【SS】ポケモンコーディネーターセレナの日常:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】ポケモンコーディネーターセレナの日常:ポケモンBBS

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【SS】ポケモンコーディネーターセレナの日常

 ▼ 1 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 20:00:07 ID:6Hswv1Ms [1/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
『珍しく賑わう今日8月7日! ホウエン地方シダケタウンではポケモンコンテストが行われる!』

セレナ「急がないと! 参加の受け付け終わっちゃうわ!」

ニンフィア「ふぃあー!」

ヤンチャム「チャムチャ!」

テールナー「テナナ!」

セレナ「こら二人とも喧嘩しない! 参加できなくなっちゃうわよ!」

男「すいませんセレナさん。お時間よろしいですね?」

セレナ「さ、サイン? わかりました……」

男「いつもテレビで見ています。応援してます。あ、あと握手をお願いします」

セレナ「は、はい。これで大丈夫ですか? ごめんなさい。初めてで、あと急いでてちょっと雑に……」

男「はい。では握手を」

セレナ「あ、はい!」

銀髪の少女「ちょっと待ったぁー!!」


その瞬間、甲高い声がセレナの返答を遮った。そして重なろうとした二人の手をはたき落とすのもその声の主。
 ▼ 2 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 20:01:47 ID:6Hswv1Ms [2/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

銀髪の少女「キミ! なんてことするの!!」

男「えっ、だ、誰ですか?」

銀髪の少女「その子から離れなさい! 今すぐここから去るのよ!」

セレナ「まって! あぁ行っちゃった……」

銀髪の少女「災難だったわね。セレナちゃんでしょあなた。知ってるわよ。カロスからきた注目の新星」

セレナ「あっ、えっ、嬉しいです。それはそうと、何でさっきあんなこと!」

銀髪の少女「しかし女子に触れようだなんてあのオタク! 本来私たちの美しき身体は神聖なもの! 大切に、崇められるべき存在なのよ!」

セレナ「え? ちょっと!」

銀髪の少女「あなたもその手をしっかりと洗っておくことね!」

セレナ「やめてください!! 急に出てきて、変なことばっかり言って! 私はさっきの人に感謝してるの!」

セレナ「あなたのせいでお礼も言わせてもらえなかったわ!」

銀髪の少女「……そう。それはごめんなさいね。悪いことをしたわ」

セレナ「えっ! いや、こ、こちらこそ。急に怒鳴ったりしてごめんなさい」

銀髪の少女「いいのよ。……なにかしら?ジーと見て」

セレナ「あ、銀色の髪がすごく綺麗だなぁって。なんだか眩しく見えます」

銀髪の少女「もの珍しいでしょう。私もこの光る銀髪に長く悩まされたわ」

セレナ「本当に光ってたんですね」

銀髪の少女「そんなことより、あなたもコーディネーターでしょう? 大会の申し込み、いかなくていいの?」

セレナ「あ! 急がないと! って、あなたも……?」

銀髪の少女「次会うときはライバルよ」

セレナ「はい!」
 ▼ 3 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 20:02:14 ID:6Hswv1Ms [3/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



ポケモンコンテストに参加するコーディネーターたちの目標は皆同じ。5日後のグランドフェスティバル。

そこに参加するためにはコンテストに優勝したことで獲られるリボンを五つ持っていなければならない。

しかしセレナたちが持っているのはいまだ四つのみ。


テールナー「てなー」

セレナ「今回優勝しないとグランドフェスティバルに出場できない! みんな? 頑張るわよ!」

ヤンチャム「ちゃー!」

ニンフィア「ふぃあ!」

テールナー「てな!!」


だがその日、セレナの道は思わぬ形で断たれることとなる。
 ▼ 4 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 20:11:05 ID:6Hswv1Ms [4/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


セレナ「ヤンチャム! ストーンエッジよ!」

ヤンチャム「チャーム!!」


コンテストバトル決勝。
その対戦カードはセレナと、発光する髪をなびかせる少女。その激しい攻防に会場は沸いた。


銀髪の少女「今よマニューラ! 吹雪!」

セレナ「ヤンチャム、かわして!」

ヤンチャム「チャム!」


ヤンチャムが放った岩柱を破壊したマニューラは吹雪を起こし、砕けた岩を自らの攻撃に利用する。


セレナ「っ!!」

銀髪の少女「あ!」

ヤンチャム「ヤチャ!?」


降り注ぐ鉛弾のような岩石の一つが足に直撃し、セレナは足を抱え倒れる。すかさず駆け寄る周りの人間が観客たちから苦痛に耐えるセレナの姿を隠した。

吹く雪は赤く染まり警告ランプのように、事態の大きさを周囲に知らせた。それをみて観客たちは静まり返る。

その一瞬の沈黙のなか。
絶え絶えな息から漏れたのは、激痛をそのまま吐き出したかのような声。その叫びは小さいながらも音の空白を埋め、会場に響いた。
 ▼ 5 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 20:11:23 ID:6Hswv1Ms [5/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

セレナ「うっ……いっだぁ! 」

ジョーイ「ジっとしててください。動かすと死にます」

セレナ「えっ! ど、どういう意味?」

ジョーイ「言い過ぎましたね。まぁ死にはしません。しかし下手したらワンチャン死んでたかもしれませんね」

セレナ「わんちゃん……?」

ジョーイ「表面の傷は思ったより浅かったですが、大事なのは脛骨に亀裂が入っていることですね。完治するまで早くて一ヶ月と少しかしら」

セレナ「一ヶ月ですか」

ジョーイ「でもまぁこの程度の怪我ですんだのが奇跡だと思いましょう。最悪の場合足まるごと無くなってたかも」

セレナ「ひぃっ」

ジョーイ「今のは言い過ぎましたね。そういえばセレナさん、家は近くに?」

セレナ「いえ、カロス出身なので……そうだ! これからどうしよう!」

ジョーイ「ギプスを外せるようになるまでは、ポケモンセンターで生活してもらうことになりますね」

セレナ「……よろしくお願いします」

 ▼ 6 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 20:11:43 ID:6Hswv1Ms [6/18] NGネーム登録 NGID登録 報告


セレナ「もう夜の11時だ。大変な一日だったなぁ」

テールナー「てな?」

セレナ「うん。言われた通りじっとしてればあんまり痛くないわ」

ヤンチャム「ちゃむ……」

セレナ「ごめんね。みんな。こんなことになっちゃって」

ニンフィア「ふぃあぁ!」

セレナ「明日からはポケモンセンターで生活か……。体が重いわ」

 ▼ 7 ングラー@ひかるおまもり 18/08/08 20:12:03 ID:E1bgGNcc NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 8 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 21:00:52 ID:6Hswv1Ms [7/18] NGネーム登録 NGID登録 報告

8月8日
── 1日目

その日は空に厚い雲がかかっており、夜ほどではなくとも太陽を感じないほどに暗い。
それと同じようにセレナの一日も、夜を越えたあととは思えないほどに疲れきった表情から始まった。


アナウンス『こんにちは!午後0時をお知らせします。昼食をとられる方は……』


セレナ「ん……んんんん」

セレナ「あれ、もうこんな時間?」

ニンフィア「ふー!」

セレナ「ニンフィア、元気ね。よく寝れた? ってお昼だものね」

ニンフィア「ふぃあ!!!!!」

セレナ「私は全然だったわ」

ニンフィア「ふぃん……」

セレナ「さ、降りましょうか。お腹すいたでしょう?」

ニンフィア「ふぃあー!」
 ▼ 9 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 21:01:57 ID:6Hswv1Ms [8/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

セレナ「おはようございます」

ジョーイ「こんにちは。あら、おはようございますでしたか」

セレナ「うっ」

ジョーイ「ランチの準備はできていますよ」

セレナ「はぁ〜」

ジョーイ「眠たい場合は、ゴニョゴニョの進化系であるバクオングがオススメです。非常にうるさく目が覚ましてくれますよ」

セレナ「ジョーイさん。私、寝たいけれど足が痛くて寝れないんです」

ジョーイ「わかってますよ」

セレナ「……」

ジョーイ「すみません。つい嫌なことを言ってしまうくせが」

セレナ「……ごちそうさまでした」

ジョーイ「まだお皿に随分残っていますが、お口に合わなかったでしょうか」

セレナ「ごめんなさい。少し気分が悪くて、味もわからないくらい」

ジョーイ「いえ、無理はなさらず」

セレナ「……はい。ごめんなさい」
 ▼ 10 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 21:04:55 ID:6Hswv1Ms [9/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
ある少女がポケモンセンターへと入る。


セレナ「あなたは!」

銀髪の少女「こんにちはー」

ジョーイ「あら、昨日のコンテスト優勝おめでとうございます」

セレナ「まだこの町に? グランドフェスティバルは4日後だから、急いだ方が」

銀髪の少女「そうね。でも、私は出ないから大丈夫よ」

セレナ「え! 出ないってなんで?」

銀髪の少女「セレナが怪我して敗退扱いになったから優勝になったけど、納得できない。怪我させたのは私だから、それで出るのも気が引けるわ」

セレナ「そんな……! あなたのせいじゃないのに」

銀髪の少女「私がスッキリしないのよ。だから今回はやめて、セレナの足が治るまでこの町から動かないようにする」

セレナ「な、なにそれ。今度は私のせいみたいじゃない」

銀髪の少女「あんたのせいよ」

セレナ「そんな自分勝手な……」


銀髪の少女「私がスッキリするための一つ目がこれ。見舞いに品も」

セレナ「わっ、これってプラスルのぬいぐるみ? ……ありがとう!」

銀髪の少女「ん? なによ。嫌なの?」

セレナ「いいえ。ただすごく可愛いいものだったから、なんだか意外で」

銀髪の少女「あなたが好きそうなものを選んできたのよ」

セレナ「ありがとう。嬉しい」
 ▼ 11 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 21:06:00 ID:6Hswv1Ms [10/18] NGネーム登録 NGID登録 報告


銀髪の少女「あなたさ。暇でしょう?」

セレナ「まぁ、足がこんなだからできることは少ないかな……」

銀髪の少女「じゃあ少し付き合いなさい。良いことしたげる」

セレナ「うん。大丈夫だけど……」

ジョーイ「外出の場合は車イスと同行するポケモンをポケモンセンターから」

銀髪の少女「そういうのは大丈夫よ」

ジョーイ「え、大丈夫じゃなくて」

銀髪の少女「ほら早く来なさいよ!」

セレナ「待ってよ、引っ張られても早く歩けないってば!」

ジョーイ「あの」


セレナはポケモンセンターから出て、もう一人の少女に強引にトロピウスに乗せられ、空を飛んでいく。
 ▼ 12 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 21:06:48 ID:6Hswv1Ms [11/18] NGネーム登録 NGID登録 報告

向かったのは海の広がるホウエン地方の東。


セレナ「ひぃ。高い……帰りたい……」

銀髪の少女「あなた高いところ苦手なの? パフォーマンスでよく飛んでるのにに」

セレナ「こ、こんなところから落ちたら、今度は骨折どころか体ごとグチャグチャに…………言わなきゃよかった……!」

銀髪の少女「もうすぐよ。それまで景色を楽しみましょう」

セレナ「でも曇りだから……あんまりいい景色じゃないわ」

銀髪の少女「そう言われれそうね。晴らさないと」

セレナ「晴らすって?」

銀髪の少女「ちゃんと目を開けてなさいよ。下見ないようになんてしてたら勿体無いわ」


空で羽ばたく巨大なポケモンの咆哮がホウエン地方全体に空気の波を起こした。
その波はこびりついた汚れを洗い落とし、世界は本来の美しさを取り戻す。
 ▼ 13 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 21:07:26 ID:6Hswv1Ms [12/18] NGネーム登録 NGID登録 報告

目を刺すような光を落とした太陽、それを反射させ煌めく海は見る者に無条件で透明な爽快感を与え、その広大さで多くの瞳を虜にする。


セレナ「わぁぁ!」

銀髪の少女「驚くのはまだ早いわよ」

セレナ「あれって、ミロカロス?」


青い原っぱのど真ん中、地平線を貫き次々とポケモンたちが現れる。


銀髪の少女「私、昔からホウエンの海が好きでよく遊びに来てたの。だから海のポケモンたちにもお友達が多いのよ」


キャモメとホエルコの群れが奏でる声の音色。

ポケモンたちが織り成すは、天然の水上パフォーマンス。


セレナ「すごい……! あなたのことが大好きなのね」

銀髪の少女「そうかもね。だけどこんなのは初めてだわ」

セレナ「?」

銀髪の少女「わからない? あなたを歓迎してくれてるのよ」

セレナ「私を……?」

銀髪の少女「来てよかったでしょう?」

セレナ「うん。ありがとう!」

 ▼ 14 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 21:07:53 ID:6Hswv1Ms [13/18] NGネーム登録 NGID登録 報告


しばらく後日が沈む頃、トロピウスに乗ったセレナたちがポケモンセンターに到着する。


銀髪の少女「……」

ジョーイ「お二人とも、ご無事でなによりです」

セレナ「はい。なんとか落下せずにすみました」

ジョーイ「ところで今、丁度唯一のお客さんがディナーを終えたので片付けをしているところなのですが」

銀髪の少女「もう空腹が限界だわ。夕食はなにかしら?」

ジョーイ「……そうですか。では、改めてディナーの用意をしますね」

セレナ「お、遅くなってごめんなさい」

ジョーイ「いえ、どうせうちは訪れる人が少なくて暇なので構いません」


銀髪の少女「私ポケモンセンターの料理大好きなのよね」

セレナ「私も。いただきまーす」

ジョーイ「ふふっ」

セレナ「どうかしました?」

ジョーイ「いえいえ、ただお味のほうをお聞きしたいな。と」

セレナ「はい。美味しいです」

ジョーイ「それは良かった。ありがとうございます」
 ▼ 15 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 21:13:50 ID:6Hswv1Ms [14/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

セレナは部屋に戻り、おもむろに服を脱ぐ。

赤いカーディガンを始めとして、年頃の少女を美しく着飾っていた装飾品を取り除いていき、残ったのは白い下着のみ。


セレナ「テールナー、シャワー一緒に浴びよっか」

テールナー「てな!」


パートナーのポケモンとともに個室のバスルームに入る。怪我をしてギプスをつけた右足は濡れぬように大きな袋を被せておくことになった。


セレナ「ったく、これじゃお風呂でも休めないわ」

テールナー「てなー」
 ▼ 16 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 21:14:07 ID:6Hswv1Ms [15/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


湯気が出る程度に温かいシャワーを浴びれば、内側から熱が広がるように赤く火照った体。

唇を下から押し上げヘの字にしながら石に泡を吹かせる。手から溢れた泡を伸ばす。
腕から首、脇から腰を伝い足先まで、上から下へと、もれのないよう何度か泡を供給して行き渡らせた。

それを体の垢とともに洗い流す。
残った水滴が反射したことで、角のないなめらかな曲線を描くシルエットが美しく煌めいた。

髪を三種類のボトルを使い分けて丹念に手入れし、最後にポケモンの体を洗ってシヤワータイムを終える。

 ▼ 17 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 21:14:33 ID:6Hswv1Ms [16/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


セレナ「あれ? バッグに入れてたはずなんだけれどなー」

ニンフィア「ふぃあふぃあ!」

セレナ「ごめん。無くしちゃったみたい……今度買っておくから、ってこの足じゃ作るのも難しいかも」

ニンフィア「ふぃー」


セレナが無くしたのはホウエンの菓子″ポロック″を入れておくポロックケース。中には手持ちのポケモンの好みに合わせた、甘いポロックが一個、辛いポロックを二個入っていたもの。

少しだぼっとしたパジャマ姿でタオルを首にかける。湿って艶めく茶髪にくしをいれて整えていると、ノックの音が響き、一人の銀髪の少女が入ってくる。


セレナ「どうしたの?」

銀髪の少女「いえ、思ったよりここでの生活が暇だったから」

セレナ「怪我もしてないもんね。そんなことより私のポロックケース知らない?」

銀髪の少女「いえ、私はしらないけれど?」

セレナ「そっか。なくしちゃったみたいで」

銀髪の少女「……私のでよければあげるわよ。何味をご所望かしら?」

セレナ「甘いポロックを一つ!」

ニンフィア「ふぃあ!!」
 ▼ 18 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 21:16:10 ID:6Hswv1Ms [17/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニンフィア「ふぃ〜♪」

セレナ「私のよりすごい美味しそうに食べてる……」

銀髪の少女「そりゃあ私のポロックのほうが美味しかったんでしょ。拗ねてもいいのよ?」

セレナ「そんなに子どもじゃありませんー」


銀髪の少女と別れたセレナは寝る前にバッグから二冊のノートを取り出す。片方の表紙には″日記″のタイトル。


セレナ「今日は色々忙しかったなぁ」


その新しいページにその日のことを記してベッドにもぐる。目を閉じ、浮かべたのは安堵した表情。

足には包帯をグルグルに巻いたようなギプスの下にクッションをおいて少しだけ高い位置においていた。


8月7日── 1日目、終了
 ▼ 19 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/08 21:17:36 ID:6Hswv1Ms [18/18] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>18
最後の日付が間違っていました。
8月7日ではなく8月8日になります。
 ▼ 20 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/09 22:00:38 ID:eAvMiLGg [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
8月9日
── 2日目

その日は空一面にかかった雲の奥から陽が主張するのと同じように、昨日の疲れきった表情とは近いようで遠い。
明らかに寝不足で休めていないはずの奥にどこか希望が見えるような、そんな表情から始まった。


夜中、窮屈さから眉間にシワを寄せて度々目を開けるセレナ。ポケモンに何度も声をかけられるがもう少し。もう少し。と結局起きたのは昼。

乾いた目蓋は今にもシャッターを下ろしきってしまいそうなギリギリ、片足のみの不安定なバランスも相まってかなりグラグラとよろめく。
一度倒れかけたがすかさずニンフィアが触手を使って支えた。
着替えをおえたセレナはポケモンたちに支えられながら昼食をとりに部屋を出る。
 ▼ 21 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/09 22:02:19 ID:eAvMiLGg [2/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


セレナ「ふあぁ〜」

銀髪の少女「眠そうね」

ジョーイ「階段で落ちそうになってて危なかったですね。次からは食事は部屋まで運びましょうか?」

セレナ「大丈夫……。この足での移動にも早く慣れたいし」

ジョーイ「わかりました。今日のご予定は?」

セレナ「部屋でちょっとやりたいことがあって、それを」

ジョーイ「では何かありましたら、お呼びください」

 ▼ 22 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/09 22:06:31 ID:eAvMiLGg [3/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

部屋に戻ったセレナは壁から生えるように置かれた机に向かって座る。広げたノートは日記とは違う二冊目だ。


セレナ「はぁ〜……」

ニンフィア「ふぃあー!」

テールナー「てなてなー!」


ポケモンたちがノリノリで群がってくるが、当の本人はノートに向かってうなだれたまま。
そのノートの中にはコンテストに参加するときのポケモンの衣装やパフォーマンスの演出案などを隙間なく書かれていた。
 ▼ 23 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/09 22:09:23 ID:eAvMiLGg [4/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


セレナ「ごめんなさい。怪我で怖くなっちゃって、私もうコンテストできないかも」

ヤンチャム「ちゃむ……」

セレナ「ダメよね。ホウエンにきて、頑張るって決めたんだもの!」


キュッと中央に引き締めた表情は、ふと日記の方を捉えた。思わず手がのび、めくるのは何十ページも前の日付。

一番最初のページには、ホウエンに来た直後の決意の言葉が記されていた。


セレナ「サトシたち、今どうしてるかなぁ」

テールナー「てなー?」


物思いにふけるセレナは一瞬ハッと我に帰り、バッグから一枚の写真を取り出してもう一度記憶のなかへ。眉と目尻を垂れさせた微笑みで思い出を語り始めた。

身ぶり手振りを加えながらポケモンたちと思い出話に花を咲かせるセレナは、口角を上げたまま下げることなく、眩いほどに明るい笑顔だった。


時計を見たときにはもう夕食の時間。


セレナ「大変! もうこんな時間!」

テールナー「てなな!!」

セレナ「今日のご飯はなにかしら。いい香り!」


セレナが借りていた部屋はロビーに一番近く、扉を開けると料理の風が微かに感じられた。
 ▼ 24 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/09 22:11:57 ID:eAvMiLGg [5/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

セレナ「ご飯は全部ジョーイさんが?」

ジョーイ「はい。忙しい地域ではコックさんがいるところあるようですが、ここでは私一人です」

セレナ「すごいですね……あっ、そうだ! ジョーイさんの本名ってなんなんですか?」

ジョーイ「ジョーイですよ?」

セレナ「え? 本名なんですか? でもジョーイさんは他の同じように呼ばれてるから、お仕事中の呼び方かと」

ジョーイ「みなさん親戚だから、名字が同じなんです。顔もそっくりでしょ? それにあくまで患者さんとの関係ですから、下の名前は絶対秘密ですよ」

セレナ「ヒントだけでも!」

ジョーイ「そうですねぇ……三文字です」

セレナ「えぇー」
 ▼ 25 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/09 22:12:28 ID:eAvMiLGg [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告


夕食を食べて部屋に戻ってきた後、改めてノートを開く。昼間過去に浸っていた分、夜中は明日の想像を確実にするために使う。


セレナ「あの日のコンテスト、怪我がなくても優勝できなかったんじゃないかなって思うの」

セレナ「相手のポケモン、強かった。優勝にするためにはパフォーマンスだけじゃなくてバトルもできないとけない」

ヤンチャム「ちゃむ……」

セレナ「だけど、それなら私たちだって、カロスでずっとすごいトレーナーたちの戦いを見てきたんだもの!」

ヤンチャム「ちゃむちゃー!!」

セレナ「あのマニューラの早くて力強い戦い方はピカチュウに似てるかも……」

ヤンチャム「ちゃあ……」

セレナ「だ、ダメね。サトシのピカチュウが相手だと思うと急に勝てる気がしないわ」

セレナ「サトシなら、どうするかな?」


ペンを手に持ったペンで頬を突いて、目線はボーッと左上を見つめる。眉間にシワを寄せて悩む仕草ではなく、表情はとても穏やか。

その後、どこか達成感のあるような面持ちで風呂に入り、最後に日記を書く。



8月9日── 2日目、終了
 ▼ 26 メパト@じしゃく 18/08/09 22:58:29 ID:PsEAEEWE NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 27 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/10 00:16:37 ID:HOmQmCxY [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告



日記はホウエンに来てからの日々がもらすことなくしっかりと綴られていた。まるっとしたやわらかい印象の文字。


そして怪我してからの日記。
 ▼ 28 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/10 00:20:32 ID:HOmQmCxY [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告


8月8日 休養1日目


──今日からポケモンセンターでの生活。

ジョーイさんに休養のつもりで!
と言われたけれど
休むよりも足が痛んでもっとつかれた。でもホウエンの海を見て、すごくきれいで、少し気持ちが明るくなった気がする。

いつまでも暗い顔してると
はりついてとれなくなっちゃう!
これじゃサトシたちと別れてホウエンに来た意味がないもの。

がんばらないと!

 ▼ 29 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/10 00:20:53 ID:HOmQmCxY [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告

8月9日 休養2日目


── 今日はずっとサトシたちのことばっかり考えちゃっていた。

今どこにいるんだろう。
サトシのことだからきっと旅して
いろんなポケモンと出会って
ピカチュウと一緒にバトルして……

またいつか、きっともっとすごい人になってるサトシに胸を張って会えるといいなぁ。

 ▼ 30 めつのねがい◆5oP7VYU6fg 18/08/10 00:24:20 ID:HOmQmCxY [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告



そしてもう一冊のノート。
表紙には″コンテストノート″とだけ。

中にはコンテストでパフォーマンスの内容を考えたものや、コンテストバトルの対策などがビッシリと、その中にもやはり度々書かれているのはサトシの名前。

8月9日の部分には銀髪の少女のことが長文にわたって練られている。

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