【SS】ユートピア

さて、今日は何の話が聞きたいって？

ああ、そうだったね。世界の始まりのお話か。


いいよ。

ただしこの話を聞くからには、お前たちは戦わねばならないよ？

それでも良い？


是というのかい。

ならば話そうか。

この世界の始まりを。


そして願わくば、僕たちのユートピアを守って欲しいものだね。

昔々、そのまた遥かなる古代。

何もない世界。

浮遊するエネルギーが満たす暗黒。

混沌とするエネルギーはある一つの意思の元に統一され、一つの雫を産んだ。


その雫は心核となり、一つの究極生命体となった。

其の者、名も無き生命体は、その心核の意思が思うままに力を行使する。


カオスの力を、強固な力と意識で支配。


時間と空間の支配を行うシステム創り出す。


空間の支配システムにより、漂うエネルギーは瞬く間に広がった。

時間の支配システムにより、漂うエネルギーは瞬く間に動き出した。

広がり続けた空間に時間が流れ、世界は色づいた。

だが、究極生命体の心核が埋まることは無かった。

結局エネルギーではココロを埋めることはできなかったのだ。


人間がそうであるように。

なにもない、広い広い場所で、永遠に一人で居れるほどココロは強くない。


心核とは、寂しがったエネルギー達が生み出したものなのだから。


システムに名を。

世界にイノチを。


時間の支配システムに名を与えた。

空間の支配システムに名を与えた。


名付けられ、その存在感を自ら確立したシステムは、個々に一つの自我を生み出した。

時間の支配者、名を『ディアルガ』。

空間の支配者、名を『パルキア』。

さて、名を与えられた第二の究極生命体たちは、その力を使い自己進化を始める。

広がった世界に、生命の過ごすことのできる場所を。

その場所は後に『星』と呼ばれるようになる。



原初の個体に頼らぬ進化。

試行錯誤と失敗を繰り返し、新たな生命を生み出す。

完成したのが『ミュウ』という生命。


究極生命体のように、原初の者の施しを受けていないミュウは意識を持たない。

意思を与えることは第二の究極生命とする彼らをもってしてもできなかったのだ。

だが、自己進化を促すことはできる。


自らに与えられし『意思』『感情』『知識』を使い、それらを具象化。

少しずつ、少しずつ。

意識を作る。

やがてそれは成功する。

星に生まれた命たちは、最初は何も持たない。


だが、具象化された『意思』『感情』『知識』に触れることでそれらを得ていく。

持っていないものを取り込み成長する彼らは自らエネルギーを獲得する手段を得ていくことを是とした。

食物を取り込み、エネルギーへと変換して成長する。


その過程で生まれたのが『星の意識』とも呼べる生命体。

大地の意識。

海の意識。

天空の意識。

星が、自らを育てるために創った、究極に匹敵する者。

星に生きる者たちに、永遠の成長を。

食物をはぐぐむためのシステムなのだ。

だがここで、問題が生じる。

成長することで、命たちに優劣がつき始めたのだ。

より成長する者たちと、成長が遅れる者たち。

これより『感情』が創ったのは、憎悪や嫉妬、欲といったもの。


負のエネルギー。


それを取り込み、星は成長を続ける。

時間や空間の支配者に気づかれることなく、ひっそりと。


永遠の成長。


それは止まることなく続く。

負のエネルギーは憤りを感じていた。

何故我らが時間や空間に従う必要がある？

負のエネルギーは驕っていた。

我らこそが究極の力である！


負のエネルギーを取り込み成長し続けた生命体。

名を『レジギガス』。

その者を筆頭に、神へ反旗を翻した者たちがいた。


結果は、蹂躙で終わった。

ディアルガ、パルキア、そして原初の者。


その三神に挑んだところで勝てる見込みもあるわけがなかったのだ。

だがそのことは、三神にとっては大きな疑問を残した。

意識を与えたことが、彼らにとっては危険なものになる可能性を、 顕然させたのだから当然だ。

今度は何レスで失踪するかな

今回は蹂躙した。

しかし、その力は放置しておけばやがて世界を滅ぼすだろう。

気付いた時には、嫉妬や憎しみの芽が、星に深く根付いていた。

彼らは悩む。


放置することは好ましくないが、自らが生み育てた命を、自らの手で消すことは正しいのか？

それは彼らとはいえ、余りにも身勝手なこと。


この時、彼らの心に葛藤が生まれた。



しかし、彼らは決断を下す。

荒療治を施すことに決めたのだ。

先ずは『ミュウ』を確保する。

裁きの時。


原初の者が、一声咆哮すれば海は蒸発し、天は割れ、大地は沈む。

時間の支配者が星の命を加速させ破壊する。

空間の支配者が星を消していく。


やがて世界からは何もかもが消えた。


一度全てが消え去った。


しかし、そこで終わりではない。

また再び同じことを繰り返す。

ただし今度は、永遠の進化を奪う。

これによって、生命に限りある寿命が生まれた。


命が絶えないように、生殖機能を残す。

しかし、生まれる者は親から形質を受け継ぐのみとする。

感情を受け継がない。

それによりある程度に感情の増長を留める。


しかし再び間違いが起きてはならない。

全ての星に生きる命の親たる『ミュウ』は前世界の記憶を持つ。

『神は怒らせてはならぬ者』との記憶を全ての命の深層心理に埋め込んだ。

それが今の世界。

余談だけど、絶えるようになった命。

これのエネルギーの受け皿に作られたのが、『裏の世界』。

これを司るのが『ギラティナ』だ。


さて、分かったかい？

歴史を勉強したっていいことなんかありゃしないさ。

せっかく負のエネルギーを受け継がないためのシステムだってのに。

人間って進化しすぎだね。

これじゃまた二の舞になるなぁ。

流石の彼らもコンピューターなんて物が作られるのが予想はしてなかったんだろうね。

え？なんで僕がそんなこと知ってるかって？

それに答えるには君達自身がどうすべきか考えることだね。


ユートピアが、ディストピアになる前に。

終わり

スッキリしないけど、自分であれこれ想像するのもまた一興
面白かった、乙

い……いつか書くつもりのＳＳと一部タイトルが被った……

乙

>>16
ド、ドンマイ

乙