【SS】ユリーカ「んっ……/// もう、そんなに激しくしたらみんなが起きちゃうよ……?///」【R18】:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】ユリーカ「んっ……/// もう、そんなに激しくしたらみんなが起きちゃうよ……?///」【R18】:ポケモンBBS

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【SS】ユリーカ「んっ……/// もう、そんなに激しくしたらみんなが起きちゃうよ……?///」【R18】

 ▼ 1 ワムラー@クラボのみ 18/05/30 00:09:40 ID:jNeQ9Axk NGネーム登録 NGID登録 報告
 それはまだ僕がサトシたちと冒険していた頃の話……

 ある日僕たちは次の街へ向かう途中にあった森の中でテントを張って一夜を明かそうとしていました。
 夜も更け、野生ポケモンたちも皆寝静まっているような深夜に何の因果か僕は目が覚めてしまいました。そしてふと横を見ると、寝ているはずのサトシの姿がありません。
 まあ、サトシのことですしちょっとその辺におしっこでもしに行ったのでしょう
 なんて楽観的に考えてまた僕はまた眠りにつこうとした……その時でした。テントの外から何か話し声?というか物音というか何かしらの音が聞こえた気がしました。
 何の音か気になった僕は眼鏡をかけて、恐る恐るテントの外を覗いてみました。

 ……僕はそこで見た光景を一生忘れることは無いでしょう。

「んっ……♡ もう、そんなに激しくしたらみんなが起きちゃうよ……?♡」

 そこではユリーカとサトシがセックスをしていました。
 ……いいえ、セックスなんて生易しいものではないですね。雄と雌がお互いを求めあい、貪りあう……それはまさしく本能的な''交尾''でした。

 サトシが一回り体の小さいユリーカに覆い被さるように後背位で欲望を打ち付けるように一心不乱に腰を振っている……
 ユリーカの体が壊れてしまうんじゃ無いかと思えるほどの男性器を、僕のなんかよりもずっと大きい男性器を、ユリーカの膣へと何度も何度も突き刺している……
 だけど、ユリーカの表情には痛みとかの負の感情を一切見受けられなくて……涎をだらしなく垂らして、快楽のみを受け入れ、悦んでいるその様はただの発情した雌でした。
 月明かりに照らされながら交わり合うその姿はとても扇情的で、幻想的で、いつの間にか僕自身もズボンの中で痛いほどに勃起してしまっていました。

 二人はいつからこんな関係なのか、とか
 この事をセレナは知っているのか、とか
 とにかくこんなことは止めさせないといけない、とか

 おもちゃ箱をひっくり返したように色んな感情で頭の中がごっちゃになっているのに、僕は何故だかひたすらいきり立った自分の男性器を扱くことに夢中になっていました。
 これは夢だ……夢の中の出来事なんだ……と何度も反芻しながら……
 ▼ 313 ャラコ@ボロのつりざお 19/01/24 00:13:42 ID:Jne.zDyA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「ぁっ……/// はぁ……はぁ……」

 とろんとした表情で、ユリーカが快楽からの解放に小さな喘ぎ声をこぼします。体を支えていた腕が折れて、ユリーカはどさっとベッドの上にうつ伏せになりました。

 びくびくと体を痙攣させ、痛むのか疼くのか、片手を股間にあてがう。シーツには、濡れた痕がくっきりと浮かんでいました。それも一ヶ所ではなく、大きなベッドのあちこちに。

 一回や二回の絶頂ではない。そう確信して、僕は頭に血が上ってどうにかなりそうでした。

 ユリーカの行いをやめさせると決心したからでしょうか……妹の淫らな姿を見ても、もう悦ぶ気になどなれませんでした。かつてはユリーカのそんな姿に、底知れない興奮を覚えたのに……それで何度も自慰を繰り返したのに……。

 きっと……一度ユリーカと体を交えた経験が、僕にそれまでと異なる価値観を与えているのです。
 これは愛や思いやりのあるセックスなどではない。ユリーカはサトシに弄ばれてるだけです。もしもこれを正常な男女関係だと呼べるなら、僕は性の全てを否定するでしょう。 

 僕は、ユリーカがオモチャのようにされている気がして、ただただ憎悪を膨らませていました。

 ……無駄な時間を過ごす意味はありません。歯止めが効かなくなる前に、僕は自分のやるべき事を遂行しましょう。ユリーカをこの場から連れ出すのです。

 「ユリーカ。うちに帰るよ。服を着て」

 ユリーカに近づき、顔を覗き込む。ユリーカの口周りには、唾液と……………………男の精液がこびりつき、気味の悪い艶を醸し出していました。
 ユリーカは落ち着かない息遣いをしながらも、かろうじて「うん」と答えました。
 ▼ 314 ニリュウ@ポロックケース 19/01/24 00:23:35 ID:Jne.zDyA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 部屋を見渡す。ユリーカの服は、無造作に部屋の隅に投げ捨てられていました。昨日見た白のペチコートではなく、旅の間に着ていた簡素なシャツとスカート、それとスパッツと下着です。デデンネが入っているであろうポシェットもそこにあります。僕はそれを拾い上げ、ユリーカの傍へ戻りました。未だふらふらとするユリーカを支えて、服を着させていく。

 「なあ、シトロン」

 汗だくでシャツが上手く通らず、悪戦苦闘する僕に、ベッドの端に腰かけたサトシが話しかけてくる。

 「言っとくけど、俺が無理やり連れ込んだんじゃないぞ。ユリーカは自分の意志で来たんだ」

 聞きたくもない自己弁護を始めるサトシを、僕は冷淡に無視しました。

 「ユリーカ、溜まってたんだろうなぁ。聞いたぜ。お前がユリーカに冷たくしてたって」

 へっ、と冷笑を浮かべ、サトシは僕の反応を伺うような視線を向けてきます。僕はユリーカの足に下着を通す事に集中し、サトシの煽りを聞き流しました。

 「せっかくユリーカも誘ってたっていうのに、可哀想じゃんか。ユリーカにフェラして貰ったんだろ? 気持ちよくなかったのか?」

 「黙ってて貰えませんか」

 我慢しきれずに、僕は毒を吐きつけました。サトシの言葉には品もモラルもなく、聞いているだけで神経を逆なでされる気分でした。

 一体、彼はどうしてしまったのでしょう……こんな人間ではなかったはずなのに……。

 初めて会った時は、そのバトルの腕前、人柄の良さに……そして何よりも、ポケモンに対する真っ直ぐな心に、憧憬を抱いたほどだったのに……今は見る影もありません。

 途中からおかしくなった。ユリーカを毎晩のようにレイプするようになった。……それとも、元々それが彼の本性だったのでしょうか?
 仮面をかぶって、チャンスが来るのを待っていたのか。

 ―――だとしても、どうしてユリーカなのでしょうか?

 僕はずっと、疑問に思っていました。どうしてサトシは同い年のセレナじゃなく、ユリーカをセックスの相手に選んだのか。

 ―――幼く、判断力の未熟な子供だから御しやすいと考えたのなら……最低です。最低な人間のやる事です。
 ▼ 315 レフワン@ヘラクロスナイト 19/01/24 00:25:13 ID:1NjQvdwg NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 316 フォクシー@きいろのはなびら 19/01/24 00:26:52 ID:Jne.zDyA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「…………サトシ。僕は正直、あなたを見損ないました。こんな事をする人だとは思っていませんでした」

 「いまさら何言ってるんだよ。知ってたんだろ? ユリーカから聞いたぜ。お前が俺たちの関係知ってたって」

 僕は横目で彼を見ると、見下すような冷ややかな視線とかち合いました。

 「旅の間、ずうっと俺たちのやってる事を知っていながら、一度も口出ししなかったよな。軽蔑するんなら、なんであの時止めなかったのか聞かせてくれよ」

 「答える義務はありません」

 「勝手だなあ、シトロン」

 そう言って、呆れたようにけらけらと笑う。はっきりと口にしなくても、サトシの言わんとしてる事はよく分かりました。僕に彼を軽蔑する資格はないという事です。

 ―――そんな事、分かってますよ……。

 ユリーカを犯したサトシ。ユリーカをおかずにした僕。そこにどこまで違いがあるでしょうか。どれほど違うと言うのでしょうか。本質的には、僕は彼と同じ穴の狢です。

 僕たちに違いがあるとすれば、ユリーカの初めてを奪ったかどうか……そのぐらいの違いでしかないのかもしれません。

 しかし、それでも僕はサトシと一緒だとは思いたくありませんでした。僕にとってユリーカは大切な妹であり、性欲の捌け口なんかじゃありません。

 「とにかく、もう金輪際、ユリーカに手出しをしないでください。それだけ約束してくれるなら、今までの事は水に流します」

 「ユリーカは自分の意志で俺に会いに来たって言ったろ? 俺だけが悪いみたいに言うなよ」

 「あなたが呼び出したんでしょう? そもそも、なんでもうミアレシティに来てユリーカと会ってるんですか? 水曜日に来ると言っていたのに……嘘をついてたんですか?」

 「水曜日にミアレジムに行くとは言ったけど、それまでミアレシティに来ないなんて言ってないだろ?」

 「酷い屁理屈ですね」

 「そっちこそ、言いにくい事はだんまりなくせに、酷い言い草だぜ」

 まるで話にならない。お互いに退く気も譲る気も無く、到底埒が明きそうにないと思えました。

 ▼ 317 リジオン@ふしぎなきのみ 19/01/24 02:23:04 ID:cjDcxjxM NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 318 マゲタケ@みどぼんぐり 19/01/25 00:42:21 ID:R0fMkkD. [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 一通りユリーカに服を着させた僕は、近くにあったティッシュで彼女のべたべたな顔を拭きました。

 ユリーカは一言も話しませんでした。僕とサトシが口論してる間も、ただうなだれ、ばつの悪そうな顔をしていました。自分の意志でサトシの所に来たという話が嘘なら、何かしら否定の言葉を言って欲しい所でしたが、彼女の様子を見ていれば、あまり期待は出来ないと思いました。

 「……今は話し合うだけ無駄みたいですね。ユリーカは連れて帰ります。また明後日、落ち着いて話し合いましょう」

 「別に明日でもいいけど」

 「いえ、明後日にしましょう。約束通り……ね」

 サトシはやや怪訝そうな顔をしましたが、特にごねる理由もないと思ったのか、「分かったよ」と素直に合意しました。

 それでいい。明後日にはセレナが来る。僕たちだけでは水掛け論にしかなりそうにないですが、セレナがいれば、きっとサトシを説得してくれるはずです。

 ユリーカに靴を履かせて立ち上がらせる。力がろくに入らないのか、足元がおぼつかない様子でした。それに性器が痛むのか、明らかに内股ぎみの姿勢でした。支えて上げないと、すぐに転んでしまいそうです。

 ユリーカのポシェットは僕が肩にかけ……デデンネはモンスターボールの中に入りっぱなしの様でした……そのまま出口へ向かおうとしたところで―――

 「おい、ユリーカ」

 ―――不意に、サトシが呼び止めてきました。

 「寂しくなったらいつでも来てくれていいぜ。俺はここで待ってるから」



 ――――――この期に及んで、まだ言いますか。



 呆れました。これほどユリーカとの性行為を糾弾してるというのに、彼は微塵も負い目を感じていないのです。
 呆れを通り越して、救いようが無いとすら思えました。
 ▼ 319 サキント@アップグレード 19/01/25 00:43:49 ID:R0fMkkD. [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「ユリーカ、俺たち、愛し合ったもんな。俺が来るのを楽しみにしてくれてたんだろ? 俺もお前とまたヤレる日を心待ちにしてたんだ」

 僕の侮蔑の眼差しも御構い無しにサトシは続ける。非常識も度を超すと、ただの変態でしかありません。同じ世界の住人ですらないと思えました。……もう彼は僕の知ってるサトシではありません。

 こんな言葉にムキになった所で、馬鹿を見るだけです。無視して帰るのが一番だ……少しは冷静さを取り戻しつつあった僕は、そう結論付けて、立ち止まったユリーカの背中を押そうとし―――

 ―――ユリーカの震えに気付きました。

 「お前と一緒にいた日々は最高だったぜ。お前がおねだりしてくるの、いつもワクワクしながら待ってたんだ」

 「やめて……」

 挑発するようなサトシの言葉に、ユリーカは表情をみるみる変えていきました。唇を引きつらせ、視線を彷徨わせる……肩を抱き寄せて俯くその姿は、耐え難いほどの辱しめを受けているという事をゆうに物語っていました。

 僕は―――冷めかけた熱が、再び脳を焦がしてゆくのを感じました。

 「お前の言ってくれた言葉はみんなよーく覚えてるぞ。特にあれが好きだな。初めて中出ししてやった時の台詞―――」

 「やめて!!」

 ユリーカは振り返り、悲痛な声で叫びました。

 「お願い!! もう言わないで!!」

 涙目で懇願するユリーカを、サトシは残忍な笑みを浮かべて見つめ返す―――やめる気配は、全くありませんでした。

 ―――それ以上、ユリーカを傷つけないで下さい……。

 念じるように、僕はサトシを睨む。我慢の限界はすぐそこでした。次の一言次第で、ここは修羅場と化します。

 ―――それだけはしたくありません……サトシ……どうか……。

 心の中で訴える。せめて一末の良心が残っている事を祈って……。

 ―――どうか、やめてください……。
 ▼ 320 ダリン@どくバリ 19/01/25 00:44:59 ID:R0fMkkD. [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 そしてサトシは――――――















 「“サトシの子種、キープしたい! ユリーカの中に、シルブプレ!” ……ってな!」







 ―――僕とユリーカの想いを、無情に踏み砕きました。
 ▼ 322 ルフーン@チーゴのみ 19/01/25 02:12:39 ID:j.eA6JhY NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 323 ネズミ@オレンのみ 19/01/25 23:10:01 ID:YKbQQTPw NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 324 リルリ@スチールメモリ 19/01/26 00:55:15 ID:DefINd2M [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 「あ…あぁ……あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!」

 部屋中に木霊する、ユリーカの絶叫。膝をつき、頭を抱えて、ユリーカは後悔の叫びを上げていました。

 僕はその叫びに、思考する事を完全に断たれました。血走った眼で、元凶を睨みつけ……拳を固く握って、駆け出していました。

 ―――信じていたのに……よくも!

 「よくもユリーカを!! サトシ!!」

 許せない。ユリーカを―――僕たちをメチャクチャにした彼を、もう許す事は出来ませんでした。

 「おっと! やめとけよ―――」

 振りかざした拳に動じる事も無く、サトシは―――



 「やめとけよ―――ピカチュウ」



 僕とサトシの間に一瞬で割って入ったピカチュウを、掣肘しました。

 僕は、ピカチュウの姿を見るや否や、反射的に動きを止めました。帯電し、威嚇するようにしっぽを立てたピカチュウは、完全に戦闘態勢に入っていたのです。
 並々ならぬ実力を持つピカチュウの本気の電撃を浴びれば……人間など、ひとたまりもありません。頭で考えなくても、僕の本能が、動くべきではないと判断していました。

 「くっ……」

 「穏やかにな、ピカチュウ。争いごとは良くないぜ」

 泰然とした態度で、サトシは嫌味たっぷりに言い放つ。初めから、手出しできやしないと分かっていたのです。
 ▼ 325 ガボスゴドラ@シーヤのみ 19/01/26 00:56:51 ID:DefINd2M [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 怒りの火を胸の中でくすぶらせながら、僕はサトシとピカチュウを交互に見ました。不敵な笑みを浮かべるサトシとは対照的に、ピカチュウは容赦のかけらも無いような、冷徹な眼差しを向けてきていました。

 「…………ピカチュウ……どうして止めるんですか……どうしてサトシに味方するんですか……?」

 僕は、納得しかねる想いを、ピカチュウに訴えました。どう考えたって、今のサトシを庇う価値なんてない! それはピカチュウの目から見ても明らかなはずです。

 確かに二人は強い絆で結ばれているかもしれません。しかし、だからといって、ここまで堕落したサトシを見ていて、ピカチュウは何とも思わないのですか……? ユリーカを傷つけ、僕を嘲笑うサトシを、本当にパートナーとして認めているのですか……?

 ピカチュウは……一瞬、苦虫をかみつぶしたように眉根を潜めましたが、すぐに冷淡な表情に戻りました。下がれと命じるように、電流を迸らせます。

 「……そうですか。ピカチュウは、あくまでサトシの味方、という訳ですか」

 親が親なら、ポケモンもポケモンですね……そう吐き捨てた僕は、踵を返してユリーカに駆け寄りました。嗚咽を漏らすユリーカは、涙と鼻水で、顔をぐしゃぐしゃに汚していました。

 ……ごめんよ……。

 胸が張り裂けそうな気持ちでいっぱいになりました。妹を守れない無力な自分が……死ぬほど憎らしかったです。

 その時、ドアを力強く叩く音が飛び込んできました。うるさいぞという注意の声が、扉の向こうから聞こえてきます。……ホテルの他の宿泊者が、騒ぎを聞いてやってきたのです。事態に気付いて、裸姿のサトシは「やべっ」と慌ててベッドの下に潜り込みました。

 「帰りましょう、ユリーカ……」

 僕はそう言って、泣きじゃくるユリーカを立たせました。ドアを開けると、思ったよりも大勢の人だかりが出来ていました。不機嫌そうな顔で睨んでくる大人たちに謝罪しながら、僕は妹を連れて部屋を後にする。

 ユリーカは涙が収まらず、目を瞑ったまま、僕の手に引かれて歩いていました。一階へ降り、驚いた顔の受付にお辞儀をして……。



 僕はユリーカをホテルから連れ出しました……。


 ▼ 327 ーデリア@たわわこやし 19/01/26 05:15:54 ID:JvPACtaM NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 328 リープ@きれいなハネ 19/01/27 01:00:14 ID:cbjw5AeI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 タクシーを呼び止め、プリズムタワーまでと伝えて…………家にたどり着いた時は、日も沈み、すっかり夜になっていました。

 夜のミアレシティは、美しい。多種多様な照明が町のあちこちを彩り、昼とは違う活気を催す。眠らぬ町の象徴たるプリズムタワーは、まさに豪華絢爛と呼べるほどの輝きに包まれ、町を照らし出します。

 しかし、その明かりも、僕たちの暗い心を照らす事までは出来ません……。

 僕は帰るなり、ユリーカをお風呂に入れました。ユリーカの体は、鼻をつくほどいやらしい臭いがまとわりついていて、とても休めたものではありません。
 心も体も傷つけられたユリーカには、休息が必要でした。

 丹念にユリーカの体を洗った後、寝間着を着させると、僕は彼女をリビングへ連れて行きました。冷蔵庫に入れていた朝食を取り出し、温めてユリーカに食べさせます。ユリーカは食欲はなさそうでしたが、僕はちゃんと食べるようにと言い聞かせました。

 その後、彼女の部屋へ連れて行き、ゆっくり休むようにと伝えました。

 ―――ようやく今日も終わりですね……。

 僕は、自分の部屋へと戻るなり、椅子に深々と座り込みました。どっと疲れが押し寄せて、長い溜息が出ました。休みたい気持ちでいっぱいだったのは、僕自身の方です。

 人生最悪の日でした。朝はユリーカと仲直りも出来ず、セレナに相談して、来てもらえる事になったのを喜んだのも束の間、ユリーカがこっそり抜け出した事に気付き、しかも会いに行ったのは水曜日に来るはずだったサトシだと判明して……大急ぎで二人の許へ向かってみれば、悪い予感通りにセックスをする二人。そして、変わり果てた友人と、そのパートナー……。

 悲しんだり、喜んだり……焦ったり、怒ったり……今日だけで、どれほど感情は目まぐるしく変化したでしょうか。今はもう気力も萎え果てて、何も感じられないほどでした。ユリーカの体を洗っていた時でさえ、彼女の裸体にまるで反応しませんでした。
 ▼ 329 ダンギル@こだいのどうか 19/01/27 01:01:34 ID:cbjw5AeI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 背もたれに体を預け、天井をぼうっと見やる。この先、どうなるのだろうと漠然と思いました。

 明後日、サトシとはちゃんと話し合いが出来るでしょうか……? 上手く折り合いをつける事が出来るでしょうか……?

 最後にサトシがした事を思えば、とてもろくな結果になるとは思えません……いや、もう話し合いをする気にもなれませんでした。

 ユリーカは、どうするのでしょうか……?
 こんな目に遭わされても、彼女はサトシにまた会いたいと思うのでしょうか……?

 セックスしてくれる男性を、欲しがり続けるのでしょうか……?



 ―――狂った歯車が全て元に戻る日は、来るのでしょうか……?




 心の奥底に秘めた願い。もはや、か細く儚いものに思えました……。

 ▼ 330 ジョン@ネコブのみ 19/01/27 02:27:30 ID:AdpIYUkU NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 331 ズゴロウ@スペシャルアップ 19/01/30 00:06:25 ID:MaOwOlkQ [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 暫く休んだのち、僕はパソコンを起動してメッセージツールを立ち上げました。セレナからのメッセージが入っており、それによると、彼女は無事カイナシティにたどり着いたとの事でした。明日の朝一で空港までの船に乗り、夜の便の飛行機に乗る。カロスに到着するのは、水曜日の朝になる予定だとの事です。

 僕はその報せに深く安心感を抱きましたが、その一方で、別の不安が芽生え始めていました。
 今のサトシを見たら、セレナはどう思うでしょうか……? やはりセレナに来て貰うのはあまりに申し訳ない事なのではないでしょうか……?

 僕は一応、セレナに今日の事を報告しようと思いました。サトシが既にミアレに来ていた事。ユリーカと密会し、そして性行に及んだ事……。

 ……別れ際に、ユリーカを平然と侮辱した事も。

 もう、サトシに話し合いは通じないかもしれない。そんな印象を抱いた事を、セレナに伝えました。セレナからの返事は早く、簡潔な内容でした。

 『シトロン、苦しい状況なのは分かるわ。でも落ち込まないで。大丈夫、きっとうまく行く。私を信じて』

 どうしてそんな自信が持てるのか……実際に問題の渦中にいないセレナは、事態を甘く見ているんじゃないかという不安が募るも、僕はその想いを押しとどめ、セレナを信じる事にしました。
 頼れるのはもう、彼女だけです……。
 ▼ 332 ジョン@もくたん 19/01/30 00:08:13 ID:MaOwOlkQ [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 食器を片付け、ユリーカの服を洗濯機に入れて―――軽くシャワーを浴びたら、僕ももう就寝する事にしました。

 明日はどうするか……ジムを全てシトロイドに任せ、僕は一日ユリーカにつきっきりでいないといけない……そんな事を考えながら、パジャマに着替え終わった時に―――



 ―――ユリーカのポケギアが鳴り出しました。



 「……………………」

 ぷにぷにと歌ってるように聞こえるヘンテコな着信音が、僕の部屋に響き渡る。もうユリーカから預かってしまおうと思って持ち出していたポケギア。こんな時間に誰からのコールか……可能性は一つしかありませんでした。

 「…………もしもし?」

 「…………へへっ、やっぱシトロンが出ちゃったか。まあ、分かってたけど」

 電話の相手は、サトシでした。
 ▼ 333 ーブシン@でかいきんのたま 19/01/30 00:10:04 ID:MaOwOlkQ [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「やっぱりポケギアでユリーカを呼び出したんですね」

 「何だよ、まだその話か? あーあーそうだよ。俺が呼び出しましたー。けど、ユリーカは断る事も出来たはずだぞ」

 「……それで? こんな時間に、今度は何の用ですか? あいにくユリーカはもう寝てますが」

 「冷たいなあ。起きてても出す気無いだろ。大事なコト伝えてやろうって思って、電話したのになー」

 何か思わせぶりな台詞を言うサトシ。これから休もうと思っていた矢先に、面倒な事になりそうだと思いながら、話を促します。

 「……なんです?」

 「お前、気付かなかっただろ? あの時、頭に血が上ってて、ちゃんと確認しなかったよなー」

 「だから、なんですか」

 焦らしてくる態度にイライラして、ぶっきらぼうに投げかける。電話の向こうで含み笑いをするのを聞きながら、僕は黙ってサトシの返事を待ち―――



 「デデンネは俺が預かってるよ」



 ―――告げられた言葉に、言葉を失いました。
 ▼ 334 ジスチル@ソルガレオZ 19/01/30 00:17:09 ID:SjKcwnDM NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ンネェ?!
 ▼ 335 ブト@かわらずのいし 19/01/30 00:33:56 ID:.glwOgKE NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 336 ミロル@ふしぎのプレート 19/01/30 01:34:44 ID:wcEYPwbY NGネーム登録 NGID登録 報告
シエンネ
 ▼ 337 ザンドラ@ゴーゴーゴーグル 19/01/31 01:08:28 ID:CJX22cv2 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「…………いま、なんて?」

 「へへ、驚いたか? そうだろうな。そういう反応をすると思ってたぜ」

 「デデンネを預かったって、どういう事ですか!?」

 僕は声を荒げながら思わず立ち上がる。自分の部屋に持ち込んでいたユリーカのポシェットを探り、中にあるモンスターボールを手に取る。


 ―――中身は、空でした。


 僕は……ユリーカを一刻も早くあの場から連れ出したくて……ちゃんとボールの中身を確かめずに……。

 ―――またしても、僕はなんてミスを……ッ!

 不甲斐なさに歯軋りしました。ユリーカが部屋にいなかった時といい、これといい、ほんの少しの確認を、怠り過ぎていました。

 「デデンネはどこにいるんですか? 無事なんですか?」

 「そんなに焦るなよ。デデンネは俺の隣で寝てるよ。別に、変な事をする気はないさ」

 今日は、ユリーカで十分満足したしな―――癇に障る余計な一言を、わざとらしく付け加えてきました。
 ▼ 338 ックウザ@みどりのはなびら 19/01/31 01:09:43 ID:CJX22cv2 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告

 僕は、気持ち悪い言い回しをするサトシに内心辟易しながらも、とりあえずは保護してくれてるのだと納得して、緊張を解きました。

 「…………一応、感謝します。デデンネを預かってくれて、ありがとうございます……」

 「それだけか? さっきまでの態度は、失礼にもほどがあるよな〜」

 「…………すみませんでした」

 悔しくて喉が締め上げられるような気分になりながらも、僕は謝罪の言葉を述べました。たった一つの不注意で、憎らしい相手に下手に出なくてはならないのが、嫌でたまりませんでした。

 とはいえ、デデンネが無事なら、それに越したことはありません。。明日にでも―――いや、何ならすぐにでも―――迎えに行きましょう。そうサトシに言おうと思った時―――


 「シトロン。俺、デデンネをただで返すつもり、ないからな」


 ―――え?


 冗談みたいな宣言をされました。
 ▼ 339 ダリン@メガストーン 19/01/31 01:13:52 ID:CJX22cv2 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「あの……どういうつもりですか?」

 「俺は今度、新しい地方へ旅立つつもりだ」

 意味が分からず、混乱する僕をよそに、サトシは脈絡のない話を始めます。

 「けど、そこでも気の合う仲間―――というか、性欲処理相手がな―――見つかるとは、限らないだろ? だからさ……」

 事も無げに低俗な事を話すサトシ。何がどう繋がってるのかも分からないでいる内に、いよいよサトシは核心を述べました。






 「デデンネと引き換えに、ユリーカを俺の旅に同行させてくれよ」





 ―――僕は、頭が真っ白になる気がしました。

 ▼ 340 ダイトス@かみなりのいし 19/01/31 01:14:20 ID:CJX22cv2 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告

 ―――どうしてですか……?

 僕は―――言われた言葉に、気丈に振舞う余力もなく……。

 じわじわと目頭が熱くなっていきました。

 「…………どうして、そんなにユリーカに固執するんですか……?」

 声が震える。理不尽さに心臓を抉られるかのようでした。僕の気持ちなど配慮もせず、サトシが打ち明けてきます。

 「ついこの間、別の地方に行ってたんだけどさ……そこで三人ぐらいの女を抱いたんだけど、満足できなくってさ。今日ユリーカとヤレて、確信したんだ。ユリーカのまんこは最高だってな」

 反吐が出るほど、自分勝手な理由でした。

「お前もユリーカにフェラして貰ったんだから、分かるだろ? あいつはすげえよ」

 全くもって嬉しくない賞賛。言っている事が信じられず、僕は苦しさに目をつぶる。涙がぽろぽろと零れ落ちました。

 ―――ポケモンと引き換えに、妹を性奴隷として差し出せと……いうことですか。

 最低を通り越した要求に、僕はポケギアを投げ出したい衝動にかられました。さっきの時点でサトシには心底失望していましたが、今はもっと激しい重圧が、胃を押しつぶすかのようでした。

 ―――これが、僕の尊敬したトレーナーの末路ですか……。

 ショックでした。ここまで堕落してるなんて思いもしなかった。かつて共に旅をした仲間の絆など、カケラもありません。

 無慈悲で、傲慢で―――悪意の塊でしか、ありませんでした。
 ▼ 341 モルー@ヒコウZ 19/01/31 01:14:58 ID:CJX22cv2 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告




 「おーい、聞こえてるのか?」

 「……聞こえてますよ」

 「よし。それで、どうするんだ? ユリーカを同行させてくれるか?」

 「……………………」

 「はは、すぐには答えが出ないよなー。分かってるよ。明日までに返事をくれ。ちゃんと約束してくれたら、デデンネは返すから」

 「…………それは、明日ユリーカを連れて行く、という事ですか?」

 「ああそうだよ。ユリーカさえついて来てくれれば、もういいからな。食事もしたかったけど、お前俺の事嫌ってるみたいだし」

 ―――本当に、僕の事は眼中に無いんですね……。

 「……明後日まで待って貰う事は出来ませんか?」

 「なんでだ? デデンネを奪い返す為の時間稼ぎでもしたいのか?」

 「明後日…………セレナが来る予定なんです」

 僕は、淡々と言葉を紡ぐ。悲しみが突き抜けて、心が虚無に帰していました。

 「ユリーカもセレナに会えるのを楽しみにしていたんです。会えず終いになったら、きっと悲しむと思います。それがサトシのせいだったら、セックスにも付き合ってくれないかもしれませんね」

 「…………ハッ。そういう事か。だから明後日にこだわってたんだな」

 腑に落ちたように納得するサトシ。本当はセレナが来る事はまだユリーカには伝えてもいないですが、サトシは何ら疑う事なく僕の嘘を信じたようでした。

 「まあいいよ。けどな、この事は話すんじゃないぞ。もちろん警察やその他の誰にもだ。面倒な事にはしたくないからな」

 「へえ、自分のやってる事、分かってるんですね」

 「うるっさいな。デデンネが無事でいられるかどうかは俺の気分次第だってこと、忘れんなよ」

 「…………」

 「……期限は明後日だ。いい返事を期待してるぜ。じゃあな」

 そう言って、サトシは電話を切りました。
 ▼ 342 イリキー@かいがらのすず 19/01/31 01:20:31 ID:CJX22cv2 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告


 つー、つーと鳴るポケギアを耳から離し、デスクの上に放り捨てると―――僕はベッドに身を投げ出しました。


 ―――大丈夫。きっとうまく行く。私を信じて―――


 つい先ほど、セレナの送ってきたメッセージを思い出す。セレナならきっと何とかしてくれると、信じた矢先の展開……。


 ―――すみません、セレナ……僕はもう……。


 上手く行くなんて、信じられませんでした。

 ▼ 343 ガジュカイン@ハッサムナイト 19/01/31 01:59:24 ID:TLwA4W1I NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 344 ゴーム@まんまるいし 19/01/31 10:08:27 ID:qj86gd4k NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 345 ッコラー@じてんしゃ 19/02/03 00:08:20 ID:iSeoJ1E. [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 どんなに長い一日もいつかは終わりを迎える。ベッドで毛布にくるまり、目を瞑った僕はやがて深い眠りにつき……目を覚ました時には、窓に朝日が差していました。

 洗面所へ向かう。思いもよらず、ユリーカとばったり出くわしました。お互いおはようと挨拶を交わすも、それ以上は僕もユリーカも語らず、気まずさを抱えながら、顔を洗いました。

 二人で静かに朝食を取る。僕は、昨日のサトシからの取引の事を言うべきかどうか、ずっと悩んでいました。

 出来る事なら黙っていたい……けれど、デデンネがいない事にユリーカが気付くのは、時間の問題でしょう。隠し通すなど、土台無理な事です。

 怖かった。ユリーカがデデンネを見捨てるはずがありません。僕だってそんなつもりはありませんが……きっとユリーカはサトシの要求に応じてしまうでしょう。そうなれば、僕とユリーカは、離れ離れになってしまうのです。

 ―――そんなの……絶対嫌だ……。

 悲嘆に頭を抱える。どうしよう、どうしようと同じフレーズが無限ループする。精神的に追い詰められた僕は、まともに解決策を考える事すら出来ませんでした。
 ▼ 346 クシー@ゴスのみ 19/02/03 00:10:19 ID:iSeoJ1E. [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「……ごちそうさま……」

 唇が渇くほどの時間。俯いていた僕の向かいで、食事を終えたユリーカが立ち上がる。食器をシンクに運び、自分で洗い始めました。

 打ち明けるなら今しかない―――そう思いつつも、なかなか覚悟を決められません。カチャカチャと音を鳴らして皿洗いをするユリーカの後ろ姿を、ただ見つめるだけでした。

 しっかり者とはいえ、妹はまだ全然幼い。こんな形で人生を左右されていいはずがありません……。

 「……ユリーカ……」

 僕は、呟くように呼びかけました。聞こえたかどうかも怪しいほどの小さな声。ユリーカは振り返らず、返事もせず、洗った食器を乾燥機に入れました。

 「話が……あるんです……」

 もう一度呼びかける。ユリーカは振り返らない。まるで無視してるかのような挙動に、僕は不安に駆られました。

 もしかしてユリーカは、まだ僕を許していないのでしょうか……。昨日の朝の事を、まだ根に持っている……?

 そう言えば、今朝からあまり目を合わそうとしてくれてないような気もしました。もしそうなら……僕はすぐに謝らなければならない。そして、もうどんな事でもいい。ユリーカの望み通りにしなくては。口を聞いてくれない、耳を貸してくれないのでは、話し合いも何もありません。

 「ユリーカ……! あの……!」



 「ごめんなさい……」



 ――――――え?
 ▼ 347 ョロモ@すごそうないし 19/02/03 00:11:14 ID:8o3./lq6 NGネーム登録 NGID登録 報告
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作者がコロコロ変わるけど今誰が書いてるのかな?
 ▼ 348 クスロー@ライトストーン 19/02/03 00:13:27 ID:GwUsTgKA NGネーム登録 NGID登録 報告
>>173によると

1-2 イッチ
35-48 フライドン
72-79 >>72
125- イッチ復活
らしい
 ▼ 349 ミッキュ@せいれいプレート 19/02/03 00:13:37 ID:1.nIM402 NGネーム登録 NGID登録 報告
(もうサトシトでいいやん)
 ▼ 350 ジーロン@ドラゴンZ 19/02/03 00:14:38 ID:iSeoJ1E. [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 不意に零れたユリーカの一言に、僕は目を瞬きました。突然の謝罪。全く身に覚えのない僕は、狐につままれたように呆然としました。

 ユリーカは背を向けたまま、怒られるのを恐れるような、緊張した声で続けました。

 「アタシ……悪い子だよね……。お兄ちゃんに……酷い事したよね……」

 今にも泣きだしそうな、上擦った声。華奢な肩が震えるのを見て、僕はいたたまれなくなって立ち上がりました。

 「ユリーカ、一体どうしたんですか? 何があったんですか?」

 これ以上、ユリーカの泣く姿を見たくない―――僕は慰めようと、ユリーカの肩に手をかけましたが……


 その瞬間、ユリーカは耐えかねたように僕の手からすり抜け、ダイニングを飛び出してしまいました……。
 ▼ 351 ックル@ミュウツナイトY 19/02/04 00:18:35 ID:9fKwWdbM NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 352 ェローチェ@しらたま 19/02/05 00:13:53 ID:An.Y.g5A [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 結局ユリーカは再び自分の部屋に閉じこもってしまい、僕の呼びかけに応じる事もなく……やっと出てきたのは、夕方になってからでした。
 泣き腫らした後の赤い目をしたユリーカを見て、僕は無性に彼女を抱きしめたい衝動にかられました。何を思って泣いていたのか……何を悔いて謝ったのか……聞きたい事はいっぱいありました。

 「……落ち着けたかい、ユリーカ?」

 「…………うん」

 「……僕もです」

 その日、僕は独りで悶々とした時間を過ごしました。話すべき事がいっぱいあるのに、朝からユリーカと話し合いも出来ない。明日にはサトシに返事をしなければならないのに、方針が定まらない。無論、誰にも相談できない。協会からは昨日の生体探知マシーンの無断使用を咎める連絡もあるなど、心に余裕を持てない一日でした。
 そんな末に、ユリーカが僕の部屋に顔を見せに来てくれた事は、涙を流してしまいそうなほど有難い事でした。

 「お兄ちゃん、さっきはごめんなさい。アタシ……」

 「ユリーカ。僕には、ユリーカがどうして謝っているのか分からない」

 さっきの事……急に飛び出した事なら、何も気にしていません。気にしているのは、ユリーカの本意です。

 「こっちへおいで。一緒に話そう」

 僕はソファに腰かけて、ユリーカを手招きしました。ユリーカは少しだけ逡巡するも、素直に僕の隣に座りました。

 「ユリーカ。色々、話さなければならない事があるんですけど……それよりも、一番聞きたいのは……ユリーカがどうして謝らなければならないのかという事です」

 「アタシ……」

 「ユリーカは、何か悪い事をしたのかい?」

 ユリーカは言いにくそうに表情を曇らせ、膝の上に乗せた拳を強く握りしめました。けれども、もう逃げも泣きもせず、意を決したように口を開きました。

 「アタシはお兄ちゃんに酷い事をした…………ううん、セレナにも酷い事をした。サトシがあんな風になったのも、きっとアタシのせい…………アタシは、悪い子なんだ」

 しんと、空気が静まってゆくのを感じました。
 ▼ 353 テラ@きいろのはなびら 19/02/05 00:14:50 ID:An.Y.g5A [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「……それは、どういう意味なんですか?」

 「アタシのせいで、みんなみんな不幸になってる……アタシが悪い子だから……嫌われてもしょうがない。もう許してなんて貰えないって思ったら……すごくつらくなって、逃げ出しちゃったの……」

 「ユリーカを嫌いになんてなりませんよ、絶対に。昨日も言いましたよ?」

 ユリーカを、妹として大切に想っている。それだけは、決して変わる事はない―――という事を。

 「でも……アタシがちゃんとしていれば……もっとちゃんと考えていたら……きっとこんな事にはならなかった」

 「ユリーカは何も悪くありません。自分を責める必要なんて無い」

 僕は、ユリーカの肩に手を回し、優しく彼女を胸に抱きよせました。小さな体の温もりが、伝わってきました。

 「……話してくれますか? 今までの事……」


 サトシと、どうして関係を持つようになってしまったのか―――


 セレナに、ユリーカがした酷い事とは―――


 今まで、本当は何を思っていたのか―――


 全てを精査する時が来ました。
 ▼ 354 ブリー@あくのジュエル 19/02/05 00:54:37 ID:uJYkvFXk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 355 クーン@グッズケース 19/02/05 01:04:44 ID:l8FUnOso NGネーム登録 NGID登録 報告
---完---
 ▼ 356 ーマルド@ユキノオナイト 19/02/05 04:38:30 ID:UcT2TYQw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 357 タフリー@じしゃく 19/02/06 02:30:34 ID:Lw8IY9xc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
なんかほっといたら、すっっっっっっっっげぇぇ溜まってた!
支援
 ▼ 358 ガヘルガー@わすれもの 19/02/07 05:36:15 ID:CyJoS6ME NGネーム登録 NGID登録 報告

 ―――ミアレジムでお待ちしてます!―――



 あの日……カロス発電所で、ロケット団の悪事を解決した後……僕は皆と別れて、一人先にミアレシティに戻りました。
 サトシとのジム戦に備え、一人で考える為に―――


 全ては、その時から始まったのでした。
 サトシとユリーカの関係が変わるきっかけとなったのは、僕が抜けた事でした。

 「アタシ、お兄ちゃんと離れ離れになるの、初めてだった……。一人になって、アタシも自分の事、考えるようになった……」

 今まで、好きでポケモンの世話をしたり、将来が心配な兄の嫁探しをしたりしていたユリーカ。
 けれども、その兄から一時的にでも離れた事で、自分の立ち位置を見つめ直す事になったのです。


 ポケモンマスターという、大きな目標を抱いて前へ進むサトシ―――

 そんなサトシを、ジムリーダーという壁として立ちはだかる為に離別した兄・シトロン―――

 ポケモンパフォーマーという、新たな夢に向かって歩き出したセレナ―――

 それに比べて、自分はどうだろう……? 何か一つでも、出来ているだろうか……? 成長に繋がる努力をしているだろうか……?

 「そんな風に考えた時…………アタシは、まだトレーナーでも何でもなくて……自分で道を選んで進む事も出来ないんだって分かって……」

 僕が抜けてすぐに、デデンネがポケモンハンターの罠で危篤状態に陥る事態があったと言います。その時は結果的に大事には至らなかったものの、ユリーカは兄に比べて、自分の無力さを感じたそうでした。

 「夜に、サトシがジム戦に向けて特訓してるのを見たの。そしたらアタシ…………“何かしたい!”って、本気で思った
。何でもいいから、力になりたいって思ったの……」

 ユリーカはその場でサトシに申し出たのでした。「アタシに出来る事なら、何でもする」と言って…………。

 ユリーカは、その時のサトシの顔を、よく覚えていると言います。


 不吉な影を映して、サトシはほくそ笑んだそうです……。
 ▼ 359 テノ@こおりのジュエル 19/02/07 06:15:43 ID:xXJwQ4sM NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 360 ネブー@おこづかいポン 19/02/08 00:27:07 ID:TOdQm11Y NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 361 マワリ@スピアナイト 19/02/08 00:46:56 ID:VDQUs03Y NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 362 ミツルギ@ももぼんぐり 19/02/08 02:56:41 ID:JvRcealM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 ―――俺の“ポケモン”を世話してくれよ―――

 それがサトシの要望でした。ユリーカはその時初めて、“ポケットモンスター”にはもう一つ意味があるという事を知りました。


 戸惑いながらも、初めて見たサトシのそれを、ユリーカは恐る恐る握りました。
 意味も分からないまま、ただサトシに言われる通りに、彼のペニスを手コキしたのです。

 ユリーカが“コツを掴む”のに、それほど時間はかからなかった。サトシはユリーカに「筋がいい」と言い、次には足や、太ももを使ってしごく事を求めました。

 最初は小さく柔らかかったペニスが、撫でてゆく内に大きく固くなっていく反応に、ユリーカも面白さを感じたと言います。

 「ポケモンにも、体を撫でてたらおちんちんが大きくなる子は時々いたから…………アタシは、サトシが気持ち良くなってるんだって分かって、もっともっとしてあげたいって思ってしまった……」

 それからは毎夜、ユリーカはサトシのペニスをしごきました。どうすれば適切にサトシのおちんちんを元気にしてあげられるか。ユリーカはたちまちサトシの敏感な所を覚え、サトシが驚くほどの速度で“成長した”と言います。

 ―――ミアレシティに着く頃には、口だけで射精させられるまでになっていたそうです。
 ▼ 363 チャブル@ミュウツナイトX 19/02/08 02:57:30 ID:JvRcealM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「お兄ちゃんがまた一緒に旅してくれるようになって、しばらくはやめてたけど……」

 ある日、サトシはもう一度して欲しいと要求してきた。その頃にはユリーカも、これがお世話や遊びの類ではないと直感で理解し始めていたようですが、仕方ないと軽い気持ちで承諾しました。
 そしていつも通りサトシのペニスをしごこうとした所で―――サトシの手が、ユリーカのスパッツの中に入り込んできたのでした。そのままユリーカのまんこに指を突っ込みました。

 おしっこをする所を触るなんて汚い―――ユリーカはビックリして拒むも、サトシの指に揉まれてる内に、抵抗する気持ちも薄れて―――



 「―――アタシもお世話して欲しいって、思った」



 もう、止まらなかった―――ユリーカがサトシの、サトシがユリーカの性器を揉み―――さすり―――舐めて―――唾液で塗りたくって―――体が火照り、奥底に巨大なうねりが広がっているのを覚えた。そのうねりをどうすれば解放できるか―――知りもしないのに、悟っていた。



 ―――ユリーカ……もう、入れるぞ―――


 ―――うん……入れて、サトシ―――




 「……初めては、すごく、痛かったけど……」



 ユリーカの処女は、そこで失くなりました。
 ▼ 364 トベトン@じゃくてんほけん 19/02/08 19:28:53 ID:Z0nsViFc NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 365 クロッグ@オーキドのてがみ 19/02/08 22:21:38 ID:j7XkB4vs NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 366 カマル@もえぎいろのたま 19/02/09 01:21:46 ID:qVl.mv8Y NGネーム登録 NGID登録 報告

 「アタシは……いい気になってたんだ。サトシが……セレナじゃなくて、アタシを選んでくれた事に……」

 サトシとユリーカの、初めての本番―――それがユリーカの心に、どれほど強烈に焼き付いたか、想像に難くありません。
 そして勿論、その体験が、たったの一回きりで終わるはずもありませんでした。

 「毎日……夜が楽しみになった。早くセレナとお兄ちゃんが寝てくれたらって……そればかり考えてた」

 偽りなく、本心を赤裸々に語るユリーカ。顏は淡白としていながらも、その体験が当時はこの上なく素晴らしいと感じていた事は、言葉の端から如実に伝わってきました。

 事実、サトシとセックスしているユリーカの顔には、嫌悪感も後ろめたさもなかった事を覚えています。あったのは快楽への喜びと、更なる刺激への欲求だけです。僕はそんなユリーカを、旅の間、ずっと見ていたのです……。

 ユリーカは、サトシから言われた「これが愛し合う事なんだ」という教えを、一切疑う事なく信じたと言います。それまで、言葉は知ってても実態はよく分かっていなかった“愛”について、ユリーカが真偽を問えるはずもなかった。ユリーカは、自分が大人の階段を上っている気分になって、有頂天になっていたのです。

 「アタシ……知ってたのに……セレナの気持ちを知ってて……これがセレナへの裏切りだと分かってて……それでもやめられなかった……!」

 ユリーカがうつむく。不意に声の調子が変わり、今度は恥の気持ちが表面に浮かび上がりました。これもまた、嘘偽りないユリーカの本心だと思いました。

 僕は、ユリーカの話をずっと黙って聞いていましたが……セレナの名前が出て、思わず疑問を口にしました。

 「セレナは……知ってたんでしょうか……? ユリーカとサトシの事……」

 昨日ビデオ通話で話をした時、どうにも違和感を覚えたセレナの解答。勘でサトシの関与を言い当てる不自然さが、心に引っ掛かっていました。
 ユリーカは、心を殺すように目を細めて、質問に返しました。

 「…………知ってたと思う。確証は無いけど……間違いないよ」

 旅の終わり頃、それぞれの道へ旅立つ事が決まってから……ユリーカは気になってセレナに疑問をぶつけたと言います。……このまま、サトシと別れてしまってもいいのか……恋を諦めてしまうのか……と。

 セレナは、悲しそうに微笑みながら、こう答えたと言います。


 ―――私には、性的魅力が足りなかった……だから選ばれなかった―――


 ―――もっと、魅力的な女性にならないとね―――


 「セレナ、微笑んでたけど…………いつもの、安心させてくれる笑顔じゃなかった。よく分からないけど…………すごく怖かった」

 ユリーカをまじまじと見つめ返すセレナの目からは、全く本心が読めなかったと言います。それは、深すぎて真っ暗な谷底を見るかのようで―――


 ―――空恐ろしいものを感じさせるものだったそうです……。
 ▼ 367 ギギアル@エレベータのカギ 19/02/09 01:23:28 ID:vf3YuAvE NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ヤンデレは いいぞ。
 ▼ 369 ールル@ジュナイパーZ 19/02/09 01:39:27 ID:3/dsijrA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
これは、(ヤバい意味で)カオスになりそう……
 ▼ 370 チャブル@きんのいれば 19/02/09 06:54:09 ID:kf3UR1BA NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 371 ムナイト@TMVパス 19/02/10 00:23:37 ID:eTIMrid. [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「アタシ、その時理解したの……アタシは、セレナの幸せを奪ってしまったんだって……」

 顔を手で覆い、後悔の言葉を紡ぐユリーカ。罪の意識が、剣となって彼女の胸を刺し貫いているかのような、悲痛な声でした。

 「……本当はね……昨日サトシに呼び出されて……会いに行こうって思ったのは……話し合って、もうあの頃の関係を終わらせたかったからなの」

 ややの沈黙の後、ユリーカは切り出しました。

 「今更、って言われてもしょうがないけど……でも、アタシ、もう出来ないと思った。サトシとエッチを続けてたら……お兄ちゃんにも見放されると思ったから」

 ユリーカが言っているのは、一昨日の夜の一件でした。ユリーカとサトシの性行為について僕が知っていたという事が、ユリーカには大きなショックだった。その事実と、ユリーカは誰でもいいんだという発言が、彼女の心に深く突き刺さったようでした。

 僕がエッチに応じようとしない理由も、ユリーカがサトシと肉体関係を持っていたから…………そう考えたのです。

 「自分が困ったからって、手のひら返そうなんて……ずるいよね……虫が良いって言われて、当然だよね……」

 言うまでも無く、サトシはそれを許さなかった。ユリーカが護身用に連れてきたデデンネをいとも容易く拘束し、ユリーカを無理やり犯したのです。

 ユリーカは必死で抵抗するも、大声を出したらデデンネを痛い目に遭わせると脅され―――なくなく耐え凌ごうとしたものの、次第に体に植え付けられた感覚が呼び覚まされて……いつの間にか、快楽を享受して……されるがままになっていた。そして僕に、セックスの現場を目撃される事態となったのです。
 ▼ 372 ィオネ@ポロックケース 19/02/10 00:24:29 ID:eTIMrid. [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「あの時、お兄ちゃん怒ってた……。アタシ……もう駄目だと思った……すごく怒ってたから、もうアタシの事、絶対に許してくれないって……」

 ―――違う、とは言い切れない。あの時僕は、ユリーカやみんなに騙された気分になって、確かに怒りを覚えていました。けれど、その真実が想像と全く違うのならば、反省すべきは僕の方です。

 「ユリーカ……その時の事については、僕も謝らなければなりません。僕もあの時、気が動転して、悪い想像ばかりしていた……ユリーカが僕を置いてどこかへ行ってしまうんじゃないかって、不安だったんです」

 「ううん、悪いのはアタシだよ。会えばサトシがどうしようとするか、アタシ分かってたのに……お兄ちゃんに何も相談しないで……デデンネにも、怖い思いをさせちゃった……全部ユリーカのせいだよ」

 罪悪感に堪え切れないかのように、ユリーカは僕の胸に顔をうずめる。ユリーカのつらい気持ちが伝わってくるようで、僕も強く彼女を抱きしめました。

 ―――ごめんなさい、ユリーカ……。

 僕は、言葉に出来ないほどの後悔の念が溢れていました。
 悪いのはユリーカではありません。僕が、妹を守れなかったのです。

 ユリーカとサトシのセックスをおかずにしていたあの頃は、将来的にどうなるかなんて、思いもしなかった―――黙っていれば、いままで通りでいられる、なんて甘い考えだった。それがそもそもの間違いです。

 ユリーカはセックスの虜になり……サトシは残酷で横暴になり……セレナは失恋し……何が変わらなかったというのでしょう? 僕たちの友情は、絆は、もう致命的な崩壊をきたしてしまいました。

 それに、サトシ……どうしてユリーカを選んだのか、真相が分かった今……彼に弁明の余地はなくなりました。恋愛ではなく、ユリーカの純粋な気持ちに付け入っただけの、卑怯な手口。彼に非が無いなんて言える訳がありません。

 セレナも……ユリーカとサトシの関係を知っていたのなら、僕が相談していた時の態度は、全くの道化芝居だったという事になります。何故嘘をついたのか……本当は何を考えているのか……今一度、話し合わなければならないでしょう。

 ―――そしてユリーカにも、明日待ち受けているものについて、話しておかなければなりません。
 ▼ 373 ボミー@ビアーのみ 19/02/10 00:35:22 ID:eTIMrid. [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「ユリーカ……もし明日、セレナに会えるとしたら……どうしたい?」

 「え…………どういう意味?」

 「明日、セレナが来るのです。サトシと一緒に、話し合う為にね」

 目を大きく見開き、僕の顔を見上げるユリーカ。寝耳に水の話に、ユリーカは開いた口が塞がらないようでした。

 「そのサトシですが……驚かないで聞いて下さい……それと、僕を許してください……デデンネと引き換えに、ユリーカに旅に同行して欲しいと言っています」

 「引き換えって……どういう事?」

 「実は…………」

 僕は、僕の不注意の為に、デデンネがサトシの手に落ちてしまった事を告白しました。そして昨日の夜に、取引の為に連絡を入れてきた事を……。

 「そんな……デデンネが……!」

 「今は無事のはずですが……ユリーカが付き添いを断れば、彼がデデンネをどうするか、保証は出来ない状況です」

 「助けないと!」

 ユリーカは、必死の形相で僕の袖を握りました。平静でいられないのは、無理もない事……デデンネは今、実質的に人質となっているも同然なのです。

 「無理だよ、お兄ちゃん……アタシ、デデンネを見捨てるなんて出来ない……でも!」

 デデンネを助ける為の条件に、ユリーカは反発しました。

 「お兄ちゃんとも別れたくない! もう離れ離れになりたくない! アタシは―――」

 目に涙を浮かべ、切な心情を訴えるユリーカ。吐息が感じられるほど近い距離。
 僕は魅入られたように、ユリーカの顔を見つめていました。堪えていた想いが、ユリーカの口から吐露される……。



 「―――アタシは、お兄ちゃんが好きなんだもん!」



 ―――葛藤でがんじがらめだった僕の心が、解き放たれるのを感じました。
 ▼ 374 ゲピー@ボスゴドラナイト 19/02/10 01:19:26 ID:4hw2ueyw NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 375 ノムー@エネコのシッポ 19/02/10 02:08:37 ID:vi9kObw6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 376 ーパ@プロテクター 19/02/10 15:22:16 ID:5oTcAeao NGネーム登録 NGID登録 m 報告
泣ける
めっちゃ上手いなあ…
 ▼ 377 ースト@こだいのどうか 19/02/13 00:35:04 ID:sK1UPgFU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 ―――どれほど、待ったでしょうか……?

 ―――その一言を聞きたいと、どれほど願ったでしょうか……?

 重圧がことごとく拭い去られ、空へも舞い上がりそうなほどの高揚感が、僕を満たしていました。

 僕は、愛しい妹の頭を撫でる。

 「ユリーカ……それは、本心かい?」

 「うん。お兄ちゃんが好き。ホントにホントに、大好き」

 ユリーカは僕の背中に腕を回し、決して離さないという勢いでぎゅっと締めました。もどかしそうに、僕の胸に顔を押し当てる。
 僕はそんなユリーカを、痛がりそうなほど力強く抱きしめました。

 ―――ありがとう、ユリーカ……。

 ユリーカは、僕を選んでくれました。大して出来の良い兄でないけれども、僕といたいと言ってくれたのです。

 それだけで、救われる気持ちでした。迷いも不安も、全て洗い流される心地でした。

 「……僕もですよ、ユリーカ。ユリーカと離れ離れになんて、なりたくない。大切な妹を、サトシに盗られたくない……だから―――」

 僕は、ユリーカと顔を合わせる。決意を固めるように、ユリーカの瞳を見つめました。

 「―――デデンネは必ず、取り戻してみせます。僕がユリーカを守ります」








 「……うん」

 ユリーカは、照れるように頬を赤らめながら、微笑んでくれました。
 ▼ 378 ィアンシー@まんぷくおこう 19/02/13 00:38:56 ID:sK1UPgFU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 静けさが満ちる夜―――僕とユリーカは、同じベッドで横になっていました。

 今夜はお兄ちゃんと一緒に寝たい―――ユリーカのお願いを、僕は快く受け入れました。

 互いの体温が伝わる距離。少し腕を動かせば触れ合える近さ。穏やかな寝息は、耳にかかるかのよう……。

 隣に大切な人がいるだけで、これほどに心地が違うという事に、驚かずにはいられませんでした。

 「……お兄ちゃん、まだ起きてる……?」

 不意にユリーカがつぶやきます。僕は天井を見つめたまま、返事をする。

 「ええ、起きてますよ」

 「アタシね……明日、セレナに謝る」

 静かな口調で、ユリーカは固い決意を語る。

 「今までの事……もしかしたら、許してはくれないかもしれないけど……でも、謝りたい。セレナとは、正直でいたいから」

 僕は、無言でユリーカに微笑みました。セレナがユリーカの事をどう思っているかは、はっきりとは分からないけれど……きっと二人は上手く行く。そう思えました。

 「あとね……サトシには、今度こそ正直に断る。アタシが好きなのはお兄ちゃんだって、言ってみせる」

 真剣な顔つきで宣言する。僕は少し気恥ずかしくて、照れ笑いをしてしまう。

 「……あのね、お兄ちゃん」

 そんな僕を見ながら、ユリーカは優しい微笑みを僕に向けます。

 「アタシね……いつもお兄ちゃんの事……ちょっと頼りなくて、将来が心配だなぁって、思ったりしてたの……ミアレに戻ってからも、お嫁さんになってくれる人、探してたんだけど……」

 「…………それはやめて欲しいって、ずっと言ってるじゃないですか…………」

 「うん、もうやめる。お兄ちゃんのお嫁さんになる人は、もう決まったから」

 ユリーカは、眩しいほどに煌めく瞳で、真っ直ぐに僕を見つめていました。

 「……サトシに、アタシの恥ずかしい事を言われた時……お兄ちゃん、怒ってたよね。あれは……アタシの為を想ってくれてたんだよね?」

 質問ではなく、確認の問い。僕はユリーカの眼差しに魅入られて、あの時の自分を思い出す事も出来ません。

 「あの時のお兄ちゃん……カッコ良かった。世界で一番」

 近づくユリーカの顔に、僕は思わず目を瞑り――――――




 ――――――唇に、柔らかな感触が当たるのを感じました。
 ▼ 379 ランブル@ベリブのみ 19/02/13 01:00:38 ID:pO2km/KY NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 380 シャマリ@ズリのみ 19/02/13 15:25:24 ID:9LBQZnYo NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 381 マヨール@のんきのおこう 19/02/13 23:21:38 ID:BmN25/b6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
このロリコンどもめ!
 ▼ 382 ケニン@きんのおうかん 19/02/14 00:51:59 ID:.JAw2j3o [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

チュンチュンと、鳥たちの囀りが聞こえる。柔らかな夢から覚めて、日が差す窓を見やる―――朝が来ていました。
 僕は、傍の棚に置いていた眼鏡をかけ、隣で眠る妹を見やる。麗らかな金髪が寝ぐせでくしゃくしゃになっている。しかしそれでも、ユリーカの美貌をカケラほども損なわせてはいませんでした。

 ユリーカは顔をこちらに向けて、瞼を閉じている。まだ深く眠っているようなら、なるべく起こしたくない所でしたが……

 ……ユリーカの手が僕の手をぎゅっと握っていました。

 「……ユリーカ。さては、起きてますね?」

 「…………ふふっ」

 あっさりと白状するようにほくそ笑み、ユリーカはゆっくりと瞼を開けました。

 「今日は随分と早く目を覚ましたんですね」

 「ユリーカ、ずっと、ドキドキが止まらなかったの。寝るまでも、夢の中でも……今でも止まってないよ」

 そう言って、ユリーカは僕の手を自分の胸に当てる。ぎゅっと、宝物のように抱き締めます。

 「出来れば、もう少しこうしていたいなぁ……なんて」

 「これから、何度だってありますよ」

 なだめる為に、ちょっと大胆な事を言いました。案の定、ユリーカが目を輝かせて飛びつく。

 「本当に? これから、何度も?」

 「本当ですよ」

 「本当に、本当に、何度でも?」

 「……それはちょっと意味が変わってきますよ」

 「あははっ」

 快活に笑う。久しく見ていなかった、ユリーカの屈託ない笑顔。こんな顔を見られるなら、本当に何度でも一緒に寝てあげたいと思えました。
 ▼ 383 アル@スターのみ 19/02/14 00:53:30 ID:.JAw2j3o [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「それじゃあ、ユリーカ、今日は我慢する! セレナを迎えに行かないといけないもんね!」

 「……そうですね」

 僕は時計を見ながら、セレナの到着までの猶予を見積もる。

 「あんまり、のんびりはしていられなさそうですよ」

 「それじゃあ、すぐ支度しないとね!」

 ユリーカはそう言って、毛布を払ってベッドから飛び起きました。僕は、慌ててユリーカを呼び止めます。

 「ユリーカ、ちょっと待って下さい!」

 「ん、何? お兄ちゃん?」

 「その……………………昨日の夜の事は、セレナには言わないで下さいね。僕が、怒られちゃいますから……」

 「え、どうして?」

 ユリーカはきょとんとした目で僕を見る。僕は言い淀んでしまいましたが、何を思ったのか、ユリーカは一人で納得しました。

 「うん、分かった! 内緒にするね!」

 にこっと笑う。愛らしい笑顔と、朝日に照らされたその姿は……さながら天国から舞い降りた天使のようでした。

 「じゃあ、ユリーカ着替えてくるから、お兄ちゃんも遅くならないようにね!」

 彼女はそう言って、床に脱ぎ捨てた衣服と下着を腕に抱え、自分の部屋に走っていきました。



 僕もまた、ベッドから降りて―――パジャマを拾い上げて、畳んでタンスにしまいました。
 ▼ 384 ィグダ@ラッキーパンチ 19/02/14 02:52:21 ID:EfHkYIvU NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 385 ルタリス@リニアパス 19/02/14 06:04:50 ID:V3.YZcEA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 386 113代目紅白餅◆IK.w/SFJM. 19/02/14 15:52:51 ID:Cp02EQnY NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 387 ンリュウ@アイスメモリ 19/02/18 03:03:29 ID:OZVopBpc NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 388 シギダネ@ホズのみ 19/02/18 03:16:27 ID:sgboON22 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 389 ニシズクモ@ノーマルZ 19/02/18 18:05:50 ID:5v8Mk6NM NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 390 ュカイン@ふしぎなアメ 19/02/21 00:05:46 ID:MS9UR97U [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 プリズムタワーから出発して、ほどなく―――空港についた僕たちは、丁度ラティアス空港の便が到着したアナウンスを聞きました。
 大勢の乗客たちが飛行機から降りてゆくのをロビーから眺める。やがて到着口から、見慣れた帽子を被った女の子が降りてくるのを見つけました。

 「シトロン! ユリーカ! 久しぶり!」

 「うわーい! セレナ!」

 目が合うや否や、セレナとユリーカは嬉しさを抑えきれぬように、互いに走り寄って抱き合いました。

 「ユリーカ元気だった? あら、ちょっと背伸びたんじゃない?」

 「うん! セレナも髪をまた伸ばし始めたんだね!」

 「気付いてくれた? テレビ電話で話した時、シトロンは全然気付いてくれなかったのよ?」

 「お兄ちゃん、にぶーい! あははっ」

 見る間に花咲く女子トーク。笑いあう二人を見て、僕は気持ちがほっこりしていきました。
 ……会話の内容はさておき。

 「わざわざ来てくださって、本当にありがとうございます。長旅でお疲れでしょうから、まずはミアレジムで休んで下さい」

 「セレナ、ユリーカね、大事な話があるの……!」

 「分かってるわ、ユリーカ。今日はその為に来たんだもの」

 ユリーカにウインクをしてみせるセレナ。僕はふと、彼女が脇に抱える物に気を惹かれました。ホウエン地方特有の包装紙にくるまれた、円盤状の物……ただの土産にしては、サイズがやや大きすぎると思いました。

 「ああ、これ?」

 僕の視線に気付いて、セレナがその品に手を置きます。

 「……私の、秘密兵器って所かしら。役に立つかどうかは、分からないけど……」

 少し憂いた様子で、セレナはつぶやきました。僕は「そうですか……」とだけ返して、深く詮索するのは後回しにすることにしました。

 まずはミアレジムへ戻り、現状の報告。そして―――セレナの本心を、確かめる事が優先です。
 ▼ 391 ガフシギバナ@バトルサーチャー 19/02/21 00:07:55 ID:MS9UR97U [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 ミアレジムに到着し、お茶を用意したあと……僕は我先にとせがむユリーカを制して、先にセレナと二人きりで話をする事にしました。
 ユリーカには悪いけれど、これからの方針において重要な事でした。

 セレナは何かを感じ取ってくれたのか、僕を優先する事に同意してくれました。ユリーカとも後で必ず話をするねと約束し、不服のユリーカを何とか部屋へと引き下がらせてくれました。

 「…………」

 テーブルをはさんで、向かい合う二人。改めて疑心を口にするのが躊躇われて、僕は言葉がうまく出るかも怪しい心境でした。僕の緊張を知ってか、セレナは話を促す事なく、カップを口に運んで、ただ待ち構えていました。

 「……現状……の話をする前に、セレナに確かめたい事があります」

 「……なにかしら?」

 「一昨日の話で……セレナは、サトシとユリーカの事を、何も知らなかったと言っていましたよね……? あれは、本当なんですか?」

 「……どうしたの、急に? そんな事……」

 セレナが、半笑いしながらも視線を逸らさず聞き返す。僕は仲間を疑う自分にやましさを感じて、少し目線を落としました。

 「その……僕自身、疑いたくはないのですが……でも、大事な妹の未来がかかっている今日は、何事も有耶無耶にしていたくはないのです」

 石橋を叩いて渡る。セレナとの信頼に傷をつけるリスクを負ってでも、この確認は必要なのでした。実は僕に嘘をついていたのなら、安心して全幅の信頼を置く事は出来ないからです。

 「……本当よ、シトロン。私は知らなかった」

 セレナの答え。一抹の濁りも感じさせない声音でした。

 そして―――――――――









 「…………なに、これ?」

 虚を突かれたように目を丸くしながら、セレナは自分のカップに視線を落としました。

 カップが、蛍のように淡く、信号のように赤く、光っていたのです。
 ▼ 392 ラピオン@レベルボール 19/02/21 00:27:06 ID:MS9UR97U [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「……やっぱり、嘘なんですね……」

 静かな声音で、僕は告げました。

 「ちょっと待って、シトロン。これは何? どういう事?」

 慌てて椅子から立ち上がり、カップをテーブルに置き離す。やや焦りを見せるセレナに、僕は悲しみを堪えて白状します。

 「そのカップは……嘘発見器です。半メートル内の人の心音を察知・分析して、嘘を暴くのです」

 「うそ……」

 信じられないといった様子でつぶやくセレナ。さすがに、刑事ドラマの中でしか見ないようなものが目の前に出されるなんて、思いもしなかったでしょう。ましてカップの形であれば、なおさらに。
 セレナは険しい顔つきで僕とカップを交互に見つめました。

 「……なんか……卑怯よ……。科学をこんな形で使うなんて、シトロンらしくないじゃない……」

 失望した―――セレナの冷ややかな目に、ぐっと息が喉に詰まる。まさに想像していた通りの……軽蔑の表情でした。
 僕としても、こんなやり方は不本意でした。願わくば一途に仲間を信じたかった。けれど―――

 ―――現にセレナの言葉は嘘だったのです。

 「セレナ、正直に話してください。僕は正直になると誓いました。ユリーカも、昨日セレナに正直でいたいと言っていました。セレナも正直になってくれなければ……きっと、何も意味は無いでしょう」

 「だからって……」

 「……僕は一昨日、とても嫌な思いをしました。みんなから、嘘をつかれているんじゃないかという考えがよぎったのです。あの時の気持ちは、もう味わいたくない……」

 「……」

 「……けれど、今のサトシが、嘘をついてこないとはとても言い切れません」

 「……それは……そうね……」

 最後の一言を聞いて、セレナは僕を睨むのをやめました。意図を理解してくれたのでしょう。

 その嘘発見器は、何もセレナに使おうと思って用意したものではないのです。たまたま昨日の夜に、セレナに疑惑がある事がユリーカの口から出たから、試しただけの事。

 嘘をつくかもしれない疑いが強いのは、サトシの方なのです。

 「……来ていきなりこんな仕打ちを受けるなんて、本当に心外だけど……」

 セレナは、不承不承といった風に椅子に座り直し―――

 「……自白剤を入れるよりは、シトロンらしいのかもね」

 ―――仕返しとばかりに、あからさまな皮肉を言い捨てました。
 ▼ 393 グザグマ@ファイヤーメモリ 19/02/21 04:07:46 ID:uZnQvDTc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 394 シボン@じゅうでんち 19/02/21 12:18:36 ID:cotsPYc2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 395 ーフィア@しんかいのウロコ 19/02/21 13:14:06 ID:JgwcRG1w NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 396 インディ@ミアレガレット 19/02/21 16:02:22 ID:aNoIgaFw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 397 クリュー@マグマスーツ 19/02/22 02:50:52 ID:10yMtpUw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告



 「―――知ってたわ。サトシとユリーカの秘密。……多分、最初から」

 「―――正直、信じられなかった。本当よ? 悪い夢なんだって、現実逃避したくらい」

 「―――何も言い出せなかったのは……それをばらして、サトシに嫌われるのが、怖かったからなの」

 落ち着きつつも、重苦しい声音で……セレナは告白しました。うつむき、前髪が垂れて……表情は全く見れませんでした。

 「―――何もしなかった訳じゃないのよ。サトシが、ユリーカじゃなくて……私を見てくれるように……自分の出来る事を精一杯やったわ」

 「―――トライポカロンで、綺麗な私を見て貰おうって頑張った。お菓子作りだって、道案内だって……いつもサトシの役に立とうって……」

 「―――サトシに、振り向いて貰いたかった」

 声が、次第にかすれ気味になる。透き通った水面に波紋が広がるように、少しずつ揺れていく。

 「―――はは、今思い返すと、空しいわ……。サトシがそうゆうの、あんまり興味ないって、分かってたのに……」

 「―――空回り、って話よね……。サトシは私を旅に誘ってくれたけど、それだけで……私の気持ちなんて、最初から興味なかったんだもの」

 「―――私が初めてお菓子を上げた時のサトシ、覚えてる?」

 笑っているとは全く思えない笑い声で、セレナは問いかけてきました。僕は返す言葉もなく、セレナの話に耳を傾けているだけでした。
 ▼ 398 ドシシ@たいりょくのハネ 19/02/22 02:52:15 ID:10yMtpUw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「―――あの頃は、サトシとユリーカの距離が近いようには、全く見えなかったのに……」

 「―――シトロンがいなくなった途端、二人とも、あんな事をするようになって……」

 「―――私の気持ちなんて知りもしないで……二人とも、気持ちよさそうに…………」

 カップを手で包みながら、遠い昔を振り返る。穏やかさを保ちつつも、どことなく危機感を抱かせる口調。セレナの心のプロテクトが、徐々に外れていってるのが如実に伝わってきました。隠し通してきた本心が、暗い谷底から突き上げてくるかのようです。

 当然ながら、カップに嘘の反応はありません。

 「もう、過ぎた事だから、いいんだけど……」

 そう言った瞬間、カップが赤く光りました。

 「……………………ふふっ。本当に、よく出来てるのね、コレ。あの頃は、いつも失敗ばっかりだったのに……」

 寂しそうな笑みを浮かべる。再びカップを遠ざけ……セレナは両手で顔を覆いました。

 「ねえ、シトロン……私ね、向こうで嫌な物を見たの……」

 唐突に、ガラリと雰囲気が変わり―――得も言われぬ恐怖が、僕の背中を走りました。

 「とても酷い顔をした私…………こんな自分が、綺麗な訳無いって思えるほどに…………」

 苦しみ、もがくようなセレナの声。僕の直感が、これ以上はやめるべきだと告げていました。
 いたずらに触れていいような、軽い内容ではない。

 「待って下さい、セレナ…………僕は正直に話して下さいとは言いましたが……話したくない事まで、無理に話さなくても……」

 そうとも。僕だって、何から何まで、セレナに打ち明けた訳ではありません。いくら信頼の為とはいえ、心の闇を無理やり開けさせるのは間違ってる! セレナはもう十分に胸の内を語ってくれました。

 しかし、セレナは止まらない……。

 「私、ヒーローみたいなていで来てるけど……本当は助けに来た訳じゃないの……。サトシとユリーカの関係を終わらせられたら、都合がいいから……それだけで―――」

 「セレナ、もういいです! それ以上は―――」






 「―――ユリーカが羨ましかったの!」

 ▼ 399 グレー@リザードナイトY 19/02/22 02:53:31 ID:10yMtpUw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 ――――――ピンと、張り詰めた空気が流れていました。セレナのかすかな嗚咽が、二人を囲む空間に響き渡る。

 「ユリーカに嫉妬してたの……サトシに愛されて……それでもシトロンに大事にされて……幸せを、独り占めしすぎじゃないって……」

 「セレナ……」

 「私は、もう独りぼっちなのに……ユリーカは、大好きなお兄ちゃんがいて……サトシも会いに来るなんて……ずるいよ。ずるすぎるよ……!」

 「…………」

 「―――なんで? 確かにユリーカは、可愛い子だけど……私の方が年が近いし、サトシの事昔から知ってるし……体だって……」

 「―――どうしてユリーカなの? 私には、エッチしたくなるほどの魅力すら無いというの?」

 「―――一緒に来てくれると嬉しいって……言ってたのに……!」

 わなわなと肩を震わせ、泣き崩れるセレナ。言葉の一つ一つが、重りとなって胸にのしかかるようでした。
 誰にも相談できないまま……破れた恋心を抱えたまま……セレナは長い時間を、一人で苦しんできたのです。

 「だから止めにきたの……私は、ユリーカの幸せを奪う為に……」

 鼻水をすすりながら、悪意があった事を暴露するセレナ。耳を塞ぎたくなるような本音を聞いて、僕は激しい自己嫌悪を募らせていました。

 聞いてはいけなかった。聞くべきではなかった。こんな事を、無理やりに――――――これで一体、僕は何が得られたというのでしょう? 信頼を得られたとでも言うのですか?

 ―――こんな様で、科学で人の幸せをするなんて、言う資格など無いじゃないですか……。

 「……すみませんでした、セレナ……本当に、申し訳ありません……」

 こんなつもりじゃなかった……なんて、見苦しい言い訳でしかありませんでした。この件は紛れもなく、僕が悪いのです。僕が無理やり、セレナに話させてしまったのです。誰にだって隠す権利がある、心の内側を……。

 罪悪感で、胸がズタズタに引き裂かれそうでした。

 「……シトロンが、謝る事なんてない……当然の報いだもの……私は、下心ばっかり……だからこんな目に遭うの……醜い本性なの……」

 セレナはそう言って、涙を流し続けました。そんなセレナの姿が昨日のユリーカと重なって、僕はいたたまれない気持ちに苛まれるばかりでした。そして、自分の犯した過ちを、ひたすら呪うのでした。

 セレナの嗚咽がやむまで、僕らはそれ以上の言葉を交わしませんでした。
 ▼ 400 リキテル@ジュペッタナイト 19/02/22 07:16:23 ID:ve.sexxU NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 402 ウワウ@ナナのみ 19/02/22 14:38:12 ID:3mqotbYA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 403 ーベム@カイロスナイト 19/02/22 15:32:57 ID:nT/cjEQ2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 404 クリン@ライボルトナイト 19/02/24 00:04:56 ID:Bjc22OmY [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「ごめんね……取り乱しちゃって……」

 「いえ……僕の方こそ、追い詰めてしまったみたいで……すみませんでした」

 しばしの後に、セレナはどうにか気持ちを落ち着かせられました。気まずい空気に当てられて、二人とも頭を下げる。

 「気にしないで。シトロンのせいじゃないわ……ちょっとね……」

 セレナは、自分の嘘を暴いたカップに視線を向ける。

 「この間見た嫌なものを思い出して……ショックがぶり返しただけ」

 ぎこちなくほほ笑む。セレナが見たという嫌なものが何なのか、今の僕にはよく理解できませんでした。けれど、それがセレナに大きなインパクトを与えたのだという事は、よく分かりました。

 セレナは、最後に残った涙の雫をふき取ると―――再びカップを手に取りました。

 「シトロン。今聞いた通り、私の本性なんて、こんなモノだけど…………ユリーカを恨むのは筋違いだって、分かってる」

 カップを確かめる。何も反応が無いのを見て、セレナは続ける。

 「多分、コンテストが上手く行かないのも、こんな気持ちを抱えたままだから…………だから、断ち切りたい」

 まるで真実の証明とでもするように、光らないカップを強く握ります。セレナの言葉には、覚悟の意志が宿っていました。

 「自分の気持ちに決着をつけて、前を向きたい。だから……今度こそ本当の気持ちを伝える。そして、どんな結果になっても、それを受け止めて見せる」

 「セレナ……それはつまり……」

 「うん、そうよ」

 セレナは、最後まで光らなかったカップを持ち上げ、残っていたお茶を一気に飲み干しました。

 「私は今日、サトシに告白する。そしてダメなら……綺麗さっぱり、忘れるつもりよ」
 ▼ 405 ョロゾ@きんのはっぱ 19/02/24 00:05:36 ID:Bjc22OmY [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 ――――――僕は、これまでの事と、これからの事について話し始めました。

 「……てっきり、もう告白したものかと思ってましたよ」

 まずは、まだ伝えていなかった事実……サトシがデデンネを捕らえ、それを利用してユリーカを連れ去ろうとしているという事を話しました。

 「実は、言おうとした事もあったけど……ユリーカとの仲を批判する言い方になっちゃったから、うまく伝えられなかった。余計な事言うなって、返されちゃった」

 サトシの非道なやり方に、セレナは露骨に顔をしかめました。「告白の前に、お仕置きがいるわね」と、怖い一言を危ない笑みと共につぶやきました。

 「その後は、立ち直れなかった……。二人の事を、見ないようにする事しか出来なかったの。これ以上、距離を開けられたくなかったから……」

 続いて、ユリーカの気持ち……ユリーカはもうサトシと関係を続けたくないとはっきり言った事を打ち明けました。セレナは大袈裟な反応こそしませんでしたが、平静でいようと努めてるだけだというのは見て取れました。

 「……自分の事ばっかり考えて、本当に酷いよね……。知らなかったなんて嘘ついたのだって、ずっと黙ってた後ろめたさがあったから……シトロンにまで軽蔑されたらどうしようって……」

 セレナは、僕がユリーカと仲直り出来たのかを尋ねました。自信いっぱいの「はい」という答えに、セレナはほっとするように微笑みました。

 「……その事は、もういいですよ。僕にだって、落ち度はありますし……。それに、セレナが僕の心の支えになってくれた事は、まぎれもない事実ですから」

 そこまで確認ができたならば、残すところは一つ――――――サトシからデデンネを取り戻し、企みを阻止する事だけでした。

 「そうなの、かな……。本当にそうなら……ちょっとだけ、自分の事、見直せるかも」

 僕には、作戦がありました。実行しようかどうか、昨日はずっと悩んでいましたが……ユリーカと気持ちを確かめ合えて、やろうと心を決める事が出来ました。

 「……ところで、さっき言ってた事がひっかかるんだけど……今日が、ユリーカの未来がかかってるって……どういう意味なの?」

 セレナにも、サトシを説き伏せる為の策がありました。自信なさげに、彼女は自分の秘密兵器の正体を僕に明かしました。ちょっと予想外すぎる代物でしたが、僕は敢えて何も言わず、セレナを信じる事にしました。

 「ええ、それは――――――」
 ▼ 406 ルフォン@リバティチケット 19/02/24 00:05:52 ID:Bjc22OmY [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告


 「さて、それじゃあ……」

 十分に話し合った後で、セレナはおもむろに立ち上がりました。

 「そろそろユリーカを待たせ過ぎてるし、次は彼女と話をしてくるわね」

 もう涙は止まり、いつもの、安心させてくれる笑顔を湛えるセレナ。今更ながら、とても綺麗な顔立ちだと改めて実感させられました。

 「……先に、シトロンと話が出来て良かった。本当はちょっぴり、不安だったんだ……ユリーカと話し合うの……」

 後ろ向きな気持ちを秘めたまま、ユリーカとの話に臨んでいたら、どうなっていたか……確かに少し心配になる話でした。
 しかしそんな心配は、セレナの前向きな表情を見れば、もう無用なものだと確信できました。

 「……でも、今は大丈夫。自分の情けない心に負けないで、真摯に向き合えると思う。シトロンのおかげよ」

 そう言ってはにかんだセレナは、最後に悪戯っぽく舌を出してみせました。

 「あと、シトロンがどうしてそんなに自信満々にユリーカと仲直りできたと言えるのか、ちょっと興味も湧いたし」

 「うっ……」

 「あら、どうして顔を赤くするのかしら? ひょっとして、まだ私に秘密にしてる事、あるんじゃない?」

 「い、いえ……そんな……何も……。は、早く行ってあげて下さい!」

 「うふふっ。そうするわ」

 からかうセレナに、焦ってたじろぐ僕。相変わらず見抜かれてる事に動揺して、僕は思わず顔を背けました。そんな僕を尻目に、セレナは部屋を出て行きました。

 ユリーカが全部喋ってしまわないか……今度は僕が不安に駆られる番でした。
 ▼ 408 ズパス@バトルレコーダー 19/02/24 00:13:28 ID:ymSkoU4E NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 409 ボツボ@やすらぎのすず 19/02/24 08:16:53 ID:ffpwdFig NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 410 レイシア@ほしのすな 19/02/24 11:43:14 ID:sq5Ij6d6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 411 コリザル@ウオーターメモリ 19/02/24 12:02:28 ID:XsnMEH3w NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 412 チコール@ゴッドストーン 19/02/25 00:09:40 ID:3JPMpO9E [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 セレナとユリーカの話し合いも終わり―――午後。


 前触れもなく、ぷにぷにと歌うような、ヘンテコな着信音が鳴り出しました。
 テーブルの上に置いておいたユリーカのポケギアを手に取り、応答させます。

 「……もしもし」

 「よう、シトロン。いよいよ今日が約束の日だな。ちゃんとお別れの準備はできてるか?」

 相手は当然、サトシでした。相変わらずの挑発的な態度。ユリーカを旅に同行させるか否か、既に返事は決まっているも同然のような物言いでした。
 しかし、振り回される事なく冷静に返事をします。

 「ええ、まあ」

 「セレナには何も言ってないよな?」

 「約束通り」

 話がこじれないよう、ここは手筈通り、嘘を通す。

 「よし、それじゃあ、ユリーカに代わってくれ」

 「なぜ?」

 「ユリーカに直接、待ち合わせ場所を伝える。ユリーカに一人で来させるんだ。尾行するなよ。発信機もつけるな。変な小細工は何もするな」

 僕が取りうる対応を想定していたように、条件を重ねていく。

 「……そうしたらデデンネは帰ってくるからな」

 「分かりました」

 要求を了承するフリをして――――――シトロイドは、声帯パターンをユリーカに切り替えました。
 ▼ 413 マタマ@ヨプのみ 19/02/25 00:12:57 ID:3JPMpO9E [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「もしもし?」

 「ユリーカ! やっと話せたな! 電話で話せなくなっただけで、すげえ寂しかったよ」

 驚くほどがらっと態度を変えるサトシ。芝居がかった猫なで声が、シトロイドを介して僕らのつけた無線イヤホンに届く。僕はさすがに引きそうになりましたが、シトロイドは全く動じません。

 「早く場所を言って」

 「なんだよ、冷たいな。ちょっと怒ってるのか? 大丈夫だって、デデンネは無事だって」

 「どこに行けばいいの? デデンネに会わせて」

 悟られないように口数少なく、見事にユリーカを演じてみせるシトロイド。

 「デデンネはある場所に預けてある。お前が俺と一緒にミアレシティを発った後で、シトロンに居場所を教えるよ。その後、ポケモンセンターで転送して貰えばいい。分かりやすいだろ?」

 シトロイドのこめかみに取り付けたランプが、赤く光りました。

 「ウソじゃないよね?」

 「……嘘じゃないって。信じてくれよ」

 ランプの灯りが消える事はありませんでした。僕も、セレナも、ユリーカも、分かっていたと言わんばかりに溜息をつく。

 「分かった。信じる」とシトロイド。

 「本当か! 嬉しいぜ。やっぱりユリーカは可愛いな」

 セレナの指がとんとんとテーブルを叩きだす。隣に座るユリーカが唇をきつく結ぶ。

 「場所はノースサイドにあるカフェ・カンコドールって所だ。そこで待ってるから、一番可愛い服と下着をつけて来いよ」

 無表情でテーブルに視線を落とすセレナ。恥ずかしさか怖さか、ユリーカはうつむいてしまいました。僕も正直怖い。

 「リミットは今から1時間だ。それまでに準備を整えて来てくれ。シトロンも他の人も連れてきちゃダメだぞ。いいな?」

 「うん、分かった」

 僕らを包む空気が変わっても、シトロイドはなんら変わらぬ調子で、サトシに返事をしました。
 ▼ 414 ルシェン@フェアリーメモリ 19/02/25 14:28:18 ID:ARSMBbug NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 415 ンメル@バトルサーチャー 19/02/25 16:49:12 ID:n8vUWmno NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 416 ンノーン@たてのカセキ 19/02/27 00:32:14 ID:JDIYe4qk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「それじゃあな」

 そう言って、サトシは電話を切りました。





 ――――――が、部屋には、得も言われぬ気まずい空気が残ったままでした。

 「……まさか、ここまでとはね……」

 セレナが、指を瞼に当てながら、呆れの言葉を紡ぐ。

 「シトロンが匙を投げたくなるのも無理無いわ」

 「……ユリーカも、サトシがおかしいって、今なら分かる……」

 にべもない苦言が二人から繰り出される。僕の幻滅に二人とも共感してくれてるようで、ちょっとだけ気持ちが軽くなる思いでした。

 「上手ク行キマシタデショウカ?」

 シトロイドが、ポケギアを返しながら聞いてきました。

 「ああ、ばっちりだったよ。さすがシトロイドだ」

 「さすがシトロン、よ。こんな作戦を思いつくなんて」

 「さすがお兄ちゃん!」

 「あ、あはは……」

 セレナに使った、嘘発見器……それをシトロイドにも搭載し、サトシとの会話に応じさせる。サトシが嘘をつけばすぐに気付ける一方で、シトロイド自身の言葉に誤反応する心配は無い。一方的に探りを入れられたのです。

 「電話越しでも心音を聞き取れるか、不安でしたが……結果は成功ですね」

 「イエ、実ハ、心音ハ殆ド聞キ取レテイマセンデシタ」

 シトロイドの補足に、僕たちは目をぱちくりさせました。心音が聞こえなかったのなら、何故―――?

 シトロイドは答えました。いわく、一度だけ声に歪(ひずみ)が生じて、そのパターンが、セレナが嘘を吐いた時と同調していた為、嘘と診断したというのです。

 「す……すごいや! シトロイド、自己進化じゃないですか!!」

 「エッヘン」

 想定もしていなかったシトロイドの人工知能の学習に、僕は思わず飛び上がるほど興奮しました。まさか、さっきの一件がこうして功を奏すとは! シトロイドの生みの親として、誇らしい気分を禁じ得ませんでした。
 ▼ 417 ックウザ@ライドギア 19/02/27 00:33:39 ID:JDIYe4qk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

 「シトロン? 喜んでる所悪いけど、そんな場合じゃないでしょ」

 「うっ……そ、そうですね……」

 セレナに諫められて、僕は頭をかいて苦笑いを浮かべました。謝罪して椅子に座り直す。

 「サトシが嘘ついてるって確証取れたのはいいけど……問題は、何に関して嘘を言い、真実はどうなのか。これを考えないと……」

 「そうだね……ランプが光ったシーンのセリフだと、“デデンネはある場所に預けてある”って部分と、“シトロンに居場所を教える”って部分のどっちかが、嘘をついてるって事なのかな?」

 「両方かもしれないわ。預けてないし、言う気も無いのかも」

 セレナとユリーカが、可能性を確認し合いながら、真実を推理していく……。

 しかし、そんな必要はありませんでした。

 「二人とも、ご安心下さい。そのセリフの真実は、考えるまでもない事です。そこにしか嘘の反応が無かった時点で、問題は解決済みも同然なのです」

 「「え?」」

 二人が目を丸くするのをよそに、僕は再び椅子から立ち上がりました。

 「ふっふっふ……サイエンスが未来を切り開く時!」

 「また始まっちゃった」

 「シトロニック・ギア、オン!! 名付けて――――――」

 「シトロン。一時間しか余裕無いから、カット」

 「あ、はい…………」

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