【SS】 僕は生きてゆく、ブースターとして。:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】 僕は生きてゆく、ブースターとして。:ポケモンBBS

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【SS】 僕は生きてゆく、ブースターとして。

 ▼ 1 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/04/01 22:30:30 ID:2z7cS9EE NGネーム登録 NGID登録 報告



んっ……、眠ってたみたいだ。


ここ……、どこだろう。


なんだかフカフカしてる。それに、暖かい。



……あれっ?



う〜ん、と背伸びをしようとして、僕は、自分の右足に力が入らないことに気付いた。





 『良かった……、気が付いたのね』




 ▼ 213 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/03 02:34:40 ID:Rqr7.HVY [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告



翌朝。

目が覚めると、ニンフィアの可愛らしい顔が、僕の目の前に。


 ブースター 「……ん!?」

 ニンフィア 「あっ……おはようブースター君……」

 ブースター 「お、おはよう……えっと……どうしたの……?」 ドキドキ

 ニンフィア 「ふぇっ……えっと、その……起こした方が良いのかなぁ……って考えてて……///」

 ブースター 「……あっ! お腹空いたよね? 待ってて。近くにオレンの木があるんだ」


予想外の目覚めに、とてつもなく恥ずかしい感覚が僕を襲う。

ニンフィアに それを悟られないよう、僕は右足を引きずりながら、外へ出た。


 ニンフィア 「あ、待ってブースター君!」

 ブースター 「どうしたの?」

 ニンフィア 「悪いよ。助けて貰ったのに、朝ごはんまで取りに行かせちゃうなんて。私が行ってくる! あ、あそこに見えるオレンだね!」

 ブースター 「あ、いいってニンフィア!」

 ニンフィア 「いいの〜。これくらい私にやらせて。ねっ!」


そう言うと、ニンフィアはオレンの木に向かって走って行った。

今から追いかけても間に合う訳がないし(って言うか走れないし)、ここはニンフィアの好意に甘えることにした。
 ▼ 214 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/03 02:35:20 ID:Rqr7.HVY [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告


 ― コツン!



 ブースター 「痛っ……誰だ!?」


何かが、僕の頭にぶつかった。

上から落ちてきた物じゃない。横から飛んできたってことは、誰かに何かを投げつけられたってことだけど……。


 ブースター 「……リングマ」


振り向くと、そこにいたのはリングマだった。

偶然会えば会釈くらい しているけど、リングマの方から僕の家の近くに現れるのは、あの時以来、今回が初めてだった。


 ブースター 「これ……モモンの実?」


落ちていた物、すなわち投げられた物の正体は、モモンの実だった。

濃くて綺麗なピンク色をしている。自然界では珍しく、形が崩れていない……完璧なハートの形をした、モモンの実。


 リングマ 「……ふんっ」 ニヤッ


リングマは鼻を鳴らし、意味深な笑みを残して、立ち去って行った。


 ブースター 「……違うぞリングマ! 僕たち、そういう関係とかじゃないからな! 何にもしてないからな! おーいリングマぁぁぁ!!!」
 ▼ 215 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/03 02:36:00 ID:Rqr7.HVY [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ニンフィア 「お待たせブースター君。……どうしたの?」

 ブースター 「あっ……いや、何でもない」

 ニンフィア 「そう? じゃあ、一緒に食べよ?」


ニンフィアは、リボンいっぱいにオレンの実を抱えたまま、微笑んだ。

すっごく可愛い。……思わす顔を反らしてしまうほど。

メスポケモンに対して、こんなドキドキした感情が芽生えるのは、本当に、生まれて初めてのことだった。


 ニンフィア 「いただきまーす」

 ブースター 「いただきますっ」


そして、こんな可愛い子と一緒に食べる朝ごはんは、今まで食べた どの朝ごはんよりも、ずっと美味しかった。




 ▼ 216 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/03 02:36:50 ID:Rqr7.HVY [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告


楽しい朝食の時間は、あっという間に過ぎてしまった。


ニンフィアは、早速 冒険に出発するらしい。

早い気もするけど、早く野生に慣れるってことを考えれば自然な流れか。そんな彼女の決意を、僕が引き止める権利なんてない。


 ニンフィア 「それじゃあブースター君。色々ありがとうございましたっ」

 ブースター 「そんな。なにって大したことしてないよ。……それより、くれぐれも気を付けて、冒険してね」

 ニンフィア 「うん。冒険なんて大袈裟だけど……この冒険を通じて、私のこれからの未来を考えるんだっ」

 ブースター 「良い事だと思うよ、すっごく。応援してるからね!」

 ニンフィア 「ありがとうブースター君っ! それと……」


ニンフィアは、長いリボンを、僕の右足に優しく巻き付けて、言った。


 ブースター 「ぁっ……」 ドキッ

 ニンフィア 「ブースター君の右足が、治りますようにっ……」


暖かい……。

ニンフィアのリボンから伝わる、彼女の温もり。


 ブースター 「ニンフィア……」

 ニンフィア 「ふふっ。私からの おまじない。ブースター君の健康と幸せを、陰ながらお祈りしています……ってね!」

 ブースター 「っ……/// ありがとう、ニンフィア!」

 ニンフィア 「えへへっ /// ……じゃあね!」
 ▼ 217 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/03 02:37:20 ID:Rqr7.HVY [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニンフィアは、元気よく走り去って行った。

昨日、大泣きしていたのが嘘みたいに、明るく元気な表情で。吹っ切れたのかな、ニンフィア。



……あんなに可愛い子を捨てるトレーナーがいるなんて、正直、驚きだ。

前に会ったピカチュウのように、本当に大切にしてくれるニンゲンもいれば、ニンフィアのトレーナーみたいに、信じられないニンゲンもいる。

正直、ニンゲンの本当の姿がどういうものなのか、分からなくなってきた。


でも、ある意味ニンフィアは、良かったと思う。そんな酷いニンゲンの元を離れることができたんだから。



僕は大きく深呼吸して、スピ兄の家へと向かった。ニンフィアからのお礼を、きちんと伝えないと。


なんだかとっても気分が良い。心なしか、右足が軽くなったような気がする。

正直言うと、もう少しだけ、ニンフィアと一緒に居たかったな。

……って、ダメだな僕。新たな自分を見つけようとしているニンフィアの邪魔しちゃ。


頑張ってねニンフィア。

前向きに生きて行けば、きっと良いことあるさ!



けど、あぁ……、スピ兄から交尾のネタを出されるかと思うと、やっぱり足取りは重いや。

リングマも絶対に何か誤解してるはずだし……しばらくは穏やかな生活は出来ないかもな。


はははっ……。


 ▼ 218 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/03 02:38:00 ID:Rqr7.HVY [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告



続きは後日。


 ▼ 219 クレー@かいのカセキ 18/05/03 21:46:21 ID:Y1018Htk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
超絶支援!
 ▼ 220 シコ@サイコソーダ 18/05/03 22:03:41 ID:gsCMQFY6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 221 ドキング@むらさきのミツ 18/05/03 22:59:27 ID:XN9pcT3w NGネーム登録 NGID登録 報告
やっぱりこのスレメチャいいな
 ▼ 222 ィグダ@フエンせんべい 18/05/04 17:57:38 ID:lAxMLUtU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!

もし余裕があれば、
「トウコとトウヤのカロス旅」と
「【カップル限定バトル大会】 ヒャッコクロマン日時計杯2015、開催!」
の続きが読みたいです。
 ▼ 223 トカゲ@おいしいシッポ 18/05/04 19:05:31 ID:uvtgdIy2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 224 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/04 21:30:30 ID:20KlhtAU [1/12] NGネーム登録 NGID登録 報告





それから1か月が経って、朝晩の冷え込みは日に日に厳しくなっていく。

そうなると、ますます僕の役割は重要になってくる。

寒さが苦手なポケモンを暖めてあげるという、僕の役割。今日は8匹が、僕の家で暖をとっていた。


 オタチ 「暖かい……帰りたくない……」

 ジグザグマ 「極楽……帰りたくない……」

 ミネズミ 「生き返る……帰りたくない……」

 ナゾノクサ 「気持ち良い……帰りたくない……」

 マダツボミ 「細身に暖が沁みる……帰りたくない……」

 ツチニン 「土より良い……帰りたくない……」

 テッカニン 「羽の癒し……帰りたくない……」

 ヤヤコマ 「熱気が堪らん……帰りたくない……」


 ブースター 「寒さから現実逃避してるところ悪いけど、もうすぐ日が暮れるよ」
 ▼ 225 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/04 21:35:00 ID:20KlhtAU [2/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
僕の傍にいてくれるのは全然かまわないけど、家に帰らないと、家族が心配しちゃうよ。


 ブースター 「ほら、みんな……」

 ミネズミ 「え〜家よりブー君の方が暖かい」

 オタチ 「それにモフモフ気持ち良い」

 ヤヤコマ 「むしろここで暮らしたい」

 ブースター 「まったくも〜」


嬉しいような、面倒くさいような……。

こういう時は、ワザと少し熱くしちゃうんだよね。みんなは驚くと同時に、これが解散の合図だと知っている。

今日もそれを繰り出そうとした、その時だった。



 *** 「あの……えっと……失礼します……」


僕の家の前で、透き通るような声が響いた。


 ブースター 「えっ……?」


聞き覚えのあるその声に、僕は皆をどけで、右足を引きずりながら、家の外に出る。


そこにいたのは……やっぱり、先月 会ったニンフィアだった。
 ▼ 226 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/04 21:40:00 ID:20KlhtAU [3/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ブースター 「ニンフィア!?」

 ニンフィア 「えへへっ……ブースター君、お久しぶりですっ」

 ブースター 「ホント久しぶりだね! 冒険は、もう終わったの?」

 ニンフィア 「うん。終わったんだ」

 ブースター 「ってことは、ニンフィアが生きていく道、見つかったんだね」


あの時、ニンフィアは言った。冒険を通じて、自分の未来を考える、って。

要するにニンフィアは、自分の生きる道を見つけたって言うことだ。

良かった。本当に良かった。


 ブースター 「おめでとうニンフィア! それと、ありがとう。わざわざ報告しに来てくれて。ニンフィア、これからどうすることにしたの?」

 ニンフィア 「うん。えっとね……私、そのっ……」

 ブースター 「?」


ニンフィアは少し俯き加減でモジモジしている。

どうしたんだろう。ニンフィアがこれから生きる道……恥ずかしいことなんて無いのに。
 ▼ 227 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/04 21:45:00 ID:20KlhtAU [4/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ニンフィア 「わたし……、ブースター君の傍に、居たいの ///」


意を決したように、ニンフィアは ハッキリと言った。

……けど、一瞬僕は、ニンフィアの言った意味が分からなかった。


 ブースター 「……え?」

 ニンフィア 「んっとね、私、1か月冒険している間、ずっとブースター君のことが頭から離れなくて……でもでも、野生として生きていくって決めて……その……あぅぅ ///」


ニンフィアの顔が、どんどん赤くなっていき、言葉を詰まらせた。


 ブースター 「ニンフィア……」

 ニンフィア 「わたしっ……ブースター君に助けて貰って、そのっ……頑張ってるブースター君に勇気を貰って……貰って……わたしねっ! ブースター君のことが、好き……です……///」


どんどん声のトーンが落ちていくニンフィアだけど、僕は彼女の最後の言葉を、しっかりと耳にした。

少し遅れて、とんでもない恥ずかしさが、僕の体の中から溢れ出てきた。


 ブースター 「ふゎっ……にっ……ニンフィア……?」
 ▼ 228 ーデリア@つりざお 18/05/04 21:48:22 ID:q4tsGhHE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援ー
 ▼ 229 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/04 21:50:00 ID:20KlhtAU [5/12] NGネーム登録 NGID登録 報告


たった数秒かもしれなかったし、数分経っていたかもしれない。


とにかく、僕はニンフィアの言葉を聞いて、頭の回転が止まってしまっていた。





 オタチ 「それじゃあ……」

 ジグザグマ 「僕たちは……」

 ミネズミ 「このへんで……」

 ナゾノクサ 「失礼するよ!」

 マダツボミ 「おふたりさんっ……」

 ツチニン 「どうぞお幸せに……」

 テッカニン 「お邪魔な私たちは……」

 ヤヤコマ 「さっさと帰るよ! それじゃあね!」



……そうだ忘れてた。みんながまだ居たんだ!

みんなは機敏な動きで僕の家から走り去った。さっきまで ぬくぬくしてたのに、どこからそんな力が湧いて出たって言うんだよ!?
 ▼ 230 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/04 21:55:00 ID:20KlhtAU [6/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ブースター 「ちょっ……みんなっ!」


僕が呼んでも、誰も振り返らなかった。

今ここにいるのは、僕とニンフィアだけだ。


 ニンフィア 「えっと……」


ニンフィアも困惑してしまっている。こんな恥かしい所を見られちゃったんだから当然か。


でも、このまま沈黙を続ける訳にはいかない。ニンフィアは勇気を出して気持ちを伝えてくれたんだ。


少し間を置いて、僕はニンフィアをしっかり見つめて、言った。

とっても恥ずかしいけど、僕も勇気を出して、言った。


 ブースター 「ニンフィア、その……いいの? 僕なんかで? 右足が動かない僕なんかじゃ、ぜったいニンフィアに迷惑かけちゃうよ?」


うぅ……、僕の意気地なし。

そこは“僕も好きです!”って言うべきなのに。


 ニンフィア 「あっ……うん! いいの! ブースター君が良いのっ! ///」

 ブースター 「えっ?」


でも、結果としてそれは、ニンフィアから嬉しい返事を貰えることになった。


 ニンフィア 「私ね、足が動かなくても、一生懸命なブースター君が凄いって思って……。私を助けてくれて、暖めてくれて……色んな話を聞かせてくれて……。うまく言えないんだけど、そのっ、すっごく助かったの! だから今度は……私がブースター君を助けたいの」

 ブースター 「そんな大げさだよ。僕はそんなたいしたこと……」
 ▼ 231 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/04 22:00:00 ID:20KlhtAU [7/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ニンフィア 「ううん。そんなことない。……私ね、心のどこかで、まだご主人のこと、諦めきれてなかったんだ」

 ブースター 「ニンフィアを捨てたトレーナーを?」

 ニンフィア 「……うん。一緒に生活して、特訓して、バトルした日のこと……今でも思いだすんだ」

 ブースター 「そっか。辛いよね、そんな経験……」

 ニンフィア 「うん。……でもね、この前、すっごく優しいニンゲンと出会ったの」

 ブースター 「優しいニンゲンに?」

 ニンフィア 「うん。男の子だったんだけどね、悪い人に襲われてたみたいで、私と一緒に、その悪者とバトルしたんだ」

 ブースター 「悪者って……大丈夫だったの?」

 ニンフィア 「うん。その子ね、すっごくバトルが上手くて、……思いだしちゃったんだ。ご主人とのバトルを」

 ブースター 「うん……」

 ニンフィア 「まるで、ご主人とバトルしてたみたいで……。でもね、私ハッとしたんだ。この子はご主人じゃないって。私は捨てられたんだって……」

 ブースター 「ニンフィア……」

 ニンフィア 「それで、けじめを付けたんだ。そのバトルが、私がニンゲンと協力する、最後のバトルだって。もうこれから、私は野生なんだって」

 ブースター 「そっか。……覚悟を決めたんだね、ニンフィア。凄いことだよ」

 ニンフィア 「ふふっ。……それとね、もう一つ、覚悟を決めたんだ。自分の気持ちに素直になろうって」
 ▼ 232 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/04 22:05:00 ID:20KlhtAU [8/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ブースター 「自分の気持ちに……?」

 ニンフィア 「うん……」

 ブースター 「それって……」

 ニンフィア 「もぉ /// 何度も言うと恥ずかしいよぉ」

 ブースター 「あっ……ゴメン。でも、本当に僕なんかで……」

 ニンフィア 「ブースター君!」

 ブースター 「あっ……はい?」

 ニンフィア 「えっとね……私は、ブースター君のことが……好きです。ずっと一緒にいたいです。ブースター君の傍にいて、ブースター君を支えてあげていですっ!」


ニンフィアは真っ赤になりながら、はっきりと、けど、ちょっと ぎこちなく言った。片言の敬語が、それを物語っていた。


……これは、夢なんだろうか。

こんなに可愛い子が、僕のことを好きだって。足が悪いこんな僕を、支えてくれるって……。


 ブースター 「夢じゃ……ないんだよねっ……」 グスッ

 ニンフィア 「えっ?」

 ブースター 「本当にっ……良いんだねっ……グスッ、僕なんかで?」
 ▼ 233 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/04 22:10:00 ID:20KlhtAU [9/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
何故だろう。涙が止まらない。

ニンフィアの前だって言うのに、男が女の子の前で泣き出すなんてっ……、おかしいじゃないかっ……!


その時、ニンフィアのリボンが、僕の体を優しく包み込んだ。

それと同時に、ニンフィアが僕の傍に近付いて、彼女の額が、静かに、僕の額と触れ合った。


 ニンフィア 「ブースター君。夢じゃないんだよ。私、本当に、本当にブースター君ことが好き。初めて会った時から、たぶん、もう好きになってたと思うの」

 ブースター 「ニンフィアっ……」

 ニンフィア 「目を覚ました時は、ちょっと戸惑っちゃったけど……。でもね、一生懸命生きてるブースター君が、すっごく眩しく見えたの。私を暖めてくれたブースター君が、すっごく頼もしく見えたの。初めてだよ? こんなこと感じたの。ブースター君だけなんだよ?」

 ブースター 「グスッ、ごめっ……ごめんニンフィア……みっともなくてっ。僕っ……、こんな足だから、誰かに好かれるとかっ……、全然もう諦めてて……。でもホントは寂しくてっ……」

 ニンフィア 「うん。でももう大丈夫だよ。私がずっと一緒。これからは、ずっと一緒だよ?」

 ブースター 「うぅっ……ありがっ……グスッ、ありがとっ……ニンフィアっ!」
 ▼ 234 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/04 22:15:00 ID:20KlhtAU [10/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
情けないよ、僕。

ニンフィアのリボンに包まれながら、僕は泣いた。声を上げて、泣いた。

この森での役目を見つけて、この森で一人で生きていくことを決めたのは僕自身だけど、本当は寂しかったんだ。


自然淘汰って言葉があるように、僕みたいなハンデを背負ったポケモンは、本当なら野生として生きていくのは難しい。

今は森のみんなが僕のことを受け入れてくれてるから大丈夫だけど、本当は……、足が動かなくなった時から、いつか淘汰されちゃうんじゃないかって、すっごく怖かった。


一人で居ること、寂しくて、怖かったんだ。


……でも、もう違うんだよね?

僕はもう、一人じゃ無いんだよね?


体の中から込み上げてくる、よく分からないもの。それが涙と泣き声になって、僕の中から飛び出していく。


……あぁ。こんなに貯め込んでたんだな、僕。


自分でも分からなかった。こんなに辛かったんだな、僕……。


 ニンフィア 「ブースター君っ。辛い時は、いっぱい泣いた方が良いんだよね?」


ニンフィアは、笑顔で言った。

それ、僕の言葉じゃないか。……あの時と立場が逆転しちゃったな。

ありがとう、ニンフィア。僕、いま、すっごい幸せだよ。
 ▼ 235 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/04 22:20:00 ID:20KlhtAU [11/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ブースター 「グスッ……、ニンフィア?」

 ニンフィア 「ん? なぁに?」

 ブースター 「みっともないとこ見せちゃったけど、僕も、ちゃんと言わなくちゃいけないよね?」

 ニンフィア 「えっ?」

 ブースター 「僕も……そのっ、ニンフィアのことが好き! 1か月前に別れた時、ホントは もう少し一緒に居たいって思ってたんだ。でも、ニンフィアの決意を邪魔しちゃダメだから、そのまま……」

 ニンフィア 「そっ、そうだったんだ。……ふふっ、嬉しいな ///」

 ブースター 「僕ね、ニンフィアには幸せになって欲しい。……足が動かない僕だけど、ニンフィアのこと、絶対に幸せにして見せる! 迷惑かけちゃうかもしれないけど、ニンフィアのこと、絶対に幸せにするからっ! だからっ! 僕と一緒に居て欲しい……です」

 ニンフィア 「えへへっ……。はいっ、喜んで」



そして――。



僕とニンフィアは、静かにキスをした。

自分でも驚くほど、体が自然と動いて、……ニンフィアも、受け入れてくれた。


僕は、本当の意味で、一人ぼっちじゃ なくなったんだ。

ニンフィアと言う、心境が似ている可愛らしい彼女が、僕の全てを受け入れてくれたんだ。

本当に……夢じゃないんだよね、これ?



その夜、僕とニンフィアは、以前よりももっと寄り添って、一緒に眠った。




 ▼ 236 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/04 22:22:22 ID:20KlhtAU [12/12] NGネーム登録 NGID登録 報告



ラストは後日。


 ▼ 237 リトドン@アロライZ 18/05/04 22:26:16 ID:.OZ5ymQM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 238 ュリネ@あかいかけら 18/05/05 10:38:54 ID:IdaTrews NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ラスト支援
 ▼ 239 ルンゲル@オボンのみ 18/05/06 14:37:34 ID:nkrEpK4E NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 240 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/06 22:04:30 ID:i2.JAdXM [1/10] NGネーム登録 NGID登録 報告


翌朝。


目を開けると、ニンフィアが静かに寝息を立てていた。

良かった。夢じゃなかったんだ。


こんなに可愛い子が、僕のことを想ってくれているなんて、今でも信じられない。

トレーナーに捨てられて、心に傷を負っているのに、僕の傍にいることを選んでくれたニンフィアが、愛おしくて、有難くて、嬉しくて堪らない。

……僕はニンフィアを、幸せにする義務が生まれたんだ。絶対に彼女を、幸せにしてみせるんだ!


 ニンフィア 「……おはよ、ブースター君っ」

 ブースター 「あ、おはようニンフィア」

 ニンフィア 「えへへっ……、一緒に寝たの2回目だけど、なんだか恥ずかしいねっ ///」

 ブースター 「あっ……うん ///」


確かに恥ずかしいよ。

慣れるまで……少し時間がかかるかもな。


 ニンフィア 「朝ごはん……、この前みたいに一緒にオレンの実を食べよっ。私が採ってくるから!」

 ブースター 「あっ……悪いよ! 今回は僕が……」

 ニンフィア 「いいのっ。私、ブースター君の役に立ちたいんだもん。私が行くから、ブースター君は待っててね!」


そう言うと、ニンフィアは外に飛び出していった。当然、僕の体では追いかけることは出来ない。


 ブースター 「ふふっ。嬉しいよ……本当に嬉しいよ、ニンフィア……」
 ▼ 241 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/06 22:05:00 ID:i2.JAdXM [2/10] NGネーム登録 NGID登録 報告

 ニンフィア 「あなたたち……誰ですか?」


……と、ニンフィアの声が聞こえた。

誰か居るのか?

ニンフィアの声の感じから、別に切迫した状況じゃないってことは分かる。


 ブースター 「どうしたのニンフィア?」


右足を引きずりながら外に出てみると……そこには、何のことはないメンバーが、顔をそろえていた。
 ▼ 242 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/06 22:10:00 ID:i2.JAdXM [3/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ブースター 「スピ兄! それにバク兄! ついでにリングマも?」


 リングマ 「ついで扱いとは舐められたもんだな」

 スピアー 「まぁまぁリングマ。そう言うなって」

 バクフーン 「ほぉ。お嬢ちゃんがブー太郎の……別嬪さんに気に入られたんやなぁ〜」


 ニンフィア 「お知り合い?」

 ブースター 「うん!」


僕はニンフィアに、この3人のことを説明した。


いつも僕を支えてくれているスピ兄。

僕に炎ワザの極意を教えてくれたバク兄。

会話こそないけれど、僕のことを認めてくれたリングマ。


みんな、僕がブースターとしてこの森で生きていく道を作ってくれたメンバーだ。
 ▼ 243 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/06 22:15:00 ID:i2.JAdXM [4/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ブースター 「……でも、何でみんなここに? 特にリングマも来るなんて、相当珍しいと思うんだけど」


スピ兄は いつものことだけど、リングマが僕の家に来るのは、本当にレアケース。

バク兄だって、住んでいる森が違う訳で、わざわざ来てくれたってことは、何か重要なことがあるのだろうか。


 スピアー 「なに言ってんだよ。お前らを祝いに来たんだぜ!」

 ブースター 「えっ!?」

 ニンフィア 「あっ…… ///」

 バクフーン 「そやでブー太郎! ワイの教え子が結婚する言うたら、祝いに来るんは当たり前やないかぁ!」

 ブースター 「けっ……結婚!?」

 バクフーン 「蜂の助が文字通り飛んで来たんやで。ブー太郎が結婚するから祝ってやろぉ、っちゅーてな」

 ブースター 「スピ兄! 結婚なんて……そんな気が早いと言うか……」

 スピアー 「ん? 違うのか? そのニンフィア、これからお前の傍に居るんだろ? なら結婚同然じゃないかぁ」

 バクフーン 「そやそや」

 ブースター 「けっ……けど! まぁそれは置いといて、なんで知ってるの!? ニンフィアが来たこと……」

 スピアー 「ストライクから聞いたんだ。そのストライクは、テッカニンから聞いたみたいだけどな」

 リングマ 「オレはオタチとミミロップの立ち話を小耳に挟んだぜ」

 ブースター 「(はっ! 昨日の皆だ……)」
 ▼ 244 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/06 22:20:00 ID:i2.JAdXM [5/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
……そう。

どうやら、昨日ニンフィアとの会話をニヤニヤしながら聞いていたジグザグマたち8匹が、僕とニンフィアの噂を広めているらしい。


 ニンフィア 「ブースター君……」

 ブースター 「うぅっ……これ、今頃もう森中に知れ渡ってるんだろうなぁ……」


僕は頭を抱えた。

静かにニンフィアと暮らせるのかと思った矢先にコレだよ……。


 スピアー 「まぁそう嘆くなよ、ブースター」

 ブースター 「いや嘆くよ……」

 スピアー 「お前はブースターとして、この森で生きていく道を選んだ。森の連中も、お前を必要としてる。それは間違いない。そんなお前のことを、そのニンフィアは気に入ったんだ。恥じることは無いぜ。堂々とイチャつけば良いんだよ。揶揄ったり、妬んだりする奴は いないと思うぜ?」

 ブースター 「スピ兄……」

 バクフーン 「そやで。そのお嬢ちゃんがブー太郎に惹かれたっちゅーのも、ある意味自然な流れや。足が悪ぅても一生懸命なブー太郎を良い奴ゆうてるポケモン、けっこうおるんやで。ブー太郎はもっと自信を持ってえぇ。断言しちゃる!」

 ブースター 「バク兄……」

 リングマ 「オレはお前のことが嫌いだ。話すのも面倒くせぇ。……けど、おめでた は おめでた だ。祝ってやるぜ」

 ブースター 「リングマも……」
 ▼ 245 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/06 22:25:00 ID:i2.JAdXM [6/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ニンフィア 「あのっ……みなさん、ありがとう。私も嬉しいっ。私が好きになったブースター君が、こんなに沢山のポケモンに認められてて。本当に……本当にっ……グスッ……」

 スピアー 「おいおい泣くとこじゃないぞニンフィア。ここは笑う所さ。ブースターと家族になれたことを!」

 ブースター 「家族……!」

 バクフーン 「結婚っちゅーたら家族も同然やろ?」


スピ兄とバク兄の言葉が、僕の心に しっとりと響いた。

もう一人ぼっちじゃないという実感が、改めて、僕の心を満たしていく。


そして何より、思った以上に多くの皆が、僕のことを認めてくれていたと言う事実に気付かされた。

それがたまらなく嬉しくて、涙が零れ落ちそうになったけど、グッと堪えた。

もうニンフィアの前で涙を見せるのは みっともないし、スピ兄の言う通り、今は泣く場面じゃ無い。……笑う場面なんだ。


 リングマ 「ふんっ。せいぜい子作りは計画的にな! それだけ言いに来た。あばよ!」


そう言うと、リングマは ゆっくりと、森の奥へと歩いて行った。


 ブースター 「あっ……ありがとうリングマ! 僕だってお前のこと嫌いだけどっ……ありがとう!」


リングマは振り返らずに、右手を大きく振った……と思ったら、背伸びのポーズを取った。

ははっ……誤魔化したつもりなのかな、リングマ。本心では、僕のこと本当に祝ってくれてるってことなのかな。

ありがとうリングマ。僕がお前のこと本当は嫌いじゃないって、気付いてくれてるよね?

 ▼ 246 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/06 22:30:00 ID:i2.JAdXM [7/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
 バクフーン 「ほな蜂の助。これ以上、若い奴の邪魔すんのは野暮っちゅーもんや。ワイらも帰るで」

 スピアー 「そうだな」

 ブースター 「そんな……大丈夫だよ2人とも!」

 ニンフィア 「そうですよっ。せっかく来て貰ったのに……」

 バクフーン 「ええんやええんや。若いもん同士、甘い時間を過ごすんやな!」

 スピアー 「ブースター、オレは嬉しいぞ。弱々しいイーブイだったお前が、こんなに立派に成長して、こんなに可愛い嫁さんを貰って。絶対ニンフィアを幸せにするんだぞ! たまに覗きに行くから、その時ニンフィアが悲しんでたら承知しねーからな!」

 ブースター 「バク兄……スピ兄……はいっ! ありがとう! 本当にありがとう!」

 ニンフィア 「ありがとうございますっ! ブースター君のこと しっかりサポートするので、安心して下さいねっ!」

 スピアー 「はははっ。……じゃあな! 落ち着いたらオレの家にも遊びに来いよな!」

 バクフーン 「ほな、さいなら!」


バク兄とスピ兄も、ゆっくりと森の奥へと消えて行った。


あの2人には、感謝してもしきれない。

なんだって、こんなに僕の心を癒してくれるんだろう。僕が何を思って、何に悩んでいるのか、2人には お見通しなんだろうな。


僕たちは、姿が見えなくなるまで、2人の背中を見送った。


 ▼ 247 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/06 22:35:00 ID:i2.JAdXM [8/10] NGネーム登録 NGID登録 報告


 ニンフィア 「ブースター君っ」

 ブースター 「ん?」

 ニンフィア 「ブースター君、本当に良い知り合いがいるんだね。羨ましいよ」

 ブースター 「へへっ。ありがとニンフィア。ホント、僕なんかには勿体ないくらいだよ、スピ兄もバク兄も」

 ニンフィア 「リングマさんも……でしょ?」

 ブースター 「……お見通しだねっ」

 ニンフィア 「えへへっ。分かるよそれくらい」


ニンフィアは、子供みたいな眩しい笑顔を見せてくれた。

そんな彼女の姿が とっても愛おしくて、僕の隣に居てくれることが、今でも夢みたいに感じるほど。


 ブースター 「……ニンフィア」

 ニンフィア 「ふぇ?」

 ブースター 「改めて、ありがとう。僕の傍を選んでくれて、ありがとう。……これからよろしくね! ずっと、ずっとずっと!」

 ニンフィア 「ふふっ。私の方こそっ。ブースター君の傍から絶対に離れないもん。絶対に。覚悟してねっ ///」

 ブースター 「ははっ……勿論さっ!」


ニンフィアには、確実に、これから迷惑をかけてしまうと思う。右足が動かない僕にとって、それはどうしても避けられない事実だ。

だからこそ、僕はそれ以上に、ニンフィアのことを幸せにしてみせる。

こんな僕を好きになってくれたニンフィアに、感謝の気持ちを込めて。


それが僕の、新たな役目だ。

 ▼ 248 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/06 22:40:00 ID:i2.JAdXM [9/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニンフィアが居てくれて、スピ兄やバク兄が僕のことを評価してくれて、リングマが僕のことを本当に認めてくれて。


……なんだよ。


一人ぼっちって思ってたのは、僕の勘違いだったのかもしれない。

こんなに沢山の仲間が、僕を支えてくれてるんだ。

こんなに沢山の仲間が、僕を評価してくれてるんだ。


足が動かなくなった時の絶望感、ブースターに進化した時の絶望感が、今となっては嘘のように、消えてなくなっていた。

もしかするとこれが、生まれながらにして定められた、僕の人生だったのかもしれない。

右足の怪我と、ブースターへの進化。

それらを しっかり受け入れたことが、僕の本当の人生のスタートなのかもしれない。


 ブースター 「ニンフィア」

 ニンフィア 「ん? なぁに?」



 ブースター 「僕、すっごい幸せだよっ!」



そうさ。

僕の本当の人生は、まだまだ始まったばかりだ。





   ― 後日談、完 ―


 ▼ 249 ムッソ@こううんのおこう 18/05/06 22:42:23 ID:JBKc2CMA NGネーム登録 NGID登録 報告
乙です 素敵なお話でございました
 ▼ 250 州街道◆IVIG1YNTZ6 18/05/06 22:45:00 ID:i2.JAdXM [10/10] NGネーム登録 NGID登録 報告



以上で完結です。

これまでのご支援、ご感想、ありがとうございました。



【オマケ】

当時書いた、ニンフィアのサイドストーリー。

http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=39344&l=1-

リメイク前のSSが基になっているため、部分的に話が繋がりません。



 ▼ 251 ンドロス@カムラのみ 18/05/07 09:21:18 ID:M.PCzaWw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
 ▼ 252 ンドロス@リリバのみ 18/05/07 20:46:33 ID:epWKa8nI NGネーム登録 NGID登録 m 報告
面白かった、乙!
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