィ。

動作の一つ一つが、ジュプトルには愛おしい。

「しゃあねぇな・・・」

ボソッと呟いて、ジュプトルは立ち上がる。

「えっ、大丈夫?寝てなくて・・・」

「大丈夫だよ、もう熱も下がってるだろ」

歩いてセレビィの傍までより、

「こっち向けよ」

「は、はい・・・」

優しく彼女の体を掴んで、自身の方へ向かせる。

もう一度、しっかり、彼女の目をまっすぐ見やる。

「別に、体調が戻ってから改めてでもいいだろって思ったんだけど・・・泣かれたらしゃあないよな」

はぁ、と少しため息をついて、彼女を自身の顔の辺りまで持ち上げて、

二人の目線が重なって。

「・・・ジュプトル、さん?」
 ▼ 341 aSS341n256 18/02/14 19:08:11 ID:AzoSu4xw [17/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
「俺は、お前のことが・・・」

そこでわざと言葉を区切り、次の瞬間にジュプトルはセレビィに口づけた。

「・・・・・もう」

「なんだよ、驚くかと思ったんだけどな」

不意をついてやったつもりのジュプトルだったが、セレビィは顔を赤くして、少し不満気な様子を出しながらも微笑む程度の静かな反応。

「なんとなく、されるのかなって、分かってたから」

「マジかよ」

「だって今、やらしい目してたし」

「!!・・・い、嫌なら拒んでくれたら・・・」

「嫌じゃないから拒まなかったんです」

「・・・あのなぁ」

仕掛けたのは自分だったのに、結局はセレビィに手玉に取られている気がして釈然としないジュプトル。

やっぱ熱ひいてないな、熱くなる顔を隠すように抑えながら、

「・・・好きだ、セレビィ。お前以外てくれてよかった」

ジュプトルは、初めてその言葉を伝えた。

「・・・ウフフ!」

「笑うのかよ」

「だって、うれしい!やっと、言ってくれましたね!」

そういってセレビィはジュプトルに抱き着く。

「私も・・・しあわせよ、ジュプトルさん。大好きなあなたに、好きだって言ってらえて」

「・・・そうかよ」

照れくさくてどうにかなりそうでも、今度は顔を隠さずにセレビィの言葉を受け入れたジュプトルの顔は、負けず劣らず幸せな人の顔だった。

「じゃあ、明日からは恋人どうしですね」

「・・・別に、変わるようなことも、あるか?

「うーん、どうだろう。外に出るときは手をつないで移動するとか!」

「か、勘弁してくれよ・・・」


『光明の未来で』・・・おしまい
 ▼ 342 ーゴヨン@ダークメモリ 18/02/14 21:04:03 ID:obueobYA NGネーム登録 NGID登録 報告
乙です 「ノゾマヌシンカ」 「シンカノゾンデ」 ありがとうございました

ネタを思いついたので追加させてもらいますね
書きにくいようなら無視して下さっても構いません

モンジャラ・ヤンヤンマ・イノムー@ひみつのコハク 「原始への憧れ」

ゴクリン・キノココ・エネコ・ルリリ・マイナン 「ひみつきちにあつまって」

コモル―Lv100・チルットLV14 「奈落の淵」

いつも楽しみに読ませてもらっております シエンネ
 ▼ 343 aSS341n256 18/02/14 21:52:27 ID:AzoSu4xw [18/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
・ちょこっとSS 『彼らのその後 エネコロロ・ルカリオ編』(>>19 『素直な気持ちで』より)

「うん、美味しい!流石ルカリン、料理も上手だね!!」

「いや、エルフーンには敵わないさ・・・見た目も可愛らしいし」

「エヘヘ〜、そう思う?そうだ、折角こうやってチョコレート作ってきたんだし、ルカリンも男子にあげたりしないの?例えば・・・この前仲良くしてた後輩の子!エネ・・・」

「べ、別に誰にもあげる予定はない!!そもそも持ってきてないしな!」

「え〜、勿体ないなぁ」


持ってきてしまった・・・!!

エルフーンにはああ言ったが、バッチシ・・・エネコロロのために・・・作って持ってきてしまった・・・

しかもあろうことかエルフーン達に渡したのとは別の、少し、可愛い感じの・・・

ああなぜだ!なぜ作ってしまったんだ!やはり私は彼のことが好きだからか!?違う、これは、あくまでこの前のカフェに同行してくれたことや日頃の感謝や義理立ての意味で作ったはずだ!

だが・・・思ってたよりも、なんか・・・男受けを狙った感じになってしまって・・・

「アイタッ」ガンッ

いたた・・・壁に激突してしまった・・・考え事に集中してしまった・・・

「ル、ルカリオさん・・・?」

「エエエエネコロロォ!?」

「お、驚き過ぎじゃないです!?今も、なんか壁に頭打って・・・」

どうしてこうも間が悪くエネコロロに会ってしまうんだ!今だけは会いたくなかった!!

そもそも、エネコロロは、以前私にクッキーを作ってくれて・・・美味しかった・・・お菓子作りの得意なエネコロロに、私の拙いチョコレートを渡してもいいのか!?

「・・・ど、どうしたんです?」

・・・・・ええい、覚悟を決めろルカリオ!折角友達なのにこういった日に何もなくては、エネコロロにも申し訳ないだろう!

「え、エネコロロ!これ!」

「これ?・・・チョコレートですか!?」

「あ、ああ!折角バレンタインだし、この前のカフェのお礼とかもこめて・・・その・・・」

「・・・ありがとうございます!恥ずかしながら、ちょっとだけ期待してたから、もらえて嬉しいです!」

き、期待・・・?エネコロロが、私のチョコレートを期待していたのか・・・

「そ、そうか!喜んでもらえてよかった!」

「ホワイトデーにちゃんと、お返ししますね!楽しみにしててください!」

「・・・ああ!!期待してるぞ!!」

・・・ちゃんと渡せて、良かった。やはり、勇気をもって行動するものだな。

〜おしまい〜
 ▼ 344 aSS341n256 18/02/15 12:57:00 ID:q29NfeSA [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
『はじまり』(デンリュウ♂×クチート♀)

「見てくださいクチート!新たな技を覚えたのです!!」

「はいはい、よかったね」

「この技でワタシの行く手を阻む敵たちもスタイリッシュにやっつけてしまいますよ!」

「ごめんデンリュウ今ちょっと集中したいから静かにしてて」

デンリュウがクチートの家を訪れた時、クチートはいつも決まって分厚く内容もよく分からない本を読んでいて。

外で体を動かして己を鍛えることが好きなデンリュウに対してクチートは部屋にこもって、先人の残した文献や資料を暇さえあればあさっていた。

「・・・やれやれ、また随分と分厚い本を手に取って。面白いかい?」

「うん、興味深いよ。古代文字や失われた文明には、ロマンってものが満ち溢れているからね」

「へぇ・・・」

「ま、誰にでも分かってもらえるもんでもないけどさ」

過去に何度か、デンリュウも彼女の読むような本を手に取って見たことがあったが、彼には到底理解できるものでもなく。

基本中の基本だと言って渡された歴史学の導入の教本を前に突っ伏して眠ってしまっていた時には流石にクチートを呆れさせてしまったりもした。

「デンリュウだって、一緒に冒険に出て化石を見つけたりしたときにはテンション上がったりしてるよね?」

「キミが嬉しそうにしているからね。つられて嬉しくなるんだよ」

「そういうもの?」

文章を読んでいるだけでは分からないものもあって、実際に自らの足でダンジョンを冒険することもクチートのライフワークであった。

その時には決まってデンリュウも一緒に行って。

二人の行く先は徐々に徐々に広がっていって、今では単純な戦闘力もかなり上がっていた。

「今日はどこへ行くのです?目的は?」

「実際に壁に掘られた古代文字というものを見に行こうと思ってね。長旅になるよ!」

「なるほど・・・」

「デンリュウは少し退屈かもね」

「キミと一緒なら退屈なことなんてないさ」

「そ、じゃあ準備しようか」

クチートと共に行く冒険はデンリュウにとってもかなり刺激的で。

方向音痴な自分一人ではとても帰ってこれないような遠いところにもクチートと一緒なら向かうことができた。

かつては言わばボディガードのような感覚で、クチートの行く道をデンリュウが切り開いているような感覚であったが、

今となっては並みの敵ならクチート自身が撃退できて、デンリュウにはそれがすこし悲しいことのように思えた。

「それじゃ、しゅっぱーつ!」
 ▼ 345 aSS341n256 18/02/15 13:15:56 ID:q29NfeSA [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あんまり離れないでよ?ここではぐれたりしたら、もう終わりだからね?」

「わかってます。流石のワタシでもこんな僻地から自力での帰還は無理ですから」

「流石のワタシって・・・それおかしいからね」

軽口を叩きながら歩みを進める二匹。

クチートは、目的地までのこの道中をデンリュウと二人で進む長い時間が好きだった。

かつてはインドア派で控えめで、デンリュウから守られるばかりだった自分が、今ではこうして隣で歩くことができる。

対等な存在であると確認することができる時間だったから。

「砂嵐が強くなってきたね・・・大丈夫?」

「これくらいなんとも・・・イッ、目、目がぁぁぁあああ!!」

「言わんこっちゃない・・・」

目を保護するゴーグルを取り出し、一つは身に着けてもう一つをデンリュウに渡すクチート。

「今渡されても・・・」

「ごめんごめん」

少し文句を言いながらもゴーグルを受け取り、それを身に着けたデンリュウは前方にかすかに動く何者かの陰を目撃した。

「・・・クチート、あれは・・・」

「ん?・・・誰かいるのかな」

「向かっても?」

「そうだね、もしかしたら遭難かもしれない」


「!!倒れてる・・・」

「もしもし!?大丈夫ですか!?」

近づいていくにつれてその陰が、砂漠の中で倒れたポケモンであったことが分かり、デンリュウとクチートはそこへ急いで駆け付ける。

倒れていたのはパッチールと思わしきポケモン。息はあるようで二人は安堵する。

「うぅ・・・うぅ・・・」

「クチート、水を」

「うん。ほら」

「・・・はぁ、はぁ、ありがとうございます・・・」

「砂漠の中では消耗が激しいですね・・・」

「・・・そうだね、一旦この人を運んでここから出よう」

砂嵐の中では何もしていなくても体力を削られていってしまう、このままではパッチールが危ない。

デンリュウがパッチールを抱え、クチートの先導で砂塵を凌げる場所まで引き返すことにした。
 ▼ 346 aSS341n256 18/02/15 13:41:53 ID:q29NfeSA [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ありがとうございます!ありがとうございます!」

安全な場所まで運ばれて、元気を取り戻したパッチールは深く二人に礼を言った。

「どうしてこんなところへ?」

クチートに問われたパッチールは、ポツリポツリと語りだす。

「てまえ、珍しいポケモンを探す旅をしていまして・・・この砂漠を行ったところにある遺跡には古代文字が掘られた壁画があるのを御存じですか?」

「ワタシたちもその遺跡にを目的に来ましたからね」

「でも、その文字は既に解読もされてるし、珍しいポケモンと何か関係が・・・?」

「その遺跡の開拓は、まだ不十分らしいのです」

「ええ!?」

パッチールの話によると、クチート達が目指していた遺跡には、誰も到達していない未踏の層があって、そこに記された文字に古代のポケモンの封印を解くカギがあるといううわさが一部で流れているらしい。

既に自分でも知っている壁画の文字を直接見たいだけであったクチートはその事実に驚き、目を輝かせていた。

「ですが・・・今のてまえの力では、この砂漠を突破することはできないようですね・・・折角助けていただいた命ですし、もう少し鍛えてから臨むことにします」

「パ、パッチールさん!?凄いフラフラしてるけど・・・」

「大丈夫です、これはいつものことですから」

フラフラした足取りで帰っていくパッチールを見送った後、クチートは砂漠の移籍の方角へ目をやった。

「暗くなってしまったね」

「そうだね・・・今日はもう無理かな」

「・・・キミ一人でも、遺跡に向かってもらったらよかったかな・・・」

「え?」

「こちらへ戻ると決めた時、少し寂しそうな顔をしていたから」

パッチールを見つけたのは、それなりに砂漠の中を進んでからのことで、遺跡だって割と近くまで来ていた。

それだけに戻るのは少し惜しい、そういった表情をしてしまったのがデンリュウに見られていたようだ。

「・・・バカだなぁ、デンリュウ一人でここまで戻ってこれた?」

「うぐっ、そ、それは・・・」

クチートは笑ってデンリュウに言う。

「それに、一緒がいいよ。いつだって、色んなものを見つけた時にはデンリュウが隣にいてくれたし」

「クチート・・・」

「それに、困っている人を見つけたらすぐに助けにいけるような、優しいところ・・・私は、好きだよ」

照れ臭くなって徐々に小さくなっていく声も、デンリュウは全てちゃんと聞いていた。顔を赤くして少し目を逸らすクチートに、デンリュウはしっかりと応えた。

「ありがとう、クチート。そう言ってもらえて、嬉しい」
 ▼ 347 aSS341n256 18/02/15 14:03:01 ID:q29NfeSA [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ワタシには夢があるんです」

明日、もう一度砂漠に挑戦することにして、疲れを取るべく睡眠をとることにして、

隣同士で眠る時にデンリュウはクチートに語り掛けた。

「知ってるわ、何度も聞いたもの」

クチートは目を閉じながら、デンリュウの話を聞く。

「たくさんの仲間を作って、共にチームを結成して、私はそのスタイリッシュなリーダー!カッコイイと思いませんか?」

「リーダーねぇ、カッコイイリーダーって柄じゃないんじゃない?」

「そこでは色々な仲間達が暮らしています。共にご飯を食べたり、共に冒険をしたり」

「うん、うん。楽しそうな夢ね」

「その先で今日みたいに困っている誰かを助けたり、見たこのないポケモンや場所を発見したり、謎を解明したり・・・そういう組織を作りたい。そうだな、さしずめ調査団、といったところですかね」

「それは無理じゃない?見たことない場所なんて、デンリュウ迷子になっちゃうし、それにそういうものは全て、先に私が発見しちゃうかも。新しきを知るものはいつだって古きを温めたものよ」

「その調査団には・・・」

そこで、デンリュウはクチートの方を向いた。

クチートも彼の視線に応え、二人は向き合う。

「クチート、キミにも居てほしいと思う」

「・・・なに、それはスカウトってこと?」

恥ずかしくなったクチートは反対側に顔を向けて、それでも、

「・・・まあ、考えといてあげる」

満更でもない様子でそう返した。

「それじゃあ、明日からはワタシたちはデンリュウ調査団の初期メンバーってことで」

「まだ入るなんて言ってないでしょ!それにデンリュウ調査団はイヤよ」

満月の夜に二人の話声は、どちらからともなく寝息が聴こえてくるまで響いていた。

きっと、この頼りのない団長を支えるのは自分の役割なのだろうとクチートは思う。

いずれ彼の夢が実現して、仲間が増えて、幸せそうに笑う彼の隣にも、今までのようにワタシがいるのだとしたら、それはそれで悪くないのかもしれない。

彼の夢に自分の夢を乗せて、いつまでも共に。

そういう未来も、なかなか楽しそうだ。


『はじまり』・・・おしまい
 ▼ 348 ルフーン@ふしぎなアメ 18/02/15 18:42:49 ID:FLeAvLzg NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
シエンネ
 ▼ 349 ーテリー@クラボのみ 18/02/16 02:27:38 ID:ank0v3hI NGネーム登録 NGID登録 報告
ブースター♀とリーフィア♂に嫉妬するグレイシア♀
 ▼ 350 ウオウ@のろいのおふだ 18/02/16 02:34:58 ID:I4/e1YVo NGネーム登録 NGID登録 報告
ゲンガー×ラティアスお願いします!
 ▼ 351 ークライ@ピジョットナイト 18/02/16 20:13:05 ID:kWabHADI NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 352 テトプス@ていきけん 18/02/16 23:53:10 ID:zY5baKyo NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
シエンネ
 ▼ 353 aSS341n256 18/02/17 13:53:22 ID:plNUvR2E [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
『ファイター』(ゴウカザル♂×テールナー♀)

『決まったぁ!!挑戦者のエビワラー選手立ち上がることができません!チャンピオンバシャーモ、3度目の防衛成功です!!』

「凄い!またチャンピオンの勝ちだよ、お姉ちゃん!!」

「そうだね〜、フォッコはバシャーモ選手好きなの?」

「うん!だって、強くてカッコいいもん!!」

ポケモン達が一対一でリングにあがり、しのぎを削る異種格闘技、「P-1」。

ファイター達の戦いは見る物の心を熱くさせ、今やこの国のエンターテイメントと化していた。

更に新たにチャンピオンの座に就任したバシャーモは恵まれた容姿とその圧倒的な強さで新規の女性ファンを多数獲得し、P-1全体のファン層の拡大にも大いに貢献した。

「見た?テールナー!昨日のバシャーモ選手!!」

「メェークル。そうね、強かったわ」

「私もう感動しちゃって!テールナーは前からP-1好きだったんだよね?」

「うん、まぁ」

テールナーの周りでも、バシャーモが頭角を現して以来P-1の観戦にはまった友達は多く、その大半はバシャーモのファンだった。

(バシャーモ選手が活躍し始める前は、誰も興味なんて持ってなかったのにな・・・)

以前からP-1のファンであったテールナーは心底複雑な気持ちで。

格闘技は男子が見る物だというイメージから、それまでテールナーが少し変わり者であるように見られていたことも、釈然としない理由の一つではあるだろうが、

最も大きな理由は別のところにあった。


「えーと・・・向こうのスーパーで卵が特売で・・・」

放課後のおつかいはテールナーの日課のようなもので、複数の広告を見比べて効率的な買い物をすることはゲームの様に覚えてテールナーは好きだった。

「早くしないとタイムセールに間に合わなくなっちゃうな・・・」

「おらっ!」

「キャッ!!」

急ぎ気味で目的のスーパーに向かう途中で、背後から持っていたカバンをぶんどられたテールナー。

「ひったくり・・・!この!」

咄嗟にサイコキネシスでひったくり犯の動きを止めようとするが、運悪く悪タイプの犯人には通用せず、

「どうしよう・・・あのカバンには財布も入ってるのに・・・だ、誰か!!」

素早い身のこなしで逃げていく犯人が徐々に遠くなっていく。

逃走の成功を確信した犯人だったが、

「止まれ、外道」

「!?」
 ▼ 354 aSS341n256 18/02/17 14:11:24 ID:plNUvR2E [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「これ、君のでよかったかい?」

前方にいた一人の男性が一撃で犯人のポケモンを仕留め、テールナーのカバンを奪取した。

「はぁ・・・はぁ・・・」

遅れてそこにたどり着いたテールナーは、

「ありがとうございます!助かりました・・・!!」

ひったくり犯を捕まえたその人物を見て驚愕する。


「へぇ・・・見たところ、若い女の子なのに俺のことを知ってるのか?」

「もちろんです!私、あなたのファンなんです!ゴウカザルさん!!」

P-1ファイター、ゴウカザル。

長い手足や軽い身のこなしを用いた独特な格闘技で相手をほんろうし、蝶のように舞い蜂の様に刺すバトルスタイルでかつてP-1を制した、元チャンピオン。

「お父さんに連れられて行った会場で、あなたのデビュー戦を見たんです」

「デビュー戦を・・・」

ゴウカザルは思い出す。

デビュー戦というと、今から数年前のことで、重量級ファイターのエンブオーとのマッチング。

華々しいデビューとはいかず、こちらの攻撃を全て受け止められて、自身はその戦いで敗れたはずだ。

「私も小さかったから、なんとなくでしか覚えてないんですけど、その時からあなたに夢中で・・・」

「それは・・・嬉しいな」

「だんだん強くなっていって、遂にチャンピオンに輝いた瞬間も、私会場で見てました。嬉しくて泣いちゃって・・・」

「・・・・・」

父の影響でP-1にはまり込んだテールナーは、テレビでゴウカザルの試合を見たり、雑誌やグッズを購入したり、お小遣いを貯めて一人で彼の試合を観戦しにいったりもした。

「サインももらったんですよ!ずっと部屋に飾ってて、私の宝物・・・」

「・・・確かに、そう言われるとサインをせがまれた覚えがあるよ。まだフォッコだった頃か?」

「凄い!覚えてくれてたんですか!?」

「珍しいかったしな、あんな小さな女の子にサインを頼まれるなんて」

「エヘヘ・・・」

自分が進化する前の出来事であったことも、憧れの人は覚えていてくれた。

憧れ一時は彼の様に戦えるようになりたくて、テールナーは自身の体を鍛えたこともあった。

進化をしたのも、タイミング的にもその時に得た経験値の影響だと考えていた。

「・・・ねぇ、ゴウカザルさん」

興奮を抑えて、少し落ち着いた様子でテールナーは彼に問う。
 ▼ 355 aSS341n256 18/02/17 14:25:50 ID:plNUvR2E [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「どうして・・・やめちゃったんですか?戦うの」

「・・・・・」


人気と実力を兼ね備えたバシャーモがチャンピオン戦に挑んだ時、そのチャンピオンこそがゴウカザルで。

下馬評では決して、ゴウカザルが不利というわけではなかった。

ゴウカザルのことを支持する古参のファンも多かったが、それでもメディアはバシャーモの人気を支持し、ゴウカザル圧倒的アウェーの雰囲気が場を支配していた。

テールナーも、当時は肩身が狭かったことを覚えている。

P-1の本部としても、新しいファンを取り込むのにバシャーモが勝利する方が都合がよく、ゴウカザルはあらゆるプレッシャーを背負って戦わなければならなかった。

結果、異様な雰囲気にのまれ、ゴウカザルはバシャーモに圧倒された。

「泣いちゃったんです、会場で」

テールナーはゴウカザルに言う。

「負けて、茫然としているゴウカザルさんを見て、バシャーモ選手の勝利に沸き立ち喜ぶ会場の人たちを見て、チャンピオンベルトを手にしたバシャーモ選手を見て、もう、涙が止まらなくて」

「・・・その時まで、会場にいたのか」

「でも、その時はすぐに取り返してくれるって、思ってました」

ゴウカザルはテールナーの声を聴きながら、彼女の目を見ることができない。

「どうして、あれから一戦も出てくれないんですか?」

純粋に応援してくれる彼女の声が、今は辛い。

「事務所のホームページからは名前が消えてないみたいですし、やめてないんですよね?今日だって、ロードワークしてらしたんですよね?」

「・・・ああ・・・」

ゴウカザルの声に、力は感じられない。

また、テールナーは泣きそうになってしまう。

小さなころから憧れた自分のヒーローが、今は目の前でその輝きを失っている。

こうして話せることは夢のような出来事なのに、素直に喜ぶことなどできない。

「まあ、その・・・簡単に言ってしまえば、怖いだけだよ」

ゴウカザルはゆっくりと口を開いた。

「怖い?」

「ああ、あの時完膚なきまでに負けて、自分の手にした座を失って、新たなチャンピオンは自分なんかよりもよほど人気者で」

悔しさを滲ませながらゴウカザルが言葉を紡ぐのが分かる。

テールナーはその一言一言に胸を締め付けられるような思いになった。

「俺だってまだまだ若いし、これからの選手だってのは分かるんだけど・・・練習はできるんだけど、いざ試合に挑む気になれなくて」

心の問題は、他人が思っているその数倍解決するのが難しい。
 ▼ 356 aSS341n256 18/02/17 14:43:07 ID:plNUvR2E [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「情けない話だけど・・・またあのリングに戻ることを想像しただけで、体が震えてどうしようもない」

「ゴウカザルさん・・・」

「でも、きっぱり辞める勇気もなくて、この様」

自嘲気味に吐き捨て、ゴウカザルはふと彼女の目から涙が流れているのが分かる。

「・・・泣かないでくださいよ、ゴウカザルさん」

「え・・・」

その彼女からの言葉で、自分の視界がぼやけていることにも気づいた。

ゴウカザルはあまりに驚いて、こんなこと・・・・負けた時にも・・・

「あの時だって、泣いてなかったのに・・・」

自身の考えた先をテールナーに指摘される。涙も出ずに、ただただ力なくトレーナーに体を預け、引きずられるかのように会場を後にした、あの日の記憶が鮮明に思い出された。

喋りすぎたな、そう思った。

誰にも、こんなことは話さなかった。

こんなになった自分を支えてくれる人たちに、素直にこの境遇を話してしまうと、みんな自分から離れていってしまう気がして言えなかったのだ。

口にすると、こうして泣いてしまうからきっと、言えなかったのだ。

誰も自分に触れようとしなかったから、言う機会もなかったんだ。

「・・・私、今でもゴウカザルさんのファンです」

涙をぬぐってテールナーは言う。

「もう一回、リングで戦うあなたの姿が見たい。叶うのならば、ベルトを手にしたあなたの姿をもう一度見たいです」

真正面から、ゴウカザルに気持ちを伝える。

「だから、頑張ってください」

その一言は久しくゴウカザルが耳にしなかった一言で。

無理をしないで、大丈夫か、休むことは悪いことじゃない。

ゴウカザルは、周りの人々に恵まれていたと自分で思う。

だから、自分が追い込まれた時に聞こえてきたのは、優しい声ばかりで、苦難を伴う期待を寄せられたのは久しかった。

「いつになるか、わかんないけど・・・頑張るよ。俺も、戻りたい」

「!!・・・はい!」

ゴウカザルの声の色が明るくなって、目つきが変わって、テールナーは嬉しくなって笑った。

ベルトを手にリング上で笑う、見る物を圧倒するような彼の覇気が、今かすかに感じられた気がした。

復活は近いのだ。

自分のヒーローは、自分の言葉で少しばかりの活気を取り戻したのだ。
 ▼ 357 aSS341n256 18/02/17 14:58:01 ID:plNUvR2E [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「またカッコよく戦えるまではまだ時間はかかるかもなぁ」

「大丈夫ですよ、リングの上で戦うゴウカザルさんは、私が初めて見た時からいつだってカッコよかったですから」

「初めてみた時は、負けてただろう?」

「カッコよかったですよ、だからファンになったんです」

彼女の言葉のひとつひとつを受けるたびに、ゴウカザルは復帰の意思を固めていく。

「あなたは私のヒーローなんです!次、またリングに上がるときは絶対に見に行きますから!」

「ああ、是非とも来てくれ」

応援してくれる彼女のようなファンのためにも、ゴウカザルの闘志はもう消えることはない。



「負けちゃったね、お姉ちゃんが応援してる人」

「そうだね〜、そういうこともあるよ」

きっと、彼が心に抱えた傷は根深いのだろうと、テールナーは思う。

それに、もちろんブランクもあるだろう。

それでも、ゴウカザルは、復活をテールナーに約束してから一月で舞台に戻ってきた。

彼が姿を消してから、約1年後のことであった。

会場には彼を温かく迎えるたくさんのファンがいて、リング上で少しばかりぎこちない動きのゴウカザルは、それでも相手に善戦して最後まで戦い抜いた。

戦い終わった後も、たくさんの暖かい拍手を受け、きっとこの敗北で彼が崩れるようなことはない。

「きっと、次は勝つよ」

会場を後にして、テールナーはフォッコに言った。

「あの人は私のヒーローなんだから」


一人のファイターは、誰かが応援してくれている限り、その人のヒーローになれる。

自分をファイターに戻してくれた彼女とまた話す機会があるかはわからないが、彼女が会場やテレビの前で自分の試合を見てくれている。

それは、ゴウカザルの戦う一つの大きな理由となっていた。

「・・・次だ、次!」

抱えたトラウマも乗り越えて、ファイターは戦う。

彼がリベンジのチャンスを手に入れるまで、そう遠くはない。


『ファイター』・・・おしまい
 ▼ 358 イプ:ヌル@ふしぎのプレート 18/02/17 15:19:27 ID:I6WA4leQ NGネーム登録 NGID登録 報告
ゴウカザルとテールナーをリクエストした者です。

素晴らしいお話をありがとうございます。支援。
 ▼ 359 リデプス@もりのヨウカン 18/02/17 18:10:45 ID:ex2DI5x2 NGネーム登録 NGID登録 報告
ミュウ×ミュウツー
 ▼ 360 ノノクス@かおるキノコ 18/02/17 22:05:12 ID:ifMR.eW. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 361 リバード@おおきなねっこ 18/02/17 23:30:18 ID:83vspN4Q NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 362 aSS341n256 18/02/18 11:55:56 ID:h1a.YoQ. [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
『君には似合わない』(リーフィア♂・ブースター♀・グレイシア♀)

「ブースター!グレイシアが僕のこと苛めるの!!」

「もう、ダメだよグレイシアちゃん、リーフィア君のこと苛めちゃ」

「なによ、すぐブースターブースターって。男の癖に情けないわ!!」

私とリーフィアとブースターの3人は小さなころからの知り合いで、他の友達も含めてよく集まって遊んでいた。

小さなころから気が強かった私は、逆に気が弱いリーフィアに何かと強くあたって、そのたびにリーフィアは優しいブースターに甘えていた。

それがまた私にとって気に食わず、顔を合わせるたびにリーフィアにちょっかいをかけていた。

その行動原理を今になって冷静に考えると、「かまってほしかった」とか、そんなところだろうと思う。

なんだかんだ言って仲も悪くなかったので、私とリーフィアは毎日のように顔を合わせて一緒に遊んだ。


「っしゃ!決めろリーフィア!」

「うん!!てりゃぁぁあ!!」

「うわっ!?」

「よっしゃ!ナイスシュート!!」

「サンダースもナイスアシストだよ!」

「っち、次は決めさせねぇ」

「ブラッキー凄い悔しそうだね〜」

大きくなって、自然と♂同士、♀同士で遊ぶことが増えて、リーフィアも男子たちとよく体を動かして遊ぶようになった。

「また、男の子達のこと見てるの?」

「・・・ブースター」

「サンダース君たちに言って入れてもらったら?一緒に遊びたいんなら・・・」

「別にいいわよ」

サンダースやブラッキーも昔からの仲間だったけど、彼らが私の知らない、他の男子たちと絡むようになってから、自然と私は彼らの中に入っていくことができなくて。

本人たちと話をしたりすることも随分少なくなった。

「それでさ、ズバッっとシュート決めてさ!あれはわれながらカッコよかったな〜!」

「へぇ、自分で言っちゃうのね」

そんな中でもリーフィアは私にもよく話しかけてくれた。

昔は少し私のことを怖がっていたきらいがあった彼だけど、なんだかんだで私のことを特別に見ていてくれたようで。

「グレイシアも一緒に遊んだら楽しいと思うのに」

「いやよ、他に女の子もいなかったし」

彼らとの距離感に悩む私のことをよく気にかけていてくれたリーフィアは、私にとってとてもありがたい存在だった。
 ▼ 363 aSS341n256 18/02/18 12:18:19 ID:h1a.YoQ. [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ええ!ブラッキーと恋人になったの!?」

「あ、あんまり大きい声で言わないでよニンフィア・・・」

更に時が経って、色恋というものを覚え初めて。

身近な存在だったエーフィとブラッキーが特別な関係になって。

そこで初めて、自分も誰かと付き合ったりとか、そういったことを意識するようになって。

「デートとかするの!?それに、キ、キスとか・・・!」

「落ち着いてニンフィア。キスなんて、そんなのまだまだ早いわよ・・・」

恋バナ好きな典型的乙女のニンフィアは耳をピンと立ててエーフィに問い詰めるけど、それを咎めるような人はいなくて。

要は私もブースターも、それに一緒に聞いていたシャワーズもエーフィの話は気になっていたということで。

タジタジになりながらもエーフィは二人の馴れ初めだとか、どこに遊びに行ったとか、そういった話をしてくれた。

それを一つ聞くたびにみんなで騒いではやし立てて、リーフィア達もこんな話をしたりするのかな、なんて。

「みんなは好きな子とかいないの?例えばリーフィアとか――」

そんなことを考えた瞬間リーフィアの名前をエーフィが出して、私は思わずドキリとしてしまう。

「――サンダースとか、それとも他の男の子とか」

「私はないかなぁ・・・今は勉強に忙しいし」

「うっそだぁ!シャワーズ恋する乙女の顔してるよ!!」

「てきとう言わないでよ!!」

顔が熱くなって、露骨に動揺して、でもそんな私に誰も気づかなかったのか、その場で追及されるようなことはなかった。

安心して、どうしてこんなに心臓の鼓動が早まったのか分からなくて、自分はリーフィアのことが好きなのかどうか・・・

そんなことで頭がいっぱいになっていた私には、少し大人しくなってどこか様子がおかしくなっていたブースターには、気づかなかった。


「夏になるとグレイシアが羨ましいよ・・・」

リーフィアはいつもと変わらない様子で私に話しかけてくる。

「こうも毎日暑いとさ、ほんともう、まいっちゃうっていうか・・・氷タイプだと涼しくていいよね〜、あ、でも溶けちゃったりするの?」

私はなぜか、そんな彼の顔を見ることができなくて。

「・・・まさか、溶けたら一大事でしょ」

「だよね〜!!そりゃそうだ」

「それに、私自身は普通に暑いし夏は嫌いよ。あんたこそ、よく陽が出る季節だしいいんじゃない?」

「陽が出てくれたらいいんだよ〜・・・こんなに暑くならなくても」

昔から、彼のことが好きなのだと、認めてしまうまでに案外時間はかからなかった。

彼の言葉を聞くたびに締め付けられるこの胸が、何より明白な証拠だと思った。
 ▼ 364 aSS341n256 18/02/18 13:43:31 ID:h1a.YoQ. [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「へぇ〜、ポフレのお店か〜!シャワーズが美味しいって言うんならとても美味しいんだろうね〜」

「うん、とても美味しかった。あれは多分通いつめてしまうやつね・・・」

「今度行ってみよっかな。そうだ、折角だし皆を誘って行ってみるとか!」

「いいね、それ。楽しみ」

私にとって、好きだとか関係なしにリーフィアのことは特別だけど、リーフィアにとっては私は特別ではないのかな、なんて思ったりもする。

こうしてシャワーズとか、他の女子とも積極的にしゃべったりするし、リーフィアの中では男女間でそこまで特別な違いはないのかもしれない。

「リーフィアって彼女とかいないの〜?」

「彼女?恋人?いないよ〜、僕そういうのわかんないし」

「それならさ!リーフィアに紹介したい友達がいるんだ!!」

「僕に?」

「その子リーフィアのこと結構好きだって言ってて〜」

「へぇ、なんか照れるな・・・」

爽やかな容姿と誰からも好かれる性格で敵を作らないリーフィアは確かに女の子からの人気も高かった。

私が彼と、本当に付き合いたいなって思っているのなら、そう悠長にしていては恋人ができてしまうかもしれない。

「そういう話はそんな大っぴらにする話じゃないんじゃない?ニンフィア」

「グレイシア!やっぱりグレイシアも気になっちゃう感じ?」

「別に、どうでもいいけど」

そう考えるとジッとしていられず、特に考えもなく二人の話に入ってしまう。

「グレイシアって昔からリーフィアと仲良しだし〜」

「そうだったっけ?ことあるごとに苛めてくるから嫌われてるのかなって思ってた」

「苛めてないでしょ!」

話が逸れて、友達の紹介の話もうやむやになってくれたらいいのに。

そうなる前に自分から動けばいいのだけど、きっと私にはそんな勇気もない。

「でも、僕のことが好き〜だなんて、物好きな人もいるんだね〜。僕も知ってる人?」

「そんなに知らない人だと思うよ?見た目が好みなんだって!紹介してってうるさくて!」

「見た目だけ?」

「中身は後から知っていくんだよ!!」

この様子だとリーフィアは自分の女子からの人気など、きっと気づいていない。

恋も好きも分からないと言うのだし、暫くは今のままでいいのかな。

変に告白して、彼とこうして仲良く話せる関係性もなくなってしまえば、それほど辛いこともないから。
 ▼ 365 aSS341n256 18/02/18 14:06:51 ID:h1a.YoQ. [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「やっぱり、他の女の子と喋ったりするのって嫌だったりするのかな?」

「そうだね〜・・・ちょっと嫉妬しちゃうかも」

そうやって、決行を先延ばしにしていてはダメだと思い知ったのはそれから一か月くらい経ってからのことで。

「でも、私は束縛したいわけじゃないよ。彼女ができたから友達が減っちゃうのっておかしいもんね」

「そっか・・・そうだね!その代わりブースターとももっと沢山お話すればいいんだよね!」

「ふふ、嬉しい!勇気出して告白してよかった!」

人目につきにくいところで、たまたま二人で話してるリーフィアとブースターを目撃して。

その会話を思わず盗み聞きして。

「そうだ、誰にも話したりしてないよね?付き合ってるって」

「うん、喋ってないよ」

「ニンフィアとかにバレて、エーフィみたいにからかわれたりしたら、ちょっと恥ずかしいから・・・」

「それは大変だね・・・気を付けるよ」

疑いようもなく、二人の交際の事実を知って。

二人に見つからないように私は逃げた。

一人で涙を流しながら走っていく私は、周りの目から見たらどれだけ滑稽だっただろう。

そうか、リーフィアに恋人ができたんだ。

リーフィアとブースターは昔から仲良かったもんね。

私にきつくあたられたリーフィアは、ブースターにいつも泣きついて。

優しいブースターのことが好きだったから、ブースターの告白を受けたんだ。

もし、私の方が先に告白してたなら、君はこの気持ちに応えてくれたのかな。

ああ、そうか。

私、知らなかった。

好きな人には幸せになってほしいなんて、

とんだきれいごとなんだね。

私が願っても、もうリーフィアは私のものにはならなくて。

リーフィアの一番は、ブースターになって。

きっと、これから二人で一緒にいても、私は君に気を遣ってしまうんだ。

リーフィアも、ブースターに負い目を感じて私との仲を改めてしまうかもしれないね。

私、悲しいな。

こんなことになるなら、ちゃんとすぐに動いておけばよかったのかな。
 ▼ 366 aSS341n256 18/02/18 14:21:50 ID:h1a.YoQ. [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
それからの毎日は、暫く気持ちが沈んだままで。

「それでさ〜、サンダースったら大人げなく全速力で。一緒に遊んでた子供たち全員大ブーイング!」

「そう・・・」

「・・・最近のグレイシア、なんか元気ないよね?何かあった?」

「別に・・・」

いつから交際を始めたのかなんてわからないくらい、今までと変わらずに話してきてくれていたリーフィアのことも、少し避けたり、ちゃんと話ができなかったり。

「ブースター!告白されたのに振っちゃったってほんと!?相手凄いカッコイイ子だって聞いたよ!?」

「えへへ・・・ニンフィアったら、この手の話は何でも知ってるね」

「どうして断ったの!?まさかもう彼氏がいたりとか・・・」

「タイプじゃなかっただけだよ」

仲良かったはずのブースターのことも、はっきり言って嫌いになったり。

ブースターは何も悪くないのに。

何かあったのはそっちの方じゃんって。

ニンフィアの言う通り彼氏がいるからでしょって。

二人は付き合ってるんだって。

もう言ってしまおうかなんて考えたこともある。

そんなの惨めで、自分を下げるだけだって分かってても、その衝動は何度も何度もやってくる。

「どうしたの?元気ないじゃない」

「シャワーズ・・・」

きっと、誰もが既に気づいてるんだ。私の様子がおかしい事。

でも、私から言えることなんて何もない。

私がこのことを話してしまうと、ブースターを傷つけて、リーフィアからも嫌われちゃうかもしれない。

そんなことになったら、私は――

「失恋でしょ?」

「!?」

「分かるよ、見てたら。誰に恋してたのかも、その人に恋人ができたことも」

万が一間違ってたらよくないから、と肝心の誰かまでは言わなかったけど、シャワーズは私がどうして悩んでいるのかをしっかり理解している様子だった。

「そんなに、分かりやすい・・・よね、自分でも分かってるんだけど」

「うん」

シャワーズはゆっくり私に寄り添って、話を聞いてくれた。
 ▼ 367 aSS341n256 18/02/18 14:36:16 ID:h1a.YoQ. [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「もっと早くから動いておけばよかったのかな、とか、後悔はしてもしてもしたらないの」

「うん、うん」

「相手の子のこと嫌いになったり、そんな自分も嫌になったり、私、もう・・・」

「辛かったわね、グレイシア」

泣いて、泣いて、泣いて。

今までにないくらいに、シャワーズの胸を借りて泣きじゃくって。

泣くほどに、心は軽くなっていって。

「私、いつまでもこんな感じなのかな」

「そんなことない。いずれきっと忘れていくし、新しい恋だってするよ。それに、二人がいつまでも続くとも限らない。失恋なんて、大抵誰にでもあるものだから、悩んだって別にいいのよ」

「うん・・・ありがとう、ありがとうシャワーズ」

きっと、明日になっても心は晴れない。

でも、痛む心を抱えたまま、生きていく決心をつけることができた。

なんて言い方は、大げさかもしれないけれど。

「本当に、ありがとうね」

「もう、そんなに大したことじゃないよ」


「おはよう、グレイシア!」

「リーフィア・・・おはよう」

「!!」

その日は彼の目をまっすぐ見ることができた。

「なに?なんだか嬉しそうね」

「だって、今日のグレイシア、前みたいに明るいから。何かいいことあった?」

私が明るいから嬉しい、そんなことを言う彼は、なんだかんだいってろくでもないやつ。

「いいことなんて何にもないわよ」

「本当に?」

きっと、暫くは私の心を話してはくれないけれど、この気持ちとの折り合いのつけ方も分からないほど、私は幼くはない。

だから大丈夫。

「本当よ。だから、心配しないで」

「え?・・・うん、分かったよ」


『君には似合わない』・・・おしまい
 ▼ 368 リアドス@1ごうしつのカギ 18/02/18 20:37:33 ID:Wy.9T2fQ NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
フライゴン♂チルタリス♀
 ▼ 369 aSS341n256 18/02/20 10:59:18 ID:rHAuYCr6 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
『Hide and seek』(ゲンガー♂×ラティアス♀)

「どこだ・・・確かにこの周辺にいるはずなんだけど・・・」

違いねぇ、気配はずっとしてるぜ。

「今日こそは絶対に見つけてゲットするぞ・・・」

ああ、今日こそは、必ず。


巷をにぎわせるとあるニュース、「伝説のポケモン、ラティアスが目撃された」。

目撃情報は1度や2度ではなく、毎日のように異なる場所で報告されている。

ラティアスは自らの姿を消す能力を持ち、それを用いて数あるトレーナーからの追跡を逃れているらしい。

だが、そのような能力を持つのであれば、そもそも発見の報告があがるはずがないのだ。

あいつは、自身の力を求めて捜索を続けるトレーナー達を手玉に取って遊んでいる。

主人も一度、ラティアスに遭遇したのだ。

俺だって覚えている、わざとらしく姿を見せ、あっけにとられて呆然としていた主人が気を持ち直した時には姿を消して逃げ去ったのだ。

その日から、主人はラティアスに執着し、目撃情報を追って彼女を探す毎日だ。

俺も、対ラティアスのゲットに役立てるような能力を手にした。

「ウラァァァァ!!!」

「ゲンガー、催眠術!!」

草むらから襲ってきたリングマに対し、主人の指示を受け催眠術を放つ。

この技も、ラティアスの捕獲を想定した技。俺の準備はもう万全だ。

いつかかってきても、問題ないぜ。

「凄い、随分強力な催眠術ね」

突如、俺の脳内に何者かの声が響く。

「このあたりで有数の暴れん坊だからけしかけてみたのだけど、傷つけずに無力化してしまうなんて・・・あなたのご主人様もあなた自身も、なかなかやるんじゃない?」

「・・・ラティアスか」

主人はラティアスというポケモンの特徴について詳しく調べていた。

群れで行動し、人と無暗に接さない、というのはどうも例の個体には当てはまらないようだが、

エスパータイプらしくテレパシーが使え、他のその者と心を通わせることができる。

さらにその応用で人やポケモンの心を者読むこともできると主人は推測していた。

「私のこと、随分探してたみたいだけど・・・そんなに私が欲しいの?」

からかうような口調で俺に語り掛けるそいつの姿がどこにあるのか、俺は皆目見当もつかない。

「主人が求めている。俺は主人に力を貸すだけだ」
 ▼ 370 aSS341n256 18/02/20 11:11:48 ID:rHAuYCr6 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ねぇ、あなた。かくれんぼは得意?」

「隠れるほうなら得意なんだけどな」

「でしょうね」

相手の言葉に集中し、その出所を必死で探す。

感性を研ぎ澄まし、どこに潜んでいるのかを探る。

気配はするんだ、奴は必ずこの近くに。

「見つけたのか?ゲンガー!」

主人の言葉に俺は答えない。

「・・・頼んだぞ」

主人も俺のその意図を察する。

ラティアスからの接触があったことを、理解してくれたようだ。

「いい信頼関係ね。結構面白いかも、あなたたち」

「たりめーだ」

「その信頼に応えられるかしらね」

俺への挑発を続けるラティアス。

やはり、こいつは俺たちのような存在を手玉に取って遊ぶだけ。

それを楽しむとんだ悪趣味な奴だ。

「あなたが私を見つけないと、戦闘も始まんないもんね」

「んなこたぁ・・・」

俺は彼女の場所に目星を付けるでもなく、

「分かってるよ!!」

悪の波動による波状攻撃を行う。

「そこか!」

「っ!」

ラティアスが姿を消す原理は光の屈折を利用した物。

絶妙なバランスによって景色に溶け込むことを可能にしており、そのバランスが崩れるようなことがあれば自然と景色から乖離したような場所が見つかる。

悪の波動を交わすことには成功したのだろうが、急に動いたことによってバランスを乱したのだろう。

俺は容赦なくそこにシャドーボールを打ち込んだ。

「痛い!ひどいわ、そんなに乱暴して!」

そして、赤く清く、美しいその姿が俺の前に現れた。
 ▼ 371 aSS341n256 18/02/20 11:21:09 ID:rHAuYCr6 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「メガシンカ!!」

その姿を目撃した主人はすかさず、俺にメガシンカの指示を与える。

特性かげふみによって、もう逃がさないように。

そして、飛躍的に上昇したその能力によって、伝説のポケモンとも渡り合えるように。

「もう逃がさないぜ」

俺はラティアスをにらみつける。

しかし、ラティアスの方は怯む様子もない。

「ちょっと・・・全く、せっかちね。もうちょっと遊んでいたかったのだけど」

「俺はお前を見つけた。俺の勝ちだ」

相手のペースにのまれないように、俺は攻撃の構えを見せながらラティアスに対峙する。

主人の推測が正しければ、主人の指示に従った攻撃も、俺主導の攻撃もラティアスには読まれてしまうことになる。

「まあ、いいわ。あなたとの正々堂々としたバトルも、面白そうね」

「随分余裕そうだな」

「催眠術!!」

ラティアスと俺の会話は主人にはわからない。

適度に間を取って、主人は俺にその技を命令した。

瞬間、

「!?」

彼女の姿が消え、催眠術をかわされてしまう。

「影はもう踏んだぜ。逃げることなんてできねぇ」

「分かってるわよ」

俺の背後でまた姿を見せ、竜の波動を打ち込むラティアス。

「悪の波動!!」

今度は相手の攻撃を相殺するように悪の波動を打ち込む。

「わざわざ姿をさらすんだな」

「姿消すのにも神経使うの。こっちの方が楽だわ」

速さ、攻撃能力、共に流石とでもいうべき力を見せるラティアス。

だが、この分であれば、

「どちらも俺の方が上って言いたいの?」

「・・・そうだ」
 ▼ 372 aSS341n256 18/02/20 11:33:10 ID:rHAuYCr6 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「シャドーボール!!」

一瞬で背後をとり、技の体制に入る。

気づいてかわそうとするラティアスの、その先にまた俺は向かう。

「あんたの速さも大概だが、今の俺には到底かなわねぇ」

「っ!!」

効果は抜群だ。

メガシンカしたうえで放ったシャドーボールの直撃、かなりのダメージを与えることに成功した。

その確信があった。

「・・・いいわね、強いわ、あなた」

「・・・気に入らねぇくらい平気そうな顔をしやがる」

だがラティアスはピンピンとしていて、まるでダメージなど受けていないかのような振る舞い。

更にすぐに姿を消して、再び俺が攻撃を用いて彼女の場所を特定する頃には、

「うん、いい。今までのどんなやつよりも、あなたたち、骨がある」

「てめぇ・・・今何しやがった!」

目に見えていたはずの傷も消えていて、

「あなたの考えている通りよ」

「・・・自己再生か・・・」

苦労して当てた一撃も、いとも簡単に無に帰してしまう。

主人もラティアスの戦闘スタイルに気づき、このまま戦っても無駄だということを悟ったのだろう。

「このままじゃ埒が明かない、なんとしても催眠術を当てて動きを封じる作戦でいこう」

一度は切り捨てた、命中精度の低い催眠術を軸とした戦法に切り替える。

「悪の波動!!」

「オラァッ!!」

攻撃技で相手の隙を作り、催眠術を確実に打ち込む作戦。

ラティアスに全てバレているのも覚悟のうえで、俺は主人の指示に従い技を繰り出していく。

ラティアスはそのどれもを巧みにかわし、時折攻撃技で牽制を入れてくる。

とても、催眠術が決まるようなシチュエーションに持っていけない。

「ちょこまか逃げ回るのが上手なようだけど、攻撃は随分下手じゃねーか」

彼女が俺に攻撃をあてるつもりがない。

それを分かった上で俺は言葉で挑発する。
 ▼ 373 aSS341n256 18/02/20 11:48:35 ID:rHAuYCr6 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ラティアスにもその意図は分かっているはずで、彼女の隙を作れるだなんてとても思わなかったが、それでも俺は彼女をからかうように言葉をぶつけた。

「だって、真面目にあなたに攻撃を当てたら一瞬で終わっちゃうもん」

同じように、彼女も俺に口撃をしかけてくる。

「まだまだ遊び足りないの、あなたの攻撃をこうしてかわしているだけでも、私十二分に楽しいわ」

無邪気に笑う姿は、天使の様にも悪魔の様にも見える。

「でも催眠術はダメよ。それを喰らっちゃったら、もしかするともしかしちゃうかもしれないもんね」

「目的はなんだ。捕まりたくないならそもそもしっぽを出さなければいいだろ」

「言ってるでしょ?遊びたいだけ」

会話をしながらも彼女は一切の隙を見せない。

催眠術を放ったその瞬間だけは、姿を消して本気で対応していることがわかる。

それだけ警戒も大きいのだろう。

「誰かに捕まって仕えるよりも、こうやって私を捕まえにきた人たちをあしらってる方が何倍も楽しいわ。それでもし万が一捕まっちゃったら、まあ私を捕まえられるような人になら仕えてもいいと思うし」

言葉の節々に自信が垣間見える。

戦いながら、これは敵わないと内心思う。

焦りに駆られながらも冷静さを失わない主人に、申し訳ない、応えられないと自分が情けなくなる。

「どうしてそんなに悲しく思ってるの?」

「悲しくって、何を」

「きっと、あなたも楽しいのでしょう?私とこうして遊んでいるのが」

「俺たちは遊びなんかじゃねーんだよ」

「どっちでもいーわ。もう、私に魅了されて、だめになっちゃってる」

「うるせぇ!!」

愛らしいルックスとその希少性のトレーナーが彼女を欲した。

実際にこうして戦う中で、俺の心が彼女に惹きつけられているのも分かっている。

何よりも、きっと、その敵わない強さに。

「速さと攻撃能力は自分のほうが上だ、なんて思ってたでしょ」

「・・・だったらなんだよ」

俺の言葉を聞くまでもなく、一瞬にして消えた彼女の、

「もしかしたら、私が本気を出していなかっただけだったりして」

言葉が後ろから聞こえて。

「ッ!?」
 ▼ 374 aSS341n256 18/02/20 11:57:18 ID:rHAuYCr6 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
もう攻撃技のppも尽きた。

俺にはもう、戦う術はない。

「あちゃ〜、もうおしまいか・・・じゃあね」

呆然とする俺の前で、彼女は攻撃の構えをとる。

「バイバイ!結構楽しかったし、また遊んでよ!」

サイコキネシス。

受けた技だけはかろうじて覚えていた。

俺の意識はそこで途絶えた。


「お疲れ様、ゲンガー」

主人の労いの声が聞こえてくる。

回復はもう終わったのか、俺は負けたのか、完膚なきまでに。

「やっぱ、伝説ポケモンは強いな・・・」

主人の顔が沈む。

俺はもっと強くならなければいけない。

あいつと渡り合えるように。

主人の役に立てるように。

俺の意地のために。

「・・・なぁ、ゲンガー。どう思う?」

どう思うって、何がだ?

「もう、諦めたほうがいいのかな」

冗談じゃねぇ。俺にだって、あいつに執着する理由ができたんだ。

主人に諦められちゃ困る。

「・・・なんて、冗談だ。強くなって、また挑もうぜ」

当たり前だ、次やるときは、必ず負けねぇ。

必ずだ。


「・・・フフ、特訓してるみたいね。また私を探しに来てくれる日を待ってるよ、ゲンガー」


『Hide and seek』・・・おしまい
 ▼ 375 レビィ@はねのカセキ 18/02/20 22:32:07 ID:wva/FD1E NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援支援
 ▼ 376 aSS341n256 18/02/21 18:34:45 ID:6iG8jBGE [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
『0と2と』(ミュウ×ミュウツー)

「そこだ!追え!」

「逃げたぞ!追いかけろ!」

「ダメです!奴は強すぎます!!」

「くそ・・・おい!大丈夫か!おい!」

必死の形相で私を追いかける研究員たち。

炎を、水を、電撃を放ち牙を向けるポケモンたち。

そのすべてを一瞬のうちに蹴散らして私は研究所の中を駆けた。

「おい!やめろ!!」

眼鏡をかけた白服の男の静止を振り切り、檻を、装置を、ガラスを壊す。

囚われたポケモン達が逃げていき、そのいくつかは私と行動を共にして追ってくる、迫ってくるやつらと戦った。

「お前も逃げるんだ」

より厳重に作られたつもりの保護装置も私の手にかかれば紙で作ったかこいも同然。

そこに囚われた存在、眠りについたままのミュウを抱きかかえて、私は研究所から脱出した。

「さらばだ」

置き土産に軽くない力を込めた光弾を放つ。

遠く離れた場所から、燃え上がる瓦礫の城眺める。

「これで、自由だ」

私は、自分の親に等しき存在にそう語り掛けた。

「私たちは、自由になれたんだよ」


ミュウツー。

幻の存在とまで言われた、希少なポケモン、「ミュウ」の遺伝子を用いて作られた最強のポケモン。

研究者が私利私欲で、圧倒的な戦闘力を得るためだけにオリジナルに無理な実験を強行し、それを繰りかえすことで完成したのが私だ。

ミュウも1体しか存在しないわけではなければ、ミュウツーもまたそうだ。

前例を参考にすることでミュウツーと呼ばれる個体を作る技術は、秘密裏に発達していった。

だが、人間の本質は先人の失敗から学ばないところにあるのだ。

ミュウツーを研究、作成した誰もが、先人たちがその力をわがものにすることに失敗していることをしりながら、自らはミュウツーをわがものに出きる、その力を制御できると考えていたようだ、

私を作った愚か者も同じ、失敗のモデルケースだけが増えていく。

彼らの記録を燃やしたところで、いずれ新たなミュウツーが自身の作成者を殺める定めは変わらないだろう。

人間への憎しみを持って生まれてくるのが私たちなのだ。
 ▼ 377 aSS341n256 18/02/21 19:12:39 ID:6iG8jBGE [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「うーん・・・」

「目が覚めたか」

「・・・君は誰?知り合い?」

「ミュウツーだ。お前から作られたから、ミュウツー」

「へぇ・・・変な名前。僕から作られたって?」

「人造のポケモンなんだよ、私は。人間が、お前を模して私を作ったんだ」

「よくわかんないや」

度重なる実験や研究に疲れ果て、心身衰弱しきっていたミュウの記憶を、私は消した。

そうでなくとも、もともと彼自身と私の面識などなかったのだが。

辛い、苦しいといった思い出から逃れ、私と同じ人間の被害者である彼が0から新たな生活を始められるように、私は彼を救って遠く離れたこの島に来た。

南アフリカのと呼ばれる地域の孤島らしい。豊かな緑に囲まれた、気持ちの良い島であったから、この場所を選んだ。

「君が僕をここに連れてきたの?何してたのか、よく思い出せないんだよね」

「いや、お前はずっとここにいたらしい。私は、傲慢な研究者たちから逃げてきたんだよ。そうして、ここに来た」

「ずっとここに?ほんと?」

「私が来た時には既にここにいたよ」

「変なの。名前くらいしか覚えてないよ。僕はミュウ・・・って、知ってるんだっけ」

私に備え付けられた忌まわしき能力の数々、それを駆使した記憶の消去はどれだけ効力があったのかわからない。

研究所での記憶など、ミュウは全く思い当たらないといった様子で、かといって自分のことを何もわからないなんてわけでもなく、今のところ都合のよさそうな効力の範囲だと認識した。

食料も十分にある。命の安全も保障されている。

私と共に来た多数の仲間と共に、私たちはここで、手にできなかった平穏を手に入れるためにの毎日をスタートさせた。


「はぁ・・・はぁ・・・私の勝ちだな」

「もう、速すぎるよ〜!!エボル!」

ミュウの性格は無邪気そのもので、幼い子供のよう。

毎日のように私たちに遊ぶようにねだっては、すぐに疲れて眠りについてしまった。

自身の名を含んだ私の種族名を呼ぶことを嫌い、

「自分を進化させたような姿だから」と私のことをエボルと呼んだ。

孤島での暮らしは、私の心の傷を癒してくれた。

ミュウと二匹、代わり映えのない毎日が私は幸せであった。

二度とこの平穏が崩れないようにと願っていた。

 ▼ 378 オー@きんのおうかん 18/02/21 20:18:45 ID:YtwY.vKA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
エルレイド×ディアンシー
 ▼ 379 aSS341n256 18/02/21 21:25:57 ID:6iG8jBGE [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「うーん・・・」

「・・・目が覚めたか」

「君は?」

「ミュウツーだ」

平穏など、たやすく壊れることを知った。

奴らはすぐに私たちを追ってきた。

そのたびに、私は戦った。

子どものような純心を持つミュウは、そのたびに深く傷つき、自分が受けた仕打ちを思い出した。

永遠に記憶を封印できるほど、私の術は優秀なものではなかった。

だから、私はまた記憶を消すのだ。

「お前は私たちの研究の成果だ!」

「大人しくこちらへ来るんだ!!」

「そいつがどれほど希少な個体なのか、分かっているのか!」

「あいつだ!あのちっこいのがミュウだぜ!」

「あいつを捕まえたら、俺たち億万長者だ!!」

私たちを襲うものは日に日に増えていった。

研究所の残党、また他所の科学者、トレジャーハンタ―。

そのどれも、私には到底敵わなかったが、私の心を傷つけるのには、そのどれもが十分であった。

「どうしたの?サイ。嫌な夢でも見た?」

「いいや、なんでもないんだ。気にしないでくれ」

サイキッカーからとって、サイ。

それが今度の名前だった。

ミュウはこうして、毎度毎度私に別の名前を付けた。

呼び方こそは変わったが、ミュウツーという種族名を嫌ったことは共通していた。

「じゃあ、今日はかくれんぼしよっか!サイが鬼ね!」

「かくれんぼか、いいだろう。10数える間に隠れるんだぞ」

こうして楽しそうに笑うミュウのことを、私はもう何度見ただろう。

奴らが来たら、彼はもう今のことを覚えていない。

彼の記憶から、この楽しかった瞬間も消えてしまう。

私が消してしまう。
 ▼ 380 aSS341n256 18/02/21 21:38:32 ID:6iG8jBGE [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・大丈夫か、ミュウ」

「サイ・・・僕・・・僕・・・!!!」

「ミュウ・・・」

もう何度目になるだろうか。

私たちを襲う敵を蹴散らして、新たな住処を求めて移動して、

腕に抱えられたミュウは苦しそうで、

「うわぁ・・・うわぁぁぁああああ!!」

「・・・許せ」

その姿を見ていられなくて、私は彼の記憶を消す。

そしてまた、私たちの関係は0になる。

私は、これまで何度、ミュウを殺したのだろう。

私は、これまで、何度自分を殺したのだろう。

記憶を無くしたミュウは安らかな顔をしていて、

目が覚めたらまたいつものように不思議そうに私を見やるのだろう。

奴らに狙われているのは、私だけでも、ミュウだけでもない。

両方だ、両方だから、こうするしか生きていく方法がない。

こうするしか、思いつかない。

「ミュウツー・・・って呼ぶの嫌だなぁ。そうだ、そのキュートなしっぽになぞらえて、テイル!テイルって呼ぶよ!」

「しっぽ?そんな風に考えたことはなかったな」

今度の私はテールらしい。

彼につけられた名前は一つ残らず覚えている。

彼は覚えていないけれど、思い出すたびに私が消してしまうのだけれど。

私はそのすべてを覚えている。

0から初めて一つ、二つ、

少し進めてはまた0に帰る。

そんな毎日でも、

私は彼と共に居たい。

私は彼と同じなのだから。

彼は私と、同じなのだから。


『0と2と』・・・おしまい
 ▼ 381 シャーモ@うしおのおこう 18/02/21 21:43:37 ID:PhohKPvY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援


よければ… プクリン→ペラップ←ビッパ の三角関係を…! ちなみにポケダン。
 ▼ 382 ロストロトム@ふしぎなおきもの 18/02/21 21:47:51 ID:3tVaG73s [1/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>381
全員オスじゃなかった?
 ▼ 383 ロトーガ@プレシャスボール 18/02/21 21:52:08 ID:PhohKPvY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>382
全員オス…だけど、仲間以上恋人未満、みたいな?
 ▼ 384 ラセクト@フェスチケット 18/02/21 21:56:37 ID:3tVaG73s [2/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>383
なるほど
 ▼ 385 ンメル@ナナのみ 18/02/21 22:51:05 ID:YtwY.vKA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>378
お姫様と騎士…的な感じでお願いします
 ▼ 386 aSS341n256 18/02/22 13:30:36 ID:vOI56hWg [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
『交換日記』(フライゴン♂×チルタリス♀)

2月15日 晴れ 
昨日はきっと一生忘れられない日になったと思います。
まさかチルタリスさんから告白されるだなんて、今でも夢を見ているかのよう。
こんな僕だけど、どうかこれからもよろしくお願いします。


まずはお互いのことを知るために交換日記をしようと、提案したのは僕だけど、
いざ書くとなると内容が思いつかないものですね。
それぞれ一日にひとつずつ質問をしていこうということだったので、とりあえず。
チルタリスさんはいつもテストの成績もいい優等生さんですが、勉強をするときのコツなんかはありますか?僕は勉強が苦手なので教えてくれると助かります。


2月16日 晴れ
なんだか堅いよフライゴン君!もっとラフな感じでいこ♪
わたしも昨日のことはずっと忘れないよ!OKしてくれて本当に嬉しい。
両想いだったなんて、嘘みたい(*‘∀‘)
これからもよろしくね♪

勉強のコツかぁ、やっぱり何でも集中することだね。
授業も、家での勉強も。
でも、向き不向きもあるし、分からないところは私が見てあげるから何でも聞いて!

さて質問ですが、私はフライゴン君の綺麗な羽音が好きです。
どんな風に羽ばたいたらそんなんに綺麗な音が出ますか?
教えてください(/・ω・)/
 ▼ 387 aSS341n256 18/02/22 13:43:36 ID:vOI56hWg [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
2月17日 曇り
なるべく文面が堅くならないように頑張るよ。
でも、どうしても普段話すみたいに書くのって難しい・・・

羽音は・・・種族の特徴といいますか、
別に意識してやってるわけでもないし、教えるとか、そういうのは難しいかも。
チルタリスさんは羽ばたく音で歌わなくても綺麗な声で歌うから、必要ないと思うけどなぁ。

さて、僕は音痴なのが悩みです。
音程の取り方とかが分からなくてガブリアスたちとカラオケに行ってもいつも馬鹿にされてしまいます。
勉強と一緒に、歌い方も教えてください。羽音じゃなくて、ちゃんと声で歌いたいです。


2月18日 雨
今日は雨だったね・・・気分も沈んじゃって雨は嫌いだなぁ(*_*)
翼が湿気を吸っちゃって、体が重くなったりするの(/_;)

声で歌うより羽音で歌う方が難しいのに〜!
ガブリアス君たちとカラオケとか行くんだ!今度があったら私も誘ってよ!
実際に聞いてみないとアドバイスとかは難しいし、まずはフライゴン君の歌声を私に聞かせてください(*^▽^*)

フライゴン君は雨の日は嫌いですか?
それとも、砂漠とかでも平気だし悪天候は気にならないのかな?
教えて〜(≧▽≦)


2月19日 晴れ
ドラゴンには辛い寒い日が続きますね。
早く春が来たらいいのに。

男子で集まってよくカラオケに行ったりするよ。
でも歌を聞かれるのはやだな・・・
雨は僕も普通に嫌いです。じめじめした空気が苦手・・・
砂漠で平気なのは、まあ、そういう種族だからというだけで、他の天候だと普通に晴れがいいな。

チルタリスさんは映画とか見ますか?
どんな映画が好きなのか教えてください<(_ _)>
 ▼ 388 aSS341n256 18/02/22 13:54:27 ID:vOI56hWg [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
2月20日 晴れ
歌聞きたい・・・(´・ω・`)
誰かに録音してもらおうかな!

好きな映画か〜、やっぱり恋愛ものがいいかな!
今やってるルージュラ先生原作の映画なんか、凄く興味ある!
主演のサーナイトさんはすっごく綺麗だし、
相手役のゾロアークさんもちょいワルな感じでカッコイイよね(≧▽≦)

さて、質問です。
私が今日好きな映画を聞かれたということは、
デート期待してもいいってことですか!?


2月21日 曇り
録音・・・やめてください・・・

デートは・・・そうだね、僕も行きたいなって思ってたところです。
また日程とか相談しようか。

チルタリスさんは俳優のゾロアークさんみたいな人のことが好きなの?


2月22日 雨
ゾロアークさんカッコイイって言っちゃったから露骨に機嫌悪くしちゃった?
文面もなんか素っ気無い感じになっちゃったし(+_+)
一番好きなのはフライゴン君だから安心してください!!
デート楽しみ!!

女子は今日授業でカップケーキを作ったよ!
って知ってるよね。美味しいって言ってもらえてよかった!
男子は男女別授業でどんなことするのかな?
授業の様子とか教えてください('ω')ノ
 ▼ 389 aSS341n256 18/02/22 14:18:28 ID:vOI56hWg [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
2月23日 曇り
女子が家庭科でお菓子作りをしている間、
男子は椅子とか机とか作ってます。
辛いです。

カップケーキも美味しかったけど、14日の日にもらったチョコレートも美味しかったなぁ。
チルタリスさんって料理とかはよくするのですか?
お菓子以外も作ったりするのかな。
教えてください<(_ _)>


2月24日 晴れ
辛いか・・・それは大変だね・・・
料理はよくするよ!
お菓子以外のご飯とかもちゃんと作れます!
明後日のデートの時に、お弁当作ってあげるね(*^-^*)

フライゴン君は料理とかしますか?
一緒に作ったりするのも面白そうだよね(*‘∀‘)
でも私より上手だったらちょっと複雑かも・・・('_')


2月25日 晴れ
お湯を入れて3分待つタイプのものなら作れるよ・・・
お弁当楽しみ!
明日のために早く寝ないとだけど、今日はなかなか寝付けそうにありません・・・

チルタリスさんは兄弟とかっていますか?
そういえば家族構成とか全然知らないなって。
僕は下に妹がいるんだけど・・・
 ▼ 390 aSS341n256 18/02/22 14:35:04 ID:vOI56hWg [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
2月26日 雨
今日は楽しかったね!
雨だったのは残念だけど・・・映画も面白くて、大満足(≧▽≦)
フライゴン君、最後泣いてたよね( ;∀;)

インスタントは料理に入らないよ!!
でもフライゴン君は美味しそうに食べてくれるし、作り甲斐があるからそれでいいよね!
兄弟はいないよ、両親と3人暮らし。
フライゴン君はお兄ちゃんなんだね〜、通りでしっかりものなわけだ(^^)

次はどこへ連れて行ってくれますか〜?
近いうちにまたデートしましょう!



「・・・なににやけてんだよ、おめぇ」

「へ!?いや、べ、別に!?ガ、ガブリアスの方こそなんだよ急に!」

「急も何も、お前がなんかノート見てにやけてるから気になってよ」

「おーっす」

「ボーマンダ、おはよう」

「おうフライゴン、お前昨日映画館で見かけたけど何してたんだ?」

「ふぇっ!?な、なにしてたって・・・」

「映画館で見たのか?じゃあ映画観てたんじゃねーの」

「なんの映画観てたんだよ」

「な、なんでもいいだろ・・・」

「まさかお前、いっちょまえにデートか!?」

「なんでそうなるんだよ!!」

「隙あり!!」

「あ、ちょ、ガブリアス!!返せよ、それ、大事な・・・」

「交換日記・・・?って、おめぇ!!」

「あー!!あー!!あー!!」

「ちょ、うるせぇぞフライゴン!ガブリアスそれになんて書いてあったんだよ!!」


「男子たちうるさいな〜、どうしたんだろう」

(フライゴン君今日も元気そう♪昨日は楽しかったな〜♪)

「・・・どうしたの?チル、なんかボ〜っとしてるけど」

「あ、なんでもないのよヌメちゃん!」


『交換日記』・・・おしまい
 ▼ 391 ッカグヤ@ファイヤーメモリ 18/02/22 15:59:22 ID:C4Qwfl0Q NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
>>368です
尊い支援ありがとうございます
 ▼ 392 ーイーカ@あおぞらプレート 18/02/22 16:31:03 ID:YZZCQXFw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援!
 ▼ 393 aSS341n256 18/02/23 09:09:20 ID:QyBcOg.Y NGネーム登録 NGID登録 報告
・ちょこっとSS 『彼らのその後 フライゴン・グレイシア編』(>>85 『雪に焦がされ』より)

年中雪降るキッサキの周りは、やはりフライゴンには厳しい環境で。

どうしても寒い時はキッサキから離れてやりすごすなどしていることはグレイシアも把握していたが、

「そういえば、そういう時ってシンオウの中でもどこに行ったりするの?」

まだまだ慣れない土地でフライゴンがどうして暮らしているのか、グレイシアは知らないことも多い。

あわよくば一緒に出掛けるきっかけに、なんて思いながら何気なくフライゴンにそんなことを聞くと、

「南に下れば暖かくなってすごしやすくなると思ってたんだけど、盲点だったね。最近は228番道路に入り浸ってるよ」

「228番道路?」

フライゴンは意外にもすでにお気に入りの場所を見つけていたらしい。

「ハードマウンテンの近くあたり?常時砂嵐が吹いているところがあって」

「ハードマウンテンって言うと・・・あー、バトルゾーンの方・・・」

キッサキからも船が出ている地域で、バトルフロンティアを中心にシンオウの腕自慢のトレーナー達が集うバトルゾーン。彼らに連られてか、そこに暮らす野生のポケモン達もレベルが高いと聞く。

「へぇ、よくそんなところに・・・結構過酷な環境よね。それに、砂嵐って」

「君たちがあられや雪の中でも平気なように、僕は砂嵐の中の方が居心地がいいんだよ」

「なるほど・・・」

そういえば、フライゴンは砂漠の精霊なんて呼ばれていたっけと、グレイシアは逡巡する。

デートをするにしたって、そんなところに連れていかれてはこちらとしてはたまったものではない。

「・・・なんか、不機嫌?」

「そ、そんなこと!うまくやっていけてるみたいで、安心したわ」

実際、フライゴンはなかなかのバトル脳で、逃がされたとはいえトレーナーの元で特訓を重ねていただけあって実力は高い。

趣味もそういったものに偏っており、自分が行きたいようなところには興味がないのかも・・・

「あとは、ソノオの花畑とか」

「はなばたけ!?」

そんなことを考えていたところに、おあつらえ向きな発言が来て思わずグレイシアは大きな反応を見せてしまって。

「・・・グレイシア?」

「コホン、お花とか、興味あるの?私、ソノオには行ったことないわ」

「うん、綺麗な花を見ていると癒されたりするから・・・せっかくだし、一緒に行って見る?」

「いいわね!連れてってほしいわ!」

彼女の様子を察したフライゴンがグレイシアを誘った段階で、既にグレイシアの周りにはお花が飛んでいたという。


〜おしまい〜
 ▼ 394 ーボ@ネットボール 18/02/23 20:44:32 ID:AL0Rz3WY NGネーム登録 NGID登録 報告
ゴルダック♂×サメハダー♀をお願いします。
 ▼ 395 ッポ@ギネマのみ 18/02/25 00:12:19 ID:Mm6KGguM NGネーム登録 NGID登録 報告
ロコン♂×Aロコン♀
お願いします!
 ▼ 396 aSS341n256 18/02/25 00:14:48 ID:yIiBNkyk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
『近すぎるということ』(エルレイド♂×ディアンシー)

「そこまで!」

「うう・・・やっぱりエルレイドさんは強いや」

「そんなことはない。コマタナも初めて対決した時から比べて随分と強くなったじゃないか」

エルレイド。一国を守る騎士団の一員で、自身の体を用いた剣技の腕から「剣豪」の名を持つ男。

とはいっても、敵を切ることで手にした勲章ではなく、

「皆もエルレイドのように有事に備え、鍛錬を欠かすことのないように!」

(・・・その有事が、ここ数年一度も起きていないのだがな・・・)

無暗な戦争を交渉や同盟によってかわすようになった現代では、この騎士団が国のために戦うという事態はそうそうおこらなかった。

先代剣豪たちの中には、対外国との闘いで戦果をあげたことに由来するものも多いのだが、エルレイドの場合は単に「仲間内で最も強い」ことを示すのみ。

平和な毎日を送れていることに感謝しながらも、少々物足りないという感じはぬぐえないでいた。


「合同訓練ご苦労様、今日もカッコよかったわ、剣豪さん♪」

「ディアンシー・・・また見てたのか」

第二王女ディアンシー。

王女の身でありながら気さくで人懐っこく、エルレイドとは幼馴染のような関係であった。

物心の着いた頃には、エルレイドはディアンシーと自身の身分の違いというものを理解していたのだが、「王女」と呼ぶとディアンシーがひどく怒ったで結局今までフランクな関係が続いている。

「私も男の子に産まれたかったわ。お互いの体を武器にしてぶつけあって、とっても楽しそう!」

「遊びじゃないんだぞ、実際戦争になったら俺たちは傷つき、知らない誰かを傷つけるんだ」

昔からディアンシーは少しお転婆だった。

『ったく、勝手に外出して、怒られるのは俺なんだぞ・・・』

『いいでしょ〜、私のために怒られてよ、エル君♪』

周りの大人たちの目をかいくぐって城の外に出て、森の中や公園や商店街、王女の身には珍しい光景を見て回るのがディアンシーの趣味で。

一人で外に放ってもそれはそれで問題であるので、いつもエルレイドはそれに付き添っていた。

初めてそれがバレた時は、ひどく怒られたが、ディアンシーがそれを庇って。

『エルレイド君がいてくれるなら、安全ではありますわね』

ディアンシーの性格をよく理解していた王妃のおかげもあって、それ以降は軽く咎められるだけになった。

寧ろ同情されたりまでしたこともあったが、エルレイドはエルレイドで二人で秘密のお出かけ、なんて考えるとまんざらでもなく他の仲間にその役目を譲る気もなかったりしたのだが。

「戦争なんて、起きないわよ。常識よ、何が目的だって、割に合わないわ」

立場上、周辺国との政治的事情も理解していたディアンシーはエルレイドの「もしも」の話を笑い飛ばす。

そんなものを起こさないために、自分達王族というものがいるのだと、ディアンシーは自らの境遇を誇りに思っていた。
 ▼ 397 aSS341n256 18/02/25 00:32:44 ID:yIiBNkyk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
『フフフ!空気も美味しくて、静かで、なんて素敵な場所なの!?』

森に初めて来たときの彼女の反応は、あまりにも大げさなもので。

エルレイドがそのことを鮮明に覚えているのはそれだけが理由ではなくて。

『世界に私たち二人だけみたい!ねぇ、そう思わない?』

『何を言うかと思えば・・・さっぱりだな、別に珍しい場所でもないし』

『そう・・・王女なんて、私には窮屈なのかもね。もっと普通の家に産まれたかったな〜』

「・・・随分立派になったもんだな」

パパが仕事をやめてくれたらいいのに。

勉強なんてしたくない。

そんな何も知らない子供のうわごとのように、ディアンシーも昔は、自分たちの存在の意味など知らない幼き頃は、ただ外に出るのもままならない自らの地位を煩わしく思っていた。

『でも、エル君が私をお嫁さんにもらってくれたらもっと自由になれるし、それまでの我慢だよね!』

『はいはい、そうだな』

そんな幼き頃から、今に至るまで、彼女は変わらず自分を思い続けてくれているのだろうか。

自分のことを好きだと、ディアンシーはよく言葉にして自分に伝えてくれた。

結婚という言葉を出したのは、この時くらいのものだった気もするが。

「・・・どうしたの?エルレイド、考え事?」

「なんでもない」

世界一美しいとも言われるディアンシーのその姿、

早くから進化したエルレイドはそれでもなおラルトスの時代からディアンシーに魅せられていて。

幼心に彼女に恋を覚えて、その恋が決して実らないものだと知ったのも、それもまた幼いころのことで。

一度として、彼女と人生を共にする未来など真剣に考えたこともなかったが、それでもエルレイドはその言葉を忘れることはできずにいた。

「ま、私ももう大人ですから!エルレイドの思うような子供じゃないってことよ!」

フフン、と鼻を鳴らしてディアンシーは言う。

「なんだよ、急に」

「私もチャンバラしたいだなんて言ったから、呆れたんでしょ?」

確かに、天真爛漫で無邪気なディアンシーのことを今でも幼い子供のように扱っている節はあったかもしれない。

「エルレイドも、それは同じだけどね。昔は可愛かったのに、随分凛々しくなっちゃって」

「・・・進化前のことを言ってるのか?」

「進化してからもよ」

この日のディアンシーの暇つぶしのための会話は、エルレイドには何か意味の深い物のように思えた。
 ▼ 398 テトプス@むげんのチケット 18/02/26 09:57:45 ID:aQgYmRWo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 399 ラカッチ@コダックじょうろ 18/02/26 18:35:11 ID:dU1svIlg NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
死(;´-`)ン(しえええん)
 ▼ 400 オスバメ@レンブのみ 18/02/26 23:30:25 ID:pYw4pysM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 401 aSS341n256 18/02/27 15:27:21 ID:4acNjZ26 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「警護役、ですか」

「ああ、お前に中心になってもらいたい。同行する連中も勉強になるだろう」

ある日、エルレイドは騎士団の幹部の一人に呼び出され、王女ディアンシーの隣国訪問の際の警護役に任命された。

元より、彼が王族の警護につくことは珍しいことでもなかったが、第二王女であるディアンシーが他の国へ向かうということはなかなかなかったので、エルレイドは珍しいことがあるものだと思っていた。

「そういうことだから、よろしくね」

「ああ、しかし、一体何の目的があっての訪問なんだ?」

「お父様とかお姉さまとかだと、都合が悪いみたいで。私もちょっと面倒だとは思うんだけどね」

ディアンシーに話を聞くと、どうやら彼女直々の指名らしく、ディアンシーは訪問の理由をぼやかした。

心なしか、少し気分が暗いようではあったが。

エルレイドはそう思い、問う。

「・・・何か悩み事か?」

「なんにも?ちょっと眠たいくらいかな」

彼女が何もないと言うのであれば、それ以上詮索するのも野暮だと思い、エルレイドは彼女のもとを後にした。


いざ訪問が始まると、隣国の王子と会談をするディアンシーの様子は一見楽しそうに見えて声のトーンはが普段より低い。

国同士の友好を深めるための席なのだろうか。エルレイドは考える。

両国は悪い関係ではなかったが、共に抜きんでた武力を持つような国でもなく、例えば同盟関係を強固に結べるようであればそれは心強いことで。

「お疲れ様です、王女様」

「やめてって言ってるでしょ、堅苦しい」

数日間にわたる訪問と会合、会食。

自国に帰る頃には少し疲れたような顔をして、それでいてその疲れを他人に見せないような振る舞いを徹底していたディアンシーに、やはりこの人もまた王女なのだとエルレイドは思う。

相手の人たちも、穏やかそうな雰囲気で物腰柔らかい王子を中心として、いい人たちだという認識を少なくとも彼はしていた。

それでもディアンシーは気が乗らなかったようで。相手に気を遣わせないように気を張っていたのかもしれないなどと考えると、少し気の毒にも思えて。

「こういうのは、苦手か?」

「まあ、ね」

エルレイドが彼女に問うと、彼女は苦い顔を浮かべながら答える。

自らの立場に誇りを持っている、そう言いながらも、やはり今でもディアンシーには王女という立場は退屈で、窮屈で。

「・・・偉いな。ディアンシーは」

「ふふ、もっと褒めてくれてもいいのよ?」

だからこそディアンシーにとってやはりエルレイドの存在は特別で。

砕けた感じでエルレイドにそうおどけてみせると、エルレイドはやれやれといった感じで彼女の頭を撫でてやった。
 ▼ 402 aSS341n256 18/02/27 15:52:41 ID:4acNjZ26 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「聞きましたか、エルレイドさん」

「何をだ?」

後輩騎士のコマタナが、エルレイドを呼び止める。

彼が私用でエルレイドのような上級騎士に話しかけることは珍しかったが、

「この前の隣国訪問の理由です」

エルレイドとディアンシーの関係を知っているコマタナはどうしてもエルレイドの思うところが気になって彼に話を切り出したのだ。

「隣国同士の友好関係の発展のためじゃないのか?

エルレイドは思い当たる節もなく、自身の推測を何気なしに話すが、

「それだと第二王女のディアンシー様が出る理由がないですから。政略結婚だそうなんです、ディアンシー様と、隣国の王子」

「・・・そうなのか」

政略結婚。

相互の国の同盟を強固にするための手段の一つ、けして珍しいことではない。

王女という立場であるディアンシーがいずれ結婚をするのであれば、まあそういう仕方になるのであろうとエルレイドは覚悟していた。

覚悟していたが―――

「あ、聞いちゃった?噂されてるの知ってたから、まあいずれは知られるとは思ってたけど」

「本当なのか」

「・・・うん、ほんと。といっても、正式に決まったわけじゃないんだけどね」

本人の口からそう聞かされて、エルレイドはやはり落胆の色を隠せない。

『好きだよ、エル君!』

『・・・知ってる』

『エル君も、私のこと好き?』

『・・・好きだよ、ディアンシーのこと』

『エヘヘ、嬉しいな〜』

「・・・本当、なのか」

「うん」

幼いころから二人は一緒で、

二人の気持ちもずっと一緒で、

それは、お互いに痛いほど分かっていて。

今でも変わらないことを、痛いほど分かっていて。

それでも、身分が違っていて。大人になるにつれてそれ以上先へと進めなくて。
 ▼ 403 aSS341n256 18/02/27 16:07:23 ID:4acNjZ26 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・とってもいい人なんだよ」

「・・・王子が、か?」

ディアンシーはポツリポツリと、相手の王子のことをエルレイドに話す。

「優しくて、話は面白くて、賢くて国民からも慕われて・・・」

聞きたくない、そう思いながらもエルレイドは彼女の言葉に耳を傾ける。

彼女がきっと、自身の運命を受け入れるために、こんなことを話すのだと思うと、自分は甘んじて聞かなければならないと、彼女の言葉の一つも聞き逃さない覚悟を固める。

「私、きっと彼と幸せになれるわ」

「・・・そうか」

ディアンシーはそれでいいのか、と。

エルレイドはそれでいいの、と。

二人は、聞くことができなかった。

自分達の立場というものを嫌というほどに分かっていて、それでいてこれ以上に何も言うことができなかった。


「破談になっちゃった」

「は?」

後日、あっけらかんとディアンシーはエルレイドにそう告げた。

「話を持ち出したのも大人たち、それを打ち切ったのも大人たち。滑稽ね」

「そ、そうか」

同盟の内容などで揉めたのだろうか、政略結婚を強く求めていたのはディアンシーの側の国の方だったが、成立まであと少しというところで話が消えてなくなってしまったというのだ。

「そんなわけだから、どうせまた違う人とそういう話になるのね。国のためだと分かっていても、複雑だわ」

「ディアンシー・・・」

目の前の話が消えたからと言って、何も解決したわけではなくて、覚悟を決めた瞬間が先延ばしになるのみ。

「政略結婚に愛なんていらないものね」

自嘲気味に笑ってそう呟くディアンシーに、エルレイドはかける言葉も見当たらなくて。

自分が、どこかの国の王子になれたら、なんて考える。

だとしたら、今まで二人で過ごしてきた時間の全てはなくなるけど、これから奪われる分の時間はすべて自分のものだったのに。

「・・・なんて、ばかばかしいか」

「どうしたの?」

「なんでもない」

またどこかの国へ訪問する所から始めるのね、とディアンシーの顔は憂鬱そうで。

その時はまた、自分が彼女についていくのだろうか。
 ▼ 404 aSS341n256 18/02/27 16:19:29 ID:4acNjZ26 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・ねえ、エルレイド」

「・・・なんだ?」

「今から、私に付き合ってよ」


「ふふふ、久しぶりね!」

「はぁ・・・大人になったんじゃなかったのか」

「仕方ないでしょ、限りがあるって分かってるんだから」

ディアンシーはエルレイドを誘い、城を抜け出して森へと駆けて行った。

いつか、二人で来た森。

二人だけしかいない森。

「懐かしいでしょ!こうして何回も抜け出して、怒られて、でも楽しかった!」

「そうだな、俺も、楽しかった」

「私が誰かの物になる前に、こうして何度も出掛けましょ?」

「何度も・・・か」

公園も、海も、街も、草原も。

あなたと二人でこの世の全ての物を見たい。

そんなことも、あなたと二人で生きていきたいという叶うことのない願いに比べたなら、

あまりにもちっぽけなものだから。

そんな類の願いを、ディアンシーはこれまで何度心の底で唱えて来たことだろう。

「ダメ?」

「・・・ダメじゃ、ない。俺もそうしたいと思うよ」

「ふふ、嬉しいわ」

分かっていて、言葉にすることを許されない思いの代わりに、二人はこうして秘密のお出かけを繰り返すことを約束した。

しがらみなんて何一つなく口に出して伝えられた幼き日の、続きを遊ぶかのように。

「今が永遠だったらいいのにな、なんて思うの」

「奇遇だな、俺もだよ」

「でも、永遠じゃないもんねって、分かってるの」

「・・・俺もだよ」

ただ一人好きな人の隣で、泣きたい気持ちを抱えながらも二人は今この瞬間の幸せを、「その日」が来るまで毎日のようにかみしめ続けた。


『近すぎるということ』・・・おしまい
 ▼ 405 ガラティオス@こうらのカセキ 18/02/27 22:33:54 ID:WlUBQJeo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援 と リク

マニューラ♀ × シャンデラ♂ 
 ▼ 406 シェード@ちからのねっこ 18/02/27 23:40:57 ID:y1YBAUdQ NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
うおおおおおおおおおおおおん支援
 ▼ 407 ーケン@むらさきのミツ 18/02/28 07:39:52 ID:9MyI2.p2 NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
フライゴン♂×サーナイト♀(某ssより)
 ▼ 408 aSS341n256 18/02/28 18:21:44 ID:g5cJBtOs [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
『委員長とヤンキーガール』(ゴルダック♂×サメハダー♀)

「サメハダー様のお通りだ!!そこをどきやがれ!!」

「キャー!サメハダーよ!!」

「目を合わせたら噛み砕かれるぞ!!」

「おいこら見せ者じゃねーぞ!!」

「逃げろ!!」

海央第二高校の番長、サメハダー。

『噛み切りシャーク』の異名を持つ、カリスマヤンキー。

沢山のキバニアたちを舎弟として従え、校内を我が物顔で泳ぎ、

彼女を目にした生徒たちはみなすぐさま逃げていく。

校内の厄介者である彼女に好き好んで話しかける者はそうそういなかったが、

「サメハダー君、探したぞ!こんなところにいたのか!」

「・・・またあんたかよ」

ただ一人、ゴルダックだけはしつこく彼女に接触を続けていた。


頭脳明晰、誰よりも速く泳ぎ、爽やかで優しく人望厚い、真面目な青年、ゴルダック。

クラスの委員長をしており、他のクラスの生徒たちも彼のことを知らない者はない程度には有名人で、教師たちからも一目置かれる存在。

だから、ただでさえサメハダーは彼のようなタイプのポケモンを嫌っていたが、

「どうして登校しているのに授業に出ないんだ?」

「うるさいな、アタシにかまうなって言っただろ」

「それはダメだ、同じクラスの委員長として、そんなことは見逃せないからな!」

サメハダーは不運にもゴルダックに目をつけられ、こうして毎日のように授業に出るよう説得される羽目になり、

「アンタしつけぇな、アタシは勉強なんてかったるいことするために来てんじゃねぇんだよ!」

「勉強は学生の本分だ!」

と、こういった具合に自分のことを臆せずにつっかかってくるゴルダックのことをサメハダーは非常に疎ましく思っていた。

キバニアたちも最初は馴れ馴れしくするなと息をまいてゴルダックにけしかけていたのだが、ゴルダックは気にするそぶりも見せず。

最初のうちは根性のあるやつだとサメハダーも好意的に思っていたのだが、

ウザいものはウザい。

結果、今ではただのバカと見て彼のことをあしらっている。

「なあ、サメハダー、どうしてもか?」

いつもの調子でゴルダックはサメハダーに説得を続ける。
 ▼ 409 aSS341n256 18/02/28 18:45:33 ID:g5cJBtOs [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「アンタも懲りねぇな」

「一度クラスに来てみると楽しいかもしれないぞ!だから一度だけでも!」

「行かねぇって」

「友達もできるぞ!」

「ダチなんていらねぇよ」

まっすぐにサメハダーの目を見て真摯な言葉をぶつけるゴルダックに対し、サメハダーは興味なしといった具合にそっぽを向いていて、暖簾に腕押し、糠に釘。

「そもそも、誰もアタシにクラスに来てほしいなんて思ってねぇよ、寧ろ迷惑だぜ、アンタのその偽善行為」

「そんなこと・・・」

「あるよ」

サメハダーに言わせれば、周りから疎まれる自分のことをわざわざクラスに呼びたいというゴルダックの考えが理解できず、それはただの自己満足だと何度も告げてきたのだが、ゴルダックの方も全く引かない。

「それも、一度来てみればハッキリすることだ!」

「あのなぁ・・・」

どうだ、うまく切り返してやったぞ、なんて言いたげなゴルダックに少しの苛立ちは覚えるものの、ふとサメハダーは考える。

『前から思ってたんすけど、一度だけクラスの方に出てやったらどうっすか?』

『ああ?なんでアタシがわざわざ・・・』

『分からせてやるんすよ、アイツの考えが間違いだって。姉御がクラスに出たら、どうせみんなビビッて、どうして姉御をわざわざ授業に出るよう説得したんだ〜なんて、今度はあいつが攻撃の標的になるっす!』

『なるほど・・・』

「・・・分かった」

一度だけ、仕方なく一度だけ、こいつの言う通りクラスに出てやろう。

それで二度と自分と関わらないようにと条件づければ、こいつが自分につきまわることもなくなる。

こいつの言いなりになるのは癪だが、それもまあ少しの我慢だ。

「一度だけだぞ。明日、朝行ってやるよ」

「本当か!?」

「その代わりそれが済んだら、二度とアタシに絡むんじゃねぇ」

「ああ、サメハダーがそう望むと言うなら約束しよう」

サメハダーの提案を聞いて、ゴルダックは心底嬉しそうな顔で笑う。

なんで自分がクラスに出るだけで、こいつはこんなに嬉しそうな顔ができるんだ、さっぱりわからねぇ。

ああ、面倒だな。

サメハダーはそんなことを考えながらも、明日が過ぎれば奴の顔を見なくて済む、と思うとすがすがしい気持ちであった。

仮にゴルダックが約束を守らなかったとしても、その時はその時だと考えていた。
 ▼ 410 aSS341n256 18/02/28 20:20:34 ID:g5cJBtOs [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おう!来たか!サメハダー!!」

「おはよう!サメハダーさん!!」

「うぉ!マジでほんとに来た!!委員長スゲー!!」

「・・・こ、これは・・・」

いざ教室に来てみると、自分もよく覚えていないクラスメートたちはどうやら歓迎ムードで、サメハダーは面食らう。

「な、なんの真似だ・・・」

「サメハダーが今日クラスに来ると言うからな、仲良くするように皆に連絡を回していたんだ!」

「私たちサメハダーさんのことよく知らないのに、怖がってたら失礼だもんね!」

「弱い物苛めしたりとか、そういう話も聞いたことなかったしな!」

ゴルダックの隣にいる、恐らくクラスメートのランターンとフローゼルも、サメハダーが睨みつけても怯む様子なくサメハダーに近づいてくる。

教室の奥の方を見ると自分を怖がっているものも当然いるようだったが、

「体育祭とか、サメハダーさんがいたら頼もしそうだね!」

「番長って言うからには運動もできそうだしな!」

「それはそうだな、期待してるぞサメハダー君!」

「は、はぁ!?」

3人を中心に自分を歓迎するような流れに飲み込まれ、サメハダーは想定違いの事態に困惑、あれよあれよと自分の席へと連れられてそのまま授業を受けることになってしまった。


「サメハダーさん、一緒にご飯食べていい?」

「は?なんであたしが・・・」

「私も一緒に食べる!!」

「お昼は購買?お弁当?」

「お、おい!!」

昼休みになるとランターンがサメハダーを捕まえ、ランターンの友達も次々とサメハダーの周りを囲む。

この頃になると、初めのうちは少しサメハダーを警戒していた様子の者たちも、積極的にサメハダーに絡むようになってきた。

「な、なんなんだよ急に・・・アンタらアタシが怖くないのかよ」

「ゴルダック君の説得に応じて、今日来てくれたしね」

キッと睨みつけながら、強い語気で脅したてるようにランターンに問うたサメハダーだったが、ランターンの返事はまたサメハダーの牙を折ってしまう。

「私、時々ゴルダック君がサメハダーさんと話してるの見てたんだ。最初はやめとけばいいのにって思ってたんだけど、サメハダーさん、一度もゴルダック君に攻撃したりしなかったから、そんなに悪い人じゃないのかもなって思ってたんだ」

「な、なんだよそれ・・・」

恥ずかしさで顔を真っ赤にするサメハダーを前に、ランターンは「怖くない」ことの根拠を淡々と語る。
 ▼ 411 aSS341n256 18/02/28 20:41:41 ID:g5cJBtOs [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「それに、サメハダーさん、不良だっていっても、誰かにひどい事したりとか、聞いたことなかったし」

「そりゃ、まあ・・・理不尽な暴力なんて弱い奴のすることだからな」

懲らしめるのは自分と同じようなならず者のみ、それがサメハダーの拘り。

いくらゴルダックがしつこくとも、暴力に訴えなかったのはその拘りのためであった。

「カッコイイ!!」

「そ、そうか・・・?」

自分の信念を褒められて気をよくしたサメハダーはその後結局、ランターン達と話しながら昼休みを過ごし、

「また明日ね!!」

「サメハダーさんも、明日も来てね!!」

「・・・お、おう」

一日限りと決めたクラスでの時間は、あっという間に過ぎてしまった。

(・・・た、楽しんでしまったあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

不良として周りから疎まれながら暮らしてきたサメハダーにとって、自分を受け入れてくれたランターンたちとの時間はあまりに心地よく、

明日も来てという彼女の頼みを、否定することもできなかった。

「どうだった?随分と楽しくしていたようだが」

「ヒィッ!!ゴ、ゴルダック!!」

教室から出たところですこし気を抜いていたところでゴルダックに話しかけられ、思わず飛びあがるゴルダック。

「だ、誰が!!学校なんてクソくらえだ!!」

「女子がそんな汚い言葉を使うものじゃない」

意固地になってゴルダックに悪態つくサメハダーに対して、ゴルダックはずれた反論をする。

ゴルダックの根回しもあってクラスに自分の居場所ができたことを思うと癪で仕方なく、サメハダーはそう簡単に自分の気持ちに素直になることができない。

「サメハダーが来てくれないと、みんな寂しがるだろうな」

「・・・うるせぇ」

力ない反論をするサメハダーを見て、ゴルダックは別の方向から説得を試みる。

「・・・どうして、君は不良になったのだ?」

ゴルダックは頭脳明晰であり、そのゴルダックと同じ高校に入学したサメハダーもそれなりに勉強ができたはずである。

内申点のことを考えると、中学時代はまともな生徒であったと伺える。

だがサメハダーは入学した時から今のような感じであったし、高校でぐれてこうなったとは考えづらかった。

「・・・別に大した理由はねーよ、中学で、もう入試も終わった時にダチが街中で♂に絡まれててよ」

「ああ」
 ▼ 412 aSS341n256 18/02/28 21:10:39 ID:g5cJBtOs [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「アタシも怖かったんだけどよ、助けなきゃと思って無我夢中で・・・」

「戦ったのか」

「それまでそんなことしたことなかったから、実際にその♂をぶん殴るまで加減の仕方とか、自分の力の強さも分からなかったんだよ」

遠い目で過去のことを語るサメハダーを、ゴルダックはただただ黙って見ていた。

不器用なタイプであったゴルダックは、こんな時に彼女にかけるのにふさわしい言葉を知らなかったのだ。

「そいつが倒れて、アタシが助けたダチはアタシのことを怖がって、それから学校であることないこと噂されるようになってな」

「それで、荒れたのか」

「ま、そんなとこだよ」

「・・・・・・」

「・・・なんか言えよ!」

「すまない」

「・・・別にいいけどよ」

柄にもなく妙な話をしてしまったサメハダーは既に顔が真っ赤で。

「もう、今日は帰る」

「そ、そうか。また明日な!」

「誰も授業に出るなんて言ってないだろ!!」

恥ずかしさをかき消すかのようにゴルダックの前から去ろうとするサメハダー。

「姉御!!大変っす!!」

そこに、舎弟のキバニアの一匹が大慌てでやってくる。

「どうしたんだ!!」

「一校のシザリガーとその取り巻きが!!」


「おう、よく来たなぁサメハダーちゃんよぉ!」

「シザリガー・・・」

海央第二高校の隣町に位置する一校、その番長、シザリガー。

サメハダーと対をなす存在で、因縁も深い。

「この前は俺の可愛い舎弟ちゃんをよくもやってくれたなぁ!!」

「てめーらが下種なことやってやがったから止めてやっただけだ」

「うるせぇ!!今日という今日はてめぇをつぶしてやる!!」

シザリガーの周りには舎弟の多数のヘイガニと、そこに倒れ伏すキバニアたち。

物量に物を言わせてキバニアたちをつぶしたのだと、サメハダーは察した。
 ▼ 413 ンクルス@ハーバーメール 18/02/28 21:13:29 ID:ECupLQVA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニンフィア×サザンドラ
 ▼ 414 ノプス@ピカチュウZ 18/02/28 21:15:32 ID:ECupLQVA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>413
ニンフィアが♀サザンドラが♂でお願いします
 ▼ 415 aSS341n256 18/02/28 21:26:50 ID:g5cJBtOs [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ッチ、アタシらに喧嘩売ったことを後悔させてやる!!」

サメハダーが戦闘態勢に入ると、大量のヘイガニたちがサメハダーに攻撃を仕掛ける。

そこへ、

「はぁぁ!!」

「!?」

そのうちの一体のヘイガニが突如吹っ飛ばされる。

「今のは・・・思念の頭突き・・・?」

「僕も手伝おう」

「お、お前!!」

サメハダーも何が起きたのか理解できないでいたが、目の前の存在がゴルダックであると気付いたときにはあまりに驚いた。

「大勢で一人に挑むなんて、フェアではないな」

「てめぇ、何者だ!!」

「お前、喧嘩なんてできんのかよ!?」

「こう見えて腕には自信がある」

シザリガーのほうには目もくれず、念力やアクアテールを駆使してヘイガニ相手に無双するゴルダック。

あれよあれよとヘイガニが蹴散らされ、あっという間にシザリガー一匹残るのみとなった。

「男が女に手を出すものじゃない、僕が相手をしよう」

「てめぇ・・・調子に乗りやがって!」

シザリガーが怒り狂ってゴルダックに突撃したところで、まるでもう勝負はついていたかのよう。

まるでゴルダックは軽くシザリガーの攻撃をいなし、

「悪は滅すのみだ」

「ぐはぁ!!」

かわらわりの一撃でシザリガーを仕留めて見せた。

ゴルダックはただただそれを見ているのみで、

「お前・・・そんなに強かったのか・・・」

「まあな、それより、怪我はないか。キバニアたちの治療もしなければ」

「お、おう!」

クールにそう言ってキバニアたちを抱えて運ぶゴルダックにあっけにとられていた。

「・・・なんだよ、カッコいいじゃねぇか・・・」
 ▼ 416 aSS341n256 18/02/28 21:38:52 ID:g5cJBtOs [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「さっきはありがとな」

キバニアたちの治療も終え、一息ついたところでサメハダーは改めて礼を言った。

「一つ貸しだぞ」

「は!?」

ゴルダックの言葉はサメハダーにとって以外だった模様で、

「か、貸しってなんだよ!!」

思わずゴルダックに食って掛かる。

「明日も、授業を受けてくれ」

そんなサメハダーの様子も気に掛けることなく、ゴルダックは言う。

「・・・は?」

「それで、貸し借りなしだ」

「・・・なんだよ、それ」

ニカっと笑うゴルダックに釣られて、サメハダーも笑う。

貸しならば仕方ない、といってサメハダーは明日も授業を受けることを約束した。


「おはよう!サメハダーちゃん!!」

「ちゃ、ちゃん!?」

「うん、その方が友達になれるかもって!!」

次の日にランターンは更に親しげにサメハダーと話をした。

他のクラスメートたちも、サメハダーのことを優しく受け入れ、それ以降サメハダーは毎日クラスに来るようになった。

「あいつも随分丸くなって、委員長様様だな」

「ああ、俺もうれしいよ」

ブイゼルにからかい気味にそう言われて、ゴルダックは純粋に嬉しいと答える。

「ゴルダック君たちも一緒にお昼食べよ!」

「な、ゴ、ゴルダックも?」

「嫌だった?サメハダーちゃん」

「そ、そうい訳ではないけど・・・」

「なんだ?変な奴だな・・・まあ、いいか、俺も是非一緒させてもらおう」

シザリガーを倒したあの時から、サメハダーが抱き始めた暖かい感情の兆しには、まだサメハダーもゴルダックも気づいていないようだ。


『委員長とヤンキーガール』・・・おしまい
 ▼ 417 aSS341n256 18/03/01 13:09:45 ID:IM.FdbDs [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
『アローラ探検記』(ロコン♂×Aロコン♀)

「うう・・・どうしてこんなことに・・・」

見知らぬ土地で一人、トレーナー達の目をしのびながらかけていくロコンは、自身の軽はずみな行動を後悔していた。

好奇心から、客船に忍び込んでまだ見ぬ世界への大冒険、

いくつものワクワクやドキドキが、ロマンがそこには待っていて、冒険はとても楽しいものになる、そう思っていたのだが、

「見て!赤いロコンよ!!」

「なんだあのポケモンは!!」

「ロコンの色違いだ!!」

客船の着いた先へ降り立つと、自分を見るトレーナー達は目の色を変えてゲットを試みた。

赤い身体はよく目立ってトレーナーの目から隠れるのはなかなかに難しい。

「まさか、この地方ではロコンが珍しいポケモンだったなんて・・・」

あやしい光の技やひとだまに模した炎玉を駆使してトレーナー達の目をかいくぐり、

ドキドキこそあれど夢も希望もない逃避行。

退屈な生活に飽き飽きして自分の狭い世界から飛び出したロコンだったが、その結果知らない土地でトレーナーに捕まってしまっては、更に退屈な毎日が待っているかもしれない。

人のポケモンとして生きていくのは柄ではないのだ。

「・・・山、だ。寒そうなところだし、人も少なそう。ここでなら身を隠せるかな」

無我夢中で駆け抜けた先に彼がたどり着いたのは、ラナキラマウンテン。

雪が降り、大きく険しい山を、ロコンは上り始めた。


「ふぅ、少し休憩しよう・・・」

炎タイプであるロコンは、寒さを苦にはしない。

身体全体が凍ってしまうような攻撃なら話は別だが、自然の中にある寒さなら自身の体温で耐えることができた。

だが、それでも肉体的にも精神的にも疲労がピークに達していたロコンは、雪を凌げる洞窟の中で睡眠をとることにした。

一度眠りにつくと、次はいつ起きれるか分からないな、そんな風に思いながら身を隠せる岩の陰に隠れて、ゆっくりと眠りに誘われ・・・

「・・・ふぁぁぁ」

「あら、起きた?よく寝てたわね、よほど疲れてたの?」

「うん、色々あって・・・うん?」

目を覚ますと傍で誰かが自分に話しかけてくる。

声のする方向へ顔を向けてみると、

「・・・!?」

「ごきげんよう、あなた、どこから来たの?」
 ▼ 418 aSS341n256 18/03/01 13:31:30 ID:IM.FdbDs [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「だ、誰だ!!」

「なによ、人を不審者みたいに」

白い体をしたそのポケモンはどことなく自分たちの種族に似ていて、

だが体からは冷気を放っているようで、寝起きで働かない頭の中ロコンはパニックに陥る。

「私たちの住処に突然入ってきて、あなたの方がよっぽど不審者だと思うけど?」

その白いポケモンは失礼だなといった様子でロコンに問い詰める。

「どこから来たの?あなたは誰?まさか・・・ロコン?」

「・・・そうだよ、ロコン。遠くから、色々あってここに来た」

「ほんとに?ロコン!?私もロコンよ、あなたみたいな暖かいロコンって初めて見た!!よろしくね!」

「暖かいロコン?」

ロコンは、目の前のこの白いポケモンもまたロコンであると知る。

白色のロコン、冷たいロコン。

今まで生きてきた中で、聞いたこともないこの謎の個体は、寧ろ自分のような赤く炎タイプのロコンこそ珍しいといった口ぶりをしている。

「・・・どういうこと・・・ちょっと待って、なんか色々・・・頭痛い・・・」

ロコンは事態をうまく処理できず、頭を抱えてそこへうずくまった。

「そうねぇ、ま、無理もないわ」

白いロコンはあっけらかんにそう言って、突然の珍しい来訪者の嘆く様子を見て笑っていた。


「アローラ地方、っていうんだけどね、ここ。なんだか独特な気候をしていて、他の地方とは異なる姿特徴をしたポケモンが見られるんだって」

「なんだそれ・・・」

赤ロコンが落ち着いたのを見て、白ロコンは自分達のことについて話をしはじめる。

「まあ、私たちからしたら、珍しいのは他の地方の姿のポケモン達なんだけど、世界的に見ても私たちの方が個体は少ないっていうし、仕方ないわよね」

世界的に見て、やはりちゃんと自分たちの方がこの白いロコンよりポピュラーなのだと知って、赤ロコンはとりあえず安堵する。

「そっか、それで僕のことを見てトレーナー達が・・・」

「レアポケモンだ!って驚いたのかもね」

同時に自分がトレーナー達から執拗に追われたわけも理解できた。

この地方でロコンと言えば、白いロコン。

赤いロコンは珍しいし、中にはロコンであると認識できないトレーナーがいたのもこれなら説明がつく。

「でも、それならゆっくり冒険なんてできやしないな・・・」

「冒険がしたかったの?」

ため息をつくように言う赤ロコンに対して、白ロコンはそう問う。
 ▼ 419 aSS341n256 18/03/01 13:54:15 ID:IM.FdbDs [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・刺激があるならなんだっていいんだけどね。毎日、退屈だったから」

赤ロコンはそう素直に答えた。

退屈な毎日を抜け出して、自分の知らないものであふれた世界で生きたい。

「・・・私も一緒に冒険したいな!」

「え?」

白ロコンの唐突の提案に目を丸くする赤ロコン。

「二人だったら、トレーナーに見つかってもそう簡単に捕まらないし、私も毎日に刺激が欲しいなって思ってたの。あなたと一緒なら、なんだか楽しそう!!」

「そんな、突然決めてしまってもいいの?」

「うん!もう決めた!これからは、私たちバディよ!」

確かに、何も知らない土地で現地の仲間がいることは心強いし、一人旅も嫌いでは無いけど話し相手がいるのはいいことだ。

曲がりなりにも同じ種族だし、気も合うかもしれない。

少し話しただけでも分かる程度にこの白ロコンの気は強そうであったし、冒険にも向いているかもしれない。

それに、正直なところこんなに可愛い女の子との二人旅なんて、男である以上断る理由もない。

赤ロコンは色々と逡巡するようなそぶりを見せながらも、

「・・・分かったよ。じゃあ一緒に行こう。頼りにしてるよ」

「勿論!!」

白色の姿をした彼女の提案を受け入れて、アローラを冒険することを決めた。


アローラの中でもウラウラ島と呼ばれるこの島のことは、白ロコンはよく知っていて、色々なところへ赤ロコンを連れて回った。

「日輪の湖っていうの。神秘的なところでしょ?」

「ほんとうだ・・・なんだか圧倒されるような気分だよ」

「マリエ庭園!ジョウト地方をモチーフにしてるようよ」

「ジョウトかぁ、一度行って見たいな」

「ちょっと、アローラに来たばっかりでしょ?」

「ごめんごめん」

「ホクラニ天文台!夜空が最も映える場所!」

「確かに、綺麗だな・・・」

「・・・でも、お前の方がもっときれいだ」

「待ってそれ男側のセリフだよね!?」

トレーナー達の目をうまくかわしながらの二人の旅は、とても刺激的で赤ロコンが求めたようなワクワクやドキドキに満ち溢れていた。
 ▼ 420 aSS341n256 18/03/01 14:12:12 ID:IM.FdbDs [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・ここは・・・」

「めがやすっていうスーパー」

「スーパー・・・」

「・・・の跡地!」

「跡地!?」

白ロコンが次に赤ロコンを連れてきたのはもはや荒れ地となったスーパーの跡地。

神の怒りに触れたという伝説など、もはや観光スポットとしても一種の人気を誇るようになったこの跡地に白ロコンが赤ロコンを連れてきた理由というのは、

「・・・このスーパーね。出るみたいなんだ」

「・・・出る?」

「お化けが!!」

「お化け!?」

何日間にわたり生活を共にして、ある程度パーソナリティを理解した赤ロコンのことを更にもっと探るため。

要は怖がる彼の姿が見たかったから。

「お化けって言っても、ほら・・・ゴーストタイプとか、そういうのが住み着いてそうなのは分かるけど・・・」

「ポケモンじゃない本物のお化けよ!だからこそ有名になってるんじゃない」

「ひぇ・・・」

つかみは上々だな、と白ロコンは思う。

この時点でなかなかのビビり具合、中で少し驚かせてやると面白い展開になりそうだ。

「じゃあさっそく入りましょう!!」

「うう・・・分かったよ」

少し怖いと思いながらも赤ロコンはしぶしぶ白ロコンに着いていく。

敷地内部は暗がりで、ふわふわ浮いているゴーストポケモンの陰などが不気味さを引き立てた。

「ワッ!!」

もうそろそろいいかなと、頃合いを見て大声で驚かせると、

「ヒィッ!!」

赤ロコンが大声を上げてオーバーなリアクションをとったまではよかったが、

「ちょ、ちょっと!!」

そのまま白ロコンの方に飛びついてしまい抱き着くような恰好になる。

「ご、ゴメン!」

逆に自分が驚かされたような恰好になり、これじゃあ面白くないな、と白ロコンは次の作戦を考えて・・・
 ▼ 421 aSS341n256 18/03/01 14:21:43 ID:IM.FdbDs [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「もう、ビビリすぎ!ちょっと驚かしただけじゃん〜」

「う、うるさい!仕方ないじゃんか・・・」

赤ロコンのことをからかって、そのまま作戦を実行しようとした瞬間に、

「いた!!ロコンだ!!こんなところにいるなんて珍しいな!」

「凄い!赤色のロコンもいるわ!!」

「まずい、トレーナーだ・・・逃げよう!」

「え!?」

めがやす跡地を訪問していたトレーナーに見つかってしまう。

静かな場所で騒いでしまったのが原因だろうか、まさか人間が今ここに来ているとは白ロコンは考えていなかった。

更に考え事をしていたせいでトレーナーの存在に気付くのも遅れ、

「まずい・・・!」

トレーナーたちに追い詰められてしまう。

「・・・っ、君は逃げて!」

「ええ、でもっ!」

「君だって捕まりたくないんでしょ?ここは僕が何とかするから!」

先に動き出して逃げることも容易だった赤ロコンは、遅れた白ロコンを思って引き返しトレーナーたちの前に出る。

白ロコンを守る恰好でトレーナーたちに威嚇する赤ロコンの様子を見て、

「凄い、この赤いロコン、もう一匹の子を守ってるみたい!」

「カップルなのかもな!それなら二匹とも一緒にゲットしてやらないと!」

白ロコンのことも逃がすつもりはないとポケモンを繰り出す。

「私も戦うよ!!」

「で、でも!」

「大丈夫、二人で力を合わせてきたから、今までだって逃げてこれたでしょ?」

白ロコンもようやく落ち着き、赤ロコンの隣にならんでトレーナー達とにらみ合って、

「いくよ!」

「うん!!」

いっせーのーでの掛け声で、同時に大技を放った。

白ロコンは絶対零度。

赤ロコンは煉獄。

そのどちらもがトレーナーのポケモンにヒットし、たまらずトレーナー達は逃げ出した。撃退に成功したのだ。
 ▼ 422 ドゼルガ@オッカのみ 18/03/01 14:23:12 ID:sa5NJVr2 NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 423 aSS341n256 18/03/01 14:30:45 ID:IM.FdbDs [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・はぁ、大変な目にあった・・・」

めがやす跡地から出てきて、赤ロコンは疲労困憊の様子。

「ごめんね、私がふざけちゃったから・・・」

「ほんとだよ・・・もう・・・」

白ロコンも流石に申し訳なく、気まずい様子を出している。

「・・・でも、まあ、楽しかった」

「・・・フフ、そうだね!」

間をおいて、赤ロコンが笑いだすと、白ロコンもそれを見て笑って。

ひとしきり笑いあったあと、二人で一緒に寝転がって、夜空を見つめた。

「これから、どうしようか」

白ロコンが赤ロコンに問いかける。

「これから?」

「うん、ウラウラ島は、もう結構見て回ったからさ」

「他の島にも、連れてってくれるの?」

「船に乗ったらいけるけど、私、ここから出たことないから」

「・・・僕は、他の島もめぐりたいな」

そのセリフを最後に、静寂が空間を支配して。

お互いに次の言葉が出てこなくて。

「・・・あの!」
「・・・ねぇ!」

ようやく絞り出した声は、全く同じタイミングで発されて、それがおかしくてまた二人で笑いあった。

「・・・一緒に来てくれると、嬉しいな」

「・・・私も、連れてってくれると、嬉しい」

やっとのことで、赤ロコンがそう伝えると、白ロコンも同じようにそれに応える。

こうして、二人の冒険はウラウラ島から飛び出してまだ続くことが決まった。

「いつかは、あなたの故郷とか、アローラの外にも行って見たいかも」

「じゃあ、それまで二人で旅をしよう。一人より、やっぱり二人の方が面白いね」

「フフフ、そうね。とっても楽しいわ!」

見たことのないものであふれた、ワクワクやドキドキ、ロマンを求めて、二人の旅は始まったばかりだ。


『アローラ探検記』・・・おしまい
 ▼ 424 ース@アシレーヌZ 18/03/01 17:02:58 ID:PjTN0Jjg NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
死(;´-`)(;´-`)(;´-`)(;´-`)ン
 ▼ 425 aSS341n256 18/03/02 11:23:13 ID:08duls.E [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
『貴方が良い』(シャンデラ♂×マニューラ♀)

素早い身のこなしで敵の攻撃をかわし、爪を研ぎ澄ましてマニューラは追う。

時に氷のつぶてを飛ばして牽制するが、相性の問題でそれは有効打にはなりやしない。

やはり仕留めるには、辻斬りを叩きこまねば。

「待ちやがれ!!」

「・・・さすがに速いな・・・はぁ!!」

「!!」

炎による波状攻撃に対して、少し大げさな回避体制をもってマニューラは対応する。

あの炎に焼かれてはいけない。

あいつの、シャンデラの炎は、魂のみを燃やすのだ。

触れたら最期、永遠にこの世をさまようことになるかもしれない。

「この野郎・・・はぁ!!」

得意ではない特殊技、凍える風でシャンデラの足止めを狙う作戦も、

「喰らうか!!」

シャドーボールによって阻まれ、失敗に終わる。

「くそっ・・・」

「はぁぁ!!」

「!!」

激しさを増す追跡の中で体力を使ったマニューラは、遂に大文字に焼かれてしまう。

「くそぉ!くそぉ!!」

一撃で仕留めることに成功した。

そう確信したシャンデラは、そこで初めて自分を襲ってきたマニューラの顔を、ゆっくりと見る。

「俺は・・・死ぬわけにはいかないんだよ!!母さんの・・・敵を・・・!!」

「母さんの・・・?」

「・・・そうだ・・・お前が・・・殺した・・・」

「・・・そうか、君は、あの時の・・・」

彼女の言葉を聞き、シャンデラはかつて自分が燃やした一人の女性を思い出す。

「・・・そうか、そうか・・・」

炎の前に力尽き、倒れるマニューラを抱えてシャンデラは自分の住処に戻る。

彼女があの時のマニューラの娘であるなら、シャンデラは彼女をほおっておくことはできない理由があった。
 ▼ 426 aSS341n256 18/03/02 11:43:04 ID:08duls.E [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あなたがシャンデラね」

「・・・君は・・・」

「私はマニューラ、自警団みたいなものの一員よ」

人気の少ない、どこかおどろおどろしい森。

シャンデラは一人、そこで静かに暮らしていた。

そこへやってきたマニューラの目的は、「ポケモン達の命を奪う恐ろしいポケモン、シャンデラの抹殺」。

「この森で時折、火の玉がポケモンたちの命を奪っている〜なんて噂がたっているのだけど、それってあなたのせいなの?」

「まさか、僕は静かに孤独に暮らしているだけさ」

「ふ〜ん、信用ならないわ」

シャンデラは、不用意な争いを好まなかった。

この時点でマニューラを実力行使で追い出してもよかったのだが、結局は彼女と立ち問答を続け、

「わかった、じゃあ今日からしばらく、私もこの付近で暮らそうかしら」

「はぁ?」

「監視よ、監視。実際のところ、私も殺しとか、気が乗らないんだよね」

こうしてマニューラが自分の傍で暮らすと言いだした時も、仕方ないと受け入れるのみであった。


いざマニューラがこの森での生活を始めてみると、シャンデラとマニューラは意気投合し、すぐに親しい関係になった。

森の中での生活の手ほどきはシャンデラからマニューラへしてやったし、マニューラは足となって遠くから珍しい食材などをシャンデラに分けてやり、

お互いにとってなくてはならない存在となるまで、そうそう時間はかからなかった。

「う〜ん、美味しい!!」

「喜んでもらえてよかった」

「木の実、私も育ててみようかなぁ。でも水やり面倒だな・・・」

「ここの土はいいから、美味しい木の実が育つんだ。少し分けてやるから、ちょっとずつはじめてみるか?」

「うーん、折角だしね。やってみようかしら」

シャンデラは、この人懐っこいマニューラの、時折見せる無垢な笑顔が好きだった。

マニューラと共に暮らす時間は、孤独だったシャンデラにとってとても貴重で、手放しがたいものであった。

だから、シャンデラはマニューラに隠し事をしていた。

マニューラが、どういった目的でこの森へ来たのか。

シャンデラは一度たりとも忘れたことはなかったのに。

「こっちの木の実も美味しい!!あ、でもちょっと渋いかも・・・」

今更自分になに一つの警戒を見せない目の前のマニューラに対し、シャンデラは少し後ろめたい気持ちも持っていた。
 ▼ 427 aSS341n256 18/03/02 12:00:05 ID:08duls.E [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「シャンデラ!!」

ある日、マニューラが大慌てでシャンデラの元へ駆けつけてきた。

その腕には小さなポケモンが抱えられていて、

「森の中で倒れていたの。迷子だったのかな、もう、まずいかも・・・」

今まさに失われようとしているその命を前に、マニューラは必死の形相で。

「・・・マニューラ」

シャンデラは、ああ、遂に、と諦めたような心地で諦めたマニューラに向き合い、言った。

「僕にはその子を助ける術はない」

「っ!!」

「それに、どう頑張っても、きっと、もう、助からない」

「そんな・・・」

涙を流すマニューラの腕で、弱弱しい拍動が、ゆっくりと、ゆっくりと。

「・・・時々、あるんだ。こんな場所だから、中でポケモンが息絶えてしまうようなこと」

そうして、鼓動が止まって、シャンデラは優しくマニューラからその亡骸を譲り受ける。

「ねぇ、マニューラ。君は、確かポケモンの命を僕が奪っていると聞いて、ここにやってきたよね」

「ええ」

「シャンデラの炎は、ポケモンの魂を燃やして、体から吸い取ってしまう。そのあと、体から放れ吸われた魂の行先は僕が決めるんだ。あるべきところへ導くのも、そのまま浮世をさまよわせるのも、僕次第」

シャンデラはゆっくりと、亡骸に炎を放つ。

「魂というものは、死してなお僕らの体の中に留まるもの。僕はそれを、この森で魂が行き場を無くさないように、導いてやるんだよ」

炎がポケモンを包んで、シャンデラが冥界へと魂を導く。

「その子は、天国へ行けたの?」

「ああ・・・じゃあ、埋めてあげよう」

「・・・うん」

そうして、二人は丁重にそのポケモンを埋葬した。

シャンデラは、ともすれば生者の命を奪いかねないこの行為が嫌いであった。

だが、それでもただその場にひれ伏す死者をそのまま見て見ぬふりをするのはもっとできないことであった。

「誰かが見て、勘違いしちゃったのね。それで、あなたが命を奪っているだなんて」

「無理もないよ」

マニューラが怖がるかもしれない、自分を拒絶するかもしれない、だから、シャンデラはこの真相をマニューラに隠していた。

そんな心配は全く要らなかったのだなと、分かったのは今になってからだった。
 ▼ 428 aSS341n256 18/03/02 13:22:23 ID:08duls.E [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「うぅ・・・はっ、俺は・・・」

「目が覚めたか」

「お前・・・っ!」

「落ち着け、戦う体力なんてないだろう」

大文字で焼かれ、倒れたマニューラはシャンデラの住処で目を覚ました。

「・・・俺は、お前に焼かれて、死んだはずじゃ・・・」

「そう簡単に殺してたまるか。気分も悪くなるのに・・・はい」

「どういうつもりだ」

「木の実、お腹すいてるだろ?」

「・・・チッ」

シャンデラが差し出す木の実を乱暴に受け取り、少し躊躇してから、それを食べる。

敵から情けをかけられるようで少し癪であったが、

「旨い!!・・・あっ」

思わず声にだしてしまうほどにその木の実は美味しくて。

「そう言うと思った、君のお母さんもこの木の実が好きだったから」

「てめぇ・・・なんだよ、その顔」

突如母のことを話す、母を殺したはずのその男に一度は刺さるような殺意を向けるも、悲しそうな顔をするシャンデラを前にマニューラは思わず怒りをぶつけることをためらってしまう。

「・・・君は、覚えているんだね。僕が、彼女を燃やしたその瞬間を」

「当たり前だ!!」

「なら、話しておかなければならないことがある」

「俺はお前から聞きたいことなんか何もねぇ!!」

「僕を殺したいと言うなら、話を聞いてからでも遅くないだろう。今戦ったところで君は負けるだけだ」

シャンデラは慎重に言葉を選びながらマニューラをなだめる。

彼女との思い出の詰まったこの地で、彼女の娘に、彼女の最期の話をする。

「僕は、あの時、彼女との約束を守ったんだ」

「約束・・・だぁ?」

「守れなかった約束もあるのだけどね」

「・・・まどろっこしい。さっさと話せよ」

ようやくマニューラも話を聞く気になったらしい。

シャンデラは、懐かしむように、昔の話をするのだった。
 ▼ 429 aSS341n256 18/03/02 13:35:49 ID:08duls.E [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はぁ・・・はぁ・・・」

「やぁ、マニューラ・・・その子は?」

「私の娘よ・・・」

「・・・へぇ、君、夫がいたんだ」

マニューラが娘のニューラを連れてシャンデラの住む森へやってきたのは、マニューラとシャンデラが出会った日から約2月経った頃のこと。

慌てた様子で、泣き叫ぶニューラを抱えて走ってきて、まるで何かから逃げているかのようで。

「夫も私と同職だったの。だから色々な地域を回って、なかなか帰ってこなかったんだけどね」

「それは寂しいね」

「今日、久しぶりに帰ってきて、会うことができた。会えて、本当によかった・・・」

「・・・マニューラ?」

「殺されたわ」

「!!」

マニューラ達の本来の住処に娘を連れた夫が帰還し、マニューラはその夫に会うために森から外出していた。

夫が帰ってきた理由は、彼らの自警団に対し恨みを持つ悪党が暴動をおこし、争いが起きて、その火の粉が彼らの村にも火の粉降りかかろうとしていたから。

夫は、村を守るために帰ってきて、マニューラも共に戦ったが状況は劣勢、傷を負ったマニューラを夫はかばい、悪漢の手にかかって亡くなった。

ニューラを守るためにマニューラは命かながら逃げてきたと言うのだ。

「でも・・・ごめんね。多分この場所にも、奴ら、来る。巻き込んじゃって、ごめん」

「君たちのせいじゃあないだろう」

シャンデラはマニューラ達を連れ、なるべく遠くへと逃げた。

森の奥、深く。

「ねぇ、シャンデラ。覚えてる?」

「・・・何を?」

「私が前に言ったこと」

「・・・覚えてない」

逃避行のさなか、マニューラはふとシャンデラに問いかける。

シャンデラは、彼女の言葉をしっかりと覚えていた。

「もし、もし私が・・・」

「縁起でもないことを言うな!!」

ふざけるなと、シャンデラはマニューラの言葉をさえぎった。

共に生きるんだ、お前は夫の分までその娘を守らなければならない。
 ▼ 430 aSS341n256 18/03/02 13:48:21 ID:08duls.E [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「!!」

ふと後ろを見ると、暴動を起こした者たちがもう既にそこまで来ていて。

木々は燃え、大木もバタバタと倒れていく。

「・・・てめぇら・・・」

シャンデラは、誰にも見せたことがないような怒りをあらわにして、追ってきた連中をにらみつけた。

「・・・戦う気なの?」

「仕方がないだろう」

「本当に、ゴメン」

「謝るな。これからも、きっとお互いに迷惑をかけて生きていくんだ」

追ってきたポケモンの一体にシャンデラがシャドーボールを放ち、マニューラもそれに続いて攻勢を仕掛ける。

森の深部での攻防が始まった。


「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

シャンデラは、サイコキネシスや大文字も用いて敵と渡り合った。

目の前に果てたいくつもの体は、既にシャンデラが怒りのままに魂を抜いてしまった抜け殻。

一つたりとも、シャンデラは冥界になど誘ってやらなかった。

「お母さん!!お母さん!!」

ふと、そばを見やると、ニューラがマニューラに抱き着いて、何度も何度も呼び叫んでいる。

マニューラの方にはそれに応える気力もなく、今まさにその命を燃やし切ろうとしていた。

「・・・マニューラ・・・」

「えへへ・・・私たちの・・・勝ち〜・・・」

「勝ちなわけあるか!お前が、お前が死んだら・・・残されたこの子は!!」

残された俺はどうしたらいい。

お前を守り切れなかった後悔を抱えて、俺は、俺は。

「・・・ごめんね、よかったら・・・その子のこと、よろしくね・・・」

失意のどん底にいるシャンデラに、マニューラはそう頼む。

「私・・・もう、助からないからさ・・・だから、約束」

「・・・・・・」

鼓動が、ゆっくりと、ゆっくりと。

「お願い・・・シャンデラ・・・」

空間に溶け消えるような声で、マニューラは、シャンデラに、頼む。
 ▼ 431 aSS341n256 18/03/02 13:59:13 ID:08duls.E [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あなた、優しい人なのね。シャンデラが吸い取った魂が、冥界へ導かれるなんて知らなかったわ」

「気に入らない命はそのまま面倒なんて見てやらないのだけどね」

「行き場を無くしてこの世を彷徨う・・・なんて聞いたもの、やっぱりそうなっちゃったりもするのね」

小さな命を二人で看取ったあの日、マニューラはシャンデラに言った。

「私は、この世を永遠に彷徨うなんて、嫌だわ。あ、そうだ!私にもしものことがあったら、ちゃんと冥界に連れて行ってね!」

「おいおい、縁起でもないことを言うなよ」

「自警団って、結構危ないことも多いのよ。だから、もしもの時は、お願いね」

「はぁ?」

「私――」


燃やされるなら、貴方が良い。


「くそぉぉぉぉぉおおお!!!」

「うわぁぁ!!」

シャンデラはニューラにシャドーボールを放ち、マニューラから引き離す。

加減はしたが、ニューラがその瞬間に立ち会わないように、彼女を気絶させられる程度の強さで。

「僕は!僕は!絶対に嫌だったんだ!!」

「シャン・・・デラ・・・」

「こんな時は来てくれるなって!!ずっと、ずっと!!そう願っていた!!」

「・・・ごめん・・・シャンデラ・・・」

泣き叫びながら、マニューラに、そっと火を放つ。

「どうして・・・どうして!!!」

どうして別れとはこんなにも突然なのだ。

昨日まではあれほど平和だったのに。

それとも自分がすぐ目の前まで来ている災禍の予兆に気づかなかっただけなのか。

この人が何も知らずに自分の元へ来たように、

自分は、この人のことも何も知らなかったのに。

「うわぁぁぁぁぁあああ!!!」

マニューラを、自らの炎が包む。

マニューラは涙を流してシャンデラに微笑む。

シャンデラの方は、形だけの笑みさえもままならないありさまで。
 ▼ 432 aSS341n256 18/03/02 14:13:11 ID:08duls.E [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・ごめんね、ニューラ。辛い思いをさせるね・・・弱い、私たちを許してね・・・」

一人遺していく愛娘に、マニューラは最後の言葉を遺す。

「・・・ごめんね、シャンデラ。辛い思いをさせるね・・・我儘な、私を許してね・・・」

一人遺していく友達に、マニューラは最後の言葉を遺す。

「・・・ごめんね、あなた。私、守りきれなかった・・・あなたに会いに行くから、その時は・・・私を、許し・・・て・・・」

そして、そして――

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」


「僕は、マニューラが残したもう一つの約束を、なんとしても守ると決めた。でも、次の日には、君はもういなかったね」

「・・・当たり前だろ、あの瞬間を、俺は見てたんだよ」

シャドーボールを当ててニューラをマニューラから引き離して。

シャンデラは、その後ニューラが目覚めたかどうかなんて確認する余裕はなくて。

「見てたんだね・・・」

「見てたさ、お前が、母さんを燃やした瞬間を」

当時のニューラには、深く物事を考えることができなかった。

シャンデラがどんな気持ちで、なんのためにマニューラを燃やしたのか、全く理解できなかった。

だから、その瞬間にシャンデラは何よりも憎むべき敵になっていた。

「お前を殺すために強くなった。今までずっとそうだった」

「・・・殺してくれて、いいよ」

確かめるようにそう言う目の前のマニューラに、シャンデラは懇願ともとれる口調で話した。

「あの時から、どうせ、僕の心は空っぽだ。君にもう一度会えた今、もう・・・」

僕は、あなたとの約束は守れなかったけど、あなたの娘は元気に成長しましたと天国で伝えることができる。

そもそも自分は天国になど行けやしないか。

そんなことを考えて、シャンデラはマニューラに背中を向ける。

「・・・そんなことしたら、母さんにあわせる顔がねーだろ」

また舌打ちをして、マニューラはシャンデラの住処を後にした。

「・・・それも、そうだね」

一人遺されたシャンデラは、木の実を一つ収穫して、それを食した。

彼女が初めて他所から持ってきてくれた思い出のその木の実は、渋い味がしたのでシャンデラは思わず涙を流した。


『貴方が良い』・・・おしまい
 ▼ 433 ローニャ@げんきのかたまり 18/03/02 16:08:36 ID:NJaiMJgA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 434 ラーチ@エレベータのキー 18/03/02 22:52:15 ID:RQzAEIWk NGネーム登録 NGID登録 報告
名前欄×イーブイ♀ 運試し スロット
 ▼ 435 イバニラ@ハーバーメール 18/03/03 01:38:25 ID:HY8efLWc NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
天才かよ
 ▼ 436 メイル@パワーレンズ 18/03/04 22:37:09 ID:Sohjau5M NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 437 ロベルト@じてんしゃ 18/03/05 12:16:56 ID:V73RgSZ. NGネーム登録 NGID登録 報告
イーブイ♀×ロコン♂をお願いします!
 ▼ 438 aSS341n256 18/03/05 13:52:10 ID:YQ17I6nc [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
『決戦は14日』(フライゴン♂×サーナイト♀)

「はぁ・・・どうしたもんかなぁ・・・」

フライゴンは一人部屋にこもり、悩んでいた。

3月13日、放課後、早く早くから動き出せばよかったと後悔をしながらも、結局はなんの準備もすんでいない。

「全く、面倒で仕方がないよ・・・」

デパートのフェアに一人、ふらふらと彷徨いながら頭に浮かぶのは彼女のこと。

事の発端は、一か月前のことのようで、そうでもないようで。


「俺に?」

「うん、まあ、沢山もらっただろうし、いらないっていうなら別にいいけど」

そんなことを嘯いてバレンタインの贈り物を渡しにきたのは、思い人のサーナイト。

ハイスクールのマドンナ的存在で、きっと誰もが喉から手が出るほどに欲しい一品。

それが、本命であれば。

「ま、確かに、今更義理が一つ増えても、迷惑かもね」

彼女に言われた通り、フライゴンもフライゴンでモテるほうだ。

誇るようなことでもないが、異性から告白されてフったことも、数度にわたる。

彼女と釣り合わないようなこともないだろう、なんて考えていた。

それに、フライゴンと彼女は他の者たちに比べて幾分深い関係だ。

昨年から二年続けて同じクラスだし、委員会で同じだったこともあって親しい仲になった。

その過程で、サーナイトは自分に気があるのではないか、と思うような出来事も多く、そこでフライゴンは探りを入れるような気持ちでサーナイトに仕掛けたのだ。

「うーん・・・義理と言うには、力を入れすぎてるわね」

しかし、サーナイトの返答ははっきりしたものではなく、尚更フライゴンを悩ませるもので。

「ま、もらってやってよ。あなたのために作ったのに、もらってくれないと傷つくわ」

「あ、ああ」

とどのつまり、それは本命なのか、と突っ込んで聞くことはできず、そのまま一月が経ってお返しをしなければならない。

それ自体は別にいいのだ、もらったのだから、返す。それは当然の道理だ。

だが、だがしかし。

フライゴンは思う。

一体何を返せばいいのか。それを考えるのが面倒なのだ。

「マシュマロか・・・クッキーか・・・キャンディか・・・」

店に並ぶ商品を見やって、フライゴンはため息をついた。
 ▼ 439 aSS341n256 18/03/05 14:05:26 ID:YQ17I6nc [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「もうすぐホワイトデーね」

教室でサーナイトがそんな話をしていたのは一週間前のこと。

仲の良いいクチートやミロカロスと話をしているのだが、同じ教室にいるフライゴンにもその声は聞こえてきて。

それは、恐らくわざとだ。

サーナイトにはそういうところがあるのだ、フライゴンは今までの付き合いからそれを察していた。

「ホワイトデーねぇ、私は別に誰かにお菓子あげたりしてないから関係ないね」

「あら、いけませんよクチート。そういったことは、女子の嗜みですもの」

「アンタには彼氏がいるからいいじゃん」

ミロカロスがクチートをからかい、クチートがミロカロスに噛みついて、そんなよく見る一連の流れが終わると、

「ホワイトデーのお返しに意味があるのって、みんな知ってる?」

サーナイトがそんなことを二人に聞いた。

「へぇ、何?」

「知りませんの?有名な話ですけど」

「興味ないの、私は」

知っているようなミロカロス、知らないようなクチートの反応。

だが、サーナイトはそもそも二人ではなく、自分に話しかけているのだ。

フライゴンにはもう、そんな風に思えて仕方がなかった。

「マシュマロとクッキーとキャンディ。3種類のお菓子のお返しには、それぞれに意味があるんだって」

「どんなの?」

興味ない、と言いながら少しノリ気な感じでクチートがサーナイトに問うと、

「マシュマロは、あなたのことが嫌いです。あなたはお断りって意味」

サーナイトは指を一つ折りながら、まずは一つ目といった感じで話し始めた。

マシュマロは、あなたのことが嫌いです。

妙な意味がついているものだなとフライゴンは思う。

女性の告白に対し、あなたの気持ちには応えられないといった感じで使うのだろうか。

「次ね、クッキーは、あなたは友達」

「へぇ、クッキーって一番よく聞くけどね」

続いて話されたクッキーは、確かにホワイトデーの定番のようなもの。

まずは友達から始めましょう。あなたとは友達でいたい。

友達とは、便利な言葉だ。
 ▼ 440 aSS341n256 18/03/05 14:18:49 ID:YQ17I6nc [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そして、キャンディはね?」

「キャンディは・・・?」

早く知りたいといった感じのクチートを、

フライゴンを焦らすように、サーナイトは間を取って言った。

「・・・あなたのことが好きです」


「どれを、渡すのが正解なんだ・・・?」

サーナイトの話を聞いていた以上、意味など知らなかったと誤魔化すわけにもいかない。

実際に後でお菓子の意味を調べた際にも、大方どれも意味は正しかった。

勿論、他のお菓子に逃げるという選択肢もない。

サーナイトが自分にわざわざあの話を聞かせたと言うことは、この3種のうちのどれかを渡さなければならないということなのだ。

言わば、試されている。

惚れた弱みというものだろうか、どうしていつも自分が劣勢にたたさなければならない。

フライゴンは自分の弱さを恨む。

「やはり、ここはキャンディを・・・」

相手も自分のことが好きだ。

フライゴンにはそれなりの自信があった。

自分の気を引くような発言で今まで自分をからかってきたのは、サーナイト自身が自分のことを好きだから。

わざわざ「ギリと呼ぶには力を入れすぎ」たチョコレートを渡してくれたのも、それが本命だから。

それなら、真正面からキャンディでぶつかって告白してしまえばいい。

「・・・・・・うう・・・」

それができればここまで悩まないわけで。

クールな雰囲気で女子からも人気のフライゴンは、こと恋愛事においてはその実かなりの小心者。

簡単に言うとヘタレだ。

ああ、女子は良いよな。

渡すものは大抵決まってチョコレートだ。

何を渡せばいいかで悩んだりなんてしないんだ。

そもそもいったいどこの誰がこんな意味付けを行ったんだ。

本当に、どこまでも面倒な文化だ。

概念や習わしにまで恨み言を言いながらフライゴンは贈り物の決定になかなか踏み出せない。

そもそもバレンタインとホワイトデーの順序が逆であれば、自分にプレゼントを行う勇気などありはしないことを棚に上げてしまっている。
 ▼ 441 aSS341n256 18/03/05 14:35:08 ID:YQ17I6nc [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・そうだ」

かれこれ店前で一時間程度悩んでいたフライゴンも、いよいよ真剣に考えなければと思い、一つの商品を手に取る。

――逆に、マシュマロならどうだろうか。

どうせ自分の性格から告白などできやしない。

それなら、これにすれば、いつも優位に立って自分をからかうサーナイトの裏をかけるのではないか。

・・・だが、裏をかいたからといって、だからなんだ。

冷静になってそれがなんの意味もないことに気づきそそくさとマシュマロを元の場所に戻す。

エスパータイプのサーナイトには、まるで心の全てを読まれているような気分になる。

読心術を使えるというわけではないだろうが、考えていることをズバリ言い当てられるといったことは去年からよくあった。

だから、彼女は、きっと、どうせクッキーなのだろうと考えていることだろう。

「・・・ええい、もうどうにでも・・・!!」

彼女のことを考えてこれほど長い時間悩んでいるという事実自体が癪になったフライゴンは遂に一つ、ホワイトデーの贈り物を決めて購入し、帰路についた。


「これ」

「どうしたの?急に」

「白々しいな、ホワイトデーだから、お返しだ」

好きだからといって、素直になれるわけではない。

フライゴンは少しツンとした様子でサーナイトに昨日さんざん悩んで買った贈り物を突き出す。

「じゃ」

そしてそのまま何も言わずに帰ってしまった。

「あ、フライゴン・・・行っちゃった」

あまりにそっけなく、そそくさと去ってしまったのでサーナイトは少し物足りない気持ちであったが、ともかくその包装を開ける。

「・・・やっぱり」

中に入っていたのは、高級感の漂う有名洋菓子店のクッキー。

「どうせ、クッキーだろうなぁとは思ってたけど」

予想が当たっていたことに対する喜びなどはなくて、

寧ろ想像通りであったのは少しつまらない。

これを話のだしにからかってやろうと思っていたのに、フライゴンは既にその場にいなくて、それもまたつまらない。

「まあ、仕方ないか」

本気で引き留めておけばフライゴンもそこに残っていただろうし、こればかりは、仕方がない。

サーナイトも、とりあえずはこれで満足して帰ることとした。
 ▼ 442 aSS341n256 18/03/05 14:50:16 ID:YQ17I6nc [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「へぇ、結局」

次の日、今度はフライゴンのいない場でサーナイトはクチートたちに話をした。

サーナイトと仲が良いクチートとミロカロスは、サーナイトがフライゴンにチョコレートをあげていたことも既に知っている。

「ま、相変わらずヘタレだなぁとは思うけど、そこも含めて彼だし、これで許してあげるしかないかなって」

サーナイトの手厳しい感想にクチートは思わず苦笑いするしかない。

「わかりませんよ?本当のとこ、あなたとは友達どまりですよって意味でクッキーを渡したのかも。彼があなたを好きだなんて、あなたの憶測でしかないでしょう」

「ありえないわよ」

ミロカロスの指摘も、サーナイトは鼻で笑うように否定する。

「私には分かるの。フライゴンは私にベタ惚れよ」

「じゃあ、早く告白してあげたらいいのに」

「告白は男からするものよ」

じれったいといった様子のクチートの尤もな提案もサーナイトはとりつくべくもない。

「知らないよ?いつの間にか、フライゴンに彼女ができてても」

「彼が私以外の誰かと付き合うなんて、天地が返ってもあり得ないわよ」

大した自信はもはや傲慢の域だ。

「だから、待ってあげるの。彼が私に告白してくれるその時まで、少しのきっかけをあげながら」


「私、不思議なんだよね」

「何がです?」

「サーナイトもフライゴンも、そもそもモテるし、それに多分両想いだってなんとなく分かってるんでしょ?」

「まあ、フライゴンさんの方も恐らくは察してるのでしょうね」

「それなのに、告白するのが怖いのかな」

サーナイトが帰り、教室にクチートとミロカロスの二人。

クチートはサーナイトの前では決して言わないようなことをミロカロスに零す。

「サーナイト、あんなこと言ってるけど、結局は自分で告白する勇気がないんだよね、あれ」

「まあ、でしょうね・・・」

自信は虚勢、傲慢は自己防衛。フライゴンもサーナイトも、実際のところ似た者同士のようなもので。

「まあ、相手の好意を断定するのって、余程難しいものなのでしょう。100%確信しても、まだ足りないくらいのものなのではないですか?」

そんなわけで、二人の決戦の日は、決戦まだまだはるか先のようだ。


『決戦は14日』・・・おしまい
 ▼ 443 ガリザードンX@2ごうしつのカギ 18/03/05 23:43:45 ID:bY4kQkts NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
フライゴン♂×サーナイト♀を志願した物です
感謝してもしきれません。よって支援
 ▼ 444 ノクラゲ@ポイントマックス 18/03/06 22:44:44 ID:C9y3OJD2 NGネーム登録 NGID登録 報告
遅れましたが、ゴルダック×サメハダーをリクエストした者です!
泳ぐの早い同士でやってみたかったけどまさかの学園モノですか、なかなか新鮮でした。
サメハダーちゃん、これからも頑張っていただきたい!ありがとうございます!


次は難しいけどこんな感じでお願いできますか。

工芸家志望なツツケラ♀
アイドル志望なアシレーヌ♀
舞子志望なオドリドリ♀(ゆらゆら)
文芸家志望なルージュラ♀
ノーマルにエンニュート♀
 ↓↓↓↓↓
絵師志望のドーブル♂
  ↓↑
男優志望のゴーリキー♂

ドーブルは、バトルでもハイスペックだけど超マイペースでニブチン、
又は、実はアレな奴だった!?的な感じで。
 ▼ 445 ルトロス@トライパス 18/03/07 22:15:16 ID:mKXLGFXE NGネーム登録 NGID登録 報告
マッシブーンとフェローチェ
 ▼ 446 ゲキ@くろおび 18/03/08 16:22:42 ID:xd6KA4a2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 447 aSS341n256 18/03/10 00:44:22 ID:tNjgnZPg [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
『俺の彼女が妖精になってな』(サザンドラ♂×ニンフィア♀)

ニンフィア「ドーラー君!!」

サザンドラ「うわっ!お前、誰・・・その呼び方は、まさか!」

ニンフィア「そう!あなたの愛しのイーブイちゃんです!でもこれからはニンフィアちゃんなのです!」

サザンドラ「進化したのか・・・」

ニンフィア「そう、驚かせたくて、内緒で進化したんだよ!!」

サザンドラ「最近トレーニング頑張ってたからな」

ニンフィア「うん!偉いでしょ?褒めて褒めて!!」

サザンドラ「ああ、偉い偉い」ナデナデ

ニンフィア「えへへ〜、ドラ君大好き!」チュッ

こうかはばつぐんだ!

サザンドラ「グハァッ!!」バタッ

ニンフィア「ド、ドラ君!?」

サザンドラ「」ピクピク

ニンフィア「ドラくぅぅぅぅん!!!」


ニンフィア「進化なんてしなきゃよかった・・・」

エーフィ「す、すごい落ち込みようね・・・何かあった?」

ニンフィア「ドラ君にチュってしたら、ドラ君瀕死になっちゃって・・・それからキスは禁止だって」

エーフィ「ドラ君って彼氏よね。サザンドラの」

ニンフィア「そうだよ・・・」

エーフィ「そもそもサザンドラとイーブィが付き合うってのも凄い話よね。ナンパされてるところ助けてもらったんだっけ」

ニンフィア「そう!あの時のドラ君、凄いカッコよかったんだよ!!いつもカッコいいけど!!」

エーフィ「はいはいごちそうさま。で、なんだっけ、キスしたら死んだ?」

ニンフィア「生きてるよ!かろうじて一命をとりとめました!!」

エーフィ「あんた、ドレインキッス覚えたんじゃない?」

ニンフィア「そう!進化した時に一緒に!」

エーフィ「その技のせいね。まだ使いこなせないから、キスしたら全てその技になっちゃうのよ」

ニンフィア「ふぇぇ!?」

エーフィ「あざといやり直し」

ニンフィア「ええ!?」
 ▼ 448 aSS341n256 18/03/10 00:54:44 ID:tNjgnZPg [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニンフィア「でも、ドレインキッスになっちゃったら、どうなるの?私の技で倒れるほどドラ君は貧弱じゃないよ!」

エーフィ「あのねぇ、ドラゴン・悪タイプのサザンドラにフェアリータイプの技は4倍よ、4倍」

ニンフィア「4倍・・・」

エーフィ「そのドラ君?にとっては死活問題なんだから、キスは諦めなさい」

ニンフィア「いやだいやだいやだ!!そんなの絶対いやー!!」

エーフィ「じゃあドレインキッスの技を忘れたらいいんじゃない?」

ニンフィア「なるほど、じゃあ何か別の合法的にいちゃいちゃできる技の技マシンで上書きしよう」

エーフィ「合法的にいちゃいちゃできる技の技マシンなんてないわよ」


ニンフィア「ドラ君!!」

サザンドラ「おうニンフィア」

ニンフィア「今日は嬉しい嬉しいお知らせがあります!」

サザンドラ「な、なんだよ・・・」

ニンフィア「私は、ドレインキッスの技をいちにのポカンで忘れちゃいました!!」

サザンドラ「お、おう・・・で?」

ニンフィア「だからもうドラ君にダメージを与えることなくキスができちゃいます!!」

サザンドラ「やっぱりそうなるのかよ・・・」

ニンフィア「ドラ君は私とちゅーするの嫌なの?」

サザンドラ「いや、そう言われるとあれだけど・・・ほら、恥ずかしいしよ」

ニンフィア「あーらドラ君ったら、ういのう〜」グリグリ

サザンドラ「お前ももう少し恥じらいというものを・・・」

ニンフィア「ドラ君はそういうしおらしい娘の方が好みなの?」

サザンドラ「そんなこと言ってねぇだろ!・・・俺も、お前が好きだよ」

ニンフィア「キャー!!恥ずかしいよドラ君!!」ドーン!

こうかはばつぐんだ!

サザンドラ「グハァッ!!」バタンッ

ニンフィア「・・・って、え、ドラ君!?なんで!どうしたの!?」

サザンドラ「」ピクピク

ニンフィア「ドラ君!!ドラ君!?」

サザンドラ「」チーン

ニンフィア「ドラくぅぅぅぅぅぅん!!!!」
 ▼ 449 aSS341n256 18/03/10 01:05:00 ID:tNjgnZPg [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニンフィア「鬱だ死のう」

エーフィ「また言ってる」

ニンフィア「私は力をつけすぎたの・・・過ぎたる力は望まないわ・・・」

エーフィ「今度は何?」

ニンフィア「ドラ君が恥ずかしいこと言うからさ、いつもの感じで捨て身タックルしたら・・・」

エーフィ「いつもの感じで捨て身タックルしちゃダメでしょ。いつもそんなことしてたの?」

ニンフィア「イーブイだった頃は平然と受け止めてくれてたの!!」

エーフィ「イーブイっていったら特性適応力で、捨て身タックルなんてしたら相当ヤバいじゃない・・・相当タフな彼氏さんね」

ニンフィア「でも、私が強くなりすぎたから、ドラ君が・・・」

エーフィ「死んじゃった」

ニンフィア「死んでない!!死んだけど死んでない!!最新医療技術なめないで!!」

エーフィ「最新医療技術にお世話になっちゃダメでしょ」

ニンフィア「これじゃあ今までみたいにじゃれつくこともできない・・・」

エーフィ「あなたじゃれつくなんて覚えないし、覚えて使ったらそれこそ大惨事よ?」

ニンフィア「技のじゃれつくじゃない!!」

エーフィ「でも、確かに妙ね、威力の下がった捨て身タックルで、今まで耐えられていたのにノックアウトなんて・・・そもそも元々適応力じゃなかった?いやそういう問題でも・・・そうか」

ニンフィア「なに?」

エーフィ「あなた、特性フェアリースキンなのね」

ニンフィア「フェアリースキン・・・?」

エーフィ「ちょっと待ってて」


ジュペッタ「よう姉ちゃんまぶいねぇ!!俺とお茶しない?」

エーフィ「今ここに私をナンパしてきたジュペッタがいます」

ニンフィア「うん、いるね」

エーフィ「彼に全力で捨て身タックルかましてみて」

ニンフィア「わかった!」

ジュペッタ「へ?いや冗談きついなぁ。俺はゴーストタイプだからそんな技――」

ニンフィア「はいドーン!!」

ジュペッタ「グヘアァァァァ!?」

エーフィ「うん、あなたやっぱりフェアリースキンの個体なのよ」

ニンフィア「もうちょっとマシな判別方法なかったの?」
 ▼ 450 aSS341n256 18/03/10 01:17:23 ID:tNjgnZPg [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
エーフィ「この特性を持ってると、ノーマルタイプの技はフェアリータイプの技になって、さらに威力に補正がかかるわ」

ニンフィア「なるほど・・・」

エーフィ「もともとの特性が危険予知だったイーブイが進化するとこの特性になるけど、そもそもあなた危険予知だったの」

ニンフィア「ふぇ?」

エーフィ「自分のことぐらいちゃんと自分で理解しててよ・・・」

ニンフィア「でも、これじゃあ私は・・・」

エーフィ「捨て身タックルなんてサザンドラに叩き込んだら、それはそれはえげつないダメージね」

ニンフィア「ドラ君とじゃれあえなくなるぅぅぅぅうう!!」

エーフィ「もうちょっと他の技はないの?なんでよりによって捨て身タックルなの」

ニンフィア「癖でして・・・」

エーフィ「仕方ないわ、奥の手を使いましょう」

ニンフィア「奥の手・・・」


エーフィ「これよ」

ニンフィア「これは・・・」

エーフィ「私たちの会社で極秘に開発してる、特性カプセルの改良版よ」

ニンフィア「そうだ特性カプセル!これを使えば私の特性を変えられるんだ!!」

エーフィ「変えられないわ」

ニンフィア「ええ!?」

エーフィ「いやまあ、正確にいうと変えられるしそのためにこれを持ってきたのだけど、従来の特性カプセルではあなたのような特殊個体の特性を変えることはできなかったのよ」

ニンフィア「私、特殊個体なの?」

エーフィ「特性きけんよちのイーブイは特殊個体よ」

ニンフィア「へー、どうでもいいや」

エーフィ「・・・このカプセルはまだ一般流通していないもの、安全性も・・・まあほぼほぼ大丈夫だとは思うけど、保証はできないわ」

ニンフィア「ゴクリ・・・」

エーフィ「でも、それ以上に。特殊個体の特性を通常個体の特性に変えることはできても、その逆のやり方はまだ判明していないの。一度替えたら、二度とフェアリースキンには戻れないけど、いいの?」

ニンフィア「いいよ!」ケロッ

エーフィ「そんな簡単に・・・フェアリースキンって希少特性よ?失うには惜しいと思うし、もう少し考えても・・・」

ニンフィア「ドラ君を死に追いやるような危険な特性を私は忌み嫌うわ・・・」ゴゴゴ

エーフィ「タックルしなければいいだけじゃないの・・・じゃあ、はい、これ。一応モニター実験ってことにしとくから、色々と協力してね」

ニンフィア「ハーイ!!」
 ▼ 451 aSS341n256 18/03/10 01:25:40 ID:tNjgnZPg [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニンフィア「テイッ!!」ドーン

サザンドラ「いたっ、おいニンフィア、どうした?」

ニンフィア「ドラ君・・・」パアアァァァァ

サザンドラ「・・・なんだ?」

ニンフィア「私が捨て身タックルしても死なない!!ちゃんと特性は切り替わったんだね!!これで思う存分じゃれつける!!」

サザンドラ「な、なんのことだ・・・!!」

ニンフィア「ん?ドラ君?」

サザンドラ「ニンフィア・・・」トロン

ニンフィア「ドラ君・・・なんか様子が・・・」

サザンドラ「ニンフィア!!」ガバッ

ニンフィア「え、ちょ、ドラ君!?こんな真昼間から、こんなとこに押し倒して・・・どうしたの!?」

サザンドラ「なんか、俺、やべぇ・・・」ハァハァ

ニンフィア「ドラ君・・・なんか、怖いよ・・・」

サザンドラ「なんか、もう・・・我慢できねぇかも・・・」

ニンフィア「うぅぅぅぅううう・・・ド、ドラ君!!」バシュンッ

こうかはばつぐんだ!

サザンドラ「うぐっ!?」バタンッ


エーフィ「・・・で、今度は普通にムーンフォースぶっぱなして逃げてきたと」

ニンフィア「だって、ムードもへったくれもないんだもん!!ドラ君ひどいよ!!」

エーフィ「あなたの特性メロメロボディが発動したのね」

ニンフィア「メロメロボディ?」

エーフィ「性別の異なる相手と接触すると、相手をメロメロ状態にしてしまうことがあつ特性よ」

ニンフィア「ろくでもない!!いや、確かにドラ君が私にメロメロになってくれるのは魅力的だけど・・・・あそこまでいったらもう獣だよ!!」

エーフィ「そんなに豹変したの・・・」

ニンフィア「てかドラ君はもともと私にメロメロだし!」

エーフィ「あなたが特性変えるって決めたのよ?」

ニンフィア「知らなかったんだもん!変わった先がこんな特性だったなんて・・・」

エーフィ「もうちょっとは自分の種族に興味持ってよ・・・」

ニンフィア「ああ・・・私はもう、ドラ君とはいちゃつけないの?ドラ君とイチャイチャしたいだけの人生だったよぉ・・・」

エーフィ「まあ、もうメロメロボディとうまく付き合って生きていくしかないわね」
 ▼ 452 aSS341n256 18/03/10 01:37:07 ID:tNjgnZPg [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニンフィア「ううう・・・鬱だ死のう・・・」

サザンドラ「ニンフィア!!」

ニンフィア「ド、ドラ君!それ、なに?」

サザンドラ「この前は怖がらせて悪かった、お前の特性とうまく付き合っていくために、このアイテムを手に入れたんだ!!」

ニンフィア「それで、メロメロボディも怖くないの?」

サザンドラ「ああ、このあかいビードロを吹けば!メロメロ状態は一発で治る!!」

ニンフィア「なんて優れモノなの!?」

サザンドラ「しかも使ってもなくならない!!」

ニンフィア「まあ笛だからね」

サザンドラ「だから、もうこれからお前は悩まなくていいんだ。進化しなければよかったなんて、思う必要もねぇんだよ!」

ニンフィア「ドラ君・・・知ってたんだね・・・よりによってなんでニンフィアに進化しちゃったんだろうって、私が泣いてたこと!」

サザンドラ「ああ・・・これからは、お前に寂しい思いはさせねぇ!俺に少しでも釣り合うようになんて健気に頑張ってくれたこと、俺すっげぇ嬉しかったから!!」

ニンフィア「ほんとに!?進化した私を一目見た時ちょっと『よりによってニンフィアかよ・・・』って思わなかった!?」

サザンドラ「相性わりぃとは思ったけどそれ以上に可愛いって思った!!」

二ンフィア「ドラ君!!」

サザンドラ「ニンフィア!!」

ニンフィア「ドラくーん!!!」

サザンドラ「ニンフィアアァァァ!!!」


ニンフィア「これからは前みたいに、いや前以上にドラ君とイチャつけるね!」ピー

サザンドラ「ああ・・・なるべくお前の希望に沿えるように頑張るよ」

ニンフィア「ふふふ、ドラ君だーいすき!!」ピー

サザンドラ「俺もだニンフィア」ギューッ

エーフィ「・・・何あのバカップル」

ニンフィア「ドラくぅん・・・」ピー

サザンドラ「ニンフィア・・・」ギューッ


『俺の彼女が妖精になってな』・・・おしまい
 ▼ 453 リトドン@TMVパス 18/03/10 01:52:21 ID:VWF0tgMM NGネーム登録 NGID登録 報告
ニンサザありがとうございます!
 ▼ 454 ンバーン@フレンドボール 18/03/10 02:07:52 ID:BOsiU5dw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援。

よければ、ドゴーム→←キマワリ←ペラップ

というドゴキマペラをお願いします…。ペラップは自分の気持ちを隠して、ドゴームとキマワリを応援してて、キマワリはペラップの気持ちに気づいてる形で…。 ポケダンでお願いします。
 ▼ 455 ガディアンシー@きんりょくのハネ 18/03/11 01:33:02 ID:eYIsQLQs NGネーム登録 NGID登録 報告
お調子者ガブリアス♂×クールなグレイシア♀
 ▼ 456 キワラシ@きんのいれば 18/03/12 21:13:35 ID:C/0wJFNI NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援。
 ▼ 457 アームド@ルカリオナイト 18/03/12 22:24:03 ID:FtmZ7xUc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
しえん
 ▼ 458 リーザー@ミストシード 18/03/13 07:18:51 ID:cZmcOxv2 NGネーム登録 NGID登録 報告
グラエナ♂とレパルダス♀お願いします。
 ▼ 459 ラクロス@ありふれたいし 18/03/13 16:02:39 ID:swkdqJWs NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ケルディオ×ビリジオン
おねショタ的な
 ▼ 460 ュワワー@ネストボール 18/03/13 20:45:05 ID:QA/L1bK2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 461 ウカザル@あやしいパッチ 18/03/14 15:48:33 ID:lWBzXJY6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 462 ーイーカ@バーゲンチケット 18/03/15 20:20:44 ID:aHNCw5Fo NGネーム登録 NGID登録 報告
まだ全部読めてないんだけど、ポケモンの設定が生かされてていいね
バリエーションも多くて飽きない、特にエネルカの話が好き。

よければデンジュモク×ズガドーンをお願いしたいな
よければどちらも無性別って縛りでお願いしたい、後回しでも構わない
 ▼ 463 aSS341n256 18/03/16 10:18:28 ID:Le6ti2t6 [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
『Hope A New World』(ジラーチ×イーブイ)

噂には聞いたことがあった。

それは、幻のポケモンの中の一匹で、

どんなものの願いも叶えてくれるという不思議な力を持つポケモン。

実際に見た人など一人もいなくて、画像や映像も残っていない。

嘘か誠かわからない沢山の資料にその存在が記されているのみの、不思議な不思議なポケモン。

「それが・・・本当に、あなただっていうの?」

「そうだよ、僕、ジラーチ!」

小さくて、とても可愛らしいそのポケモンが名乗った名前を、イーブイは何度も何度も聞き返した。


なんてことはない平凡な一日だった。

いつも通り学校に行って、上辺だけの友達関係を維持するために気を遣って、

つまらない授業、つまらない会話、ただ疲れるだけの毎日の中のひとつ。

一日が終わって、学校から帰るその道の途中、

「・・・なにあれ・・・」

何かが地面に刺さっているのを見つけたのだ。

「あ、君!助けてくれない!?着地に失敗しちゃった!!」

謎の物体がイーブイに気づいて、仕方なくイーブイはその物体を引っこ抜いて。

「いやぁ、助かったよ!」

「助かったよじゃなくて・・・え、何?今のどういうこと?」

「地球に来るときはいつも流れ星になって降りてくるんだけど、なんかうまくいかなくってね〜」

助けた彼が言う言葉はまるでイーブイには理解できず、頭が痛い。

流れ星になって降りてくる?

本当だったら、こいつは宇宙人か何かか?

そんなもの、非現実的だし、電波系が何かだろうか。

「それにしても、君、ラッキーだね!!」

「・・・は?私が?」

目の前の事態についていけないイーブイに、さらに追い打ちをかけるかのように物体は話しかけてくる。

ラッキーなのは刺さってるところを助けてもらったあんたのほうでしょ。

「言ってる意味がわからないんだけど・・・」

怪訝そうな目つきで単刀直入にその物体に切り込む。
 ▼ 464 aSS341n256 18/03/16 11:16:08 ID:Le6ti2t6 [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「君は、このジラーチ様が今度の目覚めで初めて出会った人だからね!」

「ジラーチ・・・?」

こうした流れを経て冒頭に至る。

「ジラーチって言うと、なんでも願い事を叶えてくれるっていう・・・あの?」

私がラッキーだということは、文脈から察すると彼が私の願い事を叶えてくれると言うことだろうか。

イーブイはそんな風に考えると、怪しいとは思いつつも心躍らずにはいられない。

そもそも目の前の彼の地面への刺さり方は普通ではありえないものだったし、

それにこのような姿のポケモンは見たこともなかった。

珍しいポケモンであることは疑いようのない事実だ。

「信じられない、あなたがジラーチって証拠はあるの?」

「証拠?そうだなぁ・・・」

それでも、証拠があるならそれにこしたことはない。

願いを叶える力を持つジラーチが自分の存在の証明をするためには、誰かの願いを叶えるしかないだろう。

あわよくば、それで彼から自分の願いを・・・

「ないかな♪」

「ええ・・・」

そう簡単に物事はうまくいかないようで。

「いや、破滅の願いっていう、僕だけが使える技があるんだけど・・・それを見せてもそもそもそんなことを知らない君が理解してくれるわけではないでしょ?」

「そうじゃなくて、願い事!何か一つ私の願い事を叶えてくれたらそれで私はあなたを信じれるでしょ?」

「それはダメだよ〜」

しかし欲が張っているなと自分でも思いながら、ジラーチを名乗るそのポケモンにもっと端的に迫っても見たが、彼はやはり願いを叶えようとはしない。

「どうして?」

それならラッキーなことなんて、何もないじゃないか。

珍しい自分に会えたから幸せ者だねなんて言われたら怒りたくもなってくる。

「世の中ギブアンドテイクだよ。願い事を叶えてほしいなら、僕を満足させてくれないと」

「・・・私はあなたにそんな力があるなんて、信じる気にはなれないわ」

「まあまあ、聞いてよ」

少し冷めてしまったイーブイを前に、ジラーチは願い事を叶える条件を話し始める。

「僕らは願い事を叶える力を持ってるけど、そう無尽蔵に叶えられるわけじゃないんだ」

「ふーん?」
 ▼ 465 aSS341n256 18/03/16 11:28:48 ID:Le6ti2t6 [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そもそも僕は1000年に7日間しか起きてられない、そんな特徴を持っていてね」

「1000年に7日間!?」

突拍子もない話にイーブイは思わず目を丸くする。

1000年間なんて、普通の生き物は生きることもままならないのに、

「そして、一度目覚めた間に叶えられる願い事は一つだけ。次の願い事を叶えるのにはまた、1000年眠らないといけない」

実質、叶えられる願い事はたったの一つ。

なんだ、そうだったのか、なんて少しガッカリするイーブイ。

その様子を見たジラーチはわざとらしく咳払いをしてから少し大げさに言葉を続けた。

「でも、その願いはどんなものでもいいんだよ。なんだって叶えられる」

「なんだって?」

「まあ、僕がダメだって思ったものはダメだけど、あくまで理論上はね・・・」

「り、理論上は・・・」

そこで大きく間を取って、

イーブイを焦らしに焦らしてから、

「・・・この世界を終わらせることだってできる」

「ヒィッ!?」

「ま、そんな願い事叶えるのはごめんだけどねぇ」

悪戯っぽい表情を作って彼が話したのはあまりに恐ろしい話で、

彼のことを信じていないと言っていたイーブイも思わず震え上がってしまう。

あんまりな態度をとっていると、彼のその力の矛先が自分に向きかねない。

「そ、そうなんだ・・・」

「そうだな、今まで叶えたことは、大金持ちになりたいとか、特別な技を覚えたいとか、文明を発展させたいとか、そんな感じだなぁ」

少し怯える様子のイーブイに気づかないでジラーチはしみじみと過去のことを思い出す。

「覚えてるの?そんなに前のこと」

「1000年っていっても、寝てる間は短く感じるものだし。起きるたびに環境は全然違うんだけどね」

そりゃそうだ、1000年もあれば何もかもが違う。

内心そんな風に思いながら、イーブイはふとそのあまりに長い時間に思いをはせる。

彼の口ぶりから、願いを叶えたことは1度や2度ではない、そんなにも前からこの世界というものは存在していたのか。

10度彼が目覚めたら、流れた年は1万年。

1万年も前のことを、彼はしっかりと覚えていて・・・?
 ▼ 466 aSS341n256 18/03/16 11:46:03 ID:Le6ti2t6 [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ま、そんなわけで、眠るときには星になって目覚める時に降りてきて、そして初めてであった人と1週間交流を持って、それからその人の願いを叶えて眠りにつく。それが僕、ジラーチ」

纏めにはいるかのように、まるで何かのシステムのような流れをイーブイに説明したジラーチ。

「だから、証明するために願い事を叶えることはできない。わかった?」

「うん、わかったよ」

イーブイの方も当然完全に信じるとはいかなくても、それでもジラーチの話を理解して受け入れた。

「要は、一週間君が望むことをしてあげたら、最後に私の願い事を叶えてくれるってことでしょ?」

「そう!この一週間は君の人となりを知る期間でもあるんだ。叶えてもいい願い事かどうか、判断するのにも大切な時間なんだよ」

「なるほど・・・」

彼の話を嘘だと断言するには話にどこか説得力を感じて、

そうでなくても、なかなかない出会い方をした二人だ。

こうして今日であったのは、ある意味運命なのかもしれない。

「分かった、私が一週間であなたを満足させてあげるわ」

「うん!期待してるよ!!」

そんなわけで、イーブイとジラーチの奇妙な7日間が始まった。


「ここが君の家か・・・ほかの人たちもこんな感じの家に住んでるの?」

「まあ、大きさの違いはあるけど大体そうじゃない?」

下宿で一人ぐらしのイーブイ部屋は、少し狭かったけど小柄なポケモン二匹が暮らす分には問題もない。

見知らぬ人との共同生活は少し心細いけれど、彼との生活が終わるその時にはなんだって手に入れることができるのだ。

少々のことにはくじけない。

「・・・あんまりジロジロ見るのもどうかと思うのだけど」

「ごめんごめん、本当に、毎度毎度全く違うんだよね。誰かが暮らす場所も、街の景色も、なにもかも」

「当たり前よ、1000年間よ?1000年間」

最後に目覚めたのが1000年前のジラーチからすると、目にするものすべてがきっと目新しいのだろう。

正確にいうと、毎度毎度目新しい物しか見ないのだからそれもまた違うのだろうけど。

「平日の日は学校に行かなきゃならないの。私が用事で外に出てる間、あなたはこの部屋にいてね」

「うん、わかった」

「帰ったら、毎日どこかへ連れてってあげるから」

「楽しみだなぁ!」

無邪気に笑う姿は、まるで子供のようで。

とても何万年と生きるような権威ある幻のポケモンには見えない。
 ▼ 467 aSS341n256 18/03/16 12:08:07 ID:Le6ti2t6 [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「美味しい!!全く、食事というものは年を経るごとに進化するね!!」

「そ、そんなに感動するほど?」

「するさ!!こんなに美味しいものは生まれて初めてだよ!!」

女子として取得した最低限の料理スキルも、誰かに対して発揮されたことなんて今までなかったように思う。

ここまで喜んでもらえると、自分に料理の才能があるかのように錯覚してしまうけれど、

「そうかぁ、前の時も大分感動したのに、まださらに上があったなんて・・・次の1000年後はもっともっと進化してるのかなぁ!」

「ど、どうだろうね・・・」

比較対象が1000年前や更にその前では、そりゃそうか、ともなるわけで。

「こんなに物事が変わっていくのに、変わらないものも沢山あって、なんか感慨深いなぁ」

「なに?変わらないものって」

料理に感動したり、物思いにふけったり、とても忙しい人だ。

そんな風に思いながらジラーチに問いかけると、

「イーブイ、君自身もそうだよ。もう何回も前になる頃に、一度イーブイの願いを叶えたことがあったんだ」

「私と同じ種族の?」

「うん、凄いでしょ!?」

沢山の進化の種類を持つイーブイという個体は、昔はそもそも遺伝子が不安定で種としての存続が難しいのではないかとされていたこともあったらしい。

ジラーチが以前出会ったイーブイと、このイーブイにはもちろん何の関係もないのだが、

それでもジラーチ的には変わらずイーブイという種族がのこっていて自分と関わることになったのがよほどうれしいらしい。

「・・・ごはん食べたら、お風呂入って。知ってる?お風呂」

「知ってるよ、前の時に入ったから」

1000年前ならぎりぎり今の生活の基盤が出来上がっていたのかな、なんて思いながらお風呂の準備をする。

今までジラーチがかかわった人の全ては、今は当然亡くなっている。

自分だって1000年生きることは不可能だ、それを分かっていながらイーブイは少し悲しくなった。

ご飯を食べながら、今までの出来事を色々と聞いたのだ。

どの思い出も、ジラーチの中でキラキラと輝いていて、

人懐っこそうな彼がそういった人たちのことをいかに好いていたのかが手に取るように分かって、

起きるたびに一人見知らぬ時代に飛ばされる彼のことが不憫に思えて。

不思議と、今となってはジラーチの言葉を疑う自分というものは、イーブイの中から消え去っていた。

彼は本物のジラーチだ、私は彼に何を願おうか。

私利私欲な願い事をするのも少しおこがましく思えた。
 ▼ 468 aSS341n256 18/03/16 12:54:02 ID:Le6ti2t6 [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「アハハハハ!なにこれスッゴイ!!!すっごいよぉぉぉぉぉ!!!」

「はしゃぎようがすっごいなぁ・・・」

幻のポケモンであるジラーチを満足させなければならない。

冷静に考えた時にそのハードルの高さは計り知れないな、自分にできるだろうか、

イーブイははじめそんなことを考えていたが、

いざ生活が始まってみると最初の料理をはじめとして、

ジラーチの「満足」はあまりにもハードルの低いものであった。

言われてみれば当然か、イーブイは思う。

遊園地や映画、スポーツの体験施設や競技観戦など、

単純に1000年前と比べても娯楽の質や量は段違いである。

家でもテレビやゲームに興じて、ジラーチの笑顔は絶えない。

「いやぁ、いい時代だねぇ!こんな世界で生きる君たちは毎日がバラ色みたいに楽しいんだろうなぁ」

「そうだね、本当は凄い恵まれてるのかも」

「・・・楽しくないの?」

「こんな世界も、当たり前だって思っちゃったら楽しくなくなったりしちゃうんだよ」

ジェットコースターにご満悦だったジラーチは、イーブイの言うことがよくわからなくて不思議そうな顔を見せる。

「でも、君といるのは割と楽しいかも」

「それはよかった!」

裏表がなくて無邪気で、大抵は笑顔で過ごしているからだろうか。

イーブイはジラーチと共にいるのがとても楽だったし、楽しかった。

学校には、友達と呼びたい友達なんていない。

てきとうに話を合わせて、なんとなくグループに属して、

ちゃんと笑わなきゃ、ちゃんと相槌をうたなきゃ、

仲間外れにされないようにふるまわなきゃ。

そんな風に毎日追いつめられるような生活は、イーブイもほんとはうんざりで。

「今日も楽しかった〜!!」

「それはよかった」

休日だった今日、一日遊園地を満喫して、

「・・・ねえ、イーブイ。願い事は、もう決めた?」

明日には、ジラーチが眠りにつく日がやってくる。
 ▼ 469 aSS341n256 18/03/16 13:04:47 ID:Le6ti2t6 [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「なんだっていいんでしょ?」

「うん、僕が認めたら、なんだっていい」

「一切の例外もなく?」

「できないことはないよ」

「・・・ゆっくり考えておくわ」

何を願おう、私が欲しいものは何だろう。

初めは、無難にお金とかでいいかな、なんて考えてた。

一生をかけても使いきれないくらいの大金をもらって、この退屈な毎日ともおさらば。

でも、それもなんだか味気なくて。

お金で何が買えたって、一人だと退屈なのかもしれないし。

・・・ジラーチと、もっと長くいたいな。

こんな友達が欲しい、そうだ、友達をジラーチに頼もうか。

でも、それも違う、それもきっと空しいだけ。

なんでもいいと言われると、案外難しいものだ。

悩みに悩んで、眠れないまま最後の一日がやって来た。


「ありがとう、イーブイ。君のおかげで、この一週間、本当に楽しかった」

「・・・本当に眠っちゃうんだね。1000年間も」

「うん、そうだよ」

慣れているからだろうか、ジラーチはそこまで寂しそうな様子も見せない。

思えば、今までの人たちのことを話すときも、ジラーチは懐かしそうにはしながらも寂しそうな様子は見せなかったな。

可哀そうだとか、心配だとか、独りよがりだったかな。

イーブイの方は、気を抜けば涙が流れそうなほどで、いつの間に彼にここまで入れ込んでいたのかと自分に驚く。

「さ、時間になっちゃう前に、さっさと願い事、叶えちゃお」

「うん・・・」

時間はたくさんあったのに、考え着いたそのどれもがしっくりこない。

「・・・ねぇ、ジラーチ」

「うん」

それでも、何も願わないわけにはいかない。

イーブイは、意を決して願い事を呟いた。

「・・・眠らないで」
 ▼ 470 aSS341n256 18/03/16 13:16:53 ID:Le6ti2t6 [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「え?」

「ずっと、眠りにつかないで!私が生きてる間は、眠りにつかないでほしいの!!」

思いついた願いは、あまりに突飛なもので。

「折角会えたし、仲良くなれたから、もっと長く友達でいたい!私、あなたと一緒にいるこの時間が今までで一番楽しかったの!!」

涙ももうこらえきれない。

必死の訴えは、ジラーチを困らせてしまうだろうか。

それでもイーブイはそう訴えずにはいられなくて。

「わかった!いいよ!!」

「え、いいの?」

ジラーチはそんなイーブイの様子を気に留めるもなくあっさりとOKを出した。

「願い事を叶えても君が生きてる間は寝ないでほしい、それが願いなんだよね?」

「う、うん・・・できるの?そんなこと」

「言ったじゃん、なんでもできるって!」

確かにジラーチは、なんだって叶えることができると言っていたけど、まさかこんな少しずるいような願いも叶えてしまうとは思わなかった。

「でも、一度起きてる間は願い事を一つしか叶えられないから、君が生きてる間、もう僕は願い事を叶えられないよ?それでもいいの?」

「うん!!あなたがいてくれるなら願い事なんていらないわ!!」

「フフフ、そんなこと言うのは君が初めてだよ!イーブイって、面白い!!」

笑って自分の願いを受け入れて、ジラーチは自らに不思議な力をかけた。

余りに神秘的なその様子に、イーブイは思わず息をのむ。

「・・・はい、完了む。それじゃあ、これからもよろしくね、イーブイ!!」

「うん・・・うん!」

こうして、あまりにあっさりとイーブイとジラーチの共同生活が続くことが決まった。


学校での生活に馴染めなくて、心の奥に深い孤独を背負っていたイーブイの願い事は、

『本音で話し合える友達が欲しい』

図らずもジラーチは、イーブイのこの願いを叶えることに成功していた。

やはり、イーブイがジラーチと出会ったということは一種の運命に違いなく、

ジラーチとの出会いを経て、イーブイの世界は全く新しい物へと、彼女の願った方向へとかわっていったのだろう。


『Hope A New World』・・・おしまい
 ▼ 471 ンペルト@みどりのはなびら 18/03/16 15:00:07 ID:9n1585mc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 472 シボン@クサZ 18/03/16 21:40:27 ID:jikKNIgE NGネーム登録 NGID登録 報告
>>463
ありがとうございました
完全な運で選んだので良い話だね。
イーブイちゃん 願い叶って良かったね。
 ▼ 473 aSS341n256 18/03/17 14:09:21 ID:5cI9Uz2c [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
『進化・2』(ロコン♂×イーブイ♀)

ロコン「おじゃまします!」

イーブイ「いらっしゃい、ロコン」

ロコン「はい!これ、プレゼント!!」

イーブイ「なに?急に・・・これは、ほのおの石?」

ロコン「うん!ほら、ブイちゃんもうそろそろ進化考えてるって言ってたし」

イーブイ「でも誰もブースターになるなんて言った覚えないんだけど」

ロコン「あれ?そうだっけ?」

イーブイ「そうだよ。うーん、折角だしこれはロコンが使ったら?」

ロコン「それがねぇ、ジャジャーン!!」

イーブイ「って自分でも持ってるんだね・・・」

ロコン「そう!お揃いだよ!!」

イーブイ「お揃いの進化の石って何さ」ジトー

ロコン「いっせーのーでで進化したいなって思って」

イーブイ「なにそれ〜、大事な自分のことなんだから、そんな風に決めちゃわないほうがいいと思うけど」

ロコン「ブースターになってくれたら、僕もキュウコンだし、お揃いのタイプでお似合いの二人だと思うんだよねぇ」

イーブイ「なるほどねぇ」

ロコン「だからさ!!」

イーブイ「でも、やっぱりすぐには決められないかなぁ」

ロコン「そんなぁ・・・」

イーブイ「そもそも私が何に進化したって、私たちはお似合いの二人だよぉ」

ロコン「そう?」

イーブイ「それとも、ブースター以外に私が進化しちゃったら、ロコンは私を嫌いになるの?」

ロコン「まさか!!」

イーブイ「えへへ、そう言ってくれると安心するなぁ。お茶入れてくるね!」

ロコン「うん!・・・ん、これは・・・」

イーブイ「お待たせ〜・・・どうしたの?ロコン」

ロコン「これは、進化カタログ?」

イーブイ「うん、イーブイ族にとっては必須の一冊だよね」

ロコン「なるほど・・・」
 ▼ 474 aSS341n256 18/03/17 14:25:50 ID:5cI9Uz2c [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
イーブイ「ブースターも勿論魅力的だけど、他の進化も全部可愛いと思うんだよね〜。迷っちゃうな〜」

ロコン「うん、確かにどんなブイちゃんも可愛くて魅力的だと思う!」

イーブイ「そ、そういう風に言われると恥ずかしいな・・・」

ロコン「うーん・・・おしとやかな感じのシャワーズか、ボーイッシュなサンダース・・・」

イーブイ「進化しただけで私自身の性格が変わるわけじゃないからね!?」

ロコン「そ、それは分かってるけど、なんとなくイメージでね?」

イーブイ「まあ、分からなくもないけど」

ロコン「知的で気品あふれるエーフィに、クールでブラックな感じのブラッキーもいいな・・・」

イーブイ「しんっけんだなぁ」

ロコン「さわやかで活発な感じのリーフィア?美しく凛としたグレイシア?女の子らしさ満開でラブリーなニンフィア?」

イーブイ「そう考えたら、簡単には決められないでしょ?」

ロコン「勿論穏やかで優しそうなブースターも捨てがたいし・・・」

イーブイ「今すぐ進化しなきゃってわけじゃないし、ゆっくり考えるよ」

ロコン「そ、そうだね!ブイちゃんのことなんだし、僕がこんなに悩みすぎるのもおかしな話だよね!」

イーブイ「ほんとだよ〜!!」

ロコン「それにしても、イーブイ族って不思議だよねぇ」

イーブイ「まあ、珍しい種族だと思うけど」

ロコン「たくさんの進化先があって、タイプもそれぞれ違うんだもんなぁ」

イーブイ「シンプルにタイプで選ぶのもありなのかな」

ロコン「タイプでっていうと・・・」

イーブイ「さっきロコンが言ってたみたいに、ブースターでお揃いっていうのもありだし〜」

ロコン「うん、うん!」

イーブイ「シャワーズになったらロコンに有利になれるね!!」

ロコン「ゆ、有利になって何する気!?」

イーブイ「何もしないよ〜♪」

ロコン「すっごい、いい笑顔・・・」

イーブイ「逆に、ロコンが苦手な相手からもロコンを守れるようなタイプになるとか?」

ロコン「別に、誰かから狙われたりすることないけどね」

イーブイ「まあまあ、念のためにね。岩タイプや地面タイプに強いタイプだから・・・やっぱりシャワーズ?」

ロコン「ぐぅ」
 ▼ 475 aSS341n256 18/03/17 14:33:43 ID:5cI9Uz2c [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
イーブイ「これはもうあれだね、シャワーズになれってことだね」

ロコン「待った待った!その水タイプに強いリーフィアとか!!」

イーブイ「サンダースでもいいよね、それ」

ロコン「サンダースでもいいけどもね!」

イーブイ「あれ、そもそもずっと一緒にいるとも限らないのに、ロコンにあわせて進化するのって愚かかな」

ロコン「なんでそういうこというの!?」

イーブイ「えへへ、冗談だよ〜!」

ロコン「もう、やめてよそういうこというの!」

イーブイ「・・・でも、やっぱり私はもうちょっとイーブイでいようかな」

ロコン「あれ、そうなの?」

イーブイ「なんだかんだいって今のままがしっくりくると言いますか」

ロコン「まあ、わからなくはないけど」

イーブイ「それに、ロコンが好きだって言ってくれたこの姿を捨てるのって、割と惜しいなって思ったりするんだよね・・・」

ロコン「へ・・・お、おう・・・」

イーブイ「ちょ、ちょっとそんな照れる!?」

ロコン「ブイちゃんこそ言っといて照れないでよ!!」

イーブイ「ま、まあそんなわけで!これからも暫くはイーブイな私にお付き合いください!!」

ロコン「こ、こちらこそよろしくお願いします!!」


イーブイ「・・・ロコンは進化しないの?」

ロコン「うん」

イーブイ「炎の石もあるんだったら、悩むこともないし進化しちゃえばいいのに」

ロコン「ブイちゃんがブースターにならなくても、進化のタイミングは同じがいいなって」

イーブイ「ロコンって、なんか女々しいよね」

ロコン「う、うるさい!!」

イーブイ「ごめんごめん〜、そんなに怒らないでよ」

ロコン「もう・・・」

イーブイ「アハハハハ!」


『進化・2』・・・おしまい
 ▼ 476 タモン@おとどけもの 18/03/17 15:25:01 ID:uwusx4Gg NGネーム登録 NGID登録 報告
チリーン♀店員と名前欄先生お願いします。
 ▼ 477 ジョット@ゴーストジュエル 18/03/17 18:41:45 ID:DsAwtoLc NGネーム登録 NGID登録 報告
リザードン♂とグレイシア ♀お願いします。
 ▼ 478 aSS341n256 18/03/20 12:33:47 ID:tPvF8e0o [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
『Black』(マッシブーン×フェローチェ)

薄暗い部屋で二人きりになり、マッシブーンは自身の選択を悔やんだ。

どうしてこうなった。

一体俺は、俺たちはどこで間違えた。

頼れる仲間はもういない、一人残らず死んでしまった。

最後の仲間も、自分が殺したのだ。

「残念だったわね」

目の前で勝ち誇ったように笑みを見せるフェローチェが、

ゆっくりゆっくりと自分の元へ近づいてくる。

「フェローチェ・・・」

その美しい容姿の彼女をにらみつけ、

「お前だったのか・・・」

マッシブーンは恨めしくそう言い放った。

「私を信じてくれてありがと」

彼女の皮肉が胸に刺さる。

「だからあなたのことを最後まで残しておいたのよ」

ああ、情けねぇ。

すべてやつらの思った通りだったわけだ。

「クソッ・・・!」

最後の選択を何度悔いても、結果が変わるわけではない。

悔しさに悶えながら、目の前に迫ったフェローチェに、震える声で言う。

「もういいだろ、とっとと終わらせてくれ」

「そうね、分かったわ」

マッシブーンの頼みを聞き入れて、フェローチェは自身の手を合わせて狼の口のような形を作り、

それをマッシブーンの目の前に持ってきて、

「はい、ガブリ」

【人狼チームの勝利です!!】

「だぁぁぁぁもうくっそ!!!」

「やったぁ〜!!ナイスフェローチェ!!」

・・・人狼ゲームのお話である。
 ▼ 479 aSS341n256 18/03/20 13:11:39 ID:tPvF8e0o [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「もう!だから言ったじゃんか!!」

マッシブーンが最後に殺した仲間・・・要するに最終日に協議の結果吊られたデンジュモクが非難の声をあげる。

「仕方ないだろ!フェローチェの方が白に見えたんだからよ!!」

「マッシブーンっていっつもそうだよね〜、特にフェローチェには毎回うまくしてやられてる感じ」

「ウツロイドの作戦通りの展開になったわね」

フェローチェの相方狼であったウツロイドも勝利に喜びながらマッシブーンのことを嘲笑う。

ウルトラビーストの面々でこうして集まって、ゲームに興じることは最近では珍しくなかったが、

とりわけ人狼ゲームのような頭脳戦の類においてマッシブーンがとことん弱いのはいつものことであった。

「まあこの筋肉達磨が頭良かったら、それはそれで怖いんだけどさ」

「人を見かけで判断するんじゃねぇ!!」

アーゴヨンの発言に憤るマッシブーンとは対照的に「その通りだ」と笑うUBの面々。

他のメンツが誰も彼もそれなりに頭が回ることも相まってマッシブーンがこうした弄られキャラのような立ち位置がになるのも無理はない話で。

「ほら、気を取り直して次のゲームにいきましょう?」

比較的穏やかで優しいテッカグヤがマッシブーンのことを気遣ってか、次のゲームの開始を促す。

「はあ、今度は俺が狼になりたい」

「あなたに狼は無理よマッシブーン、普通の村人より何倍も難しいんだから」

「そいつは言えてるぜ!!」

「アクジキングは人のこと言える立場じゃないと思うけど」

各々軽口を飛ばしながら次のゲームの準備を始める。

カミツルギがアクジキングから逃げるのを見やりながら自分の配役を確認したマッシブーンは、

「!!」

願った通りに狼の役を引き当てたことに驚き、喜び、

「・・・・・」

その様子をしっかりとフェローチェに見られていたことに気づかなかった。


「それじゃあ、今日はここらへんでお開きにしましょうか」

「また近いうちに集まれたらいいわね」

皆で集まって遊ぶ時間は、UB達にとっても楽しみなことで、終わりが来るのは毎度毎度惜しいことである。

とりわけ今日に限っては、

「うぅ・・・・・」

再びフェローチェに一杯食わされたマッシブーンはひどく落ち込んだ気分で帰ることとなった。
 ▼ 480 aSS341n256 18/03/20 13:48:13 ID:tPvF8e0o [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「今日はお疲れ様」

「うげっ、フェローチェ・・・」

住処へ帰る途中、後ろから追ってきたのかフェローチェに捕まった。

「うげってなによ、失礼ね」

「今お前には一番会いたくなかったから言ってんだよ」

同じ虫・格闘タイプ、UBであるという共通点もあるが、マッシブーンは元よりフェローチェのことがあまり気に入らなかった。

マッシブーンはその見た目通りの異常な筋肉を誇りに思っており、対照的にスレンダーなフェローチェが、自身と同程度の攻撃力を誇るという点がまず気に食わない。

しかも自身が苦手とする特殊攻撃も難なくこなし、挙句の果てに目には見えないようなスピードで動くことまでできる。

その分やわいが、殺られる前に殺るという至極シンプルな脳筋戦法をとるようなやつであるにも関わらず、見た目からは気品が漂いおまけに頭がキレて自分を手玉にとるようなところが最も癪に障った。

「そんなに怒んないでよ、ゲームでしょ?」

「ゲームでそんなに怒って悪かったな」

人狼を引いたことで少し浮かれていたマッシブーンは、いざゲームが始まると開口一番占い師のフェローチェに自分が黒であることを暴露された。

その日はそのままマッシブーン吊り、折角の人狼役にもかかわらず一日で退場となって、結局はゲームにも敗北してしまった。

「でもあれはあなたが悪いと思うわ」

悪びれることなく、フェローチェはマッシブーンに言う。

「人狼ゲームは配役の瞬間から既に始まってるのよ。ポーカーフェイスできなかったあなたに非があるわ」

「仕方ねぇだろ!そういうの苦手なんだからよ!!」

実際問題、役を見た時の表情でバレたのであれば、それは100%マッシブーンが悪い。

だがそれでも、やはりやられっぱなしというのは納得いかないところがあって。

「表情が変わったって言うけどよ、普通そんなとこまで気づくかよ。誰も気づいてなかったろ?」

これ以上話をしてもなににもならないとは思いつつも、なおも彼女に食い下がる。

「でも私は気づいたわ」

「なんで――」

「気づくわよ、あなたのこと、よく見てるから」

「・・・は?」

不意を突くような一言に思わずマッシブーンはドキリとして、

「あなたって、わかりやすいもの」

恐らく他意はないのだろう、そう思いながらも隣を歩くフェローチェに返す言葉が見当たらない。

だから気に食わないんだ、焦る気持ちが彼女にバレていないことを祈りながら、マッシブーンは少しわざとらしくなりながらも話を逸らした。


『Black』・・・おしまい
 ▼ 481 aSS341n256 18/03/20 23:42:45 ID:tPvF8e0o [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
【宣伝】

【ホワイトデーSS】ホシ「お兄ちゃん!もうすぐホワイトデーだよ!!」
http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=786334

ホワイトデーSS企画(http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=768396)に参加させていただいた作品です。

よろしければ是非お読みください<(_ _)>
 ▼ 482 ツハニー@ヨロギのみ 18/03/21 00:33:30 ID:qZQdZon. NGネーム登録 NGID登録 報告
クチート×ラティアス
 ▼ 483 ワーク@トポのみ 18/03/21 12:27:12 ID:tIpUbb/c NGネーム登録 NGID登録 m 報告
デンジュモク×ウツロイド
カプ・ブルル×カプ・レヒレ お願いします
 ▼ 484 ガディアンシー@ジャポのみ 18/03/21 17:11:27 ID:KdYRfc/6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 485 aSS341n256 18/03/21 21:11:04 ID:uHFvGxPY [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
『Love me,Love you,』(ガブリアス♂×グレイシア♀)

「うがーーーーもう無理だぁ!!!」

「まだ1時間も経ってないわ、もう少し頑張りなさい」

一日の授業が終わって、放課後。

「でも先輩、俺にはやっぱ無理っすよ!!」

「まず図書室では静かにしなさい」

図書室で二人。

「はぁ、大体なんだってこんなこと・・・」

「学生の本分は勉強よ。あまりにやる気がないようだと帰るわよ?」

「すんません!見捨てんとってください!!」

何かを色々と期待したような自分が恥ずかしいくらい、先輩は真面目な人だって、

んなこた最初から分かっていたけども――

うなだれながら、ある種満身創痍のガブリアスがこうして机に置かれた問題集と睨めっこしているのには、それ相応の理由があって。


「お前、補修な」

「うげっ!?」

クラスの担任、カイリューからある日無情にも告げられた死刑宣告。

夏休みを前に盛り上がるクラスメートたちを前に絶望にくれるガブリアスは、その日の放課後クラブの時間でもひどく落ち込んだ様子だった。

「何があったの?ガブ君、いつも馬鹿みたいに元気なのにね〜」

「大方予想はつくわ。この時期でしょ、テスト返却って」

太陽が照り付ける中活き活きとしているリーフィアの疑問に対し、すでに夏バテ気味のグレイシアは日陰に入りながら気だるそうに答える。

「大方成績が悪くて、夏休みの補習を言いつけられたとか」

「あ〜、確かに!ありそうだね〜」

ポケモンバッカーはこの世界では人気スポーツであり、グレイシアとリーフィアがマネージャーを務める本校のバッカー部にも部員は多い。

その部員の中でもガブリアスは上級生たちに混じってチームの主力、かつムードメーカー。

それゆえ、彼が沈んでいることはリーフィアにとっても気がかりだった。

全く心配していない風だったグレイシアも、彼のあまりの動きの悪さに次第に苛立ちを覚え初め、

「あんた、今日おかしいよ。何があったかしらないけど練習に集中・・・」

「聞いてくれますか先輩!」

「・・・悩みを聞くだなんて言ってないのだけど・・・」

遂には痺れを切らして彼に直接話を聞くことになった。
 ▼ 486 aSS341n256 18/03/21 21:27:25 ID:uHFvGxPY [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「1学期のテストの成績がひどいから、夏休みに補習だって・・・」

「驚くほど想像通り、それでもって自業自得ね」

ガブリアスの担任の教師カイリューは熱血教師というわけではないが、その分容赦ない時は容赦ない。

再三再四の忠告を無視し続け、赤点を連発したガブリアスにしびれを切らし、端的に鉄槌を下したのだろう。

「ま、勉強は練習終わってから勤しんでもらって、今は練習に集中を――」

「このままだと夏休みもクラブに出れずに勉強三昧、課題に殺されるっすよ俺!!」

「・・・泣くほどのこと?」

「遊びにも行けなくなるっす!!」

夏休みはほぼ毎日練習、練習が終わればそのままの流れで遊びに行ったりもするだろう。

オフの日にはみんなで海に行ったり、また合宿なんかも夏の楽しみの一つ。

補修がいつまでも終わらなければ、それらにも参加できなくなってしまう。

「・・・その補修って、どんなのなの?決まったんなら諦めるしかないでしょ」

自身も友達も補修なぞには縁がなかったグレイシアは・・・そもそも夏休みの補習など相当のことにならないと行われないのだが、ともかくその補修の話を掘り下げた。

目的は決まっている。

「課題が出されるんすよ、チェックテストみたいなの。それに合格できるまで、エンドレス」

「なら簡単じゃない、一日で受かってしまえばクリアよ」

ガブリアスがあまりに哀れであったので、しょうがなく助け船を出してやろう。

「私が教えてあげるから、これから毎日図書室で勉強しましょう?」

「マジっすか!?」

なんだかんだグレイシアも練習にガブリアスが来ない、というのは考えられないくらい寂しい。

なんて勿論本人は認めないだろうが、そういうわけで彼がチェックテストに合格できるように協力を申し出た。

「うわっ、嬉しい!!図書室で先輩と二人きりってことっすよね!?」

「ガブリアス君?」

「先輩が手取り足取り教えてくれるってことっすよね!!」

「はぁ?」

「マジテンション上がるっす!!先輩が一緒にしてくれるんなら俺いつまでも合格できなくたってグハァッ」

「・・・あんまり調子乗るようだと、今の話なしだからね」

さっきまでの落ち込みようはどこへいったのか、鼻の舌を伸ばして大喜びのガブリアスを冷凍ビームで諫めて、ため息をつきながらも、

(まあ、そんなに喜んでくれるのは、満更でもないけど・・・)

グレイシアの方も内心ガブリアスとの勉強の時間を楽しみにしていた。
 ▼ 487 aSS341n256 18/03/21 22:33:22 ID:uHFvGxPY [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はぁ・・・死にたい・・・」

「大げさね・・・」

その結果がこれである。

グレイシアの想定以上にガブリアスの頭の出来が残念で、二人の時間を楽しむ・・・なんて余裕も消え去り、勉強の指導もスパルタモード。

「どうしてこんなこともわからないの?」

「あんた授業中何聞いてるのよ」

「このままだとあんたの夏休みはないわよ」

「どうしようもない馬鹿ね・・・」

罵詈雑言の嵐を浴びせられたガブリアスも流石にテンションが落ちていく。

終いには、

「ああ・・・夏休み・・・」

「これは、あきらめムードね」

筆記用具も投げ捨ててバタンキュー、とても勉強なんてやってられない精神状態に陥ってしまった。

「やる気でねぇし・・・夏休みずっと補習なんて横暴だ・・・」

隣にいるグレイシアはあきれっつらで、話しかけるのも少し怖い。

何か、御褒美でもあればやる気の一つや二つも出るのに、

なんて口走ったらそれこそ吹雪が飛びかねない。

ガブリアスはうだうだと時が流れるままに任せた。

一方、グレイシアはというと、

(・・・少し言い過ぎたわね・・・)

内心反省中。

相性の良さもあって少し過剰にいじめてしまうのは割といつもの癖である。

普段なら彼も特に平気な風なのだが、やはり精神的にも参っているのであろう今、配慮が足りなかっただろうか。

グレイシアは思う。

ガブリアスには補修を完了してくれないと困るのだ。

癪なので本人には決して言わないが、ガブリアスと会えない部活動なんてつまらない。

「・・・ねぇ、どうしたらやる気出してくれる?」

「へ?」

彼が勉強の手を止めてしまった理由には幾分か自分も噛んでいる気がしたし、仕方ないので一肌脱いでやろうか。

そんな考えからグレイシアはガブリアスに問いかけた。
 ▼ 488 aSS341n256 18/03/21 22:53:26 ID:uHFvGxPY [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「な、なんすか急に」

突然しおらしくそんな提案をする彼女にガブリアスは思わず不審がる。

「い、いや、ちょっと言い過ぎたかなって思って。あなたが来てくれないと練習にも支障が出るし、やる気出してもらわないと」

「そ、それって・・・」

顔を赤くしながらそんな提案をするグレイシアにガブリアスの心臓は高鳴る。

まさか、こんな夢のような提案を、向こう側からしてくれるとは・・・

ちゃんと勉強をする代わりに、何か一つ自分の頼みを聞いてくれる、要はそういうことだろう。

クールで少し冷たい、寧ろ若干S気質のある先輩がこんなことをいうなんてそうそうないのだから、何を頼むか慎重に考えなければ・・・

「俺の言ったこと、聞いてくれるってことっすよね?」

少し息が荒くなるのが自分でも分かった。

それがまずかっただろうか。

「へ、変なことはダメよ!?」

「変なことってなんすか!」

「変なことは変なことよ!」

すぐさまグレイシアはガブリアスから距離をとり、警戒の色を示す。

失敗したな、これならせめて先に何か言っておけばよかった。

少し後悔しながらもガブリアスは、

「じゃ、じゃあ・・・デート、とか」

「デート?」

それでも少し攻めた提案をしてみる。

「休日に二人で公園行って、そこで先輩の作った弁当一緒に食べるんす!!そしたら俺、もう勉強なんて余裕のよっちゃんっすよ!!」

勢いでまくし立てて、それでも断られるかなぁと思ったが、

「・・・調子いいわね、本当に?」

グレイシアの反応は案外、押せば何とかなりそうといった感じ。

「マジっすよ、大マジ!だから、ね?」

「・・・もう、仕方ないわね」

更に押したところ、割とあっさりOKをもらえて、

「ヨッシャ!!マジっすか言ってよかった!!超楽しみっす!!」

「ちょっと静かにしてよ、そんなに嬉しいの!?」

図書室であることも忘れてガブリアスは、はしゃいでしまうのだった。
 ▼ 489 aSS341n256 18/03/21 23:40:38 ID:uHFvGxPY [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
デート当日、

「せ、先輩もう来てたんすか!?」

「おはよう」

余裕をもって10分ほど早く待ち合わせ場所に着いたガブリアスは、その場に既にグレイシアが来ていたことに驚く。

普段の練習にはたまに遅れて怒られたりする彼だが、折角のデートにはレディを待たせてはいけないと気合いを入れて早めに来たにもかかわらず、この様。

そのつもりであったなら、10分程度では足りないだろうというのはごもっともではあるが、ガブリアスにはまさか彼女が自分とのデートに向けてそこまで早い時間に来るなどとは思えなかったのである。

そんな、まるで彼女が自分とのデートを楽しみにする気持ちを抑えきれずに来たかのようなこと・・・

「ま、待たせちゃいました?」

「いいえ、今来たところよ。珍しく時間通りに来てるのだし、謝ることはないわ」

「べ、別に珍しくはねぇし!」

グレイシアのウソに、彼は気づく術を持たない。

彼女が待ち合わせ場所に到着したのは今から更に20分前、要するに、集合時間の30分も前である。

ガブリアスが要求に含ませた手造りの弁当も、朝早く起きて、気合いを入れて作って。

準備万端であとは時間が過ぎるのを待つだけとなると、家の中で落ち着かない。

結局は一人、20分間の待ちぼうけとなったが彼を責めるのも筋違い。

ガブリアスの姿が見えた時には思わず笑顔になりかけたほどで、

普段の自分のイメージからすぐさま表情を引き締めようとして、かえって変な顔になっていないか気が気で仕方がない。

――こんな状態でも、グレイシアはガブリアスへの恋心を認められずにいた。

お調子者で、態度が軽くて、馬鹿で、

一緒にいて楽しいとは思うが、あくまで友達としての関係ならよいという感じ。

クラブ活動で見せる勇ましさ、

ジェット機と見誤るほどのスピードでフィールドを駆ける姿、

チャージの応酬も有利に展開する屈強な体、

案外チャーミングな笑顔も、

そのすべてに見惚れている自分のことを「ガブリアス種なんて全てそんなものだ」と認めないまま。

だから彼の勉強を見るといったのも、このデートをいとも簡単に受けたことも、

クラブのためだなんだと別の理由に逃げて、その本質はただ自分の本能が望んだのだと、そんなこと考えられすらしなかった。

「約束、覚えてるよね?」

「勿論っす、デートが終わったらちゃんとチェックテストクリアのためにバリバリっすよ!」

だが、逆に言えば、グレイシアの本能はガブリアスとの恋に既に落ちていて、今日一日、グレイシアは自分の奥深くの自分自身に振り回されることとなるのだった。
 ▼ 490 aSS341n256 18/03/22 11:20:06 ID:VqkjdKPQ [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
デート、だなんてはっきりと言ってしまったので、自分から言い出したことではあるがなんだか緊張して落ち着かない。

隣を歩くグレイシアにたまに目をやっては、すぐさま目を逸らして、会話もうまく続かないでいた。

いつもはもっとラフな感じで話していたはずだが、やはり変に意識してしまうからだろうか。

そもそも、ガブリアスとて本気でこのような提案を受け入れてもらえるとは思っていなかった。

茶化した感じでごまかしてはいるが、好きでもなければ彼女とのデートなど願ったりしない。

(気づいてる・・・んだよな、その上でこの人は・・・)

もしかすると、彼女も同じように自分のことを思って、

そんな都合のいい考えが頭の中で生まれてはありえないと強引に消して。

「・・・どうかした?ガブリアス君」

「あっ、いや、なんでもないっすよ〜!!ほら、公園まであとちょっとっす!」

様子がおかしかっただろうか、彼女に不審に思われたかもしれないな。

なるべくいつもの感じを装ってガブリアスは公園への道を急かした。


グレイシアの方も、やはり同じように、

落ち着かないのは今日の朝から、昨日の晩からずっとだ。

いつも見ているはずの彼の体は、こうして隣に並んで歩くとあまりにも逞しい。

歩き方だって自分とは違うのだ。

外側を歩いてくれていることも、歩幅を合わせてくれていることも分かる。

会話がどこかぎこちなくなってしまっているのは、自分のせいだろうか。

いつもと違ってどこか大人しいガブリアスは、実際一緒に出掛けてみると、案外楽しくないなんて思っているのかもしれない。

嫌われるのは嫌だな、もう少し愛想のいい、可愛い女の子になれないだろうか。

そこまで考えたところで思考を止める。

「・・・どうかした?ガブリアス君」

なんて、どうかしてるのは自分の方だな。

別にいつもとなんら変わらないでいたらいいのだ。

彼がデートをしたいだなんて言ってきたのだから、私は別に気取ることなくいつもと同じ風でいたらいいのに。

そのいつもが分からなくなって、どうすればいいものか。


こうして少しギクシャクしたまま、二人は公園にたどり着いた。

てきとうなベンチに二人座って、距離は近すぎないような遠すぎないような間隔で、

快晴の下、不思議なことに公園には二人のほかに誰もいなかった。
 ▼ 491 aSS341n256 18/03/22 12:16:38 ID:VqkjdKPQ [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・食べる?」

「勿論っす!!」

早起きして作ってきた弁当は、当然ガブリアスに食べてもらうためのものであったが、

それでもその中身を見せるのは不思議と恥ずかしいもので。

木の実の炊き込みご飯と卵焼きと、肉と野菜の炒め物にデザートのポフィン。

「美味そう・・・結構ガッツリっすね」

「悪かったわね」

「悪くないっすよ!」

やはり自分でも思った通りに少し気合いを入れすぎた。

簡単に済ませてもよかったはずなのに、グレイシアはメニューの選定からひと手間かかるようなチョイスを連続していた。

「いただきます!!」

ガブリアスは食べ盛りの男子学生。

待ってましたと言わんばかりにそれにがっついて、

「うめぇ・・・美味しいっす!先輩!!」

「大げさよ」

感動を口にしながら、みるみるうちに食べすすめていく。

その食べっぷりは、作った甲斐を感じさせるもので、グレイシアにとっても気持ちいい。

「ごちそうさまでした!」

「お粗末様でした」

あっという間に食べ終わって、今日の目的がなくなって。

「・・・私が言うのもなんだけど、こんなことでよかったの?」

「こんなことって?」

「いや、あの・・・」

弁当は喜んでもらえたようでよかったけど・・・

それでもグレイシアは思うのだ。

ただ一緒に歩いて、ただ公園で隣に座って、

会話も、普段の方が弾んだほど。

彼は、楽しかったのだろうか。

「よくわかんないっすけど、俺は今日こうして二人で過ごせて、嬉しかったっす」

グレイシアの言わんとしているところを察したのか察していないのか、ガブリアスはそう告げる。
 ▼ 492 aSS341n256 18/03/22 12:37:51 ID:VqkjdKPQ [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ほら、その・・・いつもはもっと周りに他の部員とかいるし、二人きりっていうのも新鮮で」

ポツリポツリと話すガブリアスは、やはりいつものように饒舌ではない。

「だから、なんというか、その・・・俺は楽しかったっす」

「ほんと?」

「ほんとっすよ」

ガブリアスの目が泳いでるような気がして、素直に信じる気にはなれないグレイシア。

ガブリアスの方は嘘などついている気は全くなくて、

ならば目が泳いでいる理由は、

ともすれば、今この瞬間に、告白してしまうべきなのではないかという迷い。

今こうして共にいる時点で、脈がないわけがないのだと、

朝の集合から、さっきの弁当から、恐らく自分が思っている以上にはこの人から好かれているのだと、

なんとなしにそう分かってはいるのに確信が持てない。

「・・・だからもう一回」

その結論を先送りにするかのように、新たな提案を。

「・・・俺、補修頑張りますから、受かったらもう一度デートしてください。今度は映画とか、行きましょう」

「・・・受かったらね」

御褒美という名目があれば、グレイシアは抵抗もなくガブリアスの提案を受け入れることができた。

その時にだな、ガブリアスは内心、決意を固める。

なんとかいい雰囲気になって、その日の最後に、今度こそ告白を。

あれだけ嫌だった勉強も、目標ができれば不思議と取り組めるような気がしてくる。

「じゃあ、今日はありがとうございました」

「うん・・・頑張ってね」

「はい」

どこか清々しい顔になったガブリアスを見送って、グレイシアは一息つく。

「デート・・・」

次のデートの約束もしてしまった。

その約束を、喜んだ自分がいたことも、もう今度こそは誤魔化せなかった。

「次があるってことは、ほんとに、今日も楽しんでくれたってことよね・・・」

彼の自分に対する好意がむずがゆくて、嬉しいような恥ずかしいような、そんな気持ちを抱えながら彼女はこの日も眠れなかった。


『Love me,Love you,』・・・おしまい
 ▼ 493 ーブシン@がんせきプレート 18/03/22 15:19:03 ID:d0N0WoJE NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援!
 ▼ 494 ガボスゴドラ@カードキー 18/03/22 19:40:01 ID:D.BE7K16 NGネーム登録 NGID登録 報告
カブグレありがとうございました!
 ▼ 495 ビヨン@チーゴのみ 18/03/22 20:37:01 ID:TVAjHWmI NGネーム登録 NGID登録 報告
ダイケンキ♂とアシレーヌ♀お願いします。
 ▼ 496 aSS341n256 18/03/25 11:29:31 ID:uNd4z49g [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
『旅は道連れ』(グラエナ♂×レパルダス♀)

一人の少女の隣を歩く凛としたその紫のポケモンの姿は、俺が今まで見たことのないもので、

何故か妙に惹かれて少し遠めから眺めているうちに、ぼぉっとしていた俺は群れからはぐれていて、

「見て、あのポケモンカッコイイ!!」

そうして一匹目立った俺はその少女に見つかって、

「野生だよね・・・よし、ゲットしちゃおっか!!レパルダス!」

そのまま紫色の彼女が戦闘態勢をとり、そこで俺は少女―トレーナーに狙われたことに気づいた。

「・・・俺を捕まえようってか、そう簡単にいくかよ!」

「まあそう気張らないでよ、私たちは別にあなたを傷つけたいわけじゃないわ」

だが、一時は攻撃の構えを見せていた相手は突然柔らかい物腰で俺をなだめてきて、

「仲良くなりたいだけなの。だからそんな怖い顔しないでよ」

威嚇する俺の気勢を削ぐかのようにトロンとした目つきで俺を見つめ返し、

尻尾で、腰つきで、声で、

まるで♂を誘惑するかのような素振り。

「お、お前・・・ッ!!」

あっという間に目の前の彼女のことしか考えられなくなり攻撃の手も止めた俺は、痺れるような感覚に襲われながら、鋭い爪先を用いた攻撃にも反応できないまま、

半ば何もわからないような状態であっという間に追い詰められ、

「いくよ!ゴージャスボール!!」

ものの見事にその少女に捕獲されてしまった。


「あなた、グラエナっていうのね!ごめんね〜さっきは傷つけちゃって、これからよろしくね!」

捕獲された俺はその少女に連れられてそのままポケモンセンターで回復。

トレーナーに捕まる気などほんとは毛頭なかったのだが、

彼女にはとても歓迎されているようだし、ゴージャスボールの中は居心地がいいし、

別段悪い気もしない。

間抜けにもトレーナーに見つかってあっさり捕まった俺を群れの奴らは笑うだろうし、

俺自身あいつらの元に戻りたいとも思わない。

何より、この少女はどこか幼くあどけない感じに思えるが、先ほどのバトルを見ても技量はかなり高いように思えた。

まずはメロメロで相手の行動を防ぎ、隙を作ったなら電磁波で麻痺状態にして、

そこからゆっくり慎重に標的のHPを削る。

彼女の指示に従った紫色のポケモンも随分レベルが高いようだった。
 ▼ 497 aSS341n256 18/03/25 11:46:14 ID:uNd4z49g [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私たちと着いていく気になったの?」

「・・・」

ただ一つ問題があるとすれば、この紫色のポケモン。

早い話が、気まずい。

なんでこれから仲間にするようなポケモン相手にメロメロなんて使わせるかな、てかそもそもあの誘惑はメロメロの技だったのか。

「人間様に好き好んで従うなんざ、俺には理解できねぇけどな」

「そう?私は彼女ともう長い付き合いだけど、いい子よ?優しいし、元気で私たちを色々なところに連れてってくれる」

わざとらしく悪態をつく俺に彼女は怒る素振りも見せない。

最初に見た時の様に凛とした態度のまま、彼女のポケモンであることを誇りに思っているかのよう。

「随分飼いならされてるもんだな、お前」

「お前、じゃないわ。レパルダスよ。この地方じゃ珍しいんでしょ」

レパルダス。それが彼女の種族名らしい。

「レパルダス・・・まあ見たことはなかったけどよ、べつのとっから来たのか?」

「イッシュ地方からね。旅行よ、旅行。ホウエンではコンテストが盛んでしょ?それを見に来たの。明後日には帰るわ」

「イッシュ地方・・・」

噂には聞いたことがあるが、随分遠い地方だ。

その地方のトレーナーに捕まえられたということは、要は俺もイッシュに向かうということだろう。

「チッ、妙なトレーナーに捕まっちまったもんだぜ」

「いいところよ?イッシュ、ここだって素敵な場所だけど。それに、捕まったのは私に見惚れてぼぉっとしてたあなたが悪いでしょ」

「てきとーなこと言うな」

「てきとうなんか言ってないわ。女の子って男の子の視線には敏感なんだから」

畜生、初めから見てたところまでバレてやがったのか。

やりづらくて仕方ない、そこまで気づいていてお前は一体どんな気持ちで俺にメロメロの技をかけやがったんだ。

「見たことない種族だったから目をひいただけだ」

「そういうことにしといてあげてもいいけど、私は正直者の♂のほうが好きよ?」

「そうかよ」

まるで田舎者をからかう都会の女みたいな態度の彼女に付き合っていてはこっちが疲れてしまう。

これを最後に俺はそっぽを向いて彼女との会話を打ち切った。

こんな強かな奴だと知ってたら最初っから見惚れたりしなかったっつーの。

なんて思っても、悔しいかな男ってものは美人な女には弱くできてるもので、俺は彼女のことを意識せずにはいられなかった。
 ▼ 498 aSS341n256 18/03/25 12:10:45 ID:uNd4z49g [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「レパルダス!メロメロ!!」

「・・・・・」

折角ホウエン地方に来たのだからイッシュでは珍しいホウエンのポケモンを沢山見つけて、気に入ったポケモンがいればゲットしたい。

そういうわけで俺を捕まえた後もポケモンの捜索に余念がない少女―我が主。

時折別のトレーナーから挑まれるバトルも見事な戦いっぷりで連勝を重ね、俺が彼女のことを自分の主と認めるのにそう時間はかからなかった。

だが、唯一気になるのはメロメロの多用癖。

まず、レパルダスも言っていたように、彼女とレパルダスは長い付き合いで、それだけ長く育てられたということで実質彼女のエース的な存在がレパルダス。

バトルや捕獲もレパルダスが中心となって行われるのだが、相手ポケモンが異性と見るや否やとりあえずメロメロをぶつける。

理にはかなっている。

メロメロというのは相手の行動を制限する、とても強力な技だ。

「随分と逞しいのね・・・あなたみたいな♂、私は好きよ?」

「なっ・・・や、やめないか・・・//」

だが、なんかこう、いざ使っている様子を見てるととても微妙な気分になる。

今もこうして相性の悪いハリテヤマを完全に手玉にとっている。

れっきとした技であって、バトルを有利に進めるために使っているのは百も承知だが、

レパルダスもレパルダスでノリノリな気がして仕方がないのがなお気に食わない。

「ふぅ、見た目からもっとタフなのかと思ったけど、案外そうでもないのね」

「ぐぅ・・・」

哀れレパルダスに敗北し、手の平を返されたように罵声を浴びせられるハリテヤマ、合掌。

メロメロ状態は決して完全に相手の動きを止める技ではない。

精神が強ければ自力でなんとか克服できる状態でもある。

だが、逆に言えば、メロメロのかかり方が強ければ、メロメロの使い手がうまければそれだけこの技は脅威なのだ。

「一体どこで覚えたんだそんな技」

「どこでって、単純に技マシンよ」

「そういうことじゃなくてだな・・・」

いかんせん、レパルダスは上手い。

メロメロのかけかたが、異様に上手い。

♂の心をうまくつかむ術を知っているかのような、百発百中の妙技である。

「なんでそんなに上手くかけれるんや、ってことを聞いてんだよ」

別段掘る必要のある話でもないだろうに、俺はレパルダスにそう問いかけた。
 ▼ 499 aSS341n256 18/03/25 12:26:34 ID:uNd4z49g [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「なに?私のメロメロがそんなに魅力的だって言ってるの?」

ほら、こういう返しをされて終わりだ。

分かっていたはずなのに。

「そう言ってるだろうがよ」

事実彼女のメロメロにかかって、そこから攻勢に転じることのできた♂ポケモンなんて、まだ数度のバトルを見ただけだが、一匹たりともいなかった。

敢えて俺は彼女のからかうような言葉を受け入れたうえで追及を続ける。

「ふふ、少し素直になったものね。なんだろ、考えたこともなかったけど・・・」

うーん、とわざとらしく考える素振りを見せる彼女。

凛として綺麗で、それでいて可愛い仕草もギャップも相まって様になるようなので、シンプルにもう狡い。

自分の魅せ方を分かっているのだろう、悪タイプの♀というものは大体こんな感じだ。

「・・・ほら、トレーナーとポケモンは似るっていうでしょ?」

少し間をおいて帰ってきた答えは、俺の不意を突くかのような、少し想定していなかった応え。

「なんだ?それ」

「私たちのご主人様も、なんか、男たちがほおっておかないような、可愛い感じでしょ?無邪気でちょっとあざとくて」

人間の基準はいまいちよくわからないが、確かに男受けはいいタイプなのかもしれない。

主にバトルを売りにきたトレーナーたちも、まさか自分が負けるとは思いもせずに、これをきっかけに親しくなれたらなんて邪な考えで挑んだものもいるのだろうか。

「ま、彼女にそんな計算なんて無理だろうけど、そういう仕草とか態度とか、参考にしたりもするわね」

「・・・全く似ても似つかない気がするのだが」

「あくまでアクセントよ、メロメロなんて基本は大人の色仕掛け、あの子には無理よね」

要はレパルダスの地力に主のキャラクターを参考にした成果があれ、といったところか。

まあ♂なんて外面だけれもいい♀がいたらとりあえず目を奪われる単純で馬鹿な生き物だから、

この手のタイプの♀が手玉にとるのなんて簡単なのだろうな。

「ところでグラエナ?」

「なんだ」

俺の質問がひと段落ついたところで、今度はレパルダスが俺に問いかけてきた。

「そのメロメロなんだけど、そこまでガン見されると気が散るからやめてほしいのだけど」

「見てねぇよ!!」

見てた。バリバリ見てた。

男の視線に敏感だというのは本当なのだろうか、ボール越しだというのにものの見事にバレているようで俺は思わず狼狽える。

「バトル中だし、余計なことに気を遣いたくないの。真剣に、お願いね?」
 ▼ 500 aSS341n256 18/03/25 12:41:28 ID:uNd4z49g [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・気を、つける・・・」

真面目に言われてしまうと俺も弱くて。

見てたことも認めてしまうような謝罪も、素直にしてしまうしかなかった。

「いくら私が魅力的だからって、あんまりよくないと思うわよ?そういうの。ま、どうしてもっていうなら、今みたいに暇なときに個人で見せてあげてもいいのだけど」

「個人でかけられたらメロメロ状態になっちまうじゃねーか!てか、別に魅力的だから見てるとかそんなんじゃねーよ!!」

「じゃあ何だって言うのよ」

「それは・・・」

レパルダスの質問は、さっきからかなり際どいところにあって。

「他の♂にメロメロを使ってほしくない」なんて、嫉妬できるような立場にないのに嫉妬しているのだなんて話すのは恥ずかしいというか、言えるわけもない。

レパルダスにとっては昨日出会った俺も今日戦ったポケモンも、そう違わないはずで。

なんだこれ、悔しいけどベタ惚れじゃねえか。一目惚れだったか?最初に出会った時から、俺はお前に夢中なのかよ。

「さ、参考になるかな・・・とか?」

「フフッ、ハハハハハハ!!!もう、なにの参考よ!!」

苦し紛れの俺の一言は、レパルダスのツボにはまったようで、彼女は大笑い。

俺は俺で恥ずかしくなって、顔も真っ赤。

「ふぅ、ま、いいわ。そういうことにしといてあげる。ところで、まあ今更だけど、私たちと一緒にイッシュに帰ることになるんだけど、あなたはそれでいいの?」

「ああ、もう、いいよそれで。ポケモンはトレーナーに捕まったら絶対服従だ」

主からではなく、その相棒からの再確認に俺はOKと答える。

主はトレーナーとしてとても優れているし、一緒にいて楽しいということも、仲間達から信頼されていることも分かっていたし。

それに、悔しいかな目の前のこいつと一緒にいたいと思ってしまう自分もいる。

「よかった、じゃあイッシュ地方でも一緒にいられるのね?」

「なっ・・・」

俺が考えるだけで恥ずかしいと思うようなことを、レパルダスはなんのてらいもなく言ってのける。

一体どういう意味で言っているのか、問い詰めるのもそれはそれで勇気が――

「あなた、からかい甲斐があるもの。これからもよろしくね、グラエナ?」

「・・・ああそれはどうも、こちらこそ」

結局そんなオチかよ。分かってはいたけども。

まあ、それはそれでいい。理由は何にせよ、レパルダスも俺と一緒にいたいと言ってくれたのだから。

これから長い時間を共にすることになるのだろうから、いずれはこちらから彼女の顔を赤くするようなことを言ってやりたいものだ。


『旅は道連れ』・・・おしまい
 ▼ 501 ワムラー@こだいのせきぞう 18/03/25 14:16:56 ID:oacjWii6 NGネーム登録 NGID登録 報告
ディアルガとエムリット
 ▼ 502 ラティナ@ハートスイーツ 18/03/25 14:36:39 ID:sifmgZUM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 503 aSS341n256 18/03/26 17:03:18 ID:EoDpyxck [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
【目次・4】

※ 【目次・3】は >>320 こちらから

ルカリオ♂×ミミロップ♀  『ありきたりな恋』 >>322

ジュプトル♂×色セレビィ 『光明の未来で』 >>333

デンリュウ♂×クチート♀ 『はじまり』 >>344

ゴウカザル♂×テールナー♀ 『ファイター』 >>353

リーフィア♂・ブースター♀・グレイシア♀ 『君には似合わない』 >>362

ゲンガー♂×ラティアス♀ 『Hide and seek』 >>369

ミュウ×ミュウツー 『0と2と』 >>376

フライゴン♂×チルタリス♀ 『交換日記』 >>386

エルレイド♂×ディアンシー 『近すぎると言うこと』 >>396

ゴルダック♂×サメハダー♀ 『委員長とヤンキーガール』 >>408

ロコン♂×Aロコン♀ 『アローラ探検記』 >>417

シャンデラ♂×マニューラ♀ 『貴方がいい』 >>425

フライゴン♂×サーナイト♀ 『決戦は14日』 >>438

サザンドラ♂×ニンフィア♀ 『俺の彼女が妖精になってな』 >>447

ジラーチ×イーブイ♀ 『Hope A New World』 >>463

ロコン♂×イーブイ♀ 『進化・2』 >>473

マッシブーン×フェローチェ 『Black』 >>478

ガブリアス♂×グレイシア♀ 『Love me,Love you,』 >>485

グラエナ♂×レパルダス♀ 『旅は道連れ』 >>496



ちょこっとSSシリーズ

エネコロロ♂×ルカリオ♀ 『素直な気持ちで』より >>343

フライゴン♂×グレイシア♀ 『雪に焦がされ』より >>393
 ▼ 504 aSS341n256 18/03/26 17:22:04 ID:EoDpyxck [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
【感謝・諸連絡】

沢山の支援やご愛読、ありがとうございます<(_ _)>

スケジュールの都合や、純粋にネタに行き詰まるなどの理由で最近更新速度が減少傾向になっています。

リクエストいただいたものも応えられないケースも増えており、楽しみにしてくださった方々には申し訳ございません。

リクエストが消化されなかったときはスレタイ通り「思いつかなかったんだなぁ」と暖かい目で見ていただけるとありがたいです(登場ポケモンのリクエストの数が3匹以上になると、よりうまく形にできなくなる傾向にあります)

これからもよりスローペースになる可能性はありますが、まったりと更新よりを続けていく予定ですのでこれからもよろしくお願いします<(_ _)>
 ▼ 505 ウワウ@パワーバンド 18/03/26 17:24:15 ID:VYR7.EVk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>504
支援
無理しないでくださいね
 ▼ 506 クレオン@やすうりポン 18/03/26 18:10:41 ID:Ub5g0bEo NGネーム登録 NGID登録 報告
無理せず頑張ってください
支援
 ▼ 507 チエナ@しんじゅ 18/03/27 10:40:22 ID:hqHSF3H. NGネーム登録 NGID登録 報告
>>504
まったりガンバれ 楽しく読んでる 応援してる

支援 と リク

ライボルト♂×ブラッキー♀
 ▼ 508 ゾノクサ@ウイのみ 18/03/27 12:07:27 ID:7uWcWIh6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>504
無理しないでください、ドキドキしたり感動したり、良SSをたくさん読ませてもらってます!
 ▼ 509 ロカロス@ボロのつりざお 18/03/27 18:15:40 ID:DJEgI5dQ NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
>>504
のんびり待ってるよ
分かりやすい目次ありがとう
 ▼ 510 ガライボルト@やすうりポン 18/03/28 01:06:25 ID:I..8mnvA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 511 レザード@マスターボール 18/03/28 01:40:58 ID:YCT3ggVw NGネーム登録 NGID登録 報告
オススメのss挙げるスレでちょくちょく見るから気になって覗いてみて納得した
ガブリアス♂×フライゴン♀お願いします
 ▼ 512 ロトック@ミミロップナイト 18/03/28 13:25:53 ID:8SFT0IA. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ギラティナとユクシー
 ▼ 513 タチマル@すくすくこやし 18/03/28 19:42:50 ID:mp07D2Sw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 514 aSS341n256 18/03/28 23:54:57 ID:Na57Jq2w NGネーム登録 NGID登録 報告
『あなたの隣』(ケルディオ×ビリジオン)

「はぁぁ!!」

勇ましい雄たけびと共に放つハイドロポンプ。

「甘いわ!!」

「くっ、はっ!!」

返す刀で放つ攻撃もかわす俊敏な動き。

「てやぁぁぁ!!」

「そうくるのね・・・いいわ!!」

真正面からぶつかりあい、決して己のそれにも惜し負けない聖なる剣。

まったく、全ての面において子供は目まぐるしいスピードで成長するものだ。

「くっ!!」

こうして毎日剣を重ね合わせて、ビリジオンは我らが弟子ケルディオの成長を肌に感じていた。

「ふぅ、こんなところね。一度休憩にしましょ」

「う、うん・・・」

初めて手合わせした時は、少し気を表に出しただけで臆していた彼が、

こちらから攻撃をしかけたなら怯え、腰が引けていた彼が、

今ではこうまで頼もしくなった。

弟子の変化は師として大変嬉しいところで。

「・・・は〜、ちょっと疲れちゃったわ。あなたの相手をするのも日に日に大変になるわね・・・おいで、ケルディオ。一緒に昼寝しましょ?」

「い、いいよ別に・・・」

「そ、そう?」

同時に、寂しく思うところでもあって。


「強くなるのはいいことだけど、ちょっとかわいげが無くなったように思うのよ・・・」

「そうか?別に何も変わらないと思うが」

戦闘を行う時はクールで冷静なビリジオンも普段は砕けた感じで、

彼女たちのリーダー格、コバルオンに悩みを聞いてもらうような時は完全な甘えモード。

そんなコバルオンはタイプ相性の問題もあってビリジオンには強気にでれず、彼女の話しに付き合うのは日課のようなものであった。

別段それが嫌だというわけではないが、時々「どうして戦う時はああも勇ましいのに、そこまで女々しいのだ」と呆れたりもする。

ちなみにテラキオンは尚更ビリジオンに弱かったりする。

「ビリジオンの気にし過ぎだろう」
 ▼ 515 aSS341n256 18/03/29 00:24:57 ID:oqrP8xWk [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「でも、最近一緒にお昼寝しようっていっても拒むし、ごはんだって食べさしてあげようとしても、避けるでしょ?」

「もともと君が過保護なだけでは?」

「そんなことないわ、そもそもケルディオはまだ子供だし・・・」

「まあ、確かにああみるとまだまだ幼いとは思うけも・・・」

不満が絶えないビリジオンが、コバルオンに促されるままに視線をずらすと、

「どりゃぁぁぁ!!どうだ?ケル!!」

「アハハハハハ!高い高い!!テラにぃ凄い!!」

「どおぉもういっちょ!!!」

「テラにぃロケットだ!!」

テラキオンと無邪気に戯れるケルディオの姿。

「・・・なんか、腹立つんですけど」

「どうしてだい・・・」

ビリジオンの言う通りケルディオはまだ子供で、性格までは変わっていないことを示そうとしたコバルオンの目論見とは正反対に、

ビリジオンの反応はケルディオと楽しそうに遊ぶテラキオンに対する嫉妬のようなもので。

「私にも昔は『ビリねぇビリねぇ!!』ってすり寄ってきてくれたのに・・・」

「そういえば最近見ないね」

「『ビリねぇのこと大好き!!』って言ってくれたのに・・・『ビリねぇと一緒に寝てもいい?』って私にもたれかかって眠ったりしてくれたのに・・・」

「・・・うむ、確かにちょっと前まではそのようだった」

ビリジオンが実例を出していくと、確かにとコバルオンもその違和感に気づく。

少し堅苦しい感じがあるのか、自分にはそれまでベッタベタに懐くことのなかったケルディオだが、ビリジオンやテラキオンにはわかりやすくベッタリだったはずだ。

だからこそ、言われてみれば最近の彼はビリジオンと距離を置いているような気もする。

「何がいけなかったのかなぁ・・・どうして嫌われちゃったの?」

ビリジオンは、戦闘の訓練の時のみは少し厳しくケルディオをしつけたが、それ以外では彼女の性格が緩むのにあわせてケルディオに対しても割と甘々で。

まるで可愛い弟ができたみたいに、まるで母性本能をやられたみたいに、ケルディオのことを甘やかしていたしケルディオもそれをよしとしていた。

ビリジオンはそんな自身の態度を変えたようなことはなく、それ故に心当たりがなかったのだ。

「別に嫌われたというわけでもないだろう」

3匹、家族のように共に世界を渡り歩きながら暮らしてきた自分達が、ある日見つけ仲間に引き入れた幼い命。

ケルディオがパーティに参加したのは3匹の旅が始まって結構経ってからであったが、彼がその家族の一員になるための時間もまた、十分に経っている。

「まあ、少し様子を見てみてはどうだい?」

今回ばかりはビリジオンの悩みを解決する術を見いだせずに、コバルオンはとりあえずなだめる、ということしかできなかった。
 ▼ 516 aSS341n256 18/03/29 01:09:57 ID:oqrP8xWk [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「なぁ、ケル坊よぉ、ビリジオンと何か喧嘩でもしたか?」

「!!」

テラキオンがケルディオにそんな話を切り出したのは、ビリジオンがコバルオンに愚痴をこぼした日の夜のこと。

彼自身はそんな話を聞いていたわけではなかったが、あからさまなビリジオンの態度でなんとなく察していたからだ。

そうでなくても、ビリジオンに絡まなくなった分がそのままテラキオンにきていたので、テラキオンはケルディオの異変に、コバルオン以上に気づきやすい立場にあった。

「別に、何も・・・」

「何もないってことはないだろう」

話したくない、と雰囲気をだすケルディオだが、そのままほおっておくのもケルディオのためにもよくないだろうとテラキオンは更に追求する。

ほおっておくと、ためにもビリジオンが怖いというのも、少し。

「・・・ビリねぇ、僕のこと子供扱いするでしょ?」

「うん?ま、確かに過保護なところはあるな」

ビリジオンが必要以上にケルディオの世話を従っていたのは、テラキオンも感じていたところであって。

確かに、これくらいの坊主にはああいう感じは少し鬱陶しいかもしれねぇ、

テラキオンはケルディオに理解を示さないでもなかった。

「僕だって強くなって、もう子供じゃないのに・・・」

だが、それだけではな、というのもテラキオンは分かっていて。

元より、ある程度理由は察していたのだ。

「なあ、ケル」

子ども扱いされたくない、というだけなら、まるで子供をあやすかのようにケルディオと遊ぶ自分も敬遠されているはずだ。

自分と遊ぶ時、ケルディオはまだ子供でいたいのだ。

でも、ビリジオン相手だとそうではない。

その事実が、何よりもそれを示す証拠。

「お前、ビリジオンのこと好きなんだろ!!」

「は、はぁ!?」

わざとっぽくからかう口ぶりで、テラキオンはズバリケルディオに自信の推測を言い放つ。

「な、なんだよ、好きって!!大体・・・」

「俺たちは家族だけど、まあ実際は他人だし。そういう風になんのもおかしくないと思うぜ?あいつ美人だしよ」

顔を真っ赤にして否定するケルディオをよそにコバルオンは更に攻め立てる。

「ば、馬鹿言うなよ!!そんなんじゃ・・・」

最初は威勢よく否定していたケルディオの口調も徐々に力なくなっていく。
 ▼ 517 aSS341n256 18/03/29 01:27:36 ID:oqrP8xWk [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「まあ、そこまでは言い切らなくてもよ・・・『あいつに』子ども扱いされたくないってことは、少なからずそういうことなんだと、俺は思うぜ?」

今は分からなくてもな、と自分を諭しにかかるテラキオンを前に、ケルディオはついに何も言い返せなくなって。

内心、気が付けば以前の様に彼女と接することができなくなっていた自分はいた、

水浴びする彼女の姿に見惚れてしまったり、

手合わせ中不意に接近した彼女の顔を見て心を乱したり、

体が触れるだけでドキリとしたり、

そういった兆候に、自分で気づいていて、気づかないふりをして。

なのに彼女は前と変わらず自分と一緒に眠ろうと誘ったり、

「あ〜ん♪」といって食事を与えて来たり。

そんな彼女の何気ない接触を嬉しいと思いたくなくて、無性に腹を立てた。

ケルディオは、思い出す。

自分の今までの心情の変遷を。

しっかりと考えれば、自分でもっとはやく答えを出せたであろうその気持ちを、

ずっと答えを出したくなくて向き合わずに逃げてきたその気持ちを、

その、気持ちの名前を。

「まあ、誰だって経験することだし、正常だと思うぜ?」

自分の敬愛する彼にあっさりと言い当てられて、

もう逃げることはできない。


子ども扱いされるのが嫌だ、というのは本来逃げ道を作りたかった自分の言い訳のようなものだと思っていたけれど、テラキオンの話を聞いた今それも本当なのだと思い知る。

コバルオンやテラキオンといる時は、勿論本来ビリジオンといる時だって、

ケルディオは彼らと比べて自分は未熟だと言うことを重々承知しているし、子どもでいられる方が甘えることもできて楽なのだ。

でも、それだと自分はビリジオンと望む関係にはなれなくて、

恋をしたのだから、きっと恋人になりたいのだろう。そのためには、大人にならないといけない。

せめて、彼女には大人だと思ってもらわないといけない。

そんな気持ちだったのだな。

最初から、無意識のうちにビリジオンのことが好きなんだと認めていたんだな。

「っだぁぁぁもう!!」

一通り考えて恥ずかしくなる、テラキオンやみんなが寝静まった後もそんなことの繰り返しで、ケルディオはなかなか寝付けなかった。

「だからって、どうしろっていうんだよ・・・」

対等な関係で、あなたの隣にありたい。そう思っても、今のままでは叶うべくもないのだ。
 ▼ 518 メテテ@カビチュウ 18/03/29 13:20:51 ID:qOPNypTc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 519 aSS341n256 18/03/29 13:50:24 ID:oqrP8xWk [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はぁ、はぁ・・・」

「どうしたのケルディオ、今日は随分と動きが悪いようだけど・・・」

「そんなこと・・・!」

結果、翌日のケルディオは寝不足でビリジオンらとの訓練でも満身創痍。

昨晩の相談なんて知る由もないビリジオンはケルディオの様子を不審がるが、悩みの種の本人に話せることなど何もない。

「うーん・・・今日はもうやめにしましょ」

「え・・・っ、まだまだできる!」

「そんな状態で続けても効果は薄いわよ。やるだけ無駄」

「くっ・・・」

何もないと言い張るケルディオを制して、特訓の切り上げを提案するビリジオン。

彼女に失望されたような気がして、ケルディオの心情は穏やかではない。

「・・・何か悩み事?」

「何もないって!」

「そんな片意地張らないで、私のことも頼ってくれてもいいのに。あなたはまだ子供なのだから――」

「五月蠅い!!」

ビリジオンから見た自分はやはり、あまりに幼いのだという現実に、胸が張り裂けそうになる。

頭が痛くなる。

「え、ちょっと、ケルディオ!?」

いわば地雷と化していたその言葉を放たれ、ケルディオは思わずビリジオンの元から逃げ出してしまった。


「なるほど、そういう事情が・・・」

「ま、そういうお年頃ってこったな」

「・・・そんな軽々しく話してしまっていいのか?」

「あ?あー・・・まあ、本人に言わなきゃ別にいいだろ」

そのころ、コバルオンはテラキオンから昨晩の二人の話の内容を聞いていた。

テラキオンの話のとおりなら、ビリジオンの前でだけケルディオの態度が変わったのも道理がいく。

「しかし、難儀なものだな」

一番素直でありたい人に対して、一番素直であれない。

堅物のコバルオンには恋など全く分からなかったが、ケルディオの苦悩を察することはできた。

「コバルオン!!!」

そこへ、ケルディオに逃げられたビリジオンがやってくる。
 ▼ 520 aSS341n256 18/03/29 14:09:14 ID:oqrP8xWk [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はぁ・・・」

「まぁ、なんだ、その、そう鬱々とするな」

ケルディオの捜索をテラキオンに託し、コバルオンは完全に心折られたビリジオンを例の如く慰める。

昨日の今日でこれだから、ビリジオンは相当のダメージを受けたのだろう、

少々気の毒であったが、やはりケルディオはビリジオンのことを嫌ったわけではないと確認できているのでコバルオンの方は少し気が楽であった。

「テラキオンが言っていた。ケルディオは、子供扱いされることを好まないと」

「え?」

なるべく当たり障りのないように、コバルオンはビリジオンにケルディオの現状を伝えていく。

「やはり、必要以上に干渉されることをよしとしないのだろうな。私たちから見ればまだまだ幼いのかもしれないが、彼の気持ちも分かってやってほしい」

「うーん・・・そういうものなのかしら」

ビリジオンも、とりあえず解決の糸口が見えたことに安堵して落ち着きを取りもどす。

これで、ひとまずは大丈夫そうだな。

コバルオンは一息ついて、テラキオンの方もうまくやっていればいいが、と願った。


ついカッとなってビリジオンにあたってしまったことは、ケルディオの中でも大きなダメージとなっていて。

最近の自分の態度もよくない者であったと把握しているだけに、嫌われてしまったんじゃないかと気が気でない。

「戻って謝らなくちゃ・・・」

だが、そうは言っても素直になれない年頃で、次に顔を合わせるのも気まずくて仕方がない。

「おっ、こんなところにいやがったか」

「テ、テラにぃ・・・」

突然声をかけられてひどく驚いたが、その正体がテラキオンであったことにひとまずほっとする。

ビリジオンと対面する心の準備なんて、できていない。

「ビリジオンと喧嘩したんだってな」

「喧嘩じゃないよ、僕が勝手に怒って逃げて来ちゃっただけ・・・」

ビリジオンから話を聞いていたのだろうか、今頃心配かけてるんだろうな。

ケルディオの中で罪悪感がどんどん膨らんでいく。

この心の中にあるもの、全てちゃんと吐き出してしまえたら楽なのに。

「さ、帰ろうぜ、ケル。二人とも心配してる」

「・・・うん・・・」

まだ戻りたくないな、そう思う自分もいたが、

これ以上戻らずにいる理由もなくて、ケルディオは素直に従ってテラキオンの後に続いた。
 ▼ 521 aSS341n256 18/03/29 14:24:47 ID:oqrP8xWk [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「帰ったら仲直りしないとな」

「うん・・・」

「お前が随分素っ気無いもんだから、ビリジオンも最近不機嫌だったんだよ」

「ビリねぇが?」

自分がビリジオンに辛く当たるから、彼女が不機嫌。

ケルディオの中でその二つの事象がうまくつながらなくて、テラキオンの言葉の意味をよく理解できないでいたが、

「あいつも寂しがってるってことだよ、ケルと、前みたいに仲良くできないことを」

テラキオンがそう続けて、なんとなく分かった。

彼女も自分のことを好きでいてくれてるのだ。

きっと、僕のそれとはまったくの別物だろうけど。

「・・・うん」

ケルディオにとって、それは悲しくもあったけど、今はそれでいいのかなと、そう思えた。

これからも長い時間一緒だ。

彼女に、大人に見てもらえるまではまだ時間がかかりそうだけど、

まずはそれまでの一緒にいられる時間をもっと大切にしなきゃいけない。

大人になることを急いで、彼女との距離が離れてしまっては意味がないから。


「戻ったか」

「ケルディオ・・・」

二人の元へ戻ると、ビリジオンは少し気まずそうな顔をしていて。

「ビリねぇ!!」

だからケルディオは、以前の様に元気よくビリジオンの元へ駆けて行って、

「さっきはごめんね・・・僕、寝不足みたいでさ。眠たいから、一緒にお昼寝してくれないかな・・・」

「!!」

自分が無下にしてきた提案を、そのまま彼女に返す。

「・・・問題なさそうだな」

「ああ!この俺が相談に乗ってやったんだから、バッチリよ!!」

「随分調子がいいんだね」

「うるせぇ、少しくらい言わせてくれたっていいだろ?」

仲良さげに一緒になって眠る二人の顔は穏やかで、

この分なら心配はいらないかとコバルオン達も一息つくのだった。
 ▼ 522 aSS341n256 18/03/29 14:46:26 ID:oqrP8xWk [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ビリねぇなにそれ!!美味しそう!!」

「珍しい木の実でしょ?分けてあげる、はいあ〜ん♪」

「あーん・・・うん、甘くておいひぃね!!」

「でしょ〜?」

「・・・仲が元に戻ったのは良かったが・・・」

それ以来、ビリジオンとケルディオの関係性は以前のように戻り、

「子ども扱いされるのは嫌だ、ということではなかったのか?」

「・・・・・・まぁなぁ」

寧ろ、反動でお互いそれまで以上にデレデレになって。

褒める時は頭をなでたり、

眠るときもじゃれあうことが増えたり、

より親子や姉弟といった雰囲気が増したのはコバルオンの気のせいなどではない。

「冷静に考えると、こんな感じの方が立場的に美味しいって、気づいたんだとよ」

「な、なるほど・・・」

「くらえ!ビリねぇ!!」

「ちょっともうくすぐったい!!この、仕返しよ!!」

「アハハハハごめんごめんビリねぇゆーるーしーてー!!」

「・・・なるほど」

以前と違って、そこに下心が混ざっていることなど、ビリジオンは当分気づかないのだろう。

第三者的な立ち位置から見て、コバルオンは少し微妙な気持ちにならずにはいられなかったが、仲がいいのは良いことだと無理やりに納得した。

「ビリねぇ大好き!!」

「ふふっ、もう何?急に。私も好きよ、ケルディオ」

その好きの意味合いが違くても、前のように悩んだりぎこちない二人であるよりは、数倍マシだ。

「・・・本当に、マシだろうか・・・」

「なんだ?急に」

「・・・なんでもない、忘れてくれ」

「なんだよそれ、変な奴」

大人になれなくたってこうして隣に居られる時間を満喫するケルディオに、

これ以上余計な口出しをするようなことも、きっと野暮なのだろう。


『あなたの隣』・・・おしまい
 ▼ 523 チゴラス@するどいキバ 18/03/29 14:52:45 ID:SGeWJ9XM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
この組み合わせいいな、支援
 ▼ 524 ニドリル@メンバーズカード 18/03/30 02:59:54 ID:iuQsyUBY NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 525 ビルドン@プロテクター 18/03/30 10:03:26 ID:2stXTn2o NGネーム登録 NGID登録 報告
ニャヒート♂とアローラロコン♀でアニメみたいにお願いします。
 ▼ 526 ンジュモク@こだいのせきぞう 18/03/30 11:26:12 ID:rac9iuBw NGネーム登録 NGID登録 報告
こちらもアニメっぽく
ドーブル×イーブイで
 ▼ 527 チャモ@ビアーのみ 18/03/31 10:23:41 ID:3mZCaKCM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
オンバーン×ルチャブルお願いします
 ▼ 528 aSS341n256 18/03/31 20:03:34 ID:/dzuzq6A [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
『バケモノノウタ』(デンジュモク×ズガドーン)

「コードネームBURST・・・ズガドーン・・・」

マスターの目の前でゆらゆらと揺れるソイツは、確かに俺たちと同じで、決して俺とは違う生命体。

「タイプは、炎・ゴースト・・・頼んだぞ、アシレーヌ」

「任せてください」

ソイツと相性のいい相棒のボールに手をかけ、マスターは繰り出す。

アシレーヌが呟いたその声は決してマスターに届かないが、マスターは彼女の気持ちも理解しているのだろう。

気持ちを重ねて、敵に立ち向かう。

それが、この世界の『トレーナー』と『ポケモン』の在り方。

「ウォォオオオオオオオ!!!」

怖がることはない、お前もすぐに楽になれる。

怖かったろう、辛かったろう、訳が分からなくてひどく傷つけられて、傷つけて、傷ついて。

もう、そんなこと、終わるんだ。

だから――

「ズガドーンのデータは既に聞いてる、攻撃技は自身の体力を削って放つ大技だ、全力で反撃してしまうと、倒してしまうかもしれない」

「威力の低い技で追い詰めてから、捕獲ですね」

「備えろ!!」

ズガドーン特有の自爆攻撃、凄まじい威力のそれをアシレーヌはなんなく耐え、捕獲を完了するための控えめな反撃。

「素直に入ってくれよ・・・!」

攻撃を受けズガドーンがよろけたのを見て、マスターはウルトラボールを投げる。

ボールがズガドーンにあたって、ソイツの姿がボールに吸い込まれて、

一回。

二回。

三回。

「・・・ふぅ」

「捕獲、完了ですね」

「お疲れ様、アシレーヌ・・・ありがとう」

カチッと音が鳴ってマスターはホッと一息をつく。

アシレーヌに労いの声をかけボールに戻し、ズガドーンの入ったボールを拾い、しまう。

「これで、ひとまず安心だな」
 ▼ 529 aSS341n256 18/03/31 20:34:16 ID:/dzuzq6A [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「お疲れ様、ありがとな」

「デンジュモクさん」

沢山のポケモンを持つマスターは、定期的に手持ちのポケモン達を入れ替えながら旅を続けている。

ゲットしたポケモン達には、なるべく平等の愛を注げるように。

「ズガドーンさんは・・・」

「・・・まあ、すぐにとはいかねぇだろ」

パソコンの中で合流したアシレーヌに礼を言って、俺はズガドーンを見やる。

この世界でどうやらウルトラビーストと呼ばれる俺たちは、やれ害獣だやれ危険生物だと敵視され、右も左も分からないこの世界で人間に見つかっては攻撃を受けてきた。

俺たちが自ら周りの生物を傷つけることなんて、ただの一度もなかったのに。

「・・・まあ、俺に任せとけ」

「デンジュモクさん・・・」

「恩は返さねぇと」

いや、一度もないなんてことはなかったな。

周りへの警戒や戸惑い故の防衛、それだけじゃなくて、俺はマスターにはとりわけ強い攻撃性を示した。

自身の体質故だと俺を許して受け入れてくれたマスターにも、俺はしばらく心を開くことができなかった。

それでもマスターは俺を見捨てなかったし、アシレーヌや仲間たちも俺のことを受け入れてくれた。

そうして、仲間になることができたから、あいつだって。

「あいつの気持ちを分かってやるのは、俺の仕事だ」


「よっ」

「・・・オ前ハ・・・」

「まあ、なんだ、お前も大変だったな」

パソコンの中では暴れることはできない。

俺以上に錯乱し、ゲットされた後もなおマスターに攻撃を加えようとしたズガドーンは、今ここで少しは落ち着いたようで、

「・・・一体何ノ様ダ」

共にパソコンで預けられる仲間達からも少し距離を取って孤立していた。

「別に、なんの用もないけどな」

俺はソイツの傍で、特に何をするでもなくボ〜っと時を過ごした。

時には何でもない世間話をふっかけたり、

時には独り言をつぶやいてみたり。

怪訝そうな顔をするズガドーンを気に留めずに、隣で時が流れるままに任せた。
 ▼ 530 aSS341n256 18/03/31 20:56:57 ID:/dzuzq6A [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「俺もさ」

頃合いを見て、自分の話を聞かす。

「お前と同じように、故郷から飛ばされてきたんだよ」

「・・・・・・」

「だからなんだって話だけどな」

わかるぜ、なんて軽々しく言うのも相手の気持ちに立てていないかもしれない。

だから俺はその言葉を軽々しく使わない。

アシレーヌも一度も俺に対して安っぽい共感の態度なんかは示さなかった。

「人間ってのは勝手だよな。てめぇらの都合で呼んできて、てめぇらの都合で排除だなんて」

「・・・全クダ」

「・・・マスターは、あいつらとは違うっていっても、まだ信じられないか?」

マスターは俺たち異界の存在に理解を示してくれる。

マスターは俺たちを救ってくれる存在だ。

彼のことを受け入れるだけで、どれだけ楽になれるか計り知れないのだ。

「・・・何トナク分カルサ。分カッテイル」

とはいっても、人への不信はそう簡単に拭い去れるものではない。

俺だって、マスターが慕う人々のことまでも信頼することはできないし、

コイツにとってマスターとその同種である別人の違いなんて分かりやしない。

「・・・ま、どのみち一人で、こんな世界で生きていくよりは楽だろ。仲良くやってこうや」

俺はお前と同じ立場の存在だ、ということだけを端的に伝えて後はゆっくりと。

時間はあるのだから焦る必要もない。

コイツの心の傷を癒せるように、俺は俺にできることをやっていこう。

いずれは、コイツも胸を張ってしっかりと俺たちのことを仲間だと言えるように。


「デンジュモク、10万ボルト!!」

「ハァァァァァァアアア!!!」

自慢の電圧をマスターのために奮う。

ただ自分のためだけに持て余すような力を垂れ流していたあの頃とは違う充実感を得られるこの瞬間が、俺は好きだった。

「今日も絶好調ですね、デンジュモクさん」

「ああ、まだまだ暴れたりないくらいだ!」

「頼もしい限りです」
 ▼ 531 aSS341n256 18/03/31 21:15:23 ID:/dzuzq6A [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・デンジュモク」

「なんだ?」

ふと、俺のバトルを見ていたズガドーンが話しかけてきた。

コイツが手持ちメンバーに入ってマスターと共に旅をするのは、今日が初めてで。

マスターも不安定なズガドーンをバトルに使うようなことはせず、まずは自分に、旅に慣れさせるために手持ちのメンバーに入れたようだ。

「・・・ソンナニ、楽シイカ?」

「バトルがか?」

「人間ニ命令サレルコトダ」

はたから見れば支配と隷属の様にも思えるトレーナーとポケモンの関係。

この世界の文化に馴染めないズガドーンにとって俺の様子は少し怪に思えたのだろうか。

「ああ、いいもんだぜ、ポケモンバトルは」

俺は少しの淀みもなく言ってのける。

「トレーナーはポケモンを信頼して技を指示する、ポケモンはその信頼に応える。俺には、その信頼が心地いいよ」

バトル以外にも。

ズガドーンの捕獲の際に、俺を手持ちに入れていたのもきっとそうだったのだと思う。

マスターが俺のことを信頼して、ズガドーンのことを託したんだ。

「私たちは、みなマスターと確かなキズナで結ばれています。仲間なんです」

「仲間・・・カ?」

俺たちの話を黙って聞いていたアシレーヌも入ってくる。

「そして、ずれはあなたともそうなれることを、私たちは望んでいますよ」

「・・・・・」

凍てついた心を溶かすような優しい笑みで、アシレーヌはズガドーンに救いの手を差し伸べる。

「・・・ウルサイ」

ズガドーンはまだその声に応えることはできないでいたが、

「・・・ダガ、オ前ノ言葉ハ信ジテヤランコトモナイ」

それでも顔を背けながら俺にそう言った。

「お前・・・」

「フフ、ちゃんと、デンジュモクさんの気持ちは届いているんですね」

ありがとうございます、と俺を労ったアシレーヌの声に、俺は少し照れながらも力強く頷いた。


『バケモノノウタ』・・・おしまい
 ▼ 532 ローゼル@さざなみのおこう 18/03/31 23:59:12 ID:CCdDE9a. NGネーム登録 NGID登録 報告
ケルディオ×ビリジオンありがとうございます!
 ▼ 533 ゲキ@マッハじてんしゃ 18/04/01 02:56:13 ID:FXPfKBo6 NGネーム登録 NGID登録 報告
コバルオンとビリジオン
 ▼ 534 ードラン@ハスボーじょうろ 18/04/01 07:05:14 ID:to6XBids NGネーム登録 NGID登録 報告
この嘘?真? ゾロア♀×ゾロアーク♂
 ▼ 535 aSS341n256 18/04/01 13:38:18 ID:WEZwfSQE [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
『4月の馬鹿』(リザードン♂×グレイシア♀)

「はぁ・・・はぁ・・・」

「・・・さぁ、来やがれ!猿!!」

「おう!引いてやらぁ!!」

「・・・なんでババ抜きでこんなに息絶え絶えの死闘になってんだよ、おい」

「お前がえげつない罰ゲーム持ってくるからだろ、バシャ」

4月の頭にある最初の登校日。

クラス替えが発表されて、それを見るために各々学校に集まって。

今年は同じクラスだとか、別れてしまって寂しいとか、そういうお決まりの流れがあって。

今年からはクラスが分かれるやつもいて遊ぶ機会も減るからと、口実を作って友達同士で集まって。

どうせクラスが離れたところで、これまでと変わらずに遊ぶのだが、いつものメンツで遊ぶことは自身も楽しいリザードンはこの日もバシャーモの誘いを受けた。

バクフーンとゴウカザルと、エンブオーとガオガエン。

同じタイプの野郎6人、おなじみの面子だ。

飯に行ってボウリングに行って、また飯に行って。

その晩飯の最中だった。バシャーモが口を開いたのは。

「今日ってエイプリルフールだよな」

「4月1日・・・まあ、そうだな。それがどうしたんだ?バシャ」

興味なさげに問い返すバクフーンに、バシャーモは答える。

「折角だからなんか関連付けて遊びてぇなと思ってよ!例えば、ゲームして負けた奴が、罰ゲームで告白とか!」

我ながらいい考えだ、なんて顔をして言い放ったバシャーモに対する反応はそれぞれ様々で。

「何馬鹿なこと言ってんだ、俺は降りるぞ」

「なんだよガオガエンノリ悪いな!!自分は彼女がいるからって」

「そ、それは関係ねぇだろ!!」

「マフォクシーだよなぁ・・・うらやましいぜ」

「わざわざ名前出す必要ねぇだろこの豚!!」

彼女持ちであることも相まってか難色を示すガオガエンと、ひそかにその彼女を以前狙っていたという背景もあって少し落ち込むエンブオーをしり目に、

「面白そうじゃねぇか!!俺はやってやるぜ!!」

「おう!お前ならそう言うと思ってたぜゴウちゃん!!」

負けなければいいんだろと勝気なゴウカザルはバシャーモの案を支持する。

「お前なぁ・・・大体、ガキじゃねぇんだからよぉ」
 ▼ 536 aSS341n256 18/04/01 13:51:54 ID:WEZwfSQE [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「なんだよ、負けるのが怖いのか?ガオガエンさんよぉ!!」

「なはぁんだと!?俺様が負けるわけねぇだろうが!!表出るか!?あ!?」

「表には出ねぇけどこのゲームで蹴りつけようや!」

「上等だ!!」

ゴウカザルの安っぽい挑発にまんまとのせられたガオガエンが参加を表明するともうゲームの開催は決定的になり、

「まだなにで勝負するかも言われてないのに・・・リザードンもなんか言ってやってよ」

「いいんじゃねぇか?こういうのも、童心に帰って面白そうじゃねぇか」

「・・・ああ、そう。エンブオーもやるの?」

「付き合ってやらぁ」

「仕方ないな・・・何で勝負するの?バシャーモ」

リザードンとエンブオーもゲームに肯定的で、諦めた様にバクフーンがバシャーモにゲームの内容を聞く。

「シンプルに、これでいこうや」

「そ、それは・・・」

バシャーモが取り出したのは、何の変哲もないトランプ。

「おい軍鶏お前それはお前、伝説の、伝説の賭爛腐じゃぁねぇか!!」

「知ってるのか豚!!そうだぜ、こいつはかつてこれを巡って2億の人の首が飛んだと言う・・・伝説のアレだ!」

「初めてみたぜ・・・実在しやがったとは・・・このゴウカザル、人生に一片の悔いなしだ・・・」

「面白くなってきやがった!!俺がソイツを使ってチャンピオンになってやる!!」

「・・・バカやってないで、そのトランプでなんのゲームで勝負するか教えてよ」

学生の馬鹿なノリを一定すませて、バクフーンが軌道修正を行って、

「うーん・・・何がいい?」

「決めてないのな・・・もうババ抜きでよくね?」

「そうだな!」

ノープランで突き進んだバシャーモに代わって、リザードンがゲームの種類を決めて、

「じゃあ、6人でババ抜きやって、負けた奴が誰かに電話で告白な!ま、エイプリルフールだし、冗談の分かるやつにすれば問題ないだろ!」

かくして始まった罰ゲームババ抜き。

「じゃあこれ・・・おっ」

「マジで!?」

「あがりだ・・・じゃ、みんな頑張って」

まずはバクフーンが、リザードンから引いたカードをそろえて一抜け。
 ▼ 537 aSS341n256 18/04/01 14:07:00 ID:WEZwfSQE [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「よっと・・・おっしゃ!揃った!!」

「おま、マジかよ!?」

「ん?豚がそろったってことは・・・俺が引く奴がいねぇから・・・」

「俺がガオガエンから取って・・・?」

「俺も上がりだ!!」

続いてエンブオーとガオガエンが連鎖式に上がり、

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

「うるせぇよ!!ちょっとは静かにできねぇのかよ!!」

「そろぼちやべぇじゃねぇかよ!!絶対揃えたい絶対揃えたい頼むぞリザードン!!」

「俺に頼まれても」

「はぁぁぁぁ!!・・・よっしゃぁぁぁぁぁ!!!」

「は!?お前ふざけんなよふっざけんなよお前揃ったら残り一枚俺がひかなきゃじゃねぇかよ!!」

「それで俺は上がり!!」

「んなことどうでもいいんだよ軍鶏てめぇの最後の一枚絶対ジョーカーじゃねぇか!!」

「バレてた?」

「顔と態度に出てんだよぉぉぉぉおおお!!!」

ポーカーフェイスができないバシャーモがそれでも運よく4番目にあがって、いよいよ残り二人。

そこからが長く、

「ちっ、ジョーカー・・・」

「おらぁ!!・・・クッソ!!」

「決めるぞ!!・・・あああこの猿てめぇ!!」

「くたばれトカゲ!!・・・っだぁぁぁもう!!」

「いや仲良しか」

バクフーンの鋭い突っ込みが入るほど二人はジョーカーをひき続け、1対1に入ってから早6週目。

「ふぁぁぁ・・・・早く決まんねぇかなぁ」

「おい軍鶏あくびしてんじゃねぇよ」

「お前も退屈だろ?ガオガエン」

「まあなぁ・・・」

発案者のバシャーモがもはや飽き始めたころ、

リザードンとゴウカザルのボルテージもMAXになって、遂に――
 ▼ 538 aSS341n256 18/04/01 14:17:39 ID:WEZwfSQE [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・うっしゃぁぁぁあああああ!!!」

「アアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

「おっ、ゴウカザルの勝ちか」

ゴウカザルがジョーカーをかわし、長い戦いに決着がついて。

「・・・・・」

「リザードン、燃え尽きてるぞ」

哀れ、リザードンの罰ゲームが決行されることとなった。


「いやぁ、言い出しっぺの法則ですなぁ」

「言い出しっぺはお前だろ!!」

「ババ抜きの発案はリザードンだったけどね」

リザードン的にも、ババ抜きが得意だからとかそういった意図もなく、てきとーに決めただけであったが、ものの見事に負けてしまった。

こうなっては逃れることも不可能なので、告白の相手を誰にするか決めなければならない。

「・・・もう、マフォクシーでいいか?」

「ふざけんな」

同じ炎タイプで♀ながら自分達とも仲がいいマフォクシーなら冗談を言う相手にも丁度いいだろうと、逃げの提案をするがやはりガオガエンがそれを拒否。

「俺的にはもっとガチなやつが見たいなぁ」

「ガチなやつってなんだよ・・・」

バシャーモの要求は留まるところを知らず、

「早く決めないと、どんどん条件盛られるよ?」

「そんな冷静に怖いこと言うなよ・・・」

バクフーンの御尤もだが怖い助言を聞き入れて、リザードンは仕方なく告白の相手を決めた。

「・・・グレイシアにする」

「おお!ガチっぽい!!」

「うるせぇガチっぽいってなんだ!!」

「幼馴染だったっけ」

「まあ、そうだよ」

それこそヒトカゲとイーブイの頃からの付き合いであるグレイシア。

昨年はリザードンらとクラスが同じであったこともあり、バシャーモらも知っている存在であった。

「・・・・・」

コールをかけて、その場には謎の緊張感が生まれる。
 ▼ 539 aSS341n256 18/04/01 14:33:31 ID:WEZwfSQE [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おい、リザードン、スピーカーにしてくれよ?」

「もう出るかもしれねぇだろ黙っとけ!!」

リザードンは仕方なくバシャーモの要求に応え携帯をスピーカーとし、グレイシアの応答を待った。

「・・・もしもし?」

「お、おう。グレイシアか?」

「私に決まってるでしょ。どうしたの?こんな時間に用事?」

普段から少しツンとした感じのあるグレイシアだが、電話ごしだと尚更不機嫌なように思える。

冗談が通じないような関係性ではないとは思っているが、怒ったりしないだろうか。

・・・もし、告白して、向こうが満更でもなかったら、そのまま・・・

「あ、あのさ!!」

そんな風に考えると、ただの罰ゲームには思えなくなってリザードンの緊張は声に表れる。

裏返った声に思わず笑いそうになるバシャーモをバクフーンが制して、リザードンは続きの言葉を口にした。

「俺・・・さ、昔からお前のことが好きで・・・俺と付き合ってくれないか?」

言った。

淀みなく言い切った。

さぁ、どう出るか・・・構えるリザードンの様子を知ってか知らずか、グレイシアは間をおいて話した。

「・・・ほんとに?」

口調も氷タイプらしく少し冷たかったグレイシアの声の調子が、心なしか柔らかくなる。

「・・・ほんとだ」

芳しくない感じならエイプリルフールに逃げれるし、あわよくばそのまま付き合える。

少し狡いなと思いながらもリザードンは頭をフル回転させグレイシアの出方を伺う。

別に、電話をかけた時点ではそこまで付き合いたいだとか、思っていなかったのに、

声にだすと、言葉にすると、考えてしまうと途端に恋に落ちたかのように彼女とのこれからを考えてしまう。

「・・・嬉しい」

「!!」

その言葉を聞いてリザードンの目が見開いて、周りが少しざわつく。

「私もずっと好きだったよ」

電話越しのグレイシアに聞こえないように、どうするんだといった声をあげるバシャーモ達。

もうそのまま付き合ってしまえとけしかけるガオガエンや、ネタばらしをしないのかと責めるエンブオーをよそに、リザードンは愛おしい彼女の声に応える。

「・・・じゃあ――」
 ▼ 540 aSS341n256 18/04/01 14:43:30 ID:WEZwfSQE [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「なーんて」

「・・・は?」

「騙そうったって、そうはいかないんだから」

声に棘が戻ってきて、一気にその場が凍り付いて、

「ハッピーエイプリルフール。そういう趣味悪いこと、しないほうがいいと思うよ」

「あ、ちょ、グレ――」

「じゃね」

突如態度を変え、一方的に電話を切ってしまったグレイシアに唖然とする一同。

「・・・バレてた・・・のか」

「・・・ドンマイ」

「ドンミアってなんだよ軍鶏!!」

「だってお前今明らかそのまま付き合ってやろうって・・・」

「思ってねぇ!思ってねぇよ!!」

グレイシアに怒られ、明らかに気落ちするリザードンを慰め、からかいながらその日の野郎どもの宴は終わりを迎えた。


「・・・・・はぁ」

「あ、おねぇ・・・大丈夫?顔真っ赤だけど」

「は?なんのこと?全然赤くなんてないんですけど」

「赤いよ!!電話でしょ?誰からだったの??」

「べ、別に・・・宗教勧誘よ!!」

「嘘でしょ!?宗教勧誘とこんなに話し込んでたの!?何してるのさ!!」

「うるさいちょっとほっといて!!」

電話をぶった切ってリビングに戻ったはいいけど、妹のリーフィアの追求から逃れるように再び自室にこもるグレイシア。

リザードンとの交流は今でも続いていたが、電話をされることなんてそうそうなかった。

「・・・もう」

何か特別な用事かと思ったら、電話越しに彼は、こんな日に告白をしてきて。

「・・・どうせ、罰ゲームよね」

実際のところ、グレイシアにはリザードンが本気か否かなんて全く分かっていなかった。

なんだかんだ騒いでいた周りのクラスメートたちの声も、電話越しには聞こえていなかったし、自分の反応がバシャーモ達にも聞こえていたなんてことも彼女は知らない。

「・・・嘘よ、うん、どうせ、嘘」

グレイシアは自分に言い聞かせるように繰り返す。
 ▼ 541 aSS341n256 18/04/01 14:56:20 ID:WEZwfSQE [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「だって、本気だったら、わざわざこんな日選ばないわよ!!」

彼に好きだと言われた瞬間に、どうせ罰ゲームか何かだと瞬時に悟った。

だが、「もしかすると、本気かもしれない」という可能性に縋りたくて、彼女はそこで話を打ち切らなかった。

言うまでもなく、グレイシアはリザードンに恋をしていたから。

電話が続いて、ネタバラシをする気配がなくて彼女の疑念が無くなっていって、

そうして自分の思いを彼に伝えて、

「・・・ああ、もう!!!!!」

でも今度はそこで恥ずかしさにまけてしまった。

エイプリルフールであることをいいことに強引に告白を打ち消してしまったのは、

それでもやはり嘘だったら恥ずかしいという思いが消えていなかったから。

「・・・ほんと、もう・・・」

次にどんな顔をして会えばいいのだろう。

結局何度考えても、彼が本気だったのかどうかは分からないな。

こうなるなら、あんなことを言ってしまったのは少し迂闊だったのでは?
しばらくは「
頭の中をぐるぐる回る思考回路は落ち着かない。

「・・・私の、バカ・・・」

結局は自室にこもってのたうち回って、赤くなった顔の熱はしばらくは引くことはなかった。


『お前のことが好きでさ・・・』

『私もずっと好きだった』

その日の夜、二人が考えていたのは全く同じことで。

決して嘘だったとしても、彼が、彼女が言ったその言葉が頭から放れなくて。

「・・・ああ、くっそ・・・」

「・・・・・もう・・・」

夢にも見そうなほどに、

その言葉を何度もかみしめた。

「どうするかなぁ・・・」

「これからどうしよう・・・」

どちらかが、素直に踏み出せば一瞬で解決するその問題も、暫くは解決の糸口をつかめなさそうであった。


『4月の馬鹿』・・・おしまい
 ▼ 542 ネネ@ぼうけんノート 18/04/01 20:23:42 ID:tF4TdNtM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 543 ナフィ@ダイゴへのてがみ 18/04/02 01:34:00 ID:FhXS3t6U NGネーム登録 NGID登録 報告
支援

ルクシオ×ロコンお願いします
 ▼ 544 ーブイ@カゴのみ 18/04/03 01:00:28 ID:mz6TyCg2 NGネーム登録 NGID登録 報告
>>543です
すみませんルクシオ→コリンクで
素で間違えた
 ▼ 545 ーフィア@ねばねばこやし 18/04/03 23:46:00 ID:CSkG7vzs NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 546 aSS341n256 18/04/04 14:08:09 ID:rZGwtipY [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
『6世代の話』(クチート♂×ラティアス♀)

「ねぇクチート、知ってる?」

「何をだ?サーナイト」

「次のワールドアップデートの話」

「ああ・・・そういえばもうそろそろだったか。今回は少し早い気がするが」

俺たちが住むこの世界では、時折俺たちには関与できない、いわば「神」のような存在によって世界が一新されることがある。

新たな地方が発見され、今まで見たことのなかったようなポケモンが多数姿を現す大々的な革新、「ワールドアップデート」もあれば、そこまで大きくはないが、確実に環境に変化を及ぼす、いわば「マイナーチェンジ」もある。

通説では、交わることのなかった異世界や並行世界と意図的に交わらせることによって起こっているとされ、俺たちもかつてその革新によって今の世界に編入された身だ。

2度目のワールドアップデートの時だったらしい、その時の革新は特別大層混乱を及ぼしたらしいが。

今では、その革新による変化を、「出所も分からない噂」によってある程度は事前に内容を把握できるようになっている。

勿論ガセに振り回されることも、たまにある。

「なんでもフェアリータイプっていう新しいタイプが追加されるらしくてね?」

「新タイプだぁ?」

タイプというと、俺たちの特徴の一つでタイプ間の相性はバトル、ひいては俺たちの生活に直結する。

「でも、タイプなんてずっと17種類でやってきたじゃねぇか」

「そう思うじゃない?はがねタイプとあくタイプは最初のワールドアップデートで追加されたタイプなんだって!」

「マジか」

俺の知る限りタイプの追加なんて事例はなかったが、サーナイトが言う通りならありえない話ではないのだろうか。

例えば・・・

「・・・コイルやレアコイルはどうなるんだ?確かあれは、最初のワールドアップデートの前からいただろ?」

「ワールドアップデート時に自身に鋼タイプが追加されたそうなの」

「・・・・・・」

覚える技が変わったり、特性が変わったり、進化先、果ては進化前まで追加されたりすることがあったアップデートだ、個体のタイプが変わることもありえなくはないということか。

「でも、みんな歓迎してるわよ?ほら、最近ドラゴン共がブイブイ言わせてたじゃない?フェアリータイプはドラゴンに強いって噂で、神様も面白くないのかもしれないわねぇ」

「なんだって神様が俺たちのタイプ相性のバランスとるようなことするんだよ、目的はなんだ?」

「さぁ?」

バトルを生業としているポケモン達は、このアップデートの度に新たに現れたポケモン、新たな道具、新たなシステムに振り回される。

場合によっては、一気に環境から引きずり降ろされることもあるのだから、これが神様のせいだと言うのなら神様も残酷な人だ。

「ともかく、ここからが大事な話でね?」

「ん?」
 ▼ 547 aSS341n256 18/04/04 14:25:37 ID:rZGwtipY [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「お邪魔します」

「・・・ああ、クチートか・・・確認するが、君はまだフェアリータイプでは・・・」

「ないよ、アップデートもまだじゃないか」

「ああ、そうだな・・・」

この様子だと、彼も噂を聞いたのだろうか。

「クチート!いらっしゃい、待ってたわ!」

「ああ、お邪魔するよラティアス」

「クチートは聞いた?フェアリータイプの噂!」

「ああ」

「羨ましいなぁ・・・私もなりたいよぉ、フェアリータイプ!」

『今までのポケモンがフェアリータイプに新しく属されるなんて噂があってね、私やクチートもその中の一匹らしいの!』

サーナイトから聞いた噂。

そのフェアリータイプに自身が属されるという噂。

正直自分のタイプが変わるなんて全く想像ができない。

「・・・お兄さんは、大丈夫か?」

「ここんとこバトルで調子よかったからね、フェアリータイプの噂にビビりまくり」

同期、なんて言い方をされる同じ時期にこの世界に姿を現した面々は、それまでも元の世界で共に暮らしていた面々で。

だから少し希少な存在であるラティ兄妹とも、俺は仲がいい。

特に人懐っこい性格のラティアスはの俺によくしてくれた。

愛らしい見た目で人気なラティアス、確かにフェアリータイプが似合いそうだ。

「でもクチート族って確かにフェアリータイプが似合いそうね」

「そうか?」

「可愛いもん!」

「ああ、そうかい」

俺自身のことを言われているわけではないと理解しつつも、内心複雑になる。

♀のクチートは♂人気の高いポケモンの一匹だ。

ならオスはどうかというと、人気ではあるのだが、

やはり個人的にはカッコイイと言われた方が嬉しい。

「どうしたの?クチート、難しい顔して」

「なんでもない」
 ▼ 548 aSS341n256 18/04/04 14:48:26 ID:rZGwtipY [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「クチートクチートクチート!」

「どうした、サーナイト。また何か噂か?」

「メガシンカよメガシンカ!!」

それから数日、日に日にアップデートへ向けて情報が出回る中で、サーナイトが興奮気味に持ち出した情報がメガシンカ。

「なんだそれ、また新しい進化系か?」

「詳しくは知らないけど、私とクチートにも追加されるらしいの」

「またか。神様はずいぶん俺たちのことを気に入ってるみたいだな」

メガシンカの噂は日に日に情報が細やかになってきて、

タイプが変わる者もいるとか、期限付きの進化だとか、特性が変わるとか、

姿が変わるとか。

「・・・なるほど、これがメガシンカ」

そして行われたワールドアップデート。

俺はまっさきにそのメガシンカというものを試して。

鏡で自らの姿を見て驚いた。

これは、これは・・・

「カッコイイじゃないか!!」

禍々しささえ感じさせる容姿に、

より攻撃的になった大あご、

おまけに特性はちからもちだ。

タイプがフェアリーになったことは、まあ、今のところ実感はないが、

この姿は今までにない雄々しさを感じさせる!

「クチート、早速試してるのね?」

「ああ、どうだ?カッコいいだろ!!生まれ変わった気分だ!!」

「ええ、なんだかとってもワイルドよ!!」

「だろ?・・・はぁ、はぁ」

「体力消費が多いから気を付けてね、私も試したのだけど疲れちゃった」

確かにかなり疲れる、だが気分もかなり高揚する。

この姿なら、ラティアスも俺のことを♂だと意識してくれるかもしれない。

「・・・あいつのところに行くのは明日にするかな」

新たに現れたポケモンの情報などもてきとうに流しながら、俺は明日ラティアスに会うのを楽しみにして眠りについた。
 ▼ 549 aSS341n256 18/04/04 15:04:57 ID:rZGwtipY [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「いらっしゃ、クチート!」

「おじゃまします、お兄さんはいないのか?」

「うん、フェアリータイプに負けないために特訓だって」

かくして訪れたラティアス家。

ラティオスの留守は、あいつには悪いがとても都合がよかった。

彼女の前でメガシンカして見せて、変わった自分をアピールして、あわよくば・・・

「えいっ」

「??」

「うわぁ、ほんとに効かないんだね!!」

考え事をしていた俺にラティアスが何やら技を放つ。

どこかくすぐったく思えるが、ダメージはない。

「ラティアス?」

「ごめんごめん、竜の波動!ほら、フェアリータイプにはドラゴン技が効かないって言うから試してみたくて」

エヘヘ、と笑う彼女の顔が愛しくて思わずキュンとする。

その笑顔が自分にだけ向けられたなら、これほどうれしい事はない。

「そうだ、ラティアス。みてほしいものがあるんだ」

「なぁに?」

「ハァァアアアア!!!」

俺は目的通り、メガシンカをして見せる。

「わぁぁ、凄い!!」

派手なエフェクトの中から姿を変えた俺が現れて、ラティアスは驚きの声をあげる。

「どうだ?」

「そっか、メガシンカだね!」

「ああ」

カッコいいだろ?なんて得意げな顔をして見せる俺の目を見たラティアスは、一言。

「なんだか、巫女さんみたい!」

「ははは、照れるな・・・え、巫女?」

「うん、綺麗!!」

巫女・・・神様に仕える、袴を身に着けた女性。

女性・・・
 ▼ 550 aSS341n256 18/04/04 15:21:10 ID:rZGwtipY [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・ラティアス」

「なぁに?」

「俺は、♂なんだが」

「そうだけど、その恰好は巫女装飾みたいだなぁって」

悪気のない彼女の発言が胸に刺さる。

「・・・はぁ」

「あれ、解いちゃうの?」

「メガシンカは体力を使うんだ」

「へぇ〜」

なんだか自分でカッコイイなんて息巻いていたのが恥ずかしくなって、気が抜けた俺はメガシンカを解除する。

「でも、いいなぁ、メガシンカ。すっごい強くなるんでしょ?」

「まあ」

「私もやりたい!!メガシンカ!!」

純粋無垢な願いを唱えるラティアスは少し気落ちした俺に気づく様子もない。

メガシンカを用いて口説き落とす作戦は、哀れ失敗に終わってしまった。


月日は流れ、

「じゃーん!!」

「・・・おお」

マイナーチェンジが行われ、ラティアスの願ったメガシンカが可能になった。

「どう?どう!?」

「・・・まぁ、いいんじゃないか?」

「でしょ〜?お兄ちゃんとお揃いな感じなの!!」

無邪気に喜ぶラティアスは、メガシンカして少し勇ましくなってもやはり可愛い。

わざわざ俺の元へと出向いてこの姿を見せてくれたことを嬉しく思う。

「そうだ、クチートもメガシンカしてよ!」

「仕方ないな・・・はぁぁ!!!」

「ふふふ、こう並んでると、私たち無敵のコンビみたい!!」

彼女が俺のことをどう思っているのかはわからないが、この先何度のアップデートがあってもこうして隣で並ぶことができたら、ひとまずはそれでいいのかもしれない。


『6世代の話』・・・おしまい
 ▼ 551 ザリガー@カチャのみ 18/04/04 21:47:21 ID:wpE0hk2A NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ゲームの世界の話とは発想が凄い!支援!
 ▼ 552 aSS341n256 18/04/06 11:38:02 ID:me6Dz6Ek [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
『君はモミの木』(ウツロイド×デンジュモク)

「ねぇ、クリスマスって何?」

12月も中旬になって、町では装飾された木々が夜を彩り赤服白髭の叔父様のモチーフがそこら中で見受けられるころ、

人が話すのを聞いて覚えたのか、ウツロイドがそんな疑問を抱えた。

「今はクリスマスシーズン、というものらしいが」

「ああ、そうだな!お前はまだこの世界の文化には疎いもんな!!」

ケララッパがそう言ってウツロイドを茶化す。

異世界からこの世界に迷い込んだ「異端者」、ウツロイド達のことも仲間として皆と変わらず受け入れるこの森で、好奇心の強いケララッパはとりわけウツロイドのことを気に入っていた。

「人間たちの文化でな、神様の誕生を祝うとか、色々起源はあるらしいけど・・・まぁ、盛り上がる日だよ!」

「ポケモン達も人間のことをまねてね、クリスマスの日を祝ったりするのよ?」

割かし雑な説明を勢いでおこなったケララッパに次いで、オドリドリが補足する。

「そうね、最近は恋人と一緒にすごすのが定番よね〜」

「恋人?」

愛しき誰かのことを思いながら惚気るように語るオドリドリに、ウツロイドは再び疑問をぶつける。

「恋人とはなんだ?」

「なんだ、知らねぇのか」

「恋人って言うのはね?」

ケララッパとオドリドリは何も知らないウツロイドの疑問をいつものように解決してあげようとしたが、

「・・・なんていうのかしら」

「なんか、冷静にそう問われると難しいもんだな」

そのような概念を当たり前のように認識していた二人にとって、0から「恋人」を説明するのは案外難しい。

「そうねぇ・・・お互いに、この人のことが大切!好き!この人と一緒にいたい!!って思えるひとのことかしら?」

「なら、私とケララッパやオドリドリは恋人なのか?」

「なっ!?」

「うーん・・・そうねぇ・・・」

「私はケララッパやオドリドリや、みんなのことが大切だし、好きだし、一緒にいたいと思っているが」

オドリドリの定義はウツロイドに恋人を理解させるには不十分だったようで、ウツロイドの天然の不意打ちにケララッパは思わず顔を赤くする。

「う、嬉しいこと言ってくれるじゃないか・・・」

「うーん、でもね?相手の人もそう思ってくれてないとダメなのよ?」

言葉を選びながら慎重に、オドリドリはウツロイドの思考を修正する。
 ▼ 553 aSS341n256 18/04/06 12:05:39 ID:me6Dz6Ek [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「二人は、私のことが嫌いか?」

「そ、そういうことじゃねーけど!」

「そうね、私もみんなのことが大切だけど、その中でも一番特別な人が私の恋人なの」

「一番特別?」

傷つけてしまわぬよう焦るケララッパをよそに、ウツロイドに恋人を熱く語るオドリドリ。

ウツロイドはオドリドリの熱弁を聞いて、徐々にその意味を理解していき、

「つまり、私にとって一番特別で、最も大切な人が、同じように私を一番特別だと言ってくれたなら、私とそいつは恋人だということか?」

「まぁ、そんなところね」

「なるほど、クリスマスにはそいつと一緒にすごせばいいのだな」

「絶対ってことはないけどね」

「わかった、ありがとう二人とも」

遂にウツロイドなりに答えをだして一人納得した。

「・・・なんか不十分な気もするんだが、性別の話とかどうなんだよ」

「だって、そもそもあの子たちの世界に性別って概念がないみたいだし、それに愛があれば同性でも大丈夫よ!!」

「そういうもんか?」

少し怪訝そうな顔をするケララッパをよそにオドリドリは非常に満足気であった。


「と、いうことで、私はお前のことを恋人だと思うのだが、お前も同じだろうか?」

「・・・は?」

オドリドリの話を聞いたウツロイドが向かったのは、デンジュモクのところ。

この世界とは違う別々の世界からやってきた同じような境遇の二人。

戸惑うことも多かった現世界来訪当初、たまたま巡り合った二人は互いに心の支えとなっていた。

「・・・まあ、お前のことは大切だと思ってるし、一緒にいたいと思ってるけどよ」

「好きか?」

「・・・その、ほんとに恋人ってそんな感じなのか?」

ただ、羞恥心というものに元来疎い傾向にあるウツロイドに対し、デンジュモクの方は並みに恥ずかしいという感情を持っていた。

ウツロイドの方は、この世界に疎いから、というだけでなく欲望に忠実な種の本能の影響もあるのかもしれない。

「オドリドリはそう言っていた」

「そ、そうか」

デンジュモクとてこの世界について詳しくはない。

オドリドリに頼ることも多く、そう言われるとそうなのか、と納得するしかなかった。
 ▼ 554 aSS341n256 18/04/06 12:53:10 ID:me6Dz6Ek [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
さて、時は流れて12月24日。

イブがどうだとか、詳しい話はウツロイド達に分かるわけもなく、

デンジュモクとの約束を取り付けたウツロイドがオドリドリに報告した結果、

「クリスマスの祝い事は12月24日に行うのよ」

と言われたため、この日に二人ですごすこととなった。

「見ろ、デンジュモク。町中が光り輝いている。行き交う人々もみな、幸せそうだ」

「ああ、そうだな」

手を組み、仲良さげにあるく人間たち。

普段はこれほど多く見かけることはなくて、デンジュモクもやはりこの日が特別な日なのだと言うことをなんとはなしに理解した。

「あの人間たちも、みな恋人なのか?」

「そうなのだろうな。オドリドリはそう言っていた」

この日は町中が恋人たちであふれるのだ、ウツロイドがオドリドリから聞いた通りの光景に、何故か嬉しくてウツロイドは心を躍らせる。

ふと視線をよそに向けると、ポケモン達も同様で、

自分達もその中の一つなのだと二人は思い知る。

「恋人というのは」

ウツロイドはデンジュモクに顔を向けて言う。

「とても、素晴らしい関係だな」

「・・・まあ、みんな幸せそうだな」

照れながら、濁すように言うデンジュモクに対して、

「私も幸せだ」

ウツロイドは真正面からそう伝える。

「・・・そうかよ」

「お前はどうだ?」

「そうやって何でもストレートに聞く癖は直してくれないか!?」

「聞きたいから聞いてるんだ」

照れ屋なデンジュモクはいつも純粋なウツロイドにうまくしてやられる。

ウツロイドには悪気も何もないと言うことを知って、だからこそデンジュモクにはなすすべがない。

「・・・ま、幸せだよ」

「よかった」

今こうして顔を真っ赤にしている意味も、こいつには分からないのだろうなと思うと、デンジュモクは少し癪だった。
 ▼ 555 aSS341n256 18/04/06 13:07:35 ID:me6Dz6Ek [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「綺麗だな・・・」

「ああ・・・」

日が落ちて、イルミネーションがより一層輝きを放つ。

幻想的な雰囲気も、いいムードというものも、ウツロイド達には分からない。

「なんだか、こうして歩いていると、デンジュモクに囲まれているみたいだ」

「なんだ、それ」

「似ているだろ、クリスマスツリーというらしい」

イルミネーションを纏う、てっぺんに星をかぶった木々。

言われてみれば、確かに電気を用いて発光する自分の姿に似ていないこともない。

「中でもあの大きなツリーは・・・原寸大のお前と瓜二つだと思わないか?」

「瓜二つってことはないだろ・・・」

「なあ、デンジュモク。あれは、何をしているんだろうな」

「あ?」

デンジュモクに似た、周りより大きなツリーも下には一組の男女が向かい合って、

お互いを抱き寄せ、その唇を重ねていた。

再び顔を離して、幸せそうに笑う光景にウツロイドは惹かれたのだろうか。

「さぁ・・・人間のやることなんざわかんねぇよ」

「でも幸せそうだ」

「・・・ああ、もう!」

そんなウツロイドを見かねて、デンジュモクはウツロイドを抱きかかえて顔を寄せる。

「やってみたら分かるだろ」

そう言って例の人々の行為をまねてみた。

「・・・どうだ」

「・・・なんだろう、これは・・・」

「ウツロイド?」

ウツロイドの反応が今まで見たことのなかったようなもので、デンジュモクは面食らう。

デンジュモクだって、この行為の意味など知る由もなかったが、

「・・・思っていたより、恥ずかしいな」

「恥ずかしい・・・っ!」

ウツロイドの反応に釣られて、自身もまた顔を赤くする。
 ▼ 556 aSS341n256 18/04/06 13:19:55 ID:me6Dz6Ek [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
今までにもこれ以上に恥ずかしいことを平然と言ってきた癖に、今更こんなことで恥ずかしがるのか。

それよりも、この行為は何よりも恥ずかしい行いだったのだろうか。

よくわからなくなって、頭も回らないデンジュモクをおいて、

「でも・・・やはり、とても幸せな気分だよ」

ウツロイドはとても満足気であった・


「デートは楽しかった?」

「?・・・ああ、昨日は楽しかったぞ」

翌日、イブを満喫したオドリドリは同じく幸せな一日を過ごしたウツロイドに関そうを求める。

話を聞く前からウツロイドはなんだかご機嫌で、昨日はうまくいったのだろうということは推測できたが、

「人間のマネをして、二人で口元を合わせたんだ。とても幸せな気分になった、オドリドリは知ってるか?」

「え?・・・まぁ、そんなこと」

キスまですましていたとは思いもよらず、大層驚いた。

「そうね、知ってるわよ。最高の愛情表現ね・・・恋人としか、しちゃダメよ?」

「そうなのか、分かった」

「どちらからしたの?」

「デンジュモクからだ」

「まあ、あの子も意外と大胆なのね」

デンジュモクもきっと、その意味は知らなかったのだろうな。

教えてあげたらどういう反応をするかしら。

純粋無垢なウツロイドと違い、からかい甲斐のあるデンジュモクにも、キチンとこの話をしてやらねばならないと、

オドリドリはその瞬間を思うと楽しみで仕方がない。

「何を笑っているんだ?オドリドリ」

「いいえ、何も?あなたが幸せそうでよかったなと思っただけよ」

「ああ、幸せだ。またあいつを誘って二人で出掛けたいな」

「それはいいわね」

一方で、恋を初めて覚えた少女の様なことを言うウツロイドも愛らしい。

優しく見守ってあげなければ。

保護者のようなことを思いながら、オドリドリは早速デンジュモクのことを探すのであった。


『君はモミの木』・・・おしまい
 ▼ 557 グノム@バトルレコーダー 18/04/06 13:26:47 ID:5C6/Lm/U NGネーム登録 NGID登録 報告
>>483 の者です。ありがとうございます!
 ▼ 558 オラント@いわのジュエル 18/04/06 19:57:08 ID:jYfP767M NGネーム登録 NGID登録 報告
>>528
難しいリクエストに答えてくれてありがとう!
 ▼ 559 グトリオ@ねむけざまし 18/04/06 22:26:55 ID:qWZqaIk2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 560 aSS341n256 18/04/09 10:22:49 ID:aWX4qMgc [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
『ポニの夜明け』

「やはり、コケコのお気に入りだけのことはあるようだな」

「例の子が、大試練を突破したの?」

「ああ、じきにポニ島へ行くだろうさ」

カプ・コケコに見初められ島巡りを始めた、遠くの地からやって来た少年。

メレメレ、アーカラの試練を全て突破し、カプ・ブルルはウラウラ島にやってきた彼を一目見た瞬間から彼の素質に気づいていた。

「ありゃ、いずれ島キングにだってなれる器だ・・・ま、本人にその気があるかはわからんけどな」

「随分高く買うのね」

「ああ」

クチナシは、あんな感じではあるがポケモントレーナーとしての腕は確かだ。

嫌々ながらも島キングとしての役目はしっかり果たしてくれている。

だが、本人もいつまでもその座にとどまることを願わないだろう。

「後任も、ボチボチ探さなきゃならねぇからなぁ。あいつの気がいつ変わっても、おかあしくねぇ」

「まさか、あなたの頼みとあればいつまでも続けるわよ。一応忠義を誓っているようだし」

「ま、念のためだよ。念のため」

自身の信頼する島キングのことを思い返して、カプ・ブルルはカプ・レヒレに問う。

「お前も、そろそろ託さなきゃなんねぇんじゃねぇの?」

「・・・分かってるわよ」


島キングと土地神は、共にある。

その心は、その思いは、いつも同じにある。

どんな島の危機だって、島キングはカプの思いを胸に戦い、

キングの守りたいものを守るため、カプはその力を開放する。

その関係に、例外などはない。

「分かっているわ・・・もう、暫くあけたままだものね」

先代島キングが亡くなってから、ポニ島の島キングは欠番になっていた。

理由は一つ、その座にふさわしい人物が現れなかったからだ。

『カプ・レヒレ様!わしは先代島キングが孫、ハプウ!島キングの座を、継承しにまいりました!』

「・・・冗談じゃないわ」

島キングの孫を名乗るその娘は、孫である自身が認められぬわけがないと驕っていた。

その姿が、先代島キングと比べひどく矮小に思え、レヒレは認めることができなかったのだ。
 ▼ 561 aSS341n256 18/04/09 10:39:57 ID:aWX4qMgc [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そうか、彼が・・・」

「全く、人というものはとても脆い生き物ですわね。ほんの少ししか生きることができないなんて」

「まあ、俺たちと比べれば、生きる時間は短いがな・・・」

悠久の時を生きる守り神たちにとって、人の死とは当然のように起こるもの。

島キングの死に伴う代替わりも、珍しいものなどではなかった。

「寿命だったのだろう、わかっていたことだ。レヒレ、後任は誰に任せるんだ?」

だから、その時コケコも当然の様に、レヒレにそう聞いたのだろう。

「・・・後任なんて、いないわよ」

「なっ、レヒレ!?」

「後任がいないなんて、どういうことですの?」

それが、レヒレの心を傷つけた。

彼女はコケコ達から逃げるように、島へと帰ってしまった。


「珍しいじゃないか、お前がそうやって感情をむき出しにするなんてよ」

「・・・ブルル」

昔から、レヒレの気持ちを汲んでくれるのはブルルだった。

時に『破壊神』として恐れられる彼の怒りなどは、レヒレにとって縁のあるものではなく、

いつだって温厚な彼の優しさに救われてきたのだ。

「コケコ達には、俺が言っておいた。急ぐ必要はないさ」

きっと、当時のコケコやテテフには分からなかったこの感情も、ブルルだけは理解してくれた。

「ひどく入れ込んでいたもんな、島キングに」

「私、とちがみ失格ね」

自嘲気味に笑うレヒレの傍に寄り添って、ブルルは涙を流す彼女を慰めた。

『カプ・レヒレ様・・・今までありがとうな』

今まで、そんなことはなかったなと、自分でも不思議に思うのだ。

『わしは、あんたに島キングに選ばれて、幸せだった』

自分も幸せだった、今までのどんな時よりも幸せだった。

『この座にふさわしくない、未熟者であったが、あんたと戦うことはわしの誇りだった』

そうだ、彼のために力をふるうことが自分にとっての誇りだった。

『ありがとう、わしの命に、意味を与えてくれて、ありがとう』

そうして自身の人生を思い返し、彼が最期に遺した言葉が、
 ▼ 562 aSS341n256 18/04/09 11:00:21 ID:aWX4qMgc [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
『カプ・レヒレ様・・・わしの孫は、わしよりも清く、強い目をした素晴らしい子だ、きっと、良い島クイーンになる・・・ハプウのことを、よろしく頼む』

「・・・はぁ、馬鹿らしいわね」

ブルルに泣きついたあの日から、数年たって、逝った彼の最期の言葉も今では大分受け止められるようになっていた。

今になってブルルが後任の選定を急かすのも、ウラウラ島の大試練を突破したから、などではなく、

本当は既にハプウのことを島クイーンとして認めていると、自分で理解していることをている察しているから。

だから、背中を押してくれようとしているのだろう。

「時が経って、思い出が色あせてしまったからかしら」

そんなことはない、自分でも分かる。

彼を島キングに選んだ瞬間も、

共に危機を乗り越えた時も、

とちがみに悪事を働こうとした愚か者に涙を流して説教する彼の姿を見たことも、

一緒に笑いあったことも、

どんな些細な思い出だって決して色褪せてはいないのだ。

「気のせいかもしれないが」

いつか、ブルルが言っていた。

「ハプウという少女は、やはりどこかポニの先代島キングに似ているよ」

「あの小娘が?嫌な冗談ね」

「はは、お前は嫌がると思ったがな。どちらも俺は少ししか知らないが、彼女はいい目をしている。いつか、その時が来たらちゃんと向き合ってやってくれないか」

彼と彼女が似ていることなど、初めから言われなくても分かっていたのだ。

自分が片意地を張って、彼女の島クイーンへの就任を認めなかった後、

彼女はめげることなく島巡りによって己を磨き始めた。

そうして、時間はかかったが、結果的に今の彼女からは、未熟さを感じられなくなった。

「・・・はぁ、ほんと、嫌になるわ」

恐らく、恐れているのだろうな。

彼女のことを受け入れてしまう自分を。

彼女と、彼のことを重ねてしまう自分を。

そして、彼女を受け入れた時に、

またいつか彼女を喪って深く傷つくことを。

「なあ、レヒレ」

そう言えば、はるか昔に、ブルルが言っていたっけか。
 ▼ 563 aSS341n256 18/04/09 11:16:22 ID:aWX4qMgc [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「俺は、どうしても寂しいと思っちまうんだ」

「何が?」

「島キングが、島クイーンが、死んじまう度に寂しいと思っちまうんだよ」

そうだ、私がそんな当たり前なことに気づけるずっと前から、彼はその心の痛みを知っていて。

「仕方ないじゃないの、世の理よ、いずれ割り切れるようになるわ。それに・・・」

その時私はなんて言った。

レヒレは、思い出す。

「寂しくなんてないわ。私たちがいるじゃないの」


「各島にウルトラビーストが襲来した。それぞれ撃退に向かってくれ!!」

「りょーかい!腕が鳴るわね!!」

「任せとけ」

久しぶりに、アローラが危機に見舞われて、こんな時いつだって、自分たちは島キングと、島クイーンと共に戦った。

「レヒレ」

「なに?ブルル。急がないと、島が危ないわ」

「いつだって俺たちがいる。寂しくなんてないさ」

「・・・そうね」

いつだって彼は、私が欲しい言葉をくれる。

同じように、自分も彼を支えてきたのだろうか。

助け合ってきたのだろうか。

「・・・わしを、認めてくれるのか?」

ああ、その少女は、やはりあの人に似た強い目をしている。

強くなったのだな、やはり、認めざるを得ない。

「・・・では、いくぞ、我らはおぬしを歓迎するわけにはいかんのでな」

ここまで来るのにあまりに時間をかけすぎてしまった。

今は、彼女の思いに、心を重ねて。

彼女のために、島のためにこの力をふるうのだ。

あの時と同じように。

守り神としての、責務を果たすのだ。


『ポニの夜明け』(カプ・ブルル×カプ・レヒレ)・・・おしまい
 ▼ 564 イル@ファイヤーメモリ 18/04/09 11:59:32 ID:EMBpFa6U NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>483 です。ありがとうございました!
 ▼ 565 ッスグマ@フォーカスレンズ 18/04/09 21:04:13 ID:ZoaH55Hw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 566 イロス@ポケモンずかん 18/04/10 23:06:37 ID:34ICVBdo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 567 ディアン@くろいヘドロ 18/04/11 00:32:59 ID:eErYk.KY NGネーム登録 NGID登録 報告
ラティアスと名前欄
 ▼ 568 ガラティオス@でんきのジュエル 18/04/11 20:31:31 ID:mkXFAnFA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 569 ュプトル@こだいのおまもり 18/04/11 21:27:27 ID:669q8.rI NGネーム登録 NGID登録 報告
ケンタロスとミルタンク
 ▼ 570 エルコ@ライドギア 18/04/12 20:33:20 ID:F0wbS9Ws NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 571 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/12 21:42:30 ID:NIWvrLFM [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
『Ms.Actress』

「ほっといて・・・あなたには関係ないでしょう?」

「関係なくなんてねぇよ!!俺は、アンタのこと・・・アンタの・・・ことを・・・」

「はいカットォ!!」

また一つ、シーンを撮り終える。

まだまだ慣れない撮影は、既に佳境を迎えていて、

クランクアップのその瞬間が来るのが、嫌で嫌でたまらない。

「いいわね、ダイケンキ君。日に日に芝居に気持ちがこもっていくのが分かるわ」

「ありがとうございます・・・」

「次のシーンもよろしくね?」

「うす・・・」

次のシーンは、キスシーン。

俺の憧れの人と、キスをするのだ。

「おーうダイケンキちゃ〜んどこいくの〜?」

「ちょっと、顔洗ってきます」

「さては緊張してるな?若いね〜羨ましいなこんにゃろ」

「キスシーンとか初めてなんすよ。大事なシーンだし、うまくやんないと」

この作品がヒットすれば、俺の人生は変わる。

劣情よ、去ってくれ。

きっと、これからこんなこと何度だってあるんだ。

俺たち俳優にとって、キスなんてなんでもないことだと思え。

「・・・あ〜!!」

それでも俺は、顔の火照りを静めることができない。

こうして夢をかなえてここにいる、

夢にも見なかった世界にだって、いけるかもしれない。

こんなとこでつまずいていたら、そこまでで終わってしまうぞ。

でも、仕方ないじゃないか。

心の中でそう叫ぶ俺もいる。

だって、俺の夢の始まりは、

ほかでもないこの人だったじゃないか。
 ▼ 572 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/12 22:04:02 ID:NIWvrLFM [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジュニアスクール時代、俺はテレビで初めて見た時から彼女に夢中になっていた。

「みんな〜!今日は楽しんでいってね!!」

『わぁぁぁあああああ〜!!』

3人組のアイドルユニット、「アクアリオス」。

マリル・タマンタ・オシャマリの三人組、

その中でもオシャマリはひときわ目立つセンターで。

周りの男子も、みんな彼女たちに夢中だった。

「今日は来てくれてありがとう!!またみんなに会える日を楽しみにしてます!!」

何千人ものファンの前で、堂々と挨拶をするオシャマリは、流石アイドルポケモンというだけあって俺たちの心を一度つかんで離さなかった。

「フタチマル君か・・・あれ、もしかして前も来てくれたっけ?」

「はい、大ファンです!!」

「フフフ、いつも応援ありがとうね!同種の別の子だったらどうしようかって思った♪」

俺はライブにも握手会にも何度も何度も参加して、青春の全てを彼女に費やす勢いで。

だからこそ、

「私たち、アクアリオスは・・・本日をもって解散します」

「これからはそれぞれ別々の道を行きます。皆さんと過ごした楽しい日々は、決して忘れません!!」

彼女達の解散の知らせは、生きがいを無くしたかのような衝撃を受けて。

その後、進化して歌手や女優として活動する彼女の姿を見た時は涙を流すほどに嬉しかった。

「俺、俳優になろうと思ってるんだ」

「俳優?」

「ああ、沢山の人たちに、感動を与えられる、そんなポケモンになりたいんだよ」

「大きな夢を持つことはいいことよ、私は反対しないわ」

大層な大義名分を掲げて家族に賛成してもらって、

でも、その実、俳優を目指したきっかけも彼女。

彼女に会いたい、出きることなら彼女と共演したり、近づきたい。

そんな不純な、親になんてとても言えない動機からだった。

幸い、俺は俳優になることができて、それなりの下積み時代を経てからちょくちょくドラマやバラエティにも出させてもらえるようになって。

でも、努力を絶やさなかった彼女はもう押しも押されぬ大女優。

売り出し中というにはまだ弱いひよっこ俳優の俺が共演できるような人物ではない。

それに、きっかけこそ不純ではあったが、演技に触れるにつれて俺は俳優という仕事に思いっきりのめりこんでいった。
 ▼ 573 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/12 22:22:56 ID:NIWvrLFM [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
脇役ばかりだけど演技の仕事が楽しくて、

バラエティは少し苦手だったけど徐々に顔を覚えてもらえるのが嬉しくて、

そんな日々の中にあって、偶然の出来事。

「ダイケンキ、ハンテール監督の新作のオーディションの話があるんだけど、受けるよね?」

「勿論です!」

「当たればデカいよ〜これ。まあ、倍率も高いからダメで元々で、なんか役取ってきな!!」

この業界のビッグネーム、ハンテール監督のオーディションの話を、事務所の重役のニョロトノさんからいただいて、

「君いいねぇ!自分の強みを分かってる!ダイケンキ種のような凛々しいタイプには、そういう荒々しいくらいの勢いがある方がいいよ!!」

「あ、ありがとうございます!」

緊張しすぎて荒くなったような演技が、ハンテール監督のツボにはまって、

「おい!ダイケンキ!!大変だ!!オーディションの結果なんだけど、主演男優だそうだ!!」

「ええ!?」

主演格に大抜擢されて、それから、

「ダイケンキ君だっけ、今回はよろしくね?」

「は、はい!!」

相手の女優としてキャスティングされたのがアシレーヌ、あこがれのその人であること知った。


「緊張してる?」

「アシレーヌさん・・・」

「フフフ、もう水臭いわね。撮影始まってから長いんだから、今更二人のシーンで緊張とか、そういうの無しよ?」

すっかり大人の女性になったその人は、余裕ある振る舞いで今まで何度も俺のことを支えてくれた。

この作品にかかるところが大きいい若手俳優と、その地位を確立した有名女優。

そういう形になるのは、言わば当然であったが、カッコ悪いところをいくつも見せてしまって恥ずかしいという思いもある。

今もこうして、気を遣わせてしまっている。

「疲れたでしょ?主演って、今回が初めてだものね」

「そうですね、思ってた以上に撮影もハードで」

「そうそう、特にハンテール監督は一つのシーンで何通りも試すから、一緒に泳ぐシーンとか特にしんどかったわ・・・」

大海原のなかに二人だけ、印象的なBGMをバックに優雅に泳ぐシーンは監督がこの作品で最も大切にしていたところで、そのシーンから逆算して俺が選ばれたという側面もあると、後から話を聞いたほどだ。

そんな時だって、「大丈夫?」「少し休憩にしてもらおうか」と、優しく俺を気遣ってくれていた。本人はしんどそうな様子なんて全く見せていなかった。

「でも、あともうちょっとで撮影も終わるし、ここが踏ん張りどころよ!頑張りましょう」

「・・・アシレーヌさん」
 ▼ 574 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/12 22:40:52 ID:NIWvrLFM [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「どうした?」

「俺、終わるの嫌だなって思ってます。撮影、楽しいから」

俺は、心境をこの道の大先輩に吐露する。

一つ一つの作品への思い入れも、どうしたって俺とこの人とでは違う。

今この日々の中でも、彼女は他にもいくつかの作品に参加していて、仕方ないことだ。

「一つの作品に執着してるうちはまだまだね。あなたはきっと、そんなこと思ってる暇ないくらい忙しい俳優さんになれるわよ」

「・・・ありがとうございます」

憧れの人がそう褒めてくれていても、俺は素直に喜ぶことができない。

「・・・でも、まあ、そうね。私も寂しいわ」

「そうなんですか?」

「あなたの演技初々しくてとても気持ちいいもの。でも、情熱的で、『私』のことを好きになってくれてるんだなって分かる」

「えっ・・・」

「恋の演技って難しいわよね、相手の役のことをちゃんと好きになってやれるのも、いい俳優の証」

彼女の発言に、思わずドキリとさせられる。

俺は、寧ろ彼女に夢中だった自分のことを消して撮影に臨もうとしていた。

そんなものは、演技の邪魔だと。

役としての「彼女」を見なければならないのに、彼女本人のことを思って演技をしていてはいけないと。

でも、きっと消せてはいなかったのだな。

彼女の目を見るとつい見惚れてしまったり。

彼女の声を聴いていて幸せな気持ちになったり。

手の届かないアイドルが、手を伸ばせば触れられる距離にいて、

きっと、憧れが恋になって。

「なーんて、アイドルあがりの私が偉そうにこんなこと言っても、ちゃんと自分で分かってるのかもわかんないけどね。ほとんど誰かの請け売り――」

「俺は、そんないい俳優なんかじゃないんです」

「ん?どうして?」

「っ!」

思わず口を滑らしてしまった。

共演関係にあるのに、こんなこと、こんなことは。

「俺は、きっと、あなた本人のことが好きだったから・・・」

こんなことを伝えたら、いけないのに。
 ▼ 575 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/12 22:56:01 ID:NIWvrLFM [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ほ、ほら!アイドルやっていらっしゃった頃からのファンで!!」

「へぇ、ほんとに!?なんか照れるなぁ、ふ〜ん、そっかぁ」

言ってしまって必死でごまかす俺をニヤニヤと見つめながら、

「嬉しい、それで私のこと追っかけてこの世界に来てくれたんだ」

俺にそんなことを聞いてきて。

「はい・・・あ」

「もう!冗談のつもりだったのにぃ!!嘘、ちょっと怖いよ?」

「あああああ違う!いや、違わないですけどなんていうかそのっ!!」

そんなことは本人に伝えるつもりなんてなかったのに、口を滑らして更に顔を赤くして、彼女にも引かれてしまっただろうか。

「・・・ハハハ!キミ案外からかいがいあるね、怖いって言うのも冗談だから。でもそんな人いるなんて思わなかったから驚いちゃった」

「い、今はちゃんとこの仕事のこと真剣に考えて・・・」

「分かってるよ、真剣じゃない子が監督のお眼鏡にかなうわけないでしょ」

やっぱり彼女は、大人の余裕だ。

「あんなに楽しそうに演技できる子が、この仕事のことどうでもいいなんて思ってるわけないもんね」

「・・・ありがとうございます」

「さ、緊張もだいぶ解けたでしょ。そろそろ次だから準備しなよ?」

「!!・・・はい!」

俺はというと、まだまだ未熟で、彼女との仕事がどれだけいい経験になっているか分かる。

彼女を追いかけて俳優になって、彼女のおかげで俳優として成長して、

きっと、これ以上を望むことは贅沢だ。

いつかは、なんて淡い期待も消して、

それでも消えてくれないなら、せめて彼女の相手役として恥ずかしくないキャリアを積んでから――


「どう?憧れのアイドルとキスする気分は」

「考えないようにしてるんだから言わないでください!!」

「・・・じゃ、よろしくね」

「はい・・・」

水タイプの2体のポケモンが夕日を背に口づけるの様は、あまりに美しいのだとか。

ならば、俺がもし別の種族であったなら、ここにはいられなかったのだろう。

いくつもの偶然と奇跡と、努力が重なって得られたこの経験を、

俺は一生忘れない。
 ▼ 576 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/12 23:09:47 ID:NIWvrLFM [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「クランクアップです!皆さんお疲れ様でした!!」

撮影が終わってしまってからも、彼女にまつわる思い出は増えていった。

打ち上げで彼女の生歌を聞いたときには思わず感動して涙を流してしまい、

「泣くことはないでしょ?いくら撮影スタッフで集まることが亡くなるのが寂しいからってさ〜、ね?」

「わ、分かってます!」

その涙の意味が彼女にだけ知られているのがどうしようもなく恥ずかしかったり、

「はいではダイケンキさんにまつわるタレコミ・・・じゃん!学生時代はアイドルオタクだった!!」

『えぇ〜!?』

「これはまた意外でなんですけど、この情報は・・・」

「あ、これ私なんですけど皆さん『アクアリオス』っていうアイドルがいたの知ってます?」

『キャアァァァァアアアア!!!』

「ちょ、ちょっとアシレーヌさん!?」

番宣のバラエティ番組で自分が彼女のアイドル時代からのファンであったことを本人の口からばらされたり。

「これで・・・もう番宣の収録は最後かな」

「そうですね・・・」

いざ、いよいよ本当にもう会う機会がなくなろうと言う時には、

「今回評判かなりいいから、また会えるかもね〜」

「ぞ、続編ですか!?」

「それも可能性あるし、ほら、賞とかも、色々あるわよ?映画は」

「!!」

アシレーヌさんがそんなことを匂わすものだから、俳優としても、男としても期待せずにはいられない。

「まあ・・・別の機会で会うことがあれば、それも楽しみだけどね」

「俺もです」

続編ということでなければ、同じキャストと別の作品で相手役とになるということは、そうそうない。

それでも、いつかはもう一度共演したいと心から願う。

その時までに、俳優としてもっともっと成長しなければ。

かんろくポケモンにふさわしい貫禄ある演技を身に着けて、

俺の全てのきっかけになったこの人に、成長を喜んでほしいのだ。


「Ms.Actress」・・・おしまい
 ▼ 577 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/12 23:15:12 ID:NIWvrLFM [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
【些細なお知らせ】

コテハン付けました、パッと頭に浮かんだ語感のいいフレーズがこれでした。

別にマスキッパに愛着があるとかそういうわけではありません。

これから愛着持っていこうと思います。

なお拘りスカーフには愛着があります。

シルクのスカーフには愛着がありません。

気軽にスカマスとでもなんとでも呼んでください。

別に呼ばなくてもいいです。


相変わらぬ沢山の支援ありがとうございます。

数日開けての更新が続いていくと思いますが、これからもまったりお付き合いくださいませ。
 ▼ 578 レザード@プラズマカード 18/04/12 23:23:21 ID:7gcHZNN6 NGネーム登録 NGID登録 報告
スカマスさん
支援
 ▼ 579 ンシカイオーガ@リザードナイトX 18/04/12 23:33:40 ID:Q7YKV93c NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 580 ーピッグ@たつじんのおび 18/04/13 00:05:25 ID:m4Jnqucc NGネーム登録 NGID登録 報告
ゼルネアス×イベルタル
 ▼ 581 銭拾い◆HhALzJguXE 18/04/13 22:52:07 ID:h/jMQqv. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援

恋愛…ねぇ…
@エロss作者 小銭拾い
 ▼ 582 ナップ@しんかのきせき 18/04/13 23:25:21 ID:iJRyNETM NGネーム登録 NGID登録 報告
パルキアとアグノム
 ▼ 583 ッフロン@なつきポン 18/04/13 23:31:39 ID:nRejMYJY NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
スカマスさんか、ええな
支援
 ▼ 584 ンジャラ@ほしのかけら 18/04/15 17:25:49 ID:.OuJbQn. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 585 ュプトル@とつげきチョッキ 18/04/17 07:16:46 ID:PE5coAdM NGネーム登録 NGID登録 報告
私援
 ▼ 586 ピナス@よごれたハンカチ 18/04/17 11:45:53 ID:NNo3PvFQ NGネーム登録 NGID登録 m 報告
スカマスさんか!いいね
 ▼ 587 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/17 15:49:28 ID:NI4EpcIQ [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
『Come to pick me up』(ディアルガ×エムリット)

「エムリット!一体何があったんだ!」

「シンジ湖のあたりから、不穏な空間の乱れを察知しましたが・・・」

「ええ・・・何かある・・・ようなのだけど、まだ分からないの」

シンオウ地方の各所にある湖を住処とする、ポケモンの中でもひときわ不思議な力を持つ3体。

そんな彼女たちだからこそ、時の神の来訪を、時空の歪みを察知することができたのかもしれない。

「表面上異変はないようだけど・・・」

「警戒を怠ってはいけません。並みならざる力が、どうやら働いている様子ですよ・・・」

少しホッとするアグノムにユクシーが声をかける。

エムリットも、ただ冷静に状況を分析していた。

池は静か、周りのポケモン達も何も感じる様子はない。

だが、アグノムとユクシーがここに集ったように、異変が起こっているのは確かだ。

そして、何よりも、

今、何かを訴える自分の感情。

原因も分からぬ胸騒ぎ。

「来る!!」

「!?」

エムリットが叫んだ次の瞬間、

「グワァァァァァ!!!」

はるか上空、何もない空間から突如大きなポケモンが現れ、そのまま地面に降ってくる。

「くっ、はぁぁぁ!!!」

エムリットはサイコキネシスでそのポケモンを受け止めようとする。

「・・・ッッ!!」

「手伝います!」

エムリット一体の力ではどうやら上がらないのを見て、それに驚きながらもアグノムとユクシーも加勢する。

3体がかりの力でなんとか落下を食い止め、ゆっくりその巨躯を地面に下ろすと、

「・・・嘘でしょ・・・このポケモンは」

「ええ、間違いありません」

「・・・ディアルガ・・・」

その姿はシンオウ時空伝説に語られる「時間の神」、ディアルガそのものであった。
 ▼ 588 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/17 16:08:45 ID:NI4EpcIQ [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はぁ・・・はぁ・・・助かった」

「助かったじゃないわよ、随分傷ついてるみたいじゃない」

息絶え絶えになりながらも礼を言うディアルガを叱責して、エムリットは、

「・・・はぁぁぁぁあああ!!!」

「ちょ、エムリット!!」

「あなたはまた急にそんな無茶を!!」

「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

癒しの願いをディアルガにかける。

自らは体力を使い果たしディアルガの隣に倒れるが、ディアルガはそのおかげもあって力を回復したようだ。

「これは・・・」

「エムリットの癒しの願い、自身の体力と引き換えに対象者の傷をほぼ完全に癒す技です・・・エムリットは、数時間休めばまた元気を取り戻しますよ」

「そうか、よかった」

「エムリットがわざわざ身体を張って治したんだ、どうしてこんなところに降ってきたのか訳を聞いてもいいよね?」

「ああ」

死んだように倒れ伏すエムリットを少し心配しながらも、ディアルガはアグノムに言われた通りここへ来た経緯を話すのだった。


「私は過去、未来の時間の流れを見ることができる。移動することもできるが、複数の時間軸への干渉は神の力をもってしても危険でよほどのことがなければそんなことはしないんだ」

「でも、突然何もないとっから降ってきたってことは、その力を使ったってことだよね?」

「遥か、遥か未来の世界で、タイムマシンが完成した」

「タイムマシンですか!?」

誰もが一度は夢に見たことがある、時間旅行。

それを可能とさせるタイムマシンは、今の科学力では到底作られるとは思えない代物で、ユクシーとアグノムは目を丸くする。

「ああ、決して自然の流れではない、異界の者の介入があってタイムマシンの作成がなされてしまった。それを用いて、開発した人間は悪事を働こうとしたので私はそれを止めるために時を超えたんだ」

「なるほど・・・」

「・・・その目論見をつぶすことは成功した。だが、タイムマシンを既に使った人間と、時の狭間で衝突し戦闘になったため道中で力尽きてしまってな」

「それであんなことに・・・」

「・・・私には、私のあるべき時間軸がある。早く戻らねば・・・ッ!!」

「ディ、ディアルガさん!?」

目的を果たしたため、また時を戻って自らの世界へ戻ろうとするディアルガだったが、その力を使おうとすると体に痛みが走り、うまく制御することができない。

サイコキネシスの時もそうであったが、自分達一匹では神と呼ばれる存在に対し十全な力を発揮することができないのだとアグノムとユクシーは思い知った。
 ▼ 589 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/17 16:22:40 ID:NI4EpcIQ [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・う、うぅ・・・」

「目が覚めた?」

エムリットが目を覚ますと、その傍にはユクシーとアグノム、それに、

「・・・ディアルガ。よかった、治ったのね」

「ああ、ありがとう。お前のおかげだ」

ディアルガの姿があって。

「少し、心配してたのよね、あなたみたいなポケモンにも、ちゃんと力が通用するのか」

ふぅ、と息をつくエムリットに、

「その件なんだけど・・・どうも、完全ではないらしくてね。時渡りができなくなってしまったそうなんだ」

「えっ・・・」

アグノムはディアルガの現在の状態を簡潔にエムリットに伝えた。

「私たちもいつまでもこうしてここにいるわけにはいきません。彼のことは、とりあえずあなたに任せてもよいでしょうか?」

「分かったわ、責任もって――」

「でももう癒しの願いはなしだよ。体に負担が行くんだから」

「・・・はいはい、分かってますよ!」

「本当だろうね・・・」

「迷惑かけるな・・・よろしく頼む」

こうして、ディアルガは少しの間シンジ湖に滞在することとなった。


「それにしても災難だったわね・・・言ってしまえば自分の家に帰れない、みたいなことでしょ?」

「ま、まあ・・・そうなるのか?」

随分とざっくりした要約ではあるが、まあ当たらずしも遠からずかと、ディアルガはエムリットに同意する。

いつまでゆうたりと、ここにお世話になっている訳にはいかない。

「うーん・・・まあ、焦っても仕方ないものは仕方ないのだろうし、ひとまずゆっくり、楽しくやっていきましょ?」

「・・・分かった」

「いやぁ、珍しいお客さんだから、なんか嬉しいなぁ。って、そんなこと言ってる場合じゃないんだろうけどさ」

エムリットは随分明るくて、ディアルガにも親しみを持って接した。

そんなエムリットに釣られて、ディアルガも徐々にエムリットに心を開いていった。

「いいところでしょ?ここ」

「ああ、綺麗な場所だ」

静かなシンジ湖で二匹は、時を超えた友情をはぐくんでいったのだ。
 ▼ 590 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/17 16:34:18 ID:NI4EpcIQ [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・・・・いつまでも、こうしているわけにはいかない」

数日間のシンジ湖での療養生活で、ディアルガは力を取り戻しつつあった。

その力が治った時こそが、エムリットとの別れを示すものであって、それが少し名残惜しいなんて思えたが、一神様がそれでは困る。

「感情の神、エムリットか・・・」

自身が生まれた時に、時間を生み出したように、エムリットが生まれたことで感情が生まれたのだと言われる。

エムリットもまた、生きる物の感情を自在に操れる神であった。

「・・・いっそのこと、惜しいと思う気持ちを消してもらえばいいだろうか」

何の後腐れなく帰れるなら、それはそれでいいことだ。

でもきっとエムリットはそんなこと嫌がるのだろうな。

「・・・はぁ」

ディアルガは悩みながらもどうにもならないので、大方戻ってきて力を使って『未来』を覗いた。

無数に流れる未来のビジョンを流し見するかのように、

人智を超えた力を持つ神に許される、あまりに贅沢な暇つぶし。

だがそこに、ひとつ不穏なものを見つけて。

安らかに眠るエムリット、それを抱きしめ涙を流すアグノム、無念そうな面持ちのユクシー。

「なんだ、これは・・・」

ディアルガはそのビジョンに耳を傾ける。

『だから、あれほどその技は使うなって言ったんだ!!』

『アグノム・・・落ち着いてください・・・』

『どうして、どうして僕のために・・・』


「癒しの願いの技を、忘れることはできないか」

「なに?急に」

そのビジョンで見た彼女の死因が、「癒しの願い」であることは濃厚だった。

使うたびに自らを瀕死に追いやり、まるでその命を誰かに分け与えるように他者を回復する。

一度使うたびに体への負担も大きいとアグノムも言っていた。

「・・・エムリットが、その技で力を使い果たして、死ぬ未来を見たよ」

「・・・・・」

ディアルガは正直にその旨を告げた。

「心配には及ばないよ」

ヘラっと笑って、エムリットはまるで他人事のよう。
 ▼ 591 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/17 16:49:56 ID:NI4EpcIQ [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「エムリット・・・」

「私、この技好きなんだもん。誰かに自分の力を分け与えて、その人の中で自分が生きる。きっと、それで死んじゃっても、本望だよ」

なんのてらいもなくそう言ってのけるエムリットに、ディアルガは少しもどかしい思いを抱える。

「それにん、その未来って結構近いんじゃない?」

「!!」

「やっぱり、サイコキネシスも、癒しの願いも、ディアルガには効力がバッチシってわけじゃなかったからさ」

そこまでは言えなくて、伏せてあったエムリットの死の未来。

それさえも、エムリットは近いものだと確信していて。

「そりゃディアルガは凄いんだろうけど、私も仮にも神だし、こっち側の問題もあるよなぁって、思ってたよ?」

「どうしてそんな風に明るく振るまえるんだ。死ぬのが怖くないのか?」

「なんでだろ、わかんないや・・・さっきも言ったけど、『私』は色んなみんなの中で生き続けられるから」

ディアルガには、そんな彼女の感情は全く理解できなくて、

神だろうとなんだろうと等しく訪れる自らの「死」という事象。

自分が恐れる物など、逆にそれくらいしかないのだ。

「ディアルガに私をあげられたのはラッキーだよね!時を超えるなんて、なんだか凄いもの!」

「・・・エムリット」

「なに?」

「あまりよくないと、思うぞ。お前を失うのを恐れる者がいることを忘れるな」

「あれ、怒られちゃった」

ああ、自分が帰っても帰らなくても、エムリットに会えなくなるのは近い話なのだな。

そう思うと、ディアルガはエムリットのことで悩むのが少し馬鹿らしくなってしまった。


「帰るんだね」

「ああ、世話になったな」

「いいよ、そんなの。私も楽しかったし」

「一つ、いいか」

「なに?」

いざ、力を万全に回復して、ディアルガは結局エムリットに一つの頼みごとをすることを決めた。

「お前といて、楽しかったという感情を、消してくれはしないか」

「どうして?」

驚くでも悲しむでもなく、純粋に興味があるといった様子でエムリットはそう聞いてくる。
 ▼ 592 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/17 17:00:37 ID:NI4EpcIQ [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「どうしてって・・・寂しいからだが」

「あはは、なによ、もう、可愛いなあ。嫌だよ、私はディアルガに覚えててほしいもん」

「別にお前のことを記憶ごと失うわけではないだろう?」

「楽しかったって、思ってくれたことも覚えといてほしいの」

やはりエムリットは自らの願いを聞き入れてくれない。

仕方ないと、ため息をついてディアルガは力を開放しようとする。

「あなたの戻るところにも、きっと『エムリット』はいるでしょ?」

「・・・それが、どうした?」

いざ発とうと言う時に、エムリットが口を開いた。

「迎えに行ってあげてよ」

「なんで」

「きっと、会いたいと思ってるよ」

「なんだ、それ」

今のエムリットと過去のエムリットは、まったくもって別物だ。

その逆ならいざ知らず、過去のエムリットが自分のことを知っている訳も、特別な感情を抱くわけもない。

「分かるよ、私のことだもん。今の私がそう思ってるんだから、きっと過去の私もディアルガのこと好きになるよ」

「・・・・・分かったよ」

結局は、彼女の願いだけを聞き入れてしまうことになる。

さらりと伝えられた気持ちと、そのくせ隠しきれない顔の赤みが、ディアルガにそれを断らせてはくれなかったのだ。

「じゃあ、元気で」

「あなたもね!」

時が二人を分かって、自分の中に彼女がいるなんて、とてもそんな風には思えなくて、

それでも、自ら言っておきながら、彼女が自分の頼みを断ってくれてよかったと、時を戻りながらディアルガは思っていた。


「・・・誰?あなた」

「・・・ディアルガ、時の神だ」

「へえ、また大層な神様がいらっしゃったものね。何しに来たの?」

「お前に会いに来たんだよ、エムリット」


『Come to pick me up』・・・おしまい
 ▼ 593 スボー@あまいミツ 18/04/17 19:23:22 ID:0glklt6k NGネーム登録 NGID登録 m 報告
意外な組み合わせが多い
支援
 ▼ 594 ルリア@こぶしのプレート 18/04/17 22:44:53 ID:I1S7o/Qc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 595 ードル@ライブスーツ 18/04/18 08:11:24 ID:IJNBTJIk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 596 ヤッキー@ウオーターメモリ 18/04/18 08:13:26 ID:9V1J2UPc [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
精神異常者達のスレッド
 ▼ 597 ュワワー@エレキシード 18/04/18 08:19:15 ID:9V1J2UPc [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>591
スカーフマスキッパって誰?
 ▼ 598 ガラティアス@あおぞらプレート 18/04/18 10:32:20 ID:fBNzc2aU NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 599 ギアル@リュガのみ 18/04/18 14:49:04 ID:Ukmc/jNs NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>596
いきなりどうした?
 ▼ 600 モルー@ねばねばこやし 18/04/18 19:15:01 ID:p2uBHS/U NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>597
ここのスレ主ですよ
 ▼ 601 スブレロ@ねばりのかぎづめ 18/04/18 19:16:55 ID:9V1J2UPc [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
少し読んだけど主女やんな
 ▼ 602 ンゲラー@フライングメモリ 18/04/18 19:42:04 ID:jCg8mvh6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>601
別のスレ立ててまで批判するのはやめとけよ
 ▼ 603 ントラー@にじいろのはな 18/04/19 02:44:33 ID:dooSR6XQ NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 604 オップ@しんぴのしずく 18/04/19 12:42:05 ID:3RN3.Mlk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 605 キノオー@デボンスコープ 18/04/19 23:42:38 ID:O6ZWZv/M NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 606 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/20 14:55:09 ID:tjvxDC8o [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
『貴方に照らされて』(ライボルト♂×ブラッキー♀)

「夜は嫌いなんだ」

隣を歩くあなたが、不意にそんなことを呟いたのは、

一日を共に過ごした日没後の帰り道。

「なに、それ、夜が形を成したみたいな私に対するあてつけ?」

「そんな風には言っていないだろ」

私も少しからかうように、あなたにそう返してみる。

「この体が目立ちすぎるからってだけだ」

「そうね、電気タイプのあなたのその体は、この闇には眩しすぎるわ」

シャイなあなたにはあまり似つかわしくない、自己主張の強い発色は、

道行く人々の視線を私たちに集めるためのようなもので、

少し距離が離れているのもきっとそのせいね。

「夜が嫌いというか、この体が嫌いというか。進化しなければもう少しマシだったんだけどな」

緑色の、目に優しいなんて言われる体色は、それでも時々バチバチ光ってこの景色には似合わない。

「まあ、あなたのおかげで私の姿が映えるから、私はその体が好きよ?」

「なんだそれ」

闇に紛れて照らされる私の姿は、誰もが振り向いてしまうほどに美しい、なんて自惚れてしまうほど、

あなたに光らされて綺麗になる。

「他の男の目を集めたいと、言ってるように聞こえるぞ」

「あなただって誇らしいでしょう?」

「お前は俺のステータスじゃない」

「ふふ、そのとおりね」

他の男の目が気に入らないのなら、もう少し寄ればいいのに。

こいつは俺の所有物だって態度で示せば、もう少しはマシになるかもしれないわ。

「ねえ、ライボルト」

「・・・なんだ」

仕方なく私の方から寄ってあげると、赤くなった顔がよく見える。

本当に初心なんだから。

「なんでもないわ」

私にとっては、夜も、その体も、あの日を思い出せる大切な一部なのだけどね。
 ▼ 607 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/20 15:36:34 ID:tjvxDC8o [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
自分でいうのもなんだけど、昔から人並み以上にモテた方だと思ってるの。

どこの馬の骨かもわからない♂に言い寄られたことだって一度や二度ではないし、

誰だって男はみんな優しくしてくれるから調子に乗ってるところもあった。

だから、ある日痛い目を見た。

「待ちやがれこのクソアマ!!」

「くっ、しつこい男は嫌われるわよ!?」

「うるせぇ!!」

その日も、プライドが高い男をうっかりいつもの調子でからかっちゃって、

本気になって追いかけてくるその男をまくのに随分苦労した。

昼に私でもまくことができたくらいだから、決して足が速かったわけではないのよね。

でも、

「くらえ!」

「キャッ!?」

少し攻撃を受けちゃって。

なんとか物陰に隠れて逃げ切ったころには私も動けないくらいへとへと。

陽が落ちてくれたおかげで、きっと逃げ切れたのだけど、

こうなると私の体は闇に埋もれて目立たない。

体を光らせる体力も残ってないから、

このまま死んじゃうのかなって少しは思ったりするほどに心も体も弱ってた。

そんな時に、

「おい、大丈夫か?」

「え・・・?」

あなたは私を見つけてくれた。


「そうか、それは災難だったな・・・」

「うん、助かったわ。ほんとありがとう」

自分に都合のいいことだけを言って、彼に慰めてもらって、

流石にこたえて一人でいるのが怖かった私は、

「ねえ、今日一日だけでいいの。一緒にいてくれない?」

「・・・仕方ないな」

彼の厚意に甘えた。
 ▼ 608 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/20 16:03:43 ID:tjvxDC8o [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あなたがもし、そんな明るい色をしていなかったら、私はあの時死んでいたのかしら?」

「まさか、そんなやわなたちじゃないだろう」

あの時のあなたは、きっと当然のことをするように私を助けたのだろうけど、

私にはその時の紳士的なあなたの態度が新鮮に映って、あまりにも単純に恋に落ちたのよね。

「いつのことだったか、覚えてる?」

「忘れたよ」

「そうね、忘れるくらい、もうずっと一緒にいた気分」

「・・・相変わらず口がうまいな」

「フフッ」

必死になってアタックを仕掛けて、それであなたに気づかせて、

『なぁ・・・付き、あうか?俺たち』

その言葉を引き出すのには、かなり骨が折れた。

「ねえ、ライボルト」

「なんだ」

「好きよ。あなたのその体」

「気が合わないな」

照れ臭そうに顔を背けるライボルト。

私みたいな夜を愛する住人には、あまりにも眩しいものだけど。

「その体があるから、私がどこにいたってあなたは私を見つけてくれるでしょ?」

「・・・頼むから、俺の手の届くところに居てくれよ」

「勿論よ」

あなたの隣がこんなにも心地いいと思うのは、

その光が、とても、とても温かいから。

「それに、あなたと歩く夜も私は好きなの」

「どうしてだ?」

「あなたを、私を羨む視線に晒されて、私は幸せ者だって思いに浸れるからよ」

「・・・俺も、幸せだ」

「そう言ってくれて嬉しいわ」

私に触れるあなたの心が、何よりも温かいから。


『貴方に照らされて』・・・おしまい
 ▼ 609 クオング@みずのジュエル 18/04/20 16:55:49 ID:zTJ8XluE NGネーム登録 NGID登録 報告
ライボルト♂×ブラッキー♀
本当にありがとうございます

いつも楽しみにしています

支援 と リク

ニンフィア♂×名前欄♀
 ▼ 610 ロバンコ@メトロノーム 18/04/22 00:27:23 ID:dWmbg486 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援!
 ▼ 611 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/25 20:59:00 ID:nnmal.0I [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
『帰り道』(ガブリアス♂×フライゴン♀)

「あっ・・・」

「ガブリアス、奇遇ね。今帰り?」

「お、おう」

なんでもない日の帰り道、偶然フライゴンと会った。

同じスクールだし、家も近い。

別に何も不思議はない。

「・・・何?その顔。まるで会いたくなかったみたいな」

「別に、んなこと思ってねーよ」

たく、昔から変なところで鋭いな、

隠し事も何もできないようで、嫌になる。

こいつとの付き合いはもう長く、俗に言う幼馴染という奴で。

こうやって隣を歩いて帰ることも、昔は日常茶飯だった。

最近は、会話を交わすことも少ない。

お互いに大きくなって、兄弟同然に遊んだ過去の記憶が、かえって俺たちを気まずくさせる。

歩く距離も、昔はもっと近かった。

どちらとはなしに、一定の距離感を取って、

同じ空間にいるというのにかわす言葉も少なく。


それにしたって、タイミングが悪いと思うのだ。

「隣のクラスのフライゴンってさ」

今日の昼休み。

「お前の幼馴染だったよな?」

「それがどうしたんだよ」

「羨ましいなぁ、あんな綺麗な子が幼馴染だなんて」

クラスメイトのボーマンダがそんなことを俺に言うから。

変に意識してしまうのか、まともに顔を見ることもできない。

綺麗だとか、可愛いだとか言われて男子から人気なことぐらい、元々知っていたつもりだったけど。

ナックラーの頃から知っている身としては、そういうのにも全く馴染めない。

やんちゃで、泣き虫で、弱っちかったころの面影なんて、

今の凛としたこいつからは全く感じられない。
 ▼ 612 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/25 21:14:23 ID:nnmal.0I [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「一緒に遊んだりしねーのか?」

「するかよ、ガキじゃあるまいし」

最後にスクールの外で一緒に遊んだのなんて、それこそ今のスクールに入る前だ。

「付き合ったりとかしなかったのかよ?同じドラゴンでお似合いだろ?」

「うるせぇな」

そんなこと考えたこともねぇよ。

別に俺は綺麗だとも思わねぇし。

「じゃあさ、じゃあさ!俺のこと紹介してくれよ!前からいいなぁって思ってたんだよな!!」

「それが本題かよ、断る」

「なんでだよ!別にいいだろ?」

「俺自身今は別に仲良くねえんだよ」

それに、ボーマンダがあいつと付き合うとか冗談じゃねえ。

・・・あれ、なんで今、あいつに彼氏ができるのが嫌だって思ったんだ?


そうやって、心の中に浮かび上がった疑問の答えなんて、考えずとも明白じゃないか。

きっと、いつかから綺麗になっていくあいつのことを、そういう目で見たことがないなんて嘘で、

多分関係を変えたくなくて逆にあいつをさけて、結果自分が望まない方向に関係が変わったこちにが違いがなくて。

「・・・じゃね」

「ああ・・・」

結局、一度も目を合わせないままあいつの家の前について。

こうして、過去を思い出されるこの道でこうして他人のような二人でいると、

嫌って程、自分が物足りない現状というものに気づかされる。

彼女が家に帰って行って、俺もそこから1分と経たず家に着いて。

小さい頃はよかったな、なんて思う。

同じタイプで、なんだかんだ気が合って、

家もすぐ側だから家族がらみの付き合いもあった。

砂漠に行ってかくれんぼしたり、

進化したての時は一緒に空を飛んだり、

手料理をふるまってくれたこともあったっけ。

「・・・くそっ」

どうして、こんな風になっちまうかな。
 ▼ 613 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/25 21:28:56 ID:nnmal.0I [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・・・・」

「・・・偶然、ね」

「ああ・・・」

次の日も、帰り道にフライゴンと出会って。

クラスも違うのに、今までは一緒になることなんてなかったのに、

偶然にしたって妙なことがあるものだな。

「・・・ねぇ、ガブリアス」

「・・・なんだ?」

「昔は、こうしてよく一緒に帰ったなぁって」

俺もずっと考えていたことだ。

「そうだな」

あの頃みたいに戻れたらいいのに、なんて言えたら楽なんだけど。

「懐かしいよね、お互い大きくなって」

「大きくなったっていうか、姿形が変わってるしな」

「そうね、あの頃よりもカッコよくなったわ」

「お前だって、綺麗だとか、言われてるそうじゃねぇか」

今日は、昨日と比べてよく話しかけてくるフライゴンに、俺は少し戸惑う。

カッコよくなったってなんだよ、そんなこと意味もなく言ってくれるな。

「ふふ、あのね・・・ガブリアス」

少し、顔が赤く見えるのは気のせいか。

フライゴンがうつむきながら俺を呼ぶ。

「・・・おう」

「偶然だなんて言ったけど、今日はあなたを待っていたの」

「え・・・?」

「ほら、昨日、たまたま一緒だったでしょ?」

昨日はたまたまで、今日は俺を待っていて・・・

「折角一緒になったのに、あんまり話ができなかったから、今度はちゃんと喋れたらいいなと思って、待ち伏せしてたの。ごめんね?」

「あ、謝ることはねぇよ」

「じゃあガブリアスも、おしゃべりしたかったってことでいいの?」

悪戯っぽく、そう笑うフライゴンは、久しぶりに昔の彼女と重なって。
 ▼ 614 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/25 21:45:57 ID:nnmal.0I [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・まあ、な」

「なんだ、そうだったの!」

「な、なんだよ急に」

俺がその声に同意すると、急に中途半端な距離を詰める彼女。

「なんかさ、いつからかそっけなかったから、嫌われたのかなぁとか思ってたんだよね」

「なんだそれ、俺が悪いのか?」

「悪いでしょ!挨拶無視したりしたよね!?」

「わ、悪かったよ・・・聞こえてなかったんじゃねぇの?」

「そんなことなかったもん!!」

そして、口数も増えて昔みたいな砕けた口調になって、

ああ、彼女も俺と同じように、あの頃みたいに戻りたかったのかと悟る。

「久しぶりにまた砂漠とか行ってみない?今行くとまた違った楽しみがあるかも!」

「いやだよ、お前、砂隠れでもう見つからないからって俺のことほおって行ったことあったろ!!」

「あったね!かくれんぼとか!!流石に今の図体だと隠れられないでしょ」

「あったねじゃねぇよ、マジで怖かったんだかんな」

「そんな昔のことネチネチと言わないの、男でしょ?」

思い出話に花が咲く。

フライゴンが一歩を踏み出してくれて、俺も少し心を開いて、

それだけでいとも簡単に、まるであの頃のよう。

「ああ、もう家ね。また明日も一緒に帰りましょう?そうだ寄り道とかしたりさ!!」

「寄り道って、ガキじゃねーんだからさ・・・」

「いいでしょ?お願い!!」

「・・・しゃーねぇな」


こうして、俺とフライゴンの関係が再び始まった。

止まってた時が動き出したようで、心底嬉しかった。

「なあ聞いたかガブリアス!」

でも、なにも全く変わらず、とはいかないようで。

「隣のクラスの男子がフライゴンに告白したらしいぜ!」

「は・・・?」

俺自身も、変わってしまったことを自分自身でよくわかっていて。
 ▼ 615 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/25 22:07:49 ID:nnmal.0I [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「それでね、ヌメルゴンったら・・・」

綺麗だと評判のフライゴンのことだ。

告白なんて別に、一度もなかったようなことではないのだろう。

「告白した」という事実のみが広がったということは、恐らく付き合ったというわけではないのだろうな。

それでも、嫌な気分になってしまうのは、言うまでもなく。

「・・・どうしたの?なんか不機嫌じゃない?」

「ああ」

「ああって・・・」

こうして一緒に帰るようになったのは、フライゴンがきっかけをくれたから。

一歩を踏み出したのは、フライゴンだったな。

この思いを告げることは、戻りたかったフライゴンの思いを踏みにじるものかもしれない。

でも、

「私、何かした?」

「寄り道、していこうぜ。ほら、昔よく遊んだ公園で」

俺も、俺のための一歩を踏み出したい。


「懐かしいね、ほら、砂場で、あの子たちみたいに遊んだよね」

「ああ・・・あのさ」

「うん・・・」

急かしはせずに、何気ない会話を振ってきたフライゴンに、俺はあまり待たせるのもと思い、本題を切り出す。

彼女の反応を見て、俺が言わんとしていることがなんなのか、分かっているのだろうなと感じる。

「俺が、お前のことを避けたりしたのは、お前のことが異性として気になり始めてたからだ。嫌いになったわけじゃない」

「うん」

「今日不機嫌だったのも、お前が告白されたって聞いて、少し嫌な気分になったからだ」

「ま、まいっちゃうな・・・そんな風に噂になっちゃうんだもんね」

「・・・まあ、分かると思うけど・・・」

「うん・・・」

ここまでで、すでにもう言ってしまっているようなものなのに、

それでも肝心の一言を言うのはとても勇気が要ることなのだなと思い知る。

「あの、さ・・・」

「なぁに?」
 ▼ 616 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/25 22:35:03 ID:nnmal.0I [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「俺は、あなたのことが好きです。恋人になってください」

「・・・うん、実はね、私も・・・そう言ってもらえるの、期待してた」

「じゃ、じゃあ・・・」

「うん、よろしくね!!」

ああ、これも、同じ気持ちだったのか。

言ってしまえば楽なもんだな、なんてこればっかりはうまくいったから言えるのだけど。


「なんか、お前最近明るいよな」

「そうか?」

「自覚なしかよ、なんか花が飛んでるというか、なんというか」

自覚ならある、あれ以来毎日楽しくて仕方がない。

時が、止まってた分すら取り戻すかのように、胸の鼓動が高鳴る毎日なのだ。

「そういえばよぉ、フライゴンに彼氏ができたって話聞いたか?」

「あ?ああ、らしいな」

「お前、なんだかんだ言って好きだったろ。大丈夫か?」

「別に、大丈夫だぜ?」

そんなことまで、すぐに噂になって流れてしまうのか。

別に嫌だというわけではないけど、確かにこれは、

「ちょっと参るな」

「ん?何がだ?」

「あ、いや、なんでもない。じゃ、俺帰るわ」

「お、おう」

彼女からの連絡が来て、校門の側で待ち合わせて、

「待たせたか?」

「うん、待った!」

「悪かったよ」

「冗談だよ、冗談」

今までとは違う、恋人として通る帰り道も、案外劇的に変わるものではなくて、

でも、今までと同じで、それでも今までと違う、そんな空気感が、今の俺にはとても幸せだ。


 ▼ 617 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/04/25 22:35:52 ID:nnmal.0I [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
『帰り道』・・・おしまい

(>>616 最終行に記入し忘れました)
 ▼ 618 ビルドン@ピジョットナイト 18/04/25 22:37:50 ID:ez2kbeNk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
雰囲気がいい…! 幸せな感じが伝わってくる
 ▼ 619 ャノビー@にじいろのはね 18/04/28 01:21:55 ID:YciYECXc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援!
 ▼ 620 メックス@ナゾのみ 18/05/01 10:44:59 ID:RbbOpNg. NGネーム登録 NGID登録 報告
スピアー(出来ればメガ進化してほしい) と ビークイン を頼む!
 ▼ 621 リゴン2@タマゴけん 18/05/03 13:09:07 ID:rtgLdl6Y NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 622 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/05/03 14:50:58 ID:6pU8vqvE [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
『泡沫の記憶』(ギラティナ×ユクシー)

「はぁ・・・はぁ・・・なんとか沈めることができた・・・みたいだね」

「ええ、二人ともケガはない?」

「命はないか、の間違いですよ・・・よくこうして喋ってられるものです」

「・・・ユクシー、あとは・・・」

「ええ、記憶の制御ができるのは僕だけですからね。あとは任せてください・・・アグノム、エムリット、お疲れ様でした」

「記憶を消した・・・それだけで、ちゃんと大人しくなるの?生来のものだったらアウトよね?」

「洗脳のような手段になってしまいますが、問題ありませんよ」



「う、うう・・・」

目が覚めると、そこは洞窟で。少し肌寒い空気が、自身の生を確かめさせる。

「目が覚めましたか、ギラティナ」

「ギラティナ・・・」

「ええ・・・なんですかその顔は、あなたの名前でしょう」

洞窟の中には、黄色い頭部をもつ、ふわふわと宙に浮くポケモンがいて、

彼女が「ギラティナ」という名を呼ぶと、少し自分の心が温かくなったような気がした。

ギラティナ、それが俺の名前。

「お前は俺のことを知っているのか」

「妙なことを言いますね、友達だったではありませんか」

「友達・・・」

「・・・記憶を失っているのですか?」

「・・・名前だって、覚えていない。俺はギラティナなのか?俺に何があった」

事情を知っている風の彼女に、俺は矢継ぎ早に質問を投げかける。

彼女は少し戸惑い、

「はぁ・・・まあ、無理もありませんね。あんな目に遭ったのだから・・・いいでしょう、一つ一つお教えします」

そう言った。

どうやら俺の質問に答えてくれるらしい。

「その前に、怪我などはありませんか?」

「怪我?ああ、大丈夫だ」

俺の返答を聞いた彼女は、少しホッとしたような顔を見せて改めて俺の側に寄った。
 ▼ 623 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/05/03 15:19:21 ID:6pU8vqvE [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ここはシンオウ地方のエイチ湖、私の住処です。暫くはあなたの生活もままならないでしょうから、私がここで面倒を見てあげます。あまり勝手に出かけてはダメですよ?」

「分かった・・・お前はここに――」

「ユクシー」

「えっ・・・」

「ユクシーです。私の名前ですよ、まったく・・・昨日までは毎日の様に呼んでくれていたというのに、忘れてしまうものですね」

「す、すまない・・・」

ユクシーと名乗る彼女によると、俺は彼女と以前、だいぶ近しい間柄だったそうだ。

名前も忘れてしまったのか、と責めるような口調の彼女は、とても悲しげな様子を作って見せるので、俺も申し訳ない気持ちになる。

自分の名前さえ忘れているのだ、そう言われても困ると言えば困るのだが。

「まあいいです・・・あなたには実感がないでしょうが、少しばかりあなたは特別な存在。ですが戦闘を行う力などには優れない・・・」

「そ、そうなのか」

「ですから、コレクターに狙われ襲撃され、その影響で深く傷つき・・・ショックででしょうか、記憶を失ってしまったのでしょう」

「そこを、お前・・・ユクシーが助けてくれたのか」

「ま、まあ知らない仲ではありませんからね」

俺は、こんな大きな図体なのに戦う力を持っていないのか、難儀なものだな。

記憶を失ってしまったほどのダメージがあったというなら、命の危険もあったのかもしれない。

「命の恩人っていうことか」

「大げさですね、そんな風にしおらしくされると少し気持ちが悪い」

「俺に何かできることがあればいいが・・・」

「思い出してくれたらそれでいいのです。それが私の一番の願いですから」

「ああ・・・」

記憶を失ったような俺が彼女のために出きることなんて何もなくて、結局は彼女の厚意に甘えてここで療養生活を送ることになった。


「ただいま戻りましたよ」

「ユクシー」

彼女も彼女で少し忙しい毎日を送っているらしく、エイチ湖を空けることも多かった。

そんな日の日中は一人退屈で、彼女が帰ってくるのを心待ちにする自分がいて。

他愛もない会話を楽しんだり、共に睡眠を取ったりする中でなんとなく、「以前もこんな感じだったのだろうな」なんて考えたりするようになった。

彼女との生活はとても穏やかで、心安らぐものであったから、

記憶を失う前もきっとそうだったのだろうと。

その、失われた記憶は相変わらず戻ってくる気配などなかったが。
 ▼ 624 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/05/03 15:36:15 ID:6pU8vqvE [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「どうですか?ここでの暮らしにもなれましたか?」

「ああ、おかげさまで」

ここで目が覚めてから1週間程度が経っただろうか。

エイチ湖での生活になに一つの不自由はなく、

記憶戻らないことへの不安も、ユクシーの人柄のおかげか感じることはなかった。

だが、そんなある日。

「ユクシー、外が何やら騒がしいようだが・・・」

「・・・そうですね。ギラティナ、洞窟の奥の方へ下がっていてください」

「後ろに?どうして・・・」

「コレクターが来ています」

「コレクター・・・」

「あなたの居場所が割れたのかもしれない・・・どうってことはありません。返り討ちにしてきますよ」

確か俺が記憶を失った原因となった、コレクターの襲撃。

ユクシーは俺に待っているように言ったのだが、それ以降なかなか彼女が帰ってこない。

「どうしたんだ、ユクシー・・・」

彼女の身に何かあったのではないかと案じていた所・・・

「!?」

突然、俺の元に記憶が戻ってきた。



「・・・」

「よっしゃ!ユクシー確保!!これで俺たちにも箔が着くというものだ!!」

「次はアグノムか?エムリットか?ユクシーの場所が当たっていたってことは、きっとその二匹の場所もそうなんだろうぜ!」

洞窟から外に出てみると、気を失っているユクシーと、彼女をケージに入れ喜ぶ二人の人間。

まったく、呆れたものだと思う。どこからどこまで嘘ばかりじゃねぇか。

あの人間どもの狙いは、俺ではなくユクシー、お前だったわけだ。

気に食わねぇ。

「じゃ、さっさとずらかるぜ・・・お、おい!あれは!!」

「な、なんだよあのでっかいポケモン!!」

「あ、あれは・・・まさか!」

「・・・ギラティナ!?」
 ▼ 625 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/05/03 15:51:12 ID:6pU8vqvE [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・ったく、何が友達だ。ふざけやがって・・・」

コレクターとかいう下種共に制裁を加え、俺は倒れ伏すユクシーに目を落とす。

「そもそも、記憶を消しやがったのもお前じゃねぇか」


忌まわしき創造主の野郎に反転世界に幽閉されて数十年。

力を蓄えその「やぶれた世界」からの脱出を果たした俺は、この世界への復讐のために散々に暴れ倒した。

その俺の討伐のために遣われたのがアグノム、エムリット、そしてこいつ・・・ユクシーだったわけだ。

奴ら3匹は俺と対等に渡り合い、最後にユクシーの能力によって俺から記憶を奪い、この俺を鎮めた。

憎たらしい野郎だ・・・こいつが倒れた時に、奪った記憶は元に戻るようになっていたわけだ。

「お前程度に、この俺が飼えるわけがねぇだろうが」

さて、こいつをどうしてくれよう。

あの下種共から助けたのは、こいつを救うためではない。

そもそも助けたなんてつもりも毛頭ない。

俺がただ気に入らなかっただけ、だから消した。

そして、こいつだってそうだ。

俺の記憶を奪っておきながら、白々しくも友達だったなんて。

毎日のように名前を読んでくれた?命の恩人だ?

反吐が出る。

「殺してやるか」


『ただいま戻りましたよ』

『ユクシー』

『なんですか嬉しそうに、そんなに私がいないのが寒しいですか?』

『なっ、一人だと退屈なだけだ』

『ふふっ、いいのです。私も悪い気はしませんから』


「・・・っち、クソが」

気が変わった。

復讐も、なんだか興冷めだ。

俺はユクシーを連れ、反転世界へと戻った。

やぶれた世界など、辛気臭くつまらない場所であったが、

今思えば俺にとって、そう悪い場所でもなかったように思う。
 ▼ 626 カーフマスキッパ◆aSS341n256 18/05/03 16:09:46 ID:6pU8vqvE [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・ん、ここは・・・」

「目を覚ましたか、ユクシー」

「・・・あなたは?ユクシーとは誰です・・・」

「なんだ?お前が記憶を失っちまったのか?お笑いだな」

あの下種共、どうやってユクシーをやったのかと思ったが・・・記憶を奪う力を跳ね返したのか?

「ユクシーはお前だ、お前の名前」

「私が、ユクシー・・・」

「そう、お前はユクシー。俺はギラティナ」

「ギラティナ、ですか・・・ここは、どこです。なんだか気持ちの悪い場所ですね」

やぶれた世界、何もない世界。

ずっと、俺一人すごしてきた世界。

「・・・何言ってんだよ、ずっと一緒にすごしてきたんじゃねーか」

「はあ?こんなところでですか?」

「そうだぜ、ユクシー」

「・・・」

現世にとって、こいつは大切な存在なのだろう。

そんなこいつを、俺が奪う。

この世界に閉じ込める。

それをもって、俺の復讐は完了だ。

それで許してやるのだ、安い物だろう。

「はぁ、まあ、身寄りもありませんし、ひとまずあなたの言葉を信じるとしましょう」

「ひとまずってなんだよ、それにあなたじゃない、ギラティナだ」

「・・・ギラティナ」

「感謝しろよ、俺がいなけりゃお前は死んでたんだからな」

「なんだか胡散臭い人ですね、どこまで信じていいことやら」

「お前は助けられた身で随分尊大だな」

だから俺は、生贄たるお前を幸せにする気などありやしない。

精々、俺の退屈をしのがせるために精一杯ここで生きればいいのだ。

まあ、存外お互いにとって悪くない日々になるはずだ。


『泡沫の記憶』・・・おしまい
 ▼ 627 プリン@アシレーヌZ 18/05/04 14:58:30 ID:CCkIVcng NGネーム登録 NGID登録 m 報告
しえん
 ▼ 629 クロム@パワーベルト 18/05/07 21:10:47 ID:n/XDQ0t. NGネーム登録 NGID登録 報告
ジャラランガ♂とアシレーヌ♀
 ▼ 630 マゲタケ@エスパーZ 18/05/12 00:41:12 ID:TnBoQCfo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 631 ノプス@たいりょくのハネ 18/05/12 00:56:41 ID:UbxG0kIo NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 632 ルネアス@マックスアップ 18/05/18 16:58:21 ID:kuDJpDDc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 633 ランブル@ミズZ 18/05/19 17:08:08 ID:XDYWM.V6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
「泡沫の思い」(アシレーヌ♀トレーナー)(アシレーヌ目線)

夜中、目が覚める

モンスターボールから出る

トレーナーが寝ている

私はこのトレーナーが好きだ。

でも私の性格は控えめ

失敗が怖いのだ。

もう手の届くところにいるのに

チャンスはあるのに

なかなか踏み出せない

トレーナーにそっと近づく

寝息が聞こえる

熟睡している。チャンスは今だ。

私はトレーナーの頬に…

続く
 ▼ 634 ビルドン@おおきなねっこ 18/05/19 17:46:24 ID:XDYWM.V6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
上げ
 ▼ 635 スラオ@フラットコール 18/05/19 22:42:58 ID:3Ry5/tZ6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>633
続き

ゆっくりと頬にキスした後、顔を上げる。

「やってしまった」

その一言が頭をよぎる

うぅ…私ったらなんてことを…

後悔しても仕方ない

体のソワソワとムラムラが収まらない

もう一度、もう一度だけ…

火照らせた顔を近づけながら甘い口づけを交わす

………ああ…好き…好き……

そう思いながらフラフラと傍らに倒れこんだ。

トレーナーが目を覚ます。

「アシレーヌ?」

トレーナーは僅かに火照った寝顔を見つめた。

「そうだったのか…ごめんな…アシレーヌ」

トレーナーは、自分の身体にかけてあった布団を被せる

「大好きだよ、アシレーヌ」
 ▼ 636 キメノコ@ピーピーマックス 18/05/19 23:12:32 ID:GuNOZWFA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
別人?
 ▼ 637 タマロ@4ごうしつのカギ 18/05/19 23:23:12 ID:SmexAfEY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 638 ングドラ@ウルトラネクロZ 18/05/19 23:26:06 ID:GuNOZWFA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
いやスレ主とってこと
 ▼ 639 ンプジン@ポケモンのふえ 18/05/19 23:31:19 ID:SmexAfEY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
スレ主とは別人
 ▼ 640 エルオー@ふしぎのプレート 18/05/20 01:31:22 ID:p3j2xQTY NGネーム登録 NGID登録 m 報告
勝手に書いちゃダメじゃね?
 ▼ 641 レイドル@コイン 18/05/20 05:44:46 ID:FQu7FAxc NGネーム登録 NGID登録 報告
>>640
あっすみません
 ▼ 642 サキント@マグマブースター 18/05/22 11:29:17 ID:qqnpStgg NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 643 ドゼルガ@モモンのみ 18/05/24 10:50:48 ID:iNeNYy9M NGネーム登録 NGID登録 m 報告
しえん
 ▼ 644 トム@のんきのおこう 18/05/25 23:38:55 ID:yC2DvU2s NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 645 トカゲ@フォトアルバム 18/05/29 01:39:10 ID:k5T9huYQ NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 646 ンデツンデ@どくけし 18/06/03 19:24:42 ID:L1GhZZQ6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 647 ノアラシ@アクロママシーン 18/06/05 00:34:38 ID:uHAaszXU NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 648 ガルデ@あおのはなびら 18/06/11 01:49:59 ID:s1AQ8US. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
しえん
 ▼ 649 ラス@ふしぎなタマゴ 18/06/12 01:35:08 ID:u0soE/1I NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 650 ゴジムシ@パワーレンズ 18/06/13 20:41:39 ID:ysc.87rM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 651 ゲデマル@じゅうでんち 18/06/18 21:12:27 ID:/yfg3mKk NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 652 ボネア@GBプレイヤー 18/06/27 01:26:36 ID:VOykp8/2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 653 ラオラ@マスターボール 18/06/29 23:58:15 ID:qvNEvzv6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 654 ーバーン@ボスゴドラナイト 18/07/11 22:41:17 ID:LdfM.wM6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 655 ライガー@かえんだま 18/07/19 10:57:41 ID:2gBc/TYE NGネーム登録 NGID登録 報告
>>641が勝手に書いたからスレ主すねちゃったのかな。
ピカチュウ×ニンフィアでお願いします
支援
 ▼ 656 リボーグ@どくバリ 18/07/29 16:53:42 ID:KEkQkA42 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 657 ローゼル@アイテムコール 18/08/11 23:56:13 ID:XzMUr8dc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
終わっちゃった感じかな…
  ▲  |  全表示657   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
スレの消えている画像復旧リクエスト
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼