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SS

【長編SS】 超 絶 炊 飯 器

 ▼ 1 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/07/09 01:08:15 ID:X9EcE1Do NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メレメレ島・アーカラ島・ウラウラ島・ポニ島


4つの島からなる自然豊かな場所・アローラ地方は人とポケモンが仲良く暮らしている。


近頃、そんなアローラ地方に何やら妙な余所者が迷い込んできたと住民達の間で噂になっているようだ。


余所者の正体は未知の空間・ウルトラスペースからやってきた生命体「ウルトラビースト」。


アローラに突如として姿を現したウルトラビーストはその圧倒的な力と不思議な能力でアローラの生態系を蹂躙する。


しかし、彼らにとってはアローラもまた未知の空間。この世界で見るもの全てを、彼らもきっと恐れているのだろう。


そこで、エーテル財団代表ルザミーネは自らの趣味嗜好とウルトラビーストを救わんとする想いを込めて、対ウルトラビースト特殊部隊を結成した。その名も……



                   「ウルトラガーディアンズよ!合言葉は、せーの……」




              「「「「「「 ウ ル ト ラ ジ ャ ー ! ! ! 」」」」」」
 ▼ 157 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 00:27:11 ID:f2XEJK2o [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「っしゃー!もっぺん会いにいくぞ!『ウルトラジャー』!!」


ガブリアス「お゛↓え゛↑お゛↓」

リザードン「ドォォォォォ!!」

ハクリュー「りゅぅぅ……!」

メタング「メター」

フライゴン「ヒョオオォォォォォ!!」

トロピウス「クルルルルルルル……!!」


午後9時30分。メレメレ島よりやじるし、6つ。放物線を描きながらカーラエ湾の方角に突き進む。



リーリエ「! 今通り過ぎていったのは……サトシ達ですね」

バーネット「……始まったね。いや、とっくに始まってたモンが、もうすぐ終わろうとしてるんだね」

リーリエ「この一件は……どのような形で幕を下ろすのでしょうか。私達の望む形で、どうか終わりますように……」

ピカチュウ「ピカピカ!ピカ」

リーリエ「ピカチュウ……何か、貴方の表情からは随分な余裕が見られますが、それはやはりサトシへの信頼からですか?」

ピカチュウ「ピカピー、ピカピー」

リーリエ「休日の、二人っきりのお散歩へ行くまでは絶対無事に帰って来てくれなきゃ困る……と?」

ピカチュウ「ピカー」

リーリエ「フフ……まるでこの前呼んだ小説のヒロインみたいなこと言いますね♪……でもありがとう。貴方のお陰で、ちょっと気持ちが軽くなったかも」

ピカチュウ「ペカチュ〜」



警官A「せ、先輩!今、何かが空をスゴイスピードで飛んでくのを見たんですけど……」

ジュンサー「流れ星じゃないの?別に珍しくもないわよ」

警官A「そうですか?流れ星にしては、随分低い所を流れていったみたいですけど……」

ジュンサー(サトシ君達だわ……歳不相応に無茶なこと引き受けちゃって。こんなこと言うのは警官失格だけども、やるからには『ウルトラジャー』の心とやら、しっかり分かってあげてちょうだいね。それでメレメレ島の……何てことの無い日常を取り戻せるのなら)



ハラ「……島が……荒れている」

医者A「しまキング、外の様子が気になるとは思いますが、今は自分のお体を」

ハラ「わかっております。十分にわかっております……私はしまキング。守り神と共にこの島を守らねばなるまい……しかしこんな老い耄れよりも、荒れたこの島の未来を変える力がある若者など、島中にいくらでもおりましょうて」

医者A「またそんなことを……お孫さんがいらっしゃるとはいえ、まだそんなお歳ではないでしょうしまキング」
 ▼ 158 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 19:00:10 ID:f2XEJK2o [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------メレメレ島 北東部-------


カキ「それじゃあオレ達の持ち場はここなんで、頼んだぞ皆」

サトシ「カキ達も頑張れよ!」

カキ「フッ……お前達に比べればなんてことない仕事だ。失敗のしようがないさ」

マオ「よく言うよ。スイレンにつけたキズ一つにつき、牧場のモーモーミルク10リットルをタダで送ってよ」

カキ「ほいほい」



スイレン「……行っちゃったね。マオちゃん達」

カキ「さぁ、ここからは作戦通り行動するだけだ。ククイ博士からの指示は覚えてるな?」

スイレン「うん」

---------------------------------------------------

ククイ「カキとスイレンは、メレメレ島本島から離れずにできるだけ小島がよく見える位置で待ち構えてくれ」

スイレン「メレメレ島本島のギリギリ端っこってことだね」

カキ「サトシ達がウルトラジャーと戦いを始めれば、それに驚いて本島に突っ込んでくる海のポケモン達が多くなる。居住地のある本島の町までソイツらを入らせないようにするために迎え撃つのがオレ達の役目だな」

ルガルガン「わ゛うっ!!」

スイレン「違うよカキ。迎え撃つのじゃなくて、戦いに怯えてるポケモン達の心のケアをするのが私達の仕事。海のポケモン達、何も悪くない。だから教えてあげるの。ウルトラジャーとの戦いは、あなた達を守るための戦いだ、って」

アシマリ「おぅっ♪おぅっ♪」

ククイ「その通りだ。こんなこと言うのは教師失格だが、スイレンを守ると言ったカキの男根性、見せてもらおうじゃないか」

---------------------------------------------------

カキ「まったく……お前といいマオといい、今日のオレは振り回されっぱなしだった。最後くらい、オレらしくカッコいい活躍でキメて終わりたいモンだぜ」

スイレン「フフ、頑張ってねガードマン」

カキ「誰がガードマンじゃ。お前こそ自滅しないように自己管理を徹底するんだな」

スイレン「私が怪我をすれば、カキはタダでミルクをマオちゃんにあげなくちゃならなくなるね」ニヤッ

カキ「なぜ笑う。不安になるような事を言うな。……できるだけの事はやるけどな。お前みたいなヤツは放っておけんし」

スイレン「どういう意味?」

カキ「育ちのせいか自由奔放だわ、天然で何を考えてるかわからんわ、大人しいヤツだと思えば急にアクティブになってハチャメチャな行動を起こすわ、体は小さくて狙われやすそうだわ、子供っぽくて弱そうだわ……」

カキ「くっ……とにかく、お前を見てると守ってやりたくならざるを得ないってことだ!……わかったらオレの近くから離れるなよ」

スイレン「……うん」


アシマリ「おぉ……」

ルガルガン「(※画像の顔)」
 ▼ 159 バゴ@アップグレード 18/08/04 19:02:42 ID:rhjcSXo2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>158
俺このカキに惚れるわ
 ▼ 160 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 20:04:57 ID:f2XEJK2o [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------カーラエ湾 上空-------


                      コ メ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ! !


マーマネ「ひぃ!!今のはウルトラジャーの声だ!」

マオ「随分と甲高い声で鳴くのね……意外と見た目はかわいかったりするのかな?」

サトシ/マーマネ「「バケモンだぞ」」

マオ「……だそうだよ。ヌカちゃん、怖かったらいつでもあたし達を頼って!あたし達の安全はルザミーネさん達が保証してくれるけど、ヌカちゃんについては呼び出したあたしに責任があるからね」

ヌカ「ありがとう!あたしも頑張るから……」

マオ「フフ…… あ、そうだマーマネ。あたし達のグループの役割、忘れてないよね?」

マーマネ「あたぼうよ」

デンヂムシ「むぃ」

---------------------------------------------------

ククイ「次にマオとマーマネ!お前達のポジションは小島の外周だ。今、ウルトラジャーを足止めしてくれている職員達の救護に回ってほしい」

マオ「うぅ……戦わないとはいえカキ達と違って、小島で活動する以上あたし達はウルトラジャーとの戦いの場所に居合わせることになるんだよね……ちょっと怖いな」

アママイコ「あっまい……」

マーマネ「ウルトラジャーとの戦いなら僕の考えた作戦と一緒にサトシとヌカちゃんに託した!後は二人がうまくやってくれることを祈るだけだね」

トゲデマル「までゅ?」

デンヂムシ「むし」

マオ「だからその作戦が何なのかいい加減教えてちょうだいよ」

---------------------------------------------------

マオ「……というわけで、バトルは全面的に任せるけど大丈夫だよね?」

サトシ「大丈夫さ!ヌカとトロピウスもついてるし敗けることはないって」

ガブリアス「お゛↓え゛↓お゛↓」

トロピウス「クルルルルル……!」


                      コ メ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ! !


ズ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ … … ! !


ヌカ「スゴイ音!職員さん達とウルトラジャーの戦いがより激しくなってきたみたい」

マーマネ「いや……きっとウルトラジャーの怒りが増しただけだと思う。とにかく急ごう!早くしないと職員の人達の足止めから解放されたウルトラジャーが小島から離れちゃう!アイツが本島に来たりなんかしたら島中大パニックだよ!」

トゲデマル「までゅまでゅ!」
 ▼ 161 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 20:31:58 ID:f2XEJK2o [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------カーラエ湾・小島  職員vsウルトラジャー-------


目覚めた銀の怪物は、昼間のサトシ戦よりもさらに凶暴さを増して足止めする職員を蹴散らしてゆく。対するは麻酔もトラップも底をつき、尚も暴れ回るウルトラジャーに為す術のない職員達。全滅も時間の問題だ。


ウルトラジャー「コメェェェェェ!!」


               ズ ド ォ ォ ォ ォ ! !


職員B「グォアアアアア!!」

職員C「くそっ……バケモンかよ……」

職員D「バケモンだろ。エーテル財団は代表を中心にアイツをウルトラビーストだと言い張ってるが、オレはそうは思えない……アイツからは他のウルトラビーストにあった何かが感じられんのだ」

職員C「ウルトラオーラか?」

職員D「それもあるが……『意思』だよ。今までにもアローラでUBが暴れ回った事例がいくつかあるが、ソイツらはみんな何かしらの意思の下行動していたに過ぎなかった。あのウルトラジャーは違う……ただただ壊したくて、滅ぼしたくて暴れているようにしか見えんのだ」

職員C「チッ……行動する目的の中身がない馬鹿野郎ってところかよ」

職員E「でも考えてみろ。ただただ壊し、滅ぼす……それがアイツの意思だと、考えることはできないか?だとしたらアイツの目的は……」

職員D「……おいおい、怖い事言うなよ」

職員C「おい!来るぞ!」


ウルトラジャー「コメエエエエエエエ!!!」



-------カーラエ湾 小島 外周-------


                   ウ ワ ァ ァ ァ ァ ァ ァ … … … …


ヌカ「! ……職員さんの悲鳴まで聞こえてきた……」

マーマネ「さて、そろそろ僕達はここで降りなきゃ。この辺が僕達の担当だったからね」


マーマネ「サトシ、僕達はいつでも助けに行けるよう準備するから!サトシは自分の役割をしっかりとね」

サトシ「OK!  よしラストスパートだ!急ぐぞガブリアス!!」

ガブリアス「お゛↓え゛↑お゛↓え゛↑お゛↓」


マオ「大丈夫ヌカちゃん。いざとなったら、やるべきコトじゃなくて、やれるコトをね」

ヌカ「…………」

マオ「ヌカちゃん……いってらっしゃい!」

ヌカ「……いってきます!」
 ▼ 162 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 20:38:12 ID:f2XEJK2o [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------カーラエ湾・小島 中央-------


サトシ「やっと小島の中央まで来たな。……さて、やっとオレ達の出番だ」

ヌカ「ねぇ……まさかあれが……」


ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


サトシ「うん……ウルトラジャーだ。アイツにオレは一回敗けたんだ」

ヌカ「まだあたし達には気付いてないみたい。 ……マサラタウンのサトシが敗けたウルトラビースト……」

サトシ「怖い?」

ヌカ「ううん…… あっ!ウルトラジャーが!」


ウルトラジャー「 コ ォ ォ ォ ォ ォ … … 」


職員C「くっ……まだ動けるヤツはいるか? ………… ……ハハ、ここまでか……」


サトシ「間に合わない!ここから飛び降りる!ガブリアス、また後でな!」

ガブリアス「!?」

サトシ「……いくぞ!」バッ…

---------------------------------------------------

ククイ「最後になるが、小島の中心でウルトラジャーと真正面から戦いを挑むのは……お前だ。サトシ」

サトシ「任せてよ博士!ウルトラジャーには今度こそ敗けない。それに……ウルトラジャーの心も知りたい。アイツだってポケモンだ……多分。でもできることならウルトラジャーと仲良くなりたいよ」

ヌカ「…………」ゴクッ

トロピウス「カルルルルル」

ククイ「自信アリアリだな。サトシらしいが。……お前が持ってきたそのモンスターボールの中にいるポケモンは、余程頼りになるヤツらしい」

サトシ「『コイツ』は強いし、あと、優しいから……ウルトラジャーと戦えて、気持ちを理解してあげられるようになるにはベストのポケモンだと思うんだ」

ククイ「成程な。……だが何度も言うが無茶はするなよ?」

サトシ「わかってるよ。でももう無茶は馴れっ子なんだ!オレも……お前も、な?」

---------------------------------------------------


サトシ「ぉ ぉ ぉ お お  お  お゛   お゛    お゛    ! ! !   」


ウルトラジャー「!?」



サトシ「          ゴウカザル!!『マッハパンチ』!!          」
 ▼ 163 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/04 20:45:51 ID:f2XEJK2o [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴウカザル「 キ ィ イ゛ ィ イ ィ ア ア゛ ア ア ア゛ ア ア゛ ! ! ! 」


                     ズ

                       ッ

                     ・
                     ・
                     ・

                    ! !


頭上から突然、響き渡る雄叫び、燃え上がる炎。それに気付いたウルトラジャーが見上げた時には既に、固く、小さく握られた拳が眼の前の数mm先まで近づいていた。

驚く間もなく直撃する、炎を纏った拳に叩きつけられたウルトラジャーは、食らったパンチ以上の速度で地面に撃ち落とされた。


サトシ「よし、ナイスだぜゴウカザル!」スタッ

ゴウカザル「キィィ!!」


飛び降りざまにサトシが開いたモンスターボールから現れたのは

---------------------------ゴウカザル。シンオウ地方の旅で出会った炎タイプのポケモン。自分の身に秘められたある力をシンジに見込まれ、トレーナーのポケモンとしての道を歩み始める。二人目のトレーナーとなるサトシとの冒険の途中でついにその力を開花させることに成功した。

表裏一体の関係にあり、目指すものは同じでも違う道を歩いていた二人のトレーナーの世界を見てきたゴウカザル。サトシは、彼ならばウルトラジャーを受け入れる心をもっており、戦いの中でウルトラジャーの本心を少しでも聞き出すことができると考えたのだ。

暴れたり、壊したり……ウルトラジャーの行動は誰から見ても「悪」そのものだが、サトシは密かに信じているのだ。これも彼なりのやり方に過ぎない。ウルトラジャーもきっと、求めているものは自分達と同じなんだ……と。


職員C「おぉ!サトシ君!やっと来てくれたか!」

職員D「強そうなゴウカザルだ……アイツならあのバケモノも倒せるんじゃないか……?」


ウルトラジャー「コメェェェェ……」


サトシ「ゴウカザル。アイツはさ、こんなに暴れてるけど……放っておけばアローラの人やポケモン達に迷惑もかけると思うけど……本心は、やっぱりオレ達と仲良くなりたいんじゃないのかなって思ってる」

ゴウカザル「キキィィ」

サトシ「わからないよ!ククイ博士の言う通り、アイツは『わからないことだらけ』なんだ……でもさ、そう思いたい。ウルトラビーストもポケモンなんだ。……オレはアイツとも仲良くなりたい!だからアイツも同じだって思いたいんだ。お前ならわかってくれるか?」

ゴウカザル「…………」コクリ

サトシ「そっか。ありがとう……お前を選んで正解だった」


ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


サトシ「……いくぞ!!」
 ▼ 164 ラスル@つきのふえ 18/08/04 21:36:03 ID:1rHsRLlw NGネーム登録 NGID登録 報告
超絶支援
カキ男らしいな サトシもヌカもがんばれ!
 ▼ 165 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 15:57:16 ID:/lTIsJNE [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「『かえんほうしゃ』!!」


ゴウカザル「 キ エ ァ ア ア ア ア ア ァ ア ア ア ァ ! ! ! 」


焼け跡だらけの大地を踏みしめ、ゴウカザルは雄叫びをあげた口から炎を噴き出す。炎はウルトラジャーを包み込むも、即座に払いのけられる。

これまで戦ってきた相手との格の違いを感じたウルトラジャーは、接近戦に持ち込むべく風をも切るスピードでゴウカザルに迫る。


ウルトラジャー「コメェエェエェエ……」ドドドドドド


サトシ「うぉ速ぇ!ゴウカザル、ここは応戦しろ!仕掛けられた勝負をゼンリョクで受けるんだ!」

ゴウカザル「キェェェェェェ!!」


                      ズ ァ ッ … … ! !


接近戦のお約束。拳と拳のぶつかり合いと、両者を中心にフィールドに広がる衝突の余波。そして互いの必死めいた表情。二体の実力が拮抗していることを意味している。


ゴウカザル「ゴォ……!!」

ウルトラジャー「コメエエエエッ!!」シュッ

ゴウカザル「!」


ウルトラジャーはすかさず二度目のパンチをゴウカザルに繰り出す。ゴウカザルは受け流し、返しの蹴りでウルトラジャーの胴を狙うも躱される。パンチと蹴り、蹴りとパンチの応酬が続く。互いに余力を残しているのか、相手の攻撃を悉く避けては絶好の機会を伺っている。

そんな時こそトレーナー・サトシの出番。サトシは埒の開かないこの状況を打破しようと考えていた。


サトシ「ゴウカザル!『あなをほる』だ!」

ゴウカザル「キアアアアッ!!」ババッ


サトシの指示を受けたゴウカザルは最後に一発だけ囮のジャブをウルトラジャーに突きつけると、避けた隙を突いてバック宙で距離を取った。拳の届かなくなったウルトラジャーは遠距離攻撃を試みるも、次の瞬間、ゴウカザルはフィールドから姿を消した。

ウルトラジャーは、ゴウカザルのいた場所には彼が一匹で入れる程の穴が空いていたことからゴウカザルが地面に潜ったことにすぐに気付いたが、地面の中の動きなど見えるはずもなく、足元から現れた腕が繰り出すアッパーがウルトラジャーに直撃した。


ゴウカザル「ガァァァァッ!!」

ウルトラジャー「コメエエエエエエ!?」


ズ シ ャ ア ア ア ア ァ ァ … …


サトシ「よっしゃ!!」


職員C「おぉ!サトシ君達が押してるぞ!」

職員D「いや待て。まだ麻酔の余韻が残ってる可能性もある……完全に効き目が消えても、戦況はこのまま変わらずにいるかどうか……」
 ▼ 166 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 16:03:09 ID:/lTIsJNE [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴウカザル「キェェェェェ!!」ズドォォォォ

ウルトラジャー「コメェェ……ェェ!!」


サトシ「いける……でも肝心なのはこのバトルでウルトラジャーと和解できるかどうかだけど……初めっからそれができることを信じて戦ってんだ!ゴウカザル、『マッハパンチ』!」

ゴウカザル「キエエエエエエ!!」


ウルトラジャー「コメェェェェ……」フシュー


ゴウカザル「!!」ピタッ

サトシ「あれは……」


悪魔のように尖った牙が覗くウルトラジャーの口の隙間から、白い靄のようなものが立ち始めた。

水蒸気だ。ウルトラジャーは怪物の姿でも炊飯器としての力を失っていなかったのだ。水蒸気はウルトラジャーの全身を包み込むと、ゴウカザルも飲み込もうとこちらに迫って来る。


サトシ「逃げろゴウカザル!その中で技を出したら爆発するんだ!早く!」

ゴウカザル「ゴォォ……!」バッ


ウルトラジャー「コメエエエエエエ……」


サトシ「くそっ、ダメだ……」


ウルトラジャーの噴き出した蒸気はたちまち小島の中央部を覆いつくし、霧の立ちこめる山道のようにサトシ達の視界はほぼ白に染まってしまった。

サトシとゴウカザルの姿は互いの眼に入っていたが、二人ともウルトラジャーを見失ってしまった。四方八方を警戒するサトシ達。ウルトラジャーが攻撃を仕掛ける方向を見極める。


ゴウカザル「…………」キョロキョロ

サトシ「気をつけろゴウカザル。姿が見えないなら音だ!」


                 コ メ ェ ェ ェ ェ ェ


サトシ「あ、あれ?今の声はどこから聞こえたんだ?」


霧の中から聞こえる甲高いウルトラジャーの声。その声はあまりにもよく響くのか、音の出所を隠すようにフィールド全体を山びこのように駆け巡る。


ゴウカザル「ギィ……!」

サトシ「慌てるな!ウルトラジャーは常にお前を狙ってるんだ。お前には反射神経もあるし、出てきたところを仕留めることだってできるハズだ!」

サトシ「そしてお前だ!ウルトラジャー!どこにいるかわからないけど、ゴウカザルはどこから出てこようが必ずお前の攻撃を躱してみせるぞ!狙いを定めてるなら今すぐ出て来い!」
 ▼ 167 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 16:05:36 ID:/lTIsJNE [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「コメエエエエエエ!!」バッ

サトシ「でも狙われてるのが……」

シュバッ!!

ウルトラジャー「!?」スカッ

サトシ「ゴウカザルだけじゃないことぐらいわかってるぜ!!」


霧をかき分け、サトシの背後から現れたウルトラジャー。サトシは自分が狙われていることを想定していたのか、得意のバック宙でウルトラジャーの突撃を回避する。

ウルトラジャー・チルドレンのノクタスがリーリエを狙ったように、手段を選ばない者達にとってはトレーナーこそが相手のポケモンの最大の弱点である。しかし、ポケモンも一目おく身体能力をもつサトシがトレーナーである故、ゴウカザルの弱点は少なくともトレーナーではないのだ。


サトシ「今だ!ゴウカザル、『かえんほうしゃ』!!」

ゴウカザル「ゴォ…… キ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! 」


サトシを討ち取り損ねたウルトラジャーを横殴りの紅い炎が襲い掛かる。ウルトラジャーに纏わりつく炎を頼りにその姿を捉えると、ゴウカザルは再び接近戦を持ちかける。


ウルトラジャー「コ メェェェェ……!!」


サトシ「『マッハパンチ』!相手が躱した方向にもう一度『マッハパンチ』だ!」

ゴウカザル「ゴォォォ!!」



              ビュッ……!!             ガシッ!
                             ズダダダダ……
                    ヴォォォ!!
         ギュアアア!              ズンッ!!
             ゴォォォッ!!                  タタタタタタ……
                         ズシャッ!!              ゴォォォン!!
                     ギリギリギリギリ……
                 ズヴァッ!!               バシュウ……!!

                            コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! !



ウルトラジャー「コメエエ……」ヨロヨロ


サトシ「スキ有りだ!『マッハパンチ』!!」

ゴウカザル「 ガ ァ ア ア ァ ア ア ! ! 」


職員C「すげぇな……ルザミーネ代表はとんでもない人材を見つけたらしい」

職員D「サトシ君もいいが……ほら、あそこ。ウルトラジャーはまだ気付いていないようだが、奥の茂みの中でトロピウスと一緒にこの状況を眺めてるのは一体誰なんだ?」

職員C「知らないのか?あの子はウルトラガーディアンズが協力を依頼した一般島民だよ。……にしても、あんな所にいちゃ危なくないか?」

職員C「わからない……まさかと思うが、あの子達も戦うってワケじゃないよな……?」
 ▼ 168 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 16:08:25 ID:/lTIsJNE [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガサガサ……

ヌカ「見える?トロピウス。……あれがマサラタウンのサトシと、ゴウカザルの強さ……何かちょっと懐かしい気分だね」

トロピウス「トロロロロロ……」

ヌカ「……ねぇトロピウス。あたしさ、この戦いで重要な仕事が控えてるけど……今もちょっと緊張してる」

ヌカ「あぁいや!もう不安とかそういうのはないの!マオちゃん達にも励ましてもらったし……あたしが今気になってるのは、あのウルトラジャーの心」


ゴウカザル「 キ ャ ア ア ア ア ア ア ア ォ ! ! 」

ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ ! ! 」


ヌカ「彼がどんな生き物なのか、何をしたくてこのメレメレ島に来たのか……今も、どんな気持ちで戦っているんだろうか、ってさ、色々考えちゃう。トロピウス、あなたにはわかる?ウルトラジャーが……ううん、『あの子』が今、何を思ってるのかを」

トロピウス「コロロロロロロロ……」

ヌカ「ん?どうしたの?あの二匹がどうかした?」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「この戦い、何か思うところがないかって?うーん……」



サトシ「ゴウカザル、『かえんほうしゃ』!! それを躱された方向に『マッハパンチ』!!」

ゴウカザル「ゴォォォォ……! キ ャ ア ア ア ア アア ア ! ! ! 」


ウルトラジャー「コメェェッ!」シュバッ


サトシ「今だ!やれぇぇっ!!」

ゴウカザル「ガァァァァァア!!!」


                 ガ シ ィ ィ ィ ィ … … ! ! 


ゴウカザル「……っ!」ギリギリ

ウルトラジャー「コメ……ェ」ギリギリ

サトシ「受け止めたか……随分と体力のあるヤツだな」



ヌカ「言われてみれば、一見二匹は互角に……ううん、ゴウカザルが少し有利な戦況だと思うけど、ウルトラジャーの方はまだ一度も技らしい技を使ってないような……あれ?」

ヌカ「一度も……技を……?」


ヌカは自分の背筋が凍りついたのを感じたと同時に、追い詰められているとは知らずに戦いを続けるサトシ達に呼びかけようとするが、二人までの距離と戦いの激しさの中ではそれも叶わない。

トロピウスは加勢しようとしているのか、前足の先を茂みの外へ出して飛び立つ準備をするが、戦いの放つ気迫に圧倒され、動くに動けない。
 ▼ 169 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 16:16:13 ID:/lTIsJNE [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「どうしよう……下手に刺激すれば今度はあたし達が狙われる……あたしとトロピウスじゃ、真正面からやり合ってウルトラジャーに敵うわけがないし……やっぱりゴウカザルがまだ戦えるウチに合流しようか……?トロピウス、行ける?」

トロピウス「トロロロロロ……!」

ヌカ「……よし!行こ

バチチチッ!

ヌカ「ひゃんっ!? な、何!?」


デンヂムシ「むしぃ」ババーン


ヌカ「あなたは……そうだ!マーマネ君からあなたのことを預かってたんだ!マーマネ君が言うに、あなたは彼の考えた作戦の要だって!名前は確か、えっと……デン『ジ』ムシ?」

デンヂムシ「(`´)」バチバチバチ

ヌカ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛し゛ひ゛れ゛ら゛あ゛か゛か゛か゛! ! ! 」

ヌカ「……い、一文字間違っただけで怒らないで。一文字でコレなら全外ししてたらどうするつもりだったの……」ビリビリ


トロピウス「グルルルルル……」ギロッ

デンヂムシ「(`´)」フーンダ



                      ズ ド オ オ オ オ オ オ オ オ オ … … ! !



ヌカ「!? な、何!?」



サトシ「ハァ……ハァ……よ、よし……」


ゴウカザル「……っ!」メリメリメリ

ウルトラジャー「」


鳴り響いた音の正体はゴウカザルの重い一撃だった。

ゴウカザルの拳がウルトラジャーの顔面に食い込んでいく。パンチの余波はウルトラジャーの体全体をも大きく持ち上げると、ゴウカザルが拳を下に反らすのと同時に、ウルトラジャーをカーラエ湾の海へと吹き飛ばす。


ド ボ ォ ォ ォ ォ ォ … … ン ! !


職員C「(  Д ) ゚ ゚」

職員D「な、何て力……今のがゴウカザルの本気……?」


ウルトラジャーが吹き飛んでいった方向は小島の東側の海。メレメレ島本島への方角とは真逆の場所で、小島の東端には職員達は一人もいない。

ゴウカザルの一撃は、まだまだ続くであろう戦いに誰一人、誰一匹として巻き込むことのないようにするためのサトシの作戦だった。
 ▼ 170 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 16:23:07 ID:/lTIsJNE [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ達がウルトラジャーとの戦いを繰り広げている頃、ニャースも、形は違えど「わからないことだらけ」の存在に立ち向かっていた。


ニャース「おえぇ……揺れにも大分慣れてきた気がしたと思えばまたさらに激しく揺れてきたのニャ。おミャーの体はそんなに暴れて何をしているのニャ?」

???「ーーーーーーーーーーー」

ニャース「成程、強い敵と戦っているのかニャ。道理で物凄い揺れのハズニャ。……じゃそろそろ、おミャーの事について教えてほしいのニャ」

???「!?」

ニャース「ここがおミャーの心の中だという事、今ニャーの眼の前にいるおミャーは今のおミャーではないという事……あと、たった今ムサシとコジロウの行方も教えてもらったのニャ。他に聞きたいことと言えばおミャー自身の事と、この中から出る方法くらいニャ」

???「ーーーーーーーーー……」

ニャース「質問が多すぎる?何を言うかニャ!おミャーはここまでちゃんと正直に話してくれたニャ。ニャーも『わからないことだらけ』から少しずつ解放されようとしてるのニャ。もう少し、もう少し辛抱してくれるだけでいいからニャ……」

ニャース「そうすればきっとおミャーの気分が、少しでも軽くなるからニャ」

???「ーーーーーーーーー……?」

ニャース「ニャーを舐めてもらっては困るニャ。こう見えてもニャーは数々のポケモンの相談に乗っては悩みを解決してきた。ニャーはカウンセラーとしての実績があるのニャ」

ニャース「おミャーを見ていると、一見洗いざらい話しているように見えるけど、心の奥底に大きな闇を隠しているようにも見えるニャ。……さぁそれを言うのニャ!その闇をニャーにブチまけるくらいの事をしニャいと、おミャーの身が持たないのニャ」

ニャース「心配しなくても、ここにはニャーしかいないのニャ。おミャーの事、秘密にしたければニャーは秘密を守るのニャ。さぁ……言うのニャ。おミャーの正体を」

???「…………」


                     ズ  オ  ォ  ォ  ッ  !  !


ニャース「!? ……何という重い闇……でも負けないのニャ!ニャーは確かに『心』は読めない!でも読もうとすることはできるのニャ!おミャーの言葉から、感情から!どんな手を使ってでもおミャーの事を聞いてみせるのニャ!!」


???「…………………………………………」


                          コ


                            メ

                         ェ

                          ェ

                           ェ

                          ェ

                           ェ

                          ェ

                          ・
                          ・
                          ・

                        !   ! 
 ▼ 171 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/05 16:24:29 ID:/lTIsJNE [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第10話(全13話)「ゼンリョクの無茶」
 ▼ 172 ガドーン@リザードナイトY 18/08/06 22:45:52 ID:A92UWeTA NGネーム登録 NGID登録 報告
ウルトラジャー気になるな
支援
 ▼ 173 ッシー@ツメのカセキ 18/08/07 23:29:24 ID:I20IY.4k NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 174 ンダー@キトサン 18/08/10 19:31:30 ID:y7TUfFEY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 超 絶 支 援 器

俺はウルトラサポーターになっちまったよ
 ▼ 175 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/11 22:08:09 ID:sUXwAzao [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カーラエ湾中央の小島にて最後の戦いに挑むサトシ達。同じ頃、ハウオリシティにてもう一つの戦いが繰り広げられていた。

「ウルトラジャー・チルドレン」が現れたのだ。今朝の事件の屋根に穴の空いた民家から発見され、警官達によって交番に持ち帰られていた銀色の物体……つまり「ウルトラジャー・チルドレン」の卵が孵ってしまったのだ。

メレメレ島各地の警備のためにメレメレにいる警官達はほぼ出払っており、交番周辺の守りは甘く、残された警官達は現れた「ウルトラジャー・チルドレン」に苦戦を強いられた。

……が、苦戦する警官達の眼の前に港の方角から突然現れた少年により、今は状況が一変していた。


グラジオ「ブラッキー、『あくのはどう』! ルガルガン、『ストーンエッジ』!!」


ルガルガン「ヴァルルルルルルァ!!」ズドドド

ブラッキー「きぃ……」ボシュ

デスカーン「ガガガガ……」フラフラ


警官E「な、何という強さ……いつぞやに、謎のルガルガン使いとして噂になっていただけのことはある」

警官F「あのデスカーンのような姿をした怪物を一方的に……やっぱりあの少年はタダモノではありませんよ」


デスカーン「グググ……シャアアアアアア!!」


グラジオ「くるぞ、ルガルガン」

ルガルガン「ヴルッ」

グラジオ「蒼き月の『Z』を浴びし岩塊が今……滅びゆく世界を封印する」



                ワ   ー   ル   ズ   エ   ン   ド


                            フ
                             ォ

                            オ

                             オ

                            オ

                            ォ
                             ォ
                            ォ
                           ォ
                            ォ
                             ォ


                            ル


                          ! ! ! 
 ▼ 176 アームド@メガストーン 18/08/11 22:10:56 ID:wmBIxREA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラジオきたあああ!!
 ▼ 177 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/11 22:13:43 ID:sUXwAzao [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
パラパラパラパラ……

グラジオ「……フゥ」


警官F「ムチャクチャや……」

警官E「……はっ、そうだ。き、君!協力してくれてありがとう。よかったら名前を教えてくれないか?後日感謝状を贈りたいから……」

グラジオ「急いでる」

警官F「え……あ、あの!今は住民全員が外出禁止になってるの!助けてくれた子にこんなこと言うのもなんだけど、今は外を歩いてると危ないから早く家に帰ったほうがいいと思うんだ!」

グラジオ「家に帰るつもりだ」

警官F「そ、そう……」

警官E「なら、私達が家まで送ってあげよう。家はどこにあるのかね」

グラジオ「……ブラッキー、『あやしいひかり』」

ブラッキー「ぶぅ」ミョミョミョミョ


警官E「☆パッパラ☆ピッピリ☆プップル☆ペッペレ☆」

警官F「☆は☆ら☆ぺ☆こ☆だぁ〜☆」

グラジオ「……行くぞ、ポケモンセンターに。リーリエが待ってる」

ルガルガン「がんっ」


グラジオ「今の化け物は……母さんが、リーリエが一人で戦ったとか言ってたのと似たようなヤツか。メレメレ島は今、妙な奴らの好き勝手に悩まされているらしい」

グラジオ「メレメレに居座ってるとかいう化け物の正体は分からんが、財団の連中の推測だと『ウルトラビースト』……正直ヤツらとはもう関わりたくないと思っていたが……母さんの頼みだ。今は辛抱しなければな」


リーリエの身に起こった事についてルザミーネから知らされ、島巡りの旅を一時中断し、メレメレ島へやって来たグラジオ。ポケモンセンターへ向かう彼の表情は、少し苛立っていた。


グラジオ「……チッ」

ルガルガン「がるがん……?」

グラジオ「オレは島巡りを邪魔されたことに怒ってるんじゃない。リーリエの脆さを恨むほど出来損ないじゃないさ。……オレが怒ってるのは別の理由だ。その理由を考えれば、むしろ島巡りの旅をやめてやりたいぐらいだ」

グラジオ「今回呼び出された事を期に、本当に旅をやめるのも一考だな。今となってはリーリエの傍にいてやった方がアイツの為にも、オレの為にもなるだろうさ」

グラジオ「そしてオレをこんな気分にさせた……あのバカの為にもな」

ブラッキー「ぶ、ぶぅ……」オロオロ

グラジオ「済まない、気持ちを切り替えていこう。……急な事だったからリーリエに何も用意してこなかったな。ポケモンセンターに着いたら、新しいぬいぐるみでも買っていくか」

ブラッキー「…………」

グラジオ「これ以上あのバカの影響を受ければリーリエは……」
 ▼ 178 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/11 22:23:27 ID:sUXwAzao [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------カーラエ湾 小島  サトシVSウルトラジャー-------


サトシ「ウルトラジャーが落ちたのはこの辺だ。いつでも迎え討てる準備をしないとな」

ゴウカザル「ウキィ」


ゴウカザルの一撃により海へ落ちたウルトラジャーを追って小島の東端へ駆けつけたサトシ達は、水面から現れて逆襲に燃えているであろうウルトラジャーを迎え撃つべく待ち構えている。


ピピピピピピ……


サトシ「! リーリエのママからの通信だ」

ルザミーネ『あっよかった……ちゃんと繋がったわね』

サトシ「どうしたんですか?まだバトルの途中なんだけど」

ルザミーネ『やられたわ……ウルトラジャーの体に貼り着いていたサトシ君のGPS発信機がたった今破損して、こちらからウルトラジャーの生体反応を捉えることができなくなったのよ』

サトシ「あー……とうとう壊れちゃったか。むしろ今までよく持ってましたね」

ルザミーネ『滅多な事では壊れない素材でできてるからね。……気を付けて。その発信機が壊れたということは、それだけウルトラジャーが危険なエネルギーを蓄えているということかもしれないのだから』

ルザミーネ『後、ウルトラジャーとの戦いの最中は私との通信をつけっぱにしといてちょうだい。発信機のない貴方が他の隊員達からも職員達からも離れた場所に来てしまった以上、こちらで貴方の安全を確認する術がそれしかないのだから』

サトシ「えぇーっ!?」

ルザミーネ『えぇーっ!?じゃない!ウルトラガーディアンズは安全第一を掲げる『チーム』なの!無理に単独行動をすればどんな危険な目に遭うのかわからないわ。いや、遭う!貴方の場合はね!今の貴方の眼の前に一番の危険があるのだから!』



             ザ  バ  ア  ア  ア  ア  ア  ア ッ  !  !  ! 



サトシ「な、何だ!?」


サトシの眼の前で、轟音と共に大きな水しぶきが上がる。……いや、水しぶきではなく、強いエネルギーで超高温化した海面から異常な濃度の湯気が上がったのだ。海に沈んだウルトラジャーの仕業だ。


サトシ「海から湯気が立ってる……」

ルザミーネ『そらみなさい!すぐに職員達のところに戻って!これ以上単独行動に拘るなら謹慎処分も止む無しだからね!?』


サトシ「……単独って、一人のことですよね。オレは今、一人で戦ってるとは思ってません……だよな?」

ゴウカザル「キィィィ!」

サトシ「ウルトラガーディアンズのモットーは『安全第一』!オレにはポケモンがついてます!オレにとって、信頼できるポケモンと一緒にいることが一番の安全ですから!」

ルザミーネ『……ハァ、わかったわよもぅ。そこまで言うなら職員達の救護をしてるマオちゃんかマーマネ君をそっちに向かわせるから、 それまで絶対……敗けるんじゃないわよ?』

サトシ「ウルトラジャー!」
 ▼ 179 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/11 22:32:27 ID:sUXwAzao [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「コメエエエエエエッ!!」ザバァ


サトシ「出てきたか……ここまでのバトルで随分体が熱くなってきたみたいじゃないか。んじゃ、続きといこうぜ!」

ゴウカザル「キァアアア!」


ヌカ「ゼェゼェ……やっとマサラタウンのサトシに追いついた……」コソコソ

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「わかってる。今あたし達が出てきてもマサラタウンのサトシの足を引っ張るだけだからまだこのまま離れてみてよう」ヒソヒソ

ヌカ「それよりも……海面からあんな量の湯気を立たせるなんて、ウルトラジャーの身に一体何が起こってるの?」

トロピウス「カラララララ……?」

ヌカ「ウルトラジャーの体が極端に高温化してる……ウルトラジャーは炊飯器……まさか……『空焚き』!?」


空焚き(からだき、からたき)とは、鍋や釜などの容器に液体(水など)を入れずに火にかけられている状態、もしくは加熱されている状態を言う。 (Wikipedia参照)

家庭の炊飯器でも電源の切り忘れなどが原因で火災などを引き起こす可能性のある現象である。ヌカの言う通り、『空焚き』がウルトラジャーの体内でも起こっていたのだ。


ヌカ「そういえばさっきもウルトラジャーは湯気を噴き出して霧のフィールドを作ってた……あの時体中の水分を逃がしてたんだ!その後カラカラになった体の温度を戦いの中でドンドン上げて……でも一体何のために?」


ウルトラジャー「 ズ ビ ビ ビ ビ ビ ビ ビ ビ ビ … … 」


ゴウカザル「!?」

サトシ「えっ!?何やってんだアイツ!?物凄い勢いで海から出た湯気を吸い込みはじめたぞ!?」


ヌカ「超高温化した体に水蒸気を取り込んだ……待って、確か空焚きして加熱された炊飯器に水を入れたら……マサラタウンのサトシが危ない!!」



ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エエ  ! ! ! 」




                       ド

                           パ

                        ア
                         ァ
                     ァ
                           ァ
                        ア
                         ァ
                            ア
                         ア
                       ア
                            ァ
                        ァ
 ▼ 180 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/11 22:35:49 ID:sUXwAzao [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

                        ァ

                         ア
                       
                       ア

                         ア

                        ア

                          ア

                        ・
                        ・
                        ・
                        ・
                        ・
                        ・


                     !  !  ! 


その爆発は、例えるなら水の噴火か。噴き出すものは、例えるなら灼熱の雨か。

ウルトラジャーから発生した高熱を帯びた蒸気の波が小島全体を飲み込んでいく。白い熱風がサトシ達はおろか、小島にいる人やポケモン達全てを襲う。


ビ シ ャ ア ア ア ア ア ア … … ! !


メタング「……!」

トゲデマル「までゅ!までゅ!」

マーマネ「あ゛づぁあ゛づぁ!!何が起こったんだ!?空から熱湯が降ってきたぞ!? デンヂムシは……サトシ達は無事なんだろうね……!?」



ビ シ ャ ア ア ア ア ア ア … … ! !


マオ「あ゛っ゛……!!」

アママイコ「あつい!あつい!」

フライゴン「ふぉぉぉ……?」

マオ「ううん、大丈夫。サトシ達の戦いが結構激しくなってるみたい……ヌカちゃんは大丈夫かな……」

職員F「小島の周辺にはもう殆ど野生のポケモンが残っていません……今の爆発で本島へ逃げ込んでパニックになっていないといいのですが」

マオ「大丈夫!本島にはカキ達がいます」



ウルトラジャーが放った技の名は『スチームバースト』。幻のポケモンしか使うことのできないハズの水タイプの大技で、放たれたが最後、高熱の蒸気に覆われたフィールド一帯は地獄と化す。

すべてはこの一撃のために……そう言われても差し支えないほどに、その蒸気の爆発は凄まじいものだった。
 ▼ 181 ワガノン@ゴーストジュエル 18/08/11 22:53:55 ID:H1lML0D2 NGネーム登録 NGID登録 報告
やっぱりウルトラな炊飯器だな
支援
 ▼ 182 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/12 21:04:51 ID:I5rYeFM6 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「ゼェ……ゼェ……」


さすがに力を消費したのか、疲れで息が上がるウルトラジャー。しかしもう戦う必要は無いだろう。恐るべき威力をもった大技を真正面から受け立っていられる者など、誰一人いないのだから。


ゴウカザル「」

サトシ「ハァ……ハァ……ゴ、ゴウ……


一番近くで技を受けたサトシとゴウカザル。期待を背負って立ち向かった二人は体力の限界を迎え、ついに倒れた。あまりにも呆気ない決着を眼の前に、残されたヌカ達は絶望……しなかった。


ヌカ「ぎっ……!! あ、あづ……っ! トロピウス……大丈夫?」

トロピウス「クルルルルル……」

ヌカ「あたしは大丈夫。でもマサラタウンのサトシみたいに真正面の位置から受けてたら終わってたね……さて」

ヌカ「さっきの技の威力は想定外だったけど……マサラタウンのサトシの作戦はまだ崩れてない。今度はあたし達の番だよ、トロピウス」


ヌカ「『にほんばれ』!」

トロピウス「カァアァアァアァ……」


ウルトラジャー「!?」


夜空からの恵み……月の明かりを塗りつぶすほどの日差しが、戦いの場に降り注ぐ。あまりの眩しさにウルトラジャーは一瞬目を瞑るも、再び眼を開いて光源を確かめる。

日差しのような光を、太陽はおろか月よりも遥かに小さい物体が振り撒いていることはウルトラジャーにも理解できた。しかし、その光がトロピウスを強くしている事まで理解するのには少々時間が必要だった。


ヌカ「サンパワー『エアスラッシュ』!!」

トロピウス「クルォォォォォォォ!!」


                   ズ ブ ッ … … ! !


ウルトラジャー「コメェェェ……ッ!?」


空気の刃による攻撃を食らい、やっとトロピウスとヌカの存在に気付いたウルトラジャー。彼らも自分にとって都合の良くない邪魔者と判断するや否や、真っ赤な眼をギラつかせながら大地を蹴り、トロピウスに飛びかかる。


ヌカ「かわして!」

トロピウス「グルゥ!」バサッ


ヌカを背に乗せたまま飛び立ち、足元を狙ったウルトラジャーの突進を躱すトロピウス。

攻撃を避けられたウルトラジャーは上を見上げると、自身も飛び立ち、空中のトロピウスを捕らえんとする。


ヌカ「相手の奥の手をこの眼で見ることはできた……だからこそ勝たなきゃ。マサラタウンのサトシの頑張りを無駄にしないようにしないと……」
 ▼ 183 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/12 21:17:23 ID:I5rYeFM6 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「来たよ!逃げて!……逃げまくって、ウルトラジャーの体力を削るの!」

トロピウス「カラララララララ……!!」

ヌカ「マサラタウンのサトシはまだ敗けてない……!『その時』まで、あたし達が踏ん張れる限りは……!」

------------------------------------------------

ヌカ「ウルトラジャーの心……読み取れることができるかな」

サトシ「心配するなってマオも言ってただろ? ……よし!どうしても心配ならオレのバトルを手伝ってくれよ!ヌカが自分で精一杯向き合ったらウルトラジャーは心を開いてくれるかもしれないよ」

ヌカ「えっ!?あたしも一緒に戦うの……?マサラタウンのサトシのサポートなんて、あたし達ができるわけ……」

サトシ「何言ってんだよ!ヌカもトロピウスも強いじゃん!……ゴウカザルの強さはよく知ってるけど、オレが思うにウルトラジャーはもっと強い。変身して怪物の姿になった途端、ピカチュウ達があっけなくやられちゃったんだ。そんな奴、とてもじゃないけどオレ達だけじゃ勝てない」

サトシ「ゴウカザルは本気を出す為に少しだけ隙を作らないといけないんだ……その隙を埋める為に手伝ってほしいんだ!トロピウスの粘り強さなら少しくらい何とかなるでしょ?」

トロピウス「クルルルルルル!」ジシンアリ

ヌカ「……どうしてそこまであたしを信用するの?マサラタウンのサトシ」

サトシ「だって、お前はバトルが好きなんだろ?昨日のバトルも……バトルしてる時のヌカ、トロピウスと一緒にすごく楽しそうだった」

ヌカ「それは……まぁ」

サトシ「だったらこの際、大好きなバトルで目立ってみようよ!遠慮なんかせずに思いっきりやってみようよ!バトル!」

サトシ「ウルトラビーストとバトルできることなんて滅多にないよ。折角バトルの特訓頑張ってるのにこのチャンスを逃したら勿体ないよ!」

ヌカ「チャンスって言われても……マサラタウンのサトシでも敵わない相手にあたしなんかが……

サトシ「こんなところでまた遠慮なんかしたら……シンジに笑われるぞ」

ヌカ「……っ!?」

------------------------------------------------

ヌカ(あの台詞を言った時のマサラタウンのサトシの表情、声……一瞬少しだけ怖くて、冷たい気がした……でもどこか内に秘めた熱いものが見て取れた気がする。彼とトバリシティのシンジとの間には、あたしの思ってる以上の事があったんだろうな)

ヌカ(いや、そんな事よりも今わかってることは……マサラタウンのサトシが、あたしを信用してくれてるって事だ!)

ヌカ(昨日のバトルの時からマサラタウンのサトシは全部お見通しだったってことなのかな……うん。そうだろうね。炊飯器の心を読むことも大事だけど……あたしはバトルが大好きだ)


ヌカ「今は全部忘れて、やるべき事と……やりたい事だけ考えよう……見ててください。マサラタウンのサトシ」


サトシ「……」


ヌカ「いくよトロピウス!あたし達のやりたかったバトル、心置きなくやるよ!」

トロピウス「グルルル!」
 ▼ 184 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/12 21:26:23 ID:I5rYeFM6 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
              ヴォオオオオン!!                ヴァアアアン!!
                            ビュッ……!!

     グァァァァァ……!              スカッ……!


        ズオォオォオォオ……!! 
                       ギュィィィィイィ!!



ウルトラジャー「コメエエエエエエ!!     コメエエエエエエエ!!」


トロピウス「クルルル……ルル!」コォォォォ

ヌカ「頑張って!もう少し……もう少しだけ耐えて!」


逃げるヌカ達に攪乱されながらも狂気混じりの表情で追い回すウルトラジャー。体力が続く限り攻撃をひたすらに避けるトロピウス。捕まれば最後、サトシに任された役割を果たせることなく敗北するだろう。しかしヌカは敗けた時の事は考えなかった。

---------------------------------------------------------

マオ「じゃあこうしよう!いっそのこと、誰かの期待を背負ってるとかそういう無駄なことは全部取っ払っちゃえばいいんだ。いくら他人が期待してくれてたって、それが自分の心にへばりついて頑張りに支し障るくらいなら忘れちゃえばいいんだ」

マオ「……今のうちは、ただ純粋に自分にできる事をしたい……その気持ちだけを持って頑張ることに集中できれば完璧なんじゃないかな?難しいと思うけど試してみて。『がんばリーリエ』!だよ!」

---------------------------------------------------------

ヌカ「マオちゃんの言った通りだ……今のところうまくいってる。背負わないってことがこんなに楽だなんて思わなかった」

ヌカ「……いける!持ち堪えられる!」


ウルトラジャー「コメエエエエエエ!!」ビシュッ


トロピウス「!」

ヌカ「……今だ!トロピウス、構えて!!」


ウルトラジャーの突進がトロピウスの真横を突き抜けた。この時、トロピウスに向かってウルトラジャーがついに背中を見せた。

『にほんばれ』の光はまだ辺りを照らしている。夜の日差しの恵みを受けたトロピウスの一撃がウルトラジャーに突き刺さる。


ヌカ「サンパワー……『ソーラービーム』!!」

トロピウス「トロォォォォ…… ビ ュ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ! ! 」


ウルトラジャー「 ! ! 」



          ズ ド ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ … … … …ン ン ! ! !
 ▼ 185 ラカラ@ビビリだま 18/08/12 22:38:35 ID:5ZuwUWKM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 186 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 18:57:53 ID:Zze2ebuI [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
太く、長く、重い光の矢が地面に突き刺さり土煙を上げたと同時に『にほんばれ』の光も消え、月の光が小島を再び照らし始めた。

ウルトラジャーは地面にめり込み、真っ黒に焦げた芝生の中央で横たわって動こうとしない。予想以上の手ごたえにヌカは一瞬気の抜けた表情をするも、再び気を引き締め直してトロピウスと共にゆっくりと、倒れたウルトラジャーに近づいてゆく。


ヌカ「マサラタウンのサトシのポケモンを二度も倒している相手がこれくらいでやられるハズがない。用心して近づかないと……後はウルトラジャーに『触れる』だけなんだ。この手で……ウルトラジャーの気持ちを理解してみせる」


ウルトラジャー「…………」

シュッ


ヌカ「!? あれ……ウルトラジャーは?」


ド ヴ ッ … … ! !


トロピウス「グフッ……!」

ヌカ「そんな!いつの間……


ズドォォォォーーーーッ!!


ヌカの予想通り、ウルトラジャーはこのくらいでやられるハズがなかった。しかし、地面に横たわっていた状態から空中にいるトロピウスの背後へ移動し、即座に蹴りを入れられるほどの気力と体力が残っていることまでは想像できなかったのだ。

地面に伏せるトロピウス。形勢逆転とはまさにこのこと。空中へ戻ったウルトラジャーはヌカ達を見下ろすと、再び不気味な笑みを浮かべる。


ヌカ「……!」ゾクッ

トロピウス「グル……ルルルル!」ギギギ

ヌカ「む、無理しないで!もうあなたは頑張ったよ!後は触れるだけ……アイツに触れるだけでいいの!後はあたしがなんとかすれば……」ガクガク


ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


ヌカ「ひっ……!!」



                      ガ シ ィ ィ ィ ィ  … … ッ ! !



ウルトラジャー「……!?」


フライゴン「 ふ お お ぉ お ぉ お お ! ! 」

メタング「メター」


マーマネ「危な……間に合った」

マオ「ヌカちゃん!大丈夫だった!?」
 ▼ 187 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:18:05 ID:Zze2ebuI [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「コメエエエエエエエエ!!」ガシッ ガシッ

マオ「な、何!?」

マーマネ「しまった!ライドポケモンを掴まれた!多分スイレンも食らった電撃が来るよ!」


バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ バ … … … … ! !


マーマネ/マオ「「うあーーーーーっ!!」」

マオ「……なんて!フライゴンには電撃は効かないよ!」

フライゴン「ぐぁぶ」

マーマネ「トゲデマルの『ひらいしん』があれば僕やメタングに電気が飛ぶことはないしね」

トゲデマル「まっでゅ!」

ウルトラジャー「……!」


ヌカ「……マオちゃん!」

マオ「ルザミーネさんから連絡があったの。サトシが単独行動を止めないから援護に向かってくれって……そう言えばサトシは?」


サトシ「」チーン


マーマネ「死んでる……」

マオ「(#゚Д゚) あのアホーーーーーーッ!!」


マオ「フライゴン、『にほんばれ』!」

フライゴン「フリャアアアアアアアア!!」

マーマネ「さぁ条件は整った!今こそ僕の秘策を実行する時だよ!」

ヌカ「えっ……でも」


ウルトラジャー「コメエエエエエエエ!!」


マオ「きゃっ!」

マーマネ「サトシには悪いけどハッキリ言って僕らの実力ではウルトラジャーを足止めできるのは一瞬だ!勝負の行方は君達の一撃にかかってる!さぁやるんだ!!」

トゲデマル「までゅ!までゅ!」


ヌカ「みんな……」

トロピウス「カルルルルル……!」

ヌカ「トロピウス……よし!やろう!『オペレーション・ヴィカボルト』!」
 ▼ 188 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:23:53 ID:Zze2ebuI [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「コメェエェエェエェエェ!!」ブォォォォォン!!

マオ「危なっ! マーマネわかってるよね?ライドポケモンは他のポケモンみたいに戦えないからウルトラジャーの攻撃を一度でも食らえば即お陀仏だよ!」

マーマネ「わかってる!でも機動力はあるから少しの間の攪乱はできるはず……」

ウルトラジャー「コメエエエエエエエ!!」

マオ/マーマネ「「ひぃぃぃぃぃ!!」」


アローラ地方では、ライドポケモンを使っての戦闘は禁止されている。それはライドポケモン乗り物としての役目を果たしている故の理由があるのだ。

通常のポケモンとは違い、乗り物であるライドポケモンが傷を負った場合は「バトルによる負傷」ではなく「交通事故による損傷」として扱われ、ライドポケモンを傷付けた加害者には法によって重い罰が下される。故にライドポケモンを使ってのポケモンバトルなど到底許される事ではないのだ。

トレーナーがライドポケモンをバトルへ参加させた場合、持ち主であれば発覚次第ポケモンライドのライセンスを剥奪。また持ち主本人でなくとも10年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される事となる。

それがライドポケモンが戦わない理由である。ウルトラガーディアンズのライドポケモンは皆、強そうに見えても実は弱い我が身をアローラの法によって守られているのだ。

とはいえ今回は特別。連戦により戦力が激減し余裕の無くなったウルトラガーディアンズの救済措置として、総司令官ルザミーネはライドポケモンのトラブルに対する全責任を自分が負うことにより、ライドポケモンによる戦闘を許可したのだった。


ルザミーネ『あのライドポケモン達のライセンスはあの子達にあるけど、ライドを許可したのは私。これで誰も罰を受ける心配はないわ! 私?んなもん何百万でも払ってやるわよ!』

ビッケ『よっ、代表!太っ腹!』

ザオボー『財団の社会的信用が……』

ルザミーネ『これも迷えるウルトラビーストを救う為!誰にも責めさせやしないわ!』


マオ「……というわけで、いっっけええええええ!!    『だいもんじ』!!」

マーマネ「メタング!!    『サイコショック』!!」


ズドォォォォ!           ズドォォォォ!


マオ「来るよ!逃げて!」

ウルトラジャー「コ……コメエエエエエ!!」ブォォォォォン

マーマネ「うひょーー!ヒット&アウェイだね!」



ヌカ「気力よし、体力よし、『にほんばれ』よし、『バッテリー』よし……準備OK。 ……いくよ!」

トロピウス「クルルルルルルル!!」コォォォォォ……


マオ「ヌカちゃんが準備できたみたい!マーマネ、もう少しだよ!」

マーマネ「あっマオ!!前見て前!!」


ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」ズガン!!


マオ/マーマネ「「あっ」」
 ▼ 189 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:37:33 ID:Zze2ebuI [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ/マーマネ「「 ア ァ ァ ア ァ ア ァ ア ァ ァ ア ァ ァ ァ … … 」」 


ウルトラジャーの不意打ちを受け、真っ逆さまに落ちるライドポケモンに必死にしがみつくマオ達は落下中、ふと下に眼をやる。そして、そこにいたヌカとトロピウスの姿を見るや否や作戦の成功を確信し、眼を閉じたまま地面に墜落した。


ドシャァァン……


ヌカ「マオちゃん、皆……ありがとう。 ……さぁいくよトロピウス、デンヂムシ。これがあたし達のぉ…… ゼ ン リ ョ ク だ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! ! !」

トロピウス「グルルルルル……」

デンヂムシ「むぃ」

-------------------------------------------------------

ヌカ「『オペレーション・ヴィカボルト』?」

マーマネ「そう。それこそ僕が封印していた超レジェンド級の秘策だよ」

マオ「勿体ぶってただけやろがい」ベシッ

マーマネ「タイミングが無かったんだよ!それにこの作戦は中々手間がかかるしさ……」

ヌカ「とにかく教えてよマーマネ君!あたしがきっとモノにしてみせるから!」

サトシ「オレも!オレも聞きたい!」


デンヂムシ「むぃ」ウネウネ

マーマネ「……まず、この作戦の要になるのはデンヂムシだ。だからウルトラジャーとの決戦にあたって、ヌカちゃんにはこのデンヂムシを任せることは初めに言っておくね」

サトシ「えぇ!?デンヂムシが!?」

マーマネ「そんなに驚くことはないだろ……コイツもやればできる子なんだよ。 簡単に言えば、『オペレーション・ヴィカボルト』はデンヂムシの能力を使ってトロピウスの技の威力を上げてしまおうという作戦なんだよ」

マオ「それってデンヂムシの特性・『バッテリー』の能力そのままだよね?どこが作戦なの?」

マーマネ「あるんだよ……『バッテリー』以上にデンヂムシの力で技の威力を上げる方法が」

サトシ/マオ/ヌカ「「「え゛え゛ぇ゛!?」」」

マーマネ「デンヂムシの進化系に『クワガノン』というポケモンがいる。電気技を使うクワガノンは戦う時、予備バッテリーとしてデンヂムシを抱えながら飛ぶんだよ。その時デンヂムシがする事と言えば、自分の電気を決まった電圧で且つ決まった供給速度でクワガノンにあげることなんだ」

マーマネ「もしもの為にと僕のデンヂムシにも条件を満たした電気の与え方を教え込んである。だからこそ『オペレーション・ヴィカボルト』が成立するんだ!」

デンヂムシ「むしゅ」ドヤァ

ヌカ「そ、それでトロピウスは何をすればいいの……?」

マーマネ「この作戦ではさっき説明の説明で出てきたクワガノンを技の威力を上げるべき対象に置き換える。つまりトロピウスにはデンヂムシにエネルギーを貰うクワガノンと同じ事をやってほしいんだ」
 ▼ 190 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:39:21 ID:Zze2ebuI [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「それってつまり……技の威力を上げるためにトロピウスがデンヂムシの電気を浴び続けなきゃいけないってこと!?」

トロピウス「……」ゴクリ

マーマネ「ちょっと危険だけどね……ウルトラジャーを倒せるほどの大技を放てるとしたらそれがベストなんだ。確かトロピウスの特性は『サンパワー』だったね。『サンパワー』とデンヂムシの力を重ね掛けすれば技の威力は通常の倍以上になる」

マーマネ「僕の計算上、その条件で放った『ソーラービーム』ならウルトラジャーはともかくとして……昼間の化け物なら一撃で消し飛ばすほどの火力が出せる!やってみる価値はあると思うけど……どう?」

マオ「そんな!『サンパワー』も技の威力と引き換えに体に負担をかけるリスキーな特性なんだよ!?そんなことしたらトロピウスの体がどうなるか……」

マーマネ「無理はしない!……いや、するけどトロピウスの無事は保証するよ。僕だってその辺考えてるんだから」

マオ「そんな……そんな戦い方って……!」

トロピウス「カルルルルル!!」

ヌカ「……トロピウス?」

サトシ「やる気みたいだぜ?いいじゃん!トロピウスがいいって言ってるんだから、ヌカもその意気込みに応えてあげたらどうだ?」

マオ「サトシったら!無責任もいいトコだよ!ヌカちゃんやめよう!他にもウルトラジャーと戦える方法があるハズ……

ヌカ「……ううん。やるよ、あたし。だってそれもちゃんとした戦法だもん!大事にしてあげることだけがポケモントレーナーじゃないってあたし……ポケモンリーグの試合を見て学んだから」

サトシ「……へへ」

マオ「ヌカちゃん……いいの?」

ヌカ「トロピウスがそれを望んでるもの。あたしは……ポケモンの気持ちが汲めるトレーナーになりたい」

トロピウス「クルルルルルルル……」

マーマネ「決まりだね。……じゃあやり方を説明しよう。まずはトロピウスがデンヂムシを抱えて……

-------------------------------------------------------

ウルトラジャー「コ……コメッ!?」





                          ソ

                          |

                          ラ

                          |

                          ビ

                          |
                          |
                          |
                          |


                          ム

                        ! ! ! 
 ▼ 191 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:46:14 ID:Zze2ebuI [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トロピウスが放った光は、勿体ぶり続けたマーマネの秘策の賜物は、ウルトラジャーを捕まえて天高く昇って行く。

その眩しさにはその場にいた全員が目を瞑ってしばらく上を見ることができなかった。『にほんばれ』で照らされていることも相まって、戦いの場は真昼のような明るさに包まれた。



サトシ「……ん、んん」

サトシ「……眩しいな。ひょっとして、マーマネの言ってた作戦が成功したのかな?スゴイ音もしたし……きっとそうだ」

ゴウカザル「…………」

サトシ「立てるか?ゴウカザル。……って、立てなきゃ困るんだけども。皆がオレ達の事期待してくれてるんだから。折角ここまでヌカ達が頑張って作ってくれた時間は何の為にあるんだってことだよ」

ゴウカザル「ゴ……ゥ……」

サトシ「もう十分体は休まっただろ?早くいこうぜ。またオレ達の番だ」

サトシ「……とは言っても、今回ばかりはさすがにキツイかもな。あの『スチームバースト』……予想以上の威力で受けきれなかった。そう思いたいよな」

ゴウカザル「……ウキィ」

サトシ「フフ……けどこんなだらしないオレ達……アイツが見たら何て言うかな?」

ゴウカザル「…………!」



                「こんなものだったのか。お前の力は」





                  「何度もオレを失望させるな」



ゴウカザル「!!」

サトシ「……来た!」




マオ「まずい! ウルトラジャーが!」


ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


ヌカ「ハァ……ハァ……」ペタッ

トロピウス「……っ!」ガクッ

マーマネ「やっぱりウルトラジャーだけは格が違ったか!トロピウスもやられた。ヌカちゃんの気力も限界。もう他に頼れるとしたら……」

マオ「! ヌカちゃん!マーマネ!あれ見て!」


ヌカ「……マサラタウンのサトシ」
 ▼ 192 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:47:57 ID:Zze2ebuI [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
                                 ヴ

                                    ア

                                      ァ

                                ァ

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                                ァ



                          !  !  !  !  !  ! 
 ▼ 193 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/13 20:51:47 ID:Zze2ebuI [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



第11話(全13話)「『わからないことだらけ』との戦い」
 ▼ 194 ガイドス@メンタルハーブ 18/08/13 21:21:15 ID:SS2Yz.OE NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 195 ガボーマンダ@デンリュウナイト 18/08/13 23:15:21 ID:IS.A/ATI NGネーム登録 NGID登録 報告
あっちゅう間に11話や……
支援
 ▼ 196 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/16 21:59:20 ID:tSZEnfNQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「よしよし、しばらくここにいれば安全だからね」ナデナデ

ホエルコ「ホエ……」

カキ「この岸もだいぶポケモンが集まってきたな。皆、あの小島の付近から逃げてきたんだろう」

アシマリ「あぅ〜」

スイレン「サトシ達、大丈夫かな」

カキ「大丈夫さ。……スイレン、さっきあの小島から大きな炎が上ったのが見えたか?」

スイレン「うん。他にも蒸気やら光やら、ドンドン出てた」

カキ「ハッキリ言う。あの炎の主がサトシのポケモンだったなら……ウルトラジャーとの戦い、勝ったも同然だ。ヴェラの炎に負けない力強さを持っている……サトシめ、そんなポケモンを持っていたとはな」

スイレン「サトシのポケモンと違ったら?」

カキ「さぁな」

ルガルガン「ぐるるるるる……」





マーマネ「な、何だありゃ!?ゴウカザルが……!」

マオ「ひょっとしてこの為に今まであたし達は時間稼ぎを……?」

ヌカ「……そうだ。絶対そうだ!」


ウルトラジャー「コ……コメェ……!?」


サトシ「ちょっと危なかったけど……何とか成功したぜ!   いくぞウルトラジャー!オレ達が最後の相手だ!」

ゴウカザル「ゴォォォ……!」


限界一歩手前、それが最後の切り札の発動条件。サトシの狙いはゴウカザルの特性・『もうか』だった。どんなに追い詰められようと、どんなに大きな一撃を食らおうと、ほんの一欠片の気力を振り絞ることができれば、あらゆるピンチをひっくり返せる。

サトシとゴウカザルの復活に、ヌカはまた心が熱くなった。彼女風に言えば、「炊き立てのご飯を頬張って、飲み込んだ時のように」。……と同時に、少し誇らしく思った。再びサトシがゴウカザルの力を引き出せたこの場所に今、自分がいることに。


ウルトラジャー「コメェェェェェ……」スタッ


マオ「ウルトラジャーが降りてきた!……ゴウカザルと真正面から戦うつもりなんだ」

マーマネ「とうとう諦めがついたんだろうね……逃げても無駄だ。ゴウカザルを倒さない限り、自分の自由は永遠に来ないって」

マオ「だけどそれは違うって事を伝えないと!あたし達は自由を奪うために戦いにきたんじゃない。あなたの事を知る為なんだって」

マーマネ「サトシは……ううん。サトシとゴウカザルはその事をうまく伝えられるかな」


サトシ「……いくぞ!」

ゴウカザル「!!」
 ▼ 197 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/16 22:01:42 ID:tSZEnfNQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「   『マッハパンチ』!!   」

ゴウカザル「ガァァァァァッ!!」


                     ド ゥ ッ … … ! !


ウルトラジャー「……!?」


大地を蹴り上げ、素早くウルトラジャーの正面に迫ったゴウカザルは、身に纏った炎を大きく揺らしながら、今日一番のパンチをウルトラジャーに打ちつけた。

そのパンチで地面に叩きつけられたウルトラジャーは、ゴウカザルの気力とパワーが以前よりも明らかに増大した事を感じ取ったのか一瞬怯んだものの、すぐに態勢を立て直しゴウカザルに掴みかかる。


ウルトラジャー「コメエエエエエエエエ!!」


サトシ「来るぞ!かわせ!」


スピードも上昇したゴウカザルは、持ち前の瞬発力を生かしてウルトラジャーの猛攻を右へ左へと受け流す。だがサトシ達に時間は無かった。『もうか』が発動している限り、発動時に一時的には回復したゴウカザルの体力もみるみる減っていく。

再び両者の殴り合いによる接近戦が始まった。残された時間の中で、サトシ達にできることは何か。それはウルトラジャーを倒すのではなく、理解することだった。

無機質なボディに覆われたウルトラジャーの心は……何を叫んでいるのだろうか。


サトシ「『マッハパンチ』!!」

ゴウカザル「 キ ャ ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! 」


                     ズ ッ … … ! !


ゴウカザル「ギィィ……」ギリギリギリ

ウルトラジャー「コ……メ……ェ」ギリギリギリ


「どこに……」


ゴウカザル「……っ!?」


「どこに……いるの?」


デンヂムシ「!」

トゲデマル「までゅ!までゅ!」

マーマネ「ど、どうしたのトゲデマル?急に騒いじゃって緊張感のない」

トロピウス「ウルルルルル……」

ヌカ「ウルトラジャーが……どうかしたの?」
 ▼ 198 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/16 22:14:28 ID:tSZEnfNQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アママイコ「まぉ……」

マオ「アママイコ、あなたも……? ねぇサトシ!何だかポケモン達の様子が変なの!気を付けて、ひょっとしたらウルトラジャーが何かしたのかも!」

サトシ「何かって……何が?」


ゴウカザル「 ガ ァ ァ ァ ァ ! ! 」

ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ ! ! 」



     ズドォォォォ!!            バシャアアアアア!!
                  ギギギギギギ……
              グァァァァァン!!                 ドドドド……
                                     ヴァアアアアアア!!


サトシ「まさかあいつ……」

ゴウカザル「ギィィッ……!」ズザザザザ

サトシ「ゴウカザル!……お前の戦い方を見て何となく思ったんだけど……まさか、わかったのか?ウルトラジャーの心」

ゴウカザル「ガァァァァッ!」

サトシ「違うのか?……そっか。でもまだやれるな?」

ゴウカザル「ガァァァァ!!」バッ


サトシ「ゴウカザル、もう一度『マッハパンチ』!!」


ゴウカザル「 ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ア ! ! 」

ウルトラジャー「 コ メ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ! ! 」 


ズガッ……!!


「どこ……どこにいるの?」

ゴウカザル(何を探してるんだ?)


           ズガァァァァ!!                ドガァァァァァ!!


「どこにいるの? ………りたいよ」



トロピウス「ウルルルルルル……」

ヌカ「トロピウス……随分恐い顔してるね。あの時みたいに。あたしが好きじゃなかったあたしを見た時と、同じ顔をしてる」>>143

ヌカ「もしかしてだけど……今のあなたの眼には、ウルトラジャーが違うものに見えているって事はない? あの子もまた……あたしと同じように、自分を偽っているように見えるの?あなたも」
 ▼ 199 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/16 22:25:25 ID:tSZEnfNQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
                     ドゴォォォォ!!


「どこにいるの? あたし……」

ゴウカザル「……?」


        ズゴォォォォ!!                ドシャアアアアアア……ン!!



「どこにいるの? ……りたいよ」



マーマネ「な、何て激しい戦い……このまま続けば島が沈みそうだよ」

マオ「ううん……もう長くは続かない。ゴウカザルの体力が限界に近づいてる。『もうか』を発動させたゴウカザルとも互角に戦うなんて……ウルトラジャー、何てヤツなの」

アママイコ「…………」

マオ「アママイコ……どうしてそんなに悲しい顔をしてるの?」

ヌカ「……やっぱりそうなんだね。トロピウス」

トロピウス「クルルルルルル……」



「どこに……どこにいるの?」



トゲデマル「までゅ……」

デンヂムシ「むぃ……」

フライゴン「ふぉぉぉぉぉ!」

メタング「メター」


自分達の眼に映っているウルトラジャーは、「彼女」自身ではない。「彼女」の心の叫びを聞いたポケモン達はそれを悟り、ただ一つの結末を望む。ウルトラジャーが、救われる結末を。

ゴウカザルもその結末を望んでいた。だから今ウルトラジャーと戦っている。この勝負に勝って、ウルトラジャーに分かってもらうためだ。今この場には、誰一人、君の敵なんかいない、と。

……それはサトシも同じだった。叫びは届かなくとも、サトシはウルトラジャーと仲良くなりたかったのだ。どれだけ激しい戦いを繰り広げようと、戦いの後には、ウルトラジャーと仲良く笑っていたいと思っていた。

そんなことも知らず、ただただ自分じゃない偽りの体に身を包み叫び続けるウルトラジャー。サトシとゴウカザルに残された時間はあと僅か。


ゴウカザル「ガッ……!」

サトシ「よし……ここらで畳みかけるぞ! もうかの『かえんほうしゃ』!!」

ウルトラジャー「!!」


ゴウカザル「ゴォ……    ヴ ォ オ ォ オ ォ オ ォ オ ォ オ ォ オ ォ オ ォ オ ! ! ! 」
 ▼ 200 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/16 22:28:16 ID:tSZEnfNQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「!」


ヴァァアアァアァアァアァ……


マーマネ「えぇぇ!?何だあの『かえんほうしゃ』は!Zワザでもあれだけのものはなかなかないよ!」

マオ「でも頬をかすめただけで殆ど当たらなかった……炎が水平線に突き抜けていっちゃったよ」


ウルトラジャー「ヴヴヴ…… コ メ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


サトシ「……来るか!いくぞゴウカザル!オレ達が……ウルトラジャーを救ってみせる!」

ゴウカザル「 ガ ア ァ ア ァ ア ァ ア ァ ア ァ ア ァ ! ! ! 」



ウルトラジャー「コメエエエエ!!」バチバチ


マオ「あれは……!サトシ気をつけて!ウルトラジャーが掴みかかろうとしてる!あの手に触れたら電撃を受けてしまうよ!」

サトシ「よしっ……ゴウカザル!かわして『マッハパンチ』!」


     ズ ド ッ ! ! 


ウルトラジャー「!? ……コメエエエエエ!!」


ゴウカザル「ガァァァ……!!」



         ズ              ゴウカザルとウルトラジャーの戦いは時間を経て静まり返るどころか、

           ド
さらに熱く、激しく加速していく。その最中にも、ウルトラジャーはずっと叫び続けていた。
          ォ               ヴ
ゴウカザルの     ォ    耳にもその叫び     ァ     声は絶え間なく続いている
          ォ                 ァ
しかしサト      ォ      シもゴウカザル    ァ   もその手を、その足を止めることなく戦い続けた。
         ォ                 ァ
結局最後の最      ォ     後まで、ウルトラ    ァ     ジャーとの戦いは、
           ・              ァ
「わからないこと   ・   だらけ」との戦       ァ     いだった。
           ・               ・ 
だけども、迷わず進む。               ・ 後には退けない現状の中を突き進む。
                           ・ 
彼らの願いは     ズ        「わからないことだらけ」をかき分け進んだ、その先にあるのだから。
                         ズ
わからなくても       シ               わかり合いたいと願う
            ャ               ゴ
わかり合って       ァ      自分の知らない世界を知る
            ァ             オ
未来のポケモン   !  !  マスターはまた     ォ      一歩、踏みだす
                         ォ
 ▼ 201 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/17 23:56:00 ID:2VdovT4E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「これで最後だ……ゴウカザル!拳に炎を纏え!」

ゴウカザル「ガァァァァァッ!!」


マーマネ「決めろ! サトシ!ゴウカザル!!」


サトシ「     『マッハパンチ』!!     」


                 ズ ン ッ ッ … … ! !


ウルトラジャー「コメエエエエエエ……!」ズザザザザザ


ゴウカザル「ハァ……ハァ……」

マオ「もうお互いに限界だよ……」

マーマネ「でももう追い詰めたよ!後は……ウルトラジャーがサトシ達を認めてくれたらいいんだけど」

ヌカ「……ううん。まだだ」


サトシ「あいつ……」


ウルトラジャー「コメエエエエエエ……」


ズブブブブブブブブブ……


ヌカ「また来る……『スチームバースト』……!」


ゴウカザルの捨て身の猛攻を耐え続け、流石のウルトラジャーも体力が限界を迎えようとしたいた。

ウルトラジャーの最後の手段は『スチームバースト』。勝負を決めようと、ゴウカザルが放った『かえんほうしゃ』により熱された海面から発生した湯気を吸収し始める。


ゴウカザル「……っ!」

サトシ「またあれか……参ったな」

ヌカ(湯気の量からしてさっき程の威力は無いにしても……満身創痍のゴウカザルを倒すにはきっと十分……どうするの?マサラタウンのサトシ!)

ヌカ(あたし達を救ってくれたポケモントレーナーは……どうやってこの状況を切り抜ける?)



ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」



サトシ「ゴウカザル!! ーーーーーーーーーーー!!」

ゴウカザル「……!!」
 ▼ 202 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/18 00:03:31 ID:X2GUtsOQ [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ド パ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ … … … … ! ! !



爆音と共に生まれた熱の嵐が激しい戦いの中でも残っていた小石や草を吹き飛ばし、焼き尽くし、大地を荒らす。マオやマーマネの悲鳴が嵐の轟音にかき消される中、サトシはじっと熱風にさらされながらウルトラジャーだけを見つめていた。

嵐が過ぎ去ると、サトシ達の周りにはもう何もなかった。二度も『スチームバースト』を受けた戦いの場には、いつの間にか真っ茶色な地面しか残っていなかった。


マーマネ「……ど、どうなったの?ウルトラジャー……はまだ立ってる!?」

マオ「ちょ……ちょっと待って! ゴウカザルがいない!」

サトシ「…………」

マーマネ「まさか『スチームバースト』で吹き飛ばされて今頃海の中に……」

マオ「嘘……そんなの……」


サトシ「……大丈夫」

マオ「えっ?」

サトシ「ウルトラジャーと心を通わすためにバトルしてんだ。オレはアイツと、仲良くなりたい」

マオ「でも戦いに勝ったらウルトラジャーが自分達を認めてくれるかもしれないって……それでサトシはウルトラジャーとわかり合うつもりじゃなかったの!? それがサトシのやりたかった事じゃなかったの!?」


サトシ「そうさ。そのつもりだよ。 ……まだ敗けてない」




                                               ボッ!
                                       ボッ!
                                                ボッ!
                  ボッ!
  ボッ!                        ボッ!                   ボッ!
                                    ボッ!           
                ボッ!                             ボッ!
  ボッ!                              ボアッ!




マーマネ「こ……これは!」

マオ「火柱だ!火柱が地面のあちこちから噴き出てる!って事は……」

ヌカ「マサラタウンのサトシ……!」


サトシ「どうだウルトラジャー!ゴウカザルは『あなをほる』で地面へ潜って『スチームバースト』を避けたんだ!」

サトシ「ウルトラジャー!……オレ達はお前を傷付けたいんじゃない。お前を捕まえようとしてるんじゃない。お前の事を理解したいんだ!……ウルトラビーストのお前がこの世界の事を好きになれるかわからない。でも!」

サトシ「せめてオレ達の事だけはわかってくれ!オレはお前と仲良くなりたい!……オレにとってのバトルってそういうモンなんだ。これがオレのやり方なんだ!……わかってくれたらさ、友達になってくれるか……?」
 ▼ 203 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/18 01:09:17 ID:X2GUtsOQ [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャー「…………」


マーマネ「火柱がいっぱいでどこからゴウカザルが出てくるのかわからない!考えたねサトシ」

マオ「もう勝利はすぐそこだよ!いっけー!」


サトシ「ゴウカザル! 出 て 来 い ! ! 」


ボ コ オ ォ ォ オ ッ ! !


ゴウカザル「ガァァァァァァッ!!」


マーマネ「! ウルトラジャーのすぐ足元から!」


ウルトラジャー「コメエエエエエ……!?」


サトシ「ウルトラジャー! ……お前とは『戦い』がしたかったんじゃない。『バトル』がしたかったんだ! ……ややこしいけど全然違うよ。オレ達はお前と仲良くなりたい一心でここまで踏ん張ったんだ」

サトシ「どうかわかってくれ。……オレ達もお前をわかってやるからさ。どれだけ『わからないことだらけ』でも」


ウルトラジャー「……!」



「どこ? どこにいるの?   どこにいったの?」



サトシ「……ゴウカザル」



「どこで なにをしているの?   あやまりたい。 今すぐに」



サトシ「              『 フ レ ア ド ラ イ ブ 』              ! ! 」



ゴウカザル「 ガ ァ ア ァ ア ァ ア ァ ア ァ ア ァ ! ! ! 」




ウルトラジャー「コメェェェェェ……    ゴメェェェェェェ……   ン」






「 ご め ん 」
 ▼ 204 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/18 20:11:46 ID:X2GUtsOQ [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャース「……もう、行くのかニャ?」

???「ーーーーーーー」コクリ

ニャース「そうかニャ…… おミャーはよく話してくれたニャ。全て、思いのままに。 近いうちにおミャーの探してる人に会えるといいニャ。そしてもし会えたら、たっぷり叱ってやるといいのニャ」

???「ーーーーーーー」クスクス

ニャース「おミャーは優しいのニャ。だけどおミャーの探している人はおミャーの優しさに付け込み、自分勝手な行いをした……到底許されることではないのニャ」

???「ーーーーーーーー」

ニャース「わかってるニャ。それでもおミャーは会いたいって」

???「ーーーーーーーー」

ニャース「おミャーが話した事は他には秘密にするのニャ。……少なくとも人間には。おミャーがいくら暴れてアイツらを傷付けた所で、アイツらがおミャーを責め立てる権利は無いのニャ」

ニャース「だからもう、自分を責めることは無いのニャ。もう叫ばなくていいのニャ。……そうそう、そうして笑ってるおミャーは何よりも美しいのニャ。もっと昔にニャーがおミャーと出会っていれば……二人っきりでずっと一緒にいることもできたのにニャ」

???「ーーーーー///」

ニャース「でもニャーは今も幸せニャ。ムサシとコジロウと……たくさんのポケモン達と居られて十分幸せニャ。おミャーも向こうに行ったら、今まで我慢していた分の幸せ、たくさん見つけるといいニャ」

???「ーーーーーーー」ニコニコ


      ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ッ ! ! !


ニャース「!! ……もう……ここまでかニャ。今、おミャーの嫌いなおミャーが音を立てて崩れようとしてるニャ」

???「ーーーーーーーーーー」

ニャース「わかってるニャ。おミャーも頑張るのニャ。それじゃあサヨナラ……」





ニャース「          コメットちゃん          」
 ▼ 205 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/18 20:19:12 ID:X2GUtsOQ [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ン ! ! !



ヌカ「わっ!?」

サトシ「な、何だ!?」

マオ「ウ……ウルトラジャーが……砕けた……!?」


ゴウカザルの決死の『フレアドライブ』を受け倒れたウルトラジャーは、鈍い破裂音と共にその銀の体の破片を地面に散らした。サトシ達を苦しめた 超 絶 炊 飯 器 ウルトラジャーはついに敗れた。


ボトッ! ボトッ! ボトッ! ボトッ!


ヌカ「こ、今度は何!?」

マーマネ「ウルトラジャーの中から人とポケモンが出てきた!……って、どこかで見覚えがあるような無いような……」

マオ「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーっ!!!」


ムサシ「痛ぁ゛〜〜〜っ! スッゴイ寝覚め悪いんですけどぉ。ちょっとニャースぅ、今何時?」

コジロウ「お、オレ達何やってたんだっけ?確か、昼間釣り上げた炊飯器の中身を開けようって話になったトコまでは覚えてるんだが……」

ソーナンス「ソーーーーナンス」

ニャース「…………」


マオ「何、えっ? ……じゃあウルトラジャーの正体って……」


サトシ「 オ イ 」

ムサシ「ジャ、ジャリボーイ!? ……って何よその目」

サトシ「知らばっくれんじゃねぇよ赤紫ババア」

ムサシ「はぁ!?」

サトシ「成程な。苦労して倒したウルトラジャーもまたお前達の作ったガラクタだったってパターンか。オレ達がどんな思いで向き合ったと思ってんだ!!」

コジロウ「ウ、ウルトラジャーって何!?」

サトシ「とぼけるなコサンジ!今日という今日は許さねぇぞ!覚悟しろ!」

ヌカ「マ、マサラタウンのサトシ、ご立腹のところ申し訳ないけどこの人達のこと知ってるの?」

サトシ「コイツらはロケット団!人のポケモンを奪ったりする悪いヤツらなんだ!(テンプレ)」

ヌカ「大して悪そうには見えないし今は君の方がよっぽど何かしそうなんだけど……」

マオ「何言ってんの!ウルトラジャーはコイツらが作ったロボット!つまりウルトラジャーと分かり合おうとしてた事が全部無駄な努力だったって事!ほら、ヌカちゃんももっと怒る怒る!」

マーマネ「バーーーカ!!アーーーーホ!!」

ムサシ「いや、ホントに知ら……
 ▼ 206 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/18 20:23:56 ID:X2GUtsOQ [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ギャー ギャー ギャー


ニャース「……まぁ、日頃の行いニャ。理不尽はニャー達の宿命なのニャ」

ゴウカザル「ウキッ!」

ニャース「ニャ!? お、おミャー……あのゴウカザルかニャ!?」

ゴウカザル「ウキャキャ」

ニャース「……そうか、おミャーにも聞こえたのかニャ。『彼女』が探している声」

ゴウカザル「ウキィ……」

ニャース「『彼女』は苦しそうだった?そんな事ないニャ。あの子は最後に笑って、行くべき場所へちゃんと行ったニャ。ニャーのお陰でニャ」ムフー

ニャース「あの子と戦ったのがおミャーでよかったニャ。……おミャーは優しいからニャ」

ゴウカザル「ウキャッ」

ニャース「ん?あの子が行った場所は一体どこなんだって?……そうニャ。おミャーになら話してもいいかニャ。 あの子は……自分を捨てた人のところに戻ったのニャ」

ゴウカザル「!?」

ニャース「あの子がそう願ったのニャ……でも心配する事はないニャ。ニャーの教えた必勝テクニックがあればまた昔のようにトレーナーと仲良くなれるのニャ」

ニャース「あの子の心には『闇』があった。でもあの子は自分の悩みをニャーに全部打ち明けたことで闇を打ち払い、強い子になったのニャ。……そう、強い子。 おミャーのように」

ゴウカザル「…………」

ニャース「おミャーは今を生きてる。過去のおミャーと違って、恐れるものは何もない……大したものニャ」

ゴウカザル「キャキャキャ」

ニャース「よすニャ。今更礼なんていいのニャ。……寧ろお礼をしたいのはこっちの方ニャ。おミャーの頑張りには励まされてばかりだったからニャ……」

ニャース「久しぶりにおミャーの元気な顔を見れてよかったのニャ。……また機会があったら語り合いたいニャ……」


ムサシ「ちょっとニャース!アンタも誤解解くの手伝ってちょうだいよ!オイコラジャリボーイ!後ろ髪を踏むな、って痛ーーっ!ちょっ緑ジャリガール!大人の顔面をグーで殴る子供がどこにいますか!」


ゴウカザル「ウキィ」

ニャース「どうやらお呼びのようニャ。……さっきの事は絶対秘密ニャ」


ニャース「ニャーッハッハッハッハ!!おミャーらのお察しの通り、おミャー達が新種のポケモンだと思っていたヤツは最新のバイオテクノロジーを使ってニャー達の作った生物兵器だったのニャ!思い知ったかニャ!ロケット団の『かがくのちから』!!」

ムサシ「(>o'ω'o<)」

コジロウ「((o'▽'o))」

サトシ「ほう……よし殺ろう。みんな」ボキボキ


ムサシ/コジロウ「「お前ーーーーーーーーーーーーーーっ!?!?!?!?」」

ニャース(これでいいのニャ……)
 ▼ 207 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/18 20:27:54 ID:X2GUtsOQ [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「オラァ!」ボコォ

ムサシ「ぐほぁ!!」

マーマネ「ズエリャ!」バキャ

コジロウ「ごべぇ!!」

ヌカ「ごめんなさい!」ゲシッ

ムサシ/コジロウ「「誰!?」」


キテルグマ「キィィィ――――――――――――!!!」ズドドドドド


サトシ「あっ、あれは!」

ムサシ「た、助かった……」

マオ「おっとお帰りのつもりですかいお客様……まだお代の支払いが済んでおりません……が?」ゲシゲシ

コジロウ「いだだだだだ!は、早く回収してくれ!」


ニャース「……どうやら時間のようニャ。さらばジャリん子のポケモン諸君。強く生きるのニャ」

ゴウカザル「ウキィ」

トゲデマル「までゅまでゅ!」

トロピウス「コロロロロロ……」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

マーマネ「……またうまいこと逃げられたね。まったくあのキテルグマは厄介な奴だよ」

マオ「あぁもぉーーーー!!協力してくれた財団の人達に会わせる顔が無いよーーーー!!」

サトシ「もう怒られるのはイヤだ……」ゲッソリ

ヌカ「み、みんなのせいってワケじゃないでしょ?怒られる筋合いなんてないと思うけど……」

マーマネ「そうだとしてもこれだけの労力を費やして何も得るものが無かったのは精神的に来るものがあるよ……」

ヌカ「そ、それは……」

マオ「得られるものならあったじゃんマーマネ!今回の件、あたし達にしか出来ない事をやり遂げてメレメレ島を救えたワケだし、何よりヌカちゃんに出会えた事が一番の収穫だよ!」

サトシ「そうだよ!オレも久しぶりにゴウカザルとバトルできて楽しかった!」

ゴウカザル「ガァッ!」

マオ「よし!落ち込んでいても仕方がないね!皆のガンバリを讃え合いながら今日は笑顔で帰りましょー!」

サトシ/マオ/マーマネ「「「おーーーーーーーーー!!!」」」


ヌカ「立ち直り早っ。……でもやっぱりあたし、この人達が好き」

トロピウス「カラララララ……♪」
 ▼ 208 ーダル@ドラゴンメモリ 18/08/18 22:25:49 ID:wMLs9rdc NGネーム登録 NGID登録 報告
赤紫ババアは草
支援
 ▼ 209 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/19 22:51:24 ID:TSQsooNQ [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------エーテルパラダイス-------


ザオボー「ま、まさかあの時財団をやめた三人組が今回の事件の黒幕だったとは……」

ビッケ「ウルトラジャーからウルトラオーラが感知されない時点で、ウルトラビーストではないと断定するべきだったのでしょうか……はぁ」

ビッケ「ウルトラジャー・チルドレンもどうせ彼らの仕業でしょうし、警察に連絡してメレメレ各地を警備されている方々には帰っていただきましょう、代表」

ルザミーネ「そうね……でも放っておけばメレメレ島の平和は間違いなく蝕まれていた。今回のウルトラガーディアンズの活動は決して無駄ではなかったわ。……まぁ、本来の役目とは随分違ったものにはなったけども」

ザオボー「そうです!違うのですよ?ウルトラビーストと何ら関係のない事、すなわち我らがエーテル財団にとって一切のメリットがないこのクソ案件のせいで財団のもつ資金を浪費するわ、リーリエお嬢ちゃんも傷付くわで……これだけ腹立たしいことはありませんよ代表!」

スリーパー「ジャスティス!」

ルザミーネ「まぁそう怒らないでよ。過ぎた事なのだから。……でも今日は疲れたわ。ちょっと部屋に行って紅茶とビスケットでも頂いてくるわ」

職員A「あっ、すぐにご用意を!」


ザオボー「……一般島民の何とかとかいう子にも、少々怖い思いをさせましたね」

ビッケ「ヌカちゃんですよザオボー。でもあの子も怖いとは思ってなかったようですよ。彼女は他の地方から引っ越してきたそうですが……早速、このアローラの心地よさに気付いてくれたように思えます」

ザオボー「他者を引き込む力だけはホント侮れませんからねぇウルトラガーディアンズの子供達は」

ビッケ「だからこそ……代表は彼らをチームにしたのだと思いますよ。確かに彼らの第一の任務はウルトラビーストを元の世界へ返すことですが……できるなら、この世界の美しさを、違う世界の生き物たちにも知ってほしい、と代表はそのように仰っていましたから」

ザオボー「ルザミーネ代表……何と心の広いお方だ。私もその慈悲の心によって救われた身。もっと財団に貢献せねばなりませんねぇ」

ビッケ「フフ、その意気ですよ」

ザオボー「……と言いたいトコですが、今日は私も疲れました。私も紅茶を……」

ビッケ「すぐにご用意しまーす♪」




-------ポケモンセンター-------


リーリエ「もうじきサトシ達が帰ってきますね。お兄様……もう落ち着きましたか?」

グラジオ「あぁ……お前の説教のお陰でいくらかな」

リーリエ「お兄様が来てくれたと思えば、妹の私が見たことの無いような怖い顔で病室に入ってきたものですから……あの、くれぐれもサトシには強く当たらないでくださいね?彼は私の気持ちを優先してくれたのですから」

グラジオ「少し話をするくらいなら別にいいだろう」

リーリエ「それなら構いませんが……いいですか?少しでも声を荒げたら私が止めますからね」

グラジオ「……わかってる」

バーネット「おや、噂をすれば帰ってきたみたいだよ」

リーリエ「ホントだ!では玄関まで迎えに

バーネット「行かせません」ガシッ

グラジオ「…………」
 ▼ 210 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/19 23:13:43 ID:TSQsooNQ [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ただいまー」

バーネット「おっ?来たね」

リーリエ「サトシ!おかえりなさい!……あれ?他の皆さんは?」

サトシ「帰ったよ。疲れたから今日はもう休んで、明日また元気な顔でリーリエに会いたいってさ」

リーリエ「そうですか……あ、どうぞ座ってください!サトシもお疲れでしょう?」

サトシ「あっ、じゃあ……」


グラジオ「来たなサトシ。お疲れのところ悪いがお前に話がある。オレと外に出ろ」

サトシ「グラジオ!帰ってきてたのか?」

グラジオ「外に出ろと言ってる。早くしろ」

リーリエ「お、お兄様!それでは約束が違います!外へ出られては私がお兄様を止められないじゃないですか!」

グラジオ「あぁ、忘れていた。だがそれ以外は言う通りにする」

サトシ「??」

バーネット「サトシ、グラジオはアンタに大事な事を言おうとしてるの。どうか聞いてあげて」

リーリエ「な……何を言われてもどうか気を落とさないでくださいね……?」



-------ポケモンセンター 入口前------


サトシ「は、話って何だよ……?」

グラジオ「今回の件……オレは大まかな情報を母さんから聞いただけで詳しいことは知らないし興味もない。ただオレは、その話の内容を聞いて尖りに尖った怒りの矛でたった一人のバカをメッタ刺しにするためだけにここに来た」

サトシ「バカって……オレだよな?ひょっとしてリーリエの事で怒ってるのか? ……その……ごめん。リーリエのママも言ってた。オレが考えて動いてればリーリエが危ない目に遭わずに済んだんだ」

グラジオ「オレに謝って何になる。リーリエはオレのモノじゃないんだぞ。 ……まぁいい。リーリエはお前がちゃんと自分に謝ってくれたと言っていたからな」

グラジオ「サトシ。オレはリーリエがどれだけ危険なマネをして痛い目を見ようが、それが今のアイツなんだと納得するようにはしてる。控えめだった昔のアイツを思えばそれも大きな成長だと感じてる……だがその成長には、少なからずお前の影響がある」

サトシ「リーリエの成長にオレが?」

グラジオ「サトシ、オレはリーリエに中々会えない自分の代わりにお前にリーリエの事を任せているワケじゃない。……だけどな、アイツは成長したとはいえまだ弱いんだ。傍にいてやらなきゃすぐに傷付いてしまう。そんな妹だ」

グラジオ「お前がリーリエの意思を尊重し一人で戦わせたこと、彼女自身は喜んでた。だがその為に起きた結末はどうだ?周りから見ればお前の無責任が原因と思われてもおかしくない」

サトシ「グラジオ……オレ、皆から同じ事を言われたよ。『お前は何をやってるんだ』『リーリエに何をさせてるんだ』って……それで改めて気付かされたんだ。皆リーリエが大好きなんだって。絶対に、オレ一人の判断なんかで危険な目に合わせちゃいけないって」

グラジオ「……シルヴァディの一件から、リーリエの世界は広がった。だがまだ、その世界の触れ方を知るのには時間がかかる。そこでリーリエの力になれるのがオレ達だ。 サトシ……お前は言ってたな。嬉しいことも大変なことも分け合う、それがアローラなんだ、って」

グラジオ「…………」

サトシ「グラジオ?」

グラジオ「……参ったな。こんな事を言う為に来たワケじゃないのに。リーリエにしてやられたな」

サトシ「どういう事?」
 ▼ 211 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/19 23:32:18 ID:TSQsooNQ [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラジオ「さっきここに来る前までの話だ。オレはリーリエを放っておいたお前が許せなかった。そしてお前に失望したと同時に島巡りも意味が無くなったように感じて、島巡りの旅をやめることを考えていることも考えてた」

サトシ「えっ……!?」

グラジオ「それをリーリエに伝えたところ、猛反対だ。実の妹に碌に顔も合わせないオレにお前を責める資格はないんだと。ある程度一緒に居てやらないと、兄貴という立場も随分な役立たずに成り下がるらしい」

サトシ「グラジオ……そこまで……」

グラジオ「そしてオレがお前に言おうと思っていた事……つまりお前への怒りは殆どリーリエによって圧しきられてしまったというワケだ。……忘れていたよ。アイツは弱い、だけどそれ以前にとても優しいんだってことを」

サトシ「あ、あの、オレは……」

グラジオ「サトシ、お前は他人の気持ちを汲めるいいヤツだ。だが今回は、今はまだ弱いリーリエの気持ちを汲んでしまった結果傷付けてしまった。 次からは相手のやる気を買うだけじゃなく、本当にソイツに任せていいのかどうかも考えるべきだ。……と、オレから言えるのはこれだけだ」

サトシ「そっか……ありがとう。また一つ賢くなれたよ」

グラジオ「礼ならリーリエにも言うんだな。さて、オレはまた他の島に行くことにするよ」

サトシ「えぇ!?もう行くのかよ!?」

グラジオ「お前に言いたい事は全て言った。これで心置きなく島巡りを続けることができる」

サトシ「……知らないぞ?またリーリエに嫌われても」

グラジオ「フッ……オレがいつアイツに嫌われた? ……また会おう。次会う時はまたバトルだ」

サトシ「……あぁ!また今度な!!」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

サトシ「ただいま」

リーリエ「改めてお帰りなさい!お疲れのところ本当にすみませんでした……お兄様に強く当たられたりはしませんで……あれ?そう言えばお兄様は?一緒に出て行かれたハズでは?」

サトシ「当たられたりなんかしてないよ。グラジオからは大事な事を教えてもらっただけさ。あとグラジオなんだけど色々あってその……帰っちゃいました……」

リーリエ「はぁ!?もうお兄様なんて知りませんっ!」プイッ

サトシ「まぁまぁ……次に会ったらもっと構ってあげてって言ってあげるから」

リーリエ「言ってくれるなら何でそれをさっき言わなかったのですか!」

サトシ「ゴメン……」

バーネット「今日は謝ってばっかやねアンタ」


サトシ「それにしても今日は疲れた……」

リーリエ「フフ、色々あったけど、明日にはメレメレ島はまた平穏な日常が戻って来るのですね」

バーネット「そう簡単に平穏なんて来やしないさ。この世界に不思議なポケモン達がいる限りはね」

リーリエ「それもそうですね……退院したらまた、皆とそんな日常を過ごしたいです。ねぇサト……

サトシ「ZZZ……」

バーネット「(´゚д゚`)」

リーリエ「ウフフ……」
 ▼ 212 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/19 23:36:13 ID:TSQsooNQ [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
見上げれば、昇りゆく小さな光。今日も一つの命がこの世界を離れ、行くべき場所へと旅立つ。その命こそ、ウルトラジャーの正体。名を「コメットちゃん」。

ニャースの言う通り、コメットちゃんは最後に笑っていたのだろうか。今宵の空を見上げれば、いつもより一層綺麗な星空が疲れた眼と心を癒してくれる。コメットちゃんは笑顔がたくさんある場所へ旅立ったに違いない。

結局、ウルトラジャーの正体をサトシ達が知る事もないまま、この一件は幕を閉じた。真実はあの「声」を聞いたポケモン達の心の中にある、決して開くことのない秘密の箱の中に仕舞われることになるだろう。





次のおはなし



第12話(全13話)「コメットちゃん」
 ▼ 213 アル@きいろいかけら 18/08/20 00:00:46 ID:Br8cllD. NGネーム登録 NGID登録 報告
お兄様カッコイイぞ
しえんぬ
 ▼ 214 ブト@くろいてっきゅう 18/08/21 14:48:13 ID:itxIyCNM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いい話だけど>>200のところがめっちゃ見にくくてなんか台無しだなって思った。
あとサトシとミヅキとハウが島めぐりして今はアーカラ島の冒険している
最中の奴書いてる人かな?あっちでも見にくいって言ってる人が
いた気がするからちょっと見やすくしたほうがいいと思うよ
 ▼ 215 ヤシガメ@おうごんのみ 18/08/21 15:06:01 ID:2SFE7Hrk NGネーム登録 NGID登録 報告
>>214
自分が思うにあの方とは違うぞ
似てるところはあるけどセリフの長さとか使い方とかが全然違う
スマホだったら画面横にすると見やすいかも

あと支援
 ▼ 216 イティ@ひかるおまもり 18/08/21 15:19:37 ID:itxIyCNM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>215確かにそうかも。>>214で書き忘れてた。
さあ鶏になろう
 ▼ 217 ギルダー@パワーレンズ 18/08/21 21:36:12 ID:j/uwRX1U NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
この方って前にムーマ(?)とサトシのss書いてた人だよね?
今回も相変わらず面白い
 ▼ 218 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/25 00:22:06 ID:iCBMNTm2 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>214
>>200は下の画像みたいに文章の中にエフェクトを重ねればバトルの激しさ表現できてカッコよくなるんじゃね?とイキリ倒した結果です
今から思えばエフェクトといっても所詮文字だし文字を文字で塗りつぶしたらそりゃ見づらくなるだけやろっていう
 ▼ 219 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/25 00:23:06 ID:iCBMNTm2 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------スイレン家-------


ホウ「ZZZ……クマシュンのバニラクレープ一つ……」

スイ「ZZZ……ケーシィのパインソーダとハネッコの三段ストロベリーアイス追加で……」


ピンポーン……


スイレン母「! やっと帰ってきたわね」ガチャ

リザードン「う゛ぉぉぉ」

スイレン母「うぉっ」ビクッ

カキ「カキです。スイレンをお宅まで送りに来ました」

スイレン「ZZZ……」

アシマリ「あぉ〜」

スイレン母「あらら、わざわざどうも」

カキ「安心してください。色々ありましたがこの通り、ご希望通りの無傷の状態でお渡しする事ができました」

スイレン母「そんな古本屋みたいな言い方しなくても……でもさすがね。スイレンのヒーロー候補なだけあるわ」

カキ「オ、オレは罰ゲームが嫌だっただけです。マオの……」

スイレン母「はいはい。理由はどうあれ娘が無事なら何も望みません」

カキ「ふぅ……では、オレはこれで。スイレンに宜しく言っておいてください。散々人を我が儘に付き合わせた事だし、いい加減しばらく安静にしてろって」

スイレン母「心配ないわ。スイレンが帰ってきたら私も同じ事言おうと思ってたところだし。それよりいいの?随分疲れてるだろうし一晩くらい泊まってくれたっていいのよ?」

カキ「あぁいえ。家で家族が待っているものですから」

スイレン母「そう……そういう事なら気を付けて帰ってちょうだいね」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

リザードン「ぐぉぉ〜」バサバサ

カキ「よし……マーマネも送り終えた事だし、早く家に帰ってホシ成分を補給しないとな。疲れた時にこそ適切な栄養の摂取が重要だ」

リザードン(適切……?)

カキ「今日は色々な意味で疲れた……スイレンやマオだけに留まらず、初めからロケット団にも振り回されていたとはな……」

カキ「マオと言えば、今日はヌカの家に泊まってくんだったな。『一人で帰らせるのは不安だからあたしがついていく』とか言ってたが……道中大丈夫だろうか。少なくともアイツの事だからヌカにとっては退屈はしないだろうがな」

カキ「結局、ヌカが炊飯器の心が読めるかどうかを確かめることはできなかったな……今となってはどうでもいい話だが、っとこんな事をマオに面と向かって話せばまた喧嘩になるな。一体マオは彼女のどこに魅力を感じたんだか」

カキ「……いや、あるな。そんなピンポイントすぎる個性を抜きにしたって、ヌカは確かにポケモントレーナーとしてポケモンと一緒に頑張ってる。それだけで、少なくともオレのようにバトルに日々精進しているトレーナーを引きつける魅力はあるってモンか」

リザードン「…………」

カキ「な、何だよ」
 ▼ 220 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/25 00:30:04 ID:iCBMNTm2 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------ヌカの家 メレメレジャーショップ-------


ムラシ「えー……っと、とりあえずお父さんには連絡しといたから、今日は泊まっていいよ」

マオ「あんがとござーまーすっ!」

アママイコ「あままーすっ!」

ムラシ「まぁ、マオちゃんには娘が世話になったしそのくらいのお願いは叶えてあげないとだからね。これからもどうぞよろしく」

マオ「あはは!いえいえ」

ムラシ「それなりに掃除したとはいえ汚い部屋だけど、どうか今夜はヌカと一緒の部屋で休んでいってくれ」

ムラシ「あぁ見えてヌカは寂しがり屋なんだ。寝る時はいつもトロピウスが一緒に居てくれてね。枕元に横たわったトロピウスの首の穂をしっかり掴んで眠るんだ。信頼の証ってヤツかな」

マオ「えっ、赤ちゃんみたいで可愛い……でもそれなら、やっぱりトロピウスをお宅に連れてくるべきだったでしょうか」

ムラシ「疲労で体が持ち上がらないほど弱ってたからポケモンセンターで夜通しの治療が必要だって何とか財団の人に言われたんだろ?」

マオ「うん……今回の戦いで特に疲労が溜まっているポケモンはみんなサトシに預けてポケモンセンターまでボールを持って行ってもらいました」

ムラシ「だったらそれが正解だ。夜通しの治療だからヌカがポケモンセンターに行っても一緒に寝る事はできないしね」

マオ「そう……ですね」

ムラシ「さぁ改めて今日はお疲れ様。ヌカの部屋に行って休むといい」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

マオ「泊まっていいってさ」

ヌカ「ホント!?よかった……トロピウスのいない夜なんて何年ぶりだか……」

マオ「ヌカちゃん、いつも寝る時はトロピウスの穂を掴んで寝るんだってね」

ヌカ「!?/// 何でそんな……わかった!父ちゃんがまた余計な事言ったな!ちょっと説教しに……

マオ「その必要はない!!」ガバッ

ヌカ「むぐぅ!?マオちゃん!?///」ジタバタ

マオ「時刻は夜2時!よい子はもう寝る時間だよ!寂しがり屋のヌカちゃん、今日はあたしがトロピウスの代わりに添い寝をしてしんぜよう!さぁ首なり胸なり触った触った!」

ヌカ「う、うん……///」



ムラシ「おーい、そろそろ寝た……

マオ「さぁさぁ!今日のあたしはトロピウスだよ!カラララララ!!」

ヌカ「いけー!『ソーラービーム』!!」

マオ「了解! がぁーーーー!!」

ヌカ「キャッキャッ」

ムラシ「えぇ……」
 ▼ 221 ーメイル@つかまえポン 18/08/25 13:30:50 ID:zQiorydU NGネーム登録 NGID登録 報告
ヌカマオええぞ……
そういえばプレゼント交換のSSも>>1だったよな 支援
 ▼ 222 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/26 01:01:09 ID:9/pArQfA [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「むむ……」

ヌカ「……マオちゃん、まだ起きてる?」

マオ「うん」

ヌカ「ゴメンね。ウルトラジャーの心が読めなくて。マオちゃん、すごく期待しててくれたのに……」

マオ「何でそんなこと謝るのさ。読むも何も、あれはウルトラジャーところか炊飯器ですらなかったじゃん。あれはロケット団が作ったロボットだったの」

ヌカ「そうかな……あたしはちょっと違う気がするんだよな……ゴウカザルと戦ってるウルトラジャーを見てたトロピウスの眼を見て思ったの。トロピウスには、ウルトラジャーの中に別の何かが見えてたんじゃないかって」>>198

マオ「へぇ。勘がいいねトロピウスは。早いうちから中のロケット団に気付いてたんだ」

ヌカ「ううん、そうじゃない。うまく言えないけど……ウルトラジャーそのもののようで本当は違う、ウルトラジャーに近い何かが見えていたんじゃないかなって思うの。マオちゃんも心当たりない?」

マオ「そう言えばアママイコも、ウルトラジャーを何故か悲しそうに見つめてるような気がしたな。ねぇアママイコ、あの時あなたは何が見えてたの?」

アママイコ「ZZZ……」

マオ「寝てるし……」

ヌカ「マオちゃんいいよ忘れて。ちょっと気になったから聞いてみただけだから」

マオ「サトシ達に相談しなくていい?」

ヌカ「いいよいいよ。マサラタウンのサトシ達にはこれ以上迷惑掛けたくないし」

マオ「ヌカちゃんは迷惑なんてこれっぽちも掛けてないよ。……でもいっか。二人だけの秘密ってことで」

ヌカ「うん……それがいいな」


ヌカ「…………」

マオ「じーっ」

ヌカ「な、何?」

マオ「何はこっちだよ。どうしたの? あたしの方じっと見て……ひょっとしてトイレ?ならあたしが案内しようか?」

ヌカ「ここウチなんだけど」

マオ「あっ、そうだ。 ……じゃないでしょ。何かまだ話したいことあるんでしょ?」

ヌカ「うん。実はさ……」ヒソヒソ

マオ「……え゛え゛!?!?」

ガラッ!

ムラシ「二人とも、まだ寝てなかったのか!?育ち盛りとはいえ体力が有り余りすぎてるんじゃないのか?」

マオ「あっ、お義父さん!」

ムラシ「誰がお義父さんじゃ」

マオ「ヌカちゃん、ーーーーーーーーするってホントですか!?」

ムラシ「……あぁ、言ってなかったっけか。まぁ……親としてそれなりに反対はしたんだけどね」
 ▼ 223 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/26 20:56:21 ID:9/pArQfA [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャース「…………」

キテルグマ「くぅ?」

ニャース「……何でもないニャ。今日は星が綺麗だと思っただけニャ」

キテルグマ「くぅーうー」

ニャース「お月様もいいけど、お星様もまたいいモンだニャー。一つ一つが輝いていて一つの世界を作ってる。……まるでニャー達みたいだニャ」

キテルグマ「くぅ?」

ニャース「えっ、ご飯? ……そういえばお腹が減ったのニャ。もうちょっとしたら行くから先に頂いてていいのニャ」

キテルグマ「くー……」

ニャース「『コメットちゃん』って誰って? ひょっとして声に出ていたかニャ。……いいニャ。おミャーになら話してもいいかニャ」


ニャース「『コメットちゃん』は、炊飯器の中でニャーが出会ったとっても優しい子の名前ニャ」


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


これは、ウルトラジャーの心の声を聞いた、ポケモン達だけの秘密のお話。

コメットちゃんの、悲しいお話。


コメットちゃんはアローラから遠く離れた地方で、大好きな主人の少女とその家族と仲良く暮らしていた。コメットちゃんが知る少女はサトシ達より少し年上くらいで、コメットちゃんを自分が生んだ子供のように溺愛していた。

コメットちゃんとは、少女がメスのニャースにつけた名前だ。額に光る小判が星形をしていた事から名付られた。唯一無二の形の小判は自分が世界でたった一匹の特別な存在であること、少女のパートナーは自分だけなのだということを実感させ、少女もコメットちゃん自身も誇りに思っていた。

コメットちゃんは少女にとって大切な家族であり、何よりの自慢だった。二人は近所の間でも評判の仲良しコンビだった。

ご飯もお風呂も、寝る時も一緒。片時も離れることなく仲睦まじい生活を二人が送っていたある日のこと、少女はポケモントレーナーを育成する学校へ進学するため親元を離れ生活することとなった。


少女「じゃあ……いってきます!」

コメット「にゃにゃっ!」


勿論コメットちゃんも彼女についていった。生活だけでなくポケモンバトルでも名コンビになれるようにと少女と兼ねてから約束していたのだ。同じ地方の中での移動とはいえ、二人とも新しい生活・新しい出会いに胸躍らせていた。


校長「諸君、入学おめでとう。我が校の生徒になるということは、諸君は世界に通用するトレーナーになれる未来が約束されている。ここに来たからには、我が校の生徒としての自覚をもち、将来に向けて日々精進するように」

少女「ゴクリ」


入学してからは、正に修行と言えるほどの厳しい授業に耐える日々が続いた。地方一のトレーナー学校を甘く見ていた二人は人一倍苦労するハメになったものの、お互い励まし合いながら過酷な毎日を乗り越えていった。

小判についたキズも努力の証。それもまた自慢の種と、以前にも増して少女はコメットちゃんの立派な姿を誇らしく思えるようになった。
 ▼ 224 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/26 21:06:01 ID:9/pArQfA [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やがて月日は流れ、いつの間にか二人が入学してから一年以上が経過していた。トレーナー学校の生徒やそのポケモン達は経験を重ね、着実にポケモンバトルの腕を磨きながら互いの絆を高め合っていく中、少女とコメットちゃんは……


コメット「フギャッ」

少女「あぁ……コメットちゃん!」

生徒「勝負あり!時間、0分52秒」

先生「またか……いくらこのクラスがお前意外の全員が出来のいいヤツばかりとはいえ、これだけクラス内バトルの勝率が悪いと単位はやれんな」


未だにポケモンバトルの才能を開花できずにいた。成績も振るわず、皆が成長してゆく環境の中で完全に置いてきぼりを食らい、落ちこぼれの仲間入りをしてしまっていた。先生も他の生徒達も、いつしか少女を見下すようになっていた。


しかし、少女はめげることなくコメットちゃんと共に学校へ通い続けた。そんなある日のこと……


ボーイフレンド「ちょっといい?……君だろ?さっき合同授業で僕の友達と一緒だった子」

少女「えっ?」

ボーイフレンド「傍で見てたよ。さっきは僕の友人が悪い事したね……僕でよければ相談に乗るよ」

少女「……い、いいんです。私はコメットちゃんがいれば何も怖くありませんから……」

ボーイフレンド「放っておけないんだよ。君の事。 ……ねぇ、友達になろうよ。皆は君の事を避けているけど僕はそんな事しない。この町に来て君がしたかったコト……何でもさせてあげるよ」

少女「う、うん……///」

コメット「ニャッ……?」


少女にボーイフレンドができた。ある日突然彼が話し掛けてきたのは、それまで学校で冷たい視線を浴びせられ続けてきた少女にとって思いがけない出来事だった。


それからというもの、彼は少女と親しくなっていった。時には少女の相談相手になり、今まで他人に話せなかった学校での事などを少女に打ち明けられては、笑顔でアドバイスをしてあげたりもした。

時が立つに連れ、一緒に勉強をしたり食事やデートに誘い合ったりする事もでき、周りから見れば二人はすっかり恋人同士だった。学校が辛いのは相変わらずだが彼といる時だけは、少女は幸せの真っ只中にいた。


ボーイフレンド「アハハ」

少女「ウフフ」

コメット「うにゅ〜……」


しかし、そんな幸せを快く思わない者もいた。 ……コメットちゃんだ。彼女にとって、自分の大好きな少女がボーイフレンドと仲良くしているのを見るのは複雑な気分だった。

自分から少女を無意識に遠ざけているボーイフレンドに腹は立つし、ボーイフレンドがいるために自分が少女といる時間が少なくなっている事に気付かない少女にも腹が立っていた。しかし今の状況が少女にとっての幸せならと、無理のない程度に我慢を決め込むことにした。

しかし、物心ついた時から少女と一緒だったコメットちゃんにとって少女が自分よりも他人と一緒にいる時間の方が長いという現実に耐えることは難しかった。人間の男女の仲睦まじい様はコメットちゃんの中に段々とストレスを溜め込んでいった。

コメットちゃんは知っていたのだ。ボーイフレンドが気にかけているのは少女であって、自分ではないことを。

ボーイフレンドは自分の事を興味ないかもしれないけど、できることなら自分も仲良くなりたい……とは思わなかった。コメットちゃんは人見知りで、自分に顔を合わせてくれる人でないと関わり辛かったのだ。


コメット「トホホ……」
 ▼ 225 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/26 21:15:09 ID:9/pArQfA [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コメット「ZZZ……」

少女「あ、来てくれたんだ!入って入って!」

コメット「ニャッ!?」パチン


ある日の事、ボーイフレンドがとうとう少女とコメットちゃんが二人きりで暮らしている部屋のあるマンションにやってきた。ついに少女はボーイフレンドを家に呼んだらしい。


ボーイフレンド「へぇ……ここが君の家か。随分綺麗だね。掃除とかこまめにやってるの?」

少女「うん!今日はあなたが来るっていうから少しだけ張り切ってみたの!」

ボーイフレンド「そうか……なら、今夜はお楽しみだね」

コメット「ケッ」

少女「あっ、コメットちゃんどこ行くの?」

ボーイフレンド「空気を読んで部屋を出て行くみたいだね。お利口なニャースじゃないか」

少女「えへへ……///」


イチャコラくっつく二人の甘い雰囲気に耐えられず、少女の家の一番奥のクローゼットに逃げたコメットちゃん。実家から離れている現状、一番落ち着く場所すらもストレスの溜まり場になってしまったコメットちゃんの我慢はいよいよ限界が近づいていた。


その夜……コメットちゃんは二人から離れ廊下で眠ることにした。しかしストレスのせいか中々寝付けない。部屋への扉越しに聞こえる二人の声にコメットちゃんは苛立ちを隠せなかった。

だがしばらくして、怒りよりも寂しさが込み上げてきた。眠れなかったのはストレスのせいではなく、自分が少女の傍でないと眠れないからだった。邪魔は入るがやはり少女の隣がいいと、コメットちゃんは一組のカップルがいる部屋の扉を開けた。


コメット「……!?」

ボーイフレンド「い、いきなりなんだ!?……あぁ、ニャースか。ノックしないで部屋へ入って来るとは礼儀のなってないヤツめ」

少女「コメットちゃん……!?廊下で寝てたんじゃなかったの!?」

コメット「ニャ……?ニャ……!?」


部屋の中で起きていた事態にコメットちゃんは一瞬眼を疑った。自分達家族しか見たことのなかった全身の肌を露わにし仰向けになった少女に、ボーイフレンドが覆いかぶさるようにして跨っていたのだ。

コメットちゃんは少女がボーイフレンドに襲われていると思い込んだのだろうか、コメットちゃんの姿を見た二人は慌てていたが、同じように慌てていたコメットちゃんの体は小刻みに震えだしていた。

ついにコメットちゃんの怒りは爆発した。裸の人間二人の眼に映ったのは、悲しみと苛立ちと、色々なものを抑えきれずに暴れる一匹のニャースの姿だった。


少女「コメットちゃん待って!これは……

ボーイフレンド「ま、待て!やめ……


コメット「 ギ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ! ! ! ! 」
 ▼ 226 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/26 21:31:48 ID:9/pArQfA [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コメットちゃんの眼の前から、いつの間にかボーイフレンドの姿は消えていた。一通り暴れせいせいしたのか、コメットちゃんは怯える少女に微笑みかけると彼女の傍で眠りについた。眠気からかその時の少女の顔は、よく見えていなかった。

コメットちゃんの幸せは少女の傍にあるなら、きっとその逆も同じ……とコメットちゃんは信じて疑わなかった。実際、今まで生きてきてそうだったのだから。


しかし翌日、トレーナー学校で少女とコメットちゃんを待っていたのは……生徒達からの、卑劣な虐めの数々だった。

昨晩コメットちゃんが追い払ったボーイフレンドは少女と対照的に学校でも一目置かれるほどの存在で誰からも尊敬されていた。そんな彼をコメットちゃんが傷付けたことで、少女に向けられた眼差しは軽蔑から怒りに変わっていった。

それはコメットちゃんにとっても理不尽な出来事だった。自分が守ろうとしていた人が、何も悪くない人がどうして責められなけらばならないのか、何故悪人であるあの男が守られているのか、何もわからなかった。

当のボーイフレンドはというと、まるで虐めの集団を統括するかのように生徒達を次々と自分の仲間に引き入れては、彼らを使って少女を罵り続けた。


ボーイフレンド「助けてください!またあの女だ!これ以上アイツに関わったら殺される!あのニャースを使って!」

先生「劣等生の嫉妬もここまでくれば同情の余地もない……こんなことで将来を担うトレーナーの芽を摘まれてたまるか!」


実は、一番彼女の事を見下していたのは彼だったのだ。人のできる事をできないことで集団に馴染めず、事あるごとに周りの空気を乱す少女の振る舞いに嫌気が差した彼は、周囲から避けられていた少女を排除しようと企てたのだ。


生徒A「アイツ、泣いてたな。でもアイツが悪いんだ。迷惑を掛けるだけ掛けておいて、こちらが相応の事をすれば被害者面。イジメられっ子ってのは皆そう、ロクな奴がいねぇな。自分がどうして痛い目を見てるのか考えもしねぇ」

生徒B「考える頭が無ぇから自分がイジメられてるなんて泣き事しか出ねぇんだろ。理由も無しに人を痛めつけるワケあるかって話だ」

生徒C「しかしアンタもよく我慢したな。オレならアイツと一緒にいるのに耐えられなくて殺してたかもな」ハハハ

ボーイフレンド「それもいいが、あの子には教えてやりたかったんだ。自分が周りにどう思われてるかってね。君達は彼女を避けてばかりで、中々君達が本当に彼女にしてやりたい事をできずにいた。僕はそれをしやすくしてやっただけの事だ。その証拠に今の彼女はただののけ者じゃない、立派な悪人さ」


ボーイフレンドは尊敬されていた。誰も、彼の狂気を正気と信じて疑わないほどに。もうこの場所には少女の味方などいなかった。コメットちゃんは必死に彼女を守ったが、その内コメットちゃんも虐めに巻き込まれていった。

額の星形の小判も……自分が世界でたった一匹の特別な存在であること、そして少女のパートナーは自分だけなのだということを意味していた象徴も、消えないキズや汚れが増えて行き、輝きを失っていった。

それでもコメットちゃんは少女を守り続けた。コメットちゃんは彼女と共にいることで、戦い続けることができた。……勝負の見えている戦いを。


少女「うぅ……」

ボーイフレンド「じゃあね。僕は……他と違うヤツが嫌いなんだ。周りに馴染めないばかりに僕達のしたい事ができなくなるってのが、何よりも嫌いなんだ」
 ▼ 227 リムー@ゴツゴツメット 18/08/26 22:15:31 ID:GBvQVdBU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
ニャー炊飯器?
 ▼ 228 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/27 19:53:02 ID:SXtwWur2 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こんな地獄が数日続いたが先生は少女の悩みを聞いてくれない。先生達も少女を軽蔑していたからだ。成長の無い生徒に、この学校の大人達は見向きもしない。

大人達といえば学校の外にもたくさんいる。しかしボーイフレンドとの一件以来、悪い噂が流れたのか誰も少女と関わろうとしない。

最後の望みは、少女を育ててくれた家族。生まれてからずっと、彼女の傍にいた家族にありのまま今の自分を伝え……


お掛けになった電話番号は 現在使われておりません


られなかった。引っ越したのだろうか、あるいは家族にも噂が流れたのか、連絡がつくことはなかった。

絶望する少女を見て、コメットちゃんはいよいよ決心した。少女を守るのは自分しかいないと。 少女の幸せが自分と一緒にいることだというのなら、自分がいる限り少女をいつかは幸せにしてやると決めたのだ。

とはいえ今は大きな事は何もできない。コメットちゃんはとりあえず、少女に微笑みかけてみる。……どうだろう。今鏡を見たら自分はちゃんとした笑顔をしてるだろうか。今の笑顔で彼女は安心できるだろうか、と考えながら少女の反応を待つ。

少女は重い口を開く。


少女「……もういいよ」

コメット「?」

少女「無理しなくていいよ。……ありがとう。あたしを励ましてくれてるんだね。……でも                      も う い い の」


少女は今までコメットちゃんですら見たこともない表情をしていた。怒りでもなければ悲しみでもないし、立ち直ったワケでもない、開き直ったようでもない、よくわからない顔だった。ただ一つその表情から感じられたのは、たった今彼女の中で何かが壊れてしまったということだ。

コメットちゃんは狼狽えた。 ……「もういい」ってどういう事なんだ? ……彼女はもう諦めたのか? ……何を諦めたんだ? ……諦めたとしたらこれから彼女はどうするつもりなんだ? ……一体あたしは何をしたらいいんだ?

コメットちゃんの頭は「わからないことだらけ」になってしまった。コメットちゃんが頭を抱えているうちに、少女はコメットちゃんから眼を逸らし、彼女を置いてどこかへ歩いて行く。


コメット(まさか……嫌だ!そんなの!)


「わからないことだらけ」の中に、これから起こるであろう最悪の結末を思い浮かべてしまったコメットちゃんはそれを止めるべく少女を追う。それに気付いた少女の足が速くなっていく。少女は止まる気がないようだ。

自分の幸せが少女のところにあると思っているコメットちゃんは少女のいない世界など考えたくもなかった。コメットちゃんは少女を追いながら弱々しい泣き声で必死に訴える。

この世界からいなくならないで。どれだけこの世界がイヤになっても、あたしとあなたの幸せは、お互いの中にあるんだから……と。


気が付けば、二人は浜辺に辿り着いていた。ゴミがたくさん散らばりお世辞にも綺麗とはいえない浜辺だ。空は灰色の曇り空で薄暗く、二人の気持ちをより一層沈ませる。……こんな空では、星の一つも見えやしない。


少女「…………」

コメット「……」オロオロ

少女「コメットちゃん」

コメット「!!」
 ▼ 229 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/27 20:04:46 ID:SXtwWur2 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少女が再び重い口を開いた。しかし今度は声が震えていなかった。……彼女の中で、何かの決心がついたらしい。

少女は徐に、浜辺に溜まっていたゴミの山を漁り始めた。この地域は粗大ゴミの回収が無いからか、古びた家具が沢山捨ててある。大半は形が変わるほどボロボロに破損していたが、少女は比較的綺麗な炊飯器を抱えてコメットちゃんの前に持ってきた。

地面に置かれた炊飯器と中腰で自分を見つめる少女を交互に見るコメットちゃん。「わからないことだらけ」の頭の中が再びメチャクチャに回りだそうとしたその時---------------------


少女「入って」

コメット「……ニャ?」

少女「入って」

コメット「……ウニャ」

少女「 入 っ て ! ! ! 」


少女はコメットちゃんの胴を引っ掴むと、コメットちゃんを炊飯器の中へ押し込み、蓋を閉めた。震える手で押さえつけられた炊飯器の中からはコメットちゃんの鳴き声と金属を引っ掻く音が聞こえてくる。

コメットちゃんはとうとう何もかもがわからなくなり、いきなり閉じ込められた暗い部屋の中で必死にもがく。


ゴツッ!!

コメット「」ビクッ


暗闇の部屋の外からの大きな音に怯むコメットちゃん。次に聞こえてきたのは少女の声だった。……泣いているのだろうか、その時の少女の声はまた震えていた。


少女「……ひどいよコメットちゃん。……どうして、どうしてあんなことしたの? どうして彼にあんなことをしたの? コメットちゃんは……一体何がしたかったの?」

コメット「……?」

少女「あたしが今までどれだけ苦しかったかわからないワケじゃないよね。コメットちゃんも同じように苦しかったものね。そうだよね」

少女「あの人があたしに優しくしてくれたのは嬉しかった。例え嘘だとしても、あの人との時間は苦しいことだらけの学校のことを少しでも忘れることができる時間だった。……あたしは一秒でも長く、彼と一緒にいたかった」

少女「でもコメットちゃんはそれを断ち切ったよね。もう少し続くかもしれなかったあたしの幸せを。それはあなたが自分の幸せを奪われたくなかったから。コメットちゃんはあたしと一緒にいるのが幸せだってずっと思ってたもんね」

少女「……でもさ、ちょっとワガママだなって少しでも思わなかった?いくら周りが冷たくたって、あたしを幸せにできるのは自分だけだって自惚れてなかった?……違うよ。あたしの幸せは、彼があたしの前に現れた時にはもう……あなたのところには無かったの」

コメット「……!?」

少女「どんなにあなたが辛くたって気に入らなくたって、あなたさえ我慢していれば少なくとも今よりはずっとマシになってたハズなのに……返してよ……あたしの幸せを返してよ……」ポロポロ
 ▼ 230 グトリオ@ソクノのみ 18/08/27 20:14:48 ID:X.dgbD0Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
恋って怖い
 ▼ 231 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/27 20:16:34 ID:SXtwWur2 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少女「あなたがそれなりに我慢してたのは知ってる。でもあたしはその前からずっと我慢してたんだよ。どのくらい前から?……決まってるよ。あたし達が落ちこぼれになって、周りから避けられはじめてからだよ。あなたの隣でずっと我慢してたの」

コメット「ニャ……ニャ……!」

少女「自分もそうだって言いたいの?……嘘言わないでよ。本当に辛い我慢だったんだよ。思い返せばよく我慢できたなって我ながら誇らしいよ。こうなった理由と向き合いながら、地獄のような日々を耐えてきたんだから。……そしてやっと手に入れたささやかな幸せを……あなたは」

コメット「ニャ……?」

少女「理由って何かって? どうして……どうしてそんな事が言えるの……?」


少女「それはあなたよ        コ メ ッ ト ち ゃ ん」


コメット「……っ!?」

少女「あたしが周りの皆から避けられ、見下されてた原因はあなたよ。コメットちゃん。……初めからわかってたの。あなたは今の今までそれがわからなかったの?とんだ出来損ないね」

少女「周りの生徒達のポケモンを見たことないの?みんなあなたと違って集団に溶け込んでた。出来のいいポケモンは自分達のトレーナーに貢献したわ。バトルだけじゃなく、生徒同士のコミュニケーションにもね。当たり前のように皆ができてる、そんな『普通の事』がどうしてあなたはできないの?」

少女「学校に行って一番学べたこと……それはあたし達の弱さじゃない。あなたの弱さよ。あなたは弱いし、情けないし、役に立たない。おまけに勘違いばかりするおバカさん。だから散々あたしに迷惑を掛けてきて、まだ自分に非がある事に気付いていない」

少女「どうせ今の状況も理不尽だって思ってるんでしょ?……違うよ。これは今まであなたがしてきたことの報いだよ。あなたのせいであたしはここまで落ちた。それ相応の報いは受けてもらわないと気が済まないよ」

コメット「……ニャ……ニャ」

少女「……成程。どうしてあなたがそこまで往生際が悪いのかわかったよ。あなたの額にある……星形の小判だね。それはあなたが特別な存在であることと、あたしの唯一のパートナーであることの印だってお母さんも言ってたね」

少女「あたしもそんなあなたが自慢だったなぁ。人もポケモンも、『他と違う』って事がとっても素晴らしいものだって考えてた。……でもそれも学校に行って、違うってわかったの」

少女「『他と違う』って言うのは……すごく恥ずかしいことなの。あなたの頭にある小判も自慢していいものなんかじゃない。あなたが『他のニャースとは違う』ってことは自慢できる事なんかじゃない。あたしにとってあなたは自慢なんかじゃなかった……ただの 『 恥 』 だったのよ」

コメット「……っ!!」

少女「コメットちゃん、『他と違う』って事は何の役にも立たないんだよ。周りのみんなと同じ事ができない者の言い訳にしかならないんだよ。……今までのあたしはどうかしてた。『他と違って役に立たない』あなたを……何よりも誇りに思ってたんだから」

少女「もっと早く気付くべきだった。あなたのところに、あたしの幸せなんか無いって。本当の幸せは……周りのみんなに溶け込むことでしか得られない。『普通』でいることがこの世界で生きる上で一番の幸せなんだって気付くのが遅すぎた」
 ▼ 232 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/27 20:28:35 ID:SXtwWur2 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コメット「! ニャ!!ニャニャニャ!!」

少女「何が違うの? ……もういい。もうあなたから幸せを返してほしいなんて言う気もないよ。 これ以上我慢するのはもうイヤだもん。だからあなたとも、この世界とも……ケジメをつけるためにここに来た」

少女「思えばあなたと関わりをもった時から……あたしも『他と違う』人になってたのかもね。 お互い、生まれ変わったら次は『普通の子』として生まれてこれるといいね」


少女「じゃあね」


コメット「ニャッ……」


コメットちゃんが少女の声を聞いたのは、それが最後だった。次にコメットちゃんの耳に届いたのは荒れ狂う波の音だった。コメットちゃんは、自分の閉じ込められた炊飯器が波に呑まれて海へ沈んだと理解した。

暗闇の中でコメットちゃんは悲しんだ。そして自分を恨んだ。他のニャースと違う自分の姿と、人並みに……いや、ポケモン並みに、普通の事ができなかった自分の不器用さを恨んだ。

しばらくすると、炊飯器の隙間から海水が津波のように押し寄せて……コメットちゃんの意識は、そこで途切れてしまった。

最期まで、コメットちゃんは少女に裏切られたとは思わなかった。悪いのは自分だから、もしできる事なら何よりも先に彼女を探し出し、謝りたいと思っていた。もし、できる事なら……


― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―


ニャース「…………」

キテルグマ「くぅ?」

ニャース「あぁゴメンニャ。……コメットちゃんは全部正直にニャーに話してくれたニャ。少女に突き離された時はつらかった……それでも、少女の事を悪く思うことはできない、と言っていたニャ」

ニャース「ニャーなら許すことはできないのニャ……誰しも、自分にしかないものを持っていていけないハズがないのニャ」

キテルグマ「くぅぅ」ポンポン

ニャース「あぁ、ありがとうニャ…… それとニャ、コメットちゃんはその後の事を話してくれたのニャ」


ニャース「炊飯器に閉じ込められ、海に沈んだコメットちゃんは暗闇の中で溺れて亡くなってしまった……だけどその魂はどういうわけかコメットちゃんの肉体が滅びてもなお炊飯器の中に残ったらしいのニャ」

キテルグマ「??」

ニャース「信じられないと思うニャ?でもコメットちゃん自身が確かにニャーにそう言っていたのニャ」

ニャース「コメットちゃんの意思はその後も炊飯器の中に残り続けた。でも余程少女の期待に応えられなかった自分が許せなかったんだろうニャ。魂は二つに分裂し、コメットちゃん自身のものとは別に、少女に謝りたい気持ちと自分の不器用さを呪う自責の念だけが独立して新しい魂を生みだした」

ニャース「新しい魂は炊飯器に憑りつき、別の命を吹き込んだニャ。こうして化け物は生まれたそうなのニャ」
 ▼ 233 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/27 20:42:22 ID:SXtwWur2 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャース「……つまりコメットちゃんは、コメットちゃん自身の想いが詰まった入れ物に閉じ込められたまま、長い間暗く深い海の中を彷徨い続けたのニャ。どのくらい彷徨っていたのかは覚えてないと言ってたけど、きっと気の遠くなるほど長い年月を過ごしたに違いないニャ」

ニャース「そしていつの間にか、偶然にも、このアローラの海に流れついたらしいのニャ。そして……ニャー達は何も知らず海に沈んでいたコメットちゃんを炊飯器ごと釣り上げ、持ち帰ったのニャ」>>23

ニャース「そしてムサシが無理矢理炊飯器の蓋を開けた時、ニャー達は炊飯器の中に閉じ込められてしまったのニャ。そういえばおミャーも炊飯器を開けようとしていたまさにその時を見ていたニャ」

キテルグマ「くぅ」

ニャース「何でおミャーは無事だったのニャ……まぁいいニャ。ニャーは炊飯器の中に閉じ込められた後、コメットちゃんの心の中……『わからないことだらけ』の世界をしばらく彷徨い、コメットちゃんに会うことができたのニャ」

ニャース「そこでコメットちゃんから色々な話を聞いたニャ。ニャーはしばらく、彼女の悩みを聞いてあげていたニャ。『ニャゴシエーター・ニャース』として、暗闇の中でふさぎ込んでいた彼女を放っておくことができなかったのニャ」

キテルグマ「きぃ」

ニャース「えっ?その間ムサシとコジロウは何をしていたのかって?あぁそうだ。それも話さないといけないニャ」

ニャース「コメットちゃんの自責の念を受け継いだ炊飯器が蓋を開けられた時にちょっとした暴走を起こしたらしいのニャ。そしてムサシとコジロウを取り込み、動ける体を手に入れた……そういえばジャリボーイ達は確か、それを『ウルトラジャー』とか言ってたニャ」

ニャース「暴走は己の目的を果たすために動ける体を欲した結果だった。だけど久しぶりに見た海の上の世界に慣れることができず、強化された体を以てしても活動するのには一苦労。どこかで体を休ませる必要があったのニャ」

ニャース「そこで炊飯器はムサシとコジロウの記憶を体の中にインプットしていくつかの同胞を生みだした。そいつらの姿は二人の記憶の中にいたポケモンのイメージを膨張させたものとか言ってたニャ」

ニャース「奴らは炊飯器がメレメレ島の各地に産みつけた卵から生まれて炊飯器の代わりに活動を開始した。……まるで親の仕事を手伝う子供のように」

ニャース「そこまでして炊飯器が……いや、コメットちゃんが……いや、ウルトラジャーが成し遂げたかった目的、ニャんだと思う?」

キテルグマ「くーーー……」

ニャース「それは自分を捨てた少女を見つけ出すこと。そして、彼女に謝ることだったのニャ。コメットちゃんの意思から離れて暴走した炊飯器は、その目的を果たすためだけのものだったニャ。……おミャーも外にいたなら聞こえたハズニャ。銀色の怪物の……悲痛な叫び声が」

----------------------------------------------------------------

ウルトラジャー「 コ メ エ エ エ エ エ エ エ エ ! ! ! 」


ウルトラジャー「コメェェェェェェッ!!」


ウルトラジャー「コメエエエエエエ……!」

----------------------------------------------------------------


ニャース「『 ゴ メ ン 』 『 ゴ メ ン 』 って」
 ▼ 234 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/28 19:52:19 ID:MxSUnu76 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニャース「コメットちゃんはずっと泣いていたのニャ……一度死んでもなお、トレーナーの少女の事を片時も忘れたことはないと言っていたニャ。普通ならすぐにでも忘れたいハズの奴の事を」

キテルグマ「くぅー……」

ニャース「ニャーはそんなコメットちゃんを精一杯励ましたニャ。そしたらコメットちゃんは最後にやっと笑ってくれた。炊飯器という殻を破って、笑って旅立っていったのニャ」

ニャース「ニャーだけじゃニャい。ゴウカザルも、ジャリん子共のポケモン達もみんなコメットちゃんを救おうと頑張ってくれてたのニャ。……みんなみんな優しいヤツばかりでニャーも助かったニャ」

ニャース「きっとニャーとコメットちゃんが出会うのは運命だったニャ。コメットちゃんはもしかしたら、自分が抱えている心の闇を見てくれる相手を待っていたのかもしれないニャ」


ニャース「それにしても綺麗な星空だニャー。コメットちゃんの星は……一体どれだろうニャ……

ニャース「…………」ホロリ

キテルグマ「くぅ?」

ニャース「キテルグマ。コメットちゃんは笑って旅立っていったニャ。ニャー達から元気をもらった彼女は、ただ嘆き悲しみながらたった自分を責め続けるだけの時間から抜け出すことができたニャ」

ニャース「……でも……もしできるなら……ニャーは……彼女が生きている内に出会いたかったのニャ……彼女が生きている内に、助けたかったニャ……」ポロポロ

キテルグマ「…………」

ニャース「ニャーの励ましは確かにコメットちゃんを勇気付けたニャ。最後に見た彼女の笑顔に嘘は無かったのニャ……でも……生きている内に彼女を助けることができたら……コメットちゃんはもっと色んな世界を見れたんじゃないかニャ……?」

ニャース「せっかく仲良くなったのに……同じニャース同士……ううん、『他とは違う』ニャース同士でじゃれ合ったり語り合ったりしたかったのニャ。ニャーはもう生きてる限り……コメットちゃんには会えないニャ」グスン

キテルグマ「……」ナデナデ


「他と違う」「普通の事ができない」ために周りから避けられ命を落とし、長い間、一人ぼっちの世界で後悔を続けていたコメットちゃんに手を差し伸べ、光を与えたニャース。

ニャースはコメットちゃんに寄り添うことで彼女の心の闇を受け止め、彼女のほぼ全てを知った。……だからこそニャースは今、誰よりもつらかった。

涙が溢れ出てくる。自分ならコメットちゃんをもっと早く救ってあげられたのかニャ……仲良くなれたのかニャ……そう思うと、眼から大粒の雫が頬を伝っては地面に落ちる。


ニャース「ニャーにも昔、コメットちゃんと同じくらい仲良くなりたい子がいたのニャ……そのためには他のニャースが『普通』にできる事をできなくなる覚悟をしてまで『他と違う』ニャースになる必要があった」

ニャース「……と勝手に思ってたのニャ。『他と違う』ニャーを見たその子はニャーを気味悪がってニャーの前から二度も姿を消したのニャ……それからしばらくニャーは自分に自信を持てなかったのニャ……」

キテルグマ「くぅー?」

ニャース「キテルグマ……ニャーが悲しいのはコメットちゃんがそんなニャーを受け入れてくれたからニャ……受け入れてくれたから、ニャーのアドバイスも聞いてくれたのニャ……」

ニャース「折角仲良くなれたのにもう会えないのニャ……あの子みたいに仲良くなれそうな友達に、もう会える気がしないのニャ……」ポロポロ
 ▼ 235 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/28 19:57:00 ID:MxSUnu76 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キテルグマ「くぅ……」


オーーーーーーイ ニャースーーーー        オナカヘッタワヨーーーーー  ゴハーーーーン      ソーーーーーーーナンス


ニャース「……ニャニャ?」

ムサシ「帰って来るやいなや何を二人でノンビリ外でくつろいでんのよ!こちとら昼から何も食べてなくて腹が減ってるんだから早くいらっしゃいよ!」

コジロウ「全員で食卓を囲んでからいただくのがルールだったろ?お前らが来ないと飯が食えないんだよ!」

ソーナンス「ソーーーーーナンス!」


ニャース「……いたのニャ。『他とは違う』ニャーを受け入れてくれた人……こんな近くに」

ニャース「……キテルグマ。コメットちゃんは最後に笑ってたニャ。それはニャーがコメットちゃんの『他とは違う』ところを褒めてあげたからなのニャ。きっと」

キテルグマ「くぅぅ?」

ニャース「『じゃあどうするの』って? ……決まってるニャ。コメットちゃんが笑うのなら、ニャーも今から笑うのニャ」

ムサシ「アホな事言ってないで早く帰るわよ!準備はできてるから、また明日からの活動に向けて早急に体力つけるわよ!」

コジロウ「えぇ!?今日は散々な目に遭ったんだし明日も休みでいいだろ!?何てことのない日常を楽しもうや!」

ムサシ「だったら尚更よ!ロケット団にとっての何てことのない日常ってのは休むことじゃないの! おら!そんな事より明日のためのご飯です!」

コジロウ「そんな……」

ムサシ「ニャース!アンタも早く来なさい!」

ニャース「ムサシ、コジロウ」

ムサシ「何よ」

ニャース「今のニャーは幸せものニャ。ありがとニャ。こんなニャーと一緒になってくれて」

コジロウ「何だ急に。気味が悪いヤツだな」

ムサシ「そりゃまぁ喋るポケモンって何かと便利だしねぇ」

ニャース「ニャーはそんなおミャーらに感謝を込めて、この綺麗な星空の下で……今から歌うのニャ」

ムサシ/コジロウ「「はよこい」」
 ▼ 236 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/28 20:00:45 ID:MxSUnu76 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムサシ「それじゃあ今日も元気に……」


「「「「「「「いただきます!!!」」」」」」」



朝の鏡の中から     眠そうにこっち見てないでさ

ちょっと笑いなよ     その顔に微笑んであげるから



ムサシ「かーーーっ!生きてるってカンジ。生き物はやっぱ食べてる時が一番幸せよね」

ミミッキュ「むゅ」

コジロウ「……とは言っても、きのみだけの生活もそろそろ飽きてきたな……」

ヒドイデ「どいでっ」



今日は昨日の   そう 昨日の明日       おいらたちのこと   照らせ

昇る    昇る     昇る 太陽よ



ニャース「だったらカントー人らしくお米でも食べるニャ?つい最近、炊飯器の専門店ができたらしいからそこで炊飯器を買うのニャ」

ムサシ「ハッ!よくもまぁそんな事が言えたものね!」

コジロウ「炊飯器なんかしばらく見たくもねぇよ!お前はよく懲りないもんだ」

ニャース「コ……コメットちゃんが好きって言ってたからニャ」

ムサシ「コメットちゃんて誰やねん」



おいらは笑う     あいつも笑う

みんなが笑う     思わず笑う     嬉しさ笑う



ニャース「ここからでも綺麗な星が見えるニャ……みんな違った光り方をしてて面白いのニャ」

ムサシ「どれも同じに見えるんだけども……でもまぁ、星空って何か知らないけど落ち着くわよね」

コジロウ「理由は何てことないけど、いいカンジ……だな」

ソーナンス「ソーーーーーーナンス」



悲しみ笑う

みんなで笑う       明日も笑う
 ▼ 237 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/08/28 21:43:59 ID:MxSUnu76 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次のおはなし



最終話(全13話)「To Be Continued」
 ▼ 238 ノマダム@かえんだま 18/08/28 21:51:41 ID:yozoHcgE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ついに最終話か…

コメットちゃんのトレーナー自分勝手すぎだろ
そんで周りも周りでひどすぎる
みんなが優しくできたらあんなことにはならなかったんだろうな…

それに比べマーマネはプログラミングできるから多分ああいうやつらよりも頭良くて性格いいから素晴らしい

支援
 ▼ 239 リムガン@ロックメモリ 18/08/29 13:14:05 ID:AeP.oFGo NGネーム登録 NGID登録 報告
結構進んでたな
少女ちゃんの気持ちもわかる ニャースを誇る気持ちと恥ずかしい気持ちでどうすればいいのか分からなくなる

しえんね
 ▼ 240 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/06 22:12:13 ID:VfqInRbk [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルトラジャーの一件から数日後


今日はアイナ食堂の定休日。お客のいないレストランの厨房で、二人の少女はせっせと作業に勤しむ。

でも、その表情はどこか明るげ。それもそのはず、今日は皆に初めて二人の共同作品を楽しんでもらう日なのだ。二人はしばしば眼を合わせては、にっと笑って再び作業に戻るのを繰り返す。

ウルトラジャーの一件ですっかり親しくなったマオとヌカが作っているのは、炊飯器を使ったオリジナルのホールケーキ。皆の反応を妄想しては、おかしくなってふっくら頬っぺたを膨らませながら、軽く噴き出してみる。


マオ「ヌカちゃん、メレンゲはできた?」

ヌカ「うん。さてさて、これからマオちゃんの作った生地にあたしの作ったメレンゲを混ぜていきます」

マオ「生地には卵黄や牛乳・砂糖は勿論、今回は特別にドライフルーツにカシューナッツ、そしてヌカちゃんの実家から頂いた米粉を混ぜ込んであります」

ヌカ「生地とメレンゲが混ざったら……炊飯器に、 ド ボ ン ! ! 」

マオ「ドボンはまずいよヌカちゃん!メレンゲを潰さないようにゆっくりと!」

ヌカ「へいへい。とにかく次に炊飯器を開ける時には、もちもちの米粉ケーキの完成だよ!」

アママイコ「あぁまい!」

トロピウス「クルルルルル」

マオ「あぁぁ、早く皆来ないかなぁ……」

ヌカ「フフ、すぐに来たって食べられるのは炊き上がってからだよ」

マオ「ねぇ、最初に誰が来るか予想しない?予想が外れた方は当たった方の言う事を一つだけ何でも聞くって罰ゲーム込みで!」

ヌカ「のった!……やっぱり、マサラタウンのサトシかな?」

マオ「あたし的にはサトシは一番最後かもだね。マーマネが一番確率高いけど……あえて本命外してスイレンと予想しようかな」

ヌカ「マーマネ君か!じゃああたしの予想は彼にしようかな」

マオ「よっしゃ!あたしはスイレン。ヌカちゃんはマーマネ、勝った方は敗けた方に(可能な範囲で)何でも命令OK!」

ピンポーーーーン

ヌカ「来た!」

マオ「いらっしゃぁぁい!!」


カキ「来たぞ。いつもはマオの超次元メニューに振り回されるところだが、今日はヌカとの共同製作メニューがどんなものなのか、期待してるぞ」

ガラガラ「ガララー」

マオ/ヌカ「「お前かい」」

カキ「な……何でだ!?」

ヌカ「はっ!ゴメン、つい……」

マオ「仕方ない。罰ゲームはカキに決定だね。一発ギャグ」

カキ「ば、罰ゲーム!?スイレンなら無傷で……え?別件?一発ギャグ?」
 ▼ 241 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/06 22:18:25 ID:VfqInRbk [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「アローラー! マオ!恒例の新メニュー発表会、今日も楽しみにしてきたよー……って」


カキ「(=_=)」

マオ「(~_~)」

ヌカ「(~_~;)」


マーマネ「ど、どうしたの皆。お地蔵さんみたいに固まっちゃって」

カキ「……べった」

マーマネ「えっ?」

カキ「罰ゲームの一発ギャグが滑ったんだ。嫌々ながらも多少の自信があっただけに残念だ」

マーマネ「へぇ、どんなの?」

マオ「やめろ!!」


カキ「カキ、『そらをとぶ』だ!!   はい、 カ キ フ ラ イ 」


マーマネ「……ぅゎ〜……」

ヌカ「笑いたかったけどどう反応したらいいのか困っちゃって……」

マーマネ「いや、ありのままの反応が正解だよ」


マオ「しかーし!あたし達の共同制作、炊飯器で作る!簡単米粉ケーキならこーんな微妙な反応をさせる心配はございません!生地が炊き上がるまであと20分!完成までしばしお待ちを〜!」

マーマネ「楽しみだなぁ」

カキ「ケッ」


ピンポーーーーーン

ヌカ「あっ、マオちゃん!まただれか来たよ!」

マオ「スイレンだ! アローーラーーーーー!!!」ガチャッ

スイレン「うぉビックリした。いつになくMAXハイテンションだねマオちゃん」

マオ「っしゃあ当たりぃ!さぁおいでおいで、もうじき香ばしい生地の香りが炊飯器から溢れてくるの。一緒に楽しもう?」

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

炊飯器『炊き上がりました。保温を始めます』テンテンテテテン♪

ヌカ「きた!炊き上がりだよ!」

マオ「はひゃふぁへ〜♡ おこげとドライフルーツの香りがたまんないのぉぉぉぉっ♡♡♡///」ビクンビクン

スイレン「マオちゃんが壊れた……このケーキ、できる」

マーマネ「早く食べたいけど、サトシ達まだかな……」
 ▼ 242 ッカグヤ@ピーピーエイダー 18/09/06 22:22:14 ID:qj5kmkpE NGネーム登録 NGID登録 報告
うまそう♡
 ▼ 243 フォクシー@にじいろのはな 18/09/06 22:24:03 ID:PbXEKF8c NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まるでカキフライだな
 ▼ 244 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/06 22:24:26 ID:VfqInRbk [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウォォォォォォォ……!!


ヌカ「! 何か聞こえる!」

マオ「おっ、来たねサトシ。 カキ、出入口を開けて!」

カキ「ほいほい……」ガチャ


サトシ「ごめーーーーん!!待ったーーーーー!?」ダダダダダダ

リーリエ「遅れて申し訳ないですーーーー!!」

ド ガ ッ ! !

カキ「あどぅわっ」


マーマネ「ひ、轢かれた……てかサトシ、ここまでリーリエを担いで走ってきたの?」

サトシ「え?うん」

スイレン「サトシ、リーリエ、おはよう。二人共待ち合わせの時間には間に合ったよ」

サトシ「よ、よかった……滑り込みセーフだな」

リーリエ「サトシ速いです!速すぎます!時間に余裕を持って行動しないからあんな猛スピードで走らざるを得なくなるのです!」

サトシ「結果的に間に合ったからいいだろ?そんな事言うならリーリエだって自分で歩いても時間通り着けるように準備しときゃよかったじゃん」

マオ「アホかっ!退院したての女の子に無理さすな!」ベシッ

サトシ「けばぶっ」

マオ「リーリエはさ、ウルトラジャー・チルドレンと戦った時の傷が今日やっと完治して退院する事ができたの。そもそも、どうしてリーリエは入院することになったんだっけか?え?」

サトシ「お……オレがリーリエのバトルを傍観してたから……」

マオ「わかりゃいいんだよ!その責任を取るためにリーリエを病室からここまで担いでいくって宣言したのはどこの誰だっけか?お?」グリグリ

サトシ「ぼ、僕です……」

マオ「そーそー、ちゃーんと責任感じてリーリエの為に動けるんだから、そんなアンタが女の子に向かって『自分で歩け』なんて言うもんじゃなくって?うぅん?」ジロジロ

サトシ「サ……サッセンシタ……」

リーリエ「も、もういいですよマオ……」

マーマネ「めっちゃ舐めるようなアングルで見回してる怖っ」

スイレン「たまに出る女王様な気質のマオちゃん、イイ」

ヌカ(マサラタウンのサトシの周りって……スッゴイ騒がしいんだ)


ヌカ「……あ、そうだ!皆さん!集まったところで早速ケーキのお披露目といきましょう!」

サトシ「おぉ!来た来た!」

ピカチュウ「ピカカピ!ピカピ!」
 ▼ 245 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/08 00:17:39 ID:qGk.H8s6 [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「じゃじゃーーーん!米粉ケーキの生地の完成だよぉ!」ホカホカ

スイレン「うわぉー!」

マーマネ「ふぉぉ……どことなく炊き立てのご飯みたいな匂いもする……」

ヌカ「小麦粉よりもモチモチの食感に仕上がる米粉の生地に、フリーズドライさせたチーゴやパイルをたくさん混ぜ込みまして……

サトシ「えっ、『フリーズドライ』!?ヌカは氷タイプのポケモンも持ってたのか!?」

マオ「黙っとれ」

ヌカ「ど、ドライフルーツはスーパーとかで売ってるからよかったら探してみてね……あぁ、後、今回は栗やナッツなんかも混ぜてみたから酸味が強すぎない仕上がりになってると思うよ」

カキ「ほう、具材が豊富だな。食べごたえありそうだ」

リーリエ「ふっくらと、でもどっしりと厚みのあるケーキ生地の中にある果実の数々……まるで地中の宝石のようです!」

マオ「さらにさらに、この生地の上から生クリームを塗って……」ペタペタ

ヌカ「ケーキの表面にも、余ったフルーツを使って飾りつけをすれば……」

サトシ「ゴクリ」


マオ「今度こそ完成ーーー!! さぁ長らくお待たせしました!リーリエ退院記念、一日限りのスペシャルメニュー、『米粉のケーキ --Sweet Jewels-- 』ご堪能あれ!」

リーリエ「えっ……わ、私のために……ですか?」

マオ「勿論!リーリエの退院日に合わせて完成できるようヌカちゃんと入念に打ち合わせしたんだから!……退院、おめでとうね」

スイレン「マオちゃんっ……!」

カキ「……ほう。粋な事しやがる」

リーリエ「(;Д;) ウッウッ……マオ……ヌカサン……アッワスレテタ、ハジメマシテヌカサン、ワタクシガリーリエデス……コンゴトモ……ウッ……ヨロシク……」

マーマネ「泣きながら自己紹介してる……」

マオ「(TДT) うわーん!こちらこそだよぉぉぉぉ!!おかえりリーリエェェェェ!!」

カキ「何でお前が答えるんだよ」

スイレン「(TДT) 私にも改めてお帰りって言ってよマオちゃぁぁぁぁん!! 私の肺の火傷は翌日おやつにアロエを食べたらすぐ治ったけど改めて言ってよぉぉぉぉ!!」

マオ「(TДT) いいよぉぉぉぉ!!スイレンもおかえりだよぉぉぉぉぉ!!」

マーマネ「(TДT) わかったから早く食べさせてくれよぉぉぉぉぉぉぉ!!」

ウワァァァァァァ……ン!!!


ヌカ「( ゚Д゚) ポカーン」

サトシ「ヘヘ、みんな面白いだろ?だからオレはアローラ地方が大好きなんだ。ヌカも気に入ってくれたかな?」

ヌカ「えっ……!? あ、あぁ、うん!みんな面白い人達ばかりで楽しいな……あはは」

サトシ「よかった! じゃあ早速ケーキいただこうぜ!ピカチュウ!」

ピカチュウ「ペカァ♪」
 ▼ 246 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/08 00:19:52 ID:qGk.H8s6 [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「あぁあぁあ! んめぇぇぇーーっ!!」

ピカチュウ「ペカァァァァ!!」

リーリエ「お口の中が幸せだらけです♪ 入院してる間はこんな贅沢できませんでしたから……」

マーマネ「はいはい!僕の分は完食したよ!……誰か残す人いない?ねぇ?」

カキ「米粉か……つまり通常のケーキよりカロリーが低くヘルシーなワケだ。果物もたくさん入ってるから見た目も味も楽しい限りだ。だがオレならここに塩を入れるか。決して悪ふざけじゃないぞ。当たり前だが米粉ってのは米、つまり主食だ。すなわち食卓のお供にして調味料の王道を征く塩とマッチしないはずがないわけであって

スイレン「黙って食え」


マオ「フフ……みんな喜んでくれたようで何よりだね。 ……ねぇねぇ、そろそろヌカちゃん、告白してもいいんじゃないのん?」

ヌカ「えっ、今?」

マオ「そりゃもうせっかく集まってくれたんだし今言った方が後々楽になるでしょうに。ほれ、頑張れ頑張れ」

ヌカ「別に頑張る事ではないと思うけど……」


マオ「はいみんな、注ーーー目ーーー!! ここでヌカちゃんからお知らせがあるよ!」

マーマネ「何何!?」

スイレン「新作の炊飯器が9割引とか?」

リーリエ「あ、わかりました! ……ひょっとして、ヌカさんもポケモンスクールに通うことにしたのですか?」

ヌカ「うーん……それも考えたけど……あたしは家の手伝いをしなきゃいけないし。トロピウスと一緒にまたいつものようにバトルの賞金稼ぎをしなきゃ」

トロピウス「クルルルルル」

カキ「別に掛け持ちすれば問題なかろう。ポケモンスクールは家業と両立しながら通っている生徒も多いぞ」

ヌカ「じ、実は家の仕事以外にやりたい事があって……そのためにポケモンスクールに毎日通う余裕はちょっと無いかなって思って」モジモジ

カキ「……?」


ヌカ「あ、あたし!『島巡り』始めます! それも島々を回って、自然に触れる旅を自分でしたいと思ってます!」


サトシ「おぉ!島巡りするのか!?」

ヌカ「うん。明日出発するんだ」

スイレン「明日!?唐突……」

マオ「もう旅の準備もバッチリだもんね。あたしも一緒に旅支度の手伝いをしたし、ハラさんにも明日会う約束してるし」

マーマネ「言ってくれりゃよかったのに……」

マオ「えへへ、どうしてもこのタイミングで言おって決めてたの。結構な重大発表だしサプライズになるかなと思って」

カキ「お前と言うヤツは……」

リーリエ「島巡りの旅……お兄様と同じですね」

ヌカ「シンオウに居た頃から薄々考えてたんだ。……旅がしてみたいって。旅をして、一流のポケモントレーナーにちょっとでも近づけたらいいかなって」
 ▼ 247 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/08 00:26:16 ID:qGk.H8s6 [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「アローラに引っ越してきたのはいい機会だし、ちょっと始めてみようかなって実は考えてました!旅先でトレーナーと戦って稼いだお金を父ちゃんの店に送ることもできるから家にも迷惑かけないし」


カキ「ほう……いい事だな。オレは応援するぞ」

マオ「応援だけでいいのかなん?ヌカちゃんほどのポテンシャルならカキなんて追い抜くと思うけど」

カキ「ならもう少しポケモンを集めることだな。流石にトロピウス一匹では名のあるトレーナーには勝てんぞ」

ヌカ「うん。だからアローラのポケモン達をゲットしてあたしとトロピウスの旅をもっと賑やかにするつもりだよ」

----------------------------------------------------------

シンジ「お前はいつか強いポケモントレーナーになる。その為にはたくさんのポケモンと出会い、彼らの実力を見極め、己が高みを目指す為の糧となる最高のメンバーを決めなければならない」

ヌカ「……そうでしょうね。トロピウスだけではそれは難しい。だからあたしに合ったメンバーを……

シンジ「ハッキリ言おう。そのメンバーの中にお前のトロピウスがいる可能性は限りなく低い」

----------------------------------------------------------

ヌカ「それで……みんなで一緒に強くなるの。勿論トロピウスも一緒に」

トロピウス「カルルルルル……!」

カキ「フッ……こりゃ油断ならんな」

マオ「よしっ、目指すはポケモンリーグだね!近々ククイ博士がアローラにもリーグを造るつもりなんだって!ヌカちゃんも出てみようよ!ヌカちゃんなら優勝も狙えるよ!」

ヌカ「あたしが……ポケモンリーグ……」

マオ「シンオウ地方のポケモンリーグを何度も見て、いつかは自分も出たいと思ってたんでしょ?なら今がチャンスだよ!やってみよ?ね?」

サトシ「オレも賛成だぜ!ヌカがどんなポケモンと一緒にバトルするのか楽しみだな!」

ヌカ「マオちゃん……マサラタウンのサトシ……」

マーマネ「いいのん?ライバルが増えちゃうよ〜?」

サトシ「構わないさ。どうせオレが優勝するんだし。な?」

ピカチュウ「ピカピカーー!」

カキ「それは聞き捨てならんな。優勝候補がお前達だけだと思わんことだ。元はと言えば、この中で最初にZリングを手に入れたのはオレなんだからな」

ガラガラ「ガロッ」

スイレン「それあんま関係なくない」

リーリエ「サトシにカキ、お兄様、そしてヌカさん……アローラにどんどん強い方が集まってきて、何だか今後が楽しみになってきましたね!」

シロン「こんっ」


サトシ「次はポケモンリーグだな!ヌカ」

ヌカ「……うん。マサラタウンのサトシ!」

ピカチュウ「ペカー」アクシュ

トロピウス「クルルルルル……」
 ▼ 248 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/08 18:20:03 ID:qGk.H8s6 [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「あ^〜食った食った……」

スイレン「マーマネ、一人で三分の一食べた……」

カキ「そろそろ解散にするか。まだ日は明るいが」

マオ「せっかくの休みだよ?もうちょっと遊んでいきなよ。それにヌカちゃんが旅に出ちゃったら多分しばらく会えないだろうし思い出作りの為になにかやろうよ」

カキ「それもそうか……で、何をして遊ぶんだ?」

マオ「考えてない!はい皆、アイデアアイデア。ヌカちゃんが楽しめるような事考えてよ」

カキ「」ガクッ

リーリエ「い、いきなり言われましても……」

サトシ「じゃあ……」


サトシ/リーリエ/スイレン/マーマネ「「「「バアビそのーチロト前にサイーラドエリさっきルサン大アのケーでライ会ズスキキュでやショのーバッピろンレシダイグうはいピぜビングか教えがでで!しょうてよ!か?!」」」」


マオ「なんて?」

カキ「いっぺんに喋らず順番に言え」

トロピウス「グルルルル……」

ヌカ「でもどれも楽しそうだな……マサラタウンのサトシとまたバトルしたいからバトル大会もいいし、リーリエちゃん達とアローラサンライズってお店でのショッピングも楽しそう……」

サトシ「え!わかるの!?」

ヌカ「でもスイレンちゃんが言ったビーチサイドエリアのスキューバダイビングも良い経験になるかなぁ……迷う……あ、マーマネ君にはさっきのケーキのレシピ、後で教えるね♪」

カキ「バケモンかコイツ」

マオ「さすがヌカちゃん!炊飯器の心を読めるだけあって人の心を読むのは朝飯前ってことだね!」

ヌカ「耳の良さに自信があるだけだから……」

スイレン「マオちゃんはヌカちゃんが絡むといつもの1.5倍アホになるのなんとかならないの」

カキ「1.5万倍の間違いだろ」


リーリエ「……そうだ!ヌカさんが主役ですしヌカさんが決められてはどうでしょうか?残りの3つの企画の中から選んでください!」

ヌカ「うーん……実はあたし……泳ぐのあんまり得意じゃないんだよね……ダイビングは良い経験にはなると思うけど……」

カキ「だが苦手な事を無理強いさせるのはやはりよくないか」

マオ「ごめんねスイレーン、今日はヌカちゃんに楽しんでもらいたいし諦めてくれる?」

スイレン「ぐすん、ヌカちゃんが絡むとマオちゃんは私に1.5万倍冷たい」

マーマネ「残りは2つ。さぁどうする?もう午後だから、やるとしたらどちらか一つだね」

ヌカ「ん〜、どっちか迷うな。何とかして両方できないかな〜……」

サトシ(ヌカお願いだバトルしようぜお願いだからバトルしようぜ頼む頼む頼むバトルしようぜほえるはねるそらをとぶトライアタックメガトンパンチ……)
 ▼ 249 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/08 18:24:31 ID:qGk.H8s6 [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「じゃあこうしよう!女子はリーリエ考案のショッピングを、男子はサトシ考案のバトル大会をそれぞれやろう!」

サトシ「おぉ!そりゃ名案だ!」

リーリエ「それなら企画を二つ同時に行うことができますね」

マオ「さっ、そうと決まればあたし達とお店に行くよヌカちゃん!」

スイレン「GOGO!」

サトシ「っしゃ!じゃあオレ達も早速おっ始めようぜ!」

カキ/マーマネ「「って待てゴラァァァァ!!」」

マオ「チッ……引っかからなかったか」

マーマネ「ヌカちゃんは女子だろ!女子勢がヌカちゃんを連れて行ったら僕らはどうやって思い出作りをしろっていうんだよ!」

サトシ「どうした?早く始めようぜ!」

カキ「お前は目を覚ませサトシ!女子が全員ショッピングに行ったらヌカがいなくなって男子側の企画が成り立たんだろが!お前もヌカとバトルできないぞ!」

サトシ「な、何だと!?コノヤロ騙しやがったな!」

リーリエ(私も気付かなかったのは黙っておこう)

マオ「どうせ男子をショッピングに誘っても退屈させるだろうし最良の判断だと思ったんだけどなぁ」

マーマネ「女子達がショッピングでキャピキャピ盛り上がってる最中にこちとら主役不在のまま男三人バトル大会でウホウホ盛り上がってても何の充実感も無いよ!!」

マオ「だとさ。ヌカちゃん。時間もないのにワガママ言って聞かない彼らに何か言ってやってよ。いくら主役だからってどっちの相手もこなすことはできないとかさ」

スイレン「分裂とかできないの?」

ヌカ「で、できないよ……でも正直言ってどっちも楽しみたいしなぁ……」

リーリエ「そうだ!たった今私に本当の名案が浮かびました!」

サトシ「そうか!アローラサンライズでバトル大会すればいいのか!」

マオ「おぅやってみろはっ倒すぞ」

リーリエ「違いますよサトシ。皆さんいいですか?実はこういう案が……

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

カキ「……成程な。それなら文句は言うまい」

マオ「よし!そうと決まれば早速ショッピングに行こー!」

スイレン「おぉー!」

ヌカ「リーリエちゃんありがとう」

リーリエ「フフ、私ったら、自分でショッピングを提案しておいて今からワクワクが止まりません♪」

サトシ「よっしゃー!今日はピカチュウ達にアクセサリーでも買ってやろうかなー!」ニコニコ

ピカチュウ「ペカ!?♪」

マーマネ「サトシったら……」
 ▼ 250 クリン@ゲンガナイト 18/09/08 18:31:30 ID:.8eAe6H6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローラサンライズでバトル大会…
ゲーム主人公ならやりかねない
 ▼ 251 ブネーク@グラスメモリ 18/09/08 23:39:00 ID:dSmU1noQ NGネーム登録 NGID登録 報告
一般の家の中でバトル始めるヨウさんたち居るしへーきへーき
支援
 ▼ 252 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/10 20:29:18 ID:2zowSbcw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
-------次の日-------


ムラシ「ZZZ……100人目のお客様の貴方には12割引……」

ヌカ「父ちゃん……父ちゃん!」ユサユサ

ムラシ「んん!?なんだヌカか。こんなに早く起きてどうした?折角店が繁盛している夢を見ていたというのに……まさか、おはようのキスか?」

ヌカ「するかアホ。……もうすぐ約束の時間なの!どっちかと言えばこれでも遅いくらいなんだから!」


早朝、ヌカはいつもより早い時間に寝床を離れていた。少し興奮しているのか、声を聞けば荒げた吐息が混じって、顔を見れば丸い瞳を大きくさせて、これからの自分の周りで起こる体験にワクワクしているのを隠せない様子だ。


ムラシ「その顔……サトシ君達に会ってからというもの、ヌカはよくそんな表情をするようになったね。……いいよ。行っておいで。今日はヌカにとって大事な日なんだから。しまキングを待たせてはマズい」

ヌカ「うん! あ、父ちゃん!」

ムラシ「何?」

ヌカ「あたし夕べ、島巡りを制覇してポケモンリーグでマサラタウンのサトシとバトルする夢を見たの。楽しかったなぁ……」

ムラシ「それがどうかしたのか?」

ヌカ「だから父ちゃんの店もいつかは繁盛するってこと!じゃあね!いってきます!」

トロピウス「クルルルルルル!」


ムラシ「……何だったんだ」

オニドリル「ピョピョピ」

ムラシ「あぁオニドリル、おはよう。実に悲しいニュースだ。とうとうこのお店も僕達だけになってしまった。殆どお客も来ないっていうのに」

オニドリル「ピピャラピペ」

ムラシ「心配せずともお金には困らないよ。僕もヌカも、今までみたいに頑張ればそれなりにやっていけるようにはなってる。……だがオニドリル、たった今僕は重大な問題を一つ思い出してしまった」

オニドリル「ピョピャン?」

ムラシ「晩飯が作れるヌカがいなくなったって事は……わかるな?今日から当分白飯とコンビニ惣菜だ」

オニドリル「」

ムラシ「仕方ないだろ。僕は炊飯器を作れてもヌカと違ってそれを使ったアレンジ料理は作れん。だが男に二言は無い。これからのヌカとポケモン達の冒険を影ながら見守っていこうじゃないか」



-------リリィタウン-------


しまキング・ハラとの待ち合わせ場所は、「ウルトラジャー・チルドレン」の襲撃により家屋の三分の一が消失した後のリリィタウン。

多くの負傷者を出したものの幸いにも死者はなく、「ウルトラジャー・チルドレン」の卵を持ちだした子供達も順調に回復に向かっている。

ハラも「ウルトラジャー・チルドレン」の攻撃を受け病院へ搬送されたものの、二日で退院。これで心置きなく新しい島巡りの挑戦者を迎え入れることができると張り切っていたところに、旅に出る事を決めたヌカがやってきたのだった。


ハラ「ヌカさん、でしたかな。私はしまキングのハラ。……ようこそリリィタウンへ。このように町は少しばかり荒れてしまいましたが守り神の御加護でしょうか、死者も出ず、戦いの場となる祭舞台に至っては無傷でございました」
 ▼ 253 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/10 20:34:06 ID:2zowSbcw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハラ「それでは新たな島巡り挑戦者の誕生を祝い、守り神に祈りを……

ヌカ「あの! ……すみません、ここに子供が6人程来ていると思うのですが……」

ハラ「はて?何の事ですかな?」

ヌカ「待ち合わせしてたんです。ここで一緒にバトル大会やろうって。島巡りに出発する前の最後の思い出に皆とバトルしようって、あたし楽しみにしてたんです。心当たりはありませんか?」

ハラ「はて、今朝は子供は貴方以外には見ておりませんぞ。どうやら貴方の言っていることが真実ならば、そのバトル大会とやらの約束は忘れられてしまったのではないのでしょうかな?」

ヌカ「そんな……」

トロピウス「クルルルルルルル……」

ヌカ「それじゃあ最後の思い出は昨日のショッピングってことか……良いものたくさん買えたし、マオちゃん達とも楽しく過ごせたけど……こんなことならもっと噛み締めておくべきだったな……」

ハラ「最後だからもっと噛み締めて……ですか。ですが、貴方がその子供達と築いた思い出は楽しかったハズ。それの何処に後悔することがありましょうか。最後の思い出だろうとそうでなかろうと、いつかは別れの日が来るのは変わらない事です」

ハラ「しかし悲しむことはありません。貴方には未来があります。いつ何時でも、貴方と思い出を作った人達に、ポケモン達に会うチャンスはある。だから後悔するのはまだ早いですぞ」

ヌカ「……」

ハラ「こんな先も短い老い耄れですら図太く笑って、しまキングとしてメレメレの民や島巡りの挑戦者達との思い出を作り続けているのです!まだまだ私は思い出作りをやめるつもりはありませんぞ!わはは!」

ヌカ「は、はぁ……」

ハラ「それに貴方には約束がある。そんな小さな後悔をする暇があれば、次に彼らに会う時までにしなければならないことがあるのではないですかな?」

ヌカ「え!?どうしてそれを……」

ハラ「さて、朝の挨拶はこのくらいにしておきましょうかな。子供達、出てきなさい!!」


ガサッ  ガササッ

ヌカ「!?」


サトシ「ヒャッハーーーーーーーーー!!!」

                      マーマネ「ウェェェェェェェェェイ!!!」

スイレン「稲穂の生えたトロピウスとーーーーーー!!!」

                      カキ「炊飯器の心が読める特殊能力とーーーーーーーー!!!」

リーリエ「褐色白髪のエロエロボデェが自慢のーーーーーーー!!!」

                         マオ「 超 絶 炊 飯 器 少女 ヌカちゃんはーーーーーーー!!!」


            「「「「「「どーーーこでーーーすかーーーーーーーーーーー!!!?」」」」」」


ヌカ「えっ……えぇ!?みんな!!」

ハラ「昨晩、彼らは私のところまで訪ねてきたのです。とびきりのアローラサプライズをしたいと。あまりにも待ちきれないからか、湿気の多い茂みにも関わらず皆夜通し隠れて待ち伏せしていましたぞ」

マオ「だからお風呂入ってなくて……」プーン

ヌカ「ヴォエ!!」
 ▼ 254 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/10 20:38:36 ID:2zowSbcw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「あぁサッパリした。朝シャワーの気持ちよさったらないね♪」

スイレン「そういえばリーリエは全然臭くなかったね」

リーリエ「虫避けスプレーで防臭していたので蒸し暑い茂みの中に一晩隠れても差支えありませんでした!」

マーマネ「いつぞやのキャンプの時も薄々思ってたけどどうしてそのスプレー貸してくれないんすかね……貸してくれたらネマシュにも襲われなかったのに」

リーリエ「こ、このスプレーは私以外の人が触ったら爆発しますからね」

マーマネ「貸すという発想が思いつかなかったと素直に言いなさい」


ヌカ「よかった……皆来てくれてたんだね。これでバトル大会ができるよ」

カキ「あぁ。だが、ただのバトル大会じゃないぞ」

マオ「ストップ!そっから先はあたしがご説明致しましょう」

ヌカ「?」

マオ「ヌカちゃん、昨日あたし達はどういう約束をして今ここに集まってるんだっけかな?」

ヌカ「確かリーリエちゃんの提案で……今日この場所でバトル大会を開くから待ち合わせしようって……」

マオ「 こ こ で ア ロ ー ラ サ プ ラ ァ ァ ァ ァ イ ズ ! ! ! 」

ヌカ「えっ!?」ビクッ

マオ「昨日ヌカちゃんがリーリエから聞いた提案はこうだ……『ヌカさんの旅立ちの日、ヌカさんがハラさんに会いに行くタイミングで私達が合流し、バトル大会をしましょう。大試練の舞台を拝借できるかどうか私達でハラさんに掛け合ってみます』……と」

ヌカ「うん。それが名案だと思って納得したんだけど」

マオ「しかーーーーーーし!!ショッピングが終わってヌカちゃんと別れた後、あたしの中のサプライズ魂が疼き始めたのだ……『折角大試練の舞台を借りれるのならヌカちゃんの為にドカンとサプライズを用意しろ』……と」

マオ「そう思ったあたし達はヌカちゃんのいないアイナ食堂での数時間に及ぶ会議の中、考えに考え抜いた。ヌカちゃんの旅立ちを後押しするためにできる最善の策はないか……と。そして!」

カキ「前置きはいいから早く要点だけ説明してやれよ」


マオ「     只今より!  超 絶 大 試 練  を開催する!!     」


トロピウス「クルルルルル……」キョトン

ヌカ「ちょうぜつ……だいしれん?」

マオ「突然だけどヌカちゃんには島巡りに旅立つ前にあたし達からの挑戦状、 超 絶 大 試 練 を受けてもらうよ。ルールは簡単、あたし達ポケモンスクールのメンバーの中から一人とバトルし、そして勝つ!それだけ!」

マオ「折角大試練の祭舞台を使ってヌカちゃんを送り届けることができるもの!どうせなら島巡りの試練の名を借りてやったほうがバトルも盛り上がるってモンでしょ?」

リーリエ「ですです!マオのサプライズ根性には頭が下がります」

スイレン「マオちゃん、盛り上げ上手」

カキ「オレは少々気が引けるがな……まぁしまキングが許可したことだし、オレがどうこういう筋合いは無くなったな」

ハラ「ハハハ。 超 絶 大 試 練 、結構なことです。どんな形であれ迫力のあるバトルを見れば守り神も喜ぶことでしょう」

マーマネ「カプ・コケコ、またどこかで見てるのかな……?」
 ▼ 255 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/11 20:19:44 ID:IXIoC0yU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヌカ「それであたしは誰とバトルしたらいいの?」

サトシ「はいはい!オレだよ!」

ヌカ「マサラタウンのサトシ!」

マオ「ヌカちゃんの相手を決めるのは苦労したよ……でも後悔はないよ。サトシは昨晩、厳正な審査の中執り行われた 超 絶 大 試 練 キャプテン選考予選を突破した実力者。相手に取って不足はないハズだよ」

カキ「ジャンケンで決めただけだろうが」

サトシ「というワケでよろしく!またこの前みたいに思いっきりハジケようぜ!」

ヌカ「うん!この前はあたし達を救ってくれた恩返しとしてバトルしたけど……今度はあたし達、友達としてね!」

サトシ「ハハ、やっぱその方が気が楽でいいや!」

ピカチュウ「ピカッチュウ!」

リーリエ「大試練を3つも突破したサトシが相手……果たして勝てるでしょうか……」

マーマネ「そっか、リーリエはヌカちゃんのバトルを見るのは初めてだね。でもヌカちゃんとトロピウスならサトシが相手でも、少なくともいい勝負はしてくれると思うよ」

リーリエ「 超 絶 大 試 練 を突破して晴れやかに島巡りのスタートを切ってもらいたいところですが……うぅ、どっちを応援しましょう」

スイレン「私はどっちもだよ」

カキ「どちらが勝つにしろ、オレの中のヴェラ火山を燃え滾らせるようなバトルを繰り広げてほしいもんだ」


ハラ「それではお二人とも、祭舞台へ立つのですぞ!これより、試練臨時キャプテンサトシと挑戦者ヌカによる 超 絶 大 試 練 を始めます!」

ヌカ「…………」ドキドキ

サトシ「……へへ」

マオ「ハラさーん!この 超 絶 大 試 練 を突破したら、何が貰えるんですかーー!?」

ヌカ「え?」

ハラ「よくぞ聞いてくれました。ヌカさんがこの 超 絶 大 試 練 を突破した暁には……この! 『 ヒ コ ウ Z 』 を差し上げましょう!!」ババーン!!

ヌカ「えっ……えぇ!?!?」

ハラ「先日、散歩の途中で偶然見つけましてなぁ……私が持っていても今の私では持て余してしまうので、このヒコウZをこの 超 絶 大 試 練 突破の証と致しましょう」

サトシ「そういうワケだ!ヒコウZがほしけりゃオレに勝ってみろ!ヌカ!」

ピカチュウ「ピィ……!」バチバチ

ヌカ「ヒコウZ……確か、Zクリスタルは特定のタイプのZワザを出せるアイテムだから……」

トロピウス「クルルルルル!!」

ヌカ「やっぱ欲しいよね!……よし、絶対勝つよ!マサラタウンのサトシ!!」

マーマネ「サトシはピカチュウ、ヌカちゃんはトロピウスで勝負するみたいだね」

スイレン「Zワザ使い同士のバトル……これぞ 超 絶 大 試 練 」


マオ「それではバトル …… 始 め ! ! 」
 ▼ 256 ーゲン◆O4/zV1DaK6 18/09/11 20:25:01 ID:IXIoC0yU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ピカチュウ!『でんこうせっか』!!」

ヌカ「!」


ピカチュウ「 ッ チ ャ ア ア ア ア ア ア ア ! ! 」


      ズ ド ォ ォ ォ ォ ォ ! !


トロピウス「グッ……」


マーマネ「サトシの目つきが変わった……相変わらずスイッチ入るのが早いね」

カキ「ヌカの反応が少々遅れたな……だがまだ大きなダメージは受けていない。逆転のチャンスはまだまだあるぞ。最も……サトシとピカチュウ相手にそんなチャンスを掴めるかどうか、ヌカの実力が試されるがな」


ヌカ(いきなり『でんこうせっか』でぶつかってきた……接近戦に持ち込まれたらマズイタイプのポケモンかな、なら!)

ヌカ「トロピウス、『エアスラッシュ』!!」

サトシ「来るぞ!一旦距離を取れ!!」

ヌカ(よしっ、狙い通りだ!)


マーマネ「あぁ!接近戦に持ち込めたらサトシが有利になるハズだったのにな」

リーリエ「まさかとは思いますが……さっきの『でんこうせっか』でピカチュウの戦い方を予測したのでは?ヌカさん、手強いですよ……」

マオ「ちょっとちょっと!挑戦者はヌカちゃんだよ?どっち応援してんのさ!」

リーリエ「え、えっと……」

スイレン「そういうマオちゃんはどうかな?確かにこの勝負、試練達成って意味ではヌカちゃんが勝った方が後味いいけど……」


サトシ「こうなったら動きを封じろ!『エレキネット』!」

ヌカ「『エアスラッシュ』で撃ち落として!」

トロピウス「ガララララララ!!」


スイレン「サトシにもプライドがあるよね。大試練を3つも突破したサトシがヌカちゃんに敗けたら相当ヘコむと思うな。そんな時、誰が励ましてあげたらいいと思う?ヌカちゃんの勝利を喜ぶのもいいけど、その前にやるべきことがあるんじゃないかな」

マオ「……だよね。今までのバトルもずっとサトシの方を応援してた。あたしはヌカちゃんが勝って良い島巡りのスタートを切ってもらおうとばかり思ってたけど……ひょっとしてコレ、結構複雑な気持ちで見なきゃいけないバトルなのかも……」

スイレン「まぁ冗談なんだけどね。サトシがそんな事気にするとも思えないし」

マオ「えっ?それじゃあスイレンはどうしてサトシを応援してるの?」

スイレン「私はサトシを応援してるとは一言も言ってないよ?」キョトン

カキ「ハメられたな」

マオ「か〜〜〜〜〜っ!この子はもう!!」

スイレン「御馳走様です♪」
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