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ゼクロム「月が綺麗だな」レシラム「…………」

 ▼ 1 イバニラ@Zリング 18/04/22 18:26:23 ID:BxL8IIIE [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
蒼黒のレースに満点の星を散りばめた夜の帳が下りて暫く、街の灯りが一つまた一つと消えていくのをぼんやりと眺めている者がいた。

眠らない街と言われたイッシュの大都会ヒウンも、妖怪達が騒ぎ踊りだす頃には人々の生活の証をまばらにしか見せなくなる。街を彩るネオンも、民家に灯る明りも、少しずつその存在を潜めていってしまう。

彼は僅かも視線をそらすこと無く、しかし特別熱心にそれらを観察するでもなく、ただ漆黒の瞳にその光景を焼き付けていた。

もう、何度この景色を眺めただろう、何度期待を抱いただろう。

考えても仕方の無い事を、彼はこの日も、壊れたラジオのように何度も何度も頭の中に響かせていた。

ゼクロム「今日も徒労に終わるのだろうか……」

そう言って彼は肩で息をするようにして、大きくため息を吐いた。

苛立ちや焦燥、様々な感情がない交ぜになり彼の心を容赦なく抉っていく。

その感情がとても理不尽なものである事は彼自身よくわかってはいたが、木々が白い化粧をし始めるこの季節のそよ風程度では、彼の心の昂りはおろか、それに伴って僅かに上昇する彼の体温を冷ます事さえできなかった。

今日「も」もう諦めよう。そう思い彼は最後に大きく空を仰ぐ。




美しく大きな月が、煌々と輝いていた。
 ▼ 2 バイト@オレンのみ 18/04/22 18:27:15 ID:9/DYc7N2 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 3 ギアル@デルダマ 18/04/22 18:27:59 ID:BxL8IIIE [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その日は朝から一部ポケモンによる集会が行われていた。世情を基にポケモン達の目線から秩序を考えていく、という趣旨だ。

しかしそのようなものはただの建前に過ぎず、実際は不満を漏らし合うだけの、ただの飲み会となっていた。

彼はこの集会があまり好きではなかった。

集まる連中は誰も彼も人間達から伝説だの幻だの言われている格式高いポケモン達だが、口を開けばご高説をたれるか愚痴を零すばかりで建設的な話など滅多に出てこない。

気持ちはわかる。普段彼らはだらりと姿勢を崩して不満を漏らすようなことなどせず、人間達の評するそれのように、厳粛で荘厳な存在として相応しい言動を心がけ気を張り詰めているのだろう。

誰にでもガス抜きは必要、つまりはそういうことだ。

しかし彼にしてみれば、そのような話をされても共感こそすれ同じように彼らに混じって愚痴をこぼそうとは思わない。むしろ、どれだけ日ごろストレスをためているのだと疑問にさえ思ってしまう。

勿論彼らを見下したりしているわけではないのだが、もう少ししっかりしてくれよと思いため息を吐いているのは事実だ。
 ▼ 4 ィオネ@ながながこやし 18/04/22 18:28:15 ID:VMHvlGGs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 5 ャオブー@パワーリスト 18/04/22 18:29:18 ID:vM7GFB6I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レシラム「3000年前はもっと綺麗でした」
 ▼ 6 ギアナ@まひなおしのみ 18/04/22 18:30:01 ID:BxL8IIIE [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかし、彼は集会へ来ることを欠かさない。

やや固い頭をしているとはいえ真面目なポケモンかと問われれば返答に困るような、そんな彼であるにも関わらず。

掃き溜めに鶴、泥中の蓮。

唯一匹、彼の心を魅了して止まない存在が、そこにはいるからだ。

一目見た時から心奪われ、その瞬間からずっと彼女の事が頭から離れない。

一時暫く会うことのない時期が続いたこともあったが、数十年が経過しこの集会が開かれるようになって彼女と再開したその瞬間、彼は再び心を奪われた。

何度も他愛ない話をし、共に満月の中夜空を飛び回り、酒の杯を交わし……彼は自身の心に確信を持つ。






理想の黒は、真実の白に、恋をした。
 ▼ 7 イケンキ@ゲンガナイト 18/04/22 18:31:54 ID:BxL8IIIE [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レックウザ「……街の美化についてはこういう事にしたいのだが、ゼクロム君はいかがかね」

ゼクロム「…………え、あ?」

レックウザ「なんだ、聞いていなかったのか」

ゼクロム「あ、え……すんません」

突然の事態に頭が真っ白になる。

まるで、人間でいうところの、考え事をしている最中に先生に名前を呼ばれた生徒のような感覚。彼は自身の頬に体温が集中していくのを感じた。

落ち着いてくると所々から失笑が漏れているのがわかる。それを聞いて彼は更に縮こまった。
 ▼ 8 ギアナ@げんきのかけら 18/04/22 18:33:25 ID:BxL8IIIE [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゼクロム「(レシラムさんにも笑われたかな……)」

ちらりと彼女の方を見るも、彼女はいつも通り会議に集中しているばかりで、そもそもこちらに関心さえ寄せていないようだった。

レックウザ「では次に、迷惑防止条例違反の件だが……」

ゼクロム「(なんで今日に限って真面目に話してるんだよ……くそ)」

非常に身勝手な話だが、彼はレックウザを恨んだ。

しかし直後には、真面目に会議をするならばと彼は意識を入れ替えて机に向き直る。

ふと正面を見れば、滝のように汗を流しているラティオスと目が途轍もなく泳いでいるラティアスが視界に映った。
 ▼ 9 ブリー@こんごうだま 18/04/22 18:35:25 ID:BxL8IIIE [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レックウザ「各地方、見回りの強化をお願いしたい。特に、廃墟となっている辺りはポケモン狩りが行われている可能性もあるため注意が必要だ」

思い当たる場所があるのだろう、銘々が資料を眺めながらうなったりメモを取ったりしている。

自分の所はと考えかけたが横目で見たレシラムの資料に既に地名が幾つか書き込まれていたので、話しかける口実にもと、彼は後で訊いてみる事にして考えるのを止めた。

それからはそれなりに真面目に会議に参加していたが、もうレックウザに名指しされることはなかった。

軽く呆れられたのか? 彼にとっては、どうでもいい事だった。
 ▼ 10 ナバァ@ルームキー 18/04/22 18:37:25 ID:PL9vTPrA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レシラムが「私死んでもいいわ」って返すのかな?
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