【ポケカSS】プレイ後には手を洗え:ポケモンBBS(掲示板) 【ポケカSS】プレイ後には手を洗え:ポケモンBBS

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【ポケカSS】プレイ後には手を洗え

 ▼ 1 6KVitIouZM 18/04/29 22:29:24 ID:AroNY.r6 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
 長旅お疲れさん。いろいろ大変だったろ。慣れない都会まで一人で来るのは。

 ……えー、あー、なんだ? その…… ご愁傷様でした。って言えばいいのか?こういうときは。

 そんな申しわけなさそうな顔すんなよ。警察も事故だって言ってたし、お前に非は一切ない。安心しろ。

 ……早く話進めろって感じの目してんなお前。そんなんじゃ新しいガッコでも友達できんぞ?

 俺の名前は遠藤次郎。……血縁上はお前のいとこ、ってことになるのか。こんな髭面だが年は30いってない。今はこのカフェを経営して生活してる。当然お前にも手伝ってもらうからな、覚悟しとけよ?

 一応地下はあるがお前には使わせない。寝る場所は俺の部屋か屋根裏部屋に限られる。まあ俺はいびきがひどいから実質一択だな。掃除は済ませておいたからさっさと荷物移して寝たほうがいい。

 ……意外と素直だなお前。それなら新しい環境にもすぐ慣れるだろ。おやすみ。いい夢見ろよ!
 ▼ 2 6KVitIouZM 18/04/29 23:36:45 ID:AroNY.r6 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
「『どうも。“小倉刃(おぐらじん)”です。好きなものはビデオゲームとお寿司で、嫌いなものは運動と……あと甘酸っぱい果物ですね。イチゴとか、グレープフルーツとか。早く皆と仲良くなりたいので、気軽に下の名前で呼んで下さい。これからよろしくお願いします。』」

 ……皆真顔で俺を見ている。やめてくれ。そんな目で俺を見ないでくれ。

 やはり聞かれてもいないのに好きなものや嫌いなものをベラベラと話してしまったのがいけなかったのだろうか。考えてみればそれが初めの会話のネタにもなってきそうだった。

 でもゲームとか一切しないようなやつをこの段階で除外できたのは案外美味しいかもしれない。まあこの自己紹介は一長一短ということでよしとしよう。

 背の高い眼鏡をかけた男の担任が開いた席を指差す。俺は軽く会釈してそこに向かった。

 担任が話している間、生徒たちは黙ってメモをとっている。前情報通りきちんと教育が行き届いているようだ。

 前もって担任には俺の家庭の事情をクラスメートに話さないように伝えてある。これで余計な偏見もなくなり、俺に話しかけやすくなるはずだ。


 ▼ 3 6KVitIouZM 18/04/29 23:37:06 ID:AroNY.r6 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
 朝のホームルームが終わった瞬間、いきなり隣の男が話しかけてきた。担任もでかかったが、こいつもかなりでかい。縦にも横にも。

 腕が太いし、胸板も厚いから多分何かスポーツとかやっているのだろうか。オレンジみたいな匂いがするところから考えて、制汗剤でも使っているのだろうか。

「その巾着袋ポケモンだよね?ポケモン好きなの?」

 さっそく食いついてきたなポケ廃め。

 この巾着袋は『ポケットモンスター ウルトラサンだったかムーンだったか』の予約特典だ。同じ趣味をしている奴が話しかけやすくなると思って持ってきたが、どうやら効果テキメンのようだ。

「うん。ポケモン好きだよ。この学校には他にポケモン好きな人はいる?」

 このセリフで芋づる式にポケモンプレイヤーを引き出す。完璧な流れだ。まさかこんなにうまくいくとは。

 ……しかし、こんな運動部みたいな体してるやつまでポケモンをやっているのか。世の中分からないもんだ。今度から負けたら腕立て5回とか始めてみようかな。

「うーん…… 僕が知ってる限りでも二人。みんないい人だからすぐ仲良くなれると思うよ!」

 あまり多すぎても友達付き合いが面倒になってくる。多いか少ないかは不明だが、これもまたベストな人数だ。

「もう引っ越しの準備終わった?今日早帰りで僕も空いてるからさ、良かったら遊ばない?」

 相手の身の上まで気遣えるイイヤツだ。経験上ポケ廃はキの字が多いからな。精神の摩耗を限りなく少なくするためにも、常識人枠は多く確保しておきたい。

「先生に呼び出しとかされなければ喜んで!今の住所と電話番号だけ教えておくね」

 そう言って俺がカフェの名前を口に出した途端、目の前のおおと……、大男は目を輝かせた。

「へぇ!僕も週末はよくそこ行くんだ!春の課題に追われて最近行けてなかったから、久々に行ってみようかな〜!」

 あの次郎とかいう胡散臭いおっさんとも知り合いなら、色々と利用できるかもしれない。

 最高を超えた展開。急所急所火傷。フルコンボだ。

 ここで始業のチャイムがなる。入学式一日後の今日はどうせ色々配布したり説明したりするんだろう。初めのつかみはパーフェクトだ。

「それじゃあ学校終わったらそっちで昼ご飯食べよっと!また後で話そ!」

「最後に名前教えてくれないかな?」

 少々食い気味になってしまったが、相手はそれを一切気にも留めずに答えた。

「僕は“日熊藤輔(ひぐまとうすけ)”。これからよろしくね、ジンくん!」

 ……羆、ねぇ。まあイメージとしては合ってるかもな。覚えやすいし。こいつの呼び方はヒグマで決まりだ。
 ▼ 4 6KVitIouZM 18/04/30 11:15:48 ID:/yTe8elE [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 学校が終わり、行きの倍ほどに膨れ上がった学校指定の鞄を両手で持ちながら家路を急ぐ。明日からはリュックでも持って行くとしよう。

 重厚感がある割に軽いカフェのドアを開けて、裏のはしごを降ろして屋根裏に上がろうとすると、

「ただいまくらい言え!」

 キッチンで洗い物をしている次郎さんが大声で怒鳴ってきた。

「ただいま!」

 適当に返してさっさとはしごを登る。礼儀を重んじるのはさすが親子というところだろうか。


 しかし思ったより快適そうな部屋だ。

 隅から隅までピカピカで埃一つないし、白で統一された新品のように見える家具も部屋の雰囲気を明るくしている。

 初日は掃除で潰れると覚悟していたくらいで、まさか居候のためにここまでしてくれるなんて思いもしなかった。


 ▼ 5 6KVitIouZM 18/04/30 11:36:13 ID:/yTe8elE [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 俺は早速持ってきたスーツケースを開け、ニンテンドー3DS(初期ロット)と充電器を取り出し、電源ボタンを押す。

 あれ?

 電源ボタンを押す。

 あれあれ?

 電源ボタンを押す。


 点かない……

 困ったぞ。新しい3DSを買うのは簡単だが、ニンテンドーネットワークIDの登録が面倒だし、何より俺は仮にも居候の身。心の健康のためにもあまり高い買い物はさせたくない。

 やることがなくなってしまった……

 せっかく手に入れた友達を早速失うのか?いや、そんなことはできない。急いで電話してDSだけでも持ってきてもらうしか……

「いらっしゃい!」

 ドアの開閉音と共に陽気な声が響く。気づけば学校を出てから30分が経過していた。そろそろ来てもおかしくない頃だ。

 転落しないようゆっくりとはしごを降りると、そこには友人一号のヒグマが。確か好きなポケモンはリザードンだったか。最近若干数が減ったように思えるが、あのドヒドイデすらも受けを躊躇わせるバカ火力には俺も手を焼いている……

「あ、ジンくん! こんにちは! 他の人たちはちょっと用事あるみたいでさ、連れてこれなくてごめんね」

 人の気も知らないで笑顔で挨拶してくるこいつが今は心底憎い。くそう。別にこいつのせいじゃないのに。

「ごめん。引っ越しの途中でDS壊れちゃったみたいでさ。日を改めるか、DS貸してくれないか?」

 俺がそう言うと、ヒグマは驚いたように目を丸くした。

「DS……? ああ、君ゲームの方なの? てっきりカードプレイヤーなのかと……」

 ん? カード? なんでそんな勘違いを……?

「DSぶっ壊れたならお前も始めてみないか? ポ、ケ、モ、ン、カ、ア、ド。」

 次郎さんが俺の肩に手をかけてくる。なんだか完全にアウェーみたいだ。俺は仕方なく二人の言うがままになってしまう……
 ▼ 6 6KVitIouZM 18/04/30 12:24:04 ID:/yTe8elE [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「じゃあお前にはこれ。俺の私物だから安心してくれよ」

 そう言って次郎さんが手渡してきたのは『スターターセット改造 カプ・ブルルGX』。俗に言う構築済みデッキというやつだろうか。

「お前には…… ほい、これ。まあ進級祝いみたいなもんだ。ありがたく受け取れ」

 ヒグマに手渡されたのは『スターターセット水 アシレーヌGX』。俺のよりも配色が明るい。

「……なんか格差を感じるなぁ。まあいいけど……」

 当人はかなり落ち込んでいる様子だ。まあ草と水ならどちらが不利かは火を見るより明らかだろう。

「それじゃあ二人とも、地下の対戦スペースへ行こうか」

 なるほど。地下にポケモンカードの対戦スペースがあったから入らせてくれなかったのか。となるとこれでようやく本当にここの仲間入りってことになるわけだ。

「ああ見えて次郎さん優しいから、ちゃんと教えてくれると思うよ」

 ……優しい人間は常連に不利なデッキを渡したりしないと思うが、な。
 ▼ 7 6KVitIouZM 18/04/30 22:21:44 ID:/yTe8elE [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
次郎「それじゃあ解説していくぞ」

 なんか話のテンポが一瞬で変わった気がする。カフェの経営者らしく、会話の主導権を握る方法は心得ているのだろうか。

次郎「まずはデッキをシャッフルする。普通のシャッフル……ヒンズーシャッフルもあるが、バトルの前はこうやってシャッフルするようにしてくれ」

 そう言って次郎さんはカードを並べ始めた。
   □□□□□
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 10枚並べたら、今度はその上に重ねるようにもう10枚、もう10枚…… 6回繰り返したところで手に持っていたデッキがなくなった。

次郎「この作業は、よく混ざるシャッフルであると同時に、山札の枚数を確認するのと同時に相手に不正がないことをアピールするものだから、相手が安心してバトルできるようにするためにも重要なんだ」

 そうこうしている間に、ヒグマはシャッフルを終えていた。指も太いのに器用なもんだ。

 かなり時間がかかってしまったが、最初だからということで見逃してもらった。もしかしたら大会にも出ることがあるかもしれない。今日の夜にでも練習しよう。

次郎「次はカードを7枚引いて、その中にあるたねポケモンを出すんだが……」

ジン「……たねポケモンがない……」

次郎「そういうときは相手にたねポケモンがないことを宣言して手札を相手に見せる。ヒグマ、お前はあったみたいだからサイド置くとこまで進めておいてくれ」

 ヒグマはコクンと頷くと、手札からもう一枚のカードを後ろに出して、デッキの上から6枚を横に置いたあと、赤い玉を1こデッキの上に置いた。

ジン「あれ何ですか?」

次郎「ダメージカウンター、略してダメカンだ。あれは本来の使い方を外れた使い方だから、また後で解説する」

次郎「手札を山札に戻してシャッフルした後、もう一度山札を7枚引け」

 言われた通りにデッキに手札を戻して、シャッフルする。普通のシャッフルならお手の物だ。

ヒグマ「へえ、意外と速いねぇ」

ジン「フッ、まあな」

 誉められて悪い気はしない。ここは適当に流しておこう。


 ▼ 8 6KVitIouZM 18/04/30 22:43:01 ID:/yTe8elE [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジン「……」

次郎「また無かったのかぁ?ならもっかい手札見せて、戻して、7枚引け。たねポケモンが出るまで繰り返すんだぞ」

 ヒグマがダメカンを山札の上にもう一つ乗せた。あれには何の意味があるのだろう。

 もう一度7枚引くと、手札に「カプ・ブルルGX」と「カプ・コケコ」が来た。守り神2体が並んでいるのはなかなかに見栄えがいい。

次郎「たねが来た、って顔してるな。ここでポイントだが、基本はワザを使うためのエネルギーが少ないポケモンか逃げるエネルギーが少ないポケモンを……って、まずはカードの見方から解説した方がよかったか?」

ジン「後でお願いします。今は自分でやってみるので」

 ……とは言ったものの、どうしようか。

 エネルギー、っていうのはさっき2枚引いたこの緑一色のカードのことだろうか。だとしたらカード1枚でワザが使える(であろう)カプ・ブルルGXを……ん?

 よく見るとカプ・コケコのほうの逃げるエネルギーのところには何も書いていない。ブルルが逃げるのに必要な白いエネルギーが手札にない以上、ここはコケコを盾にするのもいいかもしれないな。

 俺はヒグマと同じように、前にカプ・コケコを、後ろにカプ・ブルルGXを置いた。

ヒグマ「じゃあ二枚引くね〜」

ジン「じゃあ俺も失敬して……」

次郎「ちょっと待った! ちょっと待った!」

 俺がカードを引こうとすると、次郎さんに腕を全力で掴まれて止められた。

次郎「お前は引いちゃダメだろ!これは相手が引き直した回数分までカードを引けるっていうシステムなんだ」

次郎「見ろ。ヒグマは山札の上のダメカンを2個取り除いてから引いただろ?あれは間違えないようにっていう目印だったんだよ」

 こちとら初心者だぞ。そんな大声出さなくていいだろ……

次郎「じゃあお前も横にカードを6枚置いてくれ。これはサイドと言って、相手のポケモンが倒れたら手札にすることができる、言わば相手のライフみたいなものだ」

ジン「じゃあこれを0にすれば……」

次郎「そう。お前の勝ちだ。物わかりが良くて助かる」

 倒せば倒すほど手札が増えるのは若干おかしいんじゃないか?と思いながらも、俺は山札の上からカードを6枚取って、横に置いた。

 ▼ 9 6KVitIouZM 18/04/30 23:00:37 ID:/yTe8elE [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒグマ「それじゃあいくよー、じゃーんけーん」

次郎「ブッブーーー!」

ジン「今度はどうしたんですか……?」

次郎「まさか勉強熱心なヒグマまで知らんとはなぁ……」

ヒグマ「……僕何かしました?」

次郎「してないんだよ。実はな、じゃんけんはデッキをシャッフルするよりも前にやるんだ」

ヒグマ「なんで最初に言ってくれなかったんですか!」

次郎「いや、ジムバトルで優勝したこともあるヤツが基本ルールを知らない、っていう事実が面白かったからさ、できるだけ噛み締めてようと思って」

 ……本当にこいつのことを信用していいのだろうか。


ヒグマ「じゃあ改めて、じゃーんけーん……」

 そう言ってヒグマが手をグーの形に丸めるや否や、

次郎「はい俺たちが先行〜。ジン、ターンのはじめには必ず一枚引くんだぞ」

 鬼か悪魔か。

次郎「最初から手札減らされたら解説もへったくれもないだろ? ここはぐっとこらえてくれよ、な?」

ヒグマ「……僕だってそれくらい心得てますよ……」

 マンガのように頬を膨らませているこいつが不憫でならない。あとで持ってきた金でジュースでもおごってやろう。
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