【注意】シンジ「なんか、おかしい・・・」【注意】:ポケモンBBS(掲示板) 【注意】シンジ「なんか、おかしい・・・」【注意】:ポケモンBBS

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【注意】シンジ「なんか、おかしい・・・」【注意】

 ▼ 1 1 15/04/11 22:44:03 ID:XrQlFsvc [1/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシ「久しぶりだな、シンジ!」

シンジ「(なんて頻度だ)」

サトシ「バトルしようぜ!」

シンジ「・・・・・・・・・・・」


小腹が立つ。

何故使えない奴と勝負をしなければならない。

無駄な時間を過ごすほど俺は暇じゃない。

ああ、ウザイ。

俺の周りでしっぽをふるコイツがうざい。


シンジ「・・・バトルスタンバイ」

サトシ「へ?」


エレキブルの雷殴で追い払った。

逃げられたが、あいつは声を大きくして「また会おう」といった。

あれはGか!!
 ▼ 2 ルキングラー◆rKYGln6vMg 15/04/11 22:44:54 ID:aQBRe1Y. NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒードラン「コボボ」
 ▼ 3 ッシー@あやしいパッチ 15/04/11 22:51:08 ID:XrQlFsvc [2/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜1月1日〜
『正月くらい顔出せ(はぁと)』

兄からのメールに心底鳥肌が立った。
何故新年初めての感情がこれなのか・・・気分が悪い

まぁ行事があろうが俺には関係ない。
高みへ目指す為に俺は昨日の特訓を続けよう。

サトシ「あけましておめでとう!」

2度目の感情は瞠目。
これほどまで縁がある人間がいるとは、悪寒だ。

サトシ「???どうした、シンジ?体調わるいのか?」

シンジ「おまえには関係ない」

サトシ「本当かよ、貸してみろよ!」

シンジ「は? っておい!(ペタ」

おでこを触られた。
背筋に何とも言えない冷たさが覆った、うっ・・・

サトシ「あ、熱は高くないな」

シンジ「・・・バトルスタンバイ」

同じ展開が繰り広げた。
 ▼ 4 15/04/11 22:56:05 ID:XrQlFsvc [3/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
しかし、どういうことか、集中できなかった。

エレキ「(ご主人様、気分がすぐれていないようですが)」

シンジ「何をしている!? もう一度かみなりパンチ!」

エレキ「(ああ、この拳、あなたの胸に届けたいです)」

気取ってはいけない感情を見た気がするが、まぁいいだろう

しかし、なぜかフラフラする。

まさか本当に風邪を引いてしまったのか、不覚だ。

妙に鼓動が速いし、熱もある。

ああ、アイツのせいだ。

年末辺りから大量のメールをみたせいだ。

誰だ、あんな絵文字開発したヤツ、使えないな。

ピロリン♪
『おにいちゃん、シンジいなくて寂しい(はぁと)』
 ▼ 5 15/04/11 23:02:43 ID:XrQlFsvc [4/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
???「お〜い!」

!!?

Gが再来してきたようだ。

ポケモンマスター目指すなら一分一秒多く勤しめ。

サトシ「あ、やっぱ体調不良じゃないか!」

シンジ「お前には関係ない!」

サトシ「なんだよ!友達だろ、はい」

シンジ「なんだそれは……」

サトシ「お手製の栄養ドリンクだって、タケシが言ってた」

ああ、あの糸目ブリーダーか。

弛みきった顔で渡して来るコイツ。

ピカチュウとやらは親切心は素直に受け取る!と威光を放つ

サトシ「エレキブル、渡しておくな」

エレキ「(あら♪ご親切にどうも、サトシさん)」
 ▼ 6 15/04/11 23:07:17 ID:XrQlFsvc [5/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「他人の手持ちに気遣いか、変わった神経だな」

サトシ「礼はいらないよ、ちゃんと飲めよ」

文句しか言ってないのに華麗にスルーしやがる。

当初は食い掛って来たくせに

サトシ「いろいろアドバイスして貰ったからさ」

シンジ「?」

サトシ「じゃあいくな!!」

真っ白な雪絨毯を踏みしめてとっとと帰った。

アドバイス?糸目から教わって作ったのか・・・

ぬるい奴だ、他人の分まで用意するとは、暇人め
 ▼ 7 15/04/11 23:13:43 ID:XrQlFsvc [6/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
ん?何かケータイが鳴っている。

レイジ『あ!シンちゃん、やっと出てくれた♪』

シンジ「……会話する気ないなら切るぞ」

レイジ『待って待って!冗談冗談。
    今度○○地区大会が開催されるんだ、情報提供しようと思ってね』

シンジ「ふん、いい相手がいればいいがな」

レイジ『ん?知ってたの?タッグ形式だって』

シンジ「なに?(またか)」

レイジ『なーんだ! でも務まり役ならサトシ君がいるでしょ?』

シンジ「どうしてそうなる?」

レイジ『彼にも教えてあげたんだ!宅配便届いたか聞いとくついでに』

シンジ「???」

レイジ『お兄ちゃん、頑張ってきのみをブレンドしたんだ。風邪予防になるよ(はぁと)』

シンジ「!!?(ぶるっ」
 ▼ 8 15/04/11 23:24:42 ID:XrQlFsvc [7/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
1月3日

結局例のドリンクは一切手を付けなかった。

エレキブル達は好き好んで食したが。

サトシ「お〜い!」

タケシ「久しぶりだな」

シンジ「なんだ、Gか」

サトシ「ん?G?おまえ疲れ切ってないか?」

タケシ「あのな、サトシ・・・いや、知らなくていい」

呆れ顔でヤツの肩を叩く糸目。

本当の事言って何が悪い。

だいたい、おまえも良く付き合ってられるな。

 ▼ 9 15/04/11 23:26:10 ID:XrQlFsvc [8/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「じゃあな!」

サトシ「ま、待ってて!そう急くなよ。
    せっかくまた会えたんだし、一緒に食わないか?」

そう言って、手作り感あるクッキーを示した。

ポケモンも食べられる栄養バランスが良いものらしい。

サトシ「タケシから教わったんだ!こいつの料理は最高でさ……」

シンジ「何度も聞いた」

仲間のことを誇りに思っているのか、

春でもないのに満開の笑顔を俺に見せつけた。

旅同行者は「おまえも才能あるぞ?」と今回の作品を評価する。

どこか仲の良い兄弟を思わせる其れに苛立った。

サトシ「あ、なんで立ち去るんだよ!」

シンジ「平和ボケに付き合ってられん」

タケシ「おい、その態度はないだろう!?」
 ▼ 10 15/04/11 23:33:48 ID:XrQlFsvc [9/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
タケシ「だいたい、シンジもサトシのこと認めてるだろ、邪見にするな」

シンジ「寝言は寝てから言うものだが?」

タケシ「そっくり返すぞ。昔に比べれば明らかに表情が違う」

シンジ「なっ!?」

顔が豊かになっていると言いたいのか?

馬鹿を言え、俺は昔も今も変わりやしない。

アイツの考えに100%否定しなくなったが、俺の邪魔をするのは確か。

途端、サトシが喧嘩もどきを制止する。

サトシ「いいよ、タケシ」

困った顔を浮かべる奴にすまなかったと肩をたたく。

そのスキンシップに何故か向かっ腹が立った。
 ▼ 11 デッポウ@ロメのみ 15/04/11 23:37:06 ID:I1iIoaS2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 12 15/04/11 23:40:38 ID:XrQlFsvc [10/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「俺はお前等の友人でもなければ仲間でも無い」

タケシという男は眉間にしわを寄せた。

怒りの気配を漂わせてるが、
こっちは勝手な恩売りには鬱憤が溜まっている。

タケシ「っ(手が叩かれた)」

サトシの肩に置かれた手を払った。

シンジ「独りっきりの俺に情けを売られても迷惑なだけだ」

サトシ「シンジ!タケシに何すんだ」

カチン!と来たのか俺の手を掴む。

次の瞬間・・・
 ▼ 13 ラカラ@4ごうしつのカギ 15/04/11 23:48:52 ID:U9.YuTUk NGネーム登録 NGID登録 報告
腐……?
 ▼ 14 15/04/11 23:49:15 ID:XrQlFsvc [11/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
天地がひっくり返った。

――語弊がある、何故か足元が揺れた。

小刻みの振動から途端、大きな地震を示した。

糸目からは頭を守れと言う、常識だろう

…そんな余裕があるから俺はまだ冷静なのだと分かった。

だから、五感が普段通りに働くのだ。

サトシ「い、いてて・・・」

ねずみ「ぴ、ぴかぁ」

伸びきった声、小さな体に衝撃があったのか、

ヤツの電気鼠は只今目を軽く回ってる様子。

一瞬だが、震度7と似た災害に驚くもすぐに収まった。

安全を再確認して身を起こそうと腕に力を入れた。
 ▼ 15 15/04/11 23:55:30 ID:XrQlFsvc [12/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
ふにゅ、と柔らかい感触が心地いい。

地震の際に飛んできたクッションだろうか?

上質感あふれる触感、しかし、これ布だろうか?

同時に、目を開ければ視界がぼやけていた。

それなりの影響が及んだらしい、良く見えない。

シンジ「ん?今、4月だったか?」

不鮮明だったが、綺麗なピンク色が目の前に広がっている。

思わず『キレイだな』と、らしくない感想が頭に浮かんだ。

サトシ「…シ、シンジ」

シンジ「どうした?」

非情に珍しい、アイツの戸惑った声に首を傾げた。

なんか、おかしい。
 ▼ 16 15/04/11 23:59:41 ID:XrQlFsvc [13/13] NGネーム登録 NGID登録 報告
おかしい……おかしすぎる。

本能が悟った警告に嫌な汗がにじんだ。

シンジ「ぐはっ!!」

タケシ「おまえ、なんてことを!!?」

俺の頭に落とされた拳。

痛い、軽快な音を聞き届けてくれる人間は周辺にいなかった。

まぁおかげで様々な神経が鋭くなった。

どうやら、これで感覚器官が正常となった様子。

シンジ「!!?」

お、おんな・・・?
 ▼ 17 15/04/12 00:04:41 ID:HfHBJ5q. [1/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
まてまてまてまてまて待て!!!!

誰だ、この女!

桃色の鮮やかな景色の正体は長髪。

見ただけで分かるツヤ、天使の輪を描いている。

触っていないがさらさらしてそうだ。

だが、俺は女の知り合いはいない!

いや、いるにはいるが、この髪を持つ人間は知らん!

電気鼠は目の色を変えて電気を散りばめる。

待て、さきに愚かでも主人の心配がさきでは・・・まてよ?

シンジ「ぐはっ」

タケシ「いい加減にサトシから手を退けろ!!」

シンジ「なん…だと…!?」
 ▼ 18 ゴラス@ばんのうごな 15/04/12 00:13:17 ID:k41nv3iY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
展開が読めない
 ▼ 19 ドリーノ@いいつりざお 15/04/12 00:18:27 ID:HfHBJ5q. [2/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシ「―――――ッ」

あのサトシが赤面しているだとッ!?

クラっとして言葉も出なかった。

いや待て待て待て!

落ち着け、俺、サトシは黒髪で短い。

瞳は琥珀色で、声は少年らしいが忠誠的な雰囲気がある。

頬は健康そのもので、あれほど染めることは無い。

まつ毛は、変わってるのか?

シンジ「おまえ、だれだ?」

サトシ「……………」

タケシ「俺が説明しよう。ハッキリ言う、サトシは女の子だ」
 ▼ 20 リアドス@オボンのみ 15/04/12 00:24:08 ID:HfHBJ5q. [3/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
タケシ「具体的に言えば、シンジ、
   おまえはサトシの胸をがっちりとホールドしてしまったことだ」

シンジ「おい、き、今日は嘘をついていい日じゃないぞ」

サトシ「…………(うっすら涙)」

タケシ「目の前の可憐な乙女の涙を見てまだいうか!」

本日、3度目の鉄拳を喰らった。

超マサラ人はサトシ以外にも存在するらしい。

だが、言い返せば、ねずみの電撃を浴びる事になる。

そうなれば思考回路が文字通り、ショートしてしまう。

その前にアイツが可憐な訳が無い。

野生児を思わせる運動神経に何度肝を潰したか

シンジ「おい、いつもの台詞を言ってみろ」

サトシ「??・・・バトルしようぜ」

鼻から赤いハイドロポンプが流れた。
 ▼ 21 15/04/12 00:34:19 ID:HfHBJ5q. [4/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
目の前が真っ黒に染まったが、意識は早く回復したらしい。

血液を体外に噴出した記憶が新しい。

・・・ということは今誰かに運ばれているのか。

トン、トン、と刻むリズムに心が休まる。

病人?にとっては有り難い気もした。

どこからか柔らかいにおいがする。

桜の花びらが散っているような、いや、待てよ?

???「あ、もう意識が戻ったのか?」

???「ぴ〜か」

だめだ、出血多量で頭がクラクラする。

???「タケシ、部屋どこだっけ?」

タケシ「もうすぐ着くぞ、ジュンサーさんも待ってるはず」
 ▼ 22 15/04/12 00:38:33 ID:HfHBJ5q. [5/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「!!? サトシ、おまえ」

サトシ「お、おはよう、シンジ」

鮮やかなビビットピンクの髪を持つ少女が挨拶。

だが、顔は知人であるサトシそのもの。

どうやら俺は背中に負ぶってもらってるらしい。

不覚だが分かる、この肩のつくり、男の特徴はない。

シンジ「お、おろせ、女に背負わされる男はみっともない!」

サトシ「だ、大丈夫だよ、ポケセンでは俺達しかいないみたいだし」

そう言う問題じゃない!

使えない奴だ!
 ▼ 23 15/04/12 00:43:41 ID:HfHBJ5q. [6/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシ「でも早くカツラ被りたいぜ」

何が悲しくて10代の少年からそんな台詞を聞かなきゃいけない。

まだ若いくせに、そんな話題にのる糸目もどうなんだ。

ねずみ「ぴかぴ、ぴかぴかちゅう」

タケシ「我慢しろ、誰かさんのせいで血まみれになったんだから」

グサッと心を深くえぐり取られた気分だ。

不可抗力とは言え……待てよ?

何故おんなだと隠す必要があるんだ?

そこでドアが開く音がした。
 ▼ 24 ルキングラー◆rKYGln6vMg 15/04/12 00:47:39 ID:zywY5ed6 NGネーム登録 NGID登録 報告
メイド回で躊躇が無かったのはそういうことだったのか...
 ▼ 25 ノハナ@ゴージャスボール 15/04/12 00:51:43 ID:HGtG9YvU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
え………………
 ▼ 26 15/04/12 01:06:16 ID:HfHBJ5q. [7/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
声を掛ける暇がない位いそがしかった、いや周りが。

寝台に下ろして貰ったり(男の威厳?もう知らん)

診察して貰ったり、薬処方してもらったり……

ここで漸く言葉を口の端に掛けた。

サトシ「ああ、ヒカリなら実家に帰ってるよ」

言われれば普通の回答だった。

なんせ、今は正月を迎えている。

おまえらも里帰りしろ、と言い掛けて口を閉じた。

俺も言える立場じゃない。

サトシ「ああ、カツラならいいよ、すぐ乾くだろうし」

へらへら笑う活発な表情で許して貰った、相変わらずヌルイ。

シンジ「本題に入ろう、何故男装をしている?」
 ▼ 27 15/04/12 01:11:56 ID:HfHBJ5q. [8/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシ「あ、ママが極度の心配性なんだよ」

シンジ「おまえの父親じゃなくて?」

サトシ「うん。10年前は治安がすこしだけ悪くてっさ、
    一人旅の時危ないかもって深く考え込んじゃって」

真っ直ぐな目線を俺によこしながら説明した。

男の子なら、余程の事じゃない限り、狙われないだろうって。

戸籍は女だけど、変装は貫き通している。

サトシ「それに俺って男っぽい言動とるだろ?
    こっちの方が気楽なんだよな」

ねずみ「ぴっかちゅう」

いつもと変わらない表情で高らかに気持ちを述べた。

電気鼠もそれに頷いた。

シンジ「…… …… …… ……」
 ▼ 28 15/04/12 01:18:27 ID:HfHBJ5q. [9/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「なんか、おかしいぞ」

サトシ「え?」

きょとんした顔で続きを促した。

そして、糸目の眉がぎゅっとひそめられる。

強く睨まれて、俺は妙に怖くなる。

だが……

シンジ「俺を誤魔化そうなんて100年早いぞ、サトシ」

久しぶりにアイツの名前を呼んだ。

自然と出たことに俺も驚いている。

アイツは動揺を覚えたかのように声を震わせた。

サトシ「な、なに言って」

おまえが上手に煙幕を張れるとは思ってない。

どこか演技臭い部分を感じた。

万が一に備えて、練習を重ねたに違いない。
 ▼ 29 15/04/12 01:24:51 ID:HfHBJ5q. [10/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシ「は?いい加減にしろよ、シンジ。
    口下手な自覚はあるけど、こんな時に嘘つく訳ないじゃん」

シンジ「1年以上おまえの顔を魅せ付けられたと思っている」

信じられない程ヤツと出会ってきた。

回数は3ケタを優に超えているだろう。

シンジ「本気ならばとうの昔に髪を切っているはずだ」

サトシ「!?」

タケシ「おい、シンジ!」

肩幅より少し長い繊細さを感じさせる髪。

男でもわかる、
それなりに気を配らなければ維持できない。

それに――

シンジ「顔に嘘と書いてある」
 ▼ 30 15/04/12 01:32:29 ID:HfHBJ5q. [11/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
×シンジ「1年以上おまえの顔を魅せ付けられたと思っている」

〇シンジ「1年以上おまえの顔を見せ付けられたと思っている」
 ▼ 31 ーボック@びっくりこやし 15/04/12 09:07:47 ID:HGtG9YvU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>29
面白い。
 ▼ 32 ンシャカ◆bj1ozjdmPg 15/04/12 09:10:19 ID:Cw8ope0c NGネーム登録 NGID登録 報告
女体化か?

支援!!する以外考えられない!
 ▼ 33 アレクレープ◆/mbCMosuI6 15/04/12 11:15:36 ID:v04dsRaU NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援…!
 ▼ 34 15/04/12 20:47:28 ID:HfHBJ5q. [12/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
そうだ、コイツは何かに迫られれば、

琥珀色の眼が少し歪むはず、ヒコザルの時もそうだった

ポケモンに情を掛け過ぎだと呆れるほどに……

タケシ「そこまでだ!」

糸目が会話に割り込んだ

思わず舌を打った、今は邪魔をするんじゃない

タケシ「サトシ、お前は部屋に戻ってろ」

おい、俺は透明人間じゃない、話を聞け!

なんだかんだでサトシは部屋を退場した。

タケシ「火を灯した目で俺を睨み付けるな!
    ジュンサーさんを呼ばれなかっただけ感謝しろ!」

確かに、不可抗力とは言え、痴漢同様なことをした

だが、自ら望んでは……言い訳を述べる資格は無いか
 ▼ 35 15/04/12 20:55:30 ID:HfHBJ5q. [13/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「……すまなかった」

タケシ「素直でよろしい」

ヤツは仁王立ちで荒く息を吐いた。

シンジ「俺はサトシじゃない」

タケシ「まあ、気持ちは分からなくもない。
    ライバルであるサトシに騙された気分なんだろう?」

はっきりとした物言いに黙り込むしかなかった。

『違う』かと言えば嘘になる。

糸目の表情は少しばかり緩み、組んだ腕を解いた。

シンジ「訂正しろ、ただの顔見知りだ……」

タケシ「目を逸らした顔で何言ってんだか」

肩を落として溜息を吐く糸目を殴りたくなった。

何故か寒気を誘う人間に似ているからだ。

♪ピロリン
『おにいちゃん、当日大会に足運ぶからね!』
 ▼ 36 15/04/12 21:05:39 ID:HfHBJ5q. [14/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
そう、こんな感じを除けば、だ・・・

シリアスな空気を打ち壊すアイツの代役として殴らせろ

タケシ「相変わらず仲が悪いんだな」

遠い目で呟く糸目をみて馬鹿馬鹿しくなった。

体調の為に増血丸を口に含ませる。

喉の渇きも収まるからちょうどよかった。

シンジ「おい、サトシの様子を見に行かなくていいのか?」

タケシ「頭が回るようになったらしいな、話を戻すぞ」

シンジ「無視するな」

タケシ「聞け。サトシが変装するのは父親に関するからだ」

――父親?そういえば、

俺がそれを口にした時アイツの瞳がいちばん泳いでた気も。

タケシ「俺も詳しくは知らない。
    サトシの両親はお見合いで夫婦になったんだが、
    父方の方は悪い組織、それも幹部の人間だったんだ」

シンジ「おい、ぶっ飛んでるな」
 ▼ 37 15/04/12 21:14:22 ID:HfHBJ5q. [15/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
タケシ「母親であるハナコさんは危機感を覚えて、
    カントー地方の田舎へ身を隠すことにしたんだ」

ああ、なるほど。

権威者であるオーキド博士も傍にいるから守備は完璧。

シンジ「アイツが性別を隠しているのは身元を特定されない為か」

タケシ「話が早い。できれば周りの人間に広めないでほしい」

シンジ「口封じか。聞いておくがお前は何故?」

タケシ「いや、偶然にもシャワー室の扉をあ、あけてしまって」

……汗顔の至りも甚だしいな。

ついでに、異常なほど腸が煮え繰り返ってきた。

言っとくが頭が痛いのは出血の所為だけじゃない。

シンジ「その時の罪を今裁いていいか?」

タケシ「・・・時効ってことで」
 ▼ 38 15/04/12 21:27:28 ID:HfHBJ5q. [16/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「15回殴っていいんだな」

タケシ「あのなぁ!俺だって見たくて見た訳じゃない」

シンジ「どうだが、お前は必要以上にアイツの世話をする」

戦術に迷ったら糸目に相談している。

俺との勝負に負けた時なぐさめる役割を担ってる。

俺との口論がヒートアップすれば制止する。

最近では、料理を教えている糸目。

タケシ「おお!やっぱり表情がころころ変わる」

シンジ「!?」
 ▼ 39 15/04/12 21:37:29 ID:HfHBJ5q. [17/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
タケシ「シンジ、おまえの好意を否定する訳じゃないけど、
    いきなり胸を触るのはどうかと思うぞ?」

シンジ「いろいろ待て、なぜ話題の方向が変わる?」

好意ってなんだ。

俺は人間に興味は無い。

好意など寄せる暇があれば修行に励む。

メニューをこなせない手持ちが居れば逃がす。

自他ともに認めるストイックな人間が他の事に関心を示すわけがない。

タケシ「どうして鼻血なんか出したんだ?」

・・・それは、否が応でも俺が好青年だからだ。

精神が反応しなくても、本能が反応する。
 ▼ 40 ノガッサ@マトマのみ 15/04/12 21:47:38 ID:HfHBJ5q. [18/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
タケシ「そういうことにしておくよ、ったく。
    理由は理解したろ、早くいって来い」

何をだ?と聞けば、謝罪を述べろ、だそうだ。

正直に言って、罪悪感はしっかり残っている。

だが、どんな言葉で謝ればいいか

タケシ「そんなの自分で考えろよ」

シンジ「俺はそこまで使えない奴じゃない、いってくる」

タケシ「気を付けてね(棒)」

変な所でノリが入る。

率直に言って、反応を返すのも億劫だった。

隣室の前に立ち止まり、ドアをノックする。
 ▼ 41 クロッグ@ヘラクロスナイト 15/04/12 21:48:35 ID:LFPWDfXs [1/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 42 リンリキ@ゴージャスボール 15/04/12 21:54:52 ID:v68ShOeU NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ頑張れ
 ▼ 43 チゴラス@モコシのみ 15/04/12 22:04:35 ID:HfHBJ5q. [19/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
さらに2回ほど扉をリズムよく鳴らす。

が、まったく反応がない。

シンジ「おい、いるんだろ?」

今度は声を掛けて返事を待ってみる。

1分間黙って見守ったが、変化はみられない。

もしかして無視を決め込んでいるのか。

それはそれで詰責したい気分だ。

だが、100%悪いのはたぶん此の俺。

とは言えこのまま立ち去るのは不味いだろう。

……ドアノブに手を掛けてみた、引け目はあるが

!!?

シンジ「――入るぞ」
 ▼ 44 ラピオン@エネコのしっぽ 15/04/12 22:12:31 ID:HfHBJ5q. [20/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
部屋の空気が重い、あたりまえか。

窓から零れる光もカーテンがあるため遮断。

シンプルな寝台の上に深く腰掛けるアイツがいた。

だが、顔は床に向いているから目に映せない。

慣れてないからか、急に頭が真っ白になる。

腰のホルダーにあるモンボがゆらゆら揺れる。

こいつらも変わった場面で応援しやがる。

シンジ「ドア越しでも良かったが、直接のほうが良いと思ってな」

サトシ「…… …… ……」

シンジ「……その、わるかった」
 ▼ 45 ッチール@ノワキのみ 15/04/12 22:21:03 ID:HfHBJ5q. [21/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「冷徹な物の見方がなってなかったな」

言い訳はできる限り控えるよう努めた。

そんな姿勢では男として情けない。

落ち度は俺自身に在る、と伝わるよう言葉を紡ぐ。

それでもサトシは無言を貫いた。

シンジ「本当にわるかっ「騙す心算じゃなかったんだ」」

シンジ「…… …… …… ……」

サトシ「俺、ママを守りたかったから変装を続けてた」

相棒の電気鼠が心配そうな瞳で窺っている。

きっとアイツは沈痛な面持ちを浮かべてるんだろう。

サトシ「家族の中でその役目を負えるの、俺だけだったし」

掠れた声で、誰にも言えなかっただろう思いを告げた。
 ▼ 46 ャスパー@メタグロスナイト 15/04/12 22:27:58 ID:LFPWDfXs [2/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
シンジがんばれ
 ▼ 47 グリュー@おいしいみず 15/04/12 22:28:43 ID:k41nv3iY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 48 15/04/12 22:33:46 ID:HfHBJ5q. [22/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシ「ほんと、ごめんな」

シンジ「しつこいぞ」

何度目かの謝罪を耳にした。

だいたい何だ、余計に暗澹な気持ちになってきた。

景気よくする手段はないか脳内で検索するも引っ掛からない。

♪ぽんッ

エレキ「(呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん)」

サトシ「!!?」

おい、無断にモンボから出るな!

場違いな鳴き声を部屋に響かせるな。

けれどそんな事はどうでもよくなった。

先程とおなじ景色だ。

今にもアイツの瞳から涙が零れそうで直視できない。

ったく、こういう時はどうすれば……

エレキ「(もう、ご主人様ったら――――)」
 ▼ 49 ッコウガ@バシャーモナイト 15/04/12 22:35:41 ID:4rzcFIBE NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 50 15/04/12 22:42:19 ID:HfHBJ5q. [23/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「!!?」

サトシ「あっ…」

エレキ「(私の愛しいシンジ様の為に一肌脱ぎますよ♪)」

ねずみ「ぴ〜か(引)」

突発的な手下の行動に流石の俺も腰を抜かしす。

エレキ「(仲直りはコ・レ・が・いちばんよ)」

俺の手をがっちりと掴んで引っ張った。

そのままアイツの腕も捕まえて一緒に握りしめた。

そう、コレは握手だ。

言葉は通じないが意味は伝わる。

俺とサトシはお互いに口を閉じて見つめた。

エレキ「(もう、最初で最後の親切心よ!)」
 ▼ 51 15/04/12 22:50:21 ID:HfHBJ5q. [24/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
ねずみ「ぴかぴ、ぴかっちゅう!」

電気鼠は微笑みながら2人に声を掛ける。

そうだ、手持ちが役立たずな俺のフォローしたんだ。

せっかくの厚意を無駄にする俺ではない。

シンジ「こ、これで仲直りだ」

サトシ「あ、あぁ」

シンジ「なにか文句があるのか、サトシ」

サトシ「フ、おまえ無愛想すぎ!」

やっと相好を崩してくれた。

その事実に思わず胸をなでおろす。

まったく……

おまえは屈託のない目を細めて無邪気に笑う方がお似合いだ。
 ▼ 52 15/04/12 22:55:02 ID:HfHBJ5q. [25/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「戻れ、御苦労だったな」

モンボに戻してから定位置にしまった。

一呼吸置いてから踵を返す。

シンジ「じゃあ、またな」

サトシ「え?」

シンジ「近い内に○○地区大会に参加するんだろ?」

顔いっぱいに笑みを広げながら、

『おう!バトルしような!』と普段通りに言った。

とりあえず任務は終了した。

タケシ「そうみたいだな」

シンジ「!!?」

立ち聞きしてたのか、悪趣味な!
 ▼ 53 15/04/12 23:18:41 ID:HfHBJ5q. [26/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
タケシ「おまえも使えない時があるんだな!」

シンジ「喧嘩なら付き合うぞ」

タケシ「まあまあ、体調管理が優先だ」

そう言って俺を部屋まで案内した。

どうやらジョーイさんに頭を下げてくれたようだ。

ふん、感謝など述べるものかッ

鼻を伸ばす残念なフツメンに礼など言うものか。

糸目は『ぽん!』と手を叩いて口を開いた。

タケシ「そうだ!ジョーイさんに頼んで台所を拝借しよう」

お手製の料理をつくるらしい。

ご丁寧に夕食を招待する、と笑顔で誘う。

シンジ「甘えさせてもらおう」

その日の夜は身体に染みる温かな料理に満足した。
 ▼ 54 15/04/12 23:24:09 ID:HfHBJ5q. [27/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
レイジ「へぇ、そんな事があったんだ」

シンジ「最近の出来事は話したぞ、理由を述べろ」

レイジ「だ・か・ら♪ 観戦しにきただけだって」

シンジ「仕事をサボってまでか?」

悪巧みある子供の様な微笑みを浮かべる兄。

これが幼い頃に憧れたトレーナーなのか、俺は見る目が無い。

野良試合を見て何の価値がある。

俺にとっては腕試しにすぎん。

レイジ「またサトシ君とタッグバトル、できれば生で見たくてさ」

シンジ「信用を築き上げればこの話は終わってたのにな」

肺に溜まった重い空気を吐き出して芳醇なコーヒーを一口。

オレンジ風味がまた好い。

これでご機嫌を取られるのは癪だが……
 ▼ 55 15/04/12 23:30:35 ID:HfHBJ5q. [28/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
レイジ「俺もシンジを疑ってんだぞ?」

シンジ「…… …… ……」

訳のわからない台詞に小首を傾げる。

疑念を相手に覚えさせるような行為をした覚えはない。

何の事だ?と言えば、ニコニコ気味の悪い笑顔で言う。

レイジ「なにか隠し事してるでしょー?」

シンジ「はぁ?」

アイツのことか?

広い意味で言えば正確だが、仕方ない。

母親を守るために付きたくない嘘を突き通している。

シンジ「気のせいだろう?」

レイジ「その顔だよ」

またか。

俺は昔も今も鋼の仮面をかぶっている筈だ。

廻りがそう話すのだから間違いない。
 ▼ 56 15/04/12 23:36:16 ID:HfHBJ5q. [29/29] NGネーム登録 NGID登録 報告
レイジ「いやぁ、おにいちゃんめっちゃ嬉しい。
    遂に春が訪れたのかもしれないなぁ(はぁと)
    お兄さま、本当に顔が老ける程心配したし♪」

シンジ「・・・覚悟は出来てるな?」

ここ数か月分のストレスを盛大にぶつけた。

その所為でモンボがまことに鮮やかに粉砕する。

ふん、たかが200円だ、痛くも痒くもない。

レイジ「……い、痛いです」

シンジ「エレキブル、後は任した」

明日は地区大会だ。

早めに寝る事にしよう。
 ▼ 57 ガジュペッタ@モモンのみ 15/04/13 03:40:48 ID:cvyj3qRk NGネーム登録 NGID登録 報告
いっちの書き方独特なものがある
陰ながら支援
 ▼ 58 イホーン@たからぶくろ 15/04/13 17:11:24 ID:jmlOpbZE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援あげ
 ▼ 59 15/04/13 21:44:29 ID:l8bFfsPI [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜○○地区大会、当日〜

人がゴミのように集っている。

やはり人間は嫌いだ、息苦しい。

サトシ「お〜い!こっちこっち!」

シンジ「…… …… ……」

何度も言わせるな、俺とおまえは唯の知人だ。

呆れすぎて腹も立たん。

タケシ「とかなんとか言っちゃって、
    元気な顔が見れて安心してるくせに〜♪」

背後を取られて芯から驚いた。

シンジ「おい、俺はまだ何も喋ってないぞ!」

レイジ「あら、シンちゃん。誤魔化せまても無駄よ」

タケシ「俺はこの目で見たんだからな!」

サトシ「ん?何を見たんだ、タケシ?」

不快感で堪らないが我慢する。

餓鬼みたいに地団駄踏めば、相手の思う壺だ。
 ▼ 60 15/04/13 21:56:22 ID:l8bFfsPI [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
時刻は11時を指す。

配られた予定表によれば、

ペアの組み合わせ結果はこの時間に発表される。

レイジ「なんだー、楽しみにしてたのに」

シンジ「残念だったな、連続で当たる確率は極めて低い」

タケシ「サトシ、またシンジと組むみたいだぞ」

な、なんだと……!?

呆気にとられて二の句が継げない。

ウザイ兄は愉快な声をあげて跳ねまわる。

はっきり言って、キモチワルイ。

サトシ「シンジ、一緒に頑張ろうぜ!」

拳を上げて、子供みたいに笑顔を向けるアイツ。

俺は肩を落として返事をする。
 ▼ 61 15/04/13 22:11:56 ID:l8bFfsPI [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシ「あ……」

何か思い出したような声を出した。

だが、目を白黒させては感心する表情を造る。

シンジ「……変な顔してどうした?」

サトシ「そっか、おまえも笑うんだな!」

突拍子もない指摘に今度はこっちが驚く。

そこで、ふと気づいた。

頬の筋肉が一瞬緩んだ気がする。

いや――

シンジ「見間違いじゃないのか?」

サトシ「えー!はっきり目撃したし!!」

俺は未確認物体か、失敬な!!

唇を弾ませておちょくる言動に血が昇る。
 ▼ 62 15/04/13 22:22:04 ID:l8bFfsPI [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
だいたい、硬い表情を解く理由が分からん。

タケシ「試合がはじまるぞ」

レイジ「喧嘩を楽しむのも程々にね、お二人さん!」

片目を閉じて白い歯を見せる兄に、

モンスターボールアタックを披露した。

二度も同じことをさせるな!

サトシ「だ、大丈夫ですか、レイジさん」

レイジ「うん、お義兄さんは元気だよ」

おい、何か聞き逃してはいけない文字を聞いたぞ。

……もういい、試合に根を詰める事にしよう。
 ▼ 63 ャタピー@パワーレンズ 15/04/13 22:23:34 ID:jmlOpbZE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤバイ面白すぎる支援
 ▼ 64 15/04/13 22:38:23 ID:l8bFfsPI [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
*+*+*+*+*+*

審判「試合終了!!」

相手のポケモンは目を回して倒れている。

地面タイプを持つ相手に不利だと思ったが、

アイアンテール1発で動きが鈍くなった。

……選手はなにしに足を運んだのか?

サトシ「やったぜ!」

シンジ「……ふん」

電気鼠とユキメノコはハイタッチしている。

ん?どうした手下よ、首を傾げて。

レイジ「そ・れ・は・ね?」

シンジ「その手には乗らんぞ」

近付いて来た兄を華麗に背負い投げした。

集中力が切れてなかったのが運の尽きだな。
 ▼ 65 15/04/13 22:44:04 ID:l8bFfsPI [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
レイジ「もう、故意に照れ隠ししなくても♪」

常に思ってたが復活の速さが異常だ。

糸目と張り合えるんじゃないか?

シンジ「さっさと続きを言え」

レイジ「<裏声>サトシ君と喜びを表現しないの?」

なんだ、同じ様に頭上で手を打ち合わせとでも言いたいのか。

悪いがそんな間柄じゃないんだ……

ってかおまえら、何時から仲が良くなったんだ。

ユキメ「(ピカチュウさんって本当に強いのですね)」

ねずみ「(いや〜それほどでもぉ(デレデレ」
 ▼ 66 ワライド@あまいミツ 15/04/13 22:58:03 ID:l8bFfsPI [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
タケシ「予選突破おめでとう」

ブリーダーがBOXを持ってお祝いする。

次の試合まで時間はある、休憩を兼ねてランチが始まった。

タケシ「朝早く起きた甲斐があったな」

サトシ「ああ!レイジさん、どうぞ」

水筒から甘酸っぱい香りが鼻をくすぐった。

色は鮮やかなオレンジ……まさか?

サトシ「ママからみかん送ってくれたんだ」

タケシ「こたつの御供良かったが、新鮮さを活かしてな!」

レイジ「美味しそうだ。ほら、シンジ!」

目を輝かせて俺に注いだコップを手渡した。

飲んでみれば風味が口一杯に広まっていく――

甘みと酸味がちょうどよく軽い苦味が締めてくれる。
 ▼ 67 イリュー@ウタンのみ 15/04/13 23:17:42 ID:l8bFfsPI [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
レイジ「これ、タケシ君が?」

タケシ「いいえ、サトシが作ったんですよ」

驚異的な答えに吹き掛けた、危ない。

どんな人間にも取り柄はあるんだな。

知らず舌を巻けば、無表情なアイツが、

サトシ「意外で悪かったな」

不機嫌そうにそっぽを向いた。

鬱陶しい、誰が直接おまえに言うか。

サトシ「やっぱりそう思ってたじゃん!」

シンジ「不味くて飲めないと言ってないんだ」

必要以上に突っ掛かるな。

何故不服そうな顔を見なければならないのか。

♪ピンポーン
放送『予選は終了しました。勝ち残った皆様、準備をお願いします』

タケシ「お、もうこんな時間か!」

レイジ「ごちそうさまでした。今度お礼させてね」
 ▼ 68 15/04/13 23:44:49 ID:l8bFfsPI [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
なんだかんだで順調に勝ち進んだ。

ドサイドン相手にどう戦うかと思えば、

地面を粉々にして相手の動きを抑えた。

あのネズミ科、どこに力を蓄えているのか。

おかげでエレキブルの瓦割りが決まったが。

しかし、なんだこれは……

シンジ「おい、いい加減にしろ」

サトシ「五月蝿いな、俺は元気だよ」

機嫌を損ねる理由が分からん。

レイジ「<小声>素直にお・い・し・いって言えば良かったのに」

シンジ「ヒィ」

耳元で囁かれて、足元から悪寒が駆けのぼる。

殺意を秘めて振り返れば、

レイジ「サトシ君は朝が苦手なんだよ?」

・・・と真剣な顔つきで言われ、ひどく戸惑った。
 ▼ 69 15/04/14 00:06:06 ID:17RBJOmI [1/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
不意打ちのようなもんだ。

真面目な面持ちを目に捉えるのも久しぶりだから、か。

その雰囲気に俺は押し黙るしかなかった。

レイジ「シンジは性格や態度がひねくれているし、変に頑固で、
    ドライすぎるし、目的の為なら犠牲を躊躇なく払う最低な人間だし、」

シンジ「否定はしないが殴るぞ?」

レイジ「愛しい弟なら構わないさ。
    それより、おまえはもう少し大人の階段を昇らないと」

シンジ「……何が言いたい」

レイジ「彼はおまえにいい影響を与えているのに」

感極まった声で嘆息する兄。

結局、答えは分からずじまいだ。

それが原因で不満が体内にたまっていく。

レイジ「これはお前自身に気付くしかないぞ、シンジ」

俺の肩をポン、と二回叩いてから離れていった。
 ▼ 70 ガヘルガー@ノメルのみ 15/04/14 01:01:38 ID:17RBJOmI [2/22] NGネーム登録 NGID登録 報告

*+*+*+*+*+*+*

だれか『さぁ大会も大詰めになってきました!』

その2『決勝戦も期待大です』

だれか『開始まで15分前ですが、早く始めてくれないですかねぇ〜』



タケシ「最後まで気を引決めるんだぞ」

サトシ「分かってるって、心配性だなぁ」

シンジ「 …… …… …… …… 」

一面に微笑みを広げるも気合い充分なアイツ。

気に食わない、何なんだ。

俺に顔を合わせる時は、眉間に小じわを寄せる癖に。

ふん、やっぱり人間は嫌いだ。

シンジ「早く位置につけ、使えないな」

サトシ「言われなくても!」
 ▼ 71 ムスター@いでんしのくさび 15/04/14 16:20:52 ID:QFZxzuLI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 72 15/04/14 17:04:29 ID:17RBJOmI [3/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
審判『これより、サトシとシンジvsモブ@とモブAの試合を始めます』

審判役が何度目か同じルールを説明。

テレビ中継を行うリポーターの熱い声は邪魔だ。

モブとやらは勝ち気な笑みでモンボを手に構える。

電気鼠が肩の上に居るってことは、出場する予定は無いらしい。

サトシ「ん?ムクホークかな?」

シンジ「疑問形で返すな」

サトシ「だって、みんな出たがってんだよ」

ったく、本当に使えない奴だ。

文句の一つ言ってやりたいが不興を買うのは目に見えてる。

面倒だ。先までは口元が綻んでたくせに。

いや、今は張りつめて前を向くのが適しているか。

審判『では、はじめ!』

刹那。
 ▼ 73 15/04/14 17:12:29 ID:17RBJOmI [4/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
太陽の光があっという間に遮られた。

おかしい、今日の予報は快晴だが?

モブA『なんだよ、アレ!?』

モブ@『ふ、ふねだ!』

なんだ!

一体なにが起こっている?

最新型なのか、通常より大きい戦闘機が真上に浮く。

こんなもの一般人が視認すれば愕然とするはずだ。

という事は、雲の中から現れたというのか!?

よく観察すれば……

シンジ「あれは、ローマ字の?」

サトシ「―――――ッ」

ねずみ「ぴかぴ!」

???「久しぶり、とでも言うべきか」
 ▼ 74 15/04/14 17:31:18 ID:17RBJOmI [5/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
クロバットと共に現れた人間、40代か?

かおは俺以上に感情が乏しい。

さらに、虫・鳥ポケモンなどが宙を支配。

大会の主催者は緊急放送を流し、観客どもを避難させる。

この地はパニックに包まれた。

そいつは音を立てる事無く地に足を着いた。

???「サトミ、長い間探したぞ」

サトシ「どうして……俺の、なまえ……ッ」

???「わたしが誰なのか、おまえなら既に分かっていると思うが?」

タケシ「サトシ、大丈夫か!」

レイジ「シンジ!」

駆けつけた糸目と兄が声を荒げて無事を確かめる。

だが、サトシが怯えた様に膝を震えさせたまま、反応が無い。

???「ほぉ、騎士のつもりか?」

シンジ「サトシに何の用だ?」
 ▼ 75 15/04/14 17:42:15 ID:17RBJOmI [6/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
かばう為に前に立ち、マニューラを繰り出す。

電気鼠も体勢に入り、頬袋から電気を放出。

???「勇敢だな。だが、愚か者にすぎん。
    わたしはサトミを迎えに来ただけだ。危害を加える気はない」

シンジ「ふん、怪しい人間の言葉に従うほど、馬鹿じゃない」

???「本当だよ」

さぁ、一緒に来てくれるな?、と手を差し伸べる。

笑みを浮かべない無の表情に恐怖を抱く。

コイツ、ただ者じゃない。
 ▼ 76 15/04/14 17:43:00 ID:17RBJOmI [7/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
???「サトミ、変装を続けてきたおまえなら、理解できるだろう?」

サトシ「……ッ」

???「被害はおまえだけでは済まない、違うか?」

タケシ「アカギ、まさかお前が!?」

アカギ「その通りだ。さて、時間を無駄にする程わたしは暇じゃない」

ねずみ「ぴかぴ!!」

毒々しい色を帯びた牙を向けた、どくどくのキバだ。

ピカチュウはアイアンテールで追い払う。

アカギ「さすが、娘が育てたポケモンだな。鋼技なら、状態異常を防げる」

シンジ「!?」

アカギ「一対一なら勝者はサトミかもしれん、だが」
 ▼ 77 15/04/14 17:51:36 ID:17RBJOmI [8/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
パチン、とアカギは指を鳴らす。

数えきれないポケモンが一か所に集った。

どれも手強い相手になるのは一目瞭然。

シンジ「卑怯者がッ」

アカギ「フ、わたしは合理的に事を進めてるだけだ」

卑劣な手段もそう言い切るか、下衆が。

能面のような顔が一層腹の底を煮え立たせる。

シンジ「行くな」

サトシ「!? だけど、」

瞳は躊躇にゆがめていた。

ふん、不安に押し潰されるな。
 ▼ 78 15/04/14 17:52:34 ID:17RBJOmI [9/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
モンスターボールを手に取って相手に睨みを利かせた。

シンジ「サトシ、実力はおまえよりも上だと自負している」

アカギ「威勢は認めてやるが、苦しい思いをするだけだぞ?」

シンジ「言ってろ。バトルスタンバイ!」

タケシ「ウソッキー、グレッグル、ラッキー、頼む」

サトシ「待てよ、ここにはまだ」

アカギ「大勢の客がいるな」

シンジ「―――――!」

たしかに、集まった人間はトレーナーとは限らない。

相手してきた選手に苦戦するほど強くもない。
 ▼ 79 15/04/14 18:06:48 ID:17RBJOmI [10/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシ「分かった、おまえに従う」

シンジ「使えないな、行く理由がどこにある」

サトシ「その言葉、そっくりそのまま返すよ、シンジ」

シンジ「…… …… …… ……」

俺は息苦しさに言葉が出なかった。

これも、初めてだ。

知らない、そんな悲痛に染まった笑顔。

ねずみ「ぴかぴ……」

サトシ「今回も大丈夫だって、な?」

今回もって何だ――

おまえは常に危険と隣り合わせなのか。

普段と変わらない微笑みを相棒に向けて頭を撫でる。

電気鼠の目は涙で濡れる。
 ▼ 80 15/04/14 18:15:36 ID:17RBJOmI [11/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシ「タケシ、預かってくれないか」

シンジ「おまえ」

腰にあるホルダーを取り外したサトシ。

一つ一つ大事に撫で出から、糸目に差し出した。

ブリーダーは答えずに首を振る。

サトシ「頼むよ、タケシ。ピカチュウも」

ねずみ「ぴかぴ!」

衝動に駆られたのか、ねずみは肩に飛び乗る。

主人の白い頬を頭に擦り付けて鳴く姿。

アイツは困った様な顔を浮かべて引きはがした。

サトシ「珍しく我が儘だな、ダメじゃないか」

普通の時と変わらない声が胸を締め付けた。
 ▼ 81 15/04/14 18:25:58 ID:17RBJOmI [12/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
アカギ「時間がない、早く済ませるんだ」

サトシ「……今行く。また後でな、ピカチュウ」

意図せず剣呑に細められた目。

糸目は自責の念に駆られているのか、顔を酷く歪ませた。

ピカチュウは手を伸ばそうと小さな体で必死に足掻く。

アイツは笑顔を貫こうと顔を作った。

悲壮感が漂う。

サトシ「巻き込んでごめんな、シンジ」

口を弛ませながら謝罪を述べた。

そのまま俺を通り過ぎ歩みを進める。

なんだ、胸の底で上がる悲鳴は……?

耐える為に俺は――

シンジ「サトシ」

アイツの手を掴んでいた。
 ▼ 82 15/04/14 18:37:46 ID:17RBJOmI [13/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシ「…… …… ……」

シンジ「観客に被害を広げなきゃいいんだろ、お安い御用だ」

離すものか、俺の心それでいっぱいだった。

そうしなければ駄目だと頭の中で迫られる。

アカギ「あと一分だ」

取り澄ましたような涼しい顔で制限を設けた。

ふん、愚問だな、答えは出ている。

サトシ「駄目だ!」

腹に力を込めた声で俺を拒否した。

そして――

サトシ「みんなに迷惑は掛けられないよ」

顔を振り向けることなく、

注意を払わなければ聞き逃しそうな声で言った。

サトシ「    、シンジ」

俺の手を強く握ってから、放してしまった。
 ▼ 83 15/04/14 21:45:06 ID:17RBJOmI [14/22] NGネーム登録 NGID登録 報告



*+*+*+*+*+*+*+*+*

警官が捜査に乗り出してから2時間が経とうとしている。

静まったスタジアム。

糸目は経緯を話すためにオーキド博士と通信中。

薄暗さとともに鳴り響く時計の音が苛立った。

感情を吐露してしまいそうなのを必死にとどるも

シンジ「くそっ!」

知らず、壁を殴りつけては何食わぬあの顔に歯を噛み締めた。

レイジ「物に当たるな、シンジ」

険しい顔で注意する兄に鋭くにらむ。
 ▼ 84 15/04/14 21:55:44 ID:17RBJOmI [15/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「ピカチュウは落ち着いたのか?」

レイジ「泣き疲れて眠ってる」

目を伏せて溜め息を吐くように報告した。

なるほど、主人に対する信頼感は強いのか。

レイジ「シンジ、希望はある。落ち込む暇は無い」

シンジ「俺は何の情報を持っていない」

強いて挙げれば、『G』と刻まれた大型戦闘機。

他に手掛かりがあるとすれば、糸目だ。

男の名前を知っているなら、何か掴めるかもしれない。

だがブリーダーはアイツの家族に状況を説明している。

今の段階で、何一つ行動を起こせない。

レイジ「強力な助っ人ならいるよ?」
 ▼ 85 ッカニン@ふっかつそう 15/04/14 22:07:03 ID:QFZxzuLI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 86 15/04/14 22:11:41 ID:17RBJOmI [16/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「なに?」

レイジ「やっぱサトシ君の事、助けたいんだね?」

兄は、風が吹くように目を細めて続けた。

レイジ「なんで?」

俺に目線を合わせてゆっくりと言った。

何故だ――

問われた意味を理解するまで時間が掛かった。

どうして俺はここまで苛立つ?

拳に込める力を解き、開いた手を凝視する。

消えないようにと捕まえてしまった動機が分からない。

ただ――

シンジ「見なかった事にするのは、できない」

レイジ「……そっか」
 ▼ 87 1 15/04/14 22:34:07 ID:17RBJOmI [17/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
レイジ「じゃあ、さっそく紹介するよ」

シンジ「……普段からその調子なら弟も楽なんだが」

真剣な面持ちも崩れては困った様に、

常に立派なお兄さんのつもりだよ、と笑いながら、

俺はある部屋に連れて行かれた。

糸目は電話を終えたのか椅子に座っている。

その膝の上には、目を腫らして寝息を立る電気鼠。

……驚いた。

向かい側には厚地で真っ黒な外套を着込む女性。

金髪の長髪を軽く揺らしながら振り向いた。

シンジ「シンオウチャンピオンの貴方が何故?」

シロナ「オーキド博士直々のお願いを断る訳ないでしょう?
    それに、わたしは彼のこと気に入ってるのよ」

レイジ「そして、隣にいる研究者の――」

シゲル「オーキド・シゲルだ、よろしく」
 ▼ 88 1 15/04/14 22:49:49 ID:17RBJOmI [18/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
仰天するのはこの事か。

聞けば、若き研究者は博士のお孫様。

アイツが持つ人の繋がりの範囲は広い。

シロナ「あら、シンジ君にも期待はしてるわ」

まだ一言も話してないのに心を読まれた。

別に見込まれなくても構わないのだが。

何の会議化は分からないが、さっさと席に着いた。

糸目の手持ちが運んできた紅茶を一口飲んで集中する。

シロナ「さて、あなた達のことだから制止は掛けないけど」

シゲル「覚悟はとうの昔にできてますよ、君もだろ?」

シンジ「ふん」

不敵な笑みを見せ付ける研究者に、当然だと答えた。

シロナ「関係が複雑になると大変ね」
 ▼ 89 1 15/04/14 23:02:18 ID:17RBJOmI [19/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
チャンピオンは地方全土の地図を机上広げる。

それには様々な記号や文字が殴り書きされており、

此処に到着する前から準備と計画が進められているのが分かった。

シンジ「組織はこの辺りに潜伏してるのでは?」

シロナ「あれ程の大きさなら隠れる場所が限られている、と言う事かしら?」

シゲル「テレビで中継された以上誰かに目撃されるのも防ぐ為、か」

シロナ「この時期の雲は厚いから、移動にも好都合ね」

<テレビ>という言葉を聞いて頭に疑問が浮かぶ。

何故市民に姿を出してまで、サトシの身柄を確保した?

シロナ「なかなか冴えてるわね」

シゲル「君の言う通り、小型の機体に乗り換えてる可能性が浮上する」

シンジ「考え過ぎじゃなければいいが」

タケシ「とにかく、その地点に捜索メンバーを派遣したほうがいいかもしれませんね」

シロナ「もう指示したわ」

さすがは権力と地位を持つ人間だ、手間が省ける。
 ▼ 90 1 15/04/14 23:17:51 ID:17RBJOmI [20/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
シロナ「私たちはシンジ君の考えにのりましょう」

シンジ「……いいんですか?」

シロナ「もちろん!それに――」

顔一杯に満たす笑みに染めて、

シロナ「勘はこういう時に働く者よ、だから」

意味深な言葉を投げられて首を捻った。

ご機嫌が良さそうな声で言う姿に捉えどころがない。

学者モードは賢者の印象が強かったが、変えたほうが良さそうだ。

真面に相手にするのは止そうと彼女を尻目に、

博士の孫はつまらない面を浮かべるのを目にする。

危機感の無さに呆れるも、暗いままでは思考も留まる。

今は着実に準備を終わらせるのが優先だった。
 ▼ 91 1 15/04/14 23:24:04 ID:17RBJOmI [21/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
*+*+*+*+*+*

兄に頼んで手持ちのコンディションを整えて貰った。

明日は危険な目に遭うかもしれんが良いか?と言えば、

異口同音に大丈夫だと気合を見せてくれた。

いい手下を持てて良かった、と思える。

実力が最も高い6体を揃えて、ジョーイさんに預けた。

シゲル「シンジ君、だっけ?」

ふと呼ばれた声に振る向けば、幼馴染と名乗った少年がいた。

シンジ「俺とおまえは同い年じゃないのか?」

シゲル「正解。じゃあ遠慮なく呼び捨てで」

シンジ「何か用でも?」

シゲル「記憶に間違いなければ、サートシ君のライバルでいいのかな?」

シンジ「……顔見知りだ」

レイジ「素直じゃないな」
 ▼ 92 15/04/14 23:43:07 ID:17RBJOmI [22/22] NGネーム登録 NGID登録 報告
シゲル「本題はここから。シンジは知ってるのかな?」

意味ありげな目付きで俺を射抜いた。

直感だが、コイツも正体を知っているのだろう。

すこし間を空けてから肯定する。

直後、ヤツは責めるような語調で質問を更に重ねた。

シゲル「念の為に聞いておく。
    知ってたから興味を持ったわけじゃないよね?」

シンジ「意味がわからないが」

シゲル「サトシを傷付けたら許さない、この僕がね」

幼い子どもが聞いたら骨身に堪えるほどの声量。

シゲル「君の顔を見たら嫌でも分かるさ。
    でも、もしも軽い気持ちだったら近づけさせないよ」

それだけ言って去って行った。
 ▼ 93 15/04/15 00:03:01 ID:cnWYSmVk [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
レイジ「怖い顔だよ、シンジ」

シンジ「敵意を向けられて愉快になる奴はいない」

レイジ「あ、僕が保証するから安心して」

シンジ「なにをだ?」

レイジ「僕が自慢する弟は不器用でも、信念を貫く強い心がある」

シンジ「…… …… ……」

突然の言葉に俺は動揺を隠せなかった。

その隙に肩に手を置かれて再び目線を合わせた兄レイジ。

レイジ「最後まで全力を尽くすんだろ?」

シンジ「アイツを助けるまではな」

そうだ、あれが最後だったとは言わせない。

後味が悪すぎるんだ。
 ▼ 94 レキブル@ホズのみ 15/04/15 00:11:10 ID:wj3MjElE NGネーム登録 NGID登録 m 報告
面白いすぎる

支援!!!
 ▼ 95 ルリア@ずがいのカセキ 15/04/15 00:53:38 ID:sHGhESuE NGネーム登録 NGID登録 報告
>>94
手持ちが支援しててわろた
読んでます!続き気になる
 ▼ 96 ラカッチ@タブンネナイト 15/04/15 16:31:33 ID:wuORkxZg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 97 ングラー@ノーマルジュエル 15/04/15 22:35:27 ID:wuORkxZg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
あげ
 ▼ 98 15/04/15 22:38:35 ID:cnWYSmVk [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
*+*+*+*+*+*+*+


意識がふと覚醒する、金縛りだ。

自力で解いたが再び再発する可能性が高い。

疲れを吐き出すようにため息をつく、仕方ない。

体を起こして時間を確かめる。時計の針は0時を示す。

意味もなく周辺の様子を窺えば、

糸目と研究者、そして兄は規則正しい呼吸を繰り返している。

シンジ「なんだ?」

微かな音だが俺の耳はしっかりと拾った。

あれは、鳴き声で間違いない。

ってことは――

シンジ「眠れないのか?」

ねずみ「…… …… ……」

アイツの相棒が窓越しの月を眺めていた。
 ▼ 99 15/04/15 22:52:44 ID:cnWYSmVk [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「おまえの事だ、明日の為に今は身体を休めるんだな」

空が青みがかる前に出発する予定なのだ。

残された時間は限られている。

いま休息を取らないで何時とる心算だ?

だが、何を言っても無駄だと心のどこかで分かっていた。

居ても立ってもいられないのだろう。

何の反応を返さずに、ただ主人を想って空を眺めるだけだ。

シンジ「何故そこまでサトシを想う?」

ねずみ「…… …… ……」

耳が小刻みに揺れ動いた。

いちよう俺の声は届いているのだな。
 ▼ 100 ルーラ@りゅうのウロコ 15/04/15 23:32:46 ID:qQyufXl2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 101 ゲキッス@マグマスーツ 15/04/16 16:02:47 ID:5vy4tspA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援あげ
 ▼ 102 ニャット@のろいのおふだ 15/04/16 23:34:58 ID:Z.erAAVg NGネーム登録 NGID登録 報告
やばい面白い。支援。

サトシを思うピカ様やばい。
 ▼ 103 15/04/17 21:47:06 ID:/PHDoSJ6 [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゆっくりと身体をこちらに向き、顔を上げた。

混じり気のない澄み切った黒。

なにかを訴えるような眼差しで俺を捉える。

物言いたげだが生憎、ポケモンと人間は言葉を交えない。

そこで俺は自嘲の笑みを浮かべる。

間抜けもいい所だ。

寝ぼけた頭で何を考えているのか。

シンジ「質問を変える。主人は好きか?」

ねずみ「…… …… ……」

シンジ「会えてよかったか?」

ねずみ「…… …… ……」

シンジ「これからも、一緒か?」

ねずみ「…… …… ……」
 ▼ 104 15/04/17 22:00:47 ID:/PHDoSJ6 [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
何も言わずに黙ったまま、静かに頷いた。

質問を重ねる度にその瞳は涙に滲んできた。

心は置いてけぼりか、焦点がいまいち合っていない。

俺は肩で吐息を漏らす。まったく、

シンジ「面倒な奴だ」

小さな体を抱き上げる。

俺に触れられて不快に感じるかと思えば、

意外なほど抵抗はなくされるがまま。

寝台の上に寝かせ、俺も腰掛けた。

シンジ「心配するな、必ず――」

腕の袖をしがみつかれた。

すこし驚くも、ゆっくりと手を伸ばす。

背中をさすれば、声を殺した息遣いが空気を震わせた。

そこで、夕方に問われた言葉が脳裏に現れた。

シンジ「……わからない」
 ▼ 105 15/04/17 22:11:41 ID:/PHDoSJ6 [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告


【視点が変わる】


+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*



不気味な雰囲気に包まれた空間。

科学に関する機械などが敷き詰められている。

頭痛がする。四方から圧し縮まってくる。

率直に言えば、最悪な居心地だ。

アカギ「演じている訳ではなさそうだな?」

演じる?

俺は生まれた時からこの口調で生きてきた。

それが俺なんだ。昔も、そしてこれからも。

サトシ「どうやって俺の正体を」
 ▼ 106 15/04/17 22:22:28 ID:/PHDoSJ6 [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
アカギ「簡単な事だ」

奴の手から、一枚の古い紙が握られていた。

ペンで書かれた小さめの文字。

そして、見覚えがある赤い印に目が止まった。

ある推測に心臓が波打った、まさか!

アカギ「連絡手段には注意を払うべきだ。特に、品物関係はな」

それも今は無意味だが、と俺に向かって投げ付けた。

不意に、俺は数カ月前の会話を思い出す。

タケシが言っていた。

実業家の肩書を持つ人間は顔が利く、と。

アカギ「どんな人間なのか把握してから姿を消すべきだったな」

サトシ「ギンガ団のボスだろ、アカギ!」

アカギ「わたしを『父』とは呼ばないのだな」

サトシ「……誰がするもんかッ」
 ▼ 107 15/04/17 22:50:10 ID:/PHDoSJ6 [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
気味が悪いぜ。

話せば話すほど別の生き物と会話している感覚だ。

だからか、余計に分からなくなる。

執念深く探し続けた理由はなんだ?

いったい何が目的だ……

俺はどこにでもいる極普通のトレーナーだ。

だけど、危惧しなきゃいけないのは――

アカギ「フ、怖い顔だな」

サトシ「ママに手を出してみろ!」
 ▼ 108 15/04/17 22:51:44 ID:/PHDoSJ6 [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
アカギ「無駄な気掛かりだな。なんの取り柄もない人間に興味はない」

サトシ「?」

アカギ「だが、おまえなら話は別だ」

ヤツの指示に部下と思われる人間が現れる。

手下が運んできたソレに俺は息が詰まった。

アカギ「さっそく、協力してもらおうか」

サトシ「嫌に決まってんだろ」

アカギ「安心しろ、簡単な事だ」

何かが背中を駆け巡る。

どこまでも変わらない恐ろしい表情。

得体のしれない恐怖に身が震えた。

アカギ「おまえはただ、存在しているだけで十分だ」
 ▼ 109 15/04/17 23:07:42 ID:/PHDoSJ6 [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告

【視点が戻る】


*+*+*+*+*++*+*+*+*+*+*


少しだけ時間が流れた。

嗚咽は既に治まっている。

徐々に気持ちが安定してきた様子だ。

俺はらしくもなく安堵した。

ねずみ「……ぴか?」

シンジ「どうした?」

何かに気付いたのか、再び耳を動かす。

目線の先は扉の向こう側のようだ。

急に立ち上がり、勢いのまま取っ手へ跳び付く。

物音を立てずに開けた姿に面喰う。

そこで、明かりがどこからか漏れていた。
 ▼ 110 15/04/17 23:19:57 ID:/PHDoSJ6 [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
正体を探るためにも電気鼠を追いかける。

静かにドアを閉め、歩き出せば、

???「あら、あなたも起きてたの?」

ピカチュウを撫でながら

俺に呼びかけたのはチャンピオンだった。

どうやら誰かに電話を掛けていたらしい。

用が済んだのか相手に礼を述べて、電源を切った。

そして机上の液晶画面に向き直った。

シンジ「頭が冴えてしまったので」

シロナ「フフ、この子と同じね」

シンジ「あなたは?」

シロナ「オーキド博士の連絡を待ってたの」

答えを返しながらあるものを俺に示した。

手の上には赤いボールが3つ。
 ▼ 111 15/04/17 23:47:40 ID:/PHDoSJ6 [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
シロナ「相変わらず耳が良いのね、ピカチュウ」

ピカチュウは真剣な顔でボールに語り掛けている。

状況から察するに――

シンジ「……アイツのですか?」

シロナ「その通り。タケシ君に所持して貰おうと思ってね?」

わたしが提案する前に博士から連絡が来たんだけど、と付け加えた。

昼間の事を思い出す、確かに数が合う。

寝る真を惜しんでことを勧める姿に対して、

ある疑問が脳裏に浮かんだ。

シンジ「なぜあなたの様な方が?」

シロナ「そうね。サトシ君に興味を抱いたのは、」

あるポケモンに関する、と目を細めて答えた。

曖昧な返事に続きを促せば、

シロナ「遭った事があるの、アグノムに」
 ▼ 112 15/04/18 00:16:08 ID:Xdb5cmuI [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
予想外の答えに俺は思わず聞き返した。

この地方の人間なら誰もが学ぶ、伝説。

シロナ「居合わせた、が正しいわね。あれは――」

歴史を研究する彼女はリッシ湖で偶然、サトシ達と再会。

せっかくだから、と行動を共にすれば風が舞いはじめた。

その中心が湖の上で周囲の大気が円を描く。

瞬く間に中央が輝きに包まれ、その姿を現した。

シロナ「彼は純粋だったわ。欲に囚われてないもの」

アイツは恒例の自己紹介を述べ、一緒に遊ぶだけだった。

追いかけっこ、水遊び、木の実を頂く、昼寝する。

その辺の子供と大して変わらない。

シロナ「アグノム、とても嬉しそうだったわ」
 ▼ 113 11 15/04/18 00:21:10 ID:Xdb5cmuI [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
〇寝る間を惜しんで事を進める姿に対して、

×寝る真を惜しんでことを勧める姿に対して、
 ▼ 114 15/04/18 00:49:42 ID:Xdb5cmuI [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
事の顛末を聞いて、俺はアイツらしいと思った。

ポケモンに対する想いは非常に強い。

証拠に、手持ちからは慕われているし、

お互いに深いきずなで結ばれている。

シンジ「しかし、何の関係が?」

シロナ「それは「大変です!!」」

突然の言葉に振り向けば、

彼女の部下が慌てた様子で駆け付けて来た。

たしか外で警備の仕事を兼ねていたはず。

夜中の時間帯に気にせず声を荒げたという事は、

シロナ「落ち着きなさい」

部下@「シンジ湖とエイチ湖で爆発が起きました!」
 ▼ 115 ローン@するどいツメ 15/04/18 15:21:06 ID:aQ2Ee/YY NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 116 ルフーン@クリティカッター 15/04/19 08:08:40 ID:CZ4qjPho NGネーム登録 NGID登録 報告
あげ
 ▼ 117 15/04/19 21:20:24 ID:ecvZirPg [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
想定外な言葉を聞いて声を呑んだ。

コイツ、今なにを?

シロナ「ちゃんと説明しなさい!」

部下@「第一捜索隊からつい先ほど連絡がッ」

物音共に爆風に見舞われたようだ。

偶然近くを通った部下たちが情報を送った。

だが、何者かに足止めされを食らってる状況らしい。

シロナ「相手の特徴は?」

部下@「暗い所為か詳細は分かりませんが、奇妙な服装です」

シロナ「まさか本当に、精神の象徴に手を出すなんてッ」

彼女は焦った声で、

糸目たちを起こすように指示され、

俺はすぐさま踵を返して部屋へ走り出した。
 ▼ 118 15/04/19 21:46:21 ID:ecvZirPg [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
叩き起こして順を追って状況を伝えれば、

糸目と研究者は血相を変えて支度をはじめた。

シゲル「向こうから仕掛けるとはね」

タケシ「アイツ等、野生のポケモンがいるにも関わらずに!」

ギンガ団の非人道的な行動に対し、

糸目は忌々しそうに、刺々しい口調で言い捨てた。
 ▼ 119 15/04/19 21:46:50 ID:ecvZirPg [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
シロナ「新しい情報が入ったわ」

シンジ湖には昼間姿を現した飛行艇と小型機、合計は3機。

エイチ湖には、地に戦闘車と小型戦闘機が8機もある。

探す手間が省けたとはいえ、

事態が好ましくないのは明白だ。

タケシ「力を分散させる算段か」

シゲル「シロナさんの協力も計算の内なんだろう」

シロナ「やむを得ないわ、二手に分かれましょう!」

シゲル「僕はタケシとシンジ湖へ移動する。
    タケシ、おまえ運転免許所持ってたよな」

糸目は用意された車に乗り込み、

エンジン音が辺り一帯に轟いた。
 ▼ 120 15/04/19 22:04:49 ID:ecvZirPg [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
畳み掛けるような口調で広がる会話。

緊迫する中身動きが取れないでいた。

なぜ、俺は呆然としている?

漠然とした不安はいったい何だ?

早く行動を開始しなければ、

ねずみ「ぴかぴ、ぴ〜か」

シンジ「…… …… ……」

不意に肩に乗っかってきて驚く。

ピカチュウと視線を合わせれば、

ぴかぴ、ぴかぴ、と強く訴える様に鳴き続けた。

それが一層不穏な予感を引き立て、
 ▼ 121 15/04/19 22:21:59 ID:ecvZirPg [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「待ってください!」

気が付けば、抑え切れずに声を出した。

この場にいる全員の視線が俺に集まる。

一瞬、時が止まった気分だ。

ねずみ「ぴかぴ、ぴかちゅう!」

シンジ「サトシはそこにはいない」

言葉に表した途端、頭が痛む。

胸に湧き上がる勘が警告してやまない。

すると肩に手を置かれて、

レイジ「大丈夫、落ち着いて」
 ▼ 122 15/04/19 22:22:46 ID:ecvZirPg [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「……ああ」

レイジ「心当たりがあるのか、シンジ?」

そう言われて頭の中で整理する。

少しでも明確な輪郭を持つよう努めれば、

シロナ「リッシ湖に彼が?」

シンジ「はっきりとは分からない、だが」

シロナ「いいわ!タケシ君、わたしの愛車に乗って!」

シンジ「いいんですか?」

レイジ「シンジ」

俺を呼びかける兄の声に振り向く。

レイジ「僕もおまえを信じる、行って来い」

帰りを待ってるから、と兄の言葉を聞き、

チャンピオンの勢いに流されるまま、出発した。
 ▼ 123 15/04/19 22:51:50 ID:ecvZirPg [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告


*+*+*+*+*+*+*+*++*

三十分は経過したか。

轟音。次は突風。

目的地らで爆弾が使われたらしい。

その衝撃波が今、俺たちを襲っている。

シロナ「愛の力って素晴らしいわね」

シゲル「悠長なこと言ってる場合ですか!」

状況と不釣り合いな発言だが、

一歩車外に出れば、まっすぐ立てられない程の風だ。

一部は圧に耐えられず倒れている草木。

爆風が収まった瞬間。

シンジ「!!」

タケシ「どうした?」
 ▼ 124 15/04/19 23:11:30 ID:ecvZirPg [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「今、聞こえなかったか?」

タケシ「なにを?」

糸目の受け答えが信じられなかった。

俺は確かに耳で拾ったはずだ。

まただ。荒くなる呼吸。

嫌な汗が額から流れる。

締め付けられる胸を知らず押さえた。

気持ちばかり逸って妙な苛立ちが大きくなる。
 ▼ 125 15/04/19 23:12:16 ID:ecvZirPg [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
シロナ「出発はまだ無理だわ」

地面にホイールが挟まる。

歯痒い声が社内に響いた。

シゲル「クソ!ブラッキー、頼む!」

タケシ「シンジ、連れて行け」

差し出されたモンスターボール。

暗に先に行け、と促しているのだ。

礼を述べ、ドアを開けると同時に宙へ投げる。

ねずみ「ぴかーぴか!」

火炎竜「グルォ」

シンジ「頼む!」

身を乗り上げ大空へ飛んだ。

頼む、無事でいてくれ……
 ▼ 126 ンナ@ひかりごけ 15/04/19 23:15:29 ID:s94Qi8e6 NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジss珍しいし
支援するしかありえない
 ▼ 127 ロスター@せんせいのツメ 15/04/21 18:50:08 ID:aQHCxjrM [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+




風が身を包み込む。

リザードンという種族だったか。

駿足で風を切り裂きながら夜空を駆けていく。

真下を覗けば、214番道路は暗く、

逃げ惑うポケモンの姿があった。

シンジ「!!?」

木々がぽっかりと空いた土地。

だが本来なら、湖が存在してたはず。

干上がった表面には力なく跳ねるコイキング。
 ▼ 128 15/04/21 19:04:03 ID:aQHCxjrM [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
水をすべて蒸発させるほどの威力だったわけか。

シンジ「あれは……!」

小型の妖精に似た容姿。

額には赤い結晶で青っぽい肌色。

周囲はギンガ団の下っ端に囲まれている。

アイツ等の中心に立つ指導者はアカギだ。

陸地はスカタンク、ヘルガー、グレッグル、ブニャット。

宙にはドンカラス、ゴルバット、ドータクン。

200体以上の数。

卑劣なやり方に腹が立つ。

集中攻撃を無駄なく回避するが、

このままでは体力的に時間の問題だ。

シンジ「――っ」

聞き慣れた声。

すぐに目で追えば、

ねずみ「ぴかぴッ!」
 ▼ 129 15/04/21 19:21:00 ID:aQHCxjrM [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
背中に冷たい汗が走る。

手を背中で手枷で固定され、

電流に喘ぎ苦しむアイツの姿。

サトシ「アグノム、俺に構うな!逃げろ!!」

苦痛に顔を歪めている。

目の前の光景が信じられなかった。

怒りが湧く。

俺は脳に命令されるまま、

シンジ「ピカチュウ、<<10万ボルト>>
    リザードンはサトシを!」

無我夢中に飛ばした曖昧な指示を物ともせず、

電気鼠は全開で機械の破壊を、

リザードンは急降下して確実に務めた。
 ▼ 130 15/04/21 19:26:59 ID:aQHCxjrM [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
相手との距離を置き、地へ降りる。

シンジ「バトルスタンバイ!」

真っ先に選出したのはエレキブル。

いかずちを身に纏い、

<<雷>>でいっきに一郡の足止めを。

直後、その連中を烏合の衆へ変化させた。

アカギ「ふん、あの時の勇敢な少年だな。
    だが愚か者だ、娘はおまえを拒否したはずだが?」

ヤツの冷めた表情に色が混じる。

ボールを投げると同時に、

鋭い視線で俺を射貫き、詰責してきた。

アカギ「なのに憐みや優しさといった、
    不完全な感情に衝き動かされるとは」

シンジ「黙ってろッ!」
 ▼ 131 15/04/21 19:42:29 ID:aQHCxjrM [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
芽生えた殺意に身が震える。

拷問とも呼べる仕打ちは何のためだ!

息が掠れる程まで衰弱した身体。

電流の衝撃を受けた所為か、麻痺状態だ。

サトシ「……しん、じ」

呼ばれた声に反応すれば、

朦朧でも意識があることに吐息を漏らした。

サトシ「ア、グノム……は?」

シンジ「ったく、ぬるい奴だ!」

俺の表情をみて把握したのか、

安心したように表情が軽くなった。

本当に馬鹿だ。

身体は悲鳴を上げているんだ。

こんな時ぐらい自分の身を案じろ!
 ▼ 132 15/04/21 19:59:21 ID:aQHCxjrM [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
アカギ「……これ以上の邪魔は許さんぞ」

シンジ「貴様、目的はなんだ!」

アカギ「答える義理はない」

???「あら。わたしを出し抜けた謝罪はないのかしら?」

質問と共に放たれた<<龍の波導>>

飛行する敵軍を物の見事に直撃。

そいつらは攻撃に耐え切れず、地へ落ちた。

アカギ「おまえは!?」

シロナ「首領が礼儀を知らないとは言わせないわよ」

彼女はボスを刺すような眼で睨む。

さすがのアカギも驚きを隠せない様子。

後に続いて、森影から形が複数現れる。
 ▼ 133 15/04/21 20:12:50 ID:aQHCxjrM [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
シゲル「ウィンディ!」

視界が熱気で赤く揺らぐ。

放射した炎が空中で渦をまき、

虫ポケモンは燃えるような痛みに絶叫した。

タケシ「アグノム、俺たちを覚えているかッ」

シゲル「まずい!体力が消耗している、タケシ!」

タケシ「頼むぞ、ラッキー!」

代名詞と呼べる技を発動させ、

意思の象徴は見る見るうちに回復する。
 ▼ 134 15/04/21 20:14:55 ID:aQHCxjrM [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
ねずみ「ぴかぴ?」

サトシ「―――…ッ」

ぜいぜい、と喉を鳴らした声に振り向けば、

何か言いたげな視線とぶつかった。

だが、息を弾ませ喋るのも辛い状態だ。

サトシ「シン、ジ」

シンジ「これ以上は身体に障るぞ」

サトシ「……ユクシーとエムリットが、つかまってるッ」

シンジ「なっ!?」

言葉を失った。

弱弱しく上げた指先が示すモノ。

三湖神の内2体は、捕獲済みなのかッ。
 ▼ 135 15/04/21 20:46:11 ID:aQHCxjrM [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
シロナ「神聖な領域に手を出す狙いはなに?」

アカギ「世界を作り直す為だ」

冷静さを取り戻したのか、

眼を鋭くしたまま表情は怒りなど消した。

チャンピオンは不快を滲ませながら、

シロナ「まるで、今の世界に不満がある言い方ね」

アカギ「フ、当然だ。この世界に生きる人もポケモンも、
    不完全であるがために醜く争い、そして傷つけ合う」

不満と言うより『憎悪』溢れる言葉。

だが、自身が神である物言いに心底苛立った。

シンジ「それで三湖伝説の力を利用するつもりか。
    だが、サトシとどう関係がある!?」
 ▼ 136 ズマオウ@がんせきおこう 15/04/22 00:37:04 ID:ybrPd9Kg NGネーム登録 NGID登録 報告
支援気になる
 ▼ 137 ャオニクス@アクアカセット 15/04/23 22:18:30 ID:rvTl4fDs NGネーム登録 NGID登録 報告
age
 ▼ 138 15/04/25 14:30:47 ID:ObyDiJhs [1/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
奥歯を噛みしめ、

傷付けた因果を問いだせば、

アカギ「弱体化させるためだ」

意外な答えに息を呑む。

アカギ「ほかの象徴はうまく事が運べたが、意志の神は別格だ」

しかし他に方法があった、とヤツは薄く笑う。

……違う!

淡々と語る空っぽな顔に眉をひそめる。

変化したのは表情筋だけだ。

アカギ「そして、単なる気まぐれか。
    アグノムは人間と共鳴することがある」

シロナ「共鳴?」

アカギ「対象はどんな困難にも立ち向かう、
強い心だと言われている」

思わず、その言葉を咀嚼した。
 ▼ 139 ャルマー@ポロックキット 15/04/25 14:32:52 ID:29HOq7lw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
めちゃくちゃ待ってた!
応援しとります
 ▼ 140 15/04/25 14:45:10 ID:ObyDiJhs [2/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
真夜中に聞いた話が、頭に巡る。

胸に湧きあがってくる予感。

シゲル「まさか!?」

アカギ「面白いことに娘が選ばれた。そして――」

続いたセリフに全身の血が騒いだ。

どちらかが精神的または身体的に負傷すれば、

もう一方は力が弱まる、だと?

シンジ「下衆がッ!」

血の通わない行為だ。

ヤツの姿を見るだけで虫唾が走る。

シロナ「……この世界が憎いなら、
    誰もいない所へ行けばいいでしょう?」

タケシ「サトシやアグノムたちを苦しめてまで、
    世界をリセットすることに意義があるのか!」

アカギ「意義、か」
 ▼ 141 15/04/25 15:04:57 ID:ObyDiJhs [3/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
突如、変貌する瞳の色。

なにを映している?

まるで、遠い過去を見つめるような――

アカギ「不完全なものを殺せば、世界は美しさを維持できる。
    たとえ、誰もがそれを感じ取れなくても、あり続けるのだ」

ヤツが発した言葉に耳が打つ。

不完全?

優しさがそう示すと言うのか?

アカギ「それが生み出す負の産物が世界を汚すのだ」

私が正義だと言いたげな口調だ。
    
シンジ「独り善がりがッ」

アカギ「楯突くことに後悔するがいい」

鼻で笑い、冷ややかな眼で一瞥。

ギンガ団幹部と共に投げたボールが宙を舞う。
 ▼ 142 15/04/25 15:19:32 ID:ObyDiJhs [4/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
体中に駆け巡る緊張感。

手強い敵手で間違いない。

研究者に続いて、シロナ、糸目も身構えた。

アカギ「―――ッ」

ふん、どうやら完全に虚が突かれたようだな。

シンジ「エレキブル!」

雷を拳にまとい、

ドンカラスに目掛けて肉薄。

シンジ「まずは一匹!」

苦痛の叫びが森にこだまする。

奇襲は見事成功を収めた。

だが――

シンジ「ゆるさない」

声が震えているのが分かる。

腹の虫がおさまらない。
 ▼ 143 15/04/25 15:39:08 ID:ObyDiJhs [5/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤツ等から余裕が消え失せ、

アカギ「強者だな」

雰囲気が凍りつく。

瞬間。

鋭利なかぎ爪で切り払ってきた。

間一髪。

ピカチュウが間に入る。

そのまま強力な電撃を放った。

が、相手は機敏に躱した。

アカギ「ほう、それが狙いか?」

ねずみ「び〜ッか」

広範囲に拡散したでんきワザ。

おかげで特性が発揮。

残像を散らしながら、

エレキブルはマニューラへ接触した。
 ▼ 144 15/04/25 15:48:49 ID:ObyDiJhs [6/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
アカギ「ヘルガー!」

シンジ「相殺しろッ」

トリトドンが前へ出る。

<<悪の波導>>と<<冷凍ビーム>>が衝突。

チッ!

互角か!

衝撃波が襲った矢先、

クロバットが飛び掛かる。

シゲル「ブラッキー、<<すなかけ>>

巻き上げた砂が生みだす壁が

<<あやしいひかり>>を遮断させた。

しかし、いつの間にか距離を縮め、

アカギ「<<クロスポイズン>>

シゲル「しまった!」

勝利と敗北は紙一重。

一撃で戦闘不能と化した。
 ▼ 145 ザーX◆akVVZ7TkhA 15/04/25 16:02:49 ID:dPQDtPvs NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 146 15/04/25 16:03:54 ID:ObyDiJhs [7/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
……次はどんな手か?

シンジ「確実に仕留めるぞ!」

間合いを取り、周囲を見渡す。

いまだに戦況は均衡を保っている。

なにか打開策は――

アカギ「なるほど。力の源は娘に対する感情というわけか。
    馬鹿馬鹿しいにも程がある。まやかしに操られるとは」

顔に落とされた暗い影。

異様な迫力に満ちた視線は、冷たい。

アカギ「くだらない感情のために争うとは、愚かすぎる」

なに訳のわからないことを!

間髪置かずに命令を下す。

リザードンは鋼鉄の翼をでギャラドスを倒した。

アカギ「揺らぎ消えてしまうものに価値があるか?」

耳障りな声色だ。
 ▼ 147 15/04/25 16:22:32 ID:ObyDiJhs [8/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
そして、その眼差しが気に障る。

反吐が出る。

関わるほど険悪の念を抑えきれない。

声に殺意を乗せて、

シンジ「なにが言いたい!」

アカギ「……知りたいか?」

サトシ「シンジ!」





――危機迫ったアイツの呼び声。

からだに衝撃が走ると同時に、

視界が前触れなく夜空に覆われた。

なぜか遠ざかっていく感覚。

頭が追い付かない。
 ▼ 148 15/04/25 18:35:46 ID:ObyDiJhs [9/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
ねずみ「ぴかぴ!」

短い悲鳴が五感をよび覚ました。

俺に覆いかぶさる重み。

無意識に視線をやれば、

シンジ「さと、し」

心臓がいやに大きく脈打った。

首元に刺さった<<針>>にざわつく。

震える全身を叱咤して、

シンジ「しっかりしろ!」

必死に呼び掛けた。

だが、ピクリとも動かない。

透き通るように青ざめた顔。
 ▼ 149 1 15/04/25 19:23:49 ID:ObyDiJhs [10/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
脈を診れば、

息遣いとともに弱まっていく。

アカギ「憐れなものだな」

シンジ「!」

嘲笑に、胸がかっと熱くなる。

思わず唇を噛み鉄の味が広がった。

アカギ「感情に任せて戦った末がコレか?」

自責の念に駆られていく。

どうしてだ?

なぜ、冷静に勝負を臨まなかった?

結果的に俺はサトシを――

アカギ「憎いか? 大事な者を奪われて」
 ▼ 150 1 15/04/25 19:38:51 ID:ObyDiJhs [11/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
あまりの喪失感に視界が霞んでいく。

アカギ「これで分かっただろう?」

死んでしまえば消える不完全なモノに、価値はあるか?

抽象的で曖昧なセリフが重々しくのしかかった。

アカギ「所詮、感情は負の産物しか生み出さない」

シンジ「――――ッ」

急速に頭が冴えていくのに、

思考は拡散と収縮を繰り返す。

早まる鼓動が全身に響いた。

アカギ「だから、不完全で醜い世界を変えるのだ」

空気に呑まれた。

ヤツの言葉。

こん睡状態の重み。

血の気のない顔。

様々な感覚が胸をかき乱していく。
 ▼ 151 1 15/04/25 19:54:16 ID:ObyDiJhs [12/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「ぐっ――」

ねずみ「ぴっか!!」

痛みが右頬に走った。

…叩かれたのか?

呆然と見れば、

ねずみ「ぴかぴ、ぴーかーちゅう!!」

電光が走る頬袋。

逆立っている毛並。

目尻を険しく吊り上げていた。

ねずみ「びーか!」

だが、瞳が違う。

あの疑問が想起される。

浅い眠りから覚めた時だ。
 ▼ 152 1 15/04/25 20:05:48 ID:ObyDiJhs [13/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
底が見えないほど深く澄んだ黒。

その色味に憤りが入混じっているのか。

ねずみ「ぴっか、ぴかーちゅう!」

シンジ「…… …… ……」

咎める声で、

なにかを示す小さな指。

目で追いかけた瞬間、

呆然と眺めてしまった。

シンジ「サトシ」

俺の服をつよく掴む、ほそい指。

気絶しててなお、

決して離そうとしない。

無意識のまま俺の手をかさねた。
 ▼ 153 1 15/04/25 20:20:13 ID:ObyDiJhs [14/14] NGネーム登録 NGID登録 報告
鼓動が早く打つ。

唇を固く噛みしめ、思考を巡らした。

やさしさが愚かなのか?

アカギはこの感情を消し去ろうというのか?

世界が変わってしまったら、

サトシの意思は無駄になるのか?

考えれば考えるほど、

この手を握り締める力が強まる。

そして――…

アカギ「ほぉ、まだ感情に揺れ動くか」

シンジ「口を閉じろ」

募った感情を躊躇なく言葉にだす。

やっと、答えを掴んだのだ。

シンジ「貴様に消させやしない」

アカギ「なに?」

シンジ「コイツに対する感情を消されてたまるか!」
 ▼ 154 ュバルゴ@あかいウロコ 15/04/26 20:57:09 ID:4kMBw07M NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 155 15/04/29 20:36:40 ID:w0ReLjH. [1/16] NGネーム登録 NGID登録 報告





刹那――

凄まじい音が地面を揺らす。

大波のように吹き過ぎる烈風。

バッと顔を上げれば、

炎とともに靡く黒い煙が。

シロナ「爆発!?」

シゲル「いったい!」

現れた影が二つ。

光?いや――
 ▼ 156 1 15/04/29 20:45:55 ID:w0ReLjH. [2/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
ねずみ「ぴかぁ」

シンジ「…… …… ……」

俺の中心を飛びまわる生き物。

額にはあの赤い結晶が。

ポケモン、なのか?

???「きゃううん!」

???「きょううん!」

不規則な動きだ。

サトシの周囲を浮遊すれば、

風がやわらかい髪をふわりと巻き込み、

穏やかな光が注がれる。

シンジ「……おまえ」

あたたかい。

心地好い鈴の音だ。
 ▼ 157 1 15/04/29 20:57:31 ID:w0ReLjH. [3/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
全身の傷が、見る見るうちに回復する。

猛毒も浄化したのか、

血色が穏やかに変わると同時に、

淡い光は瞬く間に消えていった。

しかし、

ねずみ「ぴかちゅ!?」

糸が切れたように、

サトシの上に崩れ落ちてしまった。

息はある。

体力が尽きたらしい。

アカギ「何故だ――!」

狼狽した声に目線をやれば、

険しい表情が視界に映った。

眼つきは驚異そのもの。
 ▼ 158 15/04/29 21:09:11 ID:w0ReLjH. [4/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
アカギ「なぜだ、瀕死状態だったはずだ。なのに!」

シロナ「あら、言ってたじゃない」

弓を弾いている口元。

彼女は意味深な顔つきを浮かべて、

シロナ「シンジ君に共鳴したのよ、エムリットは」

アカギ「!?」

驚愕の色が顔に浮かぶ。

凄まじい動揺を覚えているようだ。

対して、チャンピオンは威勢を放った。

アカギ「馬鹿な!あり得るものか!」

怒鳴りかかる姿。

歪んだ面は狼狽に満ちている。

アカギ「人間の戯言ごときに!」

シロナ「……可哀相な人ね、ガブリアス!」

戦闘が再開。
 ▼ 159 15/04/29 21:19:41 ID:w0ReLjH. [5/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
真っ先に攻撃を仕掛けた龍は、

次々と敵を薙ぎ払った。

……そうだ、流れが変わったんだ。

この機会を見逃すか!

力を使い果たしてくれた彼らの為にも、

呆然と突っ立ってる訳にはいかない。

シンジ「<<瓦割り>>!」

エレキ「エレキッブル!!」

電気エンジンを発揮した状態だ。

駿足で地を駆け抜け、敵へ迫る。

ねずみ「ぴっか!」

お得意の<<10万ボルト>>

敵のクロバットは感電。

遂に戦闘不能だッ。
 ▼ 160 れいなゲーチス◆DDZyhxqa9w 15/04/29 21:29:06 ID:W.pW/hiY [1/3] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
もう支援以外ありませんね
 ▼ 161 15/04/29 21:35:33 ID:w0ReLjH. [6/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
シゲル「もう一度<<炎の渦>>!」

タケシ「<<毒突き>>だ」

着実に数が減ってきたが、

こちらも半数以上が瀕死と化した。

さすがに一筋縄にはいかないか。

瞬間。
 ▼ 162 15/04/29 21:35:53 ID:w0ReLjH. [7/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
???「国際警察だ!」

警察@「無駄な抵抗はやめなさい!」

第三者の声に振り向けば、

シゲル「ハンサムさん!」

シロナ「遅すぎるんじゃない?」

感極まった声が響き渡った。

有無を言わせぬ50代の男性。

背後には警察関連者が100人以上いる。

アカギ「!!」

シロナ「この私が逃がすとでも?」

勝ち気なセリフと共に、

ギンガ団の撲滅は決定的となった。
 ▼ 163 15/04/29 21:47:42 ID:w0ReLjH. [8/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
+*+*+*+*+*+*+*+*+




湖から少しばかり離れた、

静かな森へ移動する。

幸いにも、風がひと揺れも無い。

サトシはリザードンの腹に身を預けて、

寝息をたてていた。

タケシ「脈も安定している。心配はいらない」

シンジ「……そうか」

安堵の胸をなでおろした。

重荷をおろした感覚だ。

タケシ「おまえはサトシの傍についてろ」

そう告げて、湖の方へ戻っていった。
 ▼ 164 れいなゲーチス◆DDZyhxqa9w 15/04/29 21:47:55 ID:W.pW/hiY [2/3] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 165 15/04/29 21:56:33 ID:w0ReLjH. [9/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
周囲を改めて見渡す。

おぼろな薄明が野に吸われていた。

神経が擦り減った心地だ。

気が抜けば、疲労感に襲われる。

だが……

ねずみ「ぴーか」

シンジ「…… …… ……」

つい、左頬を撫でた。

かなり凝っているな……

疲弊しきっているのにも関わらず、

手持ちが輪になって見守り続けている。

本当、主人想いの連中だ。
 ▼ 166 ースト@ねばねばこやし 15/04/29 21:57:43 ID:36FSgPXA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 167 15/04/29 22:10:22 ID:w0ReLjH. [10/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
ねずみ「ぴかちゅ?」

火炎竜「グルォ」

シンジ「俺は大丈夫だ」

羽織った上着を脱いで、サトシの肩にかける。

だが、意識がなければ、

低体温症状になりかねない。

夜明けが最も気温が下がる時間。

それに加えて真冬だ。

命に別状がないとはいえ、身体は弱っている。

……短いようで長い。

気掛かりで胸が引き裂かれそうだ。

早く意識が戻ってくれ。



サトシ「……しん、じ?」

シンジ「!」
 ▼ 168 15/04/29 22:20:59 ID:w0ReLjH. [11/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
琥珀色の瞳に俺の姿が映る。

知らず胸が高鳴った。

頭の中がぐちゃぐちゃだ。

溜まりに溜まった言葉。

何を言えばいいか分からない。

たまらず抱きつけば、

春のような香りが鼻をくすぐった。

安堵した矢先、

シンジ「?」

サトシ「…… …… ……」

なぜか、俺の体を引きはがした。

動揺に揺れうごく瞳。

何かに耐えるように、

口元が引き結ばれていた。
 ▼ 169 15/04/29 22:31:38 ID:w0ReLjH. [12/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
不安を過り、顔を覗き込めば――

サトシ「ごめん、シンジ」

シンジ「サトシ?」

サトシ「……危険な目に遭わせて」

胸が切られるような痛みがはしった。

切なげに眉根を寄せながら、

騒動に巻き込んだことに対して謝罪を述べた。

サトシ「怪我がなくてよかったぜ」

シンジ「何を言っている?」

あの時、俺が冷静でいれば、

逸早く身の危険を察知できたはず。

しかし、俺はおまえに――
 ▼ 170 15/04/29 22:41:28 ID:w0ReLjH. [13/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシ「元はと言えば、俺が悪いんだからさ」

彷徨う視線と、口元に浮かぶ苦笑。

何ともいえない圧迫感が胸を締める。

なぜだ?

あの時もそうだ。

なにかあれば自分に犠牲を払う……

心臓が刺さる針に眉を秘め、

思わず歯を食いしばった。

シンジ「ふざけるな!」

サトシ「!?」

力の限り抱き締めて、

その肩口にことりと頭を預けた。

そんな悲痛な顔、見たくもない。
 ▼ 171 れいなゲーチス◆DDZyhxqa9w 15/04/29 22:43:12 ID:W.pW/hiY [3/3] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
……支援
 ▼ 172 15/04/29 22:52:46 ID:w0ReLjH. [14/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
シンジ「俺を頼れ」

声が震える。

上手く言葉にできてるだろうか?

サトシ「……シンジ?」

シンジ「だから、俺の手を離すな!」

腕に込める力を強めた。

前日の記憶が脳裏に蘇ってくる。

あんな思いは二度と御免だ。

シンジ「!」

ぬくもりが右手に伝わる。

ああ、握ってくれてるのか。

安堵感が浸った。

不思議だ。

苦しい心が段々とほぐれていく。

アイツの手を繋ぎ返してから、

俺はゆっくりと目を閉じた。
 ▼ 173 15/04/29 22:53:14 ID:w0ReLjH. [15/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜完〜
 ▼ 174 15/04/29 22:54:03 ID:w0ReLjH. [16/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
わからない描写・指摘・感想があればおねがいします。
 ▼ 175 サシ◆MANVrzhS2M 15/04/29 23:08:27 ID:9C4mZRY. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
乙でした
 ▼ 176 リゴン@レベルボール 15/04/29 23:20:04 ID:uc6/oUmk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ひええ…毎日の楽しみだった乙
言い回しが?なところもあったりしたけど
それも含めて味があってよかったよ!
淡々とした書き方がシンジにあってたし
また機会があったら
書いてほしいな
 ▼ 177 15/04/30 21:28:44 ID:690yAV7. NGネーム登録 NGID登録 報告
>>176
指摘ありがとう
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