【SS】おじいさん「ポケモン一匹、貸してくれないかい?」:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】おじいさん「ポケモン一匹、貸してくれないかい?」:ポケモンBBS

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【SS】おじいさん「ポケモン一匹、貸してくれないかい?」

 ▼ 1 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/02 18:26:35 ID:nwu.kizQ [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告

   ヒャッコクシティ


ここはカロス地方、ヒャッコクシティ。ここに一人で住むおじいさんがいました。
このおじいさんはもう仕事もなく、息子は音信不通になり、半年前には妻にも先立たれ、今日までシングルライフを送ってきましたが……


カルム「じゃあ、僕はこれで」

おじいさん「ありがとうな〜」フリフリ

   ガチャ

おじいさん「……いやー、どうしてなかなか親切な人だったじゃないか。君のご主人は」

ぺラップ「エー、ソウカナー?」

おじいさん「うんうん、好い人だったよ……さて、これで儂の余生ノンビリプランは整った。これで一人で死ぬことも無いし、安心して、悠々と暮らせるな」

ペラップ「ウン、ソーダネー」


今日おじいさんは、独り身の淋しさを紛らす為、そして孤独死を避ける為に、旅の青年カルムからポケモン……一匹のペラップを借りたのです。
 ▼ 2 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/02 18:27:15 ID:nwu.kizQ [2/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
このペラップはLv24。しばらくは旅に使っていたけど今ではボックスの肥やしになっているから、とカルム青年は言っていました。
……そんなことを話している間に、誰かがまた扉を叩きます。お客さんでしょうか。


   コンコン

ペラップ「アレ、ダアレ?」

おじいさん「ん? 客か……誰かが向こうから儂を訪ねてくるとは珍しい」

ペラップ「フシンシャ!!」

おじいさん「こら、お客さんにそんなこと言わないの……」

   ガチャ
 ▼ 3 ゲキッス@ビスナのみ 18/10/02 18:27:31 ID:4zpYp7Ag NGネーム登録 NGID登録 報告
この話感動した
 ▼ 4 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/02 18:27:51 ID:nwu.kizQ [3/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告





おじいさん「ほう……ふむ、儂の息子の嫁じゃったか。いや、結婚していたなんて初耳じゃなあ」

息子嫁「ええ、初めましてお義父さん」ペコリ

ペラップ「ヨメ!! ヨメ!!」

おじいさん「ほっほお……いやいや、会えなくてすまんね」

息子嫁「いえいえ、主人が頑なに会おうとしていなくて……こちらこそすみません」

おじいさん「はは……おばあさんもきっと、喜んでいるじゃろうなぁ……」シミジミ


さて、どうでしょう?
おじいさんの前に現れたのは、息子の嫁と名乗る女でした。かつて息子が家を出ていってからもうかれこれ十数年。会っていない息子の思わぬ成長に驚きが隠せないおじいさん。
それにしても気になるのは、何故今訪ねてきたかですよね。
 ▼ 5 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/02 18:30:05 ID:nwu.kizQ [4/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
おじいさん「……で、どうして儂の所に?」

息子嫁「いや、主人がどうしてもお義父さんに恩返ししたいと言っていて……ですが、主人は今仕事でイッシュに単身赴任中なんです」

おじいさん「そうか……あいつ、いつの間にか、大きく立派になっていたのだな……」シンミリ


息子の成長に安堵するおじいさん。安心したように息を吐き、目を細めて喜んでいます。音信不通になった時には泣いてその行く末を案じていたおじいさんですから、その喜びは並のものではありません。……その反応を見た息子の嫁は、おじいさんに、こう切り出しました。


息子嫁「それで、主人と話して……お義父さんに新しい家を、となったんです」

おじいさん「ほう、家とな? いや、別に儂はこの家で良いんじゃが……」

息子嫁「見たところ、それなりの年数住んでいらっしゃるでしょう? 来るべき災害時に倒壊するやも知れませんし……」

おじいさん「ふむ……」コクコク
 ▼ 6 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/02 18:31:28 ID:nwu.kizQ [5/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
おじいさんは家を見回し、確かに長年住んでいるな、と呟きました。大きくはないが住み慣れたマイホームですが、確かに何かあっても崩れない自信はありません。
それを見た息子の嫁も、パンフレットを差し出して話を進めて行きます。

差し出されたパンフレットには、老人ホームの文字が踊っていました。


おじいさん「で、この老人ホーム……何て読むのかの、ビートゥン? が、儂の新しい家となるのかい」

息子嫁「ええ、なかなか良いところでしょう?」

おじいさん「ああ……まあ、そうだな」


別におじいさんは乗り気ではありません。ですが、居なくなった息子がやってくれるのだと思えば、そのパンフレットは輝かしいものに見えました。


息子嫁「だから、ほら……ここにサインを……」

おじいさん「ここかの?」

息子嫁「そうです、ほら早く早く」

おじいさん「お、おう」カキカキ

ペラップ「ケイヤク!! ケイヤク!!」


急に差し出された契約書に、ちょっとたじろぎながらサインをするおじいさん。随分急な話ですが、なにか事情があるんでしょう。
サインの書き込まれた契約書を回収した息子の嫁は、さらにもう一枚紙を差し出しました。
 ▼ 7 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/02 18:31:59 ID:nwu.kizQ [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
息子嫁「あとついでに、これに……もしお義父さんが死んだときには全財産を私に振り込むって書いといて下さいな」サッ

おじいさん「え、遺言状?」

息子嫁「ほらほら」グイグイ

おじいさん「え、ちょっ……いや……あの……」


……おじいさんは少し抵抗するも、よく分からないままに、半ば無理矢理にサインを書かされました。

まあ、もう自分も長くないし良いだろう、という気持ちも有ったんでしょうね。
息子の嫁は、そそくさと遺言状を回収すると、荷物を纏めて席を立ちました。


息子嫁「今日は本当にありがとうございました♪ では、明日また迎えに来ますので」

おじいさん「あ、ああ……そうか」
 ▼ 8 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/02 20:06:13 ID:nwu.kizQ [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告





その夜。
おじいさんの息子の嫁を名乗った女は、ポケモンセンターのすぐ外で電話を掛けていました。
老人ホームへの受け入れの電話を済ませ、次に電話をかけるのは"夫"です。


   プルルルル プルルルル プルルル ガチャ

自称息子『終わったか』

自称息子嫁「ええ、終わったわよ?」

自称息子『そうか、ボロは無かったか?』

自称息子嫁「勿論!! あとはいつも通り、例の老人ホームに叩き込めばいいわよね?」

自称息子『ああ……ヘマはするなよ』

自称息子嫁「分かってるって」


このような会話をする二人。

あーあ。もうお気づきでしょう……実は詐欺師のコンビなのです。
身寄りの無い老人の血縁者を装い、さっさと遺言状を書かせ、死んだら遺産を頂く……そんな生活をしているようですね。ああ、可哀想なおじいさん!! 世も末ですねぇ……
 ▼ 9 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/02 20:57:26 ID:nwu.kizQ [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告





そして、翌日の朝が来ました。
残った家はしばらくは嫁が管理するらしいので、おじいさんは最低限の荷物だけを纏めて、息子の嫁を待っています。……正確には、息子の嫁だと思い込んでいる女の人を待っています。

そうしてかれこれ一時間待ったでしょうか、ようやくケンホロウに乗った息子の嫁が現れました。


息子嫁「すいませんお義父さん……色々ありまして」

おじいさん「いえいえ、良いんですよ別に」


詐欺師だと分かっていればその笑顔は薄気味悪いものですが、何も知らないおじいさんには親切そうにしか見えないようです。おじいさんは息子の嫁に笑いかけ、ゆっくりと近づきました。ペラップを肩に乗せて、ケンホロウに跨がります。


息子嫁「すいません……じゃあお義父さん、行きますか」

おじいさん「うん、よろしく頼むよ」

ペラップ「ヨロピクピク〜!!」

息子嫁「……」

   バッサバッサ バッサバッサ


空に舞い上がるケンホロウ。慣れているのかすぐに姿勢は安定し、どこかへとまっすぐ飛んでいきます。
 ▼ 10 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/02 20:57:54 ID:nwu.kizQ [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告

暫く移動していると、一つの家がありました。
明るいカラーの壁にはポップな文字が躍り、周囲には汚れ一つ無い建物……昨日話されていた老人ホーム、ビートゥンです。
ケンホロウはそこに降り立ち、主人とカモを下ろします。


息子嫁「はい、着きましたよお義父さん」

おじいさん「ありがとうねぇ……」

息子嫁「疲れてませんか? すぐ職員来ますから……」

   タッタッタッ


自称息子の嫁はそう言って、老人ホームの職員を呼びつけました。建物の中からすぐに白いエプロンの女性が駆け寄って来ます。
おじいさんは物珍しそうに職員を見ていました。
 ▼ 11 ガース@パワフルハーブ 18/10/03 17:34:06 ID:VRkA7CyI NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 12 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/03 18:24:43 ID:01.oMiWk [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告

職員「こんにちは!! これからよろしくお願いいたします!!」ペコリ

おじいさん「いやいや、ハハハ……」

職員「では、早速ご案内致します!!」


職員さんに連れられて、おじいさんは施設の中へと入って行きました。
施設は全体的に白い色で塗られており、燻み一つありません。床も綺麗に磨かれていました。フロアは大変静かで、コツコツと歩く足音が響きます。
老人の入居者は出歩いていません。食事の時間なのでしょうか?


職員「……ほら、ここです」

おじいさん「すまんのぉ……」


職員さんは、奥まった部屋の扉を開けました。おじいさんはその中に入ろうとしますが、何しろ年ですのでうっかり段差でつまずかないよう、のそのそと入らなければなりませんでした。
 ▼ 13 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/03 18:25:11 ID:01.oMiWk [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
……不意に、それを見ていた職員さんの顔つきが変わりました。


職員「……っ、さっさと入れよ!!」ゲシッ

おじいさん「……!?」


尻に一発蹴りが入ります。踏ん張りが効くはずもなく、尻餅をつくおじいさん。その上に一枚の紙……説明書ですね、それを投げた職員さんは、おじいさんが生きているのだけ確認して乱暴にドアを閉めました。ご丁寧に鍵まで下ろしています。
おじいさんは突然の変貌ぶりに困惑しました。


おじいさん「……あれ、儂何かしたっけ」

ペラップ「サア?」

おじいさん「でもいきなり怒っちゃって……」


頭を掻きながらベッドに腰かけるおじいさん。何がなんだかさっぱりです。
そんな状態ではおちおち腰も落ち着けていられません。ベッドに一度は座ったおじいさんですが、すぐに立ち上がって部屋の中を探索し始めました。
 ▼ 14 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/03 18:26:09 ID:01.oMiWk [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
窓の無い部屋は無機質で、中々おじいさんには息苦しいものでした。
おじいさんはすぐに、どうやらここは二人部屋だったらしいと気がつきました。おじいさんのベッドの反対側にもベッドがあったから、それに気づくのは当然のことでした。
しかも、今は人はいないようですが、荷物はそのまま残されています。ロッカーには鍵もされていません。


おじいさん「……失礼?」

ペラップ「プライバシー、シンガイ!! シンガイ!!」

おじいさん「ちょっとだけ、ちょっとだけじゃから大丈夫大丈夫」


あら。何ということでしょう、おじいさんはその空いているベッドの近くの棚の中から、一冊のノートを取り出しました。中を開いています。
……どうやら日記のようですね。
 ▼ 15 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/03 18:26:49 ID:01.oMiWk [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
おじいさん「一日目……どれどれ、ん? ……っと、『娘の夫に連れられてここに来たが、なんて酷いところだ。スタッフさんの態度が酷すぎる』」

ペラップ「スタッフー!!」

おじいさん「二日目は……『館長さんに訴えたが無視された。電話は使わせてもらえない』……どういうことだ?」


紙は割と最近のもののようです。その紙の一枚一枚に、職員への不平不満が書き込んでありました。

……突然、おじいさんはノートを仕舞いました。足音が扉の向こうからくぐもって聞こえてきたからですね。ロッカーの持ち主だったら大変です。


   ガラガラ

職員「おら、飯だ!!」
 ▼ 16 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/03 18:27:20 ID:01.oMiWk [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
……ですが、入ってきたのは職員さんでした。さっきとはうってかわって、体のしっかりとしたお兄さんです。
彼は片手で、強引におじいさんをベッドに座らせました。そして、食事をその前に置きます。


おじいさん「おう、すまんのぉ……え、これだけ?」

ペラップ「ライス&ミソスープ!!」

職員「うるせぇ、ありがたく思えや老害!! あと鳥、お前はこれだ!!」

ペラップ「パンコ!! パンコ!?」


ですが突き出されたのは、ただの米と具の無い味噌汁でした。これだけです。栄養失調待ったなしです。

……ここまで来れば、疑いようはありません。不幸は連鎖するとはこの事でしょうか!!
この老人ホームは、外身は良い所ですが、実際は粗悪な介護で入居者を苦しめ殺してしまう魔の老人ホームだったのです!!
 ▼ 17 イックサレンダー◆ZSQq537Gzc 18/10/03 21:07:45 ID:01.oMiWk [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告

おじいさん「ゴホッ、ゴホッ……」

ペラップ「ダイジョウブ?」

おじいさん「ああ、大丈夫だ……にしても、あれは無いだろあれは!!」


食事が終わりました。さっきまで米をおじいさんの口に押し込んでした職員も去り、残されたのはおじいさんとペラップだけです。


おじいさん「このままじゃ儂、こんな所で死んでしまうわい……脱出せねばな」

ペラップ「ソダネ!!」

おじいさん「ああ、こんな所では死ねない……!!」


おじいさんは何となく察していました。さっきの職員さんは一人分の食事しか持ってこなかった。ここには二人分ベッドがあって、人は確かにいたのに。
考えられることは、一つしかありません。
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