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ルカリオ「……今までありがとう」ミミロップ「こちらこそ」

 ▼ 1 リムガン@きいろのバンダナ 18/06/01 22:04:59 ID:2k1QlQLE [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
蒼黒く澄み渡った夜空に浮かぶ月が煌々と光を放ち、辺り一面を青い光の底に沈ませていた。

そこに佇む二匹のポケモン。

淡く優しい光に照らされて木々が眠りへと誘われる中、彼らはお互いが向ける強い視線をそれぞれ真摯に受け止め、気を張り詰めさせている。

風も、森も、空も、彼らの事を認め察しているのだろうか、物音一つ立てる事無く静かにそこで二匹の事を見守っているようだ。

普段は周辺で日々を過ごしているであろう者達の姿は見当たらない。また、新たにこの場へ立ち入って静謐を乱そうとする者も現れない。

森閑と静まり返ったこの舞台で、ただ彼らだけが存在を赦されていた。

ルカリオ「……悪く、思わないでね」

ミミロップ「うん」

やがて彼は凛とした声を以って、四隣の寂寞を破った。そして目を閉じ僅かに腰を落としつつ、その身に纏わせている空気を更に色濃くしていく。

再び訪れる無音。しかしその次の瞬間には、彼の踏み鳴らした跫音が、周囲の木々に木霊して大気に満ちる。

強い、とても強い、足音だった。
 ▼ 2 ギアナ@スーパーボール 18/06/01 22:05:59 ID:2k1QlQLE [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-半年前-



ミミロップ「WFCに出たい?」

ルカリオ「うん」

穏やかな日常の流れるいつもの昼下がり、ルカリオの嫁であるミミロップが少し驚いたような声を上げた。

その言葉をその通りに受け取ってもいいものかと思案しているのか、彼女は小首を傾げて次の言葉を待っている。

ルカリオ「ほら、俺たちってそれなりに鍛えてるじゃん。でも、ただ鍛えるだけじゃ面白くないかな〜なんて」

ミミロップ「あぁ、本気で言ってるのね」

ルカリオ「俺はいつでも本気だよ」

少し困ったような表情を浮かべる彼に対し、ミミロップは小さく息を吐き「ごめんごめん」と謝った。

ミミロップ「でも、世界大会って言うくらいだし、相当大変と思うけど」

ルカリオ「うん。だから、修行の旅に出ようと思って」

右の拳を握り、やる気を見せるルカリオ。しかし反対にミミロップは不機嫌そうな顔をして、少し冷ややかな視線を彼に送り始める。

だが、彼がそれに気づいて察してくれるのが待てないのか期待できないのか、彼女はすぐに不満を口にした。

ミミロップ「可愛い嫁を置いて、修行にねぇ?」

ルカリオ「あ、ち、ちがうよ! WFCは♂部門と♀部門があるだろう? 俺たちで、それぞれ優勝を目指さないかと思って! ミミロップちゃんだって足技なら自信あるでしょ?」

ミミロップ「あぁ、そういう事ね」

誤解を与えてしまったと早口で弁明するルカリオ。それを見て安心し、今度は彼の様子が笑えてきたのか、ミミロップは上機嫌に右手を口元に当てて上半身を軽く揺らす。その表情は先程までとは打って変わってとても満足そうだ。

ルカリオ「どうかな? かなり辛い旅になるとは思うけど……」

ミミロップ「いいよ。そういうの出てみたいと思ってはいたし。それに……」

ルカリオ「それに?」

私は貴方と一緒にいられるならそれでいいから、という言葉を彼女は頬を紅く染めながら呑み込んだ。

ミミロップ「うーん、なんでもない」

ルカリオ「ええっ、気になるよ。なんなの?」

ミミロップ「さ、そうと決まれば準備しましょ」

ルカリオ「ミミロップちゃ〜ん!」
 ▼ 3 ゲデマル@ホズのみ 18/06/01 22:06:47 ID:2k1QlQLE [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
WFCとは、World Fighting Championshipsの略で、いわゆる世界格闘大会のことである。

ここポケモン界では、ルカリオやミミロップのような者達が集い、己の肉体によるバトルを楽しむ大会が幾つか開催されている。数多く様々な種類の大会が開かれており、中でも彼ら格闘技を使う者達が最も注目する最大級の大会、それがこのWFCである。

簡単に言えば、格闘技を使う者のトップを決める大会。我こそはと思うポケモン達がこぞって参加を望む。

ルカリオ「えっと、一応だけど、ルールとか知ってる?」

ミミロップ「少しくらいは知ってるけど……説明してって言われると無理かも」

ルカリオ「まぁ簡単に言えば、肉弾戦のみで勝敗を決めるバトルだね。火とか電気とか、いわゆる他のタイプに当たる技は使えない」

ミミロップ「倒れたら負けなんだっけ?」

ルカリオ「うん。原則、どちらかが戦闘不能になるまで続ける。あと、武器の使用も禁止だね。判定が難しいけど、爪とか牙がメインになるような戦い方もアウト」

ミミロップ「まぁその辺は私には関係ないわね」

すらっと長い足をひと撫でしてみせるミミロップ。それを見てルカリオは両の手の甲を見せるようにし、苦笑いを浮かべる。

ルカリオ「問題なければ気にする事もないね。ただ、身体の構造上仕方ないポケモンもいるから、ね。俺は気をつけなきゃいけない部類だろうな……」

ミミロップ「にしても、えらく詳しいじゃない」

ルカリオ「ま、まぁ……」

競技のルールを、まるでマニュアルでも見ているようにすらすら話すルカリオ。前々から興味があったのだろう、参加にあたって必要な知識は全部取り込んでいるらしい。

ルカリオはミミロップと付き合い始めてからもトレーニングは続けていたが、彼女との時間を優先するためあらゆる機会を遠慮してきた。その分、今回の大会にかける思いは強いのかもしれない。

ミミロップ「だいたいのルールはわかったわ。それで、出場資格が必要なんでしょ?」

ルカリオ「うん。WFCに出るには、各地方の大会である程度の成績をおさめなきゃいけないんだ」

ミミロップ「ある程度は実力が認められている者同士でしか戦えないって事か。人間でいう、ジムバッヂとリーグみたいなものね」

ルカリオ「そんな感じだね」

各地方となると回るだけで骨の折れる旅だが、観光などしながら目的達成を目指すと考えれば楽しいものだ。二匹ともそう捉えているのか、過酷な旅になりそうだというのに笑顔さえ浮かべており、心持ちは軽そうに見える。

しかしルカリオはそれらとは別に心配事があるようで、すぐさま表情に真剣みを取り戻した。

ルカリオ「ここまで話しておいてなんだけど……ひとつ、訊いておく事があるんだ」
 ▼ 4 ワガノン@サンのみ 18/06/01 22:07:28 ID:2k1QlQLE [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルカリオはそれまで以上に真剣な目つきをして、ミミロップを見つめる。普段なら熱い視線にドキドキしながら彼の胸元に手を添えるミミロップだが、珍しく冗談を赦さない彼の視線に彼女も姿勢を正した。

ミミロップ「どんな話かしら?」

ルカリオ「俺らってさ、こういう緩やかな生活の中で生きてきたじゃん。でも、一歩自然の世界に出たら、きっと思ってもみないような事に沢山出会うと思う」

ミミロップ「そうね」

ルカリオ「自然の中で修行をするって、思ってる以上に大変で辛い事だと思う。勿論俺にも言える事だけど、その辺りは大丈夫そう?」

ミミロップ「思ってもみない事、か……」

ルカリオが言う言葉の意味、それはミミロップにもよくわかっていた。

彼女は人間の暮らしに近いところで生活してきた。つまりは、自然界の厳しさ、というものをあまり知らずに育ってきているということ。

今日食べる物が一切無いかもしれない困窮や、次の瞬間には襲われて殺されるかもしれないという恐怖、急激な天候の変化により一瞬で自然に牙を向かれる絶望など、少なくとも彼女は一度も味わった事が無い。

これから今の生活をひとまず置き外へ飛び出すという事は、そういった事態に少なからず直面する機会があるだろうという事。そしてその時、頼りになるのはお互いの存在だけかもしれないという事。

勿論、そういった事態を可及的避けるような巡り方もできるかもしれない。しかしルカリオはわざわざこの話をし、覚悟をミミロップに訊いている。これらに頓挫するようでは、優勝は難しいだろうと言っているのだ。

ミミロップ「大丈夫かって言われると、正直わかんない。でも、ルカリオとなら、やっていけそうな気がする」

ルカリオ「えへへ、ありがとう。俺もそういう気持ちでいるよ。何があっても、力を合わせて乗り越えていこう」

彼はぎゅっとミミロップの肩を抱いて反対の手で再び拳を作る。彼女はその意に応えるように、彼の拳に自分の拳をこつんと軽くぶつけた。




かくして、二匹の、WFC出場に向けての修行が幕を開けた。

これから様々なポケモンや事態に遭遇し困難に立ち向かう事となるのだが、このときの彼らはまだ、知る由もない。
 ▼ 5 フレシア@GBプレイヤー 18/06/01 22:08:34 ID:2k1QlQLE [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告







何故だ、何故こうなる。

こんな運命に、誰がした。

俺達はただ、何事も無い平穏な生活を望んでいただけだ。

高望みなんてしちゃいない、強い欲望だって持ち合わせていない。

だのに、どうして。

赦さない。

絶対に赦さない。

これは、逆襲だ。

非力な俺の、俺達をこんな風にしたお前達への……





 ▼ 6 ハッサム◆WMQOJecpdc 18/06/01 22:08:58 ID:LSrczcaE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンZ。良い…ルカミミ…
 ▼ 7 ベノム@6ごうしつのカギ 18/06/01 22:09:39 ID:2k1QlQLE [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ルカリオ「おお、ここぞカントー!」

ミミロップ「ん〜、やっぱりなんていうか、空気が全然違うわね」

船に乗り久方ぶりにカントーの地を踏みしめた二匹。二匹はそれぞれ面識の無い頃にカントーの地を訪れた事があるようで、どちらも思い思いに風を感じている。

ここカントーは、WFCの出場資格となる『地方大会での成果』を最も出しやすい地として知られている。カントー大会は開催頻度が高く間口も広い事から、WFCを目指す者達にとっては登竜門のような扱いを受けているのだ。

二匹も奇を衒った行動は考えず、まずはカントー大会で実力を示すところから始めると決めていた。それとは別に、久方ぶりのカントーの空気を楽しみたかったというのもあるようだが。

ルカリオ「大会は一週間後だ。ちょっとスケジュールが立て込んでるけど、この回に参加しておかないとWFC開催日から逆算して他の大会が間に合わなくなる」

ミミロップ「えっ、そんなにWFCって近いの?」

ルカリオ「半年後だね」

ミミロップ「そんな無茶な……」

ルカリオ「勿論承知の上さ。けど、俺たちだって普段からトレーニングはしてる。バトルで言えば本当に強いやつらと渡り合ったりもしてるんだ」

ミミロップ「私はそんな戦ってないけど……まぁ、頑張るけどさ」

要は、WFC受付締め切りまでに一定の戦果をおさめれば、問題なく出場権を得る事ができる。ルカリオの計算だと、今から各地方の大会に参加していけばWFC受付締め切りに間に合うのだろう。

そして彼が言うように、彼らは何も日々を怠惰に過ごしているわけではない。大会を目前とした今、実際どこまで通用するかはさておき、日々の鍛錬を信じて残りの時間を調整にまわす考えなのだろう。その感触を、各地方の大会での成績で判断するようだ。

ルカリオ「修行場所はトキワの森で考えてるよ。基本的にどの地方でもトレーニングは森でやる」

ミミロップ「その辺は任せちゃうわね。色々下調べも済ませてるだろうし」

ルカリオ「ありがと。じゃあ、早速森に向かおうか。良さそうな場所見つけたら早速トレーニング開始だね」
 ▼ 8 マゾウ@タマゴけん 18/06/01 22:10:31 ID:2k1QlQLE [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-トキワの森-


青々と生い茂る木々、鬱蒼とした獣道、どこか冷たい空気……カントー西部、ニビとトキワに挟まれた場所に位置するこのトキワの森は、全国の道が作られた森の中でも比較的薄暗く、人間たちにとっては観光やピクニックなどにあまり向かない場所だ。

反面、トレーナーやポケモンにとっては修行の場とされる事が多い。特に、カントー全土を回り終えリーグへと向かう者達が最後にこの森で調整を行っている事がよくあるらしい。

ルカリオ達はここを修行の場所に選んだわけだが、他の野生のポケモン達は勿論、そういったトレーナー達にも気をつけなければならない。相手によっては、どんなバトルを仕掛けられるかわかったものではないのだ。

ルカリオ「トキワの森とはいえやけに静かだな……ここってこんなだったっけ」

ミミロップ「うーん私はここ初めて来るからわからないけど、静かっていうか不気味よね」

森を歩く事数分、はやくも彼らは森の異変に気がついていた。

ルカリオ「静かな方がトレーニングするにはいいんだけど……ちょっと気がかりだね」

ミミロップ「でも、特に気になる音は聞こえてこないけど?」

ルカリオ「ふむ。ミミロップちゃんがそう言うなら大丈夫かな?」

ミミロップは長い耳を立て注意深く周囲の音を聞いているが、別段気になる音は入ってこないようだ。ルカリオも波動を使ってあちらこちらを探ってみるも、不審な反応は無い。

ルカリオ「もしかしたら人間が通ったのかもね。手練れのトレーナーか、あるいはポケモンハンターかもしれない」

ミミロップ「ハンターか……確かに、あの手の人間が通った後は、しばらくその道は行きたくないわね」

ルカリオ「でも辺りに人間の反応はないし、少なくとも去ってから少し時間が経ってるみたい。どうしよう、この辺はいい感じの岩場があるし、修行には向いてそうだけど」

ミミロップ「任せるわ。私的には良い感じの場所だと思う」

ルカリオ「じゃ、ここにしよう」

ルカリオは手近にモモンの実を用意しながら、あちらこちらを見回して寝床となる場所を探している。

やがて丁度良さそうな場所を見つけたのかルカリオはミミロップに手招きをし、近くの岩場に腰を落ち着かせた。
 ▼ 9 ゲチック@エスパージュエル 18/06/01 22:11:28 ID:2k1QlQLE [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



ルカリオ「カントー大会は参加人数が多いから、各ブロックに分けられる。ブロックの優勝者がそのまま優勝扱いだから、間口が広いって言われてるんだ」

ある程度周囲を警戒しつつ、彼は大会についての話を始めた。初日となるこの日はトレーニング場所が決まれば充分のようで、二匹が身体を動す様子はない。

ミミロップ「一度の大会で複数の優勝者が出るのね。なるほど」

ルカリオ「参加者が多いから、自分の実力もある程度は計れる。まずはこの大会で良い成績を残せるかが鍵だね」

ミミロップ「もしここで躓くようなら、そのまま帰還かしら?」

ルカリオ「そうしようと思ってる。だから、最低でもブロック準優勝はしないとね」

ミミロップ「うーん、だけどWFCで活躍が期待されるようなポケモンと当たっちゃったら?」

ルカリオ「その可能性もあるけど、ある程度以上の力を持ったポケモンはカントー大会にはあまり参加しないらしいよ。特にWFC経験者だと、出場資格も俺達より少なくて済むしね」

ミミロップ「そこまでいくと、WFC経験者はカントー大会参加禁止までありそうね」

ルカリオ「確かに、あるかも」

談笑とまではいかずとも、気を楽にして話し合う二匹。普段から鍛錬を積んでいるとはいえ、慣れない地で初めての大会に挑むのだ、緊張しないはずがない。何気ない会話でも、精神面を考えれば決して無駄な時間ではないのだ。

ルカリオ「今日はゆっくりするつもりだけど、明日からトレーニング開始予定だよ。メニューはその都度伝える」

ミミロップ「辛くて楽しい日々の始まりね。久々に、良い刺激になりそう」

ルカリオ「俺も今からわくわくしてる。なにせほとんど知らない地での修行だからね、何が起こるかわからない」

ミミロップ「まぁ、怪我だけはしないようにしないとね。ある程度なら治せない事もないけど……」

ルカリオ「そこは気をつけたいね。ただ、見知らぬポケモンと戦ったりするのも良い修行になるから、できるだけバトルは受けて立つつもりだよ」

ミミロップ「正攻法で来るとも限らないのに?」

ルカリオ「なに、そうならそうで、俺たちだって正攻法でやる必要はないんだ。俺は今までそうしてきた」

ルカリオはミミロップと出会うまでは、地元の森を中心に修行を行っていた。その時彼はサバイバルのような生活をしており、ともすれば死と隣り合わせの世界で生きてきたのである。

今となっては、大切な嫁の存在や大会参加という名分があるので当時ほど無茶はできないが、彼としてはその頃に近い形でトレーニングを行いたいと思っているようだ。
 ▼ 10 リヤード@おとどけもの 18/06/01 22:12:19 ID:2k1QlQLE [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルカリオ「夜は基本的に俺が気を配っておくから、ミミロップちゃんはしっかり寝ていいからね」

ミミロップ「そこまで任せっきりにするのは流石に気が引けるんだけど」

ルカリオ「それも俺の修行のうちだから大丈夫。俺の戦闘スタイルとも合致するし、ミミロップちゃんはそういう戦い方しないでしょ?」

ミミロップ「それはそうだけど……うーんじゃあ、お願いするわね? でも、無理はしないでね」

ルカリオ「へへ、わかってるよ。心配してくれてありがと」

ミミロップ「あん、もう」

ルカリオは彼女の気遣いに嬉しくなり、ミミロップの両手をぎゅっと握った。彼が彼女を連れて修行に出たのは、こうして気を落ち着ける場を作るためでもあるのかもしれない。

ミミロップ「ん……何か来る」

ルカリオ「マジか。早速だな……どの辺かわかる?」

ミミロップ「あっち、でもこれ速いっ!」

ルカリオ「ちっ!」

ミミロップが言葉を言い終えるや否や、ルカリオは彼女の方に飛び込んでその場から転がり退いた。

その僅か一秒後、先ほどまで彼が座っていた場所に一筋の雷が打ちつけられる。威力はそう大きくはないが、確実に彼を狙った一撃だった。

ルカリオ「早速お出ましか。今日くらいは休みたかったんだけどなぁ」

ミミロップ「電気タイプのポケモンかな? この精度、扱いに慣れてそうね」

地を転がりその勢いで立ち上がって臨戦態勢を取る。見据えるは森。まだ姿を確認する事はできないが、ルカリオの波動で存在を感じ取れる程に相手は近づいているようだ。

先ほどまで全く存在を感じ取れなかったというのに、もうすぐ近くまで敵が近づいている……相当に素早さの速いポケモンである事が予想される。

ルカリオ「移動速度が速いな……岩場に移動するよ」

ミミロップ「うん。これだけ移動が速いならどの方向から出てくるかわからないし、私は後ろで音を聞くわ」

付近の岩場に飛び上がり、二匹はお互いを背にして辺りの様子を注意深く窺った。
 ▼ 11 ッタ@ローラースケート 18/06/01 22:13:26 ID:2k1QlQLE [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
辺りの草木が揺れる。しかしそれはあくまでもごく自然な風による、いわば舞踏。普段なら安らぎをもたらしてくれるそれも、現状ではターゲットを捕捉する障害にしかならない。

しかし彼らはそれに惑わされる事なく、一歩も動かず冷静に敵の位置を探っている。普段からそれなりにでも鍛錬を積んでいるのは伊達ではないらしい。

ルカリオ「…………」

ミミロップ「……四時!」

ルカリオ「承知!!」

暫く沈黙を保っていた二匹だが、ミミロップがそう叫ぶや否やルカリオは拳に力を込め岩場から飛び出した。

バレットパンチ。

目にも留まらぬ速さで打撃を与え相手を威嚇する技だが、繰り出されるパンチは通常のものに比べ重く受け難い。

相当修行を積んでいなければ満足に速度も威力も出ない技だが、WFCに参加しようと思うだけあり、彼の繰り出すそれは双方共に申し分無いものだった。

彼女の示した方向に向けて彼は全力で技を繰り出す。

ルカリオ「ち、ミミロップちゃんそっち!」

ミミロップ「おっけー!」

果たしてルカリオのバレットパンチは空を切ってしまったが、続けざまにミミロップは相手が避けた先を予測して電光石火を繰り出した。

ごり、と相手の肉に打ち込む感触が彼女の手に残る。柔らかな感触、少なくとも相手は鎧などを身に纏ったポケモンではない事がわかる。となれば、思いっきり蹴り上げても怪我をする事はないだろう……そう判断したのか、次の瞬間には得意の足技を繰り出していた。

ミミロップ「ああんもう!」

しかし相手はそう易々と攻撃されてはくれないようで、自慢のメガトンキックは近くの茂みを蹴り上げただけだった。

ルカリオ「いや、ナイス判断だ!」

だが、彼女の大技を避けた相手の動きを彼は見逃さない。思わぬ彼女の連撃に驚いたのか相手は目で見てもわかる程度に低速で移動していた。

その隙をルカリオは逃さない。両手に力を込め、対象に向けて思いっきりぶつかっていく。

ルカリオ「くわんぬ!」

???「ぐえっ!」

今度ははっきりとした手ごたえ。ルカリオのインファイトをまともに受けた相手は岩場まで吹っ飛び、大きな音を立てて砕けた岩と共に地に落ちた。
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