【リメイクSS】シャンデラ「私のご主人様は中二病らしい」:ポケモンBBS(掲示板) 【リメイクSS】シャンデラ「私のご主人様は中二病らしい」:ポケモンBBS

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【リメイクSS】シャンデラ「私のご主人様は中二病らしい」

 ▼ 1 イナン@ホイップポップ 18/02/13 15:03:27 ID:75TFp13Q [1/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
↓リメイク前のSS(未読でもお楽しみいただけます)
http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=83904&l=1-


SSは次のレスから始まります
 ▼ 2 ィアンシー@ピジョットナイト 18/02/13 15:04:17 ID:75TFp13Q [2/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ーー曇りなき満月の下、
   我が友は一層、妖艶に輝くーー


私のご主人がそう言って喜びそうなくらい、今日は月の美しい日だ。

私はシャンデラ。我々ポケモンの中でも珍しい、炎とゴーストの複合タイプが自慢だ。

最近はご主人が眠りに就いた後、毎晩のように「ゴーストの集い」に参加している。気が向いたゴーストポケモン達で談笑する、緩めの集会だ。

今日メンバーは私とバケッチャとブルンゲル。

バケッチャが、自分の変わった主人についての話題をした。

「僕のご主人は医者をやっててさ、すっごくフレンドリーなんだよね」

こんな、何でもないような井戸端会議だ。

ブルンゲルが話を盛り上げる。

「へぇ〜、良いなぁ、やっぱり医者だと、都会みたいな良い所住んでるの?」

「いや〜、そんな立派な場所じゃないよ〜!」

「うちなんか普通のトレーナーだよ…シャンデラは?」

私に話が振られた。

「ご主人は難しい言葉ばかり使ってくるの。あと、かっこいい道具を探してはすごくうれしそうな顔で見てる」

「へー、正直、今のご主人に不満はある?」

突っ込んだ質問をしてくる。私は話すべきか少し悩んだが、

「よく無茶苦茶な技を指示してくる、困った人。紫煙の焔で焼き尽くせ!みたいに…もちろん、優しい子ではあるけどね」

「本人も言葉の意味をわかって言ってるのかね…」

それは思っていた。難しい言い回しが多いので断定は出来ないが、頭に浮かんだ言葉を発しているように見える。

そこにバケッチャが反応した。
 ▼ 3 P7uCNqttgw 18/02/13 15:05:29 ID:75TFp13Q [3/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
「もしかしたらご主人は、所謂中二病なんじゃないですか?」

「ちゅうにびょう…って、何?」

意味は知らないが、この前ご主人が近所の人に冗談でその言葉を言われていた。それのことだろうか。

「はい、何でも『思春期特有の自惚れや思い込みから発祥する病』みたいな意味らしいです。シャンデラさんのご主人は邪気眼系中二病かと」

やはり難しい言葉が出てきた。思春期くらいならわかるが、邪気眼なんて単語は初耳だ。要は中二病は難しい単語ばかりが絡んでくる病だと解釈した。

病ということは、これらは医学用語なんだろうか。流石バケッチャ、ご主人が医者なだけのことはある。

ブルンゲルが話を次ぐ。

「ご主人から無茶苦茶な指示が出たら、どう対処してる?」

「とりあえず、これかな?って思う技を出してみるの。技を出した後の反応でご主人の意図することを掴んでいく」

「そっか、大変だな」

そんな話で盛り上がっていると、気がついたら朝日が昇り始めていた。そろそろ家に帰らないとまずい。

家に戻り、モンスターボールの中で今日のことを思い出しながら仮眠する。

私は、ご主人の他の手持ちポケモンと比べ出会ってからの時間は短いが、何故か他のポケモンよりよく育てられている。

かつてランプラーだった私を、自ら大事に保管していた闇の石を使って進化させてくれた。私だけ特別に、深く愛してくれているようだ。

「フアァ…この淡い幕の向こうには白き陽光がこの星を照らす…煩わしいものだ」

ご主人は毎朝、目を覚ますと緩い欠伸とともにフレーズを必ず言う。淡い幕とはカーテンのことで、『おはよう。今朝も目覚めが悪いな』という意味らしい。

こんな口調だが、私のご主人は女性である。まだ若く、あどけなさの残る少女だが、彼女の着る黒い衣装は非常にませており、可愛い。
 ▼ 4 ジャマパープル◆qL0QI7jEOM 18/02/13 15:06:23 ID:pZvaE56Y NGネーム登録 NGID登録 報告
支援の焔で焼き尽くせ!!
 ▼ 5 P7uCNqttgw 18/02/13 15:07:21 ID:75TFp13Q [4/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ベッドから降り、朝食を作り始めたようだ。ボールの中から彼女は見えないが、何か食べ物を焼いている音が聞こえる

私は特にすることがないので、今日は何をしようか一日の予定を適当に考える。

ご主人は今日出かける予定らしい。バトルでもするのだろうか。

自分のポケモンの自慢の技を人に見せつけたがる人だが、今日はどんな指示が出るのか辟易しつつも、少し気になってしまう自分が恥ずかしい。



支度は調ったようなので、朝から早速出かけるようだ。

「出てくるが良い、我が回禄よ」

そうして、私をモンスターボールから繰り出す。回禄とは私のことを指しているようだが、たまにシャンデラ、と本名で呼んでくれる。


私とご主人は家から徒歩十数分にある最寄り駅から、電車を使って都会へ行く。混雑時でなければポケモンも乗車することができる。

車内で他の乗客を一瞥するが、やはりご主人の格好はどこか浮いている。

この前私に向かって一人で自慢していたが、ご主人曰く「我は民草とは異なる存在。崇高なる衣で己の体を守っている」そうだ。

「クク、我が回禄よ。こうして民草に紛れることにより、我の存在感が一層引き立つのは、闇の眷属である汝にも理解できるだろう」

だから浮いてるんだって。

ご主人の一人語りを聞いているうちに電車は下車駅に到着した。二人でよく出かける私だが、都会は久しぶりだ。

今日は快晴。絶好のお出かけ日和。しかしご主人には少し暑いくらいで、炎をともした私が隣にいると余計暑いんじゃないかと、申し訳なくなるくらいだ。
 ▼ 6 P7uCNqttgw 18/02/13 15:12:01 ID:75TFp13Q [5/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
階段を上り、改札口を出ると、視界に入るのは多くの人、人、ポケモン!

我々の住む、田舎の小さな”町”とは比較出来ないほどの大きな”街”だった。横を振り向くと、ご主人は人々を畏敬の眼で眺めていた。

その中には、ご主人とは趣向こそ違うが、派手さでは負けず劣らずのファッションの人が多い。ご主人のそれは、私の小さな町の人では目立つが

都会では街の中の一人としか認識されず、むしろ垢抜けない印象を覚えるほどだ。

ご主人は最初に、お洒落な服やアクセサリーの店へ向かった。店内には、ご主人がよく着ている服とそっくりのものがあった。

ゴスロリ…?ご主人がいつも着てる黒い衣装はゴスロリっていうのか。

いつも見ていた服だが、意外と名前を知らなかった。私にとっては新発見だ。

ご主人は半ば興奮気味に店内をうろちょろと廻る。無論、ゴスロリにも注目していた。

田舎少女として、都会に憧れるのは無理もない。ご主人、否、一人の女の子が嬉々としてお洒落に磨きをかけようとする様子を、私は微笑ましく眺める。

でもご主人、たまには普通の私服も着てみようよ…
 ▼ 7 P7uCNqttgw 18/02/13 15:16:02 ID:75TFp13Q [6/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
店内では自分のポケモンを着飾る人も多かった。だが、私はあまりここのファッションに興味がなかった。

ご主人と違い派手なものが好きではないし、戦闘の時に装飾品が邪魔になったり重くなることが嫌だからだ。

幸いご主人は自分のファッションを優先するので、杞憂かもしれない。しかし、店の滞在時間が長い。呆れる。


やっと店を出たご主人だが、私が思っていたより装飾品を買わなかったようだ。買いすぎると電車の移動が大変だし、家の置くスペースも限られているためだろう。

「あっ、シャンデラ〜!ここの店、ご当地グルメフェアでヒウンアイスが売ってるよ!行こう!」

口調も表情もいつもとはまったく異なる。彼女は花の咲いたような笑顔で私を見つめ、腕をグイグイ引っ張りながら走る。痛い。

彼女の珍しい一面を見れたことは私も嬉しいが、ふと、これがご主人の本性じゃないか、と察した。真実は本人に尋ねてみないとわからない。

ポケモンと人間で、言語の壁があることが残念だ。
 ▼ 8 P7uCNqttgw 18/02/13 15:19:00 ID:75TFp13Q [7/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
そして2人でヒウンアイスを買うためレジの行列で並ぶことにした。どうやらこのご当地フェアはたまにしか開催しないようで、毎回大勢の客が来ているようだ。

行列は好きじゃないが、暑い日にアイスを食べたくなるご主人の気持ちに甘んじて、我慢。

それより早く会計を済ませないとアイスが溶けてしまいそうで心配だ。私がいると余計早く溶けてしまいそうな気がする。
やはり私はこの場から退いた方が賢明だろう。そう確信させた一言があった。

「アイスを買うためにレジに並ぶ、これがホントのレジアイス〜♪」

寒い。

ヒウンアイスよりも、レジアイスよりも寒いギャグを聞かされた私は、見かねてその場を一旦去った。暑さとテンションでご主人の調子がおかしいのは言うまでもない。

しばし休憩しながらご主人が戻ってくるのを待った。やはり暑い日はゴスロリではなく半袖の服を着るべきだ。

ご主人は律儀に2つアイスを買ってくれたようで、1つを私にくれた。アイスで頭を冷やしたかと思えば、顔が熱くなっている。

さっきのダジャレの恥ずかしさが裏目に出たのか、彼女は顔を真っ赤にしながら怒ったように次の店へ急ぐ。

自業自得な気が…。
 ▼ 9 P7uCNqttgw 18/02/13 15:21:43 ID:75TFp13Q [8/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ご主人はずっと顔が赤くなっている。どうやら、ダジャレが恥ずかしかっただけではないようだ。顔には無数の汗が、首元の方へゆるく流れていく。
暑さを堪えているのだろうか。ヒウンアイスを一個食べたくらいでは、火照った体を冷やすのは難しい。

それもそのはず、外に出たあと一度も水分を摂らずショッピングを楽しんでいた。自販機で水一本すら買っていない。

あまつさえアイスを食べるのに長時間行列に並んでいたり、炎タイプの私を連れているのだ。体への負担は半端なものじゃない。

そしてこのゴスロリ、見るからに暑そうな服である。やはり人が出かける時は水分補給が必要なのだ。

私は、慌てて近くの水飲み場を探す。ご主人はその間もボーッとしながら歩き続ける。

本当はご主人に「休憩しよう」と問いかけたいが、ポケモン語は伝えられない。仮に伝えられたとしても、我慢強い彼女の耳には届かないだろう。

程なく、喫茶店が目に入った。無論、ご主人は喫茶店など眼中にも入っていないが、そんなことは気にしない。

私の、先の方に丸まった手をご主人の腕に絡ませ、グイグイ引っ張りながら走る。痛そう。

さっき私の腕を掴んだ仕返しでもあるが、一番にご主人の体調が心配だった。本人はいつもの難しい喋り方で私をまくしたてているようだが、耳に入らない。

無事(?)喫茶店に着いた。ご主人は相変わらず不服そうな顔で眉間にしわを寄せるが、素直に椅子に座る。

「クッ…我が魂は不滅…こんな場所で翼を休める必要などないのに…」

椅子に体重をかけ、声をやや震わせながら、必死で強がりを言っている。その姿が、少し愉快だった。
 ▼ 10 P7uCNqttgw 18/02/13 15:22:05 ID:75TFp13Q [9/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
休憩します
 ▼ 11 ブンネ@4ごうしつのカギ 18/02/13 15:45:25 ID:2DpoEXsY NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 12 ェルダー@でんきだま 18/02/13 16:59:58 ID:8xmS7RpY NGネーム登録 NGID登録 報告
うっわ懐かし
まだROM専の頃じゃん
支援
 ▼ 13 P7uCNqttgw 18/02/13 18:23:54 ID:75TFp13Q [10/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
店内は程よく冷房が効いている。落ち着いたご主人は、ハンカチでゆっくりと額の汗をぬぐう。

ウェイトレスの人が、柔和な笑顔で私たちのもとへ向かってくる。それに応えるように、ご主人も軽く微笑む。

テーブルに置かれた冷たい水に、白い氷が綺麗に浮かぶ。ご主人は、その一杯をすぐに口に流し込んだ。

メニューを取り、ランチのページを開く。お昼ご飯を食べるにはちょうど良い時間なので、2人でしばし刮目する。


食べたいものが決まり、チャイムでウェイトレスを呼ぶ。手際の良い店で、他の客の料理を配膳後、すぐに来た。

「チキンサンドと、ポケモンフーズを一つずつお願いします!」

驚きを隠せなかった。

『中二病』という病を患っているはずのご主人が、一般的な言葉を使っていることに対して、だ。

無論、ヒウンアイスの時のように、無邪気な口調で私に話しかけることはたまにあったが、人前でまともな発言をするのが意外だったのだ。

彼女に怪しまれないよう、顔だけでも平静を装う。何故か笑いがこみ上げてくるが、それを必死で噛み殺す。

抑えきれず、つい吹き出しそうになり、体が小刻みに震える。笑わせてくる本人から、奇異なものを見る目で睨まれる。

『中二病』とは、対話する時に治る、都合のいい病気なのか。と強引な解釈をし、気を紛らわせる。

はぁ〜!お腹すいたな〜!早くポケモンフーズ来ないかな〜!
 ▼ 14 P7uCNqttgw 18/02/13 18:35:06 ID:75TFp13Q [11/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
「洗浄の泉へ行く。さらばだ」

何事もなかったように席を立った。口調もいつも通りに戻っている。やはり相手によって言葉を使い分けているだけだった。

洗浄の泉とは何かふと考えたが、すぐに答えは判明した。トイレに入ったからだ。

意外と律儀なところがあり、外食といっても食べる前に手洗いは欠かさない。それをすますと、すぐにトイレから出てきた。

しばし外の景色を眺めていると、料理が届いた。

ウェイトレス「おまたせしました」

私の前には美味しそうに盛られたポケモンフーズ、ご主人の前にこんがり焼かれたチキンサンドが置かれる。

みるみるうちに目の前のサンドが消えていく。すごい食べっぷりだ。初めての都会で抱いた緊張と興奮。腹の虫を黙らせるのに、その量は十分なのだろうか。

私も、ぼっとしていられなかった。チキンの甘いたれの香りが、食欲を煽る。それに呼応するように、ポケモンフーズが口に吸い込まれる。

お互い無言で食べ続ける。トーストをざくざくと咀嚼する音が、私の周りでテンポよく弾ける。周りの喧騒は、覚えていない。


食事を終え店を出ようと思ったが、ご主人は唐突にコーヒーを注文した。

ブラックコーヒーの表面を、上からのぞく。また少し、頬が赤く染まる。

しかしそれはさっきの苦しそうなものでなく、挑戦に対する気概を表していた。

カップが、ゆっくりと彼女の唇に触れる…顔を渋め、そっと砂糖に手を伸ばした。口に合わなかったようだ。
 ▼ 15 シギソウ@きいろいバンダナ 18/02/13 18:40:52 ID:l4FmAqIs NGネーム登録 NGID登録 報告
シャンデラの しえんのほのお!
 ▼ 16 P7uCNqttgw 18/02/13 18:48:42 ID:75TFp13Q [12/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
会計を済ませ、店を出ると、何もなかったように歩き出す。冷房に冷やされた体に、心地良い暑さだ。

「シャンデラ…美味しかったわね」

やはりご主人は、落ち着いている時が一番さまになる。まだ行きたい所があるようで、心持ち早足になっている。

昼間も多くの人が行き来する都会。同じ時間でも閑散とした田舎とは大違いだ。これが、朝夕はもっと混雑するらしい。驚きだ。


十五分ほど歩き、目的地に到着した。目の前には大きく”ポケモン街”と書かれた看板がある。この名前には聞きおぼえがあった。

ポケモン街とは、トレーナーとそのポケモンのみが入場できる広場で、大規模なものは日本でも都市に数ヶ所しかない。

主にポケモンについて語ったり、試合等が可能。中にはここ以外での対戦を禁止している所もあるらしい。

元はポケモン勝負によって人や交通の往来の妨げになるのを防ぐために造られたそうだが、現在では専ら交流の場となっている。

つい興奮して、説明が長くなってしまった…。


入ると、予想以上の広さがあった。都市としては狭いここで大規模なポケモン街が開放されているということは、多くの人とポケモンが親睦を深めているということだ。

緊張して、辺りをきょろきょろと見渡す。私は最初に一つ、発見があった。
ここの人達の多くが我々のように、手持ちのポケモンを外に出している。

お陰で、その人がどんなポケモンを好むか、どんなタイプを使うのかが大体分かる。自己紹介のようなものだ。

無論、ご主人はゴーストタイプの使い手。同志を探しているのだろう、見渡すのをやめずに、ゆっくりと足を前に進める。


余談だが、道中でラグラージやサメハダーがどや顔でこちらに視線を向けていたが、目を合わせないようにした。なんだかしらんがおそろしい。
 ▼ 17 P7uCNqttgw 18/02/13 21:16:40 ID:75TFp13Q [13/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ご主人は照れ臭いのか、ゴースト使いの人がいても話しかけようとしない試合を持ちかけられても拒否している。
普段から変な性格なだけあって、友達を作ろうとするのが難しいのかもしれない。しかし、これでは来た意味がまるで無い。

私はそんなご主人に歯がゆさを感じつつ、背中を追ってついて行く。その時、周りに一切注意を向けていなかった。

「シャ〜ンデラさん!」

背後から、いきなり名前を呼ぶ緩い声がした。おどろかす、か?
こうかはばつぐんだ!宣戦布告と思い、私は慌てて振り向く。

そこにいたのは、昨夜談笑していたはずのバケッチャ本人だった。ドッキリ大成功と言わんばかりの清々しい笑顔を見せる。

「バケッチャ…何故貴方がここに?」

取り乱していた。1、2の、ポカン!とした顔をしていた私は、ご主人の動向そっちのけで話しかけていた。

その様子を軽く笑ってから、彼は口を開く。

「実は僕の主人がこの近くに住んでいるんですよ。時間がある日はよくここへ出かけているのです。まさかこんな人ごみの中で、貴方と出会うとは」

近所で彼を見かけないのは、そういう理由だったのか。と納得した反面、この近くに住んでいるなら、
さぞ良い生活をしているんだろうなぁ、という羨望の気持ちも生まれる。

一旦深呼吸をし、我に返る。ある疑問が浮かんだので、バケッチャに訊いてみた。

「何故毎晩私の住んでる田舎まで行って私たちに会いに来るの?都会のほうが仲間も作りやすいと思うけど」

「こっちは夜も眩しくて、うるさくて、個人的に居心地が悪いです。シャンデラさんのいる町のほうが静かで落ち着いてますよ」

なるほど、都会の魅力に囚われていたが、私の住む所はそんなメリットがあったのか。少し嬉しくなる。

そして、立場や視点によって、感じる価値観は変化することを学んだ。今夜の集いは話が盛り上がりそうだ。

一方ご主人は、勇気を出してバケッチャの主人に話しかけようとしていた。
 ▼ 18 P7uCNqttgw 18/02/13 21:17:04 ID:75TFp13Q [14/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
続きは明日出します!
 ▼ 19 P7uCNqttgw 18/02/14 08:54:01 ID:AMcsIPpo [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
はにかんだ私のご主人に先手を取って口を開いたのは、バケッチャの主人だった。

「貴女がこのシャンデラのご主人ですか!?初めまして!」

見た目も口調も快活な女性だ。長い髪は後ろで束ねられたポニーテールで、ご主人が見習うべき暑い日に合った軽装だ。

背は私のご主人より高く、恐らく年上だろう、お姉さんのような趣がある。彼女は話を続けた。
 ▼ 20 ォッシュロトム@つきのいし 18/02/14 08:58:26 ID:IrQz.P3g NGネーム登録 NGID登録 報告
前作見てきたで
支援
 ▼ 21 P7uCNqttgw 18/02/14 10:33:50 ID:AMcsIPpo [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あ、えっと、先に自己紹介をするね、私の名前はエリ。バケッチャと貴女のシャンデラ、仲が良いみたいね」

ご主人は『仲が良いことくらい見ればわかる』と言いたそうに、訝しげな目でエリさんの話を聞く。

しかしこの人は、ご主人とは初対面のはずなのに妙にフレンドリーだ。そういえば、昨夜のゴーストの集いでバケッチャで言ってたような…。

それもかまわず、一方的にご主人に話しかけている。

「私の家に来てくれる?貴方のシャンデラについて、詳しく診せてほしいの」

え?話がどこで飛躍したの?出会い頭私の家に来いなんて、絶対に誘拐でしょ?行っちゃ駄目よ、ご主人!
 ▼ 22 P7uCNqttgw 18/02/14 12:00:03 ID:AMcsIPpo [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
流石にそんなことを言われて、素直について行く人なんている訳がない。ご主人はエリさんを拒絶するように言い放つ。

「ちょっと、馴れ馴れしすぎます!別に貴女に興味はないし、家に行く気もないです!」

怒鳴った。ご主人がこんな大声を出したのは初めてだ。無論、周りの人に聞かれており、辺りは騒然とした。エリさんは苦笑を浮かべる。

「バケッチャ、これ、どういうこと?」

若干怒り気味の口調で私が問うと、彼は即答した。
 ▼ 23 シギダネ@わざマシンケース 18/02/14 16:05:46 ID:Orq8hkA2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
「主人は昔から、最初は何を考えているか分からない人なんです。だからゆっくり、理由を聞いてあげないと…」

とても弱った顔をして、ため息をこぼした。主人に何かしらの改善点を見出すのは、ポケモンの宿命かもしれない。

昨夜の話が正しければ、この人は医者のはずだ。ご主人を自らの病院に連れていくのはどういう魂胆だろう。まさか解剖とかじゃないでしょうね。

ひとまずエリさんは、周りの人とご主人に迷惑をかけたことを謝罪する。一般常識はあるのか。

コホン、と咳払いをしてから、我々に対し詳しい説明を始めた。

「驚かせてごめんなさい。一から話すね。私は医者として、そしてポケモンの心理について研究しているの」

「ポケモンとは多種多様な種が共存し、我々人間には分からない事だらけなの。最近研究している、ゴーストタイプもそうね」

「それで、資料としてとしてシャンデラを調べたかったのだけど、あいにく私はヒトモシを持っていないの」
 ▼ 24 パルダス@はっきんだま 18/02/14 16:08:18 ID:/5VIrQsM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 25 P7uCNqttgw 18/02/14 16:29:34 ID:Orq8hkA2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>23
トリップ忘れてましたが>>1です
 ▼ 26 ルード@タポルのみ 18/02/14 16:40:03 ID:vT91DLR. NGネーム登録 NGID登録 報告
>>4
これ好き

支援
 ▼ 27 P7uCNqttgw 18/02/14 18:20:13 ID:Tx1Kz0i2 NGネーム登録 NGID登録 報告
ご主人は、「じゃあ捕まえれば良いでしょ」と言いかけたが、それを読んだかのように話を続けた。

「仮にヒトモシを捕まえても、闇の石を持っていないのでシャンデラに出来ないの」

「そこで、私の最近の研究の友である、バケッチャに相談してみたの。すると、貴女のシャンデラと昔から親交があるそうね!」

「私は貴女たちを探そうと思い、ポケモントレーナーの交流の場である、ここに通い続けた」

「そして今日、やっとバケッチャが見つけてくれたの!」

回りくどいが、すごい執念である。貴女、医者じゃなくてゴーストポケモンオタクでしょう。
 ▼ 28 P7uCNqttgw 18/02/14 19:41:34 ID:ps167GFk NGネーム登録 NGID登録 報告
「そうですか…なら行きますよ。ただし命は保障してください」

ご主人は渋々承諾した。ここで断ってもしつこく勧誘されるのを恐れたのだろう。最後の一言も、皮肉に聞こえる。

私も乗り気ではなかったが、バケッチャとのよしみとエリさんの努力を思い家へ向かうことにした。

「ありがとう!これからよろしくね!」

長い勧誘と説明を終えたエリさんからは、さっきのオタクっぽさは消え、快活さが戻っていた。
ポケモン街から彼女の家はさほど遠くなく、すぐに着いた。ここが所謂「高級住宅街」だろうか。

噂通り、家は真っ白でいかにも病院らしいたたずまいだ。どうやらここは、心が傷ついたポケモンのケアをしているらしい。ポケモンの心理を研究しているのも納得だ。

家に入り、手洗いうがいを済ませたご主人は、リビングへ案内された。小物が飾ってあり、綺麗な部屋だ。

エアコンをつけ、ポニーテールのゴムを外し、ロングヘアになったエリさんは、すぐに茶菓子を用意した。

一方ご主人はガチガチに固まっていた。赤面してきんちょうかんを放っている。木の実が食べられなくなりそう。

ご主人はエリさんと、容姿も人となりも対照的だ。それが、未だに慣れない要因に感じる。
 ▼ 29 P7uCNqttgw 18/02/14 21:01:26 ID:Cu1oZpYM [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
エリさんは単刀直入に切り出した。

「えーと、貴女のシャンデラを一晩、預かっても良いかな?」

やはりこの人の話は理由の前に結論が出てしまうようだ。ご主人はその言葉で緊張が解け、いつもの調子に戻る。

「ふん!我が闇の眷属の血筋を継ぐ友には、汝の指一本たりとも触れさせない」

そして私を力強く抱きしめた。体の柔らかさが直に伝わるが、それ以上に苦しい。幸い、私が熱かったためかすぐに離してくれた。

当然、エリさんはご主人の言っている中二病の言葉が分からない。そしてご主人はあまりこの話をしたくない。出来れば家に帰りたい。
話題を逸らそうとご主人は必死で頭を働かせ、彼女に問いかける。

「な、何故、汝のバケッチャと、我がシャンデラの仲が良い事を、知ってるんです…か…」

出まかせで投げかけた質問なので、言葉尻が弱く、いつもの言葉もあまり使えていない。

ただ、言われてみれば不思議だ。ポケモン同士の友好関係を、何故人間であるこの人が知っているのか。
ゴーストの集いは、私は内緒にしているし、もしバケッチャがエリさんに話していてもポケモン語は理解できないはずだ。

その質問に対して、彼女は何のためらいもなく答えた。

「バケッチャが、よくあなたのことを教えてくれるんだ」
 ▼ 30 P7uCNqttgw 18/02/14 21:47:05 ID:Cu1oZpYM [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
まさかこの人、ポケモンと会話できるのか?この人の場合、尋ねれば包み隠さず話してくれそうだ。
さっきのポケモン街の騒ぎのように、思い立ったことを口走って傍から誤解される人だ。エリさんは口が軽いんじゃないか、と直感が働く。
試しに私は話しかけた。

「エリさんは、ポケモンと会話できるんですか?」

彼女は少し照れながら、ご主人と私の顔を交互に見て、凄く自慢げに語りだした。

「えー、実は私、ポケモンと会話できるの!あなたに会えたのもバケッチャと心が通じ合ったお陰です!」
 ▼ 31 P7uCNqttgw 18/02/14 22:31:36 ID:Cu1oZpYM [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
続きは明日出します!
 ▼ 32 P7uCNqttgw 18/02/15 12:39:19 ID:VUIa4oUY [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
エリさんは鼻高々、ご主人はいきなり告白された事実にポカンとし、バケッチャはお菓子を食べつつ3人の会話を聞いている。

ご主人は私の喋ったポケモン語が理解できないので、この人が突然自慢話をしたようにしか見えず、とげのある物言いで問う。

「何ですか、いきなりその自慢は…?それが凄いんですか?」

ポケモンと人が対話できるのは凄いと思うが、エリさんに良いイメージの無いためか、それを許容しないようだ。

一方、自分の取り柄を否定されたエリさんだが、終始穏やかな口調で返答する。これが大人の対応だろう。

「え?我ながら自分の長所だと思うんだけど、駄目かな?ポケモンの心を癒すのが私の仕事だし、これもスキルなんだけど…」
 ▼ 33 ブルモ@スチールメモリ 18/02/15 12:42:02 ID:Je.72P/. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 34 P7uCNqttgw 18/02/15 14:08:36 ID:VUIa4oUY [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
それでもご主人は、疑うのをやめない。私を預かりたいという話がそんなに不服だったのだろうか。

あるいは、自分の持っていない取り柄を持つエリさんに嫉妬しているのか。いずれにせよ、ご主人は一度も彼女に笑顔を見せない。

「もし良かったら、貴女のシャンデラの伝えたい事を翻訳してあげましょっか?」

「我が魂は、わが回禄とともに愛で繋属されている。その必要は皆無だ」

エリさんの言葉にご主人はすげなく答える。あえていつもの言葉を用いて、混乱させるのが狙いか。たまに標準語で喋るから、余計混乱しそうだ。

話は平行線のまま、無為に時間はすぎていく。強情で感情的なご主人と、理性的だが押しの強いエリさんは、水と油のように交わることが無い。
 ▼ 35 P7uCNqttgw 18/02/15 16:32:00 ID:VUIa4oUY [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
部屋が静寂な空気に包まれる。エリさんは出会って初めて顔をしかめ、頭を抱える。現状を打破するため、私は彼女に質問を投げかける。

「この世界にはあまたのポケモンがいますが、何故私…シャンデラを研究しようとするのですか?」

「別に、貴方だけじゃない。私は多くの資料を得るために、様々な種類のポケモンを研究してるんだ」

ふざけているようで、意外と研究熱心で真面目な人だ。一方ご主人は、不貞腐れながらお菓子をむさぼり食べる。

バケッチャはあまり話題と関係ないため暇そうにしている。それに気づいていたエリさんは、彼に手伝いを頼む。

「バケッチャ!例のノートを持ってきてもらえる?」

ぼおっとしている時に話を振られたため動揺していたが、黙って『例のノート』を持ってきた。
 ▼ 36 ルケニオン@あかいバンダナ 18/02/15 16:33:40 ID:W3yGFh4w NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 37 P7uCNqttgw 18/02/15 17:58:55 ID:VUIa4oUY [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
そのノートは薄汚れたものが何冊も重ねてあり、辞書のようにぶ厚い。表紙には丁寧な字で「観察記録」と記されている。

エリさんが、その中から適当に一冊を取り出し、中身を見せてくれた。目次には今まで調べたポケモンの名前が並ぶ。

観察結果のページには、調べたポケモンの写真と名前が大きく載っている。
その下には生態や行動、鳴き声を可視化したものなどをこと細かに記している。
小さな字が敷き詰めてあり読みにくいが、一字一字が丁寧で魅力のある文章だ。才能を感じる。

ご主人もこれには興味を持ったようで、ゴーストタイプのページを探しては熟読している。読書の邪魔にならないよう、私はエリさんにつぶやく。

「これ、まさか全部自分でまとめたんですか…?」

「いや、それは無いよ!お父さんや助手のポケモンに手伝ってもらったお陰だよ」

確かに、この情報量を一人でまとめるには限界がある。一見古臭いが、そこには彼女たちの努力が詰まっていた。
 ▼ 38 P7uCNqttgw 18/02/15 19:22:52 ID:VUIa4oUY [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
つい忘れがちだが、私はエリさんの研究のために家へ呼ばれたのだった。早く話にけりをつけよう。

私は一晩観察される程度なら良いかな、と考え直したが、問題はご主人がそれを許すかだ。

「さっきの話ですけど、私はエリさんの研究に参加したいですが、ご主人の許可が下りないと駄目なんです」

「あぁ、さっきの研究の話だね!じゃあ折角なら、彼女も私の家に泊まっていく?それで良いでしょ!」

あっという間に話を進めてしまった。最初はこんな提案、無かったはずなのに、この決断力はなんだろうか。
きっと、この力や行動力が、今までの研究を進めてきたのだろう。

肝心のご主人は、ノートに読みふけ、心を愉悦で満たしている。まだまだ時間はかかりそうだ。
 ▼ 39 P7uCNqttgw 18/02/15 21:21:16 ID:VUIa4oUY [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
夕方。昼の眩しい太陽は沈み始め、我々ゴーストタイプは夜に近づくにつれ活発になっていく。

観察記録に夢中だったご主人も、日が暮れはじめているのにやっと気付いた。その頃を見計らい、エリさんが話を切り出した。

「もし良かったら、私の家に泊まっていく?シャンデラは泊まっていくみたいなんだけど」

既に私とエリさんはさっきの会話で契約を完了している。後はご主人がどういう対応をとるかだ。
 ▼ 40 P7uCNqttgw 18/02/15 22:23:24 ID:VUIa4oUY [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「…汝に用は無い。帰る」

シャンデラが残るなら私も!と言うかと予想していただけに、この言葉は意外だった。相当エリさんに不満があるんだろう。

ご主人は荷物をまとめ、黙って玄関へ向かう。帰ろうとするご主人を、エリさんは穏やかな声で呼びかける。

「引き止める気は無いんだけど…今携帯は持ってる?持ってたら、電話番号を教えて!」

「何故そんな事を、汝…貴方とは関わりたくない」

先程までと異なり、ご主人の怒りの感情を含んだ声音が、冷たくなっていた。

家の扉のほうを向いたまま、一切こちらに顔を見せない。エリさんは、あ、ちょっと…と声が漏らすが、それを無視した。

「さようならシャンデラ。貴方はその女と幸せに暮らすがいいわ」
 ▼ 41 P7uCNqttgw 18/02/15 22:24:01 ID:VUIa4oUY [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
続きは明日出します!
 ▼ 42 P7uCNqttgw 18/02/16 09:44:39 ID:X2UC2pc6 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ご主人はその言葉を最後に、私たちの前から姿を消した。ご主人が、ご主人で無くなった。

私はエリさんと、家の扉を眺めていた。ご主人、否、あの人が、初めて私の前から消えた。

よく考えたら訳の分からない言葉で私を困らせたり、その場の感情に流されやすい人だった。いなくなっても、別に良かったかも知れない。

薄情と思われるかもしれない。だが、トレーナーに逃がされたり、捨てられるポケモンは数知れないのも事実だ。

エリさんは、これでも何も表情を変えず、穏やかな口調で語りだす。

「う〜ん、誤解されたな…家の住所が分からないから、シャンデラを返す時連絡しようと思って、電話番号を訊きたかったんだけどな」

「しょうがない、シャンデラ、これからは私と一緒にポケモンの研究を頑張りましょ!」

彼女は私を、柔和な笑顔で見つめる。心が包まれる感じがした。悔いは無い。もう、忘れよう。
 ▼ 43 P7uCNqttgw 18/02/16 12:48:27 ID:X2UC2pc6 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
二人で黙ってリビングへ戻る。そこではバケッチャが横たわって仮眠をとっていたが、私たちが戻ってきたので、慌てて飛び起きる。

その時の反応が滑稽で、ちょっと笑いそうになる。彼は口からこぼれたよだれを拭きつつ、私に話しかけた。

「あれ?シャンデラさんのご主人さんはどうしたんですか?」

「私を残して、勝手に家に帰っちゃったわ…気にしないで」

出来るだけ平静を装う。余計な心配をさせないためにも、落ち着いて話さなきゃ。

胸の中では今も、チクチクしたものが残る。でも私が逃げていった訳じゃないんだ。過ぎたこと、割り切ろう、割り切ろう。
そうやって自己暗示しつつも、私は脳裏に焼き付いたヒウンアイスの味と思い出を忘れられなかった。
 ▼ 44 P7uCNqttgw 18/02/16 15:15:25 ID:X2UC2pc6 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
二人で黙ってリビングへ戻る。そこではバケッチャが横たわって仮眠をとっていたが、私たちが戻ってきたので、慌てて飛び起きる。

その時の反応が滑稽で、ちょっと笑いそうになる。彼は口からこぼれたよだれを拭きつつ、私に話しかけた。

「あれ?シャンデラさんのご主人さんはどうしたんですか?」

「私を残して、勝手に家に帰っちゃったわ…気にしないで」

出来るだけ平静を装う。余計な心配をさせないためにも、落ち着いて話さなきゃ。

胸の中では今も、チクチクしたものが残る。でも私が逃げていった訳じゃないんだ。過ぎたこと、割り切ろう、割り切ろう。
そうやって自己暗示しつつも、私は脳裏に焼き付いたヒウンアイスの味と思い出を忘れられなかった。
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