【SS】シャンデラ「私のご主人は中二病らしい」:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】シャンデラ「私のご主人は中二病らしい」:ポケモンBBS

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【SS】シャンデラ「私のご主人は中二病らしい」

 ▼ 1 荷寿司◆P7uCNqttgw 15/04/08 11:10:33 ID:yqL1994A [1/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
ーー曇りなき満月の下、
   我が友は一層、妖艶に輝くーー


私のご主人がそう言って喜びそうなくらい、今日は月の美しい日だ。

私の名はシャンデラ。雌である。我々ポケモンの中でも珍しい、炎とゴーストの複合タイプであることが自慢。

最近はご主人が眠りに就いた後、毎晩のようにゴーストタイプの集いに参加し、仲間たちと談笑するのが日課だ。

今日はご主人の変わった性癖が話題となった。

バケッチャ「へぇ、不思議なご主人ですね」

シャンデラ「ええ、今のご主人は難しい言葉ばかり使ってくるの。あと進化の石みたいにかっこいい道具を探して、すごくうれしそうな顔で見てる」
 ▼ 2 荷寿司◆P7uCNqttgw 15/04/08 11:11:54 ID:yqL1994A [2/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
ブルンゲル「正直、今のご主人に不満はある?」

シャンデラ「不満があるわけじゃない。ただ、よく無茶苦茶な技を指示してくる、困った人なの。紫煙の焔で焼き尽くせ!みたいに」

ブルンゲル「本人も言葉の意味をわかって言ってるのかね…」

それは私も思っていた。私が理解できる言葉ではないので断定は出来ないが、言葉を軽率に口走っているように見える。

バケッチャ「もしかしたらご主人は、所謂中二病なんじゃないですか?」

シャンデラ「ちゅうにびょう…」

中二病、意味は知らないが、この前ご主人が友達に”ちゅうにびょう”とからかわれてた覚えがある。それのことだろうか。
 ▼ 3 荷寿司◆P7uCNqttgw 15/04/08 11:14:09 ID:yqL1994A [3/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
シャンデラ「その、中二病って、何?」

バケッチャ「はい、何でも『思春期特有の自惚れや思い込みから発祥する病』みたいな意味らしいです。シャンデラさんのご主人は邪気眼系中二病かと」

やはり難しい言葉が出てきた。思春期くらいならわかるが、邪気眼なんて単語は初耳だ。要は中二病は難しい単語ばかりが絡んでくる病だと解釈した。

病ということは、これらは医学用語なんだろうか。医学用語なんて一度も習ったことないのに…。

ブルンゲル「ご主人から無茶苦茶な指示が出たら、どう対処してる?」

シャンデラ「とりあえず、これかな?って思う技を出してみるの。技を出した後の反応でご主人の意図することを掴んでいく」

ブルンゲル「そっか、大変だな」

ご主人の話で盛り上がっていると、気がついたら朝日が昇り始めていた。そろそろ家に帰らないとまずい。
 ▼ 4 荷寿司◆P7uCNqttgw 15/04/08 11:27:35 ID:yqL1994A [4/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
家に戻り、モンスターボールの中で今日のことを思い出しながら少し仮眠する。

私は、ご主人の他の手持ちポケモンと比べ出会ってからの日数は短いが、何故か他のポケモンより育てられている。

思えば、かつてランプラーだった私を、自ら大事に保管していた闇の石を使って進化させてくれたのもご主人だった。

私を深く寵愛してくれていることは、はっきり理解できる。

ご主人「フアァ…この淡い幕の向こうには白き陽光がこの星を照らす…煩わしいものだ」

ご主人は毎朝、目を覚ますと緩い欠伸とこのフレーズを必ず言うので、覚えてしまった。どうやら『おはよう。今朝も目覚めが悪いな』という意味のようだ。

なお、淡い幕とはカーテンのことらしい。

こんな口調だが、私のご主人は女性である。まだ若く、あどけなさの残る少女だが、彼女の着る黒い衣装は非常にませており、可愛い。
 ▼ 5 油3味醂1佐藤2◆/XlT2T588Y 15/04/08 11:48:37 ID:jLkNETY2 NGネーム登録 NGID登録 報告
>>4
萌えた
 ▼ 6 荷寿司◆P7uCNqttgw 15/04/08 11:49:38 ID:yqL1994A [5/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>5
ありがとう。そういってもらえると嬉しい

ご主人がベッドから降り、朝食を作り始めたようだ。ボールの中から彼女は見えないが、何か食べ物を焼いている音が聞こえる

私は特にすることがないので、今日は何をしようか一日の予定を適当に考える。

ご主人は今日出かける予定らしい。バトルでもするのだろうか。自分のポケモンの自慢の技を人に見せつけたがる人だが、今日はどんな指示が出るのか辟易しつつも、

少し気になってしまう自分が恥ずかしい。

支度は調ったようなので、朝から早速出かけるようだ。

ご主人「出てくるが良い、我が回禄よ」

そうして、私をモンスターボールから繰り出す。回禄とは私のことを指しているようだが、たまにシャンデラ、と本名で呼んでくれる
 ▼ 7 荷寿司◆P7uCNqttgw 15/04/08 12:23:09 ID:yqL1994A [6/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
※書き忘れてましたがこのSSではポケモンの世界の地名やキャラは登場しません(予定)。
もしも現実世界にポケモンがいたら、というイメージで読んで頂けたら嬉しいです

私とご主人は家から徒歩10数分にある最寄り駅から、電車を使って都会へ行く。混雑時でなければポケモンも乗車することができる。

車内で他のトレーナーを一瞥するが、やはりご主人の格好はどこか浮いている。

この前私に向かって一人で自慢していたが、ご主人曰く「我は民草とは異なる存在。崇高なる衣で己の体を守っている」そうだ。

「クク、我が回禄よ。こうして民草に紛れることにより、我の存在感が一層引き立つのは、闇の眷属である汝にも理解できるだろう」

だから浮いてるんだって。

ご主人の一人語りを聞いているうちに電車は下車駅に到着した。ご主人とよく出かける私だが、都会は久しぶりだ。

今日は快晴。絶好のお出かけ日和。しかしご主人には少し暑いくらいで、炎をともした私が隣にいると余計暑いんじゃないかと、申し訳ない気持ちだ。
 ▼ 8 ノワール@りゅうのプレート 15/04/08 12:23:18 ID:TyJQoH7s NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
これ好きだわ
 ▼ 9 荷寿司◆P7uCNqttgw 15/04/08 12:29:46 ID:yqL1994A [7/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
ちょっと休憩
あとでまた書きます
 ▼ 10 ーディン@ポイントマックス 15/04/08 12:31:36 ID:JHsuGtlE NGネーム登録 NGID登録 m 報告
こうゆーの好きやわ。

支援
 ▼ 11 ュゴン@ウブのみ 15/04/08 12:45:49 ID:mnQBZt.g NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 12 荷寿司◆P7uCNqttgw 15/04/08 13:20:35 ID:yqL1994A [8/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>8
>>10
>>11
支援サンキュー
今昼飯食べ終わって執筆中
 ▼ 13 荷寿司◆P7uCNqttgw 15/04/08 13:33:30 ID:yqL1994A [9/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
階段を上り、改札口を出ると、視界に入るのは多くの人、人、ポケモン!

ご主人の住む、田舎の小さな”町”とは比較出来ないほどの大きな”街”だった。横を振り向くと、ご主人は人々を畏敬の眼で見ていた。

その中には、ご主人とは趣向こそ違うが、派手さでは負けず劣らずのファッションの人が多い。ご主人のそれは、私の小さな町の人では目立つが

都会では街の中の一人としか認識されず、むしろ垢抜けない印象を覚えるほどだった。

ご主人は最初に、お洒落な服やアクセサリーの店へ向かった。店内には、ご主人がよく着ている服とそっくりのものがあった。

「ゴスロリ…?ご主人がいつも着てる黒い衣装はゴスロリというのか…?」

いつも見ていた服だが、意外と名前を知らなかった。私にとっては新発見だ。

ご主人は半ば興奮気味に店内をうろちょろと廻る。勿論、ゴスロリにも注目していた。

田舎少女として、都会に憧れるのは無理もない。ご主人、否、一人の女の子が嬉々としてお洒落に磨きをかけようとする様子を、私は微笑ましく眺める。

でもご主人、たまには普通の私服も着てみようよ…
 ▼ 14 荷寿司◆P7uCNqttgw 15/04/08 14:05:38 ID:yqL1994A [10/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
店内では自分のポケモンを着飾る人も多かった。意外に聞こえるかもしれないが、雌の私はあまりここのファッションに興味がなかった。

ご主人と違い派手なものが好きではないし、戦闘の時に装飾品が邪魔になったり重くなることが理由だ。

幸いご主人は自分のファッションを優先するので、杞憂だったかもしれない。しかし、店の滞在時間が長い。私は呆れかけていた。

やっと店を出たご主人だが、私が思っていたより装飾品を買わなかったようだ。買いすぎると電車での移動が大変だし、家の置くスペースも限られているためだろう。

「あっ、シャンデラ〜!ここの店、ご当地グルメフェアでヒウンアイスが売ってるよ!行こう!」

口調も表情もいつものご主人とはまったく異なるものだった。彼女は花の咲いたような笑顔で私を見つめ、腕をグイグイ引っ張りながら走る。痛い。

彼女の珍しい一面を見れたことは私も嬉しいが、ふと、これがご主人の本性じゃないか、と察した。恐らく本当の事は本人に聞かないとわからない。

ポケモンと人間で、言語の壁があることが残念だ。
 ▼ 15 荷寿司◆P7uCNqttgw 15/04/08 14:40:06 ID:yqL1994A [11/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
そして2人でヒウンアイスを買うためレジの行列で並ぶことにした。どうやらこのご当地フェアはたまにしか開催しないようで、毎回大勢の客が来ているようだ。

行列は好きじゃないが、暑い日にアイスを食べたくなるご主人の気持ちに甘んじて、我慢する。

それより早く会計を済ませないとアイスが溶けてしまいそうで心配だ。私がいると余計早く溶けてしまいそうな気がする。

やはり私はこの場から退いた方が賢明だろう。そう確信させたのは、ご主人の一言だった。

「アイスを買うためにレジに並ぶ、これがホントのレジアイス〜♪」

寒い。

ヒウンアイスよりも、レジアイスよりも寒いギャグを聞かされた私は、見かねてその場を一旦去った。暑さとテンションでご主人の調子がおかしいのは言うまでもない

しばし休憩しながらご主人が戻ってくるのを待った。やはり暑い日はゴスロリではなく半袖の服を着るべきである。

ご主人は律儀に2つアイスを買ってくれたようで、1つを私にくれた。アイスで頭を冷やしたかと思えば、顔が熱くなっている。

さっきのダジャレの恥ずかしさが裏目に出たのか、彼女は顔を真っ赤にしながら怒ったように次の店へ急ぐ。

「自業自得な気が…」
 ▼ 16 ンシャカ◆bj1ozjdmPg 15/04/08 23:43:02 ID:.R/wy9hU NGネーム登録 NGID登録 報告
地の文上手いな。
支援する!
 ▼ 17 二シャンデラ◆P7uCNqttgw 15/04/12 15:37:02 ID:Qnuevlik [1/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
更新停止&BBSを離れていました、稲荷寿司◆P7uCNqttgwです。SSを書くときだけコテを変えます
細々と更新しますので、よければ支援よろしくお願いします
 ▼ 18 二シャンデラ◆P7uCNqttgw 15/04/12 16:06:48 ID:Qnuevlik [2/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
ご主人はずっと赤面していた。どうやら、ダジャレが恥ずかしかっただけではないようだ。顔には無数の汗が、首元の方へゆるく流れていく。

暑さを堪えているのだろうか。ヒウンアイスを一個食べたくらいでは、火照った体を冷やすのは難しい。

ご主人は今日、外に出た跡一度も水分を摂らずショッピングを楽しんでいた。自販機で水一本すら買っていない。

あまつさえアイスを食べるのに長時間行列に並んでいたり、炎タイプの私を連れているのだ。体への負担は半端なものじゃない。

そしてこのゴスロリ、見るからに暑そうな服である。やはり人が出かける時は水分補給が必要なのだ。

私は、慌てて近くの水飲み場を探す。ご主人はその間もボーッとしながら歩き続ける。
 ▼ 19 二シャンデラ◆P7uCNqttgw 15/04/12 16:40:12 ID:Qnuevlik [3/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
本当はご主人に「休憩しよう」と問いかけたいが、ポケモン語は伝えられない。仮に伝えられたとしても、我慢強い彼女の耳には届かない話だろう。

程なく、喫茶店が目に入った。無論、ご主人は喫茶店など眼中にも入っていないが、そんなことは気にしない。

私の、先の方に丸まった手をご主人の腕に絡ませ、グイグイ引っ張りながら走る。痛そう。

さっき私の腕を掴んだ仕返しでもあるが、一番にご主人の体調が心配だった。ご主人はいつもの難しい喋り方で私をまくしたてているようだが、耳に入らない。

無事(?)喫茶店に着いた。ご主人は相変わらず不服そうな顔で、眉間にしわを寄せる。しかし素直に椅子に座る。

「クッ…我が魂は不滅…こんな場所で翼を休める必要などないのに…」

椅子に体重をかけ、声をやや震わせながら。必死で強がりを言っている。だがそれは、少し安堵を覚える声音だった。
 ▼ 20 二シャンデラ◆P7uCNqttgw 15/04/12 17:13:32 ID:Qnuevlik [4/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
店内は程よく冷房が効いている。落ち着いたご主人は、ハンカチでゆっくりと額の汗をぬぐう。

ウエイトレスの人が、柔らかい笑顔で私たちのもとへ向かってくる。その顔を見て、ご主人は軽く微笑む。

テーブルに置かれた冷たい水に、白い氷が綺麗に浮かぶ。ご主人は、その一杯をすぐに口に流し込んだ。

メニューを取り、ランチのページを開く。お昼ご飯を食べるにはちょうど良い時間なので、2人でしばし刮目する−−−


食べたいものが決まり、チャイムでウエイトレスを呼ぶ。手際の良い店で、ほかの客の料理を配膳後、すぐに来た。

ご主人は平然とした顔で、注文する品を言った。

「チキンサンドと、ポケモンフーズを一つずつお願いします!」
 ▼ 21 二シャンデラ◆P7uCNqttgw 15/04/12 17:22:06 ID:Qnuevlik [5/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>16
遅れましたが支援ありがとうございます
 ▼ 22 きぷり◆Zcop6UTfq2 15/04/12 17:27:43 ID:osJ186k2 NGネーム登録 NGID登録 報告
神ssの予感
支援
 ▼ 23 ジャンボ@エルレイドナイト 15/04/12 17:34:42 ID:wgB.bG.Q NGネーム登録 NGID登録 m 報告
面白い!支援!
 ▼ 24 二シャンデラ◆P7uCNqttgw 15/04/12 17:35:32 ID:Qnuevlik [6/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>22
ありがとうございます
これから夕飯を食べに行く予定があるので更新が遅れるかもしれないです
 ▼ 25 二シャンデラ◆P7uCNqttgw 15/04/12 17:45:00 ID:Qnuevlik [7/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
正直、驚きを隠せなかった。

いつも『中二病』という病を患っているはずのご主人が、一般的な言葉を使っていることに対して、だ。

無論、ヒウンアイスの時のように、無邪気な口調で私に話しかけることはまれにあったが、人の前でまともな発言をするのが意外だったのだ。

ご主人に怪しまれないよう、顔だけでも平静を取り戻す。何故か笑いがこみ上げてくるが、それを必死で噛み殺す。

抑えきれず、ついつい吹き出しそうになり、体が小刻みに震える。ご主人は私を、奇異なものを見る目で睨む。

『中二病』とは、対話する時に治る、都合のいい病気なのか。と強引な解釈をし、気を紛らわせる。

はぁ〜!お腹すいたな〜!早くポケモンフーズ来ないかな〜!
 ▼ 26 二シャンデラ◆P7uCNqttgw 15/04/12 18:35:05 ID:Qnuevlik [8/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「洗浄の泉へ行く。さらばだ」

何事もなかったようにご主人は席を立つ。口調もいつもどおり戻っている。やはり相手によって言葉を使い分けているだけだった。

洗浄の泉とは何かふと考えたが、すぐに答えは判明した。ご主人は女子トイレに入ったからだ。

意外と律儀なところがあり、外食といっても食べる前に手洗いは欠かさない。手を洗ってすぐにトイレから出てきた。

ご主人が椅子に座ると、丁度良いタイミングで料理が届いたようだ。

ウエイトレス「おまたせしました」

私の前には美味しそうに盛られたポケモンフーズ、ご主人の前にはこんがり焼かれたサンドイッチが置かれる。
 ▼ 27 二シャンデラ◆P7uCNqttgw 15/04/12 18:46:16 ID:Qnuevlik [9/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>23
支援ありがとうございます
 ▼ 28 風の翼を持つ小鳥◆2cBCGsfnD. 15/04/12 18:50:37 ID:hkFOkYJc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 29 二シャンデラ◆P7uCNqttgw 15/04/12 19:12:54 ID:Qnuevlik [10/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
ご主人は幸せそうにチキンサンドを食べる。口の中でパンがざくざく砕ける。すごい食べっぷりだ。

かくいう私もお腹がすいていたので、ポケモンフーズがどんどん口の中に入る。幸せなひと時だ。

お互い無言で食べ続ける。強いて言えば、時々水のお代わりを注文する程度で、私たちの囲うテーブルは静かだった。

−−−

2人とも食事を終え、店を出るのかと思ったが、ご主人は唐突にアイスコーヒーを注文した。

砂糖にもミルクにも手を付けず、ブラックに挑戦したいようだ。また少し、顔が赤く染まる。

しかしそれはさっきの苦しそうな顔色でなく、挑戦に対する緊張を表していた。

アイスコーヒーが、ゆっくりと彼女の唇に触れる。一口のみ、顔を渋め、そっと砂糖に手を伸ばした。口に合わなかったようだ。
 ▼ 30 荷寿司◆P7uCNqttgw 15/04/12 19:25:07 ID:Qnuevlik [11/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日はここまでで終わろうと思います
続きは明日書けるかも

>>28
支援ありがとうございます
 ▼ 31 ャロップ@あさせのかいがら 15/04/12 19:46:21 ID:N5XmYHeQ NGネーム登録 NGID登録 m 報告
羽瀬川小鳩で脳内再生される
支援
 ▼ 32 二シャンデラ◆P7uCNqttgw 15/04/13 16:47:27 ID:cQLZvZZI [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
書きます。次のレスから酉を変えます

>>31
実はモデルとなったキャラはいないです
 ▼ 33 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/13 17:12:20 ID:cQLZvZZI [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
会計を済ませ、店を出ると、2人でまたぶらぶらと歩き出す。冷房に冷やされた体に、心地いいくらいの暑さだ。

「シャンデラ…美味しかったわね」

ご主人がつぶやく。やはりご主人は、落ち着いている時が一番さまになる。まだ行きたい所があるようで、心持ち早足になっている。

昼間も多くの人が行き来する都会。同じ時間でも閑散とした田舎とは大違いだった。これが、朝夕はもっと混雑するらしい。驚きだ。

−−−

15分ほど歩き、目的地に到着した。目の前には大きく”ポケモン街”と書かれた看板がある。この名前には聞きおぼえがあった。
 ▼ 34 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/13 17:40:46 ID:cQLZvZZI [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ポケモン街とは、ポケモンを持っている者だけが入場できる広場のような所で、大規模なものは日本でも都市に数ヶ所しかない

トレーナーであればポケモンについて語り合ったり、試合等が可能。中にはポケモン街以外での対戦を禁止している場所もあるらしい。

入場するにはタイプ、レベル、種族を問わずポケモンを一匹以上所持し、全てのポケモンが状態異常がなく、HPも満タンでないといけない

元はポケモン勝負によって人や交通の往来の妨げになるのを防ぐために造られたそうだが、現在では専ら交流の場となっている。

つい興奮して、説明が長くなってしまった…。


街に入ると、まず最初驚いたのは、その広さだった。皆多種多様なポケモンとコミュニケーションをとっている
 ▼ 35 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/13 18:39:13 ID:cQLZvZZI [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ご主人も同じ反応で、辺りをきょろきょろと見渡す。私は見渡して最初に一つ、発見があった。

ここに来る人達の多くが私のご主人のように、トレーナーが手持ちのメインポケモンを一匹ボールから外に出している

そのお陰で、その人がどんなポケモンを好むのか、どんなタイプを使うのかがあらかた分かる。自己紹介のようなものだ。

ご主人はゴーストタイプの使い手、同志を探しているのだろうか、見渡すのをやめない。それでもゆっくりと足を前に進める。

因みに、道中でラグラージやナマズンが凄くどや顔でこちらを見てくるのを視線で感じたが、目を合わせないようにした。怖い。
 ▼ 36 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/13 20:52:55 ID:cQLZvZZI [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ご主人は照れ臭いのか、ゴースト使いの人がいても話しかけようとしない。試合を持ちかけられてもやんわりと拒否する。

普段から変な性格のご主人だから、友達を作ろうとしても難しいのかもしれない。しかし、これでは来た意味がまるで無い。

私はそんなご主人に歯がゆさを感じつつ、背中を追ってついて行く。その時私は、周りに一切注意を向けていなかった。

???「シャ〜ンデラさん!」

背後から、いきなり私の名前を呼ぶ緩い声がした。おどろかす、か?…無論、効果は抜群だ。宣戦布告と思い、私は慌てて後ろを振り向く。

そこにいたのは、昨夜談笑していたはずのバケッチャ本人だった。ドッキリ大成功と言わんばかりの清々しい笑顔を見せる。
 ▼ 37 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/13 21:15:37 ID:cQLZvZZI [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「!?…バケッチャ、何故お前がここに?」

取り乱していた。1,2の、ポカン!とした顔をしていた私は、ご主人の動向そっちのけでバケッチャに話しかけていた。

その様子を軽く笑ってから、彼は口を開いた。

「実は私の主人がこの近くに住んでいるんですよ。時間がある日はよくここへ出かけているのです。まさかこんな人ごみの中で、貴方と出会うとは」

私の近所で彼を見かけないのは、そういう理由があったのか。と納得した反面、この近くに住んでいるなら、

さぞや良い生活をしているんだろうなぁ、という羨望の気持ちも生まれる。いかん、さっきから取り乱しすぎだ。
 ▼ 38 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/13 21:48:36 ID:cQLZvZZI [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
一旦、深呼吸をし、我に返る。ふとある疑問が浮かんだので、バケッチャに訊いてみた。

「バケッチャ、何故毎晩私の住んでる田舎まで行って私たちに会いに行くの?都会のほうが仲間も作りやすいと思うのだけれど」

「こっちは夜も眩しくて、うるさくて、個人的には居心地が悪いです。シャンデラさんのいる町のほうが静かで落ち着いてるんですよ」

なるほど、都会の魅力に囚われていたが、私の住む所はそんなメリットがあったのか。少し嬉しくなる。

そして、立場や視点によって、感じる価値観は変化することを学んだ。今夜の集いは話が盛り上がりそうだ。

一方ご主人は、勇気を出してバケッチャの主人に話しかけようとしていた。
 ▼ 39 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/13 21:50:34 ID:cQLZvZZI [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日はここまでです。
シャンデラが最初と比べキャラ崩壊してるように感じたので、今後はそこを気をつけたいです。
 ▼ 40 野 五郎◆.flNhBxqaM 15/04/13 22:06:16 ID:R0ozeQx6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
かなり崩壊してるなw
支援
 ▼ 41 イエン 15/04/13 22:35:47 ID:RDmW7F4Y NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 42 ガオニゴーリ@カゴのみ 15/04/13 22:39:35 ID:974E7flw NGネーム登録 NGID登録 報告
あっちゃ〜……コテハン入れちゃってるのか。コテハンが1だったらまとめられたのに

いや、例外もあるしスレ主のSSがまとめられる事を祈るわ
 ▼ 43 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/14 15:33:10 ID:oGXoANVM [1/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
書きます
酉変わってたらごめんなさい

>>40
はい。最初の口調と今の口調でギャップがありますしね

>>41
ありがとうございます。

>>42
まとめられるのは目標にしてなかったので、すいません…
もし今度違うSSを書く予定があれば文字のコテハンは入れないようにします
 ▼ 44 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/14 16:12:07 ID:oGXoANVM [2/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
はにかんだ私のご主人より先に口を開いたのは、バケッチャのご主人の方だった。

「貴方がこのシャンデラのご主人ですか!?初めまして!」

見た目も口調も快活な女性だった。長い髪は後ろで束ねられたポニーテールで、暑い日に合った身軽な服装を着ている。

背は私のご主人より高く、恐らく年上だろう、お姉さんのような趣がある。その彼女は話を続けた。

「あ、えっと、先に自己紹介をするね、私の名前はエリ。私のバケッチャと貴方のシャンデラ、仲が良いみたいね」

ご主人は『仲がいいことくらい見ればわかる』といいたそうに、訝しげな目で「エリ」さんの話を聞く。
 ▼ 45 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/14 16:14:09 ID:oGXoANVM [3/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
しかしエリさんは、ご主人とは初対面のはずなのに妙にフレンドリーだ。ポケモン同士の仲は良いが、トレーナー同士はそうで無いこともある。

二言目で自己紹介するのは、出会ってすぐの人に名刺を渡すマナーのようなことだろうか。

人間界のマナーはわからないが、ポケモン界の「出会ったらバトル」の精神に通ずるものがある。

まあそれはともかく。エリさんは一方的にご主人に話しかける。

「ちょっと私の家に来てくれる?貴方のシャンデラについて、詳しく診せてほしいの」

え?話がどこで跳躍したの?出会いがしら私の家に来いなんて、絶対に誘拐でしょ…?行っちゃ駄目よ、ご主人…!
 ▼ 46 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/14 16:29:26 ID:oGXoANVM [4/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
流石にそんなことを言われて、素直について行く人なんている訳がない。ご主人はエリさんを拒絶するように言い放つ。

「貴方、馴れ馴れしすぎます!別に貴方に興味はないし、家行く気もないです!!」

大声で怒鳴った。ご主人がこんな大声を出したのは初めてだ。無論、周りの人に聞かれており、街は騒然とした。エリさんは苦笑を浮かべる。

「バケッチャ、これ、どういうこと?」

若干怒り気味の口調で私が問うと、バケッチャは即答した。

「私の主人は昔から、最初は何を考えているか分からない人なんです。だからゆっくり、理由を聞いてあげないと…」

バケッチャは、とても弱った顔をして、ため息をこぼした。
 ▼ 47 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/14 16:54:53 ID:oGXoANVM [5/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ご主人が誘拐されるのも困るが、私のことを無許可で診るというのも不可解な話だ。まさか解剖とかしないでしょうね

ひとまずエリさんは、周りの人とご主人に、迷惑をかけたことを謝罪した。その位の一般常識はあるのか。

コホン、と咳払いをしてから、敬語を使ってご主人に対して説明を始めた。

「驚かせてごめんなさい。一から話しますね。私、エリはポケモンの心理について研究しています。」

「ポケモンとは多種多様な者が共存し、我々人間には分からない事だらけなのです。最近研究している、ゴーストタイプもそうです。」

「それで、資料の一つとしてとしてシャンデラのことを調べたかったのですが、あいにく私はヒトモシを持ってないのです。」
 ▼ 48 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/14 17:08:45 ID:oGXoANVM [6/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ご主人は、『それじゃあ捕まえればいいでしょ』と言いかけたが、そんな間もなくエリさんは話し続ける。

「仮にヒトモシを捕まえたとしても、闇の石を持っていないため、シャンデラにすることが出来ないのです」

「そこで、私の最近の研究の友である、バケッチャに相談してみました。すると、貴方のシャンデラと昔から親交があるそうです」

「私はとりあえずそのシャンデラを探そうと思い、ポケモントレーナーの交流の場である、ここに通い続けました。」

「そして今日、やっとバケッチャが貴方のシャンデラを見つけたのです!」

回りくどいが、すごい執念である。貴方、研究員じゃなくただのゴーストポケモンオタクでしょう。
 ▼ 49 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/14 17:25:19 ID:oGXoANVM [7/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そうですか…なら行きますよ。ただし命は保障してください。」

ご主人は渋々承諾した。ここで断ってもしつこく勧誘されるのを恐れたのだろう。命は保障してください、の一言も、皮肉に聞こえる。

私も乗り気ではなかったが、バケッチャとのよしみと、努力を労うのを理由に家へ向かうことにした。

「あら、ありがとう!物分りがいいね!」

長い説明が終わり、タメ口に戻ったエリさんからは、さっきのオタクっぽさは消えていた。しかし強引である。

ポケモン街から彼女の家は、さほど遠くなく、すぐに到着した。ここが所謂「高級住宅街」だろうか
 ▼ 50 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/14 17:53:37 ID:oGXoANVM [8/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
エリさんの家は小さな病院を営んでいる。どうやら心が傷ついたポケモンのメンタルケアをしている病院らしい。

ポケモンの心理を研究しているのも理解できる。

家に入り、ご主人と手洗いうがいを済ませたエリさんは、リビングへ案内した。小物が飾ってあり、綺麗な部屋だ。

エアコンをつけ、ポニーテールで使っていたゴムを外し、ロングヘアになったエリさんは、すぐに茶菓子を用意した。

一方ご主人は、家に来たときからガチガチに固まっていた。赤面してきんちょうかんを放っている。木の実が食べられなくなりそう。

エリさんとご主人は、容姿も人となりも対照的な関係にある。それが未だに慣れないみたいだ。
 ▼ 51 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/14 18:46:09 ID:oGXoANVM [9/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
「えーと、貴方のシャンデラを一晩、預かっても良いかな?」

エリさんの鶴の一声で、いきなり本題に入る。さっきの誘拐宣言といい、この人は単刀直入にものを言う性格なのかな。

ここまで来て言うものではないが、私はこの人に預かられたくない。ご主人はその言葉で緊張が解け、いつもの調子に戻ったみたいだ。

「ふん!我が闇の眷属の血筋を継ぐ友には、汝の指一本たりとも触れさせない」

そうして私の体をぎゅっと抱きしめた。体の柔らかさが直に伝わるが、それ以上に苦しい。幸い、私が熱かったためかすぐに離してくれた。

当然、エリさんはご主人の言っていることが理解できない。そしてご主人はあまりシャンデラの話をしたくない。出来れば家に帰りたい。

話題を逸らそうと必死で頭を働かせ、ご主人はエリさんに問いかける。
 ▼ 52 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/14 18:47:37 ID:oGXoANVM [10/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
「な、何故、汝のバケッチャと、我のシャンデラが仲良い事を、知ってる…んです…か…」

出まかせで投げかけた質問なので、言葉尻が弱く、難しい言葉もあまり使えていない。

ただ、言われてみれば不思議だ。ポケモン同士の友好関係を、何故人間であるエリさんが知っているのか。

ゴーストタイプの集いの事は、私はご主人に内緒にしているし、バケッチャがエリさんに話していてもポケモン語は理解できないはずだ。

その質問に対して、彼女は何のためらいもなく応答してくれた。

「バケッチャが、よくシャンデラのことを教えてくれるんだよ」
 ▼ 53 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/14 18:52:57 ID:oGXoANVM [11/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
文章が所々おかしいし、上手く話がまとめられないです。スランプかも。
という訳で今日は多分ここまでです

次からは推敲を頑張ります
 ▼ 54 ラス@むげんのふえ 15/04/14 20:18:52 ID:hyyQjiI6 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援

慌てずゆっくりでいいからな
 ▼ 55 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/14 20:52:18 ID:oGXoANVM [12/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>54
支援ありがとうございます
量より質を意識して、レスの数は減っても丁寧な文章のSSを心がけますね
 ▼ 56 才的な馬鹿 ◆./lC9VnWyM 15/04/14 21:04:30 ID:GtAPakDI NGネーム登録 NGID登録 報告
ぐはっ!!
 ▼ 57 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/15 16:46:28 ID:P9rjszJY [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
書きます。


まさかこの人、本当にポケモンと会話できるのか?この人の場合、尋ねれば包み隠さず話してくれそうだ。

さっきのポケモン街の騒ぎのように、思い立ったことを口走って傍から誤解される人だ。エリさんは口が軽いんじゃないか、と直感が働く。

試しに私はエリさんに話しかけてみた。

「エリさんは、ポケモンと会話できるんですか?」

彼女は少し照れながら、ご主人と私の顔を交互に見て、凄く自慢げに語りだした。

「えー、実は私、ポケモンと会話できるの!シャンデラに会えたのもバケッチャと心が通じ合ったお陰です!」
 ▼ 58 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/15 16:51:08 ID:P9rjszJY [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
エリさんは鼻高々、ご主人はいきなり告白された事実にポカンとし、バケッチャはお菓子を食べつつ3人の会話を聞いている。

ご主人は私の喋ったポケモン語が理解できないので、エリさんが突然自慢話をしたようにしか見えず、とげのある物言いで問う。

「何ですか、いきなりその自慢は…?それが凄いんですか…?」

ポケモンと人が対話できるのは凄いと思うが、エリさんに良いイメージの無いご主人はそれを許容しない。

一方、自分の取り柄を否定されたエリさんだが、終始穏やかな口調で返答する。これが大人の対応だろう。

「え?我ながら自分の長所だと思うんだけど、駄目かな?ポケモンの心を癒すのが私の仕事だし、これもスキルなんだけど…」
 ▼ 59 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/15 17:36:12 ID:P9rjszJY [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
それでもご主人は、疑うのをやめない。シャンデラを預かりたいという話がそんなに不服だったのだろうか。

あるいは、自分の持っていない取り柄を持つエリさんに嫉妬しているのか。いずれにせよ、ご主人は一度も彼女に笑顔を見せない。

「あ、もし良かったら今、貴方のシャンデラの伝えたい事を翻訳してあげよっか?」

「我が魂は、このシャンデラと互いに愛で繋属されている。その必要は皆無だ」

エリさんの言葉にご主人はすげなく答える。あえて難しい言葉を用いて、混乱させるのが狙いか。たまに普通の言葉で喋るから、余計混乱しそうだ。

交渉決裂したまま、無為に私の時間はすぎていく。強情で感情的なご主人と、従順で理性的なエリさんは、水と油のように交わることが無い。
 ▼ 60 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/15 18:16:55 ID:P9rjszJY [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
部屋が静寂な空気に包まれる。エリさんは出会って初めて顔をしかめ、閉口した。その状況を打破するため、私は彼女に質問を投げかける。

「エリさん、この世界には、あまたのポケモンがいますが、何故私…シャンデラを研究しようとするのですか?」

「別に、貴方だけじゃない。私は多くの資料を得るために、色々なタイプの、色々な種類のポケモンを観察、研究してるんだ」

ふざけているようで、意外と研究熱心で真面目な人だ。一方ご主人は、不貞腐れながらお菓子をむさぼり食べる。

バケッチャは、あまり話題と関係ないため、暇そうにしている。それに気づいていたエリさんは、バケッチャに手伝いを頼む。

「バケッチャ!例のノートを持ってきてもらえる?」

ボーッとしている時に話を振られたバケッチャは少し動揺していたが、黙って『例のノート』を持ってきた。
 ▼ 61 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/15 18:47:06 ID:P9rjszJY [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
バケッチャが持ってきたノートは、薄汚れたものが何冊も重ねてあり、辞書のようにぶ厚い。表紙には丁寧な字で「観察記録」と記されている。

エリさんが、その中から適当に一冊を取り出し、中身を見せてくれた。目次には今まで調べたポケモンの名前が並ぶ。

観察結果のページには、調べたポケモンの写真と名前が大きく載っており、その下には生態や行動、鳴き声を可視化したものなどを

こと細かに記している。小さな字が敷き詰めてあり読みにくいが、一字一字が丁寧で魅力のある文章だ。才能を感じる。

ご主人もこれには興味を持ったようで、ゴーストタイプのページを探しては熟読している。読書の邪魔にならないよう、私はエリさんにつぶやく。

「これ、まさか全部自分でまとめたんですか…?」

「いや、それは無いよ!お父さんや助手のポケモンに手伝ってもらったお陰だよ」

確かに、この情報量を一人でまとめるには限界がある。皆協力によって出来たこのノートには、とても感慨深いものを感じる
 ▼ 62 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/15 20:38:54 ID:P9rjszJY [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
つい忘れがちだが、私はエリさんの研究のために家へ呼ばれたのだった。早く話にけりをつけよう。

私は観察される程度なら一晩預かってもらっても良いかな、と考え直したが、問題はご主人がそれを許すか否かだ。

「あの、さっきの話ですけど、私はエリさんの研究に参加したいですけど、ご主人の許可が下りないと駄目なんです」

「あぁ、さっきの研究の話だね!じゃあ折角なら、彼女も私の家に泊まっていく?それで良いでしょ!」

あっという間に話を進めてしまった。最初はご主人を家に泊める気なんて無かったはずなのに、この決断力はなんだろうか

多分、今までの研究の成果は、この人の高い決断力と行動力の賜物だろう。少し高すぎるのが欠点だが。

肝心のご主人は、ノートを読みふけ、心が愉悦で満たされている。このままそっとしておこう。
 ▼ 63 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/15 20:39:49 ID:P9rjszJY [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日はここまでです。
エリさん好き。
 ▼ 64 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/17 16:25:53 ID:pqIpNgzI [1/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
夕方。

昼のように眩しい太陽は沈み始め、私たちゴーストタイプは夜に近づくにつれ、次第に活発になっていく。

ご主人は時間が経つのを忘れるほどノートに夢中になり、日が暮れはじめているのにやっと気付いた。

そのころを見計らい、エリさんが話を切り出した。

「もし良かったら、私の家に泊まっていく?シャンデラは泊まっていくみたいなんだけど」

すでに私とエリさんはさっきの会話で契約は完了している。後はご主人がどういう対応をとるかが肝心だ。
 ▼ 65 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/17 17:50:00 ID:pqIpNgzI [2/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
「…汝に用は無い。帰る」

シャンデラが残るなら私も!と言うかと予想していただけに、この言葉は意外だった。相当エリさんに不満があるんだろう。

ご主人は荷物をまとめ、黙って玄関へ向かう。帰ろうとするご主人を、エリさんは穏やかな声で呼びかける。

「引き止める気は無いんだけど…今携帯は持ってる?持ってたら、電話番号を教えて!」

「何故そんな事を。汝…貴方とは金輪際関わりたくない」

先ほどまでと異なり、ご主人の声に怒りの感情は微塵も感じない。冷たい声音でエリさんを突き放す。

家の扉のほうを向いたまま、一切こちらに顔を見せない。エリさんは、あ、ちょっと…と声が漏れ、話を続けた。

「さようならシャンデラ。貴方はその女と幸せに暮らすがいいわ」
 ▼ 66 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/17 17:54:25 ID:pqIpNgzI [3/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ご主人はその言葉を最後に、私たちの前から姿を消した。ご主人が、ご主人で無くなった。

私はエリさんと、家の扉を眺めていた。ご主人、否、あの人は自分より年上の女性に対し「その女」呼ばわりとは、口が悪い。

よく考えたら訳の分からない言葉で私を困らせたり、自分勝手で子供っぽい人だった。いなくなっても、別に良かったかも知れない。

エリさんは、これでも悲しんだり怒ったりもしなかった」。相変わらず穏やかな口調で語りだす。

「う〜ん、誤解されちゃったかな?家の住所が分からないから、シャンデラを返すとき連絡しようと思って、電話番号訊いたんだけどな」

「しょうがないなぁ、シャンデラ、これからは私と一緒にポケモンの研究を頑張りましょ!」

エリさんは私を、柔和な笑顔で見つめる。心が包まれる感じがした。悔いは無い。もう、忘れよう。
 ▼ 67 ドシシ@ボーマンダナイト 15/04/17 18:02:55 ID:on1nvG72 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
えっ?……

支援
 ▼ 68 ンパン@ホズのみ 15/04/17 18:03:40 ID:on1nvG72 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>66
これでも悲しんだり怒ったりもしなかった」。
」はいらないぞ
 ▼ 69 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/17 18:12:51 ID:pqIpNgzI [4/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
2人は黙ってリビングへ戻る。そこではバケッチャが横たわって仮眠をとっていたが、私たちが戻ってきたので、慌てて飛び起きる。

その時の反応が滑稽で、ちょっと笑ってしまいそうになる。バケッチャは口からこぼれたよだれを拭きつつ、私に話しかけた。

「あれ?シャンデラさんのご主人さんはどうしたんですか?」

「あー、何か私を残して、勝手に家に帰っちゃったわ。良いの良いの、気にしないで」

出来るだけいつも通りに取り繕う。バケッチャに余計な心配をさせないためにも、落ち着いて話さなきゃ。

胸の中では今も、チクチクしたものが残る。でも私が逃げていった訳じゃないんだ。大丈夫。私なら大丈夫。

そうやって自己暗示しながら、私はじっと心の平静を保つ。
 ▼ 70 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/17 18:13:45 ID:pqIpNgzI [5/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>68
あ、すいません。
ただのタイプミスです
 ▼ 71 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/17 19:01:00 ID:pqIpNgzI [6/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
エリさんは、さっきバケッチャの持ってきたノートを静かに片付ける。綺麗な指で一冊ずつ、所定の棚に丁寧にしまう。

「片付け、手伝いましょうか?エリさん」

「ありがとう。でも、自分一人で出来るからいいよ!気にしないで」

エリさんがどのノートをどの位置ににしまうか私は知らないし、私が本に触れて燃えてしまうと弁償できないので、手伝わないほうがいいか。

しばらく、黙って片付けていたエリさんだったが、たった今思い出したことがあるようで、急に口を開く。

「そうだ。私のことはエリさんじゃなくて、エリって呼んでくれる?あと、タメ口でもOKだよ」

「はい、わかっ、た。エリさ…エリ」

頑張って呼び捨てに慣れよう。
 ▼ 72 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/17 19:06:03 ID:pqIpNgzI [7/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
片づけを終えたエリさん…エリはソファにゆっくり座り、私に慈悲を持った目を向ける。私に何かを訴える眼差しだ。

さっきまでの優しさと明るさを忘れてしまった、悲しい目をしている。いきなりどうしたんだろうか。

伝えたいことがあるならはっきり伝えてほしいが、我慢しているのか、躊躇っているのか。何も言おうとしない。

彼女は、まるで口を開くことさえ許されないかのように閉口する。

この部屋に、何をするのも許されない微妙な雰囲気が構築される。時々、エリは思い切って口を開こうとするが、やはり閉じてしまう。

その度に、彼女の瞳がかすかにうるむのは、はっきりと確認できる。何か重いことを抱え込んでいるのか、私は不安になる。

「あの…何か悩み事でも…ある?」

とまどいより先に私の口が開いた。エリは静かにうなづいてから、その悩みを打ち明けようとした。
 ▼ 73 ェリム@ビアーのみ 15/04/17 19:13:11 ID:5bsc2bCw NGネーム登録 NGID登録 報告
sage
 ▼ 74 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/17 19:27:15 ID:pqIpNgzI [8/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
※胸糞注意

「えーっとね…その…ごめんね?私が悪いよね、勝手に無茶言っちゃって…」

今まで溜まっていたであろう涙を、ぽろぽろとこぼしていく。しばし顔を手で抑えた。少し泣いたら、頬に流れた涙を静かに拭き取る。

「無茶」とは、さっきの出来事だろうか。あれをまた掘り返されて、私はかなり不快だ。

しかしこの気持ちを表に出すと、エリもかわいそうだし、私も胸糞悪くなる。今はじっと口を縛り付け、エリの話に耳を傾ける。

「私、今まで自分勝手で、ポケモン、いや、ポケモンの研究しか興味なくて、そのせいで変なことばかりやって」

「そのせいでお父さんにもたくさん怒られて、友達にも嫌われて…でも今日みたいに、やってることは全然変わんないんだよね」

「こんな自分駄目だなーと思いつつ、探究心が私を縛り付けて、今も反省することしかなくて…」

静かな部屋に、エリの、自分に対する懺悔の言葉だけが響く。長い話になりそうだ
 ▼ 75 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/17 19:53:06 ID:pqIpNgzI [9/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>67
支援ありがとうございます
 ▼ 76 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/17 20:34:34 ID:pqIpNgzI [10/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
『お父さんにもたくさん怒られて、友達にも嫌われて…でも今日みたいに、やってることは全然変わんないんだよね』か。

恐らく彼女は、お父さんに怒られたり、友達に嫌われた時に、今私に訴えている内容と似たようなことを弁明してきたのだろう。

自分勝手という自覚はあるし、それを直したい意志はある。だから、自らが謝る時は「反省します」と言う。

でも、喉元過ぎれば熱さを忘れるというように、反省したことを忘れてしまうと自分勝手さが再び露呈する。

その結果、またお父さんや友達に怒られたり、嫌われたり…。自分の反省点を忘れただけで、負のスパイラルの連鎖が続く。

つまり、自分の反省すべき点は忘れずに直さないと、自分が苦しくなる、ということだ。そして、彼女はそれが出来ない。
 ▼ 77 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/17 20:39:45 ID:pqIpNgzI [11/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日はここまでです
いつも予定を立てずに書くので急に展開が変わったりして申し訳ないです
 ▼ 78 者に憧れる人 15/04/17 20:42:59 ID:IeI4ZZwA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>77
頑張ってください!!!!
支援!!!!
 ▼ 79 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/17 21:15:22 ID:pqIpNgzI [12/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>78
支援ありがとうございます
 ▼ 80 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 11:39:24 ID:RgY2HdLA [1/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
−−−

満足するまで、自省を述べられたのだろう。涙を流しながら、エリはふたたび閉口する。

彼女が泣いているのは、人のポケモンを事実上奪ってしまったから。私の前のご主人を怒らせてしまったから。

自分勝手な部分が改善できないから。そして、私につらい思いをさせてしまったから。色んな思いが募って、今泣いているのだろう。

確かに、人のポケモンを奪ったといわれても否定できないし、前のご主人を怒らせたのも事実だし、エリは自分勝手である。

だが、私につらい思いをさせたというのは、間違っている。
 ▼ 81 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 11:50:12 ID:RgY2HdLA [2/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
私は、前のご主人が、私を捨てても、エリが私のパートナーになっても、悲しみや悔いは、全く無い。

無論、前のご主人には、少なからず優しさや情けや、愛情をもらった。しかし、それでも彼女を不満に思うことがあった。

逆に、前のご主人も、私に隠していた、私に対する不満があっただろうし、互いを愛することは、出来なかったかもしれない。

要するにポケモンとは、捨てられたり拾われたりしながら、一番相性の良いパートナーと愛を築かなければいけない。

はっきり言って、自分を捨てた昔のパートナーに未練を残していたら、「ポケモン失格」だ。
 ▼ 82 風の翼を持つ小鳥◆2cBCGsfnD. 15/04/18 12:15:04 ID:w8viuZ6g NGネーム登録 NGID登録 報告
支援!
 ▼ 83 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 12:19:29 ID:RgY2HdLA [3/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
これ以上エリを暗い気持ちにさせないよう、私は精一杯の慰めの言葉をかける。

−−−だが、これが彼女の慰めになるかは、分からない。

「エリ、気にしないで。私のご主人は、酷い人だったから。あの子も自分勝手で、私にしか興味が無くて、子供っぽくて…」

「難しい言葉ばかり使って、それで中二病っていう病気らしいし…」

そういえば忘れていたが、エリの家は病院を営んでいるんだった。前のご主人も、中二病を治してもらえばよかったのに。

いや、そんなことを考えている場合ではない。私は、今のパートナーであるエリに、少しでも元気を出してもらいたいんだ。
 ▼ 84 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 12:33:19 ID:RgY2HdLA [4/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「だから、ご主人も悪いところが多かったから、ご主人と離れても悲しくないし、寂しくないし…」

「むしろエリっていう新しいパートナーに出会えたから、これからが楽しみだし、泣かないで!」

何故か焦って早口になってしまった。エリは、いきなり私がまくし立てたので、若干うろたえる。

涙を拭き、エリは私を申し訳なさそうな目で窺う。私の伝えたいことは分かってくれたはずなので、ダメ押しの一言を放つ。

「ご主人はその場しのぎの強がりしか言わないの。後悔して、きっと数日後、早ければ明日にでも電車に乗ってここに戻ってくるわ」

「その間だけでも、貴方と私はパートナーでいましょう。エリ。」
 ▼ 85 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 12:36:43 ID:RgY2HdLA [5/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
私は少し前、ポケモンがパートナーに未練を残したら失格だ、と語った。

本当であれば、もう前のご主人のことは忘れ、エリと一緒にパートナーになろうと思っているはずだ。

しかし、前のご主人が私に未練を持っていたとしたら、完全に縁を絶つことはできない。

きっとご主人は戻ってくる。私を連れ戻しに来る。こう断言できるのは、私たちの間に絆があるから、ではない。

強がりを口にして、素直になれないご主人の性格を考慮した故の持論である。

いつも難しい言葉ばかり使うのも、ご主人のこの難しい性格に起因しているのかもしれない。
 ▼ 86 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 12:44:36 ID:RgY2HdLA [6/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>82
2回目の支援ですね!
ありがとうございます
 ▼ 87 ローにはフレドラ相討ち 15/04/18 16:22:00 ID:O7seIU0A NGネーム登録 NGID登録 報告
超絶支援!!
 ▼ 88 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 18:00:18 ID:RgY2HdLA [7/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
夜。夕飯を食べ終えて、エリと私は研究室にいた。どうやら私に確認したいことがあるらしい。

「ねぇシャンデラ。ゴーストタイプは最近、深夜の田舎の町に集まるのが日課なんでしょ!」

「…え?いや、別に…」

その場しのぎで私はとぼける。

ゴーストタイプの集い。私は周りの人やポケモンには秘密にしていたのだが、何故かエリはそれを知っている。

私は不思議に思い、誰がその話を漏らしたのか考えてみたが、すぐに答えは出た。多分バケッチャが言いふらしたのだろう。

バケッチャと私は集い以外で関わりが無いので、バケッチャは集いの話を経由して、エリに私のことを教えた。

そうすれば、どうしてエリが私のことを知っていたかも合点がいく。
 ▼ 89 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 18:03:07 ID:RgY2HdLA [8/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
しかし困った。エリには集いのことを詳しく知られたくない。これからどういう対応をしていくべきか。

これはバケッチャにも内緒にしておいてほしかったのに、意外と彼は口が軽いな。後で注意しておこう。

色々と考えていると、頭が整理できなくなる。まずは一旦落ち着こう。深呼吸、深呼吸。

何故私がこの事を秘密にしたがるのかというと、一番の理由は部外者を入れたくないからだ。

深夜にゴーストタイプがたむろしていると聞けば、勇気のある野次馬は場所を特定して押しかけてくるかもしれない。

ゴーストタイプ以外のポケモンや人が来ると私たちは迷惑だし、深夜の暗い所は危ない。そんな理由で、私は一切のことを話さない。
 ▼ 90 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 18:07:54 ID:RgY2HdLA [9/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>87
超絶ありがとうございます!!
 ▼ 91 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 18:33:39 ID:RgY2HdLA [10/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
エリは集いについて、更に話を続ける。

「バケッチャから聞いたんだけど、その集まりで貴方は私のバケッチャと知り合ったんでしょ?」

「もし良ければ、研究の一環としてその集まりに参加してみたいんだけど、いいかな」

「集まり?さぁ、何のことだか…私はそんなの知らないけど…」

私のためにも、エリのためにも、隠し通さなければいけない事実。多少の嘘も仕方が無い。

元はといえばバケッチャが悪い。私はこの話に関与すべきではないのだ。

「そう、じゃあバケッチャと相談するよ。シャンデラもその集まりに、連れて行ってあげる」
 ▼ 92 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 18:55:01 ID:RgY2HdLA [11/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「まあ、貴方がその集まりを知っていても知らなくても、私は今日そこへ行く予定なんだけどね」

もしかして、場所も特定しているのか?私が折角隠していた情報も、バケッチャのせいで筒抜けである。

私はこのやり場の無い苛立ちを必死で抑えつけ、理性を持ってエリを諭そうとする。

「エリ、あそこは行っちゃ駄目、夜道は危ないし、あそこはゴーストタイプ以外立入禁止なの」

「あれ?集まりのことは一切知らないんじゃなかったの?その割には妙に詳しいね〜」

あ、エリには集いのことは知らないと言ってたんだ。これでは嘘をついてるのがバレてしまう。
 ▼ 93 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 19:27:16 ID:RgY2HdLA [12/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
でもこの際、嘘がばれても構わない。エリの身を案じて、再び私は言い聞かせる。

「でも深夜の暗い街は危ないから、人間、ましてや女性が行くもんじゃない!不審な人や不審なポケモンが出るから…」

「私も今まで数多のポケモンを研究してきたから、今更野生ポケモンなんか怖くないし、貴方たちがいればきっと大丈夫だよ」

参った…。彼女には何を言っても聞き入れてくれなさそうだ。

仮に部外者は来てほしくないと言っても、エリはバケッチャという後ろ盾がいるので、結局意味は無さそうだ。

これでは埒が明かないので、私は二つの条件と引き換えに、エリとの同行を承諾する。
 ▼ 94 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 19:37:20 ID:RgY2HdLA [13/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「しょうがない。エリ、ついて来るのは良いけど、私がこれから言う二つの条件を了承して」

「まず一つ目、私の集まりのことは、絶対に誰にも話さないで。二つ目は、集まりの時は、ゴーストタイプ以外のポケモンは出さないで」

「良いよ。それじゃ、何時に行こうか?」

快諾してくれた。バケッチャとは異なり、口の重い人であれば安心だが、こればかりはエリを信じるしかない。

「まだ集いには時間があるので、それまで待つしかないわ。問題は移動手段。遠いから、人が徒歩で行くとかなり時間がかかるわ」

「それなら問題ないよ!私の一人のトレーナーだから、移動に使えるポケモンは持っているよ」

そしてエリは、ポケットからモンスターボールを取り出し、一匹のポケモンを繰り出した。
 ▼ 95 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 20:22:39 ID:RgY2HdLA [14/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
そのポケモンは私のように体が紫色だ。しかし見覚えが無い。多分炎タイプでもゴーストタイプでもないだろう。

相手も私を見たことが無いようで、じっくりと様子を窺ってくる。相手から殺気を感じるので、私は少したじろいでしまう。

緊張感のある対峙は、まるで試合のようだ。気配を察したエリは、お互いの名前を紹介する。

「あ、いきなり驚かしちゃってごめんね!この子は私の手持ちのクロバット!」

「それで、この子は私のもとへ新しくやってきたシャンデラ!お互い、仲良くしてあげてね」

敵ではないと分かったので、クロバットはたった今まで放っていた殺気を消す。私はひとまず、作り笑顔を向ける。

難しそうな彼だが、けんかをしないよう、仲良くできるようにがんばろう。
 ▼ 96 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/18 20:27:19 ID:RgY2HdLA [15/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
今日はここまでです
そろそろこの物語も〆に入りたい(入れるかどうかは曖昧ですが)
 ▼ 97 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 08:28:20 ID:fE/a4Knc [1/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
「それじゃあ私は仮眠をとるね。深夜11時くらいに出かける予定で、いいかな?」

「では、その時間にしましょう」

私が答えてすぐに、エリは寝室へ向かった。この研究室にいるのは、クロバットと私だけ。

静寂が広がろうとした刹那、クロバットが私に話しかける。

「お前、見たことないな。新入りか。」

「ええ。諸般の事情があって、この家に住むことになったの。」

簡潔で、シンプルな会話。これ以上話すこともないので、私は壁に寄りかかって休憩する。
 ▼ 98 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 08:32:21 ID:fE/a4Knc [2/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
−−−

「ほら、シャンデラ起きて!」

体を強く揺さぶられ、目を覚ますとそこには、出かける準備万端のエリとバケッチャがいた。

寝起きで目が冴えないが、私たちは早速いつもの場所へ向かうことにした。

エリとバケッチャはクロバットに乗って、私は浮いているので、自力で移動することにした。

全員が玄関に集まり、忘れ物がないか確認し、家の扉から定刻通りに出発した。
 ▼ 99 者に憧れる人 15/04/19 08:49:20 ID:rB97COc6 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援!!!!
 ▼ 100 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 09:22:03 ID:fE/a4Knc [3/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
上空。

夏の夜はまだ暑さが残ると思っていたが、風を切って進んでいるからか、少し涼しい。

空を見上げれば、煌めく星が散らばり、街を見下ろせば、都会の夜景は絶えることなく輝く。

それぞれが放つ光の美しさは、私の目を飽きさせることがない。私とクロバットは静かに、前へ前へ進む。

田舎へ近づくにつれ、夜景の光は落ち着いてくる。星の光だけが、私たちを照らす。

徐々に、私たちがいつも集う場所が見えてきた。クロバットは、なめらかに滑空していく。
 ▼ 101 ウワウ@ヒウンアイス 15/04/19 09:31:23 ID:jX.5B.as NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
これ小説販売してほしい
 ▼ 102 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 09:38:07 ID:fE/a4Knc [4/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>99
2回目の支援ありがとうございます!!
>>101
支援ありがとうございます!そこまで言っていただけると恐縮です…!

怠け者の私がSSスレを100まで続けられたのも、皆さんの支援のおかげです!
ありがとうございます!
 ▼ 103 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 10:05:52 ID:fE/a4Knc [5/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
無事に、いつもの場所に到着した。

クロバットにはゴーストタイプ以外参加できない旨を話し、一旦モンスターボールに戻ってもらう。

人や車は滅多に通らない真っ暗な場所なので、月の光と私の体の炎だけが、明かりになる。故に、私がいるだけで周りの面子が良く見える。

今日やって来たポケモンは、私とバケッチャの他に、オーロットとジュペッタがいる。

オーロット。いかつい雰囲気だが、根はしっかり者で優しく、同期のバケッチャと仲が良い。

ジュペッタは、いつも変な喋り方をする変わった子。不思議ちゃんだが、かわいい。
 ▼ 104 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 10:11:52 ID:fE/a4Knc [6/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
※地の文より台詞が多くなります。

ジュペッタ「むむ〜、僕の特技、お見通しによると、今日は人間が来ているね!?むむ〜部外者かな?」

シャンデラ「実はかくかくしかじかなことがあって連れてきちゃったのだけど…、ごめんなさい!」

バケッチャ「まあこの人、私の主人だし、悪い人じゃないから、許してあげて?」

オーロット「バケッチャのトレーナーか…別に一度くらい来てもいいじゃないか。な、ジュペッタ」

ジュペッタ「むむ〜、皆がそう言うなら、しょうがないね〜。僕も妥協するよ〜。」

物分かりのよいオーロットがいて安心した。どうやら、今日は問題なさそうだ。
 ▼ 105 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 11:00:15 ID:fE/a4Knc [7/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
エリ「こんばんは!ポケモンの研究してるエリと申します!」

エリ「ジュペッタとオーロットだね!ポケモンと会話できるから気軽に話しかけてね!、むむ〜っ、よしなに〜」

フレンドリーなエリは、早速ジュペッタの口癖を真似する。メガルカリオ顔負けのてきおうりょくだ。

一方のジュペッタは、嫌悪感というほどではないが若干「むむ〜っ」と顔をしかめていた。

エリ「そういえばジュペッタ!貴方メガシンカできるよね!是非見せてくれる?」

ジュペッタ「むむっ、僕はメガストーン持ってないし、あれはトレーナがいないとできないのだ」

まあ、戦うわけでもないのにいきなりメガシンカしろなんて無茶苦茶だ。でもジュペッタはメガというイメージが強いのだろう。
 ▼ 106 者に憧れる人 15/04/19 11:00:47 ID:rB97COc6 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
面白いです!!!!
今度、ゴースト統一パ
作ろうかと思います!!!!
あっ、遅くなりました。
支援!!!!(((o(*゚▽゚*)o)))
 ▼ 107 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 11:13:21 ID:fE/a4Knc [8/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>106
ありがとうございます
ゴーストタイプは可愛い子が多いので是非作ってみてください
 ▼ 108 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 11:56:05 ID:fE/a4Knc [9/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
オーロット「エリさんですか…普段は何をされているんですか?」

エリ「基本的に父さんの病院の手伝いをしながら、調べたいポケモンを追いかけているんだ」

エリ「一度調べた個体でも、また関わりが出来れば、何回も調べなおすよ。そうして最新のデータの蓄積していくのさ」

エリ「だから貴方たちも、詳しく調べさせてもらうよ!」

そしてエリは、持ってきたバッグからカメラを取り出す。

カメラと言っても大型のものではなく、所謂デジカメ?というやつだ。
 ▼ 109 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 11:58:27 ID:fE/a4Knc [10/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
エリ「資料用に写真撮るよ、じゃあまずはオーロットぉはい、チーズ!」(パシャッ

オーロット「うお、眩しい!」

暗い夜に何の前ぶれもなくフラッシュをたくので、私もオーロットも眩しいし吃驚する。もう少し配慮をしてほしい。

たが、一番驚いていたのはジュペッタで、私の背後に回りこみ、ガタガタ震えている。

ジュペッタ「むむっ!何かエリがいきなり眩しいことしてる!シャンデラ怖い!」

シャンデラ「あれはカメラって言ってね、レンズを向けた方向にあるものを機械の中に写せる道具よ」

私が説明が下手だったのか、ジュペッタは理解できずにいる。まあしょうがないか。
 ▼ 110 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 12:18:42 ID:fE/a4Knc [11/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
バケッチャ「夜に写真撮ると眩しいからやめよう、ね?」

エリはバケッチャの制止により渋々カメラをしまった。意外とこういうところでは働いてくれるのか、バケッチャ。

その後、バケッチャは仲良しのオーロットとの会話を楽しんでいる。

私は、エリとジュペッタの3人で雑談する。しかし、いつものように会話の主導権を握るのはエリだ。

エリ「私の場合は、こうやってポケモンたちとお喋りしてるだけでも、立派な研究になるんだ」

エリ「お喋りすることで、ポケモンの癖や生態、特徴が分かるから、ポケモンの気持ちを汲み取るのに便利なの」
 ▼ 111 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 12:36:07 ID:fE/a4Knc [12/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
エリ「そうやって研究していけば、色んなポケモンの色んな悩みに対応できるからね」

ジュペッタ「むむ〜っ、本当にポケモンの気持ちを理解してるとは思えないけどなぁ〜」

エリ「そうかな?まあ私の身勝手なところも、少しはあるかもね」

そういえば、この人の家はポケモンのメンタルの病院をやっているんだった。

色んなポケモンと関わって、ポケモンとの接し方や対応を学んでいるのだろう。

もしかしたら、彼女は病気についても詳しいかもしれない。私は思い切って聞いてみた。

シャンデラ「突然だけどエリ、中二病って、どんな病気なの?」
 ▼ 112 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 13:13:27 ID:fE/a4Knc [13/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジュペッタ「むむ〜、僕も聞いたことがない病気だぞ」

確か昨夜、バケッチャが話していた。彼が知ってるのだから、そのパートナーのエリも勿論知っているはずだ。

エリは軽く微笑んでから、ゆっくりと話し始める。

エリ「中二病って言うのは、名前は病気のようだけど、病気じゃないんだ」

エリ「若気の至りというか、自分が特別な存在でありたくて、目立つ服を着たり、難しい単語を使ったり…」

エリ「そうだ!シャンデラの前のご主人、と言えば良いのかな…」

語尾が著しく弱かった。未だに後ろめたさを感じさせるようなことを訊いてしまい、申し訳なく思う。
 ▼ 113 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 13:17:19 ID:fE/a4Knc [14/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
バケッチャから聞いた時から意味が気になっていた中二病と言う単語。

自分の無知ゆえに、掘り起こしてしまったエリへのトラウマと、私の未練。

私はご主人の中二病なところが嫌いだったが、それも一つの特徴だったのだ。

ポケモンは、前のトレーナーに未練を残したら失格だと偉そうに語っていた。ポケモン失格なのは私だった。

複雑な感情が、心の中をグルグル廻る。思い出は、切っても切り離せないものだと、痛感した。

そんなことを考えていると、私までしんみりしてしまう。

エリと私が暗い顔をしていると、ジュペッタにまで申し訳なくなる。切り替えなくちゃ。
 ▼ 114 者に憧れる人 15/04/19 13:21:47 ID:rB97COc6 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
どうなるんだろう、、、
何回でも支援します!!!!
 ▼ 115 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 13:37:41 ID:fE/a4Knc [15/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジュペッタ「むむっ…?二人ともネガティブな顔をしてどうなさった。笑顔が一番なのだ」

ジュペッタは相変わらず奇妙な口調で私たちを励ましてくれる。

それに応えなければいけない。

シャンデラ「あ、ごめんなさい、こっちの事情だから気にしないで。笑顔が一番よね」

エリも努めて笑顔を作る。いつ見ても彼女の穏やかな笑顔は素敵だ。
 ▼ 116 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 13:41:06 ID:fE/a4Knc [16/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
―――

エリ「ふわぁ…貴方たちと話してると、楽しくてすぐに時間が経っちゃうね!」

長い談笑を続けていると、いつの間にか日が昇っている。皆に別れを告げて我が家へ帰るのが習慣だ。

シャンデラ「それじゃ、帰ろう。ジュペッタ、今日は楽しかったわ、ありがとう」

ジュペッタ「むむ〜、別にお礼を言われるもんじゃないさ〜」

そう言いつつも、彼はぬいぐるみのようにふんわりした笑顔を作る。

エリはポケットからクロバットを出し、バケッチャや私とともに帰路に就く。

バケッチャ・エリ「「それじゃあ皆さん、さようなら〜!!」」
 ▼ 117 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 13:50:06 ID:fE/a4Knc [17/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>114
むむ〜っ、支援ありがと〜。
 ▼ 118 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 14:26:25 ID:fE/a4Knc [18/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
上空。

早朝は日中より暑くなく、顔に浴びる風が我々の眠気を吹き飛ばしてくれる。

太陽は私たちのいる世界よりずっと遠い所にあるはずなのに、目と鼻の先にあるような存在感を放つ。

朝日を意識して見ることは滅多にないが、空から眺望するとその美しさを再発見する。

星の光のように、皆を休ませてくれる光ではなく、皆が朝から元気をもらえる光。それが太陽の光だ。

どちらも大事だけど、どちらも対照的。エリとご主人も対照的だけど、いずれも私にとって大事なのかもしれない。

私にとってご主人は、休ませてくれる光で、エリは元気をくれる光。そんな感じだ。
 ▼ 119 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 14:49:03 ID:fE/a4Knc [19/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
―――

エリは、家に入るとすぐに寝室へ向かう。昨夜、出かける前に仮眠をとったとはいえ体の負担は大きかったようだ。

今日は満足するまで寝かせておこう。

私は思い切りリビングのソファにダイブする。この綺麗なソファのように、私の心もフワフワしてしまう。

私は今まで何をやってきただろうか。目的もなく、ただ毎晩ぶらぶらと集いに行き、だべって帰る。

ポケモンらしくバトルをする訳でもないので、何をすればいいか決められない…。駄目だ、今はつまらないなぁ。

ふと横を眺めると、バケッチャが寝ていた。この前もリビングで寝ていたが、彼の寝床はここなんだろうか。

私もやることがないので寝ることにした。おやすみ〜
 ▼ 120 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 14:55:27 ID:fE/a4Knc [20/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
休憩します
>>96でも書きましたが、そろそろ〆に入れそうです。
 ▼ 121 クーダ@フィラのみ 15/04/19 15:14:46 ID:20QyINkk NGネーム登録 NGID登録 報告
超絶支援
 ▼ 122 ツベイ@きのみプランター 15/04/19 15:42:05 ID:fE/a4Knc [21/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>121
支援ありがとうございます
今執筆中です
 ▼ 123 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 15:46:03 ID:fE/a4Knc [22/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
「んぐぅ…」

充分に眠り、私は自然と目を覚ました。非常に気持ちが良い。軽く欠伸をして、部屋の時計を見る。

シャンデラ「はっ、もう午後1時か!」

エリ「おはよう!シャンデラ、ぐっすり眠っていたよ〜」

ちょっと眠りすぎていたかもしれない。目をこすり、窓のほうを見る。もう完全に昼間だ。

はぁ、今日は何をしようかな。暇なので、また私はのんびりと横になる。
 ▼ 124 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 16:26:19 ID:fE/a4Knc [23/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
ピーンポーン…

ゆったりとしたベルの音が響く。誰だろうか。私とエリはモニターから顔を確認する。

画面には、涙で顔を歪ませた少女が映る。エリは不思議そうにその顔を見ていたが、私はすぐに判断がついた。

エリが恐る恐る玄関の扉を開けると、画面に映っていた子と同様の人物がいる。

エリ「貴方は…?」

彼女は何も応えずに、玄関の前で土下座する。いや、前のめりに倒れたと言ったほうが適切だろう。
 ▼ 125 風の翼を持つ小鳥◆2cBCGsfnD. 15/04/19 16:33:46 ID:8cwV58BM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
そろそろラストスパート?
頑張れ!支援!!
 ▼ 126 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 16:38:57 ID:fE/a4Knc [24/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>125
はい!ラストスパートです!
今日中には終わらせられると思います
 ▼ 127 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 16:58:08 ID:fE/a4Knc [25/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
彼女はそのまま、土下座のような格好をしながら「ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…」と小声でつぶやく。

言葉の端々に、ズルズルと鼻をすする音も混じる。エリは慌てて彼女に声をかけた。

エリ「何があったか分からないけど、貴方、大丈夫…?」

彼女は弱き力で、自らの首をゆっくりとエリのほうへ向ける。涙に濡れ、憔悴した顔を見せる。

「ゴメンナサイ…ユルシテ…」

この黒い衣装、この髪、この顔、間違いなく…

シャンデラ「エリ、これは私の、ご主人ね」
 ▼ 128 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 17:03:47 ID:fE/a4Knc [26/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
エリ「え?そうだったっけ?ごめんなさい昨日会ったばかりなのに!」

エリが分からなくても無理はない。普段と違って泣き顔だし、声もわずかしか出ていない。

私のご主人は、泣いているだけでいつもの顔とは全く違う。ここまでつらい顔を見るのは、私でも久しいくらいだ。

「ユルシテ…」

エリ「えっと、何を許してほしいの?別に私は、貴方に不満を持ったことはないけど…」

そう言って、エリはポケットティッシュをご主人の前に差し出す。

それを受け取ったご主人は、何枚かを使って顔を拭き、すっと立ち上がる。そこには、彼女のいつもの顔がある。
 ▼ 129 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 17:27:14 ID:fE/a4Knc [27/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
ご主人は顔を引き締め、仕切りなおして話す。

ご主人「まず一つ目。何の連絡もせずにここまで来てしまい申し訳ないです!ごめんなさい」

彼女はすらっとした姿勢で、エリの前で深く頭を下げる。

それは、いつも見ている中二病による行動ではなく、一人の人間としての誠意ある謝罪だった。

普段の彼女を見ていると忘れがちだが、こうやって真面目なこともできるのだ。

ご主人「次に二つ目。その…終始不機嫌な態度で、威張り散らしちゃって、本当にすいませんでした」

それを言った瞬間、エリはご主人の肩を強く掴んだ。怒られるという危機感で、ご主人は足がすくむ。
 ▼ 130 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 17:44:15 ID:fE/a4Knc [28/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
エリ「私も!あの時はごめんよおおおおおおおお!」

家全体に大声が響く。エリに悪気はないんだろうが、正直、かなりうるさい。

エリは肩に当てていた手を、ゆっくり腰のほうに回し、ご主人に抱きついた。

涙の粒が、エリの眉をほんのりと濡らす。

エリ「元はといえば、私がシャンデラを強引に引き止めてしまったのが悪いんだ…」

エリ「ことの発端を言えば、全て自分勝手な私が悪いんだ。貴方は、謝らなくて良いの!」

エリは、左手をご主人の頭に乗せ、優しく撫でた。ご主人は緊迫で、完全に表情がかたまっている。
 ▼ 131 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 17:59:28 ID:fE/a4Knc [29/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
相当強い力で抱かれているようで、ご主人は苦しそうだ。

シャンデラ「エリ、離してあげて…」

エリ「あ、そうだね、苦しかったかな?ごめんね」

ようやく解放されたご主人は、少し気力が抜けていた。それでも、私のほうを見てまた謝罪を始めた。

ご主人「シャンデラ、昨日は一日中私のわがままに付きあわせちゃったし、貴方を残して帰っちゃって、本当にごめんなさい!」

ご主人「その…やっぱり心配だったよね?寂しかっただろうし…エリさんとは上手く過ごせた?」

確かに勝手に怒って帰ってしまったのはご主人の責任だが、エリの家に泊まると決めたのは私だ。あまり謝罪されるいわれもない。
 ▼ 132 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 18:24:00 ID:fE/a4Knc [30/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
私が「気にしないで」と素振りをしたら、一応伝わったようで、私もご主人も安堵する。

ご主人はエリに伝えたいことがあったようで、すぐにエリのほうへ顔を戻す。

ご主人「あ、そうだ…エリさん、お詫びの印に、前仰っていった電話番号の交換…しませんか?」

エリ「ん?OK!それじゃあ今度は、空いてる日があれば、3人で遊ぼうね」

ご主人「はい…!」

何だかんだあったが、結局2人の間で丸く収まったようだ。
 ▼ 133 ョンチー@スピードパウダー 15/04/19 18:28:33 ID:CwNByhqk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
仲直りできそうで良かった……!!
最後まで支援します!!
 ▼ 134 バゴ@きんのいれば 15/04/19 18:29:51 ID:TZePcOBI NGネーム登録 NGID登録 報告
我が魂を震わせる神聖なる掲示を説きし者よ
(とても面白いssを書いてる作者さん)
月が欠け、月が満ちる日々が終わるまで鍛錬に励むが良い
(これからも頑張って下さい)

あっ…支援です
 ▼ 135 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 18:46:16 ID:fE/a4Knc [31/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
―――

こうして私は、ご主人と一緒に実家へ帰ることにした。

シャンデラ「色々迷惑かけたけど、エリと居る時間は楽しかったわ。また、会いましょう。」

シャンデラ「その時まで、さようなら」

ご主人「今日はありがとうございました、さようならー!」

エリ「えぇ、二人とも、さようなら」

エリは、私たちが見えなくなるまで、扉の向こうで手を振っていてくれた。
 ▼ 136 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 18:57:14 ID:fE/a4Knc [32/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
―帰りの電車内―

ご主人「ふぅ、これでまた我が魂に刻まれた特別な人類が誕生したな…とても光栄である」

思い出したかのように、ご主人は難しい口調になる。

昨日と今日の出来事で、ご主人は多くのことを学んだ。ポケモンとの愛情とか、人との礼儀とか…

でも楽しかった思い出は、エリという友達が出来たことだろう。

ご主人「応えよ!汝の聴覚に、我が高貴なる言の葉は響いているか?」

私は適当に相槌を打つ。結局何を言っているか分からないが、このしゃべり方を聞くと落ち着く。

いつも通り、私のご主人は中二病だった。

―END―
 ▼ 137 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 18:58:36 ID:fE/a4Knc [33/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>133
>>134
最後まで支援ありがとうございました。
次にまとめを投下して〆ます
>>134さん、私より中二語が上手い…)
 ▼ 138 二シャンデラ◆3p49xSAP3I 15/04/19 18:59:11 ID:fE/a4Knc [34/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
まとめ

支援、ご愛読、本当にありがとうございました。
作者はここまで長いSSは初めて書いたので、最後まで終わらせられるか不安でしたが、無事終了できました。。
これもひとえに皆さんのお陰です。感謝感謝です。
このシャンデラSSは終了しますが、今後もここでSSを書くかもしれません(題材や書く予定など、完全に未定ですが)。
その際にはコテハンをつけずに「1◆3p49xSAP3I」でスレを立てると思います。
そのスレでこのSSを思い出していただければ、是非支援をお願いします。
 ▼ 139 ピナス@どくのジュエル 15/04/19 20:28:23 ID:.akAVEIM NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
面白かったです!次回作に期待
 ▼ 140 カチュウ@プロテクター 15/04/19 20:53:29 ID:fE/a4Knc [35/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>139
ありがとうございます

皆さん感想お待ちしてます!
 ▼ 141 者に憧れる人 15/04/19 21:01:54 ID:rB97COc6 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
最初の頃からか全てリアルタイムで
読ませてもらいました!!!!
とっても面白かったです。
次回も頑張ってください!!!!(((o(*゚▽゚*)o)))
 ▼ 142 風の翼を持つ小鳥◆2cBCGsfnD. 15/04/19 22:27:34 ID:8cwV58BM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
面白かった!乙です!
次回も頑張って下さいО(*`・▽・´*)О
 ▼ 143 チュー@ピーピーエイダー 15/04/20 08:34:12 ID:ukJQyoE6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
とっても面白かったです!
次回作も楽しみです( *・ω・)ノ
 ▼ 144 アルヒー@ひかりのこな 15/04/20 17:26:46 ID:zuZneYmM NGネーム登録 NGID登録 報告
>>141
>>142
>>143
皆さんありがとうございます
序盤のほうがちょっと長いかな、と思っていましたが、最後まで読破していただいた読者様に感謝です
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